(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220705BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220705BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H04N1/00 838
G03G21/16 104
G03G15/00 107
H04N1/00 519
H04N1/00 567L
(21)【出願番号】P 2018144162
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅裕
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292619(JP,A)
【文献】特開2010-232864(JP,A)
【文献】特開2009-296448(JP,A)
【文献】特開2006-108796(JP,A)
【文献】特開2000-233547(JP,A)
【文献】特開平07-226826(JP,A)
【文献】特開2001-094735(JP,A)
【文献】特開2006-323224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を介して搬送される原稿を読み取り画像データを生成し、前記画像データに基づきシートに画像を形成する画像形成装置であって、
搬送路を介して読み取られて搬送された前記原稿を装置内部に収納可能な収納部
と、
読み取られた前記原稿が装置外部に露出した状態で排出される原稿排出部と、を備え、
前記収納部は前記原稿が収納される収納位置と、前記原稿を前記収納部から取り出し可能な取り出し位置との間で移動が可能であり、
前記収納部が移動する方向は、前記原稿排出部へ前記原稿が排出される方向と同じであり、かつ、前記画像形成装置の前後方向と同じである画像形成装置。
【請求項2】
読み取られた前記原稿を排出する原稿排出口を有し、
前記収納部は前記原稿排出口が臨む空間を有する請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
読み取られた前記原稿を前記収納部と前記原稿排出部のいずれに排出するかを切り替える切替部を有する請求項
1の画像形成装置。
【請求項4】
読み取られた前記原稿に関する情報である原稿情報に応じて前記切替部を制御して、
前記原稿の排出先を切り替える請求項
3の画像形成装置。
【請求項5】
前記収納部を前記取り出し位置へ移動できないように施錠する施錠部を有する請求項
1の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置への操作入力を受け付ける操作部を有し、
前記操作部への操作入力に基づき前記施錠部の施錠・開錠を行う請求項
5の画像形成装
置。
【請求項7】
前記操作部への操作入力を行ったユーザが開錠する権限を有している場合に開錠可能
な請求項
6の画像形成装置。
【請求項8】
搬送される原稿を読み取り画像データを生成する搬送読取部を備え、
前記収納部は前記搬送読取部の下に位置し、前記画像形成装置の幅方向に重なっている請
求項
1ないし7いずれかの画像形成装置。
【請求項9】
前記収納部を複数有し、複数の前記収納部は前記搬送読取部の下に位置し、前記画像形
成装置の高さ方向に重なっている請求項
8の画像形成装置。
【請求項10】
前記搬送読取部は、前記原稿の両面を一度の搬送で読取可能な請求項
8または
9の画像形成装置。
【請求項11】
置かれた原稿を読み取る積置原稿読取部を有し、
前記搬送読取部と前記積置原稿読取部とが高さ方向で重なるように並列に配置されている請求項
8ないし
10いずれかの画像形成装置。
【請求項12】
前記搬送読取部は支持軸を中心に回動して開閉可能であり、
前記支持軸は前記画像形成装置の端部に設けられ、
前記支持軸の軸線は前記画像形成装置の奥行き方向である請求項
8ないし
11いずれかの画像形成装置。
【請求項13】
前記搬送読取
部は支持軸を中心に回動して開閉可能であり、
前記支持軸は前記画像形成装置の中央部に設けられ、
前記支持軸の軸線は前記画像形成装置の奥行き方向である請求項
8ないし
11いずれかの画像形成装置。
【請求項14】
搬送される前記原稿の搬送方向である原稿搬送方向と、画像が形成されるシートが搬送
されるシート搬送方向とが直交する請求項
1ないし
13いずれか
の画像形成装置。
【請求項15】
搬送路を介して搬送される原稿を読み取り画像データを生成する搬送読取部と、
搬送路を介して読み取られて搬送された前記原稿を装置内部に収納可能な収納部
と、
読み取られた前記原稿が装置外部に露出した状態で排出される原稿排出部と、を備え、
前記収納部は前記原稿が収納される収納位置と、前記原稿を前記収納部から取り出し可
能な取り出し位置との間で移動が可能であり、
前記収納部が移動する方向は、前記原稿排出部へ前記原稿が排出される方向と同じであり、かつ、前記搬送読取部及び前記収納部を有する読取装置の前後方向と同じである読取装置。
【請求項16】
搬送路を介して搬送される原稿を読み取り画像データを生成し、前記画像データに基づきシートに画像を形成する画像形成装置であって、
搬送路を介して読み取られて搬送された前記原稿を装置内部に収納可能な収納部と、
搬送される原稿を読み取り画像データを生成する搬送読取部と、を備え、
前記収納部は前記搬送読取部の下に位置し、前記画像形成装置の幅方向に重なっている画像形成装置。
【請求項17】
搬送路を介して搬送される原稿を読み取り画像データを生成し、前記画像データに基づきシートに画像を形成する画像形成装置であって、
搬送路を介して読み取られて搬送された前記原稿を装置内部に収納可能な収納部と、
を備え、
搬送される前記原稿の搬送方向である原稿搬送方向と、画像が形成されるシートが搬送
されるシート搬送方向とが直交する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み取り部に搬送し、読み取り後の原稿を排紙部に排紙する原稿自動読取装置(Auto Document Feeder:ADF)が知られている。
【0003】
特許文献1には、読み取り後の原稿を異なるソータビンに仕分けする仕分け装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、読み取り後の原稿のセキュリティを確保する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、搬送路を介して搬送される原稿を読み取り画像データを生成し、前記画像データに基づきシートに画像を形成する画像形成装置であって、搬送路を介して読み取られて搬送された前記原稿を装置内部に収納可能な収納部と、読み取られた前記原稿が装置外部に露出した状態で排出される原稿排出部、を備え、前記収納部は前記原稿が収納される収納位置と、前記原稿を前記収納部から取り出し可能な取り出し位置との間で移動が可能であり、前記収納部が移動する方向は、前記原稿排出部へ前記原稿が排出される方向と同じであり、かつ、前記画像形成装置の前後方向と同じ画像形成装置である。
以上
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、読み取り後の原稿のセキュリティを確保する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態である画像形成装置の上面図および第一の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態である画像形成装置の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態である画像形成装置の内部構成を示す正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態である画像形成装置の使用状況を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態である画像形成装置の使用状況の変形例を示す正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態である画像形成装置の第一の断面拡大図ある。
【
図8】本発明の一実施形態である施錠部の第一の動作例の説明図である。
【
図9】本発明の一実施形態である施錠部の第二の動作例の説明図である。
【
図10】本発明の一実施形態である施錠部の第三の動作例の説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態である画像形成装置の第二の正面図である。
【
図12】本発明の一実施形態である画像形成装置の第二の断面拡大図ある。
【
図13】本発明の一実施形態である画像形成装置の第三の正面図である。
【
図14】本発明の一実施形態である画像形成装置の第三の断面拡大図ある。
【
図15】本発明の一実施形態である画像形成装置の機能ブロック図である。
【
図17】切替排出処理の第一の例を示すフローチャートである。
【
図19】収納部切替排出処理例のフローチャートである。
【
図20】切替排出処理の第二の例を示すフローチャートである。
【
図21】開錠処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の斜視図である。
【0010】
画像形成装置1は、原稿の画像を読取るスキャナ2と、原稿を搬送して搬送された原稿の画像を読み取る搬送読取部の一例としての自動原稿搬送部3と、画像形成装置1への操作入力を受け付ける操作部4と、画像形成されたシートが排紙される排紙部5と、読み取り後の原稿を画像形成装置1内部に収納する収納部6A、6Bと、シートに画像を形成する画像形成部7と、画像形成部7にて生じたシートのジャムを処理するためのジャム処理部8と、各々画像形成部7に搬送されるシートを積載するシートトレイ9A、9B、9Cと、画像形成装置1の下部に形成される開口部10と、画像形成装置1に用いられる電装部品を収納する電装収納部11、画像形成装置1の内部構成を覆う筐体12を有する。また画像形成装置1は、画像形成装置1を利用するユーザが登録されたユーザ認証用カードを読み取るカードリーダRを装置前面に有している。
【0011】
なお、以降各図の画像形成装置1の正面でユーザが操作を行う。そして、ユーザが画像形成装置1を操作する際にユーザが対向する画像形成装置1の面を画像形成装置1の前面と呼ぶ。また
図1に示されるX軸方向は画像形成装置1の幅方向であり、Y軸方向は画像形成装置1の高さ方向であり、Z軸方向は画像形成装置1の奥行き方向である。
【0012】
排紙部5は上部を画像形成装置1の一部、一例として
図1中はスキャナ2で上部を覆われている。また排紙部5は、画像形成装置1の幅方向の寸法内に設けられることにより、画像形成装置1の幅方向の省スペース化を実現できる。
【0013】
収納部6A、6Bは、収納部6A、6Bを引き出すための取っ手61A,61Bを有する。ユーザは、画像形成装置1内部に収容された状態から、取っ手61A、61Bを画像形成装置1の前面方向に引っ張ることで、収納部6A、6Bを画像形成装置1内部から少なくともその一部を引き出すことができる。収納部6A、6Bの内部空間は、前後方向(Z軸方向)、上下方向(Y軸方向)および左右方向(X軸方向)が各々画像形成装置1の筐体12等によって覆われている。収納部6A、6Bはそれぞれ、読み取り後の原稿を持ち出したり、読み取り後の原稿の内容を見たりできないようにその内部に原稿を保持可能である。収納部6A、6Bから内部の原稿を取り出す場合は、画像形成装置1から引き出すことで取り出せる。その他、一部に開閉可能な取り出し口を設け、そこを開けることで取り出せるようにしてもよいがこれらに限られない。収納部6A、6Bは、また、それぞれ自動原稿搬送部3より下側に位置し、画像形成装置1の幅方向(X軸方向)で重なっている。
【0014】
シートトレイ9A、9B、9Cは、シートトレイ9A、9B、9Cを引き出すための取っ手90A、90B、90Cを有する。ユーザは、画像形成装置1内部に収容された状態から、取っ手90A、90B、90Cを画像形成装置1の前面方向に引っ張ることで、シートトレイ9A、9B、9Cを画像形成装置1内部から少なくともその一部を引き出すことができる。
【0015】
開口部10は、開口部10の上端である開口部上端101を有する。また
図1において開口部は下向きに開放されていて、車椅子ユーザが画像形成装置1の下部にぶつかることなく画像形成装置1に近づいて操作が出来る。なお開口部10は、
図1においては一例として筐体12の一部として設けられており、開口部上端101は筐体12の一部とも言える。
【0016】
電装収納部11は、画像形成装置1の画像形成動作を制御するコントローラや電源等を有する電装基板などに代表される電装部品を収納する。
【0017】
筐体12は、画像形成装置1のその他の部材を覆う前面、側面、背面を有しており、画像形成装置1の奥行き、幅は、
図1においては一例として筐体12の奥行き(前面と背面の間の距離)、幅(両側面間の距離)によって定められる。また収納部6やシートトレイ9A、9B、9C等を保持することも可能である。
【0018】
ここで複数のシートトレイ9A、9B、9Cと開口部10との位置関係について述べる。シートトレイ9A、9B、9Cの底部をそれぞれ底部91A、底部91B、底部91Cとすると、底部91A、底部91B、底部91Cの中で底部91Cが最も低い。開口部10の上端は、三つのシートトレイ9A、9B、9Cのうち最も底部が低いシートトレイであるシートトレイ9Cの底部91Cよりも下に位置している。このような構成を有することにより、ユーザにとって操作しやすい画像形成装置を提供できる。一例として最も低いシートトレイの操作性が良くなる。また開口部10は画像形成装置1の前面に開口しているため、車椅子等のユーザは開口部10に足置き部分を入れて装置に近づいた状態でシートトレイ9C等を引き出す等の操作を行うことができ、操作性が良い。
【0019】
ここで複数のシートトレイ9A、9B、9Cの位置関係について述べる。複数のシートトレイのうち底部が最も低いシートトレイである第一のシートトレイとしてのシートトレイ9Cと、第二のシートトレイとしてのシートトレイ9Aとは、画像形成装置1の幅方向、つまり
図1中のX軸方向に並列に配置されている。このような構成を有することにより、最も低いシートトレイの操作性を良くしつつ、複数のシートトレイの容量を確保できる。複数のシートトレイが並列に配置されている場合、各シートトレイが、画像形成装置1の高さ方向、つまり
図1中のY軸方向で重なる部分があっても無くてもよい。一例として、シートトレイ9Aとシートトレイ9Cは画像形成装置1の高さ方向で重なる部分がなくて並列に配置されている。
【0020】
ここで複数のシートトレイ9A、9B、9Cと開口部10との位置関係についてさらに述べる。複数のシートトレイのうち底部が最も低いシートトレイである第一のシートトレイとしてのシートトレイ9Cと、第二のシートトレイとしてのシートトレイ9Aは並列に配置されており、開口部10は、第一のシートトレイであるシートトレイ9Cと第二のシートトレイであるシートトレイ9Aの少なくとも一方の下に位置する。また、開口部10は、シートトレイ9Cおよびシートトレイ9Aの下に位置する。
【0021】
さらに、開口部10は、シートトレイ9Cとシートトレイ9Aの間の部分の下に位置する。
すなわち、開口部10は、シートトレイ9Cの直下からシートトレイ9Aの直下まで連続的に形成されている。このような構成により、車椅子ユーザ等が開口部10に足置き部分を入れて、第一のシートトレイ、第二のシートトレイいずれも操作しやすい。
【0022】
ここで、画像形成装置1の前面の構成について述べる。
図1においては一例として、シートトレイ9A、9B、9Cが画像形成装置1の内部に収容された状態での各シートトレイの前面と、筐体12の前面が略同一平面である。すなわち、筐体12の開口部10を形成する部分とシートトレイ9A、9B、9Cが画像形成装置1の内部に収容された状態での各シートトレイの前面とも略同一平面となっている。
【0023】
なお、複数のシートトレイのうち底部が最も低いシートトレイである第一のシートトレイとしてのシートトレイ9Cと、シートトレイ9Cと並列に配置された第二のシートトレイとしてのシートトレイ9Aとで、収容可能なシートの最大収容サイズを互いに異ならせてもよい。また、収容可能なシートの最大収容枚数を互いに異ならせてもよい。シートの収容サイズが異なる、つまり装置の左右方向に幅の異なるシートトレイを、または最大収容枚数が異なる、つまり装置の高さ方向に幅の異なるシートトレイを、他部材との関係で適宜配置することで画像形成装置1のレイアウトの自由度が上がる。一例として各シートトレイの最大サイズ/最大収容枚数は、シートトレイ9Aがリーガル/500、シートトレイ9BがA4/100、シートトレイ9CがA4/250である。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態である画像形成装置の上面図および正面図である。
図2(a)は、画像形成装置1の上面図である。
図2(a)において、Wは画像形成装置1の幅方向のサイズを表し、一例としては筐体12の両側面間の距離である。Dは画像形成装置1の奥行方向のサイズを表し、一例としては筐体12の前面と背面間の距離である。自動原稿搬送部3は、原稿が積載される原稿積載部31と、搬送された原稿が排紙される原稿排出部32を有する。原稿排出部32は、原稿排出部32に排出された原稿が、画像形成装置1の外部に露出するように構成される。
【0025】
矢印Pはシートが画像形成される際に搬送され、また画像形成されたシートが排紙される方向を表し、矢印dは自動原稿搬送部3における原稿が搬送される方向を表し、矢印P
と矢印dは直交している。すなわち、自動原稿搬送部3によって搬送される原稿の原稿搬送方向と、画像が形成されるシートが搬送されるシート搬送方向とが直交している。このような構成により、例えば長尺のシートをコピーする場合に画像形成装置の幅が大きくなることを抑制できる。
【0026】
Dは一例として450mm以下である。Wは一例として900mm以下である。このようにオフィス家具、一例として書類等を収納するキャビネット等の大きさを基準として幅を決めることで、画像形成装置1をオフィスに設置した際に画像形成装置1が元々あった通路に出っ張ることがない。例えば車椅子ユーザの通路を確保しやすい。
【0027】
【0028】
図2(b)において、W
10は開口部10の幅方向のサイズを表している。画像形成装置1は、底部に底板13を有する。また底板13は、開口部10の底部として構成され、底板13の画像形成装置1前面側端部は開口部10下端である開口部下端102として構成される。また画像形成装置1は、シートトレイ9A、9B、9Cに収納されたシートを画像形成部7および排紙部5に搬送するシート搬送部である搬送路70を内部に有する。シートトレイ9A、9B、9Cに収納されたシートは、搬送路70を搬送され、画像形成部7を下方から上方を通過する際に画像が形成される。
【0029】
積置原稿読取部の一例としてのスキャナ部2は、原稿を押圧する圧板2Aと、読み取り原稿が載置される読取部2Bと、読取部2Bに積置された原稿の画像を読取るスキャナ本体2Cを有する。排紙部5は、画像形成されたシートが積置されるシート積置部50と、画像形成されたシートをユーザが取り出すための取出口51を有する。取出口51が画像形成装置1の前面に開口しているため、車椅子ユーザは、開口部10に足置き部分を入れて画像形成装置1により近づいた状態で取出口51から画像が形成されたシートを取り出すことができる。
【0030】
圧板2Aは、読取部2Bに対し開閉可能である。すなわち、圧板2Aは読取部2Bの上部を覆うことにより閉じる閉位置と、読取部2Bの上部を開放する開位置を取ることが可能である。
図2は圧板2Aが閉位置にある場合を示している。ユーザは圧板2Aを開位置に移動させた状態で読取部2Bに原稿を積置し、圧板2Aを閉位置に移動させてスキャナ本体2Cに原稿読み取りを行わせる。圧板2Aは、閉位置において原稿に圧を加えて原稿がずれることを防止できる。また圧板2Aは閉位置において原稿読み取り時の背景板となることで良好な読取を行うことができる。
【0031】
搬送読取部の一例としての自動原稿搬送部3は、収納部6Aに対し開閉可能な構成としてもよい。すなわち、自動原稿搬送部3は収納部6Aの上部を覆うことにより閉じる閉位置と、収納部6Aの上部を開放する開位置を取ることが可能である。
図2は自動原稿搬送部3が閉位置にある場合を示している。ユーザは自動原稿搬送部3を開位置に移動させた状態で収納部6Aの上部に原稿やシートを置いて所望の作業を行うことが可能である。またユーザは自動原稿搬送部3を閉位置に移動させて自動原稿搬送部3を使用可能である。
【0032】
なお積置原稿読取部の一例としてのスキャナ部2と搬送読取部の一例としての自動原稿搬送部3とは高さ方向で重なるように並列に配置されており、したがって画像形成装置1の高さを抑制でき、省スペースでかつユーザにとって操作しやすい画像形成装置1を実現できる。
【0033】
またW10は一例として600mm以上である。あるいはJIS―T9201に定める車椅子のシート幅W1以上である。このような構成により、開口部10に車椅子の足置き部分を入れることができるため、車椅子ユーザが装置に近づいて操作しやすい。例えば画像形成装置1の幅が600mm以上でかつ900mm以下とすることで、車椅子の足置き部分を入れるための開口部を設けることができ、さらにオフィスに設置した際に画像形成装置1が元々あった通路に出っ張ることがない。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態である画像形成装置の断面図である。
図2に示した実施形態のA-A断面図である。Hは、床に対する底板13の高さである。Hは床に対する開口部下端102の高さということもできる。H
Lは、床に対する底部が最も低いシートトレイ9Cの底部91Cまでの高さである。D
10は開口部10の奥行き方向のサイズを表す。自動原稿搬送部3は、搬送される原稿の表面(原稿積置部31に置かれた原稿の上面)の画像を読み取る第一面読取部材35と、搬送される原稿の裏面(原稿積置部31に置かれた原稿の下面)の画像を読み取る第二面読取部材36を有する。
【0035】
ユーザが自動原稿搬送部3の上部に置いた原稿は、矢印dの経路を搬送される間に、第一面読取部材35を通過する際に表面の画像が読み取られ、第二面読取部材36を通過する際に裏面の画像が読み取られる。このような構成により、原稿一枚につき一方向への搬送を一回行う間に、原稿の両面の画像を読み取ることができる。このような構成により、原稿一枚につき搬送を二方向以上に行う場合と比べ搬送経路が短くなるため、自動原稿搬送部3におけるジャム発生率を下げることができ操作性が向上できる。またこのような構成を1パス両面読取構成と呼ぶことがある。
【0036】
ここでHは一例として、JIS―T9201に定める車椅子のフットサポート高H7である50mmよりも低い。また、D10は、JIS―T9201に定める車椅子のフットサポート長L5以上である。このような構成により、車椅子ユーザが画像形成装置1に足置きの部分をぶつけることなく画像形成装置1により近づいて操作できる。
【0037】
またHLは一例として、300mm以上である。このような構成により、車椅子ユーザが画像形成装置1に足置きの部分をぶつけることなく画像形成装置1により近づいて例えばシートトレイの開閉等の操作を行うことができる。
【0038】
以上説明したように開口部10が第一のシートトレイ9Aの下部から第二のシートトレイ9Cの下部まで連続的に形成されていると、
図3に示したように車椅子ユーザは足置き部分を開口部10に入れた状態で、画像形成装置1のほぼ中央位置において画像形成装置1の各種操作を行うことができる。
【0039】
具体的には、画像形成装置1のほぼ中央に位置する操作部4を、操作部4のほぼ正面で操作可能である。また、画像形成装置1の中央部付近に位置する操作路70を挟んで幅方向に並んだシートトレイの、左右どちらのシートトレイにも手が届き操作可能である。また、画像形成装置1の中央部付近に位置する搬送路70を挟んで幅方向左右に並んだシートトレイの、左右どちらのシートトレイにも手が届き操作可能である。また画像形成装置1の中央部付近を挟んで並んだ画像形成部7の部品交換処理やジャム処理部8でのジャム処理を、どちらにも手が届き処理可能である。また画像形成装置1の中央部付近を挟んで並んだスキャナ2と自動原稿搬送部3のどちらにも手が届き操作可能である。
【0040】
図4は、画像形成装置1の内部構成を示す正面図である。画像形成装置1は、画像形成部7の内部を開放する開閉部71と、ジャム処理部8の内部を開放する開閉部81と、電装収納部11の内部を開放する開閉部111と、画像形成装置1を制御する制御基板14を有する。
【0041】
画像形成部7は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各色のトナーを収納するトナーボトル72K、72C、72M、72Yと、トナーボトル72K、72C、72M、72Yから供給されるトナーを用いてブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各色の画像を形成する画像形成ユニット73K、73C、73M、73Yを内部に有する。
【0042】
画像形成部7は、また、画像形成ユニット73K、73C、73M、73Yが形成した各色の画像が転写される中間転写ユニット74と、搬送路70を搬送されるシートに中間転写ユニット74に転写された画像を二次転写する二次転写部73と、二次転写部73に対してシートを搬送するレジストローラ75を内部に有する。
【0043】
ジャム処理部8は、少なくとも画像形成時に搬送路70を覆う搬送部カバーであるジャム処理用開閉カバー82と、ジャム処理用開閉カバー82をスライドして移動させるスライドレール84と、ユーザによる搬送路70からのシート除去等のジャム処理を行うシート取り出し空間であるジャム処理空間85と、ジャム処理空間85を画像形成装置1の前面に対して開放するジャム処理空間開口部86を有する。
【0044】
二次転写部73は、ジャム処理用開閉カバー82に取り付けられており、ジャム処理用開閉カバー82が移動することにより、シートに二次転写する二次転写位置と、搬送路70を開放する開放位置の間で移動可能である。
【0045】
電装収納部11は、シートトレイ9Cと並列、かつ高さ方向(
図1中のY軸方向)で重なるように配置され、記憶媒体であるSDカードを挿入可能なSDカード挿入口112と、記憶媒体であるUSBメモリを挿入可能なUSBメモリ挿入口113と、LANケーブルを接続可能なLANケーブル接続口114を内部に有する。SDカード挿入口112と、USBメモリ挿入口113と、LANケーブル接続口114は画像形成装置1の前面に設けられる。このような構成により、画像形成装置1の前面側でその他の操作を行うユーザがそのまま電装収納部11の操作も行うことができる。なお、画像形成装置1に収納するシートの容量を多くしたい場合は、電装収納部11が配置されている箇所に電装収納部11に替えてさらなるシートトレイを設けてもよい。
【0046】
制御基板14は、操作部4や外部装置から入力された操作に基づき画像形成装置1全体を制御する。一例として、CPU(Central Processing Unit)と、CPUの動作に必要なプログラムやデータを記憶する記憶媒体であるROM(Read Only Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)と、CPUがプログラムを実行する際のワークエリア(作業領域)であるRAM(Random Access Memory)、画像形成装置1内部の装置に電源を供給したり電源供給を制御したりする電源供給回路等が設けられた制御基板である。
【0047】
ここで、
図4を用いて画像形成部7によるシートへの画像形成について述べる。制御基板14の制御により、シートトレイ9A、9B、9Cに収納されたシートは、シート搬送部である搬送路70によって画像形成部7に搬送されて画像が形成される。画像が形成されたシートは、さらに搬送路70によって搬送され、排紙部5に排紙される。
【0048】
搬送路70は、シートトレイ9Aとシートトレイ9C、シートトレイ9Aとシートトレイ9Bとの幅方向の間付近を、高さ方向に通過するように設けられている。そして搬送路70が高さ方向にシートを搬送する間に、幅方向左右いずれから搬送路70上のシートに画像が付与される。
図4では、矢印Tで示される方向である画像付与、つまり幅方向左側から、搬送路70を搬送されるシートに画像が付与される。
【0049】
図4においては、シートトレイ9Aに収納された状態で上面であった面に画像が付与され、シートトレイ9Aと並列であるシートトレイ9Bおよびシートトレイ9Cに収納された状態で逆の面である下面に画像が付与される。
【0050】
画像付与は搬送路70の
向かって右側からであってもよい。この場合は
図4のジャム処理部8の位置に画像形成部7が配置され、
図4の画像形成7の位置にジャム処理部8が配置される。その場合は、シートトレイ9Aに収納された状態で下面であった面に画像が付与され、シートトレイ9Aと並列であるシートトレイ9Bおよびシートトレイ9Cに収納された状態で逆の面である下面に画像が付与されることになる。
【0051】
上述のように搬送路70が構成されているため、第一のシートトレイに収納されたシートに画像形成部によって画像が形成される面と、第二のシートトレイに収納されたシートに画像形成部によって画像が形成される面とは、第一のシートトレイまたは前記第二のシートトレイに収納された状態で、上下に逆の面である。このような構成とすることで、画像形成装置1の高さ方向を抑えることができ、かつ幅W内で効率よく画像形成できる。
【0052】
ここで
図4を用いてジャム処理について述べる。ジャム処理空間85は、画像形成装置1の幅寸法内に配置されている。一例として複数のシートトレイのうちいずれかの上部に配置されている。このような構成によって、画像形成装置1の幅寸法内でシートトレイの操作と搬送路からシートを取り出すための操作を行うことができる。
【0053】
そして搬送部カバーであるジャム処理用開閉カバー82は、ジャム処理空間85内を移動可能である。一例として、ジャム処理用開閉カバー82は、搬送路70を覆う位置である閉位置から、搬送路70をジャム処理空間85に対して開放する位置である開位置へと移動することにより、搬送路70をジャム処理空間85に対して開閉可能である。このような構成により画像形成装置1の幅寸法内で搬送部カバーを開けて給紙トレイの操作と搬送路からシートを取り出すための操作を行うことができる。
【0054】
またジャム処理空間85は、画像形成装置1前面に開口した取り出し空間開口部86を有する。このような構成により、ユーザは画像形成装置1の前面側でその他の操作とともにジャム処理も行うことができる。
【0055】
開閉部81は取り出し空間開口部86を画像形成装置1の外部に対して開閉可能である。このような構成によって、取り出し空間を、搬送部からシートを取り出す作業時以外は閉じて、画像形成装置1の内部を保護したり、外観を良くしたりできる。
【0056】
なお
図4では、いわゆるフルカラー電子写真方式の画像形成部7を例に説明を行ったが画像形成部7の方式はこれに限るものではない。例えばブラックトナーのみで画像を形成するモノクロ電子写真方式の画像形成部7としてもよい。また、各シートトレイから搬送されたシートにインクジェットヘッドで画像を形成するインクジェット方式の画像形成部7であってもよい。
【0057】
以上説明した構成により、画像形成装置1の背面、左側面、右側面の3面の配置の自由度が拡大する。つまり上述のようなスキャナ2や自動原稿搬送部3の開閉構成により、スキャナ2や自動原稿搬送部3が、開閉動作に伴い画像形成装置1の背面を超えることはない。したがって、画像形成装置1の背面を壁等にほぼ密着させることができる。また、上述のように排紙部5、各シートトレイ、ジャム処理部8等を、画像形成装置1の幅寸法内に配置し、また幅寸法内で操作可能とした。したがって、キャビネット等のオフィス家具を画像形成装置1の左側面、右側面にほぼ密着させることができる。このように、オフィスにおいて、画像形成装置1を設置する際の制限が減り、他のオフィス家具との共存が可能となる。
【0058】
図5は、画像形成装置1の使用状態を示す正面図である。スキャナ2は、圧板2Aを回動可能に支持する圧板支持軸20Aと、圧板持ち手21を有する。画像形成装置1は、自動原稿搬送部3を回動可能に支持する支持軸30Aを有する。Hhは、排紙部5の下端に対する圧板2Aおよび自動原稿搬送部3を開閉する操作位置の高さである。
図5は圧板2Aおよび自動原稿搬送部3が開位置にある場合を示している。
【0059】
圧板支持軸20Aは、画像形成装置1の幅方向の左端部に、軸線が画像形成装置1の奥行き方向と平行に延びるように配置されている。圧板2Aは、圧板支持軸20Aを支点として読取部2B、スキャナ本体2C、画像形成装置1に対して回動可能である。この回動動作によって圧板2Aは、読取部2Bに対し開閉可能である。ユーザは圧板持ち手21を持って圧板2Aを容易に操作可能である。例えば圧板支持軸20Aが画像形成装置1の幅方向の場合、ユーザが前面から圧板2Aを開く動作をすると、圧板2Aが開くにつれて画像形成装置1の前面から奥行き方向に遠ざかる。その結果、ユーザは圧板2Aに手に届きにくくなり操作しづらいことがある。上述のように圧板支持軸20Aの軸線が奥行き方向であるため、圧板2Aがユーザに対して奥行き方向に遠ざかってユーザが操作しづらくなる、という不具合を解消できる。
【0060】
支持軸30Aは、画像形成装置1の幅方向の右端部に、軸線が画像形成装置1の奥行き方向と平行に延びるように配置されている。自動原稿搬送部3は、支持軸30Aを支点として載置部6、画像形成装置1に対して回動可能である。この回動動作によって自動原稿搬送部3は、載置部6に対し開閉可能である。例えば支持軸30Aが画像形成装置1の幅方向の場合、ユーザが前面から自動原稿搬送部3を開く動作をすると、自動原稿搬送部3が開くにつれて画像形成装置1の前面から奥行き方向に遠ざかる。その結果、ユーザは、自動原稿搬送部3に手に届きにくくなり操作しづらいことがある。上述のように支持軸30Aの軸線が奥行き方向のため、自動原稿搬送部3がユーザに対して奥行き方向に遠ざかってユーザが操作しづらくなる、という不具合を解消できる。
【0061】
【0062】
スキャナ2は、圧板2Aを回動可能に支持する圧板支持軸20Bを有し、画像形成装置1は、自動原稿搬送部3を回動可能に支持する支持軸30Bを有する。
図6も
図5と同様圧板2Aおよび自動原稿搬送部3が開位置にある場合を示している。
【0063】
圧板支持軸20Bは、画像形成装置1の幅方向の中央部に、軸線が画像形成装置1の奥行き方向と平行に延びるように配置されており、圧板2Aは、圧板支持軸20Bを支点として読取部2B、スキャナ本体2Cに対して回動可能である。
図6の圧板支持軸20A同様、圧板支持軸20Bの軸線が奥行き方向のため、圧板2Aに奥行き方向に届かなくなるという不具合を解消できる。
【0064】
支持軸30Bは、画像形成装置1の幅方向の中央部に、軸線が画像形成装置1の奥行き方向と平行に延びるように配置されており、自動原稿搬送部3は、支持軸30Bを支点として載置部6、画像形成装置1に対して回動可能である。
図6の指示軸30Aと同様、支持軸30Bの軸線が奥行き方向のため、自動原稿搬送部3に奥行き方向に届かないという不具合を解消できる。
【0065】
図7は、読取部および収納部周辺部の断面図である。
図2(b)で示される画像形成装置1のA-A断面図の自動原稿搬送部3および収納部6を拡大して示すものである。
【0066】
図7に示すように画像形成装置1は、読み取り後の原稿の排出先を一例として収納部6と原稿排出部32いずれに排出するかを切り替える排出先切替部15が示されている。排出先切替部15は第一の切替部材151と、第二の切替部材152と、収納部6への搬送路である収容部搬送路153を有する。
【0067】
このように読み取り後の原稿を収納部6へ排出することができるため、例えば領収書、契約書、個人情報を含むアンケート結果などを読み取った原稿を収納部に収納できるため、情報漏えいのリスクを低くできる。また読取と同時にセキュリティの高い収納部に収納できるため、これらの原稿を大量に読み取る時にセキュリティを保つために読取の度に別な収納スペースに運ぶ作業負荷を減らすことができる。
【0068】
さらに画像形成装置1は収納部6A、収納部6Bそれぞれに原稿を排出する第二の原稿排出口16A,第三の原稿排出口16Bを有している。
【0069】
画像形成装置1はさらに、収納部6A、収納部6Bを画像形成装置1から引き出せないように施錠する施錠部17A、17Bを有する。なお施錠部を収納部6A,6Bそれぞれに設けているが、一つの施錠部で複数の収納部を施錠してもよい。
【0070】
図7に示すように自動原稿搬送部3は、原稿積置部31と、原稿排出部32と、給紙部としての搬送ローラ33と、搬送路34と、第一面読取部材35と、第二面読取部材36と、第一の原稿排出口37と、原稿排出部32への搬送路である原稿排出部搬送路38と、原稿排出部32への原稿の排出を検知する原稿排出部排出検知センサ39を有する。原稿排出部32は、原稿排出口37が臨む空間321と、排出原稿積置部322を有する。
【0071】
図7に示すように収納部6は、読み取り後の原稿を収納する収納トレイ62A、収納トレイ62Bと、収納トレイ62Aへの原稿の排出を検知する収納部排出検知センサ63Aと、収納トレイ62Bへの原稿の排出を検知する収納部排出検知センサ63B、収納トレイ62A内の原稿の有無を検知する原稿有無検知センサ64A、収納トレイ62A内の原稿の有無を検知する原稿有無検知センサ64B、収納トレイ62A内の原稿の量を検知する原稿量検知センサ65A、収納トレイ62A内の原稿の量を検知する原稿量検知センサ65Bを有する。そして収納トレイ62Aは原稿を受け入れる開口621A、第二の原稿排出口16Aが臨む空間である622A、施錠接続部623Aを有する。そして収納トレイ62Bは原稿を受け入れる開口621B、第二の原稿排出口16Bが臨む空間である622B、施錠接続部623Bを有する。
【0072】
以下、
図7を用いて原稿の読み取りと読み取り後の原稿の排出について説明する。
【0073】
原稿積置部31にセットされた原稿は搬送ローラ33によって1枚ずつ搬送され、
図7に破線で示される搬送路34を搬送され、第1面読取部材35に到達し、原稿の片面である第一面の読取を開始する。第一面読取部材35によって読取が実行される位置を、第一面読取位置と呼ぶことがある。そしてさらに搬送路34を搬送され、第二面読取部材36に到達し、原稿の第一面読取部材35に読み取られた面と反対側の面の読取が開始される。第二面読取部材36によって読取が実行される位置を、第二面読取位置と呼ぶことがある。第二面読取部材36は、搬送される原稿の、第一面とは反対側の面を読み取る。
【0074】
第一面、第二面の両面を読み取られた原稿はさらに収納部6へと排出されるかまたは、原稿排出部32に含まれる第一の原稿排出口37、さらに第一の原稿排出口37が臨む空間である321に排出され、そして排出原稿積置部322に排出され積置される。ここで、原稿が収納部6に排出される方向は、原稿が原稿排出部32に排出される方向と同じであり、これらの方向は画像形成装置1の前方向(図中Z軸方向)である。なお、
図7は、第一面、第二面の両面を読み取られた原稿が収納部6へと排出される場合を示しており、以降原稿の収納部6への排出について述べる。
【0075】
第二面読取部材36を通過した原稿は、第一の切替部材151が回転して位置を変えることによってその先の搬送路が切り替えられる。
図7においては第一の切替部材151は収納部6への搬送、つまり1点鎖線で示される収納部搬送路153へ切り替える位置を示している。
【0076】
第一の切替部材151を通過した原稿は、第二の原稿排出口16A、開口621Aを通過し、第二の原稿排出口16Aが臨む空間である321に排出され収納トレイ62Aに収納されるかまたは、収納部6Bへと搬送される。なお、
図7は、原稿が収納部6Bへと排出される場合を示しており、以降原稿の収納部6Bへの排出について述べる。
【0077】
第一の切替部材151を通過した原稿は、第二の切替部材152が回転して位置を変えることによってその先の搬送路が切り替えられる。
図7においては第二の切替部材152は収納部6Bへの搬送へ切り替える位置を示している。
【0078】
切替部材152を通過した原稿は、第二の原稿排出口16B、開口621Bを通過し、第二の原稿排出口16Bが臨む空間である622Bに排出され、収納トレイ62Bに収納される。
【0079】
以上説明したように読み取り後排出された原稿は、原稿排出部排出検知センサ39によって第一の原稿排出口37を通過して原稿排出部32へ排出されたことが検知される。また収納部排出検知センサ63Aによって収納トレイ62Aへ排出されたことを検知される。収納部排出検知センサ63Bによって収納トレイ62Bへ排出されたことを検知される。各排出検知センサは一例として各原稿排出口付近に設けられた光学センサであるが、これに限られない。
【0080】
以上のように排出された原稿は、第一の原稿有無検知センサ64Aによって収納トレイ62A内の有無が検知される。また、第一の原稿有無検知センサ64Bによって収納トレイ62B内の有無が検知される。各原稿有無検知センサは、各収納トレイの底面に設けられた光学センサであるが、これに限られない。
【0081】
以上のように排出された原稿は、原稿量検知センサ65Aによって収納トレイ62A内の原稿量、一例として収納トレイ62Aの最大収納量を超えたかが検知される。原稿量検知センサ65Bによって収納トレイ62B内の原稿量、一例として収納トレイ62Bの最大収納量を超えたかが検知される。各原稿有無検知センサは、各収納の例の上面に設けられ、収納トレイ内に積置された原稿束Pが所定量に達し押圧されたことを検知する押圧センサであるが、これに限られない。原稿量検知センサ65A,65Bを有している為、収納部6が最大収納量超えたことを検知した場合、操作部4等にユーザに満杯である旨メッセージを表示しユーザに知らせることができる。
【0082】
施錠部17A、17Bはそれぞれ施錠接続部623A、623Bと接続した状態で収納トレイ62A,62Bが画像形成装置1から引き出せないように施錠し、施錠接続部623A、623Bと接続が解除された状態で画像形成装置1が引き出せるように開錠する。以降施錠部17A、17Bの動作をより具体的に説明する。
【0083】
図8は施錠部の動作の第一の説明図である。
図8は施錠された状態を示している。
図8に示すように施錠部17Aは一例として筐体12の一部と固定された、ソレノイドによる施錠部であり、コイル部171Aと、鉄心172Aと、バネ173Aとを有する。鉄心172Aは傾斜部1721Aを有する。
【0084】
コイル部171Aへの電力供給がオフの状態では、バネ173Aが鉄心172Aを押し下げ、施錠接続部623Aに施錠接続部623Aの凹部6231A内に入る。施錠部17Aのこの状態を施錠部17Aの施錠位置と呼ぶことがある。
図8の右向きが収納トレイ62Aを引き出す向きであるため、この状態では収納トレイ62Aは図中点線6232Aで示す部分が鉄心172Aに引っ掛かり、ユーザは引き出すことができない。このとき収納トレイ6Aは、原稿が画像形成装置1の内部に収納され、その内部から原稿を取り出すことのできない位置である収納位置にある。またこの位置にあるときは施錠されているため施錠位置にあるということもある。
【0085】
図9は施錠部の動作の第二の説明図である。
図9は開錠された状態を示している。
【0086】
コイル部171への電力供給がオンの状態では、コイルが作用し、鉄心172がバネ173を押し上げ、鉄心172が施錠接続部623の凹部6231Aから出る。施錠部17のこの状態を施錠部17の開錠位置と呼ぶことがある。このとき、収納トレイ62は鉄心172に引っ掛かることなくユーザは引き出すことができる。このとき収納トレイ6Aは、原稿が画像形成装置1の外部に露出し、その内部から原稿を取り出すことのできる位置である取り出し位置にある。ここで、収納トレイ6Aが、収納位置から取り出し位置へ移動する方向は、原稿が原稿排出部32に排出される方向と同じであり、これらの方向は画像形成装置1の前方向(
図7中のZ軸方向)である。これにより、収納トレイ6Aからの原稿取り出し方向を、原稿排出部32からの原稿の取り出し方向と同じにすることができ、操作性が向上する。
【0087】
図10は施錠部の動作の第三の説明図である。
図10は、収納トレイを引き出した状態から収納位置へ移動する状態を示している。
【0088】
施錠部17への電力供給がオフの状態では、
図8と同様に鉄心172は押し下げられている。つまり施錠部17は
図8と同様に施錠位置にある。この状態で収納トレイ62を
図8の右向き押し込むと、錠接続部623が傾斜部1721に接触し、押し込む力によってバネ173にバネ173を縮める力が働き、鉄心172は施錠接続部623の凹部6231Aの図中点線6232Aで示す部分を乗り越え、凹部6231A内部に入り、施錠状態となる。収納部62が押し込まれ施錠状態になった後は、
図9で説明したようにコイル部171に電力供給されないと引き出すことができない。
【0089】
なお、
図10では電力供給がオフの状態から収納トレイ62を収納位置へ移動する場合を説明した。この場合、収納トレイ62を画像形成装置1に押し込むと自動的に施錠することができるが、これに限られない。つまり
図9の状態でトレイ62を閉め、閉めた後にユーザが操作部4から施錠指示を入力することでコイル部171への電源がオフされ、施錠される構成としてもよい。
【0090】
図11は、画像形成装置1の変形例である。
図2(b)で示した自動搬送装置3は画像形成装置1の前面から背面方向に原稿が読み取られ、排出されるのに対し、右から左に原稿が読み取られ、左から右に排出される。このように、ユーザの使用形態に応じて、原稿搬送方向を異ならせてもよい。
【0091】
図12は読取部および収納部周辺部の断面図の他の例である。
図11で示される画像形成装置1の断面図の自動原稿搬送部3および収納部6を拡大して示すものである。
図12の構成の説明は
図7の同じ符号の各構成の説明と同様であるため省略する。
【0092】
図13は、画像形成装置1の変形例である。自動搬送装置3、操作部4、排出部5、収納部6、取っ手61、画像形成部7、シートトレイ9A~9Dを有している。本変形例は、収納部が一つである。このようにユーザの使用形態によって収納部やシートトレイの数を適宜選択することができる。また変形例は幅方向が狭く、設置スペースをより小さくすることができる。
【0093】
図14は、読取部および収納部周辺部の断面図さらに他の例である。
図13で示される画像形成装置1の断面図の自動原稿搬送部3および収納部6を拡大して示すものである。
図14の構成の説明は
図7の同じ符号の各構成の説明と同様であるため省略する。
【0094】
以上本発明を、画像形成装置1を例として述べたがこれに限られず、本発明は以上説明した自動搬送装置3、収納部6を有する読取装置として実現することも可能である。さらに操作部4等を有していてもよい。読取装置として実現することにより、画像形成部7が不要な場合などには、よりコンパクトな構成で本発明の効果を得ることができる。
【0095】
図15は、画像形成装置1の機能ブロック図である。画像形成装置1は、入力を受け付ける入力受付部110と、操作部4への表示を制御する表示制御部120と、画像形成装置1の全体の制御をする制御部130と、画像形成装置1に関する各種データやプログラムを記憶する記憶部140と、記憶部140に対する各種データやプログラムの読出・書込を行う読出・書込処理部150とを有する。記憶部140はさらに、排出先権限記憶部1401と、原稿排出先記憶部1402と、開錠権限記憶部1403を有する。
【0096】
入力受付部110は、操作部4の処理によって実現され、ユーザの操作に応じた入力を受け付ける機能を実行する。ユーザに対し操作に必要な情報を表示してもよい。
【0097】
表示制御部120は、制御基板14のCPU処理によって実現され、入力受付部110に表示する表示画面を制御する機能を実行する。
【0098】
制御部130は、制御基板14のCPU処理によって実現され、画像形成装置1全体の制御をする機能を実行する。
【0099】
記憶部140は、制御基板14のHDDの処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置1の動作に必要な各種設定情報、画像形成装置1の動作ログ等を格納する機能を実行する。
【0100】
読出・書込処理部150は、制御基板14のCPUの処理によって実行され、記憶部140に各種データを記憶したり、記憶部140に記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。
【0101】
図16は、記憶部140にあらかじめ記憶されるテーブルの例である。
図16(a)に示されるように排出先権限記憶部1401には、あらかじめユーザ情報の一例として画像形成装置1のログインIDと、そのログインIDの収納部6の利用権限有無とが関連づけられている。ユーザ情報は一例として画像形成装置1を利用するために登録されたログインIDでよいがこれに限られず、収納部6を利用するために別に登録されたユーザIDでもよい。
【0102】
図16(b)に示されるように原稿排出先記憶部1402にはあらかじめ、原稿の情報の一例としての、原稿が作成された日付である原稿作成日と、排出先収納部とが関連づけられている。具体的には原稿作成日が「2010.01.01以降」と収納部6A、原稿作成日が「その他・不明」と収納部6Bが関連づけられている。原稿情報の例としてはこれに限られず、原稿作成者、原稿のサイズ、原稿がカラーかモノクロか、原稿のタイトル等、読み取られる原稿に関する情報であればよい。
【0103】
図16(c)に示されるように開錠権限記憶部1403にはあらかじめ、ユーザ情報の一例としての画像形成装置1のログインIDと、そのログインIDが開錠権限を有する収納部6とが関連付けられている。
【0104】
図17は、読取排出処理の第一の例を説明するフローチャートである。ユーザが原稿積載部31に原稿を積載したり操作部4に入力したりして、画像形成装置1の自動原稿搬送部3を起動させるとスタートするフローである。
【0105】
まず、入力受付部110はカードリーダRや操作部4から入力されたユーザIDを受け付ける(S11)。画像形成装置1を利用するために入力されたユーザIDでもよいし、改めてユーザに入力させてもよい。
【0106】
そして入力受付部110は、操作部4から入力された排出先情報を受け付ける(S12)。排出先情報は読み取った原稿の排出先を収納部6にするか原稿排出部32にするかに関する情報が含まれている。受け付ける方法の一例として、表示制御部120が操作部4に収納部6への排出を希望するかを選択できるボタンなどを表示させて、ユーザに入力させてもよい。受け付ける方法の他の例として、制御部130がステップS11で入力されたユーザIDをキーに、排出先権限記憶部1401を参照して排出先として収納部6を利用する権限の有無を判断し、表示制御部120は、権限の無いユーザにはその旨メッセージを表示させてもよい。こうすることでより収納部6を利用するユーザを制限し、セキュリティを強化できる。
【0107】
次に制御部130は、入力された排出先情報に基づき、収納部6へ排出するかを判断する(S13)。収納部6への排出であると判断した場合(YES)は、ステップS14に進み、原稿排出部32への排出である場合(No)はステップS15に進む。
【0108】
ステップS13の判断結果が収納部6への排出であった場合は、制御部130は排出先切替部15の制御を実行し、読み取り後の原稿の排出先を収納部6へ切り替える(ステップS14)。切替方法の一例として
図14を用いて説明すると、排出先切替部15の第一の切替部151への電力供給がOFFの状態では原稿排出部32へ排出されるように設定しておき、ステップS14で排出先切替部15の第一の切替部151に電力の供給を開始することで搬送先を収納部6Aの搬送路である収容部搬送路153へと切り替える。
【0109】
次に制御部130は、原稿の読取処理を実行する(S15)。このように排出先切替後に読取処理を実行すると、自動原稿搬送部3は、原稿を読み取りながら、排出先へ搬送することが可能なため、小型化・高速処理化を実現できる。
【0110】
ステップS15で読取処理が完了すると、制御部130は原稿の後端が排出先に到達するまで排出を行い(S16)、本フローは終了する。
【0111】
ステップS13の判断結果が原稿排紙部36への排出であった場合は、制御部130は排出先切替部15への電源OFFを維持する(S17)。つまり
図14を用いて説明すると制御部130は、前述のように、排出先切替部15の第一の切替部材151への電力供給がOFFの状態では原稿排出部32へ排出されるように設定している場合、一度電力供給がONになった状態からOFFにすることで原稿の搬送路を原稿排出部32の搬送路である原稿排出部搬送路38へと切り替える。そしてステップS17では排出先切替部15の第一の切替部材151への電力OFF状態を維持することで読取原稿を原稿排出部32へ排出する。
【0112】
ステップS17終了後、制御部130はステップS15およびステップS16を実行し、本フローは終了する。
【0113】
図18は読取処理の具体例を説明するフローチャートである。
図18を用いて、
図17のステップS15の詳細を説明するフローである。
【0114】
図17のステップS14またはステップS17が終了すると制御部130は、自動原稿搬送部3の各部材に読取の開始を指示する(S101)。すると給紙部としての搬送ローラ33が駆動し(S102)、原稿積載部31に積載された原稿の搬送が開始される。搬送された原稿が第一面読取位置に到達すると第一面読取部材35は原稿の第一面を読み取り(S103)、さらに搬送された原稿が第二面読取位置に到達すると第二面読取部材36は原稿の第二面を読み取り(S104)本フローは終了し、ステップS16に移行する。
【0115】
図19は収容部切替処理の具体例を説明するフローチャートである。
図19で示されるフローは、収納部6が複数、一例として収納部6A,6Bの二つの収納部を有していた場合の例である。
【0116】
図17のフローチャートにおいてステップS13がYESであった場合、制御部130は切替部15の第一の切替部材151への電力供給をONにする(S201)。切替方法の一例としては、第一の切替部材151への電力供給がOFFの状態では原稿排出部32へ排出されるように設定しておき、ステップS14で切替部15の第一の切替部材151に電力の供給を開始することで搬送先を収納部6の搬送路である収容部搬送路153へと切り替える。
【0117】
次に制御部130は、排出先が収納部6Bであるかを判断する(S202)。判断の方法の一例としては、排出先情報として収納部6Aまたは6Bが入力されていれば排出先情報から判断する。他の例としては空き収容部を排出先として判断する。この例は、
図16(c)で示す特定のログインID「12345」のように、複数の開錠権限のある収容部(6A、6B)がある場合が適用される。一つの収容部のみに開錠権限のあるログインIDの場合は適用されず「収納部6Aは満杯で収納できません。」といった表示が操作部4に表示される。つまり制御部130はその時点の原稿有無検知センサ64A、64Bの検知結果を取得し、原稿が無い方の収容部を排出先と判断する。さらに他の例としては、原稿を追加で収納可能な収納部を排出先として判断する。つまり制御部130は、その時点の原稿量検知センサ65A、65Bの検知結果を取得し、すでに原稿量が多くそれ以上収納できない収容部ではなく、追加で収納可能な収納部を排出先と判断する。
【0118】
ステップS202の判断結果が収納部6Bへの排出であった場合(YES)制御部130は、第二の切替部材152への電力供給をONにして(S203)、本フローは終了する。切替方法の一例としては、第二の切替部材152への電力供給がOFFの状態では収納部6Aへ排出されるように設定しておき、ステップS203で第二の切替部材152に電力供給を開始することで排出先を収納部6Bへと切り替える。
【0119】
一方ステップS202の判断結果が収納部6Bへの排出であった場合(NO)制御部130は、第二の切替部材152への電源OFFを維持して(S204)、本フローは終了する。つまり制御部130は、前述のように第二面読取部材152への電力供給がOFFの状態では収納部6Aへ排出されるように設定している場合、一度電力供給がONになった状態からOFFにすることで原稿の排出先を収納部6Bへと切り替える。そしてステップS204では第二の切替部材152への電力OFF状態を維持することで読取原稿を収納部6Bへ排出する。
【0120】
図20は読取排出処理の第二の例を説明するフローチャートである。ユーザが原稿積載部31に原稿を積載したり操作部4に入力したりして、画像形成装置1の自動原稿搬送部3を起動させるとスタートするフローである。
【0121】
まず、入力受付部110はカードリーダRや操作部4から入力されたユーザIDを受け付ける(S21)。画像形成装置1を利用するために入力されたユーザIDでもよいし、改めてユーザに入力させてもよい。
【0122】
そして入力受付部110は、操作部4から入力された排出先情報を受け付ける(S22)。排出先情報には、読み取った原稿の排出先を収納部6にするか原稿排出部32にするかに関する情報が含まれている。一例として操作部4に収納部6への排出を希望するかを選択できるボタンなどを表示させて入力されてもよい。受け付ける方法の他の例として、制御部130がステップS11で入力されたユーザIDをキーに、排出先権限記憶部1401を参照して排出先として収納部6を利用する権限の有無を判断し、表示制御部120は、権限の無いユーザにはその旨メッセージを表示させてもよい。こうすることでより収納部6を利用するユーザを制限し、セキュリティを強化できる。
【0123】
次に制御部130は、入力された排出先情報に基づき、収納部6へ排出するかを判断する(S23)。収納部6への排出であると判断した場合(YES)は、ステップS24に進み、原稿排出部32への排出である場合(NO)はステップS25に進む。
【0124】
ステップS23の判断結果が収納部6への排出であった場合は、制御部130は、原稿の読取処理を実行する(S24)。ステップS24の読取処理の具体例は
図18のフローと同様である。
【0125】
次に制御部130は、ステップS24で読み取って得られた原稿情報に応じて排出先を判断する(S25)。判断方法の一例として、制御部130は読み取った原稿にOCR(Optical Character Recognition/Reader)処理を行う等して、読み取った原稿の原稿作成日を抽出する。そして抽出した原稿作成日をキーに、
図16(b)に示した原稿排出先記憶部1402を検索し、排出先を選択する。このように読み取られた原稿の情報に応じて排出先を決定することで、読み取られた原稿に対して確実に排出先を選択して排出することができる。
【0126】
そして、決定された排出先に基づき、制御部130は、排出先切替部15の制御を実行する(S26)。ステップS26の処理の具体例は
図19のフローと同様である。ステップS26が完了すると、制御部130は原稿の後端が排出先に到達するまで排出を行い(S16)、本フローは終了する。
【0127】
なお、本フローのように、原稿の第一面から読み取った原稿情報から排出を判断する場合、原稿が第一面の読取位置を通過してからその原稿の先端が第二の切替部材152に到達するまでに画像認識し、ステップS25の排出先の判断までを実行する必要がある。同様に第二面から読み取った原稿情報から排出を判断する場合、原稿が第二面の読取位置を通過してからその原稿の先端が第二の切替部材152に到達するまでに画像認識し、ステップS25の排出先の判断までを実行する必要がある。排出先の判断を行う制御部130の処理能力やレイアウトによっては処理時間が厳しいこともあるので、ステップS24の読取処理開始の前に、第一の切替部151の切替は先に実行するなどしてもよい。そうすることで、第一の切替部151から第二の切替部152を通過する時間も処理時間にあてることができる。
【0128】
一方ステップS23の判断結果が収納部6ではなかった場合(NO)、制御部130はステップS28の読取処理、ステップS29の排出先切替部15の制御OFFを維持し、さらに原稿の後端が排出先、この場合原稿排出32に到達するまで排出を行い(S27)、本フローは終了する。ステップS28の処理の具体例は
図19のフローと、ステップS29の処理の具体例はステップS17とそれぞれ同様である。
【0129】
なお、読み取られた原稿情報から収納部6A,6Bだけでなく原稿排出部32も含めて排出先を選択することも可能であるが、本実施形態のように排出先として収納部6が選択されたセキュリティの高い原稿のみ原稿情報から排出先を選択することで、原稿情報を取得するのに要する装置の負荷を減らすことができる。
【0130】
図21は、開錠処理の例を説明するフローチャートである。収納部6を引き出すために開錠部17を開錠する際に実行するフローである。
【0131】
まず、入力受付部110はカードリーダRや操作部4から入力されたユーザIDを受け付ける(S31)。画像形成装置1を利用するために入力されたユーザIDでもよいし、改めてユーザに入力させてもよい。
【0132】
そして入力受付部110は、ユーザからの所望の収納部に対する指示を受け付ける(S32)。
【0133】
すると制御部130は、入力されたユーザIDをキーに開錠権限記憶部1403を検索し、所望の収納部に対する開錠権限の有無を判断する(S33)。
【0134】
そしてステップS33で権限が有った場合(YES)は、所望の収容部の開錠を実行し、(S34)、本処理フローは終了する。開錠方法の一例としては、
図9で説明したようにコイル部171に電力供給を行い、施錠部17を開錠位置に移動させる。するとユーザは所望の収容部を引き出すことが可能となる。
【0135】
そしてステップS33で権限が無かった場合(YES)は、表示制御部120は権限がない旨操作部4にメッセージを表示して(S35)本処理フローは終了する。
【0136】
このように権限のあるユーザのみが収納部6を開錠できるため、セキュリティを強化できる。
【0137】
以上、本発明の各実施形態について詳述したが、かかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 画像形成装置
3 自動原稿搬送部
32 原稿排出部
6 収納部
15 排出先切替部
151 第一の切替部
152 第一の切替部
17 施錠部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】