(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-24
(45)【発行日】2022-07-04
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220627BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220627BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20220627BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220627BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20220627BHJP
【FI】
A61F13/15 142
A61F13/53 300
A61F13/496
A61F13/511 200
A61F13/51
(21)【出願番号】P 2021061141
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】戸田 航平
(72)【発明者】
【氏名】渡部 芳久
(72)【発明者】
【氏名】中島 広嗣
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-278(JP,A)
【文献】特開2020-73097(JP,A)
【文献】国際公開第2021/038874(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/038875(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/182016(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/026018(WO,A1)
【文献】特表2012-522618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-A61F13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、
一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、
前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられて
おり、
前記忌避剤が設けられている前記胴周り部では、
前記上部領域における前記忌避剤の坪量よりも、前記下部領域における前記忌避剤の坪量の方が高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項2】
請求項
1に記載のパンツ型吸収性物品であって、
吸収性本体と、前記吸収性本体よりも非肌側に配された外装部材と、を有し、
前記外装部材は、前記胴周り部において、前記左右方向に伸縮する弾性部材を有し、
各前記胴周り部は、前記吸収性本体が位置する領域に、前記弾性部材が伸縮不能な非伸縮領域を有し、
前記胴周り部の前記非伸縮領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
請求項
2に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記忌避剤は複数のマイクロカプセルに内包されており、
前記忌避剤が設けられている前記胴周り部は、前記忌避剤が設けられている領域を示す目印部を有し、
前記前後方向における同じ側において、前記非伸縮領域と前記目印部とが前記前後方向に重なる領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
請求項
1から3の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
排泄物を吸収する吸収性コアを有し、
前記胴周り部のうち前記吸収性コアが位置する領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、
一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、
前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられており、
前記忌避剤が設けられている領域が前記上下方向に間隔を空けて複数並んで設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、
一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、
前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられており、
前記忌避剤が設けられている領域が前記左右方向に間隔を空けて複数並んで設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
請求項1から
3の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品
であって、
排泄物を吸収する吸収性コアを有し、
前記胴周り部のうち前記吸収性コアが位置しない領域に、前記忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
請求項1から
5の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記胴周り部の前記下部領域において、前記忌避剤が設けられている領域は、左側の前記接合部と前記前後方向に重なる位置から、右側の前記接合部と前記前後方向に重なる位置まで、前記左右方向に連続して設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項9】
請求項1から
7の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記忌避剤が設けられている領域の左側端は、左側の前記接合部の右側端よりも右側に位置し、
前記忌避剤が設けられている領域の右側端は、右側の前記接合部の左側端よりも左側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項10】
請求項1から
9の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
吸収性本体と、前記吸収性本体よりも非肌側に配された外装部材と、を有し、
前記外装部材は、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部から下側に延出した延出部を有し、
前記延出部にも、前記忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項11】
請求項1から
10の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
前記胴周り部の前記下部領域において、前記忌避剤が設けられている領域は、当該胴周り部の下端よりも上側に離間して位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項12】
請求項1から
11の何れか1項に記載のパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、
前記忌避剤が設けられている前記胴周り部では、前記下部領域における前記伸縮領域の方が、前記上部領域における前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項13】
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、
一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、
前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられており、
各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、
前記一対の胴周り部のうちの一方の胴周り部の前記伸縮領域の方が、他方の胴周り部の前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高く、
前記一方の胴周り部における前記忌避剤の坪量の方が、前記他方の胴周り部における前記忌避剤の坪量よりも高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項14】
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、
一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、
各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、
前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられており、
各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、
前記一対の胴周り部のうちの一方の胴周り部の前記伸縮領域の方が、他方の胴周り部の前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高く、
前記一方の胴周り部における前記忌避剤の坪量の方が、前記他方の胴周り部における前記忌避剤の坪量よりも低いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体透過性トップシート、吸収性コア及び液体不透過性バックシートを含む吸収性物品に対して、防虫効果を示す天然植物抽出物をマイクロカプセル化してなる防虫マイクロカプセルを適用することが開示されている。具体的には、バックシートに防虫マイクロカプセルを適用する形態が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、吸収性物品の着用中の虫刺されを抑制することに着目した。これに対して特許文献1では、流通及び保管の過程における吸収性物品への害虫の侵入を防止することを目的としている。そのため、バックシートにおける防虫マイクロカプセルの具体的な付着位置までは開示されておらず、吸収性物品の着用中の虫刺されを抑制する効果は不十分である。
また、おむつ等の吸収性物品には、テープ型吸収性物品とパンツ型吸収性物品がある。テープ型吸収性物品の主な着用対象者は、寝姿勢で過ごすことの多い低月齢の乳児や高齢者等である。一方、パンツ型吸収性物品の主な着用対象者は、ハイハイや歩行等の動きが活発になった高月齢の乳幼児や寝たきりではない高齢者等である。本出願人は、テープ型吸収性物品とパンツ型吸収性物品とで着用対象者の動きが異なることに着目し、鋭意研究の結果、テープ型吸収性物品の着用対象者は、脚よりも顔の方が虫に刺されやすいのに対して、パンツ型吸収性物品の着用対象者は、顔よりも脚(特に腿や脛)の方が虫に刺されやすいことが分かった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、パンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられており、前記忌避剤が設けられている前記胴周り部では、前記上部領域における前記忌避剤の坪量よりも、前記下部領域における前記忌避剤の坪量の方が高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】パンツ型使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
【
図2】展開状態かつ伸張状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図である。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、第1実施形態の変形例の忌避剤配置領域41の説明図である。
【
図8】第2実施形態の忌避剤配置領域41の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、一対の胴周り部と、股下部とを有し、前記一対の胴周り部それぞれの前記左右方向の両側部が一対の接合部にて接合されているパンツ型吸収性物品であって、各前記胴周り部は、伸張状態において当該胴周り部を前記上下方向に2分割したときの、上部領域と、下部領域とを有し、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の前記下部領域に、虫の忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0010】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の脚に近いパンツ型吸収性物品の部位に忌避剤が設けられ、着用者の脚周りに忌避剤を放出できる。よって、脚を刺されやすいパンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防できる。
【0011】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記忌避剤が設けられている前記胴周り部では、前記上部領域における前記忌避剤の坪量よりも、前記下部領域における前記忌避剤の坪量の方が高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0012】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の脚に近いパンツ型吸収性物品の部位に、より多くの忌避剤が設けられる。よって、脚を刺されやすいパンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防できる。
【0013】
かかるパンツ型吸収性物品であって、吸収性本体と、前記吸収性本体よりも非肌側に配された外装部材と、を有し、前記外装部材は、前記胴周り部において、前記左右方向に伸縮する弾性部材を有し、各前記胴周り部は、前記吸収性本体が位置する領域に、前記弾性部材が伸縮不能な非伸縮領域を有し、前記胴周り部の前記非伸縮領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0014】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材による皺が生じ難い非伸縮領域に忌避剤が設けられ、忌避剤が設けられた領域が外部に露出するため、忌避剤が外部に放出されやすく、虫よけ効果が生じる。
【0015】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記忌避剤は複数のマイクロカプセルに内包されており、前記忌避剤が設けられている前記胴周り部は、前記忌避剤が設けられている領域を示す目印部を有し、前記前後方向における同じ側において、前記非伸縮領域と前記目印部とが前記前後方向に重なる領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0016】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材による皺が生じ難い非伸縮領域に位置する目印部の視認性が高まる。また、非伸縮領域(吸収性本体)に忌避剤が設けられているため、剛性の高い吸収性コアが台座となり、使用者が目印部を擦りやすくなる。よって、マイクロカプセルが効率的に割れ、忌避剤が放出されやすくなる。
【0017】
かかるパンツ型吸収性物品であって、排泄物を吸収する吸収性コアを有し、前記胴周り部のうち前記吸収性コアが位置する領域に、前記忌避剤の少なくとも一部が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0018】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、忌避剤は、吸収性コアを通過して肌側に放出され難く、外部に放出されやすくなるため、虫よけ効果が生じる。
【0019】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記忌避剤が設けられている領域が前記上下方向に間隔を空けて複数並んで設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0020】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、忌避剤の量を抑えつつ、パンツ型吸収性物品の上下方向の広い範囲に忌避剤を設けることができる。よって、パンツ型吸収性物品の上下方向の広い範囲において虫よけ効果が生じる。
【0021】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記忌避剤が設けられている領域が前記左右方向に間隔を空けて複数並んで設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0022】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、忌避剤の量を抑えつつ、パンツ型吸収性物品の左右方向の広い範囲に忌避剤を設けることができる。よって、パンツ型吸収性物品の左右方向の広い範囲において虫よけ効果が生じる。
【0023】
かかるパンツ型吸収性物品であって、排泄物を吸収する吸収性コアを有し、前記胴周り部のうち前記吸収性コアが位置しない領域に、前記忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0024】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、吸収性コアが吸収した排泄物の臭いによって忌避剤の効果が軽減してしまうことを抑制できる。
【0025】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴周り部の前記下部領域において、前記忌避剤が設けられている領域は、左側の前記接合部と前記前後方向に重なる位置から、右側の前記接合部と前記前後方向に重なる位置まで、前記左右方向に連続して設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0026】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、接合部に忌避剤が設けられるため、パンツ型吸収性物品の脚周り開口の頂点部分、すなわち最も脚が長く露出している部位に忌避剤が位置し、着用者の脚周りの虫よけ効果を高めることができる。
【0027】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記忌避剤が設けられている領域の左側端は、左側の前記接合部の右側端よりも右側に位置し、前記忌避剤が設けられている領域の右側端は、右側の前記接合部の左側端よりも左側に位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0028】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用時に突出しやすい接合部に忌避剤が設けられないため、着用者の衣服への忌避剤の付着を抑制できる。
【0029】
かかるパンツ型吸収性物品であって、吸収性本体と、前記吸収性本体よりも非肌側に配された外装部材と、を有し、前記外装部材は、前記一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部から下側に延出した延出部を有し、前記延出部にも、前記忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0030】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の脚に近いパンツ型吸収性物品の部位にさらに忌避剤が設けられるため、着用者の脚の虫刺されを効果的に予防できる。
【0031】
かかるパンツ型吸収性物品であって、前記胴周り部の前記下部領域において、前記忌避剤が設けられている領域は、当該胴周り部の下端よりも上側に離間して位置していることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0032】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の脚の動きによって胴周り部の下端部がめくれた場合にも、そのめくれた部位で、忌避剤が設けられている領域が覆われ難い。よって、忌避剤が外部に放出されやすく、虫よけ効果が生じる。
【0033】
かかるパンツ型吸収性物品であって、各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、前記忌避剤が設けられている前記胴周り部では、前記下部領域における前記伸縮領域の方が、前記上部領域における前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0034】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材による皺が生じやすい領域に忌避剤が設けられるため、未使用状態(非伸張状態)において忌避剤が皺に覆われやすく、忌避剤の放出を抑制できる。よって、より多くの忌避剤が着用時までパンツ型吸収性物品に保持されやすい。
【0035】
かかるパンツ型吸収性物品であって、各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、前記一対の胴周り部のうちの一方の胴周り部の前記伸縮領域の方が、他方の胴周り部の前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高く、前記一方の胴周り部における前記忌避剤の坪量の方が、前記他方の胴周り部における前記忌避剤の坪量よりも高いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0036】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材による皺が生じやすい領域に、より多くの忌避剤が設けられるため、未使用状態(非伸張状態)において忌避剤が皺に覆われやすく、忌避剤の放出を抑制できる。よって、より多くの忌避剤が着用時までパンツ型吸収性物品に保持されやすい。
【0037】
かかるパンツ型吸収性物品であって、各前記胴周り部は、前記左右方向に伸縮する弾性部材により伸縮可能な伸縮領域を有し、前記一対の胴周り部のうちの一方の胴周り部の前記伸縮領域の方が、他方の胴周り部の前記伸縮領域に比べて、前記上下方向における単位長さの領域を前記左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高く、前記一方の胴周り部における前記忌避剤の坪量の方が、前記他方の胴周り部における前記忌避剤の坪量よりも低いことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0038】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、弾性部材による皺が生じ難い領域に、より多くの忌避剤が設けられるため、忌避剤が設けられている領域が着用中に外部に露出しやすく、忌避剤が放出されやすいため、虫よけ効果が高まる。
【0039】
また、上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、一対の胴周り部と、股下部とを有し、胴周り開口と、一対の脚周り開口とが形成されているパンツ型吸収性物品であって、前記脚周り開口に沿う周縁部の少なくとも一部に、虫の忌避剤が設けられていることを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【0040】
このようなパンツ型吸収性物品によれば、着用者の脚に近いパンツ型吸収性物品の部位に忌避剤が設けられ、着用者の脚周りに忌避剤を放出することができる。よって、脚を刺されやすいパンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防できる。
【0041】
===実施形態===
本実施形態にかかるパンツ型吸収性物品の一例として、乳幼児用のパンツ型使い捨ておむつを例に挙げて説明する。ただし、本実施形態にかかるパンツ型吸収性物品は、上記に限定されず、大人用のパンツ型使い捨ておむつ、ショーツ型の生理用ナプキン等としても利用可能である。
【0042】
===パンツ型使い捨ておむつ1の基本構成===
図1は、パンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ1」とも称す)の概略斜視図である。
図2は、展開状態かつ伸張状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図である。
図3は、
図2中の線AAでの概略断面図である。
【0043】
おむつ1の展開状態とは、パンツ型おむつ1の両側部に設けられている一対の接合部2をそれぞれ分離し、おむつ1を開いて平面的に展開した状態である。おむつ1の伸張状態とは、おむつ1の皺が視認できなくなる程度まで、おむつ1が備える弾性部材を伸張させた状態を示す。具体的には、おむつ1を構成する各部材の寸法が、その部材単体の寸法(すなわち弾性部材の伸縮性が発現しない状態での寸法)と一致又はそれに近い寸法になるまで伸張させた状態を示す。
【0044】
図1に示すように、パンツ型おむつ1は、上下方向、左右方向、及び、前後方向を備え、おむつ1には胴周り開口BH及び一対の脚周り開口LHが形成されている。前後方向において、着用者の腹側となる側を前側とし、着用者の背側となる側を後側とする。また、おむつ1は、
図3に示すように厚さ方向を有し、厚さ方向において着用者に接触する側を肌側とし、その逆側を非肌側とする。
【0045】
おむつ1は、吸収性本体10と、吸収性本体10よりも非肌側に配された外装部材20,30を有する。本実施形態のおむつ1は、所謂3ピースタイプであり、外装部材は前側外装部材20と後側外装部材30を有し、前側外装部材20と後側外装部材30よりも下側の吸収性本体10の部位では、その非肌側面が外部に露出している。
【0046】
図2に示すように、吸収性本体10の長手方向前側の端部の非肌側面が、前側外装部材20の肌側面に接着剤等により接合されており、吸収性本体10の長手方向後側の端部の非肌側面が、後側外装部材30の肌側面に接着剤等により接合されている。
図2の展開状態のおむつ1から、前側外装部材20と後側外装部材30が対向するように吸収性本体10を二つ折りして、前側外装部材20の左右方向の両側部と後側外装部材30の左右方向の両側部とを溶着(例えば熱溶着や超音波溶着)等により接合して一対の接合部2を形成することにより、おむつ1はパンツ型となる。
【0047】
本実施形態では、おむつ1において、接合部2が位置する上下方向の範囲の領域(すなわち接合部2の上端2aの位置から下端2bの位置までの領域)を「一対の胴周り部1F,1B」と称し、一対の胴周り部1F,1Bよりも下側の領域を「股下部1C」と称す。また、前後方向の前側の胴周り部(
図2の点abcdで囲まれた領域)を「前側胴周り部1F」と称し、後側の胴周り部(
図2の点efghで囲まれた領域)を「後側胴周り部1B」と称す
【0048】
また、前側胴周り部1Fは、伸張状態において前側胴周り部1Fを上下方向に2分割し
たときの、上部領域1FU(点aicjで囲われた領域)と、下部領域1FL(点ibjdで囲われた領域)とを有する。同様に、後側胴周り部1Bは、伸張状態において後側胴周り部1Bを上下方向に2分割したときの、上部領域1BU(点kflhで囲われた領域)と、下部領域1BL(点ekglで囲われた領域)とを有する。
【0049】
吸収性本体10は、液透過性のトップシート11と、排泄物を吸収する吸収性コア12と、液不透過性のバックシート13と、外装シート14を備え、それぞれ接着剤等によって接着されている。吸収性コア12としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマーを含有させたものを所定の形状に成形したものを例示できる。吸収性コア12は、液透過性のティッシュペーパーや不織布等のコアラップシートで被覆されていてもよい。その他、吸収性コア12として、親水性のシートにSAP層を付着させたSAPシートや、液体吸収性繊維をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシート等を例示できる。
【0050】
また、吸収性本体10は、左右方向の両側部において、長手方向(上下方向)に伸縮する脚周り弾性部材15(例えば糸ゴム)を有する。これにより、おむつ1は着用者の脚周りにフィットする。
【0051】
また、吸収性本体10は、左右方向の両側部において、肌側に起立可能な防漏壁部16を有する。例えば、外装シート14の左右方向の両側部がトップシート11の肌側面上に位置するように左右方向の内側に折り返されて、その折り返された部位に長手方向に伸縮する防漏壁弾性部材161(例えば糸ゴム)が設けられることにより、防漏壁部16が形成される。
【0052】
前側外装部材20及び後側外装部材30は、
図3に示すように、それぞれ柔軟な不織布等からなる肌側シート21、31と非肌側シート22、32と、左右方向に伸縮する複数の胴周り弾性部材23、33(例えば糸ゴム)を有する。複数の胴周り弾性部材23、33は、胴周り部1F,1Bにおいて、上下方向に間隔を空けて並んで配されるとともに、左右方向に伸張した状態でシートに固定されている。したがって、前側外装部材20及び後側外装部材30は左右方向に伸縮可能であり、着用者の胴周りにフィットする。
【0053】
また、前側外装部材20は、肌側シート21と非肌側シート22の間に、印刷が施されたプリントシート24(例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルム)を有する。図示しないが、後側外装部材30も、肌側シート31と非肌側シート32の間に、プリントシートを備えていてもよい。
【0054】
また、
図2に示すように前側外装部材20は矩形形状を成す。一方、後側外装部材30は矩形形状である後側胴周り部1Bから下側に延出した延出部34を有する。延出部34は、下側に向かって左右方向の長さが短くなった略台形形状を成す。
【0055】
以上、おむつ1の基本構成を説明したが、おむつ1の構成は上記に限定されるものではない。例えば、おむつ1が2ピースタイプのおむつであってもよく、前側外装部材20と後側外装部材30が連続した1つの部材で形成されていたり(後述の
図8参照)、前側外装部材20と後側外装部材30を繋ぐ股下部の外装部材が設けられていたりしてもよい。また、胴周り弾性部材23,33や脚周り弾性部材15は、糸ゴムではなく、シート状の弾性部材(伸縮性フィルムや伸縮性不織布)であってもよい。
【0056】
===第1実施形態:忌避剤配置領域41===
図4及び
図5は、忌避剤配置領域41の説明図であり、伸張状態の前側胴周り部1Fを示す図である。
【0057】
おむつ1には「虫の忌避剤40」が設けられている。虫の忌避剤40とは、蚊、蚋、ユスリカ、ハエ類等の害虫に対する忌避剤(虫よけ剤)であり、虫よけ効果のある成分を含む合成化合物や天然植物抽出物である。例えば、シトロネラール、1,8-シネオール、リナリルアセテート、ディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)、セスキテルペン、エチルブチルアセチルアミノプロピオン酸エチル、ピカリジン、ピレスロイド、シナモン、ローズマリー、ラベンダー、ペパーミント、ユーカリ、シトロネラ、レモンユーカリ、ツルシ等を用いることができる。忌避剤40は、対象とする害虫や着用対象者に応じて選択可能である。本実施形態では、レモングラスから抽出した単離香料を採用した。これにより虫よけ効果のある成分(シトロネラール)がおむつ1に付与される。
【0058】
なお、忌避剤40は、アレルゲンフリーの物質であることが好ましい。例えば、EU(欧州連合)の化粧品指令(76/768/EEC)において、アレルゲン物質としてラベル表示の義務付けが成されている26種類の物質が実質的に含まれていない(忌避剤40における比率が1%以下である)ことが好ましい。また、忌避剤40は、おむつ1に使用されるホットメルト接着剤の接着性能を阻害するものでないことが好ましい。
【0059】
本実施形態の忌避剤40はマイクロカプセル(膜材)に収容されている。マイクロカプセルは、直径1~1000μmの大きさを有し、芯材(忌避剤40)を内包する空間を有するカプセルである。マイクロカプセルの素材としては、ウレタン樹脂、ゼラチン、ゼラチン・アラビアゴム、メラミン樹脂、尿素、ホルマリン樹脂、糖類等が挙げられる。本実施形態では物理的な衝撃により崩壊するウレタン樹脂によるマイクロカプセルを採用した。ただし、マイクロカプセルは、物理的な刺激(例えば、圧力、衝撃、熱、振動、光等)若しくは化学的な刺激(例えば、液体との接触)によって膜材が崩壊し、内包していた忌避剤40が放出されるものであれば、特に制限されない。
【0060】
忌避剤40がマイクロカプセルに収容されていることで、おむつ1の着用時まで多くの忌避剤40がおむつ1に保持される。そして、おむつ1の着用時に、着用者の動きでおむつ1が擦れたり、忌避剤40が設けられている領域を使用者が擦ったり掴んだりして、物理的な刺激が生じることでマイクロカプセルが壊れ、おむつ1の外部に忌避剤40が放出される。ただし、忌避剤40はマイクロカプセルに収容されていなくてもよい。
【0061】
おむつ1に忌避剤40を設ける方法としては、忌避剤40を内包するマイクロカプセルが分散した液体をおむつ1に塗工する方法が挙げられる。マイクロカプセルを分散させる液体(分散媒)は、マイクロカプセルを溶解、膨潤させず、忌避剤40の機能を保持するものが好ましい。塗工方法は、噴霧法やローラーコート法、刷毛塗り法等の各種公知の方法が挙げられる。また、おむつ1に忌避剤40を設ける他の方法としては、例えば、おむつ1を構成する資材を忌避剤40の分散液(溶液)に浸漬したり、おむつ1を構成する資材の繊維に忌避剤40を練り込んだり、おむつ1を構成する資材の繊維に粒子状の忌避剤40を混在させたりする方法が挙げられる。
【0062】
前述したように、おむつ1は、一対の胴周り部1F,1Bそれぞれの左右方向の両側部が一対の接合部2にて接合されているパンツ型おむつである。本出願人は、鋭意研究の結果、パンツ型おむつの主な着用対象者(ハイハイや歩行等の動きが活発になった高月齢の乳幼児)は、顔よりも脚(特に腿や脛)の方が虫に刺されやすいことが分かった。
【0063】
そこで、おむつ1では、一対の胴周り部1F,1Bのうちの少なくとも一方の胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLに、虫の忌避剤40が設けられている。第1実施形態のおむつ1では、
図4,
図5に示すように、前側胴周り部1Fの下部領域1FLに忌避剤40が設けられている。つまり、前側胴周り部1Fの下部領域1FLに位置する前側外
装部材20の部位や吸収性本体10の部位に忌避剤40が設けられている。
【0064】
そうすることで、例えば胴周り部1F,1Bの上部領域1FU,1BUにのみ忌避剤40が設けられる場合に比べて、着用者の脚に近いおむつ1の部位に忌避剤40が設けられる。よって、着用者の脚周りに忌避剤40が放出され、着用者の脚の虫刺されを予防できる。つまり、脚を刺されやすいパンツ型おむつ1の着用者の虫刺されを効果的に予防できる。また、虫に刺されやすい暑い気候の時には乳幼児は半ズボンを着用することが多い。そのため、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLに忌避剤40を設けることで、忌避剤40が衣服の脚の開口部から外部に放出されやすく、虫よけ効果を高めることができる。また、乳幼児はロンパース等の上下が繋がった衣服を着用することがある。この場合も、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLに忌避剤40を設けることで、忌避剤40が衣服の内部に留まり難く、衣服の脚の開口部から外部に放出されやすくなる。
【0065】
具体的には、
図3に示すように、前側胴周り部1Fの下部領域1FLに位置する前側外装部材20の部位である、非肌側シート22の非肌側面に忌避剤40が設けられている(塗工されている)。このように、おむつ1のより非肌側の部位に忌避剤40が設けられていることで、おむつ1の外部に忌避剤40が放出されやすく、虫よけ効果を高めることができる。
【0066】
ただし、上記に限定されず、前側胴周り部1Fの下部領域1FLに位置する他の部位に忌避剤40が設けられていてもよい。例えば、前側外装部材20が有する非肌側シート22の肌側面や、肌側シート21や、プリントシート24に、忌避剤40が設けられていてもよい。また、吸収性本体10が有する吸収性コア12や、バックシート13や、外装シート14に、忌避剤40が設けられていてもよい。また、忌避剤40が設けられている資材は1つに限らず複数であってもよい。
【0067】
また、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLに忌避剤40の少なくとも一部が設けられていればよく、上部領域1FU,1BUにも忌避剤40が設けられていてもよい。ただし、忌避剤40が設けられている胴周り部(ここでは前側胴周り部1F)において、上部領域(1FU)における忌避剤40の坪量(g/m2)よりも、下部領域(1FL)における忌避剤40の坪量(g/m2)の方が高いことが好ましい。つまり、上部領域(1FU)に設けられている忌避剤40の総重量(g)を、伸張状態の上部領域(1FU)の面積(m2)で除した値の方が、下部領域(1FL)に設けられている忌避剤40の総重量(g)を、伸張状態の下部領域(1FL)の面積(m2)で除した値よりも大きいことが好ましい。
【0068】
そうすることで、着用者の脚に近いおむつ1の部位に、より多くの忌避剤40が設けられるため、着用者の脚周りに忌避剤40が放出されやすくなる。よって、脚を刺されやすいパンツ型おむつ1の着用者の虫刺されをより効果的に予防できる。
【0069】
なお、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLに忌避剤40が設けられていることの確認は周知の方法で行うことができる。まず、おむつ1から測定対象の胴周り部1F,1B(吸収性本体10+外装部材20,30)を切り出し、切り出した胴周り部1F,1Bをさらに上下に2分割して、下部領域1FL,1BLのサンプルを形成する。そのサンプルを、例えばガスクロマトグラフィー装置(Agilent社製の7890B又はそれと同等の装置)を用いて成分解析することで、下部領域1FL,1BLのサンプルが虫よけ効果のある成分(忌避剤40)を含むか否かを確認できる。その他、忌避剤40がマイクロカプセルに収容されている場合には、下部領域1FL,1BLのサンプルを電子顕微鏡で観察することで、マイクロカプセル(忌避剤40)の有無を確認できる。
【0070】
また、上部領域1FU,1BUにおける忌避剤40の坪量(g/m2)と、下部領域1FL,1BUにおける忌避剤40の坪量(g/m2)の比較も、上記ガスクロマトグラフィー装置を用いて行うことができる。
(1)まず、おむつ1から測定対象の胴周り部1F,1B(吸収性本体10+外装部材20,30)を切り出し、下部領域1FL,1BLと上部領域1FU,1BUに分離する。分離した下部領域1FL,1BLと上部領域1FU,1BUを、さらに所定のサイズ(例えば上下方向×左右方向=20mm×40mm等)の細かいサンプルにカットする。
(2)次に、細かくカットしたサンプルを水に浸漬する等してマイクロカプセルを溶かして、サンプルから、忌避剤40(虫よけ効果のある成分)と、その他の成分(溶媒等)の混合物を抽出する。
(3)サンプル毎に抽出した混合物を、ガスクロマトグラフィー装置を用いて成分解析する。そして、サンプル毎に、忌避剤40(虫よけ効果のある成分)のピーク値と、その他の成分(溶媒等)のピーク値とを取得し、その他の成分のピーク値に対する忌避剤のピーク値の割合(忌避剤のピーク値/その他の成分のピーク値)を算出する。その割合が、サンプルに設けられていた忌避剤40の量に相当するものとする。
(4)最後に、上部領域1FU,1BUを構成する複数のサンプルの忌避剤の割合(忌避剤のピーク値/その他の成分のピーク値≒忌避剤40の量)の平均値を算出して、上部領域1FU,1BUにおける忌避剤40の坪量に相当するものとする。また、下部領域1FL,1BLを構成する複数のサンプルの忌避剤の割合(忌避剤のピーク値/その他の成分のピーク値≒忌避剤40の量)の平均値を算出して、下部領域1FL,1BLにおける忌避剤40の坪量に相当するものとして、比較する。
また、後述する前側胴周り部1Fにおける忌避剤40の坪量と、後側胴周り部1Bにおける忌避剤40の坪量の比較も同様に行うことができる。
【0071】
ここで、おむつ1において、忌避剤40が設けられている領域を「忌避剤配置領域41」とも称す。おむつ1における忌避剤配置領域41の特定も上記と同様の方法にて行うことができる。つまり、おむつ1を細かいサンプルにカットして、サンプル毎にガスクロマトグラフィー装置を用いて成分解析し、忌避剤40を有するか否かを確認することによって、忌避剤配置領域41を特定するとよい。また、細かくカットしたサンプルを電子顕微鏡で観察してマイクロカプセル(忌避剤40)の有無を確認し、忌避剤配置領域41を特定してもよい。
【0072】
第1実施形態のおむつ1では、
図5に示すように、おむつ1の上下方向よりも左右方向に長く、前側胴周り部1Fの左端から右端まで左右方向に連続して延びた忌避剤配置領域41が、上下方向に間隔を空けて3つ並んで設けられている。
【0073】
そのため、おむつ1では、忌避剤40が設けられている胴周り部1F,1B(ここでは前側胴周り部1F)のうち吸収性コア12が位置する領域に、忌避剤40の少なくとも一部が設けられている。つまり、おむつ1の展開状態において、吸収性コア12と忌避剤配置領域41の互いの少なくとも一部が、おむつ1の厚さ方向に重なっている。
【0074】
この場合、吸収性コア12と重なる位置に設けられた忌避剤40(特に吸収性コア12よりも非肌側に設けられた忌避剤40)は、密度が高く厚みのある吸収性コア12を通過し難い。よって、忌避剤40は、肌側に放出されるよりも、おむつ1の外部に放出されやすくなる。よって、おむつ1の虫よけ効果が高まる。
【0075】
また、前側外装部材20及び後側外装部材30は、胴周り部1F,1Bにおいて胴周り弾性部材23,33を有する。そして、各胴周り部1F,1Bは、吸収性本体10が位置する領域に、胴周り弾性部材23,33が伸縮不能な非伸縮領域NSを有する。そうすることで、吸収性本体10(吸収性コア12)が胴周り弾性部材23,33により収縮し、
おむつ1と着用者の間に隙間が生じてしまうことを防止できる。なお、図面では、胴周り弾性部材23,33のうち伸縮性が発現する部位のみを示しているが、非伸縮領域NSに伸縮性を発現しない胴周り弾性部材23,33の部位が存在していてもよい。
【0076】
そして、忌避剤40が設けられている胴周り部1F,1B(ここでは前側胴周り部1F)の非伸縮領域NSに、忌避剤40の少なくとも一部が設けられていることが好ましい。そうすることで、胴周り弾性部材23,33によって胴周り部20,30に生じる皺で忌避剤40が覆われてしまうことを抑制でき、忌避剤40がおむつ1の外部に放出されやすくなる。よって、おむつ1の虫よけ効果が高まる。ただし、これに限定されず、非伸縮領域NSに忌避剤40が設けられていなくてもよい。
【0077】
また、忌避剤40が複数のマイクロカプセルに内包されている場合、
図1,
図4に示すように、忌避剤40が設けられている胴周り部1F,1B(ここでは前側胴周り部1F)は、忌避剤40が設けられている領域を示す目印部50を有するとよい。そうすることで、忌避剤40が設けられている領域が使用者に簡単にかつ正しく認識されやすい。
【0078】
本実施形態の目印部50は、周囲の色(例えば白色)と異なる色(例えば緑色や黄色等)で印刷が施されることによって形成されている。具体的には、プリントシート24に印刷された目印部50が非肌側シート22を介して、おむつ1の外部から視認可能となっている。また、
図4に示す目印部50は、おむつ1が虫(蚊)よけ効果を有することを示す文字「AntiMos」と、マイクロカプセルを破壊するための動作を示す文字「Rub
here」を有する。よって、目印部50を視認した使用者は、おむつ1の着用時や着用中の所望のタイミングにてマイクロカプセルを壊し、より多く忌避剤40を放出させることができる。
【0079】
ただし、目印部50は
図4に例示するものに限定されず、例えば図柄や無地の着色領域等であってもよい。また、目印部50を印刷する資材はプリントシート24に限定されず、おむつ1を構成する他の資材(不織布等)に印刷を行ってもよい。また、おむつ1を厚さ方向に圧搾した圧搾部(凹凸)によって目印部50を形成してもよいし、胴周り弾性部材23,33を着色したり、マイクロカプセル(忌避剤40自体)を着色したりして、周囲とは異なる色の目印部50を形成してもよい。
【0080】
そして、前後方向における同じ側において、胴周り部1F,1Bの非伸縮領域NSと目印部50とが前後方向に重なり、かつ、その重なる領域に、忌避剤40の少なくとも一部が設けられていることが好ましい。つまり、おむつ1の展開状態において、非伸縮領域NSと目印部50と忌避剤配置領域41の、互いの少なくとも一部が、おむつ1の厚さ方向に重なっているとよい。
【0081】
そうすることで、胴周り弾性部材23,33による皺が少ない非伸縮領域NSに目印部50が位置するため、目印部50の視認性が高まる。また、吸収性本体10(非伸縮領域NS)と忌避剤配置領域41が重なるため、剛性の高い吸収性コア12が台座となり、使用者が忌避剤配置領域41を擦りやすくなる。そのため、効率的にマイクロカプセルが割れ、忌避剤40がおむつ1の外部に放出されやすくなる。ただし、これに限定されず、非伸縮領域NSに目印部50や忌避剤40が設けられていなくてもよい。
【0082】
また、
図5に示すように、忌避剤配置領域41は、前側胴周り部1Fにおいて、おむつ1の上下方向に間隔を空けて複数並んで設けられている。この場合、おむつ1の一部分に忌避剤40が集中して設けられないため、おむつ1に設ける忌避剤40の量を抑えつつ、おむつ1の上下方向の広い範囲に忌避剤40を設けることができる。よって、おむつ1の上下方向の広い範囲において虫よけ効果が生じる。ただし、これに限らず、忌避剤配置領
域41が上下方向に間隔を空けずに設けられていてもよい。
【0083】
本実施形態では、1つの忌避剤配置領域41の幅(上下方向の長さ)を5mm程度とし、忌避剤配置領域41の上下方向の間隔を2.5mmとした。したがって、上下方向の長さが20mm程度である領域に忌避剤40が設けられている。つまり、ユーザーの指先の長さ程の領域に、忌避剤40が設けられているため、ユーザーは指の腹で忌避剤配置領域41を擦りやすくなっている。
【0084】
また、間隔を空けて複数の忌避剤配置領域41を配置することで、使用者が擦る領域の広さに応じて、マイクロカプセルが壊れる数、すなわち忌避剤40の放出量を調整しやすくなる。本実施形態の目印部50(
図1)は忌避剤配置領域41の間の領域も忌避剤配置領域41と同様に着色されている。しかし、目印部50も、忌避剤配置領域41に合わせて、上下方向に間隔を空けた着色領域を有するようにしてもよい。そうすることで、使用者は、虫除け効果を高めたい場合には3本の着色領域(忌避剤配置領域41)を擦ることができ、適度な虫除け効果を得たい場合には1本の着色領域(忌避剤配置領域41)を擦ることができ、忌避剤40の放出量の調整を行いやすくなる。
【0085】
また、第1実施形態の忌避剤配置領域41は、前側胴周り部1Fの下部領域1FLにおいて、左側の接合部2と前後方向(厚さ方向)に重なる位置から、右側の接合部2と前後方向に重なる位置まで、左右方向に連続して設けられている。そのため、一対の脚周り開口LHのそれぞれに近いおむつ1の部位に忌避剤40が設けられ、着用者の両脚付近に忌避剤40が放出されやすくなる。また、忌避剤配置領域41が吸収性本体10や吸収性コア12と重なることができる。また、一対の接合部2に忌避剤40が設けられていることで、おむつ1の脚周り開口LHの頂点部、すなわち最も脚が長く露出している部位の近くに忌避剤40が設けられるため、着用者の脚の虫刺されをより効果的に予防できる。
【0086】
また、おむつ1の製造工程において、前側胴周り部1Fに忌避剤40が塗工された後に、一対の接合部2を形成することができる。この場合、溶着等で接合部2を形成する際に、接合部2の形成箇所に位置していたマイクロカプセルを破壊できる。よって、おむつ1に設けられたマイクロカプセルの一部を破壊した状態で、おむつ1をパッケージ(包装用の袋体)に封入できる。よって、パッケージ内に忌避剤40が充満し、おむつ1全体に忌避剤40の効果が付与されやすくなる。また、パッケージを開封した使用者が忌避剤40を感じることができ、おむつ1に虫よけ効果があることを認識できる。なお、接合部2に位置するマイクロカプセルが製造工程にて破壊されたことについては、パッケージから取り出した直後のおむつ1を電子顕微鏡で確認するとよい。つまり、接合部2に位置する破壊されたマイクロカプセルの数が、接合部2以外の部位に位置する破壊されたマイクロカプセルの数よりも多いことで確認できる。
【0087】
また、第1実施形態のおむつ1では、前側胴周り部1Fに忌避剤40が設けられ、後側胴周り部1Bに忌避剤40が設けられていない。また、乳幼児用のおむつ1は折り畳まれずにパッケージに封入されることが多い。そのため、あるおむつ1の前側胴周り部1Fと、別のおむつ1の後側胴周り部1Bが当接するように、複数のおむつ1をその厚さ方向に並べてパッケージに封入するとよい。そうすることで、あるおむつ1の前側胴周り部1Fに設けられている忌避剤40の効果が別のおむつ1の後側胴周り部1Bに付与されやすくなる。よって、おむつ1の後側胴周り部1Bにおいても虫よけ効果が生じやすくなる。
【0088】
また、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLにおいて、忌避剤40が設けられている領域は、当該胴周り部1F,1B(ここでは前側胴周り部1F)の下端(1Fa)よりも上側に離間して位置していることが好ましい。そうすることで、おむつ1の着用時に着用者の脚の動きによって胴周り部1F,1Bの下端部がめくれた場合にも、そのめく
れた部位で忌避剤配置領域41が覆われ難い。よって、より確実に、忌避剤40が外部に放出されやすく、虫よけ効果が生じる。ただし、これに限らず、胴周り部1F,1Bの下端まで忌避剤40が設けられていてもよい。
【0089】
また、胴周り部1F,1Bは、胴周り弾性部材23,33により伸縮可能な伸縮領域(非伸縮領域NSを除く領域)を有する。忌避剤40が設けられている胴周り部1F,1B(ここでは前側胴周り部1F)では、下部領域1FL,1BLにおける伸縮領域の方が、上部領域1FU,1BUにおける伸縮領域に比べて、上下方向における単位長さの領域を左右方向に所定の長さを伸張させるための力が高いとよい。
【0090】
つまり、忌避剤40が設けられる下部領域1FL,1BLの伸張応力が高く、胴周り弾性部材23,33によって下部領域1FL,1BLに皺が生じやすいとよい。そうすることで、胴周り弾性部材23,33が伸張していない自然状態、つまり、おむつ1の未使用状態において、胴周り部1F,1Bに生じる皺に忌避剤配置領域41が覆われやすくなる。そのため、おむつ1の使用前に忌避剤40が放出され難く、おむつ1の着用時まで忌避剤40がおむつ1に保持されやすくなる。
【0091】
しかし、上記とは逆に、下部領域1FL,1BLにおける伸縮領域の方が、上部領域1FU,1BUにおける伸縮領域に比べて、上下方向における単位長さの領域を左右方向に所定の長さを伸張させるための力(伸張応力)が低くてもよい。つまり、忌避剤40が設けられる下部領域1FL,1BLに皺が生じ難くなるようにしてもよい。そうすることで、おむつ1の着用中に忌避剤配置領域41が皺で覆われ難く外部に露出するため、忌避剤40が外部に放出されやすくなる。
【0092】
また、一対の胴周り部1F,1Bのうちの一方の胴周り部の伸縮領域の方が、他方の胴周り部の伸縮領域に比べて、上下方向における単位長さの領域を左右方向に所定の長さを伸張させるための力(伸張応力)が高いとする。その場合、一方の胴周り部(ここでは前側胴周り部1F)における忌避剤40の坪量を、他方の胴周り部(ここでは後側胴周り部1B)における忌避剤40の坪量よりも高くするとよい。
【0093】
つまり、伸張応力が高い方の胴周り部に、より多くの忌避剤40を配置するとよい。そうすることで、おむつ1の使用前の状態において、より多くの忌避剤40が設けられた領域が皺で覆われやすく、忌避剤40が放出され難い。よって、おむつ1の着用時まで、より多くの忌避剤40がおむつ1に保持されやすくなる。
【0094】
しかし、上記とは逆に、一対の胴周り部1F,1Bのうち伸張応力が高い一方の胴周り部(ここでは後側胴周り部1B)における忌避剤40の坪量を、他方の胴周り部(ここでは前側胴周り部1F)における忌避剤40の坪量よりも低くしてもよい。そうすることで、おむつ1の着用中に、より多くの忌避剤40が設けられた領域が皺で覆われ難く、外部に露出するため、より多くの忌避剤40が放出されやすくなる。
【0095】
なお、胴周り部1F,1Bの伸張応力を調整するには、胴周り弾性部材23,33の数や、糸状の胴周り弾性部材23,33の太さや、胴周り弾性部材23,33をシートに固定する際の伸張倍率を調整するとよい。
【0096】
また、上部領域1FU,1BUの伸張応力と、下部領域1FL,1BLの伸張応力の比較は、引張試験機を用いた以下の方法にて行うことができる。
(1)まず、コールドスプレー等を用いて、吸収性本体10と外装部材20,30を分離して、外装部材20,30から測定対象の胴周り部1F,1Bを取り出す。取り出した胴周り部1F,1B(外装部材20,30)を上下に2分割して、上部領域1FU,1BU
のサンプルと、下部領域1FL,1BLのサンプルを作製する。
なお、胴周り部1F,1Bが非伸縮領域NSを有する場合、サンプルから非伸縮領域NSを除き、サンプルが矩形状になるように複数に分離する。例えば、
図5の場合、上部領域1FUのサンプルは、非伸縮領域NSよりも上側の領域と、非伸縮領域NSの左側の領域と右側の領域の、3つのサンプルに分離する。また、下部領域1BUのサンプルは、非伸縮領域NSの左側の領域と右側の領域の、2つのサンプルに分離する。
(2)次に、サンプル毎に、おむつ1の左右方向に対応するサンプルの両端部を引張試験機のチャックに把持させる。チャック間距離は、サンプルが弛まず且つ伸張していない状態となるように調整する。そして、引張試験機にてチャック間距離を所定の速度で広げて、サンプルを左右方向に所定の長さを伸張させたときの荷重を取得する。
(3)次に、各サンプルの上下方向の長さを測定する。そして、(2)で取得した荷重(N)を、上下方向の単位幅(mm)あたりの値(N/mm)に換算し、上部領域1FU,1BUの伸張応力、及び、下部領域1FL,1BLの伸張応力とする。
なお、非伸縮領域NSを除くために、上部領域1FU,1BUのサンプルや下部領域1FL,1BLのサンプルを分離した場合、分離したサンプル毎の伸張応力(N/mm)を算出し、その平均値を、上部領域1FU,1BUの伸張応力、及び、下部領域1FL,1BLの伸張応力とする。
【0097】
また、前側胴周り部1Fの伸張応力と、後側胴周り部1Bの伸張応力の比較も、引張試験機を用いた上記の方法にて行うことができる。おむつ1から取り出した胴周り部1F,1B(外装部材20,30)を上下に2分割しないでサンプルを作製するとよい。
【0098】
===第1実施形態の変形例===
図6A及び
図6Bは、第1実施形態の変形例の忌避剤配置領域41の説明図である。例えば、
図6Aに示すように、前側胴周り部1Fの下部領域1FLと、後側胴周り部1Bの下部領域1BLの両方に、忌避剤40が設けられていてもよいし、前側と後側とで、忌避剤40が設けられている領域(塗工パターン)が異なっていてもよい。また、
図6Bに示すように、後側胴周り部1Bの下部領域1BLに忌避剤40が設けられており、前側胴周り部1Fの下部領域1FLや前側胴周り部1F全体に忌避剤40が設けられていなくてもよい。また、図示しないが、一対の胴周り部1B,1Fのうちの少なくとも一方の下部領域1FL,1BLに忌避剤40が設けられていれば、他方の胴周り部では上部領域1FU,1BUに忌避剤40が設けられていてもよい。また、図示しないが、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLの忌避剤配置領域41が、上部領域1FU,1BUや下方の延出部34まで上下方向に連続して延びていてもよい。
【0099】
また、
図4,
図5で例示したおむつ1では忌避剤配置領域41が左右方向に連続して設けられていたが、忌避剤配置領域41のパターン(塗工パターン)は、これに限らない。例えば、
図6Aに示すように、忌避剤40が設けられている領域が左右方向に間隔を空けて複数並んで設けられていてもよい。この場合、おむつ1に設ける忌避剤40の量を抑えつつ、おむつ1の左右方向の広い範囲に忌避剤40を設けることができる。よって、おむつ1の左右方向の広い範囲において虫よけ効果が生じる。
【0100】
また、
図6Aの前側に示すように忌避剤配置領域41が左右方向に離れている場合には、忌避剤40の放出箇所の調整を行いやすくなる。例えば、着用者の左右の脚の一方の脚の虫よけ効果を高めたい場合に、使用者は一方の脚に近い忌避剤配置領域41を擦ることができる。また、
図6Aの後側に示すように、複数の忌避剤配置領域41が左右方向に狭い間隔で並んでいる場合には、使用者が擦る領域の広さ(忌避剤配置領域41の数)を調整しやすくなり、忌避剤40の放出量の調整を行いやすくなる。
【0101】
また、
図6Aに示すように、忌避剤40が設けられている胴周り部1F,1Bのうち吸
収性コア12が位置しない領域に、忌避剤40が設けられるようにしてもよい。つまり、おむつ1の展開状態において、吸収性コア12と忌避剤配置領域41がおむつ1の厚さ方向に重ならないようにしてもよい。そうすることで、吸収性コア12が吸収した排泄物の臭いが忌避剤40と混ざり、忌避剤40の効果が軽減したり、不快な臭いが生じたりしてしまうことを抑制できる。
【0102】
また、
図6Aに示すように、忌避剤40が設けられている領域の左側端40aは、左側の接合部2の右側端2aよりも右側(内側)に位置し、忌避剤40が設けられている領域の右側端40bは、右側の接合部2の左側端2bよりも左側(内側)に位置するようにしてもよい。つまり、接合部2に忌避剤40が設けられないようにしてもよい。そうすることで、接合部2は剛性が高く、おむつ1の着用中に突出しやすいため、接合部2に設けられた忌避剤40が着用者の衣服と強く接触して衣服に忌避剤40が付着してしまうことを防止できる。
【0103】
また、
図6Bに示すように、後側外装部材30が後側胴周り部1Bから下側に延出した延出部34を有する場合、延出部34にも忌避剤40が設けられていてもよい。そうすることで、着用者の脚に近いおむつ1の部位にさらに忌避剤40が設けられるため、着用者の脚の虫刺されを効果的に予防できる。なお、図示しないが、前側外装部材20が前側胴周り部1Fから下側に延出する延出部を有し、その延出部に忌避剤40が設けられていてもよい。
【0104】
===第2実施形態===
図7A、
図7B、及び
図8は、第2実施形態の忌避剤配置領域41の説明図である。第2実施形態のおむつ1では、脚周り開口1Lに沿う周縁部の少なくとも一部に、忌避剤40が設けられる。そうすることで、着用者の脚に近いおむつ1の部位に忌避剤40が設けられる。よって、着用者の脚周りに忌避剤40が放出され、脚を刺されやすいパンツ型おむつ1の着用者の虫刺されを効果的に予防できる。
【0105】
図4,
図5で例示したおむつ1(3ピースタイプであり、延出部が設けられていない前側胴周り部1Fの下部領域1FUに忌避剤40が設けられたもの)も、脚周り開口1Lに沿う周縁部の一部に忌避剤40が設けられている。つまり、第1実施形態のおむつ1の中には第2実施形態のおむつ1に含まれるものもある。
【0106】
さらに、
図7Aに示すように、一対の胴周り部1F,1Bのうちの少なくとも一方の下部領域1FL,1BL(ここでは前側胴周り部1Fの下部領域1FL)と、吸収性本体10の側部に、忌避剤40が設けられたおむつ1であってもよい。つまり、第1実施形態のおむつ1において、吸収性本体10の側部に忌避剤40が設けられたものであってもよい。この場合、脚周り開口1Lに沿う周縁部のより広い範囲に忌避剤40が設けられるため、着用者の脚の虫刺されをより効果的に予防できる。
【0107】
また、
図7Bに示すように、胴周り部1F,1Bの下部領域1FL,1BLには忌避剤40が設けられずに、吸収性本体10の側部に忌避剤40が設けられていてもよい。この場合にも、脚周り開口1Lに沿う周縁部の一部に忌避剤40が設けられる。
【0108】
また、
図8に示すように、前側胴周り部1Fから後側胴周り部1Bまで連続する1つの外装部材で形成された2ピースタイプのおむつ1において、外装部材60の側端部に、忌避剤40が設けられるようにしてもよい。この場合にも、脚周り開口1Lに沿う周縁部の一部に忌避剤40が設けられる。
【0109】
以上、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定
して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
1 おむつ(パンツ型吸収性物品)、2 接合部、
1F 前側胴周り部、1B 後側胴周り部、1C 股下部、
1FL,1BL 下部領域、1FU,1BU 上部領域、
10 吸収性本体、11 トップシート、12 吸収性コア、
13 バックシート、14 外装シート、15 脚周り弾性部材、
16 防漏壁部、161 防漏壁弾性部材、
20 前側外装部材、21 肌側シート、22 非肌側シート、
23 胴周り弾性部材(弾性部材)、24 プリントシート、
30 後側外装部材、31 肌側シート、32 非肌側シート、
33 胴周り弾性部材(弾性部材)、
40 (虫の)忌避剤、41 忌避剤配置領域、
50 目印部、
LH 脚周り開口、BH 胴周り開口
【要約】
【課題】パンツ型吸収性物品の着用者の虫刺されを効果的に予防すること。
【解決手段】一対の胴周り部(1F,1B)と股下部(1C)とを有し、一対の胴周り部(1F,1B)それぞれの左右方向の両側部が一対の接合部(2)にて接合されているパンツ型吸収性物品(1)であって、各胴周り部(1F,1B)は、伸張状態において当該胴周り部(1F,1B)を上下方向に2分割したときの、上部領域(1FU,1BU)と、下部領域(1FL,1BL)とを有し、一対の胴周り部のうちの少なくとも一方の胴周り部の下部領域(1FL,1BL)に、虫の忌避剤(40)が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図5