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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】マルチビーム検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/28 20060101AFI20220705BHJP
   H01J 37/147 20060101ALI20220705BHJP
   H01J 37/153 20060101ALI20220705BHJP
   H01J 37/12 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/147 B
H01J37/153 B
H01J37/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020555034
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019059206
(87)【国際公開番号】W WO2019211072
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】62/665,451
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032791(JP,A)
【文献】特表2013-508991(JP,A)
【文献】特表2011-517130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小構造アレイであって、
前記アレイの中心軸からの第1半径方向シフト及び第1配向角を有する多極構造の第1グループを備え、
前記第1半径方向シフトは、等しいか又は実質的に等しく、
前記多極構造の第1グループの前記第1配向角は、等しいか又は実質的に等しく、
前記多極構造の第1グループは、対応する電極を含み、
前記対応する電極は、電気的に接続されると共に第1ドライバによって駆動される、微小構造アレイ。
【請求項2】
前記第1ドライバは、前記多極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームレットの第1グループを偏向させる微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項3】
前記第1ドライバは、前記多極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第1グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項4】
前記中心軸からの第2半径方向シフト及び第2配向角を有する多極構造の第2グループを更に備え、
前記第2半径方向シフトは、等しいか又は実質的に等しく、
前記多極構造の第2グループの前記第2配向角は、等しいか又は実質的に等しく、
前記多極構造の第2グループは、対応する電極を含み、
前記対応する電極は、電気的に接続されると共に第2ドライバによって駆動される、請求項2に記載の微小構造アレイ。
【請求項5】
前記第2ドライバは、前記多極構造の第2グループが前記荷電粒子マルチビーム装置においてビームレットの第2グループを偏向させる微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、請求項4に記載の微小構造アレイ。
【請求項6】
前記第2ドライバは、前記多極構造の第2グループが前記荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第2グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、請求項4に記載の微小構造アレイ。
【請求項7】
前記中心軸から第2半径方向シフトを有する単極構造の第1グループを更に備え、
前記第2半径方向シフトは、等しいか又は実質的に等しく、
前記単極構造の第1グループは、対応する電極を含み、
前記対応する電極は、電気的に接続されると共に第2ドライバによって駆動される、請求項2に記載の微小構造アレイ。
【請求項8】
前記第2ドライバは、前記単極構造の第1グループが前記荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第2グループの像面湾曲収差を補償する微小レンズとして機能することを可能とするように構成されている、請求項7に記載の微小構造アレイ。
【請求項9】
前記第1グループの第1微小極構造は、電子源の虚像を形成するように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項10】
前記第1グループの各微小極構造は、電子源の虚像を形成するように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項11】
前記第1グループの各微小極構造は、同じ単一の電子源の異なる虚像を形成するように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項12】
前記第1グループの第1微小極構造は、前記第1微小極構造の中心軸に対して実質的に垂直な電場を発生するように構成されている、請求項1に記載の微小構造アレイ。
【請求項13】
荷電粒子装置におけるソース変換ユニットであって、
前記装置の光軸からの第1半径方向シフト及び第1配向角を有する多極構造の第1グループを含む第1微小構造アレイを備え、
前記第1半径方向シフトは、等しいか又は実質的に等しく、
前記多極構造の第1グループの前記第1配向角は、同一であるか又は実質的に同一であり、
前記多極構造の第1グループは、対応する電極を含み、
前記対応する電極は、電気的に接続されると共に前記第1微小構造アレイに関連付けられた第1ドライバによって駆動される、ソース変換ユニット。
【請求項14】
前記第1ドライバは、前記多極構造の第1グループが荷電粒子ビームのビームレットの第1グループを偏向させて前記装置においてプローブスポットの第1グループを形成する微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、請求項13に記載のソース変換ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年5月1日に出願された米国出願第62/665,451号の優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、マルチビーム検査装置を開示し、更に具体的には、改良されたソース変換ユニットを含むマルチビーム検査装置を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する場合、製造プロセス中にウェーハ及び/又はマスク上にパターン欠陥及び/又は望ましくない粒子(残留物)が生じることは避けられず、これによって歩留まりは大幅に低下する。例えば、ますます高度化するICチップの性能要件を満足させるために、より小さいクリティカルフィーチャ寸法のパターンが使用されているが、そのようなパターンでは望ましくない粒子が問題となる可能性がある。
【0004】
[0004] 欠陥及び/又は望ましくない粒子を検出するため、単一の電子ビームを用いるパターン検査ツールが使用されている。これらのツールは通常、走査電子顕微鏡(SEM)を利用する。SEMでは、比較的高いエネルギを有する一次電子ビームを減速させて、比較的低い入射エネルギ(landing energy)でサンプルに入射させ、サンプル上で集束させてプローブスポットを形成する。この一次電子の集束プローブスポットにより、表面から二次ビームが発生する。プローブスポットをサンプル表面でスキャンし、二次電子を収集することによって、パターン検査ツールはサンプル表面の像を取得することができる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、マルチビーム検査装置を提供し、更に具体的には、改良されたソース変換ユニットを含むマルチビーム検査装置を提供する。いくつかの実施形態では、単極構造の第1グループを含む微小構造アレイが提供される。単極構造の第1グループはアレイの中心軸から第1半径方向シフトを有し、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しい。更に、単極構造の第1グループは対応する電極を含み、これらの対応する電極は電気的に接続されると共に第1ドライバによって駆動される。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、多極構造の第1グループを含む微小構造アレイが提供される。多極構造の第1グループは、アレイの中心軸からの第1半径方向シフト及び第1配向角を有し、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、第1配向角は等しいか又は実質的に等しい。更に、多極構造の第1グループは対応する電極を含み、これらの対応する電極は電気的に接続されると共に第1ドライバによって駆動される。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、荷電粒子装置におけるソース変換ユニットが提供される。ソース変換ユニットは、多極構造の第1グループを含む第1微小構造アレイを含む。多極構造の第1グループは、装置の光軸からの第1半径方向シフト及び第1配向角を有し、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、第1配向角は同一であるか又は実質的に同一である。更に、多極構造の第1グループは対応する電極を含み、これらの対応する電極は、電気的に接続されると共に、第1微小構造アレイに関連付けられた第1ドライバによって駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 本開示の上記の態様及び他の態様は、例示的な実施形態の記載を添付図面と関連付けて検討することによって更に明らかとなろう。
【0009】
図1】[0009] 本開示の実施形態に従った、例示的な電子ビーム検査(EBI:electron beam inspection)システムを示す概略図である。
図2】[0010] 本開示の実施形態に従った、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図3A】[0011] 本開示の実施形態に従った、図1の例示的な電子ビーム検査システムのソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。
図3B】[0012] 対応する半径方向に対する例示的な偏向特性を示す。
図3C】[0012] 対応する半径方向に対する例示的な偏向特性を示す。
図3D】[0013] ダイポール構成を有する例示的な多極構造を示す。
図3E】[0014] 四極構成を有する例示的な多極構造を示す。
図3F】[0015] 八極構成を有する例示的な多極構造を示す。
図4A】[0016] 多極構造アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図4B】[0016] 多極構造アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図5A】[0017] 本開示の実施形態に従った、像形成要素アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図5B】[0018] 本開示の実施形態に従った、別の像形成要素アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図5C】[0019] 本開示の実施形態に従った、像形成要素アレイ及び補助微小偏向器アレイを含む例示的な構成を示す概略図である。
図6A】[0020] 本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図6B】[0021] 本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイの別の例示的な構成を示す概略図である。
図6C】[0022] 本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイ及び補助微小レンズアレイを含む例示的な構成の一部を示す概略図である。
図7A】[0023] 本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図7B】[0024] 本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイの別の例示的な構成を示す概略図である。
図7C】[0025] 本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイ及び補助微小非点収差補正器(micro-stigmator)アレイを含む例示的な構成の一部を示す概略図である。
図8A】[0026] 本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイの一部を含む像面湾曲補償器アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図8B】[0027] 本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイの一部を含む非点収差補償器アレイの例示的な構成を示す概略図である。
図9】[0028] 本開示の実施形態に従った、微細構造(micro-structure)に関連付けられたドライバを制御するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図10】[0029] 本開示の実施形態に従った、微細構造アレイを形成するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0030] これより、添付図面に例が示されている例示的な実施形態を詳しく参照する。以下の記載は添付図面を参照するが、特に他の指示がない限り、様々な図において同一の番号は同一の又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の記載で述べられる実施は、本発明に従った全ての実施を表すわけではなく、単に、添付の特許請求の範囲で挙げられている本発明に関連する態様に従った装置及び方法の例に過ぎない。
【0011】
[0031] 明確さのため、図面におけるコンポーネントの相対的な寸法は誇張される場合がある。図面の以下の記載内では、同一の又は同様の参照番号は同一の又は同様のコンポーネント又は要素(entity)を指し示し、個々の実施形態に関する相違点のみが記載される。
【0012】
[0032] 保護の範囲を限定することなく、実施形態の全ての記載及び図面は例として電子ビームに言及する。しかしながら、実施形態は本発明を特定の荷電粒子に限定するようには用いられない。
【0013】
[0033] これより、本開示の実施形態に従った、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である図1を参照する。図1に示されているように、荷電粒子ビーム検査システム1は、主チャンバ10と、ロード/ロックチャンバ20と、電子ビームツール100と、機器フロントエンドモジュール(EFEM:front end module)30と、を含む。電子ビームツール100は主チャンバ10内に配置されている。
【0014】
[0034] EFEM30は、第1ローディングポート30a及び第2ローディングポート30bを含む。EFEM30は1又は複数の追加のローディングポートを含むことも可能である。第1ローディングポート30a及び第2ローディングポート30bは例えば、検査対象のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は1もしくは複数の他の材料で作製されたウェーハ)、又はサンプルを収容したFOUP(front opening unified pod)を受容することができる(以降、ウェーハ及びサンプルをまとめて「ウェーハ」と呼ぶ)。EFEM30内の1つ以上のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハをロード/ロックチャンバ20へ移送する。
【0015】
[0035] ロード/ロックチャンバ20はロード/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されており、このロード/ロック真空ポンプシステムは、ロード/ロックチャンバ20内のガス分子を除去して大気圧未満の第1圧力を達成する。第1圧力に達した後、1つ以上のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハをロード/ロックチャンバ20から主チャンバ10へ移送する。主チャンバ10は主チャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続されており、この主チャンバ真空ポンプシステムは、主チャンバ10内のガス分子を除去して第1圧力未満の第2圧力を達成する。第2圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール100による検査を受ける。
【0016】
[0036] 電子ビームツール100にはコントローラ109が電子的に接続されている。コントローラ109は、EBIシステム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータとすればよい。コントローラ109は図1において、主チャンバ10、ロード/ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外側に示されているが、コントローラ109をこの構造の一部としてもよいことは認められよう。本開示は電子ビーム検査システムを収容する主チャンバ10の例を与えるが、本開示の態様は、最も広い意味では、電子ビーム検査システムを収容するチャンバに限定されないことに留意するべきである。前述の原理は、第2圧力下で動作する他のツールにも適用できることは認められよう。
【0017】
[0037] これより、本開示の実施形態に従った、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部である例示的なマルチビーム装置100を示す概略図である図2を参照する。電子ビームツール100(本明細書では装置100とも呼ばれる)は、電子源101と、銃開口プレート171と、コンデンサレンズ110と、ソース変換ユニット120と、一次投影光学システム130と、サンプル表面7を有するサンプル8と、二次結像システム150と、電子検出デバイス140Mと、を備えている。一次投影光学システム130は、対物レンズ131を含み得る。電子検出デバイス140Mは、複数の検出要素140_1、140_2、及び140_3を含み得る。一次投影光学システム130の内部に、ビームセパレータ160及び偏向スキャンユニット132を配置することができる。
【0018】
[0038] 電子源101、銃開口プレート171、コンデンサレンズ110、ソース変換ユニット120、ビームセパレータ160、偏向スキャンユニット132、及び一次投影光学システム130は、装置100の一次光軸100_1と位置合わせすることができる。二次結像システム150及び電子検出デバイス140Mは、装置100の二次光軸150_1と位置合わせすることができる。
【0019】
[0039] 電子源101は、カソード(図示せず)及び抽出器及び/又はアノード(図示せず)を含むことができ、動作中、電子源101はカソードから一次電子を放出するように構成され、この一次電子は抽出器及び/又はアノードによって抽出及び/又は加速されて、一次ビームクロスオーバ(仮想(virtual)又は実)101sを形成する一次電子ビーム102を形成する。一次電子ビーム102は、一次ビームクロスオーバ101sから放出されているように可視化できる。
【0020】
[0040] ソース変換ユニット120は、像形成要素アレイ(図2は示されていない)と、像面湾曲補償器アレイ(図2には示されていない)と、非点収差補償器アレイ(図2には示されていない)と、ビーム制限開口アレイ(図2には示されていない)と、を含み得る。ソース変換ユニット120の一例は、米国特許第9,691,586号、米国公報第2017/0025243号、及び国際出願第PCT/EP2017/084429号で見ることができる。これらは全て援用により全体が本願に含まれる。像形成要素アレイは、複数の微小偏向器及び/又は微小レンズを含み、一次電子ビーム102の複数の一次ビームレット(beamlet)102_1、102_2、102_3に影響を与えると共に、これら一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の各々に1つずつ、一次ビームクロスオーバ101sの複数の平行な像(虚(virtual)又は実)を形成することができる。いくつかの実施形態では、例えば微小偏向器を用いて一次ビーム102の複数の一次ビームレット102_1、102_2、102_3に影響を与える場合、電子源101の複数の虚像が形成される。他の実施形態では、例えば微小レンズを用いて一次ビーム102の複数の一次ビームレット102_1、102_2、102_3に影響を与える場合、電子源101の複数の実像が形成される。像面湾曲補償器アレイは、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の像面湾曲収差を補償する複数の微小レンズを含み得る。非点収差補償器アレイは、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の非点収差を補償する複数の微小非点収差補正器を含み得る。ビーム制限開口アレイは、個々の一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の直径を制限するように構成できる。図2は一例として3つの一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3を示すが、ソース変換ユニット120は任意の数の一次ビームレットを形成するように構成できることは認められよう。ソース変換ユニット120は、図1のEBIシステムの動作を制御するための様々な制御信号を発生できるコントローラ109に接続することができる。
【0021】
[0041] コンデンサレンズ110は、一次電子ビーム102を集束するように構成されている。コンデンサレンズ110は更に、コンデンサレンズ110の集束力(focusing power)を変動させることによって、ソース変換ユニット120の下流の一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の電流を調整するように構成できる。あるいは、個々の一次ビームレットに対応するビーム制限開口アレイ内のビーム制限開口の半径方向サイズを変更することによって、電流を変化させてもよい。電流の変化は、ビーム制限開口の半径方向サイズとコンデンサレンズ110の集束力の双方を変更することで行ってもよい。コンデンサレンズ110は、第1主面の位置が可動であるように構成できる可動コンデンサレンズとしてもよい。可動コンデンサレンズは、回転角を有する磁気型に構成することで、軸外ビームレット102_2及び102_3をビームレット制限機構(例えば図3Aのビームレット制限開口アレイ121等)に入射させることができる。回転角は、可動コンデンサレンズの集束力と第1主面の位置と共に変化する。いくつかの実施形態では、可動コンデンサレンズは、可動の第1主面を有する非回転レンズを含む、可動の非回転コンデンサレンズとすることができる。可動コンデンサレンズは、援用により全体が本願に含まれる米国公報第2017/0025241号に更に記載されている。非回転レンズ及び非回転可動コンデンサレンズは、援用により全体が本願に含まれる国際出願第PCT/EP2017/084429号に更に記載されている。
【0022】
[0042] 対物レンズ131(以下で更に説明する)は、検査のためにビームレット102_1、102_2、及び102_3をサンプル8上に集束させるよう構成することができ、本実施形態では、表面7上に3つのプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sを形成できる。銃開口プレート171は、動作中、一次電子ビーム102の周辺電子を遮断してクーロン効果を低減するように構成されている。クーロン効果は、一次ビームレット102_1、102_2、102_3のプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sの各々のサイズを拡大させ、これによって検査分解能を劣化させる可能性がある。
【0023】
[0043] ビームセパレータ160は例えば、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(双方とも図2には示されていない)を発生する静電偏向器を含むウィーンフィルタ(Wien filter)とすればよい。動作中、ビームセパレータ160は、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の個々の電子に対し、静電双極子場E1によって静電力を加えるように構成できる。静電力は、個々の電子に対してビームセパレータ160の磁気双極子場B1によって加えられる磁力と大きさは等しいが方向は反対である。従って、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3は、少なくとも実質的にゼロの偏向角で少なくとも実質的に真っすぐビームセパレータ160を通過し得る。
【0024】
[0044] 偏向スキャンユニット132は、動作中、一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3を偏向させて、プローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sを表面7のセクション内の個々のスキャンエリアでスキャンするように構成されている。一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3がプローブスポット102_1s、102_2s、及び102_3sに入射することに応答して、電子がサンプル8から放出され、3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを発生する。二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seの各々は典型的に、二次電子(≦50eVの電子エネルギを有する)及び後方散乱電子(50eVと一次ビームレット102_1、102_2、及び102_3の入射エネルギとの間の電子エネルギを有する)を含む様々なエネルギを有する電子を含む。ビームセパレータ160は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを二次結像システム150の方へ偏向させるように構成されている。この後、二次結像システム150は、二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを電子検出デバイス140Mの検出要素140_1、140_2、及び140_3上に集束させる。検出要素140_1、140_2、及び140_3は、対応する二次電子ビーム102_1se、102_2se、及び102_3seを検出し、対応する信号を発生するように配置されている。これらの信号は、例えばサンプル8の対応するスキャンエリアの像を構築するため、信号処理ユニット(図示せず)に送信される。
【0025】
[0045] これより、本開示の実施形態に従った、図1の例示的な電子ビーム検査システムのソース変換ユニット120の例示的な構成を含む例示的なマルチビーム装置200Aの概略図である図3Aを参照する。いくつかの実施形態において、装置200Aは、電子源101と、銃開口プレート171と、コンデンサレンズ110と、ソース変換ユニット120と、対物レンズ131と、サンプル表面7を有するサンプル8と、を備え得る。電子源101、銃開口プレート171、コンデンサレンズ110、ソース変換ユニット120、及び対物レンズ131は、装置の一次光軸200_1と位置合わせされている。電子源101は、一次光軸200_1に沿って、ソースクロスオーバ(仮想又は実)101sと共に、一次電子ビーム102を発生する。銃開口プレート171は、一次電子ビーム102の周辺電子を遮断してクーロン効果を低減させる。一次電子ビーム102は、プレビームレット形成機構(pre-beamlet forming mechanism)(図示せず)の3つのビームレット形成開口(図示せず)によって調整して、3つのビームレット102_1、102_2、及び102_3にすることができる。
【0026】
[0046] コンデンサレンズ110は、3つのビームレット102_1~102_3を集束して、一次光軸200_1に沿った、ソース変換ユニット120に垂直に入射する平行ビームとすることができる。
【0027】
[0047] いくつかの実施形態において、ソース変換ユニット120は、一次電子ビーム102のビームレット102_1、102_2、及び102_3を制限するように構成されたビーム制限開口121_1、121_2、及び121_3を有するビームレット制限開口アレイ121を含み得る。また、ソース変換ユニット120は、ビームレット102_1、102_2、及び102_3を光軸200_1の方へ偏向させてプローブスポット102_1S、102_2S、及び102_3Sを形成するように構成された像形成微小偏向器122_1d、122_2d、及び122_3dを有する像形成要素アレイ122-1も含み得る。ソース変換ユニット120は更に、プローブスポット102_1S、102_2S、及び102_3Sの収差を補償するように構成された収差補償器アレイ122_2を含み得る。いくつかの実施形態において、収差補償器アレイ122_2は、プローブスポット102_1S、102_2S、及び102_3Sの像面湾曲収差をそれぞれ補償するように構成された微小レンズ122_1l、122_2l、及び122_3lを有する像面湾曲補償器アレイ122_2fcを含み得る。いくつかの実施形態において、収差補償器アレイ122_2は、プローブスポット102_1S、102_2S、及び102_3Sの非点収差をそれぞれ補償するように構成された微小非点収差補正器122_1s、122_2s、及び122_3sを有する非点収差補償器アレイ122_2asを含み得る。いくつかの実施形態において、像形成要素アレイ122-1、像面湾曲補償器アレイ122_2fc、及び非点収差補償器アレイ122-2asは、それぞれ多層の微小偏向器、微小レンズ、及び微小非点収差補正器を含み得る。多層アレイは、全体が本願に含まれる米国特許出願第62/567,134号に更に記載されている。
【0028】
[0048] ソース変換ユニット120において、一次電子ビーム102のビームレット102_1、102_2、及び102_3はそれぞれ、像形成要素アレイ122-1の微小偏向器122_1d、122_2d、及び122_3dによって一次光軸200_1の方へ偏向される。ビームレット102_1は、微小偏向器122_1dへ到達する前にすでに光軸200_1上にあり、従ってビームレット102_1は微小偏向器122_1dによって偏向されない場合があることは認められよう。
【0029】
[0049] 対物レンズ131は、サンプル8の表面7上にビームレットを集束させる、すなわち、表面7上に3つの虚像を投影する。3つのビームレット102_1~102_3によって表面7上に形成された3つの像は、3つのプローブスポット102_1S、102_2S、及び102_3Sを形成する。ビームレット102_1~102_3の偏向角は、対物レンズ131に起因する3つのプローブスポット102_1S~102_3Sの軸外収差を低減させるように調整されており、このため3つの偏向したビームレットは、対物レンズ131の前焦点を通過するか又はこれに近付く。プローブスポットを形成するために用いられる偏向角は、ビームレットの半径方向シフト(光軸200_1からの距離)に対応する。例えば、同一の半径方向シフトを有するビームレットは、同一の又は実質的に同一の偏向角を有する。また、ビームレットの偏向方向は対応する半径方向シフト方向に関連している。更に、同一の又は実質的に同一の半径方向シフトを有するビームレットの収差(例えば像面湾曲収差及び非点収差)は同一又は実質的に同一であり、非点収差の方向は半径方向シフトの方向に関連している。
【0030】
[0050] また、ビームレットの偏向方向は、電子源101又はサンプル8における磁場の存在に基づいて変化し得る。いくつかの実施形態では、電子源101もサンプル8も、磁場(図示せず)内に入っていない場合がある。そのような実施形態では、図3Bに示されるように、偏向方向は半径方向シフト方向と反対である。図3Bにおいて、ビームレット102_2及び102_3の偏向方向102_2D及び102_3Dは、対応する半径方向シフト方向102_2R及び102_3Rと反対である。他の実施形態では、電子源101及びサンプル8の少なくとも1つが磁場内に入っている場合がある。そのような実施形態では、図3Cに示されるように、偏向方向は半径方向シフト方向に対して偏向回転角に回転している。図3Cにおいて、ビームレット102_2及び102_3の偏向方向102_2D及び102_3Dは、対応する半径方向シフト方向102_2R及び102_3Rに対して偏向回転角βだけ回転している。
【0031】
[0051] これより、本開示の実施形態に従った、ダイポール構成を有する例示的な多極構造を示す図3Dを参照する。多極構造は2つ以上のセグメント化電極を含む。いくつかの実施形態において、多極構造は図3Aの光軸200_1から半径方向にシフトし得る。多極構造は、中心軸と、1対の対向するセグメント化電極を二等分する1つ以上の対称面Pと、を有し得る。多極構造の配向方向Aは、対称面のうち1つの方向であり、中心軸に対して垂直である。多極構造の半径方向シフト方向Rは、図3Aの光軸200_1から中心軸への方向である。図3Dに示されている例示的なダイポール構成では、配向方向A及び半径方向シフト方向Rによって配向角αが形成される。同様に、図3E及び図3Fに、それぞれ四極構成及び八極構成を有する例示的な多極構造が示されている。ダイポール構造は、その配向方向(例えば図3Dの配向方向A)に双極子場のみを発生させ得る。従って、微小偏向器としてダイポール構造が用いられる場合、配向方向が対応するビームレットの偏向方向と一致するようにダイポール構造を位置決めすることができる。
【0032】
[0052] いくつかの実施形態では、電場である双極子場が微小偏向器によって発生され、これは一次光軸200_1に対して実質的に垂直である。図3Aにおいて、ビームレットがソース変換ユニット122に入射したときのビームレットの経路は、一次光軸200_1に平行である。更に、電場が存在する場合、この電場は、ビームレットがソース変換ユニット122に入射するときのビームレットの経路に対して発散した(例えば平行でない)方向にビームレットを曲げる可能性があり、これは図3Aでは一次光軸200_1からも発散している。例えば図3Aにおいて、122_2dは多極微小偏向器であり、極対のそれぞれがダイポールの極を形成する。ダイポールが励起された場合、極間に電場が形成され、この電場は、一次光軸200_1と、ビームレット102_2がソース変換ユニット120に入射したときのビームレット102_2の経路と、に対して実質的に垂直である。これらは双方とも微小偏向器122_2dの中心軸に平行である。更に、電場は、ビームレット102_2がソース変換ユニット120に入射したときのビームレット102_2の経路である一次光軸200_1から、及び偏向器122_2dの中心軸から、発散した方向にビームレット102_2を偏向させる。
【0033】
[0053] 微小偏向器として四極構造又は八極構造が用いられる場合、四極構造又は八極構造は、各電極に印加される電場を制御することによって、中心軸に対して垂直な任意の方向に双極子場を発生させ得る。また、四極構造は、その配向方向(例えば図3Eの配向方向A)と位置合わせされた四極場のみを発生させ得る。従って、微小非点収差補正器として四極構造が用いられる場合、配向方向が対応するビームレットの非点収差方向と一致するように四極構造を位置決めすることができる。微小非点収差補正器として八極構造が用いられる場合は、各電極に印加される電圧を制御することにより、中心軸に対して垂直な任意の方向に四極場を発生させ得るので、そのような制限は存在しない。
【0034】
[0054] 例えば、全ての電極に1つの電圧が印加される場合、多極構造は微小レンズとして機能するように構成されている。多極構造が4つのセグメント化電極を有し(すなわち四極構造)、2対の対向する電極に、絶対値が同じであるが極性が反対である2つの電圧が印加される場合、この多極構造は四極場を有する微小非点収差補正器として機能するように構成され、四極場の値は変化し得るが方向は固定されている。例えば図3Eにおいて、電極e1及びe3にV1が印加され、電極e2及びe4に-V1が印加される場合、多極構造はそのような種類の微小非点収差補正器として機能する。V1を変化させることによって四極場の値を変更できる。多極構造が8つのセグメント化電極を有し(すなわち八極構造)、2対の対向する電極に、絶対値が同じであるが極性が反対である2つの電圧が印加され、他の2対の対向する電極に、絶対値が同じであるが極性が反対である他の2つの電圧が印加される場合、多極構造は微小非点収差補正器として機能するように構成され、その四極場は値と方向の双方が変化し得る。例えば図3Fにおいて、電極e1及びe5にV1が印加され、電極e3及びe7に-V1が印加され、電極e2及びe6にV2が印加され、電極e4及びe8に-V2が印加される場合、多極構造はそのような種類の微小非点収差補正器として機能する。V1及びV2を変化させることによって四極場の値及び方向を変更できる。多極構造が4つのセグメント化電極を有し(すなわち四極構造)、1対の対向する電極に、絶対値が同じであるが極性が反対である2つの電圧が印加され、他の1対の対向する電極に、絶対値が同じであるが極性が反対である他の2つの電圧が印加される場合、多極構造は微小偏向器として機能するように構成されている。例えば図3Eにおいて、電極e2にV1が印加され、電極e4に-V1が印加され、電極e1にV2が印加され、電極e3に-V2が印加される場合、多極構造は微小偏向器として機能する。V1及びV2を変化させることによって双極子場の値及び方向を変更できる。
【0035】
[0055] これより、本開示の実施形態に従った、図3Aの像形成要素アレイの例示的な構成を示す概略図である図4Aを参照する。この実施形態において、各微小偏向器は、個々に独立して励起される8つのセグメント化電極を有する八極構造を含む。例えばこの実施形態では、微小偏向器122_2dの8つの電極は、励起ドライバ122_2d_Dの8つの出力によって個々に駆動される。更に、9つの微小偏向器は別々に制御する必要がある。従って、この3行3列のアレイ構造では、合計で9つのドライバと72の接続回路線が必要である。また、使用するビームレット数が増えるにつれて、微小偏向器を接続する回路はますます複雑になり、接続線における励起電圧はますます大きくなる。ビームレット数が増加するにつれて、この複雑度の増大が問題を引き起こす恐れがある。第1に、隣接する接続ライン間の電気的干渉によって、信号インテグリティの維持における問題が発生し得る。更に、電圧が充分に高い場合、2つの隣接する線間の電場によってアーク放電が発生し得る。第2に、これらのドライバが1つ以上の真空チャンバ内部に配置されている場合、これらのドライバによって発生する熱がシステムの性能を劣化させ、加熱したドライバのガス放出(outgassing)が真空状態のレベルを低下させる可能性がある。同様の問題が、単極構造を有する像面湾曲補償器アレイにも存在する。これは図4Bに示されている。単極構造は1つ以上の環状電極を含む。従って、マルチビームシステムが使用するビームレット数の増加に伴って、複雑度の増大は問題を引き起こし、これによりスループットを限定する。1つの解決策(図示せず)が、援用により全体が本願に含まれる米国特許出願第62/567,134号に提案されている。この解決策は、図4Aの1つ以上の微小偏向器122-1を図4Bの対応する微小レンズ122-2fcと交換することであり、例えば、122-1の微小偏向器122_2dを122-2fcの微小レンズ122_2lと交換することである。本開示は、以下に記載される他の解決策を提案する。
【0036】
[0056] これより、本開示の実施形態に従った、像形成要素アレイ122-1の例示的な構成を示す概略図である図5Aを参照する。いくつかの実施形態では、像形成アレイ122-1は、同一の配向角αを有するように位置決めされた複数の微小偏向器122_1d~122_25dを含み得る。図5Aにおいて、配向角αは一例として22.5度に等しい。図5Bでは、配向角は別の例としてゼロ度に等しい。例えば微小偏向器122_2d、122_3d、122_6d、及び122_16dのような、マルチビーム装置の光軸(図3AのZ軸における200_1)から同一の半径方向シフトを有する微小偏向器では、対応するビームレットの偏向角は等しいか又は実質的に等しくすることができる。更に、図3B及び図3Cで記載されているように、微小偏向器122_1d~122_25dの偏向回転角βは、対応するビームレットに対して等しいか又は実質的に等しくすることができる。例えば、電子源101もサンプル8も磁場内に入っていないいくつかの実施形態では、偏向回転角βはゼロ度に等しくすることができる。電子源101及びサンプル8のうち少なくとも1つが磁場内に入っている他の実施形態では、偏向回転角βは1mrad(ミリラジアン)であり得る。従って、像形成要素アレイ122-1では、同一の又は実質的に同一の半径方向シフトと同一の又は実質的に同一の配向角αを有する多極偏向器グループを、共通のドライバを共有するようにグループ化することができる。
【0037】
[0057] 従って、いくつかの実施形態では、像形成要素アレイ122-1の微小偏向器122_1d~122_25dを、それぞれが1以上の微小偏向器を含む6つの異なるグループに分けることができる。所与のグループ内の各微小偏向器は、対応するグループドライバによって駆動できる。例えば、グループ1(図5AでG1と示されている)は微小偏向器122_1dを含み得る。グループ2(G2)は、122_2d、122_3d、122_6d、及び122_16dを含み得る。グループ3(G3)は、122_7d、122_8d、122_17d、及び122_18dを含み得る。グループ4(G4)は、122_4d、122_5d、122_11d、及び122_21dを含み得る。グループ5(G5)は、122_9d、122_10d、122_12d、122_13d、122_19d、122_20d、122_22d、及び122_23dを含み得る。グループ6(G6)は、122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dを含み得る。グループ1内の微小偏向器122_1dは、光軸上に位置決めされているので、最も小さい半径方向シフトを有し得る。グループ6内の微小偏向器122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dは、光源から最も遠いアレイの各コーナに位置決めされているので、最も大きい半径方向シフトを有し得る。更に、そのような実施形態では、グループ6内の微小偏向器122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dを最も高い偏向電圧で駆動して、対応するビームレットを大きい偏向角で偏向させることができる。より大きい半径方向シフトを有するグループ内の微小偏向器は、ビームレットを光軸の方へより大きく偏向させる。図5A及び図5Bは5行5列のアレイ構成を示すが、アレイは任意のサイズとすればよいことは認められよう。
【0038】
[0058] いくつかの実施形態において、微小偏向器122_1d~122_25dは、光軸からの半径方向シフトの近接に基づいてグループ化できる。例えば、10%範囲内の半径方向シフト差を有する微小偏向器をグループ化して、対応するグループドライバに接続することができる。いくつかの実施形態では、補助微小偏向器アレイ122-1a(図5Cに示されている)を用いて10%範囲の影響を補償できる。いくつかの実施形態では、微小偏向器の直径を適切に設計することによって10%範囲の影響を補償できる。例えば、第1直径を有する第1微小偏向器が、第2直径を有する第2微小偏向器が配置されているよりも光軸から遠くに半径方向にシフトしている場合、第1及び第2微小偏向器に印加する電圧を同一のままにしながら半径方向シフト量の差を補償できるように、第1直径を縮小すればよい。すなわち、双方の微小偏向器に同一の電圧を印加する結果、より大きい直径を有する第2微小偏向器で生じる偏向角に比べ、より小さい直径を有する第1微小偏向器で生じる偏向角を大きくすることができる。一例として微小偏向器に言及するが、直径を変動させる同一の技法を微小レンズ及び微小非点収差補正器と共に使用できることは認められよう。
【0039】
[0059] いくつかの実施形態において、像形成要素アレイ122-1の微小偏向器122_1d~122_25dは、複数のセグメント化電極を含み得る。図5Aは、一例として各微小偏向器内の8つのセグメント化電極を示す(八極)が、微小偏向器は任意の偶数のセグメント化電極を有するように構成できることは認められよう。各微小偏向器内のセグメント化電極は、微小偏向器の配向方向からの角度に従って標示することができる。例えば図5Aに示されているように、配向方向から第1角度に位置決めされた第1電極を電極e1と見なし、配向方向から第2角度に位置決めされた第2電極を電極e2と見なすことができる。図5Aは、単なる例としてグループ5の多極偏向器の電極e1及びe2を示すが、8つの電極のうち任意の1つを電極e1と見なせることは認められよう。そのような実施形態では、グループ5の多極偏向器(122_9d、122_10d、122_12d、122_13d、122_19d、122_20d、122_22d、及び122_23d)内の電極e1を接続し、対応するグループドライバ122-1_D5によって第1電圧で駆動することができる。同様に、グループ5内の電極e2を接続し、ドライバ122-1_D5によって第2電圧で駆動することができる。そのような実施形態では、グループ5内の残りの電極(e3~e8、図示せず)も、ドライバ122-1_D5によって各電圧で駆動できる。更に、図5Aは像形成要素アレイ122-1と共に真空内に位置決めされたドライバ122-1_D5を示すが、ドライバ122-1_D5は図5Bに示されるように真空外に位置決めしてもよいことは認められよう。図4Aの実施形態に比べてこの実施形態では、1つのグループ内の微小偏向器を共通の電圧セットで駆動することによって、ドライバの数を25のドライバ(各微小偏向器に1つずつ)からわずか6のドライバに減少させると共に、アレイ構成内の接続回路数も減少させる。
【0040】
[0060] これより、本開示の実施形態に従った、像形成要素アレイ122-1の例示的な構成を示す概略図である図5Bを参照する。図5Bは、それぞれがゼロ度に等しい配向角を有する微小偏向器122_1d~122_25dの構成を示す。更に、いくつかの実施形態では、図5Aに示されているように、ドライバ(例えば122-1_D5)は真空内に位置決めできる。他の実施形態では、図5Bに示されているように、ドライバ(例えば122-1_D5)はガス放出を回避するため真空外に位置決めすることができ、微小偏向器122_1d~122_25dと真空外のドライバ(例えば122-1_D5)との間の接続を与えるよう構成されたインタフェースユニット122-1_Iが真空内に位置決めされている。
【0041】
[0061] これより、本開示の実施形態に従った、像形成要素アレイ122-1及び補助微小偏向器122-1aを有する例示的なソース変換ユニットを示す概略図である図5Cを参照する。図5Aに関して説明したように、所与のグループ内の全ての微小偏向器は、対応するグループドライバによって駆動できる。しかしながら、(例えば製造誤差に基づいて)いくつかの不整合性が発生した結果、同一グループ内の微小偏向器において偏向角又は偏向方向のわずかな差が生じる可能性がある。いくつかの実施形態では、これらの不整合性を、図5Cの補助微小偏向器122-1aのような補助アレイによって補償することができる。例えば像形成要素アレイ122-1は、図5Aに示されるように、半径方向シフトに基づく6つのグループを含むアレイ構成を有し得る。補助微小偏向器アレイ122-1aは、像形成要素アレイ122-1の構成と同様の微小偏向器アレイを含み得る。像形成要素アレイ122-1内の各微小偏向器と補助微小偏向器アレイ122-1a内の1つの対応する微小偏向器は、相互に位置合わせされて、これら2つのアレイからの対になった微小偏向器が対応するビームレットに偏向角を与え得るようになっている。像形成要素アレイ122-1に対する補助微小偏向器アレイ122-1aの相違点は、補助アレイ内の微小偏向器がグループ化されない場合があることである。補助アレイ内の微小偏向器は、図4Aに示されているように個々にかつ別々に駆動されて、各微小偏向器に対する完全な独立した制御性を与えることができる。例えば、像形成要素アレイ122-1内のグループ6の微小偏向器122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dの目的とする偏向角が30mradに等しいと仮定すると、前述の不整合性に起因して、電圧セットが印加された場合に微小偏向器122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dで発生する実際の偏向角は、それぞれ30.1mrad、30mrad、29.8mrad、29.9mradとなり得る。そのような場合、補助微小偏向器アレイ122-1a内の対応する微小偏向器を個々に制御して、それぞれ-0.1mrad、0mrad、0.2mrad、0.1mradの偏向を更に与えればよい。この結果、像形成要素アレイ122-1及び補助微小偏向器アレイ122-1aから出射するビームレットは全て30mrad偏向される。補助微小偏向器アレイ122-1aのために更に多くのドライバが必要となるが、グループ化技法を利用しないので、像形成要素アレイ122-1ほど重大な問題ではない。上記の例に示されるように、補助アレイ内の微小偏向器アレイ用の電圧は極めて小さいからである。更に、前述の不整合性に起因して、微小偏向器122_14d、122_15d、122_24d、及び122_25dの実際の偏向回転角βはそれぞれ目的とするものとわずかに異なる可能性がある。そのような場合、補助微小偏向器アレイ内122-1a内の対応する微小偏向器を個々に制御して、必要な偏向回転角βを満足させるように更なる偏向を与えればよい。
【0042】
[0062] これより、本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイ122-2fcの例示的な構成を示す概略図である図6A及び図6Bを参照する。像面湾曲補償器アレイ122-2fcは複数の微小レンズ122_1l~122_25lを含み得る。図6A及び図6Bは、一例として単極微小レンズ122_1l~122_25lを示す。微小レンズ122_1l~122_25lは単極構造を有し得るが、微小レンズ122_1l~122_25lのいくつか又は全てが多極構造を有し、各多極構造内のセグメント化電極が共通の電圧で駆動されるように構成してもよいことは認められよう。図5A及び図5Bを参照して記載されているグループ化技法及び他の実施形態は、像面湾曲補償器アレイ122-2fcにも適用され得る。更に、いくつかの実施形態では、図6Aに示されているように、ドライバ(例えば122-2fc_D5)は真空内に位置決めできる。他の実施形態では、図6Bに示されているように、ドライバ(例えば122-2fc_D5)はガス放出を回避するため真空外に位置決めすることができ、インタフェースユニット122-2fc_Iが真空内に位置決めされ、微小偏向器122_1l~122_25lと真空外のドライバ(例えば122-2fc_D5)との間の接続を与えるよう構成されている。1つの相違点は、より小さい半径方向シフトの微小レンズのグループが、より高い集束電圧(focusing voltage)を使用し得ることである。図6A及び図6Bは5行5列のアレイ構成を示すが、アレイは任意のサイズとすればよいことは認められよう。
【0043】
[0063] これより、本開示の実施形態に従った、像面湾曲補償器アレイ122-2fc及び補助微小レンズアレイ122-2fcaを有するマルチビーム装置内の例示的なソース変換ユニットを示す概略図である図6Cを参照する。補助微小レンズアレイ122-2fcaは、像面湾曲収差に関する像面湾曲補償器アレイ122-2fcの不整合性を補償することができる。像面湾曲補償器アレイ122-2fc内の各微小レンズと補助微小レンズアレイ122-2fca内の1つの対応する補助微小レンズは、相互に位置合わせされて、これら2つのアレイからの対になった微小レンズが対応するビームレットの像面湾曲収差に影響を与え得るようになっている。像面湾曲補償器アレイ122-2fcに対する補助微小レンズアレイ122-2fcaの相違点は、補助アレイ内の微小レンズがグループ化されない場合があることである。補助アレイ内の微小レンズは、図4Bに示されているように個々にかつ別々に駆動されて、各微小レンズに対する完全な独立した制御性を与えることができる。図6Cは、像面湾曲補償器アレイ122-2fcの下方に位置決めされた補助微小レンズアレイ122-2fcaを示すが、補助微小レンズアレイ122-2fcaは像面湾曲補償器アレイ122-2fcの上方に位置決めしてもよいことは認められよう。
【0044】
[0064] これより、本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイ122-2asの例示的な構成を示す概略図である図7A及び図7Bを参照する。図7A及び図7Bは、一例として八極構造を有する微小非点収差補正器122_1s~122_25sを示すが、微小非点収差補正器122_1s~122_25sのいくつか又は全てが任意の偶数のセグメント化電極を含む多極構造を有し得ることは認められよう。図5A及び図5Bを参照して記載されているグループ化技法及び他の実施形態は、非点収差補償器アレイ122-2asにも適用され得る。更に、いくつかの実施形態では、図7Aに示されているように、ドライバ(例えば122-2as_D5)は真空内に位置決めできる。他の実施形態では、図7Bに示されているように、ドライバ(例えば122-2as_D5)はガス放出を回避するため真空外に位置決めすることができ、インタフェースユニット122-2as_Iが真空内に位置決めされ、微小偏向器122_1s~122_25sと真空外のドライバ(例えば122-2as_D5)との間の接続を与えるよう構成されている。図7A及び図7Bは5行5列のアレイ構成を示すが、アレイは任意のサイズとすればよいことは認められよう。
【0045】
[0065] いくつかの実施形態では、非点収差補償器アレイ122-2asの微小非点収差補正器に印加される電圧が高くない場合、非点収差補償器アレイ122-2asを用いて補助微小偏向器アレイ又は補助微小レンズアレイ又はそれら双方の機能を実行することができる。いくつかの実施形態では、専用の補助微小偏向器アレイ122-1a又は補助微小レンズアレイ122-2fcaを含まない構成において、非点収差補償器アレイ122-2asは、補助アレイ(例えば図5Cの補助微小偏向器アレイ122-1a又は図6Cの補助微小レンズアレイ122-2fca)の機能及び非点収差補償機能を実行できる。このような実施形態では、非点収差補償器アレイ122-2asの微小非点収差補正器はグループ化されない場合があり、個々に及び別々に駆動されて追加の双極子場又はレンズ場(lens field)又はそれら双方を与えることができる。
【0046】
[0066] 図7Cは、本開示の実施形態に従った、非点収差補償器アレイ122-2as及び補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaを有するマルチビーム装置内の例示的なソース変換ユニットの一部を示す概略図である。補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaは、非点収差に関する非点収差補償器アレイ122-2asの不整合性を補償することができる。補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaは、非点収差補償器アレイ122-2asの構成と同様の微小非点収差補正器のアレイを含み得る。非点収差補償器アレイ122-2as内の各微小非点収差補正器と補助微小非点収差補正器アレイ122-2asa内の1つの対応する補助微小非点収差補正器は、相互に位置合わせされて、これら2つのアレイからの対になった微小非点収差補正器が対応するビームレットの非点収差に影響を与え得るようになっている。非点収差補償器アレイ122-2asに対する補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaの相違点は、補助アレイ内の微小非点収差補正器がグループ化されない場合があることである。補助アレイ内の微小非点収差補正器は、個々にかつ別々に駆動されて、各補助微小非点収差補正器に対する完全な独立した制御性を与えることができる。図7Cは、非点収差補償器アレイ122-2asの下方に位置決めされた補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaを示すが、補助微小非点収差補正器アレイ122-2asaは非点収差補償器アレイ122-2asの上方に位置決めしてもよいことは認められよう。
【0047】
[0067] これより図8A及び図8Bを参照する。上述した1つの微小構造アレイにおける接続線又は回路の複雑さを低減するため、いくつかの実施形態において、図5Aの122-1の1つ以上の微小偏向器を図6Aの122-2fcの対応する微小レンズで置き換えることができる。同様に、いくつかの実施形態において、図7Aの122-2asの1つ以上の微小非点収差補正器を図6Aの122-2fcの対応する微小レンズ122-2fcで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、図5Aの122-1の1つ以上の微小偏向器122-1を図7Aの122-2asの対応する微小非点収差補正器で置き換えることができる。例えば図8Aは、4つの微小レンズがグループG3s内の微小非点収差補正器で置き換えられ、従って対応するアレイが122-2fc-2asになっている微小構造アレイの例示的な構成を示す。同様に、図8Bは、4つの微小非点収差補正器がグループG3l内の微小レンズで置き換えられ、従って対応するアレイが122-2as-2fcになっている微小構造アレイの例示的な構成を示す。
【0048】
[0068] これより、本開示の実施形態に従った、複数のプローブスポットを形成するように複数のドライバを制御する例示的な方法900を示すフローチャートである図9を参照する。方法900は、電子ビームツール(例えば図2の電子ビームツール100)によって実行され得る。具体的には、電子ビームツールのコントローラ(例えば図2のコントローラ109)が方法900を実行することができる。
【0049】
[0069] ステップ910において、第1微小構造アレイ内の第1ドライバは、対応する1つ以上のビームレットの第1グループに影響を与えるように、1つ以上の微小構造の第1グループの1つ以上の電圧の第1セットを制御するよう命令される。いくつかの実施形態において、第1ドライバは、第1微小構造アレイ内の微小構造の第1グループに接続されている。ステップ920において、第1微小構造アレイ内の第2ドライバは、対応する1つ以上のビームレットの第2グループに影響を与えるように、1つ以上の微小構造の第2グループの1つ以上の電圧の第2セットを制御するよう命令される。いくつかの実施形態において、第2ドライバは、第1微小構造アレイ内の微小構造の第2グループに接続されている。
【0050】
[0070] 例えばソース変換ユニットが第2微小構造アレイを含むようないくつかの実施形態では、更にステップ930及び940を実行することができる。ステップ930において、第2微小構造アレイ内の第3ドライバは、対応する1つ以上のビームレットの第1グループに影響を与えるように、1つ以上の微小構造の第3グループの1つ以上の電圧の第3セットを制御するよう命令される。ステップ940において、第2微小構造アレイ内の第4ドライバは、対応する1つ以上のビームレットの第2グループに影響を与えるように、1つ以上の微小構造の第4グループの1つ以上の電圧の第4セットを制御するよう命令される。本明細書に記載される微小構造は単極構造又は任意のタイプの多極構造とすることができ、例えばダイポール(2極)構造、四極(4極)構造、八極(8極)構造等とすればよい。
【0051】
[0071] いくつかの実施形態では、ガス放出を回避するためドライバを真空外に位置決めすることができる。そのような実施形態では、ドライバは、ドライバと多極構造との間の接続を与えるように構成されたインタフェースユニットを介して微小構造グループを制御できる。
【0052】
[0072] これより、本開示の実施形態に従った、微小構造アレイの例示的な構成を製造する例示的な方法1000を示すフローチャートである図10を参照する。いくつかの実施形態では、半導体製造プロセスを用いて微小構造アレイを製造することができる。
【0053】
[0073] ステップ1010では、複数の微小構造を有するアレイをベース層として形成する。微小構造は単極構造又は任意のタイプの多極構造とすることができ、例えばダイポール構造、四極構造、八極構造等とすればよい。ステップ1020では、複数の微小構造のうち微小構造の第1グループの接続を生成するため、接続層を形成することができる。いくつかの実施形態において、第1グループの微小構造は、アレイの中心軸から第1半径方向シフトの近くに又は実質的に同じ第1半径方向シフトに位置決めされる。ステップ1030では、複数の微小構造のうち微小構造の第2グループの接続を生成するため、別の接続層を形成することができる。いくつかの実施形態において、第2グループの微小構造は、アレイの中心軸から第2半径方向シフトの近くに又は実質的に同じ第2半径方向シフトに位置決めされる。ステップ1020及び1030における接続層は、2つの異なるドライバに直接接続するか、又は2つの異なるドライバに接続されたインタフェースに接続することができる。
【0054】
[0074] 実施形態は、以下の条項を用いて更に記載することができる。
1.微小構造アレイであって、
アレイの中心軸から第1半径方向シフトを有する単極構造の第1グループを備え、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、単極構造の第1グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第1ドライバによって駆動される、微小構造アレイ。
2.第1ドライバは、単極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置において対応するビームスポットの像面湾曲収差を補償する微小レンズとして機能することを可能とするように構成されている、条項1に記載の微小構造アレイ。
3.微小構造アレイであって、
アレイの中心軸から第1半径方向シフト及び第1配向角を有する多極構造の第1グループを備え、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第1グループの第1配向角は等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第1グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第1ドライバによって駆動される、微小構造アレイ。
4.第1ドライバは、多極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームレットの第1グループを偏向させる微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
5.第1ドライバは、多極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第1グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
6.中心軸からの第2半径方向シフト及び第2配向角を有する多極構造の第2グループを更に備え、第2半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第2グループの第2配向角は等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第2グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第2ドライバによって駆動される、条項4及び5のいずれかに記載の微小構造アレイ。
7.第2ドライバは、多極構造の第2グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームレットの第2グループを偏向させる微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項6に記載の微小構造アレイ。
8.第2ドライバは、多極構造の第2グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第2グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、条項6に記載の微小構造アレイ。
9.中心軸から第2半径方向シフトを有する単極構造の第1グループを更に備え、第2半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、単極構造の第1グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第2ドライバによって駆動される、条項4及び5のいずれかに記載の微小構造アレイ。
10.第2ドライバは、単極構造の第1グループが荷電粒子マルチビーム装置においてビームスポットの第2グループの像面湾曲収差を補償する微小レンズとして機能することを可能とするように構成されている、条項9に記載の微小構造アレイ。
11.荷電粒子装置におけるソース変換ユニットであって、
装置の光軸からの第1半径方向シフト及び第1配向角を有する多極構造の第1グループを含む第1微小構造アレイを備え、第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第1グループの第1配向角は同一であるか又は実質的に同一であり、多極構造の第1グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第1微小構造アレイに関連付けられた第1ドライバによって駆動される、ソース変換ユニット。
12.第1ドライバは、多極構造の第1グループが荷電粒子ビームのビームレットの第1グループを偏向させて装置においてプローブスポットの第1グループを形成する微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項11に記載のソース変換ユニット。
13.多極構造の第1グループと位置合わせされた単極構造の第1グループを含む第2微小構造アレイを更に備え、単極構造の第1グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第2微小構造アレイに関連付けられた第2ドライバによって駆動される、条項12に記載のソース変換ユニット。
14.第2ドライバは、単極構造の第1グループがビームレットの第1グループに影響を与えてプローブスポットの第1グループの像面湾曲収差を補償する微小レンズとして機能することを可能とするように構成されている、条項13に記載のソース変換ユニット。
15.多極構造の第1グループと位置合わせされ、第2配向角を有する多極構造の第2グループを含む第3微小構造アレイを更に備え、多極構造の第2グループの第2配向角は同一であるか又は実質的に同一であり、多極構造の第2グループは対応する電極を含み、対応する電極は電気的に接続されると共に第3微小構造アレイに関連付けられた第3ドライバによって駆動される、条項14に記載のソース変換ユニット。
16.第3ドライバは、多極構造の第2グループがビームレットの第1グループに影響を与えてプローブスポットの第1グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、条項15に記載のソース変換ユニット。
17.多極構造の第1グループと位置合わせされた多極構造の第2グループを含む第3微小構造アレイを更に備える、条項14に記載のソース変換ユニット。
18.多極構造の第2グループは、ビームレットの第1グループに更に影響を与えてプローブスポットの第1グループに作用する微小偏向器、微小非点収差補正器、及び微小レンズのうち少なくとも1つとして機能するように個別に制御される、条項17に記載のソース変換ユニット。
19.多極構造の第1グループと位置合わせされた多極構造の第3グループを含む第1微小構造補助アレイを更に備える、条項16に記載のソース変換ユニット。
20.多極構造の第3グループは、ビームレットの第1グループに更に影響を与えてプローブスポットの第1グループに作用する微小偏向器、微小非点収差補正器、及び微小レンズのうち少なくとも1つとして機能するように個別に制御される、条項19に記載のソース変換ユニット。
21.多極構造の第1グループと位置合わせされた単極構造の第2グループを含む第2微小構造補助アレイを更に備える、条項20に記載のソース変換ユニット。
22.単極構造の第2グループは、ビームレットの第1グループに更に影響を与えてプローブスポットの第1グループに作用する微小レンズとして機能するように個別に制御される、条項21に記載のソース変換ユニット。
23.荷電粒子装置におけるソース変換ユニットであって、
装置の光軸から第1半径方向シフトを有する多極構造の第1グループ及び光軸から第2半径方向シフトを有する多極構造の第2グループを含む第1微小構造アレイと、
多極構造の第1グループと位置合わせされた単極構造の第1グループ及び多極構造の第2グループと位置合わせされた多極構造の第3グループを含む第2微小構造アレイと、
を備えるソース変換ユニット。
24.第1半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第1グループは同一であるか又は実質的に同一である配向角を有し、多極構造の第1グループの対応する電極は電気的に接続されると共に第1微小構造アレイに関連付けられた第1ドライバによって駆動される、条項23に記載のユニット。
25.第2半径方向シフトは等しいか又は実質的に等しく、多極構造の第2グループは同一であるか又は実質的に同一である配向角を有し、多極構造の第2グループの対応する電極は電気的に接続されると共に第1微小構造アレイに関連付けられた第2ドライバによって駆動される、条項24に記載のユニット。
26.単極構造の第1グループの対応する電極は、電気的に接続され、第2微小構造アレイに関連付けられた第3ドライバによって駆動される、条項25に記載のユニット。
27.多極構造の第3グループは同一であるか又は実質的に同一である配向角を有し、多極構造の第3グループの対応する電極は電気的に接続されると共に第2微小構造アレイに関連付けられた第4ドライバによって駆動される、条項26に記載のユニット。
28.第1ドライバは、多極構造の第1グループが荷電粒子ビームのビームレットの第1グループを偏向させて装置においてプローブスポットの第1グループを形成する微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項27に記載のユニット。
29.第3ドライバは、単極構造の第1グループがビームレットの第1グループに影響を与えてプローブスポットの第1グループの像面湾曲収差を補償する微小レンズとして機能することを可能とするように構成されている、条項28に記載のユニット。
30.第4ドライバは、多極構造の第3グループが荷電粒子ビームのビームレットの第2グループを偏向させて装置においてプローブスポットの第2グループを形成する微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項29に記載のユニット。
31.第2ドライバは、多極構造の第2グループがビームレットの第2グループに影響を与えてプローブスポットの第2グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、条項30に記載のユニット。
32.第2ドライバは、第2多極構造が荷電粒子ビームのビームレットの第2グループを偏向させて装置においてプローブスポットの第2グループを形成する微小偏向器として機能することを可能とするように構成されている、条項29に記載のユニット。
33.第4ドライバは、第3多極構造がビームレットの第2グループに影響を与えてプローブスポットの第2グループの非点収差を補償する微小非点収差補正器として機能することを可能とするように構成されている、条項32に記載のユニット。
34.サンプルの像を形成する方法をコントローラに実行させるため、コントローラの1つ以上のプロセッサによって実行可能である命令セットを含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
第1微小構造アレイ内の微小構造の第1グループに接続された第1ドライバに対し、ビームレットの第1グループに影響を与えるように1つ以上の電圧の第1セットを制御するよう命令することと、
第1アレイ内の微小構造の第2グループに接続された第2ドライバに対し、ビームレットの第2グループに影響を与えるように1つ以上の電圧の第2セットを制御するよう命令することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
35.コントローラの1つ以上のプロセッサによって実行可能である命令セットは更に、
第2微小構造アレイ内の微小構造の第1グループに接続された第3ドライバに対し、ビームレットの第1グループに影響を与えるように1つ以上の電圧の第3セットを制御するよう命令することと、
第2アレイ内の微小構造の第2グループに接続された第4ドライバに対し、ビームレットの第2グループに影響を与えるように1つ以上の電圧の第4セットを制御するよう命令することと、
をコントローラに実行させる、条項34に記載のコンピュータ可読媒体。
36.コントローラの1つ以上のプロセッサによって実行可能である命令セットは更に、
第2微小構造アレイ内の複数の微小構造に接続された複数の第3ドライバに対し、ビームレットの第1グループ及びビームレットの第2グループのうち少なくとも1つに影響を与えるように命令すること、
をコントローラに実行させる、条項34に記載のコンピュータ可読媒体。
37.複数の微小構造を含む微小構造アレイを製造する方法であって、
アレイの中心軸を取り囲む複数の微小構造を形成することと、
複数の微小構造の第1グループの微小構造間に接続の第1セットを形成することであって、第1グループの微小構造は中心軸から第1半径方向シフトに位置決めされていることと、
複数の微小構造の第2グループの微小構造間に接続の第2セットを形成することであって、第2グループの微小構造は中心軸から第2半径方向シフトを有するように位置決めされていることと、
を含む、方法。
38.接続の第1セットを第1ドライバに接続することを更に含む、条項37に記載の方法。
39.接続の第2セットを第2ドライバに接続することを更に含む、条項37又は38に記載の方法。
40.接続の第1セットを第1ドライバに関連付けられた第1インタフェースに接続することを更に含む、条項37に記載の方法。
41.接続の第2セットを第2ドライバに関連付けられた第2インタフェースに接続することを更に含む、条項37又は38に記載の方法。
42.第1ドライバを用いて、対応する1つ以上のビームレットの第1グループに影響を与えるように、第1微小構造アレイの1つ以上の微小構造の第1グループを制御することと、
第2ドライバを用いて、対応する1つ以上のビームレットの第2グループに影響を与えるように、第1微小構造アレイの微小構造の第2グループを制御することと、
を含む、方法。
43.第3ドライバを用いて、対応する1つ以上のビームレットの第1グループに影響を与えるように、第2微小構造アレイの1つ以上の微小構造の第1グループを制御することと、
第4ドライバを用いて、対応する1つ以上のビームレットの第2グループに影響を与えるように、第2微小構造アレイの微小構造の第2グループを制御することと、
を更に含む、条項42に記載の方法。
44.ビームレットの第1グループ及びビームレットの第2グループのうち少なくとも1つに影響を与えるように第2微小構造アレイの微小構造を制御することを更に含む、条項42に記載の方法。
45.荷電粒子ビーム装置であって、
ソース変換ユニットを備え、ソース変換ユニットは、
複数の微小構造を含む第1微小構造アレイを備え、第1微小構造アレイは、
複数の微小構造の中の微小構造の第1グループであって、第1グループの微小構造は、装置の光軸から第1半径方向シフトを有し、第1ドライバによって駆動されて、荷電粒子ビームのビームレットの第1グループに影響を与える、微小構造の第1グループと、
複数の微小構造の中の微小構造の第2グループであって、第2グループの微小構造は光軸から第2半径方向シフトを有し、第2ドライバによって駆動されて、荷電粒子ビームのビームレットの第2グループに影響を与える、微小構造の第2グループと、
を備える、荷電粒子ビーム装置。
46.荷電粒子ビームを集束させるように構成された可動コンデンサレンズを更に備える、条項45に記載の電子ビーム装置。
47.荷電粒子ビームを集束させる非回転コンデンサレンズを更に備える、条項45に記載の電子ビーム装置。
48.荷電粒子ビームを集束させる可動非回転コンデンサレンズを更に備える、条項45に記載の電子ビーム装置。
49.複数の極構造を含む極構造アレイであって、
複数の極構造の中の極構造の第1グループであって、第1グループの極構造は、第1ドライバによって駆動されるように構成され、光軸から第1半径方向シフトの近くに位置決めされている、極構造の第1グループと、
複数の極構造の中の極構造の第2グループであって、第2グループの極構造は、第2ドライバによって駆動されるように構成され、光軸から第2半径方向シフトの近くに位置決めされている、極構造の第2グループと、
を備える、極構造アレイ。
50.複数の極構造は、対応する対称軸を有し、
複数の極構造は、対応する対称軸が光軸からの対応する半径方向に対して実質的に平行であるように回転される、条項49に記載の極構造。
51.ソース変換ユニットであって、
複数の極構造を含む第1極構造アレイを備え、第1極構造アレイは、
複数の極構造の中の極構造の第1グループであって、第1グループの極構造は、第1ドライバによって駆動されるように構成され、光軸から第1半径方向シフトの近くに位置決めされている、極構造の第1グループと、
複数の極構造の中の極構造の第2グループであって、第2グループの極構造は、第2ドライバによって駆動されるように構成され、光軸から第2半径方向シフトの近くに位置決めされている、極構造の第2グループと、
を備える、ソース変換ユニット。
52.第1グループの第1微小極構造は、電子源の虚像を形成するように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
53.第1グループの各微小極構造は、電子源の虚像を形成するように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
54.第1グループの各微小極構造は、同じ単一の電子源の異なる虚像を形成するように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
55.第1グループの第1微小極構造は、第1微小極構造の中心軸に対して実質的に垂直な電場を発生するように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
56.第1グループの各微小極構造は第1グループの他の各微小極構造の中心軸に対して実質的に平行な中心軸を有し、第1グループの各微小極構造は中心軸に対して実質的に垂直な電場を発生するように構成されている、条項3に記載の微小構造アレイ。
【0055】
[0075] マルチビーム装置のコントローラがソフトウェアを用いて上述の機能性を制御できることは認められよう。例えばコントローラは、上記のレンズに命令を送信してそれぞれ適切な場(例えば磁場は静電場)を発生できる。また、コントローラは、ドライバに命令を送信して上記のアレイを制御できる。ソフトウェアは、非一時的(non-transitory)コンピュータ可読媒体に記憶することができる。非一時的媒体の一般的な形態は例えば、フロッピーディスク、可撓性ディスク、ハードディスク、固体ドライブ、磁気テープ、又は他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、又は他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、及びこれらをネットワーク化したものを含む。
【0056】
[0076] 開示される実施形態について好適な実施形態に関連付けて説明したが、以下に特許請求される主題の精神及び範囲から逸脱することなく他の変更及び変形を実施し得ることは理解されよう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10