(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】光素子モジュール及び光素子モジュールの評価方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20220630BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20220630BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220630BHJP
H01S 5/02345 20210101ALI20220630BHJP
H01S 5/02375 20210101ALI20220630BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01S5/022
G01R31/26 F
H01L23/12 W
H01S5/02345
H01S5/02375
H01S5/40
(21)【出願番号】P 2017208490
(22)【出願日】2017-10-27
【審査請求日】2020-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 和明
(72)【発明者】
【氏名】有賀 麻衣子
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-039304(JP,A)
【文献】国際公開第2015/012025(WO,A1)
【文献】特開2012-151233(JP,A)
【文献】特開2007-194288(JP,A)
【文献】特開平10-229245(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011983(WO,A1)
【文献】特開2004-200399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 23/12 - 23/14
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素子電極が形成された光素子と、
前記光素子を搭載し、互いに独立した第1配線電極及び第2配線電極が形成されたサブマウントと、
前記第1素子電極と前記第1配線電極とを接続する第1ボンディングワイヤと、
前記第1素子電極と前記第2配線電極とを接続する第2ボンディングワイヤと、
前記光素子、前記サブマウント、前記第1ボンディングワイヤ及び前記第2ボンディングワイヤを収容する筐体と、を備え、
前記第1配線電極及び前記第2配線電極が前記筐体の外部と導通するように構成され、
前記サブマウントには前記第1配線電極及び前記第2配線電極を含む複数の配線電極が形成され、前記複数の配線電極のうちの前記第1配線電極以外の配線電極に、プローブ針を突き当てるための領域が設けられ、
前記プローブ針を突き当てるための領域は、前記配線電極の幅よりも幅が大きくなるように構成され、前記プローブ針を突き当てるための面積が確保され、
前記筐体の外側にはリードピンが設けられており、前記第1配線電極は前記リードピンと接続され、
前記筐体が略直方体であって、前記筐体の一側面のみに前記リードピンが配置されている
ことを特徴とする光素子モジュール。
【請求項2】
前記光素子は前記第1配線電極と前記第2配線電極との間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光素子モジュール。
【請求項3】
前記第1素子電極には幅が広い広幅部が少なくとも2箇所存在し、前記第1ボンディングワイヤの端部と前記第2ボンディングワイヤの端部とはそれぞれ異なる広幅部に接触している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光素子モジュール。
【請求項4】
前記光素子には前記第1素子電極を含む複数の素子電極が形成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の光素子モジュール。
【請求項5】
前記筐体の外側には複数のリードピンが設けられており、前記複数の配線電極のうち前記第2配線電極以外は前記複数のリードピンのいずれかと接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の光素子モジュール。
【請求項6】
前記複数のリードピンは前記筐体の一側面側にのみ設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の光素子モジュール。
【請求項7】
前記複数の配線電極のうち、前記第1配線電極以外の配線電極は、所定値以上の面積の領域を有する
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一つに記載の光素子モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の光素子モジュールの評価方法であって、
前記第1配線電極以外の配線電極における前記
プローブ針を突き当てるための領域にプローブ針を突き当てて前記光素子に電流を流して前記光素子の特性を評価する
ことを特徴とする光素子モジュールの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子モジュール及び光素子モジュールの評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信などの用途において、光素子が筐体に収容された光素子モジュールが開示されている。この種の光素子モジュールでは、筐体の外部にリードピンが設けられており、光素子は、リードピンを通じて筐体外部に導通している。そして、光素子は、リードピンから駆動電流や制御のための電気信号を供給されることによって、所定の動作を行う(例えば、特許文献1参照)。また、光素子は、筐体内でサブマウントに搭載されている場合がある。光素子と光素子を搭載するサブマウントとを合わせて、チップオンサブマウント(Chip On Submount:COS)という場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-142763号公報
【文献】国際公開第2010/110152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信などに用いられる光素子は、絶えず高機能化が要求されているが、それと同時に、小型化への要求も強い。サブマウントには、光素子を駆動および制御するための配線電極が設けられるが、小型化のためには配線電極のレイアウトに制約が生じる場合がある。例えば、筐体が略直方体であった場合に、一側面のみにリードピンを配置したいという要求がある。
【0005】
リードピンを筐体の一側面のみに配置するためには、サブマウントの表面において配線電極を光素子の片側に1列に配列することが望ましい。ところが、高機能化のために、光素子を駆動および制御するための配線電極の数は増える傾向にある。そのため、多数の配線電極を1列に並べると、配線電極が非常に密になり、作製が困難になる。また、そのような過密な配線電極では、光素子モジュールの作製工程中の検査におけるプロービングも難しくなる場合がある。ここで、プロ-ビングとは、光素子モジュールの特性評価等のために、プローブ針を配線電極に突き当て、光素子に駆動電流を流すことを意味する。しかしながら、配線電極の過密を解消するために配線電極の幅を単に大きくしたり、配線電極間の間隔を単に大きくしたりすると、COSのサイズが大きくなり、小型化の要求を満たせなくなる。
【0006】
一方、サブマウントを多層構造として、内部の層に配線(地中配線と呼ぶ)を設ける方法もある。このようなサブマウントであれば、サブマウントの表面において配線を光素子の両側に配列し、一方の側の配線は地中配線を介して他方側に引き回すことが可能になり、レイアウトの自由度が高い。従って、配線を片側に1列に配列することができる。しかしながら、多層構造のサブマウントは作製工程が複雑になるために高価であり、また地中配線は電極抵抗が高くなりやすいという難点がある。
【0007】
また、配線電極が少数であっても、サブマウントの小型化や、形状の自由度や、サブマウントに搭載される部品の数や大きさや形状などによって、配線電極のレイアウトに制約が生じる場合がある。
【0008】
このように、レイアウトが制約された条件でも所望の配線を実現するために好適であり、評価も容易であり、かつ簡易な構造の光素子モジュールが必要とされている。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レイアウトが制約された条件でも所望の配線を実現するために好適であり、評価も容易であり、かつ簡易な構造の光素子モジュール及び光素子モジュールの評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る光素子モジュールは、第1素子電極が形成された光素子と、前記光素子を搭載し、互いに独立した第1配線電極及び第2配線電極が形成されたサブマウントと、前記第1素子電極と前記第1配線電極とを接続する第1ボンディングワイヤと、前記第1素子電極と前記第2配線電極とを接続する第2ボンディングワイヤと、前記光素子、前記サブマウント、前記第1ボンディングワイヤ及び前記第2ボンディングワイヤを収容する筐体と、を備え、前記第1配線電極及び前記第2配線電極のうち前記第1配線電極のみが前記筐体の外部と導通するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記筐体の外側にはリードピンが設けられており、前記第1配線電極は前記リードピンと接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記光素子は前記第1配線電極と前記第2配線電極との間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記第1素子電極には幅が広い広幅部が少なくとも2箇所存在し、前記第1ボンディングワイヤの端部と前記第2ボンディングワイヤの端部とはそれぞれ異なる広幅部に接触していることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記光素子には前記第1素子電極を含む複数の素子電極が形成されており、前記サブマウントには前記第1配線電極及び前記第2配線電極を含む複数の配線電極が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記筐体の外側には複数のリードピンが設けられており、前記複数の配線電極のうち前記第2配線電極以外は前記複数のリードピンのいずれかと接続されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記筐体は略直方体の形状であって、前記複数のリードピンは前記筐体の一側面側にのみ設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る光素子モジュールは、前記複数の配線電極のうち、前記第1配線電極以外の配線電極は、所定値以上の面積の領域を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る光素子モジュールの評価方法は、前記第1配線電極以外の配線電極における前記領域にプローブ針を突き当てて前記光素子に電流を流して前記光素子の特性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レイアウトが制約された条件でも所望の配線を実現するために好適であり、評価も容易であり、かつ簡易な構造の光素子モジュールを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光素子モジュールの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、サブマウント及び半導体レーザ素子の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0022】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る光素子モジュールの構成を示す模式図である。
図1に示すように、光素子モジュール100は、筐体10と、サブマウント20と、光素子である半導体レーザ素子30と、コリメータレンズ40と、集光レンズ50と、基板60と、リードピン70と、光ファイバ80と、ボンディングワイヤ91と、を少なくとも備えている。また、リードピン70は制御器に電気的に接続している。
【0023】
略直方体の形状である筐体10は、サブマウント20と、半導体レーザ素子30と、コリメータレンズ40と、集光レンズ50と、基板60と、ボンディングワイヤ91と、を少なくとも収容し、光ファイバ80が取り付けられている。
【0024】
略直方体の形状であるサブマウント20は、筐体10内で不図示の温度調節素子に載置されている。サブマウント20は、半導体レーザ素子30を搭載している。温度調節素子は、例えばペルチェ素子である。温度調節素子は、制御器から駆動電流が供給されることによって半導体レーザ素子30を冷却、場合によっては加熱してその温度を調節することができる。
【0025】
サブマウント20は、例えば熱伝導率が170W/m・Kと高い窒化アルミニウム(AlN)からなるが、AlNに限らず、CuW、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンドなどの熱伝導率が高い材料でもよい。
【0026】
略直方体の形状である半導体レーザ素子30は、例えば特許文献2に示すような集積型の半導体レーザ素子であり、波長可変レーザ素子として動作可能である。半導体レーザ素子30は、アレイ状に配列され、互いに異なる波長のレーザ光を出力する16個の半導体レーザと、光合流器と、半導体光増幅器と、曲げ導波路とを備えている。半導体レーザ素子30を操作させる際は、例えば16個の半導体レーザのうちのいずれか1個に、制御器から駆動電流を供給してレーザ光を出力させる。光合流器は、レーザ光を半導体光増幅器に入力させる。半導体光増幅器は、制御器から駆動電流を供給されて、レーザ光を光増幅して曲げ導波路に出力する。曲げ導波路は、光増幅されたレーザ光をレーザ光Lとして外部に出力する。曲げ導波路からレーザ光Lが出力されるために、レーザ光Lの光軸は半導体レーザ素子30の長手方向に対して傾斜している。また、半導体レーザ素子30はサブマウント20に対して傾斜して搭載されている。
【0027】
コリメータレンズ40は、半導体レーザ素子30から出力されたレーザ光Lを平行光に変換する。集光レンズ50は、平行光に変換されたレーザ光Lを集光して光ファイバ80に入力させる。光ファイバ80はレーザ光Lを所定の装置等まで伝送する。
【0028】
なお、コリメータレンズ40と集光レンズ50の間のレーザ光Lの光路又は光路の周辺には、公知の光アイソレータや、制御器による公知の波長ロック制御(レーザ光Lを所望の波長及び強度にするための制御)を行うためのビームスプリッタ、フォトダイオード、エタロンフィルタ等が適宜配置されていてもよい。
【0029】
基板60は、筐体10の一側面側の内部に設けられた、例えばセラミック製の基板である。基板60の表面には少なくとも17本の配線電極61が形成されている。また、リードピン70は、少なくとも17本有り、筐体10の、基板60が設けられた一側面側の外部に設けられている。各リードピン70は基板60の各配線電極61にそれぞれ接続されている。また、ボンディングワイヤ91は、少なくとも17本有り、基板60の配線電極61にそれぞれ接続されている。その他、温度調節素子やフォトダイオードのための図示しない配線が基板60に形成されており、図示しないリードピンに接続されている。
【0030】
図2は、サブマウント20及び半導体レーザ素子30の構成を示す模式図である。なお、図中に示したxyz直交軸にて適宜方向を説明する。
【0031】
半導体レーザ素子30には、サブマウント20と接触する裏面とは反対側の表面に、16個の素子電極31が形成されている。素子電極31は、直線電極部32と、直線電極部32の一端に接続した電極パッド部33とを備えている。
【0032】
16個の直線電極部32は、半導体レーザ素子30に含まれる16個の半導体レーザに対応してアレイ状に配列されており、各半導体レーザに電流を注入するためのアノード電極である。なお、半導体レーザ素子30の裏面には16個の半導体レーザに共通の電極であって、各半導体レーザに電流を注入するためのカソード電極が設けられている。
【0033】
電極パッド部33は、素子電極31にボンディングワイヤを接続する箇所として設けられている。
【0034】
サブマウント20の半導体レーザ素子30を搭載する搭載面(xz平面と平行な面)には、配線電極21が形成されている。配線電極21は半導体レーザ素子30のカソード電極に電気的に接続されるものである。また、サブマウント20の搭載面には、16個の配線電極22a~22pと、3個の配線電極23a~23cが形成されている。
【0035】
サブマウント20は、yz平面に平行な側面24a、24bと、xy平面に平行な側面25a、25bとを有している。半導体レーザ素子30に対して、配線電極22a~22pはサブマウント20の側面24a側(+x側)に位置し、配線電極23a~23cはサブマウント20の側面24b側(-x側)に位置する。
【0036】
また、配線電極21は、半導体レーザ素子30の形状に対応して形成されている部分と、サブマウント20の側面25a側(-z側)においてx軸方向に沿って側面24aに向かって延びている部分とを有する。配線電極22a~22pは、半導体レーザ素子30の近傍からx軸方向に沿って側面24aに向かって延びている。配線電極22aは、配線電極21のx軸方向に沿って延びている部分と隣接している。
【0037】
また、半導体レーザ素子30は長手方向がサブマウント20の側面25bに対して角度θだけ傾斜している。θは例えば20°程度である。これにより、配線電極22a~22pについては、x軸方向において配線電極22aが最も長く、配線電極22pが最も短くなっている。なお、
図1からも解るように、半導体レーザ素子30は側面25b側にある端面からレーザ光Lを出力する。
【0038】
配線電極22a~22pと素子電極31の電極パッド部33のそれぞれとは16本のボンディングワイヤ92でワイヤボンディングされている。特に、配線電極22o、22m、22kと素子電極31の電極パッド部33のうち電極パッド部33a、33b、33cとは、それぞれボンディングワイヤ92のうちのボンディングワイヤ92a、92b、92cでワイヤボンディングされている。また、配線電極23a、23b、23cと素子電極31の電極パッド部33のうち電極パッド部33a、33b、33cとは、それぞれボンディングワイヤ93a、93b、93cでワイヤボンディングされている。
【0039】
配線電極21、配線電極22a~22pは、
図1に示すように、ボンディングワイヤ91及び基板60の配線電極61を介してリードピン70と接続されることによって、筐体10の外部と導通する。
【0040】
ここで、配線電極22o、22m、22kは第1配線電極として機能し、配線電極23a~23cは第2配線電極として機能する。配線電極22oと配線電極23aとは互いに離間した位置にあってそれ自体では電気的に接続しておらず、互いに独立している。また、配線電極22mと配線電極23bとは互いに独立しており、配線電極22kと配線電極23cとは互いに独立している。また、半導体レーザ素子30は配線電極22o、22m、22kと配線電極23a~23cとの間に配置されている。
【0041】
また、素子電極31のうち電極パッド部33a、33b、33cを備える素子電極は第1素子電極として機能する。そして、ボンディングワイヤ92a、92b、92cは第1ボンディングワイヤとして、素子電極31のうち電極パッド部33aを備える第1素子電極と配線電極22o、電極パッド部33bを備える第1素子電極と配線電極22m、電極パッド部33cを備える第1素子電極と配線電極22kをそれぞれ接続する。
【0042】
また、ボンディングワイヤ93a、93b、93cは第2ボンディングワイヤとして、素子電極31のうち電極パッド部33aを備える第1素子電極と配線電極23a、電極パッド部33bを備える第1素子電極と配線電極23b、電極パッド部33cを備える第1素子電極と配線電極23cをそれぞれ接続する。なお、電極パッド部33aには幅が広い広幅部が少なくとも2箇所存在し、ボンディングワイヤ92aの端部とボンディングワイヤ93aの端部とはそれぞれ異なる広幅部に接触している。同様に、電極パッド部33b、33cにはそれぞれ幅が広い広幅部が少なくとも2箇所存在し、ボンディングワイヤ92b、92cの端部とボンディングワイヤ93b、93cの端部とはそれぞれ異なる広幅部に接触している。これにより、同じ広幅部に接触している場合よりも、ボンディングワイヤ92aとボンディングワイヤ93aとの長さの総和、ボンディングワイヤ92bとボンディングワイヤ93bとの長さの総和、ボンディングワイヤ92cとボンディングワイヤ93cとの長さの総和、がそれぞれ短くなる。
【0043】
また、第1配線電極である配線電極22o、22m、22kと第2配線電極である配線電極23a~23cとのうち、第1配線電極である配線電極22o、22m、22kのみがリードピン70と接続されることによって、筐体10の外部と導通している。
【0044】
ここで、
図2に示すように、配線電極22pには、x軸方向で延びている途中に、z軸方向における幅がWpでx軸方向における長さがLpの所定値以上の面積を有する領域22paが形成されている。配線電極22nにも、x軸方向で延びている途中に、z軸方向における幅がWnでx軸方向における長さがLnの所定値以上の面積を有する領域22naが形成されている。同様に、配線電極22a~22j、22lにも、所定値以上の面積を有する領域22aa~22ja、22la、がそれぞれ形成されている。この領域22aa~22ja、22la、22na、22paは、光素子モジュール100の作製工程における中間検査(特性検査やスクリーニングのためのバーンインなど)で半導体レーザ素子30に通電する際にプローブ針を突き当てるための領域であり、プローブ針を突き当てるために十分な面積を有している。領域22aa~22ja、22la、22na、22paは、200μm角以上、面積としては40000μm
2以上であることが好ましい。
【0045】
半導体レーザ素子30のように10を超えるような多数の配線電極(配線電極21、22a~22p)を有していると、配線電極に突き当てるプローブ針の配置設計は必ずしも容易ではない。検査工程を自動化し、プローブ針を自動突き当てするためには、プローブ針の突き当て位置のずれを許容するために十分な広さの突き当て用領域が必要であり、例えば200μm角以上の領域を設けることが好ましい。また、プローブ針同士の間隔はある程度以上広いことが必要である。また、サブマウント20上の配線電極は厚さが限られるので、長すぎると過剰な抵抗となる。このような条件を考慮して配線電極のパターンを設計すると、全ての配線電極について、配線電極の途中に幅が広く十分な面積の領域を用意することが困難である。
【0046】
そこで本実施形態では、半導体レーザ素子30の16個の素子電極31にワイヤボンディングするサブマウント20の16個の配線電極22a~22pのうち、配線電極22a~22j、22l、22n、22pの13個には、プローブ針を突き当てるための領域22aa~22ja、22la、22na、22paを設けた。一方、第1配線電極としての配線電極22o、22m、22kにはこのような領域を設けない。従って、配線電極22o、22m、22kのz軸方向における幅の最大値は、配線電極22a~22j、22l、22n、22pのz軸方向における幅の最大値よりも小さい。その代わりに、配線電極22o、22m、22kについては、第2配線電極としての配線電極23a、23b、23cを、配線電極22a~22pとは半導体レーザ素子30を挟んで反対側に設けている。そして、電極パッド部33a、33b、33cが、配線電極22o、22m、22kとはボンディングワイヤ92a~92cによってそれぞれ接続し、配線電極23a~23cとはボンディングワイヤ93a~93cによってそれぞれ接続するようにしている。そして、配線電極23a~23cは自動突き当てに十分な面積としている。従って、配線電極22o、22m、22kのz軸方向における幅の最大値は、配線電極23a~23cのz軸方向における幅の最大値よりも小さい。このような配線電極23a~23cは、半導体レーザ素子30がサブマウント20に対して傾斜して配置されているために図中右上側に形成された空き領域に好適に設けられている。その結果、配線電極22o、22m、22kにはプローブ針の突き当てのための領域を設けなくもよいので、配線電極22a~22pを半導体レーザ素子30の+x側に設けるようなレイアウトが制約された条件でも、所望の高密度な配線を実現することができる。
【0047】
また、中間検査の際には、配線電極22o、22m、22k以外の配線電極22a~22j、22l、22n、22pにおける領域22aa~22ja、22la、22na、22pa及び配線電極23a~23cにプローブ針を突き当てて半導体レーザ素子30に電流を流して半導体レーザ素子30の特性を評価することが容易にできる。従って、サブマウントの多層化などの複雑な構造を必要とせず、簡易な構造とできる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、レイアウトが制約された条件でも所望の配線を実現でき、評価も容易であり、かつ簡易な構造の光素子モジュール100が実現される。
【0049】
なお、上記実施形態において、光素子は半導体レーザ素子であるが、本発明は素子電極を有する他の種類の光素子にも適用できる。また、上記実施形態では、リードピンが筐体の一側面側に設けられているが、リードピンの配置はこれに限定されない。また、上記実施形態では、筐体は略直方体の形状であるが、他の形状でもよく、他の形状の場合にリードピンが筐体の一側面側に設けられていてもよい。さらに、上記実施形態では半導体レーザ素子に複数の第1素子電極を含む素子電極が複数設けられ、サブマウントに複数の第1配線電極及び第2配線電極を含む配線電極が複数設けられているが、素子電極は1個又は複数の第1素子電極のみが設けられていてもよいし、サブマウントに1個又は複数の第1配線電極及び第2配線電極のみが設けられていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 筐体
20 サブマウント
21、22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22i、22j、22k、22l、22m、22n、22o、22p、23a、23b、23c、61 配線電極
22aa、22ba、22ca、22da、22ea、22fa、22ga、22ha、22ia、22ja、22la、22na、22pa 領域
24a、24b、25a、25b 側面
30 半導体レーザ素子
31 素子電極
32 直線電極部
33、33a、33b、33c 電極パッド部
40 コリメータレンズ
50 集光レンズ
60 基板
70 リードピン
80 光ファイバ
91、92、92a、92b、92c、93a、93b、93c ボンディングワイヤ
100 光素子モジュール
L レーザ光