(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220629BHJP
A61B 1/05 20060101ALI20220629BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20220629BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61B1/00 680
A61B1/05
A61B1/00 550
A61B1/045 614
A61B1/00 622
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2018118058
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良彰
(72)【発明者】
【氏名】小澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】高平 正行
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-245107(JP,A)
【文献】特開2012-011123(JP,A)
【文献】特開2017-176348(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117165(WO,A1)
【文献】特開2005-159924(JP,A)
【文献】特開2017-085355(JP,A)
【文献】特開2010-005180(JP,A)
【文献】特開2016-202662(JP,A)
【文献】特開2017-073718(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145336(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡と、
前記信号線を伝送されてきた前記伝送データに基づいて、前記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、
前記エラー検出部から出力されるエラー検出情報に基づいて、前記信号線を介した通信不能の発生を予測する通信不能予測部と、を備え、
前記通信不能予測部は、前記エラー検出情報に基づいて単位時間当たりの前記エラーの発生回数を示すエラー発生率を算出するエラー発生率算出部と、前記エラー発生率に基づいて前記通信不能の発生を予測する予測部と、を備える内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡システムであって、
前記内視鏡により行われた検査に要した時間に前記エラー検出情報を対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記エラー発生率算出部は、前記記憶部に記憶されている最新の前記検査に要した前記時間と、当該時間に対応する前記エラー検出情報の数から前記エラー発生率を算出する内視鏡システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内視鏡システムであって、
前記内視鏡により行われた検査に要した時間に前記エラー検出情報を対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記エラー発生率算出部は、前記内視鏡を用いた検査が開始される前に、前記記憶部に記憶されている前記時間及び当該時間に対応する前記エラー検出情報の数とから前記エラー発生率を算出する内視鏡システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載の内視鏡システムであって、
前記記憶部は、前記内視鏡に設けられる内視鏡システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記内視鏡は、前記先端部の温度と前記挿入部の機械的負荷の少なくとも一方を検出するためのセンサ部を備え、
前記予測部は、前記内視鏡により検査が行われている期間にて算出された前記エラー発生率と、前記センサ部により検出された情報を、機械学習又は深層学習により形成された予測モデルに適用して前記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【請求項6】
請求項5記載の内視鏡システムであって、
前記予測部は、前記期間にて前記挿入部の操作情報を取得し、前記期間にて算出された前記エラー発生率と、前記情報と、前記操作情報とを前記予測モデルに適用して前記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記予測部は、前記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部に設けられる内視鏡システム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記予測部は、前記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部にネットワークを介して接続された装置に設けられる内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記内視鏡の先端部は電気メスを有し、
前記エラー検出部は、前記電気メスが使用されている期間にて前記エラーを検出した場合には当該エラーを非検出として処理する内視鏡システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記エラー検出部は、前記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部に設けられる内視鏡システム。
【請求項11】
請求項1記載の内視鏡システムであって、
前記通信不能予測部の予測部は、前記エラー検出情報を機械学習又は深層学習により形成された予測モデルに適用して前記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項記載の内視鏡システムであって、
前記通信不能の発生が予測された場合に報知する報知部を更に備える内視鏡システム。
【請求項13】
撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡と、
前記信号線を伝送されてきた前記伝送データに基づいて、前記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、
前記エラー検出部から出力されるエラー検出情報に基づいて、前記信号線を介した通信不能の発生を予測する通信不能予測部と、を備え、
前記内視鏡の先端部は電気メスを有し、
前記エラー検出部は、前記電気メスが使用されている期間にて前記エラーを検出した場合には当該エラーを非検出として処理する内視鏡システム。
【請求項14】
撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡と、
前記信号線を伝送されてきた前記伝送データに基づいて、前記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、
前記エラー検出部から出力されるエラー検出情報に基づいて、前記信号線を介した通信不能の発生を予測する通信不能予測部と、を備え、
前記通信不能予測部は、前記エラー検出情報を機械学習又は深層学習により形成された予測モデルに適用して前記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム、内視鏡、及び内視鏡の通信不能予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内に挿入される軟性型の内視鏡は、繰り返しの使用によって部品などが劣化する可能性がある。こういった劣化を事前に把握できるようにすることが求められる。特許文献1には、内視鏡の湾曲回数又は湾曲期間が所定値を超えたときに警告を行うシステムが記載されている。また、特許文献2には、内視鏡の操作部の積算操作回数が耐用回数を超えたときに警告を行うシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-245254号公報
【文献】特開2014-113413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軟性型の内視鏡は、体腔内において様々な方向に曲げられて使用されるため、機械的な負荷がかかる。内視鏡の挿入部には、内視鏡の先端部に配置された撮像素子から出力される信号をプロセッサ装置に伝送するための信号線等が設けられる。内視鏡の挿入部に対して機械的な負荷が繰り返し発生すると、例えば、撮像素子が形成された基板と信号線との接合部、又は、信号線とプロセッサ装置との接続部分等に機械的疲労が蓄積されていく。そして、この機械的疲労によって、基板と信号線との接合部の剥がれが起きたり、信号線とプロセッサ装置との接続不良がおきたりすると、内視鏡の先端部とプロセッサ装置との間での通信が不能になる可能性がある。
【0005】
特許文献1,2では、こういった信号線による通信の不能の発生についての課題は認識されておらず、この課題を解決する手段の開示はなされていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡とこれを制御する装置との間の通信が不能となる可能性を予測して内視鏡検査を円滑に進めることを可能にする内視鏡システム、内視鏡、及び内視鏡の通信不能予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡システムは、撮像素子と、上記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡と、上記信号線を伝送されてきた前記伝送データに基づいて、上記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、上記エラー検出部から出力されるエラー検出情報に基づいて、上記信号線を介した通信不能の発生を予測する通信不能予測部と、を備え、上記通信不能予測部は、上記エラー検出情報に基づいて単位時間当たりの上記エラーの発生回数を示すエラー発生率を算出するエラー発生率算出部と、上記エラー発生率に基づいて上記通信不能の発生を予測する予測部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内視鏡とこれを制御する装置との間の通信が不能となる可能性を予測して内視鏡検査を円滑に進めることを可能にする内視鏡システム、及び内視鏡の通信不能予測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の内視鏡システムの一実施形態である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す内視鏡装置100の内部構成を示す模式図である。
【
図3】
図2に示すプロセッサ装置4のシステム制御部44の機能ブロックを示す図である。
【
図4】内視鏡1を用いて検査を繰り返し行った場合の累積検査時間毎のエラー発生率の実測結果の一例を示す図である。
【
図5】内視鏡装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】内視鏡装置100の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】内視鏡装置100の第一の変形例である内視鏡装置100Aの概略構成を示すブロック図である。
【
図8】内視鏡装置100の第二の変形例である内視鏡装置100Bの概略構成を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す内視鏡装置100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】内視鏡装置100の第三の変形例である内視鏡装置100Cの概略構成を示すブロック図である。
【
図11】内視鏡装置100の第四の変形例である内視鏡装置100Dの概略構成を示すブロック図である。
【
図12】内視鏡装置100の第五の変形例である内視鏡装置100Eの概略構成を示す外観図である。
【
図13】
図12に示す内視鏡装置100Eの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の内視鏡システムの一実施形態である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡1と、この内視鏡1が接続されるプロセッサ装置4及び光源装置5からなる本体部2と、を備える。
【0015】
プロセッサ装置4には、撮像画像等を表示する表示部7と、プロセッサ装置4に対して各種情報を入力するためのインタフェースである入力部6と、が接続されている。プロセッサ装置4は、内視鏡1、光源装置5、及び表示部7を制御する。
【0016】
内視鏡1は、一方向に延びる管状部材であって体腔内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端部に設けられた観察モード切替操作、撮影記録操作、鉗子操作、送気送水操作、吸引操作、及び電気メス操作等を行うための操作部材が設けられた操作部11と、操作部11に隣接して設けられたアングルノブ12と、内視鏡1を光源装置5とプロセッサ装置4にそれぞれ着脱自在に接続するコネクタ部13A,13Bを含むユニバーサルコード13と、を備える。
【0017】
なお、
図1では省略されているが、操作部11及び挿入部10の内部には、細胞又はポリープ等の生体組織を採取するための採取器具である生検鉗子を挿入する鉗子孔、電気メスを格納する格納孔、送気及び送水用のチャンネル、吸引用のチャンネル等の各種のチャンネルが設けられる。
【0018】
挿入部10は、可撓性を有する軟性部10Aと、軟性部10Aの先端に設けられた湾曲部10Bと、湾曲部10Bの先端に設けられた硬質の先端部10Cとから構成される。
【0019】
湾曲部10Bは、アングルノブ12の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部10Bは、内視鏡1が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向及び任意の角度に湾曲でき、先端部10Cを所望の方向に向けることができる。
【0020】
図2は、
図1に示す内視鏡装置100の内部構成を示す模式図である。
【0021】
光源装置5は、光源制御部51と、光源部52と、を備える。
【0022】
光源部52は、被写体に照射するための照明光を発生させるものである。光源部52から出射された照明光は、ユニバーサルコード13に内蔵されたライトガイド20に入射し、挿入部10の先端部10Cに設けられた照明用レンズ20aを通って被写体に照射される。
【0023】
光源部52としては、白色光を出射する白色光源、又は、白色光源とその他の色の光を出射する光源(例えば青色光を出射する青色光源)を含む複数の光源等が用いられる。先端部10Cの先端面には、光源部52から出射させる光の種類に合わせて照明用レンズ20aが複数設けられていてもよい。
【0024】
光源制御部51は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサにより構成されており、プロセッサ装置4のシステム制御部44と接続されている。光源制御部51は、システム制御部44からの指令に基づいて光源部52を制御する。
【0025】
内視鏡1の先端部10Cには、対物レンズ21及びレンズ群22を含む撮像光学系と、この撮像光学系を通して被写体を撮像する撮像素子23と、情報付加部24と、光源部52から出射された照明光を照明用レンズ20aに導くためのライトガイド20と、が設けられている。
【0026】
ライトガイド20は、先端部10Cからユニバーサルコード13のコネクタ部13Aまで延びている。ユニバーサルコード13のコネクタ部13Aが光源装置5に接続された状態で、光源装置5の光源部52から出射される照明光がライトガイド20に入射可能な状態となる。
【0027】
撮像素子23は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等が用いられる。
【0028】
撮像素子23は、複数の画素が二次元状に配置された受光面を有し、上記の撮像光学系によってこの受光面に結像された光学像を各画素において電気信号(撮像信号)に変換して出力する。撮像素子23は、例えば原色又は補色等のカラーフィルタを搭載するものが用いられる。撮像素子23の受光面の各画素から出力される撮像信号の集合を撮像画像信号という。
【0029】
なお、光源部52として、白色光源から出射される白色光を複数色のカラーフィルタによって時分割で分光して照明光を生成するものを用いる場合には、撮像素子23はカラーフィルタを搭載していないものを用いてもよい。
【0030】
情報付加部24は、撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し、伝送データとして信号線28に出力する。信号線28は、挿入部10の先端部10Cからユニバーサルコード13のコネクタ部13Bまで延びており、コネクタ部13Bがプロセッサ装置4に接続された状態にて、プロセッサ装置4と電気的に接続される。
【0031】
エラー検出用情報は、撮像素子23から出力される信号にエラーが生じた場合にこれを検出するための情報であり、各種方式の誤り検出に用いられる符号が用いられる。エラー検出用情報は、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)に用いられる符号又はECC(error-detecting code)等が用いられる。
【0032】
ユニバーサルコード13のコネクタ部13Bの内部には、エラー検出部25と、スコープ制御部26と、メモリ27と、が設けられている。
【0033】
エラー検出部25は、信号線28を伝送されてきた伝送データを受信し、この伝送データに基づいて、撮像素子23から出力された信号に発生したエラーを検出する。エラー検出部25は、エラーを検出した場合には、エラー検出情報をスコープ制御部26に送信する。
【0034】
エラー検出部25は、エラーを検出した場合には、そのエラーがあった信号群をエラーが検出されていない別の信号群に置換する等してエラー訂正を行ってもよい。エラー検出部25にて解析の行われたデータは信号線28を介してプロセッサ装置4に伝送される。
【0035】
スコープ制御部26は、エラー検出部25から受信したエラー検出情報をメモリ27に記憶する。スコープ制御部26は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサにより構成される。メモリ27は、記憶部として機能するものであり、例えば、情報の書き換えが可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体等によって構成される。
【0036】
スコープ制御部26は、内視鏡1により行われた被検体の検査のIDと、この検査に要した時間(使用者によって検査開始の指示がなされてから、検査終了の指示がなされるまでの期間)の情報と、この検査中にエラー検出部25から受信したエラー検出情報とを対応付けてメモリ27に記憶する。
【0037】
スコープ制御部26は、メモリ27に記憶されているエラー検出情報に基づいて、内視鏡1の撮像素子23から出力される信号における予め決められた単位時間当たりのエラーの発生回数を示すエラー発生率を算出する。スコープ制御部26はエラー発生率算出部として機能する。
【0038】
スコープ制御部26は、例えば、メモリ27に記憶されている最新の検査に要した時間の情報に対応するエラー検出情報の総数に上記の単位時間を乗じた値を、この最新の検査に要した時間で除算することで、エラー発生率を算出する。
【0039】
スコープ制御部26は、コネクタ部13B内部の配線によってプロセッサ装置4のシステム制御部44と接続されている。スコープ制御部26は、システム制御部44からの指令に基づいて、撮像素子23、情報付加部24、エラー検出部25、及びメモリ27を制御する。
図1に示した操作部11の操作(例えば、静止画記録のための撮影操作等)に応じた信号は、スコープ制御部26に入力される。
【0040】
プロセッサ装置4は、信号処理部42と、表示制御部43と、システム制御部44と、を備える。
【0041】
信号処理部42は、信号線28を伝送されてきた信号を受信して処理することで、撮像画像データを生成する。信号処理部42によって生成された撮像画像データは、図示省略のハードディスク又はフラッシュメモリ等の記録媒体に記録される。
【0042】
表示制御部43は、信号処理部42によって生成された撮像画像データに基づく撮像画像を表示部7に表示させる。
【0043】
システム制御部44は、プロセッサ装置4の各部を制御すると共に、内視鏡1のスコープ制御部26と光源装置5の光源制御部51とに指令を送り、内視鏡装置100の全体を統括制御する。システム制御部44は、スコープ制御部26を介して撮像素子23の制御を行い、光源制御部51を介して光源部52の制御を行う。
【0044】
システム制御部44は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)を含む。
【0045】
本明細書における各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0046】
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0047】
システム制御部44は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0048】
図3は、
図2に示すプロセッサ装置4のシステム制御部44の機能ブロックを示す図である。
【0049】
システム制御部44のプロセッサは、システム制御部44に内蔵されるROMに格納されたプログラムを実行することにより、予測部44B及び報知部44Cとして機能する。エラー発生率算出部として機能するスコープ制御部26と予測部44Bによって通信不能予測部が構成される。
【0050】
予測部44Bは、スコープ制御部26により算出されたエラー発生率に基づいて、信号線28を介した撮像素子23とプロセッサ装置4との間の通信不能の発生を予測する。
【0051】
具体的には、予測部44Bは、エラー発生率が予め決められた閾値TH1を超える場合には、通信不能の発生の可能性があると判断する。
図4は、内視鏡1を用いて検査を繰り返し行った場合の累積検査時間毎のエラー発生率の実測結果の一例を示す図である。例えば、信号線28に断線等が生じて通信不能となったときのエラー発生率を基準値である100%とした場合に、この基準値の例えば6割程度の値が上記の閾値TH1として予め決められる。
【0052】
なお、予測部44Bは、例えば、最新の検査に対応するエラー発生率と、その検査の直前の検査に対応するエラー発生率との差が閾値TH2を超える場合に、通信不能の発生の可能性があると判断してもよい。
図4に示すように、通信不能となる状態に近づくと、エラー発生率の増加スピードもはやくなることが分かる。このため、上記の差の閾値TH2を耐久試験によって求めることで、通信不能の発生を事前に予測することが可能になる。
【0053】
報知部44Cは、予測部44Bによって通信不能の発生が予測された場合に報知する。報知部44Cは、例えば、表示制御部43を制御して表示部7にメッセージ(通信不能の可能性があることを示す警告メッセージ、又は、故障検査を促すメッセージ等)を表示させることで通信不能となる可能性を使用者に報知する。または、報知部44Cは、内視鏡装置100に設けられる図示しないスピーカから上記メッセージを出力させることで、通信不能となる可能性を使用者に報知する。或いは、報知部44Cは、プロセッサ装置4と接続された外部の電子機器に上記メッセージを送信することで、通信不能となる可能性を内視鏡装置100の管理者に報知したりする。
【0054】
図5は、内視鏡装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
図5は、内視鏡装置100の電源がオンになり、内視鏡1を用いた検査の準備(検査情報の入力作業及び患者情報の入力作業等)が完了した後の動作を示す。
【0055】
システム制御部44は、本体部2に内視鏡1が接続されているかを判定し(ステップS1)、内視鏡1が本体部2に接続されていない場合(ステップS1:NO)にはステップS6にて内視鏡装置100の電源がオフにされたかを判定し、電源がオフにされていない場合(ステップS6:NO)にはステップS1に処理を戻す。ステップS6にて電源がオフにされていた場合には、システム制御部44は動作を終了する。
【0056】
ステップS1の判定の結果、内視鏡1が本体部2に接続されていた場合(ステップS1:YES)には、システム制御部44は、内視鏡1を用いた検査の開始指示の有無を判定する(ステップS2)。
【0057】
ステップS2の判定の結果、検査の開始指示があった場合(ステップS2:YES)には、システム制御部44によって検査開始時刻が記憶されて検査が開始される。スコープ制御部26は、この検査の行われている間にエラー検出部25からエラー検出情報を受信すると(ステップS7:YES)、このエラー検出情報をその検出時刻と共にメモリ27に記憶する(ステップS8)。
【0058】
検査の開始後、システム制御部44は、検査の終了指示の有無を判定し、終了指示がない場合(ステップS9:NO)にはステップS7に処理が戻って検査が継続される。システム制御部44は、検査の終了指示があった場合(ステップS9:YES)には、実施した検査の開始時刻と終了時刻をスコープ制御部26に通知してステップS6に処理を移行する。この通知を受けたスコープ制御部26は、検査の開始時刻と終了時刻からなる実施済みの検査に要した時間の情報を、この検査の期間中に記憶したエラー検出情報と対応付けてメモリ27に記憶する。
【0059】
ステップS2の判定の結果、検査の開始指示がなされていない場合(ステップS2:NO)には、システム制御部44は、スコープ制御部26に対してエラー発生率の算出を指示する。この指示を受けたスコープ制御部26は、メモリ27に記憶されている最新の検査の時間の情報に対応するエラー検出情報とこの時間の情報を取得し、取得した時間の情報とエラー検出情報とに基づいて、この最新の検査時におけるエラー発生率を算出する(ステップS3)。
【0060】
次に、システム制御部44の予測部44Bは、ステップS3にて算出されたエラー発生率をスコープ制御部26から取得し、取得したエラー発生率が閾値TH1を超えるか否かを判定する(ステップS4)。
【0061】
予測部44Bは、エラー発生率が閾値TH1を超えていた場合(ステップS4:YES)には、信号線28を介した通信不能の発生が予測されると判断する。そして、この場合には、システム制御部44の報知部44Cが、通信不能の発生が予測されることを報知する(ステップS5)。エラー発生率が閾値TH1以下であった場合(ステップS4:NO)とステップS5の後は、ステップS6に処理が移行される。
【0062】
以上のように、内視鏡装置100によれば、検査中においては、エラー検出部25から出力されるエラー検出情報がメモリ27に蓄積され、このメモリ27に記憶されたエラー検出情報に基づいて、信号線28を介した通信不能の発生を予測することができる。内視鏡装置100では、検査開始前に、この通信不能の発生を事前に予測することができるため、検査を開始してから通信不能となって検査が中断される等の事態が生じるのを防ぐことができ、効率的な検査が可能になる。
【0063】
また、内視鏡装置100によれば、検査開始前において、過去に行われた検査のうちの最新の検査に対応するエラー検出情報に基づいてエラー発生率が算出される。このように、直近に行われた検査のエラー発生率を予測に用いることで、予測の精度を向上させることができる。
【0064】
また、内視鏡装置100によれば、エラー検出情報が内視鏡1に内蔵されたメモリ27に記憶される。内視鏡装置100の本体部2には多数の内視鏡1を接続可能であるが、内視鏡1のメモリ27にその内視鏡1にて発生した信号のエラーの情報を記憶することで、この情報の管理を容易に行うことができる。なお、メモリ27を用いずに、例えば本体部2に内蔵されたフラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体に、内視鏡1のシリアル番号と対応づけて、この内視鏡1で生じたエラー検出情報を記憶するようにしてもよい。
【0065】
図5のステップS3では、最新の検査に対応するエラー検出情報に基づいてエラー発生率が算出されるが、エラー発生率の算出方法はこれに限らない。例えば、ステップS3において、スコープ制御部26は、メモリ27に記憶されている全ての時間の情報に基づく検査時間の累積値(内視鏡1により行われた過去の全ての検査の時間の累積値)と、この全ての時間の情報に対応するエラー検出情報の総数とに基づいてエラー発生率を算出してもよい。
【0066】
図6は、内視鏡装置100の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、ステップS8とステップS9の間にステップS10及びステップS11が追加された点を除いては
図5と同じである。
図6において
図5と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
内視鏡1による検査が開始された後にエラー検出部25によってエラーが検出されると、ステップS8にてエラー検出情報がメモリ27に記憶される。その後、スコープ制御部26は、検査開始時刻から現時点までの時間と、検査開始以降にメモリ27に記憶されたエラー検出情報の総数とに基づいて、単位時間あたりのエラー発生率を算出し、算出したエラー発生率が閾値TH1を超えるか否かを判定する(ステップS10)。
【0068】
なお、ステップS10において、スコープ制御部26は、メモリ27に記憶されている全ての時間の情報に基づく時間の累積値に、検査開始時刻から現時点までの時間を加算して得た累積検査時間と、この全ての時間の情報に対応するエラー検出情報の総数にステップS8にて記憶したエラー検出情報の数を加算して得た累積エラー発生数とに基づいて、単位時間当たりのエラー発生率を算出してもよい。
【0069】
スコープ制御部26は、エラー発生率が閾値TH1を超えていた場合(ステップS10:YES)には、システム制御部44の報知部44Cに対して報知の指示を行い、この指示を受けた報知部44Cによって報知が行われる(ステップS11)。エラー発生率が閾値TH1以下であった場合(ステップS10:NO)には、報知が行われることはなく、ステップS9に処理が移行される。
【0070】
図6の動作例では、検査開始後であっても、検査の進行に伴って、通信不能の発生をリアルタイムで予測することができる。このように、検査開始前には通信不能となる可能性は低かったものの、検査を開始した結果、この検査の実施中に通信不能になる可能性を把握できることで、早目に検査を中断して内視鏡1を交換するなどの対応を行うことができ、検査を効率的に行うことが可能となる。
【0071】
図7は、内視鏡装置100の第一の変形例である内視鏡装置100Aの概略構成を示すブロック図である。内視鏡装置100Aは、エラー検出部25がプロセッサ装置4の内部に設けられている点を除いては、
図2の内視鏡装置100と同じ構成である。
【0072】
内視鏡装置100Aでは、エラー検出部25がエラーを検出すると、エラー検出情報をシステム制御部44に送信する。システム制御部44は、エラー検出情報を受信すると、これをスコープ制御部26に送信する。そして、スコープ制御部26がこのエラー検出情報をメモリ27に記憶する。これ以外の動作は内視鏡装置100と同じである。
【0073】
内視鏡装置100Aによれば、エラー検出部25がプロセッサ装置4にあることで、内視鏡1におけるプロセッサ装置4との接続部分に破損が生じることによる通信不能の発生を予測することができる。また、エラー検出部25がプロセッサ装置4にあることで、スコープ制御部26の処理負荷を軽減することができ、内視鏡1の製造コストを下げることができる。
【0074】
内視鏡装置100及び内視鏡装置100Aにおいて、スコープ制御部26が行うエラー発生率の算出を、システム制御部44が行うようにしてもよい。この構成によれば、スコープ制御部26の処理負荷を更に軽減することができ、内視鏡1の製造コストを下げることができる。
【0075】
また、内視鏡装置100及び内視鏡装置100Aにおいて、システム制御部44の予測部44Bの機能をスコープ制御部26が持つ構成としてもよい。この構成によれば通信不能の予測をより高速に行うことが可能になる。
【0076】
以上の説明では、内視鏡装置100及び内視鏡装置100Aにおいて、システム制御部44の予測部44Bは、エラー発生率を閾値と比較することで通信不能の発生を予測するものとしたが、予測方法はこれに限定されるものではない。
【0077】
例えば、予測部44Bは、メモリ27に記憶されている全てのエラー検出情報を、エラー検出履歴によって通信不能の発生を予測する予測モデル(通信不能となった多数の内視鏡1におけるエラー検出情報の履歴を機械学習又は深層学習により学習させた学習済みのモデル)に適用し、この予測モデルを用いて通信不能の発生を予測してもよい。この場合には予測部44Bが通信不能予測部として機能する。
【0078】
このように、予測部44Bが学習済みの予測モデルを用いてエラー検出情報から通信不能の発生を予測する構成では、予測部44Bの処理負荷が大きくなる。このため、内視鏡装置100及び内視鏡装置100Aのように、システム制御部44が予測部44Bとして機能することで、内視鏡1の製造コストを低減することができる。
【0079】
図8は、内視鏡装置100の第二の変形例である内視鏡装置100Bの概略構成を示すブロック図である。内視鏡装置100Bは、エラー検出部25がプロセッサ装置4の内部に設けられている点と、センサ部29が内視鏡1に追加された点と、システム制御部44の予測部44B及びスコープ制御部26の機能が一部異なる点を除いては、
図2の内視鏡装置100と同じ構成である。
【0080】
センサ部29は、先端部10Cの温度を検出する温度センサと、挿入部10の機械的負荷を検出するためのセンサとの少なくとも一方を含む。挿入部10の機械的負荷を検出するためのセンサには、挿入部10に設けられた少なくとも1つの圧力センサ、又は、先端部10Cに設けられた加速度センサ等が含まれる。
【0081】
センサ部29により検出された情報はスコープ制御部26に送信される。スコープ制御部26は、センサ部29により検出された情報をシステム制御部44に転送する。
【0082】
システム制御部44の予測部44Bは、内視鏡1により検査が行われている期間にてスコープ制御部26により算出されたエラー発生率と、センサ部29により検出された情報を、通信不能が発生した多数の内視鏡1におけるエラー発生率及びセンサ部29の検出情報を機械学習又は深層学習により学習させた予測モデルに適用して、信号線28を介した通信不能の発生を予測する。
【0083】
例えば、エラー発生率が上記の閾値TH1以下であっても、先端部10Cの温度が高い場合には先端部10Cの基板と信号線28との接合部分がはがれやすくなると想定される。また、エラー発生率が上記の閾値TH1以下であっても、挿入部10に強い圧力が頻繁に加わっている場合には、先端部10Cの基板と信号線28との接合部分、又は、信号線28とプロセッサ装置4との接合部分がはがれやすくなると想定される。
【0084】
このように、信号線28による通信不能の発生は、エラー発生率だけでなく、先端部10Cの温度、又は、挿入部10にかかる機械的負荷を加味することで、その予測の精度を向上させることができる。そこで、先端部10Cの温度、挿入部10にかかる機械的負荷、及びエラー発生率を入力とする予測モデルを構築し、この予測モデルを多数の内視鏡1を用いて得られた学習データによって学習させる。予測部44Bは、この予測モデルを用いることで、通信不能の発生を予測する。
【0085】
図9は、
図8に示す内視鏡装置100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、ステップS8とステップS9の間にステップS21からステップS23が追加された点を除いては、
図5と同じである。
図9において
図5と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。なお、
図9には示していないが、内視鏡装置100Bでは、ステップS2の判定がYESとなると、センサ部29により検出された情報がスコープ制御部26を経由してシステム制御部44に伝達される。
【0086】
内視鏡1による検査が開始された後にエラー検出部25によってエラーが検出されると、ステップS8にてエラー検出情報がメモリ27に記憶される。その後、スコープ制御部26は、検査開始時刻から現時点までの時間と、検査開始以降にメモリ27に記憶されたエラー検出情報の総数とに基づいて、単位時間あたりのエラー発生率を算出する。
【0087】
次に、システム制御部44の予測部44Bは、スコープ制御部26からエラー発生率を取得し、検査開始後にスコープ制御部26から取得したセンサ部29により検出された情報と、このエラー発生率とを予測モデルに適用する(ステップS21)。
【0088】
予測モデルによって通信不能の発生の可能性があるという結果が得られた場合(ステップS22:YES)には、報知部44Cが報知を行う(ステップS23)。予測モデルによって通信不能の発生の可能性がないという結果が得られた場合(ステップS22:NO)と、ステップS23の後は、ステップS9に処理が移行される。
【0089】
以上のように、内視鏡装置100Bによれば、エラー発生率だけでなく、先端部10Cの温度又は挿入部10にかかる機械的負荷を加味して通信不能の発生を予測するため、予測精度を高めることができる。
【0090】
なお、内視鏡装置100Bのスコープ制御部26は、検査開始後、アングルノブ12の操作情報をシステム制御部44に転送するようにしてもよい。アングルノブ12の操作情報によっても挿入部10にどの程度の負荷がかかるかが分かる。このため、上記の予測モデルを、エラー発生率、先端部10Cの温度、挿入部10にかかる機械的負荷、及び操作情報を入力として通信不能の発生を予測するモデルとすることで、通信不能の発生を更に高精度に予測することが可能となる。
【0091】
なお、内視鏡装置100Bにおいてエラー検出部25はプロセッサ装置4の内部ではなく、コネクタ部13Aの内部にある構成であってもよい。
【0092】
図10は、内視鏡装置100の第三の変形例である内視鏡装置100Cの概略構成を示すブロック図である。内視鏡装置100Cのハードウェア構成は、内視鏡装置100Bに通信インタフェース(IF)41が追加されたものとなっている。
【0093】
通信IF41は、ローカルエリアネットワーク又はインターネット等のネットワーク31に接続して外部の電子機器と通信を行うためのインタフェースである。ネットワーク31には、内視鏡装置100Cのシステム制御部44を遠隔制御するための装置であるリモートサーバ30が接続されている。リモートサーバ30は、具体的にはプロセッサを含むコンピュータである。
【0094】
内視鏡装置100Cのシステム制御部44は、スコープ制御部26から取得したエラー発生率及びセンサ部29により検出された情報を、通信IF41を介してリモートサーバ30に転送する。リモートサーバ30は、このエラー発生率及び情報を上述した予測モデルに適用して、信号線28を介した通信不能の発生を予測する。つまり、内視鏡装置100Cでは、
図8のシステム制御部44の予測部44Bの機能をリモートサーバ30が果たす構成となっている。内視鏡装置100Cとリモートサーバ30とを合わせて内視鏡システムが構成される。
【0095】
内視鏡装置100Cによれば、予測モデルを用いた負荷の高い処理をリモートサーバ30にて行うため、システム制御部44の処理負荷を軽減することができ、内視鏡装置100Cの製造コストを低減することができる。
【0096】
なお、内視鏡装置100Cの構成(予測部44Bの機能をリモートサーバ30に持たせる構成)は、内視鏡装置100又は内視鏡装置100Aにも同様に適用可能である。
【0097】
図11は、内視鏡装置100の第四の変形例である内視鏡装置100Dの概略構成を示すブロック図である。内視鏡装置100Dのハードウェア構成は、
図2の内視鏡装置100に電気メス制御装置8が接続されたものとなっている。
【0098】
内視鏡装置100Dにおいては、内視鏡1の先端部10Cの内部に図示省略の電気メスが設けられており、この電気メスを制御するための電気メス制御装置8がシステム制御部44に接続されている。
【0099】
内視鏡装置100Dのエラー検出部25は、基本的な機能は内視鏡装置100のエラー検出部25と同じであるが、電気メスが使用されている期間にてエラーを検出した場合には、このエラーを非検出として処理する点が異なる。つまり、内視鏡装置100Dのエラー検出部25は、エラーを検出した場合でも、その検出した時点にて電気メスが使用されていた場合には、エラー検出情報をスコープ制御部26には送信しない。
【0100】
電気メス使用時には、信号線28の断線等とは関係なく、エラー検出部25にてエラーが検出されやすくなると想定される。このため、電気メス使用時に検出されたエラーはエラーとして処理しないことで、エラー発生率を正確に算出することが可能となる。
【0101】
内視鏡装置100Dのエラー検出部25の構成は、内視鏡装置100A,100B,100Cにも同様に適用可能である。
【0102】
図12は、内視鏡装置100の第五の変形例である内視鏡装置100Eの概略構成を示す外観図である。
図13は、
図12に示す内視鏡装置100Eの概略構成を示すブロック図である。内視鏡装置100Eは、
図7に示した内視鏡装置100Aにおいて、本体部2と内視鏡1とを接続するユニバーサルコード13のコネクタ部13A,13Bが単一のコネクタ部13Cに変更された構成である。
【0103】
コネクタ部13Cは、光源装置5に接続される。内視鏡1に含まれる信号線28は、光源装置5を経由して、プロセッサ装置4のエラー検出部25に接続される。
図12及び
図13のように、単一のコネクタ部にて本体部2と内視鏡1とを接続する構成の内視鏡装置においても本発明を適用可能である。内視鏡装置100Eにおいては、光源装置5の内部にエラー検出部25が設けられていてもよい。この場合には、光源制御部51がエラー検出部25の制御を行えばよい。
【0104】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0105】
(1)
撮像素子と、上記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡と、
上記信号線を伝送されてきた上記伝送データに基づいて、上記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、
上記エラー検出部から出力されるエラー検出情報に基づいて、上記信号線を介した通信不能の発生を予測する通信不能予測部と、を備える内視鏡システム。
【0106】
(2)
(1)記載の内視鏡システムであって、
上記通信不能予測部は、上記エラー検出情報に基づいて単位時間当たりの上記エラーの発生回数を示すエラー発生率を算出するエラー発生率算出部と、上記エラー発生率に基づいて上記通信不能の発生を予測する予測部と、を備える内視鏡システム。
【0107】
(3)
(2)記載の内視鏡システムであって、
上記内視鏡により行われた検査に要した時間に上記エラー検出情報を対応付けて記憶する記憶部を備え、
上記エラー発生率算出部は、上記記憶部に記憶されている最新の上記検査に要した上記時間と、その時間に対応する上記エラー検出情報の数から上記エラー発生率を算出する内視鏡システム。
【0108】
(4)
(2)又は(3)記載の内視鏡システムであって、
上記内視鏡により行われた検査に要した時間に上記エラー検出情報を対応付けて記憶する記憶部を備え、
上記エラー発生率算出部は、上記内視鏡を用いた検査が開始される前に、上記記憶部に記憶されている上記時間及びその時間に対応する上記エラー検出情報の数とから上記エラー発生率を算出する内視鏡システム。
【0109】
(5)
(3)又は(4)記載の内視鏡システムであって、
上記記憶部は、上記内視鏡に設けられる内視鏡システム。
【0110】
(6)
(2)から(5)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記内視鏡は、上記先端部の温度と上記挿入部の機械的負荷の少なくとも一方を検出するためのセンサ部を備え、
上記予測部は、上記内視鏡により検査が行われている期間にて算出された上記エラー発生率と、上記センサ部により検出された情報を、機械学習又は深層学習により形成された予測モデルに適用して上記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【0111】
(7)
(6)記載の内視鏡システムであって、
上記予測部は、上記期間にて上記挿入部の操作情報を取得し、上記期間にて算出された上記エラー発生率と、上記情報と、上記操作情報とを上記予測モデルに適用して上記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【0112】
(8)
(2)から(7)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記予測部は、上記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部に設けられる内視鏡システム。
【0113】
(9)
(2)から(7)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記予測部は、上記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部にネットワークを介して接続された装置に設けられる内視鏡システム。
【0114】
(10)
(1)から(9)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記内視鏡の先端部は電気メスを有し、
上記エラー検出部は、上記電気メスが使用されている期間にて上記エラーを検出した場合にはそのエラーを非検出として処理する内視鏡システム。
【0115】
(11)
(1)から(10)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記エラー検出部は、上記内視鏡が接続される内視鏡装置の本体部に設けられる内視鏡システム。
【0116】
(12)
(1)記載の内視鏡システムであって、
上記通信不能予測部は、上記エラー検出情報を機械学習又は深層学習により形成された予測モデルに適用して上記通信不能の発生を予測する内視鏡システム。
【0117】
(13)
(1)から(12)のいずれか1つに記載の内視鏡システムであって、
上記通信不能の発生が予測された場合に報知する報知部を更に備える内視鏡システム。
【0118】
(14)
内視鏡であって、
体腔内に挿入される挿入部と、
上記挿入部の先端部に設けられた撮像素子と、
上記先端部に設けられ、上記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、
上記信号線を伝送されてきた上記伝送データを受信し、上記伝送データに基づいて、上記信号にエラーが発生していることを検出するエラー検出部と、を備える内視鏡。
【0119】
(15)
撮像素子と、上記撮像素子から出力される信号にエラー検出用情報を付加し伝送データとして信号線に出力する情報付加部と、を挿入部の先端部に有する内視鏡の上記信号線を伝送されてきた上記伝送データに基づいて、上記信号にエラーが発生していることを検出し、上記検出の結果に基づいて、上記信号線を介した通信不能の発生を予測する内視鏡の通信不能予測方法。
【符号の説明】
【0120】
100,100A,100B,100C,100D,100E 内視鏡装置
1 内視鏡
2 本体部
20 ライトガイド
20a 照明用レンズ
21 対物レンズ
22 レンズ群
23 撮像素子
24 情報付加部
25 エラー検出部
26 スコープ制御部
27 メモリ
28 信号線
29 センサ部
30 リモートサーバ
31 ネットワーク
4 プロセッサ装置
41 通信インタフェース
42 信号処理部
43 表示制御部
44 システム制御部
44B 予測部
44C 報知部
5 光源装置
51 光源制御部
52 光源部
6 入力部
7 表示部
8 電気メス制御装置
10 挿入部
10A 軟性部
10B 湾曲部
10C 先端部
11 操作部
12 アングルノブ
13 ユニバーサルコード
13A,13B,13C コネクタ部