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特許7098653ニトロ芳香族化合物のイソシアネートへの直接カルボニル化のための不均一触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ニトロ芳香族化合物のイソシアネートへの直接カルボニル化のための不均一触媒
(51)【国際特許分類】
   C07C 263/14 20060101AFI20220704BHJP
   C07C 265/12 20060101ALI20220704BHJP
   C07C 265/14 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/62 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/644 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/656 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/648 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/652 20060101ALI20220704BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20220704BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220704BHJP
【FI】
C07C263/14
C07C265/12
C07C265/14
B01J37/16
B01J37/08
B01J23/62 Z
B01J23/644 Z
B01J23/656 Z
B01J23/648 Z
B01J23/652 Z
B01J23/89 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019554962
(86)(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2018058616
(87)【国際公開番号】W WO2018185168
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】17165019.5
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】クシェル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】リサンダラ,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】シュンク,シュテファン アー.
(72)【発明者】
【氏名】ティトルバッハ,スフェン
(72)【発明者】
【氏名】ロター,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ベヒテル,イェルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ドレボフ,ネトコ,ステファノフ
(72)【発明者】
【氏名】マイクスナー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヒンリヒス,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ハラビ,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,イムケ,ブリッタ
(72)【発明者】
【氏名】フェンイン,ミヒャエラ
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-011215(JP,B1)
【文献】米国特許第03523966(US,A)
【文献】国際公開第2017/029165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 263/00
C07C 265/00
B01J 37/00
B01J 23/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下でニトロ芳香族化合物を一酸化炭素と反応させることによる前記ニトロ芳香族化合物の直接カルボニル化によって芳香族イソシアネートを調製するための方法であって、前記触媒は、一般式A(式中、
Aは、R及びdから選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Ga、及びnから選択される1種以上の元素であり、
xは、0.1~10の範囲内であり、
yは、0.1~10の範囲内である)
によって表される金属間化合物が1つ以上含まれる多金属材料を含有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
Aは、Rhであり、
Bは、Pb、Sn及びSbから選択される1種以上の元素であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記多金属材料は、1種以上の成分Cを含み、成分Cは、金属間相Aの一部ではないA又はBを含有するか、又はそれからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記多金属材料は、1種以上の成分Cを含み、成分Cは、O、N、C、H、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、及びGaから選択される1種以上の元素を含有するか、又はそれらからなることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記多金属材料は、担体材料に堆積していることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ニトロ芳香族化合物は、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエン、ニトロナフタリン、ニトロアントラセン、ニトロジフェニル、ビス(ニトロフェニル)メタン及びさらに1つ以上のニトロ基を有する単及び多芳香族化合物から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
非連続的に行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
連続的に行われることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ニトロ芳香族化合物を対応する芳香族イソシアネートに直接カルボニル化するための触媒であって、一般式AxBy(式中、
Aは、R及びPdら選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Ga、及びnから選択される1種以上の元素であり、
xは、0.1~10の範囲内であり、
yは、0.1~10の範囲内である)
によって表される金属間化合物が1つ以上含まれる多金属材料を含有する、触媒。
【請求項10】
Aは、Rhであり、
Bは、Pb、Sn及びSbから選択される1種以上の元素であることを特徴とする、請求項に記載の触媒。
【請求項11】
前記多金属材料は、1種以上の成分Cを含み、成分Cは、金属間化合物AxByの一部ではないA又はBを含有するか、又はそれからなることを特徴とする、請求項9又は10に記載の触媒。
【請求項12】
前記多金属材料は、1種以上の成分Cを含み、成分Cは、O、N、C、H、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、及びGaから選択される1種以上の元素を含有するか、又はそれからなることを特徴とする、請求項11のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項13】
前記多金属材料は、RhPb、RhPb2、Rh4Pb5、Rh2Sn、RhSn、RhSn2、RhSn4、Rh2Sb、RhSb、RhSb2、RhSb3、RhGa、Rh10Ga17、Rh3Ga5、Rh2Ga9、Rh4Ga21、Rh3Ga16、RhGa3、RhIn、RhIn3、Pd3Pb、Pd13Pb9、Pd5Pb3、PdPb、Pd3Sn、Pd20Sn13、Pd2Sn、PdSn、Pd5Sn7、PdSn2、PdSn3、PdSn4、Pd3Sb、Pd20Sb7、Pd5Sb2、Pd8Sb3、Pd2Sb、PdSb、PdSb2、Pd2Ga、Pd5Ga2、Pd5Ga3、PdGa、PdGa5、Pd7Ga3から選択される1つ以上の二元金属間結晶相を含むことを特徴とする、請求項12のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項14】
前記多金属材料は、RhPb、RhPb2、RhSb、Rh2Sb、RhSb2及びRh2Snから選択される1つ以上の二元金属間結晶相を含むことを特徴とする、請求項13に記載の触媒。
【請求項15】
前記多金属材料は、担体材料に堆積していることを特徴とする、請求項14のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項16】
請求項15で定義された触媒を製造するための方法であって、工程(i)~(iv):
(i)元素A及びBのための1つ以上の前駆体及び任意に成分Cを溶液の形態で提供すること;
(ii)前記金属前駆体の担体材料上への堆積;
(iii)複合材料の還元処理;
(iv)前記複合材料の熱処理、
を含む、方法。
【請求項17】
前記溶液は、水、アルコール、ポリオール、酸及び塩基から選択される1種以上の溶媒を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(iii)前記金属前駆体を含有する前記担体材料を、アルコール、炭化水素、アミン、ポリオール、Zn粉末、H2、CO、CH及びCから選択される固体、液体又は気体形態の還元剤の1種以上と接触させる工程、及び
(iv)化学的に不活性な条件下での熱還元によって前記金属前駆体を含有する前記担体材料を還元する工程、
を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
工程(iii)及び(iv)は、単一工程で行われる、請求項1618のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロ芳香族化合物の芳香族イソシアネートへの直接カルボニル化のための不均一触媒、及びニトロ芳香族化合物の芳香族イソシアネートへの直接カルボニル化のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
均一系触媒を用いたニトロ芳香族化合物の対応する芳香族イソシアネートへの直接カルボニル化は、文献で報告されている。PdCl(ピリジン)及びFe(シクロペンタジエニル)(共触媒として)は、DE19635723A1に記載されているように、82%~100%のジニトロトルエン(DNT)転化率で9~67%のトルイレンジイソシアネート(TDI)に対する選択性を達成した。商用使用を妨げる主な問題は、低回転数、困難な触媒分離、過度な反応条件(T=250℃、p=200~300barg)、副生成物の形成及びTDIの重合である。
【0003】
DE2165355に開示されているように、イソキノリンを有するパラジウム錯体とFeMo24との混合物を含む2,4-ジニトロトルエンのカルボニル化に用いられる触媒が当該技術分野で知られている。2,4-トルイレンジイソシアネートは、出発化合物2,4-ジニトロトルエンの100%の転化率で最大収率70%で得られる。イソキノリンの代わりにピリジンが使用される場合、FR2,120,110に開示されているように、収率は出発化合物の83~100%転化率で21~76%である。US3,823,174及びUS3,828,089にそれぞれ開示されているように、Pd(ピリジン)Cl及びMoO又はCr/Alを含有する芳香族ニトロ化合物のカルボニル化のための触媒も知られている。US3,523,964に開示されているように、芳香族モノイソシアネート、特にフェニルイソシアネートの合成のためのさらなる均一-不均一系触媒は、PdCl/Vである。本発明とは全く対照的に、前述の文書に記載された系は真に不均一ではなく、均一及び不均一成分を含むハイブリッド系に相当する。欠点は、塩化パラジウムが液相に存在するため、その分離及び再生に複雑な系が必要になることである。
【0004】
DNTのTDIへのカルボニル化のための不均一触媒は文献ではほとんど報告されていない。US4,207,212は、DNTのカルボニル化のための非常に活性で選択的な触媒として、PdO/MoO/ZnOを報告している。この特許のすべての例は、添加剤としてピリジンの存在下で行われた。この事実は、これらの触媒を使用してニトロアレーンのカルボニル化を達成するためにピリジン錯体の形成が必要であるという仮定につながる。
【0005】
ニトロ芳香族化合物のイソシアネートへの直接転化に加えて、分離可能な中間体としてニトロソ芳香族化合物を用いた間接転化も知られている。一酸化炭素の存在下でのニトロアレーンのニトロソアレーンへの転化及びニトロソアレーンの芳香族イソシアネートへの転化は、2つの別々の反応として文献で報告されている。これは、親ニトロアレーンが複数のニトロ基を有する場合にも当てはまる。本発明は、イソシアネートの直接合成を可能にするだけでなく、安定な中間体としてのニトロソ芳香族化合物を用いたイソシアネートの間接合成も可能にする。対応する文献は以下で引用されている。
【0006】
【化1】
【0007】
スキーム1
ニトロベンゼンのニトロソベンゼンへの選択的還元としても見られ得る工程1に対応するニトロソアレーンの生成(スキーム1)は、Mn含有触媒を用いて可能である。DE1810828は、ニトロベンゼンのニトロソベンゼンへの選択的還元触媒として、一般式MMn(Mは、Co、Fe、Pb又はAgである)の触媒系を開示している。MnとPbを70/30の比で含む酸化化合物は、反応時間当たり4.53%のニトロソベンゼンの収率を提供する。
【0008】
同じMn含有系での工程2に対応するニトロソベンゼンのイソシアネートへの転化(スキーム1)は報告されていない。US3,979,427に報告されているように、反応2に対応するニトロソアレーンの芳香族イソシアネートへのカルボニル化(スキーム1)は、Alに担持されたPd、Rh及びIrの1つ以上を含む不均一触媒で行われ得る。
【0009】
GB1315813Aは、MMn(Mは、Fe、Ag又はPbである)と、炭素又は軽石などの担体に担持されたPd、Ru及びRhから選択される白金族金属との物理的混合物の存在下でのニトロソ及びニトロ芳香族化合物のイソシアネートへの不均一触媒によるカルボニル化を記載している。ニトロベンゼンは、PbMnと5%Rh担持炭素との物理的混合物の存在下でフェニルイソシアネートにカルボニル化される。報告されたイソシアネートの収率は、190℃で2時間後に4.5%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】DE19635723A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、直接カルボニル化によるイソシアネートの合成を可能にする不均一触媒方法に対して高い活性及び選択性を有する不均一系触媒を提供することである。本発明の意味での直接カルボニル化は、中間体を単離することなく、ワンポット方式で反応工程1及び2を実施するものと理解されたい。しかしながら、ニトロソ化合物又は部分的にカルボニル化されたニトロ芳香族化合物などの中間体は、不完全な反応の結果として得られ得る。
【0012】
本発明の目標は、活性及び選択性の著しい改善を示すニトロ芳香族化合物の対応するイソシアネートへのカルボニル化のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
多金属材料の組成
本発明の目的は、ニトロ芳香族化合物の対応する芳香族イソシアネートへの直接カルボキシル化のための触媒、及び触媒の存在下でのニトロ芳香族化合物の直接カルボキシル化による芳香族イソシアネートの調製のための方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】表2による例示的触媒H、I、Jの触媒的結果を示している。
図2】試料JのPXRDパターンα:RhPb.の反射β:グラファイトの反射を示している。
図3図3は、表3による例示的触媒K~Oの触媒的結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による方法は、不均一触媒方法として実施される。このような不均一触媒方法では、触媒及び反応物/生成物は異なる相にあり、互いに接触している。反応物/生成物は液相及び気相にあり、一方、触媒は固相である。反応は液相、気相及び固相の間の中間相で起こる。
【0016】
本発明による方法は、触媒の存在下で行われる。その触媒は、一般式A(式中、
Aは、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt及びAgから選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Zn、Ga、In、Ge及びAsから選択される1種以上の元素であり、
におけるxは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内であり、
におけるyは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内である)の1つ以上の二元金属間相を含む多金属材料を含む。
【0017】
より好ましい多金属材料は、一般式A(式中、
Aは、Ni、Rh、Pd、Ir及びPtから選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Ga及びInから選択される1種以上の元素であり、
におけるxは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内であり、
におけるyは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内である)の二元金属間相の1つ以上を含む。
【0018】
さらにより好ましい多金属材料は、一般式A(式中、
Aは、Rhであり、
Bは、Pb、Sn又はSbの1種以上の元素であり、
におけるxは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内であり、
におけるyは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内である)の1つ以上の二元金属間相を含む。
【0019】
本発明の目的は、多金属材料とともに液体及び気体供給を使用する連続的な不均一方法を提供することによってさらに解決される。
【0020】
一般に、多金属材料は、前述の一般式Aのような1つ以上の二元金属間相を含有し得るか、又はそれからなり得る。さらに、多金属材料は、少なくとも2種の異なる金属を巨視的に均質な相で含む材料と定義される。一般に、多金属材料は、少なくとも85重量、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは95重量%の一般式Aの1つ以上の金属間相を含有する。多金属材料は、1つ以上の他の成分Cを含有し得、成分Cは、金属間化合物Aの一部ではないA及び/又はBからなり得るか、又はそれらを含有し得る。成分Cはまた、1つ以上の金属又は非金属元素を含み得るか、又はそれらからなり得る。好ましくは、成分Cは、O、N、C、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti,Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Gaを含む。より好ましい実施形態では、成分Cは、O、N、C、H、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Gaを含む。
【0021】
本発明における金属間相又は金属間化合物は、規定の化学量論を有する規則的又は部分的に規則的な構造を有する少なくとも2つの異なる金属から製造される化合物である。構造は、純粋な構成金属の構造と類似していても異なっていてもよい。金属間化合物の例は、規則的、部分的規則的及び共晶合金、Laves相、Zintil相、Heussler相、Hume-Rothary相、及び当業者に知られている他の金属間相である。セレニド、テルリド、アルセニド、アンチモニド、シリジド、ゲルマニド及びボリドのような半金属のグループに属する元素を含む化合物も含まれる。
【0022】
本発明による金属間相の例は、RhPb、RhPb、RhPb、RhSn、RhSn、RhSn、RhSn、RhSb、RhSb、RhSb、RhSb、RhGa、Rh10Ga17、RhGa、RhGa、RhGa21、RhGa16、RhGa、RhIn、RhIn、RhGe、RhGe、RhGe、Rh17Ge22、RhGe、IrPb、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、PdPb、Pd13Pb、PdPb、PdPbPdSn、Pd20Sn13、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSb、Pd20Sb、PdSb、PdSb、PdSb、PdSb、PdSb、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、RuSn、RuSn、RuSn、RuSb、RuSb、RuSb、NiPb、NiSn、NiSn、NiSn、NiSn、NiSb、NiSb、NiSb及びNiSbであり、RhPb、RhPb、RhSb、RhSb、RhSb及びRhSnが好ましいものである。
【0023】
多金属材料内の金属間相の存在は、固体を特徴付けるための標準的な方法、例えば電子顕微鏡、固体NMR又は粉末X線回折(PXRD)によって検出することができ、PXRD分析が好ましい。
【0024】
一般に、本発明の多金属材料を提供する形態は限定されない。
【0025】
多層金属材料は、単一化合物として、又は他の化合物と混合して使用することができ、担体への堆積は、浅床含浸、噴霧含浸、初期湿潤含浸、溶融含浸及び当業者に知られている他の含浸方法を含む方法によることが好ましい。担体に多金属材料を堆積する仕方を以下に記載する。
【0026】
本発明による担体材料は、結晶性又はアモルファスの酸化材料であり得る。これには、二元及び多元酸化物が同様に含まれる。好適な二元酸化物の例は、Al、CaO、CeO、Ce、Fe、La、MgO、MnO、Mn、SiO、TiO、Ti2O、ZrO及びZnOである。これは特に、非化学量論的又は混合原子価の酸化物を含み、非酸素元素は、以下のような1を超える酸化状態で存在する:CeO2-x、WO、Fe0,95O Mn、Fe、Ti及び専門家に知られている他の非化学量論的酸化物。例えば、MgAl、LaAlO、CaTiO、CeZrOAl14Ca1234のような多元酸化物も含まれる。また、二元、多元及び非化学量論的酸化物の物理的混合物も含まれる。
【0027】
以下に特定されるように、ゼオライト担体も酸化担体の群に具体化される。これには、1つ以上のゼオライト、微孔性モレキュラーシーブ、アルモシリケート及びアルモホスフェートならびにゼオライトと二元、多元及び/又は非化学量論的酸化物との混合物を含む担体が含まれる。一般に、ゼオライトフレームワークの種類は、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZONのうちの1つ、それらの1つ以上の混合タイプが考えられる。より好ましくは、ゼオライト材料は、より好ましくは、MFI、MOR、BEA、及びFAUタイプのフレームワーク構造を有するゼオライト材料のうちの1つ以上を含む。
【0028】
担体のさらなる例は、活性炭、グラファイト又はグラフェンのような炭素又は炭素様材料である。また、層間化合物のような変性炭素系材料及びW-C、B-C、Si-Cのような炭化物も含まれる。また、窒化物、ホウ化物、ケイ化物、リン化物、アンチモン化物、ヒ化物、硫化物、セレン化物及びテルル化物も含まれる。
【0029】
また、合金、固溶合金、部分溶液合金及び金属間化合物も含まれ、同様に本発明の観点から金属化合物と称される化合物も含まれる。担体の群には、主族(希ガス及びハライドを除く)、遷移元素及び/又はランタニドを酸素及びそれらのそれぞれの変性と組み合わせて含む二元及び多元酸化担体も含まれる。
【0030】
担体材料は、粉末、分散液、コロイド、顆粒、リングのような成形体、球体、押出物、ペレット、及び当業者に知られている他の成形体として提供され得る。
【0031】
好ましい担体材料は、炭素、二元及び多元酸化物、ならびに二元及び多元酸化物の混合物である。
【0032】
多金属材料の合成
本発明の触媒は、(i)から(iv)の順序の工程を含む方法によって調製され得る:
(i)金属前駆体を好ましくは溶液の形態で提供すること;
(ii)金属前駆体の担体材料上への堆積;これに続く任意の乾燥;
(iii)複合材料の還元処理;
(iv)複合材料の熱処理。
【0033】
(i)この工程は、金属塩、コロイド金属又は金属有機化合物のような金属含有成分を、水、アルコール、ポリオール、酸、塩基及び当業者に知られている他の溶媒のような好適な溶媒に溶解又は希釈することによる金属前駆体の調製を含む。この溶液は、A又はBの単金属含有溶液として、又は任意の濃度のA及びBを含有する多金属溶液としてのいずれかで調製され得る。特別な実施形態では、促進剤成分Cを含有する追加の溶液が調製される。非常に特別な実施形態では、促進剤成分は、A又はBを含有する単金属溶液の一部、又はA及びBを含有する多金属属溶液の一部であり得る。
【0034】
(ii)工程(i)で調製された金属溶液は、浅床含浸、噴霧含浸、初期湿潤含浸、溶融含浸及び当業者に知られている他の含浸方法のような標準的な技術を使用して担体材料にもたらされる。含浸は、単もしくは多金属溶液又は単及び多金属溶液の混合物を使用して単一の工程で行われ得る。含浸はまた、複数の工程で単もしくは多金属溶液又は単及び多金属溶液の混合物を使用して複数の工程で行われ得る。本発明はまた、担体が金属溶液から現場で又は別個の工程で調製される沈殿技術を包含する。この工程は、1回以上の乾燥工程(iia)も含む。
【0035】
工程(ii)又はそれぞれの工程(iia)の生成物は、複合材料である。
【0036】
(iii)還元処理は、工程(ii)又はそれぞれの工程(iia)で得られた複合材料を還元剤に曝露すること、又は熱還元によって複合材料を還元することを含む。この還元剤は、固体、液体又は気体の形態で提供され得る。還元工程は、前に工程(iia)を実施して又は実施せずに行われ得る。本発明における還元剤は、例えば、H、COのような気体及びCH、Cのような気体状炭化水素及び当業者に知られている他の還元気体、アルコール、炭化水素及びアミンのような液体還元剤、例えばポリオール及びヒドラジン、ならびに固体形態で提供される還元剤、例えば金属粉末である。
【0037】
(iv)還元された複合材料の熱処理は、工程(iii)から得られた還元された複合材料を化学的に不活性な条件下で所望の温度まで加熱することにより行われ、存在する気体混合物は、任意の反応成分を含有せず、複合材料との化学反応を受け得る。特に、混合物は、例えば酸素、水、NO、ハライドなどのような酸化剤を含むべきではない。加熱は、マッフル炉、マイクロ波、ロータリーキルン、管状炉、流動床及び当業者に知られている他の加熱装置で加熱するなどの固体又は湿った固体を加熱するのに適した任意の方法によって実施され得る。
【0038】
特定の実施形態では、工程(iii)及び(iv)は、還元剤の存在下又は熱還元が起こる温度で複合材料を熱処理することによって単一工程に組み合わされ得る。
【0039】
ニトロ芳香族化合物及び一酸化炭素からのイソシアネートの合成のための方法
本発明の目的はさらに、触媒の存在下でニトロ芳香族化合物を一酸化炭素と反応させることによるニトロ芳香族化合物の直接カルボニル化によって芳香族イソシアネートを調製するための方法であって、その触媒が、成分Cを用いて又は用いずに、一般式Aの二元金属間相の1つ以上を含む上記で特定された多金属材料を含有することを特徴とする、方法によって解決される。
【0040】
方法は、非連続的又は連続的に行われ得る。
【0041】
本発明は、反応全体の反応工程1及び2を触媒することができる新しい触媒材料を提供する。触媒材料は、GB1315813Aに開示されているように、2つの別々の触媒(各々が2つの連続した反応工程の1つのみを触媒することができる)の物理的混合物ではない。
【0042】
文献GB1315813には、ニトロソ及びニトロ芳香族化合物のイソシアネートへの不均一触媒でのカルボニル化が開示されている。しかしながら、本発明とは対照的に、一般式MMn(Mは、Fe、Ag又はPbである)の1つの触媒と、炭素又は軽石などの担体に担持されたPd、Ru及びRhから選択される白金族金属を含む第2の触媒との物理的混合物が用いられている。報告されたイソシアネート収率は、190℃で2時間後に4.5%である。本発明によれば、1つ以上の金属間相Aを含む単一の多金属材料は、より高い転化率で著しく高い選択性で要求されるイソシアネートを提供する(表4参照)。1つ以上の金属間相の存在が、著しく高い収率の原因であると考えられる。
【0043】
さらに、本発明は、以下の工程を含むニトロ芳香族化合物及び一酸化炭素からのイソシアネートの合成のための方法を提供する:
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b1)試薬混合物M1及び一酸化炭素、又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物を含む試薬混合物M2を提供する工程、及び/又は
b2)試薬混合物M1及び上記で詳細に記載した多金属材料を含むカルボニル化触媒を反応混合物R1を提供する工程;
c)試薬混合物M2を、好ましくは上記で詳細に記載した多金属材料I)を含み、好ましくはそれからなるカルボニル化触媒と接触させる工程;及び/又は
d)試薬混合物R1を一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物と接触させる工程;
e)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程。
【0044】
上記の工程は、工程b1)又はb2)のいずれか、又は両方を使用して行われ得る。
【0045】
好ましくは混合物M1中のニトロ芳香族化合物の濃度は、0.01重量%~60重量%の範囲、より好ましくは0.1重量%~50重量%、さらに好ましくは1重量%~40重量%の範囲である。
【0046】
好ましくは混合物M1中の成分Dの濃度は、40重量%~99,99重量%の範囲、より好ましくは50重量%~99,9重量%の範囲、さらに好ましくは60重量%~99重量%の範囲である。
【0047】
本発明に従って反応する好適なニトロ芳香族化合物(又はニトロ芳香族化合物)は、1つ以上のニトロ基を有する単又は多芳香族化合物、例えばニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエン、ニトロナフタリン、ニトロアントラセン、ニトロジフェニル、ビス(ニトロフェニル)メタン、及び1つ以上のニトロ基を有するさらなる単及び多芳香族化合物である。ニトロ芳香族化合物は、他の官能基を含有し得る。本発明に関して、官能基は、芳香環に接続した置換基である。官能基は、H、B、C、N、P、O、S、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0048】
官能基の例は、ヒドロキシル基、ハロゲン、脂肪族側鎖、カルボニル基、イソシアネート基、ニトロソ基、カルボキシル基及びアミノ基である。
【0049】
1,6-ジニトロヘキセン又はニトロシクロヘキセン、ニトロシクロペンテン、ニトロメタン、ニトロオクタン、及びビス-(ニトロシクロヘキシル)-メタンなどの、脂肪族鎖側鎖又は環に結合した1つ以上のニトロ基を含有するニトロ化合物も含まれる。
【0050】
ニトロ芳香族化合物の適切な供給源は、少なくとも部分的にニトロ芳香族化合物を含有する任意の供給源である。供給源は、試薬流M1に新たに供給されるニトロ芳香族化合物であり得る。さらに、ニトロ芳香族化合物は、未反応のニトロ芳香族化合物であり得、それは、生成物流からの分離後に1回以上の再処理工程後にリサイクルされる。ニトロ芳香族化合物はまた、一酸化炭素でのその部分的転化後にリサイクルされる少なくとも1つのニトロ及び/又は少なくとも1つのニトロソ基を含有する化合物であり得る。新たに提供されたニトロ芳香族化合物とリサイクルされたニトロ芳香族化合物の組み合わせも利用され得る。例えばニトロソ芳香族化合物としてニトロ芳香族付加物又は前駆体の適用も可能である。
【0051】
一酸化炭素の適切な供給源はまた、少なくとも部分的に一酸化炭素を含有する任意の供給源である。供給源は、試薬流M1に新たに供給される一酸化炭素であり得る。さらに、一酸化炭素は、未反応の一酸化炭素であり得、それは、生成物流からの分離後に1回以上の再処理工程後にリサイクルされる。新たに提供された一酸化炭素とリサイクルされた一酸化炭素の組み合わせも利用され得る。例えばギ酸として一酸化炭素付加物又は前駆体の適用も可能である。
【0052】
ニトロ芳香族化合物及び任意の一酸化炭素に加えて、試薬流M1は、溶媒Sを含む1つ以上の成分D、添加剤X及び不活性ガスGを含有し得る。
【0053】
好適な溶媒Sは、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、1,2-ジフェニルベンゼン、1,2-ジメチルナフタリン、ヘキサデシルベンゼン、Solvesso150ND、Solvesso200NDなどのアレーン及び置換アレーンのような非プロトン性有機溶媒である。
【0054】
他の好適な非プロトン性溶媒は、(シクロ)アルカン及び置換(シクロ)アルカン、例えばn-アルカン、シクロアルカン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジフェニルメタン、ジベンジルである。
【0055】
他の好適な溶媒は、開鎖及び環状エーテル、例えばジオクチルエーテル又はTHFである。
【0056】
50℃~300℃の範囲、より好ましくは100℃~275℃の範囲、さらに好ましくは125℃~255℃の範囲の沸点を有する好ましい溶媒。
【0057】
溶媒はまた、各ニトロ芳香族化合物に対応するイソシアネートであり得る。
【0058】
好適な不活性ガスGは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン又は二酸化炭素などのガスを含み、窒素、アルゴン及び二酸化炭素が好ましい。
【0059】
カルボニル化は一般に、50~250℃の範囲、好ましくは80~190℃の範囲、より好ましくは100~170℃の範囲の温度で行われる。
【0060】
反応中の全圧は、1~200barの範囲、好ましくは10~150barの範囲、より好ましくは15~100barの範囲内である。
【0061】
一酸化炭素の分圧は、1~150barの範囲、好ましくは1~120barの範囲、より好ましくは1~100barの範囲内である。
【0062】
一般に、反応混合物M1と、多金属材料を含み、好ましくはそれからなる触媒及び一酸化炭素との接触は、連続的又は不連続的手法で行われ得る。
【0063】
好ましくは、本発明は、バッチ反応器、バッチ反応器のカスケード、セミバッチ反応器又は連続反応器で実施される。好適な反応器は、攪拌槽反応器、ループ反応器、ループベンチュリ反応器、逆流を有するループ反応器、振動流反応器、管型反応器、スラリー反応器、充填床反応器、細流床反応器、移動床反応器、回転床反応器、当業者に知られている他の反応器の種類及び異なる反応器の種類の組み合わせである。
【0064】
1つのセットアップでは、反応は以下の反応工程を含む:
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b)試薬混合物M1及び上記で詳細に記載した多金属材料を含むカルボニル化触媒を含む反応混合物R1を提供する工程;
c)試薬混合物R1を一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物と接触させる工程;
d)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程。
【0065】
代替的なセットアップでは、反応工程はまた以下であり得る:
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b)試薬混合物M1及び一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物を含む試薬混合物M2を提供して反応混合物M2を得る工程、
c)試薬混合物M2を、上記で詳細に記載した多金属材料I)を含み、好ましくはそれからなるカルボニル化触媒と接触させる工程、
d)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程。
【0066】
一般に、反応混合物R1は、多金属材料を含むカルボニル化触媒を含有する。カルボニル化触媒の濃度は、0.1~10重量%の範囲、好ましくは0.1~7.5重量%の範囲、より好ましくは0.1~5重量%の範囲である。
【0067】
一般に、反応混合物R1は、0.5~24時間、好ましくは2~20時間、より好ましくは4~12時間一酸化炭素と接触する。
【0068】
一般に、反応混合物M2において一酸化炭素の分圧は、1~150barの範囲、好ましくは1~120barの範囲、より好ましくは1~100barの範囲内である。
【0069】
好ましい実施形態
以下に示される以下の実施形態及び実施形態の組み合わせによって本発明をさらに説明する。
【0070】
一般に、本発明は、一般式A(式中:
Aは、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt及びAgからなる群から選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Zn、Ga、In、Ge及びAsからなる群から選択される1種以上の元素であり、
におけるxは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内であり、
におけるxは、0.1~10、好ましくは0.2~5、より好ましくは0.5~2の範囲内である)
の1つ以上の二元金属間相の1つ以上を含む多金属材料によって触媒されるニトロ芳香族化合物の直接カルボニル化による芳香族イソシアネートの調製のための方法を提供する。
【0071】
好ましい触媒は、一般式A(式中、
Aは、Ni、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群から選択される1種以上の元素であり、
Bは、Sn、Sb、Pb、Ga及びInからなる群から選択される1種以上の元素である)
の二元金属間相の1つ以上を含む。
【0072】
より好ましい触媒は、一般式A(式中、
Aは、Rhであり、
Bは、Pb、Sn及びSbからなる群から選択される1種以上の元素である)
の1つ以上の二元金属間相を含む。
【0073】
好ましくは、多金属材料は、少なくとも85重量、より好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくは95重量%の金属間相Aの1つ以上を構成する。
【0074】
一実施形態では、多金属材料は、1つ以上の成分Cを含有し、成分Cは、金属間化合物Aの一部ではないA及び/又はBからなるか、又はそれらを含有する。
【0075】
さらなる実施形態では、多金属材料は、1種以上の成分Cを含有し、成分Cは、O、N、C、H、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBa、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Gaからなる群から選択される1つ以上の元素、好ましくはO、N、C、H、Mg、Ca、Mn、Fe、Co、Ni、Zn及びGaからなる群からの1つ以上の元素を含むか、又はそれらからなる。
【0076】
好ましくは、多金属材料は、担体材料、通常は結晶性又はアモルファス担体材料に堆積される。第1の実施形態では、担体材料は、炭素、グラファイト、グラフェン又は層間化合物を含む。第2の好ましい実施形態では、担体材料は、炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物、リン化物、アンチモン化物、ヒ化物、硫化物、セレン化物又はテルル化物を含む。第3の実施形態では、担体材料は、MgO、CaO、ZnO、CeO、SiO、Al、TiO、ZrO、Mn、Fe、Fe、MgAl、LaAlO、CaTiO、CeZrOAl14Ca1234ならびに当業者に知られている他の二元及び多元酸化物(それらのぞれぞれの変性で)の1つ以上を含む。第4の好ましい実施形態では、担体材料は、1つ以上のゼオライト材料を含み、好ましくはそれからなり、そのゼオライト材料は、好ましくは、ZSM、MFI、MOR、BEA又はFAUタイプのフレームワーク構造を有する。
【0077】
担体材料は、粉末、分散液、コロイド、顆粒、リングのような成形体、球体、押出物又はペレットを含む形態で提供され得る。
【0078】
多金属材料は、好ましくは、RhPb、RhPb、RhPb、RhSn、RhSn、RhSn、RhSn、RhSb、RhSb、RhSb、RhSb、RhGa、Rh10Ga17、RhGa、RhGa、RhGa21、RhGa16、RhGa、RhIn、RhIn、RhGe、RhGe、RhGe、Rh17Ge22、RhGe、IrPb、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、IrSn、PdPb、Pd13Pb、PdPb、PdPbPdSn、Pd20Sn13、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSn、PdSb、Pd20Sb、PdSb、PdSb、PdSb、PdSb、PdSb、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、PdGa、RuSn、RuSn、RuSn、RuSb、RuSb、RuSb、NiPb、NiSn、NiSn、NiSn、NiSn、NiSb、NiSb、NiSb及びNiSbから選択される1つ以上の金属間結晶相を含む。好ましくは、多金属材料は、RhPb、RhPb、RhSb、RhSb、RhSb及びRhSnから選択される1つ以上の金属間結晶相を含有する。
【0079】
前述の実施形態のいずれかの多金属材料は、工程(i)~(iv)を含む方法によって得ることができる:
(i)金属前駆体を好ましくは溶液の形態で提供すること;
(ii)金属前駆体の担体材料上への堆積;
(iia)任意の乾燥工程;
(iii)複合材料の還元処理;
(iv)複合材料の熱処理。
【0080】
工程(i)において、溶媒ならびにA、B及びCの1つ以上の供給源とを含む混合物が調製され、その溶媒は、水、アルコール、ポリオール、酸及び塩基のうちの1つ以上を含む。
【0081】
工程(ii)では、工程(i)で調製された混合物を、浅床含浸、噴霧含浸、初期湿潤含浸及び溶融含浸から選択される方法を用いて担体材料に接触させる。溶媒除去には、蒸発、加熱又は凍結乾燥から選択される方法が好ましく使用される。また、担体材料が金属溶液から現場で又は別個の工程で調製される沈殿技術も含まれる。この技術はまた、任意の乾燥工程を含む。
【0082】
還元処理工程及び熱処理工程(iii)及び(iv)は、好ましくは
(iii)工程(ii)で得られた材料を還元剤の1種以上と接触させることであって、その還元剤が、固体、液体又は気体形態で提供され得、かつアルコール、炭化水素、アミン、ポリオール、Zn粉末、H、CO、CH及びCを含む、接触させること;
(iv)化学的に不活性な条件下での熱還元によって工程(iii)で得られた材料を還元すること、
を含む。
【0083】
熱処理は、調製された材料を、化学的に不活性な条件、好ましくは窒素、アルコン及びヘリウムのような気体のような不活性気体下で加熱することを含む。加熱は、マッフル炉、マイクロ波、ロータリーキルン、チューブ炉及び流動床で行われ得る。
【0084】
先の実施形態のいずれかによる、多金属材料及び多金属材料を含有する触媒は、ニトロ芳香族化合物をイソシアネートに直接カルボニル化するために使用される。
【0085】
一般に、ニトロ芳香族化合物及び一酸化炭素からイソシアネートを合成するための方法は、工程a)~d)を含む:
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b1)試薬混合物M1及び一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物を含む試薬混合物M2を提供する工程、及び/又は
b2)試薬混合物M1及び上記で詳細に記載した多金属材料を含むカルボニル化触媒を含む反応混合物R1を提供する工程;
c)試薬混合物M2を、上記で詳細に記載した多金属材料I)を含み、好ましくはそれからなる好ましくはカルボニル化触媒と接触させる工程;及び/又は
d)試薬混合物R1を一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物と接触させる工程;
e)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程。
【0086】
混合物M1中のニトロ芳香族化合物の濃度は、一般に、0.01重量%~60重量%の範囲、より好ましくは0.1重量%~50重量%、さらに好ましくは0.1重量%~40重量%である。混合物M1中の成分Dの濃度は、一般に、40重量%~99重量%の範囲、より好ましくは50重量%~99重量%の範囲、さらに好ましくは60重量%~99重量%の範囲である。
【0087】
好適なニトロ芳香族化合物は、1つ以上のニトロ基を有する単又は多芳香族化合物:ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエン、ニトロナフタリン、ニトロアントラセン、ニトロジフェニル、ビス(ニトロフェニル)メタン、及び1つ以上のニトロ基を有するさらなる単及び多芳香族化合物を含む。ニトロ芳香族化合物は、他の官能基を含有し得る。本発明に関して、官能基は、芳香環に接続した置換基である。官能基は、H、B、C、N、P、O、S、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有し得る。官能基の例は、ヒドロキシル基、ハロゲン、脂肪族側鎖、カルボニル基、イソシアネート基、ニトロソ基、カルボキシル基及びアミノ基である。
【0088】
1,6-ジニトロヘキセン又はニトロシクロヘキセン、ニトロシクロペンテン、ニトロメタン、ニトロオクタン、ビス-(ニトロシクロヘキシル)-メタンなどの、脂肪族鎖、側鎖又は環に結合した1つ以上のニトロ基を含むニトロ有機化合物も含まれる。
【0089】
好ましい実施形態では、ニトロ芳香族化合物は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、THF、ジオクチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、n-アルカン、シクロアルカン、1,2-ジフェニルベンゼン、1-フェニルナフタリン、ジベンジル、1,2-ジメチルナフタリン、ジフェニルメタン、ヘキサデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンドデシルベンゼン又はSolvesso150ND及びSolvesso200NDから選択される非プロトン性有機溶媒の1つ以上で提供される。
【0090】
一般に、1つ以上の非プロトン性有機溶媒の沸点は、50℃~300℃、好ましくは100℃~275℃、より好ましくは125℃~255℃である。
【0091】
特定の実施形態では、溶媒は、それぞれのニトロ芳香族化合物に対応するイソシアネートであり得る。
【0092】
一般に、イソシアネートの製造は、50~250℃、好ましくは80~190℃、より好ましくは100~170℃の範囲内の温度で行われる。一般に、イソシアネートの製造は、1~200bar、好ましくは10~150bar、より好ましくは15~100barの範囲内の全圧で行われる。一酸化炭素分圧は、一般に、1~150bar、好ましくは1~120bar、より好ましくは1~100barである。
【0093】
第1の実施形態では、イソシアネートは、
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b)試薬混合物M1及び上述した多金属材料を含むカルボニル化触媒を含む反応混合物R1を提供する工程;
c)試薬混合物R1を一酸化炭素又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物と接触させる工程;
d)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程
を含むバッチで非連続的に製造される。
【0094】
一般に、反応混合物R1中のカルボニル化触媒の濃度は、0.1~10重量%、好ましくは0.1~7.5重量%、より好ましくは0.2~5重量%の範囲である。反応時間は、一般に、0.5~24時間、好ましくは2~20時間、より好ましくは4~12時間である。
【0095】
第2の実施形態では、イソシアネートは、
a)ニトロ芳香族化合物及び少なくとも1つの追加の成分D(Dは、好適な溶媒を含む)を含む試薬混合物M1を提供する工程;
b1)試薬混合物M1及び一酸化炭素、又は一酸化炭素と不活性ガスGとの混合物を含む試薬混合物M2を提供して反応混合物M2を得る工程、
c)試薬混合物M2を、上記で詳細に記載した多金属材料I)を含み、好ましくはそれからなるカルボニル化触媒と接触させる工程、
d)イソシアネートを含む反応混合物を得る工程
を含む方法で連続的に製造される。
【0096】
一般に、反応混合物M2において一酸化炭素の分圧は、1~150barの範囲、好ましくは1~120barの範囲、より好ましくは1~100barの範囲内である。
【実施例
【0097】
図1は、表2による例示的触媒H、I、Jの触媒的結果を示している。
【0098】
図2は、試料JのPXRDパターンα:RhPb.の反射β:グラファイトの反射を示している。
【0099】
図3は、表3による例示的触媒K~Oの触媒的結果を示している。
【0100】
X線粉末回折(XRPD)データをBruker AXS D8Advanceで収集した。データ収集にはCu Kα放射を使用した。ビームは、ラインフォーカス用コリメータ(Soller Slit、2.5°)及び電動発散スリットを使用して狭めた。40kV及び40mAの発電機設定を使用した。試料を乳棒で優しくすりつぶし、次いで丸い台に詰めた。ラウンドマウントからのデータ収集は、0.02°のステップサイズ及びステップあたり0.2秒のカウント時間でのステップスキャンを使用して5°~70°の2θ範囲をカバーした。DIFFRAC.EVAソフトウェアは、データ分析のすべてのステップに使用された。各試料に存在するフェーズは、International Centre for Diffraction Data(ICDD、バージョン2015)から入手可能なデータの検索及び一致によって特定された。
【0101】
バッチ反応器試験:
バッチ反応器でのスクリーニングは、ハステロイC276から作られたバッチオートクレーブを使用して、一連の単一実験で行われた。各スクリーニング実験の一般的な実験手順は次のとおりである。
【0102】
第1の工程では、ニトロベンゼンをクロロベンゼンに溶解することによって反応混合物を調製した。反応混合物中のニトロベンゼンの濃度は、1重量%から5重量%の間に設定された。それぞれの量の触媒を空の反応器に入れ、少なくとも12時間、160℃及び10-1barに加熱した。第2の工程では、温度を下げたり、専用の充電装置を使用して反応器を開いたりすることなく、反応混合物を反応器に充填した。反応混合物を充填した後、オートクレーブを所望の温度に加熱又は冷却した。最後の工程では、オートクレーブをCOガス及び窒素ガスで所望の全圧に加圧した。反応混合物をそれぞれの時間、1000rpmで撹拌した。
【0103】
FID、MS及びTCD検出器を備えたGC-MSユニット(Agilent TechnologiesのGC-MS)を介して、それぞれの製品スペクトルを分析した。反応の総転化率は、ニトロ芳香族化合物の開始濃度と終了濃度の差をニトロ芳香族化合物の開始濃度で除したものとして計算された。反応混合物中の各生成物の濃度は、それぞれの応答係数を使用してGC分析によって特定した。収率は、それぞれの生成物濃度(mmol/kg)をニトロ芳香族化合物の開始濃度(mmol/kg)で除し、得られた値に、必要とされる出発ニトロ芳香族化合物のmolを乗じてそれぞれの生成物のmolを生成することによって決定した。
【0104】
すべての生成物の合計収率と計算された総転化率との差は、「ポリマー」という用語で表される。「ポリマー」は、適用されたGC方法では分析できなかった形成された生成物を含む。
【0105】
比較例A~C
DE1810828に従う酸化物の合成
Pb0.3Mn0.7の合成
0.7:0.3のMn:Pb比を有する試料の調製の場合、Mn(NOx6HOとして0.1752molのMn、Pb(NOとして0.075molのPbを撹拌しながら1LのDI水に溶解した。硝酸塩が溶解した後、DI水を2.5Lまで加えた。1.04molの活性炭を溶液に加えた。8重量%のNaOH溶液を加えることによってpHを10に調整した。生成物が沈殿し、経時劣化のために懸濁液を30分間撹拌した。
【0106】
デカンテーションにより液体を固体から分離した。DI水を固体に加え、15分間撹拌した。pH値が使用されたDI水と同一になるまで手順を繰り返した。固体を濾過により分離し、100℃で一晩乾燥させた。
【0107】
FeMnの合成
0.8:0.2のMn:Fe比を有するMnFe試料の調製の場合、Mn及びFeの供給源が硝酸塩ではなく、塩化物(MnClx4HOとして0.2molのMn、FeClx6HOとして0.05molのFe)であったことを除き、上述したレシピを適用した。
【0108】
GB1315813Aに従って活性炭に含浸された5重量%のRh又はPdを有する酸化物の1:1の物理的混合物を調製し、触媒的に試験した。表2は、(A)5重量%のPd担持C及びPb0.3Mn0.7、(B)5重量%のRh担持C及びPb0.3Mn0.7及び(C)5重量%のRh担持C及びFe0.2Mn0.8の混合物についてのニトロベンゼンの還元及びニトロソベンゼンへのCOの挿入の結果を示している。反応条件はp=100barg、T=190℃及び6時間の反応時間であった。(A)5重量%のPd@C及びPbMnの物理的混合物は、フェニルイソシアネートを全く生成せず、ニトロソベンゼン、アゾ及びアゾキシベンゼンの形成が観察された。しかしながら、他の2つの試験された系である(B)5重量%のRh@C及びPbMn及び(C)5重量%のRh@C及びFeMnは、フェニルイソシアネート、アゾ及びアゾキシベンゼンならびに「ポリマー」の形成をもたらした。
【0109】
比較例D~G
比較例D~Gの調製は、工程(i)に記載されるように単金属溶液を調製し、工程(ii)に記載されるように活性炭担体に溶液を含浸させることによって行われた。従った含浸技術は初期湿潤含浸であった。含浸後に80℃の乾燥工程(iia)を実施した。担体に堆積した金属の量は、担体質量の5重量%であった。それぞれの金属含有成分と溶媒は表1から得られ得る。
【0110】
【表1】
【0111】
実施例A~Gの触媒結果
比較例A~Gは触媒的に試験された。表2は、ニトロベンゼンの還元(工程1)及びCOのニトロソベンゼンへの挿入によるフェニルイソシアネートの形成(工程2)の収率を示している。(A)5重量%のPd@C及びPb0.3Mn0.7、(B)5重量%のRh@C及びPb0.3Mn0.7及び(C)5重量%のRh@C及びFe0.2Mn0.8の混合物の場合、反応条件は、p=100barg、T=190℃及及び6時間の反応時間であった。(A)5重量%のPd@C及びPbMnの物理的混合物は、フェニルイソシアネートを全く生成せず、ニトロソベンゼン、アゾ及びアゾキシベンゼンの形成が観察された。しかしながら、他の2つの試験された系である(B)5重量%のRh@C及びPbMn及び(C)5重量%のRh@C及びFeMnは、フェニルイソシアネート、アゾ及びアゾキシベンゼンならびに「ポリマー」の形成をもたらした。
【0112】
単金属触媒D~Gの場合、反応条件はp=100barg、T=160℃及び4時間の反応時間であった。フェニルイソシアネートを生成する単金属触媒はない。
【0113】
表2 比較例の結果。PI=フェニルイソシアネート;AZO=アゾベンゼン;AZY=アゾキシベンゼン;NSB=ニトロソベンゼン;DCD=ジフェニルカルボジアミド;POL=ポリマー
【0114】
【表2】
【0115】
比較例B及びCの結果は、反応の工程1に関与する酸化物及び反応の工程2に関与する卑金属の2つの触媒の機能を組み合わせることによって、反応の両工程がワンポット合成で行われたことを示している。
【0116】
H~O
特許実施例H~Jの調製は、工程(i)に記載されているように2つの別個の単金属溶液を調製することによって行った。その後、これらの溶液から混合物を調製した。単溶液の濃度及び混合物を調製するために使用されるそれぞれの体積を表3に示している。混合物は、工程(ii)に記載されているように、活性炭担体に含浸された。従った含浸技術は初期湿潤含浸であり、各含浸工程後に乾燥工程(iia)が80℃で実施された。
【0117】
担体に堆積した金属Aの量は、担体質量の5重量%になるようにされた。金属Bの量は、合計式に従って計算された。乾燥工程後、特許実施例H~Jの複合材料は、マッフル炉及びN雰囲気を使用して500℃で5時間の還元及び熱処理の組み合わせを受けた(工程iii及びiv)。それぞれの担体質量、濃度及び体積は表3から得られ得る。金属含有成分と溶媒は表1から得られ得る。
【0118】
特許実施例K~Oの調製は、工程(i)に記載されるように単金属溶液を調製し、工程(ii)に記載されるように酸化担体に溶液を連続して含浸させることによって行われた。従った含浸技術は初期湿潤含浸であった。実施例K、L及びMについては、金属Aを含有する単金属溶液が最初に含浸された。実施例N及びOについては、金属Bを含有する単金属溶液が最初に含浸された。実施例N及びOの場合、すべての溶液について複数の含浸が必要であった(詳細は表3参照)。各含浸工程の後、乾燥工程(iia)を80℃で実施した。担体に堆積した金属Aの量は、担体質量の5重量%になるようにされた。金属Bの量は、合計式に従って計算された。最終乾燥工程の後、複合材料をポリエチレングリコール(ポリオール)に懸濁し、工程(iii)で記載したように還元処理を受けた。還元は、1000Wのマイクロ波オーブン及びN雰囲気を使用して200℃で20分間行った。還元された複合材料をポリオールから分離し、マッフル炉とN雰囲気を使用して500℃で5時間、工程(iv)に記載のように熱処理を受けた。
【0119】
それぞれの担体質量、濃度及び体積は表3から得られ得る。金属含有成分と溶媒は表1から得られ得る。
【0120】
【表3】
【0121】
1:担体材料. *)比表面積:100m
**)比表面積:5m
***)ルチル
2:担体材料の量[g].
3:金属Aを含有する溶液の濃度[mol/L].
4:含浸に使用される金属Aを含有する溶液の総体積[ml].
5:金属Aを含有する溶液の含浸工程の数.
6:金属Bを含有する溶液の濃度[mol/L].
7:含浸に使用される金属Bを含有する溶液の総体積[ml].
8:金属Bを含有する溶液の含浸工程の数.
9:加熱方法.a)マッフル炉500℃;5時間;N雰囲気.
b)マイクロ波オーブン(1000W)200℃;20分;N雰囲気
【0122】
実施例H~Oの触媒結果
表4及び図1は、ニトロベンゼンの還元及びニトロソベンゼン中のCOの挿入の結果を示している。反応条件はp=100barg、T=160℃及び4時間の反応時間であった。
【0123】
【表4】
【0124】
結果は、単金属触媒とは異なり、多金属触媒が生成物としてフェニルイソシアネートを生成したことを示している。
【0125】
図2は、試料JのPXRDパターンを示しており、多金属触媒が、アモルファス炭素担体上の金属間化合物RhPb(α)からなることを証明している。しかしながら、炭素担体からの微量のグラファイト(β)も確認されている。また、グラファイトの反射は、熱処理工程の結果として現れた。
【0126】
連続反応器における試験:
連続反応器でのスクリーニングは、細流床反応器系を使用して、一連の実験で行われた。各スクリーニング実験の一般的な実験手順は次のとおりである。
【0127】
第1の工程では、ニトロベンゼン又はジニトロトルエンをクロロベンゼンに溶解することによって反応混合物を調製した。反応混合物中のそれぞれのニトロ芳香族化合物の濃度は、1重量%から3重量%の間に設定された。
【0128】
使用した反応器は、長さ40cm、内径0.4cmの管型反応器であった。
【0129】
反応器の内部に、125~160μmのフラクションサイズにふるい分けられたそれぞれの触媒1mlを入れた。SiOを、前床及び後床の不活性材料として使用した。
【0130】
反応器をN雰囲気中で160℃に少なくとも12時間加熱して、残留水を除去した。その後、反応器の温度を望ましい値に設定した。
【0131】
次の工程で、反応混合物をCO又はCOとNの混合物と混合し、反応器に供給した。液体流(LHSV)は、1h-1~4h-1になるように設定した。ガス流(GHSV)は、500~3500h-1になるように設定した。
【0132】
得られた生成物混合物を経時的に収集し、GCで分析した。
【0133】
すべての実験の詳細は表6に要約されている。
【0134】
FID、MS及びTCD検出器を備えたGC-MSユニット(Agilent TechnologiesのGC-MS)を介して、それぞれの製品スペクトルを分析した。各反応の総転化率は、ニトロ芳香族化合物の反応器入口(供給)濃度と生成物混合物中のニトロ芳香族化合物の濃度との差をニトロ芳香族化合物の開始濃度で除することによって計算した。生成物混合物中の各生成物の濃度は、それぞれの応答係数を使用してGC分析によって特定した。収率は、それぞれの生成物濃度(mmol/kg)をニトロ芳香族化合物の濃度(mmol/kg)で除し、得られた値に、必要とされる出発ニトロ芳香族化合物のmolを乗じてそれぞれの生成物のmolを生成することによって決定した。
【0135】
すべての生成物の合計収率とニトロ芳香族化合物の計算された総転化率との差は、「ポリマー」という用語で表される。「ポリマー」は、適用されたGC方法では分析できなかった形成された生成物を含む。
【0136】
特許実施例H~BIの調製は、工程(i)に記載されているように別個の単金属溶液を調製することによって行った。その後、これらの溶液から混合物を調製した。単溶液の濃度及び混合物を調製するために使用されるそれぞれの体積を表3に示している。混合物は、工程(ii)に記載されているように、様々な担体に含浸された。従った含浸技術は初期湿潤含浸であり、各含浸工程後に乾燥工程(iia)が80℃で実施された。
【0137】
いくつかの例では、担体は2つの酸化物の混合物から調製された。この場合、酸化物はハンドミルを使用して物理的に混合された。得られた酸化混合物は、含浸の前に500℃で焼成された。
【0138】
担体に堆積した金属Aの量は、担体質量の1~5重量%になるようにされた。金属Bの量は、合計式に従って計算された。乾燥工程後、特許実施例H~Jの複合材料は、マッフル炉及びN雰囲気を使用して500℃で5時間の還元及び熱処理を受けた(工程iii及びiv)。それぞれの担体質量、濃度及び体積は表3から得られ得る。金属含有成分と溶媒は表1から得られ得る。
【0139】
【表5】
【0140】
1:担体材料. *)比表面積:>5m
**)ルチル
2:担体材料Iの量[g].
3:担体材料IIの量[g].
4:金属Aを含有する溶液の濃度[mol/L].
5:含浸に使用される金属Aを含有する溶液の総体積[ml].
6:金属Aを含有する溶液の含浸工程の数.
7:金属Bを含有する溶液の濃度[mol/L].
8:含浸に使用される金属Bを含有する溶液の総体積[ml].
9:金属Bを含有する溶液の含浸工程の数.
【0141】
【表6】
【0142】
1a:供給ストック
NB)ニトロベンゼン
2,4-DNT)2,4-ジニトロトルエン
2,4-DNT&2,6-DNT)20重量%の2,6-DNT及び80重量%の2, 4-DNTの混合物
2a:供給濃度[重量%]
3a:温度[℃]
4a:全圧[bar]
5a:COの濃度[体積%]
6a:N2の濃度[体積%]
7a:LHSV(液体毎時空間速度)[h-1
8a:GHSV(気体毎時空間速度)[h-1
【0143】
表7:ニトロベンゼンで設定した細流床での触媒試験の結果:PI=フェニルイソシアネート;AZO=アゾベンゼン;AZY=アゾキシベンゼン;NSB=ニトロソベンゼン;DCD=ジフェニルカルボジアミド;POL=ポリマー。X=総転化率。
【0144】
【表7】
【0145】
結果は、連続方法でニトロ芳香族化合物からイソシネートが製造され得ることを示している。
【0146】
表8:DNT供給ストックで設定した細流床での触媒試験の結果:TDI=2,4-トルエンジイソシアネート;TNI=トルエンニトロイソシアネート、AZOC=アゾ化合物;AZYC=アゾキシ化合物;NSC=ニトロソ化合物;AC=アミン化合物;POL=ポリマー。
【0147】
【表8】
【0148】
結果は、複数のニトロ基を含むニトロ芳香族化合物が直接イソシアネートに転化され得ることを示している。ニトロ基の数とともに構造異性体の数が増加しているため、収率はグループ収率として示されている。
【0149】
上記のように、ニトロソ化合物のような中間体又はトルエンニトロイソシアネート(TNI)のような部分的にカルボニル化されたニトロ芳香族化合物は、不完全な反応の結果として得られ得るが、それでも本発明に関しては成功した結果と見なされる。
【0150】
表9:DNT供給ストックで設定した細流床での触媒試験の結果:TDI=2,4+2,6-トルエンジイソシアネート;TNI=(トルエンニトロイソシアネートの異性体、副生成物=アゾ化合物、アゾキシ化合物、ニトロソ化合物、アミン化合物、ポリマー。
【0151】
【表9】
図1
図2
図3