(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】水溶性組成物、パターン形成剤、これらを用いた硬化物の製造方法および硬化物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20220629BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220629BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220629BHJP
C08F 8/28 20060101ALN20220629BHJP
【FI】
G03F7/038 502
G03F7/038 501
G03F7/004 501
G03F7/027 502
C08F8/28
(21)【出願番号】P 2018558023
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2017045662
(87)【国際公開番号】W WO2018117138
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2016249794
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】原 憲司
(72)【発明者】
【氏名】入沢 正福
(72)【発明者】
【氏名】川原 友泰
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-269130(JP,A)
【文献】特開2016-139130(JP,A)
【文献】特開2007-025723(JP,A)
【文献】特開2006-022242(JP,A)
【文献】特開2016-193985(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136752(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08F 8/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光基および水酸基を有する水溶性感光重合体(A)、前記水溶性感光重合体(A)以外であって、下記一般式(I)、
(一般式(I)中、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を有する化合物(B)、および架橋剤(C)を含有
し、
前記化合物(B)が、下記一般式(III)、
(一般式(III)中、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を有する化合物であることを特徴とする水溶性組成物。
【請求項2】
前記水溶性感光重合体(A)が、下記一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)、
(一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)中、Y
1、Y
2およびY
3は、それぞれ独立に直接結合または2価の連結基を表し、Q
1、Q
2およびQ
3は、それぞれ独立に感光基を表し、*は結合手を意味する。)からなる群より選ばれる構成単位を一つ以上有する請求項1記載の水溶性組成物。
【請求項3】
前記感光基が、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基またはメタアクリルアミド基である請求項1または2記載の水溶性組成物。
【請求項4】
前記水溶性感光重合体(A)が、下記一般式(IIδ)または(IIε)、
(一般式(IIδ)、(IIε)中、An
q-はq価のアニオンを表し、qは1または2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表し、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を含有する請求項1~3のうちいずれか一項記載の水溶性組成物。
【請求項5】
さらに、前記水溶性感光重合体(A)以外であって、下記一般式(IV)、
(一般式(IV)中、R
1は水素原子またはメチル基を表し、X
1は酸素原子または-NR
2-を表し、R
2は、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、X
2は炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、X
2で表される炭素原子数1~6のアルキレン基の水素原子は、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよく、nは、0~30の数を表し、*は結合手を意味し、一般式(IV)で表される基を複数有する場合、複数存
在するR
1、X
1、X
2、nは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)で表される基を一つ以上有する化合物(D)を含有する請求項
1~4のうちいずれか一項記載の水溶性組成物。
【請求項6】
前記架橋剤(C)が、ジルコニウム化合物またはチタン化合物である請求項
1~5のうちいずれか一項記載の水溶性組成物。
【請求項7】
請求項
1~6のうちいずれか一項記載の水溶性組成物からなるパターン形成剤。
【請求項8】
請求項
1~6のうちいずれか一項記載の水溶性組成物を用いたことを特徴とする硬化物の製造方法。
【請求項9】
請求項
1~6のうちいずれか一項記載の水溶性組成物からなることを特徴とする硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性組成物、パターン形成剤、これらを用いた硬化物の製造方法および硬化物に関し、詳しくは、高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られる水溶性組成物、パターン形成剤、これらを用いた硬化物の製造方法および硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコールは、塗料、インキ、接着剤、光学フィルム等、種々の用途に用いられている。例えば、特許文献1では、ポリビニルアルコール等の樹脂とチタン有機化合物、ジルコニウム有機化合物等の金属有機化合物を含有する、ガスバリア性および耐水性に優れた樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2では、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールおよび架橋剤としてアミノ基を有するシランカップリング剤を含有する、耐薬品性、スティッキング性に優れた感熱記録材料が提案されている。さらに、特許文献3では、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂をグリオキシル酸塩で架橋してなる、紫外線による経時変色が少なく、耐候性に優れたポリビニルアルコール系樹脂架橋物の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-310712号公報
【文献】特開2009-039874号公報
【文献】特開2013-028697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パターン形成剤、インク、各種レジスト、フラットパネルディスプレイ向けの光学フィルム、光学フィルムのコーティング材料や接着剤等の用途においては、ますます高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られる水溶性組成物が求められる。このような状況において、特許文献1~3で提案されているような水溶性組成物では、必ずしも市場が求める高いレベルでこれらを両立し得るものではなく、水溶性組成物のさらなる改良が求められているのが現状である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られる水溶性組成物、パターン形成剤、これらを用いた硬化物の製造方法および硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、感光基および水酸基を有する水溶性感光重合体および所定の構造を有する水溶性感光重合体を用いることで、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の水溶性組成物は、感光基および水酸基を有する水溶性感光重合体(A)、前記水溶性感光重合体(A)以外であって、下記一般式(I)、
(一般式(I)中、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を有する化合物(B)、および架橋剤(C)を含有し、
前記化合物(B)が、下記一般式(III)、
(一般式(III)中、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を有する化合物であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の水溶性組成物においては、前記水溶性感光重合体(A)は、下記一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)、
(一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)中、Y
1、Y
2およびY
3は、それぞれ独立に直接結合または2価の連結基を表し、Q
1、Q
2およびQ
3は、それぞれ独立に感光基を表し、*は結合手を意味する。)からなる群より選ばれる構成単位を一つ以上有することが好ましい。また、本発明の水溶性組成物においては、前記感光基は、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基またはメタアクリルアミド基であることが好ましい。さらに、本発明の水溶性組成物においては、前記水溶性感光重合体(A)が、下記一般式(IIδ)または(IIε)、
(一般式(IIδ)、(IIε)中、An
q-はq価のアニオンを表し、qは1または2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表し、*は結合手を意味する。)で表される構成単位を含有することが好ましい。さらにまた、本発明の水溶性組成物においては、さらに、前記水溶性感光重合体(A)以外であって、下記一般式(IV)、
(一般式(IV)中、R
1は水素原子またはメチル基を表し、X
1は酸素原子または-NR
2-を表し、R
2は、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、X
2は炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、X
2で表される炭素原子数1~6のアルキレン基の水素原子は、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよく、nは、0~30の数を表し、*は結合手を意味し、一般式(IV)で表される基を複数有する場合、複数存在するR
1、X
1、X
2、nは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい)で表される基を一つ以上有する化合物(D)を含有することが好ましい。さらにまた、本発明の水
溶性組成物においては、前記架橋剤(C)は、ジルコニウム化合物またはチタン化合物であることが好ましい。
【0009】
また、本発明のパターン形成剤は、本発明の水溶性組成物からなることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明の硬化物の製造方法は、本発明の水溶性組成物を用いたことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明の硬化物は、本発明の水溶性組成物からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られる水溶性組成物、パターン形成剤、これらを用いた硬化物の製造方法および硬化物を提供することができる。本発明の水溶性組成物は、パターン形成剤、フラットパネルディスプレイ向けの光学フィルム、光学フィルムのコーティング材料または、接着剤等の用途に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の水溶性組成物について説明する。本発明の水溶性組成物は、感光基および水酸基を有する水溶性感光重合体(A)(以下、「(A)成分」とも称す)、前記水溶性感光重合体(A)以外であって、下記一般式(I)、
で表される構成単位を有する化合物(B)(以下、「(B)成分」とも称す)、および架橋剤(C)(以下、「(C)成分」とも称す)を含有する。ここで、一般式(I)中、*は結合手を意味する。本発明の水溶性組成物は、保存安定性に優れ、一液で存在できる為、硬化物を簡便に作成することができる。以下、各成分について順に説明する。
【0014】
<(A)成分>
本発明の水溶性組成物に係る(A)成分とは、感光基および水酸基を有していればよく、特に限定されない。(A)成分として好ましいものとして、硬化物の耐熱性、耐水性および耐湿熱性が高いことから、下記一般式(IIα)~(IIε)を構成単位として有する化合物が挙げられ、中でも、(IIδ)および(IIε)を構成単位として有する化合物は、LED光源(365nm)を用いた場合においても硬化性に優れる水溶性組成物並びに耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られることからより好ましい。
【0015】
ここで、Y
1、Y
2およびY
3は、それぞれ独立に直接結合または2価の連結基を表し、Q
1、Q
2およびQ
3は、それぞれ独立に感光基を表し、*は結合手である。
ここで、一般式(IIδ)、(IIε)中、An
q-はq価のアニオンを表し、qは1または2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表し、*は結合手を意味する。
【0016】
一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)中のY1、Y2およびY3で表される2価の連結基としては、特に制限はないが、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素原子数1~10のアルキレン基、フェニレン基、ナフタレン基等の炭素原子数6~30のアリーレン基、ヘテロ環連結基、-CH=CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-CO-、-NR-、-CONR-、-OC-、-SO-、-SO2-およびこれらを2以上組み合わせた連結基を好ましく挙げることができる。ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
【0017】
一般式(IIα)、(IIβ)および(IIγ)中のQ1、Q2およびQ3で表される感光基としては、例えば、シンナミル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、シンナミリデンアセチル基、カルコン基、クマリン基、イソクマリン基、2,5-ジメトキシスチルベン基、マレイミド基、α-フェニルマレイミド基、2-ピロン基、アジド基、チミン基、キノン基、ウラシル基、ピリミジン基、スチルバゾリウム基、スチリルピリジニウム基、チリルキノリウム基、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられ、これらの中でも、(A)成分として水溶性組成物に含有させた場合、感光性が高く、液安定性(増粘、ゲル化、析出等を伴わない)が高い水溶性組成物が得られることからスチルバゾリウム基、シンナモイル基、アクリル基、メタアクリル基、アクリルアミド基またはメタアクリルアミド基を好ましく用いることができる。
【0018】
これらの感光基の中でも、スチルバゾリウム基は、水への溶解性が高く、また365nm付近に吸収帯があるため、LED光源(365nm)等の波長が長い光源においても感光性を発現する水溶性組成物が得られる。この水溶性組成物から、耐熱性、耐水性および耐湿熱性に加えて高精細なパターンな硬化物が得られるため、特に好ましく用いることができる。
【0019】
好ましい(A)成分の具体的な例として、下記一般式(V)および下記一般式(VI)で表される水溶性感光重合体が挙げられる。
【0020】
ここで、式(V)中、Y
1およびQ
1は上記一般式(IIα)と同一であり、Y
3およびQ
3は上記一般式(IIγ)と同一であり、a、b、c、およびdは0~5000までの数であり、aおよびdは、同時に0となることは無く、100<a+b+c+d<5000であり、*は結合手である。
【0021】
ここで、式(VI)中、a、b、cおよびdは、一般式(V)と同一であり、aおよびdは、同時に0となることは無く、100<a+b+c+d<5000であり、*は結合手である。
【0022】
本発明の水溶性組成物より得られる硬化物の耐熱性および密着性が良好なことから、一般式(V)および(VI)においてa、b、cおよびd(モル比)の好ましい値は、a:b:c:d=0.1~4:5~30:5~70:0.1~4であり、重量平均分子量が1.5万~500万、好ましくは10万~100万であるものが好ましい。
【0023】
一般式(VI)で表される重合体は、ブテンジオール・ポリビニルアルコール共重合体に感光基を有するアルデヒドをpH1~4の条件下でアセタール化反応させることにより得られる。また、市販品を用いることによって製造することもでき、例えば、日本合成化学社製のGポリマー(ブテンジオールビニルアルコールコポリマー)OKS-1081、OKS-1083、OKS-1109に感光基を有するアルデヒドをpH1~4の条件下でアセタール化反応させることにより得ることもできる。
【0024】
(A)成分は、(A)成分と(B)成分の総和100質量部に対し、固形分換算で1~99質量部が好ましく、より好ましくは、5~95質量部であり、10~90質量部が、高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られることから最も好ましい。
【0025】
<(B)成分>
本発明の水溶性組成物に係る(B)成分とは、上記感光基を構造中に有さず、かつ、下記一般式(I)で表される構成単位を有していればよく、特に限定されない。
【0026】
【0027】
(B)成分は、主鎖としては従来公知のポリビニルアルコールと同様で、一般的にポバールと呼ばれるビニルアルコールを重合させたポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、完全けん化ポリビニルアルコール、または酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のけん化物等が挙げられる。なお、(B)成分を構成するポリビニルアルコールは、ビニルアルコールを必須の単量体とするホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。
【0028】
(B)成分の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルの共重合体をケン化する方法等を挙げることができる。これらの中でも、製造工程が簡略で、品質の良いアセト酢酸エステル基を有するポリビニルアルコールが得られることから、ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。
【0029】
酢酸ビニルと共重合性を有する単量体としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル類、エチレン、プロピレン等のα-オレフィン、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダモノアルキルマレート、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリドン誘導体等が挙げられ、これら単量体は全構造単位の10モル%以下、特に5モル%であるのが好ましい。多すぎると水溶性が低下したり、後述する(C)成分との相溶性が低下したりするおそれがある。
【0030】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、10,000~200,000、けん化度(加水分解率)が、85~100である(B)成分は、耐水性が向上し、膜の耐久性が向上するので好ましく、けん化度が95~100である(B)成分は、耐水性がさらに向上するのでより好ましい。
【0031】
(B)成分としては、下記一般式(III)、
で表される構成単位を有する化合物を用いた場合、本発明の水溶性組成物より得られる硬化物の耐熱性、耐水性および耐湿熱性が特に優れることからより好ましい。
【0032】
一般式(III)で表される構成単位の含有量は、通常、0.1~20モル%であり、さらには0.2~15モル%、特には0.3~10モル%であるものが、硬化物の耐水性、架橋速度、水溶性、水溶液の安定性の観点から好ましい。
【0033】
(B)成分としては、市販品を用いることもでき、例えば、ゴーセネックスZ-100、Z-200、Z-220、Z-300およびZ-410(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
【0034】
(B)成分は、(A)成分と(B)成分の総和100質量部に対し、1~99質量部が好ましく、より好ましくは、5~95質量部であり、10~90質量部が最も好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲である場合、高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られることから好ましい。
【0035】
<(C)成分>
本発明の水溶性組成物に含有される(C)成分は、(B)成分を架橋し得るものであれば、制限なく用いることができる。(C)成分としては、例えば、従来既知の有機系架橋剤、キレート化剤を有している金属キレート錯体、ジルコニウム化合物およびチタン化合物を好ましく用いることができる。
【0036】
有機系架橋剤としては、架橋剤として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができ、例えば、ビスジアジド化合物、ヒドロキシル基またはアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド-ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素-ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。これらはメラミン、尿素、グアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素を沸騰水中でホルマリンと反応させてメチロール化、あるいはこれにさらに低級アルコールを反応させてアルコキシル化したものを用いることができる。
【0037】
キレート化剤としては、ヒドロキシカルボン酸またはその塩、グリオキシル酸またはその塩、アミノアルコール、アミノカルボン酸、アラニン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、ジヒドロキシプロピルグリシン、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、β-ジケトン、ジメチルグリオキシム、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ポリヒドラジド、リン酸エステル等が挙げられ、これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
1つの金属原子に対して、共有結合や水素結合等により2座またはそれ以上の多座で配位することが可能なキレート化剤を有している金属キレート錯体を用いた場合、架橋反応速度が適度に調節されるため好ましい。キレート型配位子としては具体的には、ヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミノアルコール、β-ジケトン等が挙げられる。
【0039】
ジルコニウム化合物としては、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;ギ酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム、クエン酸ジルコニウム、リン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、シュウ酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコニウムラクテートアンモニウム等のジルコニウム錯塩の他、一種または二種以上のキレート化剤を配位子とするジルコニウムキレート錯体が挙げられる。これらの中でも、水溶性ジルコニウムが好ましく、オキシハロゲン化ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムおよびオキシ硝酸ジルコニウムがより好ましい。
【0040】
ジルコニウムキレート錯体としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、オキシハロゲン化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、ジルコニウムラクテートアンモニウム、硫酸ジルコニウムおよびオキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
【0041】
ジルコニウム化合物の中でも、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、オキシハロゲン化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、ジルコニウムラクテートアンモニウム、硫酸ジルコニウムおよびオキシ酢酸ジルコニウム等が、安定性、水溶性、反応性が高いので好ましい。これらは、一種または二種以上の混合物として使用することができる。
【0042】
ジルコニウム化合物としては市販品を用いることもでき、例えば、酸塩化ジルコニウム、ジルコゾールZC-2、ジルコゾールZN、ジルコゾールHA、ジルコゾールAC-7、ジルコゾールZK-10、ジルコゾールZN、ジルコゾールZA-10、ジルコゾールZA-20、オクチル酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、(第一希元素化学工業社製)、オルガチックスZA-45、オルガチックスZA-65、オルガチックスZB-126、オルガチックスZC-126、オルガチックスZC-150、オルガチックスZC-200、オルガチックスZC-300、オルガチックスZC-320、オルガチックスZC-540、オルガチックスZC-580、オルガチックスZC-700、ZC-300(マツモトファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0043】
チタン化合物としては、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラノルマルプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンアルコキシド;チタンブチルダイマー、チタンブチルテトラマー等のチタンアルコキシドの加水分解分解反応により得られるオリゴマーやポリマーおよびそれらの誘導体;チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタントリエタノールアルミネート、シュウ酸チタン等のチタンキレート錯体;ポリヒドロキシチタンステアレート等のチタンアシレート;四塩化チタン、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ジイソプロポキシチタンビス(トリエタノールアミネート)等が挙げられ、これらは、一種または二種以上の混合物として使用することができる。
【0044】
チタン化合物としては市販品を用いることもでき、例えば、オルガチックスTA-8、オルガチックスTA-10、オルガチックスTA-12、オルガチックスTC-100、オルガチックスTC-120、オルガチックスTC-300、オルガチックスTC-310、オルガチックスTC-315、オルガチックスTC-335、オルガチックスTC-401、オルガチックスTC-800(マツモトファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0045】
本発明の水溶性組成物より得られる硬化物の耐湿熱性が良好なことから、(C)成分の中でもジルコニウム化合物またはチタン化合物が特に好ましい。
【0046】
(C)成分は、(B)成分100質量部に対し、0.01~5質量部であるのが、析出や増粘等の変化が無く、水溶性組成物が安定なため好ましい。
【0047】
本発明の水溶性組成物には(C)成分由来の金属分が含まれるが、金属含有量は、水溶性組成物の溶媒を除いた成分中、0.01~3質量%が好ましく、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0048】
<(D)成分>
本発明の水溶性組成物は、(D)成分として、下記一般式(IV)、
で表される化合物を含有していてもよい。ここで、一般式(IV)中、R
1は水素原子またはメチル基を表し、X
1は酸素原子または-NR
2-を表し、R
2は、水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、X
2は炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、X
2で表される炭素原子数1~6のアルキレン基の水素原子は、ハロゲン原子または水酸基で置換されていてもよく、nは、0~30の数を表し、*は結合手を意味し、複数の一般式(IV)で表される基を複数有する場合、複数存在するR
1、X
1、X
2、nは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0049】
一般式(IV)中のR2で表される炭素原子数1~20の炭化水素基は、特に限定されるものではないが、好ましくは、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基および炭素原子数7~20のアリールアルキル基等である。(B)成分として用いた場合の感度が良好なことから、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数3~10のシクロアルキル基、炭素原子数4~10のシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基および炭素原子数7~10のアリールアルキル基等がより好ましい。
【0050】
炭素原子数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびイコシル等が挙げられ、上記炭素原子数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、t-オクチル、ノニル、イソノニル、デシルおよびイソデシル等が挙げられる。
【0051】
炭素原子数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、4-ドデセニル、3-シクロヘキセニル、2,5-シクロヘキサジエニル-1-メチル、および4,8,12-テトラデカトリエニルアリル等が挙げられ、上記炭素原子数2~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニルおよび4-デセニル等が挙げられる。
【0052】
炭素原子数3~20のシクロアルキル基とは、3~20の炭素原子を有する、飽和単環式または飽和多環式アルキル基を意味する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニルおよびテトラデカヒドロアントラセニル等が挙げられ、上記炭素原子数3~10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレンおよびビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0053】
炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された4~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、シクロデシルメチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘプチルエチル、2-シクロオクチルエチル、2-シクロノニルエチル、2-シクロデシルエチル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル、3-シクロヘプチルプロピル、3-シクロオクチルプロピル、3-シクロノニルプロピル、3-シクロデシルプロピル、4-シクロブチルブチル、4-シクロペンチルブチル、4-シクロヘキシルブチル、4-シクロヘプチルブチル、4-シクロオクチルブチル、4-シクロノニルブチル、4-シクロデシルブチル、3-3-アダマンチルプロピルおよびデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられ、炭素原子数4~10のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、シクロノニルメチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘプチルエチル、2-シクロオクチルエチル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル、3-シクロヘプチルプロピル、4-シクロブチルブチル、4-シクロペンチルブチルおよび4-シクロヘキシルブチル等が挙げられる。
【0054】
炭素原子数6~20のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アンスリル、フェナントレニル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4-クロロフェニル、4-カルボキシルフェニル、4-ビニルフェニル、4-メチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられ、上記炭素原子数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニルおよびナフチル等や、上記アルキル基、上記アルケニル基やカルボキシル基、ハロゲン原子等で1つ以上置換されたフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アンスリル等、例えば、4-クロロフェニル、4-カルボキシルフェニル、4-ビニルフェニル、4-メチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられる。
【0055】
炭素原子数7~20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~30の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジル、フェニルエチルおよびナフチルプロピル等が挙げられ、上記炭素原子数7~20のアリールアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、アリール基で置換された7~20の炭素原子を有する基を意味する。例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジルおよびフェニルエチル等が挙げられる。
【0056】
一般式(IV)中のX2で表される炭素原子数1~6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状のアルキレン基並びにイソプロピレン基およびイソブチレン基等の分岐鎖状のアルキレン基等が挙げられる。
【0057】
(D)成分としては、例えば、アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物、アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物、アクリルアミド化合物およびメタクリルアミド化合物を好ましく用いることができる。
【0058】
上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物とは、一般式(IV)中、R1が水素原子、X1が酸素原子、nが、1~30の化合物であり、上記アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物とは、一般式(IV)中、R1がメチル基、X1が酸素原子、nが、1~30の化合物である。
【0059】
上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物としては、例えばジエチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられ、上記アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物としては、例えばジエチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレンオキサイド変性1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
【0060】
上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物および上記アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物としては、市販品も好ましく用いることができ、例えば、NKエステル A-600、A-GLY-20E、NKエコノマー A-PG5054E(以上、新中村化学工業製)等が挙げられる。
【0061】
上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物および上記アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物において、上記一般式(IV)中のX2がエチレン基、またはプロピレン基であるものは、水溶性に優れるので好ましく、エチレン基が特に水溶性に優れることから好ましい。
【0062】
上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物および上記アルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物が、一般式(IV)で表される基を一つ有する場合、水溶性に優れることから、nが6以上である場合が特に好ましい。上記アルキレンオキサイド変性アクリレート化合物およびアルキレンオキサイド変性メタクリレート化合物が、一般式(IV)で表される基を複数有する場合、水溶性に優れることから、複数存在するnの総和が10以上である場合が特に好ましい。
【0063】
上記アクリルアミド化合物とは、上記一般式(IV)中、R1が水素原子、X1がNR2-、nが、1~0の化合物であり、上記メタクリルアミド化合物とは、上記一般式(IV)中、R1がメチル基、X1がNR2-、nが、0の化合物である。
【0064】
上記アクリルアミド化合物としては、ヒドロキシアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジプロピルアクリルアミド、アクリルロイルモルホリン、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド等が挙げられ、上記メタクリルアミド化合物としては、ヒドロキシメタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-ブチルメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジプロピルメタクリルアミド、メタクリルロイルモルホリン、N-n-ブトキシメチルメタクリルアミド、N-イソブトキシメチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0065】
上記アクリルアミド化合物および上記メタクリルアミド化合物としては、市販品も好ましく用いることができ、例えば、FFM-2、FFM-3、FFM-4およびFFM-5、(富士フィルム社製)が挙げられる。
【0066】
(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分および(D)成分の総和100質量部に対し、1~50質量部であり、(D)成分の含有量がこの範囲にある場合、硬化性が良好な水溶性組成物が得られ、この水溶性組成物より高精細なパターンでかつ耐熱性、耐水性および耐湿熱性に優れる硬化物が得られることから好ましい。
【0067】
本発明の水溶性組成物は、溶媒として水を含有すればよく有機溶剤と併用することも可能だが、溶媒として水のみの一液であることが環境低負荷並びに有機材料上に塗布する場合、有機材料を侵さないことから好ましい。
【0068】
上記有機溶剤としては、水と併用することで、上記の各成分((A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分)等を溶解または分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよび2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタンおよびジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチルおよびテキサノール等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ-またはn-プロパノール、イソ-またはn-ブタノールおよびアミルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテートおよびエトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶剤;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;テレピン油、D-リモネンおよびピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(以上、コスモ松山石油製);およびソルベッソ#100(以上、エクソン化学製);等のパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;カルビトール系溶剤、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドおよび水等が挙げられ、水との相溶性がよいのでアルコール系溶剤が好ましい。
【0069】
本発明の水溶性組成物は、溶媒として水を含有する。有機溶剤と併用することも可能だが、溶媒として水のみの一液であることが環境低負荷並びに有機材料上に塗布する場合、有機材料を侵さないことから好ましい。
【0070】
本発明の水溶性組成物において、上記溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、水溶性組成物全量に対して70~95質量%になることが好ましい。溶剤の含有量が上記範囲の場合、ハンドリング性(硬化性組成物の粘度や濡れ性)および液安定性(組成物に含まれる成分の析出や沈降を伴わない)に優れる硬化性組成物並びに硬化物の厚さを適切にコントロールできることから好ましい。
【0071】
本発明の水溶性組成物には、必要に応じて、(A)成分および(B)成分に属さない水溶性重合体、有機酸、カップリング剤、増感剤、界面活性剤、塩基性化合物、着色剤、ラジカル開始剤、水溶性防腐剤および導電性物質等を加えることもできる。
【0072】
(A)成分および(B)成分に属さない水溶性重合体としては、酸化澱粉、エーテル化・エステル化・グラフト化された変性澱粉、ゼラチン・カゼイン・カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル樹脂、2-ヒドロキシプロピルアクリレートポリマー・4-ヒドロキシブチルアクリレートポリマー等の水溶性ポリアクリル酸エステル樹脂、水溶性ポリカーボネート樹脂、水溶性ポリ酢酸ビニル樹脂、水溶性スチレンアクリート樹脂、水溶性ビニルトルエンアクリレート樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、ポリビニルアミド・ポリアクリルアミド、変性アクリルアミド等の水溶性ポリアミド樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性ポリカプロラクトン樹脂、水溶性ポリスチレン樹脂、水溶性ポリ塩化ビニル樹脂、水溶性ポリアクリレート樹脂、水溶性ポリアクリロニトリル樹脂等の水溶性樹脂およびスチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0073】
上記有機酸としては、カルボキシル基を有する弱酸性の化合物なら制限なく用いることができ、例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、乳酸、炭酸、蟻酸、シュウ酸、プロピオン酸、オクチル酸、カプリル酸、グルクロン酸、ステアリン酸、安息香酸、マンデル酸等が挙げられる。これらの中でも、乳酸、酢酸、クエン酸、グリコール酸またはリンゴ酸が好ましい。
【0074】
上記カップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3-メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシランおよびγ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン等を用いることができる。
【0075】
上記増感剤は、光照射により硬化する場合の、光の適応可能な波長範囲を拡大することができる化合物であり、増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,5-ジメチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、2,4-ジメトキシアセトフェノン、2,5-ジメトキシアセトフェノン、2,6-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4-エトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン類、アントラキノン、ヒドロキシアントラキノン、1-ニトロアントラキノン、アミノアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、アントラキノンスルホン酸、1,2-ベンズアントラキノン、1,4-ヒドロキシアントラキノン(キニザリン)等のアントラキノン類、アントラセン、1,2-ベンゾアントラセン、9-シアノアントラセン、9,10-ジシアノアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチル)アントラセン等のアントラセン類、2,3-ジクロロ-6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン、2,5-ジクロロ-p-ベンゾキノン、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン、9,10-フェナンスレキノン、カンファ-キノン、2,3-ジクロロ-1,4-ナフトキノン、キサントン等のキノン類、チオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-イソプロピルチオキサンソン等のチオキサン類、ジベンゾスベロン、ジベンゾスベレン、ジベンゾスベレノール、ジベンゾスベラン等のシクロヘプタン類、2-メトキシナフタレン、ベンゾインイソプロピルエーテル、4-ベンゾイルジフェニル、o-ベンゾイル安息香酸、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4-メチル-ジフェニルスルフィド、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル等の芳香族化合物、および色素系増感性物質であるクマリン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、キサンテン系化合物等が挙げられる。
【0076】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0077】
上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、エチレンイミン、ピロリジン、ピペリジン、ポリエチレンイミン等が挙げられ、これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができ、pH調整等の目的で塩基性化合物を添加する場合がある。
【0078】
上記着色剤としては、顔料および染料を用いることができる。顔料および染料としては、それぞれ、無機色材または有機色材を用いることができ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。ここで、顔料とは、後述の溶媒に不溶の着色剤を指し、無機または有機色材の中でも溶媒に不溶であるもの、或いは無機または有機染料をレーキ化したものも含まれる。
【0079】
上記顔料としては、ファーネス法、チャンネル法またはサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラックまたはランプブラック等のカーボンブラック、上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整または被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂に分散処理し、20~200mg/gの樹脂で被覆したもの、上記カーボンブラックを酸性またはアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のカーボンブラック、950℃における揮発分中のCOおよびCO2から算出した全酸素量が、表面積100m2当たり9mg以上であるカーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン、アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック等に代表される黒色顔料、酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー、レーキ顔料等の有機または無機顔料が挙げられ、遮光性が高いことから黒色顔料を用いることが好ましく、黒色顔料としてカーボンブラックを用いることが、さらに好ましい。
【0080】
上記顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、MICROPIGMO WMYW-5、MICROPIGMO WMRD-5、MICROPIGMO WMBN-5、MICROPIGMO WMGN-5、MICROPIGMO WMBK-5、MICROPIGMO WMBE-5、MICROPIGMO WMVT-5、MICROPIGMO WMWE-1、BONJET BLACK CW-1(以上、オリエント化学工業社製)ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、254、228、240および254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65および71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180および185;ピグメントグリ-ン7、10、36および58;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62および64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40および50等が挙げられる。
【0081】
上記染料としては、例えば、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物、クマリン化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キナクリドン化合物、アンタンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、ジケトピロロピロール化合物、チオインジゴ化合物、ジオキサジン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノフタロン化合物、ナフタレンテトラカルボン酸、アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物等が挙げられる。
【0082】
上記ラジカル開始剤として従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、特開昭57-197289、特開平6-228218、特開2009-102455、特開2012-007071、特表2016-510314、WO2014/050551、特開平06-239910、特開2003-192712、特開2016-185929に記載されているものの他、ベンゾフェノン、カルボキシベンゾフェノンとその塩、ジカルボキシベンゾフェノンとその塩、チオキサントン、1-クロル-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン等の水素引抜型の光重合開始剤;フェニルビフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-ベンゾイルシクロヘキサン(α-ヒドロキシアルキルフェノン)、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1-ベンジル-1-ジメチルアミノ-1-(4’-モルホリノベンゾイル)プロパン、2-モルホリル-2-(4’-メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-ベンゾイルプロパン、2-ヒドロキシ-2-(4’-イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4-ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4-フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1,7-ビス(9’-アクリジニル)ヘプタン、9-n-ブチル-3,6-ビス(2’-モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ナフチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1-2’-ビイミダゾール、アシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等の光分解型光重合開始剤を用いることができ、光分解型光重合開始剤が、反応性の点から好ましい。
【0083】
上記光分解型光重合開始剤の中でも、Irg2959、Irg819DW(BASF社製)、ESACURE ONE、ESACURE 1001M、ESACURE KIP 150、ESACURE DP 250(Lamberti社)等の水溶性開始剤等が、水への親和性が高いので好ましい。
【0084】
上記染料としては、市販品を用いることもでき、水溶性染料としては、例えば、WATER YELLOW 1、WATER YELLOW 2、WATER YELLOW 6C、WATER YELLOW 6CL、WATER ORANGE 18、WATER ORANGE 25、WATER RED 1、WATER RED 2S、WATER RED 3、WATER RED 9、WATER RED 27、WATER PINK 2S、WATER BROWN 16、WATER GREEN 8、WATER BLUE 3、WATER BLUE 9、WATER BLUE 105S、WATER BLUE 106、WATER BLUE 117-L、WATER VIOLET 7、WATER BLACK 31、WATER BLACK 191-L、WATER BLACK 256-L、WATER BLACK R-455、WATER BLACK R-510、BONJET YELLOW 161-L、BONJET MAGENTA XXX、BONJET CYAN XXX、BONJET BLACK 891-L(以上、オリエント化学工業社製)等が挙げられる。
【0085】
油溶性染料としては、VALIFAST YELLOW 1101、VALIFAST YELLOW 3150、VALIFAST RED 1308、VALIFAST RED 2320、VALIFAST PINK 1364、VALIFAST PINK 2310N、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST BLACK 1815、VALIFAST BLACK 1807、VALIFAST BLACK 3804、VALIFAST BLACK 3810、VALIFAST BLACK 3820、VALIFAST BLACK 3830、VALIFAST BLACK 3840、VALIFAST BLACK 3866、VALIFAST BLACK 3870、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST BROWN 3402、VALIFAST BLUE 1613およびVALIFAST BLUE 1605(以上、オリエント化学工業社製)等が挙げられる。
【0086】
上記水溶性防腐剤としては、水への溶解度が高く、室温での溶解度が1%以上のものを挙げることができ、具体的には、メチルパラベン、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸、サリチル酸塩、フェノキシエタノール、水溶性カチオン抗菌剤、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド、パラベン、プロパンジオール物質、イソチアゾリノン、四級化合物、ベンゾエート、低分子量アルコール、デヒドロ酢酸、ACQ(銅・第四級アンモニウム化合物)、CUAZ(銅・アゾール化合物)、AAQ(第4級アンモニウム化合物)、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、ベンザルコニウムクロリド、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、パラベン、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール、イソチアゾロン、トリアジン、ブロノポール、チアベンダゾール、ジンクピリチオン、カルベンダジム、ピリジンオキサイドチオールナトリウム塩およびフェニルエタノール等が挙げられる。
【0087】
上記水溶性防腐剤としては、市販品を用いることもでき、サンアイバックP、サンアイバック300K、サンアイバックIT-15SA、サンアイバックAS-30、サンアイバックT-10、サンアイバックM-30、サンアイバックソジウムオマジン(いずれも三愛石油製)等が挙げられる。
【0088】
上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、導電性カーボンおよび導電性ポリマー等が挙げられる。
【0089】
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウムおよびカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金および錫-鉛-銀合金等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀または金が好ましい。
【0090】
上記導電性カーボンとしては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、グラフェン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラックおよびメソポーラス炭素等が挙げられる。
【0091】
上記導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロ-ル、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-ブチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリ(3-エトキシピロール)、ポリ(3-オクトキシピロール)、ポリ(3-カルボキシルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシルピロール)、ポリN-メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-オクトキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(2-オクチルアニリン)、ポリ(2-イソブチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)およびポリチオフェン誘導体(PEDOT:ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸(PSS)をドーピングしたもの等が挙げられる。
【0092】
また、本発明の効果を損なわない限り、上記以外にも必要に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤、光塩基開始剤、酸発生剤、無機フィラー、有機フィラー、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、有機金属カップリング剤、チクソ剤、炭素化合物、金属微粒子、金属酸化物、難燃剤、可塑剤、光安定剤、熱安定剤、老化防止剤、エラストマー粒子、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、離型剤、流動調整剤、密着促進剤、不飽和モノマー、エポキシ化合物・オキセタン化合物・ビニルエーテル等のカチオン重合性化合物等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
【0093】
次に、本発明のパターン形成剤について説明する。本発明のパターン形成剤は、本発明の水溶性組成物からなるものである。本発明のパターン形成剤は、フォトリソ性を有するものであり、具体的には、マスクを介して光照射した後、現像液(水、有機溶剤およびアルカリ水溶液等)を用いて現像することにより、1000μm以下のパターンを±10%以内の精度で再現よく形成できる。
【0094】
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤を用いて行うものである。本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤を用いた硬化物の製造方法について、好ましい塗布方法、硬化条件を下記に示す。
【0095】
好ましい塗布方法は、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ガラス、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0096】
透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45~1.70であることが好ましい。
【0097】
好ましい硬化条件は、本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤を透明支持体上に塗布した後で光照射を行う場合、照射される光の波長、強度および照射時間等の照射条件は、光開始剤の活性、使用される光重合性樹脂の活性等により適宜調整されるが、光波長としては、通常は内部にまで充分に光を進入させるために波長ピーク300~500nmのものが好ましく、より好ましくは波長ピーク350~450nmであり、最も好ましくは波長ピーク360~380nmのものである。また、光強度としては10~300mW/cm2が好ましく、より好ましくは25~100mW/cm2であり、照射時間は5~500秒が好ましく、より好ましくは10~300秒である。
【0098】
本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤を透明支持体上に塗布した後で加熱することにより、架橋反応を進行させることもできる。加熱は、50~200℃、好ましくは70~150℃で10~1時間行う。50℃より低いと架橋反応が進行しないおそれがあり、200℃より高いと、(A)~(D)成分の分解が起こったり、光学フィルムの透明性が下がったりするおそれがある。
【0099】
フォトリソにより、硬化物のパターンを作成する場合、本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤をガラス基板上に、触針式形状測定器(アルバック製Dektak150)により、膜厚で5.0~5.5μmとなるように条件を調整したスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで10分間プリベークを行なった。その後、室温まで冷却し、フォトマスク(LINE/SPACE=50μm/50μm)を介し、高圧水銀ランプを用い、365nmの波長を含む光を500mJ/cm2照射し、23℃のイオン交換水に1分間浸漬した後、エアーガンで付着した水を除去し、基板を140℃のオーブン内で30分乾燥させるものである。好ましい硬化条件は上記と同様である。
【0100】
本発明の硬化物は、本発明の水溶性組成物またはパターン形成剤からなるものである。本発明の水溶性組成物およびパターン形成剤の具体的な用途としては、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、各種コーティング剤、ライニング剤、インク、レジスト、液状レジスト、接着剤、液晶滴下工法用シール剤、画像形成材料、パターン形成材料、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、建材、サイディング、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、液晶カラーフィルターの保護膜やスペーサー、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、ハードディスク用記録材料、固体撮像素子、太陽電池パネル、発光ダイオード、有機発光デバイス、ルミネセントフィルム、蛍光フィルム、MEMS素子、アクチュエーター、ホログラム、プラズモンデバイス、偏光板、偏光フィルム、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができ、例えばコーティング剤として適用できる基材としては金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を挙げることができる。
【0101】
本発明の水溶性組成物およびパターン形成剤を光学フィルムに用いる場合には、光学フィルムは、慣用の方法でフィルムまたはシート成形し、得られたフィルムまたはシートを延伸(または配向処理)することなく製造してもよく、延伸(または配向処理)することにより製造してもよい。フィルム成形には、押し出し成形、ブロー成形等の溶融成形法(溶融製膜法)を利用してもよく、流延成形法(流延製膜法、溶液流延法)を利用してもよい。
【0102】
本発明の水溶性組成物およびパターン形成剤を用いた光学フィルムは、形状に関しては特に制限されるものではないが、通常、透明支持体上に光学膜を有し光学用途に利用されるフィルムで、液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム、低反射率フィルム等の各種機能フィルム、また、有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等を挙げることができる。
【0103】
本発明の水溶性組成物およびパターン形成剤を用いた光学フィルムは、光学フィルムを支持体に適用した追記型光ディスク(CD±R、DVD±R、次世代型高密度ディスク等)の光学記録層;各種レンズ;画像表示装置用光学フィルター;カラーフィルター、色変換フィルターに代表される各種フィルター;あるいは、有機EL発光素子、無機EL発光素子または電子ペーパー表示体等の保護封止フィルムとして用いることができる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例に記載されている固形分とは、溶媒を除いた成分が占める質量%を意味する。
【0105】
[製造方法:(A)成分水溶液No.1およびNo.2]
1000部のイオン交換水を入れた反応フラスコに[表1]に示す水酸基含有ポリマー138部をゆっくり投入し、1時間攪拌した後、90℃まで加温して完全に溶解させた。50℃まで冷却し、感光性付与剤として水酸基の2mol%分のN-メチロールアクリルアミドとp-トルエンスルホン酸0.1部を投入し、50℃3時間攪拌を継続した。溶液を室温まで冷却後、固形分が15%となるよう、イオン交換水を追加し、室温で更に1時間攪拌を行ない、5μmフィルターでろ過した後、イオン交換水を加えて固形分を10質量%に調整し、(A)成分水溶液No.1およびNo.2を得た。得られた(A)成分水溶液No.1およびNo.2について、それぞれ用いた水酸基含有ポリマーおよび感光基付与剤の組み合わせを[表1]にまとめた。
【0106】
[製造方法:(A)成分水溶液No.3~6]
1000部のイオン交換水を入れた反応フラスコに[表1]に示す水酸基含有ポリマー138部をゆっくり投入し、1時間攪拌した後、90℃まで加温して完全に溶解させた。40℃まで冷却し、水酸基の2mol%分の[表1]に示す感光基付与剤とリン酸0.7部を投入し、40℃で2時間攪拌を継続した。溶液を室温まで冷却後、固形分が15%となるよう、イオン交換水を追加し、室温で更に1時間攪拌を行ない、5μmフィルターでろ過した後、イオン交換水を加えて固形分を10質量%に調整し、(A)成分水溶液No.3~No.6を得た。得られた(A)成分水溶液No.3~No.6について、それぞれ用いた水酸基含有ポリマーおよび感光基付与剤の組み合わせを[表1]にまとめた。
【0107】
【0108】
上記(A)成分水溶液No.1~No.6の構成について[表2]にまとめた。
【0109】
【表2】
ここで、表中の○は該当する構成単位を有することを意味し、-は該当する構成単位を有さないことを意味する。
【0110】
[製造方法:(B)成分水溶液]
水酸基含有ポリマー10.0gを、攪拌しているイオン交換水90.0gにゆっくり添加し、そのまま室温で1時間攪拌した。その後、内温を85℃から90℃に調整し、2時間攪拌を継続した。溶解を確認した後に、室温まで冷却し、1μmフィルターでろ過し、(B)成分水溶液No.1~No.3を得た。得られた(B)成分水溶液No.1~No.3と用いた水酸基含有ポリマーの組み合わせを[表3]にまとめた。
【0111】
【0112】
実施例で用いた(B)成分水溶液の構成について[表4]にまとめた。
【0113】
【表4】
ここで、表中の○は該当する構成単位を有することを意味し、-は該当する構成単位を有さないことを意味する。
【0114】
[実施例1~36、参考例1~3および比較例1~8]水溶性組成物の調製
[表5]~[表10]の配合に従って各成分を室温で1時間撹拌後、1μmフィルターでろ過し、水溶性組成物(実施例1~36、参考例1~3および比較例1~8)を得た。なお、表中の配合の数値は質量部を表す。また、表中の各成分の符号は、下記の成分を表す。
A-1:(A)成分水溶液No.1 [(A)成分水溶液]
A-2:(A)成分水溶液No.2 [(A)成分水溶液]
A-3:(A)成分水溶液No.3 [(A)成分水溶液]
A-4:(A)成分水溶液No.4 [(A)成分水溶液]
A-5:(A)成分水溶液No.5 [(A)成分水溶液]
A-6:(A)成分水溶液No.6 [(A)成分水溶液]
B-1:(B)成分水溶液No.1 [(B)成分水溶液]
B-2:(B)成分水溶液No.2 [(B)成分水溶液]
B-3:(B)成分水溶液No.3 [(B)成分水溶液]
C-1:オルガチックスTC-335
(チタンラクテートアンモニウム塩水溶液:成分濃度75%、Ti
含有量5%;マツモトファインケミカル製)
C-2:オルガチックスZC-126
(塩化ジルコニル水溶液:成分濃度30%、Zr含有量11%;
マツモトファインケミカル製)
C-3:ジルコゾールZN
(硝酸ジルコニル水溶液、成分濃度46%、Zr含有量25%;
第一稀元素化学工業製)
C-4:オルガチックスWS-700
(有機チタン変性ポリエチレンイミン、成分濃度10%水溶液;
マツモトファインケミカル製)
D-1:NKエステル A-600
(アルキレンオキサイド変性アクリレート;新中村化学工業製)
D-2:NKエステル A-GLY-20E
(アルキレンオキサイド変性アクリレート;新中村化学工業製)
D-3:NKエコノマー A-PG5054E
(アルキレンオキサイド変性アクリレート;新中村化学工業製)
D-4:FFM-2(多官能アクリルアミド化合物;富士フィルム製)
D-5:アクリロイルモルフォリン
D-6:ヒドロキシアクリルアミド
E-1:メガファックF-444(フッ素系レベリング剤;DIC製)
E-2:KP-112(シリコン系レベリング剤;信越化学工業製)
E-3:サンアイバックIT-15SA(防腐剤;三愛石油製)
E-4:DL-乳酸
E-5:N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ブタン-1アミニウム=フ
ェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィネート(ラ
ジカル開始剤)
E-6:3-((4-(2-メチル-2-モルホリノプロパノイル)フェニ
ル)チオ)プロパン酸=ナトリウム塩(ラジカル開始剤)
E-7:N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ブタン-1アミニウム-2
-カルボキシベンゾフェノン(ラジカル開始剤)
E-8:カリウム-2-カルボキシベンゾフェノン(ラジカル開始剤)
E-9:ジカリウム-4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン(ラジカル開
始剤)
F-1:BONJET BLACK W-1
(オリヱント化学工業社製、改質カーボンブラック自己分散体、濃
度20%)
F-2:MICROPIGMO WMRD-5
(オリヱント化学工業社製、Pigment Red17樹脂分散
体、濃度20%)
F-3:MICROPIGMO WMGN-5
(オリヱント化学工業社製、Pigment Green7樹脂分
散体、濃度21%)
F-4:MICROPIGMO WMBE-5
(オリヱント化学工業社製、Pigment Blue15:6樹
脂分散体、濃度20%)
【0115】
[水溶性組成物および硬化物の評価]
実施例1~36、参考例1~3および比較例1~8の水溶性組成物において、相溶性、塗布性、フォトリソ性、硬化物の状態変化(耐湿熱性1)およびヘイズ変化(耐湿熱性2)の評価を、下記の手順で行った。結果を[表5]~[表10]に併記する。
【0116】
(相溶性)
各水溶性組成物の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:均一である
△:均一系であるが、目視で若干濁っている
×:相溶しない、ゲル化または不溶物が見られる
評価が○であるものは、好ましく使用でき、評価が×のものは使用に適さない。
【0117】
(塗布性)
各水溶性組成物をガラス基板上に触針式形状測定器(アルバック製Dektak150)により膜厚が5.0~5.5μmとなるように条件を調整したスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで10分間プリベークを行なった。このときの膜の状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:塗布膜が均一である
△:均一な膜であるが、目視で濁りが観測される
×:表面にムラがある等不均一な状態または析出物が確認された
評価が○であるものは、好ましく使用でき、評価が×のものは使用に適さない。
【0118】
(フォトリソ性)
各水溶性組成物をガラス基板上に、触針式形状測定器(アルバック製Dektak150)により膜厚が5.0~5.5μmとなるように条件を調整したスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで10分間プリベークを行なった。その後、室温まで冷却し、フォトマスク(LINE/SPACE=50μm/50μm)を介し、高圧水銀ランプを用い、365nmの波長を含む光を500mJ/cm2照射し、23℃のイオン交換水に1分間浸漬した後、エアーガンで付着した水を除去し、基板を140℃のオーブン内で30分乾燥させた。乾燥後のパターンをレーザー顕微鏡で確認し、以下の基準で評価した。
○:パターンが50±3μm以内
△:50±10μm以内
×:50±10μmを超えるあるいはパターンが無くなる
評価結果が、○または△のものは、パターン形成剤として使用でき、その中でも○のものは特に好ましく使用でき、×のものはパターン形成剤として適さない。
【0119】
(耐湿熱性1:硬化物の状態変化)
各水溶性組成物をガラス基板上に、触針式形状測定器(アルバック製Dektak150)により膜厚が5.0~5.5μmとなるように条件を調整したスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで10分間プリベークを行なった。その後、室温まで冷却した後、高圧水銀ランプを用い、365nmの波長を含む光を3000mJ/cm2照射し、基板を140℃のオーブン内で30分乾燥させた。得られた硬化物を85℃、85%RHの条件で24時間放置した後、硬化物の状態を目視で確認した。耐湿性試験後の膜の状態を、以下の基準で評価した。
○:試験前と変わらず、剥がれ、色抜け等の変化の無い
×:変化がある
評価結果が、○の硬化物は耐湿熱性が要求される用途に使用でき、評価結果が×の硬化物は、耐湿熱性が要求される用途に使用することができない。
【0120】
(耐湿熱性2:ヘイズ変化)
各水溶性組成物をガラス基板上に、触針式形状測定器(アルバック製Dektak150)により膜厚が5.0~5.5μmとなるように条件を調整したスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで10分間プリベークを行なった。その後、室温まで冷却した後、高圧水銀ランプを用い、365nmの波長を含む光を500mJ/cm2照射し、基板を140℃のオーブン内で30分乾燥させた。得られた硬化物のヘイズを日本電色HAZEMETER NDH5000で測定した。更に得られた硬化物を85℃、85%RHの条件で24時間放置した後、硬化物のヘイズを同様に測定した。耐湿性試験前後において、以下の基準で評価した。
◎:ヘイズの変化量が0.5未満
○:ヘイズの変化量が0.5以上1未満
△:ヘイズの変化量が1以上3未満
×:ヘイズの変化量が3以上
評価結果が◎、○および△の硬化物は耐湿熱性が要求される用途に使用でき、◎、○、△の順に耐湿熱性に優れる。中でも◎である硬化物は、特に、耐湿熱性が要求される用途に好適である。一方、×である硬化物は、耐湿熱性が要求される用途には使用することができない。なお、実施例29~36および比較例6~8については、着色剤を添加しているため、ヘイズの測定は行っていない。
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
[表1]~[表10]より、本発明の水溶性組成物は、相溶性が高く、塗布性に優れ、フォトリソ性に優れ、得られる硬化物の耐湿熱性が良好であることが明らかである。したがって、本発明の水溶性組成物は、インク、画像形成材料およびパターン形成剤等の用途に好適に用いることができ、本発明の硬化物は光学フィルム等の用途に好適に用いることができる。