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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】冷凍機油、及び冷凍機用組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 107/24 20060101AFI20220628BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20220628BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20220628BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20220628BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
C10M107/24
C10M105/38
C09K5/04 E
C09K5/04 F
C10N40:30
C10N30:00 Z
C10N30:00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021087112
(22)【出願日】2021-05-24
(62)【分割の表示】P 2017079193の分割
【原出願日】2017-04-12
(65)【公開番号】P2021121680
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100153866
【弁理士】
【氏名又は名称】滝沢 喜夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 知也
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/125883(WO,A1)
【文献】特開2011-195725(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056392(WO,A1)
【文献】特開2012-052135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合冷媒と、冷凍機油とを含有する冷凍機用組成物であって、
前記混合冷媒が、混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満と、
1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)からなる群より選ばれる1種以上を40質量%超と、
ジフルオロメタン(R32)とを含有
前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)が、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記冷凍機油が、ポリビニルエーテル類(PVE)、及びポリオールエステル類(POE)からなる群より選ばれる1種以上を含む基油(P)を含有し、
該基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下であり、かつ、
体積抵抗率が2.0×10 Ω・m以上である、冷凍機用組成物。
【請求項2】
前記基油(P)の水酸基価が、10mgKOH/g以下である、請求項1に記載の冷凍機用組成物
【請求項3】
前記冷凍機油が、更に、酸化防止剤、油性向上剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、金属不活性化剤、防錆剤及び消泡剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤を含有する、請求項1又は2に記載の冷凍機用組成物
【請求項4】
前記冷凍機油が、前記添加剤を冷凍機油全量基準で0.1質量%以上10質量%以下含有する、請求項に記載の冷凍機用組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機油、及び該冷凍機油を含む冷凍機用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮型冷凍機は、少なくとも圧縮機、凝縮器、膨張機構(膨張弁等)、蒸発器等で構成されると共に、密閉された系内を、冷媒と冷凍機油との混合物(以下、「冷凍機用組成物」ともいう)が循環する構造となっている。
圧縮型冷凍機に用いられる冷媒としては、従来多く使用されていたハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)に代わり、環境負荷が低いフッ化炭化水素化合物が使用されるようになってきている。フッ化炭化水素化合物としては、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)、ジフルオロメタン(R32)、ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンとの混合物(R410A)等の飽和フッ化炭化水素化合物(Hydro-Fluoro-Carbon;以下、「HFC」とも略称する。)が多く使用されている。
また、地球温暖化係数が低い1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)等の不飽和フッ化炭化水素化合物(Hydro-Fluoro-Olefin;以下、「HFO」とも略称する。)の使用も検討されている。
このように、より地球温暖化係数が低い冷媒が求められる中、例えば、各空調メーカーではルームエアコンやパッケージエアコン用としてR410Aに代わりR32冷媒(ジフルオロメタン)を採用している。また、低温機器では現行のR404Aに代わる冷媒が求められている。
そこで、近年、特にこれらの用途では、前述のHFOを含む冷媒の実用化が検討され始めている。
例えば、特許文献1には、特定の構造を有するハイドロフルオロエタンと、ジフルオロエタンと、テトラフルオロプロペンとを含有する冷媒と、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル及びポリアルキレングリコール化合物から選ばれる少なくとも1種を基油として含有し、該基油の炭素/酸素モル比が2.5以上5.8以下である冷凍機油と、を含有する冷凍機用作動流体組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/147048号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した構造を有する圧縮型冷凍機においては、装置の種類にもよるが、一般に、圧縮機内では高温、冷却器内では低温となるので、冷媒及び冷凍機油は低温から高温まで幅広い温度範囲で相分離することなく、この系内を循環することが必要である。もし、圧縮型冷凍機の運転中に、冷媒と冷凍機油との間で相分離が生じると、圧縮型冷凍機の寿命及び冷凍効率の著しい低下を招く。そのため、冷凍機油には、用いる冷媒に対する優れた相溶性が求められる。
ここで、前述のとおり、近年、HFOを含有する混合冷媒の実用化が検討されており、実際にいくつかの混合冷媒が用いられるようになってきているが、これらの混合冷媒の中には、HFOを低い割合で含有する混合冷媒も多い。当該混合冷媒中に占めるHFOの割合が低い場合、例えば、特許文献1の実施例で具体的に開示されている冷媒のような混合冷媒中のHFOの割合が比較的多い混合冷媒と比べて、混合冷媒と冷凍機油との相溶性が劣ってしまう(高温側分離温度が低下、低温側分離温度が上昇し、混合冷媒と冷凍機油とが分離しない温度域が狭くなってしまう)ことが確認された。
したがって、HFOの含有割合が低い混合冷媒に用いる冷凍機油には、低温から高温までより幅広い温度範囲にわたって、当該混合冷媒との優れた相溶性を有する冷凍機油の開発が必要であることがわかった。
また、冷凍機油には、機器における漏れ電流防止の観点から、冷凍機用組成物として用いる際の電気特性、具体的には高い体積抵抗率が要求されている。しかしながら、混合冷媒に占めるHFOの割合が低くなると、当該体積抵抗率についても低下してしまうことが確認された。
したがって、HFOの含有割合が低い混合冷媒に用いる冷凍機油には、冷凍機用組成物として用いた際、より高い体積抵抗率が要求されることもわかった。
【0005】
本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、混合冷媒全量基準でHFOを40質量%未満含有する混合冷媒との相溶性に優れ、かつ電気特性に優れる冷凍機用組成物が得られる冷凍機油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の化合物を基油として含む基油(P)を含有し、基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下である冷凍機油が、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の各実施形態によれば、以下の[1]~[3]が提供される。
[1]混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒用の冷凍機油であって、
ポリビニルエーテル類(PVE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(ECP)、及びポリオールエステル類(POE)からなる群より選ばれる1種以上を含む基油(P)を含有し、該基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下である、冷凍機油。
[2]混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒と、前記[1]に記載の冷凍機油とを含有する、冷凍機用組成物。
[3]上記[1]に記載の冷凍機油と、混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒とを混合する工程を有する、前記[2]に記載の冷凍機用組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、混合冷媒全量基準でHFOを40質量%未満含有する混合冷媒との相溶性に優れ、かつ電気特性に優れる冷凍機用組成物が得られる冷凍機油を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[冷凍機油]
本発明の一実施形態に係る冷凍機油(以下、単に「冷凍機油」ともいう。)は、冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒(以下、「HFO低含有冷媒」ともいう。)用の冷凍機油であって、ポリビニルエーテル類(以下、「PVE」ともいう。)、ポリアルキレングリコール類(以下、「PAG」ともいう。)、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(以下、「ECP」ともいう。)、及びポリオールエステル類(以下、「POE」ともいう。)からなる群より選ばれる1種以上を含む基油(P)を含有し、該基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下である、冷凍機油である。
当該冷凍機油は、水酸基価が15mgKOH/g以下である基油(P)を含有することで、前述のHFO低含有冷媒との相溶性に優れる。
【0009】
なお、本明細書中、「炭化水素基」とは、炭素原子及び水素原子のみから構成されている基を意味する。「炭化水素基」には、直鎖又は分岐鎖から構成される「脂肪族基」、芳香性を有しない飽和又は不飽和の炭素環を1以上有する「脂環式基」、ベンゼン環等の芳香性を示す芳香環を1以上有する「芳香族基」が含まれる。
また、本明細書中、「環形成炭素数」とは、原子が環状に結合した構造の化合物の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。
また、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造の化合物の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。
【0010】
また、「置換若しくは無置換」との記載における置換基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下、更に好ましくは1以上3以下)のアルキル基;環形成炭素数3以上10以下(好ましくは3以上8以下、より好ましくは4以上6以下、更に好ましくは5又は6)のシクロアルキル基;環形成炭素数6以上18以下(好ましくは6以上12以下)のアリール基;ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;アミノ基等が挙げられる。
これらの置換基は、更に前述の任意の置換基により置換されていてもよい。
また、「置換若しくは無置換」との記載における「無置換」とは、これらの置換基で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
以下、当該冷凍機油に含有される各成分について説明する。
【0011】
<基油(P)>
前記冷凍機油が含有する基油(P)は、ポリビニルエーテル類(PVE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(ECP)、及びポリオールエステル類(POE)からなる群より選ばれる1種以上を含む基油である。
当該基油(P)としては、冷凍機油のHFO低含有冷媒との相溶性の観点、並びに、得られる冷凍機用組成物の体積抵抗率向上の観点から、PVE、POE、及びECPからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、PVE及びPOEからなる群より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、PVEを含むことが更に好ましい。
また、HFO低含有冷媒との相溶性に優れた冷凍機油とする観点から、当該基油(P)の全量100質量%中、PVE、POE、ECP、及びPAGからなる群より選ばれる1種以上の合計含有量は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは90質量%以上100質量%以下であり、より更に好ましくは98質量%以上100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
以下、当該基油(P)が含有するPVE、PAG、ECP、POEについて順次説明する。
【0012】
(ポリビニルエーテル類(PVE))
前記ポリビニルエーテル類(PVE)としては、ビニルエーテルに由来する構成単位を1種以上有する重合体が挙げられる。なお、前記基油(P)中に当該PVEが含まれる場合、前記基油(P)は、当該PVEを、単独で含有してもよく又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該PVEの中でも、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、ビニルエーテルに由来する構成単位を1種以上有し、側鎖に炭素数1以上4以下のアルキル基を有する重合体が好ましい。
【0013】
当該PVEの中でも、次の一般式(A-1)で表される構成単位を1種以上有する重合体(A1)であることが好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
一般式(A-1)中、R1a、R2a、及びR3aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上8以下の炭化水素基を示す。R4aは、炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基を示す。R5aは、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。
一般式(A-1)中、rは、OR4aで表される単位の数の平均値であって、0以上10以下の数を示すが、好ましくは0以上5以下の数、より好ましくは0以上3以下の数、更に好ましくは0である。
なお、一般式(A-1)中にOR4aが複数存在する場合(すなわち、rが2以上の数の場合)、複数のOR4aは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
また、rが0である場合、一般式(A-1)中の炭素原子(C)と-OR5aとの結合は単結合であり、当該炭素原子(C)と-OR5aとは直接結合する。
【0016】
1a、R2a、及びR3aとして選択し得る炭素数1以上8以下の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
なお、本明細書において、「各種XXX基」との表現にて、XXX基として考えられるすべての異性体を包含している。例えば、「各種アルキル基」とは「直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基」を表し、例えば、「各種プロピル基」であれば、「n-プロピル基、イソプロピル基」等の各種プロピル基を表し、また、「各種ブチル基」であれば、「n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基」等の各種ブチル基を表す。
1a、R2a、及びR3aとして選択し得る当該炭化水素基の炭素数としては、好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下、更に好ましくは1以上3以下である。
【0017】
1a、R2a、及びR3aとしては、それぞれ独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1以上8以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基、より更に好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。
なお、R1a、R2a、及びR3aは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0018】
4aとして選択し得る炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基としては、例えば、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種ヘプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基等の2価の脂肪族基;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン等の脂環式化合物の2価の残基である脂環式基;各種フェニレン基、各種メチルフェニレン基、各種エチルフェニレン基、各種ジメチルフェニレン基、各種ナフチレン等の2価の芳香族基;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等のアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分と芳香族部分とにそれぞれ1価の結合部位を有する2価のアルキル芳香族基;キシレン、ジエチルベンゼン等のポリアルキル芳香族炭化水素のアルキル基部分に結合部位を有する2価のアルキル芳香族基;等が挙げられる。
4aとして選択し得る当該炭化水素基の炭素数としては、好ましくは2以上8以下、より好ましくは2以上6以下、更に好ましくは2以上4以下である。
4aとしては、好ましくは炭素数2以上10以下の2価の脂肪族基、好ましくは炭素数2以上6以下の2価の脂肪族基、更に好ましくは炭素数2以上4以下の2価の脂肪族基である。
【0019】
5aとして選択し得る炭素数1以上10以下の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
5aとして選択し得る前記炭化水素基の炭素数としては、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上6以下である。
【0020】
5aとしては、HFO低含有冷媒との相溶性をより向上させる観点から、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基、より好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基、更に好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0021】
本発明の一実施形態において、重合体(A1)は、R5aがエチル基である構成単位(α1)を有することが好ましい。
構成単位(α1)の含有量としては、重合体(A1)が有する構成単位の全量(100質量%)基準で、好ましくは30質量%以上100質量%以下、より好ましくは40質量%以上100質量%以下、更に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
【0022】
また、本発明の一実施形態において、重合体(A1)は、R5aがエチル基である構成単位(α1)と、R5aがメチル基である構成単位(α2)とを有する共重合体であってもよい。
当該共重合体において、構成単位(α1)と構成単位(α2)との質量比〔α1/α2〕としては、好ましくは30/70以上99/1以下、より好ましくは40/60以上95/5以下、更に好ましくは50/50以上90/10以下である。
【0023】
また、重合体(A1)中の構成単位(α1)及び(α2)の合計含有量としては、重合体(A1)が有する構成単位の全量(100質量%)基準で、好ましくは70質量%以上100質量%以下、より好ましくは80質量%以上100質量%以下、更に好ましくは90質量%以上100質量%以下、より更に好ましくは95質量%以上100質量%以下である。
【0024】
重合体(A1)中、一般式(A-1)で表される構成単位の単位数(重合度数)としては、前記基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下の範囲に属するように適宜設定すればよい。
また、重合体(A1)は、一般式(A-1)で表される構成単位を1種のみ有する単独重合体であってもよく、当該構成単位を2種以上有する共重合体であってもよい。
なお、当該共重合体の共重合の形態としては、特に制限はなく、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、又はグラフト共重合体であってもよい。
【0025】
重合体(A1)の末端部分には、飽和の炭化水素、エーテル、アルコール、ケトン、アミド、ニトリル等に由来する1価の基を導入してもよい。
本発明の一実施形態において、重合体(A1)の一方の末端が次の一般式(A-1-i)で表される基であることが好ましい。
【0026】
【化2】
【0027】
一般式(A-1-i)中、*は一般式(A-1)で表される構成単位中の炭素原子との結合位置を示す。
一般式(A-1-i)中、R6a、R7a、及びR8aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上8以下の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下の炭化水素基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。
なお、R6a、R7a、及びR8aは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
6a、R7a、及びR8aとして選択し得る炭素数1~8の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR1a、R2a、及びR3aとして選択し得る炭素数1以上8以下の炭化水素基として列挙したものと同じものが挙げられる。
【0028】
一般式(A-1-i)中、R9aは、炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数2以上8以下の2価の炭化水素基、より好ましくは炭素数2以上6以下の2価の炭化水素基、更に好ましくは炭素数2以上4以下の2価の脂肪族基である。
一般式(A-1-i)中、r1は、OR9aで表される単位の数の平均値であって、0以上10以下の数を示すが、好ましくは0以上5以下の数、より好ましくは0以上3以下の数、更に好ましくは0である。
なお、一般式(A-1-i)中にOR9aが複数存在する場合(すなわち、r1が2以上の数の場合)、複数のOR9aは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、r1が0である場合、一般式(A-1-i)中の炭素原子(C)と-OR10aとの結合は単結合であり、当該炭素原子(C)と-OR10aとは直接結合する。
【0029】
9aとして選択し得る炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR4aとして選択し得る炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基として列挙したものと同じものが挙げられる。
【0030】
一般式(A-1-i)中、R10aは、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1以上8以下の炭化水素基、より好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基である。
なお、R10aとしては、一般式(A-1-i)中のr1が0である場合には、更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基であり、r1が1以上である場合には、更に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。
10aとして選択し得る炭素数1以上10以下の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR5aとして選択し得る炭素数1以上10以下の炭化水素基として列挙したものと同じものが挙げられる。
【0031】
また、重合体(A1)において、一方の末端が一般式(A-1-i)で表される基であり、他方の末端が、一般式(A-1-i)で表される基、下記一般式(A-1-ii)で表される基、下記一般式(A-1-iii)で表される基、及びオレフィン性不飽和結合を有する基からなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
【0032】
【化3】
【0033】
一般式(A-1-ii)及び(A-1-iii)中、R11a、R12a、R13a、R18a、R19a、及びR20aは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上8以下の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下の炭化水素基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。R11a、R12a、R13a、R18a、R19a、及びR20aは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
11a、R12a、R13a、R18a、R19a、及びR20aとして選択し得る炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR1a、R2a、及びR3aとして選択し得る炭素数1以上8以下の炭化水素基として列挙したものと同じものが挙げられる。
【0034】
一般式(A-1-ii)中、R14a及びR16aは、それぞれ独立に、炭素数2以上10以下の2価の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数2以上6以下の2価の炭化水素基、より好ましくは炭素数2以上4以下の2価の脂肪族基である。R14a及びR16aとして選択し得る2価の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR4aとして選択し得る2価の炭化水素基と同じものが挙げられる。
【0035】
一般式(A-1-ii)中、r2及びr3は、それぞれOR14a及びOR16aで表される単位の数の平均値であって、それぞれ独立に、0以上10以下の数を示し、好ましくは0以上5以下の数、より好ましくは0以上3以下の数、更に好ましくは0である。
一般式(A-1-ii)中にOR14a及びOR16aが複数存在する場合、複数のOR14a及び複数のOR16aは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
また、r2が0である場合、一般式(A-1-ii)中の炭素原子(C)と-OR15aとの結合は単結合であり、当該炭素原子(C)と-OR15aとは直接結合する。同様に、r3が0である場合、一般式(A-1-ii)中の炭素原子(C)と-OR17aとの結合は単結合であり、当該炭素原子(C)と-OR17aとは直接結合する。
【0036】
一般式(A-1-ii)中、R15a及びR17aは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1以上8以下の炭化水素基、より好ましくは炭素数1以上8以下のアルキル基である。
なお、R15aとしては、r2が0である場合には、更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基であり、r2が1以上である場合には、更に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。同様に、R17aとしては、r3が0である場合には、更に好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基であり、r3が1以上である場合には、更に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。
【0037】
(ポリアルキレングリコール類(PAG))
前記ポリアルキレングリコール類(PAG)としては、次の一般式(B-1)で表される化合物(B1)であることが好ましい。なお、前記基油(P)中に当該PAGが含まれる場合、前記基油(P)は、当該PAGを、単独で含有してもよく又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
1b-[(OR2b-OR3b (B-1)
【0038】
一般式(B-1)中、R1bは、水素原子、炭素数1以上10以下の1価の炭化水素基、炭素数2以上10以下のアシル基、炭素数1以上10以下の2価以上6価以下の炭化水素基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数3以上10以下の複素環基を示す。
2bは、炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。
3bは、水素原子、炭素数1以上10以下の1価の炭化水素基、炭素数2以上10以下のアシル基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数3以上10以下の複素環基を示す。
【0039】
一般式(B-1)中、nは、1以上6以下の整数であり、好ましくは1以上4以下の整数、より好ましくは1以上3以下の整数、更に好ましくは1である。
nは、一般式(B-1)中のR1bの結合部位の数に応じて定められる。例えば、R1bがアルキル基やアシル基の場合、nは1となり、R1bが炭化水素基又は複素環基であり、当該基の価数が2、3、4、5、及び6である場合、nはそれぞれ2、3、4、5及び6となる。
一般式(B-1)中、mは、OR2bで表される単位の数の平均値であって、1以上の数を示し、好ましくはm×nの平均値が6以上80以下となる数である。なお、当該mの値は、前記基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下の範囲に属するように適宜設定される値であり、当該水酸基価が所定の範囲内に属するように調整されていれば、特に制限はない。
OR2bが複数存在する場合、複数のOR2bは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。また、nが2以上の場合、1分子中の複数のR3bは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0040】
1b及びR3bして選択し得る前記1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、各種メチルシクロヘキシル基、各種エチルシクロヘキシル基、各種プロピルシクロヘキシル基、各種ジメチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、各種フェニルエチル基、各種メチルベンジル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基等のアリールアルキル基;等が挙げられる。
当該1価の炭化水素基の炭素数としては、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上3以下である。
【0041】
1b及びR3bとして選択し得る前記炭素数2以上10以下のアシル基が有する炭化水素基部分は、直鎖、分岐鎖、環状のいずれであってもよい。当該アルキル基部分としては、前述のR1b及びR3bとして選択し得る炭化水素基のうち炭素数1以上9以下の炭化水素基が挙げられる。
なお、当該アシル基の炭素数としては、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上8以下、更に好ましくは2以上6以下である。
【0042】
1bとして選択し得る前記2以上6価以下の炭化水素基としては、例えば、前述のR1bとして選択し得る1価の炭化水素基から、更に水素原子を1個以上5個以下除いた残基や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,3-トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン等の多価アルコールから水酸基を除いた残基等が挙げられる。
なお、当該2価以上6価以下の炭化水素基の炭素数としては、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上8以下、更に好ましくは2以上6以下である。
【0043】
1b及びR3bして選択し得る前記複素環基としては、酸素原子含有複素環基又は硫黄原子含有複素環基が好ましい。なお、当該複素環基は、飽和環であってもよく、不飽和環であってもよい。
当該酸素原子含有複素環基としては、例えば、エチレンオキシド、1,3-プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及びヘキサメチレンオキシド等の酸素原子含有飽和複素環;又はアセチレンオキシド、フラン、ピラン、オキシシクロヘプタトリエン、イソベンゾフラン、及びイソクロメン等の酸素原子含有不飽和複素環;が有する水素原子を1個以上6個以下除いた残基が挙げられる。
また、当該硫黄原子含有複素環基としては、例えば、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、及びヘキサメチレンスルフィド等の硫黄原子含有飽和複素環;又はアセチレンスルフィド、チオフェン、チアピラン、及びチオトリピリデン等の硫黄原子含有不飽和複素環;等が有する水素原子を1個以上6個以下除いた残基が挙げられる。
【0044】
また、R1b及びR3bして選択し得る前記複素環基は、置換基を有していてもよく、当該置換基が一般式(B-1)中の酸素原子と結合していてもよい。当該置換基としては、前述のとおりであるが、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基、より好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基である。
なお、当該複素環基の環形成原子数としては、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、好ましくは3以上10以下、より好ましくは3以上8以下、更に好ましくは3以上6以下である。
【0045】
2bとして選択し得る前記アルキレン基としては、例えば、ジメチレン基(-CHCH-)、エチレン基(-CH(CH)-)等の炭素数2のアルキレン基;トリメチレン基(-CHCHCH-)、プロピレン基(-CH(CH)CH-)、プロピリデン基(-CHCHCH-)、イソプロピリデン基(-C(CH-)等の炭素数3のアルキレン基;テトラメチレン基(-CHCHCHCH-)、1-メチルトリメチレン基(-CH(CH)CHCH-)、2-メチルトリメチレン基(-CHCH(CH)CH-)、ブチレン基(-C(CHCH-)等の炭素数4のアルキレン基が挙げられる。
なお、R2bが複数存在する場合、複数のR2bは、それぞれ同一であってもよく、2種以上のアルキレン基の組み合わせであってもよい。
これらのアルキレン基中、R2bとしては、好ましくはプロピレン基(-CH(CH)CH-)である。
【0046】
なお、一般式(B-1)で表される化合物(B1)中、オキシプロピレン単位(-OCH(CH)CH-)の含有量は、化合物(B1)中のオキシアルキレン単位(OR2b)の全量(100モル%)基準で、好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは65モル%以上100モル%以下、更に好ましくは80モル%以上100モル%以下である。
【0047】
化合物(B1)の中でも、下記一般式(B-1-i)で表されるポリプロピレングリコールジメチルエーテル、下記一般式(B-1-ii)で表されるポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体ジメチルエーテル、下記一般式(B-1-iii)で表されるポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びポリプロピレングリコールジアセテートからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0048】
【化4】
【0049】
一般式(B-1-i)中、m1は、オキシプロピレン単位の数の平均値であって、1以上の数を示し、好ましくは6以上80以下の数である。
【0050】
【化5】
【0051】
一般式(B-1-ii)中、m2及びm3は、それぞれオキシプロピレン単位及びオキシエチレン単位の数の平均値であって、それぞれ独立に、1以上の数を示し、好ましくはm2+m3の値が6以上80以下となる数である。
【0052】
【化6】
【0053】
一般式(B-1-iii)中、m4は、オキシプロピレン単位の数の平均値であって、1以上の数を示し、好ましくは6以上80以下の数である。
【0054】
なお、一般式(B-1-i)中のm1、一般式(B-1-ii)中のm2及びm3、並びに一般式(B-1-iii)中のm4は、前記基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下の範囲に属するように適宜設定される値であり、当該水酸基価が所定の範囲内に属するように調整されていれば、特に制限はない。
【0055】
(ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(ECP))
前記ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(ECP)としては、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルに由来の構成単位と、ポリビニルエーテルに由来の構成単位とを有する共重合体であればよい。
なお、「ポリ(オキシ)アルキレングリコール」とは、ポリアルキレングリコール及びポリオキシアルキレングリコールの両方を指す。
また、前記基油(P)中に当該ECPが含まれる場合、前記基油(P)は、当該ECPを、単独で含有してもよく又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該ECPの中でも、次の一般式(C-1)で表される共重合体(C1)又は一般式(C-2)で表される共重合体(C2)であることが好ましい。
【0056】
【化7】
【0057】
一般式(C-1)及び(C-2)中、R1c、R2c、及びR3cは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上8以下の炭化水素基を示す。
4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下の炭化水素基を示す。
5cは、それぞれ独立に、炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。
6cは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数3以上20以下の脂環式基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上24以下の芳香族基、炭素数2以上20以下のアシル基、又は炭素数2以上50以下の酸素含有炭化水素基を示す。
なお、R1c、R2c、R3c、R4c、R5c、及びR6cが複数存在する場合、構成単位ごとにそれぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
及びYは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1以上20以下の炭化水素基を示す。
【0058】
一般式(C-1)及び(C-2)中のvは、OR5cで表される単位の数の平均値であって、1以上の数を示し、好ましくは1以上50以下の数である。OR5cが複数存在する場合、複数のOR5cは、それぞれ同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。なお、「OR5c」は、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルに由来の構成単位を示すものである。
一般式(C-1)中のuは、0以上の数を示し、好ましくは0以上50以下の数であり、wは、1以上の数を示し、好ましくは1以上50以下の数である。
一般式(C-2)中のx及びyは、それぞれ独立に、1以上の数を示し、好ましくは1以上50以下の数である。
なお、上記v、u、w、x、yの値は、前記基油の水酸基価が15mgKOH/g以下の範囲に属するように適宜設定される値であり、当該水酸基価が所定の範囲内に属するように調整されていれば、特に制限はない。
【0059】
なお、共重合体(C1)及び共重合体(C2)の共重合の形態としては、特に制限はなく、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、又はグラフト共重合体であってもよい。
【0060】
1c、R2c、及びR3cとして選択し得る炭素数1以上8以下の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR1a、R2a、及びR3aとして選択し得る炭素数1以上8以下の1価の炭化水素基と同じものが挙げられる。
1c、R2c、及びR3cとして選択し得る前記炭化水素基の炭素数としては、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上3以下である。
1c、R2c、及びR3cとしては、それぞれ独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1以上8以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。
また、R1c、R2c、及びR3cの少なくとも一つが水素原子であることが好ましく、R1c、R2c、及びR3cの全てが水素原子であることがより好ましい。
【0061】
4cとして選択し得る炭素数1以上10以下の炭化水素基としては、一般式(A-1)中のR5aとして選択し得る炭素数1以上10以下の炭化水素基と同じものが挙げられる。
4cとして選択し得る前記炭化水素基の炭素数としては、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上4以下である。
【0062】
5cとして選択し得る前記アルキレン基としては、一般式(B-1)中のR2bとして選択し得る炭素数2以上4以下のアルキレン基と同じものが挙げられ、好ましくはプロピレン基(-CH(CH)CH-)である。
なお、共重合体(C1)又は共重合体(C2)において、オキシプロピレン単位(-OCH(CH)CH-)の含有量は、共重合体(C1)又は共重合体(C2)中のポリ(オキシ)アルキレングリコール若しくはそのモノエーテルに由来の構成単位であるオキシアルキレン(OR5b)の全量(100モル%)基準で、好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは65モル%以上100モル%以下、更に好ましくは80モル%以上100モル%以下である。
【0063】
6cとして選択し得る炭素数1以上20以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基等が挙げられる。
当該アルキル基との炭素数としては、好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上3以下である。
【0064】
6cとして選択し得る環形成炭素数3以上20以下の脂環式基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。
当該脂環式基の環形成炭素数としては、好ましくは3以上10以下、より好ましくは3以上8以下、更に好ましくは3以上6以下である。
なお、当該脂環式基は、前述の置換基を有していてもよく、当該置換基としては、アルキル基が好ましい。
【0065】
6cとして選択し得る環形成炭素数6以上24以下の芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
当該芳香族基の環形成炭素数としては、好ましくは6以上18以下、より好ましくは6以上12以下である。
なお、当該芳香族基は、前述の置換基を有していてもよく、当該置換基としては、アルキル基が好ましい。
【0066】
6cとして選択し得る環形成炭素数2以上20以下のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピパロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基等が挙げられる。
当該アシル基の炭素数としては、好ましくは2以上10以下、好ましくは2以上8以下、更に好ましくは2以上6以下である。
【0067】
6cとして選択し得る炭素数2以上50以下の酸素含有炭化水素基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、1,1-ビスメトキシプロピル基、1,2-ビスメトキシプロピル基、エトキシプロピル基、(2-メトキシエトキシ)プロピル基、(1-メチル-2-メトキシ)プロピル基等が挙げられる。
当該炭素含有炭化水素基の炭素数としては、好ましくは2以上20以下、より好ましくは2以上10以下、更に好ましくは2以上6以下である。
【0068】
、Yとして選択し得る炭素数1以上20以下の炭化水素基としては、炭素数1以上20以下(好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上6以下、更に好ましくは1以上3以下)のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数3以上20以下(好ましくは3以上10以下、より好ましくは3以上8以下、更に好ましくは3以上6以下)のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、炭素数7以上20以下(好ましくは7以上13以下)のアリールアルキル基等が挙げられる。
【0069】
(ポリオールエステル類(POE))
前記ポリオールエステル類(POE)としては、例えば、ジオール又はポリオールと脂肪酸とのエステルが挙げられる。前記基油(P)中に当該POEが含まれる場合、前記基油(P)は、当該POEを、単独で含有してもよく又は2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該POEの中でも、ジオール又は水酸基の数が3以上20以下のポリオールと炭素数3以上20以下の脂肪酸とのエステルが好ましい。
【0070】
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。
【0071】
前記ポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ-(トリメチロールプロパン)、トリ-(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ-(ペンタエリスリトール)、トリ-(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2~20量体)、1,3,5-ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレンジトース等の糖類;並びに、これらの部分エーテル化物及びメチルグルコシド(配糖体)等が挙げられる。
これらポリオールの中でも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ-(トリメチロールプロパン)、トリ-(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ-(ペンタエリスリトール)、トリ-(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールが好ましい。
【0072】
前記脂肪酸の炭素数としては、潤滑性能の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、また、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは9以下である。
なお、当該脂肪酸の炭素数には、前記脂肪酸が有するカルボキシ基(-COOH)の炭素原子も含まれる。
また、前記脂肪酸としては、直鎖状脂肪酸であってもよく、分岐状脂肪酸であってもよいが、潤滑性能の観点からは、直鎖状脂肪酸が好ましく、加水分解安定性の観点からは、分岐状脂肪酸が好ましい。前記脂肪酸としては、更に、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
【0073】
前記脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸等の直鎖状脂肪酸又は分岐状脂肪酸、又はα炭素原子が4級であるいわゆるネオ酸等が挙げられる。
前記脂肪酸としては、好ましくは、イソ酪酸、吉草酸(n-ペンタン酸)、カプロン酸(n-ヘキサン酸)、エナント酸(n-ヘプタン酸)、カプリル酸(n-オクタン酸)、ペラルゴン酸(n-ノナン酸)、カプリン酸(n-デカン酸)、オレイン酸(cis-9-オクタデセン酸)、イソペンタン酸(3-メチルブタン酸)、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上である。
【0074】
POEとしては、ポリオールの全ての水酸基がエステル化されずに残った部分エステルであってもよく、全ての水酸基がエステル化された完全エステルであってもよく、又は、当該部分エステルと当該完全エステルとの混合物であってもよく、好ましくは完全エステルである。
【0075】
POEの中でも、より加水分解安定性に優れるとの観点から、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ-(トリメチロールプロパン)、トリ-(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ-(ペンタエリスリトール)、トリ-(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールのエステルが好ましく、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールのエステル、及びジ-(ペンタエリスリトール)のエステルがより好ましく、更にHFO低含有冷媒との相溶性及び加水分解安定性が更に優れるとの観点から、ペンタエリスリトールのエステル及びジ-(ペンタエリスリトール)のエステルが更に好ましい。
【0076】
POEの好適な一実施形態としては、例えば、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸とネオペンチルグリコールとのジエステル;イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸とトリメチロールエタンとのトリエステル;イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸とトリメチロールプロパンとのトリエステル;イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸とトリメチロールブタンとのトリエステル;イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレイン酸、イソペンタン酸、2-メチルヘキサン酸、2-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、及び3,5,5-トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸とペンタエリスリトールとのテトラエステル;等が好ましい。
【0077】
POEの中でも、HFO低含有冷媒との相溶性の観点から、ポリオールと2種以上の混合脂肪酸とのエステルが好ましく、水酸基数が2以上20以下のポリオールと2種以上の炭素数3以上20以下の混合脂肪酸とのエステルがより好ましい。
当該2種以上の混合脂肪酸の例としては、好ましくは炭素数4以上9以下の脂肪酸からなる群より選ばれる2種以上の脂肪酸を組み合わせた混合脂肪酸、より好ましくは炭素数8及び9の脂肪酸を組み合わせた混合脂肪酸、炭素数5及び9の脂肪酸を組み合わせた混合脂肪酸並びに炭素数4、5及び9の脂肪酸を組み合わせた混合脂肪酸からなる群より選ばれる1種以上の混合脂肪酸、更に好ましくは炭素数8及び9の脂肪酸を組み合わせた混合脂肪酸が挙げられる。
なお、2種以上の脂肪酸とのエステルである場合、当該エステルは1種の脂肪酸とポリオールとのエステルを2種以上混合したものであってもよい。
【0078】
前述のPVE、PAG、ECP、POEの数平均分子量(Mn)は、それぞれ独立に、好ましくは300以上3,000以下である。
当該数平均分子量(Mn)が300以上であると、潤滑性及びシール性が良好となる。一方、当該数平均分子量(Mn)が3,000以下であると、HFO低含有冷媒との相溶性が良好となる。
このような観点から、前述のPVE、PAG、ECP、POEの数平均分子量(Mn)は、それぞれ独立に、より好ましくは350以上、更に好ましくは400以上であり、そして、より好ましくは1,500以下、更に好ましくは1,200以下である。
なお、当該数平均分子量(Mn)は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
【0079】
(その他の基油)
前記基油(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、PVE、PAG、ECP及びPOEからなる群より選ばれる1種以上の基油に加えて、更にその他の基油を含有してもよい。
当該その他の基油としては、例えば、鉱油又は前述のPVE、PAG、ECP、POEには該当しない、ポリエステル類、ポリカーボネート類、α-オレフィンオリゴマーの水素化物、脂環式炭化水素化合物、及びアルキル化芳香族炭化水素化合物等のその他の合成油が挙げられる。
当該鉱油としては、例えば、パラフィン系、中間基系、若しくはナフテン系原油を常圧蒸留するか、又は原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等のうちの1つ以上の処理を行って精製した油、鉱油系ワックスを異性化することによって製造される油、又はフィシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガストゥリキッド ワックス)を異性化することによって製造される油等が挙げられる。
鉱油及びその他の合成油は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
前記基油(P)が当該その他の基油を含有する場合、HFO低含有冷媒との相溶性に優れた冷凍機油とする観点から、当該その他の基油の含有量は、前記基油(P)の全量100質量%中、好ましくは0質量%以上50質量%以下、より好ましくは0質量%以上30質量%以下、更に好ましくは0質量%以上10質量%以下、より更に好ましくは0質量%以上2質量%以下である。
【0081】
本発明の一実施形態である冷凍機油中、前記基油(P)の含有量は、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは90質量%以上100質量%以下、より好ましくは95質量%以上100質量%以下、更に好ましくは97質量%以上100質量%以下である。
【0082】
(基油(P)の性状)
前記基油(P)の水酸基価は15mgKOH/g以下である。
当該基油(P)の水酸基価が15mgKOH/gを超えると、冷凍機油のHFO低含有冷媒との相溶性及び得られる冷凍機用組成物の良好な電気特性が得られない。
このような観点から、当該基油(P)の水酸基価は、好ましくは10mgKOH/g以下、より好ましくは9mgKOH/g以下、更に好ましくは8mgKOH/g以下、より更に好ましくは5mgKOH/g以下、より更に好ましくは3mgKOH/g以下である。
なお、当該基油(P)の水酸基価は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
また、基油(P)の水酸基価は、各種基油を合成するに際し、例えば、原料の仕込み量及び/又は重合後の水素添加処理の条件を調整することにより調整できる。
【0083】
前記基油(P)の100℃における動粘度(以下、「100℃動粘度」ともいう。)は、好ましくは2.0mm/s以上50.0mm/s以下である。
当該動粘度が2.0mm/s以上であると、潤滑性及びシール性が良好となる。一方、当該動粘度が50.0mm/s以下であると、HFO低含有冷媒との相溶性が良好となる。
このような観点から、当該基油(P)の100℃動粘度は、好ましくは3.0mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上、更に好ましくは5.0mm/s以上であり、そして、好ましくは40.0mm/s以下、より好ましくは30.0mm/s以下、更に好ましくは25.0mm/s以下、より更に好ましくは15.0mm/s以下である。
なお、当該基油(P)の100℃動粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
【0084】
前記基油(P)の引火点は、安全性の観点から、好ましくは180℃以上である。このような観点から、当該基油(P)の引火点は、より好ましくは190℃以上、更に好ましくは195℃以上である。
また、当該基油(P)の引火点について、その上限は特に制限はないが、例えば、300℃以下である。
なお、当該基油(P)の引火点は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
【0085】
<その他添加剤>
前記冷凍機油は、前記基油(P)に加えて、冷凍機油が含有していてもよい各種の添加剤(以下、「その他添加剤」ともいう。)を含有していてもよく、当該その他添加剤としては、例えば、酸化防止剤、油性向上剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、金属不活性化剤、防錆剤、及び消泡剤からなる群より選ばれる1種以上の添加剤が挙げられる。
前記冷凍機油が当該その他添加剤を含有する場合、効果及び経済性等の点から、当該その他の添加剤の合計含有量は、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
ただし、前記冷凍機油は当該その他添加剤を含有しなくてもよい。
【0086】
前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、モノフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
前記モノフェノール系酸化防止剤としては、n-オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-メチルヘプチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のアルキル-3-(3,5-ジ-tert―ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(アルキル基としては、炭素数4以上20以下のもの、好ましくは炭素数8以上18以下のものが挙げられる。);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等の2,6-ジ-tert-ブチル-4-アルキルフェノール(アルキル基の炭素数1以上4以下);2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-アミル-p-クレゾール等が挙げられる。
【0087】
前記ポリフェノール系酸化防止剤としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール)、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0088】
前記アミン系酸化防止剤としては、4,4’-ジブチルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン;アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン等のフェニル-α-ナフチルアミン類;N,N’-ジ-フェニル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0089】
前記冷凍機油は当該酸化防止剤を1種単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該酸化防止剤の含有量は、得られる冷凍機油の酸価の上昇が抑制され、高温での酸化安定性がより向上しやすくなる観点から、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。そして、当該含有量は、含有量に見合った効果を発揮しやすくする観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0090】
前記油性向上剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪族飽和若しくは不飽和モノカルボン酸;ダイマー酸、水添ダイマー酸等の重合脂肪酸;リシノレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸;ラウリルアルコール、オレイルアルコール等の脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール;ステアリルアミン、オレイルアミン等の脂肪族飽和若しくは不飽和モノアミン;ラウリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪族飽和若しくは不飽和モノカルボン酸アミド;グリセリン、ソルビトール等の多価アルコールと脂肪族飽和若しくは不飽和モノカルボン酸との部分エステル;等が挙げられる。
【0091】
前記冷凍機油は当該油性向上剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該油性向上剤の含有量は、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0092】
前記極圧剤としては、例えば、リン系極圧剤が挙げられる。リン系極圧剤としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル又はこれらのアミン塩等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、モノアルキルジアリールホスフェート、ジアルキルモノアリールホスフェート、トリアルケニルホスフェート等が挙げられる。なお、当該極圧剤について述べる「アリール」は、芳香族環のみからなる官能基に限らず、アルキルアリール、及びアリールアルキルを含む概念である。
【0093】
前記リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ベンジルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、プロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジプロピルフェニルフェニルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフェート、ジエチルフェニルフェニルホスフェート、トリエチルフェニルホスフェート、トリプロピルフェニルホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ジブチルフェニルフェニルホスフェート、トリブチルフェニルホスフェート等のトリアリールホスフェート;トリブチルホスフェート、エチルジブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリデシルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリミリスチルホスフェート、トリパルミチルホスフェート、トリステアリルホスフェート等のアルキルホスフェート;エチルジフェニルホスフェート、トリオレイルホスフェート等が挙げられる。
【0094】
前記酸性リン酸エステルとしては、各種のアルキルアシッドホスフェート、ジアルキルアシッドホスフェート等が挙げられる。
前記亜リン酸エステルとしては、各種のトリアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、モノアルキルジアリールホスファイト、ジアルキルモノアリールホスファイト、トリアルケニルホスファイト等が挙げられる。
前記酸性亜リン酸エステルとしては、各種のジアルキルハイドロゲンホスファイト、ジアルケニルハイドロゲンホスファイト、ジアリールハイドロゲンホスファイト等が挙げられる。
また、前記リン系極圧剤としては、トリチオフェニルホスフェート等の硫黄原子を含有するリン酸エステル等であってもよい。なお、アミン塩としては、酸性リン酸エステル又は酸性亜リン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミン塩を形成するアミンは、1級、2級、又は3級アミンのいずれでもよい。
【0095】
前記冷凍機油は当該極圧剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該極圧剤の含有量は、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0096】
前記酸捕捉剤としては、例えば、エポキシ化合物が挙げられる。エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシド、エポキシ化大豆油等が挙げられるが、これらの中では、グリシジルエーテル化合物が好ましい。
前記グリシジルエーテル化合物としては、好ましくは炭素数3以上30以下、より好ましくは炭素数4以上24以下、更に好ましくは炭素数6以上16以下である脂肪族モノアルコール;炭素数3以上30以下、より好ましくは4以上24以下、更に好ましくは炭素数6以上16以下である脂肪族多価アルコール;又は水酸基を1個以上含有する芳香族化合物由来のグリシジルエーテルが挙げられる。脂肪族モノアルコール又は脂肪族多価アルコールは、直鎖状、分岐状若しくは環状のいずれでのものでもよく、また、飽和若しくは不飽和のいずれのものでもよい。
なお、脂肪族多価アルコールの場合又は水酸基を2個以上含有する芳香族化合物の場合、冷凍機油の安定性及び水酸基価の上昇を抑える観点から、水酸基の全てがグリシジルエーテル化されていることが好ましい。
【0097】
前記グリシジルエーテル化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル等が挙げられる。当該グリシジルエーテル化合物としては、例えば、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数6以上16以下の飽和脂肪族モノアルコール由来のグリシジルエーテル(すなわち、アルキル基の炭素数が6以上16以下のアルキルグリシジルエーテル)が挙げられ、例えば、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、イソノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテルが挙げられる。
【0098】
前記冷凍機油は当該酸捕捉剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該酸捕捉剤の含有量は、高温での酸化安定性がより向上しやすくなる観点から、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上である。そして、当該含有量は、含有量に見合った効果を発揮しやすくする観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0099】
前記酸素捕捉剤としては、例えば、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ジフェニルスルフィド、ジオクチルジフェニルスルフィド、ジアルキルジフェニレンスルフィド、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、ベンゾチアピラン、チアピラン、チアントレン、ジベンゾチアピラン、ジフェニレンジスルフィド等の含硫黄芳香族化合物、各種オレフィン、ジエン、トリエン等の脂肪族不飽和化合物、二重結合を持ったテルペン類等が挙げられる。
【0100】
前記冷凍機油は当該酸素捕捉剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
当該酸素捕捉剤の含有量は、前記冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0101】
前記金属不活性化剤としては、例えば、N-[N,N’-ジアルキル(炭素数3以上12以下のアルキル基)アミノメチル]トリアゾール等の銅不活性化剤を挙げることができる。
前記防錆剤としては、例えば、金属スルホネート、脂肪族アミン類、有機亜リン酸エステル、有機リン酸エステル、有機スルフォン酸金属塩、有機リン酸金属塩、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等を挙げることができる。
前記消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル、ポリメタクリレート類等が挙げられる。
前記冷凍機油は、前記金属不活性化剤、前記防錆剤又は前記消泡剤を、それぞれ、1種単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
前記冷凍機油が、前記金属不活性化剤、前記防錆剤又は前記消泡剤を含有する場合、各々の含有量は、冷凍機油全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0102】
<混合冷媒>
前記冷凍機油は、混合冷媒全量(100質量%)基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒(HFO低含有冷媒)用の冷凍機油である。
前述のとおり、混合冷媒中のHFO含有量が低くなるほど、前述の冷凍機油と当該混合冷媒との相溶性が低下する傾向にある。
そのため、得られる冷凍機用組成物における前記冷凍機油と当該混合冷媒とが相溶性可能な温度領域をより広く確保する観点からは、当該混合冷媒中のHFO含有量は、混合冷媒全量(100質量%)基準で、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。
一方、前記冷凍機油は、当該HFO低含有冷媒のようなHFO含有量の低い混合冷媒であっても、優れた相溶性を有する。そのため、より混合冷媒中のHFO含有量を低く抑えたい場合には、当該混合冷媒中のHFO含有量は、混合冷媒全量(100質量%)基準で、好ましくは37質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下、より更に好ましくは28質量%以下である。
以下、当該混合冷媒について説明する。
【0103】
(不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO))
不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)としては、例えば、直鎖状又は分岐状の炭素数2以上6以下の鎖状オレフィン;炭素数4以上6以下の環状オレフィンのフッ素化物等、炭素-炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。
より具体的には、1個以上3個以下(好ましくは3個)のフッ素原子が導入されたエチレン、1個以上5個以下のフッ素原子が導入されたプロペン、1個以上7個以下のフッ素原子が導入されたブテン、1個以上9個以下のフッ素原子が導入されたペンテン、1個以上11個以下のフッ素原子が導入されたヘキセン、1個以上5個以下のフッ素原子が導入されたシクロブテン、1個以上7個以下のフッ素原子が導入されたシクロペンテン、1個以上9個以下のフッ素原子が導入されたシクロヘキセン等が挙げられる。
これらの不飽和フッ化炭化水素化合物の中では、好ましくはプロペンのフッ化物、より好ましくは3個以上5個以下のフッ素原子が導入されたプロペン、更に好ましくは4個のフッ素原子が導入されたプロペンである。
【0104】
不飽和フッ化炭化水素化合物の好適な例としては、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(R1225ye)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)、1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yz)、1,1,2-トリフルオロエチレン(R1123)、(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(R1336mzz(Z))等が挙げられる。これらの不飽和フッ化炭化水素化合物の中では好ましくはR1234yf、R1234ze、R1123及びR1336mzz(Z)からなる群より選ばれる1種以上、より好ましくはR1234yf、R1234ze及びR1336mzz(Z)からなる群より選ばれる1種以上、更に好ましくはR1234yf及びR1234zeからなる群より選ばれる1種以上である。
【0105】
これらの不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、HFOを2種以上組み合わせて用いる場合としては、例えば、R1234yf及びR1234zeの組み合わせが挙げられる。
なお、前記HFO低含有冷媒が含有する不飽和フッ化炭化水素化合物中、前記プロペンのフッ化物の含有量は、不飽和フッ化炭化水素化合物全量(100質量%)基準で、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは90質量%以上100質量%以下であり、より更に好ましくは100質量%である。
【0106】
前記HFO低含有冷媒は、前述のHFOに加えて、更にその他の冷媒を含有するものであり、当該その他の冷媒としては、好ましくは飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)及び自然系冷媒からなる群より選らばれる1種以上、より好ましくは飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)、炭化水素系冷媒(HC)、二酸化炭素(CO)、及びアンモニア(NH)からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
すなわち、前記HFO低含有冷媒としては、好ましくは前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)及び自然系冷媒からなる群より選らばれる1種以上とを含有する混合冷媒;より好ましくは前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)、炭化水素系冷媒(HC)、二酸化炭素、及びアンモニアからなる群より選ばれる1種以上とを含有する混合冷媒である。
【0107】
(飽和フッ化炭化水素化合物(HFC))
飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)としては、好ましくは炭素数1以上4以下のアルカンのフッ化物、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルカンのフッ化物、更に好ましくは炭素数1又は2のアルカン(メタン又はエタン)のフッ化物である。該メタン又はエタンのフッ化物としては、例えば、トリフルオロメタン(R23)、ジフルオロメタン(R32)、1,1-ジフルオロエタン(R152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(R143a)、1,1,2-トリフルオロエタン(R143)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(R134)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(R125)が挙げられる。これらの飽和フッ化炭化水素化合物の中では好ましくはR32、R134a、及びR125からなる群より選ばれる1種以上、より好ましくはR32である。
【0108】
これらの飽和フッ化炭化水素化合物(HFC)は、1種を単独で用いてよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。ここで、2種以上組み合わせて用いる場合の例としては、例えば、R32及びR125の組み合わせ、R32、R125及びR134aの組み合わせが挙げられ、好ましくはR32、R125及びR134aの組み合わせである。
【0109】
(自然系冷媒)
前記自然系冷媒としては、炭化水素系冷媒(HC)、二酸化炭素(CO、炭酸ガス)、及びアンモニアからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの自然系冷媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記炭化水素系冷媒としては、好ましくは炭素数1以上8以下の炭化水素、より好ましくは炭素数1以上5以下の炭化水素、更に好ましくは炭素数3以上5以下の炭化水素である。炭素数が8以下であると、冷媒の沸点が高くなり過ぎず冷媒として好ましい。該炭化水素系冷媒としては、メタン、エタン、エチレン、プロパン(R290)、シクロプロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン(R600a)、2-メチルブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタンイソブタン、及びノルマルブタンからなる群より選ばれる1種以上が挙げられ、これらの1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
前記HFO低含有冷媒としては、更に好ましくは前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と前記飽和炭化水素化合物(HFC)とを含む混合冷媒が挙げられる。
当該好適な混合冷媒としては、より更に好ましくは前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(R125)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)からなる群より選ばれる1種以上を前記混合冷媒全量基準で40質量%超と、ジフルオロメタン(R32)とを含有する混合冷媒;又は前記不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、ジフルオロメタン(R32)を前記混合冷媒全量基準で60質量%以上とを含有する混合冷媒が挙げられる。
【0111】
前記HFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R125及びR134aからなる群より選ばれる1種以上を前記混合冷媒全量基準で40質量%超と、R32とを含有する混合冷媒としては、より更に好ましくはHFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R125及びR134aからなる群より選ばれる1種以上とを前記混合冷媒全量基準で合計40質量%超と、R32を前記混合冷媒全量基準で10質量%超とを含有する混合冷媒;より更に好ましくはHFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R125及びR134aからなる群より選ばれる1種以上とを前記混合冷媒全量基準で合計40質量%超と、R32を前記混合冷媒全量基準で20質量%超とを含有する混合冷媒;が挙げられる。
また、前記HFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R32を前記混合冷媒全量基準で60質量%以上とを含有する混合冷媒としては、より更に好ましくは前記HFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R32を前記混合冷媒全量基準で65質量%以上とを含有する混合冷媒;より更に好ましくは前記HFOを前記混合冷媒全量基準で40質量%未満と、R32を前記混合冷媒全量基準で70質量%以上とを含有する混合冷媒;が挙げられる。
なお、これらの混合冷媒(HFO低含有冷媒)中における各冷媒の組み合わせとして記載される前記混合冷媒中のHFOについて、当該HFOの好適な態様及び好適な含有量については、前述した混合冷媒中のHFOの態様及びHFOの含有量と同様である。
【0112】
<冷凍機油の特性>
前記冷凍機油は、高温環境下及び低温環境下のいずれにおいても、HFO低含有冷媒との相溶性に優れる。
冷凍機油のHFO低含有冷媒との高温側での二層分離温度は、好ましくは35℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上、より更に好ましくは55℃以上である。
冷凍機油のHFO低含有冷媒との低温側での二層分離温度は、好ましくは-15℃以下、より好ましくは-20℃以下、更に好ましくは-30℃以下、より更に好ましくは-40℃以下、より更に好ましくは-45℃以下である。
なお、本明細書中、当該「冷凍機油のHFO低含有冷媒との高温側での二層分離温度」及び「冷凍機油のHFO低含有冷媒との低温側での二層分離温度」は、後述する実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
【0113】
また、後述する実施例に記載の方法により測定されるHFO低含有冷媒と当該冷凍機油との混合物である冷凍機用組成物の体積抵抗率は、好ましくは3.0×10Ω・m以上、より好ましくは1.0×10Ω・m以上、更に好ましくは5.0×10Ω・m以上、より更に好ましくは1.0×10Ω・m以上、より更に好ましくは2.0×10Ω・m以上である。
【0114】
[冷凍機油の製造方法]
本発明の一実施形態に係る前記冷凍機油の製造方法は、混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒(HFO低含有冷媒)用の冷凍機油であって、ポリビニルエーテル類(PVE)、ポリアルキレングリコール類(PAG)、ポリ(オキシ)アルキレングリコール又はそのモノエーテルとポリビニルエーテルとの共重合体(ECP)、及びポリオールエステル類(POE)からなる群より選ばれる1種以上を含む基油(P)を含有し、該基油(P)の水酸基価が15mgKOH/g以下である、冷凍機油の製造方法である。
【0115】
当該製造方法では、基油(P)に加えて、前記その他添加剤を配合してもよい。
基油(P)及びその他添加剤の詳細な説明は、前述したものと同様であるため、その説明は省略する。
また、HFO低含有冷媒についても、前述したとおりである。
【0116】
[冷凍機用組成物]
前記冷凍機油は、前記HFO低含有冷媒と混合して使用されるものである。すなわち、本発明の一実施形態に係る冷凍機用組成物は、前記HFO低含有冷媒と、前記冷凍機油とを含有する。当該HFO低含有冷媒及び当該冷凍機油の詳細な説明は、前述したものと同様であるため、その説明は省略する。
冷凍機用組成物中、前記冷凍機油と前記HFO低含有冷媒との含有量比(冷凍機油/HFO低含有冷媒)は、質量比で、好ましくは1/99以上99/1以下、より好ましくは1/99以上90/10以下、更に好ましくは5/95以上70/30以下、より更に好ましくは5/95以上60/40以下である。前記冷凍機油と前記HFO低含有冷媒との当該質量比を該範囲内とすると、潤滑性及び冷凍機における好適な冷凍能力を得ることができる。
当該冷凍機用組成物中、前記冷凍機油と前記HFO低含有冷媒との合計含有量は、当該冷凍機用組成物全量(100質量%)基準で、好ましくは90質量%以上100質量%以下、より好ましくは95質量%以上100質量%以下、更に好ましくは98質量%以上100質量%以下であり、そして、より更に好ましくは100質量%である。
【0117】
<冷凍機用組成物の特性>
前記冷凍機用組成物は、高温環境下及び低温環境下のいずれにおいても、前記冷凍機油と前記HFO低含有冷媒との相溶性に優れる。
当該冷凍機用組成物の高温側での二層分離温度は、好ましくは35℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上、より更に好ましくは55℃以上である。
また、当該冷凍機用組成物の低温側での二層分離温度は、好ましくは-15℃以下、より好ましくは-20℃以下、更に好ましくは-30℃以下、より更に好ましくは-40℃以下、より更に好ましくは-45℃以下である。
本明細書中、当該「冷凍機用組成物の高温側での二層分離温度」及び「冷凍機用組成物の低温側での二層分離温度」は、後述する実施例に記載の方法と同様の方法により測定される値を意味する。
なお、当該「冷凍機用組成物の高温側での二層分離温度」及び「冷凍機用組成物の低温側での二層分離温度」は、前述の「冷凍機油のHFO低含有冷媒との高温側での二層分離温度」及び「冷凍機油のHFO低含有冷媒との低温側での二層分離温度」と同じである。
【0118】
また、前記冷凍機用組成物の体積抵抗率は、絶縁性を向上させる観点から、好ましくは3.0×10Ω・m以上、より好ましくは1.0×10Ω・m以上、更に好ましくは5.0×10Ω・m以上、より更に好ましくは1.0×10Ω・m以上、より更に好ましくは2.0×10Ω・m以上である。
【0119】
[冷凍機用組成物の製造方法]
前記冷凍機用組成物は、前記冷凍機油と、前記HFO低含有冷媒とを混合して得られる。すなわち、本発明の一実施形態に係る冷凍機用組成物の製造方法は、前記冷凍機油と、前記HFO低含有冷媒とを混合する工程を有する、冷凍機用組成物の製造方法である。
当該HFO低含有冷媒及び当該冷凍機油の詳細な説明は、前述したものと同様であるため、その説明は省略する。
【0120】
[冷凍機]
前記冷凍機油又は冷凍機用組成物は、冷凍機内部に充填して使用されるものである。
当該冷凍機としては、前記HFO低含有冷媒を用いる圧縮型冷凍機が好ましく、圧縮機、凝縮器、膨張機構(膨張弁等)及び蒸発器を備える冷凍サイクル、又は、圧縮機、凝縮器、膨張機構、乾燥器及び蒸発器を備える冷凍サイクルを有するものであることがより好ましい。
前記冷凍機油は、例えば、圧縮機等に設けられる摺動部分を潤滑するために使用される。なお、当該摺動部分は、特に限定されない。
冷凍機としては、いずれも前記HFO低含有冷媒を用いるものであって、例えば、開放型カーエアコン、電動カーエアコン等のカーエアコン、ルームエアコン及びパッケージエアコン等の空調、ガスヒートポンプ(GHP)、冷凍庫、冷蔵庫、自動販売機、ショーケース等の冷凍システム、給湯機、床暖房等の給湯システム、暖房システム等に適用されるものであるが、空調用途に適用されることが好ましく、ルームエアコン、パッケージエアコンに適用されることがより好ましい。
【実施例
【0121】
以下に、本発明を、実施例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各冷凍機油及び各冷凍機用組成物の各物性は、以下に示す要領に従って求めた。
【0122】
[水酸基価]
JIS K0070:1992に準拠して、中和滴定法により測定した。
[100℃動粘度]
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
[数平均分子量(Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置を用いて測定した。GPCは、カラムとして東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ-M」2本を順次連結したものを用い、テトラヒドロフランを溶離液として、検出器に屈折率検出器(RI検出器)を用いて測定を行い、ポリスチレンを標準試料として数平均分子量(Mn)を求めた。
[引火点]
JIS K2265-4:2007(クリーブランド開放法)に準拠して測定した。
【0123】
[冷媒相溶性]
下記表3~7に示す組み合わせで、冷凍機用組成物全量基準で、冷凍機油を10質量%及び混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒(HFO低含有冷媒)を90質量%含有する冷凍機用組成物〔冷凍機油/HFO低含有冷媒=10/90(質量比)の冷凍機用組成物〕を調製した。
得られた冷凍機用組成物を評価サンプルとして用い、下記に示す方法で、低温側及び高温側での二層分離温度を測定して、冷凍機油のHFO低含有冷媒との相溶性を評価した。
<HFO低含有冷媒との高温側の二層分離温度:高温側分離温度>
得られた冷凍機用組成物を耐圧ガラスアンプルに入れ、当該アンプルを真空配管及び冷媒配管に接続し、室温(25℃)で真空脱気した。その後、当該アンプルを液体窒素で冷却して、所定量のHFO低含有冷媒を冷媒配管を介して、当該アンプル内に採取した後、アンプルを封止して測定試料を封入したアンプルを準備した。
その後、当該アンプルを恒温槽内に保持し、当該アンプルにレーザーを照射して当該アンプルの光線透過率を測定しながら、恒温槽の温度を、室温(25℃)から70℃まで1℃/分の速度で昇温し、当該アンプルの光線透過率が、室温での当該アンプルの光線透過率の50%となった時の恒温槽の温度を、測定対象である冷凍機油のHFO低含有冷媒との高温側での二層分離温度(下記表3~表7中、単に「高温側分離温度」と記す。)とした。冷凍機油の当該HFO低含有冷媒との高温側での二層分離温度が高いほど、高温でのHFO低含有冷媒との相溶性に優れる。
なお、70℃まで二層分離しなかったものは下記表3~7中、“70以上”と示す。
また、25℃の時点で既に二層分離していたものは下記表3~7中、“分離”と示す。
<HFO低含有冷媒との低温側の二層分離温度:低温側分離温度>
測定時に、室温から-1℃/分の速度で冷却して測定を行うこと以外は、HFO低含有冷媒との高温側の二層分離温度の測定方法と同様の方法を用いて、HFO低含有冷媒との低温側の二層分離層温度(下記表3~表7中、単に「低温側分離温度」と記す。)を測定した。冷凍機油の当該HFO低含有冷媒との低温側での二層分離温度が低いほど、低温でのHFO低含有冷媒との相溶性に優れる。
なお、-50℃まで二層分離しなかったものは下記表3~7中、“-50以下”と示す。
また、25℃の時点で既に二層分離していたものは下記表3~7中、“分離”と示す。
【0124】
[電気特性]
下記表3~7に示す組み合わせで、冷凍機用組成物全量基準で、冷凍機油を50質量%及びHFO低含有冷媒を50質量%含有する冷凍機用組成物〔冷凍機油/HFO低含有冷媒=50/50(質量比)の冷凍機用組成物〕を調製した。
得られた冷凍機用組成物を評価サンプルとして用い、下記に示す方法で、体積抵抗率を測定して、電気特性を評価した。当該体積抵抗率が高いほど、絶縁性に優れる。
<体積抵抗率>
JIS C 2101:2010に準拠して測定した。
【0125】
各実施例及び各比較例で評価した表3~7に示す冷凍機用組成物が含有する基油(P)の物性及び前記特性の評価で冷凍機用組成物を調製する際に用いたHFO低含有冷媒の組成を、それぞれ、下記表1及び表2に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
[実施例1~6及び参考例1~9
前記表1及び2に示す基油(P)を100質量%含有する冷凍機油及びHFO低含有冷媒を、それぞれ、下記表3~7に示す組み合わせで混合した冷凍機用組成物を調製し、前記評価方法に従って評価した。得られた結果を下記表3~7に示す。
【0129】
[比較例1~15]
前記表1及び2に示す基油(P)100質量%を含有する冷凍機油及びHFO低含有冷媒を、それぞれ、下記表3~7に示す組み合わせで混合した冷凍機用組成物を調製し、前記評価方法に従って評価した。得られた結果を下記表3~7に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
【表5】
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
表3~7に示すとおり、水酸基価が15mgKOH/g以下である基油(P)を100質量%含有する冷凍機油を用いた実施例1~6及び参考例1~9の冷凍機用組成物は、それぞれ同様の分子構造を有し、かつ水酸基価が15mgKOH/g超である基油を100質量%含有する冷凍機油を用いた比較例1~15の冷凍機用組成物と比較して、混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する各混合冷媒との相溶性に優れ、かつ電気特性に優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0136】
前記本発明の一実施形態である冷凍機油は、混合冷媒全量基準で不飽和フッ化炭化水素化合物(HFO)を40質量%未満含有する混合冷媒との相溶性に優れるため、当該混合冷媒を用いる冷凍機用組成物に配合される冷凍機油として好適に使用されるものであり、空調用途に適用されることがより好ましく、ルームエアコン、パッケージエアコンに適用されることが更に好ましい。
更に、前記本発明の一実施形態である冷凍機油は、電気特性に優れる冷凍機用組成物が得られるため、例えば、前記混合冷媒を用いる密閉型の圧縮型冷凍装置用の冷凍機油としてより好適に使用されるものである。