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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/369 20110101AFI20220628BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20220628BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20220628BHJP
【FI】
H04N5/369
G03B13/36
G02B7/34
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021075894
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2019511204の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2021122131
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2017075177
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 崇志
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191401(JP,A)
【文献】特開2016-058559(JP,A)
【文献】特開2015-014788(JP,A)
【文献】国際公開第2015/45785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
G03B 13/36
G02B 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素と第2画素とが行方向に配置され、第3画素と第4画素とが行方向に配置され、前記第1画素と前記第3画素とが列方向に配置され、前記第2画素と前記第4画素とが列方向に配置される撮像素子であって、
前記第1画素と前記第2画素と前記第3画素と前記第4画素とは、マイクロレンズを透過した光を光電変換して第1電荷を生成する第1光電変換部と、前記マイクロレンズを透過した光を光電変換して第2電荷を生成する第2光電変換部と、前記第1電荷と前記第2電荷との少なくとも一方を蓄積する蓄積部と、前記第1電荷を前記蓄積部に転送する第1転送部と、前記第2電荷を前記蓄積部に転送する第2転送部とをそれぞれ有し、
前記第1画素の前記第1転送部と前記第2画素の前記第2転送部とを制御するための第1制御線と、
前記第1画素の前記第2転送部と前記第2画素の前記第1転送部とを制御するための第2制御線と、
前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とを制御するための第3制御線と、
前記第3画素の前記第1転送部と前記第4画素の前記第2転送部とを制御するための第4制御線と、を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1制御線は、前記第1画素の前記第1電荷と前記第2画素の前記第2電荷とを前記蓄積部に転送させる信号を、前記第1画素の前記第1転送部と前記第2画素の前記第2転送部とに出力する撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記第1制御線は、前記第1画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第2画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させる信号を、前記第1画素の前記第1転送部と前記第2画素の前記第2転送部とに出力する撮像素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項または2に記載の撮像素子において、
前記第2制御線は、前記第1画素の前記第2電荷と前記第2画素の前記第1電荷とを前記蓄積部に転送させる信号を、前記第1画素の前記第2転送部と前記第2画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第2制御線は、前記第1画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第2画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号を、前記第1画素の前記第2転送部と前記第2画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第3制御線は、前記第3画素の前記第2電荷と前記第4画素の前記第1電荷とを前記蓄積部に転送させる信号を、前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第3制御線は、前記第3画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第4画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号を、前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第4制御線は、前記第3画素の前記第2電荷と前記第4画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号を、前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記第4制御線は、前記第3画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第4画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号を、前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とに出力する撮像素子。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第2画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させる信号と、前記第3画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第4画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号とを出力する制御部を備える撮像素子。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第2画素の前記第1電荷を前記蓄積部に転送させる信号を出力し、前記第3画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させるとともに、前記第4画素の前記第2電荷を前記蓄積部に転送させる信号を出力する制御部を備える撮像素子。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、光学系の第1の領域と前記マイクロレンズとを透過した光を光電変換して第1電荷を生成し、
前記第2光電変換部は、前記光学系の第2の領域と前記マイクロレンズとを透過した光を光電変換して第2電荷を生成する撮像素子。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の撮像素子と、
焦点調節光学系を有する光学系による像を撮像する前記撮像素子の前記第1画素と前記第2画素から出力される前記第1電荷に基づく信号と前記第2電荷に基づく信号とに基づいて、前記光学系による像が前記撮像素子に合焦するよう前記焦点調節光学系の位置を制御する位置制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の撮像素子と、
焦点調節光学系を有する光学系による像を撮像する前記撮像素子から出力される、前記第1画素の前記第1電荷に基づく信号と前記第2画素の前記第2電荷に基づく信号、および前記第1画素の前記第2電荷に基づく信号と前記第2画素の前記第1電荷に基づく信号の少なくとも一方に基づいて、前記光学系による像が前記撮像素子に合焦するよう前記焦点調節光学系の位置を制御する位置制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項15】
請求項13に記載の撮像装置において、
前記位置制御部は、前記第1画素の前記第1電荷に基づく信号と前記第2画素の前記第2電荷に基づく信号、および前記第1画素の前記第2電荷に基づく信号と前記第2画素の前記第1電荷に基づく信号の少なくとも一方に基づいて、前記焦点調節光学系の位置を制御する第1モードと、
前記第1画素の前記第1電荷に基づく信号と前記第2電荷に基づく信号、および前記第2画素の前記第1電荷に基づく信号と前記第2電荷に基づく信号の少なくとも一方に基づいて、前記焦点調節光学系の位置を制御する第2モードと、を有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光電変換部と複数のフローティングディフュージョン部とを有する画素から、複数の光電変換部による信号を読み出す撮像素子が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、複数の前記光電変換部はそれぞれ複数のフローティングディフュージョン部に接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-127454号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、第1画素と第2画素とが行方向に配置され、第3画素と第4画素とが行方向に配置され、前記第1画素と前記第3画素とが列方向に配置され、前記第2画素と前記第4画素とが列方向に配置される撮像素子であって、前記第1画素と前記第2画素と前記第3画素と前記第4画素とは、マイクロレンズを透過した光を光電変換して第1電荷を生成する第1光電変換部と、前記マイクロレンズを透過した光を光電変換して第2電荷を生成する第2光電変換部と、前記第1電荷と前記第2電荷との少なくとも一方を蓄積する蓄積部と、前記第1電荷を前記蓄積部に転送する第1転送部と、前記第2電荷を前記蓄積部に転送する第2転送部とをそれぞれ有し、前記第1画素の前記第1転送部と前記第2画素の前記第2転送部とを制御するための第1制御線と、前記第1画素の前記第2転送部と前記第2画素の前記第1転送部とを制御するための第2制御線と、前記第3画素の前記第2転送部と前記第4画素の前記第1転送部とを制御するための第3制御線と、前記第3画素の前記第1転送部と前記第4画素の前記第2転送部とを制御するための第4制御線と、を備える
本発明の第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、焦点調節光学系を有する光学系による像を撮像する前記撮像素子の前記第1画素と前記第2画素から出力される前記第1電荷に基づく信号と前記第2電荷に基づく信号とに基づいて、前記光学系による像が前記撮像素子に合焦するよう前記焦点調節光学系の位置を制御する位置制御部と、を備える
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態によるカメラを例示するブロック図である。
図2】撮像素子の概略構成を例示する図である。
図3】撮像素子の画素配置を例示する図である。
図4図3のM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図5図3のM+1列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図6】a系列およびb系列の信号を例示する図である。
図7】第2の実施の形態における画素配置を例示する図である。
図8図7のM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図9図9(a)から図9(d)は、第2の実施の形態によるa系列およびb系列の信号を例示する図である。
図10】第3の実施の形態における画素配置を例示する図である。
図11図10のM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図12図12(a)および図12(b)は、第3の実施の形態におけるa系列およびb系列の信号を例示する図である。
図13】第3の実施の形態の変形例1における画素配置を例示する図である。
図14図14(a)から図14(c)は、第4の実施の形態によるa系列およびb系列の信号を例示する図である。
図15】マイクロプロセッサが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図16】マイクロプロセッサが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図17】マイクロプロセッサが実行する処理の流れを説明するフローチャートである。
図18】第3の実施の形態の変形例2における画素配置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態による固体撮像素子3(以降、撮像素子3と称する)を用いた焦点検出装置を搭載するデジタルカメラ1(以降、カメラ1と称する)を例示するブロック図である。
第1の実施の形態において、一眼レフタイプやミラーレスタイプ等のレンズ交換式のカメラ1を例に説明するが、レンズ交換式のカメラでなくてもよい。例えば、レンズ一体型のカメラ、あるいはスマートフォン等の携帯端末に搭載されるカメラのような撮像装置として構成してもよい。また、静止画に限らず、動画を撮像するビデオカメラ、モバイルカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0007】
<カメラの構成>
カメラ1には、撮像光学系として撮影レンズ2が装着される。撮影レンズ2は、フォーカシングレンズや絞りを有する。撮影レンズ2が有するフォーカシングレンズや絞りは、マイクロプロセッサ9から指示を受けたレンズ制御部2aによって制御される。撮影レンズ2は、撮像素子3の撮像面に光学像(被写体像)を結像させる。撮影レンズ2は、結像光学系とも称する。
【0008】
撮像素子3は、複数の画素を有する。後述するように、複数の画素は、入射した光を光電変換して電荷を生成する2つの光電変換部をそれぞれ有する。複数の画素は、撮影レンズ2を透過した光をそれぞれ光電変換する。複数の画素は、光電変換により生成された電荷に基づいて信号をそれぞれ出力する。撮像素子3は、マイクロプロセッサ9から指示を受けた撮像制御部4によって制御される。撮像素子3が有する複数の画素から出力される信号は、信号処理部5、およびA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦記憶される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、メモリ7、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(焦点検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12および画像処理部13などが接続される。
なお、撮像素子3が、信号処理部5と、A/D変換部6と、メモリ7との一部または全部を含む構成にしてもよい。撮像素子3は、信号処理部5およびA/D変換部6およびメモリ7のうち少なくとも1つと複数の画素とが積層される構成であってもよい。
【0009】
マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aから操作信号が入力される。マイクロプロセッサ9は、操作部9aからの操作信号に基づいて各ブロックへ指示を送り、カメラ1を制御する。
【0010】
焦点演算部10は、撮像素子3が有する画素からの信号に基づき、瞳分割型の位相差検出方式によって撮影レンズ2による焦点調節状態を算出する。焦点演算部10は、後述する画素20が有する第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2で生成される電荷に基づく信号に基づいて、撮影レンズ2による像が撮像素子3の撮像面上に合焦するためのフォーカスレンズの合焦位置を算出する。具体的には、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の像ズレ量を検出し、検出した像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する。デフォーカス量は、撮影レンズ2による像が結像する結像面と撮像素子3の撮像面とのずれ量である。位相差検出方式によるデフォーカス量の演算は公知であるため、詳細な説明は省略する。焦点演算部10は、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズの移動量を算出する。
マイクロプロセッサ9は、レンズ制御部2aへフォーカシングレンズの移動を指示するとともに、算出したフォーカスレンズの移動量を送る。これにより、焦点調節が自動で行われる。焦点演算部10、マイクロプロセッサ9およびレンズ制御部2aは、焦点調節部として動作する。
【0011】
画像処理部13は、メモリ7に記憶された撮像素子3からの信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理部13は、画像生成部として動作する。画像圧縮部12は、画像処理後の画像データを所定形式でデータ圧縮する。記録部11は、圧縮後の画像データを所定のファイル形式で記録媒体11aに記録したり、記録媒体11aに記録されている画像データを読み出したりする。記録媒体11aは、記録部11に対して着脱自在のメモリカードなどで構成される。
【0012】
また、画像処理部13は、画像を表示部14に表示させるための画像データを生成する。表示部14は、画像処理部13で生成された画像データに基づく画像を表示する。表示部14が表示する画像には、記録媒体11aに記録されている画像データに基づく再生画像(静止画、動画)や、撮像素子3によって所定の間隔(例えば60fps)で取得されるモニタ用画像(ライブビュー画像とも称される)が含まれる。
【0013】
<撮像素子の概要>
図2は、撮像素子3の概略構成を例示する図である。撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、各画素20からの信号を出力するための周辺回路とを有する。一般に、画像を構成する最小単位が「画素」と称されるが、本実施の形態では、画像を構成する最小単位の信号を生成する構成を「画素」と称する。
撮像領域31は、画素20がマトリクス状に配置されている領域を示す。図2の例では、撮像領域31として水平に4行×垂直に4列の16画素分の範囲を例示しているが、実際の画素数は図2に例示するものよりはるかに多い。
【0014】
図3は、撮像素子3の画素配置を例示する図である。画素20には、マイクロレンズMLと不図示のカラーフィルタとが設けられる。カラーフィルタは、一画素20につき、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタのいずれか一つが設けられる。Rのカラーフィルタは、主に赤色の波長域の光を透過する。また、Gのカラーフィルタは、主に緑色の波長域の光を透過する。さらに、Bのカラーフィルタは、主に青色の波長域の光を透過する。Gのカラーフィルタは、Rのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。Bのカラーフィルタは、Gのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。これにより、各画素20は、配置されたカラーフィルタによって異なる分光特性を有する。
【0015】
撮像素子3には、RおよびGのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20R、画素20Gと称する)が交互に配置される画素行と、GおよびBのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20G、画素20Bと称する)が交互に配置される画素行とが、二次元状に繰り返し配置される。第1の実施の形態では、画素20R、画素20G、および画素20Bが、ベイヤー配列にしたがって配置される。
なお、以降の説明において、R、G、Bを付さずに画素20と称する場合は、画素20R、画素20G、および画素20Bを全て含むものとする。
【0016】
各画素20には、それぞれ2つの光電変換部が設けられる。一般に、1画素当たり2つの光電変換部が設けられる場合、2つの光電変換部が水平方向、すなわち行方向に並ぶ場合(水平分割とも称される)と、2つの光電変換部が垂直方向、すなわち列方向に並ぶ場合(垂直分割とも称される)とが存在する。第1の実施の形態では、撮像領域31の全域にわたって水平分割の画素20が配される。ただし、所定の領域には、水平分割の画素20に代えて垂直分割の画素20を配してもよい。各画素20は、周辺回路からの制御信号にしたがって2つの光電変換部で光電変換を行い、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を出力する。
【0017】
再び図2を用いて説明する。周辺回路は、例えば、垂直走査回路21と、水平走査回路22と、これらと接続されている制御信号線23、24と、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25と、垂直信号線25に接続される定電流源26と、相関二重サンプリング回路(CDS回路)27と、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28と、出力アンプ29等により構成される。本実施の形態では、列方向に配置された複数の画素20からなる1画素列に対し、1本の垂直信号線25が設けられている。
【0018】
垂直走査回路21および水平走査回路22は、撮像制御部4からの指示により、制御信号線23を介して後述する第1の制御信号φTx1、第2の制御信号φTx2、制御信号φSEL、制御信号φRESを画素20へ出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される制御信号によって駆動され、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を垂直信号線25に出力する。画素20から出力された信号は、CDS回路27にてノイズ除去が施され、水平走査回路22からの制御信号によって水平信号線28および出力アンプ29を介して外部へ出力される。
【0019】
<1画素に2つのフォトダイオードPDを有する構成>
図4は、図3においてM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rと、N+2行目の画素20Gと、N+3行目の画素20Rとを説明する回路図である。各画素20は、図示しないマイクロレンズおよびカラーフィルタの内側に光電変換部として2つのフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する。すなわち、各画素20は、画素20の左側に配置された第1のフォトダイオードPD-1と、画素20の右側に配置された第2のフォトダイオードPD-2とを有する。
したがって、各画素20の第1のフォトダイオードPD-1には、撮影レンズ2の瞳の第1の領域を通過した光束が入射し、第2のフォトダイオードPD-2には、撮影レンズ2の瞳の第2の領域を通過した光束が入射する。
【0020】
本実施の形態では、例えば、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2と、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2で生成された電荷に基づく信号を読み出す読み出し部とを含めて「画素」と呼ぶ。読み出し部は、後述する転送トランジスタ、FD領域、増幅トランジスタ、および選択トランジスタを含む例を説明するが、読み出し部の範囲は、必ずしも本例の通りでなくてもよい。
【0021】
各画素20において、上述のように、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち第1および第2の領域を通過した光が入射される。第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2は、それぞれ入射光を光電変換して電荷を生成する。第1のフォトダイオードPD-1、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷は、第1の転送トランジスタTx-1または第2の転送トランジスタTx-2を介して共通のFD(フローティング拡散)領域へ転送される。
【0022】
共通のFD領域は、受け取った電荷を蓄積し、電圧に変換する。FD領域の電位に応じた信号は、増幅トランジスタAMPによって増幅される。FD領域および増幅トランジスタAMPは、信号生成部として動作する。そして、生成された信号は、行を選択する選択トランジスタSELによって選択された行の信号として、垂直信号線25(出力部)を介して読み出される。リセットトランジスタRESは、FD領域の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0023】
第1の実施の形態では、例えば、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷(第1電荷と称する)と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷(第2電荷と称する)とが、1つのFD領域に時分割的に転送される。すなわち、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷の転送と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷の転送とは1つのFD領域を用いる。そのため、第1電荷をFD領域に転送する場合と、第2電荷を転送する場合とで、第1の転送トランジスタTx-1および第2の転送トランジスタTx-2のオン/オフ状態が、垂直走査回路21からの制御信号によって切り替えられる。
【0024】
さらに、第1の実施の形態では、例えば、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷に基づく信号(第1信号と称する)と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷に基づく信号(第2信号と称する)とが、1つの垂直信号線25を介して時分割的に順次読み出される。すなわち、第1信号の読み出しと第2信号の読み出とは共通の垂直信号線25を用いる。そのため、第1信号を読み出す場合と、第2信号を読み出す場合とで、第1の転送トランジスタTx-1および第2の転送トランジスタTx-2のオン/オフ状態が、垂直走査回路21からの制御信号によって切り替えられる。
【0025】
<画素のタイプ>
第1の実施の形態では、タイプPと称する画素20と、タイプSと称する画素20とが設けられる。図4に例示したN行目の画素20G、N+1行目の画素20R、N+2行目の画素20G、およびN+3行目の画素20Rは、タイプPに相当する。
【0026】
タイプPの画素20において、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷をFD領域へ転送する第1の転送トランジスタTx-1は、第1の制御信号φTx1によってオンされる。また、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷をFD領域へ転送する第2の転送トランジスタTx-2は、第2の制御信号φTx2によってオンされる。
第1信号または第2信号を垂直信号線25(出力部)に出力させる行選択用の選択トランジスタSELは、制御信号φSELによってオンされる。FD領域の電位をリセットさせるリセットトランジスタRESは、制御信号φRESによってオンされる。
【0027】
図5は、図3においてM+2列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rと、N+2行目の画素20Gと、N+3行目の画素20Rとを説明する回路図である。各画素20は、図示しないマイクロレンズおよびカラーフィルタの内側に光電変換部として第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する。上述したように、画素20には水平分割の場合と垂直分割の場合とがある。
また、各画素20の第1のフォトダイオードPD-1には、撮影レンズ2の瞳の第1の領域を通過した光束が入射し、第2のフォトダイオードPD-2には、撮影レンズ2の瞳の第2の領域を通過した光束が入射する点は、図4の場合と同様である。
【0028】
図5に例示したN行目の画素20G、N+1行目の画素20R、N+2行目の画素20G、およびN+3行目の画素20Rは、タイプSに相当する。タイプSとタイプPの相違点は、第1および第2の転送トランジスタTx-1、Tx-2と、それらに供給される第1および第2の制御信号φTx1、φTx2との関係が逆である点である。すなわち、タイプSでは第1の転送用トランジスタTx-1に対して第2の制御信号φTx2が供給され、第2の転送用トランジスタTx-2に対して第1の制御信号φTx1が供給される。
このため、タイプSの画素20において、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷をFD領域へ転送する第1の転送トランジスタTx-1は、第2の制御信号φTx2によってオンされる。また、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷をFD領域へ転送する第2の転送トランジスタTx-2は、第1の制御信号φTx1によってオンされる。
第1信号または第2信号を垂直信号線25(出力部)に出力させる行選択用の選択トランジスタSELは、制御信号φSELによってオンされる。FD領域の電位をリセットさせるリセットトランジスタRESは、制御信号φRESによってオンされる。
【0029】
<タイプPおよびタイプSの画素配置>
タイプPおよびタイプSの画素配置について説明する。図3のベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に着目すると、繰り返し単位の4画素の全てがタイプPの画素20G(P)、20B(P)、20R(P)、20G(P)からなるグループと、繰り返し単位の4画素の全てがタイプSの画素20G(S)、20B(S)、20R(S)、20G(S)からなるグループとに分けられる。このうち、繰り返し単位の4画素の全てがタイプPの画素20G(P)、20B(P)、20R(P)、20G(P)からなるグループを太い実線で囲んで示し、繰り返し単位の4画素の全てがタイプSの画素20G(S)、20B(S)、20R(S)、20G(S)からなるグループを太い破線で囲んで示す。
【0030】
図3によれば、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、行方向(水平方向)において交互に並ぶ。
また、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとは、それぞれが列方向(垂直方向)において連続して並ぶ。
【0031】
図3の各画素20において、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされたフォトダイオードは、第1の制御信号φTx1が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。ハッチングされないフォトダイオードは、第2の制御信号φTx2が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。したがって、タイプPの画素20G(P)では、第1のフォトダイオードPD-1がハッチングされ、第2のフォトダイオードPD-2がハッチングされず、逆に、タイプSの画素20G(S)では、第2のフォトダイオードPD-2がハッチングされ、第1のフォトダイオードPD-1がハッチングされていない。
【0032】
よって、例えば、タイプPの画素20G(P)では、第1の制御信号φTx1が第1の転送トランジスタTx-1に供給されると、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が生成されることを示す。タイプPの画素20G(P)では、第2の制御信号φTx2が第2の転送トランジスタTx-2に供給されると、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が生成されることを示す。タイプPの画素20B(P)および20R(P)においても同様である。
一方、タイプSの画素20G(S)では、第1の制御信号φTx1が第2の転送トランジスタTx-2に供給されると、画素20G(S)の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が生成されることを示す。タイプSの画素20G(S)では、第2の制御信号φTx2が第1の転送トランジスタTx-1に供給されると、画素20G(S)の第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が生成されることを示す。タイプSの画素20B(S)および20R(S)においても同様である。
【0033】
上述したように、画素20の第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光が入射される。また、上述したように、画素20を太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとに分けて、各グループを行方向(水平方向)において交互に配置し、かつ、列方向(垂直方向)においてそれぞれのグループを並べて配置した。このため、垂直走査回路21が、第1の制御信号φTx1を出力すると、第2の制御信号φTx2、同一の画素行で水平方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、どの画素行においても、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と、第2信号とが同時に読み出される。例えば、N行で水平方向に並ぶ画素20Gに着目する。垂直走査回路21が第1の制御信号φTx1を出力すると、M列にある画素20G(P)では第1電荷がFD領域に転送されて第1信号が生成される。M+2列にある画素20G(S)では第2電荷がFD領域に転送されて第2信号が生成される。N行M列の画素20G(P)で生成された第1信号およびN行M+2列の画素20G(S)で生成された第2信号は、垂直信号線25にそれぞれ出力される。垂直走査回路21が第2の制御信号φTx2を出力すると、M列にある画素20G(P)では第2電荷がFD領域に転送されて第2信号が生成される。M+2列にある画素20G(S)では第1電荷がFD領域に転送されて第1信号が生成される。N行M列の画素20G(P)で生成された第2信号およびN行M+2列の画素20G(S)で生成された第1信号は、垂直信号線25にそれぞれ出力される。N+1~N+4行で水平方向に並ぶ画素20G、N行、N+2行、N+4行で水平方向に並ぶ画素20B、N+1行、N+3行で水平方向に並ぶ画素20Rについても同様である。
なお、同一の画素列で垂直方向に並ぶ同一色の画素20に着目した場合、撮像素子3は、上記第1信号が読み出される列(図3のM列、M+1列、M+4列等)と、上記第2信号が読み出される列(図3のM+2列、M+3列等)とに分かれる。
【0034】
<焦点調節>
本実施の形態のカメラ1は、焦点検出(合焦位置の検出)に用いる一対の焦点検出信号を、例えば、フォーカスエリアに含まれる画素行から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて生成する。フォーカスエリアは、焦点演算部10が位相差情報としての像ズレ量を検出するエリアであり、焦点検出エリア、測距点、オートフォーカス(AF)ポイントとも称される。
【0035】
マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が半押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する。焦点調節用の撮像では、撮像素子3の読み出し対象となる画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から第1の読み出し用の制御信号を供給して第1の読み出しを行う。第1の読み出しは、画素行の各画素20Gに第1の制御信号φTx1等を供給してタイプPの画素20Gから第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷に基づく第1信号を読み出すとともに、タイプSの画素20Gから第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷に基づく第2信号を読み出すことをいう。
【0036】
第1の読み出しにより、第1の制御信号φTx1が供給された画素行の各画素20Gから読み出された第1信号と第2信号とがメモリ7に記憶される。メモリ7に記憶された複数の第1信号A1,A2,…,An(a系列の信号と称する)と、メモリ7に記憶された複数の第2信号B1,B2,…,Bn(b系列の信号と称する)とは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の強度分布を表す。
各画素行に対して1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られるので、画素行からa系列の信号およびb系列の信号を得るために画素行に対して2回の読み出しが必要な場合と比べて、より早く像ズレ検出演算処理に進むことができる。このため、より早く焦点調節を行うことができる。
【0037】
図6は、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とを例示する図である。図6において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ図3の3列おきに読み出され、a系列の信号の位置とb系列の信号の位置とは、図3の2列分のずれを有する。図6の縦の破線は、画素列に対応する。
焦点演算部10は、上記a系列の信号とb系列の信号とに基づき、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって複数の像の像ズレ量を算出し、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによってデフォーカス量を算出する。
【0038】
次に、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10によって算出されたデフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、レンズ制御部2aへレンズ駆動指示を送る。レンズ制御部2aは、デフォーカス量を許容値以内に納める位置(合焦位置)へフォーカシングレンズを移動させる。一方、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断し、レンズ駆動指示を送らない。
【0039】
上記の説明では、焦点調節用の撮像として、撮像制御部4が撮像素子3に第1の読み出しを行わせる例を説明したが、第1の読み出しの代わりに第2の読み出しを行わせてもよい。第2の読み出しは、画素行の各画素20Gに第2の制御信号φTx2等を供給してタイプPの画素20Gから第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷に基づく第2信号を読み出すとともに、タイプSの画素20Gから第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷に基づく第1信号を読み出すことをいう。焦点演算部10は、第2の読み出しによってメモリ7に記憶されたa系列の信号と、メモリ7に記憶されたb系列の信号とに基づき、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって複数の像の像ズレ量を算出し、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによってデフォーカス量を算出する。
【0040】
また、表示部14にモニタ用画像を表示しながら焦点調節を行う場合には、撮像制御部4は、撮像素子3に焦点調節用の第1の読み出しと、画像用の第2の読み出しとを交互に行わせることができる。この場合、焦点調節用の第1の読み出しと画像用の第2の読み出しは、撮像領域31(図2)の画素20を間引いて読み出す。マイクロプロセッサ9は、例えば、第1の読み出し後、第1の読み出しによってメモリ7に記憶されたa系列の信号およびb系列の信号に基づく像ズレ検出演算処理を開始させる。
【0041】
次に、マイクロプロセッサ9は、上記像ズレ検出演算処理と並行して、撮像制御部4に第2の読み出しを指示する。撮像制御部4が、例えば、第1の読み出し後にFD領域の電位をリセットしないで第2の読み出しを行うことで、第1の読み出しによる電荷に第2の読み出しによる電荷がFD領域において足し合わされる。このため、第2の読み出しでは、各画素20から第1信号と第2信号との和が、画像の信号として読み出される。画像処理部13は、第1信号と第2信号との和(画像の信号)に対して所定の画像処理を行うことにより、表示部14にモニタ用画像を表示させるための画像データを生成する。
撮像制御部4は、第2の読み出し後にFD領域の電位をリセットし、再び上記第1の読み出しと第2の読み出しとを繰り返し行わせる。これにより、カメラ1は、焦点調節を行いながらモニタ用画像の表示を行うことができる。
【0042】
なお、上述したカメラ1では、フォーカスエリアに含まれる画素行から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成した。焦点調節に用いる画像データは、画素20Gによる第1信号と第2信号とに限らず、画素20Rによる第1信号と第2信号とに基づいて生成してもよく、画素20Bによる第1信号と第2信号とに基づいて生成してもよい。
【0043】
<画像データの生成>
本実施の形態のカメラ1は、被写体像に関する画像データを、撮像領域31(図2)の各画素20から読み出された第1信号と第2信号とに基づいて生成する。マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が全押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に記録用の撮像を指示する。記録用の撮像では、撮像素子3の各画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から制御信号を供給し、画素間引きなしの第1の読み出しと第2の読み出しとを行う。
【0044】
撮像制御部4は、第1の読み出しによって画素行の各画素20に第1の制御信号φTx1等を供給する。この第1の制御信号φTx1の供給によって、タイプPの画素20の第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に蓄積され、同様に、タイプSの画素20の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に蓄積される。次いで撮像制御部4は、第1の読み出し後にFD領域の電位をリセットすることなく、第2の読み出しを行い、画素行の各画素20に第2の制御信号φTx2等を供給する。この第2の制御信号φTx2の供給によって、タイプPの画素20の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に追加蓄積、すなわち加算蓄積される。同様に、タイプSの画素20の第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に追加蓄積、すなわち加算蓄積される。第1の読み出しと第2の読み出しは、異なるタイミングで行う必要はなく、第1の読み出しと第2の読み出しを同時に行ってもよい。すなわち、垂直走査回路21は、第1の制御信号φTx1および第2の制御信号φTx2それぞれを、第1の転送トランジスタTx-1および第2の転送トランジスタTx-2に同時に供給するようにしてもよい。
こうして、各画素20からは、第1信号と第2信号との加算された画像用の信号が読み出され、画像処理部13は、この画像用の信号を階調処理や色補間処理などを施して、被写体像に関する画像データを生成する。
【0045】
画像データの生成は、上述の処理の代わりに、以下のように行うこともできる。すなわち、撮像制御部4は、第1の読み出しによって画素行の各画素20に第1の制御信号φTx1等を供給してタイプPの画素20から第1信号を読み出すとともに、タイプSの画素20から第2信号を読み出す。また、撮像制御部4は、第1の読み出し後にFD領域の電位をリセットした後に第2の読み出しを行い、画素行の各画素20に第2の制御信号φTx2等を供給してタイプPの画素20から第2信号を読み出すとともに、タイプSの画素20から第1信号を読み出す。
【0046】
これにより、第1の読み出しによって各画素20から読み出された第1信号および第2信号と、第2の読み出しによって各画素20から読み出された第1信号および第2信号とがメモリ7に記憶される。画像処理部13は、メモリ7に記憶された第1信号および第2信号を画素20ごとに加算して画像用の信号を生成し、さらに階調処理や色補間処理などを施して、被写体像に関する画像データを生成する。
【0047】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。(1)撮像素子3は、マイクロレンズMLを透過した光を光電変換して第1電荷を生成する第1のフォトダイオードPD-1と、マイクロレンズMLを透過した光を光電変換して第2電荷を生成する第2のフォトダイオードPD-2と、上記第1電荷、第2電荷の少なくとも一方を蓄積するFD領域と、第1電荷をFD領域に転送する第1の転送トランジスタTx-1と、第2電荷をFD領域に転送する第2の転送トランジスタTx-2とを、それぞれ有する画素20G(P)と画素20G(S)と、画素20G(P)の第1電荷と画素20G(S)の第2電荷とをFD領域に転送させる第1の制御信号φTx1を、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(S)の第2の転送トランジスタTx-2とに出力する垂直走査回路21と、を有する。これにより、画素行に対して第1の制御信号φTx1を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られるので、画素行からa系列の信号およびb系列の信号を得るために画素行に対して第1の制御信号φTx1を供給する読み出しと、第2の制御信号φTx2を供給する読み出しとを2回行う場合と比べて、より早く像ズレ検出演算処理に進むことができる。このため、焦点調節を早く行うことができる。
【0048】
(2)撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(S)の第2電荷をFD領域に転送させる第1の制御信号φTx1を、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(S)の第2の転送トランジスタTx-2とに出力するので、画素行に対して第1の制御信号φTx1を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られる。
【0049】
(3)撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(S)の第2の転送トランジスタTx-2とを接続する制御信号線23を介して、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(S)の第2の転送トランジスタTx-2とに第1の制御信号φTx1を出力するので、画素行に対して第1の制御信号φTx1を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られる。
【0050】
(4)撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第2電荷と画素20G(S)の第1電荷とをFD領域に転送させる第2の制御信号φTx2を、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(S)の第1の転送トランジスタTx-1とに出力するので、画素行に対して第2の制御信号φTx2を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られる。
【0051】
(5)撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(S)の第1電荷をFD領域に転送させる第2の制御信号φTx2を、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(S)の第1の転送トランジスタTx-1とに出力するので、画素行に対して第2の制御信号φTx2を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られる。
【0052】
(6)撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(S)の第1の転送トランジスタTx-1とを接続する制御信号線23を介して、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(S)の第1の転送トランジスタTx-1とに第2の制御信号φTx2を出力するので、画素行に対して第2の制御信号φTx2を供給する1回の読み出しを行うだけでa系列の信号およびb系列の信号が得られる。
【0053】
(7)撮像素子3において、画素20G(P)と画素20G(S)とは、例えば行方向(水平方向)に配置され、第1のフォトダイオードPD-1と第2のフォトダイオードPD-2とは、行方向(水平方向)に並んで配置される。
【0054】
(8)撮像装置の一例であるカメラ1は、上述した撮像素子3と、フォーカシングレンズを有する撮影レンズ2による像を撮像する撮像素子3の画素20G(P)の第1電荷に基づく第1信号と画素20G(S)の第2電荷に基づく第2信号とに基づいて、撮影レンズ2による像が撮像素子3に合焦するようにフォーカシングレンズの位置を制御する焦点演算部10、マイクロプロセッサ9およびレンズ制御部2aとを備える。これにより、焦点調節を早く行うことができる。
【0055】
(第2の実施の形態) 第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比べて、タイプPおよびタイプSの画素配置が異なる。タイプPと称する画素20およびタイプSと称する画素20の構成は、第1の実施の形態と同様である。
また、第2の実施の形態におけるカメラ1は、第1の実施の形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0056】
図7は、第2の実施の形態における撮像素子3の画素配置を例示する図である。図7において、ベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に着目すると、繰り返し単位の4画素の全てがタイプPの画素20G(P)、20B(P)、20R(P)、20G(P)からなるグループ(太い実線で囲む)と、繰り返し単位の4画素の全てがタイプSの画素20G(S)、20B(S)、20R(S)、20G(S)からなるグループ(太い破線で囲む)とに分けられる点は、第1の実施の形態と同様である。
なお、図7ではマイクロレンズMLの図示を省略した。
【0057】
そして、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、行方向(水平方向)において交互に並ぶ点も、第1の実施の形態と共通である。
しかしながら、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、列方向(垂直方向)においても交互に存在する点で、第1の実施の形態と相違する。
第2の実施の形態では、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、いわゆる市松模様を構成する。
【0058】
図8は、図7においてM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20G(P)と、N+1行目の画素20R(P)と、N+2行目の画素20G(S)と、N+3行目の画素20R(S)とを説明する回路図である。各画素20が図示しないマイクロレンズおよびカラーフィルタの内側に光電変換部として第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する点は、第1の実施の形態と同様であるが、図7の垂直方向に並ぶ画素20のタイプが2画素ごとに異なる(タイプPとタイプSとを繰り返す)点は、第1の実施の形態と異なる。
【0059】
図7の各画素20において、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされたフォトダイオードは、第1の制御信号φTx1が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。ハッチングされないフォトダイオードは、第2の制御信号φTx2が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。例えば、タイプPの画素20G(P)では、第1の制御信号φTx1が第1の転送トランジスタTx-1に供給された場合に、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が読み出されることを示す。タイプPの画素20G(P)では、第2の制御信号φTx2が第2の転送トランジスタTx-2に供給されると、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が生成されることを示す。タイプPの画素20B(P)および20R(P)においても同様である。
【0060】
一方、タイプSの画素20G(S)では、第1の制御信号φTx1が第2の転送トランジスタTx-2に供給された場合に、画素20G(S)の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が読み出されることを示す。タイプSの画素20G(S)では、第2の制御信号φTx2が第1の転送トランジスタTx-1に供給されると、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が生成されることを示す。タイプSの画素20B(S)および20R(S)においても同様である。
【0061】
上述したように、画素20の第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち、第1および第2の領域をそれぞれ通過した光が入射される。また、上述したように、画素20を太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとに分けて、各グループを行方向(水平方向)、かつ、列方向(垂直方向)において交互に配置した。このため、同一の画素行で水平方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、第1の実施の形態と同様に、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と、第2信号とが同時に読み出される。
第2の実施の形態ではさらに、同一の画素列で垂直方向に並ぶ同一色の画素20に着目しても、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と第2信号とが同時に読み出される。例えば、M列で垂直方向に並ぶ画素20Gに着目する。垂直走査回路21が第1の制御信号φTx1を出力すると、N+4行にある画素20G(P)では第1電荷がFD領域に転送されて第1信号が生成される。N+2行にある画素20G(S)では第2電荷がFD領域に転送されて第2信号が生成される。N+4行M列の画素20G(P)で生成された第1信号およびN+2行M列の画素20G(S)で生成された第2信号は、同じ垂直信号線25に出力される。垂直走査回路21が第2の制御信号φTx2を出力すると、N+4行にある画素20G(P)では第2電荷がFD領域に転送されて第2信号が生成される。N+2行にある画素20G(S)では第1電荷がFD領域に転送されて第1信号が生成される。N+4行M列の画素20G(P)で生成された第2信号およびN+2行M列の画素20G(S)で生成された第1信号は、同じ垂直信号線25に出力される。M+1~M+4列で垂直方向に並ぶ画素20G、M+1列、M+3列で垂直方向に並ぶ画素20B、M列、M+2列、M+4列で垂直方向に並ぶ画素20Rについても同様である。
【0062】
図9(a)から図9(d)は、第2の実施の形態における、a系列の信号とb系列の信号とを例示する図である。図9(a)は、図7のN行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図9(a)において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ図7の3列おきに読み出され、a系列の信号の位置とb系列の信号の位置とは、図7の2列分のずれを有する。図9(a)の縦の破線は、画素列に対応する。
【0063】
図9(b)は、図7のN+1行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図9(c)は、図7のN+2行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図9(d)は、N+3行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。a系列の信号をハッチング処理した丸で表す点、b系列の信号を白丸で表す点、および縦の破線が画素列を表す点は、図9(a)から図9(d)において共通である。
【0064】
図9(a)から図9(d)によれば、サンプリングポイントの偏りをなくすことができる。具体的には、第1の実施の形態(図6)では、どの画素行から読み出される信号も、図9(a)と同様の信号である。このため、画素20Gからの信号が得られない列が存在する。しかしながら、第2の実施の形態では、N行目から読み出された信号(図9(a))とN+1行目から読み出された信号(図9(b))、N+1行目から読み出された信号(図9(b))とN+2行目から読み出された信号(図9(c))、および、N+2行目から読み出された信号(図9(c))とN+3行目から読み出された信号(図9(d))は、それぞれサンプリングポイントが一列ずれるので、どの画素列においても、画素20Gからの信号が得られることとなる。
【0065】
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。さらに、図9(a)から図9(d)に示すように、サンプリングポイントの偏りをなくすことができる。
【0066】
(第3の実施の形態) 第3の実施の形態も、第1の実施の形態と比べて、タイプPおよびタイプSの画素配置が異なる。
また、第3の実施の形態におけるカメラ1は、第1の実施の形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0067】
図10は、第3の実施の形態における撮像素子3の画素配置を例示する図である。図10において、ベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に着目すると、繰り返し単位の4画素の上側2つにタイプPの画素20R(P)、20G(P)を配置し、下側2つにタイプSの画素20G(S)、20B(S)を配置したグループと、繰り返し単位の4画素の上側2つにタイプSの画素20R(S)、20G(S)を配置し、下側2つにタイプPの画素20G(P)、20B(P)を配置したグループとに分けられる。このうち、前者のグループを太い実線で囲んで示し、後者のグループを太い破線で囲んで示す。
なお、図10ではマイクロレンズMLの図示を省略した。
【0068】
図10によれば、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、行方向(水平方向)において交互に並ぶ。また、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとは、それぞれが列方向(垂直方向)において連続して並ぶ。
【0069】
図11は、図10においてM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20であって、例えばN行目の画素20G(S)と、N+1行目の画素20R(P)と、N+2行目の画素20G(S)と、N+3行目の画素20R(P)とを説明する回路図である。各画素20が図示しないマイクロレンズおよびカラーフィルタの内側に光電変換部として第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する点は、第1の実施の形態と同様であるが、図10の垂直方向に並ぶ画素20のタイプが、いずれの列においても1画素ごとに異なる(タイプPとタイプSとを繰り返す)点は、第1の実施の形態と異なる。
【0070】
図10の各画素20において、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされたフォトダイオードは、第1の制御信号φTx1が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。ハッチングされないフォトダイオードは、第2の制御信号φTx2が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。例えば、タイプPの画素20G(P)では、第1の制御信号φTx1が第1の転送トランジスタTx-1に供給された場合に、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が読み出されることを示す。タイプPの画素20G(P)では、第2の制御信号φTx2が第2の転送トランジスタTx-2に供給されると、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が生成されることを示す。タイプPの画素20B(P)および20R(P)においても同様である。
【0071】
一方、タイプSの画素20G(S)では、第1の制御信号φTx1が第2の転送トランジスタTx-2に供給された場合に、画素20G(S)の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が読み出されることを示す。タイプSの画素20G(S)では、第2の制御信号φTx2が第1の転送トランジスタTx-1に供給されると、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が生成されることを示す。タイプSの画素20B(S)および20R(S)においても同様である。
【0072】
上述したように、画素20の第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光が入射される。また、上述したように、画素20を太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとに分けて、各グループを行方向(水平方向)において交互に配置し、かつ、列方向(垂直方向)においてそれぞれのグループを連続して配置した。このため、同一の画素行で水平方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と第2信号とが同時に読み出される。
第3の実施の形態ではさらに、同一の画素列で垂直方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、撮影レンズ2の瞳の同じ領域を通過した光に基づく第1信号、または、第2信号が読み出される。
【0073】
図12(a)および図12(b)は、第3の実施の形態における、a系列の信号とb系列の信号とを例示する図である。図12(a)は、図10のN行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図12(a)において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ図10の3列おきに読み出され、a系列の信号の位置とb系列の信号の位置とは、図10の2列分のずれを有する。図12(a)の縦の破線は、画素列に対応する。
【0074】
図12(b)は、図10のN+1行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図12(a)および図12(b)によれば、サンプリングポイントの偏りを少なくすることができる。具体的には、第1の実施の形態(図6)では、どの画素行から読み出される信号も、図9(a)と同様の信号である。このため、画素20Gからの信号が得られない列が存在する。しかしながら、第3の実施の形態では、N行目から読み出された信号(図12(a))とN+1行目から読み出された信号(図12(b))は、サンプリングポイントが一列ずれるので、どの画素列においても、画素20Gからの信号が得られることとなる。
【0075】
以上説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。さらに、図12(a)および図12(b)に示すように、サンプリングポイントの偏りを少なくすることができる。
【0076】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1) 第3の実施の形態の変形例1では、第3の実施の形態のタイプPおよびタイプSの画素配置に対し、一部を異ならせた例を説明する。図13は、第3の実施の形態の変形例1における、タイプPおよびタイプSの画素配置を例示する図である。図13において、ベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に着目すると、繰り返し単位の4画素の上側2つにタイプPの画素20R(P)、20G(P)を配置し、下側2つにタイプSの画素20G(S)、タイプPの画素20B(P)を配置したグループと、繰り返し単位の4画素の上側2つにタイプSの画素20R(S)、20G(S)を配置し、下側2つにタイプPの画素20G(P)、タイプSの画素20B(S)を配置したグループとに分けられる。このうち、前者のグループを太い実線で囲んで示し、後者のグループを太い破線で囲んで示す。
なお、図13ではマイクロレンズMLの図示を省略した。
【0077】
図13によれば、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとが、行方向(水平方向)において交互に並ぶ。また、太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとは、それぞれが列方向(垂直方向)において連続して並ぶ。
同じ列に垂直方向に並ぶ画素20を説明する回路図の図示は省略するが、各画素20が図示しないマイクロレンズおよびカラーフィルタの内側に光電変換部として第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する点は、第3の実施の形態と同様である。
また、図13の垂直方向に並ぶ画素20のタイプが1画素ごとに異なる(タイプPとタイプSとを繰り返す)列と、垂直方向にタイプPまたはタイプSの画素20が並ぶ列とが交互に現れる点は、第3の実施の形態と異なる。
【0078】
図13の各画素20において、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされたフォトダイオードは、第1の制御信号φTx1が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。ハッチングされないフォトダイオードは、第2の制御信号φTx2が供給されると、フォトダイオードで生成された電荷がFD領域へ転送されるフォトダイオードを示す。例えば、タイプPの画素20G(P)では、第1の制御信号φTx1が第1の転送トランジスタTx-1に供給された場合に、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が読み出されることを示す。タイプPの画素20G(P)では、第2の制御信号φTx2が第2の転送トランジスタTx-2に供給されると、第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第2電荷に基づいて第2信号が生成されることを示す。タイプPの画素20B(P)および20R(P)においても同様である。
【0079】
一方、タイプSの画素20G(S)では、制御信号φTx1が第2の転送トランジスタTx-2に供給された場合に、画素20G(S)の第2のフォトダイオードPD-2で生成された第2電荷がFD領域に転送される。転送された第2電荷に基づいて第2信号が読み出されることを示す。タイプSの画素20G(S)では、第2の制御信号φTx2が第1の転送トランジスタTx-1に供給されると、第1のフォトダイオードPD-1で生成された第1電荷がFD領域に転送される。FD領域に転送された第1電荷に基づいて第1信号が生成されることを示す。タイプSの画素20B(S)および20R(S)においても同様である。
【0080】
上述したように、画素20の第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光が入射される。また、上述したように、画素20を太い実線で囲んだグループと、太い破線で囲んだグループとに分けて、各グループを行方向(水平方向)において交互に配置し、かつ、列方向(垂直方向)においてそれぞれのグループを連続して配置した。このため、同一の画素行で水平方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と第2信号とが同時に読み出される。
第3の実施の形態ではさらに、同一の画素列で垂直方向に並ぶ同一色の画素20に着目すると、撮影レンズ2の瞳の同じ領域を通過した光に基づく第1信号、または、第2信号が読み出される。
【0081】
第3の実施の形態の変形例1において、N行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とは、図12(a)と同様である。また、第3の実施の形態の変形例1において、N+1行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とは、図12(b)と同様である。
【0082】
これにより、第3の実施の形態の変形例1においても、N行目から読み出された信号(図12(a))とN+1行目から読み出された信号(図12(b))は、サンプリングポイントが一列ずれるので、どの画素列においても、画素20Gからの信号が得られる。これにより、サンプリングポイントの偏りを少なくすることができる。
【0083】
上記の第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、およびその変形例1では、ベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に対するタイプPおよびタイプSの画素の配置を種々説明した。これらは一例に過ぎず、同一の画素行において水平方向に並ぶ同一色の画素20に着目した場合に、どの画素行においても、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と、第2信号とを同時に読み出すことができれば、タイプPおよびタイプSの画素の配置の一部を適宜変更しても構わない。
【0084】
(変形例2) 上述したベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に対するタイプPおよびタイプSの画素の配置を、撮像領域31(図2)の一部に設けてもよい。第3の実施の形態の変形例2では、例えば、タイプPの画素を撮像領域31の全域に配置し、そのうちフォーカスエリアに対応する領域について、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、またはその変形例1で説明した画素配置と置換する。図18は、フォーカスエリアに対応するN行目~N+3行目、M+2列目より右側の列において、図13における画素配置と置換した画素配置を説明する図である。
【0085】
第3の実施の形態の変形例2によれば、上述したベイヤー配列の繰り返し単位である2×2画素に対するタイプPおよびタイプSの画素を限定的に配置することができる。
なお、タイプSの画素を撮像領域31の全域に配置し、そのうちフォーカスエリアに対応する領域について、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、またはその変形例1で説明した画素配置と置換してもよい。
【0086】
図18のN行目M+2列の画素20G(P)と、N行目M+3列の画素20B(S)と、N行目M列の画素20G(P)と、N行目M+1列の画素20B(P)とに着目すると、第3の実施の形態の変形例2の撮像素子3は、次の態様の撮像素子を含む。
(1)撮像素子3は、マイクロレンズMLと、第1のフォトダイオードPD-1と、第2のフォトダイオードPD-2と、FD領域と、第1の転送トランジスタTx-1と、第2の転送トランジスタTx-2と、をそれぞれ有する画素20G(P)と、画素20B(S)と、画素20G(P)と、画素20B(P)とを有する。垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷と画素20B(P)の第1電荷とをFD領域に転送させる第1の制御信号φTx1を、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(P)の第1の転送トランジスタTx-1とに出力し、画素20G(P)の第2電荷と画素20B(P)の第2電荷とをFD領域に転送させる第2の制御信号φTx2を、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(P)の第2の転送トランジスタTx-2とに出力する。
【0087】
(2)上記(1)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷と画素20B(S)の第2電荷と画素20G(P)の第1電荷と画素20B(P)の第1電荷とをFD領域に転送させる第1の制御信号φTx1を、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(S)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(P)の第1の転送トランジスタTx-1とに出力する。
【0088】
(3)上記(2)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(S)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(P)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(P)の第1電荷をFD領域に転送させる第1の制御信号φTx1を出力する。
【0089】
(4)上記(2)または(3)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(S)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(P)の第1の転送トランジスタTx-1とを接続する制御信号線23を介して、第1の制御信号φTx1を出力する。
【0090】
(5)上記(2)から(4)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第2電荷と画素20B(S)の第1電荷と画素20G(P)の第2電荷と画素20B(P)の第2電荷をFD領域に転送させる第2の制御信号φTx2を、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(P)の第2の転送トランジスタTx-2とに出力する。
【0091】
(6)上記(5)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、20G(P)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(S)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(P)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(P)の第2電荷をFD領域に転送させる第2の制御信号φTx2を、20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(P)の第2の転送トランジスタTx-2とに出力する。
【0092】
(7)上記(5)または(6)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(P)の第2の転送トランジスタTx-2とを接続する制御信号線23を介して、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(P)の第2の転送トランジスタTx-2とに第2の制御信号φTx2を出力する。
【0093】
(8)上記撮像素子3において、画素20G(P)と画素20B(S)と画素20G(P)と画素20B(P)とは、行方向(水平方向)に配置され、第1のフォトダイオードPD-1と第2のフォトダイオードPD-2とは、行方向(水平方向)に並んで配置される。
【0094】
また、図18のN行目M+2列の画素20G(P)と、N行目M+3列の画素20B(S)と、N-1行目M+2列の画素20R(P)と、N-1行目M+3列の画素20G(P)とに着目すると、第3の実施の形態の変形例2の撮像素子3は、次の態様の撮像素子を含む。(9)撮像素子3は、マイクロレンズMLと、第1のフォトダイオードPD-1と、第2のフォトダイオードPD-2と、FD領域と、第1の転送トランジスタTx-1と、第2の転送トランジスタTx-2と、をそれぞれ有する画素20G(P)と、画素20B(S)と、画素20R(P)と、画素20G(P)とを有する。垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷と画素20B(S)の第2電荷とをFD領域に転送させる、N行目用の第1の制御信号φTx1を、画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(S)の第2の転送トランジスタTx-2に出力し、画素20R(P)の第1電荷と画素20G(P)の第1電荷とをFD領域に転送させる、N-1行目用の第1の制御信号φTx1を、画素20R(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1に出力する。
【0095】
(10)上記(9)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(S)の第2電荷をFD領域に転送させる、N行目用の第1の制御信号φTx1と、画素20R(P)の第1電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(P)の第1電荷をFD領域に転送させる、N-1行目用の第1の制御信号φTx1とを出力する。
【0096】
(11)上記(9)または(10)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20B(S)の第2の転送トランジスタTx-2とを接続するN行目の制御信号線23を介して、N行目用の第1の制御信号φTx1を出力し、垂直走査回路21と画素20R(P)の第1の転送トランジスタTx-1と画素20G(P)の第1の転送トランジスタTx-1とを接続するN-1行目の制御信号線23を介して、N-1行目用の第1の制御信号φTx1を出力する。
【0097】
(12)上記(9)から(11)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第2電荷と画素20B(S)の第1電荷とをFD領域に転送させる、N行目用の第2の制御信号φTx2を、画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1に出力し、画素20R(P)の第2電荷と画素20G(P)の第2電荷とをFD領域に転送させる、N-1行目用の第2の制御信号φTx2を、画素20R(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2に出力する。
【0098】
(13)上記(12)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、画素20G(P)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20B(S)の第1電荷をFD領域に転送させる、N行目用の第2の制御信号φTx2を出力し、画素20R(P)の第2電荷をFD領域に転送させるとともに、画素20G(P)の第2電荷をFD領域に転送させる、N-1行目用の第2の制御信号φTx2を出力する。
【0099】
(14)上記(12)または(13)の撮像素子3において、垂直走査回路21は、垂直走査回路21と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20B(S)の第1の転送トランジスタTx-1とを接続する、N行目の制御信号線23を介して第2の制御信号φTx2を出力し、画素20R(P)の第2の転送トランジスタTx-2と画素20G(P)の第2の転送トランジスタTx-2とを接続する、N-1行目の制御信号線23を介して第2の制御信号φTx2を出力する。
【0100】
(15)上記撮像素子3において、画素20G(P)と画素20B(S)とが、行方向(水平方向)に配置されるN行目の画素行と、画素20R(P)と画素20G(P)とが行方向(水平方向)に配置されるN-1行目の画素行とを有し、第1のフォトダイオードPD-1と第2のフォトダイオードPD-2とは、行方向(水平方向)に並んで配置される。
【0101】
(変形例3) 第3の実施の形態の変形例3では、第3の実施の形態、および、第3の実施の形態の変形例1に対し、列方向(垂直方向)に並ぶ同色の画素20間の信号加算を説明する。
画素20間の信号加算は、例えば、被写体の輝度が低い場合において信号レベルを高める場合に好適である。撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と、第2信号とを読み出す場合に適用すると、像ズレ検出演算処理に用いる場合における信号のS/N比が高まるので、算出するデフォーカス量の精度を高めることができる。
【0102】
列方向(垂直方向)に並ぶ同色の画素20間で信号加算を行う場合、例えば、(1)垂直信号線加算と、(2)FD加算とが好適である。(1)垂直信号線加算と、(2)FD加算とは、いずれを採用してもよい。
【0103】
(1)垂直信号線加算 垂直信号線加算は、垂直信号線25(図2)において行う信号加算である。例えば、図11において同色、かつ、同じタイプ(例えばタイプS)の画素20GのN行とN+2行とを選択トランジスタSELによって選択することにより、同色の画素20間で信号を加算する。
ここで、同色の画素20の間で信号を加算するのは、他色の光に基づく信号が混合することを避けるためである。さらに、同じタイプ(例えばタイプS)の画素20の間で信号を加算するのは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と第2信号とが混合することを避けるためである。
【0104】
(2)FD加算 FD加算は、例えば、図11において同色、かつ、同じタイプ(例えばタイプS)のN行の画素20GとN+2行の画素20GとのFD領域間に、連結用のトランジスタ(不図示)を設け、FD領域が連結された複数の画素20Gにおいて生成された電荷を加算することをいう。そして、加算した電荷に基づく信号を、選択トランジスタSELによって選択した行(N行またはN+2行)の信号として読み出す。
【0105】
垂直走査回路21は、連結用のトランジスタを、信号加算をしない場合にオフさせ、信号加算をする場合にオンさせることにより、信号加算をする/しないを切り替える。
ここで、同色の画素20の間で電荷を加算するのは、他色の光に基づく電荷が混合することを避けるためである。さらに、同じタイプ(例えばタイプS)の画素20の間で電荷を加算するのは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく電荷が混合することを避けるためである。
【0106】
(第4の実施の形態) 第4の実施の形態では、像ズレ検出演算処理の精度を高める処理について説明する。第4の実施の形態におけるカメラ1は、第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0107】
上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態は、より早く像ズレ検出演算処理に進むことを優先したので、撮像制御部4は、画素行に対する1回の読み出し(第1の読み出しのみ、または、第2の読み出しのみ)によってa系列の信号およびb系列の信号を得る。この場合における画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号の間隔は、図5図9図12に例示したように、それぞれ3列おきであるため、像ズレ検出演算処理は3列おきのa系列の信号とb系列の信号とに基づいて行われる。
【0108】
これに対し、第4の実施の形態では、像ズレ検出演算処理の精度を高めることを優先する。このために撮像制御部4は、画素行に対する2回の読み出し(第1の読み出しと第2の読み出し)によってa系列の信号およびb系列の信号を得る。
【0109】
図14(a)から図14(c)は、第4の実施の形態における、a系列の信号とb系列の信号とを例示する図である。図14(a)は、第1の読み出しにおいて第1の制御信号φTx1の供給によって、図3および図5のN行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図14(a)において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ図14(a)の3列おきに読み出され、a系列の信号の位置とb系列の信号の位置とは、図5の2列分のずれを有する。図14(a)の縦の破線は、画素列に対応する。第1の読み出しによるa系列の信号およびb系列の信号は、メモリ7に記憶される。
【0110】
第1の読み出し後にFD領域の電位をリセットした後に、第2の読み出しにおいて第2の制御信号φTx2が供給される。
図14(b)は、第2の読み出しによって第1の読み出しと同じ画素、すなわち、図3および図5のN行目の画素20Gから読み出されたa系列の信号と、画素20Gから読み出されたb系列の信号とを示す図である。図14(a)および図14(b)によれば、各画素20Gから、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した光に基づく第1信号と第2信号とが読み出される。第2の読み出しによるa系列の信号およびb系列の信号も、メモリ7に記憶される。
【0111】
マイクロプロセッサ9は、メモリ7に記憶された第1読み出しのa系列の信号と第2読み出しのa系列の信号とを重ね合わせて、図3のN行に配列された画素20Gの第1のフォトダイオードPD-1からの第1信号が画素20Gの配列順に並ぶa系列の信号を生成する。同様に、マイクロプロセッサ9は、メモリ7に記憶された第1読み出しのb系列の信号と第2読み出しのb系列の信号とを重ね合わせて、図3のN行に配列された画素20Gの第2のフォトダイオードPD-2からの第2信号が画素20Gの配列順に並ぶb系列の信号を生成する。
図14(c)は、図14(a)のa系列の信号およびb系列の信号と、図14(a)のa系列の信号およびb系列の信号とを、画素列を揃えて重ね合わせた図である。n個の第1信号A1,A2,…,Anを2つ合わせた計2n個の信号を、改めて第1信号a1,a2,…,a2nと称する。また、n個の第2信号B1,B2,…,Bnを2つ合わせた計2n個の信号を、改めて第2信号b1,b2,…,b2nと称する。
図14(c)によれば、重ね合わせ後の第1信号および第2信号は、それぞれ1列おきの信号として構成される。
【0112】
焦点演算部10は、上記重ね合わせ後の第1信号および第2信号に基づき、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって複数の像の像ズレ量を算出し、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによってデフォーカス量を算出する。
【0113】
第4の実施の形態は、より早く像ズレ検出演算処理に進む場合と比べて、像ズレ検出演算処理に用いる第1信号および第2信号の密度、すなわち解像度を高めたので、特に空間における高周波成分を多く含む被写体に対する像ズレ検出演算処理の精度が高まる。これにより、焦点調節を精度よく行うことができる。
【0114】
以上説明した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。すなわち、撮像装置の一例であるカメラ1は、撮像素子3と、フォーカシングレンズを有する撮影レンズ2による像を撮像する撮像素子3から出力される、画素20G(P)の第1電荷に基づく第1信号と画素20G(S)の第2電荷に基づく第2信号、および画素20G(P)の第2電荷に基づく第2信号と画素20G(S)の第1電荷に基づく第1信号の少なくとも一方に基づいて、撮影レンズ2による像が撮像素子3に合焦するようにフォーカシングレンズの位置を制御する焦点演算部10、マイクロプロセッサ9およびレンズ制御部2aとを備える。これにより、焦点調節を精度よく行うことができる。
【0115】
(第5の実施の形態) 第5の実施の形態では、図14(a)または図14(b)の第1信号および第2信号に基づき焦点調節を行う第1モードと、図14(c)の第1信号および第2信号に基づき焦点調節を行う第2モードとを予め定めた条件にしたがって切り換える。すなわち、第1モードは、第1読み出し(または第2読み出し)によって読み出した第1および第2信号に基づき焦点調節演算を行う。第2モードは、第1および第2読み出しによってそれぞれ読み出した第1信号を重ね合わせた重ね合わせ第1信号と、第1および第2読み出しによってそれぞれ読み出した第2信号を重ね合わせた重ね合わせ第2信号とに基づき焦点調節演算を行う。第1モードは、第1の読み出し(または第2の読み出し)による第1信号および第2信号に基づき焦点調節演算を行うので、信号読み出し時間が第2モードよりも短い。かつ、第1モードは、焦点調節演算に使用する第1および第2信号の数が第2モードより少ないので、焦点調節演算を第2モードより高速に行うことができる。すなわち第1モードはオートフォーカス速度を優先したモードである。第2モードは、第1の読み出しおよび第2の読み出しによる第1信号および第2信号に基づき焦点調節演算を行うので、焦点調節の精度が第1モードより高くなる。すなわち、第2モードは、焦点調節演算に使用する第1および第2信号の数が第1モードより多いので、焦点調節演算を第1モードより精度良く行うことができる。すなわち第2モードはオートフォーカス精度を優先したモードである。
第5の実施の形態におけるカメラ1は、第1の実施の形態から第4の実施の形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0116】
第5の実施の形態の動作例1を以下に説明する。(例1) 例1では、デフォーカス量が所定値よりも大きい場合には、第1モードを使用し、デフォーカス量が所定値以下である場合に第2モードを使用する。すなわち、デフォーカス量が所定値よりも大きい場合には被写体像がボケにより低周波成分を多く含む傾向にあるため図14(a)に示すように信号ピッチ(サンプリングピッチ)の大きい第1信号および第2信号に基づき第1モードの焦点調節を行う。デフォーカス量が所定値以下である場合は被写体像が高周波成分を多く含む傾向にあるため、図14(c)に示すように信号ピッチ(サンプリングピッチ)の小さい重ね合わせの第1信号および第2信号に基づき第2モードの焦点調節を行う。
このように、マイクロプロセッサ9がデフォーカス量の大きさによって第1モードと第2モードとを切り替える。図15は、マイクロプロセッサ9が撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する場合に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が半押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、図15による処理を起動する。
【0117】
ステップS110において、マイクロプロセッサ9は、撮像制御部4に第1の読み出しを行わせる。第1の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第1信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第2信号が読み出される。
なお、第1の読み出しの代わりに第2の読み出しを行わせてもよい。第2の読み出しでは、タイプPの画素20Gから第2信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第1信号が読み出される。
【0118】
ステップS120において、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10に像ズレ検出演算処理を行わせる。これにより、焦点演算部10が、図14(a)に例示した、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。ステップS110において第2の読み出しを行った場合は、焦点演算部10が、図14(b)に例示したa系列の信号とb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。
【0119】
ステップS130において、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が第1許容値以内か否かを判定する。第1許容値は、後述する合焦状態を示す第2許容値より大きな値であり、画素20上の被写体像に高周波成分が所定量程度含まれていると推定される値である。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が第1許容値以内であれば、第2モードで焦点調節を行うべくステップS130を肯定判定してステップS150へ進む。一方、デフォーカス量が第1許容値を超えている場合は、第1モードで焦点調節を行うべくステップS130を否定判定してステップS140へ進む。
【0120】
第1モードで焦点調節を行う場合に進むステップS140において、マイクロプロセッサ9は、レンズ制御部2aへレンズ駆動指示を送る。これにより、レンズ制御部2aが、デフォーカス量を第1許容値以内に納める位置(合焦位置)へフォーカシングレンズを移動させる。マイクロプロセッサ9は、フォーカシングレンズが移動されると、ステップS110へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0121】
マイクロプロセッサ9は、第2モードで焦点調節を行う場合に進むステップS150において、レンズ制御部2aへレンズ移動指示を送る。これにより、レンズ制御部2aが、ステップS120で算出されたデフォーカス量に基づきフォーカシングレンズを移動させる。
【0122】
ステップS160において、マイクロプロセッサ9は、撮像制御部4に第1の読み出しを行わせる。第1の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第1信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第2信号が読み出される。
【0123】
ステップS170において、マイクロプロセッサ9は、撮像制御部4に第2の読み出しを行わせる。第2の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第2信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第1信号が読み出される。この第2の読み出しによる第1信号は、ステップS160の第1の読み出しによる第1信号と重ね合わせされ、信号ピッチが小さい重ね合わせの第1信号が生成される。同様に第2の読み出しによる第2信号は、ステップS160の第1の読み出しによる第2信号と重ね合わせされ、信号ピッチが小さい重ね合わせの第2信号が生成される。
【0124】
ステップS180において、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10に像ズレ検出演算処理を行わせる。これにより、焦点演算部10が、図14(c)に例示した、重ね合わせの複数の第1信号からなるa系列の信号と、重ね合わせの複数の第2信号からなるb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。
【0125】
ステップS190において、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が第2許容値以内か否かを判定する。第2許容値は、上述の第1許容値より小さな値であり、被写体にピントがあっていると判定できる場合に対応する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が第2許容値以内であれば、図15による処理を終了する。一方、例えば、被写体が移動するなどしてデフォーカス量が第2許容値を超えている場合は、ステップS150へ戻って上述した処理を繰り返す。
第5の実施の形態におけるカメラ1は、デフォーカス量が大きいと第1モードを使用し、デフォーカス量が小さいと第2モードを使用する。すなわち、デフォーカス量が大きいときは第1モードで焦点調節を高速で行い、デフォーカス量が小さくなってくると第2モードで焦点調節を精度良く行う。これにより、焦点調節の所要時間を短くするとともに、焦点調節を高精度で行うことができる。
【0126】
第5の実施の形態の動作例2を以下に説明する。(例2) 例2では、被写体の移動速度が所定値以上の場合には第1モードを使用し、被写体の移動速度が所定値よりも小さい場合には第2モードを使用する。第1モードは、第1の読み出し(または第2の読み出し)による第1信号および第2信号に基づき焦点調節演算を行うので、信号読み出し時間が第1モードより短い。かつ、第1モードは、焦点調節演算に使用する第1および第2信号の数が第1モードより少ないので、焦点調節を第2モードより高速で行うことができる。第2モードは、第1の読み出しおよび第2の読み出しによる第1信号および第2信号に基づき焦点調節演算を行うので、焦点調節の精度が第1モードより高くなる。すなわち、第2モードは、焦点調節演算に使用する第1および第2信号の数が第1モードより多いので、焦点調節演算を第1モードより精度良く行うことができる。そこで、移動速度が速い被写体を撮影するときは第1モードを使用し、その他の被写体を撮影するときは第2モードを使用する。
図16は、マイクロプロセッサ9が撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する場合に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦の半押し操作を示す操作信号が操作部9aから入力されると、図16による処理を起動する。
【0127】
ステップS310において、マイクロプロセッサ9は、画面内を移動する被写体の移動速度を演算する。例えば、撮像素子3によって60fpsで取得されるモニタ用画像の前後するフレーム画像を比較することによって、画面内を移動する被写体の移動距離を算出する。そして、移動距離をフレーム間隔(60fpsの場合は16.7msec)で除算することによって移動速度を算出する。
【0128】
ステップS320において、マイクロプロセッサ9は、移動速度が基準値以上か否かを判定する。基準値は、例えば、被写体が概ね静止していると判断できる場合に対応する。マイクロプロセッサ9は、移動速度が基準値以上の場合は、移動する被写体に対して第1モードで焦点調節を早く行うべくステップS320を肯定判定してステップS330へ進む。一方、移動速度が基準値に満たない場合は、概ね静止している被写体に対して第2モードで精度よく焦点調節を行うべくステップS320を否定判定してステップS370へ進む。
【0129】
第1モードで焦点調節を早く行う場合に進むステップS330において、マイクロプロセッサ9は、撮像制御部4に第1の読み出しを行わせる。第1の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第1信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第2信号が読み出される。
なお、第1の読み出しの代わりに第2の読み出しを行わせてもよい。第2の読み出しでは、タイプPの画素20Gから第2信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第1信号が読み出される。
【0130】
ステップS340において、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10に像ズレ検出演算処理を行わせる。これにより、焦点演算部10が、図14(a)に例示した、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。ステップS330において第2の読み出しを行った場合は、焦点演算部10が、図14(b)に例示したa系列の信号とb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。このように第1モードでは、焦点調節が迅速に行われるので、高速移動する被写体に素早く合焦させることができる。
【0131】
ステップS350において、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。許容値は、被写体にピントがあっていると判定できる場合に対応する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値以内であれば、図16による処理を終了する。一方、デフォーカス量が許容値を超えている場合は、ステップS360へ進む。
【0132】
ステップS360において、マイクロプロセッサ9は、レンズ制御部2aへレンズ駆動指示を送る。これにより、レンズ制御部2aが、ステップS340で算出されたデフォーカス量に基づきフォーカシングレンズを焦点調節移動させる。マイクロプロセッサ9は、フォーカシングレンズが移動されると、ステップS310へ戻って上述した処理を繰り返す。
【0133】
マイクロプロセッサ9は、ステップS320で移動速度が基準値未満であった場合にはステップS370において、撮像制御部4に第1の読み出しを行わせる。第1の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第1信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第2信号が読み出される。
【0134】
ステップS380において、マイクロプロセッサ9は、撮像制御部4に第2の読み出しを行わせる。第2の読み出しにより、タイプPの画素20Gから第2信号が読み出され、タイプSの画素20Gから第1信号が読み出される。この第2の読み出しによる第1信号は、ステップS160の第1の読み出しによる第1信号と重ね合わせされ、信号ピッチが小さい重ね合わせの第1信号が生成される。同様に第2の読み出しによる第2信号は、ステップS160の第1の読み出しによる第2信号と重ね合わせされ、信号ピッチが小さい重ね合わせの第2信号が生成される。
【0135】
ステップS390において、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10に像ズレ検出演算処理を行わせる。これにより、焦点演算部10が、図14(c)に例示した、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とに基づいてデフォーカス量を算出する。マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10によってデフォーカス量が算出されると、上述したステップS350へ進む。
この第2モードでは、焦点検出信号、すなわち重ね合わせの第1信号および第2信号の信号ピッチが小さく、すなわち解像度が高いので、高精度の焦点調節が可能となる。
【0136】
(例3) 例3では、マイクロプロセッサ9が単位時間あたりに撮像素子から出力される画像データの量または数によって第1モードと第2モードとを切り替える。例えば、映像ビットレートによって第1モードと第2モードとを切り替える。映像ビットレートは、1秒間に送られる画像のデータ量(ビット数)の単位であり、画像データを構成するビット数が多いほど高くなる。このため、カメラ1に設定される画質が高画質であるほど、また、1秒当たりのフレーム数(fps)が多いほど、映像ビットレートが高くなる。図17は、マイクロプロセッサ9が撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する場合に実行する処理の流れを説明するフローチャートである。図17において、図16と同様の処理には図16と同じステップ番号を付して説明を省略する。
マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦が半押し操作されたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、図17による処理を起動する。
【0137】
ステップS320Aにおいて、マイクロプロセッサ9は、映像ビットレートが基準値以上か否かを判定する。例えば映像ビットレートに第2モードの焦点調節信号を加算した総ビットレートが撮像素子3の処理能力を超える場合、映像ビットレートが基準値以上に相当する。マイクロプロセッサ9は、映像ビットレートが基準値以上の場合は、第1モードで焦点調節を早く行うべくステップS320Aを肯定判定してステップS330へ進む。一方、映像ビットレートが基準値に満たない場合は、第2モードで精度よく焦点調節を行うべくステップS320Aを否定判定してステップS370へ進む。
図17における他の処理は、例2の図6の処理と同様である。
【0138】
マイクロプロセッサ9は、上述した例1から例3のうち、いずれかの処理を選択する。例えば、マイクロプロセッサ9は、操作部9aからの操作信号に基づいて例1、例2または例3の処理を選択する。
【0139】
また、マイクロプロセッサ9は、カメラ1に設定されている撮像シーンモードにより、例1、例2または例3の処理を自動で選んでもよい。例えば、カメラ1が「風景」、「料理」、「花」、「ポートレート」などの撮像シーンモードに設定された場合に、マイクロプロセッサ9は、例1の処理を選ぶ。さらに、マイクロプロセッサ9は、カメラ1が「スポーツ」などの撮像シーンモードに設定された場合に、例2の処理を選ぶ。さらにまた、マイクロプロセッサ9は、カメラ1が動画撮影モードに設定された場合に、例3の処理を選ぶ。
【0140】
以上説明した第5の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。(1)撮像装置の一例であるカメラ1において、マイクロプロセッサ9は、画素20G(P)の第1電荷に基づく第1信号と画素20G(S)の第2電荷に基づく第2信号、または、画素20G(P)の第2電荷に基づく第2信号と画素20G(S)の第1電荷に基づく第1信号に基づいて、フォーカシングレンズの位置を制御する第1モードと、画素20G(P)の第1電荷に基づく第1信号と第2電荷に基づく第2信号、および画素20G(S)の第1電荷に基づく第1信号と第2電荷に基づく第2信号に基づいて、フォーカシングレンズの位置を制御する第2モードと、を有する。これにより、第1モードでは焦点調節を早く行うことができ、第2モードでは、焦点調節を精度よく行うことができる。
【0141】
(2)カメラ1において、マイクロプロセッサ9は、被写体が動く速度、または撮像素子3から出力される信号の単位時間あたりのデータ量または出力数(映像ビットレート)、または撮影レンズ2による像が結像する結像面と撮像素子3の撮像面とのずれ量に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替える。これにより、適切に第1モードと第2モードとを切り替えることができる。
【0142】
(変形例) 上述した第1~第5の実施の形態および変形例で説明した撮像素子を、複数の基板(例えば、複数の半導体基板)を積層して構成される積層センサ(積層型の撮像素子)に適用してもよい。例えば、複数の画素20は1層目の基板に配置し、垂直走査回路21と水平走査回路22とCDS回路27と出力アンプ29とは2層目の基板に配置し、複数の垂直信号線25は、1層目の基板と2層目の基板との間に配置する。
また、複数の画素20と垂直走査回路21と水平走査回路22とは1層目の基板に配置し、CDS回路27と出力アンプ29とは2層目の基板に配置してもよい。
さらにまた、積層センサは3層以上にしてもよい。
【0143】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0144】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2017年第75177号(2017年4月5日出願)
【符号の説明】
【0145】
1…カメラ、2…撮像光学系、3…撮像素子、9…マイクロプロセッサ、10…焦点演算部、13…画像処理部20、20G、20R、20B…画素、21…垂直走査回路、22…水平走査回路、23、24…制御信号線、25…垂直信号線、AMP…増幅トランジスタ、FD…FD領域、PD-1、PD-2…フォトダイオード、SEL…選択トランジスタ、Tx-1、Tx-2…転送トランジスタ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18