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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】ポリアセタール共重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 2/06 20060101AFI20220628BHJP
   C08G 2/10 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C08G2/06
C08G2/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018066452
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178187
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390006323
【氏名又は名称】ポリプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】喜来 直裕
(72)【発明者】
【氏名】増田 栄次
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/002147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G2/00-2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリオキサンを主モノマー(a)とし、これと共重合可能なコモノマー(b)とのポリアセタール共重合体を製造する方法であって、重合触媒(c)として下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸(B)に対して一般式(2)で表されるヘテロポリ酸塩(A)を質量比10≧(A)/(B)≧0.2で混合して使用し、
重合装置の重合温度を60~120℃の範囲とする、ポリアセタール共重合体の製造方法。
Hm[Mx・MyOz]・nHO ・・・・・・(1)
m[Mx・MyOz]・nHO ・・・・・・(2)
〔式(1)、(2)中、MはP及びSiより選択される一種又は二種の元素から成る中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される一種以上の配位元素を表す。Mはアルカリ金属を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
【請求項2】
前記ヘテロポリ酸塩(A)が、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸リチウム、リンタングステン酸カリウムから選択される少なくとも一種である請求項1記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項3】
前記ヘテロポリ酸(B)は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸又はケイモリブドタングストバナジン酸から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【請求項4】
前記コモノマー(b)は、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種である、請求項1~3いずれかの項に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアセタール共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリアセタール共重合体の製造法としては、トリオキサンを主モノマーとし、これと共重合可能なコモノマー(b)とのカチオン共重合が知られている。これら共重合に用いるカチオン活性触媒としては、三フッ化ホウ素、或いは三フッ化ホウ素と有機化合物、例えばエーテル類との配位化合物は、トリオキサンを主モノマーとする重合触媒として最も一般的であり、工業的にも広く用いられていた。
【0003】
しかしながら、三フッ化ホウ素系化合物では、触媒の失活処理に伴う煩雑さが存在するため、それに代わる触媒としてヘテロポリ酸を触媒に使用したポリアセタール共重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ヘテロポリ酸は高活性であることから極めて少量の触媒量によって重合が可能となり、高品質のポリアセタール共重合体を提供できる。また、実質的に溶液を使用せず、溶融混練処理によって触媒の失活化を行うため、前記のような煩雑な工程を必要とせず、経済性にも優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-105279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ポリアセタール樹脂の汎用性が拡がり、より生産量の増大が求められているが、大量生産に伴う原材料の品質のバラツキが外乱としてポリアセタール共重合体の重合収率に影響し、また最終物であるポリアセタール樹脂の品質にバラツキを生じさせる事態が発生してきた。一般に高品質のポリアセタール樹脂を得るために低触媒濃度での重合を追求するが、この場合、原材料に含まれる活性水素を有する不純物、即ち、水、メタノール、ギ酸等の含有量のバラツキの影響が、重合収率安定の阻害要因として顕著にみられている。
【0007】
本発明の目的は、大量生産上の外乱があっても重合収率および樹脂品質への影響を抑制したポリアセタール共重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記によって達成された。
【0009】
1. トリオキサンを主モノマー(a)とし、これと共重合可能なコモノマー(b)とのポリアセタール共重合体を製造する方法であって、重合触媒(c)として下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸(B)に対して一般式(2)で表されるヘテロポリ酸塩(A)を質量比10≧(A)/(B)≧0.2で混合して使用する、ポリアセタール共重合体の製造方法。
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(1)
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(2)
〔式(1)、(2)中、MはP及びSiより選択される一種又は二種の元素から成る中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される一種以上の配位元素を表す。Mはアルカリ金属を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
【0010】
2. 前記ヘテロポリ酸塩(A)が、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸リチウム、リンタングステン酸カリウムから選択される少なくとも一種である前記1記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【0011】
3. 前記ヘテロポリ酸(B)は、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸又はケイモリブドタングストバナジン酸から選択される少なくとも一種である、前記1又は2に記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【0012】
4. 前記コモノマー(b)は、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン又はエチレンオキサイドから選択される少なくとも一種である、前記1~3いずれかに記載のポリアセタール共重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大量生産上の外乱があっても重合工程を安定に維持することができ、ポリマー収率を高いレベルで安定化でき、最終物であるポリアセタール樹脂品質の高品質安定性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0015】
<ポリアセタール共重合体の製造方法>
本発明は、トリオキサンを主モノマー(a)とし、これと共重合可能なコモノマー(b)とのポリアセタール共重合体を製造する方法であって、重合触媒(c)として下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸(B)に対して一般式(2)で表されるヘテロポリ酸塩(A)を質量比10≧(A)/(B)≧0.2で混合して使用することを特徴とする。
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(1)
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(2)
〔式(1)、(2)中、MはP及びSiより選択される一種又は二種の元素から成る中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される一種以上の配位元素を表す。Mはアルカリ金属を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
【0016】
≪主モノマー≫
本発明では、ホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンを主モノマー(a)とする。ここで主モノマーとは、モノマー中最も重合させる質量の多いモノマーをいう。
【0017】
≪コモノマー(b)≫
本発明のコモノマーとしては、トリオキサンと共重合するものであれば特に限定されないが、少なくとも一つの炭素-炭素結合を有する環状エーテル及び環状ホルマールから選択される少なくとも一種の化合物(b)が好ましい。
【0018】
コモノマーとして使用する化合物(b)の具体例としては、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0019】
中でも、重合の安定性から考慮して、1,3-ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4-ブタンジオールホルマール、1,3-ジオキサン、エチレンオキシドが好ましい。
【0020】
さらに、コモノマーとして、アルキレングリコールのジグリシジルエーテルやジホルマールの如き2個の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物、例えば、ブタンジオールジメチリデングリセリルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル等や、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の如き3個以上の重合性環状エーテル基又は環状ホルマール基を有する化合物を用いることもできる。これによって分岐構造や架橋構造が形成されたポリアセタール共重合体を得ることができる。
【0021】
本発明において、コモノマー(b)の量は、全モノマー(主モノマーとコモノマーの合計量)中の割合として0.1~20モル%であり、好ましくは0.2~10モル%である。
【0022】
≪重合触媒(c)≫
本発明は、ポリアセタール共重合体の製造において、重合触媒(c)として下記一般式(1)で表されるヘテロポリ酸(B)に対して一般式(2)で表されるヘテロポリ酸塩(A)を質量比10≧(A)/(B)≧0.2で混合して使用することを特徴とする。
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(1)
[M ・M ]・nHO ・・・・・・(2)
〔式(1)、(2)中、MはP及びSiより選択される一種又は二種の元素から成る中心元素を表す。MはW、Mo及びVより選択される一種以上の配位元素を表す。Mはアルカリ金属を表す。xは1以上10以下の整数を示し、yは6以上40以下の整数を表し、zは10以上100以下の整数を表し、mは1以上の整数を表し、nは0以上50以下の整数を表す。〕
【0023】
上記へテロポリ酸の具体例として、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が挙げられる。中でも、重合の安定性、ヘテロポリ酸自体の安定性から考慮して、へテロポリ酸は、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸又はリンタングステン酸のいずれか一種以上であることが好ましい。
【0024】
ヘテロポリ酸塩としては、Mがアルカリ金属の塩が使用され、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸リチウム、リンタングステン酸カリウムが好ましく、アルカリ金属としては、ナトリウムが好ましい。
ヘテロポリ酸(B)とヘテロポリ酸塩(A)の質量混合比は、は10≧(A)/(B)≧0.2であり、5≧(A)/(B)≧0.2であることが好ましい。
上記下限未満であると、重合安定性および樹脂品質において著しく劣る。上記上限を超える場合、重合安定性および樹脂品質において更なる改善効果はなく、加えて経済的に不利になる。
【0025】
本発明において、触媒の使用量は、その種類によっても異なり、また、適当に変えて重合反応を調節することができるが、一般には重合されるべきモノマーの総量に対し0.05~100ppm(以下質量/質量ppmを表す。)の範囲であり、好ましくは0.1~50ppmである。
【0026】
反応を均一に行うために、重合触媒は、重合に悪影響のない不活性な溶媒で希釈して、主モノマー及び/又はコモノマーに添加して使用することが望ましい。上記不活性な溶媒として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数1~10の低分子量カルボン酸と、メタノール、エタノール、1-プロバノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-へキサノール等の炭素数1~10の低分子量のアルコールが縮合して得られるエステル;アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-へキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル-t-ブチルケトン等の炭素数1~10の低分子量のケトン類が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
工業的な入手しやすさ等も勘案すると、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン等が最も好適である。重合触媒は、上記不活性な溶媒に、好適には濃度0.05~30質量%で溶解されるが、これに限定されるものではない。
また、前述した主モノマー、コモノマー、分子量調節剤等の何れか一種又は複数種の一部量又は全量に、上記重合触媒の所定量を予め混合し、この溶液を重合系に添加して重合を行う方法も好ましい。
【0028】
≪共重合体の重合≫
本発明において、重合による粗ポリアセタール共重合体の調製は、従来から公知のトリオキサンの共重合と同様の設備と方法で行うことができる。即ち、バッチ式、連続式の何れも可能であり、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る方法が一般的である。
【0029】
本発明に用いられる重合装置としては、バッチ式では一般に用いられる撹拌機付きの反応槽が使用でき、また、連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機、その他、これまでに提案されているトリオキサン等の連続重合装置が使用可能であり、また2種以上のタイプの重合機を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
重合方法は特に限定されるものではないが、先に提案されているように、トリオキサン、コモノマー及び重合触媒としてのヘテロポリ酸を、あらかじめ液相状態を保ちつつ十分に混合し、得られた反応原料混合液を重合装置に供給して共重合反応を行えば、必要触媒量の低減が可能となり、結果としてホルムアルデヒド放出量のより少ないポリアセタール共重合体を得るのに有利であり、より好適な重合方法である。重合温度は、60~120℃の温度範囲で行なわれる。
【0031】
本発明において、上記の主モノマー(a)とコモノマー(b)とを重合してポリアセタール共重合体を調製するにあたり、重合度を調節するため公知の連鎖移動剤、例えばメチラールの如き低分子量の線状アセタール等を添加することも可能である。
【0032】
本発明の触媒であれば、活性水素を有する不純物の影響を抑制することはできるが、水、メタノール、ギ酸はそれぞれ30ppm以下の状態で行うのが望ましい。本発明であれば、それぞれ30~100ppmが許容される。
【0033】
本発明の触媒と使用して重合した粗ポリアセタール共重合体は、通常の公知の触媒失活処理等を施し、通常公知の添加剤を添加することにより最終的なポリアセタール樹脂とすることができる。
【実施例
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[主モノマー(a)であるトリオキサンと、コモノマー(b)とのポリアセタール共重合体の製造]
下記の通り重合を行い、ポリアセタール共重合体を製造した。
熱媒を通すことのできるジャケットと撹拌羽根を有する密閉オートクレーブ中に300gの(a)トリオキサン、(b)成分として11gの1,3-ジオキソラン、および分子量調節剤としてのメチラールを0.2g入れ、これら内容物を撹拌し、ジャケットに80℃の温水を通して内部温度を約80℃に保った。この後、表1に示した触媒(塩(A)+ヘテロポリ酸(B))を溶解した触媒溶液(触媒0.3質量%のギ酸メチルの溶液)を表1に示す触媒濃度(単位ppm:対全モノマー)になる様に加えて重合を開始した。
【0036】
5分後にこのオートクレーブへトリエチルアミン0.1%を含む水300gを加えて反応を停止し、内容物を取り出して200メッシュ以下に粉砕し、アセトン洗浄及び乾燥後、ポリアセタール共重合体収率(添加全モノマーに対して得られた共重合体の割合(%)、5分後収率ともいう)を算出した。この結果を表1に示した。
【0037】
上記の方法で得たポリアセタール共重合体100質量部に、安定剤としてペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3質量部、およびメラミン0.15質量部を添加し、小型2軸押出機にて210℃で溶融混練し、ペレット状のポリアセタール樹脂組成物を得た。このペレットを使用し下記の評価を行った。
【0038】
[溶融体からのホルムアルデヒド発生量]
5gのペレットを正確に秤量し、金属製容器中に200℃で5分間保持した後、容器内の雰囲気を蒸留水中に吸収させる。この水溶液のホルムアルデヒド量をJISK0102,29.(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、ペレットから発生するホルムアルデヒドガス量(単位:ppm)を算出した。
【0039】
表2では、コモノマーとして1,4-ブタンジオールホルマールを使用した実験例を示す。
表3では、触媒量に関し同一条件で回数を重ねて(n数)、重合安定性、樹脂品質を評価した(他条件は表1と同一)。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表1、2の実施例から、本発明の触媒を使用した場合、安定的に、高い重合収率でポリアセタール共重合体が得られ、得られたポリアセタール樹脂のホルムアルデヒド発生量が低値であることが判る。一方、表1、2の比較例より、ヘテロポリ酸量の同レベルでの比較において、ヘテロポリ酸単体、塩と酸の量比が本発明の範囲外(A/B<0.2)であるもの、ヘテロポリ酸塩単体(高濃度)では、重合収率が低値または重合が起こらないこと、共重体が得られた場合でも、そのポリアセタール樹脂のホルムアルデヒド発生量が高値であることが判る。
【0044】
表3の実施例、比較例より、同一条件の実験回数を重ねた場合の、本発明の重合収率の安定度、樹脂からのホルムアルデヒド発生量の低値安定度の高さが判る。