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特許7097424化合物、化合物の合成方法、ハードマスク組成物およびパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】化合物、化合物の合成方法、ハードマスク組成物およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 15/20 20060101AFI20220630BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20220630BHJP
   C07C 15/14 20060101ALI20220630BHJP
   C07C 2/86 20060101ALI20220630BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20220630BHJP
【FI】
C07C15/20 CSP
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C07C15/14
C07C2/86
C01B32/184
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020195855
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2021095392
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168230
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 栽 範
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534244(JP,A)
【文献】特開2001-338764(JP,A)
【文献】特開2002-216963(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105061135(CN,A)
【文献】特開2016-197228(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109411634(CN,A)
【文献】Iyer, Vivekanantan S. et al.,,From hexa-peri-hexabenzocoronene to "superacenes",Angewandte Chemie, International Edition in English,1997年,(1997), 36(15), 1604-1607
【文献】Sadhukhan, Subir K. et al.,,Syntheses of hexabenzocoronene derivatives,Synthesis,2003年,(2003), (10), 1521-1525
【文献】Holzwarth, Johannes et al.,,Highly Regioselective Alkylation of Hexabenzocoronenes: Fundamental Insights into the Covalent Chemistry of Graphene,Angewandte Chemie, International Edition,2017年,(2017), 56(40), 12184-12190
【文献】Stassen, Daphne et al.,Extended O-Doped Polycyclic Aromatic Hydrocarbons,Angewandte Chemie, International Edition,2016年,(2016), 55(20), 5947-5951
【文献】Dumslaff, Bastian et al.,A Phenylene-Bridged Cyclohexa-meta-phenylene as Hexa-peri-hexabenzocoronene Precursor,Chemistry - A European Journal,2018年,(2018), 24(46), 11908-11910
【文献】Li, Yongjun et al.,X-Shaped Polycyclic Aromatic Hydrocarbons: Optical Properties and Tunable Assembly Ability,Chemistry - An Asian Journal,2019年,(2019), 14(3), 491-498
【文献】Li, Yongjun et al.,A method for controlling the synthesis of stable twisted two-dimensional conjugated molecule,Nature Communications,2016年,(2016), 7, 11637pp
【文献】Finke, Aaron D.; et al.,Iterative Synthesis of 1,3,5-Polyphenylene Dendrons via C-H Activation,Organic Letters,2008年,(2008), 10(21), 4851-4854
【文献】Xu, Zhifu et al.,Stiff dendritic macromolecules. 3. Rapid formation of large phenylacetylene dendrimers with molecular diameters up to 12.5 nanometers,Angew. Chem., Int.. Ed. Engl.,,1993年,1993, 32(9), 1354-7
【文献】Liu, Junzhi et al.,Toward Cove-Edged Low Band Gap Graphene Nanoribbons,Journal of the American Chemical Society,2015年,(2015), 137(18), 6097-6103
【文献】Zhai, Linyi et al.,Probing the Arenium-Ion (Proton Transfer) versus the Cation-Radical,Journal of Organic Chemistry,2010年,(2010), 75(14), 4748-4760
【文献】Herwig, Peter T. et al.,Synthesis and structural characterization of hexa-tert-butyl-hexa-peri-hexabenzocoronene, its radical cation salt and its tricarbonylchromium complex,Chemistry - A European Journal,2000年,(2000), 6(10), 1834-1839
【文献】Feng, Xinliang et al.,Hexa-peri-hexabenzocoronenes by efficient oxidative cyclodehydrogenation: The role of the oligophenylene precursors,Organic Letters,2006年,(2006), 8(6), 1145-1148
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
G03F
C01B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記化学式2~6で表される化合物のいずれか1つである、化合物:
【化1】

【化2】

【化3】

前記化学式2~6中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。
【請求項2】
前記化学式2~6中のRおよびRは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される基である、請求項に記載の化合物:
【化4】

前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、0~3の整数である。
【請求項3】
前記化学式2中のRは、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基である、請求項またはに記載の化合物。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物および溶媒を含むハードマスク組成物。
【請求項5】
材料層の上に、請求項に記載のハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、化合物の合成方法、化合物を含むハードマスク組成物、およびハードマスク組成物を使用するパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業は数百ナノメートル大きさのパターンから数~数十ナノメートル大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板の上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像を行ってフォトレジストパターンを形成した後、前記フォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
将来、形成しようとするパターンの大きさが減少することによって前述の典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成しにくい。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層の間に、ハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2015/0166711号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハードマスク層の耐エッチング性を向上させることができる化合物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記化合物の合成方法を提供することにある。
【0008】
本発明のまた他の目的は、前記化合物を含むハードマスク組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、炭素数40以上の縮合または非縮合の多環芳香族コアと前記コアの末端に位置する複数の置換基を含み、前記置換基は置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択される化合物を提供する。
【0011】
前記少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたナフチル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたアントラセニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェナントレニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピレニル基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
前記複数の置換基から選択される2つの置換基は、1つの芳香族環に対して互いにオルト位の関係となるように結合しうる。
【0013】
前記少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、下記化学式1で表される基であってもよい。
【0014】
【化1】
【0015】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状のアルキル基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、0~3の整数である。
【0016】
前記置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、置換もしくは非置換の炭素数3~20のiso-アルキル基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のsec-アルキル基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のneo-アルキル基であってもよい。
【0017】
前記置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、置換もしくは非置換のiso-プロピル基、置換もしくは非置換のiso-ブチル基、置換もしくは非置換のsec-ブチル基、置換もしくは非置換のtert-ブチル基、置換もしくは非置換のiso-ペンチル基、置換もしくは非置換のsec-ペンチル基、置換もしくは非置換のtert-ペンチル基、または置換もしくは非置換のneo-ペンチル基であってもよい。
【0018】
前記縮合または非縮合の多環芳香族コアは、ボラジン(Borazine)に由来した部分構造を含むことができる。
【0019】
前記縮合または非縮合の多環芳香族コアは縮合多環芳香族環であり、前記縮合多環芳香族環はナノグラフェンであってもよい。
【0020】
前記縮合多環芳香族コアの末端で置換可能な位置の総個数に対する前記置換基の個数の比率は10%以上であってもよい。
【0021】
前記縮合多環芳香族コアは、1~20nmのサイズを有する粒子であってもよい。
【0022】
前記縮合または非縮合多環芳香族コアは縮合多環芳香族環であり、前記化合物は下記化学式2~6で表される化合物のいずれか1つあることが好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
前記化学式2~6中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。
【0027】
前記化学式2~6中、RおよびRは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される基であってもよい。
【0028】
【化5】
【0029】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、0~3の整数である。
【0030】
前記化学式2中、Rは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であってもよい。
【0031】
前記縮合または非縮合の多環芳香族コアは非縮合多環芳香族環であり、前記化合物は下記化学式7~11で表される化合物のいずれか1つであることが好ましい。
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
上記化学式7~11中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。
【0036】
上記化学式7~11中、RおよびRは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される基であってもよい。
【0037】
【化9】
【0038】
前記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、0~3の整数である。
【0039】
本発明の他の実施形態によれば、下記化学式12で表される化合物を準備する段階、および下記化学式12で表される化合物と少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階、を含む、化合物の合成方法を提供する。
【0040】
【化10】
【0041】
前記化学式12中、
およびAは、それぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基であり、
およびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。
【0042】
前記少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物は、1つの芳香族環、または2つ以上の芳香族環が単結合によって連結された非縮合芳香族環を含むことができる。
【0043】
前記化合物の合成方法は、前記多環芳香族化合物の環化脱水素反応によって炭素数40以上の縮合多環芳香族環を形成する段階をさらに含み、前記炭素数40以上の縮合多環芳香族環はナノグラフェンであってもよい。
【0044】
また、本発明の他の実施形態によれば、前述の化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を提供する。
【0045】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、材料層の上に前述のハードマスク組成物を塗布し熱処理してハードマスク層を形成する段階、前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含む、パターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、ハードマスク層の耐エッチング性を向上させる化合物が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】化学式1aで表される化合物のH-NMRスペクトルである。
図2】化学式1bで表される化合物のH-NMRスペクトルである。
図3】化学式1cで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルである。
図4】1,3,5-トリエチニルベンゼン(TEB)、化学式1bで表される化合物、および化学式1cで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
図5】化学式1dで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルである。
図6】3,3’,5’,5’-テトラエチニルビフェニル(TEBP)、化学式1bで表される化合物、および化学式1dで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
図7】化学式1eで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルである。
図8】1,3,5-トリエチニルベンゼン(TEB)、化学式1bで表される化合物、化学式1cで表される化合物、および化学式1eで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
図9】化学式1fで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルである。
図10】3,3’,5’,5’-テトラエチニルビフェニル(TEBP)、化学式1bで表される化合物、化学式1dで表される化合物、および化学式1fで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0049】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子が重水素原子、ハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、メルカプト基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオール基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0050】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、メルカプト基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルチオール基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数2~30のヘテロ環基のうちの、隣接した2つの置換基が縮合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換された炭素数6~30のアリール基と縮合して置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0051】
また、本明細書で別途の定義がない限り、‘ヘテロ’とは、N、O、S、SeおよびPから選択されるヘテロ原子を1個~3個含有することを意味する。
【0052】
本明細書において、“アリール基(aryl group)”は、炭化水素芳香族部分構造を1つ以上有するグループを意味し、広くは炭化水素芳香族部分構造が単結合で連結された形態、および炭化水素芳香族部分構造が直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環も含む。アリール基は、単環、多環、または縮合多環の(即ち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0053】
本明細書において、“ヘテロ環基(heterocyclic group)”は、ヘテロアリール基を含む概念であり、これに追加して、アリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環、またはこれらの組み合わせなどの環化合物内で、炭素(C)原子の代わりにN、O、S、PおよびSiより選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有することを意味する。ヘテロ環基が縮合環である場合、ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0054】
より具体的には、置換または非置換のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合した形態であってもよいが、これらに制限されない。
【0055】
より具体的には、置換または非置換のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジニル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンゾオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンゾチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のファナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、ピリドインドリル基、ベンゾピリドオキサジニル基、ベンゾピリドチアジニル基、9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジニル基、これら置換基の組み合わせ、またはこれら置換基の組み合わせが縮合した形態であってもよいが、これらに制限されない。本発明の一例において、ヘテロ環基またはヘテロアリール基は、ピリジル基、カルバゾリル基、またはピリドインドリル基であってもよい。
【0056】
本明細書において、“芳香族環”は、非縮合芳香族環、縮合芳香族環、芳香族環が単結合で連結された形態、ベンゼン環の上の互いに平行しない2つの結合に縮合されたそれぞれの環が縮合された形態、ベンゼン環の上の互いに平行しない2つの結合に縮合されたそれぞれの環が単結合もしくは二重結合で連結された形態、またはこれらの組み合わせを含むものである。
【0057】
本明細書において、エチニル基(ethynyl group)は、炭素-炭素三重結合(-C≡CH)が化合物の末端に位置した官能基を意味する。
【0058】
以下、本発明の一実施形態による化合物を説明する。
【0059】
本発明の一実施形態による化合物は、複数の芳香族環を含む多環芳香族コアを含み、前記多環芳香族コアの末端に位置する芳香族環は、複数個の置換基で置換されていてもよい。
【0060】
多環芳香族コアは、炭素数40以上の縮合または非縮合の多環芳香族コアであってもよく、例えば、炭素数48以上、50以上、または54以上の縮合または非縮合の多環芳香族コアであってもよく、例えば、炭素数250以下、炭素数230以下、炭素数210以下、炭素数200以下、炭素数180以下、または炭素数150以下の縮合または非縮合の多環芳香族コアであってもよい。一例として、多環芳香族コアは、複数の芳香族環が縮合されている縮合多環芳香族コアであってもよく、例えば、ハニカム形状の縮合された構造を有することができる。一例として、多環芳香族コアは、複数の芳香族環が単結合で連結されている非縮合多環芳香族コアであってもよく、例えば、1つまたは2つの芳香族環を中心にして複数の芳香族環が放射状に伸びている構造を有することができる。縮合多環芳香族コアおよび非縮合多環芳香族コアについては後述する。
【0061】
置換基は多環芳香族コアの末端(例えば、エッジ)に位置する芳香族環に結合されており、化合物に立体障害(steric hindrance)を与えるバルキー(bulky)な基を含むことができる。例えば、置換基は置換または非置換の炭素数3~20の分枝状炭化水素を含むことができ、例えば、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基を含むことができる。化合物が置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基を含むことによって、有機溶媒に対する化合物の溶解度を高めることができ、スピンオンコーティングのような溶液工程に効果的に適用することができる。
【0062】
一例として、上記の置換基は、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された芳香族環基もしくは脂肪族環基、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0063】
一例として、上記の置換基は、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された芳香族環基または脂肪族環基を含むことができ、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基、およびこれらの組み合わせから選択できる。このように、置換基として置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された芳香族環基または脂肪族環基を含むことによって、化合物の末端に位置する置換基の回転による立体障害をさらに誘発して、有機溶媒に対する化合物の溶解度を一層高めることができ、スピンオンコーティングのような溶液工程にさらに効果的に適用することができる。
【0064】
但し、前述の化合物は、多環芳香族コアの末端に、前述の置換基以外のヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、および/または置換もしくは非置換の炭素数1~30のチオアルコキシ基を追加的に含まなくてもよい。これにより、前述の置換基によって化合物の溶解度を改善しながら、炭素含有量を高めることができて、硬化後に硬い層を形成することができる。したがって、高い耐エッチング性を付与することができる。具体的には、CFエッチングガスに対する耐エッチング性がさらに高い層を形成することができる。
【0065】
一例として、上記の複数の置換基から選択された2つの置換基は、1つの芳香族環に結合でき、例えば、1つの芳香族環の隣接した位置に結合でき、例えば、1つの芳香族環に互いにオルト(ortho)位の関係となるように結合できるが、これに限定されない。これにより、化合物末端の複数個の置換基間の立体障害をさらに誘発することによって、化合物間の相互作用および/またはスタッキング(stacking)を減らすか防止して、溶媒に対する溶解度をさらに改善することができる。
【0066】
一例として、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、置換もしくは非置換の炭素数3~20のiso-アルキル基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のsec-アルキル基、置換もしくは非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数5~20のneo-アルキル基であってもよい。好ましくは、置換または非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基であってもよい。
【0067】
具体的に、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、置換もしくは非置換のiso-プロピル基、置換もしくは非置換のiso-ブチル基、置換もしくは非置換のsec-ブチル基、置換もしくは非置換のtert-ブチル基、置換もしくは非置換のiso-ペンチル基、置換もしくは非置換のsec-ペンチル基、置換もしくは非置換のtert-ペンチル基、または置換もしくは非置換のneo-ペンチル基であってもよいが、好ましくは、置換または非置換のtert-ブチル基であってもよい。これにより、化合物の溶解性をさらに改善することができる。
【0068】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたナフチル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたアントラセニル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェナントレニル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピレニル基であってもよい。好ましくは、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は前述の通りである。
【0069】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、少なくとも2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよい。
【0070】
具体的には、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたナフチル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたアントラセニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェナントレニル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピレニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、好ましくは、少なくとも2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0071】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよい。
【0072】
具体的には、2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基、2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたナフチル基、2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたアントラセニル基、2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェナントレニル基、または2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピレニル基であってもよい。好ましくは、2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、互いにメタ(meta)位の関係にあってもよい。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0073】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。当該化合物は、例えば、下記化学式1で表すことができる。
【0074】
【化11】
【0075】
上記化学式1中、
およびRは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状のアルキル基であり、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、またはこれらの組み合わせであり、
nは、0~3の整数である。
【0076】
上記化学式1中のRおよびRの定義において、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0077】
一例として、本発明の化合物は、上記化学式1で表される置換基を2つ以上含むことができ、例えば、4個以上、6個以上、8個以上、10個以上、または12個以上含むことができ、例えば、2個~30個、4個~30個、6個~30個、8個~30個、10個~30個または12個~30個含むことができる。
【0078】
本発明の化合物は、複数の上記化学式1で表される基をコアの末端に含むことによって、化合物の炭素含有量を高めることができ、固い層を形成することができるので、さらに高い耐エッチング性を付与することができる。また、隣接の置換基間の立体障害(steric hindrance)を適切な水準で誘発して、化合物のねじれを適切な水準で誘発することができ、これにより、化合物の溶媒に対する溶解度をより一層改善することができる。
【0079】
一例として、RおよびRは、互いに同一であるか異なってもよいが、好ましくは、互いに同一であってもよい。例えば、RおよびRは、全て置換または非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基であってもよく、具体的には、RおよびRは、全て置換または非置換のtert-ブチル基であってもよいが、これに限定されない。
【0080】
一例として、nは0または1であってもよいが、好ましくは、nは0であってもよい。
【0081】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基は、少なくとも1つの置換もしくは非置換のシクロペンチル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換のシクロヘキシル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換のシクロヘプチル基であってもよいが、これらに限定されない。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0082】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基は、少なくとも2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のシクロアルキル基であってもよい。具体的には、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたシクロペンチル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたシクロヘキシル基、または少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたヘプチル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0083】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基は、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリジル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリミジル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリダジニル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピラジニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0084】
一例として、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基は、少なくとも2つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基であってもよい。
【0085】
より具体的には、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリジル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリミジル基、少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピリダジニル基、または少なくとも2つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換されたピラジニル基であってもよいが、これらに限定されるものではない。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0086】
前述のように、化合物は、縮合または非縮合の多環芳香族コアの末端に、前述の複数個の置換基を含むことによって溶媒に対する高い溶解度を有すると同時に、炭素数40以上の縮合または非縮合の多環芳香族コアを含むことによって、化合物の炭素含有量を一層高めることができて固い層を形成することができるので、さらに高い耐エッチング性を付与することができる。
【0087】
縮合または非縮合の多環芳香族コアは、全て炭素原子および/または水素原子からなる必要はなく、炭素原子および水素原子以外の原子が一部混在することもある。例えば、炭素原子および水素原子以外の原子は、ホウ素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子であってもよいが、これらに限定されない。例えば、縮合または非縮合の多環芳香族コアは、ボラジン(Borazine)に由来した部分構造を含むことができる。
【0088】
縮合または非縮合の多環芳香族コアは、好ましくは縮合多環芳香族環であってもよく、これにより、さらに固い層を形成することができるので、さらに高い耐エッチング性を付与することができる。例えば、縮合または非縮合の多環芳香族コアは、炭素数40以上、炭素数48以上、炭素数50以上、または炭素数54以上の縮合多環芳香族環であってもよく、例えば、炭素数250以下、炭素数230以下、炭素数210以下、炭素数200以下、炭素数180以下、または炭素数150以下の縮合多環芳香族環であってもよい。
【0089】
一例として、縮合多環芳香族環は、ナノグラフェンであってもよい。ナノグラフェンは、複数個の炭素原子が互いに共有結合で連結されて数Å~数百nmサイズを有する多環芳香族環を形成したものであって、共有結合で連結された炭素原子は基本繰り返し単位として6員環を形成するが、5員環および/または7員環をさらに含むことができる。コアのナノグラフェンは、互いに共有結合された炭素原子(通常、sp結合)が共役化(conjugated)されて複数個の六角形が辺で連結されたハニカム形状の2次元平面構造を成すことができる。
【0090】
ナノグラフェンを製造する方法は、黒鉛(graphite)を物理/化学的な力で剥離する方法(Top-down)と、小さい分子のような有機物から合成する方法(bottom-up)とに区分でき、小さい分子のような有機物から合成する方法で製造されたナノグラフェンは、黒鉛を物理/化学的な力で剥離する方法と異なり所望の構造およびサイズで容易に形成できるのでさらに好ましいこともある。本実施形態での縮合多環芳香族環は、有機物から合成する方法によって得られたナノグラフェンが好ましい。
【0091】
化合物は、コアとしてナノグラフェンを含むことによって、既存の非晶質炭素膜よりsp炭素の含有量が高いことがある。sp炭素は、共役化されており、また結合の電子は非局在化されており、sp炭素-sp炭素結合エネルギーがsp炭素-sp炭素結合エネルギーに比べて大きいことがある。コアのナノグラフェンを構成する炭素-炭素結合エネルギーが大きくなることによって、コアのナノグラフェンの結合切断がさらに難しいこともある。
【0092】
これにより、化合物がナノグラフェンをコアとして含むことによって、sp炭素に比べてsp炭素含有量が高く、よって、炭素に対する水素比(C/H ratio)が増加して、乾式エッチングガスに対する高い耐エッチング性を有することができる。
【0093】
一例として、縮合多環芳香族コアの末端で置換可能な位置の総個数に対する前記置換基の個数の比率は10%以上であってもよく、例えば10~55%、20~50%、または25~43%であってもよい。これにより、縮合多環芳香族コアを有する化合物の溶媒に対する溶解度を改善することができる。
【0094】
一例として、縮合多環芳香族コアは、1~20nmのサイズを有する粒子であってもよく、例えば、1~15nm、1~10nm、または1~5nmのサイズを有する粒子であってもよい。縮合多環芳香族コアが球状である場合、“サイズ”は縮合多環芳香族コアの平均粒径を示す。縮合多環芳香族コアが板状構造を有する場合、“サイズ”は2次元平面上の直径を示し、縮合多環芳香族コアが楕円形である場合、“サイズ”は長軸直径を示すことができる。化合物が前述の範囲のサイズを有する縮合多環芳香族コアを有することによって、下部基板(あるいは膜)に段差が存在する場合あるいはパターンを形成する場合、前記化合物で層を形成した際に、さらに優れたギャップフィルおよび平坦化特性を提供することができる。
【0095】
なお、上記縮合多環芳香族コアのサイズは、走査型トンネル顕微鏡(STM)と原子間力顕微鏡(AFM)とを用いて測定することができる。
【0096】
一例として、縮合または非縮合の多環芳香族コアは縮合多環芳香族環であり、前記化合物は下記化学式2~6で表される化合物のいずれか1つであることが好ましい。
【0097】
【化12】
【0098】
【化13】
【0099】
【化14】
【0100】
上記化学式2~6中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。ここで、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基は、前述の通りである。
【0101】
一例として、上記化学式2~6中、RおよびRのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよく、例えば、RおよびRは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよい。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、前述の通りである。
【0102】
一例として、上記化学式2~6中、RおよびRは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される基であってもよい。
【0103】
【化15】
【0104】
上記化学式1中、R~R、およびnは、前述の通りである。
【0105】
一例として、前記化学式2~6中、RおよびRは、互いに同一であるか異なってもよいが、好ましくは互いに同一である。
【0106】
一例として、前記化学式2中、Rは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であってもよく、ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0107】
例えば、前記化学式2中、Rは、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基であってもよく、具体的には、置換または非置換のtert-ブチル基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0108】
一例として、縮合または非縮合の多環芳香族コアは、非縮合多環芳香族環であってもよく、例えば、炭素数40以上、炭素数48以上、炭素数50以上または炭素数54以上の非縮合多環芳香族環であってもよく、例えば、炭素数250以下、炭素数230以下、炭素数210以下、炭素数200以下、炭素数180以下、または炭素数150以下の非縮合多環芳香族環であってもよい。
【0109】
一例として、縮合または非縮合の多環芳香族コアは非縮合多環芳香族環であり、前記化合物は下記化学式7~11で表される化合物のいずれか1つであることが好ましい。
【0110】
【化16】
【0111】
【化17】
【0112】
【化18】
【0113】
上記化学式7~11中、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基である。ここで、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基、少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、または少なくとも1つの置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数3~30のヘテロ環基は、前述の通りである。
【0114】
一例として、前記化学式7~11中、RおよびRのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよく、例えば、RおよびRは、それぞれ独立して、少なくとも1つの置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基であってもよい。ここで、置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基で置換された炭素数6~30のアリール基は、前述の通りである。
【0115】
一例として、上記化学式7~11中、RおよびRは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される基であってもよい。
【0116】
【化19】
【0117】
上記化学式1中、R~R、およびnは前述の通りである。
【0118】
一例として、上記化学式7~11中、RおよびRは、互いに同一であるか異なってもよいが、好ましくは互いに同一であってもよい。
【0119】
一例として、上記化学式7中、Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基であってもよく、ここで、置換もしくは非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基は、前述の通りである。
【0120】
例えば、上記化学式7~11中、Rは、置換もしくは非置換の炭素数4~20のtert-アルキル基であってもよく、具体的には、置換もしくは非置換のtert-ブチル基であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0121】
前述の化合物の分子量は、例えば500~30,000であってもよく、例えば700~10,000であってもよく、または1,000~5,000であってもよいが、これらに限定されるものではない。なお、当該分子量は、MALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)法により測定することができる。
【0122】
上記の分子量を有する化合物を使用する場合、ベーク工程中にピンホールおよびボイドの形成や厚さのばらつきがほとんどなく、さらに均一な薄膜を形成することができるだけでなく、下部基板(または膜)に段差が存在する場合、あるいはパターンを形成する場合に、さらに優れたギャップフィルおよび平坦化特性を提供することができる。
【0123】
本発明の他の実施形態は、前述の化合物の合成方法に関するものである。
【0124】
本発明の一実施形態による前述の化合物の合成方法は、シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物を準備する段階、および前記シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物とエチニル基を有する化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階、を含む。
【0125】
シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物を準備する段階は、後述の化学式12で表される化合物を準備する段階であってもよい。
【0126】
シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物とエチニル基を有する化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階において、前記シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物は、後述の化学式12で表される部分構造を有してもよく、前記エチニル基を有する化合物は、少なくとも2つのエチニル基を有することができ、例えば、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物であってもよい。
【0127】
シクロペンタジエノン部分構造を含む化合物とエチニル基を有する化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階は、下記化学式12で表される化合物と少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物を反応させて多環芳香族化合物を得る段階であってもよい。
【0128】
【化20】
【0129】
上記化学式12中、
およびAは、それぞれ独立して、置換または非置換のフェニル基であり、
およびRの定義は、前述の通りである。
【0130】
一例として、AおよびAは、それぞれ独立して、非置換のフェニル基であるか;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~30のヘテロ環基、またはこれらの組み合わせで置換されたフェニル基であってもよい。
【0131】
一例として、AおよびAは、互いに同一であるか異なり、好ましくは互いに同一である。
【0132】
一例として、AおよびAは、フェニル基であってもよい。
【0133】
但し、A、A、R、およびRは、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~30のチオアルコキシ基を含まなくてもよい。これにより、炭素含有量を高く維持して耐エッチング性の減少を防止することができ、具体的に、CFエッチングガスに対する耐エッチング性の減少を防止することができる。
【0134】
一例として、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物は、少なくとも3つのエチニル基または少なくとも4つのエチニル基を有することができ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのエチニル基を有することができる。
【0135】
一例として、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物は、1つの芳香族環、または2つ以上の芳香族環が単結合によって連結された非縮合芳香族環を含むことができる。
【0136】
一例として、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物は、下記グループ1から選択される置換または非置換の芳香族環を含むことができる。
【0137】
【化21】
【0138】
上記グループ1の定義中、‘置換された’は他の置換基でさらで置換されたことを意味し、‘非置換の’は他の置換基でさらに置換されないことを意味する。ここで、前記の他の置換基は、例えば前述の置換または非置換の炭素数3~20の分枝状アルキル基を含むことができるが、これに限定されない。
【0139】
一例として、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物は、下記グループ2から選択される置換または非置換の化合物のいずれか1つであってもよい。
【0140】
【化22】
【0141】
上記グループ2中、Rは前述の通りであり、上記グループ2の定義中、‘置換された’は他の置換基でさらに置換されたことを意味し、‘非置換の’は他の置換基でさらに置換されないことを意味する。
【0142】
上記化学式12で表される化合物と、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階は、熱処理する段階を含むことができ、例えば、300℃以下の温度で熱処理する段階を含むことができ、例えば、50℃~300℃、70℃~250℃、または100℃~200℃の温度で熱処理する段階を含むことができる。
【0143】
上記化学式12で表される化合物と、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階は、前述の化学式12で表される化合物と前述の少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物とのディールスアルダー反応(Diels-Alder Reaction)および除去反応(Elimination Reaction)によって多環芳香族化合物を得る段階であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0144】
一例として、上記化学式12で表される化合物と、少なくとも2つのエチニル基を有する芳香族化合物とを反応させて多環芳香族化合物を得る段階において、前記多環芳香族化合物は非縮合多環芳香族化合物であってもよく、例えば、前述の化学式7~11で表される化合物のうちのいずれか1つであってもよい。ここで、前記多環芳香族化合物は、炭素数40以上、炭素数48以上、炭素数50以上、または炭素数54以上であってもよく、例えば、炭素数250以下、炭素数230以下、炭素数210以下、炭素数200以下、炭素数180以下、または炭素数150以下であってもよい。
【0145】
一例として、化合物の合成方法は、多環芳香族化合物の環化脱水素反応(cyclodehydrogenation)によって炭素数40以上の縮合多環芳香族環を形成する段階をさらに含むことができ、これにより、前述の化学式2~6で表される化合物を形成することができる。ここで、縮合多環芳香族環は、炭素数40以上、炭素数48以上、炭素数50以上または炭素数54以上であってもよく、例えば、炭素数250以下、炭素数230以下、炭素数210以下、炭素数200以下、炭素数180以下、または炭素数150以下であってもよい。例えば、炭素数40以上の縮合多環芳香族環はナノグラフェンであってもよい。ここで、ナノグラフェンの定義は前述の通りである。
【0146】
一例として、多環芳香族化合物の環化脱水素反応(cyclodehydrogenation)によって炭素数40以上の縮合多環芳香族環を形成する段階は、多環芳香族化合物に酸触媒を処理する段階を含むことができる。酸触媒はルイス酸(Lewis acid)であってもよく、例えば、無機酸触媒であってもよく、例えば、金属酸触媒であってもよい。
【0147】
具体的には、酸触媒は、塩化鉄(III)(iron(III) chloride)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone)、オゾン(ozone)、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0148】
前述の化合物の合成方法は、ナノグラフェンをコアとして含む化合物を小さい分子から合成することによって、物理/化学的な力で剥離する方法と異なり所望の構造およびサイズでナノグラフェンを容易に形成することができるのでさらに好ましいこともある。
【0149】
他の実施形態によれば、前述の化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物を提供する。
【0150】
ハードマスク組成物に含まれる溶媒は、化合物に対する十分な溶解性または分散性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
化合物は、ハードマスク組成物の総質量に対して、例えば0.1~50質量%、例えば0.5~40質量%、1~30質量%、または3~20質量%の含有量で含まれてもよい。上記の範囲で化合物が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度を調節することができる。
【0152】
ハードマスク組成物は、追加的に、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0153】
界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらのポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0155】
また、架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を使用することができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0156】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0157】
添加剤は、ハードマスク組成物に含まれる化合物と溶媒との合計量100質量部に対して、0.001~40質量部、0.01~30質量部、または0.1~20質量部でハードマスク組成物に含まれてもよい。このような含有量の範囲で添加剤を含むことによって、ハードマスク組成物の光学的特性をほとんど変えることなく、溶解度を向上させることができる。
【0158】
また、本発明の他の実施形態によれば、前述のハードマスク組成物を使用して製造された有機膜を提供する。有機膜は、前述のハードマスク組成物を、例えば基板の上にコーティングした後、熱処理工程を経て硬化した形態であってもよく、例えば、ハードマスク層、平坦化膜、犠牲膜、充填剤など電子デバイスに使用される有機薄膜を含むことができる。
【0159】
以下、前述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0160】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、前記材料層の上に前述の化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、を含む。
【0161】
基板は、例えば、シリコンウエハー、ガラス基板または高分子基板であってもよい。
【0162】
材料層は最終的にパターニングしようとする材料を含み、例えば、アルミニウム、銅などの金属、シリコンなどの半導体または酸化ケイ素、窒化ケイ素などのような絶縁体を含む層であってもよい。材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成できる。
【0163】
ハードマスク組成物は前述の通りであり、溶液形態に製造されてスピンオンコーティング方法で塗布できる。この際、ハードマスク組成物の塗布厚さは特に限定されないが、例えば、50Å~200,000Åの厚さで塗布される。
【0164】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100~700℃で10秒~1時間行うことができる。
【0165】
一例として、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。前記シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質から形成することができる。
【0166】
一例として、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層の上部またはハードマスク層の上部に底反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0167】
フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrF、またはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0168】
材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用して乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスとしては、例えば、CHF、CF、Cl、BClおよびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0169】
エッチングされた材料層は複数のパターンに形成でき、複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であり得、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンに適用できる。
【実施例
【0170】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0171】
[化合物の合成]
(合成例1)
真空オーブンで乾燥された1L丸底フラスコに攪拌子を入れ、1,2-ビス(3,5-ジ-ターシャリーブチルフェニル)エチン(1,2-bis(3,5-di-tert-butylphenyl)ethyne、40.3g、分子量:402.67)およびヨウ素(12.7g)を入れ、ジメチルスルホキシド(DMSO、0.5L)を入れた後、コンデンサを連結し、6時間還流した。その後、混合物をチオ硫酸ナトリウム 1M水溶液 0.5Lおよび酢酸エチル 1Lで順次に希釈し、蒸留水(1回1L、計3回)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥しろ過した後に濃縮して、1,2-ビス(3,5-ジ-ターシャリーブチルフェニル)エタン-1,2-ジオン(39.5g)を得た。1,2-ビス(3,5-ジ-ターシャリーブチルフェニル)エタン-1,2-ジオンは、下記化学式1aで表される化合物である(収率91%、分子量:434.66、H NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):7.82(d、HH=1.8Hz、4H)、7.74(t、HH=1.8Hz、2H)、1.34(s、36H))。
【0172】
図1は、下記化学式1aで表される化合物のH-NMRスペクトルである。
【0173】
【化23】
【0174】
(合成例2)
真空オーブンで乾燥され、滴下ロートとコンデンサとを装着した1L丸底フラスコに攪拌子を入れ、合成例1で得られた化学式1aで表される化合物(39.5g)、1,3-ジフェニル-2-プロパノン(20.1g、分子量:210.28)、およびメタノール(700mL)を入れ、1時間還流しながら攪拌した。その後、水酸化カリウム(10.7g)をメタノール(100mL)に溶かした溶液を、滴下ロートを使用して30分間滴下した後、50分間還流しながら攪拌した。その後、混合物を常温に冷却させた後、生成された赤い沈殿物をろ過し、冷たいエタノール(1回300mL、計3回)で洗浄した後に乾燥して、3,4-ビス(3,5-ジ-ターシャリーブチルフェニル)-2,5-ジフェニルシクロペンタ-2,4-ジエン-1-オン(40.0g)を得た。3,4-ビス(3,5-ジ-ターシャリーブチルフェニル)-2,5-ジフェニルシクロペンタ-2,4-ジエン-1-オンは、下記化学式1bで表される化合物である(収率72%、分子量:608.91、H-NMR(300MHz、CDCl)δ(ppm):7.15-7.35(m、12H)、6.72(d、HH=1.8Hz、4H)、1.05(s、36H))。
【0175】
図2は、下記化学式1bで表される化合物のH-NMRスペクトルである。
【0176】
【化24】
【0177】
(合成例3)
コンデンサを装着した250mL丸底フラスコに攪拌子を入れ、1,3,5-トリエチニルベンゼン(1,3,5-Triethynylbenzene、分子量:150.18、1.64g)、合成例2で得られた上記化学式1bで表される化合物(20.0g)、およびPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、100m)を入れた後、150℃で24時間攪拌しながら反応させた。その後、混合物を常温に冷却し、濃縮して当量の下記化学式1cで表される化合物(20.7g)を得た(分子量:1892.88、MALDI-TOF[M+H]=1892.5154m/z)。
【0178】
図3は、下記の化学式1cで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルであり、図4は、1,3,5-トリエチニルベンゼン(TEB)、上記化学式1bで表される化合物、および下記化学式1cで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
【0179】
【化25】
【0180】
(合成例4)
コンデンサを装着した250mL丸底フラスコに攪拌子を入れ、3,3’,5’,5’-テトラエチニルビフェニル(3,3’,5’,5’-Tetraethynylbiphenyl、2.06g、分子量:250.30)、合成例2で得られた上記化学式1bで表される化合物(20.0g)、およびPGMEA(100m)を入れた後、150℃で24時間攪拌しながら反応させた。その後、混合物を常温に冷却し、濃縮して当量の下記化学式1dで表される化合物(21.1g)を得た(分子量:2573.90、MALDI-TOF[M+H]=2574.0427m/z)。
【0181】
図5は、下記化学式1dで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルであり、図6は、3,3’,5’,5’-テトラエチニルビフェニル(TEBP)、上記化学式1bで表される化合物、および下記化学式1dで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
【0182】
【化26】
【0183】
(合成例5)
真空オーブンで乾燥された1L丸底フラスコに、合成例3で得られた上記化学式1cで表される化合物(10.0g)およびジクロロメタン(500mL)を入れ、氷浴に入れて攪拌した。フラスコに設置された滴下ロートに、塩化鉄(III)(25.7g)およびニトロメタン(nitromethane、200mL)で作った溶液を入れ、30分間滴下しながら攪拌した。滴下後、氷浴を除去し、追加的に2時間攪拌した。その後、混合物にメタノール(100mL)と水(100mL)とを入れて攪拌した後、混合物を濃縮した。濃縮された混合物を、酢酸エチル(1L)で希釈し、0.5N塩化水素(HCl)水溶液(1回1L、計2回)で洗浄し、水(1回1L、計5回)で洗浄した後、濃縮して当量の下記化学式1eで表される化合物(9.9g)を得た(分子量:1874.74、MALDI-TOF[M+H]=1868.2833m/z)。
【0184】
図7は、下記化学式1eで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルであり、図8は、1,3,5-トリエチニルベンゼン(TEB)、上記化学式1bで表される化合物、上記化学式1cで表される化合物、および下記化学式1eで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
【0185】
【化27】
【0186】
(合成例6)
真空オーブンで乾燥された1L丸底フラスコに、合成例4で得られた上記化学式1dで表される化合物(10.0g)およびジクロロメタン(dichloromethane、500mL)を入れ、氷浴に入れて攪拌した。フラスコに設置された滴下ロートに、塩化鉄(III)(、31.5g)およびニトロメタン(nitromethane、200mL)で作った溶液を入れ、30分間滴下しながら攪拌した。滴下後、氷浴を除去し、追加的に2時間攪拌した。その後、混合物にメタノール(100mL)と水(100mL)とを入れて攪拌した後、混合物を濃縮した。濃縮された混合物を、酢酸エチル(1L)で希釈し、0.5N塩化水素(HCl)水溶液(1回1L、計2回)で洗浄し、水(1回1L、計5回)で洗浄した後、濃縮して当量の下記化学式1fで表される化合物(9.8g)を得た(MALDI-TOF[M+H]=2479.6055m/z)。
【0187】
図9は、下記化学式1fで表される化合物のMALDI-TOF-MSスペクトルであり、図10は、3,3’,5’,5’-テトラエチニルビフェニル(TEBP)、上記化学式1bで表される化合物、下記化学式1dで表される化合物、および下記化学式1fで表される化合物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)のクロマトグラムである。
【0188】
【化28】
【0189】
(比較合成例1)
コンデンサを装着した500mL二口丸底フラスコに、1-ヒドロキシピレン(1-hydroxypyrene、21.8g、0.10mol)、1-ナフトール(14.5g、0.10mol)、パラホルムアルデヒド(6.0g、0.2mol)、ジエチルスルフェート(15.4g、0.10mol)、およびPGMEA 115gを入れた後、110℃で5時間~48時間攪拌して重合反応を行い、重量平均分子量が1,000~1,500となった時点で反応を終了させた。重合反応終了後、常温まで徐々に冷却させ、酢酸エチル500mlで希釈し、蒸留水500mlで10回洗浄した。有機層を減圧濃縮した後、テトラヒドロフラン(THF、200ml)で希釈し、ヘキサン 1.5Lに徐々に滴下して沈殿物を得た。沈殿物をろ過した後、再びテトラヒドロフラン200mlに溶かし、ヘキサン 1.5Lに徐々に滴下して再び沈殿物を得た。沈殿物をろ過および乾燥後、下記化学式Aで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:1,500)。
【0190】
【化29】
【0191】
(比較合成例2)
1-ヒドロキシピレン(1-hydroxypyrene、21.8g、0.10mol)、1-ナフトール(14.5g、0.10mol)、パラホルムアルデヒド(6.0g、0.2mol)、ジエチルスルフェート(15.4g、0.10mol)、およびPGMEA(115g)の代わりに、4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール(4,4’-(9H-fluoren-9-ylidene)bisphenol、35.0g、0.10mol)、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン(1,4-bis(methoxymethyl)benzene、16.6g、0.10mol)、ジエチルスルフェート(15.4g、0.10mol)、およびPGMEA(134g)を使用したことを除いては、比較合成例1と同様の方法で、下記化学式Bで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:1,700)。
【0192】
【化30】
【0193】
[ハードマスク組成物の形成]
上記合成例3~6、比較合成例1、および比較合成例2で得られたそれぞれの化合物および重合体を、PGMEA、シクロヘキサノン、または1:10~10:1体積比のPGMEA/シクロヘキサノンなどの適切な溶媒に均一に溶かして、15質量%濃度の実施例1~4、比較例1、および比較例2のハードマスク組成物を製造した。
【0194】
[評価:耐エッチング性]
実施例1~4、比較例1、および比較例2で得られたハードマスク組成物を、それぞれシリコンウエハーにスピンコーティングした後、ホットプレート上で、530℃で2分間熱処理して、3,000~4,000Å厚さの有機膜を形成した。次いで、得られた有機膜にCF混合ガス(100mT/600W/42CF/18CHF/600Ar/15O)を使用して、100秒間乾式エッチングを行った後、有機膜の厚さを再び測定した。
【0195】
乾式エッチング前後の有機膜の厚さの差とエッチング時間とから、下記計算式1によってエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算した。
【0196】
【数1】
【0197】
結果を下記表1に示す。
【0198】
【表1】
【0199】
上記表1から明らかなように、実施例1~4による有機膜は、比較例1および比較例2による有機膜と比較して、エッチングガスに対する十分な耐エッチング性を有し、耐エッチング性が向上するのを確認することができた。
【0200】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も、本発明の権利範囲に属するものである。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10