(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】光学ユニットおよび画像投射装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20220628BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220628BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20220628BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20220628BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220628BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20220628BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220628BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220628BHJP
【FI】
G03B21/14 A
F21S2/00 340
F21V9/20
F21V9/30
G03B21/00 D
H04N9/31 500
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2018144475
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】加戸 貴洋
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0240676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 , 21/14
H04N 9/31
F21S 2/00
F21V 9/20 - 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の波長帯の光を出射する光源と、
前記第一の波長帯の光に対して異なる方向に光を分離する偏光分離素子と、
前記偏光分離素子により分離された前記第一の波長帯の光
を透過して円偏光とする、1/4波長板である位相差板と、
前記位相差板を透過した前記
円偏光の一部を反射するとともに他部を透過する光学素子と、
前記光学素子を透過した前記
円偏光の他部を第二の波長帯の光に変換して前記光学素子に出射する蛍光体と、を備え、
前記光学素子により反射された前記
円偏光の一部と前記蛍光体によって変換された前記第二の波長帯の光とから白色光を生成し、
前記光学素子は透過率特性の異なる複数の領域を有し、
前記複数の領域のどちらが光路上に配置されるかを切り替える透過率変更部を有する
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記光源から前記偏光分離素子までの光路と、前記偏光分離素子から前記蛍光体までの光路とは、直交に配置され、
前記偏光分離素子は、
前記第一の波長帯の光において、第一の偏光方向の光を反射し、前記第一の偏光方向と直交する第二の偏光方向の光を透過し、
前記第二の波長帯の光において、前記第二の偏光方向の光を透過する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記光源から前記偏光分離素子までの光路と、前記偏光分離素子から前記蛍光体までの光路とは、同軸に配置され、
前記偏光分離素子は、
前記第一の波長帯の光において、第一の偏光方向の光を透過し、前記第一の偏光方向と直交する第二の偏光方向の光を反射し、
前記第二の波長帯の光において、前記第二の偏光方向の光を反射する
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記位相差板は、可視光に対し90%以上の透過率を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記光学素子は、前記第一の波長帯の光を50%以上透過する特性を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記位相差板と前記光学素子は、1つの光学部品として構成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の光学ユニットを備えることを特徴とする画像投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットおよび画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、青色光の光源、カラーホイールを用いた光学系の構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、反射する領域および蛍光体の領域を有するカラーホイールが回転することにより、時分割された光を出射し、それらを交互に交代し時分割で合成することで白色光を作っている。しかし、特許文献1に開示された手法では、装置の小型化に困難が伴う。また、時分割の影響で、画像が安定しないという課題がある。
【0004】
よって、本発明は、白色光を生成する光学ユニットおよび画像投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明に係る光学ユニットは、第一の波長帯の光を出射する光源と、前記第一の波長帯の光に対して異なる方向に光を分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離された前記第一の波長帯の光を透過して円偏光とする、1/4波長板である位相差板と、前記位相差板を透過した前記円偏光の一部を反射するとともに他部を透過する光学素子と、前記光学素子を透過した前記円偏光の他部を第二の波長帯の光に変換して前記光学素子に出射する蛍光体と、を備え、前記光学素子により反射された前記円偏光の一部と前記蛍光体によって変換された前記第二の波長帯の光とから白色光を生成し、前記光学素子は透過率特性の異なる複数の領域を有し、前記複数の領域のどちらが光路上に配置されるかを切り替える透過率変更部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、白色光を生成する光学ユニットおよび画像投射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る光学ユニットの一例の構成図。
【
図2】第1実施形態に係る波長選択型偏光ビームスプリッタの特性と、光源のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例。
【
図3】第1実施形態に係るダイクロイックミラーの特性と、光源のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例。
【
図4】第1実施形態に係る光学ユニットから出射される光のスペクトルの一例。
【
図5】第1の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタの特性と、光源のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例。
【
図6】第2実施形態に係る光学ユニットの一例の構成図。
【
図7】第2実施形態に係る波長選択型偏光ビームスプリッタの特性と、光源のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例。
【
図8】第2の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタの特性と、光源のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例。
【
図9】第3実施形態に係る光学ユニットの一例の構成図。
【
図10】第3実施形態に係るダイクロイックミラーの一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0009】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係る光学ユニット10の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る光学ユニット10の一例の構成図である。
【0010】
光学ユニット10は、例えば、プロジェクタ(画像投射装置)の照明装置に用いられる。プロジェクタの一例は、白色光を出射する光学ユニット10と、白色光を赤色光、緑色光、青色光に分離する色分離部(図示せず)と、分離された各色ごとに投射画像を生成する3つの光変調素子(図示せず)と、光変調素子で生成された投射画像をスクリーン(図示せず)に投射する投射レンズ(図示せず)と、を備えている。なお、プロジェクタの構成はこれに限定されるものではない。
【0011】
光学ユニット10は、光源1と、波長選択型偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)2と、1/4波長板(位相差板)3と、ダイクロイックミラー(光学素子)4と、蛍光体5と、備えている。光源1から波長選択型偏光ビームスプリッタ2までの光路と、波長選択型偏光ビームスプリッタ2から蛍光体5までの光路とは、直交するようにレイアウトされている。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)2と蛍光体5との間の光路上に、1/4波長板3およびダイクロイックミラー4が配置されている。
【0012】
光源1は、LED(light emitting diode)やLD(laser diode)などの固体光源を用いて構成され、第一の波長帯の光を出射する。なお、以下の説明において、光源1は青色光のLDであるものとして説明する。光源1から出射される光は、第一の偏光方向を持つ直線偏光となっている。なお、以下の説明において、波長選択型偏光ビームスプリッタ2に対してP偏光となるものとする。光源1から出射したP偏光の青色光61は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2に入射する。
【0013】
波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、第一の波長帯の光に対して一方の直線偏光と他方の直線偏光とに分離する。波長選択型偏光ビームスプリッタ2の特性について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1実施形態に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2の特性と、光源1のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例である。なお、
図2において、横軸は波長を示し、左側の第1縦軸は波長選択型偏光ビームスプリッタ2の透過率を示し、右側の第2縦軸は光源1のスペクトルの光強度を示す2軸グラフである。また、第1縦軸に対応して、S偏光の透過率を破線で示し、P偏光の透過率を点線で示している。第2縦軸に対応して、光源1のスペクトルの光強度を実線で示している。
【0014】
図2に示すように、光源1の青色光は450nm付近に鋭いピークのある光のスペクトルを有している。波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、約500nm以下のP偏光の光を反射し、それより長い波長のP偏光の光はほぼ100%透過する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、S偏光の光を波長に依らずほぼ100%透過する特性を有している。換言すれば、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、第一の波長帯の光において、第一の偏光方向の光を反射し、第一の偏光方向と直交する第二の偏光方向の光を透過する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、第一の波長帯よりも波長の長い第二の波長帯の光(後述する黄色光)において、光を透過する特性を有している。これにより、
図1に示すように、光源1から波長選択型偏光ビームスプリッタ2に入射したP偏光の青色光61は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2で反射して、1/4波長板3に入射する。
【0015】
1/4波長板3は、偏光方向を1/4回転させる。1/4波長板3を透過した円偏光の青色光62は、ダイクロイックミラー4に入射する。
【0016】
ダイクロイックミラー4の特性について、
図3を用いて説明する。
図3は、第1実施形態に係るダイクロイックミラー4の特性と、光源1のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例である。なお、
図3において、横軸は波長を示し、左側の第1縦軸はダイクロイックミラー4の透過率を示し、右側の第2縦軸は光源1のスペクトルの光強度を示す2軸グラフである。また、第1縦軸に対応して、ダイクロイックミラー4の透過率を破線で示し、第2縦軸に対応して、光源1のスペクトルの光強度を実線で示している。
【0017】
図3に示すように、ダイクロイックミラー4は、波長が500nm以下の光を80%透過させ、20%反射させる特性を有している。また、波長が500nm以上の光は、全て透過(100%透過)させる特性を有している。
【0018】
これにより、
図1に示すように、ダイクロイックミラー4に入射した青色光62のうち、一部の青色光63がダイクロイックミラー4で反射して、再び1/4波長板3を透過し、波長選択型偏光ビームスプリッタ2に入射する。
【0019】
ダイクロイックミラー4に入射した青色光62のうち、残りの他部の青色光64がダイクロイックミラー4を透過して、蛍光体5に入射する。
【0020】
蛍光体5は、入射した第一の波長帯の光を第一の波長帯の光とは波長が異なる第二の波長帯の光へと変換する。ここでは、蛍光体5は、黄色蛍光体を有しており、青色光を黄色の蛍光に変換する。また、蛍光体5の光が入射する面とは反対側に、反射面が形成され、光を反射する。また、反射面の外側には、放熱部材(図示せず)が設けられている。蛍光体5から出射された黄色光71は、再びダイクロイックミラー4に入射する。蛍光体5で波長が変換された黄色光は550nm付近に鋭いピークのある光のスペクトルを有している。このため、
図3に示すように、黄色光71はダイクロイックミラー4を透過する。ダイクロイックミラー4を透過した黄色光71は再び1/4波長板3を透過し、波長選択型偏光ビームスプリッタ2に入射する。
【0021】
円偏光の青色光63および黄色光71は、再び1/4波長板3を透過することにより、S偏光の青色光65および黄色光72となる。1/4波長板3を透過したS偏光の青色光65および黄色光72は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2に入射する。
図2に示すように、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、S偏光の光を波長に依らずほぼ100%透過する特性を有している。このため、S偏光の青色光65および黄色光72は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2を透過する。
【0022】
図4は、第1実施形態に係る光学ユニット10から出射される光のスペクトルの一例である。なお、
図4において、横軸は波長を示し、縦軸はスペクトルの光強度を示している。実線で示す青色光65のスペクトルは、中心波長が約450nmの光となっている。破線で示す黄色光72のスペクトルは、中心波長が約550nmの光となっている。この2つの光が混じることで白色光となる。
【0023】
以上、第1実施形態に係る光学ユニット10によれば、青色光65と黄色光72が混色した白色光8を出射することができる。また、光学ユニット10から出射される白色光8は、時分割されておらず、連続した光とすることができる。
【0024】
ここで、従来の固体光源を用いて白色光を生成する方法として、透過型の黄色蛍光体を用い、一部の青色光は蛍光体を透過させ、他部の青色光は蛍光体で黄色光に変換されてから蛍光体を出射し、それらが混じり白色光にする方法がある。しかし、この方法では、蛍光体を冷却する放熱部材が取り付けられず、蛍光体の温度が上昇する場合がある。そのときは温度上昇前の蛍光変換効率と比較して蛍光変換効率が低下する。
【0025】
また、従来の固体光源を用いて白色光を生成する方法として、反射型の黄色蛍光体を動かし、青色光をそのまま出射する時と、蛍光体に照射し全て黄色光に変換してから出射させ、時間によって青と黄を分け、それが交互に切り替わることで目の錯覚を利用し白色光を作る方法がある。しかし、この手法では、青色光と黄色光が時分割された白色光となる。また、光学系のサイズが大きくなってしまう。
【0026】
また、RGB3色の固体光源を用い、白色光を作る方法がある。しかし、この手法では、光学系のサイズが大きくなってしまう。
【0027】
これに対し、第1実施形態に係る光学ユニット10によれば、蛍光体5の温度上昇を抑制して蛍光変換効率を高くすることができる。これにより、光学ユニット10の白色光8の発光効率を高くすることができる。また、光学ユニット10によれば、蛍光体を動かす機構や、複数の光源を用いる構成と比較して、装置を小型化することができる。
【0028】
なお、1/4波長板3は、可視光に対し90%以上の透過率を有することが好ましい。これにより、光学ユニット10から出射される白色光8の光量を増やすことができる。
【0029】
また、ダイクロイックミラー4は、第一の波長帯の光(青色光)を50%以上透過する特性を有することが好ましい。これにより、青色光よりも視感度特性の高い黄色光の光量を増やすことができ、明るい。
【0030】
また、1/4波長板3およびダイクロイックミラー4は、別部品として構成されているものとして図示しているが、1つの光学部品として構成されていてもよい。これにより、光学ユニット10の部品点数を低減して、組立性を向上させることができる。
【0031】
第1実施形態係る光学ユニット10について、光源1からP偏光の青色光61を出射し、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は
図2に示すように青色光の波長域においてP偏光の光を反射しS偏光の光を透過する特性を有する構成であるものとして説明したが、このような構成に限られるものではない。
【0032】
図5は、第1の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2の特性と、光源1のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例である。
【0033】
第1の変形例に係る光学ユニット10において、光源1からS偏光の青色光を出射する。また、
図5に示すように、第1の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、約500nm以下のS偏光の光を反射し、それより長い波長のS偏光の光は透過する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2は、P偏光の光を波長に依らず透過する特性を有している。その他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット10と同様であり、重複する説明を省略する。
【0034】
第1の変形例に係る光学ユニット10によれば、第1実施形態に係る光学ユニット10と同様に、青色光と黄色光が混色した白色光を出射することができる。また、出射される白色光は、時分割されておらず、連続した光とすることができる。
【0035】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係る光学ユニット10Aの一例について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、第2実施形態に係る光学ユニット10Aの一例の構成図である。
図7は、第2実施形態に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aの特性と、光源1のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例である。
【0036】
光学ユニット10Aは、光源1と、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aと、1/4波長板3と、ダイクロイックミラー4と、蛍光体5と、備えている。
図6に示す第2実施形態に係る光学ユニット10Aは、
図1に示す第1実施形態に係る光学ユニット10と比較して、レイアウトが異なっている。即ち、光源1から波長選択型偏光ビームスプリッタAまでの光路と、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aから蛍光体5までの光路とは、同軸にレイアウトされている。また、
図7に示すように、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aの特性が異なっている。その他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット10と同様であり、重複する説明を省略する。
【0037】
図7に示すように、第2実施形態に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、例えば、約500nm以下のP偏光の光を透過し、それより長い波長のP偏光の光は反射する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、S偏光の光を波長に依らず反射する特性を有している。換言すれば、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、第一の波長帯の光において、第一の偏光方向の光を透過し、第一の偏光方向と直交する第二の偏光方向の光を反射する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、第一の波長帯よりも波長の長い第二の波長帯の光において、光を反射する特性を有している。
【0038】
光源1から波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aに入射したP偏光の青色光61は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aを透過して、1/4波長板3に入射する。1/4波長板3を透過した円偏光の青色光62は、ダイクロイックミラー4に入射する。ダイクロイックミラー4に入射した青色光62のうち一部の青色光63がダイクロイックミラー4で反射して、再び1/4波長板3に入射する。ダイクロイックミラー4に入射した青色光62のうち他部の青色光64がダイクロイックミラー4を透過して、蛍光体5に入射し、黄色の蛍光に波長が変換される。蛍光体5から出射された黄色光71は、ダイクロイックミラー4を透過し、再び1/4波長板3に入射する。円偏光の青色光63および黄色光71は、再び1/4波長板3を透過することにより、S偏光の青色光65および黄色光72となる。1/4波長板3を透過したS偏光の青色光65および黄色光72は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aに入射する。波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、S偏光の光を波長に依らず反射する特性を有している。このため、S偏光の青色光65および黄色光72は、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aで反射する。この2つの光が混じることで白色光8となる。
【0039】
以上、第2実施形態に係る光学ユニット10Aによれば、青色光65と黄色光72が混色した白色光8を出射することができる。また、光学ユニット10Aから出射される白色光8は、時分割されておらず、連続した光とすることができる。また、光学ユニット10Aの白色光8の発光効率を高くすることができる。また、光学ユニット10Aを小型化することができる。
【0040】
第2実施形態係る光学ユニット10Aについて、光源1からP偏光の青色光61を出射し、波長選択型偏光ビームスプリッタ2AはP偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する特性を有する構成であるものとして説明したが、このような構成に限られるものではない。
【0041】
図8は、第2の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aの特性と、光源1のスペクトルとの関係を説明するグラフの一例である。
【0042】
第2の変形例に係る光学ユニット10Aにおいて、光源1からS偏光の青色光を出射する。また、
図8に示すように、第2の変形例に係る波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、約500nm以下のS偏光の光を透過し、それより長い波長のS偏光の光は反射する特性を有している。また、波長選択型偏光ビームスプリッタ2Aは、P偏光の光を波長に依らず反射する特性を有している。その他の構成は、第2実施形態に係る光学ユニット10Aと同様であり、重複する説明を省略する。
【0043】
第2の変形例に係る光学ユニット10Aによれば、第2実施形態に係る光学ユニット10Aと同様に、青色光と黄色光が混色した白色光を出射することができる。また、出射される白色光は、時分割されておらず、連続した光とすることができる。
【0044】
≪第3実施形態≫
第3実施形態に係る光学ユニット10Bの一例について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、第3実施形態に係る光学ユニット10Bの一例の構成図である。
図10は、第3実施形態に係るダイクロイックミラー4Bの一例を示す図である。
【0045】
光学ユニット10Bは、光源1と、波長選択型偏光ビームスプリッタ2と、1/4波長板3と、ダイクロイックミラー4Bと、蛍光体5と、ダイクロイックミラー切替部(透過率変更部)9Bと、を備えている。その他の構成は、第1実施形態に係る光学ユニット10と同様であり、重複する説明を省略する。
【0046】
図10に示すように、ダイクロイックミラー4Bは、特性の異なる2つの領域41,42を有している。ダイクロイックミラー4Bの第1領域41は、例えば、波長が500nm以下の光を80%透過させ、20%反射させる特性を有している。また、波長が500nm以上の光は、全て透過(100%透過)させる特性を有している。ダイクロイックミラー4Bの第2領域42は、例えば、波長が500nm以下の光を70%透過させ、20%反射させる特性を有している。また、波長が500nm以上の光は、全て透過(100%透過)させる特性を有している。
【0047】
図9に戻り、ダイクロイックミラー切替部9Bは、ダイクロイックミラー4Bを移動させる移動装置として構成される。なお、移動後の一例を二点鎖線で示す。ダイクロイックミラー切替部9Bは、ダイクロイックミラー4Bを移動させることにより、
図10に示す2つの領域41,42のうち、どちらが光路上に配置されるかを切り替える。
【0048】
以上、第3実施形態に係る光学ユニット10Bによれば、第1実施形態に係る光学ユニット10と同様に、青色光65と黄色光72が混色した白色光8を出射することができる。また、光学ユニット10Bから出射される白色光8は、時分割されておらず、連続した光とすることができる。
【0049】
また、ダイクロイックミラー切替部9Bはダイクロイックミラー4Bを移動させて、光路上に配置される領域41,42を切り替えることにより、ダイクロイックミラー4Bを透過する青色光64の割合を変更する透過率変更部として機能させることができる。これにより、青色光65と黄色光72の光量のバランスが変わり、白色光8の色味を変更することが可能となる。
【0050】
なお、
図9では、第1実施形態に係る光学ユニット10のレイアウトにおいて、ダイクロイックミラーの特性を変更する構成を適用するものとして説明したが、これに限られるものではない。、第2実施形態に係る光学ユニット10Aのレイアウトにおいて、ダイクロイックミラーの特性を変更する構成を適用してもよい。
【0051】
また、第3実施形態において、ダイクロイックミラー4Bを移動させることにより光が照射される領域を切り替えて、特性を変更するものとして説明したが、これに限られるものではない。ダイクロイックミラーが特性の異なる扇形の領域を有する円板として構成され、ダイクロイックミラー切替部がダイクロイックミラーを回転させることにより光が照射される領域を切り替えて、特性を変更する構成であってもよい。
【0052】
以上、光学ユニット10~10Bの実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 光源
2,2A 波長選択型偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)
3 1/4波長板(位相差板)
4,4B ダイクロイックミラー(光学素子)
41,42 領域
5 蛍光体
61~65 青色光
71~72 黄色光
8 白色光
9B ダイクロイックミラー切替部(透過率変更部)
10,10A,10B 光学ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】