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特許7095943トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20220628BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20220628BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/08
G03G9/097 365
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017048644
(22)【出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2018151558
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-01-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 祥敬
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一己
(72)【発明者】
【氏名】中島 久志
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-53196(JP,A)
【文献】特開2012-63559(JP,A)
【文献】特開2006-276044(JP,A)
【文献】特開2007-33773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上のポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含み、
前記2種類以上のポリエステル樹脂のうち、2種類のポリエステル樹脂は易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂が、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド、ビスフェノールAエチレンオキサイド、及びプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1つと、カルボン酸成分としてテレフタル酸とを含有し、
前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂が、アルコール成分として1,6-ヘキサンジオールと、カルボン酸成分としてフマル酸とを含有し、
周波数6.28rad/secで測定される動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の温度依存性曲線において、温度で1回微分して得られる曲線が85℃から110℃の温度範囲において最大値が0.07以上で、最小値が0.025以下であり、
85℃から120℃の温度幅において示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目における吸熱量が3.5J/g以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記吸熱量が3.0J/g以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記最大値が0.10以上で、前記最小値が0.025以下である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
【請求項4】
ガラス転移温度(Tg)が45℃~60℃である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
体積平均粒径が4.5μm~7.0μmである請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載のトナーを収容した、トナー収容ユニット。
【請求項8】
静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含み、
前記トナーが、請求項1から5のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含み、
前記トナーが、請求項1から5のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
請求項8に記載の画像形成装置を用い、請求項1から5のいずれかに記載のトナーによるトナー画像を記録媒体上に形成したことを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真装置、静電記録装置等において、電気的潜像又は磁気的潜像は、静電荷現像用トナー(本発明では「トナー」ともいう)によって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像潜像を形成し、次いで、該静電荷像潜像をトナーを用いて現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着される。
近年、トナーの低温定着化が求められている。これは、定着に要するエネルギーを少なくすることにより省エネルギー化を図るためである。さらに、画像形成装置の高速化、高画質化の要求にも起因しており、画像形成装置の使用目的が多様化していることも相まって、要求が高まっている。
トナーの低温定着化等を目的とし、非晶質ポリエステル樹脂に結晶性ポリエステル樹脂を含有させ、非晶質ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とが互いに非相溶で、トナー中の海状の該非晶質ポリエステル樹脂中に島状の該結晶性ポリエステル樹脂が存在する海島状の相分離構造を有するトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近年要求される高いレベルのトナー、つまり低温定着性、耐フィルミング性に優れ、かつ帯電安定性にも優れたトナーという観点からは、従来のトナーでは、十分満足のいくトナーは得られておらず、研究の余地があった。
低温定着性、耐フィルミング性、帯電安定性の三者を両立させ、長期的にも高品質な画像を形成することができるトナーが望まれている。
本発明は、低温定着性、耐フィルミング性に優れ、かつ帯電安定性に優れたトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明のトナーは、
2種類以上のポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含み、
周波数6.28rad/secで測定される動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の温度依存性曲線において、温度で1回微分して得られる曲線が85℃から110℃の温度範囲において最大値が0.07以上で、最小値が0.025以下であり、
85℃から120℃の温度幅において示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目における吸熱量が3.5J/g以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、低温定着性、耐フィルミング性に優れ、かつ帯電安定性に優れたトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、トナーの損失正接(tanδ)の温度依存性曲線の一例を示す概略図である。
図2図2は、図1の損失正接(tanδ)の温度依存性曲線を温度で1回微分して得られた曲線の一例を示す概略図である。
図3A図3Aは、本発明のトナーを透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した一例を示す画像である。
図3B図3Bは、従来のトナーを透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した一例を示す画像である。
図4図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図5図5は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図6図6は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図7図7は、図6の部分拡大図である。
図8図8は、プロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者らが従来技術について検討した結果、上記特許文献1に記載のトナーは、低温定着性や耐フィルミング性には優れるものの、帯電安定性は十分でないことがわかった。
そこで、本発明者らは、低温定着性、耐フィルミング性、帯電安定性の三者を両立させることができるトナーを得るために、さらなる検討を重ねた。その結果、結晶性能を有する樹脂成分を含有させるものの、結晶化を発現させない状態でトナーを形成することが有効であることを見出した。これは、従来、結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、その結晶性能を利用するため、結晶化状態を発現させ、海島状の相分離構造を形成させることにより、低温定着性能の改善を図ってきた開発の流れとは全く異なるものである。本発明者らの新たな知見に基づくものである。
そして、以下のトナーが上記本発明の目的を達成することができることを見出した。
【0008】
(トナー)
本発明のトナーは、2種類以上のポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
また、本発明のトナーは、周波数6.28rad/secで測定される動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の温度依存性曲線において、温度で1回微分して得られる曲線が85℃から110℃の温度範囲において最大値が0.07以上、最小値が0.025以下を示す。さらに、85℃から120℃の温度幅において示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目における吸熱量が3.5J/g以下を示す。
【0009】
<損失正接(tanδ)の温度依存性曲線の1回微分曲線について>
本発明において、動的粘弾性の測定は次のように行う。
[動的粘弾性測定]
トナーを0.1g、φ8mmのダイスを用い30MPaの圧力で成型し、TA社製ADVANCED RHEOMETRIC EXPANSION SYSTEMでφ8mmのパラレルコーンを使用して、周波数1.0Hz、昇温速度2.0℃/分、歪み0.1%(自動歪み制御:許容最小応力1.0g/cm、許容最大応力500g/cm、最大付加歪み200%、歪み調整200%)で、正接損失(tanδ)を測定する。
【0010】
例えば、本発明のトナーに対する損失正接(tanδ)の温度依存性曲線を図1に示す。図1中、符号a~cで表されるサンプルは、後述する易相溶潜在結晶性樹脂の含有割合がそれぞれ異なっている。図1中、符号aは易相溶潜在結晶性樹脂(C-樹脂ともいう)を5.2部(質量部)含有しているサンプルを表す。符号bはC-樹脂を7.5部(質量部)含有しているサンプルを表す。符号cはC-樹脂を9.8部(質量部)含有しているサンプルを表す。符号dはC-樹脂を含有していない(0部(質量部))サンプルを表す。尚、「結晶性樹脂」というと、従来は、結晶性能を有し、かつトナー中において結晶化状態を形成させることができる樹脂に対してこの言葉が使用されてきた。しかし、本発明では、結晶性能を有するものの、トナー中に含有されても結晶化状態を形成させない樹脂成分を用いる。そこで、従来の「結晶性樹脂」と区別するため、本発明では、結晶性能を有するものの、トナー中において結晶化状態を形成させない樹脂成分に対し、「易相溶潜在結晶性樹脂」と称する。
図1で示されているように、本発明のトナーは、85℃から110℃の温度範囲においてtanδの極大値が2以上3以内の範囲にあることが好ましく、2以上2.5以内の範囲にあることがより好ましい。
図1の損失正接(tanδ)の温度依存性曲線を温度で1回微分すると、図2で示される曲線が得られる。
【0011】
[温度依存性曲線の一次微分式の算出]
前記動的粘弾性測定により求められた損失正接(tanδ)の温度依存曲線を温度で1次微分を実施し、温度依存性曲線の1次微分式を算出する。
図2で示されているように、本発明のトナーは、85℃から110℃の温度範囲において最大値が0.07以上、最小値が0.025以下を示している。
最大値が0.07未満であると低温定着性が悪化し、最小値が0.025より大きいと耐フィルミング性が悪化する。
前記最大値は、0.10以上であると、より好ましい。
【0012】
<示差走査熱量測定(DSC)による吸熱量について>
本発明において、示差走査熱量の測定は次のように行う。
[示差走査熱量測定]
示差走査熱量計(「DSC-60」;島津製作所製)を用いて、試料5mgをアルミニウムパンに計量し、降温速度10℃/分で、0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、0℃から150℃の温度範囲におけるピークの吸熱量を測定する。
85℃から120℃の温度幅において示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目における吸熱量は3.5J/g以下である。吸熱量が3.5J/gより大きいと、帯電安定性及び耐フィルミング性が悪化する。
前記吸熱量が3.0J/g以下であるとより好ましい。
【0013】
<トナーの状態>
上記特性を示す本発明のトナーは、結晶性能を有する樹脂成分を含有しているが、結晶化は発現していない状態のトナーとなっている。
本発明において、結晶化が発現していない状態とは、結晶化が認められない、つまり、以下に示す条件でトナーを観察した際、結晶化した状態を観察することができない状態をいう。
[トナーの観察条件]
トナー中の結晶成分の観察方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナーをエポキシ樹脂に包埋後ウルトラミクロトーム ULTRACUT-S(ライカ株式会社)を用いて約100nmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察及び写真撮影し、この写真を画像評価することにより、観察することができる。
【0014】
本発明のトナーを上記観察条件に従い観察した場合のTEM撮影画像を図3Aに示す。図3Aでは、結晶性ポリエステルは観察されない。
結晶化が発現しない状態を形成するには、トナーの構成樹脂成分について、その種類や含有量を調整するとともに、トナーの製造方法を調整するとよい。調整についての具体的説明は、後述する。
【0015】
一方、図1中、符号a~cで表されるサンプルから易相溶潜在結晶性樹脂をのぞいた場合、つまり、結晶性樹脂を含有していないトナーである場合には、符号dで示す曲線となる。
図2の符号dの曲線で示されるように、結晶性樹脂を含有しないトナーは、前記最大値及び前記最小値の値が本発明で規定する所望の値にはならない。
このような結晶性樹脂を含有しないトナーを用いた場合には、後述する比較例で示すとおり、本発明の目的を達成することはできない。
ここで、結晶化状態が形成されたトナーとは、図3BのTEM撮影画像で示すように、結晶性ポリエステルが観察できる(囲み部分、参照)。
また、結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、結晶化状態を発現させ、海島状の相分離構造を形成させた従来の態様のトナーの場合には、DSCにおける吸熱量が、6J/gから7J/g程度の値を示し、本発明で規定する3.5J/g以下の値にはならない。
該結晶化状態が形成されたトナーを用いた場合には、後述する比較例3で示すとおり、本発明の目的を達成することはできない。
【0016】
<2種類以上のポリエステル樹脂>
本発明のトナーは、少なくとも2種類以上のポリエステル樹脂を含有し、適宜必要に応じて他の結着樹脂成分を含有させてもよい。
このうち、少なくとも1種類のポリエステル樹脂は、結晶性能を有するものの、結晶化状態を発現しない、易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂である。
易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂を除く他のポリエステル樹脂は、特に制限はなく、通常使用されている非晶性ポリエステル樹脂が適用できる。
本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂と易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂は、上記所望の範囲の最大値、最小値、及び吸熱量を示すよう配合されるものであれば、それぞれ公知の材料から選択することができる。
前記非晶性ポリエステル樹脂、前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合によって得ることができる。
【0017】
前記アルコール成分としては、例えば、グリコール類、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA等のエチル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体などが挙げられる。
前記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
また、前記カルボン酸成分としては、例えば、二価の有機酸単量体、三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。
前記二価の有機酸単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸などが挙げられる。
前記三価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸などが挙げられる。
【0018】
<<易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂>>
前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂が結晶化を生じさせないためには、非晶性ポリエステル樹脂成分と易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂成分とが相溶状態を形成しているとよい。
そこで、前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂のSP(溶解パラメータ)値(cal1/2/cm3/2)をSP(1)、前記非晶性ポリエステル樹脂のSP値をSP(2)としたとき、下記式(1)の関係を満たしていることが好ましい。
|SP(1)-SP(2)|≦4.5・・・(1)
【0019】
[SP値]
前記SP値(溶解パラメータ/Solubility Parameter)について説明する。
前記SP値とは、溶解パラメータ(溶解度パラメータとも溶解性パラメータともいう)と言われるもので、どれだけ互いが溶けやすいかということを数値化したものである。前記SP値は、互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohesive Energy Density)の平方根で表される。なお、前記CEDとは、1mLのものを蒸発させるのに要するエネルギー量である。
本発明における前記SP値(cal1/2/cm3/2)の計算は、Fedors法により下記式(I)を用いて行うことができる。
SP値(溶解パラメータ)=(CED値)1/2=(E/V)1/2 ・・式(I)
前記式(I)において、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)、Vは分子容(cm/mol)であり、原子団の蒸発エネルギーをΔei、モル体積をΔviとしたとき、各々下式(II)、式(III)で表される。
E=ΣΔei ・・・式(II)
V=ΣΔvi ・・・式(III)
SP値の計算方法は諸説あるが、本発明においては一般的に用いられているFedorsの方法を用いる。
本計算方法、各原子団の蒸発エネルギーΔei及びモル体積Δviの諸データは、「接着の基礎理論」(井本稔著、高分子刊行会発行、第5章)に記載のデータを用いる。
【0020】
前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂は、カルボン酸成分が、特にフマル酸であることがより好ましい。
前記易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、前記トナー100質量部に対して、3質量部~10質量部が好ましく、6質量部~9質量部がより好ましい。
【0021】
<<非晶性ポリエステル樹脂>>
前記非晶性ポリエステル樹脂は、1種類を用いるだけでなく、2種類以上の非晶性ポリエステル樹脂を組み合わせて含有させてもよい。
【0022】
<離型剤>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、従来公知のものが使用できる。例えば、低分子量ポリオレフィンワックス、合成炭化水素系ワックス、天然ワックス類、石油ワックス類、高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド、合成エステルワックス等、及びこれらの各種変性ワックスなどが挙げられる。
前記低分子量ポリオレフィンワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどが挙げられる。
前記合成炭化水素系ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックスなどが挙げられる。
前記天然ワックス類としては、例えば、蜜ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックスなどが挙げられる。
前記石油ワックス類としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
前記高級脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などが挙げられる。
これら離型剤の中でも、カルナウバワックス及びその変性ワックスや、ポリエチレンワックス、合成エステル系ワックスが好適に用いられる。特に単一成分から構成される合成エステル系ワックスは、溶融温度の調整が容易であるため低温定着性と耐フィルミング性の両立に適している。
これら離型剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
また、これらの離型剤の含有量は、前記トナー100質量部に対して、2質量部~15質量部が好ましい。トナーに対して2質量%以上であれば、ホットオフセット防止効果を十分とすることができ、15質量%以下であれば、転写性、耐久性の低下を防止できる。
離型剤の融点は、70℃~150℃であることが好ましい。70℃以上であれば、トナーの耐フィルミング性の低下を防止でき、150℃以下であれば、離型性の効果が十分発揮できる。
【0023】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
【0024】
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料などが挙げられる。これらは、単独でもあるいは混合して使用してもよい。また、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。
【0025】
<<帯電制御剤>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知のものが使用できる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、カリックスアレーンなどが挙げられる。より具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、E-108、E-304(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415、TN-105(3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2-ヒドロキシベンゾエート塩基性酸化ジルコニウム錯塩・水和物(原材料)ジルコニウム化合物サルチル酸誘導体)(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0026】
<トナーの特性>
<<トナーの体積平均粒径>>
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4.5μm~7.0μmであることが好ましい。
4.5μm以上であれば、耐フィルミング性の悪化を防止するとともに、現像工程におけるクリーニング性や転写工程における転写効率の低下を有効に防止することができる。7.0μm以下であれば、低温定着性の悪化や画像品質の低下を有効に防止することができる。
ここで、トナーの体積平均粒径の測定は、種々の方法によって測定可能であるが、例えば、米国コールター・エレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIを用いて行うことができる。
【0027】
<<トナーのガラス転移点(Tg)>>
前記トナーのガラス転移点は、45℃~60℃であることが好ましい。45℃以上であれば、耐フィルミング性の悪化を有効に防止でき、60℃以下であれば、低温定着性の悪化を有効に防止できる。
ここで、トナーのガラス転移点は、前記示差走査熱量測定の測定方法により測定し吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
【0028】
<<トナーの円形度>>
トナーの平均円形度は、FPIA-3000(シスメックス社製)を用いて測定することができ、円形度は、0.92~0.95であるとよい。
【0029】
<トナーの製造方法>
本発明のトナーは、例えば、粉砕法で製造される。粉砕法としては、粉砕法として周知の方法を用いることができる。製造工程に少なくとも溶融混練工程を含む粉砕法を用いて製造することがより好ましい。
例えば、2種類以上のポリエステル樹脂、及び離型剤を少なくとも含有し、必要に応じて着色剤や帯電制御剤等のその他の材料を含むトナー材料を、乾式混合し、混練機にて溶融混練し、粉砕してトナーを製造する方法が好ましい。
まず溶融混練工程では、トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が挙げられる。
溶融混練は、結着樹脂(バインダー樹脂)の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
粉砕工程では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
分級工程では、前記粉砕工程にて得られた粉砕物を分級し、所定粒径の粒子に調整する。分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中にて分級し、所定の粒径のトナー(トナー母体粒子)を製造する。
【0030】
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
このため、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。なお、現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを二成分系現像剤に用いる場合には、前記キャリアと混合して用いればよい。前記二成分現像剤中の前記キャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%~98質量%が好ましく、93質量%~97質量%がより好ましい。
【0031】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
【0032】
-芯材-
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g~90emu/gのマンガン-ストロンチウム系材料、マンガン-マグネシウム系材料、などが挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g~120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g~80emu/gの銅-亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、低温定着性、耐フィルミング性に優れ、かつ帯電安定性に優れた前記トナーの特徴を活かした画像形成を行うことができる。
【0034】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
本発明の画像形成装置は、より好ましくは、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含む。
また、本発明の画像形成方法は、より好ましくは、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含む。
前記現像手段、及び前記現像工程において、前記トナーが使用される。好ましくは、前記トナーを含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、前記トナー像を形成するとよい。
【0035】
次に、本発明の画像形成装置の一の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示すカラー画像形成装置100Aは、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」と称することがある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0036】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、中間転写体50の近傍には、記録媒体としての転写紙95に現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が、中間転写体50に対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
【0037】
現像器40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック(Bk)現像ユニット45K、イエロー(Y)現像ユニット45Y、マゼンタ(M)現像ユニット45M、及びシアン(C)現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
【0038】
図4に示すカラー画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光体ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器40からトナーを供給して現像してトナー画像を形成する。該トナー画像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0039】
図5に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されている以外は、図4に示す画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
【0040】
図6に、本発明の画像形成装置の他の一例を示す。図6に示す画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写体50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写体50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写体50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50は、ローラ16と23の間で接触することができる。
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0041】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動される。一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達される。そして、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図7に示すように、それぞれ、以下の各部を備えている。具体的には、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)を備えている。該静電潜像担持体10を一様に帯電させる前記帯電手段である帯電装置160を備えている。各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置を備えている。該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する前記現像手段である現像装置61を備えている。該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62を備えている。クリーニング装置63と、除電器64を備えている。そして、各画像形成手段18は、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、以下の各色画像が、順次転写(一次転写)される。具体的には、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出す。シートは、分離ローラ145で1枚ずつ分離されて給紙路146に送り出され、搬送ローラ147で搬送されて複写機本体150内の給紙路148に導かれ、レジストローラ49に突き当てて止められる。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させる。中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)する。そうすることにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、シートは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0042】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、本発明のプロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段をさらに有していてもよい。
前記現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等をさらに有してもよい。
前記プロセスカートリッジとは、図8に示すように、電子写真感光体101を内蔵し、現像手段104を有し、他に帯電手段102、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(不図示)を具備してもよく、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
【実施例
【0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、動的粘弾性測定による温度依存曲線の1次微分曲線、示差操作熱量測定による吸熱量測定、ガラス転移点、体積平均粒径は、以下のようにして求めた。
【0044】
[動的粘弾性測定による温度依存曲線の1次微分式の算出]
本発明においては、トナーを0.1g、φ8mmのダイスを用い30MPaの圧力で成型し、TA社製ADVANCED RHEOMETRIC EXPANSION SYSTEMでφ8mmのパラレルコーンを使用して、周波数1.0Hz、昇温速度2.0℃/分、歪み0.1%(自動歪み制御:許容最小応力1.0g/cm、許容最大応力500g/cm、最大付加歪み200%、歪み調整200%)で、正接損失(tanδ)の測定を行った。次に前記動的粘弾性測定により求められた損失正接(tanδ)の温度依存曲線を温度で1次微分を実施し、温度依存性曲線の1次微分式を算出した。
【0045】
[示差操作熱量測定による吸熱量の測定]
本発明においては、示差走査熱量計(「DSC-60」;島津製作所製)を用いて、試料5mgをアルミニウムパンに計量し、降温速度10℃/分で、0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、0℃から150℃の温度範囲におけるピークの吸熱量を測定した。
【0046】
[示差操作熱量測定によるガラス転移点の測定]
本発明においては、示差走査熱量計(「DSC-60」;島津製作所製)を用いて、試料5mgをアルミニウムパンに計量し、降温速度10℃/分で、0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、0℃から150℃の温度範囲におけるピークの吸熱量を測定した。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とした。
【0047】
[体積平均粒径の測定]
本発明においては、コールターマルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)を用いて、トナーの体積平均粒径を測定した。このとき、アパーチャー径を100μmとし、解析ソフトとして、ベックマンコールターマルチサイザー 3 バージョン3.51(ベックマンコールター社製)を用いた。具体的には、10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)ネオゲンSC-A(第一工業製薬社製)5mLにトナー10mgを加え、超音波分散機を用いて1分間分散させた後、アイソトンIII(ベックマンコールター社製)25mLを加え、超音波分散機を用いて1分間分散させた。次に、電解液100mLと分散液をビーカーに入れた後、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度で、3万個の粒子の粒径を測定し、その粒度分布から体積平均粒径を求めた
【0048】
<ポリエステル樹脂A1の合成>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に、下記表1に示すモノマー種及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネートを入れ、窒素気流下、生成する水を留去しながら、230℃で6時間反応させた。次に、5mmHg~20mmHgの減圧下、1時間反応させ非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。
表1において、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイドが示す“25mol%”とは、酸成分50mol%、アルコール成分50mol%としたときのアルコール成分中の割合を示す(表2も同様の表記とする)。
【0049】
<ポリエステル樹脂B1~B3の合成>
下記表2に示すカルボン酸成分及びアルコール成分に変えた以外は、<ポリエステル樹脂A1の合成>と同様にして、非晶性ポリエステル樹脂B1~B3を得た。
【0050】
<ポリエステル樹脂C1の合成>
下記表3に示すカルボン酸成分及びアルコール成分をOH/COOHが0.9となるように窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて、実施例で使用する易相溶潜在結晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
【0051】
<ポリエステル樹脂C2の合成>
下記表3に示すカルボン酸成分及びアルコール成分に変えた以外は、<ポリエステル樹脂C1の合成>と同様にして、比較例で使用する結晶性ポリエステル樹脂C2を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
(実施例1)
<粉砕トナーの作製>
<<トナー1処方>>
ポリエステル樹脂A1 : 24.2質量部
ポリエステル樹脂B2 : 60.0質量部
ポリエステル樹脂C1 : 3.2質量部
離型剤(合成エステルワックス) : 4.8質量部
着色剤(フタロシアニンブルー) : 6.8質量部
帯電制御剤(モノアゾ金属錯体) : 1.0質量部
【0056】
上記の処方(下記表4に示す)に従いトナー原材料を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM-30)で120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS-I)で重量平均粒径が5.8±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。
次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤(HDK-2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、トナー1を作製した。
前記トナー1における最大値、最小値、吸熱量、ガラス転移点、体積平均粒径を上述した方法に従い測定した。結果を下記表4に示す。
【0057】
作製したトナー1を5質量%と、コーティングフェライトキャリア95質量%とを、ターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、トナー現像剤1を作製した。トナー現像剤1を用いた画像形成装置を使い、以下で記載する評価方法により、低温定着性、耐フィルミング性、帯電安定性を評価した。結果を下記表5に示す。
【0058】
<低温定着性の評価>
前記[トナー現像剤1]を、株式会社リコー製の複写機(RICOH MPC 6003)に入れ、画像出力を行った。付着量0.4mg/cmのベタ画像を、露光、現像、転写工程を経ることで紙(株式会社リコー製 Type6200)上に出力した。定着の線速は256mm/秒とした。定着温度を5℃刻みで順次出力し、コールドオフセットが発生しない下限温度(定着下限温度:低温定着性)を測定した。定着装置のNIP幅は11mmであった。
【0059】
-低温定着性の評価基準-
5:130℃未満
4:130℃以上140℃未満
3:140℃以上150℃未満
2:150℃以上160℃未満
1:160℃以上
【0060】
<耐フィルミング性の評価>
前記[トナー現像剤1]を、株式会社リコー製の複写機RICOH MPC 6003)に入れ、付着量0.4mg/cmのベタ画像を、露光、現像、転写工程を経ることで紙(株式会社リコー製 Type6200、A4版)上に出力し、2,000枚の連続通紙試験を行い、潜像担持体での汚染及び帯電装置で汚染状況を目視にて観察した。
【0061】
-耐フィルミング性-
4:潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがない
3:潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにある。
2:潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにあり、経時で異常画像が発生する
1:潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにあり、早期に異常画像が発生する
【0062】
<帯電安定性>
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を、939スペクトロデンシトメーター(X-Rite社製)を用いて測定した。
【0063】
-帯電安定性の評価基準-
3:上記差が、0.010未満である
2:上記差が、0.010以上0.030未満
1:上記差が、0.030以上
【0064】
(実施例2~26)
実施例1において、表4に従いトナー原材料を処方した以外は、実施例1に記載のトナー1と同様の方法により、トナー2~26を作製した。
前記トナー2~26のトナーそれぞれについて、トナー1と同様に最大値、最小値、吸熱量、ガラス転移点、体積平均粒径を測定した。結果を下記表4に示す。
【0065】
作製したトナー2~26を、実施例1と同様の方法により、現像剤2~26(トナー2~26にそれぞれ対応)を作製した。
現像剤2~26を用いた画像形成装置を使い、実施例1に記載の評価方法と同様の方法により、現像剤2~26の現像剤それぞれを用いた場合の低温定着性、帯電安定性、耐フィルミング性を評価した。結果を下記表5に示す。
【0066】
(比較例~4)
実施例1において、下記表4に従いトナー原材料を処方した以外は、実施例1に記載のトナー1と同様の方法により、比較トナー~4を作製した。
前記比較トナー~4のトナーそれぞれについて、トナー1と同様に最大値、最小値、吸熱量、ガラス転移点、体積平均粒径を測定した。結果を下記表4に示す。
【0067】
作製した比較トナー~4を、実施例1と同様の方法により、比較現像剤~4(比較トナー~4にそれぞれ対応)を作製した。
比較現像剤を用いた画像形成装置を使い、実施例1に記載の評価方法と同様の方法により、比較現像剤~4の現像剤それぞれを用いた場合の低温定着性、帯電安定性、耐フィルミング性を評価した。結果を下記表5に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
以上示したように本発明によれば、非常に優れた低温定着性と、帯電安定性と、耐フィルミング性を両立することができ、長期的にも高品質な画像を形成することができるトナーが提供できることがわかった。
【0071】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 2種類以上のポリエステル樹脂と離型剤とを少なくとも含み、
周波数6.28rad/secで測定される動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)の温度依存性曲線において、温度で1回微分して得られる曲線が85℃から110℃の温度範囲において最大値が0.07以上で、最小値が0.025以下であり、
85℃から120℃の温度幅において示差走査熱量測定(DSC)の昇温1回目における吸熱量が3.5J/g以下であることを特徴とするトナーである。
<2> 前記吸熱量が3.0J/g以下である前記<1>に記載のトナーである。
<3> 前記最大値が0.10以上で、前記最小値が0.025以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> ガラス転移温度(Tg)が45℃~60℃である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 体積平均粒径が4.5μm~7.0μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<7> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーを収容した、トナー収容ユニットである。
<8> 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含み、
前記トナーが、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<9> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含み、
前記トナーが、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
<10> 前記<8>に記載の画像形成装置を用い、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーによるトナー画像を記録媒体上に形成したことを特徴とする印刷物の製造方法である。
【0072】
前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナー、前記<6>に記載の現像剤、前記<7>に記載のトナー収容ユニット、前記<8>に記載の画像形成装置、前記<9>に記載の画像形成方法、前記<10>に記載の印刷物の製造方法によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のトナーは、静電式複写機、レーザービームプリンタなどの、いわゆる電子写真法を用いた画像形成に好ましく用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【文献】特開2013-54178号公報
図1
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図3A
図3B
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図8