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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】測定器
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/22 20060101AFI20220704BHJP
   G01D 18/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G01B3/22 P
G01D18/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017192769
(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公開番号】P2019066345
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】辻本 康裕
(72)【発明者】
【氏名】小森 崇
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-122423(JP,A)
【文献】特開平11-019378(JP,A)
【文献】特開2005-250627(JP,A)
【文献】特開2015-049245(JP,A)
【文献】特開2013-024751(JP,A)
【文献】米国特許第04257107(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00- 3/08
G01B 3/11- 3/56
G01B 5/00- 5/30
G01B 21/00-21/32
G01D 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定器に関する情報を記憶する記憶手段と、測定結果を算出する制御手段と、を備える測定器であって、
前記制御手段により算出された前記測定結果を出力する出力手段を備え、
前記記憶手段は、
前記測定器の校正時期として設定された設定値を含む校正時期に関する校正関連情報を記憶し、
前記出力手段は、前記校正関連情報を報知する報知部を備え、
前記記憶手段は、
前記測定器の校正時期として設定された第1の設定値と、
前記第1の設定値よりも遅い時期に設定された第2の設定値と、を含む校正関連情報を記憶し、
前記出力手段は、
前記校正時期に関する警告を報知する警告報知部を備え、
前記制御手段は、
時間を所定の期間ごとにカウント値としてカウントするカウント部と、
前記カウント値と前記第1の設定値および前記第2の設定値とを比較する比較部と、
前記比較部の比較により前記カウント値が前記第1の設定値および前記第2の設定値のいずれか一方に達したか否かを判定する時期判定部と、
前記時期判定部により前記カウント値が前記第1の設定値に達したと判定された場合、校正関連情報を前記報知部に報知させる判定結果実行部と、
前記時期判定部により前記カウント値が前記第2の設定値に達したと判定された場合、警告となる校正関連情報を前記警告報知部に報知させる警告実行部と、を備え
前記報知部は、
前記測定結果の出力とともに前記校正関連情報を報知し、
前記警告報知部は、
スピーカーによるブザーを用いた音、およびバイブレータによる振動の少なくとも一方を用いて前記報知部による報知と同時に警告を報知することを特徴とする測定器。
【請求項2】
請求項1に記載された測定器において、
前記測定器を操作する操作手段を備え、
前記操作手段は、
前記記憶手段に前記校正関連情報を入力する入力部を備えることを特徴とする測定器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された測定器において、
前記測定器を操作する操作手段を備え、
前記操作手段は、通信により前記測定器を操作する通信部を備え、
前記報知部は、
通信を介して前記校正関連情報を報知することを特徴とする測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定精度の保守等を目的に行われる校正について、校正時期を使用者に報知する測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定器に関する情報を記憶する記憶手段と、測定結果を算出する制御手段と、制御手段により算出された測定結果を出力する出力手段と、を備える測定器が知られている。測定器は、例えばノギスやインジケータ、リニアスケール、マイクロメータ等である。
このような測定器は、経時変化により測定精度が変化することがある。このため、測定器の使用者は、測定器の測定精度を保守等するために定期的に校正を行う必要がある。
【0003】
ここで、測定器の校正とは、測定器の測定精度や機能、動作等を確認することをいう。測定器の校正が行われると、一定期間において測定器の測定精度等は有効であると保証される。この際、定期的に測定器の校正を行うために、次回の校正時期を示すシール等を測定器等に設けて校正時期を管理する必要がある。しかしながら、校正時期をシール等で管理した場合、剥がれ落ちてしまったり、測定器に設けた位置によっては使用者が確認することができないことがある。このため、使用者は、校正時期を見落とす等により、校正時期を失効してしまうという問題がある。
【0004】
このような問題に対して、例えば特許文献1の測定具(測定器)では、測定具と連結される校正制御装置を備える。測定具の連結機構に連結されるとともに例えばパーソナルコンピュータ等の外部機器と接続する校正制御装置は、測定具の精度等が保証される保証期間に関連するパラメータ限界を決定する校正限界部と、パラメータ限界を超えない場合に測定データ(測定情報)を出力させ、パラメータ限界を超える場合に校正制御装置に校正限界機能を実行させる制御部と、を備える。校正限界機能とは、測定データの出力を停止する機能や、校正切れ警告の出力(報知)をする機能などである。
このような構成により、測定具は、校正制御装置にて校正時期を監視し、校正時期が過ぎた場合に測定データの出力の停止や校正切れ警告の出力などをすることで、校正時期を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-49245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような測定器では、校正時期を報知する校正制御装置等は測定器の外部に設けられており、測定器は、校正時期を管理するために新たに校正制御装置等を設けなければならないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、校正時期に関する校正関連情報の出力手段を測定器の外部に設けることなく校正関連情報を使用者に報知することができる測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の測定器は、測定器に関する情報を記憶する記憶手段と、測定結果を算出する制御手段と、を備える測定器であって、制御手段により算出された測定結果を出力する出力手段を備え、記憶手段は、測定器の校正時期として設定された設定値を含む校正時期に関する校正関連情報を記憶し、出力手段は、校正関連情報を報知する報知部を備え、記憶手段は、測定器の校正時期として設定された第1の設定値と、第1の設定値よりも遅い時期に設定された第2の設定値と、を含む校正関連情報を記憶し、出力手段は、校正時期に関する警告を報知する警告報知部を備え、制御手段は、時間を所定の期間ごとにカウント値としてカウントするカウント部と、カウント値と第1の設定値および第2の設定値とを比較する比較部と、比較部の比較によりカウント値が第1の設定値および第2の設定値のいずれか一方に達したか否かを判定する時期判定部と、時期判定部によりカウント値が第1の設定値に達したと判定された場合、校正関連情報を報知部に報知させる判定結果実行部と、時期判定部によりカウント値が第2の設定値に達したと判定された場合、警告となる校正関連情報を警告報知部に報知させる警告実行部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明によれば、制御手段は、カウント部によりカウントされたカウント値と設定値とを比較する比較部と、比較部の比較によりカウント値が設定値に達したか否かを判定する時期判定部と、時期判定部によりカウント値が設定値に達したと判定された場合、校正関連情報を報知部に報知させる判定結果実行部と、を備えることで、校正時期となったことを使用者に報知するために、校正関連情報を報知部から報知することができる。
したがって、測定器は、例えば校正時期となったことを使用者に知らせるキャラクター表示や校正時期の日付の表示、校正時期が近づいたことを知らせる警告の表示、光の点滅、ブザー、音声などの校正関連情報を、例えば液晶パネルや、ライト、スピーカーなどの報知部から報知することができるため、校正時期が記載されたシール等を測定器の外部に設けなくとも校正時期を使用者に報知することができる。
【0010】
また、測定器は、例えば液晶パネル等の出力手段や報知部を予め備えている場合は、校正関連情報を報知するための新たな手段を設ける必要がないため、電池等を電源とする測定器においても外部電力を必要とせずに実装することができる。
さらに、測定器は、カウント部と、比較部と、時期判定部と、判定結果実行部と、を備えることで、設定された設定値に応じて自動的に校正関連情報を報知部から報知することができる。
ここで、校正時期に関する警告とは、例えば第2の設定値が第1の設定値よりも遅い時期に設定された場合は、校正時期から「何日経過」と表示する等、使用者に校正時期が失効していることを報知する校正関連情報のことをいう。
このような本発明によれば、出力手段は、校正時期に関する警告を報知する警告報知部を備え、警告実行部は、時期判定部によりカウント値が第2の設定値に達したと判定された場合、警告となる校正関連情報を警告報知部に報知させる。したがって、測定器は、警告報知部からの校正時期に関する警告により、使用者が大幅に校正時期を失効することを防止することができる。
【0011】
この際、測定器は、測定器を操作する操作手段を備え、操作手段は、記憶手段に校正関連情報を入力する入力部を備えることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、測定器の操作手段は、記憶手段に校正関連情報を入力する入力部を備えることで、例えば使用者が設定する設定値などの校正関連情報を記憶手段に入力し記憶させることができる。
したがって、測定器は、記憶手段に記憶された例えば使用者が設定する設定値や設定値に基づいて算出された校正時期までの期間などの校正関連情報を報知部から報知することができる。
【0015】
この際、報知部は、測定結果とともに校正関連情報を報知することが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、報知部は、測定結果とともに校正関連情報を報知するため、使用者が測定結果を確認する際に校正関連情報を報知することができる。したがって、測定器は、校正関連情報を確実に報知することができるため、使用者が校正時期を失効することを防止することができる。
【0017】
この際、測定器を操作する操作手段を備え、操作手段は、通信により測定器を操作する通信部を備え、報知部は、通信を介して校正関連情報を報知することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、報知部は、通信を介して校正関連情報を報知するため、例えば使用者へ校正関連情報についてのメール等を送信することができる。したがって、測定器は、使用者が校正時期を失効することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る測定器を示す斜視図
図2】前記測定器の制御手段を示すブロック図
図3】前記測定器の校正関連情報の報知方法を示すフローチャート
図4】本発明の第2実施形態に係る測定器の制御手段を示すブロック図
図5】前記測定器の報知部および警告報知部による報知を示す図
図6】前記測定器の校正関連情報の報知方法を示すフローチャート
図7】本発明の第3実施形態に係る測定器の制御手段を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る測定器を示す斜視図である。
測定器1は、図1に示すように、測定対象物を測定する測定手段2と、測定手段2による測定結果および校正関連情報を出力する出力手段3と、を備えるマイクロメータである。測定器1は、電池を電源として駆動している。
【0021】
測定器1は、U字状の測定器本体10を備える。また、測定器1は、測定手段2として、円柱状のスピンドル20aと、測定器本体10に形成されるアンビル20bと、回転させることでスピンドル20aをアンビル20bに対して進退させるシンブル20cおよびラチェットつまみ20dと、使用者からの操作を受け付けて測定器1を操作するボタン式の複数の操作手段4と、を備える。
【0022】
測定器1は、シンブル20cまたはラチェットつまみ20dを回転させることでスピンドル20aをアンビル20bに対して軸方向へ移動させる。測定器1は、シンブル20cまたはラチェットつまみ20dの回転による回転角の変位からスピンドル20aおよびアンビル20bの間に配置される測定対象物の長さを測定する。測定器1による測定対象物の測定結果などは、出力手段3に出力される。
【0023】
出力手段3は、測定器本体10から露出するように設けられた液晶パネルである報知部31を備える。報知部31は、測定結果とともに校正関連情報を報知する。図1では、報知部31は、測定結果MとともにキャラクターCを表示し校正時期となったことを報知している。この際、報知部31は、測定結果Mの報知を妨げることなく測定結果MとともにキャラクターC(校正関連情報)を報知することが好ましい。なお、報知部31は、液晶パネルに限らず有機EL(Electro-Luminescence)や電子ペーパー等であってもよい。
【0024】
操作手段4は、測定器1を操作する指令を入力することができる入力部41を有し、測定器本体10におけるスピンドル20aおよびシンブル20cとは報知部31を挟んで反対側の位置に配置されている。なお、入力部41は、スライド式でもよく、使用者が操作することができれば、どのような構成であってもよい。また、入力部41は、使用者が操作することができれば、どのような位置に配置されていてもよい。
【0025】
図2は、前記測定器の制御手段を示すブロック図である。
測定器1は、測定器1に関する情報を記憶する記憶手段5と、測定結果を算出する制御手段6と、をさらに備える。
記憶手段5は、測定器1の内部に設けられたレジスタである。
入力部41は、校正時期として設定された設定値などの校正関連情報を記憶手段5に入力し記憶させることができる。なお、記憶手段5は、レジスタではなく、Flash ROM等の不揮発メモリ等であってもよく、測定器1に関する情報および校正関連情報を記憶することができればどのような構成であってもよい。
【0026】
制御手段6は、カウント部61と、比較部62と、時期判定部63と、判定結果実行部64と、を備える。
カウント部61は、時間を所定の期間ごとにカウント値としてカウントする測定器1の内部に設けられたレジスタである。カウント値は、カウント部61が時間を所定の期間ごとにカウントする都度、増加する。なお、カウント値は、カウント部61が時間を所定の期間ごとにカウントする都度、所定の値から減少してもよい。
【0027】
比較部62は、カウント部61によりカウントされたカウント値と設定値とを比較し、時期判定部63は、比較部62の比較によりカウント値が設定値に達したか否かを判定する。判定結果実行部64は、時期判定部63によりカウント値が設定値に達したと判定された場合、キャラクターC(図1参照)を報知部31に表示し報知させる。
【0028】
図3は、前記測定器の校正関連情報の報知方法を示すフローチャートである。
以下、報知部31に表示される校正関連情報の報知方法について、図3を参照して説明する。
先ず、使用者は、測定器1の購入時や校正を行った場合に、制御手段6のカウント部61によるカウント値をリセットする(ステップST01)。カウント値がリセットされていない場合、測定器1は、正確に校正関連情報(校正時期)を報知できないからである。
【0029】
次に、使用者は、校正時期として設定された設定値について、入力部41を介して記憶手段5に入力し記憶させる(ステップST02)。使用者により設定値が入力されると、カウント部61は、カウント値のカウントを開始する(ステップST03)。カウント部61がカウント値をカウントすると(ステップST04)、比較部62は、カウント部61がカウント値をカウントする都度、カウント値と設定値とを比較する(ステップST05)。そして、時期判定部63は、カウント値が設定値に達したか否かを判定する(ステップST06)。
【0030】
時期判定部63が、カウント値が設定値に達していないと判定した場合(ステップST06でNO)、判定結果実行部64は、校正関連情報を報知部31には報知させずにステップST04に戻る。時期判定部63が、カウント値が設定値に達したと判定した場合(ステップST06でYES)、判定結果実行部64は、キャラクターC(図1参照)を報知部31に表示し校正時期となったことを報知する(ステップST07)。
【0031】
使用者は、キャラクターCを確認し、測定器1の校正を行った場合、再びSTARTに戻ってカウント値をリセットし(ステップST01)、次回の校正時期として設定された設定値を入力部41を介して記憶手段5に入力し記憶させる(ステップST02)。使用者が測定器1の校正を行わなかった場合、報知部31は、測定器1の校正が行われるまでキャラクターCを報知し続ける。
【0032】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)制御手段6は、カウント部61によりカウントされたカウント値と設定値とを比較する比較部62と、比較部62の比較によりカウント値が設定値に達したか否かを判定する時期判定部63と、時期判定部63によりカウント値が設定値に達したと判定された場合、校正関連情報を報知部31に報知させる判定結果実行部64と、を備えることで、校正時期となったことを使用者に報知する校正関連情報を報知部31から報知することができる。
したがって、測定器1は、校正時期となったことを使用者に知らせるキャラクターCを液晶パネルである報知部31から報知することができるため、校正時期が記載されたシール等を測定器1の外部に設けなくとも校正時期を使用者に報知することができる。
【0033】
(2)測定器1は、測定器1が備える出力手段3(報知部31)と、記憶手段5と、制御手段6と、を用いて使用者に校正時期となったことを報知することで校正関連情報を報知するための新たな手段を設ける必要がないため、電池を電源とする測定器1においても外部電力を必要とせずに実装することができる。
(3)測定器1は、カウント部61と、比較部62と、時期判定部63と、判定結果実行部64と、を備えることで、設定された設定値に応じて自動的にキャラクターC(校正関連情報)を報知部31から報知することができる。
【0034】
(4)測定器1の操作手段4は、記憶手段5に校正関連情報を入力する入力部41を備えることで、使用者が設定する設定値を記憶手段5に入力し記憶させることができる。
したがって、測定器1は、記憶手段5に記憶された設定値を含む校正関連情報を報知部31から報知することができる。
【0035】
(5)報知部31は、測定結果MとともにキャラクターC(校正関連情報)を報知するため、使用者が測定結果Mを確認する際に校正関連情報を報知することができる。したがって、測定器1は、校正関連情報を確実に報知することができるため、使用者が校正時期を失効することを防止することができる。
【0036】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る測定器の制御手段を示すブロック図である。
本実施形態の測定器1Aは、出力手段3Aおよび制御手段6Aを除き、前記第1実施形態の測定器1と略同様の構成を備える。
【0037】
前記第1実施形態の出力手段3は、図2に示すように、測定結果とともに校正関連情報を報知する報知部31を備えていた。また、前記第1実施形態の制御手段6は、時間を所定の期間ごとにカウント値としてカウントするカウント部61と、カウント部61によりカウントされたカウント値と設定値とを比較する比較部62と、比較部62の比較によりカウント値が設定値に達したか否かを判定する時期判定部63と、時期判定部63によりカウント値が設定値に達したと判定された場合、キャラクターC(図1参照)を報知部31に表示し報知させる判定結果実行部64と、を備えていた。
【0038】
本実施形態では、記憶手段5は、入力部41を介して使用者からの入力された測定器1Aの校正時期として設定された第1の設定値と、第1の設定値とは異なる時期に設定された第2の設定値と、を含む校正関連情報を記憶する点で前記第1実施形態と異なる。
また、本実施形態の出力手段3Aは、校正時期に関する警告を報知する警告報知部32を備えている点で前記第1実施形態と異なる。本実施形態では、警告報知部32は、報知部31と同一の液晶パネル上に設けられている。この際、警告報知部32は、測定結果とともに校正時期に関する警告を報知することが好ましい。このような構成によれば、警告報知部32は、測定結果とともに警告を報知することで使用者に確実に警告を報知することができる。
【0039】
また、本実施形態の制御手段6Aは、カウント値と第1の設定値および第2の設定値とを比較する比較部62Aと、比較部62Aの比較によりカウント値が第1の設定値および第2の設定値のいずれか一方に達したか否かを判定する時期判定部63Aと、時期判定部63Aによりカウント値が第1の設定値に達したと判定された場合、校正関連情報を報知部31に報知させる判定結果実行部64Aと、時期判定部63Aによりカウント値が第2の設定値に達したと判定された場合、警告となる校正関連情報を警告報知部32に報知させる警告実行部65Aと、を備えている点で前記第1実施形態と異なる。
【0040】
図5は、前記測定器の報知部および警告報知部による報知を示す図である。具体的には、図5(A)は、校正時期に関する警告の報知を示す図であり、図5(B)は、測定器1Aの校正時期がきたことの報知を示す図である。また、図6は、前記測定器の校正関連情報の報知方法を示すフローチャートである。
本実施形態では、図5(A)に示すように、校正時期に関する警告とは、校正時期が近づいたことを使用者に報知するカウントダウン表示C2のことをいう。また、図5(B)に示すように、校正時期を報知する校正関連情報は、使用者に測定器1Aの校正を行うことを促す文言である校正関連情報C3のことをいう。
以下、本実施形態における報知部31に報知される校正関連情報の表示方法について、図5および図6を参照して説明する。
【0041】
先ず、使用者は、測定器1Aの購入時や校正を行った場合に、制御手段6Aのカウント部61によるカウント値をリセットする(ステップST11)。カウント値がリセットされていない場合、測定器1Aは、正確に校正関連情報(校正時期および警告)を報知できないからである。
次に、使用者は、校正時期として設定された第1の設定値と、第1の設定値よりも早い時期に設定された第2の設定値と、を入力部41を介して記憶手段5に入力し記憶させる(ステップST12)。使用者により第1の設定値および第2の設定値が入力されると、カウント部61は、カウント値のカウントを開始する(ステップST13)。
【0042】
カウント部61がカウント値をカウントすると(ステップST14)、比較部62Aは、カウント部61がカウント値をカウントする都度、カウント値と第1の設定値および第2の設定値とを比較する(ステップST15)。第2の設定値は第1の設定値よりも早い時期に設定されているため、時期判定部63Aは、先ず、カウント値が第2の設定値に達したか否かを判定する(ステップST16)。
【0043】
時期判定部63Aが、カウント値が第2の設定値に達していないと判定した場合(ステップST16でNO)、警告実行部65Aは、校正時期に関する警告を警告報知部32には報知させずにステップST14に戻る。時期判定部63Aが、カウント値が第2の設定値に達したと判定した場合(ステップST16でYES)、警告実行部65Aは、図5(A)に示すように、「校正時期まで30日」とカウントダウン表示C2を警告報知部32に表示し校正時期に関する警告を報知する(ステップST17)。この際、警告実行部65Aは、カウント部61がカウント値をカウントする都度、第2の設定値およびカウント値に基づいて校正時期までの日数を演算する。そして、警告報知部32は、演算された日数に基づいてカウントダウン表示C2を更新して表示し、警告を報知する。
【0044】
警告実行部65Aが、校正時期に関する警告を警告報知部32から報知した後(ステップST17)、次に、時期判定部63Aは、カウント値が第1の設定値に達したか否かを判定する(ステップST18)。時期判定部63Aが、カウント値が第1の設定値に達していないと判定した場合(ステップST18でNO)、判定結果実行部64Aは、校正関連情報を報知部31には報知させずにステップST14に戻る。時期判定部63Aが、カウント値が第1の設定値に達したと判定した場合(ステップST18でYES)、判定結果実行部64Aは、図5(B)に示すように、カウントダウン表示C2を非表示にして「校正してください」と校正時期を報知する校正関連情報C3を報知部31に表示し報知する(ステップST19)。
【0045】
使用者は、校正関連情報C3を確認し、測定器1Aの校正を行った場合、再びSTARTに戻ってカウント値をリセットし(ステップST11)、次回の校正時期として設定された第1の設定値および第1の設定値よりも早い時期に設定された第2の設定値と、を入力部41を介して記憶手段5に入力し記憶させる(ステップST12)。使用者が測定器1Aの校正を行わなかった場合、報知部31は、測定器1Aの校正が行われるまで校正関連情報C3を報知し続ける。
【0046】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(5)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(6)出力手段3Aは、校正時期に関する警告を報知する警告報知部32を備え、警告実行部65Aは、時期判定部63Aによりカウント値が第2の設定値に達したと判定された場合、警告となる校正関連情報を警告報知部32に報知させるため、校正時期に関する警告により、使用者が校正時期を失効することを防止することができる。
【0047】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る測定器の制御手段を示すブロック図である。
本実施形態の測定器1Bは、出力手段3Bおよび操作手段4Bを除き、前記第1実施形態の測定器1と略同様の構成を備える。
【0048】
前記第1実施形態の出力手段3は、図2に示すように、測定結果とともに校正関連情報を報知する報知部31を備えていた。また、前記第1実施形態の操作手段4は、図4に示すように、入力部41を備えていた。
本実施形態の出力手段3Bは、図7に示すように、通信を介して校正関連情報を報知する報知部31Bを備えている点で前記第1実施形態と異なる。また、本実施形態の操作手段4Bは、入力部41の他に外部機器と有線または無線で接続されるとともに通信により測定器1Bを操作する通信部42を備えている点で前記第1実施形態と異なる。
【0049】
ここで、通信部42の通信による測定器1Bの操作とは、測定器1Bを起動させることや校正時期として設定された設定値を記憶手段5に入力すること、測定器1Bから校正関連情報を取得すること等である。
報知部31Bは、通信部42により取得された校正関連情報を通信を介して報知する。具体的には、報知部31Bは、校正時期となった際、通信部42により取得された校正関連情報に基づいて校正時期がきたことを知らせるメールを使用者に送信し報知する。
【0050】
このような本実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(5)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(7)報知部31Bは、通信を介して校正関連情報を報知するため、使用者へ校正関連情報についてのメールを送信し報知することができる。したがって、測定器1Bは、使用者が校正時期を失効することを防止することができる。
【0051】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、測定器1,1A~1Bはマイクロメータであったが、ノギスやインジケータ、リニアスケール等であってもよい。また、測定器1,1A~1Bは、形式や方式などについて特に限定されるものではない。
【0052】
前記各実施形態では、カウント部61がカウント値をカウントする都度、比較部はカウント値と設定値(第1の設定値および第2の設定値)とを比較していたが、比較部は、カウント部がカウント値をカウントする都度、カウント値と設定値とを比較しなくてもよい。例えば、比較部は、カウント部がカウント値を数回カウントするごとに、カウント値と設定値とを比較してもよいし、不定期に比較してもよい。要するに、比較部は、カウント値と設定値とを比較することができればよい。
【0053】
前記各実施形態では、カウント部61は、測定器1の内部に設けられたレジスタであったがタイマカウンタやカレンダー機能を備えたリアルタイムクロックであってもよい。要するに、カウンタ部は、時間を所定の期間ごとにカウント値としてカウントすることができれば、どのような構成であってもよい。
前記第2実施形態では、第2の設定値は、第1の設定値よりも早い時期として設定されていたが、第2の設定値は、第1の設定値よりも遅い時期として設定されていてもよい。また、第2の設定値は、複数の時期として設定されていてもよいし、第2の設定値は設定されていなくてもよい。要するに、第2の設定値は、第1の設定値とは異なる時期に設定されていればよい。
【0054】
前記各実施形態では、報知部31は、キャラクターCや校正関連情報C3を表示し、前記第2実施形態では、警告報知部32は、カウントダウン表示C2を表示して報知していたが、キャラクターCや校正関連情報C3、カウントダウン表示C2は、前記各実施形態に記載したものに限らず、日付や校正関連情報または警告であると使用者が認識できる記号、色彩、文言などであれば、どのようなものであってもよい。例えば、第2の設定値が第1の設定値よりも遅い時期として設定された場合、警告報知部は、校正時期からどのくらい経過したかについて、図5のカウントダウン表示C2の代わりに「校正時期から10日経過」等を示して警告を報知してもよい。また、校正時期を経過してしまった場合、警告報知部は、例えば図1の測定結果Mを点滅させたり、使用者が視認しにくいように薄く表示させて、警告として報知してもよい。
【0055】
また、報知部31および警告報知部32は液晶パネルであったが、報知部および警告報知部は、スピーカー(ブザー)やライト(LED等の発光器)、バイブレータ、通信によるメール配信等であってもよい。この際、報知部および警告報知部は、スピーカーを用いて音声にて報知したり、ブザーを用いて音にて報知したり、LEDの点滅または点灯にて報知したり、バイブレータによる振動にて報知したりしてもよい。
【0056】
また、前記第2実施形態では、報知部31は、警告報知部32によるカウントダウン表示C2を非表示にして校正時期を報知する校正関連情報C3を表示し報知していたが、測定器は、報知部による校正関連情報と警告報知部による警告との両方を同時に報知してもよい。
【0057】
さらに、前記第2実施形態では、警告報知部32は、報知部31と同一の液晶パネル上に設けられていたが、警告報知部は、報知部とは分離して設けられていてもよい。例えば、警告報知部はブザーにより警告を報知し、報知部は液晶パネルにより校正関連情報を報知してもよい。
要するに、報知部は、校正関連情報を報知することができれば、どのような構成であってもよい。また、警告報知部は、校正時期に関する警告を報知することができれば、どのような構成であってもよい。
【0058】
前記第2実施形態では、第1の設定値および第2の設定値は、入力部41を介して記憶手段5に入力していたが、第2の設定値は、第1の設定値が入力された際、制御手段により第1の設定値を用いて演算することで自動的に設定されてもよい。
また、前記各実施形態では、設定値(第1の設定値および第2の設定値)は、入力部41を介して記憶手段5に入力していたが、音声を用いて入力してもよいし、加速度センサ等を測定器内部に設けることで振動にて入力してもよい。
要するに、測定器は、記憶手段に設定値を入力し記憶させることができれば、どのような手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明は、測定精度の保守等を目的に行われる校正について、校正時期を使用者に報知する測定器に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A~1B 測定器
2 測定手段
3,3A~3B 出力手段
4,4B 操作手段
5 記憶手段
6 制御手段
31,31B 報知部
32 警告報知部
41 入力部
42 通信部
61 カウント部
62 比較部
63,63A~63B 時期判定部
64,64A~64B 判定結果実行部
65A 警告実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7