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特許7098966液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220705BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220705BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/14 301
B41J2/01 303
B41J2/165 203
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018041157
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2019155616
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 優
(72)【発明者】
【氏名】石田 洋哉
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-000778(JP,A)
【文献】特開2017-081115(JP,A)
【文献】特開2018-001449(JP,A)
【文献】特開2010-208224(JP,A)
【文献】特開2017-140811(JP,A)
【文献】特開2017-213843(JP,A)
【文献】特開2017-121760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル板と、
前記ノズル面の周縁部を覆うカバー部材と、
前記カバー部材が接着されるカバー接着面と、を備え、
前記カバー接着面は、重力方向で、前記ノズル面よりも上方に配置され、
前記カバー部材と前記カバー接着面とは、重力方向で接着され
前記カバー部材と前記ノズル板の面内方向における外側面との間に隙間がある
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル板と、
前記ノズル面の周縁部を覆うカバー部材と、
前記カバー部材が接着されるカバー接着面と、を備え、
前記カバー接着面は、重力方向で、前記ノズル面よりも上方に配置され、
前記カバー部材と前記カバー接着面とは、重力方向で接着され、
前記ノズル面及び前記カバー部材の各々の対向領域に撥液処理が施されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記カバー接着面と接着する部分の撥液性が、前記カバー接着面と接しない部分の撥液性よりも低い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記カバー部材の前記カバー接着面と接着する部分には撥液処理が施されていない
ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記カバー部材と前記カバー接着面とは、前記ノズル板の面内方向における外側面の側方において、接着されている
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記カバー部材と前記ノズル板の面内方向における外側面との間に隙間がある
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記カバー接着面を有するカバー保持部を備えている
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記ノズル面及び前記カバー部材の各々の対向領域に撥液処理が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項10】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ユニット。
【請求項11】
請求項1ないしのいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項若しくは10に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、ノズルが形成されたノズル面の周縁部を覆うノズルカバー部材を設けるものがある。
【0003】
従来、ノズル面の周縁部及びノズル板の外周側面を覆うノズルカバーを備え、ノズルカバーとノズル面の周縁部とは離間させて配置し、ノズルカバーの表面全面に撥水処理を施したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-220421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カバー部材をヘッド外面に固定するときには、接着剤や充填剤を使用することになる。この場合、ノズル面から払拭される液体と接着剤や充填剤が接触することで溶出が生じ、接着剤とカバー部材などの間で界面剥離を生じるおそれがある。また、特許文献1に開示されているように、カバー部材の全面に撥水処理を施した場合には、より剥離を生じやすくなるという課題もある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、カバー部材を安定して保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するノズルが形成されたノズル面を有するノズル板と、
前記ノズル面の周縁部を覆うカバー部材と、
前記カバー部材が接着されるカバー接着面と、を備え、
前記カバー接着面は、重力方向で、前記ノズル面よりも上方に配置され、
前記カバー部材と前記カバー接着面とは、重力方向で接着され
前記カバー部材と前記ノズル板の面内方向における外側面との間に隙間がある
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバー部材を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
図2】同ヘッドの平面説明図である。
図3】同ヘッドにおけるカバー部材の保持構造の説明に供する図1の要部拡大説明図である。
図4】比較例1のノズル板及びカバー部材部分の断面説明図である。
図5】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
図6】同装置の要部側面説明図である。
図7】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
図8】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図、図2は同ヘッドの平面説明図である。
【0011】
この液体吐出ヘッド100は、ノズル板1と、流路板2と、振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、フレーム部材20と、カバー部材50を備えている。
【0012】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。ノズル板1の表面(液体吐出面側)には撥液膜40が成膜されている。そして、ノズル板1のノズル面(撥液膜40の表面)1aの周縁部はカバー部材50で覆われている。
【0013】
流路板2は、ノズル4に連通する個別液室6を形成している。振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0014】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子12を所定の間隔で櫛歯状に形成している。圧電素子12は振動領域(振動板)30に接合されている。
【0015】
この液体吐出ヘッド100においては、例えば圧電素子12に与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12が収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内にフレーム部材20に設けられる共通液室から液体が流入する。
【0016】
その後、圧電素子12に印加する電圧を上げて圧電素子12を積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0017】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0018】
次に、この液体吐出ヘッド100におけるカバー部材50の保持構造について図3も説明する。図3は同説明に供する図1の要部拡大説明図である。
【0019】
フレーム部材20の外周部には、カバー部材50を保持するカバー保持部60が接着剤70で接合固定されている。カバー部材50の接着面52とカバー保持部60のカバー接着面62とが接着剤71で接合固定されている。
【0020】
ここで、カバー部材50を接着するカバー保持部60のカバー接着面62は、重力方向で、ノズル面(撥液膜40の表面)1aよりも上方に配置されている。
【0021】
カバー部材50は、ノズル板1のノズル面1aの周縁部に隙間gを置いて対向し、隙間周縁部を覆う対向部51を有している。隙間gの間隔は1μm~50μmの範囲内にあることが好ましい。この範囲内にあることでノズル面1aの廃液81(図3参照)を容易に払拭除去できる。
【0022】
そして、カバー部材50の対向部51の表面を含む外表面に撥液膜40を成膜する撥液処理を施している。
【0023】
一方、カバー部材50のノズル板1の外側面1bに対向する面53及びカバー保持部60のカバー接着面62と接着接合する接着面52には撥液膜40の成膜などの撥液処理を施していない。つまり、カバー部材50は、カバー接着面62と接着する部分である接着面52の撥液性が、カバー接着面62と接しない部分の撥液性よりも低い。
【0024】
このように、カバー保持部60のカバー接着面62と接着接合するカバー部材50の接着面52に撥液処理を施していない、撥液性を低くしていることで、カバー保持部60に剥離などを生じることなく、カバー部材50を安定して接合することができる。
【0025】
次に、この液体吐出ヘッドに作用について説明する。
【0026】
図3に示すように、払拭部材80でノズル面1aを払拭することで、ノズル面1aに残留している廃液81がノズル面1aの周縁部に掻き集められる。掻き集められた廃液81は、カバー部材50の対向部51とノズル面1aとの隙間gに押し込まれようとされる。
【0027】
このとき、カバー部材50の対向部51の表面にも撥液膜40が形成されているので、廃液81が滴の状態では撥液され、隙間gに入り込むことができない。したがって、廃液81は払拭部材80に付着したままノズル面4aから除去される。
【0028】
ここで、カバー部材50を接着するカバー保持部60のカバー接着面62は、重力方向において、ノズル面1aよりも上方に配置されている。したがって、図3に示すように、仮に、廃液81aがノズル板1の外側面1bとカバー部材50の内周面53との間に侵入しても、重力により、カバー部材50とカバー接着面62とを接合している接着剤71まで到達することはない。
【0029】
これにより、カバー部材50とカバー接着面62を接着している接着剤71が廃液81によって溶かされるなどして、接着剤71と接着面52、62との間で界面剥離が生じることが防止され、カバー部材50を安定して保持することができる。
【0030】
また、カバー部材50の接着剤71で接合する接着面52には撥液膜40の成膜など、撥液処理を施していない。これにより、撥液膜によるカバーの剥離性(剥がれやすさ)の低減することができる。
【0031】
また、カバー部材50の接着面52は、ノズル面1aの端部から、液体吐出方向と直交する方向(図3の左右方向)において離間して設けられている。
【0032】
これにより、廃液81がノズル板1の外側面1bとカバー部材50の内周面53の間に侵入してきたとしても、液体が接着剤71まで到達することをより確実に防ぐことができる。
【0033】
ここで、比較例1について図4を参照して説明する。図4は同比較例1のノズル板及びカバー部材部分の断面説明図である。
【0034】
この比較例1では、カバー部材50をノズル板1の周縁部に充填剤72で固定している。
【0035】
この構成では、廃液81が充填剤72と接触することになり、充填剤72の耐液性が低いと、カバー部材50が剥離するなどの不都合が生じることになる。
【0036】
なお、上記実施形態では、フレーム部材20の外周面にカバー保持部60を固定した例で説明したが、フレーム部材20がカバー保持部を兼ねることもできる。少なくとも、カバー保持部のカバー接着面が、ノズル面よりも重力方向において上方に配置されていればよい。
【0037】
また、液体吐出ヘッドは、個別液室循環型の液体吐出ヘッドとすることもできる。
【0038】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図5及び図6を参照して説明する。図5は同装置の要部平面説明図、図6は同装置の要部側面説明図である。
【0039】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0040】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0041】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0042】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0043】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0044】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0045】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0046】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0047】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0048】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0049】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0050】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0051】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0052】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図7を参照して説明する。図70は同ユニットの要部平面説明図である。
【0053】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0054】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0055】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図8を参照して説明する。図8は同ユニットの正面説明図である。
【0056】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0057】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0058】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0059】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0060】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0061】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0062】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0063】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0064】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0065】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0066】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0067】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0068】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0069】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0070】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0071】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0072】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0073】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0074】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0075】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0076】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0077】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
40 撥液膜
50 カバー部材
60 カバー保持部
61 カバー接着面
71 接着剤
100 液体吐出ヘッド
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8