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特許7099196サーバ装置、タスク処理システム及びタスク処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】サーバ装置、タスク処理システム及びタスク処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A01K29/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018163847
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020031618
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】藤山 遼太郎
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-344390(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183350(WO,A1)
【文献】特開2015-089342(JP,A)
【文献】特開2018-007613(JP,A)
【文献】特開2013-196540(JP,A)
【文献】特開2015-117497(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126261(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が実行するタスクを示すタスク情報を所定の操作に応じて登録するタスク登録部と、
前記タスク登録部によって登録されたタスク情報を通知するタスク通知部と、
前記タスク情報の通知タイミングを管理するタイミング管理部と、
対象物に関する情報を検出するセンサから前記情報を受信する通信部と、
前記情報に基づいて、前記対象物の状態を分析する分析部と、
を備え、
前記タスク通知部は、
前記タイミング管理部に管理された前記通知タイミングまでに登録された前記タスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報をまとめて通知
前記分析部による分析結果のうち、前記対象物の所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記タスク登録部にタスク情報の登録を行う管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行うこと
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記センサは、前記対象物として産業動物に装着され、前記情報として少なくとも前記産業動物の生体情報を検出し、
前記分析部は、前記センサで検出された前記生体情報に基づいて、前記産業動物の状態を分析し、
前記タスク通知部は、前記分析部による分析結果のうち、前記産業動物についての前記所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の前記通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行うこと
を特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
作業者の携帯端末と、前記作業者に依頼するタスクを示す情報を前記携帯端末に送信するサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、
作業者が実行するタスクを示すタスク情報を所定の操作に応じて登録するタスク登録部と、
前記タスク登録部によって登録されたタスク情報を通知するタスク通知部と、
前記タスク情報の通知タイミングを管理するタイミング管理部と、
対象物に関する情報を検出するセンサから前記情報を受信する通信部と、
前記情報に基づいて、前記対象物の状態を分析する分析部と、
を備え、
前記タスク通知部は、
前記タイミング管理部に管理された前記通知タイミングまでに登録された前記タスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報をまとめて通知
前記分析部による分析結果のうち、前記対象物の所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記タスク登録部にタスク情報の登録を行う管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行うこと
ことを特徴とするタスク処理システム。
【請求項4】
装着された産業動物の、少なくとも生体情報を検出するセンサと、前記センサからの検出出力を処理するサーバ装置とを備え、
前記サーバ装置は、
作業者が実行するタスクを示すタスク情報を所定の操作に応じて登録するタスク登録部と、
前記タスク登録部によって登録されたタスク情報を通知するタスク通知部と、
前記タスク情報の通知タイミングを管理するタイミング管理部と、
前記センサで検出された前記生体情報に基づいて、前記産業動物の状態を分析する分析部と、
を備え、
前記タスク通知部は、
前記タイミング管理部に管理された前記通知タイミングまでに登録された前記タスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報をまとめて通知するものであって、
前記分析部による分析結果のうち、前記産業動物の所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記タスク登録部にタスク情報の登録を行う管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行うこと
を特徴とするタスク処理システム。
【請求項5】
コンピュータを、
作業者が実行するタスクを示すタスク情報を所定の操作に応じて登録するタスク登録部と、
前記タスク登録部によって登録されたタスク情報を通知するタスク通知部と、
前記タスク情報の通知タイミングを管理するタイミング管理部と、
対象物に関する情報を検出するセンサにより得られた前記情報に基づいて、前記対象物の状態を分析する分析部と、
として機能させ、
前記タスク通知部は、前記タイミング管理部に管理された前記通知タイミングまでに登録された前記タスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報をまとめて通知
前記分析部による分析結果のうち、前記対象物の所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記タスク登録部にタスク情報の登録を行う管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行うこと
ことを特徴とするタスク処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、タスク処理システム及びタスク処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、例えば牛等の産業動物の体に装着したセンサ装置で生体情報を取得して、産業動物の行動及び健康管理を行うシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2018-007613号公報)には、管理区域内の牛に3軸加速度センサを装着し、活動状態に応じて異なる測定パターンに基づいて、牛の活動状態を判断する活動状態管理システムが開示されている。この活動状態管理システムは、管理端末から作業員のユーザ端末に対して、牛の活動状態を示す活動状態情報を送信する。作業員は、この活動状態情報を見ることで、牛の状態を認識し、最適な飼育に努める。
【0004】
ここで、管理者が作業員に対して飼育作業を依頼する場合、管理者端末で入力を完了した作業内容(タスク)から順次、作業員のユーザ端末に送信する。作業員は、ユーザ端末で受信した作業内容(タスク)に従って飼育作業を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、飼育作業中において、作業員は、管理者端末から送信される作業内容(タスク)をリアルタイムで確認することは困難である。このため、管理者から指示された作業の不実行又は遅延等の問題を生じていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、タスク実施者に対する作業内容の伝達性の向上及び作業の履行性の向上を可能とするサーバ装置、タスク処理システム及びタスク処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、作業者が実行するタスクを示すタスク情報を所定の操作に応じて登録するタスク登録部と、前記タスク登録部によって登録されたタスク情報を通知するタスク通知部と、前記タスク情報の通知タイミングを管理するタイミング管理部と、対象物に関する情報を検出するセンサから前記情報を受信する通信部と、前記情報に基づいて、前記対象物の状態を分析する分析部と、を備え、前記タスク通知部は、前記タイミング管理部に管理された前記通知タイミングまでに登録された前記タスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報をまとめて通知し、前記分析部による分析結果のうち、前記対象物の所望の状態の分析結果が得られた場合は、前記タスク登録部にタスク情報の登録を行う管理者に対して、前記所望の状態の発生の通知を行い、前記管理者から前記タスク情報の通知の通知要求があった際に、前記所望の状態の発生を示すタスク情報の通知を、各作業者の端末に対して一括して行う
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タスク実施者に対する作業内容の伝達性の向上及び作業の履行性の向上を可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態のタスク処理システムのシステム構成図である。
図2図2は、サーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、サーバ装置のCPUがタスク処理プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。
図4図4は、実施の形態のタスク処理システムのタスク処理動作の流れを示す模式図である。
図5図5は、管理者端末に表示される、作業員に依頼するタスクの登録画面(作業者に依頼する活動を登録する画面)の一例を示す図である。
図6図6は、乳房炎の治療を行う個体の選択画面の一例を示す図である。
図7図7は、乳房炎の治療の詳細の登録画面の一例を示す図である。
図8図8は、一日の作業の一例を示す図である。
図9図9は、タスク情報の通知画面の一例を示す図である。
図10図10は、タスク情報の表示画面(タスク表示画面)の一例を示す図である。
図11図11は、作業者の一日の作業内容の一例を示す図である。
図12図12は、産業動物に装着されたセンサ、管理者及び作業者の動作の流れを示す図である。
図13図13は、緊急時におけるシステム動作を示す模式図である。
図14図14は、作業者の携帯端末に表示される緊急のタスク画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施の形態のタスク処理システムを、詳細に説明をする。
【0011】
(システム構成)
図1は、実施の形態のタスク処理システムのシステム構成図である。この図1に示すように、タスク処理システムは、サーバ装置1、管理者の管理者端末2、作業員の携帯端末3及び産業動物に装着されるセンサ4が、それぞれネットワーク(NW)5を介して相互に接続されることで形成されている。
【0012】
センサ4は、産業動物の生体情報を検出するセンサである。例えば、センサ4は、産業動物の動きを検出する3軸の加速度センサや、体温を検出する温度センサや、脈拍を検出する脈拍センサである。
【0013】
センサ4は、例えばLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる無線通信規格に準拠した通信を、ゲートウェイ(GW)7を介してサーバ装置1との間で行う。これにより、省電力、広域及びローコストな通信を可能としている。
【0014】
作業員が携帯する携帯端末3としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、又は、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等を用いることができる。携帯端末3は、無線基地局6を介して、サーバ装置1と通信を行い、管理者により登録された作業内容を示すタスク情報を受信して表示する。作業員は、タスク情報で指示されたタスクを実行する。そして、指示されたタスクが完了したことを示す完了通知を、サーバ装置1に対して行う。
【0015】
(サーバ装置のハードウェア構成)
図2は、サーバ装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この図2に示すように、サーバ装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、タイマ15及び通信部16を有している。タイマ15は、現在時刻をカウントする。後述するが、CPU11は、タイマ15でカウントされている時刻情報に基づいて、管理者から指定されたタスク情報の通知のタイミングを管理する。通信部16は、管理者端末2との間、携帯端末3との間及びセンサ4との間で通信を行う。
【0016】
ROM12には、オペレーションシステム(OS)が記憶されている。CPU11は、このOSに従って、サーバ装置1全体の動作を制御する。HDD14には、登録されたタスク情報のタスク処理を行うためのタスク処理プログラム18が記憶されている。CPU11は、このタスク処理プログラム18に基づいて、登録されたタスク情報を所定の時刻となった際に、作業員の携帯端末3に送信制御する。
【0017】
また、HDD14には、管理者端末2を介して登録されるタスク情報の記憶領域(タスク記憶部17:記憶部の一例)が設けられている。CPU11は、このタスク記憶部17に記憶されたタスク情報を、所定の時刻となった際に、作業員の携帯端末3に送信制御する。
【0018】
(サーバ装置のソフトウェア構成)
図3は、CPU11がタスク処理プログラム18を実行することで実現される各機能の機能ブロック図である。この図3に示すように、CPU11は、タスク処理プログラム18を実行することで、タスク通知部21、分析部22、タスク登録部23、アカウント管理部24、通知タイミング管理部25及び通信制御部26の各機能を実現する。
【0019】
タスク通知部21は、管理者により指定されたタイミングでタスク情報を作業員の携帯端末3に通知する。分析部22は、センサ4から送信されたセンサ情報を分析し、産業動物の状態を示す分析結果を生成する。タスク登録部23は、HDD14のタスク記憶部17に、管理者から指定されたタスク情報を記憶制御する。アカウント管理部24は、管理者及び各作業員のユーザアカウントを管理して、実施の形態のタスク処理システムに対するログイン制御を行う。通知タイミング管理部25(タイミング管理部の一例)は、タイマ15で計時される時刻情報に基づいて、管理者により指定されたタスク情報の通知タイミング情報(配信時刻)を管理する。通信制御部26は、タスク通知部21から指示された際に、タスク情報を作業員の携帯端末3に通知するように、通信部16を制御する。
【0020】
なお、この例は、タスク通知部21~通信制御部26をソフトウェアで実現する例であるが、これらのうち、一部又は全部を、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアで実現してもよい。また、タスク通知部21~通信制御部26の各機能は、タスク処理プログラム18単体で実現しても良いし、他のプログラムに処理の一部を実行させる、又は他のプログラムを用いて間接的に処理を実行させても良い。
【0021】
また、タスク処理プログラム18は、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、タスク処理プログラム18は、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(登録商標)、半導体メモリなどのコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。また、タスク処理プログラム18は、インターネット等のネットワーク経由でインストールするかたちで提供してもよいし、機器内のROM等に予め組み込んで提供してもよい。
【0022】
(タスク処理動作)
(管理者によるタスク登録動作)
図4は、実施の形態のタスク処理システムのタスク処理動作の流れを示す模式図である。この図4に示すように、実施の形態のタスク処理システムは、まず、管理者が管理者端末2を介して、各作業員に依頼するタスクを示すタスク情報をサーバ装置1に登録する。サーバ装置1のタスク登録部23は、管理者から指定されたタスク情報をタスク記憶部17に記憶する。
【0023】
図5は、管理者端末2に表示される、作業員に依頼するタスクの登録画面(作業者に依頼する活動を登録する画面)の一例を示す図である。作業者は、この図5に例示するような登録画面に基づいて、作業員に依頼するタスクを選択して登録する。具体的には、図5の例の場合、大きく分けて「治療」、「繁殖」及び「移動」のタスクに分類されている。「治療」のタスクは、「乳房炎」、「疫病・障害」及び「治療・投薬」の各タスクに、されに分類されている。「繁殖」のタスクは、「発情」、「妊娠」、「乾乳」、「流産」、「授精」、「繁殖検診」、「分娩」及び「繁殖除外」のタスクに、さらに分類されている。「移動」のタスクは、「牛群移動」、「導入時情報」、「死亡・廃用」、「個体登録」及び「出荷」のタスクに、さらに分類されている。管理者は、このような分類の中から、作業者に依頼する分類のタスクを選択する。
【0024】
図6は、乳房炎の治療を行う個体の選択画面の一例である。管理者により、図5の選択画面から「乳房炎」の治療のタスクが選択されると、図6に示す乳房炎の治療を行う個体の選択画面が表示される。この図6は、群毎に、属する牛の個体番号が表示された例である。個体番号は、牛の耳に付された番号札(耳標)に記載されている。この図6の例の場合、牛群Aに、「1234」、「5678」、「9112」及び「0234」の各耳標の個体が属している例である。また、図6の例は、牛群Bに、「6995」及び「2293」の各耳標の個体が属している例である。また、図6の例は、牛群Cに、「1234」、「5678」及び「9112」の各耳標の個体が属している例である。また、図6の例は、牛群Dに、「6965」、「2293」、「3483」及び「0409」の各耳標の個体が属している例である。管理者は、このような耳標のうち、乳房炎の治療を行う個体の指標を選択操作する。
【0025】
図7は、乳房炎の治療の詳細の登録画面の一例を示す図である。すなわち、管理者により、図6で表示された各個体の耳標のうち、牛群Aの1234の耳標が付された個体が選択されると、この図7に示す乳房炎の治療の詳細の登録画面が表示される。この図7の例の場合、耳標である「1234」の個体番号、「牛群A」という、その個体が属する牛群、「平成30年9月1日」という、乳房炎の治療のタスクを行う日付、及び、「作業者A」という、治療を依頼する作業者名の選択欄が表示されている。また、図7の例の場合、「分房」、「原因菌」、「重篤度」、「ステータス」、投薬を行う「薬品名」、「数量」、「方法(投薬方法)」、及び、メモ書きの入力欄が表示されている。管理者は、このような詳細の登録画面に対して、牛群Aの1234の耳標が付された個体に対する乳房炎の治療の「作業者」、「薬品名」、「数量」、「方法(投薬方法)」等を登録する。
【0026】
なお、管理者は、登録した「作業者」、「薬品名」、「数量」、「方法(投薬方法)」等を後から変更することも可能である。
【0027】
上述のように、タスク登録部23は、管理者により指定されたタスク情報を、タスク記憶部17に記憶する。図8は、一日の作業の一例を示す図である。この図8の例に示すように、作業者は、朝7時00分から上述のようなタスク情報を作成し、タスク記憶部17に記憶する。この作成されたタスク情報は、後述するように、通知タイミング情報で示される時刻に、各作業者に通知される。
【0028】
管理者は、各作業者が作業を行っている間、センサ4のセンサ出力の分析結果等に基づいて各個体の健康状態等を認識し、中期的な計画を立てる。各作業者は、通知されたタスクを完了すると、管理者の管理者端末2に対して完了通知を行う。管理者は、管理者端末2で受信した完了通知に基づいて、指定した各タスクの実行の有無を確認する。また、管理者は、昼休憩を挟み、午後からも、センサ4のセンサ出力の分析結果等に基づいて各個体の健康状態等を認識し、中期的な計画を立てる。そして、就業前の午後5時前に、指定した各タスクの実行の有無を再度、確認する。管理者は、翌日及び翌日以降も、このような各タスクの実行の有無、及び、センサ4で検出された各個体の健康状態等に基づいて、タスク情報の作成等を行う。
【0029】
(作業者によるタスクの実行動作)
次に、管理者によりタスク情報が登録されると、図3及び図4に示す通知タイミング管理部25は、タイマ15からの計時情報に基づいて、通知タイミング情報で指定された時刻をカウントする。そして、通知タイミング管理部25は、通知タイミング情報で指定された時刻をカウントしたタイミングで、タスク通知部21に、タスク情報の通知指示を行う。タスク通知部21は、タスク通知指示を受信すると、通信制御部26及び通信部16を介して、各作業者に一括してタスク通知を行う。一例ではあるが、このようなタスク通知のタイミングは、例えば就業前又は昼休憩中等のような、作業者がタスクの作業中でない時間帯に行うことが好ましい。実施の形態では、一例として、通知タイミング管理部25が就業前及び昼休憩中にタスク通知を行っている。
【0030】
図9は、携帯端末3を介して受信したタスク情報の通知画面の一例を示す図である。タスク通知を受け取ると、携帯端末3は、図9に示すようなポップアップPを表示する。図9に示すように、ポップアップPには、本日の作業予定のタスクおよびタスク毎の件数が表示される。
【0031】
タスク通知を受けた携帯端末3の作業者は、図9に示すポップアップPを接触操作(タップ)することにより、タスク処理プログラム18を起動させてサーバ装置1にアクセスし、自分に依頼されているタスクの送信要求(確認)を行う。すなわち、タスク通知を受けた作業者は、自分の携帯端末3を操作することで、アカウント管理部24で管理されている自分のアカウントに基づいて、タスク処理システムに対するログイン処理を行い、タスクの送信要求を行う。タスク通知部21は、タスクの送信要求を受信した携帯端末3のアカウントに対応する作業者に依頼されているタスクのタスク情報を、タスク登録部23を介してタスク記憶部17から読み出し、通信制御部26及び通信部16を介して作業者の携帯端末3に通知する。
【0032】
図10は、作業者がタスクの送信要求を行うことで、携帯端末3を介して受信したタスク情報の表示画面(タスク表示画面)の一例を示す図である。タスク表示画面は、タスク情報の登録結果として作成された所謂ToDoリストである。一例ではあるが、タスク表示画面としては、本日のタスク~6日後のタスクの表示指定欄が表示される。また、表示指定欄には、例えば「2(件)」、「1(件)」等のタスクの総件数を示す数字が表示される。
【0033】
携帯端末3の表示画面は、いわゆるタッチパネルとなっている。作業者は、本日のタスクを知りたい場合、表示画面上の、本日のタスクの表示指定欄を接触操作する。携帯端末3の制御部は、この接触操作を検出すると、本日のタスク内容を表示制御する。図10の例の場合、「本日の14時00分に、耳標が「3533」の個体を××に出荷」とのタスク、及び、「本日中に耳標が「5678」の個体の分娩作業を行う」とのタスクが指定されている例を示している。
【0034】
作業者は、タスクを実行し完了すると、表示画面上の「完了にする」との文字が付された完了ボタンを接触操作する。携帯端末3の制御部は、完了ボタンの操作を検出すると、サーバ装置1に、完了通知を行う。この完了通知は、サーバ装置1の通信制御部26により、管理者の管理者端末2に転送される。これにより、管理者は、指示したタスクの進捗状況等を監視できる。
【0035】
図11は、作業者の一日の作業内容の一例を示す図である。この図11の例の場合、作業者は、まず、給餌及び搾乳を行い、例えば午前7時30分等の、作業が一段落した際に、サーバ装置1からタスク情報を取得する(図10参照)。タスク情報を取得すると、作業員は、このタスク情報に従って、横転、病気、発情チェック等の注意牛への処理を行い、また、新生の個体に対する哺乳、及び、牛舎の清掃等を行う。作業者は、作業が完了したタスクの完了ボタンを操作する(図10参照)。これにより、完了した作業を示す完了通知が、サーバ装置1を介して管理者端末2に送信される。図11の例は、午前10時前に、このような完了ボタンの操作を行った例である。
【0036】
次に、午後12時等の昼休憩中に、管理者からのタスク通知があり、図9に示すようなポップアップPが携帯端末3に表示される。作業者は、ポップアップPを接触操作(タップ)することにより、携帯端末3を介してサーバ装置1にアクセスし、自分に依頼されているタスクの送信要求(確認)を行い、タスク情報を受信する。作業者は、受信したタスク情報に基づいて、昼休憩後に、管理者から指示された治療/種付、新生の個体に対する哺乳、牛舎の清掃、及び、搾乳等を行う。そして、作業者は、例えば17時等の就業時に、上述の完了ボタンを接触して、完了したタスクをサーバ装置1に通知する(完了通知)。この完了通知は、サーバ装置1の通信制御部26により、管理者の管理者端末2に転送される。管理者は、各作業者の携帯端末3から送信された完了通知に基づいて、指示したタスクの進捗状況等を把握し、今後のタスク情報の作成に反映させる。
【0037】
このように、管理者からのタスク情報を、管理者が指定した時刻(タイミング)に、サーバ装置1から作業者の携帯端末3に送信することで、作業者は、作業前又は作業が一段落した際等の、確認可能な時間にタスク情報を確認できる。従って、作業者に対して略確実に作業内容を伝達でき、作業内容の伝達性の向上及び作業の履行性の向上を図ることができる。
【0038】
図12は、産業動物に装着されたセンサ、管理者及び作業者の動作の流れを示す図である。この図12に示すように、通常時には、センサ4からのセンサ情報が、例えば朝5時、昼12時、夜7時等の決まった時間にサーバ装置1に送信される。サーバ装置1の分析部22は、各センサ4からのセンサ情報に基づいて、各個体の姿勢、動作、及び健康状態等を解析し、この解析結果を管理者の管理者端末2に送信する。
【0039】
管理者は、各個体の健康状態等に応じて飼育又は処置等のタスクを指示するためのタスク情報を登録する。なお、タスク情報には、タスクの実施時刻も含まれていても良い。サーバ装置1は、管理者により指定された通知タイミング情報(配信時刻)となった際に、各作業者に対してその日に実施するタスクの通知を行う。このタスク通知は、作業員が作業を行っている時間帯以外の時間帯に配信される。
【0040】
例えば、前日に完了チェックが行われていないタスクは、翌日に実施するタスクに含められて通知されることになる。また、午前中にその日に行うタスク情報の追加登録があった場合には、例えば昼の休憩中の通知タイミング情報(配信時刻)で当該タスクが通知されることになる。
【0041】
作業者は、携帯端末3を介してタスク通知を受信すると、サーバ装置1にアクセスして、自分に割り当てられたタスクを示すタスク情報を取得する。作業員は、取得したタスク情報に基づいて、搾乳及び清掃等のタスクを実行する。そして、作業員は、完了したタスクを示す完了通知を、携帯端末3を介してサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、作業者からの完了通知を管理者端末2に転送する。管理者端末2は、各作業者の携帯端末3からそれぞれ受信した完了通知に基づいて、完了したタスクを検出し、例えばカレンダー情報又は個体管理情報に反映させる。
【0042】
このように、タイミング管理部に管理された通知タイミングで、通知タイミングまでに登録されたタスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報を各作業者にまとめて通知することで、作業者は、作業が落ち着いた時間に自分のタスク内容を確認することができる。また、作業者は、タスク内容を一括で確認することができる。
【0043】
なお、図12においては、管理者がタスク情報を登録する例について説明したが、これに限るものではなく、作業者によるタスク情報の登録も可能である。
【0044】
(緊急時のシステム動作)
次に、飼育している産業動物の転倒、発情又は分娩等の緊急時におけるシステム動作を説明する。図13は、緊急時におけるシステム動作を示す模式図である。また、この緊急時のシステム動作の流れは、図12にも模式的に示している。この図12及び図13において、管理者は管理者端末2を操作して、緊急時における緊急情報の送信先を管理者端末2のみとする設定を、サーバ装置1のタスク登録部23に対して行う。
【0045】
サーバ装置1の分析部22は、センサ4からのセンサ出力を分析することで、産業動物の健康状態等を示す分析結果をタスク登録部23に供給する。タスク登録部23は、分析結果が、産業動物の「転倒」、「分娩」又は「発情」等の緊急時を示す分析結果である場合、管理者に対して緊急通知を行うようにタスク通知部21に依頼する。この例の場合、緊急通知は、管理者に対してのみ送信するように、予め設定されている。このため、タスク通知部21は、管理者の管理者端末2にのみ、緊急通知を行う。
【0046】
この緊急通知を受信すると、管理者は、管理者端末2を介してサーバ装置1に、緊急のタスクの登録を行う。サーバ装置1のタスク登録部23は、タスク記憶部17に、緊急のタスク情報を記憶する。また、タスク登録部23は、タスク通知部21に対して、緊急のタスク通知の送信を依頼する。タスク通知部21は、作業者に対して緊急のタスク通知を行う。
【0047】
作業者は、携帯端末3を介して緊急のタスク通知を受信すると、サーバ装置1に対して緊急のタスクの送信要求(確認)を行う。サーバ装置1のタスク登録部23は、緊急のタスクを示すタスク情報をタスク記憶部17から読み出し、タスク通知部21に転送する。タスク通知部21は、タスク記憶部17から読み出された緊急のタスクを示すタスク情報を、緊急のタスクの送信要求を行った作業者の携帯端末3に送信する。
【0048】
図14は、作業者の携帯端末3に表示される緊急のタスク画面である。この図14の例は、転倒している個体が1頭(1件)、分娩間近の個体が4頭(4件)及び発情している個体が2頭(2件)存在することを示している。作業者は、タスク画面のうち、「発情」の文字の表示領域を接触操作すると、携帯端末3の制御部は、図14に示すように、発情中の個体を示す情報を表示部に表示する。図14の例は、耳標「1234」の個体が、4月30日の午前5時30分に発情兆候を示し、また、耳標「5678」の個体が、4月30日の午前8時20分に発情兆候を示したことを意味している。
【0049】
作業者は、このような緊急のタスクを処理すると、緊急のタスク画面に表示されている完了ボタンを接触操作する。携帯端末3の制御部は、完了ボタンの操作を検出すると、サーバ装置1に、完了通知を行う。この完了通知は、サーバ装置1のタスク通知部21により、管理者の管理者端末2に転送される(図13の管理者一元管理用タスク通知)。これにより、管理者は、指示した緊急のタスクの進捗状況等を確認できる。
【0050】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態のタスク処理システムは、タイミング管理部に管理された通知タイミングで、通知タイミングまでに登録されたタスク情報のうち、所定の期間に実施するタスク情報を各作業者にまとめて通知する。これにより、作業者は、落ち着いた時間に自分のタスク内容を確認することができる。また、作業者は、タスク内容を一括で確認することが出来る。
【0051】
また、緊急時における緊急情報等の特別な情報の送信先を管理者端末2のみとすることで、緊急情報等の特別な情報を、通常の情報と区別して管理者で一元管理することができる。また、通常のタスクの登録手法と同じ登録手法で、緊急情報等の特別な情報に対応するタスクを登録可能とすることができる。
【0052】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 サーバ装置
2 管理者端末
3 携帯端末
4 センサ
5 ネットワーク
6 無線基地局
7 ゲートウェイ
11 CPU
17 タスク記憶部
21 タスク通知部
22 分析部
23 タスク登録部
24 アカウント管理部
25 通知タイミング管理部
26 通信制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【文献】特開2018-007613号公報
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