IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図1
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図2
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図3
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図4
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図5
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図6
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図7
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図8
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図9
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図10
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図11
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図12
  • 特許-画像処理装置、方法およびプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】画像処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20220705BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220705BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20220705BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220705BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20220705BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220705BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20220705BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H04N1/387 110
G06T1/00 500A
H04N1/387
G06T1/00 280
H04N5/66 D
G09G5/00 530M
G09G5/36 520M
G09G5/36 520K
G09G5/36 520D
G09G5/38 A
G09G5/02 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020541067
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2019030258
(87)【国際公開番号】W WO2020049914
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2018166965
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】板垣 和幸
(72)【発明者】
【氏名】狩野 喬俊
(72)【発明者】
【氏名】大関 誠
(72)【発明者】
【氏名】林 伸治
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002423(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2750372(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/160663(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
G06T 1/00
H04N 5/66
G09G 5/00
G09G 5/377
G09G 5/36
G09G 5/38
G09G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像から抽出したオブジェクトを、第2の画像へ合成する画像処理装置であって、
前記オブジェクトの属性情報である第1属性情報と、前記オブジェクトの周囲の属性情報である周囲属性情報と、前記第2の画像の属性情報である第2属性情報とを取得する属性情報取得部と、
前記第1属性情報と、前記周囲属性情報と、前記第2属性情報とに基づき、前記オブジェクトを前記第2の画像へ合成する際のレイアウトを決定する決定部と、
前記決定部の決定したレイアウトと前記第1属性情報と前記周囲属性情報と前記第2属性情報とに基づいて、前記第2の画像および前記オブジェクトのうち少なくとも一方を補正する補正部と、
前記決定部の決定したレイアウトに基づいて、前記オブジェクトを前記第2の画像に合成する合成部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記周囲属性情報は、前記第1の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾き、サイズ、前記オブジェクトの前記第1の画像の被写体上の位置およびオブジェクトの周囲の被写体の色のうち少なくとも1つを含み、
前記第2属性情報は、前記第2の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾き、サイズおよび被写体の色のうち少なくとも1つを含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記第1の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾きと前記第2の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾きとの差分に応じて、
前記オブジェクトを回転および/または変形させるレイアウトを決定する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記オブジェクトを回転および/または変形させるレイアウトは射影変換によって行われる請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記オブジェクトの前記第2の画像の被写体上の位置が前記オブジェクトの前記第1の画像の被写体上の位置と適合するレイアウトを決定する請求項2~4のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の画像の被写体上の位置は、前記第1の画像の被写体の顔の額および頬のうち少なくとも1つを含み、
前記第2の画像の被写体上の位置は、前記第2の画像の被写体の顔の額および頬のうち少なくとも1つを含む請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記第1の画像の被写体のサイズと前記第2の画像の被写体のサイズとの差分に応じて、前記オブジェクトのサイズを拡大または縮小することで前記オブジェクトを補正する請求項1~6のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記オブジェクトの色を前記第2の画像の色と適合する色に補正する請求項1~7のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記補正部は、前記第2の画像に配置された前記オブジェクトの周囲の属性に適合するよう前記オブジェクトを補正する請求項1~8のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の画像に配置された前記オブジェクトの周囲の属性は光沢および反射率のうち少なくとも1つを含み、
前記補正部は、前記オブジェクトの周囲の属性に応じて前記オブジェクトに鏡像を付加することで前記オブジェクトを補正する請求項1~9のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記補正部は、前記第2の画像の属性が前記オブジェクトの属性に適合するよう前記第2の画像を補正する請求項1~10のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記オブジェクトの属性は文字のぼけを含む請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記オブジェクトは文字および図柄のうち少なくとも1つを含む請求項1~12のうちいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
コンピュータが、第1の画像から抽出したオブジェクトを、第2の画像へ合成する画像処理方法であって、
前記オブジェクトの属性情報である第1属性情報と、前記オブジェクトの周囲の属性情報である周囲属性情報と、前記第2の画像の属性情報である第2属性情報とを取得するステップと、
前記第1属性情報と、前記周囲属性情報と、前記第2属性情報とに基づき、前記オブジェクトを前記第2の画像へ合成する際のレイアウトを決定するステップと、
前記レイアウトと前記第1属性情報と前記周囲属性情報と前記第2属性情報とに基づいて、前記第2の画像および前記オブジェクトのうち少なくとも一方を補正するステップと、
前記レイアウトに基づいて、前記オブジェクトを前記第2の画像に合成するステップと、
を実行する画像処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項16】
非一時的かつコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記記録媒体に格納された指令がコンピュータによって読み取られた場合に請求項14に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させる記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、方法およびプログラムに関し、特に、画像から抽出されたオブジェクトを他の画像にレイアウトする画像処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動またはユーザ操作に基づいて画像から任意のオブジェクトを抽出する技術、および画像から抽出されたオブジェクトを別の画像に貼り付けるレイアウトを行う画像編集技術が存在する。
【0003】
特許文献1は、名刺を撮影した画像からロゴマークを抽出し、ロゴマークから属性(氏名、住所、会社名)を判断し、抽出した文字情報を補正することで、文字の認識精度を上げることが記載されている。
【0004】
特許文献2は、写真から顔パーツを抽出し、本人の特徴に合わせて顔パーツを誇張補正し、素材情報(有名人の顔など)に合成することを開示している。
【0005】
その他、本願発明に関連する技術として、特許文献3および4が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-282094号公報
【文献】特開2005-228185号公報
【文献】特許5636807号公報
【文献】特開平6-342457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像からオブジェクトを抽出する作業、抽出されたオブジェクトを編集する作業、または編集されたオブジェクトを別の画像の任意の位置に配置する作業は、画面の小さなスマートフォンなどの携帯情報端末で行うことが困難である。
【0008】
このような作業を伴うアプリやネットサービスを提供する場合、ユーザの手数を減らさないと、ユーザの負担が増し、サービスを利用する楽しみが減ってしまうため、利用されなくなってしまう。
【0009】
特許文献1~4はいずれも、デスクトップパソコンでの作業を前提としており、画面の小さな携帯情報端末で操作負担を軽減する技術を開示していない。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、画像から抽出されたオブジェクトを他の画像にレイアウトする作業を効率化し、当該作業を行うユーザの負担を減らすことのできる画像処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の第1の態様に係る画像処理装置は、第1の画像から抽出したオブジェクトを、第2の画像へ合成する画像処理装置であって、オブジェクトの属性情報である第1属性情報と、オブジェクトの周囲の属性情報である周囲属性情報と、第2の画像の属性情報である第2属性情報とを取得する属性情報取得部と、第1属性情報と、周囲属性情報と、第2属性情報とに基づき、オブジェクトを第2の画像へ合成する際のレイアウトを決定する決定部と、決定部の決定したレイアウトと第1属性情報と周囲属性情報と第2属性情報とに基づいて、第2の画像およびオブジェクトのうち少なくとも一方を補正する補正部と、決定部の決定したレイアウトに基づいて、オブジェクトを第2の画像に合成する合成部と、を備える。
【0012】
本願発明の第2の態様に係る画像処理装置において、周囲属性情報は、第1の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾き、サイズ、オブジェクトの第1の画像の被写体上の位置およびオブジェクトの周囲の被写体の色のうち少なくとも1つを含み、第2属性情報は、第2の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾き、サイズおよび被写体の色のうち少なくとも1つを含む。
【0013】
本願発明の第3の態様に係る画像処理装置において、決定部は、第1の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾きと第2の画像の被写体のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾きとの差分に応じて、オブジェクトを回転および/または変形させるレイアウトを決定する。
【0014】
本願発明の第4の態様に係る画像処理装置において、オブジェクトを回転および/または変形させるレイアウトは射影変換によって行われる。
【0015】
本願発明の第5の態様に係る画像処理装置において、決定部は、オブジェクトの第2の画像の被写体上の位置がオブジェクトの第1の画像の被写体上の位置と適合するレイアウトを決定する。
【0016】
本願発明の第6の態様に係る画像処理装置において、第1の画像の被写体上の位置は、第1の画像の被写体の顔の額および頬のうち少なくとも1つを含み、第2の画像の被写体上の位置は、第2の画像の被写体の顔の額および頬のうち少なくとも1つを含む。
【0017】
本願発明の第7の態様に係る画像処理装置において、補正部は、第1の画像の被写体のサイズと第2の画像の被写体のサイズとの差分に応じて、オブジェクトのサイズを拡大または縮小することでオブジェクトを補正する。
【0018】
本願発明の第8の態様に係る画像処理装置において、補正部は、オブジェクトの色を第2の画像の色と適合する色に補正する。
【0019】
本願発明の第9の態様に係る画像処理装置において、補正部は、第2の画像に配置されたオブジェクトの周囲の属性に適合するようオブジェクトを補正する。
【0020】
本願発明の第10の態様に係る画像処理装置において、第2の画像に配置されたオブジェクトの周囲の属性は光沢および反射率のうち少なくとも1つを含み、補正部は、オブジェクトの周囲の属性に応じてオブジェクトに鏡像を付加することでオブジェクトを補正する。
【0021】
本願発明の第11の態様に係る画像処理装置において、補正部は、第2の画像の属性がオブジェクトの属性に適合するよう第2の画像を補正する。
【0022】
本願発明の第12の態様に係る画像処理装置において、オブジェクトの属性は文字のぼけを含む。
【0023】
本願発明の第13の態様に係る画像処理装置において、オブジェクトは文字および図柄のうち少なくとも1つを含む。
【0024】
本願発明の第14の態様に係る画像処理方法は、コンピュータが、第1の画像から抽出したオブジェクトを、第2の画像へ合成する画像処理方法であって、オブジェクトの属性情報である第1属性情報と、オブジェクトの周囲の属性情報である周囲属性情報と、第2の画像の属性情報である第2属性情報とを取得するステップと、第1属性情報と、周囲属性情報と、第2属性情報とに基づき、オブジェクトを第2の画像へ合成する際のレイアウトを決定するステップと、レイアウトと第1属性情報と周囲属性情報と第2属性情報とに基づいて、第2の画像およびオブジェクトのうち少なくとも一方を補正するステップと、レイアウトに基づいて、オブジェクトを第2の画像に合成するステップと、を実行する。
【0025】
本願発明の第15の態様に係る画像処理プログラムは、第14態様に係る画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0026】
この発明は、第1属性情報と、周囲属性情報と、第2属性情報とに基づき、オブジェクトを第2の画像へ合成する際のレイアウトを決定するとともに、決定部の決定したレイアウトと第1属性情報と周囲属性情報と第2属性情報とに基づいて、第2の画像およびオブジェクトのうち少なくとも一方を補正する。このため、ユーザが第1の画像のオブジェクトと第2の画像の属性情報を目視で確認して手動で補正を行う必要がなく、画像から抽出されたオブジェクトを他の画像にレイアウトする作業を効率化し、当該作業を行うユーザの負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】画像処理装置100のブロック構成図
図2】第1画像の一例を示す図
図3】オブジェクト属性情報テーブルT1の一例を示す図
図4】オブジェクト属性情報テーブルT2の一例を示す図
図5】第2画像の一例を示す図
図6】第2画像属性情報テーブルT3の一例を示す図
図7】オブジェクト合成処理の流れを示すフローチャート
図8】第2画像におけるオブジェクトOBJ1を白黒反転したオブジェクトobj1の合成位置の一例を示す図
図9】第2画像におけるオブジェクトOBJ2をアフィン変換したオブジェクトobj2の合成位置の一例を示す図
図10】オブジェクト”ABCDEFG”のロゴの合成された画像の撮影シーンの一例を示す図
図11】オブジェクト”ABCDEFG”のロゴOBJ3を白黒反転したオブジェクトobj3の合成された画像の撮影シーンの一例を示す図
図12】ロゴOBJ4が鏡面反射した状態の装飾画像をオブジェクトOBJ4に付加する補正の施されたオブジェクトobj4の合成の一例を示す図
図13】「速」のオブジェクトobj5の動体ぶれに対応して第2画像の「新幹線」の被写体OBJ6に「動体ぶれ」の画像修飾が与えられた補正の行われたオブジェクトobj6の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明の好ましい実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。画像処理装置100は、第1画像取得部11、第2画像取得部12、オブジェクト抽出部13、オブジェクト属性情報抽出部14、第2画像属性情報抽出部15、レイアウト決定部16、補正部17、合成部18、表示部19、表示制御部20、属性情報データベース(Database,DBと略称)21を備える。
【0029】
画像処理装置100自体は、典型的には、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型パソコンなどの携帯型情報処理端末で構成できるが、デスクトップ型コンピュータで構成されてもよい。
【0030】
第1画像取得部11、第2画像取得部12、オブジェクト抽出部13、オブジェクト属性情報抽出部14、第2画像属性情報抽出部15、レイアウト決定部16、補正部17、合成部18は、1または複数のコンピュータ(プロセッサ)により構成されうる。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),GPU(Graphics Processing Unit)などを含む。
【0031】
表示部19は液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。また表示制御部20はディスプレイドライバIC(Integrated Circuit)などで構成される。
【0032】
属性情報データベース21は、SDRAM、フラッシュメモリなどの各種メモリで構成されるが、クラウドコンピューティングにより構成されてもよい。
【0033】
第1画像取得部11は、撮像装置、外部の半導体メモリ、ネットワークを介して接続された外部のサーバなどから、第1画像を取得する。第1画像は、オブジェクトの抽出元となる画像である。
【0034】
図2は第1画像の一例を示す。この第1画像は、人物の顔の額に施されたロゴ”JAPAN”のペイントであるOBJ1と、人物の顔の頬部分に施された日の丸型のペイントであるオブジェクトOBJ2を有している。
【0035】
第2画像取得部12は、撮像装置、外部の半導体メモリ、ネットワークを介して接続された外部のサーバなどから、第2画像を取得する。第2画像は、第1画像から抽出されたオブジェクトの合成先となる画像である。
【0036】
オブジェクト抽出部13は、第1画像取得部11の取得した第1画像からオブジェクトを抽出する。
【0037】
オブジェクト属性情報抽出部14は、抽出されたオブジェクトの画像に関する属性情報であるオブジェクト属性情報と、第1画像において抽出されたオブジェクトの周囲の画像の属性情報であるオブジェクト周囲属性情報を抽出する。
【0038】
オブジェクト属性情報は、オブジェクトの種類、オブジェクトの位置、オブジェクトの種類がロゴなどの文字の場合はその文字情報、オブジェクトのサイズ、オブジェクトの色情報などを含む。
【0039】
また、オブジェクト周囲属性情報は、抽出されたオブジェクトの被写体像の種類(例えば人物の顔)、抽出されたオブジェクトの被写体像の向き(例えば正面向き)、抽出されたオブジェクトの被写体像のサイズ、抽出されたオブジェクトの被写体像のヨー方向、ピッチ方向、ロール方向の傾きの傾き角度、抽出されたオブジェクトの被写体像における位置(例えば額、頬など)、抽出されたオブジェクトの周囲の被写体像の色(例えば周囲の被写体が人の額であった場合はその人の肌の色、周囲の被写体が夜景であった場合は黒色)などを含む。
【0040】
なお、ヨー方向とは、前後、左右、上下が決まった被写体の、上下の軸を中心にして回転する方向(すなわち、水平面内での回転方向)をいい、ピッチ方向とは、左右の軸を中心にして回転する方向をいい、ロール方向とは、前後の軸を中心にして回転する方向をいう。
【0041】
図3に例示するように、抽出されたオブジェクトOBJ1に関するオブジェクト属性情報およびオブジェクト周囲属性情報は、オブジェクト属性情報テーブルT1として属性情報DB21に記憶される。
【0042】
また図4に例示するように、抽出されたオブジェクトOBJ2に関するオブジェクト属性情報およびオブジェクト周囲属性情報は、オブジェクト属性情報テーブルT2として属性情報DB21に記憶される。
【0043】
オブジェクト属性情報テーブルはオブジェクトの抽出の度に作成される。
【0044】
第2画像属性情報抽出部15は、第2画像取得部12の取得した第2画像の属性情報を抽出する。第2画像の属性情報は、第2画像の被写体の種類(例えば顔)、第2画像の被写体のサイズ、色の異なる領域の座標およびその領域に割り当てられた色などを含む。
【0045】
図5は第2画像の一例を示す。この第2画像では、被写体の顔画像Fに、黒色の髪部分の領域R1、右目の領域R2、左目の領域R3、鼻の領域R4、口の領域R5、手の領域R6が含まれている。
【0046】
図6に例示するように、第2画像属性情報は、第2画像属性情報テーブルT3として属性情報DB21に記憶される。第2画像属性情報テーブルは第2画像の取得がされたときに一度作成されれば足りる。
【0047】
レイアウト決定部16は、オブジェクト属性情報、オブジェクト周囲属性情報、および第2画像属性情報に基づき、第2画像におけるオブジェクトのレイアウト(合成位置)を決定する。
【0048】
補正部17は、オブジェクト属性情報、オブジェクト周囲属性情報、および第2画像属性情報に基づき、抽出されたオブジェクトおよび第2画像の少なくとも一方を補正する。
【0049】
合成部18は、オブジェクト(オブジェクトが補正されていれば補正されたオブジェクト)を、第2画像(第2画像補正されていれば補正された第2画像)の合成位置に合成した合成画像を作成する。
【0050】
表示部19は、表示制御部20の制御に従って、第1画像、第2画像、抽出されたオブジェクト、補正されたオブジェクト、補正された第2画像、合成画像などの任意の画像を表示する。
【0051】
表示制御部20はユーザ指示や各種プログラムに従って表示部19の表示内容を切り替える制御を行う。
【0052】
図7は画像処理装置100の実行するオブジェクト合成処理の流れを示すフローチャートである。この処理を画像処理装置100やその他各種のコンピュータ(プロセッサ)に実行させるためのプログラムは、SDRAM,ROM,CD-ROMなど、画像処理装置100やその他各種のコンピュータ(プロセッサ)読み取り可能な記録媒体に記録されている。
【0053】
S1では、第1画像取得部11は、第1画像を取得する。
【0054】
S2では、オブジェクト抽出部13は、第1画像からオブジェクトを抽出する。
【0055】
S3では、オブジェクト属性情報抽出部14は、抽出されたオブジェクトからオブジェクト属性情報を抽出する。
【0056】
S4では、オブジェクト属性情報抽出部14は、第1画像において抽出されたオブジェクトの周囲の画像の属性情報であるオブジェクト周囲属性情報を抽出する。
【0057】
S5では、第2画像取得部12は、第2画像を取得する。
【0058】
S6では、第2画像属性情報抽出部15は、第2画像の属性情報を抽出する。
【0059】
S7では、レイアウト決定部16は、オブジェクト属性情報、オブジェクト周囲属性情報、および第2画像属性情報に基づき、第2画像におけるオブジェクトの合成位置を決定する。
【0060】
S8では、補正部17は、オブジェクト属性情報、オブジェクト周囲属性情報、および第2画像属性情報に基づき、抽出されたオブジェクトおよび第2画像の少なくとも一方を補正する。
【0061】
S9では、合成部18は、オブジェクト(オブジェクトが補正されていれば補正されたオブジェクト)を、第2画像(第2画像補正されていれば補正された第2画像)の合成位置に合成した合成画像を作成する。
【0062】
S10では、表示制御部20は、合成画像を表示部19に表示するよう制御する。
【0063】
図8~13はオブジェクトおよび/または第2画像の補正、オブジェクトのレイアウト、およびオブジェクトと第2画像の合成画像の例を示す。
【0064】
図8に例示するように、第1画像におけるオブジェクトOBJ1の位置が「額」であれば、第2画像におけるオブジェクトOBJ1の合成位置は「額」と決定する。
【0065】
また図8に例示するように、オブジェクト”JAPAN”のロゴのオブジェクトOBJ1の属性情報における色が「黒」であり、第2画像属性情報におけるオブジェクトの合成位置の属する領域の色が「ブラウン」であったとする。この場合、黒のロゴをブラウンの領域に合成すると、ロゴが見えづらくなってしまう。従って、黒のロゴを白に反転する補正が行われたロゴ”JAPAN”のオブジェクトobj1が額に合成され、合成画像Fs1が得られる。
【0066】
また図9に例示するように、オブジェクトOBJ2の位置が「左頬」であれば、第2画像におけるオブジェクトの合成位置は「左頬」と決定する。
【0067】
また図9に例示するように、日の丸のペイントのオブジェクトOBJ2(図2)のオブジェクト属性情報における被写体向きが「正面」であり、第2画像属性情報における被写体向きが、右ヨー方向に45度および下ピッチ方向に10度であれば、オブジェクトOBJ2を右ヨー方向に45度および下ピッチ方向に10度の向きになるよう平行移動・回転・拡大または縮小するアフィン変換(より一般的には射影変換)を施す補正を施したオブジェクトobj2を合成することで、合成画像Fs2が得られる。
【0068】
また例えば図10に例示するように、ロゴ”ABCDEFG”のオブジェクトOBJ3のオブジェクト属性情報における色が「黒」、オブジェクト周囲属性情報の撮影シーンが「日中」であり、第2画像属性情報における撮影シーンが「夜景」であったとする。この場合、この黒のロゴを夜景に合成すると、ロゴが見えづらくなってしまう。従って、黒のロゴを白に反転する補正が行われたロゴ”ABCDEFG”のオブジェクトobj3が合成される。合成位置は第1画像および第2画像で共通する画像右下の位置に決定される。このオブジェクトobj3と第2画像が合成されることで合成画像Fsが得られる。
【0069】
なお撮影シーンの情報は画像のタグ情報(Exif:Exchangeable image file format)などに含まれる撮影日時情報や、画像の明度(輝度)・彩度・色相の色情報などから取得または推定できる。
【0070】
また例えば図12に例示するように、第2画像属性情報における被写体種類が「氷」の場合、第1画像から抽出されたロゴ”ABCDEFG”のオブジェクトOBJ4が鏡面反射した状態の装飾画像をロゴ”ABCDEFG”のオブジェクトOBJ4に付加する補正を行い、補正後のオブジェクトobj4が得られる。この補正後のオブジェクトobj4が第2画像の下部に合成された合成画像Fs3が得られる。
【0071】
また例えば図13に例示するように、「速」のオブジェクトobj5のオブジェクト属性情報に含まれる文字情報が「速」、文字修飾の種類が「動体ぶれ」であり、第2画像属性情報に含まれるオブジェクトOBJ6の被写体種類が「新幹線」の場合、第2画像の「新幹線」のオブジェクトOBJ6に「動体ぶれ」の画像修飾を与える補正を行うことでオブジェクトobj6を得る。「速」のオブジェクトobj5の合成位置は第2画像の空白部分に決定される。「速」のオブジェクトobj5が第2画像に合成されることで、合成画像Fs4が得られる。
【0072】
また、図8~13において、共通する補正としては、オブジェクトサイズの調整が含まれる。すなわち、オブジェクト属性情報に含まれるオブジェクトサイズとオブジェクト周囲属性情報に含まれる第1画像の被写体サイズとの比が、合成後の第2画像の被写体との関係でも保たれるよう、オブジェクトの拡大または縮小が行われる。
【0073】
このように、第1画像のオブジェクトの属性情報抽出、第1画像から抽出されたオブジェクトの周囲属性情報、第2画像の属性情報に基づいて、第1画像のオブジェクトおよび第2画像の少なくとも一方の補正が行われること、また第画像のオブジェクトの第2画像への合成位置の決定が行われる。従って、ユーザはオブジェクトの補正、第2画像の補正、合成位置の決定を手動操作にて行う必要なく合成画像を得ることができる。
【0074】
このため、ユーザが第1画像のオブジェクトと第2画像の属性情報を目視で確認して手動で補正を行う必要がなく、画像から抽出されたオブジェクトを他の画像にレイアウトする作業を効率化し、当該作業を行うユーザの負担を減らすことができる。
【符号の説明】
【0075】
11 第1画像取得部
12 第2画像取得部
13 オブジェクト抽出部
14 オブジェクト属性情報抽出部
15 第2画像属性情報抽出部
16 レイアウト決定部
17 補正部
18 合成部
19 表示部
20 表示制御部
21 属性情報データベース
100 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13