(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】プラズマ反応器の電極に電力を印加すること
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20220704BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20220704BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220704BHJP
C23C 16/509 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H05H1/46 L
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/31 C
C23C16/509
(21)【出願番号】P 2019557446
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018028936
(87)【国際公開番号】W WO2018200409
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-16
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, ケネス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ラウフ, シャヒッド
(72)【発明者】
【氏名】ベラ, カロル
(72)【発明者】
【氏名】カルドゥッチ, ジェームズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ライス, マイケル アール.
【審査官】後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0133840(US,A1)
【文献】特開2004-128159(JP,A)
【文献】特開2014-049541(JP,A)
【文献】特開2004-055600(JP,A)
【文献】米国特許第06161499(US,A)
【文献】特開2006-185715(JP,A)
【文献】特開2007-084919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
H01L 21/31
C23C 16/509
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、
前記プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、
前記チャンバを排気するための前記プラズマチャンバに連結されたポンプ、
加工対象物を保持するための加工対象物支持体、
前記プラズマチャンバの天井と前記加工対象物支持体との間で前記プラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを備えたチャンバ内電極アセンブリであって、各フィラメントが円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む、チャンバ内電極アセンブリ、及び
第1のRF信号を前記複数のフィラメントの少なくとも一部に印加し、等しい周波数の第2のRF信号を前記複数のフィラメントの少なくとも一部に印加し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号との間の位相オフセットを変調するように構成された、RF電源を備え
、
前記複数のフィラメントが、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有し、各それぞれのフィラメントの第1の端部が、前記それぞれのフィラメントの第2の端部より前記プラズマチャンバの第1の側壁に近く、
前記複数のフィラメントが、第1のフィラメント、複数の中間フィラメント、及び最後のフィラメントを含み、
前記第1のRF信号が前記第1のフィラメントに印加され、前記第2のRF信号が前記最後のフィラメントに印加され、各中間フィラメントが、隣接するフィラメントの第2の端部に電気的に接続された第1の端部、及び別の隣接するフィラメントの第1の端部に電気的に接続された第2の端部を有する、
プラズマ反応器。
【請求項2】
プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、
前記プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、
前記チャンバを排気するための前記プラズマチャンバに連結されたポンプ、
加工対象物を保持するための加工対象物支持体、
前記プラズマチャンバの天井と前記加工対象物支持体との間で前記プラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを備えたチャンバ内電極アセンブリであって、各フィラメントが円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む、チャンバ内電極アセンブリ、及び
第1のRF信号を前記複数のフィラメントの少なくとも一部に印加し、等しい周波数の第2のRF信号を前記複数のフィラメントの少なくとも一部に印加し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号との間の位相オフセットを変調するように構成された、RF電源を備え、
前記複数のフィラメントが、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有し、各それぞれのフィラメントの第1の端部が、前記それぞれのフィラメントの第2の端部より前記プラズマチャンバの第1の側壁に近く、
前記複数のフィラメントが、第1の複数のフィラメント、及び前記第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含み、前記第1のRF信号が、前記第1の複数のフィラメントに印加され、前記第2のRF信号が、前記第2の複数のフィラメントに印加される、
プラズマ反応器。
【請求項3】
前記第1のRF信号が、前記複数のフィラメントの前記第1の端部に印加され、前記第2のRF信号が、前記複数のフィラメントの前記第2の端部に印加される、請求項
1又は2に記載のプラズマ反応器。
【請求項4】
前記複数のフィラメントの前記第1の端部が、第1の共通バスに接続されており、前記複数のフィラメントの前記第2の端部が、第2の共通バスに接続されている、請求項
3に記載のプラズマ反応器。
【請求項5】
前記加工対象物支持体内に底部電極を更に備える、請求項
1又は2に記載のプラズマ反応器。
【請求項6】
前記複数のフィラメントが、第1の複数のフィラメントを備え、前記プラズマ反応器が、前記第1の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第1のバスを備える、請求項
1又は2に記載のプラズマ反応器。
【請求項7】
前記RF電源が、経時的に前記導体の電圧の定常波パターンを変動させるように、前記位相オフセットを変調するように構成されている、請求項
1又は2に記載のプラズマ反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、半導体ウエハなどの加工対象物上に膜を堆積させ、加工対象物をエッチングし、又は処理するためのプラズマ反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、通常、容量結合プラズマ(CCP)源又は誘導結合プラズマ(ICP)源を使用して生成される。基本的なCCP源は、平行板コンデンサに類似した、ガス環境内で小さい距離だけ分離された2つの金属電極を含む。2つの金属電極のうちの一方が、一定の周波数の無線周波数(RF)電源によって駆動されると同時に、他方の電極は、RF接地に接続されており、2つの電極間にRF電界を生成する。生成された電界は、ガス原子をイオン化し、電子を放出する。ガス内の電子は、RF電界によって加速され、直接又は間接に衝突することによってガスをイオン化し、プラズマを生成する。
【0003】
基本的なICP源は、通常、螺旋又はコイル形状の導体を含む。RF電流が導体を通って流れたときに、導体の周りにRF磁界が生成される。RF磁界は、RF電界に付随して生じ、RF電界は、ガス原子をイオン化しプラズマを生成する。
【0004】
集積回路の製造において、様々なプロセスガスのプラズマが広く使用されている。例えば、プラズマは、薄膜堆積、エッチング、及び表面処理において使用することができる。
【0005】
原子層堆積(ALD)は、気相化学プロセスの連続的な使用に基づく、薄膜堆積技法である。あるALDプロセスは、化学反応のために必要な活性化エネルギーを供給するために、プラズマを使用する。プラズマALDプロセスは、プラズマでない(例えば、「熱」)ALDプロセスより低い温度で実行することができる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、及びプラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリを含む。各フィラメントは、円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む。複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメント、及び第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含む。RF電源が、第1の複数のフィラメントに第1のRF入力信号を印加するように構成されている。第2の複数のフィラメントは、接地又はRF電源からの第2のRF入力信号に接続されている。
【0007】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含み得る。
【0008】
複数のフィラメントは、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有してよい。各それぞれのフィラメントの第1の端部は、それぞれのフィラメントの第2の端部よりプラズマチャンバの第1の側壁に近くてよい。第1の複数のフィラメントの第1の端部は、第1の共通バスに接続されていてよく、第2の複数のフィラメントの第2の端部は、第2の共通バスに接続されていてよい。RF電源は、第1の共通バスと第2の共通バスとの間にRF入力信号を印加するように構成されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、浮遊していてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部は、浮遊していてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、接地されていてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部は、接地されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、第3の共通バスに接続されていてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部は、第4の共通バスに接続されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、第2の複数のフィラメントの第1の端部に電気的に接続されていてよい。
【0009】
RF電源は、第1の複数のフィラメントの第1の端部にRF入力信号を印加するように構成されていてよく、第2の複数のフィラメントは接地されていてよい。第2の複数のフィラメントは、第2の複数のフィラメントの第2の端部を介して接地されていてよい。第2の複数のフィラメントの第1の端部は、浮遊していてよい。第2の複数のフィラメントは、第2の複数のフィラメントの第1の端部を介して接地されていてよい。
【0010】
RF電源は、整合ネットワーク及びバラン(balun)を介して、第1の複数のフィラメントと第2の複数のフィラメントにRF電力を差動的に印加するように構成されていてよい。RF電源は、シングルエンド(single-ended)不平衡様態で、第1の複数のフィラメントにRF電力を印加するように構成されていてよい。
【0011】
複数のフィラメントは、複数の同一平面にあるフィラメントを含んでよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、直線的なフィラメントを含んでよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、プラズマチャンバを通って平行に延在してよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、均一に間隔を空けられてよい。
【0012】
第1のRF信号は、第1の共通バスの中心に印加されてよく、第2のRF信号は、第2の共通バスの中心に印加されてよい。第1のRF信号は、第1の共通バスの両側の端部に印加されてよく、第2のRF信号は、第2の共通バスの両側の端部に印加されてよい。
【0013】
第3の共通バスと第4の共通バスの各端部が、接地に接続されていてよい。第3の共通バスと第4の共通バスのそれぞれの中心が、接地に接続されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部と第2の複数のフィラメントの第1の端部との間の電気的接続は、チャンバの外側であってよい。
【0014】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリ、及びRF電源を含む。各フィラメントは、円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む。複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメント、及び第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含む。複数のフィラメントは、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有する。各それぞれのフィラメントの第1の端部は、それぞれのフィラメントの第2の端部よりプラズマチャンバの第1の側壁に近い。RF電源は、第1の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第1のバス、第2の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第2のバス、第1の複数のフィラメントの第2の端部に接続された第3のバス、及び第2の複数のフィラメントの第2の端部に接続された第4のバスを含む。
【0015】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。
【0016】
RF電源は、第1のバス、第2のバス、第3のバス、及び第4のバスのそれぞれにRF信号を印加するように構成されていてよい。RF電源は、第1のバス、第2のバス、第3のバス、及び第4のバスのそれぞれの両側の端部にRF信号を印加してよい。
【0017】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリであって、各フィラメントが円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含み、複数のフィラメントが、第1の複数のフィラメント及び第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含む、チャンバ内電極アセンブリ、並びに、第1のRF入力信号を第1の複数のフィラメントに印加し、第2のRF入力信号を第2の複数のフィラメントに印加するように構成された、RF電源であって、第1のRF入力信号と第2のRF入力信号が、等しい周波数及び位相オフセットを有する、RF電源を含む。
【0018】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。位相オフセットは、180度であってよい。位相オフセットは、制御可能であってよい。
【0019】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを備えるチャンバ内電極アセンブリ、及びRF電源を含む。各フィラメントは、円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む。複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメント、及び第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含む。複数のフィラメントは、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有する。各それぞれのフィラメントの第1の端部は、それぞれのフィラメントの第2の端部よりプラズマチャンバの第1の側壁に近い。RF電源は、第1の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第1のバス、第2の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第2のバス、第1の複数のフィラメントの第2の端部に接続された第3のバス、及び第2の複数のフィラメントの第2の端部に接続された第4のバスを含む。
【0020】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリ、及びRF電源を含む。各フィラメントは、円筒形状絶縁シェルによって囲まれた導体を含む。RF電源は、複数のフィラメントの少なくとも一部に第1のRF信号を印加し、複数のフィラメントの少なくとも一部に等しい周波数の第2のRF信号を印加し、第1のRF信号と第2のRF信号との間の位相オフセットを変調するように構成されている。
【0021】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。
【0022】
複数のフィラメントは、複数の第1の端部及び複数の第2の端部を有してよい。各それぞれのフィラメントの第1の端部は、それぞれのフィラメントの第2の端部よりプラズマチャンバの第1の側壁に近くてよい。第1のRF信号は、複数のフィラメントの第1の端部に印加されてよく、第2のRF信号は、複数のフィラメントの第2の端部に印加されてよい。複数のフィラメントの第1の端部は、第1の共通バスに接続されてよく、複数のフィラメントの第2の端部は、第2の共通バスに接続されてよい。
【0023】
複数のフィラメントは、第1のフィラメント、複数の中間フィラメント、及び最後のフィラメントを含んでよく、第1のRF信号は、第1のフィラメントに印加されてよく、第2のRF信号は、最後のフィラメントに印加されてよい。各中間フィラメントは、隣接するフィラメントの第2の端部に電気的に接続された第1の端部を有してよく、第2の端部は、別の隣接するフィラメントの第1の端部に電気的に接続されてよい。接続は、チャンバの外側であってよい。
【0024】
複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメント、及び第1の複数のフィラメントと交互パターンで配置された第2の複数のフィラメントを含んでよい。第1のRF信号は、第1の複数のフィラメントに印加されてよく、第2のRF信号は、第2の複数のフィラメントに印加されてよい。RF電源は、第1の複数のフィラメントの第1の端部に第1のRF入力信号を印加し、第2の複数のフィラメントの第2の端部に第2のRF信号を印加するように構成されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、浮遊していてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部は、浮遊していてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、接地されていてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部は、接地されていてよい。第1の複数のフィラメントの第2の端部は、第2の複数のフィラメントの第1の端部に電気的に接続されていてよい。
【0025】
チャンバの天井内の上端電極を保持するための支持体が、含まれてよい。加工対象物支持体内に底部電極が、含まれてよい。
【0026】
複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメントを含んでよく、第1のバスは、第1の複数のフィラメントの第1の端部に接続されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置に第1のRF信号を印加し、バスの異なる第2の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。第1位置と第2の位置は、バスの両側の端部にあってよい。第1の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続された第2のバスが、含まれてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置に第1のRF信号を印加し、第2のバスの異なる第2の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。RF電源は、第1のバスの異なる第3の位置に第1のRF信号を印加し、第2のバスの異なる第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。
【0027】
複数のフィラメントは、第2の複数のフィラメントを含んでよく、第3のバスは、第2の複数のフィラメントの第1の端部に接続されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び第3のバスの第2の位置に第1のRF信号を印加し、第1のバスの異なる第3の位置及び第3のバスの異なる第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。第2のバスは、第1の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続されてよく、第4のバスは、第2の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び第2のバスの第2の位置に第1のRF信号を印加し、第3のバスの第3の位置及び第4のバスの第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び異なる第2の位置並びに第2のバスの第3の位置及び異なる第4の位置に第1のRF信号を印加し、第3のバスの第5の位置及び異なる第6の位置並びに第4のバスの第7の位置及び異なる第8の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。第1、第3、第5、及び第7の位置は、それぞれ、第2、第4、第6、及び第8の位置からそれぞれのバスの反対側の端部にあってよい。
【0028】
RF電源は、経時的に導体の電圧の定常波パターンを変動させるように、位相オフセットを変調するように構成されてよい。複数のフィラメントは、複数の同一平面にあるフィラメントを含んでよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、直線的なフィラメントを含んでよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、プラズマチャンバを通って平行に延在してよい。複数の同一平面にあるフィラメントは、均一に間隔を空けられてよい。
【0029】
別の一態様では、加工対象物を処理する方法が、加工対象物の前面が、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントに対面するように、加工対象物を加工対象物支持体上に位置決めすること、プラズマチャンバにプロセスガスを供給すること、プラズマチャンバ内にプラズマを生成するように、複数のフィラメントの少なくとも一部に第1のRF信号を印加し、複数のフィラメントの少なくとも一部に等しい周波数の第2のRF信号を印加することであって、加工対象物がプラズマチャンバからのプラズマに暴露される、RF信号を印加すること、及び第1のRF信号と第2のRF信号との間の位相オフセットを変調することを含む。
【0030】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。位相オフセットを変調することにより、経時的に導体の電圧の定常波パターンが変動し得る。第1のRF信号と第2のRF信号との間の位相オフセットが、プラズマ密度の均一性を増加させるように変調されてよい。第1のRF信号と第2のRF信号との間の位相オフセットは、基板上の層の不均一性又は層の処理の不均一性の源を補償するために、プラズマ密度の不均一性を誘起するように変調されてよい。第1のRF信号と第2のRF信号を印加することは、整合ネットワーク及びバランを介して、第1の複数のフィラメントと第2の複数のフィラメントにRF電力を差動的に印加することを含んでよい。第1の複数のフィラメントと第2の複数のフィラメントは、プラズマチャンバ内で交互パターンに配置されてよい。
【0031】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリであって、各フィラメントが絶縁シェルによって囲まれた導体を含み、各フィラメントの導体に少なくとも1つのバスが電気的に接続されている、チャンバ内電極アセンブリ、及びRF電源を含む。RF電源は、少なくとも1つのバスの第1の位置の複数のフィラメントに第1の周波数の第1のRF信号を印加し、少なくとも1つのバスの異なる第2の位置の複数のフィラメントに異なる第2の周波数の第2のRF信号を印加するように構成されている。
【0032】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。
【0033】
第1の整合回路が、第1の位置を第1のサーキュレータ/アイソレータに電気的に接続してよい。第2の整合回路が、第2の位置を第2のサーキュレータ/アイソレータに電気的に接続してよい。第2の位置を疑似負荷に電気的に直接接続する第2の整合回路が、含まれてよい。第1のサーキュレータ/アイソレータは、第1の帯域幅を有してよく、第1の周波数及び第2の周波数は、第1の帯域幅内にあってよい。第1の周波数と第2の周波数との間の差は、第1の周波数と第2の周波数の平均の約5%以下であってよい。
【0034】
複数のフィラメントは、第1の複数のフィラメントを含んでよい。少なくとも1つのバスは、第1の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第1のバスを含んでよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置に第1のRF信号を印加し、バスの異なる第2の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。第1位置と第2の位置は、バスの両側の端部にあってよい。第1の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続された第2のバスが、含まれてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置に第1のRF信号を印加し、第2のバスの異なる第2の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。RF電源は、第1のバスの異なる第3の位置に第1のRF信号を印加し、第2のバスの異なる第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。
【0035】
複数のフィラメントは、第2の複数のフィラメントを備えてよく、第2の複数のフィラメントの第1の端部に接続された第3のバスを含んでよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び第3のバスの第2の位置に第1のRF信号を印加し、第1のバスの異なる第3の位置及び第3のバスの異なる第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。
【0036】
第2のバスは、第1の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続されてよく、第4のバスは、第2の複数のフィラメントの反対側の第2の端部に接続されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び第2のバスの第2の位置に第1のRF信号を印加し、第3のバスの第3の位置及び第4のバスの第4の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。RF電源は、第1のバスの第1の位置及び異なる第2の位置並びに第2のバスの第3の位置及び異なる第4の位置に第1のRF信号を印加し、第3のバスの第5の位置及び異なる第6の位置並びに第4のバスの第7の位置及び異なる第8の位置に第2のRF信号を印加するように構成されてよい。第1、第3、第5、及び第7の位置は、それぞれ、第2、第4、第6、及び第8の位置からそれぞれのバスの反対側の端部にあってよい。
【0037】
別の一態様では、加工対象物を処理する方法が、加工対象物の前面が、プラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントに対面するように、加工対象物を加工対象物支持体上に位置決めすること、プラズマチャンバにプロセスガスを供給すること、導体に接続された少なくとも1つのバスの第1の位置において複数の導体に第1の周波数の第1のRF信号を印加すること、及び少なくとも1つのバスの異なる第2の位置において複数の導体に異なる第2の周波数の第2のRF信号を印加することを含む。
【0038】
実施態様は、以下の特徴のうちの1以上を含んでよい。第1の周波数と第2の周波数との間の差は、プラズマ密度の均一性を増加させるように選択されてよい。第1の周波数と第2の周波数との間の差は、基板上の層の不均一性又は層の処理の不均一性の源を補償するために、プラズマ密度の不均一性を誘起するように選択されてよい。第1のRF信号と第2のRF信号を印加することは、整合ネットワーク及びバランを介して、第1の複数のフィラメントと第2の複数のフィラメントにRF電力を差動的に印加することを含んでよい。第1の複数のフィラメントと第2の複数のフィラメントは、プラズマチャンバ内で交互パターンに配置されてよい。
【0039】
別の一態様では、プラズマ反応器が、プラズマチャンバを提供する内部空間を有するチャンバ本体、プラズマチャンバに処理ガスを供給するガス供給器、チャンバを排気するためのプラズマチャンバに連結されたポンプ、加工対象物を保持するための加工対象物支持体、及びプラズマチャンバの天井と加工対象物支持体との間でプラズマチャンバを通って側方に延在する複数のフィラメントを含むチャンバ内電極アセンブリであって、各フィラメントが絶縁シェルによって囲まれた導体を含み、各フィラメントの導体に少なくとも1つのバスが電気的に接続されている、チャンバ内電極アセンブリ、RF電源、少なくとも1つのバスの第1の位置に接続された第1の整合ネットワーク、少なくとも1つのバスの第2の位置に接続された第2の整合ネットワーク、第1の抵抗負荷終端及び第2の抵抗負荷終端、並びに、RF電源を第1の整合ネットワークに電気的に接続するサーキュレータ/アイソレータであって、第1の抵抗負荷終端に更に接続されたサーキュレータ/アイソレータを含み、第2の抵抗負荷終端が第2の整合ネットワークに接続されている。
【0040】
特定の実施態様は、以下の利点のうちの1以上を有し得る。プラズマの均一性が改善され得る。プラズマプロセスの再現性が改善され得る。金属汚染が低減され得る。粒子の生成が低減され得る。プラズマチャージングダメージが低減され得る。プラズマの均一性が、種々のプロセス動作条件にわたり維持され得る。プラズマ電力結合効率が改善され得る。例えば定常波によるプラズマ密度における不均一性が、低減され得る。加工対象物の処理条件又は初期状態による不均一性が、軽減され得る。
【0041】
本発明の1以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の記述の中で説明される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、これらの記述及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】プラズマ反応器の一実施例の概略側面図である。
【
図2A】プラズマ反応器を含む処理ツールの概略的な上面図である。
【
図2B】2B‐2B線に沿った
図2Aのプラズマ反応器の概略側面図である。
【
図2C】2C‐2C線に沿った
図2Aのプラズマ反応器の概略側面図である。
【
図3】チャンバ内電極アセンブリのフィラメントの様々な実施例の概略断面斜視図である。
【
図4】
図4Aは、チャンバ内電極アセンブリの一部分の概略上面図である。
図4B~
図4Cは、種々のプラズマ領域状態を有するチャンバ内電極アセンブリの断面概略側面図である。
【
図5A】電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略上面図である。
【
図5B】電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略上面図である。
【
図5C】電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略上面図である。
【
図5D】電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略上面図である。
【
図5E】電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略上面図である。
【
図6A】チャンバ内電極アセンブリの部分の概略上面図である。
【
図6B】チャンバ内電極アセンブリの部分の概略上面図である。
【
図7A】例示的な電極アセンブリ構成の概略上面図である。
【
図7B】時間の関数としての2つの入力信号の位相変調を示す概略図である。
【
図7C】時間の関数としての2つの入力信号の位相変調を示す概略図である。
【
図7D】時間の関数としての2つの入力信号の位相変調を示す概略図である。
【
図7E】更なる例示的な電極アセンブリ構成の概略上面図である。
【
図7F】更なる例示的な電極アセンブリ構成の概略上面図である。
【
図8A】例示的な電極アセンブリ構成の概略上面図である。
【
図8B】時間の関数としての2つの入力信号の位相変調を示す概略図である。
【
図8C】別の例示的な電極アセンブリ構成の概略上面図である。
【
図9A】時間の関数として位相変調された複数の入力信号を生成するための例示的な回路の概略図である。
【
図9B】時間の関数として位相変調された複数の入力信号を生成するための例示的な回路の概略図である。
【
図10】種々の周波数の複数の入力信号を生成するための例示的な回路の概略図である。
【
図11】1つの周波数の単一の入力信号を生成するための例示的な回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
様々な図面における類似の参照符号は、類似した要素を指し示している。
【0044】
従来のCCP源におけるプラズマ均一性は、通常、(1以上の)電極のサイズ及び電極間の距離によって、並びにガス圧力、ガス組成、及び印加されるRF電力によって決まる。より高い無線周波数では、定常波の存在や表皮効果(skin effect)により、更なる効果が著しくなったり、不均一性に影響を及ぼしたりする場合さえある。そのような更なる効果は、より高い周波数及びプラズマ密度でより顕著になる。
【0045】
従来のICP源におけるプラズマ均一性は、通常、(1以上の)ICPコイルの構成(そのサイズ、幾何学的形状、関連するRFウィンドウの位置を含む)によって、並びにガス圧力、ガス組成、及び電力によって決まる。複数のコイル又はコイルセグメントの場合では、(同じ周波数で駆動される場合)電流又は電力分布及びそれらの相対的な位相も、重要な要因となり得る。電力堆積(power deposition)は、表皮効果によりICPコイルの下又はICPコイルに隣接して数センチメートル以内で生じる傾向があり、そのような局所的な電力堆積は、通常、コイルの幾何学的形状を反映したプロセスの不均一性をもたらす。そのようなプラズマの不均一性は、加工対象物にわたる電位差をもたらし、それは、プラズマチャージングダメージ(例えば、トランジスタのゲート誘電破壊)ももたらし得る。
【0046】
通常、ICP源の均一性を改善するためには、大きな拡散距離(diffusion distance)が必要である。しかし、通常、厚いRFウィンドウを有する従来のICP源は、低い電力結合のために高いガス圧力で非効率であり、それは、高い抵抗電力損失をもたらす高い駆動電流を引き起こす。対照的に、チャンバ内電極アセンブリは、RFウィンドウを有する必要はないが、薄い円筒形状シェルだけを有する必要がある。これは、より優れた電力結合及びより優れた効率を提供することができる。
【0047】
細長い導体の配列が使用される場合、不均一性の別の源は、導体に沿ったRFエネルギーの定常波である。様々な回路からの内部反射により、RFエネルギーの定常波が生成する恐れがある。これにより、「ホットスポット」が生成され、したがって、電極に不均一性が生じる可能性がある。
【0048】
チャンバ内電極アセンブリを有するプラズマ源は、以下のうちの1以上を提供することができる。すなわち、加工対象物のサイズにわたり所望の諸特性(プラズマ密度、電子温度、イオンエネルギー、解離など)を有する均一なプラズマを効率的に生成することができ、動作しているウィンドウ(例えば、圧力、電力、ガス組成)にわたり均一性を調整することができ、移動している加工対象物であってさえも安定的であり再現可能な電気性能を有し、過剰な金属汚染又は粒子を生成しない。
【0049】
図1は、プラズマ反応器の一実施例の概略側面図である。プラズマ反応器100は、プラズマチャンバとして使用されるために内部空間104を閉じるチャンバ本体102を有する。チャンバ本体102は、1以上の側壁102a及び天井102bを有してよい。内部空間104は、例えば、円形の半導体ウエハを処理するために、円筒形状であってよい。チャンバ本体102は、プラズマ反応器100の天井の近くに位置付けられた支持体106を有する。支持体106は、上端電極108を支持する。上端電極は、内部空間104内で宙吊りにされてよく、天井から間隔を空けられ、天井に隣接し、又は天井の一部分を形成してよい。チャンバ本体102の側壁のある部分は、独立して接地されていてよい。
【0050】
ガス供給器110は、プラズマ反応器100の天井の近くに位置付けられてよい。ある実施態様では、ガス供給器110が、単一の構成要素として上端電極108と一体化される。代替的に、ガス供給器110は、チャンバの側壁102a内に1以上のポートを含むことができる。ガス供給器110は、ガス源112に連結されている。ガス源112は、ガス供給器110に1以上のプロセスガスを供給し、1以上のプロセスガスの組成は、実行されるプロセス(例えば、堆積やエッチング)に応じて変更され得る。プラズマ反応器を排気するために、真空ポンプ113が内部空間104に連結されている。あるプロセスでは、チャンバがTorrの範囲内で動作し、ガス供給器110は、アルゴン、窒素、酸素、及び/又は他のガスを供給する。
【0051】
チャンバ構成及び供給される処理ガスに応じて、プラズマ反応器100は、ALD装置、エッチング装置、プラズマ処理装置、プラズマ化学気相堆積装置、プラズマドーピング装置、又はプラズマ表面洗浄装置を設けることができる。
【0052】
加工対象物115を支持するための加工対象物支持ペデスタル114が、プラズマ反応器100内に位置決めされている。加工対象物支持ペデスタル114は、上端電極108に対面する加工対象物支持面114aを有する。ある実施態様では、加工対象物支持ペデスタル114が、ペデスタル114の内側に加工対象物支持電極116を含み、加工対象物支持電極116に、加工対象物バイアス電圧源118が接続されている。電圧源118は、加工対象物115をペデスタル114に固定(chuck)するために電圧を印加することができ、且つ/又は、イオンエネルギーを含む生成されたプラズマの諸特性を制御するためにバイアス電圧を供給することができる。ある実施態様では、RFバイアス発電機142が、インピーダンスマッチ144を介して、加工対象物支持ペデスタル114の加工対象物支持電極116にAC接続されている。
【0053】
更に、ペデスタル114は、加工対象物115を加熱又は冷却するための内部通路119を有し、且つ/又は埋め込まれた抵抗加熱器(119)を有してよい。
【0054】
チャンバ内電極アセンブリ120は、上端電極108と加工対象物支持ペデスタル114との間の内部空間104内に位置決めされている。この電極アセンブリ120は、ペデスタル114の支持面114aを覆ってチャンバ内で側方に延在する1以上のフィラメントを含む。ペデスタル114を覆っている電極アセンブリ120のフィラメントの少なくとも一部分は、支持面114aと平行に延在する。上端電極108とチャンバ内電極アセンブリ120との間に、上側間隙130が形成されている。加工対象物支持ペデスタル114とチャンバ内電極アセンブリ120との間に、底側間隙132が形成されている。
【0055】
電極アセンブリ120は、RF電源122によって駆動される。RF電源122は、1MHzから300MHzを超える周波数で、電極アセンブリ120の1以上のフィラメントに電力を印加することができる。あるプロセスでは、RF電源120が、周波数60MHzで約100Wから2kWを超える全RF電力を供給する。
【0056】
ある実施態様では、プラズマによって生成されたラジカル、イオン、又は電子を、加工対象物の表面と相互作用させるように、底側間隙132を選択することが望ましいだろう。間隙の選択は、用途に依存するものであり、動作レジームに依存する。加工対象物の表面にラジカルフラックス(非常に低いイオン/電子フラックスであるが)を供給することが望ましいある用途では、より大きな間隙及び/又はより高い圧力での動作が選択されてよい。加工対象物の表面にラジカルフラックス及びかなりのプラズマイオン/電子フラックスを供給することが望ましい他の用途では、より小さい間隙及び/又はより低い圧力での動作が選択されてよい。例えば、ある低温プラズマALDプロセスでは、ALD膜の堆積又は処理のために、プロセスガスの自由ラジカルが必要である。自由ラジカルは、不対原子価電子(unpaired valence electron)を持つ原子又は分子である。通常、自由ラジカルは、他の物質に向けて高度な化学反応性を有する。自由ラジカルと他の化学種との反応は、しばしば、膜堆積において重要な役割を果たす。しかし、自由ラジカルは、通常、それらの高度な化学反応性のために短命であり、したがって、それらの寿命の範囲内で非常に遠くまで移動することができない。自由ラジカル源、すなわち、プラズマ源として作用するチャンバ内電極アセンブリ120を、加工対象物115の表面の近くに配置することにより、その表面に対する自由ラジカルの供給を増加させ、堆積プロセスを改善することができる。
【0057】
通常、自由ラジカルの寿命は、周囲環境の圧力に依存する。したがって、満足のいく自由ラジカル濃度を提供する底側間隙132の高さは、動作中に期待されるチャンバ圧力に応じて変化し得る。ある実施態様では、チャンバが0.01~10Torrの範囲内の圧力で動作する場合、底側間隙132は1cm未満である。他の(より)低い温度のプラズマALDプロセスでは、ALD膜の堆積及び処理のために、ラジカルフラックスのみならずプラズマイオンフラックス(及び付随する電子フラックス)への曝露が必要であろう。ある実施態様では、チャンバが1~10Torrの範囲内の圧力で動作する場合、底側間隙132は、0.5cm未満である。より低い動作圧力は、距離に対するより低い体積再結合率(volume recombination rate)のために、より大きな間隙で動作することを可能にする。エッチングなどの他の用途では、通常、より低い動作圧力(100mTorr未満)が使用され、間隙が増加されてよい。
【0058】
底側間隙132が小さいような用途では、電極アセンブリ120によって生成されるプラズマが、フィラメント間で大幅な不均一性を有する恐れがある。それは、加工対象物の処理均一性に対して有害であるだろう。空間的な不均一性を有するプラズマを通して加工対象物を移動させることによって、プロセスに対するプラズマの空間的な不均一性の効果が、時間平均効果によって軽減され得る。すなわち、プラズマを通る一回の通過の後で加工対象物の任意の与えられた領域によって受け取られる累積的なプラズマは、実質的に同様である。
【0059】
上側間隙は、チャンバ内電極アセンブリと上端電極(又はチャンバの上端)との間でプラズマが生成されるのに十分な大きさで選択されてよい。ある実施態様では、チャンバが1~10Torrの範囲内の圧力で動作する場合、上側間隙130は、0.5~2cm、例えば1.25cmであってよい。
【0060】
上側電極108は、様々なやり方で構成することができる。ある実施態様では、上端電極が、RF接地140に接続されている。ある実施態様では、上端電極が、電気的に孤立している(「浮遊している」)。ある実施態様では、上端電極108が、バイアス電圧にバイアスされている。バイアス電圧を使用して、(イオンエネルギーを含む)生成されたプラズマの諸特性を制御することができる。ある実施態様では、上端電極108が、RF信号によって駆動される。例えば、接地されてしまった加工対象物支持電極116に対して上端電極108を駆動することにより、加工対象物115におけるプラズマ電位を増加させることができる。プラズマ電位を増加させることにより、イオンエネルギーの増加を所望の値にすることが可能になる。
【0061】
上端電極108は、種々のプロセス対応可能な材料から形成することができる。プロセス対応可能性に対する様々な基準は、プロセスガスによるエッチングに対する材料の耐性及びイオン衝撃からのスパッタリングに対する材料の耐性を含む。更に、材料がエッチングされる場合、プロセス対応可能な材料が、揮発性又はガス状の化合物を好適に生成する。その化合物は、真空ポンプ113によって排気されてよく、加工対象物115を汚染する可能性がある粒子を生成しない。したがって、ある実施態様では、上端電極がシリコンから作成される。ある実施態様では、上端電極が、炭化ケイ素から作成される。
【0062】
ある実施態様では、上端電極108を省略することができる。そのような実施態様では、RF接地経路が、加工対象物支持電極によって又は電極アセンブリ120の同一平面にあるフィラメントのサブセットによって設けられてよい。
【0063】
ある実施態様では、流体源146が、チャンバ内電極アセンブリ120内のチャネルを通して流体を循環させる。ある実施態様では、熱交換器148が、流体源146に連結されて、流体から熱を除去し又は流体に熱を供給する。
【0064】
図2A~
図2Cは、プラズマ反応器の別の実施例の概略図である。この実施例では、多重チャンバ処理ツール200が、プラズマ反応器100を含む。ここで、チャンバ内電極アセンブリ120は、上端電極108を含むこともできる電極ユニット201の部分であってよい。
【0065】
処理ツール200は、内部空間204を閉じる本体202を有する。本体202は、1以上の側壁202a、天井202b、及びフロア202cを有してよい。内部空間204は、円筒形状であってよい。
【0066】
処理ツール200は、1以上の加工対象物115(例えば、複数の加工対象物)を支持するための、ペデスタルなどの加工対象物支持体214を含む。加工対象物支持体214は、加工対象物支持面214aを有する。加工対象物支持体214は、加工対象物支持電極116を含んでよく、加工対象物バイアス電圧源118は、加工対象物支持電極116に接続されていてよい。
【0067】
加工対象物支持体214の上端と天井202bとの間の空間は、バリア270によって複数のチャンバ204a~204dへ分割されてよい。バリア270は、加工対象物支持体214の中心から径方向に延在してよい。4つのチャンバが示されているが、2つ、3つ、又は4つを超える数のチャンバがあってよい。
【0068】
加工対象物は、モータ262によって軸260の周りで回転可能であってよい。結果として、加工対象物支持体214上の任意の加工対象物115は、チャンバ204a~204dを通して連続的に搬送されることになる。
【0069】
チャンバ204a~204dは、ポンプパージシステム280によって、互いから少なくとも部分的に孤立していてよい。ポンプパージシステム280は、パージガス(例えば、アルゴンなどの不活性ガス)を、隣接するチャンバ同士の間の空間の中へ流し、且つ/又は隣接するチャンバ同士の間の空間からガスを押し出す、バリア270を通して形成された複数の通路を含んでよい。例えば、ポンプパージシステム280は、例えばポンプによって、そこを通してパージガスがバリア270と加工対象物支持体214との間の空間272に押される、第1の通路282を含むことができる。第1の通路282は、(加工対象物支持体214の動きの方向に対して)両側に、(パージガスと隣接するチャンバ(例えば、チャンバ204a)からの任意のガスとの両方を含む)ガスを引くためにポンプに連結された第2の通路284及び第3の通路286を配置することができる。各通路は、概して径方向に沿って延在する細長いスロットであってよい。
【0070】
チャンバ204a~204dのうちの少なくとも1つは、プラズマ反応器100のプラズマチャンバを提供する。プラズマ反応器は、上端電極配列アセンブリ120とRF電源122とを含み、流体源146及び/又は熱交換器を含むこともできる。プロセスガスは、一方又は両方のバリア270に沿って位置付けられたポート210を通して、チャンバ104に供給することができる。ある実施態様では、ポート210が、(加工対象物支持体214の動きの方向に対して)チャンバ104の前側のみに位置決めされている。代替的に又は追加的に、プロセスガスは、ポートを通してツール本体202の側壁202aに供給することができる。
【0071】
図1又は
図2A~
図2Cの何れかを参照すると、電極アセンブリ120又は220は、加工対象物支持体の支持面を覆ってチャンバ内で側方に延在する1以上の同一平面にあるフィラメント300を含む。加工対象物支持体を覆っている電極アセンブリの同一平面にあるフィラメントの少なくとも一部分は、支持面と平行に延在する。フィラメント300は、動きの方向に対してゼロではない角度、例えば動きの方向に実質的に垂直であってよい。各フィラメントは、プロセス対応可能な材料の円筒形状シェルによって囲まれた導体を含むことができる。
【0072】
電極ユニット201は、電極プラズマチャンバ領域を囲む側壁221を含むことができる。側壁は、プロセス対応可能な材料、例えば、石英から形成されていてよい。ある実施態様では、フィラメントが、側壁221から側方に突出している。ある実施態様では、フィラメント300が、電極ユニット201の天井から例えば垂直に延在し、加工対象物用の支持面と平行な部分を提供するために(
図2C参照)、水平に曲がっている。
【0073】
図3A~
図3Cは、チャンバ内電極アセンブリのフィラメントの様々な実施例の概略図である。
図3Aを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ120のフィラメント300が示されている。フィラメント300は、導体310、及び導体310を囲み導体310に沿って延在する環状シェル320(例えば、円筒形状シェル)を含む。導管330が、導体310とシェル320との間の間隙によって形成されている。シェル320は、プロセス対応可能な非金属材料から形成されている。ある実施態様では、シェルが半導体である。ある実施態様では、シェルが絶縁体である。
【0074】
導体310は、様々な材料から形成されてよい。ある実施態様では、導体310が、単線、例えば0.063インチの直径を有する単一の単線である。代替的に、導体310は、複数の撚り線によって設けられてよい。ある実施態様では、導体が、3本の並列した0.032インチの撚り線を含む。複数の撚り線は、表皮効果を介したRF電力損失を低減させることができる。
【0075】
(例えば、107ジーメンス/mを超える)高導電率を有する材料が使用される。その材料は、抵抗の電力損失を低減させることができる。ある実施態様では、導体310が、銅又は銅の合金から作成される。ある実施態様では、導体がアルミニウムから作成される。
【0076】
望ましくない材料スパッタリング又はエッチングは、プロセスの汚染又は粒子の生成をもたらし得る。チャンバ内電極アセンブリ120が、CCP又はICP源として使用される場合、望ましくないスパッタリング又はエッチングが生じ得る。望ましくないスパッタリング又はエッチングは、電極面における過剰なイオンエネルギーによって引き起こされ得る。CCP源として動作するときに、プラズマ放電を駆動するために、電極シェルの周りの振動する電界が必要である。全ての既知の材料が、CCP源の対応する最小動作電圧より低いスパッタリングエネルギー閾値を有するので、この振動は、材料のスパッタリング又はエッチングをもたらす。ICP源として動作するときに、プラズマに対するフィラメント300の容量結合は、近隣の表面において振動する電界を生成する。それも、材料のスパッタリングをもたらす。望ましくない材料のスパッタリング又はエッチングから生じる問題は、内部空間104に曝露されるフィラメント300の外面(例えば、シェル320)に対してプロセス対応可能な材料を使用することによって軽減され得る。
【0077】
ある実施態様では、シェル320が、シリコン(例えば、高い抵抗性を有するシリコン)、酸化物材料、窒化物材料、炭化物材料、セラミック材料、又はそれらの組み合わせなどの、プロセス対応可能な材料から形成される。酸化物材料の例は、二酸化シリコン(例えば、シリカ、石英)、及び酸化アルミニウム(例えば、サファイア)を含む。炭化物材料の例は、炭化ケイ素を含む。セラミック材料又はサファイアは、フッ素含有環境又はフッ化炭素含有環境を含む、一部の化学環境に対して望ましいだろう。アンモニア、ジクロロシラン、窒素、及び酸素を含有する化学環境では、シリコン、炭化ケイ素、又は石英の使用が望ましいだろう。
【0078】
ある実施態様では、シェル320が、厚さ0.1mmから3mm(例えば、1mm)の厚さを有する。
【0079】
ある実施態様では、流体が導管330内に供給される。ある実施態様では、流体が、導体310の酸化を軽減するように酸素をパージするための非酸化性ガスである。非酸化性ガスの例は、窒素とアルゴンである。ある実施態様では、残余酸素を除去するために、例えば流体源146によって、非酸化性ガスが導管330を通して連続的に流される。
【0080】
導体310の加熱は、導体をより酸化を受け易くし得る。流体は、供給されるRF電力から加熱され得る導体310に冷却を提供することができる。ある実施態様では、強制される対流による温度制御(例えば、冷却や加熱)を提供するために、例えば流体源146によって、流体が導管330を通して循環される。
【0081】
ある実施態様では、流体の機能停止を防止するために、流体が大気圧又はそれより上にあってよい。
【0082】
図3Bを参照すると、フィラメント300のある実施態様では、導体310がコーティング320を有する。ある実施態様では、コーティング320が、導体を形成する材料の酸化物(例えば、アルミニウム導体上の酸化アルミニウム)である。ある実施態様では、コーティング320が酸化ケイ素である。ある実施態様では、コーティング320が、例えば、二酸化ケイ素コーティングを形成するためのシラン、水素、及び酸素の反応によって、プラズマ反応器100内でインシトゥで形成される。インシトゥのコーティングは、有益であるだろう。というのも、そのコーティングは、エッチング又はスパッタリングされるときに補充することができるからである。
【0083】
図3Cを参照すると、フィラメント300のある実施態様では、導体310が中空であり、中空の導管340が、導体310の内側に形成される。ある実施態様では、中空の導管340が、
図3Aで説明された流体を搬送することができる。プロセス対応可能な材料のコーティング320は、円筒形状シェルを提供するために導体310をカバーすることができる。ある実施態様では、コーティング320が、導体を形成する材料の酸化物(例えば、アルミニウム導体上の酸化アルミニウム)である。
【0084】
図4Aは、チャンバ内電極アセンブリの一部分の概略図である。チャンバ内電極アセンブリ400は、支持体402に取り付けられた複数の同一平面にあるフィラメント300を含む。電極アセンブリ400は、電極アセンブリ120を提供することができる。ある実施態様では、加工対象物が処理される場所に対応する領域を少なくとも覆って、フィラメント300が互いに平行に延在する。
【0085】
フィラメント300は、フィラメント間隔410だけ互いから分離している。フィラメント間隔410は、間隔がフィラメントの長手軸と垂直に測定されてよい平行なフィラメントのピッチである。間隔410は、プラズマの均一性に影響を与える場合がある。間隔が大き過ぎる場合、フィラメントは、シャドーイング及び不均一性を生成する可能性がある。他方、間隔が小さ過ぎる場合、プラズマが上側間隙130と底側間隙132との間で移動することができず、不均一性が増大し、且つ/又は自由ラジカル密度が低減されることになる。ある実施態様では、フィラメント間隔410が、アセンブリ400の全体にわたり均一である。
【0086】
フィラメント間隔410は、3から20mm、例えば8mmであってよい。高い圧力(例えば、N2内で2~10Torr)では、間隔の範囲が20mm~3mmであってよい。圧力範囲にわたる妥協点は、5~10mmであってよい。より低い圧力及び加工対象物までのより長い距離では、より長い間隔が使用されることが効果的であろう。
【0087】
図4B~
図4Cは、種々のプラズマ領域状態を有するチャンバ内電極アセンブリの断面概略図である。
図4Bを参照すると、プラズマ領域412が、フィラメント300を囲んでいる。プラズマ領域412は、上側プラズマ領域414及び下側プラズマ領域416を有する。上側プラズマ領域414は、上側間隙130に位置付けられてよく、下側プラズマ領域416は、底側間隙132に位置付けられてよい。
図4Bで示されているように、上側プラズマ領域414及び下側プラズマ領域416は、フィラメント300間の間隙を通じて接続され、連続プラズマ領域412を生成する。プラズマ領域412のこの連続性は望ましい。というのも、領域414と領域416は、プラズマの交換を介して互いに「通じている」からである。プラズマの交換は、2つの領域が電気的に平衡であることを維持する助けとなり、プラズマの安定性及び再現性を支援する。
【0088】
図4Cを参照すると、この状態では、上側プラズマ領域414と下側プラズマ領域416は、互いに接続されていない。プラズマ領域412のこの「ピンチング(pinching)」は、プラズマ安定性にとって望ましくない。プラズマ領域412の形状は、プラズマ領域の不連続性を除去し又はプラズマ均一性を改善するために、様々な要因によって変更することができる。
【0089】
一般に、領域412、414、及び416は、広い範囲のプラズマ密度を有してよく、必ずしも均一ではない。更に、
図4Cで示されている上側プラズマ領域414と下側プラズマ領域416の間の不連続(領域)は、2つの領域に対して大幅に低いプラズマ密度を表しており、必ずしも間隙内にプラズマを完全に欠いているわけではない。
【0090】
上側間隙130は、プラズマ領域の形状に影響を与える要因である。上端電極108が接地されているときに、圧力に応じて、上側間隙130を低減させると、通常、上側プラズマ領域414内のプラズマ密度の低減がもたらされる。上側間隙130に対する特定の値は、プラズマチャンバのコンピュータモデリングに基づいて決定されてよい。例えば、上側間隙130は、3mmから8mm、例えば4.5mmであってよい。
【0091】
底側間隙132は、プラズマ領域の形状に影響を与える要因である。加工対象物支持電極116が接地されているときに、圧力に応じて、底側間隙132を低減させると、通常、下側プラズマ領域416内のプラズマ密度の低減がもたらされる。底側間隙132に対する特定の値は、プラズマチャンバのコンピュータモデリングに基づいて決定されてよい。例えば、底側間隙132は、3から9mm、例えば4.5mmであってよい。底側間隙132は、上側間隙130以下であってよい。
【0092】
ある実施態様では、チャンバ内電極アセンブリ400が、フィラメント300の第1の群及び第2の群を含んでよい。第1の群及び第2の群は、第1の群と第2の群との間でフィラメントが交互になるように、空間的に配置され得る。例えば、第1の群はフィラメント302を含んでよく、第2の群はフィラメント304を含んでよい。第1の群は、RF電源422の第1の端子422aによって駆動されてよく、第2の群は、RF電源422の第2の端子422bによって駆動されてよい。
【0093】
RF電源422は、端子422aにおいて第1のRF信号を提供し、端子422bにおいて第2のRF信号を提供するように構成されてよい。第1及び第2のRF信号は、互いに同じ周波数及び安定した位相関係を有してよい。例えば、位相差は、0度又は180度であってよい。ある実施態様では、RF電源422によって提供される第1及び第2のRF信号の間の位相差が、0と360度の間で調整可能であってよい。
【0094】
信号を生成するために、RF電源からの不平衡出力信号が、バラン(平衡不平衡変換器、図示せず)に接続されて、端子422a、422bに平衡(「差動」)信号を出力してよい。代替的に、RF電源422が、互いに位相ロックされた2つの個別のRF電源を含んでよい。
【0095】
隣接するフィラメント302、304を駆動するRF信号の位相は、プラズマ領域の形状に影響を与える要因である。隣接するフィラメント422a、422bを駆動する2つのRF信号の位相差が、0度(「単極」又は「シングルエンド(singled-ended)」)に設定されているときに、プラズマ領域は、
図4Cで示されているように、フィラメント300の間の間隙から押し出されて、不連続又は不均一をもたらす。隣接するフィラメントを駆動するRF信号の位相差が、180度(「差動」)に設定されているときに、プラズマ領域は、フィラメント300の間により強く留められる。0と360度の間の任意の位相差が使用されて、プラズマ領域412の形状に影響を与えることができる。
【0096】
加工対象物支持電極116の接地は、プラズマ領域の形状に影響を与える要因である。隣接するフィラメントを駆動するRF信号の間の位相差が0度であり、電極116のRF接地が不完全である場合、プラズマ領域は、上側間隙に向けて押される。しかし、隣接するフィラメント、例えばフィラメント302と304が、180度の位相差を有するRF信号を用いて駆動される場合、結果として生じるプラズマ分布は、電極116の不完全なRF接地に対してより鈍感である。任意の特定の理論に制限されることなく、これは、駆動信号の差動特性(differential nature)により、RF電流が隣接する電極を通って戻るためであり得る。
【0097】
図5A~
図5Eは、チャンバ内電極アセンブリ構成の様々な実施例の概略図である。電極アセンブリ500、504、506、508、509は、電極アセンブリ120を提供することができ、フィラメント300は、電極アセンブリ120のフィラメントを提供することができる。
図5Aを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ500は、第1の群のフィラメントを含む第1の電極サブアセンブリ520、及び第2の群のフィラメントを含む第2の電極サブアセンブリ530を含む。第1の電力サブアセンブリ520のフィラメントは、第2の電極サブアセンブリ530のフィラメントと互い違いに(互いに組み合わされるように)配置されている。
【0098】
サブアセンブリ520、530は、それぞれ、チャンバ104を横断して延在する複数の平行なフィラメント300を有する。1つ置きのフィラメント301が、チャンバ104の片側の第1のバス540に接続している。残りの(交互の)フィラメント302が、それぞれ、チャンバ104の片側の第2のバス550に接続している。RF電源バスに接続されていない各導体120の端部は、接続されない状態で、例えば浮遊していてよい。
【0099】
ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス540、550が、内部空間104の外側に位置付けられている。ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス540、550が、内部空間104内に位置付けられている。第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、サブアセンブリ520及び530のフィラメントが互いに平行になるように、互いと平行に配向される。
【0100】
チャンバ内電極アセンブリ500は、様々なやり方でRF信号を用いて駆動されてよい。ある実施態様では、サブアセンブリ520が、入力570によって駆動され、サブアセンブリ530が、入力580によって駆動される。あるアセンブリでは、入力570と入力580が、RF接地に対して同じRF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、差動RF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、同じ周波数であるが、位相差が0と360度の間(例えば、0又は180度)である、2つのRF信号で駆動される。ある実施態様では、位相差が経時的に変調される。ある実施態様では、サブアセンブリ520が、RF信号で駆動され、サブアセンブリ530が、RF接地に接続されている。
【0101】
図5Bを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ504は、第1の電極サブアセンブリ524、及び第2の電極サブアセンブリ534を含む。第1の電極サブアセンブリ524と第2の電極サブアセンブリ534は、それぞれ、チャンバ104を横断して延在する複数のフィラメント300を有する。各サブアセンブリのフィラメント300の組が、両端部でバス560とバス562によって個別に接続されている。第1の電極サブアセンブリ524と第2の電極サブアセンブリ534は、サブアセンブリ524とサブアセンブリ534のフィラメントが、交互パターンになるように構成されている。フィラメント300は、互いに平行であってよい。
【0102】
ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス560、562が、内部空間104の外側に位置付けられている。ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス560、562が、内部空間104内に位置付けられている。
【0103】
チャンバ内電極アセンブリ504は、様々なやり方でRF信号を用いて駆動されてよい。ある実施態様では、サブアセンブリ524が、入力570によって駆動され、サブアセンブリ534が、入力580によって駆動される。あるアセンブリでは、入力570と入力580が、RF接地に対して同じRF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ524とサブアセンブリ534が、差動RF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ524とサブアセンブリ534が、同じ周波数であるが、位相差が0と360度の間(例えば、0又は180度)である、2つの異なるRF信号で駆動される。ある実施態様では、位相差が経時的に変調される。ある実施態様では、サブアセンブリ524が、RF信号で駆動され、サブアセンブリ534が、RF接地に接続されている。
【0104】
図5Cを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ506は、第1の電極サブアセンブリ520、及び第2の電極サブアセンブリ530を含む。第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、それぞれ、一端でバス540、550によって接続された複数の平行なフィラメント300を有する。ある実施態様では、第1の電極サブアセンブリのフィラメント300が、フィラメントのそれぞれの近位端でバス540に接続されており、第2の電極のサブアセンブリのフィラメント300が、フィラメントの反対側の遠位端でバス550に接続されている。
【0105】
バス540に接続されていない第1の電極サブアセンブリ520の端部は、共通の接地511に電気的に接続されており、バス550に接続されていない第2の電極サブアセンブリ530の端部は、共通の接地511に電気的に接続されている。例えば、第1の電極アセンブリのフィラメントの遠位端は、共通の接地511に電気的に接続されていてよく、第2の電極アセンブリのフィラメントの近位端は、共通の接地511に電気的に接続されていてよい。
【0106】
ある実施態様では、第1の電極サブアセンブリのフィラメントが、共通の接地511に接続された別のバスに(例えば、遠位端において)接続され、第2の電極サブアセンブリのフィラメントが、共通の接地511に接続された別のバスに(例えば、近位端において)接続されている。
【0107】
第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530のフィラメントが、交互パターンで配置されるように構成されている。フィラメント300は、互いに平行であってよい。
【0108】
チャンバ内電極アセンブリ506は、様々なやり方でRF信号で駆動されてよい。ある実施態様では、サブアセンブリ520が、(例えば、バス540に対する)入力570によって駆動され、サブアセンブリ530が、(例えば、バス550に対する)入力580によって駆動される。あるアセンブリでは、入力570と入力580が、RF接地に対して同じRF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、差動RF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、同じ周波数であるが、位相差が0と360度の間である、2つの異なるRF信号で駆動される。ある実施態様では、位相差が経時的に変調される。
【0109】
図5Dを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ508は、第1の電極サブアセンブリ520、及び第2の電極サブアセンブリ530を含む。第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、それぞれ、複数の平行なフィラメント300を有する。第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530のフィラメントが、交互パターンで配置されるように構成されている。フィラメント300は、互いに平行であってよい。ある実施態様では、交互のフィラメントの対の隣接する端部が電気的に直列に接続され、その接続510は、フィラメントの対の遠位端と近位端の間の配置が交互になっている。ある実施態様では、フィラメント300の端部の間の接続510が、内部空間104の外側に位置付けられてよい。
【0110】
チャンバ内電極アセンブリ508は、様々なやり方でRF信号で駆動されてよい。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、フィラメント構造の1つの角部から反対側の角部まで、同じRF信号570で駆動される。ある実施態様では、RF信号が、RF接地に対して駆動される。
【0111】
図5Eを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ509は、第1の電極サブアセンブリ520、及び第2の電極サブアセンブリ530を含む。第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、それぞれ、一端でバス540及び550によって接続された複数の平行なフィラメント300を有する。ある実施態様では、第1の電極サブアセンブリのフィラメント300が、フィラメントの近位端でバス540に接続されており、第2の電極のサブアセンブリのフィラメント300が、フィラメントの反対側の遠位端でバス550に接続されている。
【0112】
第1の電極サブアセンブリ520と第2の電極サブアセンブリ530は、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530のフィラメントが、交互パターンで配置されるように構成されている。フィラメント300は、互いに平行であってよい。
【0113】
サブアセンブリ520及び530からの少なくとも幾つかのフィラメントの対が、電気的に並列に接続されている。特に、バス540に接続されていない第1のサブアセンブリ520のフィラメントの端部が、代わりに、バス550に接続されていない第2のサブアセンブリ530のフィラメントの端部に接続されている。例えば、サブアセンブリ520のフィラメントの遠位端とサブアセンブリ530のフィラメントの近位端との間に、電気的な接続510が形成されてよい。
【0114】
ある実施態様では、第1のサブアセンブリ520の各フィラメントが、このやり方で、第2のサブアセンブリ530の単一のフィラメントに電気的に接続されている。フィラメント300の端部間の接続510は、内部空間104の外側に位置付けられてよい。
【0115】
チャンバ内電極アセンブリ509は、様々なやり方でRF信号で駆動されてよい。ある実施態様では、サブアセンブリ520が、(例えば、バス540に対する)入力570によって駆動され、サブアセンブリ530が、(例えば、バス550に対する)入力580によって駆動される。あるアセンブリでは、入力570と入力580が、RF接地に対して同じRF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、差動RF信号で駆動される。ある実施態様では、サブアセンブリ520とサブアセンブリ530が、同じ周波数であるが、位相差が0と360度の間である、2つの異なるRF信号で駆動される。ある実施態様では、位相差が経時的に変調される。
【0116】
一般的に、サブアセンブリ520、524及びそれぞれのサブアセンブリ530、534の差動駆動は、適切なRF接地(例えば、回転水銀カプラ、ブラシ、又はスリップリングを介したRF接地)が提供できないときに、プラズマ均一性又はプロセス再現性を改善することができる。
【0117】
ある実施態様では、プラズマ源が、2つ以上の無線周波数発生器によって電力供給されてよい。それらの発生器は、異なる周波数で動作してよい。
図6A~
図6Bは、チャンバ内電極アセンブリの一部分の概略図である。
図6Aを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ600は、複数のフィラメント300を含む。電極アセンブリ600は、電極アセンブリ120を提供することができ、フィラメント300は、電極アセンブリ120のフィラメントを提供することができる。
【0118】
電極アセンブリ600は、2つ以上の無線周波数発生器622a及び622bによって電力供給される。ある実施態様では、第1のRF発生器662aが、12MHzから14MHz(例えば、13.56MHz)の周波数でRF電力を生成するように構成され、第2のRF発生器662bが、57MHzから63MHz(例えば、60MHz)の周波数でRF電力を生成するように構成されている。任意の特定の理論に束縛されることなく、複数の周波数生成が半導体プラズマ処理において使用される場合、主としてプラズマ生成のために、より高い周波数発生器が使用されてよく、主としてイオンエネルギーを増加させるために又はイオンエネルギー分布関数を変更する(例えば、加工対象物に対するプラズマの電位を調節することによって、関数を広げてより高いエネルギーに拡張する)ために、より低い周波数が使用されてよい。
【0119】
図6Aで示されているように、ある実施態様では、2つの周波数発生器622a及び622bが、二重周波数RFインピーダンス整合回路及び統合されたフィルタを含む回路624に入力を提供する。単一の出力625が、フィラメント300の全てに対して並列に印加される。任意の特定の理論に制限されることなく、インピーダンス整合は、干渉又は損傷なしに発生器から負荷への増加された電力伝達を提供する。周波数発生器622a及び622b並びに回路624は、
図5A~
図5Eにおいて示されたアセンブリのうちの何れかにおいて入力のうちの1つを供給するために使用されてよい。
【0120】
ある実施態様では、
図6Bで示されているように、チャンバ内電極アセンブリ601が、フィラメント300の第1の群及び第2の群を含んでよい。第1の群及び第2の群は、第1の群と第2の群との間でフィラメントが交互になるように、空間的に配置され得る。例えば、第1の群はフィラメント302を含んでよく、第2の群はフィラメント304を含んでよい。ある実施態様では、2つの周波数発生器622a及び622bが、二重周波数RFインピーダンス整合回路、統合されたフィルタ、及びバランを含む、回路626の中に入力を提供する。回路626は、任意選択的に、疑似抵抗負荷を有するサーキュレータを利用して、同じポートに移動して戻る任意の反射信号用の接地への経路を設けてもよい。出力627及び628が、それぞれ、第1及び第2のフィラメント群に印加される。出力周波数は、同一であり、位相が180度離れている。任意の特定の理論に制限されることなく、インピーダンス整合は、干渉又は損傷なしに発生器から負荷への最大電力伝達を提供する。周波数発生器622及び回路626は、
図5A~
図5Eにおいて示されたアセンブリのうちの何れかにおいて差動入力を供給するために使用されてよい。
【0121】
ある実施形態では、電極アセンブリに印加される複数のRF入力の間の位相差が、時間と共に変調されてよい。
【0122】
図7Aを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ700は、電極サブアセンブリ724を含む。電極サブアセンブリ724は、両側の端部において、バス760とバス765によって接続された、複数のフィラメント300を有する。2つのRF入力710と720は、それぞれ、バス760とバス765に接続されている。
【0123】
ある実施態様では、RF入力が、同じ周波数で動作するが、入力間の位相差φは、経時的に変調される。例えば、位相差は、単純なのこぎり波関数として駆動されてよいが、三角波関数や正弦波関数などの他の関数も可能である。位相差は、360度全体、若しくはより小さい範囲、例えば、+/-180度にわたり、又はより小さい不均一調整範囲+/-90度に対して駆動されてよい。範囲は、約0度で対称である必要はない。
【0124】
ある実施態様では、RF入力のうちの1以上が、バスの複数の位置に印加される。ある実施態様では、各RF入力が、同じバスの複数のポイントに印加されるが、2つのRF入力が、フィラメントの両端部に接続されたバスに印加される。例えば、
図7Eで示されているように、第1の入力710が、バス760の両端部に印加されてよく、第2の入力720が、バス765の両端部に印加されてよい。ある実施態様では、各RF入力が、両方のバスに印加される。例えば、
図7Fで示されているように、第1のRF入力710が、各バス760、765の第1の端部に印加され、第2のRF入力720が、各バス760、765の反対側の第2の端部に印加される。更に、両方の入力が同じ側(左又は右)にあるよりもむしろ、各RF入力は、電極配列の斜め向かいにある位置に接続されてよい。
【0125】
図8Aを参照すると、チャンバ内電極アセンブリ800は、第1の電極サブアセンブリ824、及び第2の電極サブアセンブリ834を含む。電極アセンブリ800は、
図5B及び
図5Eに関して説明された電極アセンブリ又はサブアセンブリのうちの1つであってよい。第1の電極サブアセンブリ824と第2の電極サブアセンブリ834は、それぞれ、一端部においてそれぞれバス860及び865によって接続され、他端部においてそれぞれバス861及び866によって接続されている、複数のフィラメント300を有する。第1の電極サブアセンブリ824と第2の電極サブアセンブリ834は、サブアセンブリ824とサブアセンブリ834のフィラメントが、交互パターンで配置されるように構成されている。フィラメント300は、互いに平行であってよい。
【0126】
ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス860、861、865、及び866が、内部空間104の外側に位置付けられている。ある実施態様では、フィラメント300を接続するバス860、861、865、及び866が、内部空間104内に位置付けられている。
【0127】
ある実施態様では、RF入力810が、バランによって、180度だけオフセットされた等しい周波数の2つのRF信号を含む差動信号に分割される。バラン870の出力は、バス861及び865の同じ側の両方の電極サブアセンブリに接続されてよい。RF入力820は、バラン870によって、180度だけオフセットされた等しい周波数の2つのRF信号を含む差動信号に分割される。バラン870の出力は、バス860及び866の同じ側の両方の電極サブアセンブリに接続されている。
【0128】
RF入力810、820から2つの電極サブアセンブリ824、834に差動信号を印加するために、多くの他の変形例が可能である。2つの電極サブアセンブリ824、834のそれぞれ左側と右側に、異なる差動RF信号が印加されるのではなく、異なる差動RF信号は、チャンバのそれぞれの両側のバスに印加されてよい。例えば、
図8Cを参照すると、第1の差動RF信号810が、チャンバ104の片側のバス860、861に印加されてよく、第2の差動RF信号820が、チャンバ104の反対側のバス865、866に印加されてよい。更に、各バスの単一の位置に接続されるのではなく、RF信号は、例えば各バスの両側において、各バスの複数の位置に印加されてよい。
【0129】
ある実施態様では、RF入力710、720、又は、810、820が、同じ周波数で動作するが、入力間の位相差φは、経時的に変調される。例えば、位相差は、単純なのこぎり波関数として駆動されてよいが、三角波関数や正弦波関数などの他の関数も可能である。位相差は、360度全体、若しくはより小さい範囲、例えば、+/-180度にわたり、又はより小さい不均一調整範囲+/-90度に対して駆動されてよい。範囲は、約0度で対称である必要はない。
【0130】
位相変調のための周波数は、広い範囲にわたり選択されてよい。例えば、時間平均の均一性だけが重要な場合、ハイエンドにおける発生器の変調機能、位相スルーレート、又は帯域幅によって制限される、低い変調周波数(例えば、1Hz、最大で10kHz、又は100kHz)が使用されてよい。(デバイスの損傷最小化のために)瞬間的なプラズマの均一性が重要であるときに、より高い変調周波数(例えば、100Hzから10kHz又は100kHz以上、例えば、1kHz~10kHz又は100kHz以上)が使用される。
【0131】
様々な位相変調スキームでは、この変調がプラズマ密度の均一性を改善することができる。任意の特定の理論に制限されることなく、位相変調は、電極配列にわたる電圧の不均一性又は電圧定常波率を最小化することができ、したがって、プラズマの不均一性を最小化する。例えば、入力信号の位相差の変調は、フィラメントのRFエネルギーの定常波を経時的にシフトさせることができる。それによって、時間平均電圧(及びしたがってプラズマ密度)がより均一になる。
【0132】
再び任意の特定の理論に束縛されることなく、
図7B~
図7Dは、
図7Aで示されているアセンブリ内の位相変調のための1つの可能な機構を詳細に説明する。
図7B(1)及び
図7Cは、アセンブリの両端部に印加される同じ周波数及び位相差φの入力710及び720からの2つの信号を示している。
図7B(2)および
図7Cで示されているように、2つの信号が加算されて定常波730を生成する。
図7D及び
図7B(3)で示されているように、2つの入力の位相差φは経時的に変調されるので、定常波730は、電極アセンブリのフィラメントにわたり空間的に変調される。
【0133】
同様に任意の特定の理論に束縛されることなく、
図8Bは、
図8Aで示されているアセンブリ内の位相変調のための1つの可能な機構を詳細に説明する。
図8Bは、アセンブリの両端部に印加される同じ周波数及び位相差φの入力810及び820からの2つの信号を示している。
図8B(2)で示されているように、2つの信号が加算されて定常波830を生成する。
図8B(3)で示されているように、2つの入力の位相差φは経時的に変調されるので、定常波830は、電極アセンブリのフィラメントにわたり空間的に変調される。
【0134】
位相変調用の同じ周波数の信号は、幾つかの方法で生成されてよい。
図9A~
図9Bは、
図7Aの入力710及び720又は
図8Aの入力810及び820を提供することができる、出力910及び920を生成するための2つの例示的な回路900及び902を示している。回路900及び902用の信号入力は、RF基準信号発生器930で生じる。発生器930からの信号は、マスターRF増幅器935によって増幅されて、第1の出力910を生成する。発生器930からの信号は、位相シフター939にも送られる。位相シフター939は、スレーブRF増幅器によって増幅された位相シフトされた出力を生成して、第2の出力920を生成する。マスターRF増幅器935及びスレーブRF増幅器の出力は、位相検出器937に供給される。位相検出器937は、位相差を表す信号を出力する。位相検出器937からの信号は、位相コントローラ938に供給される。位相コントローラ938は、位相シフター939を制御し、したがって、フィードバックループを提供する。位相コントローラ938及びシフター937は、上述されたように時間の関数として、マスター920とスレーブ910からの出力の位相差を変調することができる。
【0135】
図9Aでは、インピーダンス整合回路940及び942が、それぞれ、マスター935及びスレーブ936発生器の出力と位相検出器937との間に置かれている。インピーダンス整合回路940及び942は、出力910又は920において接続された電極アセンブリから、例えば、電極アセンブリ700又は800から、信号の反射が回路900の中へ入って来ることを防止する。特定の理論に制限されることなく、回路900からの反射は、電極アセンブリにおける望ましくない定常波又は他の干渉の生成をもたらし得る。
【0136】
図9Bでは、疑似負荷950及び952に接続されたサーキュレータが、それぞれ、マスター935及びスレーブ936発生器の出力と位相検出器937との間に置かれている。サーキュレータ及び負荷回路950及び952は、出力910又は920において接続された電極アセンブリから、例えば、アセンブリ700又は800から、回路902の中に入って来る信号が、信号発生器930に伝播し又はプラズマ源領域の中へ反射して戻る代わりに、疑似負荷終端内に吸収されることを可能にする。代替的に、アイソレータは、疑似負荷950及び952に接続されたサーキュレータに代わることができる。アイソレータは、同様に、信号がアセンブリから信号発生器930に向けて移動することを防止することができる。第1の整合ネットワークが、ポイント910と電極配列の第1の入力タップとの間に接続されてよく、第2の整合ネットワークが、ポイント920と電極配列の第2の入力タップとの間に接続されてよい。特定の理論に制限されることなく、この機構は、発生器に対する損傷及び信号干渉を防止する。
【0137】
ある実施態様では、位相変調が使用されて、プラズマ密度の中へ不均一性を意図的に導入することができる。例えば、基板上の層の不均一性又は層の処理の不均一性の源を補償するために、プラズマ密度の不均一性を誘起することが望ましいだろう。そのような実施態様では、位相差を駆動するために歪んだ(skewed)波関数が印加されてよい。それによって、プラズマ密度が普通であれば高過ぎるはずの領域で、ノードの滞留時間がより長くなり、プラズマ密度が普通であれば低すぎるはずの領域で、波腹(anti-node)の滞留時間がより長くなる。
【0138】
ある実施態様では、
図5A~
図5Cの入力570及び580などの、変調した位相を有する信号910及び920が、(互いが)電気的に接続されていない(複数の)電極アセンブリに印加されてよい。この場合では、2つの入力信号の間の位相変調が使用されて、時間に対してチャンバ104内のプラズマの位置を制御することができる。したがって、処理条件は、時間で制御されてよい。
【0139】
任意の特定の理論に制限されることなく、位相変調が使用されて、例えば、インピーダンス不整合又はシステムの物理的制約による反射によって引き起こされる、加工対象物上のプラズマの固有の不均一性を制御することができる。例えば、電圧パターンの時間的な変調は、加工対象物に印加されるプラズマの時間平均された均一性を改善することができ、潜在的に、固有のプラズマの不均一性の効果を低減させる。
【0140】
ある実施態様では、位相変調された定常波信号を実施形態に印加するよりもむしろ、進行波の入力が電極アセンブリに印加されてよい。任意の特定の理論によって束縛されることなく、進行波を生成するために終端された電極配列の異なる部分に複数の入力が印加される場合、2つの入力が干渉して定常波を形成することを防止するために、入力間で周波数が異なっていなければならない。
【0141】
図10は、
図7A、
図7E、若しくは
図7Fの入力710及び720、又は
図8A若しくは
図8Cの入力810及び820を提供することができる、出力1010及び1020を生成するための例示的な回路1000を示している。2つの周波数発生器1030及び1031は、2つの異なる周波数の信号を提供する。第1の発生器1030からの信号は、第1の疑似負荷1050及び第1のインピーダンス整合1040を有するサーキュレータを通って移動し、第1の出力1010を生成する。同様に、第2の発生器1031からの信号は、第2の疑似負荷1052及び第2のインピーダンス整合1042を有する第2のサーキュレータを通って、第2の出力1020を生成する。サーキュレータ及び負荷回路1050及び1052は、出力1010又は1020において接続された電極アセンブリから、例えば、アセンブリ700又は800から、回路1000の中に入って来る任意の信号が、信号発生器1030若しくは1031に伝播し又はプラズマ源領域の中へ反射して戻る代わりに、疑似負荷終端内に吸収されることを可能にする。
【0142】
代替的に、アイソレータは、疑似負荷1050及び1052に接続されたサーキュレータに代わることができる。アイソレータは、同様に、信号がアセンブリから信号発生器1030、1031に向けて移動することを防止することができる。特定の理論に制限されることなく、サーキュレータ並びに負荷1050及び1052又は代替的にアイソレータが、発生器に対する損傷及び信号干渉を防止する。
【0143】
インピーダンス整合回路1040及び1042は、出力1010又は1020において接続された電極アセンブリから、例えば、電極アセンブリ700又は800から、信号の反射が回路1000の中へ入って来ることを防止する。特定の理論に制限されることなく、回路1000からの反射は、電極アセンブリにおける望ましくない定常波又は他の干渉の生成をもたらし得る。
【0144】
ある実施態様では、発生器1030及び1031の出力間の周波数の差は、両方の周波数がサーキュレータ(又はアイソレータ)ユニット1050、1052の帯域幅内にあり、整合回路1040及び1042の帯域幅内にあるように選択されてよい。ある実施態様では、周波数の差が、1Hzから数MHzまでであり、好適には、1kHzから数十kHz又は数百kHzまでである。例えば、周波数は、59.9GHz及び60.1GHzであってよい。ある実施形態では、周波数の差が、進行波内に望ましくない不均一性を生成し得る、ビートパターン(beat pattern)を生成することを避けるように選ばれる。
【0145】
複数の周波数発生器が利用可能でない場合、進行波は、
図11で示されているように、単一の入力を用いて生成されてよい。
図11は、2つの出力ポート1110及び1120を有する例示的な回路1100を示している。これらのポートは、
図7A、
図7E、若しくは
図7Fの入力710及び720、又は、
図8A若しくは
図8Cの入力810及び820に接続されてよい。1つの周波数発生器1130が、単一のRF周波数信号を提供する。発生器1130からの信号は、第1の疑似負荷1150及び第1のインピーダンス整合1140を有するサーキュレータを通って移動し、ポート1010で出力を生成する。このポートからの信号は、接続された電極アセンブリ(例えば、700又は800)を通って移動し、電極アセンブリの他方の側でポート1120に入り、そこで、第2のインピーダンス整合1142及び第2の疑似負荷1152に遭遇する。サーキュレータ及び負荷回路1150及び1152は、ポート1110又は1120において接続された電極アセンブリから、例えば、アセンブリ700又は800から、回路1100の中に入って来る任意の信号が、信号発生器1130に伝播し又はプラズマ源領域の中へ反射して戻る代わりに、疑似負荷終端内に吸収されることを可能にする。
【0146】
代替的に、アイソレータは、疑似負荷1150及び1152に接続されたサーキュレータに代わることができる。アイソレータは、同様に、信号がアセンブリから信号発生器1130に向けて移動することを防止することができる。特定の理論に制限されることなく、サーキュレータ並びに負荷1150及び1152又は代替的にアイソレータが、発生器に対する損傷及び信号干渉を防止する。
【0147】
インピーダンス整合回路1140及び1142は、出力1110又は1120において接続された電極アセンブリから、例えば、電極アセンブリ700又は800から、信号の反射が回路1100の中へ入って来ることを防止する。特定の理論に制限されることなく、回路1100からの反射は、電極アセンブリにおける望ましくない定常波又は他の干渉の生成をもたらし得る。
【0148】
任意の特定の理論に制限されることなく、単一又は複数の入力を使用して、電極アセンブリにわたる進行波を生成することは、例えば、インピーダンス不整合又はシステムの物理的制約による反射によって引き起こされる、加工対象物上のプラズマの固有の不均一性の効果を軽減する助けとなる。例えば、進行波は、電極にわたる電圧の時間的及び空間的変動をもたらし、加工対象物に印加されるプラズマの時間平均された均一性を改善し、潜在的に固有のプラズマ不均一性の効果を低減させる。複数の進行波は、単一の進行波より均一な時間平均された電圧プロファイルを生成できるので、複数の入力は、改善された性能をもたらすことができる。
【0149】
任意の特定の理論に制限されることなく、位相変調により、ユーザは、電極アセンブリにわたる電圧プロファイルを調整することにおいてより大きな制御が可能となる。というのも、位相差は、時間の関数として任意のパターンによって駆動することができるからである。しかし、位相変調は、位相ロッキングフィードバック機構を必要とするので、設定するためにより時間がかかり、より高価である。対照的に、進行波の生成は、フィードバック機構を必要としないので、より単純であり安価である。しかし、進行波の設定は、信号の時間的な制御を可能にしない。
【0150】
特定の実施形態が説明されたが、他の実施形態も可能である。例えば、
ある実施態様では、RF電力がバスの中央に印加されるように示されているが、RF電力は、バスの一端若しくは両端又は他の場所に印加することができる。
複数の周波数が、位相変調と併せて印加され得る。例えば、2つの異なる周波数を有するRF信号の第1の対が、第1の電極サブアセンブリに印加されてよく、2つの同じ周波数を有するRF信号の第2の対が、他の電極サブアセンブリ又は第1の電極サブアセンブリの異なる位置に印加されてよい。その後、第2のRF対からの一方又は両方のRF信号が、第1のRF対内のそれぞれのRF信号に対して位相変調されてよい。
【0151】
他の実施形態が、下記の特許請求の範囲内にある。