(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ガス管理システム
(51)【国際特許分類】
H01S 3/03 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
H01S3/03 Z
(21)【出願番号】P 2020540502
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018018289
(87)【国際公開番号】W WO2019160548
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ローマン グティエレス,イザー
(72)【発明者】
【氏名】ガレスピー,ウォルター,デール
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,エドワード,スーチー
(72)【発明者】
【氏名】カナワデ,ディネシュ,アディナス
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0063016(US,A1)
【文献】特開平04-029386(JP,A)
【文献】特許第6224859(JP,B1)
【文献】特開2001-232134(JP,A)
【文献】特開2000-124534(JP,A)
【文献】特開平11-054851(JP,A)
【文献】特開平11-274662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマレーザから排ガス混合物を受け取るように構成されたガス精製器システムであって、前記排ガス混合物は所期のガス成分と不純物ガス成分とを備え、前記ガス精製器システムは、前記不純物ガス成分のうち少なくとも1つの量を低減させ、前記排ガス混合物に基づいて精製ガス混合物を形成するように構成されている、ガス精製器システムと、
前記精製ガス混合物の少なくとも一部を受け取るように及び前記精製ガス混合物中の少なくとも1つの所期のガス成分の量と前記精製ガス混合物中の少なくとも1つの不純物ガス成分の量とを測定するように構成された測定システムを備えるガス分析システムと、
前記精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物を調製するガス混合システムと、
前記ガス分析システム及び前記ガス混合システムに連結された制御システムと、
を備えるガスリサイクルシステムであって、
前記制御システムは、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの所期のガス成分の前記測定量が第1の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの不純物ガス成分の前記測定量が第2の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの所期のガス成分の前記測定量が前記第1の許容可能な値の範囲内にない場合には、前記ガス混合システムに追加的なガス成分を前記精製ガス混合物に添加させて前記リサイクル済みのガス混合物を調製し、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの不純物ガスの前記測定量が前記第2の許容可能な値の範囲内にない場合には、エラー信号を生成する、ガスリサイクルシステム。
【請求項2】
前記不純物ガス成分は、水(H
2O)、二酸化炭素(CO
2)、テトラフルオロメタン(CF
4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF
3)を備える、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項3】
前記所期のガス成分は少なくとも2つの貴ガスを備え、前記不純物ガス成分は貴ガスではない任意のガスを備える、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの不純物ガスの前記測定量が前記第2の許容可能な値の範囲内にない場合にエラー信号を生成するように構成されている前記制御システムは、事前に調製されたガス混合物及び前記リサイクル済みのガス混合物に接続された流体制御スイッチに提供されると前記流体制御スイッチに前記事前に調製されたガス混合物をレーザに供給させると共に前記リサイクル済みのガス混合物を前記レーザに供給させないコマンド信号を生成するように構成されている前記制御システムを備える、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項5】
前記不純物ガス成分の各々はそれぞれ許容可能な値の範囲と関連付けられており、前記制御システムは、各不純物ガス成分の前記測定量がその不純物ガス成分の前記許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されている、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項6】
前記測定システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータを備える、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項7】
前記ガス混合システムに追加的なガス成分を前記精製ガス混合物に添加させて前記リサイクル済みのガス混合物を調製するように構成されている前記制御システムは、前記精製ガス混合物に貴ガスを添加するように構成されている前記制御システムを備える、請求項1のガスリサイクルシステム。
【請求項8】
前記精製ガス混合物は、前記制御システムが前記ガス混合システムに前記貴ガスを前記精製ガス混合物に添加させる前の前記貴ガスの少なくともいくらかを備える、請求項7のガスリサイクルシステム。
【請求項9】
複数の入口ポートと1つの出口ポートとを備え、各入口ポートはエキシマレーザの排ガス出口ポートに流体結合されるように構成されている、レーザ排ガス収集システムと、
前記レーザ排ガス収集システムの前記出口ポートに流体結合されると共に、前記レーザ排ガス収集システムに流体結合された前記エキシマレーザのいずれかから排気されたガス混合物に基づいて精製ガス混合物を生成するように構成されたガス精製器システムと、
前記精製ガス混合物中の少なくとも1つの
所期のガス成分の量を測定するように構成された測定システムを備え
、前記精製ガス混合物はさらに不純物ガス成分を含む、ガス分析システムと、
前記精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物を調製するガス混合システムと、
前記ガス分析システム及び前記ガス混合システムに連結された制御システムと、
を備えるガスリサイクルシステムであって、
前記制御システムは、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの
所期のガス成分の前記測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、
前記精製ガス混合物中の前記少なくとも1つの
所期のガス成分の前記測定量が前記許容可能な値の範囲内にない場合には、前記ガス混合システムに追加的なガス成分を前記精製ガス混合物に添加させて前記リサイクル済みのガス混合物を調製するように構成されて
おり、
前記精製ガス混合物の前記少なくとも1つの所期のガス成分は貴ガスを備える、
ガスリサイクルシステム。
【請求項10】
前記ガス分析システムは更に、前記リサイクル済みのガス混合物中の前記少なくとも1つの
所期のガス成分の量を測定するように構成されている、請求項
9ガスリサイクルシステム。
【請求項11】
前記制御システムは更に、前記リサイクル済みのガス混合物中の前記少なくとも1つの
所期のガス成分の前記測定量が前記許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されている、請求項
10のガスリサイクルシステム。
【請求項12】
前記測定システムは、前記精製ガス混合物中の前記ガス成分のすべての量を測定するように構成されており、
前記制御システムは、前記ガス成分の各々の前記測定量がそのガス成分の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されている、請求項
11のガスリサイクルシステム。
【請求項13】
前記不純物ガス成分は、水(H
2O)、二酸化炭素(CO
2)、テトラフルオロメタン(CF
4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF
3)を備える、請求項
11のガスリサイクルシステム。
【請求項14】
前記調製されたリサイクル済みのガスを受け取るように及び前記調製されたリサイクル済みのガスを1つ以上のエキシマレーザに提供するように構成されたガス供給システムを更に備える、請求項
11のガスリサイクルシステム。
【請求項15】
前記調製されたリサイクル済みのガスは、レーザ排ガス収集システムに連結された前記エキシマレーザとは異なる1つ以上のエキシマレーザに提供される、請求項
14のガスリサイクルシステム。
【請求項16】
ガス管理の方法であって、
エキシマレーザから受け取った排ガス混合物中の不純物ガス成分のうち少なくとも1つの量を低減させて、精製ガス混合物を形成することと、
前記精製ガス混合物中の少なくとも1つの所期のガス成分の量を測定することと、
前記精製ガス混合物中の少なくとも1つの不純物ガス成分の量を測定することと、
少なくとも1つの所期のガス成分の測定量が第1の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定することと、
少なくとも1つの不純物ガス成分の測定量が第2の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定することと、
前記少なくとも1つの所期のガス成分の前記測定量が前記第1の許容可能な値の範囲内にない場合には、ガス混合システムに追加的なガス成分を前記精製ガス混合物に添加させてリサイクル済みのガス混合物を調製することと、
前記少なくとも1つの不純物ガスの前記測定量が前記第2の許容可能な値の範囲内にない場合には、エラー信号を生成することと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はガス管理システムに関する。ガス管理システムはガスリサイクルシステムであってもよく、又はガスリサイクルシステムを含んでいてもよい。ガス管理システムは、例えば、深紫外光(DUV)源と共に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィとは、半導体回路をシリコンウェーハなどの基板上にパターニングするプロセスである。フォトリソグラフィ光源は、ウェーハ上のフォトレジストを露光させるために用いられる深紫外(DUV)光を提供する。フォトリソグラフィにおいて用いられるガス放電光源の1つのタイプは、エキシマ光源又はレーザとして知られている。エキシマ光源は、典型的には、アルゴン、クリプトン、又はキセノンなど1つ以上の貴ガスとフッ素又は塩素などの反応性との組み合わせであるガス混合物を使用する。エキシマ光源は、電気刺激(供給されるエネルギ)及び(ガス混合物の)高圧の適正条件下では、通電状態においてしか存在せず紫外域の増幅光のもとになるエキシマと呼ばれる擬似分子が作り出されるという事実からその名を得ている。エキシマ光源は深紫外(DUV)域に波長を有する光ビームを生成し、この光ビームがフォトリソグラフィ装置内で半導体基板(又はウェーハ)をパターニングするために用いられる。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバを用いて又は複数のガス放電チャンバを用いて構築することができる。ガス放電チャンバ内のガス混合物は、その1つ又は複数のガス放電チャンバから排気され得る。
【発明の概要】
【0003】
一般的な一態様においては、ガスリサイクルシステムは、エキシマレーザから排ガス混合物を受け取るように構成されたガス精製器システムであって、排ガス混合物は所期のガス成分と不純物ガス成分とを含み、ガス精製器システムは、不純物ガス成分のうち少なくとも1つの量を低減させ、排ガス混合物に基づいて精製ガス混合物を形成するように構成されている、ガス精製器システムと、精製ガス混合物の少なくとも一部を受け取るように及び精製ガス混合物中の少なくとも1つの所期のガス成分の量と精製ガス混合物中の少なくとも1つの不純物ガス成分の量とを測定するように構成された測定システムを含むガス分析システムと、精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物を調製する(prepare)ガス混合システムと、ガス分析システム及びガス混合システムに連結された制御システムと、を含み、制御システムは、少なくとも1つの所期のガス成分の測定量が第1の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、少なくとも1つの不純物ガス成分の測定量が第2の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、少なくとも1つの所期のガス成分の測定量が第1の許容可能な値の範囲内にない場合には、ガス混合システムに追加的なガス成分を精製ガス混合物に添加させてリサイクル済みのガス混合物を調製し、少なくとも1つの不純物ガスの測定量が第2の許容可能な値の範囲内にない場合には、エラー信号を生成する。
【0004】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。不純物ガス成分は、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、テトラフルオロメタン(CF4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF3)であってもよい。所期のガス成分は少なくとも2つの貴ガスを含んでいてもよく、不純物ガス成分は貴ガスではない任意のガスを含んでいてもよい。
【0005】
制御システムはコマンド信号を生成するように構成されていてもよく、コマンド信号は、事前に調製されたガス混合物及びリサイクル済みのガス混合物に接続された流体制御スイッチに提供されると、流体制御スイッチに事前に調製されたガス混合物をレーザに供給させると共にリサイクル済みのガス混合物をレーザに供給させない。
【0006】
不純物ガス成分の各々はそれぞれ許容可能な値の範囲と関連付けられていてもよく、制御システムは、各不純物ガス成分の測定量がその不純物ガス成分の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されていてもよい。
【0007】
測定システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータであってもよい。
【0008】
制御システムは、貴ガスを精製ガス混合物に添加するように構成されていてもよい。精製ガス混合物は、制御システムがガス混合システムに貴ガスを精製ガス混合物に添加させる前の貴ガスの少なくともいくらかを含んでいてもよい。
【0009】
別の一般的な一実装形態においては、ガスリサイクルシステムは、精製ガス混合物を受け取り、その受け取った精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物を調製するガス混合システムと、ガス混合システムで受け取った精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの量を測定するように及び調製されたリサイクル済みのガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの量を測定するように構成された測定システムを含むガス分析システムと、制御システムであって、ガス混合システムで受け取った精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にない場合にはガス混合システムに少なくとも1つの追加的なガス成分を精製ガス混合物に添加させてリサイクル済みのガス混合物を調製し、調製されたリサイクル済みのガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成された制御システムと、を含む。
【0010】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。制御システムは更に、調製されたリサイクル済みのガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にある場合にのみ、ガス供給システムに調製されたリサイクル済みのガスをエキシマレーザに提供させるように構成されていてもよい。
【0011】
精製ガス混合物は少なくとも2つの貴ガスを含んでいてもよく、測定システムは、ガス混合システムで受け取った精製ガス混合物中の少なくとも2つの貴ガスの各々の量を測定するように構成されていてもよく、測定システムは、調製されたリサイクル済みのガス混合物中の少なくとも2つの貴ガスの各々の量を測定するように構成されていてもよく、2つ以上の貴ガスの各々は、ある許容可能な値の範囲と関連付けられていてもよく、制御システムは、精製ガス混合物中及び調製されたリサイクル済みのガス混合物中の各貴ガスの測定量がその貴ガスの許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されていてもよい。
【0012】
測定システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータであってもよい。
【0013】
別の一般的な一態様においては、ガスリサイクルシステムは、複数の入口ポートと1つの出口ポートとを含み、各入口ポートはエキシマレーザの排ガス出口ポートに流体結合されるように構成されている、レーザ排ガス収集システムと、レーザ排ガス収集システムの出口ポートに流体結合されると共に、レーザ排ガス収集システムに流体結合されたエキシマレーザのいずれかから排気されたガス混合物に基づいて精製ガス混合物を生成するように構成されたガス精製器システムと、精製ガス混合物中の少なくとも1つのガス成分の量を測定するように構成された測定システムを含むガス分析システムと、精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物を調製するガス混合システムと、ガス分析システム及びガス混合システムに連結された制御システムであって、少なくとも1つのガス成分の測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定し、少なくとも1つのガス成分の測定量が許容可能な値の範囲内にない場合には、ガス混合システムに追加的なガス成分を精製ガス混合物に添加させてリサイクル済みのガス混合物を調製するように構成された制御システムと、を含む。
【0014】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ガス分析システムは更に、リサイクル済みのガス混合物中の少なくとも1つのガス成分の量を測定するように構成されていてもよい。制御システムは更に、リサイクル済みのガス混合物中の少なくとも1つのガス成分の測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されていてもよい。精製ガス混合物の少なくとも1つのガス成分は貴ガスを含んでいてもよい。
【0015】
精製ガス混合物の少なくとも1つのガス成分は2つ以上の貴ガスと複数の不純物ガス成分とを含んでいてもよく、測定システムは精製ガス混合物中のガス成分のすべての量を測定するように構成されていてもよく、制御システムはガス成分の各々の測定量がそのガス成分の許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定するように構成されていてもよい。
【0016】
不純物ガス成分は、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、テトラフルオロメタン(CF4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF3)を含んでいてもよい。
【0017】
いくつかの実装形態においては、ガスリサイクルシステムは、調製されたリサイクル済みのガスを受け取るように及び調製されたリサイクル済みのガスを1つ以上のエキシマレーザに提供するように構成されたガス供給システムも含む。調製されたリサイクル済みのガスは、レーザ排ガス収集システムに連結されたエキシマレーザとは異なる1つ以上のエキシマレーザに提供されてもよい。
【0018】
別の一般的な一態様においては、ガスチャンバ供給システムが、第1のガスチャンバの第1の入口に流体接続するように構成されると共に第1の複数のガスを含有する第1のガス混合物を供給するように構成された第1のガス源を含み、第1の複数のガスのうち少なくとも1つはハロゲンを含む。ガスチャンバ供給システムは、第1のガスチャンバの第2の入口に流体接続するように構成されると共に第2の複数のガスを含有する第2のガス混合物を供給するように構成された第2のガス源も含み、第2の複数の気体はハロゲンを欠き、第2のガス源は、第2のガス混合物を含む事前に調製されたガス供給と、第2のガス混合物を含むリサイクル済みのガス供給と、事前に調製されたガス供給及びリサイクル済みのガス供給に接続された流体流スイッチと、を含む。ガスチャンバ供給システムは、リサイクル済みのガス供給の試料を受け取ってリサイクル済みのガス供給内のガス成分を分析するガス分析システムと、ガス分析システム及び流体流スイッチに接続され、ガス分析システムから分析を受け取り、リサイクル済みのガス供給内のガス成分間の相対濃度が許容可能な範囲内にあるかどうかを判定し、流体流スイッチに信号を提供し、それによって、事前に調製されたガス供給とリサイクル済みのガス供給とのうち一方を判定に基づいて第2のガス源として選択するように構成された制御システムと、も含む。
【0019】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ガスチャンバ供給システムは、リサイクル済みのガス供給の圧力を測定するように構成された圧力測定システムも含んでいてもよい。制御システムは、圧力測定システムからの出力を受信してもよく、圧力測定システムからの出力に基づいて流体流スイッチへの信号を調整してもよい。
【0020】
第2のガス混合物は、貴ガスと少なくとも1つのバッファ成分とを有する少なくとも1つの利得媒質成分を含んでいてもよい。利得媒質成分中の貴ガスはArであってもよく、バッファ成分は貴ガスを含んでいてもよい。リサイクル済みのガス供給内のガス成分の分析は、貴ガスを有する利得媒質成分の量を測定すること及びバッファ成分の量を測定することを含んでいてもよい。
【0021】
ガス混合物を含むリサイクル済みのガス供給は、ガスリサイクルシステムのガス混合システムから受け取られてもよい。
【0022】
ガス分析システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータであってもよい。
【0023】
別の一般的な一態様においては、ガスチャンバ供給システムが、第1のガスチャンバの第1の入口に流体接続するように構成されると共に第1の複数のガスを含有する第1のガス混合物を供給するように構成された第1のガス源であって、第1の複数のガスのうち少なくとも1つはハロゲンを含む、第1のガス源と、第1のガスチャンバの第2の入口に流体接続するように構成されると共に第2の複数のガスを含有する第2のガス混合物を供給するように構成された第2のガス源であって、第2の複数のガスはハロゲンを欠く、第2のガス源と、を含む。第2のガス源は、第2のガス混合物を含む事前に調製されたガス供給と、第2のガス混合物を含むリサイクル済みのガス供給と、事前に調製されたガス供給及びリサイクル済みのガス供給に接続された流体流スイッチと、を含む。ガスチャンバ供給システムは、第2のガス混合物をリサイクル済みのガス供給に供給するように構成されたガスリサイクルシステムも含む。ガスリサイクルシステムは、第1のガスチャンバとは異なる第2のガスチャンバから排気されたガス混合物を受け取るように構成されたガス精製器システムと、精製ガス混合物を受け取って精製ガス混合物中のガス成分を分析するガス分析システムと、リサイクル済みのガス混合物を調製して、リサイクル済みのガス混合物をリサイクル済みのガス供給の第2のガス混合物として出力するガス混合システムと、を含む。ガスチャンバ供給システムは、ガスリサイクルシステム及び流体流スイッチに接続されると共に流体流スイッチに信号を提供し、それによって事前に調製されたガス供給とリサイクル済みのガス供給とのうち一方を第2のガス源として選択するように構成された、制御システムも含む。
【0024】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。ガスチャンバ供給システムは、リサイクル済みのガス供給の圧力を測定するように構成された圧力測定システムも含んでいてもよい。制御システムは、圧力測定システムからの出力を受信してもよく、圧力測定システムからの出力に基づいて流体流スイッチへの信号を調整してもよい。
【0025】
精製ガス混合物は、貴ガスと少なくとも1つのバッファ成分とを有する少なくとも1つの利得媒質成分を含んでいてもよい。利得媒質成分中の貴ガスはArであってもよく、バッファ成分は貴ガスを含んでいてもよい。
【0026】
精製ガス混合物中のガス成分の分析は、貴ガスを有する利得媒質成分の量を測定すること及びバッファ成分の量を測定することを含んでいてもよい。
【0027】
ガス分析システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータを含んでいてもよい。
【0028】
別の一般的な一態様においては、ガスチャンバ供給システムが、第1組のガスチャンバの第1の入口に流体接続するように構成されると共に第1の複数のガスを含有する第1のガス混合物を供給するように構成された第1のガス源であって、第1の複数のガスのうち少なくとも1つはハロゲンを含む、第1のガス源と、第1組のガスチャンバの第2の入口に流体接続するように構成されると共に第2の複数のガスを含有する第2のガス混合物を供給するように構成された第2のガス源であって、第2の複数のガスはハロゲンを欠く、第2のガス源と、を含む。第2のガス源は、第2のガス混合物を含む事前に調製されたガス供給と、第2のガス混合物を含むリサイクル済みのガス供給と、事前に調製されたガス供給及びリサイクル済みのガス供給に接続された流体流スイッチと、を含む。ガスチャンバ供給システムは、第2のガス混合物をリサイクル済みのガス供給に供給するように構成されたガスリサイクルシステムも含み、ガスリサイクルシステムは、第2組のガスチャンバのガスチャンバのうち少なくとも1つから排気されたガス混合物を受け取るように出力に流体接続されたガス精製器システムと、精製ガス混合物を受け取って精製ガス混合物中のガス成分を分析するガス分析システムと、リサイクル済みのガス混合物を調製して、リサイクル済みのガス混合物をリサイクル済みのガス供給の第2のガス混合物として出力するガス混合システムと、を含む。ガスチャンバ供給は、ガスリサイクルシステム及び流体流スイッチに接続されると共に流体流スイッチに信号を提供し、それによって事前に調製されたガス供給とリサイクル済みのガス供給とのうち一方を第2のガス源として選択するように構成された、制御システムも含む。
【0029】
実装形態は以下の特徴のうち1つ以上を含み得る。第2組のガスチャンバのうち1つ以上は第1組のガスチャンバのうち1つ以上に対応していてもよい。
【0030】
ガスチャンバ供給システムは、リサイクル済みのガス供給の圧力を測定するように構成された圧力測定システムも含んでいてもよい。制御システムは、圧力測定システムからの出力を受信してもよく、圧力測定システムからの出力に基づいて流体流スイッチへの信号を調整してもよい。
【0031】
精製ガス混合物は、貴ガスと少なくとも1つのバッファ成分とを有する少なくとも1つの利得媒質成分を含んでいてもよい。利得媒質成分中の貴ガスはArであってもよく、バッファ成分は貴ガスを含んでいてもよい。
【0032】
精製ガス混合物中のガス成分の分析は、貴ガスを有する利得媒質成分の量を測定すること及びバッファ成分の量を測定することを含んでいてもよい。
【0033】
ガス分析システムは、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータを含んでいてもよい。
【0034】
上述の及び本明細書中の技術のうちいずれの実装形態も、プロセス、装置、及び/又は方法を含み得る。1つ以上の実装形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。他の特徴は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ガス管理システムの一例のブロック図である。
【
図2】ガス管理システムの別の一例のブロック図である。
【
図3A】ガス管理システムの別の一例のブロック図である。
【
図3B】排ガス収集システムの一例のブロック図である。
【
図4】ガス供給システムの一例のブロック図である。
【
図5】ガス管理システムの別の一例のブロック図である。
【
図6】リサイクル済みのガス混合物中のガス成分を管理するプロセスの一例のフローチャートである。
【
図7】ガス管理システムによって実施されるプロセスの一例のフローチャートである。
【
図8】事前に調製されたガス混合物とリサイクル済みのガス混合物との間で切り替えをするプロセスの一例のフローチャートである。
【
図9A】フォトリソグラフィシステムの一例のブロック図である。
【
図9B】例えば
図9Aのフォトリソグラフィシステムにおいて用いられ得る投影光学系の一例のブロック図である。
【
図10】フォトリソグラフィシステムの別の一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照すると、ガス管理システム100のブロック図が示されている。ガス管理システム100は、ガスリサイクルシステム130及びガス分析システム140を含む。ガスリサイクルシステム130は、光源105の放電チャンバ110から排ガス混合物132を受け取り、リサイクル済みのガス混合物134を生成する。ガス分析システム140は、ガスリサイクルシステム130を流れるガス混合物133を分析する。
図1から
図5に示される例において、要素間の破線は有線及び/又は無線通信経路を表し、これを通じてデータ及び情報が交換される。実線はガスなどの流体が流れる経路を示す。
【0037】
リサイクル済みのガス混合物134は、チャンバ109に供給される。チャンバ109は、光源105の放電チャンバ110、光源105の別の放電チャンバ、1つ以上の他の光源の放電チャンバ、及び/又は将来の使用に備えてリサイクル済みのガス混合物134を保持する供給タンクであり得る。光源105は、ガス状の利得媒質を使用する放電チャンバを含む任意の光源である。例えば、光源105はエキシマレーザであってもよい。例えば、光源105は、
図9A及び
図10に示されるような深紫外(DUV)光源であってもよい。光源は、
図9Bに示されるようなDUVリソグラフィシステムの一部として用いられてもよい。
【0038】
後述するように、ガスリサイクルシステム130は、リサイクル済みのガス混合物134を生成するために、多段階リサイクルプロセスを実装する。ガス混合物133は、リサイクルプロセス中のいずれの段階におけるガス混合物であってもよい。例えば、ガス混合物133は、排ガス混合物132、ガスリサイクルシステム130によって形成された精製ガス混合物、及び/又はリサイクル済みのガス混合物134であり得る。したがって、ガス分析システム140は、ガスリサイクルシステム130のいずれか又はすべての段階におけるガス混合物133の成分を測定する。
【0039】
ガス混合物(排ガス混合物132、リサイクル済みのガス混合物134、又はガス混合物133など)は、混合されるが化学的に結合しない2つ以上の異なる成分又は物質(ガスなど)からなる材料である。例えば、排ガス混合物132は2つ以上のガスの物理的な組み合わせであり、それらのガスの素性は保持されたままで混合されている。ガス混合物の成分は、純粋なガス、例えば、1つの元素の個々の原子からなるガス(例えば貴ガス)、1つのタイプの原子から作られた元素分子(例えば酸素ガス)、又は様々な原子から作られた化合物分子(例えば二酸化炭素又は水)である。
【0040】
ガス分析システム140は、不純物成分を含め、ガス混合物133の様々な成分の量を測定する。制御システム150は、ガスリサイクルシステム130及びガス分析システム140に連結されている。制御システム150は、リサイクル済みのガス混合物134の使用可能性(usability)をアクセスするために、測定された量を既知の仕様と比較する。測定された量が仕様外である場合には、制御システム150は、リサイクル済みのガス混合物134を生成するべく、ガスリサイクルシステム130にガス成分をガス混合物133に追加させるコマンド信号を生成する。
【0041】
ガスリサイクルシステム130は、光源105を使用するシステムのコストを低減させ得る。リサイクル済みのガス混合物134は排ガス混合物132に基づいている。このように、ガスリサイクルシステム130は1つ以上のガスが再利用されることを可能にするものであり、これはコストの節約及び天然資源の保存につながる。更に、ガスリサイクルシステム130は、性能の向上をもたらし得る。例えば、先行するいくつかのシステムは、放電チャンバ110内のガス混合物の構成を、光源105によって生成される光ビームの光学特性(ビーム品質など)を測定することによって、間接的に推定する。一方、ガスリサイクルシステム130は、ガス混合物133の直接測定を用いる。ガス混合物133の成分を直接的に測定することにより、ガスリサイクルシステム130によって生成されたリサイクル済みのガス混合物134は、特定の監視される光源のみではなく、すべての等級又はタイプの光源に共通の仕様内になるように補正され得る。よって、リサイクル済みのガス混合物134は、光源105以外の光源に提供され得る。
【0042】
また、ガスリサイクルシステム130は不純物成分に関してガス混合物133を分析し、いくつかの実装形態においては、ガス管理システム100は、リサイクル済みのガスであって許容できないレベルの不純物成分を有するものが光学系に供給されるのを防止する。許容できないほど高い不純物成分量を含むガス混合物を光源の放電チャンバにおいて使用することは、その光源の性能を劣化させ得る。したがって、不純物成分を分析しないリサイクルシステムと比較して、ガスリサイクルシステム130は、リサイクル済みのガス混合物134を受け取るように構成された1つ又は複数の光学系の性能を向上させる。
【0043】
図2を参照すると、ガスリサイクルシステム230を含むガス管理システム200のブロック図が示されている。ガスリサイクルシステム230は、ガスリサイクルシステム130(
図1)の実装形態の一例である。ガスリサイクルシステム230は、光源205の放電チャンバ210から排ガス混合物232を受け取る。
【0044】
放電チャンバ210は、ハウジング212の内部に、エネルギ源214及びガス混合物218を含む。ガス混合物218は、1つ以上の貴ガスとハロゲンガスとから形成された利得媒質を含む。例えば、利得媒質の貴ガスはクリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、及び/又はキセノン(Xe)であってもよく、ハロゲンガスはフッ素(F)であってもよい。ガス混合物218は、ハロゲンガスと反応しないバッファガスも含む。したがって、バッファガスは、例えばネオン(Ne)又はヘリウム(He)などの貴ガスであってもよい。エネルギ源214は、ガス混合物218に、利得媒質における反転分布を引き起こすと共に誘導放出を介して出力光ビーム211の生成を可能にするのに十分なエネルギを提供する。例えば、エネルギ源214は、放電チャンバ210内に電界を生成する。生成された電界は利得媒質中の電子を加速し、それらの電子はガス混合物218中の中性原子(バッファガスなど)と衝突する。衝突は利得媒質のより低いエネルギ状態にある電子をより高いエネルギ状態へとジャンプさせ、利得媒質において反転分布が発生するので、出力光ビーム211が誘導放出を通じて生成される。
【0045】
利得媒質を構成するガス及びバッファガスは、出力光ビーム211の生成のために存在するので、所期のガス又は所期のガス成分と称される。ガス混合物218は、放電チャンバ内に意図的に又は目的をもって置かれたのではない他のガス成分も含み得る。これらの他のガス成分は、不純物ガス成分と称される。不純物ガス成分は、例えば、ガス混合物218へのエネルギ印加の結果として形成される不純物及び副産物を含み得る。不純物ガス成分は、例えば、酸素(O2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、テトラフルオロメタン(CF4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF3)を含んでいてもよい。不純物成分は無機であってもよく、又は有機であってもよい。
【0046】
(光源205のように)ガス状の利得媒質を用いる光源の全寿命にわたって、ガス混合物218は、置換動作で完全に置換されてもよいし、又は噴射動作で部分的に置換されてもよい。天然資源(Ne及びHeなど)の消費を低減するため、並びにコストを低減するために、ガス混合物218はガスリサイクルシステム230を用いてリサイクルされる。ガスリサイクルシステム230は、排ガス混合物232を受け取って、その排ガス混合物232からリサイクル済みのガス混合物234を生成し、このリサイクル済みのガス混合物234がチャンバ209に供給される。上述したように、チャンバ209は、光源205の放電チャンバ210、光源205の別の放電チャンバ、1つ以上の他の光源の放電チャンバ、及び/又はチャンバによる将来の使用に備えてリサイクル済みのガス混合物234を保持する供給タンクであり得る。また、ガスリサイクルシステム230は、排ガス混合物232中の不純物成分を除去又は低減すると共に、残った不純物成分の量を直接的に測定して、チャンバ209に供給されるリサイクル済みのガス混合物234が不純物ガス成分を欠くこと又は不純物ガス成分を許容可能な量で有することを保証する。
【0047】
放電チャンバ210内のガス混合物218は、光源205から排気される前に、スクラバ215と相互作用する。スクラバ215がガス混合物218中のハロゲンガスを捕捉するので、ハロゲンガスは、放電チャンバ210の外には排気されず、また排ガス混合物232の一部ではない。スクラバ215は光源205の一部である。スクラバ215は囲まれた容積であって、ハロゲンガスがガスリサイクルシステム232に進入しないように、例えば活性アルミナを用いて排ガス混合物232からハロゲンガス(例えばフッ素)をスクラバ処理(scrubber)又は除去する。
【0048】
ガスリサイクルシステム230は、排ガス混合物232を受け取るガス精製システム236を含む。ガス精製システム236は、排ガス混合物232から不純物成分のいくつか又はすべてを除去して、精製ガス混合物237を形成する。精製ガス混合物237は、排ガス混合物232中のガス成分のうち少なくとも1つを少量含むガス混合物又は排ガス混合物232中のガス成分のうち少なくとも1つを含まないガス混合物である。
【0049】
図2の例においては、ガス精製システム236は2つの精製段階、すなわち再生精製器236a及びゲッター精製器236bを含む。精製段階236a及び236bは、排ガス混合物232が、まず精製段階236aと、次に精製段階236bと相互作用して精製ガス混合物237を形成するように、直列で設置されると共に流体結合される。
【0050】
再生精製器236aは、排ガス混合物232から反応ガスを除去するように設計されている。再生精製器236aによって除去されるガスは、例えば、酸素(O
2)、三フッ素化窒素(NF
3)、テトラフルオロシラン(SiF
4)、テトラフルオロメタン(CF
4)、窒素(N
2)、及び/又はスクラバ215によって除去されない残留ハロゲンガスを含み得る。再生精製器236aは、置換される代わりに更新又は再生されることが可能な濾過媒質を有していてもよい。再生精製器236aは、例えば、濾過媒質を水素又は水素と別の不活性ガスとの混合物に曝露することによって再生され得る。いくつかの実装形態においては、再生精製器236aは、コロラド州コロラドスプリングスのアドバンスト・リサーチ・マニュファクチャリング(ARM)社によって製造された精製器であってもよい。
図2の精製段階236aは再生精製器であるが、他の精製器が用いられてもよい。例えば、精製段階236aは、再生式ではないが依然として排ガス混合物232から反応ガスを除去することができる精製器であってもよい。
【0051】
ゲッター精製器236bは、例えば二酸化炭素(CO2)のような非反応性不純物化合物を除去するように設計されている。ゲッター精製器236bは、吸収を利用してガス状の不純物を除去し得る。
【0052】
ガスリサイクルシステム230は、精製ガス混合物237を受け取るガス混合システム238も含む。ガス混合システム238は、精製ガス混合物237からリサイクル済みのガス混合物234を形成する。ガス混合システム238はガス貯蔵システム239を含んでおり、これは1つ以上のタンクを含み、その各々が精製ガス混合物237に添加され得るガスを貯蔵する。ガス混合システム238は、精製ガス混合物237の成分が仕様内にないときにのみ、ガスを精製ガス混合物237に添加する。したがって、精製ガス混合物237の成分が仕様を満たすときには、精製ガス混合物237がリサイクル済みのガス混合物234になる。
【0053】
ガスリサイクルシステム230は、精製ガス混合物237中の1つ以上の成分の量を測定するガス分析システム240を含む。制御システム250は、ガス分析システム240からの測定された1つ又は複数の量に基づいて、ガス混合システム238に命令する。ガス分析システム240は、精製ガス混合物237の一部と相互作用して精製ガス混合物237の1つ以上の成分の量を判定する測定システム242を含む。例えば、測定システム242は、精製ガス混合物237の試料を受け取り、その試料に基づいて精製ガス混合物237中の1つ以上の成分の量を判定してもよい。また、測定システム242は、ガス混合システム238によって生成されたリサイクル済みのガスを採取して、リサイクル済みのガス混合物234中の様々なガス成分の量を測定してもよい。
【0054】
測定システム242は、精製ガス混合物237の成分の直接測定を行うことが可能な任意のデバイスであり得る。いくつかの実装形態においては、測定システム242は、精製ガス混合物237の2つ以上の成分の量を測定することが可能な任意のデバイスである。例えば、測定システム242は、質量スペクトロメータ、ガスクロマトグラフ、又はフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトロメータである。質量スペクトロメータは、採取されたガス混合物をイオン化し、そのイオンを質量対電荷比に基づいて分類する。ガスクロマトグラフは、分解されずに蒸発され得る化合物を分離及び分析する。FTIRスペクトロメータは、ガスの吸収又は放出の赤外スペクトルを得る。ガスの様々な成分は、得られた赤外スペクトルから特定される。他の装置が測定システム242として用いられてもよい。例えば、測定システム242は、放電又はレーザ誘起ブレークダウン発光分光法に基づく装置、キャビティリングダウンスペクトロメータ、又は化学的もしくは電気化学的検知に基づく装置であり得る。
【0055】
測定システム242に用いられる装置にかかわらず、測定システム242は、精製ガス混合物237の一部を受け取り、精製ガス混合物237中の1つ以上の成分の量を測定する。また、測定システム242は、ガス混合システム238によって生成されたリサイクル済みのガス混合物234中のガス成分を測定し得る。
【0056】
いくつかの実装形態においては、ガス分析システム240はセンサシステム244も含む。センサシステム244は、ガス混合物中の単一の特定の成分を測定する1つ以上のセンサを含む。例えば、センサシステム244は酸素センサを含み得る。これらの実装形態においては、センサシステムは、(排ガス混合物232がガス精製システム236と相互作用する前に)排ガス混合物232の試料を得て、排ガス混合物232中の酸素の量を測定する。センサシステム244は、ある特定のガス成分がガスリサイクルシステム230内の2点以上で測定され得るように、2つ以上の同一のタイプのセンサを含んでいてもよい。例えば、センサシステム244は、再生精製器236aと相互作用した後だがゲッター精製器236bと相互作用する前の排ガス混合物232を採取する、追加的な酸素センサを含んでいてもよい。センサシステム244で測定される1つ又は複数のガス成分は、測定システム242によっても測定され得る。
【0057】
制御システム250は、ガス分析システム240及びガス混合システム238に連結されている。制御システム250は、電子プロセッサ251、電子記憶装置252、及びI/Oインターフェイス253を含む。電子プロセッサ251は、汎用又は専用マイクロプロセッサのようなコンピュータプログラムの実行に適した1つ以上のプロセッサと、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサとを含む。概して、電子プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信する。電子プロセッサ251はどんなタイプの電子プロセッサであってもよい。
【0058】
電子記憶装置252は、RAMなどの揮発性メモリであってもよいし、又は不揮発性メモリであってもよい。いくつかの実装形態においては、電子記憶装置252は、不揮発性及び揮発性の部分又は構成要素を含む。電子記憶装置252は、制御システム250、制御システム250の構成要素、及び/又は制御システム250によって制御されるシステムの動作において用いられるデータ及び情報を記憶し得る。情報は、例えばルックアップテーブル又はデータベースに記憶され得る。例えば、電子記憶装置252は、リサイクル済みのガス混合物234の仕様を定義するデータを記憶し得る。仕様は、複数のガス成分の各々について許容可能な値の範囲を示し得る。許容可能な値の範囲は、各ガス成分の許容可能な濃度パーセンテージの範囲など相対値の範囲として、及び/又は百万分の一部(ppm)単位の各ガス成分の最小及び最大濃度など絶対測定値の範囲として、表され得る。
【0059】
また、電子記憶装置252は、ガス混合システム238のアクションを命じる(dictate)及び/又はガス分析システム240からのデータを分析する様々なレシピ又は処理プログラム259を記憶し得る。処理プログラム259はデジタル論理及び/又は命令として実装されてもよく、プロセッサ251によって実行されたときに、ガス分析システム240及び/又はガスリサイクルシステム230の様々な構成要素に、その命令によって指定されるアクションを実施させる。処理プログラム259は、ガス成分の量が許容可能な値の範囲の外にあることをガス分析システム240からの測定データが示すときに、ガス貯蔵システム239のタンクのうちある特定の1つからのガスが、そのタンク内のガスが精製ガス混合物237に流入することを可能にするバルブ(図示しない)を開放することによって精製ガス混合物237に添加されることを示すレシピを含み得る。別の一例においては、電子記憶装置252は、ガス混合システム238がガス貯蔵システム239からのガスをどうやって精製ガス混合物237に添加するのかを定義するパラメータの値を示すレシピを記憶し得る。例えば、そのようなレシピは、ガス貯蔵システム239からのガスが精製ガス混合物237に進入すると共にひいては精製ガス混合物237に添加されるガスの量を制御することを可能にするバルブを開放する持続時間などの値を含み得る。また別の一例においては、レシピは、貯蔵システム239から精製ガス混合物237へのガスの流入を測定及び/又は制御する質量流量コントローラに関する情報を含み得る。更に別の一例においては、処理プログラム259は、精製ガス混合物237中のガス成分のうち1つ以上が許容可能な量の範囲の外にあるときに、制御システム250に様々なエラー信号を生成させる命令を含み得る。例えば、制御システム250はI/Oインターフェイス253に、画面上に視覚的な警告を表示し、可聴アラームを生成し、及び/又は光インジケータに光を放出させるなど画面上の表示以外の視覚的なアラームを生成する知覚可能な警告を生成させてもよい。いくつかの実装形態においては、制御システム250は、テキストメッセージ又は電子メールを介してオペレータにアラートが送信されるようにしてもよい。更に別の一例においては、処理プログラム259は、ガス分析システム240から受信したデータにアクセスしてガス分析システム240によって採取されたガス中の複数のガス成分の相対量を判定する処理プログラムを含み得る。
【0060】
処理プログラム259に加え、電子記憶装置252は、実行時にプロセッサ251に制御システム250内の構成要素、光源205、ガスリサイクルシステム230、別個の外部の1つ又は複数のコンピュータシステム、及び/又はチャンバ209との通信及びデータ交換を行わせる命令も、恐らくはコンピュータプログラムとして、記憶し得る。
【0061】
I/Oインターフェイス253は、制御システム250がデータ及び信号を受信すること、及び/又はオペレータ、光源205、ガスリサイクルシステム230、測定システム242、及び/又は別の電子デバイス上で動作する自動化されたプロセスに提供することを可能にする、任意の種類の電子インターフェイスである。例えば、I/Oインターフェイス253は、視覚的表示、キーボード、及び通信インターフェイスのうち1つ以上を含み得る。
【0062】
ガス管理システム200は、ガス混合システム238に流体接続されると共にリサイクル済みのガス混合物234を貯蔵するガス供給システム260も含む。ガス供給システム260は制御システム250にも接続されている。制御システム250は、ガス供給システム260にコマンドを提供して、リサイクル済みのガス混合物234がガスリサイクルシステム230からチャンバ209に放出されるかどうか及び/又はどうやって放出されるかを制御し得る。例えば、制御システム250は、リサイクル済みのガス混合物234が許容可能な値の範囲の外にある不純物成分を何ら含まないときにのみ開放するようにバルブ261を制御し得る。
【0063】
図3Aを参照すると、ガスリサイクルシステム330を含むガス管理システム300のブロック図が示されている。ガスリサイクルシステム330は、ガスリサイクルシステム130(
図1)の実装形態の別の一例である。ガスリサイクルシステム330は、ガスリサイクルシステム330が排ガス収集システム331を含む点を除き、ガスリサイクルシステム230(
図2)と類似している。排ガス収集システム331は、ガスリサイクルシステム330が2つ以上の光源から排ガス混合物を受け取ることを可能にする。
【0064】
排ガス収集システム331はN個の入口313_1~331_Nを含む。ただし、Nは1よりも大きい整数である。例えば、Nは5と等しくてもよい。N個の入口331_1~331_Nの各々は、各放電チャンバ310_1~310_Nに流体接続されるように且つ排ガス混合物332_1~332_Nを受け取るように構成されている。各放電チャンバ310_1~310_Nは放電チャンバ210(
図2)の一例であってもよく、ガス混合物218と、各スクラバ315_1~315_Nとを含む。入口331_1~331_Nの各々は、ガス精製システム236に流体結合された流体バス329に流体接続されている。流体バス329は、2つ以上のソース又は容器から流体(例えばガス混合物)を輸送することのできる任意の構造物である。例えば、流体バス329は、流体が流れてもよい領域を定義するパイプ又は導管であってもよい。パイプ又は導管は、2本以上のパイプ又は導管が一体に流体密閉されて流体が流れてもよい大きな開けた空間を形成する管継手又は合流点も含む。パイプ又は導管は、パイプ又は導管の一部を隔離するように構成されたバルブも含む。このようにして、流体バス329は、排ガス混合物332_1~332_Nのいずれか又はすべてが精製器236に流入することを可能にする。
【0065】
任意の時刻に、排ガス収集システム331は、接続された放電チャンバ310_1~310_Nのいずれか又はすべてから排ガス混合物を受け取る。放電チャンバは、リフィル動作の間にガス混合物218の実質的にすべてを排気するが、ガス混合物218の一部だけは噴射動作の間に排気する。例えば、リフィル動作の間に放電チャンバから排気されるガスの体積は、100リットル(L)よりも多いであろう。噴射動作の間に放電チャンバから排気されるガスの体積は、約1Lと少ないであろう。排ガス収集システム331は、同時噴射動作の間に放電チャンバ310_1~310_Nのすべてから排ガス混合物を受け取るための容量を有する。いくつかの実装形態においては、排ガス収集システム331は、毎秒3~40リットルを受け取るように構成される。更に、排ガス収集システム331は、同時ガスイベント動作(gas event operations)の間に放電チャンバ310_1~310_Nのすべてからの排ガス混合物の90%よりも多くを処理するのに十分な容量を有する。
【0066】
図3Bも参照すると、排ガス収集システム331Bのブロック図が示されている。排ガス収集システム331Bは、排ガス収集システム331(
図3A)の実装形態の一例である。排ガス収集システム331Bは、1つ以上の貯蔵タンクを含む。
図3Bに示される例において、収集システム331Bは、3つの貯蔵タンク357_1,357_2,357_3を含む。タンク357_1は流体バス329と入口331_1~331_Nとに流体結合されている。タンク357_1は、背圧を避けるために、ポンプ358によって負圧に維持される。負圧とは、光源205の通常動作に干渉するおそれのある背圧を作り出さないように、ガスリサイクルシステム230が、排気されるガスの流れを常に吸引していることを意味する。タンク357_2及び357_3は、入口331_1~331_Nのいずれかに流入する排ガスを収集する。排ガス収集システム331Bの配列は、精製器システム236への安定したガス流を生成する。安定したガス流は、精製器システム236が効率的に動作することを可能にする。
【0067】
図4を参照すると、ガス供給システム460のブロック図が示されている。ガス供給システム460は、ガス供給システム260(
図2及び
図3A)の実装形態の一例である。ガス供給システム460について、ガスリサイクルシステム230に関連して述べる。もっとも、ガス供給システム460は、ガスリサイクルシステム130又は330など、他のガスリサイクルシステムと共に用いられてもよい。
【0068】
ガス供給システム460は、リサイクル済みのガス混合物234と事前に調製され又は事前に調製されたガス混合物466との間での選択を可能にする流体スイッチ461を含む。ガス供給システム460は、流体バス469を通じてチャンバ209に流体結合されている。流体スイッチ461は、例えば、リサイクル済みのガス混合物234が仕様内にあるときに、チャンバ209(単一の光源の放電チャンバであってもよいし、又は
図5に示されるような放電チャンバの集まりであってもよい)がリサイクル済みのガス混合物234のみを受け取ることを保証する。
【0069】
ガス供給システム460は、ガス混合システム238(
図2)によって生成されたリサイクル済みのガス混合物234を受け取るタンクシステム462も含む。タンクシステム462は、リサイクル済みのガス混合物234を保持する1つ以上のタンク、チャンバ、又は他の構造物を含む。ガス分析システム240は、リサイクル済みのガス混合物234を採取して、そのリサイクル済みのガス混合物234中の様々な成分の量を測定する。
図4の例において、ガス分析システム240は、リサイクル済みのガス混合物234の試料が測定システム242で受け取られて成分が測定され得るように、タンクシステム462の少なくとも1つのタンクと流体連通している。
図4に示される実装形態においては、タンクシステム462はガス供給システム460の一部である。他の実装形態においては、タンクシステム462はガス供給システム460の外部にあるが、依然としてスイッチ461には流体結合されている。
【0070】
ガス供給システム460はタンクシステム463も含む。タンクシステム463は、流体を収容することができる1つ以上のタンク、チャンバ、又は他の構造物を含む。タンクシステム463は事前に調製されたガス混合物466を保持する。事前に調製されたガス混合物466は、2つの主要なガス成分(利得媒質貴ガス及びやはり貴ガスであるバッファガス)を含む二種混合物(bi-mix)であってもよく、不純物を全く含まないか、又はチャンバ209の仕様内の微量の不純物を含む。二種混合物はハロゲンガスを欠く。例えば、事前に調製されたガス混合物466は、Arと、Neなど別のガスとの混合物であってもよく、これらのガスの各々が、事前に調製されたガス混合物466中に、チャンバ209の仕様内の量で存在する。
【0071】
事前に調製されたガス混合物466は、ガスリサイクルシステム230によって調製されたり生成されたりしない。換言すれば、事前に調製されたガス混合物466は、ガス精製システム236(
図2)又はガス混合システム238(
図2)とは相互作用しない。その代わりに、事前に調製されたガス混合物466は別個のプロセスによって生成され、ガス供給システム460内に組み込まれたタンクの中で最終形態に事前混合されて、供給される。例えば、タンクシステム463は、ガスリサイクルシステム230のオペレータによってガス供給システム460に組み込まれてもよい。事前に調製されたガス混合物466は、放電チャンバ209の仕様内にある所期のガス成分及び不純物ガス成分を含む。タンクシステム463内の事前に調製されたガス混合物466はハロゲンガスを含まない。
【0072】
タンクシステム462及びタンクシステム463は流体スイッチ461に流体結合されている。流体スイッチ461は、例えば2つのバルブを含んでいてもよく、そのうちの一方はタンクシステム463からの事前に調製されたガス混合物466の流れを制御し、他方はタンクシステム462からのリサイクル済みのガス混合物434の流れを制御する。流体スイッチ461は、リサイクル済みのガス混合物434又は事前に調製されたガス混合物466のうち一方のみがスイッチ461を通じて流体バス469に流れることを可能にするように構成され得る。したがって、流体スイッチ461と共に用いられるときには、タンクシステム462及びタンクシステム463は、チャンバ209のためのガス混合物の択一的なソース又は択一的な供給ソースとなる。
【0073】
制御システム250は、リサイクル済みのガス混合物234中の様々な成分の測定された量を仕様と比較して、そのリサイクル済みのガス混合物234がチャンバ209における使用のために許容可能であるかどうかを判定する。リサイクル済みのガス混合物234がチャンバ209における使用のために許容可能である場合には、制御システム250は、流体スイッチ461にタンクシステム462を供給ソースとして選択させるのに十分な信号を、流体スイッチ461に提供する。例えば、その信号は、リサイクル済みのガス混合物234のみが流体スイッチ461を通じて流体バス269に流れるように、タンクシステム462に結合されたバルブを開放させると共にタンクシステム463に結合されたバルブを閉鎖させるのに十分であり得る。リサイクル済みのガス混合物234がチャンバ209における使用のために許容可能でない場合には、制御システム250は、流体スイッチ461にタンクシステム463を供給ソースとして選択させる信号を、流体スイッチに提供する。
【0074】
いくつかの実装形態においては、タンクシステム462は、タンクシステム462内に保持されているリサイクル済みのガス混合物434の圧力を監視すると共にそのリサイクル済みのガス混合物434の圧力の表示を提供する圧力監視システム465に結合される。これらの実装形態においては、制御システム250も、タンクシステム462及び463のうちどちらを供給ソースとして選択するかを決定するために、圧力の表示を使用し得る。例えば、閾値を下回る測定圧力は、タンクシステム462内のガス混合物234の量がチャンバ209に供給するには不十分であることを示す。測定圧力が閾値量を下回るときには、制御システム250は、リサイクル済みのガス混合物234の組成にかかわらずタンクシステム463を選択するように、流体スイッチに信号を提供し得る。
【0075】
このように、リサイクル済みのガス混合物234又は事前に調製されたガス混合物466のいずれかが流体スイッチ461を通過して流体バス469へと流れる。上述したように、リサイクル済みのガス混合物234も事前に調製されたガス混合物466も、ハロゲンガスを含まない。しかしながら、ハロゲンガスは一般的に、チャンバ209において用いられるガス混合物中の所期のガス成分の1つである。ハロゲンガスをチャンバ209に供給するために、第2の供給システム468からのガス混合物470が、チャンバ209と第2の供給システム468とに流体結合された別個の導管472を流れる。第2の供給システム468は、ハロゲンガスを含むガス混合物470を含有する。ガス混合物470は、利得媒質貴ガスと、(やはり貴ガスである)バッファガスと、(利得媒質の一部である)ハロゲンとの混合物である三種混合物(tri-mix)である。例えば、ガス混合物470は、Arと、Neと、Fとの混合物であってもよい。ガス混合物470は、流体バス472を流れてチャンバ209に供給され得る。
【0076】
図5を参照すると、ガスリサイクルシステム530を含むガス管理システムのブロック図が示されている。ガスリサイクルシステム530は、上述したガスリサイクルシステム130,230,又は330のいずれであってもよい。ガスリサイクルシステム530はチャンバシステム510に流体結合されている。チャンバシステム510はN個の別々のガス放電チャンバ510_1~510_Nを含む。ただし、Nは1よりも大きい整数である。放電チャンバ510_1~510_Nの各々は(
図2の光源205のような)ガス状の利得媒質を使用する光源の一部であり、放電チャンバ510_1~510_Nの各々はリフィル動作又は噴射動作の間にそれぞれ排ガス混合物532_1~532_Nを放出する。放電チャンバ510_1~510_Nは、ガスリサイクルシステム530に流入する流体バス529に流体結合されている。ガスリサイクルシステム530は、ガスリサイクルシステム530に流入する1つ又は複数の排ガス混合物532_1~532_Nに基づいて、リサイクル済みのガス混合物234を生成する。
【0077】
リサイクル済みのガス混合物234はガス供給システム560に貯蔵され、放電チャンバシステム509の1つ以上の放電チャンバに提供され得る。放電チャンバシステム509は放電チャンバ509_1~509_Kを含む。ただし、Kは1よりも大きい整数である。KとNとは同じ数であってもよいが、必ずしもそうではない。したがって、ガスリサイクルシステム530による供給を受ける放電チャンバの数は、排ガス混合物を出す放電チャンバの数より大きくても、小さくても、又はその数に等しくてもよい。また、放電チャンバシステム509は放電チャンバ510_1~510_Nのいくつかもしくはすべてを含んでいてもよく、又は、放電チャンバ509_1~509_Kのすべてが放電チャンバ510_1~510_Nとは別個であって独立していてもよい。
【0078】
ガス供給システム560は、流体バス569を介して放電チャンバシステム509に流体結合されてもよい。ガス供給システム560は、リサイクル済みのガス混合物234が流体バス569へ流れることを流体スイッチ461が許可するときにのみリサイクル済みのガス混合物234が放電チャンバシステム509に提供されるように、ガス供給システム460であってもよい。別個の流体バス572が、ハロゲン含有ガス混合物470を保持する第2の供給システム468と放電チャンバシステム509とを流体結合する。ハロゲン含有ガス混合物470は、別個の流体バス572を介して放電チャンバシステム509に供給される。
【0079】
図6は、リサイクル済みのガス混合物中のガス成分を管理するプロセス600の一例のフローチャートである。
図6は制御システム250の1つ以上のプロセッサ251によって実施され得る。
図6について、
図2及び
図4に関連して述べる。
【0080】
制御システム250は、精製ガス混合物237中の所期のガス成分の測定量が第1の値の範囲内にあるかどうかを判定する(610)。所期のガス成分は、例えば、光源205の利得媒質の一部として又はバッファガスとして用いられる貴ガスであってもよい。所期のガス成分は、例えば、Ar,Ne,He,及び/又はXeであってもよい。所期のガス成分の測定量は測定システム242によって得られる。制御システム250が測定システム242からの測定値にアクセスしてもよいし、又は、測定システム242が測定値を制御システム250に提供してもよい。第1の値の範囲とは、その値の間であれば所期のガス成分の量が許容可能である値の範囲である。
【0081】
第1の値の範囲は、チャンバ209において用いられるガス混合物中のガス成分の許容可能な値及び/又は値の範囲を定義する仕様の一部である。仕様は、電子記憶装置252において、ルックアップテーブル又はデータベースに記憶され得る。仕様はある特定のタイプの光源と関連付けて記憶され得るので、それらの光源において用いられ得るすべてのリサイクル済みのガス混合物を評価するためには同じ仕様が用いられる。
【0082】
仕様は、複数のガス成分の各々について、特定の値の範囲又は閾値を含み得る。例えば、仕様は、Arについて許容可能な値の範囲と、Neについて別の許容可能な値の範囲と、Xeについて別の許容可能な値の範囲とを含み得る。いくつかの実装形態においては、制御システム250は、2つ以上の所期のガス成分の測定値を得ること、及び、その後、測定された所期のガス成分の各々の測定量をそれぞれの許容可能な値の範囲と比較することによって、判定610を行う。例えば、測定された所期のガス成分は、2つ以上の貴ガスの測定量を含み得る。
【0083】
許容可能な値の範囲は、ガス混合物全体に対するガス成分のパーセンテージの範囲、又は絶対測定値であってもよい。例えば、仕様は、Neの許容可能な量を96.4%~96.6%、Arの許容可能な量を3.4%~3.6%、そしてXeの許容可能な量を8~10ppmと定義し得る。仕様によって定義される範囲の内側の測定値は許容可能である。仕様によって定義される範囲の外側の測定値は許容可能ではない。
【0084】
更に、仕様は、不純物ガス成分の許容可能な量を定義する。制御システム250は、精製ガス混合物237中の不純物ガス成分の測定量が第2の値の範囲内にあるかどうかを判定する(620)。第2の値の範囲とは、測定された不純物と関連付けられた値の範囲である。不純物ガス成分とは、精製ガス混合物237中の所期のガス成分ではない任意のガス成分である。酸素(O2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、テトラフルオロメタン(CF4)、及び/又は三フッ素化窒素(NF3)が不純物化合物の例である。水の許容可能な量は、例えば、0.5ppm未満であろう。したがって、水蒸気の許容可能な値の範囲はゼロと0.5ppmとの間である。
【0085】
少なくとも1つの所期のガス成分の測定量が第1の許容可能な値の範囲内にない場合(610)、制御システム250はガス混合システム238に、追加的なガス成分を精製ガス混合物237に添加するように命令する(630)。追加的なガス成分は、精製されたガス中に既に存在する所期のガスの追加的な量であってもよい。例えば、追加的なガス成分は、2つ以上の貴ガスを含む混合物であってもよい。
【0086】
電子記憶装置252は、精製ガス混合物237の測定された組成に基づいて、どのタイプのガス成分を精製ガス混合物237に添加するかを示すレシピを記憶し得る。例えば、精製ガス混合物237が有するArが少なすぎる場合には、レシピは、ガス混合システム238がAr及びXeを含むガス混合物を精製ガス混合物237に添加することを指定するであろう。別の一例として、精製ガス混合物237が有するXeが少なすぎる場合には、レシピは、ガス混合システム238がNe,Ar,及びXeを含むガス混合物を精製ガス混合物237に添加してリサイクル済みのガス混合物234を調製することを指定するであろう。精製ガス混合物237中の所期のガス成分のすべてが仕様内にある場合には、精製ガス混合物237がリサイクル済みのガス混合物234として使用される。
【0087】
上述したように、不純物ガス成分は、620でも分析される。精製ガス混合物237中の少なくとも1つの不純物ガス成分の測定量が第2の値の範囲内にない場合(620)、制御システム250はエラー信号を生成する(640)。例えば、制御システム250は、I/Oインターフェイス253に(画面上に提示される視覚的な警告、可聴音、及び/又は画面上に表示されない視覚的に知覚可能な警告など)知覚可能な警告を生成させてもよく、及び/又は、テキストメッセージ又は電子メールを介してオペレータにアラートが送信されるようにしてもよい。いくつかの実装形態においては、エラー信号は、ガス管理システム200の別の一部に直接的に提供される。例えば、ガス供給システム460(
図4)を含む実装形態においては、エラー信号は流体スイッチ461に、リサイクル済みのガス混合物234がスイッチ461を通じて流れることを可能にしないように命令し得るので、事前に調製されたガス混合物466がスイッチ461を通じて流れ、リサイクル済みのガス混合物234はガスリサイクルシステム230から排気される。
【0088】
ガス混合システム238が追加的なガス成分を精製ガス混合物237に添加した後(630)、プロセス600は進むことができ、ガス管理システム200によって出力されるリサイクル済みのガス混合物234を調製する(650)。図示はしないが、制御システム250は、精製ガス混合物237に追加的なガス成分を添加するようにガス混合システム238に命令した後(630)、ガス供給システム260に出力するためのリサイクル済みのガス混合物234が調製される前(650)に、1つ以上の追加的なステップを実施することが可能である。例えば、制御システム250は、精製ガス混合物237中の所期のガス成分の測定量が第1の値の範囲内にあるかどうかの判定(610)を繰り返すことができ、精製ガス混合物237中の所期のガス成分の測定量が第1の値の範囲内にある場合には(610)、ガス管理システム200による出力のためにリサイクル済みのガス混合物234が調製され得る(650)。
【0089】
図7を参照すると、プロセス700は、ガス管理システム200の様々な構成要素によって実施され得る。ガス混合システム238は、精製ガス混合物237を受け取り、受け取った精製ガス混合物に基づいてリサイクル済みのガス混合物234を調製する(710)。ガス分析システム240(例えば測定システム242)は、ガス混合システム238へと誘導される精製ガス混合物237の試料又は一部を受け取り、この受け取った精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの量を測定する(720)。ガス分析システム240(例えば測定システム242)は、ガス混合システム238から調製されたリサイクル済みのガス混合物の試料又は一部も受け取り、調製されたリサイクル済みのガス混合物234中の少なくとも1つの貴ガスの量を測定する(730)。
【0090】
(ガス分析システム240と通信する)制御システム250は、精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量(720)を受信し、ガス混合システム238で受け取られた精製ガス混合物中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定する(740)。少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にない場合(740)、制御システム250はガス混合システム238に信号を送信し、それによってガス混合システム238に、少なくとも1つの追加的なガス成分を精製ガス混合物237に添加させて、リサイクル済みのガス混合物234を調製する(760)。制御システム250は、調製されたリサイクル済みのガス混合物234中の少なくとも1つの貴ガスの測定量も受信し(730)、調製されたリサイクル済みのガス混合物234中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にあるかどうかを判定する(750)。
【0091】
要求はされないが、制御システム250が、調製されたリサイクル済みのガス混合物234中の少なくとも1つの貴ガスの測定量が許容可能な値の範囲内にないと判定する場合には(750)、制御システム250はガス供給システム260又は460に、(リサイクル済みのガス混合物234を供給する)タンクシステム462のチャンバ209への供給をスイッチオフするように指示してもよい(770)。
【0092】
図8を参照すると、ガス管理システム200は、(タンクシステム463内の)事前に調製されたガス混合物466と(タンクシステム462内の)リサイクル済みのガス混合物234とを切り替えて、流体バス469によって適当な二種混合物をチャンバ209に供給するためのプロセス800を実施し得る。プロセス800について述べるにあたり、
図2及び
図4も参照する。ガス分析システム240は、ガス混合システム238からリサイクル済みのガス混合物234の試料を受け取り、そのリサイクル済みのガス混合物234中のガス成分を分析する(810)。制御システム250は、ガス分析システム240から分析(810)を受信する(820)。制御システム250は、リサイクル済みのガス混合物234中のガス成分間の相対濃度が許容可能な範囲内にあるかどうかを判定する(830)。制御システム250は、流体スイッチ461に信号を提供し(840)、それにより、この判定830に基づいて、(タンクシステム463内の)事前に調製されたガス混合物466又は(タンクシステム462内の)リサイクル済みのガス混合物234のうち一方を選択する。特に、制御システム250が、リサイクル済みのガス混合物234中のガス成分の相対濃度が許容可能な範囲内にないと判定した場合には(830)、制御システム250は、タンクシステム463内の事前に調製されたガス混合物466から二種混合物を得るように、流体スイッチ461に信号を送信する。一方、制御システム250が、リサイクル済みのガス混合物234中のガス成分の相対濃度が許容可能な範囲内にあると判定した場合には(830)、制御システム250は、タンクシステム462内のリサイクル済みのガス混合物234から二種混合物を得るように、流体スイッチ461に信号を送信する。
【0093】
図9A及び
図10はそれぞれ、リサイクル済みのガス混合物234を供給され得る及び/又はガス管理システム200に排ガス混合物232を提供し得る放電チャンバを含むDUV光源905及び1005の例を提示する。
【0094】
図9A及び
図9Bを参照すると、フォトリソグラフィシステム900は、ウェーハホルダ又はステージ971によって受けられたウェーハ970を処理するリソグラフィ露光装置969に光ビーム911を提供する光学(又は光)源905を含む。光源905は、カソード914a及びアノード914bを包囲する放電チャンバ910を含む。
図9Aには1つのガス放電チャンバ910しか示されていない。しかしながら、光源905は2つ以上の放電チャンバを含んでいてもよい。
【0095】
光ビーム911は、時間的に互いに分離された光のパルスを含むパルス光ビームである。リソグラフィ露光装置969は、ウェーハ970に到達する前に光ビーム911が通過する投影光学系975と、メトロロジ(計測)システム972とを含む。メトロロジシステム972は、例えば、ウェーハ970及び/又はウェーハ970における光ビーム911の像を捕捉することのできるカメラ又は他のデバイス、あるいは、ウェーハ970でのx-y平面における光ビーム911の強度など、光ビーム911の特徴を記述するデータを捕捉することのできる光ディテクタを含み得る。リソグラフィ露光装置969は、液浸システム又は乾式システムであり得る。フォトリソグラフィシステム900は、光源905及び/又はリソグラフィ露光装置969を制御するための制御システム980も含む。
【0096】
ウェーハ970上には、例えばウェーハ970上の放射感応性フォトレジスト材料の層を光ビーム911で露光することによって、マイクロ電子フィーチャが形成される。
図9Bも参照すると、投影光学系975は、スリット976と、マスク974と、レンズシステム977を含む投影対物系とを含む。レンズシステム977は1つ以上の光学素子を含む。光ビーム911は光学系975に進入してスリット976に衝突し、ビーム911の少なくともいくらかがスリット976を通過する。
図9A及び
図9Bの例においては、スリット976は長方形であり、光ビーム911を細長の長方形状の光ビームに成形する。マスク974上にはパターンが形成され、そのパターンが、成形された光ビームのどの部分がマスク974によって透過されどの部分がマスク974によって遮られるのかを決定する。パターンの設計は、ウェーハ970上に形成されるべき具体的なマイクロ電子回路設計によって決定される。
【0097】
図10を参照すると、フォトリソグラフィシステム1000のブロック図が示されている。システム1000は、システム900(
図9A)の実装形態の一例である。例えば、フォトリソグラフィシステム1000においては、光源1005が光源905(
図9A)として用いられる。光源1005は、リソグラフィ露光装置969に提供されるパルス光ビーム1011を生成する。フォトリソグラフィシステム1000は制御システム1050も含み、これは、
図10の例においては、光源1005の構成要素に接続されると共にリソグラフィ露光装置969にも接続されて、システム1000の様々な動作を制御する。他の実装形態においては、制御システム1080は2つの別個の制御システムとして実装されてもよく、1つは光源1005の様々な態様を制御するためのもの、もう1つはリソグラフィ露光装置を制御するためのものである。
【0098】
図10に示される例においては、光源1005は、シード光ビーム1006をパワー増幅器(PA)1002に提供するマスタ発振器(MO)1001を含む2ステージレーザシステムである。MO1001及びPA1002は、光源1005のサブシステム又は光源1005の一部であるシステムと考えられてもよい。パワー増幅器1002は、マスタ発振器1001からシード光ビーム1006を受けてそのシード光ビーム1006を増幅し、リソグラフィ露光装置969で使用される光ビーム1011を生成する。例えば、マスタ発振器1001は、毎パルスおよそ1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギを有するパルスシード光ビームを放出し得るものであり、これらのシードパルスは、パワー増幅器1002によって約10~15mJに増幅され得る。
【0099】
マスタ発振器1001は、2つの細長い電極1014a_1,1014b_1と、ガス混合物である利得媒質1018_1と、ガス混合物を電極1014a_1,1014b_1間で循環させるための送風機(図示しない)とを有する放電チャンバ1010_1を含む。放電チャンバ1010_1の一方の側のライン狭隘化モジュール1086と放電チャンバ1010_1の第2の側の出力カプラ1081との間には共振器が形成される。ライン狭隘化モジュール1086は、放電チャンバ1010_1のスペクトル出力を微調整する格子などの回折光学素子を含み得る。光源1005は、出力カプラ1081からの出力光ビームを受け取る線中心分析モジュール1084及びビーム結合光学系1038も含む。線中心分析モジュール1084は、シード光ビーム1006の波長を測定又は監視するために用いられ得る測定システムである。線中心分析モジュール1084は、光源1005内の他の場所に設置されてもよいし、又は光源1005の出力に設置されてもよい。
【0100】
ガス混合物1018_1は、用途に必要とされる波長及び帯域幅の光ビームを生成するのに適当な任意のガスであり得る。エキシマ光源の場合には、ガス混合物1018_1は、例えばアルゴン又はクリプトンのような貴ガス(希ガス)、例えばフッ素又は塩素のようなハロゲン、及びヘリウムのようなバッファガスを除く少量のキセノンを含有していてもよい。ガス混合物の具体例は、約193nmの波長の光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長の光を放出するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長の光を放出する塩化キセノン(XeCl)を含む。エキシマ利得媒質(ガス混合物)は、細長い電極1014a_1,1014b_1への電圧の印加によって、高電圧放電における短い(例えばナノ秒)電流パルスでポンピングされる。
【0101】
パワー増幅器1002は、マスタ発振器1001からシード光ビーム1006を受けてそのシード光ビーム1006を放電チャンバ1010_2を通じてビーム折り返し光学素子1082へと誘導するビーム結合光学系1083を含み、ビーム折り返し光学素子は、シード光ビーム1006の方向を、放電チャンバ1010_2内へと送り返されるように修正又は変更する。ビーム折り返し光学素子及びビーム結合光学系1083は循環閉ループ経路を形成し、その経路内ではリング増幅器への入力がビーム結合光学系1083でリング増幅器の出力と交差する。
【0102】
放電チャンバ1010_2は、1対の細長い電極1014a_2,1014b_2と、ガス混合物1018_2と、ガス混合物1018_2を電極1014a_2,1014b_2間で循環させるための送風機(図示しない)とを含む。ガス混合物1018_2はガス混合物1018_1と同一であってもよい。ガス混合物1018_1及び/又はガス混合物1018_2は、(
図2のスクラバ215のような)スクラバと相互作用して、排ガス混合物232としてガス管理システム200に排出されてもよい。ガス混合物1018_1及び/又はガス混合物1018_2は、ガス管理システム200によって供給されるリサイクル済みのガス混合物234を含んでいてもよく、又はリサイクル済みのガス混合物234であってもよい。
【0103】
出力光ビーム1011は、リソグラフィ露光装置969に到達する前に、ビーム調製システム1085を通じて誘導され得る。ビーム調製システム1085は、ビーム1011の様々なパラメータ(帯域幅又は波長など)を測定する帯域幅分析モジュールを含み得る。ビーム調製システム1085は、出力光ビーム1011の各パルスを時間的に拡張するパルスストレッチャ(図示しない)も含み得る。ビーム調製システム1085は、例えば反射及び/又は屈折光学要素(例えばレンズ及びミラーなど)、フィルタ、及び光学的開口(自動シャッタを含む)など、ビーム1011に対して作用することのできる他の構成要素も含み得る。
【0104】
フォトリソグラフィシステム1000は、制御システム1080も含む。制御システム1080は、光源1005がいつ光のパルス又は1つ以上の光のパルスを含む光パルスのバーストを放出するのかを、1つ以上の信号を光源1005に送信することによって、制御し得る。制御システム1080はリソグラフィ露光装置969にも接続されている。したがって、制御システム1080はリソグラフィ露光装置969の様々な態様も制御し得る。例えば、制御システム1080は、ウェーハ970(
図9B)の露光を制御し得ると共に、ひいては電子フィーチャがウェーハ970上にどのように印刷されるのかを制御するために用いられ得る。いくつかの実装形態においては、制御システム1080は、x-y平面(
図9B)におけるスリット976の動きを制御することによって、ウェーハ970のスキャンを制御し得る。また、制御システム1050は、メトロロジシステム972及び/又は光学系975(
図9B)とデータを交換し得る。
【0105】
リソグラフィ露光装置969は、例えば、(空調デバイス及び/又は加熱デバイスなどの)温度制御デバイス、及び/又は様々な電気部品のための電源も含み得る。制御システム1080もこれらの構成要素を含み得る。いくつかの実装形態においては、制御システム1080は2つ以上のサブ制御システムを含むように実装され、少なくとも1つのサブ制御システム(リソグラフィコントローラ)はリソグラフィ露光装置969の態様の制御に特化される。これらの実装形態においては、制御システム1080は、リソグラフィコントローラを用いることに代えて又は加えて、リソグラフィ露光装置969の態様を制御するために用いられ得る。
【0106】
ガス混合物1018_1又はガス混合物1018_2の利得媒質が、電極1014a_1,1014b_1又は1014a_2,1014b_2にそれぞれ電圧を印加することによってポンピングされるとき、ガス混合物1018_1及び/又は1018_2の利得媒質は光を放出する。電圧が電極に規則的な時間的間隔を空けて印加されると、光ビーム1011はパルス化する。したがって、パルス光ビーム1011の反復率は、電圧が電極に印加される率によって決定される。パルスの反復率は、ほとんどの印加に関して、約500~6,000Hzに及ぶであろう。いくつかの実装形態においては、反復率は6,000Hzより大きくてもよく、例えば12,000Hz以上であってもよい。
【0107】
他の実装形態は特許請求の範囲内にある。