(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/10 20060101AFI20220628BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20220628BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20220628BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20220628BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20220628BHJP
H01B 1/02 20060101ALI20220628BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20220628BHJP
H05K 1/09 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H05K3/10 B
B22F1/00 L
B22F7/04 D
H01B5/14 Z
H01B13/00 503Z
H01B1/02 A
H01B1/00 E
H05K1/09 A
(21)【出願番号】P 2017243933
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【氏名又は名称】中塚 岳
(72)【発明者】
【氏名】納堂 高明
(72)【発明者】
【氏名】明比 龍史
(72)【発明者】
【氏名】米倉 元気
(72)【発明者】
【氏名】浦島 航介
(72)【発明者】
【氏名】江尻 芳則
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/090158(WO,A1)
【文献】特開2016-145397(JP,A)
【文献】特開平04-259707(JP,A)
【文献】特開2013-175559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10-3/14
B22F 1/00
B22F 7/04
H01B 5/14
H01B 13/00
H01B 1/02
H01B 1/00
H05K 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、変成シリコーン樹脂を含む第1の組成物を配置する工程と、
前記第1の組成物上に、銅含有粒子を含む第2の組成物を配置する工程と、
前記第1の組成物及び前記第2の組成物を熱処理することによって、前記第1の組成物を硬化させると共に、前記第2の組成物を焼結させる工程と、
を備え
、
前記変成シリコーン樹脂は、ポリエーテル構造を有する主鎖と、その側鎖又は末端に、Si原子を含む反応性の官能基を有する、構造体の製造方法。
【請求項2】
前記銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、前記有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む、請求項1に記載の構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第1の組成物が充填材を更に含む、請求項1
又は2に記載の構造体の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理において、100℃~250℃で前記第1の組成物及び前記第2の組成物を加熱する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の構造体の製造方法。
【請求項5】
基材と、変成シリコーン樹脂を含む組成物の硬化物を介して前記基材上に設けられた、銅含有粒子を含む組成物の焼結体と、を備え
、
前記変成シリコーン樹脂は、ポリエーテル構造を有する主鎖と、その側鎖又は末端に、Si原子を含む反応性の官能基を有する、構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導通を確保するための構造体の形成方法として、金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料を用いて基材上に導電材料からなる導電層を形成する工程と、導電層を加熱して金属粒子を焼結させ、導電性を発現させる導体化工程とを含む方法が知られている。導電材料に含まれる金属粒子としては、金属の酸化を抑制して保存性を高めるために表面に被覆材としての有機物を付着させたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-072418号公報
【文献】特開2012-226865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、金属粒子を焼結させてなる焼結体は、基材によっては充分な接着性が得られず、導通が確保できない場合がある。また、近年用いられている基材は、多様化しており、基材と焼結体との接着性の向上が課題となっている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、基材と焼結体との接着性に優れる構造体の製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]~[5]に示す構造体の製造方法及び下記[6]に示す構造体を提供する。
[1] 基材上に、変成シリコーン樹脂を含む第1の組成物を配置する工程と、第1の組成物上に、銅含有粒子を含む第2の組成物を配置する工程と、第1の組成物及び第2の組成物を熱処理することによって、第1の組成物を硬化させると共に、第2の組成物を焼結させる工程と、を備える、構造体の製造方法。
[2] 銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む、[1]に記載の構造体の製造方法。
[3] 変成シリコーン樹脂が、ポリエーテル構造を含む変成シリコーン樹脂である、[1]又は[2]に記載の構造体の製造方法。
[4] 第1の組成物が充填材を更に含む、[1]~[3]のいずれかに記載の構造体の製造方法。
[5] 熱処理において、100℃~250℃で第1の組成物及び第2の組成物を加熱する、[1]~[4]のいずれかに記載の構造体の製造方法。
[6] 基材と、変成シリコーン樹脂を含む組成物の硬化物を介して基材上に設けられた、銅含有粒子を含む組成物の焼結体と、を備える構造体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基材と焼結体との接着性に優れる構造体の製造方法が提供され、また、このような製造方法によって得られる構造体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0010】
本明細書において「工程」とは、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0011】
本明細書において「層」又は「膜」とは、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
【0012】
本明細書において「導体化」とは、金属含有粒子を焼結させて導電性を有する物体に変化させることをいう。「導体」とは、導電性を有する物体をいい、より具体的には体積抵抗率が1000μΩ・cm以下である物体をいう。
【0013】
<構造体の製造方法>
本実施形態の構造体の製造方法は、基材上に、変成シリコーン樹脂を含む第1の組成物を配置する工程(第1の配置工程)と、第1の組成物上に、銅含有粒子を含む第2の組成物を配置する工程(第2の配置工程)と、第1の組成物及び第2の組成物を熱処理することによって、第1の組成物を硬化させると共に、第2の組成物を焼結させる工程(熱処理工程)と、を備える、構造体の製造方法。
【0014】
本実施形態の構造体の製造方法は、上記構成を採用することで、基材との接着性に優れる焼結体を有する構造体を得ることができる。その理由は以下のように推察される。第1の組成物に含まれる変成シリコーン樹脂は、例えば、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル構造を主鎖に持つ重合物の側鎖又は末端に、アルコキシシリル基等の官能基を有するものである。これらが加熱等により架橋して硬化物を形成し、かつ基材と銅含有粒子を含む第2の組成物からの焼結体との接着性に優れるものとなり得る。
【0015】
また、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物と、を有し、有機物が、炭素数が7以下である炭化水素基を有するアルキルアミンを含む銅含有粒子を用いた場合、低温でかつ簡略な工程で銅含有粒子を含む組成物を導体化して、導体(銅の焼結体)を得ることができ、耐熱性が比較的低い基材上にも導体を形成可能になるという更なる効果が奏される。
【0016】
(第1の配置工程)
第1の配置工程では、基材上に、変成シリコーン樹脂を少なくとも1種以上含む第1の組成物を配置する。配置する方法としては、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法、ニードルディスペンス法、カンマコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、電着塗装法等が挙げられる。
【0017】
基材の材質は、特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよく、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、ニッケル、錫、コバルト、鉄、アルミニウム、これらの合金等の金属、酸化インジウム錫、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムガリウム亜鉛、ケイ素、炭化ケイ素、窒化ガリウム等の半導体、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等のガラス、黒鉛、グラファイト等のカーボン材料、樹脂、紙などが挙げられる。
【0018】
後述する第2の組成物に含まれる銅含有粒子が、銅を含むコア粒子とコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物とを有するものである場合、低温で導体化が可能であるため、耐熱性が比較的低い材質からなる基材を用いることができる。このような材質としては、例えば、熱可塑性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。基材の形状は、特に制限されず、板状、棒状、ロール状、フィルム状等であってもよい。
【0019】
基材上に配置された第1の組成物の形状は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。第1の組成物からなる層を形成した場合、層の厚みは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば0.2μm~50μmであってよく、接着性に更に優れる観点から、好ましくは0.5μm~20μmである。
【0020】
第1の組成物は、変成シリコーン樹脂(変成シリコーン重合物)を少なくとも1種以上含む。変成シリコーン樹脂は、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル構造を有する主鎖と、その側鎖又は末端に、アルコキシシリル基等のSi原子を含む反応性の官能基を有する。アルコキシシリル基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等であってよい。変成シリコーン樹脂は、側鎖又は末端に、その他の官能基を更に有していてもよい。その他の官能基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、カルボキシ基、シラノール基、メルカプト基、アルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基等が挙げられる。変成シリコーン樹脂は、側鎖又は末端に、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリジメチルシロキサン等の高分子鎖を更に有していてもよい。
【0021】
第1の組成物は、室温硬化型、湿気硬化型、加熱硬化型、UV硬化型等の組成物である。第1の組成物は、硬化を促進するための添加剤(硬化剤)を更に含んでいてよい。硬化剤としては、有機チタン系化合物、アルミ系化合物、リン酸系化合物、有機スズ系化合物、亜鉛系化合物、マンガン系化合物、コバルト系化合物、イソシアネート系化合物、アミノ系化合物、メラミン系化合物、酸無水物等が挙げられる。
【0022】
第1の組成物における変成シリコーン樹脂の含有量は、基材と第1の組成物との接着力を更に向上させる観点から、第1の組成物全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。第1の組成物における変成シリコーン樹脂の含有量は、第1の組成物を熱処理により硬化させる場合の体積収縮を抑制する観点から、第1の組成物全量基準で、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
【0023】
第1の組成物は、充填材を更に含んでいてもよい。充填材は、第1の組成物が熱処理により硬化する際に硬化物の体積収縮を抑制することができ、その結果、第2の組成物の焼結体における亀裂の発生及びそれに伴う体積抵抗率の上昇を抑制できる。充填材は、好ましくは熱膨張率が小さい無機質充填材である。充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、ドーソナイト、ホウケイ酸ガラス、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素等が挙げられる。
【0024】
第1の組成物に含まれる充填材の含有量は、第1の組成物の硬化物の体積収縮を抑制できる観点から、第1の組成物全量基準で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。第1の組成物に含まれる充填材の含有量は、基材と第1の組成物との接着力を更に向上させる観点から、第1の組成物全量基準で、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
【0025】
第1の組成物には、必要に応じて、変成シリコーン樹脂以外の樹脂、カップリング剤等のその他の成分を更に含んでもよい。樹脂は、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂であってよい。
【0026】
第1の組成物は、基材に配置される前において、例えば溶剤で希釈されていてもよい。溶媒は、好ましくは、変成シリコーン樹脂を溶解させる溶剤である。溶剤は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の鎖状炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサノン等の環状化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物などであってよい。
【0027】
第1の組成物が溶媒で希釈されている場合、第1の配置工程では、基材上に第1の組成物を配置した後に、溶媒を除去するために、基材を加熱してもよい。加熱温度は、第2の組成物の焼結体との接着性を更に向上させる観点から、第1の組成物(変成シリコーン樹脂)が完全に硬化しないような温度であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下であり、また、例えば、20℃以上又は25℃以上であってよい。
【0028】
第1の配置工程では、基材上に第1の組成物を配置する前に、基材表面を洗浄して清浄な状態とすることが好ましい。基材表面を洗浄する方法としては、溶剤又は水を含む洗浄液で洗浄する方法、基材表面に紫外線を照射して洗浄する方法等が挙げられる。
【0029】
第1の組成物の製造方法は、特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法であってよい。第1の組成物として、市販の変成シリコーン接着剤を単独で又は複数用いることができ、その市販の変成シリコーン接着剤は、水又は有機溶剤で希釈されて用いられてもよい。
【0030】
(第2の配置工程)
続いて、第2の配置工程では、基材上に配置された第1の組成物上に、銅含有粒子を含む第2の組成物を配置する。配置する方法としては、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法、ニードルディスペンス法、カンマコート法、バーコート法、スリットコート法、ダイコート法、グラビアコート法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、電着塗装法等を挙げることができる。
【0031】
配置された第2の組成物の形状は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。銅含有粒子を含む組成物からなる層を形成した場合、層の厚みは、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば0.2μm~50μmであり、導電性及び接続信頼性に優れる観点から、好ましくは0.8μm~20μmである。
【0032】
銅含有粒子は、熱伝導率及び焼結性の観点から銅が主成分であることが好ましい。銅含有粒子における銅が占める元素割合は、水素、炭素、酸素を除く全元素を基準として、80原子%以上、90原子%以上、又は95原子%以上であってもよい。銅が占める元素割合が80原子%以上であると、銅に由来する熱伝導率及び焼結性が発現し易い傾向にある。
【0033】
銅含有粒子は、銅を含むコア粒子とコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物とを有する銅含有粒子であってもよい。銅含有粒子は、例えば、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に存在するアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有していてよい。当該アルキルアミンは、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンであってよい。この銅含有粒子は、有機物を構成するアルキルアミンの炭化水素基の鎖長が比較的短いため、比較的低い温度(例えば、150℃以下)でも熱分解し、コア粒子同士が融着し易い傾向にある。このような銅含有粒子としては、例えば、特開2016-037627号公報に記載の銅含有粒子を好適に用いることができる。
【0034】
有機物は、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンを含んでいてもよい。炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンは、例えば、1級アミン、2級アミン、アルキレンジアミン等であってよい。1級アミンとしては、エチルアミン、2-エトキシエチルアミン、プロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ブチルアミン、4-メトキシブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン等を挙げることができる。2級アミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン等を挙げることができる。アルキレンジアミンとしては、エチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ジアミノへキサン、N,N’-ジメチル-1,6-ジアミノへキサン、1,7-ジアミノヘプタン等を挙げることができる。
【0035】
コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物は、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミン以外の有機物を含んでいてもよい。有機物全体に対する炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミンの割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0036】
コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物は、その割合がコア粒子及び有機物の合計に対して0.1~20質量%であることが好ましい。有機物の割合が0.1質量%以上であると、充分な耐酸化性が得られる傾向にある。有機物の割合が20質量%以下であると、低温での導体化が達成され易くなる傾向にある。コア粒子及び有機物の合計に対する有機物の割合は0.3~10質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
銅含有粒子は、少なくとも銅を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。その他の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、還元性化合物又は有機物、酸化物、塩化物等を挙げることができる。導電性に優れる導体を形成する観点からは、銅含有粒子中の銅の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
【0038】
銅含有粒子の形状は特に制限されない。例えば、球状、長粒状、扁平状、繊維状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途にあわせて選択できる。印刷用ペーストとして用いる観点からは、球状、長粒状であることが好ましい。
【0039】
銅含有粒子は、表面の少なくとも一部に有機物が存在しているために、空気中で保存している間も銅の酸化が抑制されており、酸化物の含有率が小さいと推測される。例えば、銅含有粒子中の酸化物の含有率は5質量%以下であってよい。銅含有粒子中の酸化物の含有率は、例えばXRDによって測定することができる。
【0040】
銅含有粒子の製造方法は特に制限されない。製造方法としては、例えば、特開2016-037627号公報に記載の銅含有粒子の製造方法が挙げられる。
【0041】
銅含有粒子の含有量は、第2の組成物全量を基準として、20質量%以上、30質量%以上、又は50質量%以上であってよく、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
【0042】
第2の組成物は、必要に応じて、樹脂を更に含んでいてもよい。樹脂は、第1の組成物の硬化物と第2の組成物の焼結体との接着性を更に向上させ、焼結体の酸化を抑制する。樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。第2の組成物は、樹脂を硬化させるための硬化剤を更に含んでもよく、硬化を促進するための硬化促進剤を更に含んでいてもよい。
【0043】
第2の組成物は、必要に応じて、分散媒を更に含んでいてもよい。分散媒は、特に制限されず、導電インク、導電ペースト等の作製に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて選択できる。分散媒は、粘度調整の観点から、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロテルピネオール、ジヒドロテルピネオールアセテート等であってよい。第2の組成物が樹脂を含む場合、樹脂の分散性を向上させる観点から、分散媒は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン等であってもよい。
【0044】
第2の組成物の25℃における粘度は、特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、第2の組成物をスクリーン印刷法によって配置する場合、第2の組成物の25℃における粘度は、好ましくは0.1Pa・s~30Pa・s、より好ましくは1Pa・s~30Pa・sである。第2の組成物をスピンコート法によって配置する場合、第2の組成物の25℃における粘度は、好ましくは0.3mPa・s~1000mPa・s、より好ましくは1mPa・s~800mPa・sである。
【0045】
第2の組成物の製造方法は、特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法であってよい。第2の組成物は、例えば、銅含有粒子及び必要に応じて含まれるその他の成分を分散媒中に分散処理することで調製することができる。分散処理には、石川式撹拌機、自転公転式撹拌機、超薄膜高速回転式分散機、ロールミル、超音波分散機、ビーズミル等のメディア分散機、ホモミキサー、シルバーソン撹拌機等のキャビテーション撹拌装置、アルテマイザー等の対向衝突装置を用いることができる。これらの分散処理は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(熱処理工程)
熱処理工程では、基材上に配置された第1の組成物及び第2の組成物を熱処理(加熱)することによって、第1の組成物(変成シリコーン樹脂)を硬化させると共に(同時に)、第2の組成物(銅含有粒子)を焼結させる。これにより、基材上に、第1の組成物(変成シリコーン樹脂)の硬化物を介して、第2の組成物(銅含有粒子)の焼結体を形成する。銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物とを有する場合、熱処理工程において、加熱により銅を含むコア粒子の表面を被覆する有機物が除去され、コア粒子同士が接触することで導体化が達成され得る。
【0047】
熱処理工程における加熱温度は、充分な導電性を有する焼結体が得られる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。加熱温度は、例えば、250℃以下又は230℃以下であってよい。加熱温度は、充分な導電性を有する焼結体が得られる観点から、100℃~250℃、120~250℃、120℃~230℃、又は120~230℃であってもよい。熱処理工程における加熱時には、一定の速度で昇温させても、不規則に変化させて昇温させてもよい。加熱の方法は、特に制限されず、熱板、赤外ヒータ、パルスレーザ等を用いた方法であってよい。
【0048】
熱処理工程における加熱時間は、特に限定されず、熱処理温度、熱処理雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。加熱時間は、充分な導体化が可能となる観点から、好ましくは5分間以上であり、量産性の観点から、好ましくは120分間以下であり、充分な導体化と量産性とを両立する観点から、好ましくは5分間~120分間である。
【0049】
加熱時の雰囲気は、好ましくは、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、ギ酸等の還元性ガス、又はこれらの不活性ガスと還元性ガスとの混合ガスの雰囲気である。銅含有粒子が、銅を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機物とを有する場合、不活性ガスは、銅を含有するコア粒子表面における酸化銅の生成を抑制し、還元性ガスは、銅含有粒子表面の有機物の脱離を容易にし、該粒子の銅を含むコア粒子同士の焼結(融着)を促進する。
【0050】
加熱時の雰囲気の圧力条件は、特に制限されずに、大気圧条件であっても減圧条件であってもよく、低温での導体化がより促進される観点から、好ましくは減圧条件である。
【0051】
構造体の製造方法は、必要に応じて、その他の工程を更に備えていてもよい。その他の工程としては、例えば、熱処理工程後に還元雰囲気中で加熱して生成した酸化物を還元する工程、熱処理工程後に光焼成で残存成分を除去する工程、熱処理工程後に荷重をかける工程、熱処理工程後に電解めっき又は無電解めっきにより焼結体上に金属層(例えば銅層)を更に形成する工程等を挙げることができる。
【0052】
<構造体>
構造体は、上述の構造体の製造方法により得られる。一実施形態に係る構造体は、基材と、変成シリコーン樹脂を含む第1の組成物の硬化物を介して基材上に設けられた、銅含有粒子を含む第2の組成物の焼結体と、を備えている。当該硬化物は第1の組成物を硬化させてなるものであり、当該焼結体は第2の組成物を焼結させてなるものであり、これらは、それぞれ第1の組成物及び第2の組成物を熱処理すること(熱処理工程)により得られる。構造体は、例えば、焼結体上に金属層(例えば銅層)を更に備えていてもよい。金属層(銅層)は、熱処理工程後に、電解(銅)めっき又は無電解(銅)めっきにより形成されてよい。
【0053】
この構造体においては、基材と焼結体との間に硬化物が介在しており、基材と硬化物との間、及び硬化物と焼結体との間が強く接着しているため、基材と焼結体との間の接着性にも優れていると推察される。さらに、硬化物は変成シリコーン樹脂を含む組成物から得られるため、柔軟性に富み、基材がフィルム等であっても、接着性の高い構造体が得られる。
【0054】
焼結体の体積抵抗率は、その用途に応じた最適値が要求され、好ましくは500μΩ・cm以下、より好ましくは200μΩ・cm以下、更に好ましくは100μΩ・cm以下である。焼結体の形状は、特に制限されず、薄膜状、バンプ状、パターン状等であってもよい。
【0055】
構造体は、種々の電子部品の配線等に使用できる。構造体は低温で製造できるため、特に、耐熱性の低い基材上に金属箔、接続用端子、配線パターン等を形成する用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
(製造例1:ノナン酸銅の合成)
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mol)に1-プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサンで洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
【0058】
(製造例2:銅含有粒子の合成)
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)及び酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1-プロパノール22mL及びヘキシルアミン(東京化成工業株式会社)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中、80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を加えて、さらに氷浴中で撹拌した。なお、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で10分間、90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を9000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物をさらにヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅含有粒子の粉体を含む銅ケークを得た。
【0059】
(実施例1)
得られた銅ケーク(70質量部)と、エチルセルロース(商品名:エトセル10、ダウ・ケミカル社)を3質量%溶解させたテルピネオール(和光純薬工業株式会社)(30質量部)とを、自転公転式撹拌機(商品名:あわとり錬太郎、株式会社シンキー)で混合して、銅含有粒子を含む第2の組成物を調製した。
【0060】
スライドガラス(商品名:S9213、ソーダ石灰ガラス、松浪硝子工業株式会社)をアセトン(関東化学株式会社、特級)中、室温(20℃)で1分間浸漬洗浄して、その後、窒素ブローでアセトンを除去して汚染物質を除去することにより基材を得た。次に、変成シリコーン樹脂(アクリル変成シリコーン樹脂)及び無機質充填材を含む組成物(商品名:スーパーX No.8008、セメダイン株式会社)を基材上にバーコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて80℃で10分間乾燥して、第1の組成物を配置した。続いて、上述の銅含有粒子を含む第2の組成物を、第1の組成物上にバーコーターを用いて塗布し、乾燥して第2の組成物を配置した。得られた第1及び第2の組成物が配置された基材を焼成炉に入れて加熱し、第1の組成物を硬化させると共に、第2の組成物を焼結させて、基材上に第1の組成物の硬化物及び第2の組成物の焼結体を備える構造体を得た。加熱は、雰囲気制御加熱圧着装置(RF-100B、アユミ工業株式会社)を使用し、窒素ガス雰囲気下の減圧(8.5×104Pa)において、昇温速度30℃/分で140℃まで加熱し、続いて窒素及びギ酸の混合ガスを導入して9.0×104Paの混合ガスとし、140℃で60分間保持することによって行った。
【0061】
(実施例2)
変成シリコーン樹脂(アクリル変成シリコーン樹脂)及び無機質充填材を含む組成物(商品名:SX720W、セメダイン株式会社)を基材上にバーコーターを用いて塗布して第1の組成物を配置した以外は、実施例1と同様にして構造体を作製した。
【0062】
(実施例3)
変成シリコーン樹脂及び無機質充填材を含む組成物(商品名:スーパーX No.8008、セメダイン株式会社)と、溶剤としてのメチルエチルケトンとを、4:1(組成物:溶剤)の質量比で混合して、当該混合物を基材上にバーコーターを用いて塗布して第1の組成物を配置した以外は、実施例1と同様にして構造体を作製した。
【0063】
(実施例4)
変成シリコーン樹脂を含む(無機質充填材を含まない)組成物(商品名:スーパーX ハイパーワイド、セメダイン株式会社)と、溶剤としてのメチルエチルケトンとを、1:3(組成物:溶剤)の質量比で混合し、当該混合物を基材上にバーコーターを用いて塗布して第1の組成物の層を配置した以外は、実施例1と同様にして構造体を作製した。
【0064】
(実施例5)
変成シリコーン樹脂及び無機質充填材を含む組成物Aである(商品名:スーパーX No.8008、セメダイン株式会社)と、変成シリコーン樹脂及び無機質充填材を含む組成物B(商品名:SX720W、セメダイン株式会社)と、溶剤としてのメチルエチルケトンとを、2:2:1(組成物A:組成物B:溶剤)の質量比で混合し、当該混合物を基材上にバーコーターを用いて塗布して第1の組成物を配置した以外は、実施例1と同様にして構造体を作製した。
【0065】
(実施例6)
実施例3と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0066】
(実施例7)
実施例5と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0067】
(実施例8)
基材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルム(商品名:テオネックス、帝人フィルムソリューション株式会社)を用いた以外は、実施例3と同様にして構造体を作製した。
【0068】
(実施例9)
基材として、ポリエチレンナフタレート(PEN)のフィルム(商品名:テオネックス、帝人フィルムソリューション株式会社)を用いた以外は、実施例5と同様にして構造体を作製した。
【0069】
(実施例10)
実施例8と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0070】
(実施例11)
実施例9と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0071】
(比較例1)
第1の組成物を配置しなかった以外は、実施例1と同様にして構造体を作製した。
【0072】
(比較例2)
比較例1と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0073】
(比較例3)
第1の組成物を配置しなかった以外は、実施例7と同様にして構造体を作製した。
【0074】
(比較例4)
比較例3と同様にして構造体を作製した後、電解銅めっきを更に行い、次いでホットプレートを用いて80℃で2時間熱処理をして構造体を得た。
【0075】
<接着性の評価>
実施例及び比較例の各構造体における第2の組成物の焼結体と基材との接着性を、90度ピール強度測定にて評価した。具体的には、構造体の焼結体を陰極として、含リン銅板を陽極として、硫酸銅、硫酸及び塩酸を含む水溶液中において、2A/dm2で1時間の電解銅めっきを行った。さらに、電解銅めっきで厚膜化した金属銅膜を卓上ピール試験機(商品名:小型卓上試験機EZ-S、株式会社島津製作所)を用いて金属銅膜ピール幅10mm、ピール角度90°、ピール速度50mm/分で基材から剥離し、基材と焼結体との接着力(N/m)を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
<体積測定率の測定>
実施例の各構造体については、第2の組成物の焼結体の体積抵抗率を、4端針面抵抗測定器(商品名:ロレスタGP MCP-T610、株式会社三菱ケミカルアナリテック)で測定した面抵抗値と、接触式の段差計(商品名:ET200、株式会社小坂研究所)で求めた膜厚とから計算した。結果を表1に示す。
【0077】
【0078】
表1に示すとおり、実施例1~11の構造体は、基材と焼結体との接着性の点で、比較例1~4の構造体よりも優れている。この結果から、本発明の製造方法によって得られる構造体は、基材と焼結体との接着性に優れることが確認された。