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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】食品容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/22 20060101AFI20220624BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B65D1/22
B65D43/08 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018222550
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020083401
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂上 耕一
(72)【発明者】
【氏名】金野 直樹
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204003(JP,A)
【文献】実開平02-099750(JP,U)
【文献】実開昭63-107948(JP,U)
【文献】特開2017-100756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/22
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容凹部を有する容器本体と、
前記容器本体に着脱可能とされ、前記収容凹部を開閉する蓋体とを備え、
前記蓋体は、
天面部と、
前記天面部の外周縁から立ち下がるとともに周方向に連続する四角枠状の蓋体側側面部と
前記蓋体側側面部から内方に突出するとともに周方向に延在する蓋体側係合部とを備え、
前記容器本体は、
前記収容凹部の開口縁から外方に延出するとともに周方向に連続するフランジ部と、
前記フランジ部に立設されるとともに周方向に連続する四角枠状の第1立壁部と、
前記第1立壁部よりも外側で前記フランジ部に立設された第2立壁部と
前記第1立壁部から外方に突出するとともに周方向に延在し、前記蓋体側係合部と係脱する本体側係合部とを備え、
前記蓋体側側面部および前記第1立壁部は、四隅の角部と、前記収容凹部の開口を挟んで対向する一対の第1辺部と、前記開口を挟んで対向し、前記角部で前記第1辺部に接続する一対の第2辺部とを備え、
前記蓋体側側面部の第1辺部は、切取可能な切り口片を備え、
前記第2立壁部は、前記切り口片と対向する位置に設けられ、
前記蓋体側側面部および前記第1立壁部の少なくとも一方は、当該一方における角部または第2辺部から、前記蓋体側係合部および前記本体側係合部とは別に前記蓋体側側面部および前記第1立壁部の他方に向かって突設され、前記蓋体側側面部の第2辺部を外方に変形可能、かつ前記蓋体側側面部の第1辺部を内方に変形可能な突部を備えていることを特徴とする食品容器。
【請求項2】
前記突部は、前記容器本体の第1立壁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の食品容器。
【請求項3】
前記突部は、前記本体側係合部から前記フランジ部に向って延在することを特徴とする請求項2に記載の食品容器。
【請求項4】
前記突部は、前記第1立壁部の上端縁から前記フランジ部側に離間した位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の食品容器。
【請求項5】
前記突部は、前記フランジ部に向うにしたがって前記第1立壁部からの突出量が大きくなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バターやマーガリン、ジャム、ヨーグルト等の食品を収容する平面視略四角形状の樹脂製の食品容器が知られている。この食品容器は、上方に開口した収容凹部を有する容器本体と、収容凹部を開閉するために容器本体に着脱可能とされた蓋体とで構成される。このような食品容器として、蓋体の側面部の一部が切取可能な切り口片とされたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された食品容器の容器本体は、収容凹部の開口縁から外方に延出するフランジ部に立設されて周方向に連続する第1立壁部と、第1立壁部よりも外側でフランジ部に立設され、切り口片と対向する位置に設けられた第2立壁部とを備えている。このような構成によれば、容器本体に蓋体を装着した状態で蓋体に外力が加えられた場合、蓋体の切り口片領域が外方に突き出るように広がることを第2立壁部によって制限できるので、蓋体の切り口片領域が外方に広がって亀裂が入ったり、破断したりすることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-204003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の食品容器は、容器の寸法誤差や温度変化による寸法変化が大きいと、蓋体の側面部と容器本体の第2立壁部とが干渉してしまい、蓋体を容器本体に適切に装着できないおそれがある。一方、蓋体の側面部と容器本体の第2立壁部とを干渉させないように、第2立壁部を蓋体の側面部からより離れた位置に設けると、蓋体の切り口片領域が外方に広がることを第2立壁部によって制限しにくくなり、蓋体の亀裂や破断を防止する効果が低下してしまう。
【0006】
本発明の目的は、蓋体の亀裂や破断を防止する効果を維持しつつ、蓋体を容器本体に適切に装着できる食品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食品容器は、収容凹部を有する容器本体と、前記容器本体に着脱可能とされ、前記収容凹部を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体は、天面部と、前記天面部の外周縁から立ち下がるとともに周方向に連続する四角枠状の蓋体側側面部とを備え、前記容器本体は、前記収容凹部の開口縁から外方に延出するとともに周方向に連続するフランジ部と、前記フランジ部に立設されるとともに周方向に連続する四角枠状の第1立壁部と、前記第1立壁部よりも外側で前記フランジ部に立設された第2立壁部とを備え、前記蓋体側側面部および前記第1立壁部は、四隅の角部と、前記収容凹部の開口を挟んで対向する一対の第1辺部と、前記開口を挟んで対向し、前記角部で前記第1辺部に接続する一対の第2辺部とを備え、前記蓋体側側面部の第1辺部は、切取可能な切り口片を備え、前記第2立壁部は、前記切り口片と対向する位置に設けられ、前記蓋体側側面部および前記第1立壁部の少なくとも一方は、当該一方における角部または第2辺部から前記蓋体側側面部および前記第1立壁部の他方に向かって突設され、前記蓋体側側面部の第2辺部を外方に変形可能な突部を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、蓋体第1辺部が切り口片を備え、第2立壁部が切り口片と対向する位置に設けられている。また、蓋体側側面部および第1立壁部の少なくとも一方は、当該一方における角部または第2辺部に突設され、蓋体側側面部の第2辺部を外方に変形可能な突部を備えている。この場合、容器本体に蓋体を装着する際に、蓋体側側面部の第2辺部が突部によって外方に広げられるため、蓋体の第1辺部が内側に向かってゆがみ、当該第1辺部と容器本体の第2立壁部との間隔が広くなる。このため、蓋体の第1辺部と容器本体の第2立壁部とが干渉することを防止できるので、蓋体の亀裂や破断を防止する効果を維持しつつ、蓋体を容器本体に適切に装着することができる。
【0009】
本発明の食品容器において、前記突部は、前記容器本体の第1立壁部に設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、突部が容器本体に設けられているため、蓋体を容器本体に装着する際に、先ず蓋体の下端縁が突部に当接し、当該下端縁から蓋体の第2辺部が外方に広がっていく。このため、蓋体の第2辺部を効率よく広げることができ、蓋体の第1辺部と容器本体の第2立壁部とが干渉することを確実に防止できる。
【0011】
本発明の食品容器において、前記蓋体は、前記蓋体側側面部から内方に突出するとともに周方向に延在する蓋体側係合部を備え、前記容器本体は、前記第1立壁部から外方に突出するとともに周方向に延在し、前記蓋体側係合部と係脱する本体側係合部を備え、前記突部は、前記本体側係合部から前記フランジ部に向って延在することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、突部が本体側係合部からフランジ部に向って延在するため、容器本体に蓋体を装着する際に、蓋体側係合部が本体側係合部を起点として突部に乗り上げ、蓋体側側面部の第2辺部が突部によって外方に広げられる。このため、蓋体側係合部を本体側係合部に係合させる動作を利用して、蓋体の第2辺部を外方に広げることができるので、蓋体の装着を違和感なく行うことができる。
【0013】
本発明の食品容器において、前記突部は、前記第1立壁部の上端縁から前記フランジ部側に離間した位置に設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、突部が第1立壁部の上端縁からフランジ部側に離間した位置に設けられているため、蓋体と容器本体との初期嵌め合せの際に、第1立壁部の上端縁を蓋体の側面部と干渉しないように側面部内に入り込ませることができる。このため、蓋体と容器本体との初期嵌め合せを容易に行うことができる。
【0015】
本発明の食品容器において、前記突部は、前記フランジ部に向うにしたがって前記第1立壁部からの突出量が大きくなることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、フランジ部に向うにしたがって第1立壁部からの突部の突出量が大きくなるため、蓋体の下端縁が容器本体のフランジ部に近付くにつれて、蓋体の第2辺部を次第に広げることができ、蓋体の装着をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る食品容器の分解斜視図。
図2】食品容器の容器本体の側面図。
図3】食品容器の容器本体の拡大平面図。
図4】食品容器の拡大断面図。
図5】食品容器の容器本体と蓋体との係合部分を示す拡大断面図。
図6】本発明の変形例に係る食品容器の分解斜視図。
図7】本発明の変形例に係る食品容器の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき説明する。
なお、以下の記載において方向を表す場合、図1に示すように、容器本体3を下にして食品容器1を置いた状態を基準とする。
【0019】
図1において、食品容器1は、例えばバターやマーガリンなどの食品を収容するものであり、樹脂の射出成型品である。食品容器1は、蓋体2と、収容凹部31を有する容器本体3とを備えている。容器本体3及び蓋体2の材質としては、例えば、ポリプロピレン(PP)が好適であるが、この他にも、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等、この種の食品容器1に用いられる各種の樹脂を用いることができる。なお、食品容器1にバターやマーガリンを収容する場合、容器本体3としては、収容凹部31の容量が概ね150mlから600mlの範囲内のものが用いられる。
【0020】
[蓋体]
蓋体2は、容器本体3に着脱可能とされ、収容凹部31を開閉する。蓋体2は、天面部21と、天面部21の外周縁から立ち下がるとともに周方向に連続する略四角枠状の蓋体側側面部22(以下、単に側面部22という)とを備えている。
【0021】
側面部22は、第1鍔部23、垂下側壁24、第2鍔部25、および切り口片26を備えている。
【0022】
第1鍔部23は、天面部21の下端縁に周方向に連続して設けられ、当該下端縁から外側に向けて水平に僅かに延出している。
【0023】
垂下側壁24は、第1鍔部23の先端縁から垂下された略四角枠状に形成されている。本実施形態の場合、垂下側壁24は、平面視にて略長方形枠状とされている。すなわち、垂下側壁24は、対向する2辺が平行な直線をなす長方形状ではなく、対向する2辺の中央部が外方に膨らんだ曲線をなす長方形状となっている。垂下側壁24は、蓋体側角部24A、一対の第1辺部としての蓋体側短辺部24B、一対の第2辺部としての蓋体側長辺部24C、および蓋体側係合部24Dを備えている。
【0024】
蓋体側角部24Aは、垂下側壁24の四隅に設けられ、平面視にて円弧状とされている。
蓋体側短辺部24Bは、収容凹部31の開口31Aを挟んで互いに対向する。
蓋体側長辺部24Cは、開口31Aを挟んで蓋体側短辺部24Bに対して略直角をなして互いに対向し、蓋体側角部24Aで蓋体側短辺部24Bに接続されている。
蓋体側係合部24Dは、側面部22の下端縁から天面部21側に離間した位置に設けられている。蓋体側係合部24Dは、蓋体側角部24Aから内方に突出するとともに周方向に延在する。
【0025】
第2鍔部25は、垂下側壁24の下端縁に周方向に連続して設けられ、当該下端縁から外側に向けて水平に僅かに延出している。第2鍔部25の1つの角部は、把持部25Aとされ、第2鍔部25の他の角部よりも垂下側壁24からの延出量が大きくなっている。
【0026】
切り口片26は、蓋体側短辺部24Bの一部が切取可能にされたものである。本実施形態の場合、切り口片26は、バターナイフ等のナイフの柄の部分が突出可能なナイフ口を形成する。切り口片26は、垂下側壁24に設けられた薄肉溝26Aと、第2鍔部25に設けられ、薄肉溝26Aの下端に接続された切欠き26Bとで囲まれた領域として区画される。
【0027】
[容器本体]
図1から図4において、容器本体3は、底面部32、本体側側面部33(以下、単に側面部33という)、フランジ部34、第1立壁部35、第2立壁部36、および立下部37(図4参照)を備えている。
【0028】
側面部33は、底面部32の周縁から立設され、底面部32とともに収容凹部31を構成する。
【0029】
フランジ部34は、収容凹部31の開口縁から外方に延出するとともに、収容凹部31の開口31Aを囲うように開口31Aの周方向に連続する。フランジ部34は、第1立壁部35の後述する本体側角部35Aおよび本体側短辺部35Bにかけては大きく延出し、本体側長辺部35Cに対応した位置では小さく延出している。フランジ部34における第1立壁部35の外側の領域は、蓋体2を支持する部位であり、蓋体2の第2鍔部25が当接する。
【0030】
第1立壁部35は、フランジ部34に立設されるとともに周方向に連続する略四角枠状に形成されている。本実施形態の場合、第1立壁部35は、平面視にて略長方形枠状とされている。すなわち、第1立壁部35は、対向する2辺が平行な直線をなす長方形状ではなく、対向する2辺の中央部が外方に膨らんだ曲線をなす長方形状となっている。第1立壁部35は、本体側角部35A、一対の第1辺部としての本体側短辺部35B、一対の第2辺部としての本体側長辺部35C、本体側係合部35D、および突部35Eを備えている。
【0031】
本体側角部35Aは、第1立壁部35の四隅に設けられ、平面視にて円弧状に形成されている。
本体側短辺部35Bは、開口31Aを挟んで互いに対向している。本体側短辺部35Bの中央部には、ナイフの柄の部分を受容するための切欠部35Fが形成されている。
本体側長辺部35Cは、開口31Aを挟んで本体側短辺部35Bに対して略直角をなして互いに対向し、本体側角部35Aで本体側短辺部35Bに接続されている。
本体側係合部35Dは、第1立壁部35の上端縁からフランジ部34側に離間した位置に設けられ、蓋体側係合部24Dと係脱する。本体側係合部35Dは、本体側角部35Aから外方に突出するとともに周方向に延在する。
【0032】
突部35Eは、本体側角部35Aから蓋体側角部24Aに向かって突設され、蓋体側長辺部24Cを外方に変形可能とされている。突部35Eは、本体側係合部35Dよりも下方に設けられ、本体側係合部35Dからフランジ部34に向って延在する。突部35Eは、図3に示すように、本体側角部35Aを形成する円弧中心CRから、一対の本体側長辺部35Cの対向方向と平行で、本体側長辺部35Cに向けて延ばした仮想直線L1に対して角度αをなす仮想直線L2よりも、本体側長辺部35C側に位置している。角度αは、45°以下であることが好ましい。突部35Eの突出量は、その長さ方向にわたって均一とされ、本体側係合部35Dと同じ突出量とされている。突部35Eの長さは、蓋体2を装着する際に、蓋体2の下端部が第1立壁部35と第2立壁部36との間の空間に入り込むまで、蓋体側係合部24Dと係合し続けるように設定されている。
【0033】
第2立壁部36は、第1立壁部35よりも外側でフランジ部34に立設され、容器本体3に蓋体2を装着した際に、切り口片26と対向する位置に設けられている。本実施形態の場合、第2立壁部36は、フランジ部34の短辺部の外周縁に沿って延在するとともに、側面視にて台形状とされている。
第2立壁部36の高さH(図4参照)は、0.4mmから1.6mmの範囲内が好ましい。本実施例では、高さHが0.65mmに設定されている。高さHが0.4mm以上であれば、蓋体2の側面部22と第2立壁部36との係合状態を確保することができ、外力によって側面部22の蓋体側短辺部24Bが外方に突き出るのを抑制または防止することができる。また、高さHが1.6mm以下であれば、第2立壁部36の内側にゴミが溜まるのを防いだり、容器本体3の成形時に空気が第2立壁部36に残留することを防止し、生産性の悪化を防いだりすることができる。
第2立壁部36は、蓋体2が装着された際に、蓋体2の側面部22との間に隙間D(図4参照)が生じる位置に設けられている。隙間Dは、0.2mmから0.6mmの範囲内が好ましい。隙間Dが0.2mm以上であれば、蓋体側係合部24Dが本体側係合部35Dを乗り越えて互いに係合し、容器本体3に対する蓋体2のロック状態を確保することができる。また、隙間Dが0.6mm以下であれば、前述の高さHが0.4mmから1.6mmの範囲内であっても、外力によって蓋体2の蓋体側短辺部24Bが外方に突き出るのを十分に抑制または防止することができ、かつフランジ部34の張り出し量を抑えることができる。
【0034】
立下部37は、フランジ部34の先端縁から立ち下がるとともに周方向に連続して設けられている。
【0035】
[蓋体の装着]
容器本体3に蓋体2を装着する場合、容器本体3の第1立壁部35を覆うように蓋体2を容器本体3に近付ける。この際、本体側係合部35Dおよび突部35Eが第1立壁部35の上端縁からフランジ部34側に離間した位置に設けられているため、第1立壁部35の上端縁を蓋体2の側面部22と干渉しないように側面部22内に入り込ませることができ、蓋体2と容器本体3との初期嵌め合せを容易に行うことができる。
【0036】
その後、蓋体2をさらに容器本体3側に移動させると、蓋体側係合部24Dが本体側係合部35Dを起点として突部35Eに乗り上げる。これにより、図5に示すように、突部35Eが蓋体側長辺部24Cを外方に押し出し、図1に二点鎖線で示すように、蓋体側長辺部24Cを外方に広げる。そうすると、図1に二点鎖線で示すように、蓋体側短辺部24Bが内側に向かってゆがむので、蓋体側短辺部24Bの下端と容器本体3の第2立壁部36とが干渉することを防止でき、容器本体3に蓋体2を適切に装着することができる。なお、図5中の二点鎖線は、突部35Eが存在しない場合の蓋体2の側面部22の状態を示している。
【0037】
蓋体2が容器本体3に適切に装着された場合、蓋体2の蓋体側短辺部24Bが容器本体3の第1立壁部35と第2立壁部36との間に位置する。このため、蓋体2に外力が加えられても、蓋体2の蓋体側短辺部24Bが外方に広がることを第2立壁部36によって制限できるので、蓋体2の蓋体側短辺部24Bが外方に広がって切り口片26の周囲に亀裂が入ったり、破断したりすることを防止できる。
【0038】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、容器本体3に蓋体2を装着する際に、蓋体2の蓋体側長辺部24Cが突部35Eによって外方に広げられるため、蓋体2の蓋体側短辺部24Bが内側に向かってゆがみ、当該蓋体側短辺部24Bと容器本体3の第2立壁部36との間隔が広くなる。このため、蓋体2の蓋体側短辺部24Bと容器本体3の第2立壁部36とが干渉することを防止できるので、蓋体2の亀裂や破断を防止する効果を維持しつつ、蓋体2を容器本体3に適切に装着することができる。
【0039】
また、突部35Eが容器本体3に設けられているため、蓋体2を容器本体3に装着する際に、先ず蓋体2の下端縁が突部35Eに当接し、当該下端縁から蓋体2の蓋体側長辺部24Cが外方に広がっていく。このため、蓋体2の蓋体側長辺部24Cを効率よく広げることができ、蓋体2の蓋体側短辺部24Bと容器本体3の第2立壁部36とが干渉することを確実に防止できる。
【0040】
また、突部35Eが本体側係合部35Dからフランジ部34に向って延在するため、容器本体3に蓋体2を装着する際に、蓋体側係合部24Dが本体側係合部35Dを起点として突部35Eに乗り上げ、蓋体2の蓋体側長辺部24Cが突部35Eによって外方に広げられる。このため、蓋体側係合部24Dを本体側係合部35Dに係合させる動作を利用して、蓋体2の蓋体側長辺部24Cを外方に広げることができるので、蓋体2の装着を違和感なく行うことができる。
【0041】
また、突部35Eが第1立壁部35の上端縁からフランジ部34側に離間した位置に設けられているため、蓋体2と容器本体3との初期嵌め合せの際に、第1立壁部35の上端縁を蓋体2の側面部22と干渉しないように側面部22内に入り込ませることがでる。このため、蓋体2と容器本体3との初期嵌め合せを容易に行うことができる。
【0042】
また、フランジ部34に向うにしたがって第1立壁部35からの突部35Eの突出量が大きくなるため、蓋体2の下端縁が容器本体3のフランジ部34に近付くにつれて、蓋体2の蓋体側長辺部24Cを次第に広げることができ、蓋体2の装着をスムーズに行うことができる。
【0043】
[変形例]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更等は、本発明に含まれる。
例えば、突部35Eに代えてまたは併用して、図6に示すように、容器本体3の第1立壁部35の本体側長辺部35Cに突部35Gを設けてもよい。突部35Gは、第1立壁部35の上端縁からフランジ部34側に離間した位置に設けられ、フランジ部34に向うにしたがって第1立壁部35からの突出量が大きくなっている。
また、突部35Eに代えてまたは併用して、図7に示すように、蓋体2の側面部22の蓋体側長辺部24Cに突部24Eを設けてもよい。突部24Eは、蓋体2の側面部22の下端縁から天面部21に向うにしたがって、側面部22からの突出量が大きくなっている。
【0044】
突部24Eは、蓋体側角部24Aに設けられてもよく、この場合、本体側長辺部35Cに向かって突出してもよい。
突部24E、35Gの突出量は、その長さ方向にわたって均一であってもよい。
突部35Eは、本体側係合部35Dからフランジ部34に向うにしたがって、第1立壁部35からの突出量が大きくなってもよいし、本体側角部35Aにおいて本体側係合部35Dよりも本体側長辺部35C側の位置に設けられてもよい。また、突部35Eは、蓋体側長辺部24Cに向かって突出していてもよい。
突部24E、35E、35Gは、必ずしも延在していなくてもよく、少なくとも蓋体2の下端部が第1立壁部35と第2立壁部36との間の空間に入り込む際に、蓋体側短辺部24Bを内側に向かってゆがませることができればよい。
【0045】
蓋体2の垂下側壁24および容器本体3の第1立壁部35は、平面視で正方形枠状であってもよい。
蓋体2の切り口片26が蓋体側長辺部24Cに設けられ、容器本体3の第2立壁部36が本体側長辺部35Cに設けられてもよい。この場合、蓋体側長辺部24Cおよび本体側長辺部35Cが第1辺部となり、蓋体側短辺部24Bおよび本体側短辺部35Bが第2辺部となる。
蓋体2の蓋体側係合部24Dが蓋体側短辺部24Bに設けられ、容器本体3の本体側係合部35Dが本体側短辺部35Bに設けられてもよい。
切り口片26は、ナイフ口以外を形成するものであってもよい。
第2立壁部36は、側面視にて台形状のものに限られず、例えば、三角形状、矩形状、半円状、半楕円状とされもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…食品容器、2…蓋体、3…容器本体、21…天面部、22…蓋体側側面部、24A…蓋体側角部(角部)、24B…蓋体側短辺部(第1辺部)、24C…蓋体側長辺部(第2辺部)、24D…蓋体側係合部、26…切り口片、31…収容凹部、31A…開口、32…底面部、33…本体側側面部、34…フランジ部、35…第1立壁部、35A…本体側角部(角部)、35B…本体側短辺部(第1辺部)、35C…本体側長辺部(第2辺部)、35D…本体側係合部、35E…突部、36…第2立壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7