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  • 特許-前駆体液の品質管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】前駆体液の品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 41/318 20130101AFI20220705BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 41/187 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 41/39 20130101ALI20220705BHJP
   C01G 25/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H01L41/318
H01L41/09
H01L41/187
H01L41/39
C01G25/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018046772
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019161049
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】上田 恵司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 尚弥
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130624(JP,A)
【文献】特開昭63-293178(JP,A)
【文献】特開2017-199719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/318
H01L 41/09
H01L 41/187
H01L 41/39
C01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾルゲル法にて一般式PbZrXTi(1-X)3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法であって、
前記前駆体液は、鉛の出発材料として酢酸鉛三水和物および共通溶媒として2-メトキシエタノールを使用するものであり、下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度に基づいて前記前駆体液の品質を管理し、
前記下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度が、前記前駆体液の吸光度を測定することによって把握され、
波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示すことを特徴とする前記前駆体液の品質管理方法。
(2) Pb(OOCCH3)2 + 2CH3O-CH2CH2OH → CH3-COO-Pb-OCH2CH2OCH3 + CH3CO-OCH2CH2-OCH3 + H2O
【請求項2】
ゾルゲル法にて一般式PbZr X Ti (1-X) 3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法であって、
前記前駆体液は、鉛の出発材料として酢酸鉛三水和物および共通溶媒として2-メトキシエタノールを使用するものであり、下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度に基づいて前記前駆体液の品質を管理し、
前記前駆体液に含まれる鉛化合物中の95モル%以上が、酢酸鉛-2-メトキシエチルであり、
波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示すことを特徴とする前記前駆体液の品質管理方法。
(2) Pb(OOCCH 3 ) 2 + 2CH 3 O-CH 2 CH 2 OH → CH 3 -COO-Pb-OCH 2 CH 2 OCH 3 + CH 3 CO-OCH 2 CH 2 -OCH 3 + H 2 O
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PZT膜を形成するための前駆体液の品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子で変形させることで圧力発生室内のインクを加圧してノズル開口からインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドには、バルク形状の圧電素子を、印加する電界方向に伸長収縮、振動板を前後に圧して変形させる方式と、薄膜形状の圧電素子を、印加する電界方向に対して垂直方向に伸長収縮、振動板をたわませて変形させる方式の2種類の圧電アクチェーターが既に知られている。
【0003】
前記した圧電アクチュエータとして用いられる圧電体材料として、ペロブスカイト型の強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)材料がよく知られている。このPZT材料は、他の材料と比較して極めて良好な圧電性並びに強誘電性を有すると共に、利用可能な温度範囲が広い特徴を有することから、圧電アクチュエータのみならず、強誘電性を生かした電子デバイスなどの幅広い分野に応用されている。
【0004】
前記したPZT材料を使用して、特に薄膜形状の圧電アクチュエータを製作する場合、下部電極を成膜したシリコンウェハ上に、各種成膜方法、例えばゾルゲル法、スパッタ法、CVD法などの多くの手法にて通常1~3μmの厚さのPZT膜を成膜した後、さらに多数の公知技術が知られているSi-MEMSプロセス加工が、前記PZT膜に加えられることによって、圧電アクチュエータを製作する。そして、さらに他の構成部品と組み合わせることによって、インクジェットヘッド等の各種アプリケーションに利用されている。
【0005】
ところで、前記PZT膜をインクジェットヘッド等の圧電アクチュエータとして利用する場合、成膜されたPZT膜を構成する結晶の性状がある特定の性状を示す場合、好ましいアクチュエータ性能を出現することが既に知られている。
【0006】
特許文献1には、好ましいアクチュエータ性能を出現するPZT膜結晶のX線回折強度プロファイルが開示されている。特許文献1は本出願人によって開示されたものであり、少なくとも第一電極、圧電体、第二電極が順次積層され、駆動信号に応じた電圧を該第一電極と該第二電極との間に印加して該圧電体を変形させる電気機械変換素子において、前記圧電体は、(100)面及び/又は(001)面に優先配向されたペロブスカイト型構造を有する複合酸化物で構成され、X線回折のθ-2θ法による測定で得られた回折強度のピークのうち(200)面に対応する回折強度のピークにおいて回折強度が最大となる位置(2θ)で測定される(200)面及び/又は(002)面に対応するロッキングカーブ中に回折強度の落ち込み部分を有することを特徴とする電気機械変換素子を開示している。このような素子は、圧電体における圧電効果による変形(歪変位)を大きくして、駆動対象である変位板をより大きく変位させることが可能となることが確認されている。
また特許文献2には、前記した結晶性状のPZT膜結晶を成膜・製作するための下部電極構成・構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1に開示された結晶性状を有するPZT膜を得るために、成膜手法としてゾルゲル法を採用し、各成膜プロセスの条件を設定し、所望の結晶性状・膜品質を有するPZT膜が得られたことを確認した上で、さらに繰り返し成膜操作を行なうと、得られるPZT膜の結晶性状ならびにその膜品質が、所望の規格を逸脱する不具合が時折生じる、品質ばらつきの問題があった。
【0008】
前記した結晶性状が変動する原因として考えられる現象は、シリコンウェハ上に塗布した前駆体液塗膜に熱を加えて、乾燥・熱分解・結晶化を行う際の加熱・焼成温度に基づく成膜条件の変動、あるいは加熱・焼成プロセスにおける雰囲気制御条件の変動である。
そこで、本発明者は前記した成膜条件、特に温度制御ならびに雰囲気制御に関して厳密に管理する環境を整えることで、前記品質ばらつきを抑制することを行ったが、問題を完全に解消するには到らなかった。
またその過程で、結晶性状の悪いPZT膜中には、良好なPZT膜と比較して鉛元素がより多く含まれている一方で、両者に使用した前駆体液中のPZT組成並びにこれらをシリコンウェハ上に塗布した後のプロセスさらにプロセス雰囲気には相違の無いことを確認した。
【0009】
前記のように同じPZT組成を有する前駆体液を使用し、同じプロセス、同じ雰囲気下にて成膜を行ったにもかかわらず、出来上がったPZT膜中の組成(鉛含有量)が異なる要因を明らかにするために、本発明者は様々な解析を行った。すると、膜中に鉛元素の量が多く、PZT結晶性状の劣ったPZT膜の成膜に使用した前駆体液を結晶化温度まで加熱する熱分析を行うと、分析中の重量減少が、良好なPZT結晶性状を示したPZT膜成膜に使用した前駆体液と比較して少ないことが確認された。
【0010】
前記の熱分析の結果と、結晶性状の悪いPZT膜中には鉛元素の含有量がより多く認められた元素分析結果より、PZT膜品質のばらつき・低下は、膜中に鉛元素が過剰に残留して結晶性状が劣化したために生じること、その要因は、シリコンウェハ上に塗布する前駆体液の品質変動、特に加熱・昇温工程中における重量減少比の変動(減少量の低下)にあることが明らかになった。つまり、シリコンウェハ上に塗布した前駆体液塗膜に熱を加えて、乾燥・熱分解・結晶化を行う際の加熱・焼成中に生じる所謂「鉛抜け」(膜の重量減少を伴う)が少なくなる前駆体液の品質変動が生じたことが、PZT膜の結晶性状ならびに品質ばらつきの原因と認められた。
【0011】
続いて、前記した鉛抜けが減少する結果を導く前駆体液品質の変化について解析を行った。
その解析、特にNMR測定の結果より、前駆体液中の鉛化合物の形態(鉛元素と結合している有機物の種類、鉛化合物の化学組成)が、前駆体液の合成バッチ間にて変動していること、熱分析中の重量減少が比較的少ない前駆体液中の鉛化合物は、良好な結晶性状を示す前駆体液中の鉛化合物とは異なる形態をしていることを見出した。
【0012】
本発明者は、前記の解析結果より、合成した前駆体液のNMR測定を行うことにより、それを用いて成膜したPZT膜の結晶性状を予測すると共に、前駆体液の品質を管理することが可能なことを明らかにした。しかし、実際問題として、前駆体液品質の管理手法として、NMR測定を行うことは、コストの点で到底理に合うものではない。そのため、コスト面でも合理的で、簡便な前駆体液品質の評価手法を確立させる問題が生じた。
【0013】
本発明は、ゾルゲル法にて一般式PbZrXTi(1-X)3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法において、前駆体液の合成バッチ間における前駆体液品質のばらつき、さらにこれを用いて成膜したPZT膜の結晶性状および品質ばらつきを、過剰なコストを掛けることなく抑制し得る、前記前駆体液の品質管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、下記構成1)により解決される。
1)ゾルゲル法にて一般式PbZrXTi(1-X)3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法であって、
前記前駆体液は、鉛の出発材料として酢酸鉛三水和物および共通溶媒として2-メトキシエタノールを使用するものであり、下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度に基づいて前記前駆体液の品質を管理し、
前記下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度が、前記前駆体液の吸光度を測定することによって把握され、
波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示すことを特徴とする前記前駆体液の品質管理方法。
(2) Pb(OOCCH3)2 + 2CH3O-CH2CH2OH → CH3-COO-Pb-OCH2CH2OCH3 + CH3CO-OCH2CH2-OCH3 + H2O
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ゾルゲル法にて一般式PbZrXTi(1-X)3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法において、前駆体液の合成バッチ間における前駆体液品質のばらつき、さらにこれを用いて成膜したPZT膜の結晶性状および品質ばらつきを、過剰なコストを掛けることなく抑制し得る、前記前駆体液の品質管理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の品質管理方法を説明するためのフロー図である。
図2】実施例で作成した液体吐出ヘッドの構成を概略的に示した断面図である。
図3】実施例で作成した液体吐出ヘッドの変位量の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、下記の説明で示される一連の化学反応式を記載する。
【0018】
(1) 酢酸鉛の脱水
Pb(OOCCH3)2・3H2O → Pb(OOCCH3)2 + 3H2O↑
(酢酸鉛三水和物) (酢酸鉛) ((脱離)結晶水)
(2)酢酸鉛酢酸基と2-メトキシエタノール(のアルコール基)との置換反応
Pb(OOCCH3)2 + 2CH3O-CH2CH2OH
(2-メトキシエタノール)
→ CH3-COO-Pb-OCH2CH2OCH3 + CH3CO-OCH2CH2-OCH3 + H2O
(酢酸鉛-2-メトキシエチル) (酢酸-2-メトキシエチル)
(3)ジルコニウムプロポキシドと2-メトキシエタノールとのアルコール交換反応
Zr[O-(CH2)2CH3]4 + 4CH3O-CH2CH2OH
(ジルコニウム n-プロポキシド)
→ Zr [-OCH2CH2OCH3]4 + 4CH3(CH2)2OH
(ジルコニウム2-メトキシエトキシド) (n-プロパノール)
(4)チタニウム i-プロポキシドと2-メトキシエタノールとのアルコール交換反応
Ti[O-(CH2)2CH3]4 + 4CH3O-CH2CH2OH
(チタニウム i-プロポキシド)
→ Zr [-OCH2CH2OCH3]4 + 4(CH3)2CHOH
(チタニウム2-メトキシエトキシド) (i-プロパノール)
(5)酢酸n-プロピルを形成するエステル反応
CH3COOH + CH3(CH2)2OH → CH3COO(CH2)2CH3 + H2O
(酢酸n-プロピル)
(6)酢酸i-プロピルを形成するエステル反応
CH3COOH + CH3(CH2)2OH → CH3COOCH(CH3)2 + H2O
(酢酸i-プロピル)
【0019】
従来のゾルゲル法にてPZT膜を得るのに用いる前駆体液を得るのに公知な手法は、出発材料として酢酸鉛三水和物、ジルコニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、共通溶媒として2-メトキシエタノールを採用する手法である(例えば非特許文献1:M.Sayer, G Yi, M Sedlar “Comparative Sol-Gel Processing of PZT Thin Films”, Integrated Ferroelectrics, 7, 1995, pp.247-258参照)。
前記手法では初めに、酢酸鉛三水和物の結晶粉末を狙いの化学量論比に合わせて秤量、共通溶媒の2-メトキシエタノールに溶解させた上、さらに加熱して結晶水を脱離させた(脱水工程)後、狙いの化学量論比に合わせて秤量したジルコニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシドを加えてさらに所定時間加熱して得た溶液を、室温まで冷却した後に計量し、所望の濃度になるように共通溶媒を追加すると共に、所定の安定剤を加えることによって所望のPZT組成の前駆体液を得る。
【0020】
前記した前駆体液の合成プロセスにおいて、前半の脱水工程では、酢酸鉛三水和物の結晶水を脱離させて共通溶媒とともに反応系外に取り出す(化学反応式(1))「脱水」とともに、化学反応式(2)に示す、鉛元素と結合した2つの酢酸基の一つが溶媒の2-メトキシエタノールのアルコール基と入れ替わると同時に、鉛元素から離れた酢酸基が2-メトキシエタノールとエステル反応を生じている(非特許文献2:Sangeeta D. Ramamurithi and David A.Payne “Structural Investigations of Prehydrolyzed Precursors Used in the Sol-Gel Processing of Lead Titanate”, J.Am.Ceram.Soc., 73(8), 1990, pp.2547-51参照)。
【0021】
また、ジルコニウムプロポキシド、チタニウムイソプロポキシドを加えた前駆体液合成反応の後半では、もともとジルコニウム並びにチタンと結合していた(低級)アルコール基が、(より沸点が高い)溶媒の2-メトキシエタノールのアルコール基と入れ替わり(いわゆる「アルコール交換反応」)、それらジルコニウム並びにチタンから離れた低級アルコールを共通溶媒とともに反応系外に取り出すとともに、ジルコニウム並びにチタンから離れた低級アルコールと鉛元素から離れた酢酸基との間でエステル反応が生じている(化学反応式(3)~(6))。
【0022】
前記した前駆体液の合成プロセスを管理する手法については、反応中の溶液温度と反応時間、そして反応中に反応系外に排出される留出物の量を基準にプロセス管理を行うのが通例であり、従来技術では、前記化学反応式(1)~(6)に示した反応が、投入した出発材料それぞれに対して、どの程度の割合で進んでいるかを厳密に管理してはいない。
そのため、前駆体液の合成バッチ間で前記化学反応式(1)~(6)に示した反応の進捗度合いにばらつきが生じて前駆体液の品質にばらつきが生じることとなり、結果、そのような前駆体液を使用して得られるPZT膜の結晶性状および品質にもばらつきが生じる問題があった。
【0023】
本発明の方法では、前駆体液の合成プロセス中に生じている前記化学反応式(1)~(6)に示した反応の進捗度合いについて、簡便な手法にて適切に管理を行っているので、前駆体液の合成バッチ間における前駆体液品質のばらつき、さらにこれを用いて成膜したPZT膜の結晶性状・品質ばらつきを抑えることを、過剰なコストを掛けることなく実現できる。
【0024】
本発明者は、前記したPZT膜の成膜に用いる前駆体液の合成プロセスについて、出来上がった前駆体液を多数の合成バッチに対して詳細な解析を行った結果、前記化学反応式(1)~(6)に示した反応の進捗度合い、特に化学反応式(2)に示す、鉛元素と結合した2つの酢酸基の一つが溶媒の2-メトキシエタノールのアルコール基と入れ替わる反応の進捗度合いが合成バッチ間で比較的大きく変動していることがNMR測定の結果、明らかになった。
そして、化学反応式(2)の進捗度合いが低いと認められる前駆体液中には、酢酸鉛の形態で残留する鉛元素の比率が比較的高いこと、残留酢酸鉛の多い前駆体液を熱分析に掛けると、分析中の重量減少比が小さいこと、さらにこのような前駆体液を使用して成膜したPZT膜中には、鉛元素が過剰に残留し、その結晶性状・膜特性は狙いより劣ることが確認された。
【0025】
前記した残留酢酸鉛の多い前駆体液を熱分析に掛けると分析中の重量減少比が小さく、またこれを使用して成膜したPZT膜中に鉛元素が過剰に残留する理由は、一つの鉛元素に二つの酢酸基が結合した酢酸鉛と、2つの酢酸基の一つが溶媒の2-メトキシエタノールのアルコール基と入れ替わった鉛化合物とを比較すると、酢酸鉛の方が一つの鉛元素に結合している炭化水素基(-CHx-)の数が少ない。そのため、これらが(熱分析あるいは成膜プロセス時に)加熱・分解する際に生じる分解熱量は、酢酸鉛の方が少ない。
【0026】
従って、残留酢酸鉛の多い前駆体液を熱分解する際には、鉛元素周囲に生じる(分解)熱エネルギーが比較的少なくなる為、熱分解プロセス中に、前記熱エネルギーを得て空気中に揮発する鉛元素の量が少なくなり、結果、これを使用して成膜したPZT膜中には、鉛元素が過剰に残留する(重量減少比が小さい)。
【0027】
そのため、良好な結晶性状と膜品質を有するPZT膜を繰り返し再現性良く製造するには、使用する前駆体液の品質、特に化学反応式(2)の進捗度合いを適切に管理すればよいこと、そして化学反応式(2)の進捗度合いは、前駆体液中に残留する酢酸鉛の量を管理すればよいこと、前駆体液中の残留する酢酸鉛の測定については、NMR測定が好適であることが確認された。
しかし、繰り返し数多く合成・製造する前駆体液の品質管理手法としてNMR測定を採用することは、装置コストおよび運用コストの面で合理的ではない。また、熱分析を採用する場合は、合成した前駆体液を予め1週間程度以上の時間を掛けてゲル化する前処理が必要となるため、製造品質管理手法として相応しいとはいえない。
【0028】
そこで、それまで実施した前駆体液の各種分析結果を詳細に解析した結果、本発明者は、化学反応式(2)の進捗度合いと出来上がった前駆体液の色味(分光分析結果)の間に相関があること、またこの色味とPZT膜に要求される品質との間にも相関関係があることを見出した。
そして、前駆体液の分光分析結果とPZT膜に要求される品質との間の相関関係から、前駆体液のあるべき分光分析結果の範囲を設定した。その結果、特別な前処理の必要なく、妥当な分析装置コストおよび運用コストにて、適切な前駆体液の品質管理をすることが可能になり、その結果、規定された結晶性状を有し、良好な膜品質のPZT膜の製造を繰り返し再現性良くできる。
【0029】
前記知見から、本発明は、ゾルゲル法にて一般式PbZrXTi(1-X)3 (0.40<x≦0.60)で表されるペロブスカイト型結晶の強誘電体薄膜を下部電極が成膜された基板上に成膜するために使用する前駆体液の品質管理方法であって、前記前駆体液は、鉛の出発材料として酢酸鉛三水和物および共通溶媒として2-メトキシエタノールを使用するものであり、下記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度に基づいて前記前駆体液の品質を管理することを特徴とする前記前駆体液の品質管理方法を提供するものである。
(2) Pb(OOCCH3)2 +2CH3O-CH2CH2OH → CH3-COO-Pb-OCH2CH2OCH3 + CH3CO-OCH2CH2-OCH3 +H2O
【0030】
図1は、本発明の品質管理方法を説明するためのフロー図である。
まず、酢酸鉛三水和物の結晶粉末を狙いの化学量論比に合わせて秤量し、共通溶媒の2-メトキシエタノールを加え、酢酸鉛三水和物を溶解させる(S1)。
【0031】
次いで、得られた溶液に対し、反応雰囲気、溶液温度(例えば125℃~135℃)および反応時間(例えば8時間~24時間)を制御しながら、加熱し、結晶水を脱離させ、酢酸鉛三水和物を脱水すると同時に、酢酸鉛酢酸基と2-メトキシエタノール(のアルコール基)との置換反応を行う(S2)。このとき、溶液を還流させ、留出物(溶媒、結晶水、エステル)を回収する。
【0032】
次に、狙いの化学量論比に合わせてジルコニウムプロポキシドおよびチタニウムイソプロポキシドを秤量し、前記溶液に投入する(S3)。
【0033】
続いて、反応雰囲気、溶液温度(例えば125℃~132℃)および反応時間(例えば6時間~16時間)を制御しながら、加熱し、ジルコニウムプロポキシドと2-メトキシエタノールとのアルコール交換反応およびチタニウム i-プロポキシドと2-メトキシエタノールとのアルコール交換反応を行う(S4)。このとき、溶液を還流させ、留出物(溶媒、結晶水、エステル)を回収する。
【0034】
次に、2-メトキシエタノールと安定剤として酢酸を投入し、所望のPZT組成の前駆体液を得る(S5)。得られた前駆体液は、必要に応じてフィルタリング、封入を行う。
【0035】
得られた前駆体液は、合成バッチ間で淡黄色~褐色の異なる色味を示す。前記した色味の違いについて、可視~紫外領域の分光分析を行うと、特異な吸収ピークの存在は認められないが、前駆体液の色味が濃くなるほど、全波長領域で吸光度が増加する。また、前駆体液のゲル化サンプルを、PZT膜を成膜する工程における結晶化温度に相当する750℃まで毎分10℃の昇温速度で加熱する熱分析を行うと、分析時の初期重量に対する重量減少比が合成バッチ間で異なる。前記した合成バッチ間で異なる性質を有する前駆体液をそれぞれ使用して成膜したPZT膜の結晶性状、さらに得られたPZT膜を加工して製作した圧電アクチュエータの性能(PZT膜品質)についても、使用した前駆体液の合成バッチ間で異なる。具体的には、熱分析時の重量減少比が大きい前駆体液ほど、その色味が濃色系となり、また成膜したPZT膜の結晶性状さらにはPZT膜品質が良好となる。前記した合成バッチ間における前駆体液の熱分析時における重量減少比ならびに色味の変動について詳細な解析を行った結果、前駆体液に含まれる鉛化合物中の酢酸鉛-2-メトキシエチルの割合が大きいほど、熱分析時の重量減少比が大きく、その色味が濃色系となり、また成膜したPZT膜の結晶性状さらにはPZT膜品質が良好となる。具体的には、前駆体液に含まれる鉛化合物中の酢酸鉛-2-メトキシエチルの比率が95モル%以上となると、それを使用して成膜したPZT膜のX線回折強度プロファイルが、特許文献1(特開2017-157773号公報)にて規定した性状を示すとともに、好ましいアクチュエータ性能を出現する。しかし、前記した前駆体液中の鉛化合物の形態をNMR分析によって調べようとすると、必要な分析装置コスト、ならびにその運用コストが極端に上がってしまう。そこで、本発明では、前記化学反応式(2)に示す鉛元素と結合する酢酸基と、2-メトキシエタノールのアルコール基との置換反応の進捗度に基づいて、好適には前駆体液の吸光度を測定することによって前記進捗度を求め、前駆体液の品質を管理する(S6)。本発明者は、前記進捗度と前駆体液の分光特性(吸光度)とが、PZT膜の結晶性状および最終的なアクチュエータ性能との相関関係を有することを見い出している。また、前記吸光度は、波長λ=400nmで測定し、測定された吸光度が10%を超える場合に、前駆体液に含まれる鉛化合物中の酢酸鉛-2-メトキシエチルの比率が高くなり(好適には95モル%以上)、成膜したPZT膜の結晶性状さらにはPZT膜品質が良好となる。なお、前駆体液の品質管理方法として前駆体液(ゲル化サンプル)の熱分析時における重量減少比を採用すると、分析を行うのに必要な前処理(前駆体液のゲル化)に数日から一週間程度の時間が必要となるとともに、前処理状態のばらつきにより、分析結果の測定ばらつき(誤差)が生じてしまう。一方、前記の吸光度の測定は、前駆体液に対する前処理が不要であり、前駆体液の合成バッチ間における前駆体液品質のばらつき、さらにこれを用いて成膜したPZT膜の結晶性状および品質ばらつきを、過剰なコストを掛けることなく抑制し得る方法と言える。
【実施例
【0036】
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0037】
実施例
図1に示すフロー図に基づき、前駆体液を調製した。工程S2における条件(前記脱水工程中の溶液温度、反応時間等)を様々に変更して色味の異なる前駆体液を合成し、日立ハイテクノロジー製分光光度計U-3900Hにて紫外~可視光領域における吸光スペクトルを測定するとともに、それらを使用してPZT膜を成膜し、その結晶性状をBRUCKER製X線回折装置D8 DISCOVERにて測定した。
【0038】
本実施例におけるPZT膜の成膜方法および成膜されたPZT膜を用いた液体吐出ヘッドの作成方法を以下に示す。
本実施例においては、図2に示すように、シリコン単結晶基板からなる基板401の表面に熱酸化膜を形成した後、CVDにより積層型の振動板401を形成する。詳しくは、シリコンウェハに熱酸化膜(膜厚600[nm])を形成し、その上にLPCVD法により積層型の振動板402を作製する。積層型の振動板402は、膜厚200[nm]のポリシリコン膜を成膜した後、膜厚100[nm]のシリコン酸化膜を成膜し、次にLPCVD法で膜厚150[nm]のシリコン窒化膜を成膜し、さらに、膜厚150[nm]のシリコン酸化膜を成膜し、膜厚150[nm]のシリコン窒化膜、膜厚100[nm]のシリコン酸化膜、膜厚200[nm]のポリシリコン膜を順次成膜し、最後に膜厚600[nm]のシリコン酸化膜を形成して得られる。
【0039】
次に、PZT膜412の下地膜を形成する。まず、上述した振動板401の上に密着層405を成膜する。密着層405の形成方法は、スパッタ法でTiの金属膜を形成後、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置により、酸素雰囲気中で酸化処理してTiO膜を生成し、これを密着層405とする。Ti金属膜成膜装置は、アルバック社製スパッタリング装置SME-200Eを用いた。密着層405の形成は、基板温度150[℃]、DC投入パワー300[W]、Arガス圧0.14[Pa]で、膜厚が50[nm]であるTi金属膜を形成し、これに対して、730[℃](昇温速度30[℃/秒])、酸素流量1[sccm]、酸素100%の雰囲気で、3分間熱酸化焼成する。これにより、膜厚が83~86[nm]である密着層405を得た。
【0040】
次に、白金からなる下部電極411を160[nm]の膜厚で形成する。成膜前のプロセス室及び搬送室の真空度は1.0×10-5[Pa]とした。プロセス条件は、基板温度400[℃]、RF投入パワー500[W]、Arガス圧0.16[Pa]とした。これにより、(111)面が膜厚方向に配向している下部電極411が得られた。下部電極411の成膜後の表面粗さは、二乗平均平方根高さSqで2.6[nm]であった。
【0041】
次に、下部電極411上に、膜厚が5[nm]の配向性制御層414を形成した。形成条件は、基板温度150[℃]、DC投入パワー300[W]、スパッタガスとしてのArガスのガス圧を0.14[Pa]とした。この際、スパッタ前のプロセス室及び搬送室の真空度は1.0×10-5[Pa]とした。スパッタ法でTi金属膜を形成した後、RTA装置により、酸素雰囲気中で酸化処理し、TiO膜形成し、これを配向性制御層414とした。
【0042】
次に、配向性制御層414の上に、PZT膜412を形成した。本実施例の圧電体材料は、最も一般的なPZT(焼成後にZr/Ti=52/48となる組成、Pb過剰量は15[atomic%])の原材料を選択した。PZTを構成する金属元素Pb、Zr、Tiを成分とするアルコキシドを出発原料とした。なお、アルコキシドとしてはメトキシエトキシドを用いた。この出発材料を用いたゾルゲル液を配向性制御層414上にスピンコートにより1層目の塗布を行い、固化焼成する。固化焼成の条件は、ホットプレート、RTA装置を使用し、温度350~500[℃]で5分間、酸素雰囲気中で焼成した(1段階目の焼成)。この固化焼成の目的は、出発材料中の有機性成分の放出にある。
【0043】
続いて、2層目、3層目も同様にして塗布、固化焼成した後、結晶化のための焼成として670~750[℃]で3分間、N:O=4:3の組成のガス・フローで焼成した(2段階目の焼成)。このようにして3層(M=3)を積層した後の膜厚は250[nm]であった。この3層の積層手順を繰り返し、合計で8層(M=8)を形成し、総膜厚2[μm]のPZT膜412を形成した。
【0044】
PZT膜412の作製後、このPZT膜412の結晶性の評価を行うため、前記のX線回折装置により測定を行った。
【0045】
次に、前記PZT膜412上に、導電性酸化物層415として膜厚40[nm]のSrRuO膜を成膜し、その上に上部電極413を形成した。上部電極413の作製条件は、基板温度300[℃]で、膜厚100~150[nm]の白金膜を形成する。プロセス条件は、RF投入パワー500[W]、Arガス圧0.5[Pa]である。そして、フォトリソグラフィー技術を用いて感光性レジストパターンを形成し、その後に塩素系のエッチングガスによってエッチングして上部電極413を形成した。
【0046】
その後、強誘電体パターン及び上部電極パターンより広いパターンとして、下部電極411のフォトリソ・パターニングを感光性レジストで実施し、PZT膜412のパターニング及び上部電極413のパターニングと同様に、下地膜のパターニングを行った。
【0047】
各電極パターンの形成後、保護層406としてALD(Atomic Layer Deposition)法によりAl膜を60nmの厚みで形成した。これにより、振動板402上に、下部電極411、PZT膜412、上部電極413を有する電気機械変換素子を作製した。なお、電気機械変換素子の構造としては、さらに、コンタクトホールを介して下部電極411や上部電極413に電気的に接続される配線電極パターン、素子駆動用の電源ラインの引き出しパターンなどが形成される。
【0048】
次に、このようにして作製された電気機械変換素子とは振動板402を介して反対側に、加圧液室404を形成するための加工を行った。この加工では、まず、感光性レジストを用いて基板401の当該反対側をパターン形成し、エッチングを行って加圧液室404となるキャビティーを形成した。このとき、振動板402におけるSiO膜がエッチングストップ層となる。続いて、加工した基板401にサブフレーム(保持基板)を接合した後、基板401の電気機械変換素子側を同様に感光性レジストを用いてマスク層を作製し、その後、ICP(Inductively Coupled Plasma)により加工した。ICP加工後、感光性レジストにより形成したマスク層は除去した。その後、加圧液室404の電気期間変換素子とは反対側に、各加圧液室404に対応したノズル403aが形成されたSUS316(板厚50μm)からなるノズル板403を、エポキシ樹脂により接合して、液体吐出ヘッドを作製した。加圧液室404は、基板401によって形成される隔壁部401aと、振動板402と、ノズル板403とで囲まれるように形成され、ノズル板403のノズル403aに連通している。
【0049】
本実施例における液体吐出ヘッドにおいて、電気機械変換素子のピッチは85[μm]であり、電気機械変換素子の圧電体幅(PZT膜412のノズル配列方向長さ:図1中左右方向の長さ)は46[μm]であり、圧電体長(PZT膜412のノズル配列方向に対して直交する方向の長さ:図1中前後方向の長さ)は750[μm]であり、圧電体厚み(PZT膜412の膜厚)は2[μm]である。また、加圧液室404は、幅(加圧液室404のノズル配列方向長さ:図1中左右方向の長さ)が60[μm]、長さ(加圧液室404のノズル配列方向に対して直交する方向の長さ:図1中前後方向の長さ)が800[μm]、深さが55[μm]である。
【0050】
その後、電気機械変換素子は、下部電極411側を負の電位又はアースとし、上部電極413側を正の電位となるように、40[V]の印加電圧にて分極処理(0Vから3分間でゆっくり電圧を上げ、1分間保持した後、3分間で0Vまでゆっくり電圧を下げる。)を行った。
【0051】
このようにして得た電気機械変換素子に対し、印加周期が100kHzである0~30V(上部電極が正の電位)の三角波形状の駆動電圧を印加し、その素子中央部の変位量をレーザー干渉計(2点間の距離を出力する)により測定した。測定ポイントは素子部の中央としている。
【0052】
BRUCKER製X線回折装置により結晶性状を調べた結果、良好なアクチュエータ機能を出現するPZT膜の結晶性状として規定された特許文献1に記載の結晶性状、すなわち「(100)面及び/又は(001)面に優先配向されたペロブスカイト型構造を有する複合酸化物で構成され、X線回折のθ-2θ法による測定で得られた回折強度のピークのうち(200)面に対応する回折強度のピークにおいて回折強度が最大となる位置(2θ)で測定される(200)面及び/又は(002)面に対応するロッキングカーブ中に回折強度の落ち込み部分を有する」ことを満たしたのは、波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示す前駆体液を使用して成膜したPZT膜であった。
【0053】
前記結果より、前駆体液に要求される品質は、波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示すことにより満たされることが判明し、このような吸光度の測定により、前駆体液の品質管理が可能であることが示された。
なお、波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示す前駆体液中の鉛化合物について、日本電子製ECA400型装置にて鉛核磁気共鳴分析を行い、また、AL400型装置にて水素並びに炭素核磁気共鳴分析を行った結果、前駆体液に含まれる鉛化合物中の95モル%以上が、酢酸鉛-2-メトキシエチルであった。
【0054】
また、前記液体吐出ヘッドにおける素子中央部の変位量の測定結果を図3に示す。この液体吐出ヘッドに要求されていた性能は、0.295μm以上の変位量である。この要求性能は、図3に示すように、波長λ=400nmの測定において10%を超える吸光度を示す前駆体液を用いた場合に満たされることが判明した。したがって、前記吸光度の測定により、前駆体液の品質管理が可能であることが示された。
【符号の説明】
【0055】
401 基板
401a 隔壁部
402 振動板
403a ノズル
403 ノズル板
404 加圧液室
405 密着層
406 保護層
411 下部電極
412 PZT膜
413 上部電極
414 配向性制御層
415 導電性酸化物層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【文献】特開2017-157773号公報
【文献】特許第6156068号公報
図1
図2
図3