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  • -導電性コネクタを有するガラスパネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】導電性コネクタを有するガラスパネル
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20220628BHJP
   H01R 12/55 20110101ALI20220628BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220628BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01R4/02 Z
H01R12/55
H01Q1/22 C
H01Q1/32 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020511329
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018071370
(87)【国際公開番号】W WO2019038075
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】17187926.5
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】スクノールヒ, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】竹内 彰一
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311605(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0121924(US,A1)
【文献】特表2018-537037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/02
H01R 12/55
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ガラス板(2)と、
- アンテナ(10、11)と、
- 前記アンテナにはんだ材料(9)によって接合される導電性コネクタ(100)と、
- 誘電性要素によって分離され、且つ絶縁ジャケット(121)によって保護される少なくとも中心導体(123)及びシールド(122)を含む同軸ケーブル(120)と
を含むガラスパネルにおいて、
前記導電性コネクタ(100)は、第1の導電性部分であって、その上に前記中心導体(123)が与えられる、第1の導電性部分と、前記第1の導電性部分(101)から分離される第2の導電性部分(102)であって、その上に前記シールド(122)が与えられる、第2の導電性部分(102)とを含む扁平なコネクタであり、前記導電性部分(101、102)は、弾性材料(104)の2つのフィルム(105、106)間に積層され、前記アンテナ(10、11)を前記導電性部分(101、102)上の導電性コネクタ(100)に接合するための前記はんだ材料(9)は、弾性材料(104)のない区域(110、111)に与えられることを特徴とするガラスパネル。
【請求項2】
コネクタ(100)の前記弾性材料(104)は、少なくとも部分的にポリイミドフィルムで作られることを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネル(1)。
【請求項3】
前記第1の導電性部分及び前記第2の導電性部分(101、102)は、銅、クロム鋼、鉄ニッケル材料のうちの少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のガラスパネル(1)。
【請求項4】
前記第1の導電性部分及び第2の導電性部分(101、102)は、銅で作られることを特徴とする、請求項3に記載のガラスパネル(1)。
【請求項5】
前記第1の導電性部分(101)は、拡張部(103)を有し、その上に前記同軸ケーブル(120)の前記中心導体(123)が固定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスパネル(1)。
【請求項6】
前記導電性コネクタ(100)は、前記アンテナ(10、11)に鉛フリーはんだ材料(9)によって接合されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスパネル(1)。
【請求項7】
前記アンテナ(10、11)は、プリントされた広帯域アンテナであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスパネル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ、特に導電性コネクタを含むガラスパネルに関する。より具体的には、本発明は、アンテナに接続される導電性コネクタ、例えば導電性コネクタによってアンテナに接続される同軸ケーブルを含む車両のガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車のガラスパネルは、アンテナ、ガラスパネルヒータ及びそれらの類似物など、多数の追加的な電気装置を有する。
【0003】
ガラスパネルと結合された電気的機能部品又は電気的機能層の導入により、自動車ガラスに様々な機能を付与することができる。電気的機能部品は、例えば、アンテナ素子、太陽電池又はエレクトロクロミックコーティングである。薄い金属ワイヤの挿入又は電気的に加熱可能なコーティングの適用により、加熱機能を得ることができる。これらの電気的機能部品又は層は、少なくとも導電性コネクタのために例えば電源又は増幅器に接続する必要がある。電気コネクタは、ガラスパネルが自動車に設置される前に取り付けられる。
【0004】
ガラスパネルへの取り付けは、はんだ材料を備えた導電性コネクタがガラスパネルの接触面上に配置され、次いで加熱されて、はんだ材料がガラスパネルの接触面と融解することで生じる。
【0005】
従来、コネクタは、鉛ベースのはんだ材料により、電気的機能部品又は電気的機能層にはんだ付けされる。なぜなら、鉛は、変形可能な金属であり、温度の変化に起因するコネクタと基板との熱膨張の差によるコネクタと基板との間の機械的応力を最小にするためである。より具体的には、典型的に銅などの良好な伝導性材料で作られるコネクタと基板との間の熱膨張係数の差が機械的応力を引き起こす。ガラス基板の場合、このような応力は、典型的にガラスで作られる基板に亀裂又は他の損傷をもたらす可能性がある。鉛ベースのはんだ材料は、典型的にはスズ(Sn)及び鉛(Pb)を含む。鉛は、はんだ中のスズと、一般的に高い銀(Ag)含量から構成される電気的機能部品又は電気的機能層との間のラジカル反応速度を低下させ、良好なはんだ付け性を可能にする。今日、鉛は、環境汚染物質と考えられ得ることが知られている。従って、多くの産業、特に自動車産業において、車両における鉛のあらゆる使用から離れようとする動機がある。それに加えて、EU法、例えば現行の「廃」自動車指令(ELV指令)2000/53/ECは、鉛などの特定の有害物質を禁止している。自動車産業が鉛の使用から離れる主な推進力は、欧州連合(EU)が課したエレクトロニクスにおける鉛の禁止である。RoHS指令(有害物質の制限に関する指令)の下、2006年7月1日現在、鉛は、電子機器において他の物質に置き換えなければならない。(この指令では、水銀、カドミウム及び六価クロムも禁止されている。)欧州向けの電子部品は、いずれも禁止対象である。
【0006】
鉛フリーはんだ材料の使用は、マイクロエレクトロニクス産業及び配管産業で一般的である。そのような材料は、例えば、それぞれの産業の代表的な特許である欧州特許第0704727B1号明細書及び米国特許第4758407B号明細書に記載されている。
【0007】
鉛フリーはんだ材料の使用は、自動車産業を含む他の産業にも広がっている。そのような使用は、例えば、米国特許出願公開第20070224842A1号明細書に記載されている。
【0008】
従来のはんだ材料は、はんだ材料中の鉛を置き換えるように提案されている。そのような材料は、一般に、少量の銀、銅、インジウム及びビスマスと共に高レベルのスズを含む。しかしながら、このような材料は、スズリッチはんだ材料と、電気的機能部品又は電気的機能層の銀又はそれに添加された銀との間のラジカル反応速度を増加させ、その結果、はんだ付け性が悪くなる。これらの従来の材料は、温度変化の結果であるコネクタと基板との熱膨張が原因のコネクタと基板との間の機械的応力を吸収せず、これにより基板に亀裂又は他の損傷が生じやすくなる。さらに、コネクタの代替材料の多くは、はんだ付けが困難であり、コネクタを基板上のアンテナなどの電気的機能部品又は電気的機能層に十分に接着させることが困難である。その結果、基板上のアンテナなどの電気的機能部品又は電気的機能層に代替材料を十分に接着させるために他の技術が必要となるであろう。
【0009】
例えば、米国特許第6253988号明細書は、低融点、展性及び電気的機能部品又は電気的機能層に対する良好なはんだ付け性のために、高量(又は大量)のインジウムを含むはんだ材料組成物を開示している。しかしながら、インジウムを含むはんだ材料組成物は、非常に柔らかい相を有し得、このはんだ材料組成物は、応力下で弱い凝集強度を示す。これらの他の従来の材料は、不十分であるため、特に鉛フリーはんだ材料ではんだ付けされる導電性コネクタを見出す必要がある。
【0010】
本発明は、ガラスパネルに関し、より詳細には、導電性コネクタを介して連結された電気的機能部品又は電気的機能層を含む車両のガラスに関する。そのような電気的機能部品又は電気的機能層は、例えば、アンテナである。
【0011】
アンテナとは、電力を電波に変換する電気機器であり、逆も同様である。これは、通常、無線送信機又は無線受信機で使用される。送信時、無線送信機が無線周波数で振動する電流(すなわち高周波交流(AC))をアンテナの端子に供給し、アンテナは、電磁波(電波)として電流からエネルギーを放射する。受信時、アンテナは、増幅される受信機に印加されるわずかな電圧をその端子で生成するために、電磁波の出力の一部を傍受する。
【0012】
アンテナは、無線を使用するすべての機器の不可欠な構成要素である。これらは、ラジオ放送、テレビ放送、双方向ラジオ、通信レシーバ、レーダ、携帯電話及び衛星通信などのシステム並びにガレージ開扉装置、ワイヤレスマイク、Bluetooth(登録商標)対応デバイス、ワイヤレスコンピュータネットワーク、ベビーモニター及び商品上のRFIDタグなどの他の装置で使用される。
【0013】
典型的には、アンテナは、受信機又は送信機に(多くの場合に伝送線を介して)電気的に接続された金属導体の配列からなる。送信機によってアンテナを介して送られる電子の振動電流は、アンテナ素子の周りに振動磁界を生成し、その間、電子の電荷もその素子に沿って振動電界を生成する。
【0014】
自動車の分野では、アンテナは、ラジオ、テレビ又は携帯電話信号(GSM(登録商標))などの情報を送信及び/又は受信するために使用されるが、車両と通信するために、すなわちキーを挿入することなく車のドアを開けることができるように、又は他の車両と通信するために、すなわち車両間の距離を保つように、又は環境、すなわち料金所、信号機と通信するためにも使用される。
【0015】
アンテナは、ガラス、すなわちフロントガラス、後部窓、側方窓若しくはサンルーフ内に組み付けられ得るか、又はルーフなどの車体内に固定され得る。車両内で使用される様々なアンテナシステムがある。
【0016】
アンテナのサイズは、一般に動作周波数の波長(λ)の一部であり、通常、λ/2又はλ/4である。さらに、隣接する誘電体媒体の存在は、放射体の寸法を√εだけ減少させる。ここで、εは、誘電体材料の比誘電率である。
【0017】
現代の車は、アナログ音声放送(振幅変調(AM - 0.5~1.7MHz)及び周波数変調(FM - 76~108MHz))、グローバルポジショニングシステム(GPS - 1575MHz)データ、携帯電話通信、例えばglobal system for communication(GSM(登録商標) - 800/1800MHz)、long term evolution(LTE - 800/1800/2600MHz)、デジタル音声放送(DAB - 170~240MHz)、リモートキーレスエントリー(RKE - 315/433MHz)、テレビ受信、タイヤ空気圧モニターシステム(TPMS - 315/433MHz)、自動車用レーダ(22~26GHz/76~77GHz)、車両間通信(C2C - 5.9GHz)等のための多数のアンテナを含む場合がある。
【0018】
第1のシステムは、周知であり、米国特許第8519897B2号明細書に記載されている。低プロファイルアンテナアセンブリ又はシャークフィン型カーアンテナアセンブリは、AM/FMラジオ、衛星デジタル音声ラジオサービス(SDARS)、グローバルポジショニングシステム(GPS)、デジタル音声放送(DAB)-VHF-III、DAB-L、Wi-Fi、Wi-Max及び携帯電話で使用するために構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、アンテナアセンブリは、アンテナアセンブリの共通カバーの下において、同じ場所、例えばアンテナアセンブリの共通シャーシ上に配置された少なくとも2つのアンテナを含む。このようなアンテナは、アンテナが頭上に又は天頂に向かって障害物がない視界を確実に得ることを促すために、自動車のルーフ、フード又はトランクに一般的に設置される。
【0019】
第2の周知のシステムは、AM及びFM放送を受信するためのアンテナ素子として車両のバックウィンドウに予め封入されたデフォッガ素子を利用する後部窓アンテナシステムである。このような後部窓アンテナシステムの例は、米国特許第5293173号明細書又は米国特許第5099250号明細書中に見出すことができる。車両のリアウィンドウに埋め込まれた既知の組合せのデフォッガ/アンテナ素子システムでは、素子を加熱する高電流信号からアンテナ信号を分離するために素子と車両DC電源との間に2つのバイファイラ又はトロイダルチョークを組み込むことが必要である。
【0020】
第3のシステムは、周知であり、米国特許出願公開第2014104122A1号明細書に記載されている。このシステムは、ガラス内に配置されたワイヤ又は透明コーティングを含むアンテナ素子を有するウィンドウアセンブリから構成される。このタイプのアンテナは、一般に、直線状に偏波される無線周波数(RF)信号を受信するように構成される。具体的には、アンテナ素子が受信し得る直線状に偏波されるRF信号は、非限定的に、AM、FM、RKE、DAB、DTV及び携帯電話信号である。
【0021】
テクノロジーの進化に伴い、車両は、通信(情報の受信又は発信)が可能な多くのアンテナを装備されている。車体に固定されるアンテナもあれば、ガラスのガラスパネルに配置されるアンテナもある。
【0022】
ガラス上に配置された従来の自動車放送低周波アンテナ(第2又は第3のタイプのアンテナ)は、国際公開第2004068643号パンフレットに記載されているように、単一要素によって電気的に供給され、電力供給され、且つ接続される。
【0023】
従来、この要素は、銀印刷の領域内にはんだ付けされた単一のクリンプによってアンテナに物理的及び電気的に接続される。例えば、10mm×10mmの銀印刷領域が後部窓上に印刷され、ワイヤアンテナに連結される。要素は、能動型増幅器に接続されたワイヤ、ピグテール、銅線又はMQSフラットケーブルであり得る。
【0024】
この種のアンテナのはんだ付けは、それが前記所定の領域の内側に取り付けられる限り重要ではなく、それらの低周波数アンテナの機能性及び性能に影響を与えない。なぜなら、それは、それらの波長のごく一部であるからである。
【0025】
より高い周波数システムの場合、波長がはるかに短くなるため、2つの問題が生じる。
【0026】
第1の問題は、単一ワイヤによるものである。単一ワイヤは、信号を送信し、信号を受信するのに適していない。より高い周波数での効率的な信号伝送のために同軸ケーブルが必要である。前記同軸ケーブルは、円筒状の誘電性プラスチック材料の内側を通して延びる中心部の金属細線、すなわち中心導体を含み、その誘電性プラスチック材料も円筒状の金属シールド、すなわちグラウンド平面としての金属グリッドによって同じく被覆されるアセンブリに対応する。このアセンブリは、最終的に絶縁ジャケット、好ましくはプラスチックジャケットによって被覆される。
【0027】
一般に、これらの高周波のためのアンテナは、同軸ケーブルに接続された少なくとも2つの部分を含む。同軸ケーブルの金属シールドは、アンテナの第1の部分(例えば、グランド)に接続され、中心導体は、アンテナの第2の部分に接続され、それによりアンテナのこれらの2つの部分間で電位差、電圧を受け取るか又は伝達する。
【0028】
第2の問題は、はんだ付けによるものである。より高い周波数のアンテナは、より短い波長を有する。従って、小さい揺らぎでさえ波長に相当するため、より高い周波数でのはんだ付けの精度は、厳密であるか又は厳密であり得る。
【0029】
これらの理由から、高周波アンテナは、同軸ケーブルなどの特定のケーブルに接続する必要がある。この同軸ケーブルは、一方ではアンテナのグランドに、他方ではアンテナの第2部分に接続する必要がある。そのため、ケーブルは、同軸ケーブルの金属シールドをアンテナのグランドに接続し、また中心導体をアンテナの他の部分に接続することも可能にするコネクタを介してアンテナに接続される。
【0030】
先行技術から、少なくとも2つの機械的固定要素を含む導電性コネクタを使用することが知られており、これらは、同軸ケーブルを導電性コネクタに保持するためのものである。しかしながら、この種のコネクタには、重要な空間的密集などのいくつかの不都合点が伴い、例えば積層ガラスに使用できない。以前の金属コネクタと比較して、この金属コネクタは、2つの金属部品を有し、各部品は、高周波数での電気的安定性を保つことを目的として各部品間の距離を保持するために同軸ケーブルを正確に固定しなければならない。金属製の各部品は、正確に製造されなければならず、その高さが高い。金属コネクタの場合、高周波数性能を保つために同軸ケーブルにシールド拡張が適用される。従って、また別の収縮チューブ及び追加の工程が必要となる。
【0031】
以下の説明は、自動車のガラスに関するが、本発明は、ガラス板と結合された電気的機能部品又は電気的機能層を提供し得る建築用ガラスのような他の分野にも適用可能であり得ることが理解される。
【発明の概要】
【0032】
本発明は、
- ガラス板と、
- アンテナと、
- はんだ材料によってアンテナに接合される導電性コネクタと、
- 誘電性要素によって分離され、且つ絶縁ジャケットによって保護される少なくとも中心導体及びシールドを含む同軸ケーブルと
を含むガラスパネルに関する。
【0033】
本発明によれば、導電性コネクタは、第1の導電性部分であって、その上に中心導電体が与えられる、第1の導電性部分と、第1の導電性部分から分離される第2の導電性部分であって、その上にシールドが与えられる、第2の導電性部分とを含む扁平なコネクタであり、導電性部分は、弾性材料の2つのフィルム間に積層され、アンテナを導電性部分上の導電性コネクタ材料に接合するためのはんだ材料は、弾性材料のない区域に与えられる。
【0034】
より詳細には、本発明は、ガラス板と、アンテナに接続される導電性コネクタと、例えば導電性コネクタによってアンテナに接続される同軸ケーブルとを含む車両用ガラスパネルに関する。
【0035】
ガラス板は、車の設計に適合するフラットパネル又は湾曲パネルであり得る。ガラス板は、セキュリティに関する仕様書を遵守するように調質又は積層することができる。加熱可能なシステム、例えばガラス板上のコーティング、又はワイヤ網、又は銀プリントをガラス板に適用して、例えば霜取り機能を付加することができる。また、ガラス板は、透明ガラスであるか、或いはガラスの特定の組成を用いて又は例えばコーティング若しくはプラスチック層を適用することによって薄い色を付けられた着色ガラスであり得る。
【0036】
本発明によれば、ガラスパネルは、少なくともアンテナを含み、このアンテナは、より高い周波数、例えばLTEネットワーク(4G)を介して情報を受信及び/又は送信するための広帯域アンテナであることが好ましい。アンテナは、プリントされたアンテナであることが好ましい。広帯域アンテナは、好ましくは、700MHz~6GHz、より好ましくは700MHz~3GHzの周波数帯域で動作する。
【0037】
本発明によれば、ガラスパネルは、ガラスパネルにアンテナ機能を追加するために、AM、FM、RKE、DAB、DTVアンテナ又は他のタイプのアンテナのようないくつかの他のアンテナを含むことができる。
【0038】
本発明によれば、同軸ケーブルは、ガラス上に置かれた自動車用アンテナのために使用されるケーブルよりも良好により高い周波数の信号を搬送することを可能にするように設計されたケーブルであり、誘電性要素によって分離され、且つ絶縁ジャケットによって保護される少なくとも中心導体及びシールドを含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、導電性コネクタは、アンテナをケーブルに接続し、最近のEU規制を遵守するために鉛フリーはんだ付けによってアンテナに接合される。
【0040】
導電性コネクタ材料は、ガラスパネルと導電性コネクタ材料との熱膨張差が好ましくは5×10-6/℃未満になるように選択される材料である。
【0041】
本発明の実施形態によれば、導電性コネクタの第1及び第2の部分には、穴又はバンプが与えられることができる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の導電性部分を積層させる弾性材料は、ポリイミドフィルムなどのプラスチック材料で作られる。このようなポリイミドフィルムは、はんだ熱に対して弾性を有し、柔軟である。
【0043】
しかしながら、液晶ポリマフィルム(LCP)、シクロオレフィンポリマ(COP)及びフッ素系フィルムなどの他の熱弾性フィルムが使用され得る。本発明の一実施形態によれば、第1及び第2の導電性部分は、銅、クロム系ステンレス、鉄ニッケル材料のうちの少なくとも1つの材料を含む。そのため、第1及び第2の導電性部分は、銅、クロム合金、ステンレス鋼合金などの鋼合金、多量のクロム若しくはニッケルを含む鋼合金、又はアンテナに接続される、ケーブルを固定できるなどのコネクタ機能の制約及びこの種の材料若しくは合金の他の利点と一致する他のいずれかの材料若しくは合金など、異なるタイプの材料で作られることができる。
【0044】
好ましくは、導電性コネクタをアンテナに接続するために鉛フリーはんだ材料が使用される。このようなはんだ材料は、150℃を超える温度で改善された特性を有する。このようなはんだ材料は、独国特許出願公開第102006047764A1号明細書から知られている。このような鉛フリーはんだ材料は、88重量%~98.5重量%のSn、0.5重量%~5重量%のAgを含むSn、Agのはんだ合金又はビスマス-スズ-銀(Bi-Sn-Ag)合金をベースとする。好ましくは、はんだ材料は、以下の合金BixSnyAgz(x、y、zは成分の重量%を表す)(この命名法は、周知である):Bi57Sn42Ag0、Bi57Sn40Ag3、SnAg3.8Cu0.7、Sn55Bi44Ag1又はSAC合金(スズ-銀-銅(Sn-Ag-Cu)合金)を少なくともその成分として有する。より好ましくは、はんだ合金は、3重量%のAg、0.5重量%のCu及び96.5重量%のSnからなるSAC305である。このはんだ材料は、それと共に使用されるコネクタのボンディング特性及び高い疲労強度を改善した。
【0045】
本発明の実施形態によれば、第1及び第2の導電層は、銅、鉄ニッケル(FeNi)若しくは鉄-クロム(FeCr)合金又はそれらの混合物からなり得る。コネクタ要素は、FeCr10、FeCr16、グレード430、FeNi42、FeNe48又はFeNi52からなり得る。
【0046】
好ましくは、第1及び第2の導電性部分は、銅で作られる。
【0047】
高い周波数が使用されるため、アンテナとケーブルとの間の接続は、信号の歪みを制限するために非常に正確でなければならない。この条件を満たすために、コネクタは、2つの導電性部分を含む。
【0048】
同軸ケーブルを扁平な導電性コネクタにはんだ付けすることにより、ケーブルを正しい場所に保持でき、それによってケーブルの移動が回避され、アンテナとの良好な電気接続が確保される。
【0049】
ここで、限定ではなく例示として提供される図面及び例示的な実施形態を参照して、本発明がより詳細に説明される。図面は、概略的な表現であり、一定の縮尺比ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。例を用いてさらなる利点が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明による導電性コネクタを含むガラスパネルの実施形態の平面図である。
図2】本発明による導電性コネクタの例の平面図である。
図3図2に示される導電性コネクタの例の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の実施形態による図1図3を参照すると、ガラスパネル1は、プリントされた広帯域アンテナ10、11と、本発明による導電性コネクタとを担持する。導電性コネクタ100は、第1及び第2の導電性部分101、102を含む。第1の導電性部分101は、拡張領域103を含み、これは、はんだ材料9を通してアンテナの第1の部品に電気的に接続される。同軸ケーブルの中心導体123は、第1の導電性部分101にその拡張領域103を通して固定される。第1及び第2の導電性部分101及び102は、図2及び3に示されるように、2つのフィルム105及び106間に積層され、これらは、それぞれ弾性材料104の上側フィルム105及び下側フィルム106とも呼ばれる。図3に示されるように、弾性材料104の下側フィルム106には開口(弾性材料のない区域)110が設けられ、それにより、第1及び第2の導電性部分101及び102の少なくとも一部は、同軸ケーブル120に接続されるように空いた状態/アクセス可能なままとなる。第1及び第2の導電性部分101及び102の少なくとも一部において、コネクタ100の、ガラス1との接触が意図された面にはんだ材料9の層が与えられる。好ましくは、はんだ材料は、前述のように鉛フリーはんだ材料である。しかしながら、他の適当なはんだ材料が使用され得る。弾性材料104の上側フィルム105には、下側フィルム106と同様の開口110が設けられて、第1及び第2の導電性部分101及び102の少なくとも一部が同軸ケーブル120に接続されるように空いた状態/アクセス可能なままとなり、また同軸ケーブル(中心導体123及びシールド122)を固定するための開口111も設けられる。本発明によれば、第1及び第2の導電性部分101及び102は、弾性材料104の下側及び上側フィルム105及び106間に積層される。
【0052】
本発明による弾性材料104は、例えば、ポリイミドプラスチックで作られる。
【0053】
例えば、第1及び第2の導電性部分は、銅で作られ、はんだ材料9は、SAC305材料などの鉛フリーはんだ材料である。はんだ材料は、導電性コネクタをガラスにはんだ付けするのに適したいずれの材料でもあり得ることが理解される。
【0054】
同軸ケーブル120は、同軸ケーブルを取り囲む、プラスチック材料であり得る絶縁ジャケット121によって保護された中心導体123及びシールド122を含み、第1及び第2の導電性部分101及び102にはんだ付けにより固定される。ケーブルの導電体100へのこの固定は、張力及び与えられる必要な剛性のほとんどすべてを担当する。中心導体123は、好ましくは、第1及び第2の導電性部分101及び102にはんだ付けにより固定される。好ましくは、中心導体123は、第1の導電性部分101の拡張領域103に固定される。はんだ材料、好ましくは鉛フリーはんだ材料9は、第1及び第2の導電性部分101及び102上に与えられる。
【0055】
コネクタのシールド122は、第2の導電性部分102を通してコネクタ100に連結される。同軸ケーブル120の中心導体123は、導電性部分にはんだ付けされ得る。
【0056】
本発明による扁平な導電性コネクタを使用することにより、同軸ケーブル120は、拡張領域103の下側領域に固定され、それによって可能な限りガラスの近くにとどまり、中心線をなるべく曲げずに中心導体123をはんだ付けすることが可能となる。従って、同じ位置、精度、電気的性能を有するはんだ付けのより良好な再現性が得られる。そうでない場合、中心導体の湾曲は、同軸設計を変化させ、損失及び非効率な伝送モードを追加する。
【0057】
下側に固定された同軸ケーブル120は、ガラス板の表面と直接接触してもしなくてもよい。しかしながら、工業上の理由から、はんだ付け後にガラスに生じる可能性のある応力点を回避し、中心導体の湾曲を制限するために、同軸ケーブルとガラス板の表面との間の距離は、最小限であることが好ましい。
図1
図2
図3