(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具、内視鏡用補助具及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20220704BHJP
A61B 10/04 20060101ALI20220704BHJP
A61B 10/02 20060101ALI20220704BHJP
G02B 23/26 20060101ALN20220704BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20220704BHJP
【FI】
A61B1/018 515
A61B1/018 512
A61B10/04
A61B10/02 110Z
G02B23/26
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2020550461
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2019038779
(87)【国際公開番号】W WO2020071378
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2018186974
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 佳弘
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085857(JP,A)
【文献】特開2010-264064(JP,A)
【文献】特開2010-264065(JP,A)
【文献】特開2006-187471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
A61B 9/00 -10/06
A61B 13/00 -18/18
A61F 2/01
A61N 7/00 - 7/02
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、前記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金に固定可能な処置具操作部を備え、
前記処置具操作部は、
本体部の先端部によって前記口金に固定されると共に、前記先端部は、前記口金に対する平面図において環状に形成されており、
前記先端部の内部に設けられ、前記フランジ部が挿通可能な開口部と、
前記先端部の内周面から径方向に突出して設けられ、前記フランジ部が前記開口部を通過した状態で前記処置具操作部が前記内視鏡操作部に対して前記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、前記フランジ部と係合する係合部と、
前記係合部が前記フランジ部と係合した状態で、前記内視鏡操作部における前記口金の周囲の、
前記フランジ部よりも前記先端部の先端側に位置する座面に当接する当接部と、
を有する内視鏡用処置具。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡用処置具であって、
前記当接部の先端部は、弾性材料からなる内視鏡用処置具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内視鏡用処置具であって、
前記処置具操作部は、前記係合部が前記フランジ部と係合した状態で前記処置具操作部の前記内視鏡操作部に対する前記中心軸回りの回転を阻止するロック部を有する内視鏡用処置具。
【請求項4】
内視鏡操作部の処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、前記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成された第1フランジ部を有する口金に固定可能な第1端部と、
前記第1フランジ部と同一の第2フランジ部を有し、請求項1から3のいずれか一項記載の内視鏡用処置具の前記処置具操作部が固定可能な第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部とを連結しており、前記第2端部に固定された前記処置具操作部から延びる処置具軟性部を挿通可能な硬質な筒部と、
を備え、
前記第1端部は、
前記第1フランジ部と同一形状であり且つ前記第1フランジ部が挿通可能な開口部と、
前記第1フランジ部が前記開口部を通過した状態で前記第1端部が前記内視鏡操作部に対して前記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、前記第1フランジ部と係合する係合部と、
前記係合部が前記第1フランジ部と係合した状態で、前記内視鏡操作部における前記口金の周囲の座面に当接する当接部と、
を有する内視鏡用補助具。
【請求項5】
請求項4記載の内視鏡用補助具であって、
前記当接部の先端部は、弾性材料からなる内視鏡用補助具。
【請求項6】
請求項4又は5記載の内視鏡用補助具であって、
前記第1端部は、前記係合部が前記フランジ部と係合した状態で前記第1端部の前記内視鏡操作部に対する前記中心軸回りの回転を阻止するロック部を有する内視鏡用補助具。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項記載の内視鏡用補助具であって、
前記筒部は、前記第1端部に接続されている第1筒部材と、前記第2端部に接続されている第2筒部材とを有し、
前記第2筒部材は、前記第1筒部材に対して前記筒部の軸方向に進退可能に、前記第1筒部材に嵌合している内視鏡用補助具。
【請求項8】
請求項7記載の内視鏡用補助具であって、
前記第2筒部材は、前記第1筒部材に対して前記筒部の中心軸回りに回転可能である内視鏡用補助具。
【請求項9】
処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金が、内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、請求項1から3のいずれか一項記載の内視鏡用処置具の前記処置具操作部、又は請求項4から8のいずれか一項記載の内視鏡用補助具の前記第1端部が前記口金に固定可能な内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具、内視鏡用補助具及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
軟性内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通される内視鏡用処置具は、内視鏡操作者とは別の介助者によって操作される処置具と、内視鏡操作者によって操作される処置具とに大別される。内視鏡操作者によって操作される処置具として、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA:Endoscopic UltraSound-guided Fine Needle Aspiration)に用いられる穿刺針装置が例示される。なお、EUS-FNAとは、胃、十二指腸等の消化管から超音波内視鏡で胸腹部を観察し、消化管内から針を刺して組織サンプルを採取する術式である。
【0003】
内視鏡操作者によって操作される処置具が使用される場合に、内視鏡操作部が内視鏡操作者の一方の手によって把持及び操作され、処置具操作部は内視鏡操作者の他方の手によって把持及び操作される。この場合に、処置具操作部が内視鏡操作部に固定されることが望ましく、内視鏡操作者の一方の手によって把持された内視鏡操作部を介して処置具操作部が安定に支持される。これにより、内視鏡操作者は、他方の手を、専ら処置具操作部の操作に用いることができる。
【0004】
特許文献1に記載された超音波内視鏡用穿刺針装置は、非円形状の鍔部を備える超音波内視鏡の口金が挿入される筒状接続部と、筒状接続部に挿入された口金を抜け止めするロック部材とを備える。筒状接続部は、所定位置まで挿入された口金と当接する挿入規制部と、非円形状の鍔部が相対回転不能に嵌合する非円形状の鍔部受容孔とを有する。口金が挿入規制部に当接し且つ鍔部が鍔部受容孔に嵌合した状態で、ロック部材は、口金の挿抜方向と交差する方向にスライド移動される。これにより、ロック部材が鍔部と係合し、口金が抜け止めされる。
【0005】
特許文献2に記載された内視鏡用アダプタは、内視鏡と内視鏡の管路に挿通される内視鏡用処置具とを接続するものであり、内視鏡の管路口金と同一軸線上に配置され、内視鏡用処置具が着脱自在な処置具固定口金を有する。内視鏡用アダプタが内視鏡の管路口金に固定され、その後に内視鏡用処置具が内視鏡用アダプタの処置具固定口金に固定されることにより、内視鏡用処置具が内視鏡に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2010-269126号公報
【文献】日本国特開2010-94367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された超音波内視鏡用穿刺針装置は、ロック部材がスライド移動されることによって、筒状接続部の口金に対する軸方向の移動が規制される。そして、軸方向の移動が規制されることによって鍔部と鍔部受容孔との嵌合が維持され、これにより筒状接続部の口金に対する軸回りの回転が規制される。このように、筒状接続部の口金に対する固定が、可動なロック部材によって行われるため、構成が複雑であり、強度不足も懸念される。
【0008】
特許文献2に記載された内視鏡用アダプタでは、内視鏡用処置具の使用開始前に、あらかじめ内視鏡用アダプタを内視鏡の管路口金に取り付けておく手間が必要となる。さらに、複数の内視鏡用処置具が使用される場合において、例えば干渉等に起因して内視鏡用アダプタとの組み合わせが不適な内視鏡用処置具が含まれる場合には、その都度、内視鏡用アダプタを内視鏡の管路口金から取り外す必要があり、交換作業が煩雑となる。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、内視鏡用処置具及び内視鏡用補助具を、簡易な構成によって内視鏡操作部に強固に取り付け可能且つ容易に着脱可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の内視鏡用処置具は、内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金に固定可能な処置具操作部を備え、上記処置具操作部は、本体部の先端部によって上記口金に固定されると共に、上記先端部は、上記口金に対する平面図において環状に形成されており、上記先端部の内部に設けられ、上記フランジ部が挿通可能な開口部と、上記先端部の内周面から径方向に突出して設けられ、上記フランジ部が上記開口部を通過した状態で上記処置具操作部が上記内視鏡操作部に対して上記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、上記フランジ部と係合する係合部と、上記係合部が上記フランジ部と係合した状態で、上記内視鏡操作部における上記口金の周囲の、前記フランジ部よりも前記先端部の先端側に位置する座面に当接する当接部と、を有する。
【0011】
また、本発明の一態様の内視鏡用補助具は、内視鏡操作部の処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成された第1フランジ部を有する口金に固定可能な第1端部と、上記第1フランジ部と同一の第2フランジ部を有し、上記内視鏡用処置具の上記処置具操作部が固定可能な第2端部と、上記第1端部と上記第2端部とを連結しており、上記第2端部に固定された上記処置具操作部から延びる処置具軟性部を挿通可能な硬質な筒部と、を備え、上記第1端部は、上記第1フランジ部と同一形状であり且つ上記フランジ部が挿通可能な開口部と、上記フランジ部が上記開口部を通過した状態で上記第1端部が上記内視鏡操作部に対して上記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、上記フランジ部と係合する係合部と、上記係合部が上記フランジ部と係合した状態で、上記内視鏡操作部における上記口金の周囲の座面に当接する当接部と、を有する。
【0012】
また、本発明の一態様の内視鏡は、処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金が、内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記内視鏡用処置具の上記処置具操作部、又は上記内視鏡用補助具の上記第1端部が上記口金に固定可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内視鏡用処置具及び内視鏡用補助具を、簡易な構成によって内視鏡操作部に強固に取り付け可能且つ容易に着脱可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の一例の斜視図である。
【
図2】
図1の内視鏡を含む内視鏡システムの一例の模式図である。
【
図3】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡用処置具の一例の分解斜視図である。
【
図4】
図3の内視鏡用処置具の使用方法を示す斜視図である。
【
図7】
図3の内視鏡用処置具の口金に対する固定部分の平面図である。
【
図8】
図7の固定部分のVIII-VIII線断面図である。
【
図9】
図7の固定部分のIX-IX線断面図である。
【
図11】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡用補助具の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の一例を示し、
図2は、
図1の内視鏡を含む内視鏡システムの一例を示す。
【0016】
内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源装置3と、プロセッサユニット4と、吸引ポンプ5とを備える。内視鏡2は軟性鏡であり、被検体内に挿入される挿入部10と、挿入部10に連なる内視鏡操作部11と、内視鏡操作部11から延びるユニバーサルコード12とを有し、ユニバーサルコード12の末端には、光源装置3に接続されるコネクタ13が設けられている。
【0017】
挿入部10は、先端部14と、先端部14に連なる湾曲部15と、湾曲部15と内視鏡操作部11とを接続している軟性部16とで構成されている。先端部14には、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(ComplementaryMetal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を含む撮像部17が搭載されている。なお、内視鏡2が超音波内視鏡である場合に、先端部14には、撮像部17に替えて、又は撮像部17に加えて超音波を発信及び受信する超音波振動子が搭載される。湾曲部15は湾曲可能に構成されており、湾曲部15の湾曲は内視鏡操作部11によって操作される。また、軟性部16は、被検体内の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に可撓に構成されている。
【0018】
内視鏡操作部11には、吸引ポンプ5を用いた吸引を操作する操作ボタン18A、湾曲部15の湾曲を操作する操作ノブ18B、撮像部17を用いた撮像を操作する操作ボタン18C等が設けられている。また、内視鏡操作部11には、処置具が挿通される処置具挿通チャンネル23の入口部分24が設けられている。
【0019】
挿入部10及び内視鏡操作部11並びにユニバーサルコード12の内部には、ライトガイド20と、電気ケーブル21とが設けられている。ライトガイド20は、光源装置3によって生成される照明光を先端部14に導く。電気ケーブル21は、撮像部17の動作電力、制御信号、及び撮影画像信号を、撮像部17とプロセッサユニット4との間で伝送する。プロセッサユニット4は、入力された撮影画像信号から撮影画像データを生成し、生成した撮影画像データをモニタ6に表示させ、また記録する。
【0020】
挿入部10及び内視鏡操作部11の内部には、複数の操作ワイヤ22と、処置具挿通チャンネル23とが設けられている。操作ワイヤ22は、内視鏡操作部11から挿入部10の先端部14に達しており、内視鏡操作部11の操作ノブ18Bの操作に応じて先端部14側に押し出され、又は内視鏡操作部11側に引っ張られる。挿入部10の湾曲部15は、操作ワイヤ22の押し引きに応じて湾曲される。処置具挿通チャンネル23は、内視鏡操作部11に設けられている入口部分24から挿入部10の先端部14に達しており、処置具挿通チャンネル23の出口部分25は先端部14の先端面に開口している。内視鏡操作部11には、処置具挿通チャンネル23の入口部分24の開口を形成する口金30が設けられており、処置具挿通チャンネル23に挿通される内視鏡用処置具は、口金30に固定可能である。
【0021】
また、処置具挿通チャンネル23は、内視鏡操作部11において吸引管26と合流している。吸引管26は、操作ボタン18Aによって開閉されるバルブ27を経てコネクタ13まで延びており、コネクタ13に設けられている口金28に接続された接続チューブ29を介して吸引ポンプ5と接続されている。バルブ27が開かれることにより、血液等の流体が、処置具挿通チャンネル23の出口部分25の開口から吸引管26を通して吸引ポンプ5に吸引される。
【0022】
図3及び
図4は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡用処置具の一例を示す。
【0023】
図3及び
図4に示す内視鏡用処置具100は、穿刺針装置であり、軟質な軸部110及び軸部110の先端に連設された穿刺部111を有する穿刺針101と、穿刺針101を挿通させる軟質なシース102と、穿刺針101を操作するための処置具操作部103とを備える。なお、内視鏡用処置具100は、穿刺針装置に限定されず、高周波はさみ鉗子、高周波ナイフ、バイポーラ止血鉗子、クリップ、回収ネット等でもよい。
【0024】
処置具操作部103は、本体部112と、本体部112に対してスライド移動されるハンドル113とを有する。本体部112は、本体部112の先端部114から延びるシース102に向けて穿刺針101を案内する。ハンドル113は、シース102に挿入された穿刺針101を着脱可能に保持する。
【0025】
シース102は、処置具挿通チャンネル23の入口部分24の開口を通して処置具挿通チャンネル23に挿入される。処置具挿通チャンネル23に挿入されたシース102の先端部は、処置具挿通チャンネル23の出口部分25の開口を通して、内視鏡2の先端部14から突出して配置される。
【0026】
内視鏡2の撮像部17によって取得される光学像及び/又は超音波振動子によって取得されるエコー像を用いた観察下において、内視鏡操作者により、内視鏡用処置具100のシース102の先端部が被検体の検査部位を臨む位置に配置される。そして、ハンドル113が内視鏡操作者によって押し込まれる。ハンドル113が押し込まれることにより、穿刺針101の穿刺部111が、シース102の先端部から突出して被検体の検査部位に刺さり、検査部位の組織サンプルが採取される。
【0027】
以上の操作において、処置具操作部103は、内視鏡操作部11の口金30に固定されている。これにより、内視鏡操作者は、内視鏡操作部11を把持している一方の手とは反対側の手を、専ら処置具操作部103の操作に用いることができる。
【0028】
図5及び
図6は、内視鏡操作部11の口金30を示す。
【0029】
口金30は、筒部31と、筒部31の外周面から径方向に突出して設けられているフランジ部32とを有する。筒部31は、内視鏡操作部11から突出して設けられており、内視鏡操作部11における筒部31の周囲には、平坦な座面33が形成されている。筒部31は、処置具挿通チャンネル23に連通しており、フランジ部32は、処置具挿通チャンネル23の軸方向にみた場合に、非円形状に形成されている。
図5及び
図6に示す例では、フランジ部32は、円の中心を挟んで互いに反対側に位置する一対の円弧が切り落とされてなる非円形状に形成されているが、フランジ部32の形状は、正方形、長方形、楕円形であってもよい。
【0030】
図7から
図9は、処置具操作部103の口金30に対する固定部分を示す。
【0031】
処置具操作部103は、本体部112の先端部114によって口金30に固定される。本体部112の先端部114は、シース102の周囲を取り囲む環状に形成されており、口金30は、シース102の外周面と先端部114の内周面との間に差し込まれる。この先端部114は、開口部120と、係合部121と、当接部122とを有する。
【0032】
開口部120は、先端部114の内部に設けられている。開口部120は、口金30のフランジ部32と同一形状に形成されており、
図7及び
図8に示す例では、円の中心を挟んで互いに反対側に位置する一対の円弧が切り落とされてなる非円形状に形成されている。そして、開口部120は、フランジ部32よりも僅かに大きく形成されており、
図8に示すように、フランジ部32が挿通可能である。
【0033】
係合部121は、先端部114の内周面から径方向に突出して設けられており、開口部120を内包する円から開口部120を除いた形状に形成され、開口部120の外周を囲んでいる。フランジ部32が開口部120を通過した状態で処置具操作部103が内視鏡操作部11に対して口金30の中心軸回りに回転されることにより、
図9に示すように、係合部121はフランジ部32と係合する。
【0034】
当接部122は、先端部114の先端面を構成している。係合部121がフランジ部32と係合した状態で、
図9に示すように、当接部122は、内視鏡操作部11の座面33に当接している。係合部121及び当接部122を含む固定部分が、フランジ部32と座面33との間で挟持され、これにより、処置具操作部103は口金30に固定される。
【0035】
係合部121及び当接部122は、先端部114に対して不動であり、構成が簡易である。また、先端部114に対して不動な係合部121及び当接部122の強度は、可動部よりも容易に高められる。したがって、処置具操作部103を内視鏡操作部11に強固に取り付けられる。そして、処置具操作部103を回転させるだけで、処置具操作部103を内視鏡操作部11に対して容易に着脱できる。
【0036】
好ましくは、当接部122は弾性材料からなり、当接部122と座面33とが当接部122の弾性的な圧縮を伴って緊密に接する。これにより、処置具操作部103の口金30に対する固定強度及び気密性が高まる。なお、弾性部材が座面33に設けられてもよく、この場合にも、処置具操作部103の口金30に対する固定強度及び気密性を高められる。なお、
図8において二点鎖線で示すシール箇所SP(口金30の円形状のフランジ部35の外周面と先端部114の内周面との間、口金30の円形状のフランジ部36の外周面と先端部114の内周面との間、及び口金30の先端部と先端部114の底部との間)に、気密用の弾性部材を配置してもよい。
【0037】
また、処置具操作部103は、係合部121が口金30のフランジ部32と係合した状態で処置具操作部103の内視鏡操作部11に対する回転を阻止するロック部を有してもよい。
図10に示すロック部130は、一対の円弧が切り落とされてなる非円形状に形成されたフランジ部32において、切り落とされた円弧の弦に対応する長辺部34に係合するロックバー131と、ロックバー131を付勢するバネ132とによって構成されている。ロックバー131は、内視鏡操作者が任意にロック解除できるように、ロック解除操作部133を有する。ロックバー131は、フランジ部32の長辺部34との係合に限定されず、例えばフランジ部32又は口金30のその他の箇所に切り欠き又は穴が別途設けられ、この切り欠き又は穴に係合してもよい。また、ロック部は、先端部114を径方向に貫通して、先端部114に挿し込まれた口金30に当接するネジによって構成されてもよい。いずれの構成においても、内視鏡操作者が任意に回転方向の固定の有無を切り替えることが可能である。
【0038】
図11から
図13は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡用補助具の一例を示す。
【0039】
図11に示す内視鏡用補助具200は、内視鏡操作部11と処置具操作部103との間に設置され、処置具挿通チャンネル23を通して内視鏡2の先端部14から突出して配置される内視鏡用処置具100のシース102の突出量を調節するものである。内視鏡用補助具200は、内視鏡操作部11の口金30に固定可能な第1端部201と、処置具操作部103が固定可能な第2端部202と、第1端部201と第2端部202とを連結している筒部203とを備える。筒部203は、硬質であり、処置具操作部103の先端部114から延びるシース102を挿通可能である。
【0040】
第1端部201は、処置具操作部103の先端部114と同様に構成されており、
図12に示すように、開口部220と、係合部221と、当接部222とを有する。開口部220は、環状の第1端部201の内部に設けられている。開口部220は、内視鏡操作部11の口金30のフランジ部32と同一形状に形成されており、且つフランジ部32よりも僅かに大きく形成されており、フランジ部32が挿通可能である。係合部221は、環状の第1端部201の内周面から径方向に突出して設けられており、開口部220の外周を囲んでいる。フランジ部32が開口部220を通過した状態で第1端部201が内視鏡操作部11に対して回転されることにより、係合部221はフランジ部32と係合する。そして、係合部221がフランジ部32と係合した状態で、当接部222は、内視鏡操作部11の座面33に当接している。係合部221及び当接部222を含む固定部分が、フランジ部32と座面33との間で挟持され、これにより、第1端部201は口金30に固定される。
【0041】
第2端部202は、内視鏡操作部11の口金30と同様に構成されており、
図13に示すように、筒部231と、フランジ部232と、座面233とを有する。フランジ部232は、口金30のフランジ部32と同一であり、処置具操作部103の先端部114の開口部120に挿通可能である。フランジ部232が開口部120を通過した状態で処置具操作部103が第2端部202に対して回転されることにより、処置具操作部103の先端部114の係合部121がフランジ部232と係合する。そして、係合部121がフランジ部232と係合した状態で、処置具操作部103の先端部114の当接部122は第2端部202の座面233に当接している。係合部121及び当接部122を含む固定部分が、フランジ部232と座面233との間で挟持され、これにより、処置具操作部103は第2端部202に固定される。
【0042】
例えば、内視鏡2の先端部14から突出して配置される内視鏡用処置具100のシース102の突出量が小さくされる際に、シース102に余剰が生じる。シース102の余剰長さは、処置具操作部103が内視鏡操作部11から分離され、内視鏡操作部11と処置具操作部103との間に配置される。内視鏡用補助具200が無い場合に、内視鏡操作部11と処置具操作部103との間に配置されるシース102が撓むことにより、処置具操作部103が垂れ下がる。このため、処置具操作部103は内視鏡操作者の支持を必要とする。これに対し、内視鏡用補助具200によれば、シース102の余剰長さは硬質な筒部203に収納され、処置具操作部103は、内視鏡用補助具200を介して内視鏡操作部11に固定される。これにより、内視鏡操作者は、内視鏡操作部11を把持している一方の手とは反対側の手を、専ら処置具操作部103の操作に用いることができる。
【0043】
なお、第1端部201の当接部222は、弾性材料からなってもよい。当接部222と座面33とが、当接部222の弾性的な圧縮を伴って緊密に接し、第1端部201の口金30に対する固定強度が高まる。また、第1端部201は、係合部221が口金30のフランジ部32と係合した状態で第1端部201の内視鏡操作部11に対する回転を阻止するロック部を有してもよい。第1端部201のロック部は、
図10に示したロック部130と同様に構成され得る。
【0044】
図14は、内視鏡用補助具200の変形例を示し、筒部203が、第1端部201に接続されている第1筒部材210と、第2端部202に接続されている第2筒部材211とを有する。第2筒部材211は、第1筒部材210に対して、筒部203の軸方向に進退可能に第1筒部材210に嵌合している。第2筒部材211の進退移動によって筒部203の長さが可変となり、内視鏡2の先端部14から突出して配置される内視鏡用処置具100のシース102の突出量を種々に変更できる。また、第2筒部材211は、第1筒部材210に対して筒部203の中心軸回りに回転可能である。第2筒部材211の回転によって第2端部202に固定された処置具操作部103が回転可能となり、内視鏡用処置具100の操作性を高めることができる。なお、互いに嵌合している第1筒部材210と第2筒部材211との間には適宜な摩擦が作用しており、この摩擦によって第1筒部材210と第2筒部材211との位置関係は保たれるので、内視鏡操作者の支持は不要である。
【0045】
以上説明したとおり、本明細書に開示された内視鏡用処置具は、内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金に固定可能な処置具操作部を備え、上記処置具操作部は、上記フランジ部と同一形状であり且つ上記フランジ部が挿通可能な開口部と、上記フランジ部が上記開口部を通過した状態で上記処置具操作部が上記内視鏡操作部に対して上記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、上記フランジ部と係合する係合部と、上記係合部が上記フランジ部と係合した状態で、上記内視鏡操作部における上記口金の周囲の座面に当接する当接部と、を有する。
【0046】
また、本明細書に開示された内視鏡用処置具は、上記当接部の先端部が、弾性材料からなる。
【0047】
また、本明細書に開示された内視鏡用処置具は、上記処置具操作部が、上記係合部が上記フランジ部と係合した状態で上記処置具操作部の上記内視鏡操作部に対する上記中心軸回りの回転を阻止するロック部を有する。
【0048】
また、本明細書に開示された内視鏡用補助具は、内視鏡操作部の処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成された第1フランジ部を有する口金に固定可能な第1端部と、上記第1フランジ部と同一の第2フランジ部を有し、上記内視鏡用処置具の上記処置具操作部が固定可能な第2端部と、上記第1端部と上記第2端部とを連結しており、上記第2端部に固定された上記処置具操作部から延びる処置具軟性部を挿通可能な硬質な筒部と、を備え、上記第1端部は、上記第1フランジ部と同一形状であり且つ上記第1フランジ部が挿通可能な開口部と、上記第1フランジ部が上記開口部を通過した状態で上記第1端部が上記内視鏡操作部に対して上記処置具挿通チャンネルの中心軸回りに回転されることにより、上記第1フランジ部と係合する係合部と、上記係合部が上記第1フランジ部と係合した状態で、上記内視鏡操作部における上記口金の周囲の座面に当接する当接部と、を有する。
【0049】
また、本明細書に開示された内視鏡用補助具は、上記当接部の先端部が、弾性材料からなる。
【0050】
また、本明細書に開示された内視鏡用補助具は、上記第1端部が、上記係合部が上記フランジ部と係合した状態で上記第1端部の上記内視鏡操作部に対する上記中心軸回りの回転を阻止するロック部を有する。
【0051】
また、本明細書に開示された内視鏡用補助具は、上記筒部が、上記第1端部に接続されている第1筒部材と、上記第2端部に接続されている第2筒部材とを有し、上記第2筒部材は、上記第1筒部材に対して上記筒部の軸方向に進退可能に、上記第1筒部材に嵌合している。
【0052】
また、本明細書に開示された内視鏡用補助具は、上記第2筒部材が、上記第1筒部材に対して上記筒部の中心軸回りに回転可能である。
【0053】
また、本明細書に開示された内視鏡用は、処置具挿通チャンネルの軸方向にみた場合に非円形状に形成されたフランジ部を有する口金が、内視鏡操作部における処置具挿通チャンネルの入口部分に設けられており、上記内視鏡用処置具の上記処置具操作部、又は上記内視鏡用補助具の上記第1端部が上記口金に固定可能である。
【0054】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0055】
なお、本出願は、2018年10月1日出願の日本特許出願(特願2018-186974)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0056】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源装置
4 プロセッサユニット
5 吸引ポンプ
6 モニタ
10 挿入部
11 内視鏡操作部
12 ユニバーサルコード
13 コネクタ
14 先端部
15 湾曲部
16 軟性部
17 撮像部
18A 操作ボタン
18B 操作ノブ
18C 操作ボタン
20 ライトガイド
21 電気ケーブル
22 操作ワイヤ
23 処置具挿通チャンネル
24 入口部分
25 出口部分
30 口金
31 筒部
32 フランジ部(第1フランジ部)
33 座面
34 フランジ部の長辺部
100 内視鏡用処置具
101 穿刺針
102 シース(処置具軟性部)
103 処置具操作部
110 軸部
111 穿刺部
112 本体部
113 ハンドル
114 先端部
120 開口部
121 係合部
122 当接部
130 ロック部
131 ロックバー
132 バネ
200 内視鏡用補助具
201 第1端部
202 第2端部
203 筒部
210 第1筒部材
211 第2筒部材
220 開口部
221 係合部
222 当接部
231 筒部
232 フランジ部(第2フランジ部)
233 座面
SP シール箇所