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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-23
(45)【発行日】2022-07-01
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20220624BHJP
   B65D 5/28 20060101ALI20220624BHJP
【FI】
B65D5/54 311C
B65D5/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018224935
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020083442
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】永平 竜博
(72)【発明者】
【氏名】西森 泉
(72)【発明者】
【氏名】金野 直樹
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-142677(JP,A)
【文献】登録実用新案第3000842(JP,U)
【文献】登録実用新案第3153014(JP,U)
【文献】特開2015-089833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/28-5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用のカートンであって、
筒状の胴部と、
前記胴部の軸方向の一端部を塞ぐ底面部と、
前記胴部の軸方向の他端部を塞ぐとともに、前記胴部の軸方向に直交する一方側から他方側に向かう開封方向に開封され、前記胴部の軸方向の他端部に開口を形成する開封面部とを備え、
前記胴部は、前記開封方向の前記他方側で前記開封面部に連接する第1側面部と、前記胴部の周方向で前記第1側面部に連接する第2側面部と、前記第2側面部から当該胴部の内方に張り出した張出部とを備え、
前記開封面部は、当該開封面部における前記開封方向の前記一方側の先端部から、前記第1側面部と前記第2側面部との境界位置よりも前記一方側で、当該開封面部における前記開封方向に直交する方向の両端まで延びる開封用切込線を備え、当該開封面部の前記先端部が前記張出部に貼付され、
前記第1側面部は、前記開封面部の開封操作に連続して切断される切断線を備え
前記開封用切込線と前記切断線との間には、前記開封用切込線と前記切断線とを繋ぐ切込線が設けられていないことを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記切断線は、前記第1側面部と前記第2側面部との境界位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記第1側面部および前記第2側面部の一方は、前記第1側面部および前記第2側面部の他方に貼付されるフラップを備え、前記フラップに前記切断線が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状の胴部と、当該胴部の軸方向の端部に設けられた開封面部とを備え、胴部の軸方向に直交する一方側から他方側に向かって開封面部を開封する食品用のカートンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6(A)は、従来のカートン90を開封した状態を示す側面図、図6(B)は、図6(A)の平面図である。図6(A)、(B)において、カートン90は、複数の側面部91と、複数の側面部91のうちの1つに連接する開封面部92とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-252884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような従来のカートンは、開封面部に連接する側面部が他の側面部に連接しておらず、開封面部の開封と同時に側面部が他の側面部から分離して開放されてしまう。このため、開封する際に、内部の食品の動きを胴部によって抑制することができず、食品が飛び出してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、開封する際に、内部の食品が飛び出してしまうことを防止できるカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカートンは、食品用のカートンであって、筒状の胴部と、前記胴部の軸方向の一端部を塞ぐ底面部と、前記胴部の軸方向の他端部を塞ぐとともに、前記胴部の軸方向に直交する一方側から他方側に向かう開封方向に開封され、前記胴部の軸方向の他端部に開口を形成する開封面部とを備え、前記胴部は、前記開封方向の前記他方側で前記開封面部に連接する第1側面部と、前記胴部の周方向で前記第1側面部に連接する第2側面部とを備え、前記第1側面部は、前記開封面部の開封操作に連続して切断される切断線を備えていることを特徴とする。
【0008】
ここで、連接するとは、予め互いに接続された状態に形成されている場合や、互いに貼付されて接続されている場合等、互いに直接的に接続されている状態をいう。
また、第1側面部が切断線を備えているとは、第1側面部と第2側面部との境界位置に切断線が設けられる場合を含む。
【0009】
本発明によれば、開封面部に連接する第1側面部が胴部の周方向で第2側面部に連接し、第1側面部には、開封面部の開封操作に連続して切断される切断線が設けられているので、開封面部を開封した時点では第1側面部が開放されず、開封面部の開封操作に連続して切断線が切断されてから第1側面部が開放される。このため、開封する際に、内部の食品の動きを胴部によって抑制することができるので、食品が飛び出してしまうことを防止できる。
【0010】
本発明のカートンにおいて、前記切断線は、前記第1側面部と前記第2側面部との境界位置に設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、切断線が第1側面部と第2側面部との境界位置に設けられているため、切断線の切断により、第1側面部全体が開放される。したがって、第1側面部が開放された部分から、食品を容易に取り出すことができる。
【0012】
本発明のカートンにおいて、前記第1側面部および前記第2側面部の一方は、前記第1側面部および前記第2側面部の他方に貼付されるフラップを備え、前記フラップに前記切断線が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、第1側面部および第2側面部の一方に設けられ、第1側面部および第2側面部の他方に貼付されるフラップに切断線が設けられているため、第1側面部および第2側面部の他方に貼付されたフラップによって、当該他方の側面部の剛性を向上させつつ、フラップに設けられた切断線の切断によって、第1側面部を開放することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るカートンの斜視図。
図2】カートンの展開図。
図3】カートンの開封手順を示す平面図。
図4】カートンの開封手順を示す側面図。
図5】本発明の変形例に係るカートンの展開図。
図6】(A)は従来のカートンを開封した状態を示す側面図、(B)は(A)の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の記載において方向を表す場合、カートン1を図1に示すように置いた状態を基準とする。
【0016】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るカートン1を示す斜視図である。図2は、カートン1の展開図(カートン形成用パネル(カートンブランクとも称する)10の平面図)である。
図1において、カートン1は、個別包装された板状のチョコレート等の複数の食品FDを並べて収容可能な箱体であり、図2に示すように、板紙素材で形成されたカートン形成用パネル10から組み立てられる。
【0017】
図1および図2において、カートン1は、胴部2、底面部3、第1張出部4(図2参照)、一対の第2張出部5、6(図2参照)、および開封面部7を備えている。
【0018】
胴部2は、平面視略長方形の筒状とされている。胴部2は、第1側面部21、22と、第2側面部23、24とを備えている。
【0019】
第1側面部21、22は、胴部2の長辺側の側面部分であり、胴部2の軸方向に直交する一方側から他方側に向かう開封方向Dに互いに対向している。
第1側面部21は、開封方向Dの一方側に設けられている。
第1側面部22は、開封方向Dの他方側に設けられ、当該他方側で開封面部7に連接している。
【0020】
第2側面部23、24は、胴部2の短辺側の側面部分であり、胴部2の軸方向と開封方向Dとの両方向に直交する方向に互いに対向している。第2側面部23、24は、胴部2の周方向で第1側面部21、22に連接している。
【0021】
第2側面部23は、本体部23Aと、フラップ23B、23Cとを備えている。
本体部23Aは、第1側面部22と底面部3とに連接している。
フラップ23Bは、本体部23Aから胴部2の周方向の一方側に延設され、第1側面部21に貼付される。
フラップ23Cは、本体部23Aから胴部2の周方向の他方側に延設され、第1側面部22に貼付される。フラップ23Cは、開封面部7の開封操作に連続して切断される切断線23Dを備えている。
切断線23Dは、第2側面部23における第1側面部22との境界位置、すなわち胴部2の角部20(図1参照)の位置に設けられている。切断線23Dは、切目が断続して列をなすいわゆるミシン目とされた破断線で構成されている。
【0022】
第2側面部24は、第2側面部23と同様に構成されているため、第2側面部23の符号の先頭から2番目の3の記号を4に置き換えて図示し、その説明を省略する。
【0023】
底面部3は、第1側面部21、22と第2側面部23、24とに連接し、胴部2の軸方向の一端部を塞いでいる。
【0024】
第1張出部4は、第1側面部21に連接し、第1側面部21の上端部から胴部2の内方に張り出している。第1張出部4は、その中央部に後述する把持部72が差し込まれる差込部41が形成されるとともに、中央部よりも両端部の方が胴部2の内方に張り出す形状とされている。
【0025】
第2張出部5は、第2側面部23に連接し、第2側面部23の上端部から胴部2の内方に張り出している。
【0026】
第2張出部6は、第2張出部5に対して線対称に配置されている。第2張出部6は、第2張出部5と同様に構成されているため、その説明を省略する。
【0027】
開封面部7は、基端部が第1側面部22に連接するとともに、先端部が第1張出部4および第2張出部5、6に貼付され、胴部2の軸方向の他端部、すなわち胴部2における底面部3の反対側の端部を塞いでいる。開封面部7は、胴部2の軸方向に直交する一方側から他方側に向かう開封方向Dに開封され、胴部2における底面部3の反対側の端部に開口8A(図4参照)を形成する。
【0028】
開封面部7は、開封用切込線71と、把持部72とを備えている。
開封用切込線71は、開封面部7の先端部から開封方向Dに延びる一対の平行な第1破断線71Aと、第1破断線71Aから開封方向Dに向かって次第に拡開するように延びる一対の第2破断線71Bとで構成される。第1破断線71Aおよび第2破断線71Bは、開封面部7に形成された切目が断続して列をなすいわゆるミシン目とされている。第2破断線71Bは、開封面部7における開封方向Dに直交する方向の両端まで延びている。
把持部72は、開封面部7における一対の第1破断線71Aの間の部分であり、開封面部7の先端部に設けられている。
【0029】
[カートンの開封]
カートン1を開封する際は、把持部72を把持して引き上げつつ、図3(A)に示すように、当該把持部72を開封方向Dに引っ張る。これにより、図4(A)に示すように、開封面部7が開封用切込線71に沿って開封面部7の基端部、すなわち第1側面部22との連接部まで切断され、開口8Aが形成される。この時点では、切断線23D、24Dが切断されておらず、第1側面部22が開放されていないため、内部の食品FDの動きが第1側面部22を含む胴部2全体によって抑制され、食品FDが胴部2から飛び出してしまうことを防止できる。また、第1張出部4および第2張出部5、6が胴部2の内方に張り出して食品FDを部分的に覆っているため、食品FDが胴部2から飛び出してしまうことをより確実に防止できる(図4(A))。
【0030】
その後、把持部72をさらに開封方向Dに引っ張ると、開封面部7に連接する第1側面部22が開封面部7によって引っ張られる。これに伴い、第1側面部22に貼付されているフラップ23C、24Cが第1側面部22によって引っ張られ、フラップ23C、24Cと第1側面部22との間の切断線23D、24Dが切断される。これにより、図3(B)および図4(B)に示すように、第1側面部22が第2側面部23、24から切り離されて開放され、開口8Aに連通する側面開口8Bが形成される。したがって、これらの開口8A、8Bから食品FDを容易に取り出すことができる(図4(B))。
【0031】
なお、開封面部7を閉じる際は、開封面部7を開封前の位置に戻し、把持部72を第1張出部4の差込部41に差し込む。これにより、把持部72が差込部41に係止され、開封面部7を閉じた状態を維持することができる。
【0032】
以上のような実施形態によれば、開封面部7に連接する第1側面部22が胴部2の周方向で第2側面部23、24に連接し、第1側面部22には、開封面部7の開封操作に連続して切断される切断線23D、24Dが設けられているので、開封面部7を開封した時点では第1側面部22が開放されず、開封面部7の開封操作に連続して切断線23D、24Dが切断されてから第1側面部22が開放される。このため、開封する際に、内部の食品FDの動きを胴部2によって抑制することができるので、食品FDが飛び出してしまうことを防止できる。
【0033】
また、切断線23D、24Dが第1側面部22と第2側面部23、24との境界位置に設けられているため、切断線23D、24Dの切断により、第1側面部22全体が開放される。したがって、第1側面部22が開放された部分から、食品FDを容易に取り出すことができる。
【0034】
また、第2側面部23、24に設けられ、第1側面部22に貼付されるフラップ23C、24Cに切断線23D、24Dが設けられているため、第1側面部22に貼付されたフラップ23C、24Cによって、第1側面部22の剛性を向上させつつ、フラップ23C、24Cに設けられた切断線23D、24Dの切断によって、第1側面部22を開放することができる。
【0035】
[変形例]
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、胴部2は、平面視略長方形の筒状のものに限られず、例えば、平面視略三角形、正方形や菱形等の長方形以外の四角形、五角以上の多角形の筒状のものや、平面視略真円形、楕円形、長円形等の筒状のものでもよい。
【0036】
第1側面部21は、図5に示すように、当該第1側面部21の本体部21Aから胴部2の周方向の一方側に延設されたフラップ21Bと、本体部21Aから胴部2の周方向の他方側に延設されたフラップ21Cとを備え、フラップ21B、21Cが第2側面部23、24に貼付されてもよい。この場合、第2側面部23、24は、フラップ23B、24Bを備えていなくてもよい。
【0037】
第1側面部22は、図5に示すように、当該第1側面部22の本体部22Aから胴部2の周方向の一方側に延設されたフラップ22Bと、本体部22Aから胴部2の周方向の他方側に延設されたフラップ22Cとを備え、フラップ22B、22Cに切断線22D、22Eが設けられ、フラップ22B、22Cが第2側面部23、24に貼付されてもよい。この場合、第2側面部23、24は、フラップ23C、24Cを備えていなくてもよい。
【0038】
第1側面部21、22と第2側面部23、24とは、カートン形成用パネル10の段階で予め互いに接続された状態に形成して連接させておいてもよいし、接着剤やヒートシール等で後から互いを接着して連接させてもよい。この場合、第2側面部23、24は、フラップ21B、21C、22B、22C、23B、23C、24B、24Cを備えていなくてもよく、切断線22D、22E、23D、24Dは、第1側面部22と第2側面部23、24との連接部に設ければよい。
【0039】
切断線22D、22E、23D、24Dは、フラップ22B、22C、23C、24Cの面内に設けられてもよい。この場合、フラップ22B、22C、23C、24Cにおける切断線22D、22E、23D、24Dよりも先端側の部分を各側面部22~24に貼付すればよい。
切断線22D、22E、23D、24Dや開封用切込線71は、破断線で構成される場合に限定されず、例えば、カートン1を部分的に変質させた変質部で構成してもよいし、カートン1を部分的に薄肉にした薄肉部で構成してもよい。この場合、変質部や薄肉部は、破断線のように断続的に連なって並ぶように設けられてもよいし、連続する1本の線状に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…カートン、2…胴部、3…底面部、4…第1張出部、5、6…第2張出部、7…開封面部、8A…開口、20…角部、21、22…第1側面部、23、24…第2側面部、23C、24C…フラップ、23D、24D…切断線、D…開封方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6