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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】重合体の製造方法、及び重合体
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/18 20060101AFI20220705BHJP
   C08F 2/04 20060101ALI20220705BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220705BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
C08F220/18
C08F2/04
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018207176
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070399
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿達 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】提箸 正義
(72)【発明者】
【氏名】小野 絵実子
(72)【発明者】
【氏名】小野塚 英之
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070033(JP,A)
【文献】国際公開第2013/024756(WO,A1)
【文献】特開2011-195812(JP,A)
【文献】特開2016-089124(JP,A)
【文献】特開2016-200651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00- 301/00
G03F 7/004
G03F 7/039
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)に由来する繰り返し単位、酸不安定基を有する単量体(B)に由来する繰り返し単位、及びフェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)に由来する繰り返し単位を含み、重合体中に含まれる単量体(A)の残存量が1.0質量%以下である重合体の製造方法であって、
単量体(A)が、下記式(A-1)~(A-3)のいずれかで表されるものであり、単量体(B)が、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものであり、単量体(C)が、下記式(C-1)で表されるものであり、
単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)を含む単量体溶液を、反応釜に供給する工程、及び前記反応釜内で重合反応を行う工程を含み、
前記反応釜内の単量体溶液中の単量体濃度が35質量%以上であり、前記単量体溶液の溶媒(S)が下記式(S-1)で表されるものを含む重合体の製造方法。
【化1】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、フェニレン基、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合、又は-Z21-C(=O)-O-である。Z21は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
11~R18は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R11とR12とが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、R13、R14及びR15のうちいずれか2つ以上が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、R16、R17及びR18のうちいずれか2つ以上が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。)
【化2】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。XAは、それぞれ独立に、酸不安定基である。R21は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L1は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L2は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。aは、a≦5+2c-bを満たす整数である。bは、1~5の整数である。cは、0~2の整数である。)
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R22は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L3は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L4は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。dは、d≦5+2f-eを満たす整数である。eは、1~5の整数である。fは、0~2の整数である。)
【化4】
(式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。pは、1~3の整数である。qは、0~2の整数である。)
【請求項2】
3 が、単結合、メチレン基、エチレン基、-O-Z 31 -、-C(=O)-O-Z 31 -又は-C(=O)-NH-Z 31 -であり、Z 31 が、炭素数1~6のアルカンジイル基又は炭素数2~6のアルケンジイル基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよいものである請求項1記載の重合体の製造方法。
【請求項3】
式(S-1)で表される溶媒が、γ-ブチロラクトンである請求項1又は2記載の重合体の製造方法。
【請求項4】
溶媒(S)が、更に下記式(S-2)で表されるものを含む請求項1~3のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【化5】
(式中、R 2 ~R 4 は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。rは、1~3の整数である。)
【請求項5】
式(S-2)で表される溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルである請求項記載の重合体の製造方法。
【請求項6】
溶媒(S)が、更にトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン及びメチルエチルケトンから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~5のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項7】
重合反応終了時点における反応溶液中の単量体(A)の残存量が、重合体に対し、1.5質量%以下である請求項1~6のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
前記単量体溶液とは独立に、開始剤溶液を反応釜内へ供給する請求項1~7のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項9】
重合反応後、得られた反応溶液を貧溶媒に添加し、精製を行う請求項1~8のいずれか1項記載の重合体の製造方法。
【請求項10】
露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)に由来する繰り返し単位、酸不安定基を有する単量体(B)に由来する繰り返し単位、及びフェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)に由来する繰り返し単位を含み、重合体中に含まれる単量体(A)の残存量が1.0質量%以下である重合体であって、
単量体(A)が、下記式(A-2)で表されるものであり、単量体(B)が、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものであり、単量体(C)が、下記式(C-1)で表されるものである重合体
【化6】
(式中、R A は、水素原子又はメチル基である。
2 は、単結合、又は-Z 21 -C(=O)-O-である。Z 21 は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。
13 ~R 15 は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R 13 、R 14 及びR 15 のうちいずれか2つ以上が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【化7】
(式中、R A は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。X A は、それぞれ独立に、酸不安定基である。R 21 は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L 1 は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L 2 は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。aは、a≦5+2c-bを満たす整数である。bは、1~5の整数である。cは、0~2の整数である。)
【化8】
(式中、R A は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R 22 は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L 3 は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L 4 は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。dは、d≦5+2f-eを満たす整数である。eは、1~5の整数である。fは、0~2の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体の製造方法、及び重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、微細化が急速に進んでいる。最先端の微細化技術としては、投影レンズと基板との間に水などの液体を挿入して露光を行うArF液浸リソグラフィーによる量産が行われ、ArFリソグラフィーの多重露光(マルチパターニング)、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィー等の検討が進められている。
【0003】
前記リソグラフィーに用いられる化学増幅レジスト組成物のうち、ベース樹脂の構成単位としては従来の酸脱離性単位やラクトン単位等に加え、露光によって分解し酸を発生する単位(以下、「酸発生剤単位」という)を含む共重合体を用いる場合がある。酸発生剤単位を含むベース樹脂は、ポリマー側鎖に酸発生剤単位を有することで、酸拡散を抑制することができ、高解像度のパターンを形成することが可能となる。このような共重合体としては、例えば特許文献1~4に記載されたものが検討されている。
【0004】
このような共重合体を製造する場合、従来の方法では、単量体が十分に消費されず、重合後の溶液や精製後の共重合体中に残存することがあった。特に、酸発生剤単位が残存した場合、共重合されポリマー主鎖に結合した酸発生単位に比べて、残存酸発生単位は酸拡散が大きく、十分に酸拡散を抑制することができない。このため、解像性やパターン形状をはじめとする諸性能のうち、特にエッジラフネス(LWR)の点において必ずしも満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-070033号公報
【文献】特開2012-048075号公報
【文献】国際公開第2013-111667号
【文献】特開2011-033839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
更なる微細化を進めるにあたって、従来検討されてきた酸発生剤単位を含むベース樹脂では解像性やレジストパターン形状をはじめとする諸性能の点で必ずしも十分ではなかった。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、残存単量体量が少なく、レジスト組成物に適用した場合に特に良好なLWRを示す重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、後述する式(S-1)又は(S-2)で表される溶媒を用いることによって、得られる重合体が残存する酸発生剤単位を与える単量体が少なく、これを特に電子線(EB)リソグラフィーやEUVリソグラフィーに適用した場合に、良好なLWRを示し、精密な微細加工に極めて有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記重合体の製造方法、及び重合体を提供する。
1.露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)に由来する繰り返し単位、酸不安定基を有する単量体(B)に由来する繰り返し単位、及びフェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)に由来する繰り返し単位を含み、重合体中に含まれる単量体(A)の残存量が1.0質量%以下である重合体の製造方法であって、
単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)を含む単量体溶液を、反応釜に供給する工程、及び前記反応釜内で重合反応を行う工程を含み、
前記反応釜内の単量体溶液中の単量体濃度が35質量%以上であり、前記単量体溶液の溶媒(S)が下記式(S-1)及び式(S-2)で表されるものから選ばれる少なくとも1種を含む重合体の製造方法。
【化1】
(式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。R2~R4は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。pは、1~3の整数である。qは、0~2の整数である。rは、1~3の整数である。)
2.単量体(A)が、下記式(A-1)~(A-3)のいずれかで表されるものである1の重合体の製造方法。
【化2】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、フェニレン基、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合、又は-Z21-C(=O)-O-である。Z21は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
11~R18は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。また、R11とR12とが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、R13、R14及びR15のうちいずれか2つ以上が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、R16、R17及びR18のうちいずれか2つ以上が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
-は、非求核性対向イオンである。)
3.単量体(B)が、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものである1又は2の重合体の製造方法。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。XAは、それぞれ独立に、酸不安定基である。R21は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L1は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L2は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。aは、a≦5+2c-bを満たす整数である。bは、1~5の整数である。cは、0~2の整数である。)
4.単量体(C)が、下記式(C-1)で表されるものである1~3のいずれかの重合体の製造方法。
【化4】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R22は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L3は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L4は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。dは、d≦5+2f-eを満たす整数である。eは、1~5の整数である。fは、0~2の整数である。)
5.式(S-1)で表される溶媒が、γ-ブチロラクトンである1~4のいずれかの重合体の製造方法。
6.式(S-2)で表される溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルである1~5のいずれかの重合体の製造方法。
7.重合反応終了時点における反応溶液中の単量体(A)の残存量が、重合体に対し、1.5質量%以下である1~6のいずれかの重合体の製造方法。
8.前記単量体溶液とは独立に、開始剤溶液を反応釜内へ供給する1~7のいずれかの重合体の製造方法。
9.重合反応後、得られた反応溶液を貧溶媒に添加し、精製を行う1~8のいずれかの重合体の製造方法。
10.露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)に由来する繰り返し単位、酸不安定基を有する単量体(B)に由来する繰り返し単位、及びフェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)に由来する繰り返し単位を含み、重合体中に含まれる単量体(A)の残存量が1.0質量%以下である重合体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の重合体の製造方法は、特にEBリソグラフィーやEUVリソグラフィーに好適な残存単量体の少ない重合体を得ることができ、本重合体を用いたレジスト組成物は、良好なLWRを達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の化学式において化学構造上、エナンチオマー、あるいはジアステレオマーが存在し得るものがあるが、特に記載がない限りいずれの場合も各化学式はこれらの立体異性体のすべてを代表して表すものとする。また、これらの立体異性体は、単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0012】
本発明は、露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)に由来する繰り返し単位、酸不安定基を有する単量体(B)に由来する繰り返し単位、及びフェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)に由来する繰り返し単位を含み、重合体中に含まれる単量体(A)の残存量が1.0質量%以下である重合体の製造方法である。
【0013】
[露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)]
露光により分解し、酸を発生する構造を含む単量体(A)としては、例えば、式(A-1)~(A-3)で表されるものが挙げられる。
【化5】
【0014】
式(A-1)~(A-3)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、フェニレン基、-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-又は-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基(-CO-)、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-O-)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2は、単結合、又は-Z21-C(=O)-O-である。Z21は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基である。Z3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6のアルカンジイル基、炭素数2~6のアルケンジイル基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
【0015】
式(A-1)~(A-3)中、R11~R18は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等のアリール基、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられ、好ましくはアリール基である。また、これらの基の水素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子といったヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その炭素-炭素原子間に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基が介在していてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物(-C(=O)-O-C(=O)-)、ハロアルキル基等を含んでもよい。R11とR12とは、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。R13、R14及びR15のうちいずれか2つ以上は、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、R16、R17及びR18のうちいずれか2つ以上は、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0016】
式(A-1)中、M-は、非求核性対向イオンである。
【0017】
式(A-2)中、Z2が-Z21-C(=O)-O-である場合、Z21で表されるヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の2価炭化水素基としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化6】
(式中、破線は結合手である。)
【0018】
式(A-2)及び(A-3)中、R13、R14及びR15のうちいずれか2つ以上が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成する場合、R16、R17及びR18のうちいずれか2つ以上が互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成する場合、スルホニウムカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
【化7】
(式中、R19は、R11~R18で表される基と同じである。)
【0020】
式(A-2)及び(A-3)中、スルホニウムカチオンの具体的な構造としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
【0021】
[酸不安定基を有する単量体(B)]
酸不安定基を有する単量体(B)としては、下記式(B-1)又は(B-2)で表されるものが挙げられる。
【化9】
【0022】
式(B-1)及び(B-2)中、RAは、前記と同じ。XAは、酸不安定基である。R21は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L1は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L2は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。aは、a≦5+2c-bを満たす整数である。bは、1~5の整数である。cは、0~2の整数である。
【0023】
式(B-2)中、R21で表されるエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基や、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化10】
(式中、破線は結合手である。)
【0024】
式(B-2)中、L2で表されるエーテル結合又はカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基や、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化11】
(式中、破線は結合手である。)
【0025】
式(B-1)又は(B-2)で表される単量体に由来する繰り返し単位を含む重合体は、酸の作用で分解してカルボキシ基又はフェノール性ヒドロキシ基を発生し、アルカリ可溶性となる。酸不安定基XAとしては種々用いることができるが、具体的には下記式(L1)~(L9)で表される基、炭素数4~20、好ましくは4~15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1~6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4~20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【0026】
【化12】
(式中、破線は結合手である。)
【0027】
式(L1)中、RL01及びRL02は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~18、好ましくは1~10のアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0028】
式(L1)中、RL03は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~18、好ましくは1~10の1価炭化水素基である。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。前記1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの基の水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等で置換されたもの、これらの基の炭素原子の一部が酸素原子等のヘテロ原子含有基で置換されたもの等が挙げられる。前記アルキル基としては、RL01及びRL02で表されるアルキル基として前述したものと同様のものが挙げられる。また、置換アルキル基としては、以下に示す基等が挙げられる。
【0029】
【化13】
【0030】
L01とRL02と、RL01とRL03と又はRL02とRL03とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、これらが結合して形成される基は、直鎖状又は分岐状の炭素数1~18、好ましくは1~10のアルカンジイル基である。
【0031】
式(L2)中、RL04は、炭素数4~20、好ましくは4~15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1~6のアルキル基であるトリアルキルシリル基、炭素数4~20のオキソアルキル基又は式(L1)で表される基である。kは、0~6の整数である。
【0032】
前記3級アルキル基としては、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2-シクロペンチルプロパン-2-イル基、2-シクロヘキシルプロパン-2-イル基、2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)プロパン-2-イル基、2-(アダマンタン-1-イル)プロパン-2-イル基、1-エチルシクロペンチル基、1-ブチルシクロペンチル基、1-エチルシクロヘキシル基、1-ブチルシクロヘキシル基、1-エチル-2-シクロペンテニル基、1-エチル-2-シクロヘキセニル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基等が挙げられる。前記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル-tert-ブチルシリル基等が挙げられる。前記オキソアルキル基としては、3-オキソシクロヘキシル基、4-メチル-2-オキソオキサン-4-イル基、5-メチル-2-オキソオキソラン-5-イル基等が挙げられる。
【0033】
式(L3)中、RL05は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~8のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの水素原子の一部が、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等で置換されていてもよい。前記アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基等が挙げられる。式(L3)中、mは0又は1であり、nは0~3の整数であり、2m+n=2又は3である。
【0034】
式(L4)中、RL06は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~10のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、RL05の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
【0035】
式(L4)中、RL07~RL16は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~15の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられ、これらの水素原子の一部が、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等で置換されていてもよい。RL07~RL16は、これらから選ばれる2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には、環の形成に関与する基は炭素数1~15の2価炭化水素基である。前記2価炭化水素基としては、前記1価炭化水素基として挙げたものから水素原子を1個除いたもの等が挙げられる。また、RL07~RL16は、隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0036】
式(L5)中、RL17~RL19は、それぞれ独立に、炭素数1~15のアルキル基である。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等が挙げられる。
【0037】
式(L6)中、RL20は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~10のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、RL05の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
【0038】
式(L7)中、RL21は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~10のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、RL05の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。RL22及びRL23は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、RL07~RL16の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。また、RL22とRL23とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環又は置換若しくは非置換のシクロヘキサン環を形成してもよい。RL24は、これが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環、置換若しくは非置換のシクロヘキサン環又は置換若しくは非置換のノルボルナン環を形成する2価の基である。sは、1又は2である。
【0039】
式(L8)中、RL25は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~10のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、RL05の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。RL26及びRL27は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、RL07~RL16の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。また、RL26とRL27とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環又は置換若しくは非置換のシクロヘキサン環を形成してもよい。RL28は、これが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環、置換若しくは非置換のシクロヘキサン環又は置換若しくは非置換のノルボルナン環を形成する2価の基である。tは、1又は2である。
【0040】
式(L9)中、RL29は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~10のアルキル基又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6~20のアリール基である。前記アルキル基及びアリール基の具体例としては、RL05の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。RL30及びRL31は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、RL07~RL16の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。また、RL30とRL31とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環又は置換若しくは非置換のシクロヘキサン環を形成してもよい。RL32は、これが結合する炭素原子と共に置換若しくは非置換のシクロペンタン環、置換若しくは非置換のシクロヘキサン環又は置換若しくは非置換のノルボルナン環を形成する2価の基である。
【0041】
式(L1)で表される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化14】
【0042】
式(L1)で表される酸不安定基のうち環状のものとしては、テトラヒドロフラン-2-イル基、2-メチルテトラヒドロフラン-2-イル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、2-メチルテトラヒドロピラン-2-イル基等が挙げられる。
【0043】
式(L2)で表される酸不安定基としては、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニルメチル基、1,1-ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1-ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1-エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1-エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1-エチル-2-シクロペンテニルオキシカルボニル基、1-エチル-2-シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1-エトキシエトキシカルボニルメチル基、2-テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2-テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0044】
式(L3)で表される酸不安定基としては、1-メチルシクロペンチル基、1-エチルシクロペンチル基、1-n-プロピルシクロペンチル基、1-イソプロピルシクロペンチル基、1-n-ブチルシクロペンチル基、1-sec-ブチルシクロペンチル基、1-tert-ブチルシクロペンチル基、1-シクロヘキシルシクロペンチル基、1-(4-メトキシ-n-ブチル)シクロペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、3-メチル-1-シクロペンテン-3-イル基、3-エチル-1-シクロペンテン-3-イル基、3-メチル-1-シクロヘキセン-3-イル基、3-エチル-1-シクロヘキセン-3-イル基等が挙げられる。
【0045】
式(L4)で表される酸不安定基としては、下記式(L4-1)~(L4-4)で表される基が特に好ましい。
【化15】
【0046】
式(L4-1)~(L4-4)中、破線は、結合位置及び結合方向を表す。RL41は、それぞれ独立に、炭素数1~10の1価炭化水素基である。前記1価炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。
【0047】
式(L4-1)~(L4-4)で表される基には、立体異性体(エナンチオマー又はジアステレオマー)が存在し得るが、式(L4-1)~(L4-4)をもってこれらの立体異性体の全てを代表して表す。酸不安定基XAが式(L4)で表される基である場合は、複数の立体異性体が含まれていてもよい。
【0048】
例えば、式(L4-3)は、下記式(L4-3-1)及び(L4-3-2)で表される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化16】
(式中、RL41は、前記と同じ。)
【0049】
また、式(L4-4)は、下記式(L4-4-1)~(L4-4-4)で表される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化17】
(式中、RL41は、前記と同じ。)
【0050】
式(L4-1)~(L4-4)、(L4-3-1)、(L4-3-2)、及び式(L4-4-1)~(L4-4-4)は、それらのエナンチオマー及びエナンチオマーの混合物をも代表して表すものとする。
【0051】
なお、式(L4-1)~(L4-4)、(L4-3-1)、(L4-3-2)、及び式(L4-4-1)~(L4-4-4)の結合方向が、それぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000-336121号公報参照)。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo-アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記式(L4-1-endo)~(L4-4-endo)で表されるendo-アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【化18】
(式中、RL41は、前記と同じ。)
【0052】
式(L4)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化19】
【0053】
式(L5)で表される酸不安定基としては、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化20】
【0054】
式(L6)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化21】
【0055】
式(L7)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化22】
【0056】
式(L8)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化23】
【0057】
式(L9)で表される酸不安定基としては、以下に示す基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化24】
【0058】
式(B-1)で表される単量体としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化25】
【0059】
【化26】
【0060】
【化27】
【0061】
【化28】
【0062】
式(B-2)で表される単量体としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化29】
【0063】
【化30】
【0064】
【化31】
【0065】
【化32】
【0066】
【化33】
【0067】
【化34】
【0068】
【化35】
【0069】
【化36】
【0070】
また、XAで表される酸不安定基のうち、炭素数4~20の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1~6のトリアルキルシリル基、及び炭素数4~20のオキソアルキル基としては、それぞれRL04の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
【0071】
[フェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)]
フェノール性ヒドロキシ基を有する単量体(C)としては、下記式(C-1)で表されるものが挙げられる。
【化37】
【0072】
式中、RAは、前記と同じである。R22は、それぞれ独立に、水素原子、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基である。L3は、単結合、カルボニルオキシ基又はアミド基である。L4は、単結合、又はエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基である。dは、d≦5+2f-eを満たす整数である。eは、1~5の整数である。fは、0~2の整数である。
【0073】
式(C-1)中、R22で表されるエーテル結合若しくはカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基や、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化38】
(式中、破線は結合手である。)
【0074】
式(C-1)中、L4で表されるエーテル結合又はカルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~7のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基や、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化39】
(式中、破線は結合手である。)
【0075】
式(C-1)で表される単量体としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化40】
【0076】
【化41】
【0077】
【化42】
【0078】
前記重合体は、単量体(A)~(C)に加え、必要に応じて下記式(D)で表される単量体(以下、単量体(D)ともいう。)、下記式(E)で表される単量体(以下、単量体(E)ともいう。)、及び/又は下記式(F)で表される単量体(以下、単量体(F)ともいう。)に由来する繰り返し単位を含んでもよい。
【化43】
【0079】
式(D)~(F)中、RAは、前記と同じである。R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロキシ基である。YAはラクトン構造を有する置換基又はスルトン構造を有する置換基である。ZAは、水素原子、炭素数1~15の1価のフッ素化炭化水素基又は炭素数1~15の1価のフルオロアルコール含有置換基を示す。)
【0080】
単量体(D)としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化44】
【0081】
単量体(E)としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化45】
【0082】
【化46】
【0083】
【化47】
【0084】
【化48】
【0085】
【化49】
【0086】
単量体(F)としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化50】
【0087】
前記重合体は、前述したもの以外の炭素-炭素二重結合を有する単量体、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0 .12,5.177,1 0]ドデセン誘導体等の環状オレフィン類;無水イタコン酸等の不飽和酸無水物;α-メチレン-γ-ブチロラクトン類;α-メチルスチレン類等のその他の単量体に由来する繰り返し単位を含んでもよい。
【0088】
前記重合体において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されない。
(I)単量体(A)に由来する繰り返し単位の1種又は2種以上を1~50モル%、好ましくは1~30モル%、より好ましくは1~20モル%。
(II)単量体(B)に由来する繰り返し単位の1種又は2種以上を1~98モル%、好ましくは1~80モル%、より好ましくは10~70モル%。
(III)単量体(C)に由来する繰り返し単位の1種又は2種以上を1~98%以下、好ましくは1~80モル%、より好ましくは10~70モル%。
(IV)単量体(A)~(C)以外の単量体に由来する繰り返し単位の1種又は2種以上を0~97モル%、好ましくは0~70モル%、より好ましくは0~50モル%。
【0089】
前記重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,000~500,000が好ましく、3,000~100,000がより好ましい。Mwが前記範囲であれば、エッチング耐性が良好であり、露光前後のコントラストが確保され、解像性も良好である。なお、本発明においてMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0090】
更に、重合体の分子量分布(Mw/Mn)が極端に広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンが微細化するに従ってこのようなMwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、前記重合体のMw/Mnは、1.0~3.0が好ましく、1.0~2.5がより好ましい。
【0091】
前記重合体の製造方法は、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)を含む単量体溶液を、反応釜に供給する工程、及び前記反応釜内で重合反応を行う工程を含むものである。
【0092】
単量体(A)~(C)に由来する繰り返し単位に加えて、前述した単量体(D)~(F)や前記その他の単量体に由来する繰り返し単位を含む重合体を製造する場合は、前記単量体溶液に、更に単量体(D)~(F)や前記その他の単量体を加えればよい。
【0093】
前記重合反応としては、前記単量体を溶媒(S)に溶解し、得られた単量体溶液に重合開始剤を加えて加熱し、重合を行う方法が挙げられる。前記重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、1,1'-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。これらの開始剤の添加量は、重合させる単量体の合計に対し、0.01~25モル%であることが好ましい。反応温度は、50~150℃が好ましく、60~100℃がより好ましい。反応時間は2~24時間が好ましく、生産効率の観点から2~12時間がより好ましい。
【0094】
前記重合開始剤は、前記単量体溶液へ添加して反応釜へ供給してもよいし、前記単量体溶液とは別に開始剤溶液を調製し、それぞれを独立に反応釜へ供給してもよい。待機時間中に開始剤から生じたラジカルによって重合反応が進み超高分子体が生成する可能性があることから、品質管理の観点からモノマー溶液と開始剤溶液とは、それぞれ独立に調製して滴下することが好ましい。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。また、分子量の調整のためにドデシルメルカプタンや2-メルカプトエタノールのような公知の連鎖移動剤を併用してもよい。この場合、これらの連鎖移動剤の添加量は、重合させる単量体の合計に対し、0.01~20モル%であることが好ましい。
【0095】
本発明の製造方法においては、前記反応釜内の単量体溶液中の単量体濃度を35質量%以上にして重合反応を行う。このようにして重合反応を行うことで、生産効率を損なわない程度の反応時間内に単量体が十分に消費され、重合後及び精製後の残存単量体量を低値に抑えることが可能となる。35質量%未満で重合を行う場合、同程度の残存単量体量とするためには反応時間を延ばす必要があり、生産効率の面で不利である。
【0096】
なお、前記単量体溶液中の各単量体の量は、例えば、前述した繰り返し単位の好ましい含有割合となるように適宜設定すればよい。
【0097】
溶媒(S)は、下記式(S-1)及び式(S-2)で表されるものから選ばれる少なくとも1種を含むものである。
【化51】
【0098】
式(S-1)及び(S-2)中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。R2~R4は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基である。pは、1~3の整数である。qは、0~2の整数である。rは、1~3の整数である。
【0099】
前記置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、及びこれらの基の水素原子がヒドロキシ基等で置換された基等が挙げられる。
【0100】
式(S-1)で表される溶媒としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化52】
【0101】
式(S-2)で表される溶媒としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化53】
【0102】
溶媒(S)の使用量は、重合に使用する全溶媒中1~100質量%が好ましく、10~100質量%がより好ましく、20~100質量%が更に好ましい。溶媒(S)を用いることで単量体(A)を高濃度で溶解することができ、単量体溶液の単量体濃度を従来よりも高くすることが可能となる。特に、式(S-1)で表される溶媒を用いたとき、単量体(A)を高濃度で溶解することができる。これにより、重合反応における単量体の転化率が伸びやすくなり、重合反応後の残存単量体を低減させることができる。
【0103】
このほか、重合時に使用できる有機溶媒としては、溶媒(S)として挙げたもの以外に、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられ、溶媒(S)と併用してもよい。また、必要に応じて、重合反応前に窒素気流によるバブリングや減圧を行い、溶存酸素を系外に除去する工程を行ってもよい。
【0104】
重合反応工程後、必要に応じて貧溶媒へ反応溶液を添加し、再沈殿等を行う精製工程を含んでもよい。この際用いる貧溶媒としては、ポリマーの種類に応じて適宜選択できるが、代表的なものとしては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;水等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0105】
また、本発明の重合体の製造方法は、反応終了後、得られた反応溶液中の単量体(A)の残存量が1.5質量%以下であることを特徴とし、精製して得られた重合体中の単量体(A)の残存量が1.0質量%以下であることを特徴としている。残存単量体量を低減することで、欠陥を抑制し、品質の安定化を図ることができ、その残存量は0.7質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。残存単量体量は、主に高速液体クロマトグラフィーによって定量することができる。
【0106】
本発明の製造方法で得られた重合体は、重合反応によって得られた反応溶液を最終製品としてもよいし、重合液を貧溶媒へ添加し粉体を得る再沈殿法等の精製工程を経て得た粉体を最終製品として取り扱ってもよいが、作業効率や品質安定化の観点から精製工程によって得た粉体を溶媒へ溶かした重合体溶液を最終製品として取り扱うことが好ましい。その際に用いる溶媒の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、メチル-2-n-アミルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類;γ-ブチロラクトン(GBL)等のラクトン類;ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の高沸点のアルコール系溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0107】
前記重合体溶液中、重合体の濃度は、0.01~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましい。
【0108】
前記反応溶液や重合体溶液は、フィルターろ過を行うことが好ましい。フィルターろ過を行うことによって、欠陥の原因となり得る異物やゲルを除去することができ、品質安定化の面で有効である。
【0109】
前記フィルターろ過に用いるフィルターの材質としては、フルオロカーボン系、セルロース系、ナイロン系、ポリエステル系、炭化水素系等の材質のものが挙げられるが、レジスト組成物のろ過工程では、いわゆるテフロン(登録商標)と呼ばれるフルオロカーボン系やポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素系又はナイロンで形成されているフィルターが好ましい。フィルターの孔径は、目標とする清浄度に合わせて適宜選択できるが、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。また、これらのフィルターを1種単独で使ってもよいし、複数のフィルターを組み合わせて使用してもよい。ろ過方法は、溶液を1回のみ通過されるだけでもよいが、溶液を循環させ複数回ろ過を行うことがより好ましい。ろ過工程は、重合体の製造工程において任意の順番、回数で行うことができるが、重合反応後の反応溶液、重合体溶液又はその両方をろ過することが好ましい。
【実施例
【0110】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、Mwは、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0111】
実施例において使用した単量体(A)(MA-1~MA-3)、単量体(B)(MB-1,MB-2)、及び単量体(C)(MC-1~MC-3)は、以下のとおりである。
【化54】
【0112】
[1]重合体の製造
[実施例1-1]重合体P-1の製造
窒素雰囲気下、MA-1 21.5g、MB-1 16.3g、MC-1 12.1g、及び2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル4.47gを、GBL69.6gに溶解させ、溶液を調製した。その溶液を、窒素雰囲気下80℃で攪拌したGBL23.2gに4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液は、80℃を保ったまま4時間攪拌し、室温まで冷却し、その後、超純水1,000gに滴下した。析出した固形物をろ別し、50℃で20時間真空乾燥して、白色固体状の重合体P-1を得た。収量は45g、収率は90%であり、Mwは11,500、Mw/Mnは2.10、重合反応終了後の反応溶液における残存MA-1量は0.90質量%、再沈殿後の重合体中の残存MA-1量は0.30質量%だった。
【0113】
[実施例1-2~1-12、比較例1-1~1-5]重合体P-2~P-12、比較重合体PC-1~PC-5の製造
各単量体の種類、配合比、重合溶媒を適宜変更した以外は、実施例1-1と同様の方法で、重合体P-2~P-12、及び比較例用の比較重合体PC-1~PC-5を製造した。
【0114】
【表1】
【0115】
[2]レジスト組成物の調製
[実施例2-1~2-12、比較例2-1~2-5]
前記重合体(P-1~P-12)及び比較例用の重合体(PC-1~PC-5)をベース樹脂として用い、酸発生剤、クエンチャー、含フッ素ポリマー及び溶媒を表2に示す組成で添加し、混合して溶解させた後、それらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)でろ過し、レジスト組成物(R-1~R-12)及び比較例用のレジスト組成物(RC-1~RC-5)を調製した。なお、溶媒は全て、界面活性剤としてKH-20(旭硝子(株)製)を0.01質量%含むものを用いた。
【0116】
【表2】
【0117】
表2中、略号で示した酸発生剤、クエンチャー及び含フッ素ポリマーは、それぞれ以下のとおりである。
【0118】
・酸発生剤:PAG-1
【化55】
【0119】
・クエンチャー:Q-1
【化56】
【0120】
・含フッ素ポリマー:F-1
【化57】
【0121】
[3]EUV露光評価
[実施例3-1~3-12、比較例3-1~3-5]
レジスト組成物(R-1~R-12、RC-1~RC-5)を、それぞれ信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を20nm膜厚で形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚30nmのレジスト膜を作製した。前記レジスト膜を、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、ダイポール照明)を用いて露光し、ホットプレートで表3記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間現像を行って、16nmの1:1ラインアンドスペースパターンを得た。16nmの1:1ラインアンドスペースパターンを形成する露光量を感度とし、(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(CG5000)を用いて、前記ラインアンドスペースパターンのLWRを測定した。評価結果を表3に示す。
【0122】
【表3】
【0123】
表3に示した結果より、本発明の製造方法で製造した重合体を用いたレジスト組成物は、公知の重合方法で製造した重合体に比べてLWRに優れることが確認された。