(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/16 20060101AFI20220630BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20220630BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65H45/16
B65H5/38
G03G15/00 430
(21)【出願番号】P 2018051531
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道貴
(72)【発明者】
【氏名】星野 智道
(72)【発明者】
【氏名】米山 史晴
(72)【発明者】
【氏名】日高 信
(72)【発明者】
【氏名】坂野 広樹
(72)【発明者】
【氏名】國枝 晶
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】原口 陽介
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013751(JP,A)
【文献】特開2014-101164(JP,A)
【文献】特開平11-028848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/38
B65H 45/00-45/30
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するとともに正逆転可能な第一搬送部材と、
前記シートに折り目を形成する第一折り部材と、
前記第一折り部材で折られた前記シートをさらに搬送するとともに正逆転可能な第二搬送部材と、
前記シートに折り目を形成する第二折り部材とを備えたシート処理装置において、
前記第一搬送部材を正転させて前記シートを正搬送し、所定のタイミングで前記第一搬送部材を逆転させて前記シートを逆搬送して前記第一折り部材により前記シートに折り目を形成し、前記第二搬送部材を正転させて前記シートを正搬送し、所定のタイミングで前記第二搬送部材を逆転させて前記シートを逆搬送して前記第二折り部材により前記シートに折り目を形成するものであって、
前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートおよび第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートを共にガイドするガイド部材を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処理装置において、
前記ガイド部材において、前記第一搬送部材
の正転により前記第一搬送部材から搬送されてくる前記シートを前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流側でガイドする領域と、前記第二搬送部材
の正転により前記第二搬送部材から搬送されてくる前記シートを前記第二搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流側でガイドする領域とが、少なくとも部分的に共通するように前記第一搬送部材と前記第二搬送部材とを配置したことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート処理装置において、
前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流の所定位置で前記シートを検知する第一検知手段と、
前記第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流の所定位置で前記シートを検知する第二検知手段とを備え、
前記第一検知手段により前記シートを検知した後の所定のタイミングで前記第一搬送部材を逆転させることで前記シートへ一度目の折りをおこない、前記第二検知手段により前記シートを検知した後の所定のタイミングで前記第二搬送部材を逆転させることで前記シートへ二度目の折りをおこなうものであって、
前記ガイド部材は、前記第一検知手段よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流の位置および前記第二検知手段よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流の位置で前記シートをガイドすることを特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートおよび前記第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートの前記ガイド部材に接触する方向を、前記ガイド部材のガイド面に対して傾斜させたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記ガイド部材のガイド形状は、前記シートの搬送方向を90°以上変えるガイド形状であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記ガイド部材は前記シートの一部が露出する解放部を有することを特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記ガイド部材の前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートおよび前記第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートを共にガイドするガイド領域のシートを検知するシート検知手段を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートは、前記第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートの前記ガイド部材によりガイドされるガイド方向とは、逆方向に前記ガイド部材によりガイドされることを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載のシート処理装置において、
前記第一搬送部材よりも
前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートは、前記第二搬送部材よりも
前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートの前記ガイド部材によりガイドされるガイド方向と、同方向に前記ガイド部材によりガイドされることを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記シートに所定の処理を施すシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置として、請求項1乃至8いずれか一項に記載のシート処理装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを搬送するとともに正逆転可能な第一搬送部材と、シートに折り目を形成する第一折り部材と、第一折り部材で折られたシートをさらに搬送するとともに正逆転可能な第二搬送部材と、シートに折り目を形成する第二折り部材とを備えたシート処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、次のようなシート処理装置が記載されている。第一搬送部材たる第一搬送ローラ対を正転させて第一搬送ローラ対よりも下流へ所定量シートを所定方向に搬送する。次に、第一搬送ローラ対を逆転させて第一搬送ローラ対よりも下流のシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)し第一搬送ローラ対の上流側でシートを撓ませる。撓ませた部分を第一折り部材たる第一折りローラ対へ搬送し、第一折り部材たる第一折りローラ対によりシートに第一折り部を形成する。次に、第一折りローラ対を抜けたシートは、第二搬送部材たる第二搬送ローラ対へ搬送される。次に、第二搬送ローラ対を正回転して第二搬送ローラ対より下流へ所定量シートを搬送する。次に、第二搬送ローラ対を逆回転して第二搬送ローラ対より下流のシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)し第二搬送ローラ対の上流側でシートを撓ませる。そして、撓ませた部分を第二折り部材たる第二折りローラ対へ搬送し、第二折りローラ対によりシートに第二折り部を形成するシート処理装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート処理装置は、第一搬送部材の下流側に搬送したシートをガイドするガイド部材と、第二搬送部材の下流側に搬送したシートをガイドするガイドとが別々に設けられており、装置のコストアップや、装置の大型化を招くおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シートを搬送するとともに正逆転可能な第一搬送部材と、前記シートに折り目を形成する第一折り部材と、前記第一折り部材で折られた前記シートをさらに搬送するとともに正逆転可能な第二搬送部材と、前記シートに折り目を形成する第二折り部材とを備えたシート処理装置において、前記第一搬送部材を正転させて前記シートを正搬送し、所定のタイミングで前記第一搬送部材を逆転させて前記シートを逆搬送して前記第一折り部材により前記シートに折り目を形成し、前記第二搬送部材を正転させて前記シートを正搬送し、所定のタイミングで前記第二搬送部材を逆転させて前記シートを逆搬送して前記第二折り部材により前記シートに折り目を形成するものであって、前記第一搬送部材よりも前記第一搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートおよび第二搬送部材よりも前記第二搬送部材の正転時のシート搬送方向の下流へ搬送される前記シートを共にガイドするガイド部材を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置のコストアップや、装置の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図。
【
図2】実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置の概略構成図。
【
図3】実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置の概略構成図。
【
図4】実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置の概略構成図。
【
図5】本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図。
【
図6】(a)~(f)は、本折り処理装置の重ね合わせ部によるシートの重ね合わせ動作について説明する図。
【
図7】(a)~(d)は、折り処理部によりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図。
【
図9】折り処理装置に設けられた開閉扉を示す概略構成図。
【
図10】変形例1における折り処理部を示す拡大構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システム4のシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置3の後段に、シート処理装置である折り処理装置1と、後処理装置2とが順に設けられている。
【0009】
画像形成装置3は、入力された画像データまたは読み取った画像の画像データに基づいて、シートに画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。画像形成装置3は、例えば電子写真方式や液滴射出方式など公知の方式のものであり、画像形成方式は何れでも良い。なお、本実施形態においては、電子写真方式の複写機を用いている。
【0010】
後処理装置2としては、例えば、シートにパンチ孔を開けるパンチ穿孔装置、ステープラ等によりシート束を綴じるシート綴じ装置、画像形成済みシートを複数の排出トレイへ仕分けして排出する仕分排出装置などが挙げられる。
【0011】
図2は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた画像形成装置3の概略構成図である。
画像形成装置本体400は、画像形成部の下部に、記録媒体であるシートを収納する給送カセットが配置されている。給送カセットに収納されたシートは、それぞれ、給送ローラ414a,414bによって給送された後、所定の搬送路に沿って上方へ搬送され、レジストローラ対413へ到達する。
【0012】
画像形成部は、像担持体としての感光体ドラム401と、帯電装置402と、露光装置410と、現像装置404と、転写装置405と、クリーニング装置406とを備えている。
【0013】
帯電装置402は、感光体ドラム401の表面を一様に帯電する帯電手段である。露光装置410は、画像読取装置100で読み取った画像情報に基づいて感光体ドラム401上に静電潜像を形成する潜像形成手段である。現像装置404は、感光体ドラム401上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化する現像手段である。転写装置405は、感光体ドラム401上のトナー画像をシートに転写する転写手段である。クリーニング装置406は、転写後の感光体ドラム401上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0014】
また、画像形成部のシート搬送方向下流側には、トナー画像をシートに定着する定着手段としての定着装置407が配置されている。
【0015】
露光装置410は、制御部の制御の下で画像情報に基づくレーザー光を発射するレーザーユニット411と、レーザーユニット411からのレーザー光を感光体ドラム401の回転軸方向(主走査方向)に走査するポリゴンミラー412を具備する。
【0016】
また、画像読取装置100の上部には、自動原稿搬送装置500が接続されている。この自動原稿搬送装置500は、原稿テーブル501、原稿分離給送ローラ502、搬送ベルト503、原稿排紙トレイ504を具備している。
【0017】
原稿テーブル501に原稿がセットされて読み取り開始指示を受けると、自動原稿搬送装置500では、原稿テーブル501上の原稿が原稿分離給送ローラ502により1枚ずつ送り出される。そして、その原稿は搬送ベルト503によりプラテンガラス309上に案内され、一時停止する。
【0018】
そして、プラテンガラス309上に一時停止した原稿は、画像読取装置100によりその画像情報が読み取られる。その後、搬送ベルト503が原稿の搬送を再開し、その原稿は原稿排紙トレイ504に排出される。
【0019】
次に、画像読取動作と画像形成動作について説明する。
自動原稿搬送装置500によりプラテンガラス309上に原稿が搬送されるか、ユーザーによりプラテンガラス309上に原稿が載置されて、操作パネルにコピー開始操作がなされると、第一走行体303上の光源301が点灯する。また、これとともに、第一走行体303及び第二走行体306を、ガイドレールに沿って移動させる。
【0020】
そして、プラテンガラス309上の原稿に光源301からの光が照射され、その反射光が、第一走行体303上のミラー302、第二走行体306上のミラー304,305、レンズ307に案内されて、CCD308で受光される。これにより、CCD308は原稿の画像情報を読み取り、その画像情報はA/D変換回路によってアナログデータからデジタルデータに変換される。この画像情報は、情報出力部から画像形成装置本体400の制御部へ送られる。
【0021】
一方、画像形成装置本体400は、感光体ドラム401の駆動を開始し、感光体ドラム401が所定速度で回転したら、帯電装置402により感光体ドラム401の表面を一様に帯電させる。そして、この帯電した感光体ドラム401の表面に、画像読取装置で読み取った画像情報に基づいた静電潜像が露光装置410により形成する。
【0022】
その後、感光体ドラム401の表面上の静電潜像は、現像装置404により現像されてトナー画像となる。また、給送カセットに収納されたシートは、給送ローラ414a,414bによって給送され、レジストローラ対413で一時停止させる。
【0023】
そして、感光体ドラム401の表面に形成されたトナー画像の先端部分が転写装置405と対向する転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対413により転写部に送り込まれる。転写部をシートが通過する際、転写電界の作用によって感光体ドラム401の表面に形成されたトナー像がシート上に転写される。
【0024】
その後、トナー像を載せたシートは、定着装置407に搬送され、定着装置407により定着処理を受けた後、後段の折り処理装置1に排出される。なお、転写部においてシートに転写されることなく感光体ドラム401の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置406により除去される。
【0025】
図3は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた後処理装置2の概略構成図である。
後処理装置2は、折り処理装置1からシートが導入される導入経路201、導入経路201からは、上トレイ205へシートを排出するための第一排出経路202、シフトトレイ206へシートを排出するための第二搬出経路203および綴じ処理部230へシートを搬送する搬送路204と分岐している。導入経路201には、シートにパンチ穴を施す穿孔部210が配置されている。穿孔部210は、折り処理装置1から排出された、折られたシート、重ね折りされたシート束、および、折り処理されずに搬送されてきた一枚のシートの所定の位置にパンチ穴を施す。
【0026】
搬送路204には、重ね合わせ部220が配置されている。重ね合わせ部220には、3つの搬送路220a、220b、220cを有しており、搬送されてきたシートを各搬送路へ振り分けて、各搬送路で一時待機させることで、最大3枚までシートを重ね合わせて搬送することが可能となっている。
【0027】
綴じ処理部230には、処理トレイ233、処理トレイ233の複数のシート(シート束)に対して整合処理を行なうジョガーフェンス234、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行うステイプラユニット231および綴じ処理されたシート束を、シフトトレイ206へ向けて搬送する搬送ベルト232などを主に備えている。
【0028】
折り処理が施されたシートや、折り処理されていないシートが、所定枚数処理トレイ233へ搬送されたら、処理トレイ233のシート束に対して整合処理を行なう。そして、ステイプラユニット231で、処理トレイ233のシート束に対して綴じ処理を行った後、搬送ベルト332により綴じられたシート束を搬送し、シフトトレイ206へ排出する。
【0029】
図4は、実施形態に係る画像形成システムに備えられた折り処理装置1の概略構成図である。
図4に示すように、折り処理装置1は、画像形成装置3から受け入れたシートを搬送する入口ローラ対10が設けられている。この入口ローラ対10の下流で、シートの搬送経路が、折り処理を行なうときにシートを搬送する折り処理搬送経路W2と、折り処理を行なわないときにシートを搬送するスルー搬送経路W1とに分岐している。折り処理搬送経路W2とスルー搬送経路W1との分岐部には、シートをスルー搬送経路W1または折り処理搬送経路W2へ案内する第一分岐爪11が設けられている。
【0030】
折り処理搬送経路W2には、複数枚のシートの重ね合わせを行なう重ね処理部A、1枚のシートまたは重ね処理部Aで重ね合わせたシートを折る折り処理部B、折れたシートの折り部を増し折りする増し折り部Cなどを主に有している。
【0031】
重ね処理部Aは、レジストローラ対15と、後述する折り機構17の第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bとで構成された第一搬送ローラ対117aと、シートをレジストローラ対15に向けて搬送する搬送ローラ対12とを備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2から分岐し、レジストローラ対15により逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートが搬送されるスイッチバック搬送路W3と、このスイッチバック搬送路W3に配置されたスイッチバック搬送ローラ対13とも備えている。また、搬送ローラ対12とレジストローラ対15との間の折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部に設けられ、逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されてきたシートをスイッチバック搬送路W3へ案内するための第二分岐爪14も有している。
【0032】
重ね処理部Aの下流には、折り処理部Bが配置されている。折り処理部Bは、上記レジストローラ対15と、折り機構17と、第二搬送ローラ対18とで構成されている。折り機構17は、第一折りローラ17bと、第一折りローラ17bに当接し、シートをスイッチバック搬送するための第一押圧ローラ17aと、第一折りローラ17bに当接して第一折りニップB1を形成する第二折りローラ17cと、第二折りローラ17cに当接して第二折りニップB2を形成する第二押圧ローラ17dとで構成されている。折り機構17を構成する複数のローラのうちのひとつに駆動力が伝達され、他のローラは、従動回転する。
【0033】
また、レジストローラ対15の下流には、シートを、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとのニップまたは第一折りニップB1に案内する第三分岐爪16が設けられている。
【0034】
折り処理部Bの下流には、増し折り部Cが配置されている。増し折り部Cは、増し折りローラ20を備えている。増し折りローラ20は、押圧凸部を有しており、この押圧凸部が、シートの折り部を押圧し、シートの折り部が増し折りされる。
【0035】
図5は、本画像形成システムの折り処理装置の制御に関する制御回路の一例を示すブロック図である。
折り処理装置1を制御する制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、折り処理装置1内に配置された用紙検知センサなどの各種センサを制御するセンサコントローラ44、折り処理装置1のシートを搬送する複数の搬送モータを制御する第一モータコントローラ45、増し折りローラ20の駆動する増し折りモータ49を制御する第二モータコントローラ46、通信インターフェース48などを備えている。
【0036】
これらの各構成要素はアドレスバス、データバス等のバスライン47を介して相互に電気的に接続されている。通信インターフェース48は
図1の画像形成装置3及び後処理装置2と通信を行い、制御に必要なデータのやり取りを行なう。ROM42にはCPU41が実行するデータやプログラム等が記憶されている。CPU41はROM42に記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラムを実行することにより、折り処理装置1を制御する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際に一時的にデータ等を記憶する。
【0037】
図6(a)~(f)は、本折り処理装置1の重ね処理部Aによるシートの重ね合わせ動作について説明する図である。
図6(a)に示すように、一枚目のシートP1を折り処理搬送経路W2に搬送する。折り処理搬送経路W2に搬送されてきた一枚目のシートP1は、先端がレジストローラ対15に突き当たりスキュー補正される。なお、このスキュー補正は、行なわなくてもよい。
【0038】
次に、レジストローラ対15と、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送部材たる第一搬送ローラ対117aとにより、一枚目のシートP1を正搬送(所定方向の搬送)する。次に、一枚目のシートP1後端が折り処理搬送経路W2とスイッチバック搬送路W3との分岐部を抜けたら、シートの搬送を停止する。次に、第二分岐爪14を図中時計回りに回転させ、シートをスイッチバック搬送路W3へガイドする姿勢に切り替える。次に、
図6(b)に示すように、レジストローラ対15、第一搬送ローラ対117a、および、スイッチバック搬送ローラ対13を逆回転させる。これにより、一枚目のシートP1が逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)され、一枚目のシートP1がスイッチバック搬送路W3へ搬送される。一枚目のシートP1の正搬送(所定方向の搬送)時の先端が、スイッチバック搬送路W3に搬送されたら、スイッチバック搬送ローラ対13のシート搬送を停止する。停止後、
図6(c)に示すように、スイッチバック搬送ローラ対13により一枚目のシートP1を正搬送(所定方向に搬送)し、一枚目のシートの先端をレジストローラ対15に突き当ててスキュー補正した状態で待機させる。
【0039】
このように、先行のシートP1をスイッチバック搬送路W3へ搬送し、折り処理搬送経路W2から退避させることで、先行のシートP1が後続シートの搬送を邪魔することがなく、良好に後続シートP2を搬送することができる。
【0040】
次に、二枚目のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てる。
図6(d)に示すように、後続のシートP2の先端をレジストローラ対15に突き当てた後も搬送ローラ対12による後続シートP2のシート搬送を続け、後続シートを撓ませ、スキュー補正を行う。後続シートが所定の撓み量となる所定時間経過したら、
図6(e)に示すようにレジストローラ対15、スイッチバック搬送ローラ対13、および、第一搬送ローラ対117aを回転させて、レジストローラ対15により一枚目のシートP1と二枚目のシートP2とを重ね合わせて搬送する(
図6(f))。
【0041】
ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達しているときは、折り処理部Bによる重ね折り処理へ移行する。一方、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たないときは、重ね合わせシートの後端が分岐爪を抜けたタイミングで逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)してスイッチバック搬送路W3へ退避させる。重ね合わせる枚数に応じて以上の動作を繰り返すことで用紙重ねを行うことができる。
【0042】
本実施形態においては、上述したように、後続シートP2のスキュー補正において、搬送ローラ対12の回転を停止せず、後続シートP2の撓み量が所定量となったら、レジストローラ対15の回転を開始することで、生産性を落とさずに、先行シートと後続シートとの重ね合わせを行なうことができる。
【0043】
また、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に満たない枚数の重ね合わせ処理は、レジストローラ対15によるスキュー補正を行わない重ね合わせ処理とし、ユーザーが設定した重ね合わせ枚数に達する際の重ね合わせ処理は、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理としてもよい。なお、スキュー補正を行なう重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した状態で待機し、後続のシートをレジストローラ対に突き当ててスキュー補正した後に重ね合わせてシートを搬送する処理である。一方、スキュー補正を行なわない重ね合わせ処理とは、先行のシート(シート束)の先端をスイッチバック搬送路W3に退避した状態で待機させる。そして、後続シートP2がレジストローラ対15に到達するタイミングでスイッチバック搬送路W3に退避した先行シート(シート束)もレジストローラ対15に到達するように、スイッチバック搬送ローラ対13の搬送を開始し、シートを重ねわせ、レジストローラ対15により搬送する処理である。
【0044】
図7(a)~(d)は、折り処理部BによりZ折り処理する際の一般的な動作を説明するための説明図である。
レジストローラ対15により搬送されてきた重ね合わせ処理されたシート束Ptの先端は、第一折りローラ17bと第一押圧ローラ17aとからなる第一搬送ローラ対117aに進入する。次に、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ1搬送されたら、折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させる。このときの突出量は、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0045】
折り機構17を駆動する駆動モータを逆回転させることで、第一搬送ローラ対117aに挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)される。これにより、レジストローラ対15と第一搬送ローラ対117aとの間のシート束部分に撓みが形成される(
図7(a))。そして、この撓み部分(折り返し部分)が第一折りローラ17bと第二折りローラ17cとからなる第一折りローラ対117bのニップに進入することで、その折り返し部分に第一折り部が形成される。第一折りローラ17bのニップを通過した第一折り部は、第二搬送部材としての第二搬送ローラ対18に向けて搬送される。
【0046】
そして、シート束Ptの第一折り部は、第二搬送ローラ対18のニップに進入し、シート束Ptが予め決められた搬送量Δ2搬送されたら、第二搬送ローラ対18を逆回転させ、第二搬送ローラ対18に挟まれたシートを逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)する。このときの搬送量Δ2も、シート束Ptのシート搬送方向長さや折り処理の内容(折り方等)によって適宜決定されるものである。
【0047】
第二搬送ローラ対18に挟まれたシート束Ptが逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)されることで、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みが形成される。そして、
図7(b)に示すように、この撓み部分(折り返し部分)が第二折りローラ17cと第二押圧ローラ17dとからなる第二折り部材たる第二折りローラ対117cのニップに進入することで、その折り返し部分に第二折り部が形成される。
【0048】
第二折りローラ対117cのニップを通過した2つの折り部が形成されたシート束Ptは、
図7(c)に示すように、中間搬送ローラ対19により増し折りローラ20に向けて搬送される。
図7(d)に示すように、第二折り部が増し折りローラ20と対向位置に到達したら、シート束Ptの搬送を停止する。次に、増し折りローラ20を回転させ、第二折り部の折り目を強化した後、シート束Ptの搬送を再開し、第一折り部が増し折りローラ20と対向したら、シート束Ptの搬送を停止する。そして、増し折りローラ20により第一折り部の折り目を強化したら、シート束Ptの搬送を再開し、搬送ローラ対21,22によりシート束Ptを搬送し、後処理装置へ排出する。
【0049】
なお、上記では、重ね合わせ処理されたシート束Ptを折る場合について説明したが、シート一枚を折る場合の折り処理動作も同様である。また、上記では、Z折りについて説明したが、上記搬送量Δ1及び上記搬送量Δ2を適宜変更することで、Z折り処理と同様の動作によりシートに対して内三つ折り、外三つ折りを行なうことができる。二つ折り処理については、第三分岐爪16を図中時計回りに回転し、シートを第一折りローラ対117bへガイドする姿勢にし、レジストローラ対15から搬送されてきたシートを第一折りローラ対117bへ搬送する。そして、上記第二折り部を形成する動作と同様の動作で、シートの搬送方向中央の折り部を形成することで、二つ折りを行うことができる。
【0050】
次に、本実施形態の特徴部について説明する。
図8は、折り処理部Bの拡大概略図である。
図8に示すように、本実施形態の折り処理部Bは、第一搬送ローラ対117aにより正搬送(所定方向に搬送)されてくるシートを第一搬送ローラ対117aよりも下流側でガイドする領域と、第二搬送ローラ対18から搬送されてくるシートを第二搬送ローラ対18よりも下流側でガイドする領域とが、少なくとも部分的に共通(
図8のZの領域)するように第一搬送ローラ対117aと第二搬送ローラ対18とを配置した。具体的には、第一搬送ローラ対117aにより正搬送(所定方向に搬送)されるときのシートと、第二搬送ローラ対18により正搬送(所定方向に搬送)されるときのシートとが同一方面(下方面)に搬送されるように、各搬送ローラ対117a,18を配置し、それぞれシートが下方の同一の領域へ搬送されるようにした。これにより、第一搬送ローラ対により正搬送(所定方向に搬送)されてきたシートと、第二搬送ローラ対18により正搬送(所定方向に搬送)されてきたシートとを、これら搬送ローラ対117a,18よりも下方に配置した共通ガイド部材により、ガイドすることができる。
【0051】
第一搬送ローラ対117aの正搬送(所定方向の搬送)時のシート搬送方向下流側(以下、単に下流側ということもある)の近傍には、上記搬送量Δ1を計測するトリガとなる第一シート検知センサ31が設けられている。上記制御部40は、第一シート検知センサ31から出力される先端検知信号の受信タイミングと、第一搬送ローラ対117aの回転量から上記搬送量Δ1を把握することができる。
【0052】
同様に、第二搬送ローラ対18の下流側の近傍には、上記搬送量Δ2を計測するトリガとなる第二シート検知センサ32が設けられている。上記制御部40は、第二シート検知センサ32から出力される先端検知信号の受信タイミングと、第二搬送ローラ対18の回転量から上記搬送量Δ2を把握することができる。
【0053】
共通ガイド部材35は、断面略U字状をしており、シートの搬送方向を90°以上変えるガイド形状となっている。そして、共通ガイド部材35の一端が、第一搬送ローラ対117aの下流側の第一シート搬送路Waに位置し、他端が、第二搬送ローラ対18の下流側の第二シート搬送路Wbに位置している。このように、共通ガイド部材35のガイド形状を、シートの搬送方向を90°以上変えるガイド形状とすることで、装置が、シート搬送方向(上下方向)に大型化するのを抑制することができる。
【0054】
図中二点鎖線が、第一シート搬送路Waを示しており、図中一点鎖線が、第二シート搬送路Wbを示している。また、図の符号Zの範囲は、第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbとの共通搬送領域(第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbの共通ガイド領域)である。本実施形態においては、第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbとで、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)を設けることで、この共通搬送領域Z(共通のガイド領域)において、第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbとで共通のガイド部材でガイドすることができる。これにより、装置の小型化や、部品点数の削減による装置のコストダウンを図ることができる。
【0055】
また、第一シート搬送路Waの長さ+共通搬送領域Z(共通のガイド領域)の長さや、第二シート搬送路Wbの長さ+共通搬送領域Z(共通のガイド領域)の長さは、本折り処理装置1が折り処理可能なシート搬送方向の最大サイズ(A3縦の搬送方向長さなど)とすれば足りる。これは、第一シート搬送路Waや第二シート搬送路Wbへは、シートの後端まで搬送されることがないからである。また、本実施形態では、第二シート搬送路Wbへ搬送されるシートの搬送量が、第一シート搬送路Waへ搬送されるシート搬送量よりも少ないため、第二シート搬送路Wbの長さを、第一シート搬送路Waよりも短くしている。
【0056】
また、第一搬送ローラ対117aにより搬送されてきたシートおよび第二搬送ローラ対18により搬送されてきたシートは、共通ガイド部材35のガイド面に対して傾斜して接触するように、構成されている。より具体的には、シートがガイド部材により搬送される側とは、反対側のシートとガイド面とのなす角度θ1,θ2が鋭角となっている。これにより、第一搬送ローラ対117aにより搬送されてきたシートの先端および第二搬送ローラ対18により搬送されてきたシート先端(第一折り部)を、共通ガイド部材35にスムーズにガイドすることができる。
【0057】
また、共通ガイド部材35の第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbとの共通搬送領域Z(共通のガイド領域)の部分は、対向ガイド部材が配置されておらず、開放部となっている。また、この共通搬送領域Z(共通のガイド領域)には、シートを検知する第一共通シート検知センサ33、第二共通シート検知センサ34が設けられている。これら共通シート検知センサ33,34は、ジャム等の異常動作時に共通搬送領域Z(共通のガイド領域)におけるシートの有無を検出し、シートの除去等ジャム処理にかかわる検出に使用するものである。このように、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)にシートの有無を検出するセンサを設けることで、ひとつのセンサで、第一シート搬送路Wa、第二シート搬送路Wbの両方の搬送路のシートの有無を検出することができる。その結果、部品点数の削減を図ることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
本実施形態では、これら共通シート検知センサ33,34として、反射型光学センサを使用しているが、フィラータイプのセンサ(フィラーの動きを透過型光学センサで検出する)ものでもよい。
【0058】
図9は、折り処理装置1に設けられた開閉扉1aを示す概略構成図である。
図9に示すように、開閉扉1aを開くと、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)が露出する。上述したように、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)には、共通ガイド部材35と対向する対向ガイドを有しておらず、開放部となっている。よって、ジャム等の異常停止時において、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)に残ったシートを容易に除去することができる。また、この共通搬送領域を開放することで、第一シート搬送路Wa、第二シート搬送路Wbの両方の残ったシートを容易に取り除くことができる。
【0059】
次に、折り処理装置の変形例について説明する。
[変形例1]
図10は、変形例1の折り処理部Bを示す図である。
この変形例は、第二シート搬送路Wbを第一シート搬送路Waに向かわせ、第一シート搬送路Waと合流させ、第一シート搬送路Waのシートと、第二シート搬送路Wbとのシートとが、共通ガイド部材35により同方向にガイドされるように構成したものである。言い換えると、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)における第一シート搬送路Waのシートが搬送される向きと、第二シート搬送路Wbのシートが搬送される向きとを同一にしたものである。このように、構成することで、第一シート搬送路Waのシートと、第二シート搬送路Wbとのシートとが、共通ガイド部材35により互いに異なる方向にガイドされるように構成したものに比べて、第一シート搬送路Waと第二シート搬送路Wbとを近づけることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0060】
この変形例においても、共通搬送領域Z(共通のガイド領域)には、共通ガイド部材35と対向する対向ガイドを設けずに開放して、異常停止時において、残ったシートを取り出しやすくしている。また、この共通搬送領域Z(共通のガイド領域)に、ジャム等の異常動作時にシートの有無を検出するセンサ34を配置することで、第一シート搬送路Wa、第二シート搬送路Wbの両方の搬送路のシートの有無を検出することができる。
【0061】
また、この変形例においても、共通ガイド部材35がU字形状部有し、各シート搬送路Wa、Wbから搬送されてきたシート先端の向きを、90°以上変更するガイド形状として、装置の小型化を図っている。
【0062】
また、この変形例においても、各シート搬送路Wa、Wbにおける、シートがガイド部材により搬送される側とは、反対側のシートとガイド面とのなす角度θ1,θ2が鋭角となっており、スムーズにシートがガイド部材にガイドされるようになっている。
【0063】
[変形例2]
図11は、変形例2における変形例2のシート処理装置を示す図である。
この変形例2は、第一押圧ローラ17aと第一折りローラ17bとからなる第一搬送ローラ対117aを、レジストローラ対として用いたものである。
【0064】
重ね合わせ処理は、先行シートP1を、第一搬送ローラ対117aに突き当ててスキュー補正を行う。スキュー後は、上述同様、スイッチバック搬送路W3へシートを搬送した後、再度、先行シートの先端を第一搬送ローラ対117aに突き当てて待機する。次に、後続シートP2を、第一搬送ローラ対117aに突き当ててスキュー補正を行う。次に、先行シートP1と後続シートP2とを重ね合わせて、第一搬送ローラ対117aを正回転させ、先行シートと後続シートのシート束を、所定搬送量、正搬送(所定方向に搬送)する。この正搬送(所定方向の搬送)の間に、先行シートと後続シートの撓みを解消させる。具体的には、第一搬送ローラ対117aの回転速度(シート搬送速度)を、搬送ローラ対12やスイッチバック搬送ローラ対13の回転速度(シート搬送速度)よりも速くして、シート束を所定搬送量搬送する間に先行シートと後続シートの撓みを解消させている。
【0065】
シート束を、所定搬送量搬送されたら、第三分岐爪16シートを図中点線の位置から図中実線の位置へ回転させ、シート束の折り返し部分を、第一折りローラ対117b側へ押し込む。また、これと同時に第一搬送ローラ対117aを逆回転させ、シート束を逆搬送(所定方向とは逆方向に搬送)させる。これにより、シート束が撓み、撓み部分を第一折りローラ対117bのニップに進入させることができ、シート束に第一折り部を形成することができる。その後は、上述と同様に、第一折り部を第二搬送ローラ対18へ搬送し、第二搬送ローラ対18によりシート束を所定搬送量正搬送(所定方向の搬送)したら、逆搬送(所定方向とは逆方向の搬送)に切り替える。そして、第一折りローラ対117bと第二搬送ローラ対18との間のシート部分に撓みを形成し、この撓み部分(折り返し部分)を第二折りローラ対117cのニップに進入させて第二折り部を形成する。
【0066】
また、本実施形態では、第一押圧ローラ17a、第一折りローラ17b、第二折りローラ17c、第二押圧ローラ17dおよび第二搬送ローラ対18としては、ベルト部材を用いてもよい。
【0067】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シートを搬送するとともに正逆転可能な第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材と、シートに折り目を形成する第一折りローラ対117bなどの第一折り部材と、第一折り部材で折られたシートを搬送するとともに正逆転可能な第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材と、シートに折り目を形成する第二折りローラ対117cなどの第二折り部材とを備えた折り処理装置1などのシート処理装置において、第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートおよび第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートを共にガイドする共通ガイド部材35などのガイド部材を備える。
これによれば、共通のガイド部材で、第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートおよび第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートがガイドされるので、第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートと、第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートとをそれぞれ別々にガイドする装置に比べて、装置のコストアップや、装置の大型化を抑制することができる。
【0068】
(態様2)
態様1において、共通ガイド部材35などのガイド部材において、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材から搬送されてくるシートを第一搬送部材よりも下流側でガイドする領域と、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材から搬送されてくる前記シートを前記第二搬送部材よりも下流側でガイドする領域とが、少なくとも部分的に共通するように(本実施形態における共通搬送領域Z)の前記第一搬送部材と前記第二搬送部材とを配置した。
これによれば、共通ガイド部材35などのガイド部材が大型化することなく、第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートおよび第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートをガイド部材でガイドすることができる。
【0069】
(態様3)
態様1または2において、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流の所定位置でシートを検知する第一シート検知センサ31などの第一検知手段と、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流の所定位置でシートを検知する第二シート検知センサ32などの第二検知手段とを備え、第一検知手段によりシートを検知した後の所定のタイミングで第一搬送部材を逆転させることでシートへ一度目の折りをおこない、第二検知手段によりシートを検知した後の所定のタイミングで第二搬送部材を逆転させることでシートへ二度目の折りをおこなうものであって、ガイド部材は、前記第一検知手段よりも下流の位置および前記第二検知手段よりも下流の位置でシートをガイドする。
これによれば、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材によりスイッチバック搬送されるシートと、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材によりスイッチバック搬送されるシートとを共通のガイド部材でガイドすることができる。
【0070】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートおよび第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートのガイド部材に接触する方向を、共通ガイド部材35などのガイド部材のガイド面に対して傾斜させた。
これによれば、シート先端をスムーズに共通ガイド部材35などのガイド部材によりガイドすることができる。
【0071】
(態様5)
態様1乃至において、共通ガイド部材35などのガイド部材のガイド形状は、シートの搬送方向を90°以上変えるガイド形状である。
これによれば、ガイド部材のガイドによるシートの搬送方向の変更が、90°未満のものに比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0072】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、共通ガイド部材35などのガイド部材はシートの一部が露出する解放部を有する。
これによれば、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流で残ったシートおよび第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流で残ってシートを、開放部から容易に除去することができる。
【0073】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、共通ガイド部材35などのガイド部材の第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートおよび第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートを共にガイドする共通搬送領域Zなどのガイド領域のシートを検知する第一共通シート検知センサ33などのシート検知手段を備える。
これによれば、第一共通シート検知センサ33などのシート検知手段で、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートと第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートとを検知することができる。よって、第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートを検知するシート検知手段と、第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートとを検知するシート検知手段とをそれぞれ設けるものに比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0074】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートは、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートの共通ガイド部材35などのガイド部材によりガイドされるガイド方向とは、逆方向にガイド部材によりガイドされる。
これによれば、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流のシート搬送路と、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流のシート搬送路とを合流させずに、の第一搬送部材よりも下流側のシートと第二搬送部材よりも下流側のシートを、共通ガイド部材35などのガイド部材でガイドすることができる。
【0075】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートは、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートの共通ガイド部材35などのガイド部材によりガイドされるガイド方向と、同方向にガイド部材によりガイドされる。
これによれば、変形例で説明したように、第一搬送ローラ対117aなどの第一搬送部材よりも下流へ搬送されるシートのガイド部材によるガイド方向と、第二搬送ローラ対18などの第二搬送部材よりも下流へ搬送されるシートのガイド部材によるガイド方向とを互いに逆方向としたものに比べて、装置の小型化を図ることができる。
【0076】
(態様10)
シートに画像を形成する画像形成装置3と、シートに所定の処理を施す折り処理装置1などのシート処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、シート処理装置として、態様1乃至8いずれか一項に記載のシート処理装置を用いた。
これによれば、画像形成システムの小型化や、画像形成システムの低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 :折り処理装置
1a :開閉扉
2 :後処理装置
3 :画像形成装置
4 :画像形成システム
10 :入口ローラ対
11 :第一分岐爪
12 :搬送ローラ対
13 :スイッチバック搬送ローラ対
14 :第二分岐爪
15 :レジストローラ対
16 :第三分岐爪
17 :折り機構
17a :第一押圧ローラ
17b :第一折りローラ
17c :第二折りローラ
17d :第二押圧ローラ
18 :第二搬送ローラ対
19 :中間搬送ローラ対
20 :増し折りローラ
21 :搬送ローラ対
31 :第一シート検知センサ
32 :第二シート検知センサ
33 :第一共通シート検知センサ
34 :第二共通シート検知センサ
35 :共通ガイド部材
117a :第一搬送ローラ対
117b :第一折りローラ対
117c :第二折りローラ対
400 :制御部
A :重ね処理部
B :折り処理部
C :増し折り部
W1 :スルー搬送経路
W2 :折り処理搬送経路
W3 :スイッチバック搬送路
Wa :第一シート搬送路
Wb :第二シート搬送路
Z :共通搬送領域
Δ1 :搬送量
Δ2 :搬送量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】