(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】多数決処理装置、半導体記憶装置及び情報データの多数決方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/18 20060101AFI20220628BHJP
G11C 29/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G06F11/18 630
G11C29/00 410
(21)【出願番号】P 2018101998
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】村田 伸一
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-134313(JP,A)
【文献】特開平06-052697(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/106583(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/18
G11C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
r(rは2以上の整数)ビットからなる情報データ片の各ビットについて多数決処理を施す多数決処理装置であって、
前記rビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリと、
前記情報データ片の各ビット毎に、その1ビットを1つの前記アドレスに対応した前記記憶素子群内のk(kは3以上の奇数)個の前記記憶素子に夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応した前記k個の前記記憶素子に書き込まれた前記k個のビットを読み出すメモリアクセス部と、
前記メモリアクセス部によって前記メモリから読み出された前記k個のビットの多数決を取る多数決部と、を有することを特徴とする多数決処理装置。
【請求項2】
前記メモリアクセス部は、前記メモリの読み出し動作時において前記アドレスを時間経過につれて変更するアドレス制御部を含み、
前記多数決部は、
前記k個のビットの多数決を取って1ビットの多数決結果を得る多数決演算回路と、
前記アドレス毎に前記多数決演算回路にて得られた前記1ビットの多数決結果を個別に保持しつつ、夫々が保持した内容を前記情報データ片の多数決結果として出力する複数のラッチと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の多数決処理装置。
【請求項3】
通常モード及び多数決モードを示す動作モード信号を受け、
前記メモリアクセス部は、
前記動作モード信号が前記多数決モードを示す場合には、前記情報データ片の各ビット毎に、その1ビットを1つの前記アドレスに対応した前記記憶素子群内のk個の前記記憶素子に夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応した前記k個の前記記憶素子に書き込まれている前記k個のビットを同時に読み出し、
前記動作モード信号が前記通常モードを示す場合には、前記情報データ片の前記rビットの各ビットを1つのアドレスに対応した前記記憶素子群に書き込み、前記1つのアドレスに対応した前記記憶素子群に書き込まれている前記rビットの各ビットを読み出すことを特徴とする請求項1又は2に記載の多数決処理装置。
【請求項4】
前記メモリは、前記記憶素子に接続されている複数のビット線を含み、
前記メモリアクセス部は、
前記情報データ片の各ビットに対応したr個の書込電圧を生成してr本のデータビット線に夫々印加するデータ変換部と、
前記アドレスに応じて前記複数のビット線からr本のビット線を選択して前記r本のデータビット線と接続する第1のセレクタと、
前記動作モード信号が前記通常モードを示す場合には前記第1のセレクタと前記ビット線の各々とを電気的に接続する一方、前記動作モード信号が前記多数決モードを示す場合には前記r個の書込電圧の各々を複数の前記ビット線に印加する第2のセレクタと、を含むことを特徴とする請求項
3に記載の多数決処理装置。
【請求項5】
r(rは2以上の整数)ビット
からなる情報データ片の各ビットに夫々対応した記憶を担うr個のメモリセルからなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリセルアレイを有する半導体記憶装置であって、
前記情報データ片の各ビット毎に、その1ビットを1つの前記アドレスに対応した前記記憶素子群内のk個(kは3以上の奇数)の前記メモリセルに夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応したk個の前記メモリセルに書き込まれた前記k個のビットを読み出すメモリアクセス部と、
前記メモリアクセス部によって前記メモリセルアレイから読み出された前記k個のビットの多数決を取る多数決部と、を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
r(rは2以上の整数)ビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリのk(kは3以上の奇数)箇所に、rビットの情報データ片を夫々書き込み、前記k箇所から読み出したk個の情報データ片の同一ビット桁同士で多数決を取る情報データの多数決方法であって、
前記情報データ片の各ビット毎にその1ビットを1つのアドレスに対応した前記記憶素子群内のk個の記憶素子に夫々書き込み、
前記1つのアドレスに対応したk個の前記記憶素子に書き込まれた前記k個のビットを同時に読み出し、読み出された前記k個のビットの多数決を取ることを特徴とする情報データの多数決方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数決によって最も確からしい情報データを取得する多数決装置、多数決回路を含む半導体記憶装置、及び情報データの多数決方法に関する。
【背景技術】
【0002】
書き込まれた情報データの信頼性を多数決によって高めるようにした半導体メモリが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の半導体メモリは、書込対象となる情報データ片を受けると、当該情報データ片と同一の情報データ片を、夫々が独立した8ビットの入出力ポートを有する3つのメモリセルアレイに夫々書き込む。そして、データ読出時には、3つのメモリセルアレイから同時に読み出した、夫々8ビットを有する3つの情報データ片の多数決を取ることによって得られた情報データ片を最終的な出力データとして出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の半導体メモリでは、上記した多数決処理を行う為に、夫々が独立した入出力ポートを有する3つのメモリセルアレイが必要となるので、装置全体の回路規模が大きくなるという問題があった。
【0006】
尚、1つのメモリセルアレイだけを用いて、読み出された情報データ片の多数決を取るには、例えば1つの情報データ片を3カ所の番地に書き込み、読出時には、当該3カ所の番地から順に情報データを読み出し、読み出された3つの情報データ片の多数決を取る。
【0007】
よって、1つのメモリセルアレイだけで上記したような多数決を行うには、多数決回路の前段に、1つのメモリセルアレイから順に読み出された情報データ片が3つ揃うまで、その3つの情報データ片を保持する3つのデータラッチが必要となる。ところで、これら3つのデータラッチ各々の回路規模は、情報データ片のビット数に比例して大きくなるので、装置全体の規模の増大を招くことになる。
【0008】
そこで、本発明は、装置規模の増大を抑えて、情報データ片に対して多数決処理を施すことが可能な多数決処理装置、半導体記憶装置及び情報データの多数決方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る多数決処理装置は、r(rは2以上の整数)ビットからなる情報データ片の各ビットについて多数決処理を施す多数決処理装置であって、前記rビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリと、前記情報データ片の各ビット毎に、その1ビットを1つの前記アドレスに対応した前記記憶素子群内のk(kは3以上の奇数)個の前記記憶素子に夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応した前記k個の前記記憶素子に書き込まれた前記k個のビットを読み出すメモリアクセス部と、前記メモリアクセス部によって前記メモリから読み出された前記k個のビットの多数決を取る多数決部と、を有する。
【0010】
また、本発明に係る半導体記憶装置は、r(rは2以上の整数)ビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個のメモリセルからなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリセルアレイを有する半導体記憶装置であって、前記情報データ片の各ビット毎に、その1ビットを1つの前記アドレスに対応した前記記憶素子群内のk個(kは3以上の奇数)の前記メモリセルに夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応したk個の前記メモリセルに書き込まれた前記k個のビットを読み出すメモリアクセス部と、前記メモリアクセス部によって前記メモリセルアレイから読み出された前記k個のビットの多数決を取る多数決部と、を有する。
【0011】
また、本発明に係る情報データの多数決方法は、r(rは2以上の整数)ビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリのk(kは3以上の奇数)箇所に、rビットの情報データ片を夫々書き込み、前記k箇所から読み出したk個の情報データ片の同一ビット桁同士で多数決を取る情報データの多数決方法であって、前記情報データ片の各ビット毎にその1ビットを1つのアドレスに対応した前記記憶素子群内のk個の記憶素子に夫々書き込み、前記1つのアドレスに対応したk個の前記記憶素子に書き込まれた前記k個のビットを同時に読み出し、読み出された前記k個のビットの多数決を取る。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、rビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含むメモリのk箇所に、rビットの情報データ片を夫々書き込み、当該k箇所から情報データ片を読み出して各ビット毎に多数決を取るにあたり、以下の処理を行う。
【0013】
先ず、情報データ片の各ビット毎にその1ビットを1つのアドレスに対応したk個の記憶素子に夫々書き込む。そして、この1つのアドレスに対応したk個の記憶素子に書き込まれたk個のビットを読み出し、読み出されたk個のビットの多数決を取る。
【0014】
これにより、単一のメモリに対する1回分の読出アクセスにより、多数決対象となるk個の読出データ片の各ビットが、同一ビット桁毎に同時に読み出されるので、これら読み出されたk個のビットで直接、多数決を行うことが可能となる。
【0015】
よって、本発明によれば、多数決を行う回路の前段にデータラッチを設ける必要がなくなるので、装置規模の増大を抑えて、情報データ片に対して多数決処理を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】半導体記憶装置200の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】カラムデコーダ104及びデータ入出力部105の内部構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】通常モード時における情報データDIN(d0~d2)の書込及び読出動作の一例を表すタイムチャートである。
【
図4】多数決モード時における情報データDIN(d0~d2)の書込及び読出動作の一例を表すタイムチャートである。
【
図5】カラムデコーダ104及びデータ入出力部105の内部構成の他の一例を表すブロック図である。
【
図6】多数決モード時における情報データDIN(d0~d2)の書込及び読出動作の他の一例を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明に係る多数決処理装置としての半導体記憶装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
半導体記憶装置200は、メモリセルアレイ101、制御部102、ロウデコーダ103、カラムデコーダ104及びデータ入出力部105を有する。
【0019】
メモリセルアレイ101は、ビット線B0~Bm(mは2以上の整数)と、これらビット線B0~Bmと交叉して配列されたワード線W0~Wn(nは2以上の整数)と、を含む。更に、各ビット線Bとワード線Wとの各交叉部に、ビット線B及びワード線Wに接続されているメモリセルMCが配置されている。
【0020】
各メモリセルMCは、自身に接続されているワード線Wを介して印加された選択電圧、及び自身に接続されているビット線Bを介して印加された書込電圧に応じて、当該書込電圧に対応したデータビットを書き込む。また、各メモリセルMCは、自身に接続されているワード線Wに印加されている選択電圧、及び自身に接続されているビット線Bに印加されている読出電圧に応じて、自身に書き込まれているデータビットに対応した電流をビット線Bに流す。
【0021】
制御部102は、半導体記憶装置200の外部から、書込指令又は読出指令等を表すメモリアクセス信号MAC、及びアドレスADを受ける。更に、制御部102は、半導体記憶装置200の外部から、多数決モード及び通常モードのうちの一方を指定する動作モード信号MODを受ける。
【0022】
制御部102は、アドレスADに基づき、ワード線W0~Wnのうちの1つを選択させるワード線選択信号を生成し、これをロウデコーダ103に供給する。
【0023】
また、制御部102は、メモリアクセス信号MACが読出指令を表す場合には読出指令信号RCをデータ入出力部105に供給し、当該メモリアクセス信号MACが書込指令を表す場合には書込指令信号WCをデータ入出力部105に供給する。
【0024】
更に、制御部102は、アドレスADに基づき、ビット線B0~Bmのうちで、書込アクセスの対象となる複数のビット線を指定するアドレスSA、及び読出アクセス対象となる複数のビット線Bを指定するアドレスSBを生成し、カラムデコーダ104に供給する。
【0025】
尚、制御部102は、動作モード信号MODが多数決モードを表す場合には、1回の書込又は読出アクセスにおいて、その値が時間経過につれて段階的に変化するアドレスSA及びSBを生成する。
【0026】
ロウデコーダ103は、制御部102から供給されたワード線選択信号に基づき、メモリセルアレイ101に含まれるワード線W0~Wnのうちの1つのワード線Wに選択電圧を印加する。
【0027】
カラムデコーダ104は、ビット線B0~Bmのうちで、上記アドレスSA及びSBにて指定されている複数のビット線Bを、アクセス対象となるビット線群として選択する。尚、アクセス対象となるビット線群として選択された複数のビット線Bの数は、データ入出力部105に接続されているデータビット線D0~D20の数、つまり21本である。カラムデコーダ104は、ビット線B0~Bmのうちでアクセス対象となった21本のビット線Bを、データビット線D0~D20に夫々接続する。
【0028】
データ入出力部105は、半導体記憶装置200の外部から、動作モード信号MOD、及び第0~第20ビットからなる情報データDIN[20:0]を受けると共に、制御部102から、読出指令信号RC又は書込指令信号WCを受ける。
【0029】
データ入出力部105は、動作モード信号MODが通常モードを表す場合に書込指令信号WCを受けると、情報データDINの各ビット毎に、そのビットの論理レベルに対応した電圧値を有する書込電圧を生成する。すなわち、データ入出力部105は、情報データDINの第0~第20のビットに夫々対応した第0~第20の書込電圧を生成する。データ入出力部は、生成した第0~第20の書込電圧を、データビット線D0~D20に夫々印加する。これにより、当該第0~第20の書込電圧は、データビット線D0~D20を夫々介して、メモリセルアレイ101に含まれるビット線B0~Bmのうちでアクセス対象として選択された21本のビット線Bに印加される。
【0030】
動作モード信号MODが通常モードを表す場合に読出指令信号RCを受けると、データ入出力部105は、先ず、データビット線D0~D20を介して、ビット線B0~Bmのうちで読出アクセス対象として選択された21本のビット線Bに、読出用の電圧を印加する。ここで、データ入出力部105は、各ビット線Bに流れる電流、又は各ビット線Bの電圧をデータビット線D0~D20を介して個別に検出する。データ入出力部105は、検出した電流又は電圧に基づき、各ビット毎に読出データとしての第0~第20のビット各々の論理レベルが「1」であるか「0」であるのかを判定する。そして、データ入出力部105は、夫々が、上記した判定結果によって示される論理レベルを有する第0~第20のビットからなる読出データDOT[20:0]を出力する。
【0031】
動作モード信号MODが多数決モードを表す場合に書込指令信号WCを受けると、データ入出力部105は、情報データDINの各ビット毎に、そのビットの論理レベルに対応した電圧値を有する書込電圧を生成する。すなわち、データ入出力部105は、情報データDINの第0~第20のビットに夫々対応した第0~第20の書込電圧を生成する。そして、データ入出力部105は、第0~第20の書込電圧を、夫々が3つの書込電圧からなる書込電圧群に区分けし、書込電圧群毎に、その書込電圧群に含まれる書込電圧を1つずつ順に選択する。この際、データ入出力部105は、書込電圧群毎に選択された書込電圧を、データビット線D0~D20のうちの3つのデータビット線Dに同時に印加する。
【0032】
また、動作モード信号MODが多数決モードを表す場合に読出指令信号を受けると、データ入出力部105は、以下の読出処理を実行する。
【0033】
すなわち、データ入出力部105は、先ず、データビット線D0~D20を介して、ビット線B0~Bmのうちで読出アクセス対象として選択された21本のビット線Bに、読出用の電圧を印加する。ここで、データ入出力部105は、各ビット線Bに流れる電流又は各ビット線Bの電圧を、データビット線D0~D20を介して個別に検出する。データ入出力部105は、検出した電流又は電圧に基づき読出データとしての第0~第20のビット各々の論理レベルが「1」であるか、「0」であるのかを各ビット毎に判定する。次に、データ入出力部105は、上記した3つのデータビット線Dに夫々読み出された読出データとしての3つのビットの多数決を取り、その多数決結果を1ビット分の読出データとして取得する。そして、データ入出力部105は、読出アクセス対象となる複数のビット線Bが変化する度に、上記した読出処理を実行する。かかる一連の処理により、データ入出力部105は、各ビット毎に行われた多数決にて得られた第0~第20のビットからなる読出データMDOT[20:0]を出力する。
【0034】
図2は、上記したような多数決処理を行う為にカラムデコーダ104及びデータ入出力部105の内部に設けられた構成の一例を表すブロック図である。
【0035】
カラムデコーダ104及びデータ入出力部105は、データ変換部DCV、アドレス制御部ACN、多数決部MV、及び、データビット線D0~D20に夫々対応して設けられたメモリアクセスブロックBK0~BK20を有する。
【0036】
尚、
図2では、メモリアクセスブロックBK0~BK20のうちから、データビット線D0~D2に夫々対応して設けられているメモリアクセスブロックBK0~BK2を抜粋してその内部の構成を表す。また、実際には、3つのメモリアクセスブロックBK毎に1つの多数決部MVが設けられているが、
図2では、メモリアクセスブロックBK0~BK2に対応した1つの多数決部MVだけを抜粋して記述している。つまり、カラムデコーダ104及びデータ入出力部105内には、21個のメモリアクセスブロックBKに対して、
図2に示す多数決部MVが7つ設けられている。
【0037】
図2に示すように、各メモリアクセスブロックBKは、接続先となるデータビット線D及びビット線Bが異なるだけで、同一の内部構成、つまりラッチ10、セレクタ30、60、及びセンスアンプ70を含んでいる。また、
図2では、各メモリアクセスブロックBKとビット線Bとの接続形態を表す為に、モリセルアレイ101内から1つのワード線W0に接続されているメモリセルMC群と、ビット線B群とを抜粋して、各メモリアクセスブロックBK内に含ませて記述している。
【0038】
尚、
図2に示す一例では、1つのワード線W0に、84個のメモリセルMC0~MC83が接続されているものとする。ここで、メモリセルMC0~MC83のうちのMC0、MC4、MC8、・・・、MC80は、アドレスADにて表される例えば番地[0000]に対応した記憶素子群である。また、メモリセルMC0~MC83のうちのMC1、MC5、MC9、・・・、MC81は、アドレスADにて表される例えば番地[0001]に対応した記憶素子群である。また、メモリセルMC0~MC83のうちのMC2、MC6、MC10、・・・、MC82は、アドレスADにて表される例えば番地[0002]に対応した記憶素子群である。また、メモリセルMC0~MC83のうちのMC3、MC7、MC11、・・・、MC83は、アドレスADにて表される例えば番地[0003]に対応した記憶素子群である。
【0039】
以下に、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のラッチ10、セレクタ30、60、及びセンスアンプ70の動作について説明する。
【0040】
BK0のセレクタ30は、アドレス制御部ACNから供給されたビット線選択信号a[3:0]に基づき、メモリセルアレイ101のビット線B0~B3のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線D0とを電気的に接続する。BK0のセレクタ60は、アドレス制御部ACNから供給されたビット線選択信号b[3:0]に基づき、ビット線B0~B3のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線LLとを電気的に接続する。BK0のセンスアンプ70は、データビット線LLに流れる電流、又はデータビット線LLの電圧を検出し、その電流値又は電圧値に基づき当該データビット線LLに読み出されたデータビットが論理レベル0であるか、或いは論理レベル1であるのかを判定する。そして、センスアンプ70は、その判定結果によって示される論理レベルを有するデータビットをデータビットR0として、ラッチ10及び多数決部MVに供給する。BK0のラッチ10は、データビットR0を保持し、これを読出データの第0ビットを表す読出データDOT[0]として出力する。
【0041】
BK1のセレクタ30は、ビット線選択信号a[3:0]に基づき、メモリセルアレイ101のビット線B4~B7のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線D1とを電気的に接続する。BK1のセレクタ60は、ビット線選択信号b[3:0]に基づき、ビット線B4~B7のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線LLとを電気的に接続する。BK1のセンスアンプ70は、データビット線LLに流れる電流、又はデータビット線LLの電圧を検出し、その電流値又は電圧値に基づき当該データビット線LLに読み出されたデータビットが論理レベル0であるか、或いは論理レベル1であるのかを判定する。そして、センスアンプ70は、その判定結果によって示される論理レベルを有するデータビットをデータビットR1として、ラッチ10及び多数決部MVに供給する。BK1のラッチ10は、データビットR1を保持し、これを読出データの第1ビットを表す読出データDOT[1]として出力する。
【0042】
BK2のセレクタ30は、ビット線選択信号a[3:0]に基づき、メモリセルアレイ101のビット線B8~B11のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線D2とを電気的に接続する。BK2のセレクタ60は、ビット線選択信号b[3:0]に基づき、ビット線B8~B11のうちから1つを選択し、選択したビット線と、データビット線LLとを電気的に接続する。BK2のセンスアンプ70は、データビット線LLに流れる電流、又はデータビット線LLの電圧を検出し、その電流値又は電圧値に基づき当該データビット線LLに読み出されたデータビットが論理レベル0であるか、或いは論理レベル1であるのかを判定する。そして、センスアンプ70は、その判定結果によって示される論理レベルを有するデータビットをデータビットR2として、ラッチ10及び多数決部MVに供給する。BK2のラッチ10は、データビットR2を保持し、これを読出データの第2ビットを表す読出データDOT[2]として出力する。
【0043】
多数決部MVは、多数決演算回路20、イネーブル端子付きのラッチ10a~10cを含む。多数決演算回路20は、データビットR0~R2の多数決を取り、その多数決の結果として得られた論理レベルを有するデータビットRDを生成する。多数決演算回路20は、データビットRDをラッチ10a~10cに供給する。
【0044】
ラッチ10aは、ビット線選択信号b[3:0]のうちで番地[0000]に対応したビット線選択信号b[0]が例えば論理レベル1を有する場合にデータビットRDを取り込み、ビット線選択信号b[0]が論理レベル0にある間に亘り、取り込んだデータビットRDの論理レベルを保持する。ラッチ10aは、この保持した論理レベルを有するデータビットを、読出データの第0ビットを表す読出データMDOT[0]として出力する。
【0045】
ラッチ10bは、ビット線選択信号b[3:0]のうちで番地[0001]に対応したビット線選択信号b[1]が例えば論理レベル1を有する場合にデータビットRDを取り込み、ビット線選択信号b[1]が論理レベル0にある間に亘り、取り込んだデータビットRDの論理レベルを保持する。ラッチ10bは、この保持した論理レベルを有するデータビットを、読出データの第1ビットを表す読出データMDOT[1]として出力する。
【0046】
ラッチ10cは、ビット線選択信号b[3:0]のうちで番地[0002]に対応したビット線選択信号b[2]が例えば論理レベル1を有する場合にデータビットRDを取り込み、ビット線選択信号b[2]が論理レベル0にある間に亘り、取り込んだデータビットRDの論理レベルを保持する。ラッチ10cは、この保持した論理レベルを有するデータビットを、読出データの第2ビットを表す読出データMDOT[2]として出力する。
【0047】
データ変換部DCVは、動作モード信号MOD、書込指令信号WC、読出指令信号RC及び第0~第20のビットからなる情報データDINを受ける。データ変換部DCVは、書込指令信号WCに応じて、情報データDINの各ビットを、そのビットの論理レベルに対応した電圧値を有する書込電圧に変換して、第0~第20の書込電圧を得る。
【0048】
ここで、データ変換部DCVは、動作モード信号MODが通常モードを表す場合には、生成した第0~第20の書込電圧をデータビット線D0~D20に夫々印加する。
【0049】
一方、動作モード信号MODが多数決モードを表す場合には、データ変換部DCVは、先ず、第0~第20の書込電圧を、夫々が3つの書込電圧からなる書込電圧群に区分けし、書込電圧群毎にその書込電圧群に含まれる書込電圧を1つずつ順に選択する。そして、データ入出力部105は、上記したように書込電圧群毎に選択した書込電圧を、データビット線D0~D20のうちの3つのデータビット線Dに同時に印加する。
【0050】
アドレス制御部ACNは、読出指令信号RC、書込指令信号WC、動作モード信号MOD、アドレスSA及びSBを受ける。
【0051】
アドレス制御部ACNは、動作モード信号MODが通常モードを表す場合には、アドレスSAにて示される1つを論理レベル1、その他を全て論理レベル0の状態に設定したビット線選択信号a[3:0]を生成する。更に、アドレス制御部ACNは、アドレスSBにて示される1つを論理レベル1、その他を全て論理レベル0の状態に設定したビット線選択信号b[3:0]を生成する。ここで、書込指令信号WCを受けると、アドレス制御部ACNは、ビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK各々のセレクタ30に供給する。また、読出指令信号RCを受けると、アドレス制御部ACNは、ビット線選択信号b[3:0]をメモリアクセスブロックBK各々のセレクタ60に供給する。
【0052】
一方、動作モード信号MODが多数決モードを表す場合には、アドレス制御部ACNは、以下の処理を行う。
【0053】
すなわち、書込指令信号WCを受けた場合には、アドレス制御部ACNは、ビット線選択信号a[0]、a[1]、a[2]、a[3]の順に、a[3:0]のうちの1つだけが論理レベル1の状態に設定されるビット線選択信号a[3:0]を生成する。そして、アドレス制御部ACNは、かかるビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK各々のセレクタ30に供給する。読出指令信号RCを受けた場合には、アドレス制御部ACNは、ビット線選択信号b[0]、b[1]、b[2]、b[3]の順に、b[3:0]のうちの1つだけが論理レベル1の状態に設定されるビット線選択信号b[3:0]を生成する。そして、アドレス制御部ACNは、かかるビット線選択信号b[3:0]をメモリアクセスブロックBK各々のセレクタ60に供給すると共に、ビット線選択信号b[2:0]を多数決部MVに供給する。
【0054】
以下に、書込対象となる情報データDINの第0~第21ビットのうちの第0~第2のビットのみを抜粋して、
図2に示すメモリアクセスブロックBK0~BK2及び多数決部MVによるメモリアクセス(書込、読出)動作を説明する。尚、以下の説明では、情報データDINの第0のビットをビットd0、第1のビットをビットd1、第2のビットをビットd2として表す。
[通常モード]
図3は、動作モード信号MODが通常モードを示す場合に、ビットd0~d2を含む情報データDINをアドレスADにて表される番地[0000]に対応したメモリセルMC0、MC4及びMC8に書き込み、これを読み出す際の動作を表すタイムチャートである。
【0055】
データ変換部DCVは、論理レベル1の書込指令信号WCに応じて、情報データDINのビットd0~d2各々の論理レベルに対応した第0~第2の書込電圧を生成し、夫々をデータビット線D0~D2を介してメモリアクセスブロックBK0~BK2に供給する。この間、アドレス制御部ACNは、アドレスSAに基づき、ビット線選択信号a[0]を論理レベル1、a[1]~a[2]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ30に供給する。
【0056】
これにより、情報データDINのビットd0がメモリセルMC0に書き込まれ、ビットd1がメモリセルMC4に書き込まれ、ビットd2がメモリセルMC8に書き込まれる。
【0057】
その後、論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、アドレス制御部ACNが、アドレスSBに基づき、ビット線選択信号b[0]を論理レベル1、b[1]~b[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0058】
これにより、メモリセルMC0からビットd0を表すデータビットR0が読み出され、これが読出データDOT[0]として出力される。また、メモリセルMC4からビットd1を表すデータビットR1が読み出され、これが読出データDOT[1]として出力される。更に、メモリセルMC8からビットd2を表すデータビットR2が読み出され、これが読出データDOT[2]として出力される。
【0059】
上記したように、通常モードでは、書込指令信号WCに応じて、情報データDINにおけるビットd0~d2が、データビット線D0~D2を夫々介して、番地[0000]に対応した3つのメモリセル(MC0、MC4、MC11)に個別に書き込まれる。そして、書き込まれたビットd0~d2が、読出指令信号RCに応じて、3つのメモリセルから読み出され、夫々が読出データDOT[0]~DOT[2]として出力される。
【0060】
よって、通常モード時には、データ入出力部105は、読出データDOT[0]~DOT[2]を含む読出データDOT[20:0]を正式な読出データとして出力する。
[多数決モード]
図4は、動作モード信号MODが多数決モードを示す場合に、ビットd0~d2からなる情報データDINをワード線W0に接続されているメモリセルMC群に書き込み、これを読み出す際の動作を表すタイムチャートである。
【0061】
先ず、制御部102は、
図4に示すように、論理レベル1の連続したパルス列を有する書込指令信号WCをアドレス制御部ACN及びデータ変換部DCVに供給する。
【0062】
データ変換部DCVは、ビットd0~d2を含む情報データDINを、書込指令信号WCの各パルスのタイミングに同期したタイミングで
図4に示すように1ビットずつ取り込む。
【0063】
ここで、先ず、データ変換部DCVは、情報データDINのビットd0の論理レベルに対応した第0の書込電圧を生成し、これをデータビット線D0~D2を介してメモリアクセスブロックBK0~BK2の各々に同時に供給する。アドレス制御部ACNは、最初の論理レベル1の書込指令信号WCに応じて、
図4に示すように、番地[0000]に対応したビット線選択信号a[0]を論理レベル1、a[1]~a[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ30に供給する。
【0064】
これにより、情報データDINのビットd0が番地[0000]に対応したメモリセルMC0、MC4及びMC8に書き込まれる。
【0065】
次に、データ変換部DCVは、情報データDINのビットd1の論理レベルに対応した第1の書込電圧を生成し、これをデータビット線D0~D2を介してメモリアクセスブロックBK0~BK2の各々に同時に供給する。アドレス制御部ACNは、第2番目の論理レベル1の書込指令信号WCに応じて、
図4に示すように、番地[0001]に対応したビット線選択信号a[1]を論理レベル1、a[0]、a[2]及びa[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ30に供給する。
【0066】
これにより、情報データDINのビットd1が番地[0001]に対応したメモリセルMC1、MC5及びMC9に書き込まれる。
【0067】
次に、データ変換部DCVは、情報データDINのビットd2の論理レベルに対応した第2の書込電圧を生成し、これをデータビット線D0~D2を介してメモリアクセスブロックBK0~BK2の各々に同時に供給する。アドレス制御部ACNは、第3番目の論理レベル1の書込指令信号WCに応じて、
図4に示すように、番地[0002]に対応したビット線選択信号a[2]を論理レベル1、a[0]、a[1]及びa[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号a[3:0]をメモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ30に供給する。
【0068】
これにより、情報データDINのビットd2が番地[0002]に対応したメモリセルMC2、MC6及びMC10に書き込まれる。
【0069】
その後、制御部102は、
図4に示すように、論理レベル1の連続したパルス列を有する読出指令信号RCをアドレス制御部ACN及びデータ変換部DCVに供給する。
【0070】
アドレス制御部ACNは、最初の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図4に示すように番地[0000]に対応したビット線選択信号b[0]を論理レベル1、b[1]~b[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0071】
これにより、番地[0000]に対応したメモリセルMC0、MC4及びMC8の各々から共にビットd0を表すデータビットR0、R1及びR2が
図4に示すように読み出される。多数決部MVの多数決演算回路20は、これらデータビットR0、R1及びR2の各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd0を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10aのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[0]に応じて、ビットd0を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第0ビットを表す読出データMDOT[0]として出力する。
【0072】
次に、アドレス制御部ACNは、第2番目の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図4に示すように番地[0001]に対応したビット線選択信号b[1]を論理レベル1、b[0]、b[2]及びb[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0073】
これにより、番地[0001]に対応したメモリセルMC1、MC5及びMC9の各々から共にビットd1を表すデータビットR0、R1及びR2が
図4に示すように読み出される。多数決演算回路20は、これらデータビットR0、R1及びR2の各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd1を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10bのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[1]に応じて、ビットd1を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第1ビットを表す読出データMDOT[1]として出力する。
【0074】
次に、アドレス制御部ACNは、第3番目の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図4に示すように番地[0002]に対応したビット線選択信号b[2]を論理レベル1、b[0]、b[1]及びb[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0075】
これにより、番地[0002]に対応したメモリセルMC2、MC6及びMC10の各々から共にビットd2を表すデータビットR0、R1及びR2が
図4に示すように読み出される。多数決演算回路20は、これらデータビットR0、R1及びR2の各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd2を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10cのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[2]に応じて、ビットd2を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第2ビットを表す読出データMDOT[2]として出力する。
【0076】
すなわち、多数決モード時には、上記した読出データMDOT[0]~MDOT[2]を含む読出データMDOT[20:0]が正式な読出データとして出力される。
【0077】
このように、
図2に示す構成では、21ビットの各ビットに夫々対応した記憶を担う21個のメモリセルMCからなる記憶素子群を1つのアドレス(AD)の単位として複数含むメモリセルアレイ101を用いて、以下のように情報データ片に対して多数決処理を施す。
【0078】
先ず、情報データDINの各ビット毎にその1ビットを、1つのアドレスに対応した3個のメモリセルMCに夫々書き込む。そして、この1つのアドレスに対応した3個のメモリセルMCに書き込まれた3つのビットを、データビットR0~R2として読み出し、読み出された3つのデータビットR0~R2で多数決を取る。
【0079】
これにより、単一のメモリセルアレイ101に対する1回分の読出アクセスにより、多数決対象となる3つの情報データ片の各ビットが同一ビット桁毎に同時に読み出される。よって、読み出された3つのビットに対して直接、多数決演算回路20で多数決を取ることが可能となる。
【0080】
したがって、多数決対象となる情報データ片を夫々異なるk個のアドレスに書き込み、k回分の読出アクセスによって各アドレスから順に当該情報データ片を読み出す構成を採用した場合に必要となる、多数決演算回路20の前段のデータラッチが不要となる。よって、
図2に示す構成によれば、装置規模の増大を抑えて、情報データ片に対して多数決処理を施すことが可能となる。
【実施例2】
【0081】
図5は、カラムデコーダ104及びデータ入出力部105の内部構成の他の一例を表すブロック図である。
【0082】
図5に示す構成では、データ変換部DCVに代えてデータ変換部DCVaを採用し、各メモリアクセスブロックBK内に新たに2入力セレクタS0~S3を設けた点を除く他の構成は
図2に示すものと同一である。尚、
図5では、多数決部MVの内部構成、及びアドレス制御部ACNについては記述を省略している。
【0083】
以下に、データ変換部DCVa及び2入力セレクタS0~S3を中心に、
図5に示す構成について説明する。
【0084】
データ変換部DCVaは、第0~第20のビットからなる情報データDINを受けると、当該第0~第20のビット各々の論理レベルに対応した電圧値を有する第0~第20の書込電圧V0~V20を生成する。
【0085】
データ変換部DCVaは、動作モード信号MODが通常モードを表す場合には、生成した書込電圧V0~V20を、夫々データビット線D0~D20を介して、対応するメモリアクセスブロックBKに供給する。
【0086】
一方、動作モード信号MODが多数決モードを表す場合には、データ変換部DCVaは、上記した書込電圧V0~V20を例えば夫々が3つの書込電圧からなる書込電圧群に区分けし、各書込電圧群を3つのメモリセルブロックBKに供給する。例えば、データ変換部DCVaは、書込電圧V0~V20のうちの書込電圧V0~V2からなる書込電圧群を、
図5に示す3つのメモリセルブロックBK0~BK2に夫々供給する。
【0087】
各メモリセルブロックBKに含まれる2入力セレクタS0~S3の各々には、動作モード信号MODが供給されている。また、2入力セレクタS0~S3には、夫々に対応したビット線Bが接続されている。更に、2入力セレクタS0~S3各々の2つの入力端のうちの一方の入力端には、上記した書込電圧群に含まれる1つの書込電圧が印加されており、他方の入力端はセレクタ30と接続されている。
【0088】
2入力セレクタS0~S3の各々は、動作モード信号MODが通常モードを示す場合には、自身に接続されているビット線Bをセレクタ30と接続する。これにより、
図5に示すメモリセルブロックBKの各々は、
図2に示すメモリセルブロックBKの各々と等価な回路構成となる。
【0089】
一方、動作モード信号MODが多数決モードを示す場合には、2入力セレクタS0~S3の各々は、セレクタ30を介さずに、自身に印加された書込電圧を、自身に接続されているビット線Bを介してメモリセルMCに印加する。これにより、情報データDINの各ビットに対応して設けられた複数のメモリセルMCに同時に、異なる書込電圧が印加される。
【0090】
図6は、多数決モード時において、ビットd0~d2からなる情報データDINをワード線W0に接続されているメモリセルMC群に書き込み、これを読み出す際の動作を表すタイムチャートである。
【0091】
先ず、制御部102は、
図6に示すように、論理レベル1の書込指令信号WCをアドレス制御部ACN及びデータ変換部DCVaに供給する。
【0092】
データ変換部DCVaは、書込指令信号WCに応じて、情報データDINにおけるビットd0~d2に対応した書込電圧V0~V2を、メモリセルブロックBK0~BK2の各々に供給する。
【0093】
この際、メモリセルブロックBK0の2入力セレクタS0~S2は、書込電圧V0~V2をビット線B0~B2を介してメモリセルMC0~MC2に印加する。これにより、
図6に示すように、情報データDINのビットd0がメモリセルMC1に書き込まれ、ビットd1がMC1に書き込まれ、ビットd2がMC2に書き込まれる。
【0094】
また、メモリセルブロックBK1の2入力セレクタS0~S2は、書込電圧V0~V2をビット線B4~B6を介してメモリセルMC4~MC6に印加する。これにより、
図6に示すように、情報データDINのビットd0がメモリセルMC4に書き込まれ、ビットd1がMC5に書き込まれ、ビットd2がMC6に書き込まれる。
【0095】
また、メモリセルブロックBK2の2入力セレクタS0~S2は、書込電圧V0~V2をビット線B8~B10を介してメモリセルMC8~MC10に印加する。これにより、
図6に示すように、情報データDINのビットd0がメモリセルMC8に書き込まれ、ビットd1がMC9に書き込まれ、ビットd2がMC10に書き込まれる。
【0096】
その後、制御部102は、
図6に示すように、論理レベル1の連続したパルス列を有する読出指令信号RCをアドレス制御部ACN及びデータ変換部DCVaに供給する。
【0097】
アドレス制御部ACNは、最初の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図6に示すように、番地[0000]に対応したビット線選択信号b[0]を論理レベル1、b[1]~b[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0098】
これにより、番地[0000]に対応したメモリセルMC0、MC4及びMC8の各々から共にビットd0を表すデータビットR0、R1及びR2が
図6に示すように読み出される。多数決部MVの多数決演算回路20は、これらデータビットR0~R2各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd0を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10aのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[0]に応じて、ビットd0を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第0ビットを表す読出データMDOT[0]として出力する。
【0099】
次に、アドレス制御部ACNは、第2番目の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図6に示すように番地[0001]に対応したビット線選択信号b[1]を論理レベル1、b[0]、b[2]及びb[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0100】
これにより、番地[0001]に対応したメモリセルMC1、MC5及びMC9の各々から共にビットd1を表すデータビットR0、R1及びR2が
図6に示すように読み出される。多数決演算回路20は、これらデータビットR0、R1及びR2の各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd1を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10bのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[1]に応じて、ビットd1を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第1ビットを表す読出データMDOT[1]として出力する。
【0101】
次に、アドレス制御部ACNは、第3番目の論理レベル1の読出指令信号RCに応じて、
図6に示すように番地[0002]に対応したビット線選択信号b[2]を論理レベル1、b[0]、b[1]及びb[3]を全て論理レベル0に設定したビット線選択信号b[3:0]を、メモリアクセスブロックBK0~BK2各々のセレクタ60に供給する。
【0102】
これにより、番地[0002]に対応したメモリセルMC2、MC6及びMC10の各々から共にビットd2を表すデータビットR0、R1及びR2が
図6に示すように読み出される。多数決演算回路20は、これらデータビットR0、R1及びR2の各々の論理レベルの多数決を取り、その多数決結果をビットd2を表すデータビットRDとして、ラッチ10a~10cに供給する。この際、ラッチ10a~10cのうちのラッチ10cのみが、論理レベル1のビット線選択信号b[2]に応じて、ビットd2を表すデータビットRDを取り込み、これを読出データの第2ビットを表す読出データMDOT[2]として出力する。
【0103】
図5に示す構成によれば、
図2に示す構成と同様に、多数決モード時には1回分の読出アクセスにより、多数決対象となる3つの読出データ片の各ビットが、同一ビット桁毎のデータビットR0~R2として同時に読み出される。したがって、多数決を行う多数決演算回路20の前段に、3つの読出データ片が揃うまで各読出データ片を保持する3つのデータラッチが不要となる。
【0104】
よって、
図5に示す構成においても
図2に示す構成と同様に、装置全体の規模を縮小化することが可能となる。
【0105】
更に、
図5に示す構成によれば、多数決モードにおいて情報データDINの書き込みを行う際には、通常モードでのデータ書き込みと同様に、当該情報データの各ビットを同時にメモリセルアレイ101に書き込むことが可能となる。よって、
図4に示すように情報データDINの各ビットを時分割にて順に書き込む場合に比べて短期間で且つ容易にデータの書き込みが為されるようになる。
【0106】
尚、上記実施例では、多数決対象となる情報データDINのビット数が21ビットであるが、これに限定されない。また、多数決演算回路20では、3つのデータビットR0~R2で多数決を取っているが、3つ以上の奇数個で多数決を取る構成を採用しても良い。
【0107】
要するに、本発明に係る多数決処理装置としては、r(rは2以上の整数)ビットからなる情報データ片の各ビットについて多数決を取るにあたり、以下のメモリ、メモリアクセス部及び多数決部を含むものであれば良い。
【0108】
メモリ(101)は、rビットの各ビットに夫々対応した記憶を担うr個の記憶素子(MC)からなる記憶素子群をアドレスの単位として複数群含む。メモリアクセス部(BK0~BK20、ACN、DCV)は、情報データ片(DIN)の各ビット毎に、その1ビットを1つのアドレスに対応した記憶素子群内のk(kは3以上の奇数)個の記憶素子に夫々書き込み、1つのアドレスに対応したk個の記憶素子に書き込まれたk個のビットを読み出す。多数決部(MV)は、メモリアクセス部によってメモリから読み出されたk個のビットの多数決を取る。
【符号の説明】
【0109】
10a~10c ラッチ
20 多数決演算回路
102 制御部
104 カラムデコーダ
105 データ入出力部
ACN アドレス制御部
DCV データ変換部
MV 多数決部