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特許7100556基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置、および同装置を有するめっき装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置、および同装置を有するめっき装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/06 20060101AFI20220706BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20220706BHJP
   C25D 17/08 20060101ALI20220706BHJP
   C25D 19/00 20060101ALI20220706BHJP
   C25D 21/12 20060101ALI20220706BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220706BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C25D17/06 A
C25D17/00 K
C25D17/06 E
C25D17/06 F
C25D17/06 H
C25D17/08 G
C25D19/00 D
C25D21/12 C
H01L21/68 A
H01L21/68 N
H01L21/68 S
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018190116
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020059867
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203611
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 大地
(72)【発明者】
【氏名】對馬 拓也
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-002423(JP,A)
【文献】特開2012-107311(JP,A)
【文献】特表2015-535891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182659(US,A1)
【文献】特開2001-237306(JP,A)
【文献】特開2005-136289(JP,A)
【文献】特開2006-041047(JP,A)
【文献】特開2007-091397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00-21/00
H01L 21/00-49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、
前記基板ホルダは基板を挟持するための第1のフレームおよび第2のフレームを備え、
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのそれぞれは、基板を露出するための開口を有し、
前記装置は、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの間で基板を挟持するための基板サポーティングユニットを備え、
前記基板サポーティングユニットは、
基板を下部から支持する下部基板サポータと、
基板を上部から支持する上部基板サポータと、
を備え、
前記下部基板サポータは前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち下方に位置するフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されており、
前記上部基板サポータは前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されている、
装置。
【請求項2】
前記基板サポーティングユニットは、
前記下部基板サポータを上下動させるための下部基板サポータ上下動機構と、
前記上部基板サポータを上下動させるための上部基板サポータ上下動機構と、
を備え、
前記基板サポーティングユニットは、基板を、
前記第1のフレームと前記第2のフレームによって基板を挟持することが可能な第1の位置と、
前記第1の位置より高い位置であって、基板を前記装置からアンロードすることが可能な位置である第2の位置と、
の間で移動させることができるように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、
前記基板ホルダが水平に置かれる第1ベースと、
前記第1ベースの上方に配置された第2ベースであって、上下動可能に構成されている、第2ベースと、を備え、
前記第2ベースは、第1のフレームおよび第2のフレームで基板を挟持できるように、第1のフレームおよび第2のフレームのうち上方に位置するフレームを位置させるとともに、
前記第2ベースは前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げることが可能に構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2ベースは、前記第1ベースに置かれた前記基板ホルダを前記第1ベースに向かって押し付けるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2ベースは、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げるためのフレームリフティングクローを備え、
前記第1ベースは、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げるためのフレームプッシャを備え、
前記フレームプッシャは、前記フレームリフティングクローを差し込むためのギャップを前記第1のフレームと前記第2のフレームの間に生じさせる、請求項3または4に記載
の装置。
【請求項6】
前記フレームプッシャは、前記基板ホルダをセミロックすることが可能な位置まで、第1のフレームまたは第2のフレームを持ち上げる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記基板ホルダは、前記第1のフレームと前記第2のフレームをクランプするためのクランパを備え、
前記装置は、前記クランパを開くためのクランパオープナを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記基板サポーティングユニットが基板を挟持する前に基板の位置および/または角度を算出するための基板位置検出部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記基板位置検出部は、少なくとも1組の光源とカメラであり、
前記光源は、
基板の着脱を阻害しない位置である光源待機位置と、
基板の角部に光を照射可能な照射位置と、
の間で移動可能に構成されており、
前記カメラは、
基板の着脱を阻害しない位置であって、前記第1のフレームと前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームの前記開口の内側にある、カメラ待機位置と、
基板の、前記光源により照射されている、基板の位置および/または角度の検出の基準となる部位を撮像可能な撮像位置と、
の間で移動可能に構成されている、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
基板ホルダに保持された基板をめっきするためのめっき処理部と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置と、
前記めっき処理部と前記装置の間で基板ホルダを搬送するトランスポータと、
前記装置から基板を受け取り、かつ、前記装置へ基板を受け渡す基板搬送ロボットと、
を備える、めっき装置。
【請求項11】
基板ホルダに保持された基板をめっきするためのめっき処理部と、
請求項8または9に記載の、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置と、
前記めっき処理部と前記装置の間で基板ホルダを搬送するトランスポータと、
前記装置から基板を受け取り、かつ、前記装置へ基板を受け渡す基板搬送ロボットと、
を備える、めっき装置であって、
前記基板搬送ロボットは、前記基板位置検出部により算出された基板の位置および/または角度に基づいて、前記装置へ基板を受け渡す際の基板の位置および/または角度を調整可能である、
めっき装置。
【請求項12】
基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、
前記基板ホルダは、
基板の第1面に対向し、基板を挟持するための第1のフレームおよび
基板の第2面に対向し、基板を挟持するための第2のフレーム
を備え、
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのそれぞれは、基板を露出するための開口を有し、
前記装置は、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの間で基板を挟持するための基板サポーティングユニットを備え、
前記基板サポーティングユニットは、
基板の第1面を支持する第1基板サポータと、
基板の第2面を支持する第2基板サポータと、
を備え、
前記第1基板サポータは前記第1のフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されており、
前記第2基板サポータは前記第2のフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されている、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置、および同装置を有するめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板をめっきするためのめっき装置が知られている。特許文献1には、基板ホルダに基板を保持させるためおよび基板ホルダによる基板の保持を解除させるための基板着脱装置(特許文献1では「基板ホルダ開閉機構102」)を備えるめっき装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-107311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基板の片面のみをめっきするための基板ホルダ(片面ホルダ)が用いられている。一方で、特許文献1では、基板の両面をめっきするための基板ホルダ(両面ホルダ)を用いることは考慮されていない。そこで本願は、両面ホルダに適合し得る基板着脱装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、一実施形態として、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、基板ホルダは基板を挟持するための第1のフレームおよび第2のフレームを備え、第1のフレームおよび第2のフレームのそれぞれは、基板を露出するための開口を有し、装置は、第1のフレームおよび第2のフレームの間で基板を挟持するための基板サポーティングユニットを備え、基板サポーティングユニットは、基板を下部から支持する下部基板サポータと、基板を上部から支持する上部基板サポータと、を備え、下部基板サポータは第1のフレームおよび第2のフレームのうち下方に位置するフレームの開口を通じて基板と接触するよう構成されており、上部基板サポータは第1のフレームおよび第2のフレームのうち上方に位置するフレームの開口を通じて基板と接触するよう構成されている、装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】一実施形態にかかるめっき装置の上面図である。
図1B】一実施形態にかかるめっき装置の正面図である。
図2A】一実施形態にかかるめっき装置において用いられる基板ホルダの正面図である。
図2B】一実施形態にかかるめっき装置において用いられる基板ホルダの断面図である。
図2C図2Bに「A」と付された箇所の拡大分解図である。
図3】基板ホルダのうち基板を保持する部分の断面図である。
図4A】一実施形態にかかる基板着脱装置の上面図である。
図4B】一実施形態にかかる基板着脱装置の正面図である。
図5A】基板ホルダを受け取る前のホルダ傾動部の正面図である。
図5B】基板ホルダを受け取った後のホルダ傾動部の正面図である。
図6A】基板ホルダを受け取る前のホルダ搬送部の正面図である。
図6B】基板ホルダを押付部に向けて搬送しているホルダ搬送部の正面図である。
図7A】基板ホルダを受け取る前の押付部の正面図である。
図7B】基板ホルダを受け取った後の押付部の正面図である。
図7C】基板ホルダを下部に向かって押し付けている押付部の正面図である。
図8A】押付部を上方からみた斜視図である。
図8B】押付部を上方からみた斜視図である。図8Bの押付部は光源よりわずかに高い位置で切り取られている。
図8C】押付部を下方からみた斜視図である。図8Cの押付部は押付ユニットより低く、かつ、ステージより高い位置で切り取られている。
図9A】基板ホルダによる基板の保持を解除する動作の第1の時点(以下では単に「第nの時点」という)における押付部の模式図である。
図9B】第2の時点における押付部の模式図である。
図9C】第3の時点における押付部の模式図である。
図9D】第4の時点における押付部の模式図である。
図9E】第5の時点における押付部の模式図である。
図9F】第6の時点における押付部の模式図である。
図9G】第7の時点における押付部の模式図である。
図9H】第8の時点における押付部の模式図である。
図9I】第9の時点における押付部の模式図である。
図9J】第10の時点における押付部の模式図である。
図9K】第11の時点における押付部の模式図である。
図9L】第12の時点における押付部の模式図である。
図9M】第13の時点における押付部の模式図である。
図10A】光源およびカメラの双方が待機位置にある場合の押付部の模式図である。
図10B】光源が照射位置にあり、カメラが撮像位置にある場合の押付部の模式図である。
図11】セミロック機能を有するクランパのプレートの斜視図である。
図12図11のプレートの対になるフック部の斜視図である。
図13図11のプレートと図12のフック部とを備えるクランパの断面図である。
図14】一実施形態にかかる押付部の模式図である。
図15】基板を垂直姿勢で基板ホルダへの着脱を行う実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<めっき装置について>
図1は一実施形態にかかるめっき装置100の模式図である。図1Aはめっき装置100の上面図である。図1Bはめっき装置100の正面図である。一実施形態にかかるめっき装置100は、ロードポート110と、基板搬送ロボット120と、ドライヤ130と、基板着脱装置140と、めっき処理部150と、トランスポータ160と、ストッカ170と、を備える。さらに、めっき装置100はめっき装置100の各部を制御するための制御部180を備えてよい。
【0008】
ロードポート110はめっき装置100に基板をロードし、および、装置100から基板をアンロードするために設けられている。ロードポート110はFOUP等の機構を置くことができるように、または、FOUP等の機構との間で基板を搬送可能であるように構成されていてよい。
【0009】
ロードポート110によりロードされた基板は基板搬送ロボット120により搬送される。具体的には、基板搬送ロボット120は、ロードポート110、ドライヤ130および基板着脱装置140の間で基板を搬送可能に構成されている。ただし、基板搬送ロボッ
ト120以外の搬送機構が用いられてもよい。なお、本明細書における「ロードポート110に基板を搬送すること」は「ロードポート110に置かれたFOUP等の機構に基板を搬送すること」を含む。ドライヤ130はめっき処理部150によって処理された基板を乾燥させるために設けられている。
【0010】
基板着脱装置140は、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/または基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置である。図1の基板着脱装置140は、基板ホルダに基板を保持させること、および、基板ホルダによる基板の保持を解除することの双方が可能である。一方で、基板ホルダに基板を保持させるための基板着脱装置140と、基板ホルダによる基板の保持を解除するための基板着脱装置140を別個に設けてもよく、どちらか一方のみを設けてもよい。基板着脱装置140には基板および基板ホルダの双方が搬入される必要がある。そこで、基板着脱装置140は、基板搬送ロボット120およびトランスポータ160の双方がアクセス可能な位置に位置付けられる。基板着脱装置140の詳細は後述される。
【0011】
めっき処理部150は基板に対してめっき処理(めっき加工)を行うために設けられている。めっき処理部150は1つまたは複数の処理槽を備える。1つまたは複数の処理槽のうち少なくとも1つはめっき槽である。一例として、図1の処理部150は8つの処理槽、すなわち前水洗槽151、前処理槽152、第1のリンス槽153、第1のめっき槽154、第2のリンス槽155、第2のめっき槽156、第3のリンス槽157およびブロー槽158を備える。めっき装置100は、各処理槽にて所定の処理を順番に行うことができる。
【0012】
トランスポータ160は基板着脱装置140、めっき処理部150およびストッカ170との間で基板ホルダを搬送するよう構成されている。さらに、トランスポータ160は各処理槽(前水洗槽151~ブロー槽158)の間で基板ホルダを搬送するように構成されている。トランスポータ160は、基板ホルダを懸架するためのトランスポータアーム161と、トランスポータアーム161を上下動させるためのアーム上下動機構162と、アーム上下動機構162を処理槽の並びに沿って水平移動させるための水平移動機構163と、を備える。水平移動機構163はトランスポータアーム161を水平移動させるための機構と表現されてもよい。トランスポータ160の構成は例示に過ぎないことに留意されたい。
【0013】
ストッカ170は基板ホルダを少なくとも1枚、好ましくは複数枚保管可能に構成されている。一実施形態にかかる制御部180は、ストッカ170に保管されている基板ホルダのうち基板を保持していない基板ホルダが取り出されるよう、トランスポータ160を制御する。その後、制御部180は、取り出された基板ホルダが基板着脱装置140まで搬送されるよう、基板着脱装置140およびトランスポータ160を制御する。その後、制御部180は、基板が基板ホルダにより保持されるよう、基板着脱装置140を制御する。基板ホルダによって保持されるべき基板は、基板搬送ロボット120によりロードポート110から基板着脱装置140まで搬送される。以上の手順により、基板を保持していない基板ホルダは「基板を保持している基板ホルダ」となる。その後、制御部180は、基板を保持している基板ホルダが基板着脱装置140から取り出されるよう、基板着脱装置140およびトランスポータ160を制御する。さらにその後、制御部180は、当該基板ホルダがめっき処理部150に搬送されるよう、トランスポータ160を制御する。
【0014】
めっき処理が終わった場合など、基板ホルダによる基板の保持を解除する必要がある場合、制御部180は、上述の手順と大凡逆の手順においてめっき装置100の各要素を制御する。すなわち、制御部180は、基板を保持している基板ホルダが基板着脱装置14
0に搬送されるよう、基板着脱装置140およびトランスポータ160を制御する。その後、制御部180は、基板ホルダによる基板の保持が解除されるよう、基板着脱装置140を制御する。以上の手順により、基板を保持している基板ホルダは「基板を保持していない基板ホルダ」となる。基板ホルダによる基板の保持が解除された後、当該基板ホルダに別の基板が保持されて再びめっき処理部150に搬送されてもよい。代替として、基板ホルダによる基板の保持が解除された後、当該基板ホルダがストッカ170に収容されてもよい。基板ホルダから取り外された基板は、基板搬送ロボット120によりロードポート110またはドライヤ130に搬送されてよい。
【0015】
<基板ホルダについて>
次に、めっき装置100において用いられる基板ホルダ(以下では符号「200」を付す)について説明する。図2は基板ホルダ200の模式図である。図2Aは基板ホルダ200の正面図である。図2Bは基板ホルダ200の断面図である。図2Cは、図2Bで「A」と付された箇所の拡大分解図である。なお、「めっき装置100または基板着脱装置140の正面」と「基板ホルダ200の正面」とは必ずしも一致しないことに留意されたい。
【0016】
基板ホルダ200は、フレーム間に基板を挟むことによって基板を保持するための部材である。基板ホルダ200は基板を挟持するためのフロントフレーム200aおよびリアフレーム200bを備える。フロントフレーム200aとリアフレーム200bとは、少なくとも1つ、好ましくは複数のクランパ290(クランパ290の詳細は後述)によってクランプされる。基板(以下では符号「W」を付す)は図2B中に想像線で示されている。
【0017】
フロントフレーム200aとリアフレーム200bとは、後述するフック部250およびプレート270を除き、対称的な構造を有する。したがって、「フロント」と「リア」という名称は便宜的なものに過ぎない。フロントフレーム200aの位置する側とリアフレーム200bの位置する側のどちらが正面として扱われてもよい。フロントフレーム200aとリアフレーム200bは対称的な構造でなくともよい。
【0018】
フロントフレーム200aの上部にはホルダアーム210aが設けられている。ホルダアーム210aの肩部には肩部電極220が設けられてよい。図2の例では、ホルダアーム210aの両肩に2つの肩部電極220が設けられている。肩部電極220は図示しない導電経路(配線またはバスバーなど)により後述する基板用電極320と電気的に接続されている。後述する基板用電極320は基板Wと電気的に接続されるので、肩部電極220は基板Wと電気的に接続される。リアフレーム200bにはホルダアーム210bが設けられている。ホルダアーム210bの構成はホルダアーム210aと同等である。フロントフレーム200aは配線格納部230aを備えてよい。リアフレーム200bは配線格納部230bを備えてよい。
【0019】
フロントフレーム200aはさらにフレームボディ240aを備える。リアフレーム200bはさらにフレームボディ240bを備える。フレームボディ240aおよびフレームボディ240bは概略板状の部材である。フレームボディ240aおよびフレームボディ240bのそれぞれの中央部分には、基板Wを露出するための開口260aおよび開口260bがそれぞれ形成されている。図2の例では、開口260aおよび開口260bは角形である。開口260aおよび開口260bの形状は必要に応じて適宜変更されてよい。基板Wはフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に挟み込まれる。
【0020】
基板Wの一つの面は開口260aを介して外部に露出する。基板Wの他の面は開口260bを介して外部に露出する。したがって、図2の基板ホルダ200を用いてめっき処理
を行うと、基板Wの両面がめっき液に接触する。つまり、図2の基板ホルダ200は「両面ホルダ」である。ただし、どちらかの開口をカバーすること、または、電気的条件を制御することなどによって、基板ホルダ200を片面めっきのために用いることも可能である。
【0021】
基板ホルダ200は1つまたは複数のクランパ290を備える。クランパ290は、フレームボディ240aに取り付けられたフック部250と、フレームボディ240bに取り付けられたプレート270とを有する。図2の例では合計で4つのクランパ290が設けられている。
【0022】
フック部250は、フレームボディ240aに取り付けられるフックベース251と、フック本体252と、フック本体252をフックベース251に対して枢動可能に支持するシャフト253と、を備える。フック部250は、シャフト253を中心としてフック本体252を枢動させるためのレバー254をさらに有してもよい。フック本体252はリアフレーム200bの方向に向かって延びている。シャフト253は、保持されるべき基板Wの面と平行な面内で伸びている。フック部250は、シャフト253を中心としてフック本体252を図2Bまたは図2Cの反時計回りに付勢して、フック本体252とクロー271(後述)との間の引っ掛かりを維持するための押圧部材(図示せず)をさらに備える。押圧部材はたとえばねじりバネであってよい。
【0023】
フレームボディ240aにはポート241a(図2C参照)が設けられている。フック部250は、ボルトなどによってポート241aに取り付けられる。フレームボディ240bにはポート241b(図2C参照)が設けられている。ポート241bの位置および個数はポート241aの位置および個数に対応する。ポート241bにはボルトなどによりプレート270が取り付けられる。プレート270には、フック本体252が引っ掛けられるクロー271が設けられている。クロー271はフロントフレーム200aの方向に向かって延びている。
【0024】
図2に示した実施形態では、レバー254をフレームボディ240bに向かって押すことでフック本体252とクロー271の引っ掛かりが解除される。これに代え、レバー254を正面側に引っ張ることで引っ掛かりが解除されるよう、レバー254等を構成してもよい。
【0025】
図2では、フロントフレーム200aにフック部250が取り付けられ、リアフレーム200bにプレート270が取り付けられている。代替として、フック部250がリアフレーム200bに取り付けられてよく、プレート270がフロントフレーム200aに取り付けられていてもよい。
【0026】
次に、図3を用いて基板ホルダ200のうち基板Wを保持する部分の詳細を説明する。図3は基板ホルダ200のうち基板Wを保持する部分の断面図である。基板Wの両面にめっき処理を行うためには、基板Wの両面に電力を供給する必要がある。そこで、図3のフレームボディ240aおよびフレームボディ240bにはそれぞれ基板用電極320が設けられている。基板用電極320のそれぞれは、基板Wのそれぞれの面に電気的に接続される。基板用電極320は肩部電極220に電気的に接続されている。したがって、肩部電極220に供給された電力は基板用電極320を介して基板Wに供給される。
【0027】
基板ホルダ200は、基板用電極320が存在する空間をめっき液からシールするためのアウタシール300およびインナシール310を備える。アウタシール300は基板Wの外側においてフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間の隙間をシールするように構成されている。アウタシール300はフレームボディ240aに設けられて
いてもよく、フレームボディ240bに設けられていてもよい。インナシール310はフレームボディ240aとフレームボディ240bのそれぞれに設けられている。インナシール310は、基板Wが保持された場合に基板Wと接触する。アウタシール300およびインナシール310は基板Wの厚さ方向に弾性的に変形可能である。基板Wは、インナシール310と基板Wとの間の接触圧によってフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に保持される。なお、図3は模式図に過ぎず、実際の構成とは異なり得ることに留意されたい。たとえば、基板ホルダ200は、アウタシール300およびインナシール310を保持するためのシールホルダを有してもよい。
【0028】
<基板着脱装置について>
基板Wをフレームボディ240aとフレームボディ240bとの間に挟み込むためには、フック本体252がクロー271に引っ掛けられる必要がある。フック本体252がクロー271に引っ掛けられていると、フレームボディ240aとフレームボディ240bが互いに離れることが規制され、アウタシール300およびインナシール310は基板Wの厚さ方向に弾性的に変形し、シール圧力が発生する。フック本体252をクロー271に引っ掛けるためには、一旦、フック本体252がクロー271より背面側(図2Cの右方向)に位置させられる必要がある。したがって、基板ホルダ200により基板Wを保持するためには、フレームボディ240aがフレームボディ240bに向けて押し込まれる、または、フレームボディ240bがフレームボディ240aに向けて押し込まれる必要がある。
【0029】
前述のように、フレームボディ240aとフレームボディ240bとの間にはアウタシール300およびインナシール310が存在する。したがって、フレームボディ240aおよび/またはフレームボディ240bを押し込むと、アウタシール300およびインナシール310からの反力が生じる。一実施形態にかかる基板着脱装置140は、アウタシール300およびインナシール310からの反力に逆らってフレームボディ240aおよび/またはフレームボディ240bを押し込むことが可能に構成されている。基板着脱装置140はさらに、フレームボディ240aおよび/またはフレームボディ240bを押し込んだ状態でフック本体252をクロー271に引っ掛ける(フック本体252を枢動させる)ことが可能であるように構成されている。基板着脱装置140は、これらの動作により基板ホルダ200に基板Wを保持させることができる。以下、基板着脱装置140の詳細について説明する。
【0030】
図4は一実施形態にかかる基板着脱装置140の模式図である。図4Aは基板着脱装置140の上面図である。図4Bは基板着脱装置140の正面図である。図4Aには基板搬送ロボット120およびトランスポータ160もあわせて図示されている。
【0031】
基板着脱装置140は、ホルダ受け部400と、ホルダ傾動部410と、ホルダ搬送部420と、押付部430と、を備える。押付部430は「フィキシング(fixing)部」または「基板着脱部」などと呼ばれてもよい。トランスポータ160はホルダ受け部400にアクセス可能であるよう構成される。基板Wは、基板搬送ロボット120によって基板着脱装置140、より具体的には押付部430にロードされ、かつ、基板搬送ロボット120によって基板着脱装置140、より具体的には押付部430からアンロードされる。
【0032】
ホルダ受け部400は、ホルダ受け本体401と、ホルダ受け本体401を移動させるためのホルダ受け直動機構402を備える。ホルダ受け本体401はトランスポータ160から基板ホルダ200を受け取る。その後、ホルダ受け本体401は、ホルダ受け直動機構402により、ホルダ傾動部410の近くまで移動させられる。
【0033】
ホルダ傾動部410はホルダ傾動部アーム411を備える。図5Aに示されるように、
はじめにホルダ傾動部アーム411は真下を向いている。図5Bに示されるようにホルダ傾動部アーム411が水平になるまで傾動することで、ホルダ傾動部アーム411はホルダ受け本体401から基板ホルダ200を受け取る。ホルダ傾動部アーム411の傾動により、基板ホルダ200は水平になるまで傾動させられる(縦向きであった基板ホルダ200が横向きにされる)。ホルダ傾動部アーム411は、基板ホルダ200を支持し、基板ホルダ200の落下を防止するためのピン500を有してよい。ピン500は格納可能であってよい。ピン500の具体的な構造、配置、個数などは適宜決定されてよい。基板ホルダ200はピン500に対応するピン穴(図示せず)を有してよい。
【0034】
ホルダ搬送部420はホルダキャリア421と、ホルダキャリア421を上下動させるためのキャリア上下動機構422と、キャリア上下動機構422を押付部430に向けて移動させるための搬送部直動機構423と、を備える。図6Aおよび図6Bに示されるように、ホルダキャリア421はホルダ傾動部アーム411の下部から基板ホルダ200を受け取り、押付部430へ向けて基板ホルダ200を搬送する。
【0035】
押付部430は、基板ホルダ200が水平に置かれるステージ431と、押付ユニット432と、を備える。ステージ431はホルダ搬送部420から基板ホルダ200を受け取るように構成されている。ステージ431はさらに、基板ホルダ200をホルダ搬送部420に受け渡すよう構成されている。押付ユニット432はステージ431の上方に配置されている。押付ユニット432は上下動可能に構成されている。押付ユニット432はステージ431上の基板ホルダ200を下方に向かって押し付けることができる。
【0036】
ホルダ搬送部420および押付部430の動きについて、図7を用いて説明する。まず、キャリア上下動機構422により、ホルダキャリア421の高さがステージ431に基板ホルダ200を受け渡すために適切な高さに調整される。その後、搬送部直動機構423によりホルダキャリア421が押付部430の内部へロードされる(図7A)。次に、キャリア上下動機構422によりホルダキャリア421が下降させられる(図7B)。ホルダキャリア421が下降することで、基板ホルダ200はステージ431上に置かれる。
【0037】
次に、押付ユニット432がステージ431上の基板ホルダ200に向けて下降させられる(図7C)。押付ユニット432により基板ホルダ200が押し付けられることで、フック本体252をクロー271に引っ掛けることまたはフック本体252とクロー271の引っ掛かりを解除することができる位置に、フック本体252およびクロー271が位置付けられる(フック本体252およびクロー271については図2を参照)。
【0038】
図示された基板着脱装置140の構成は例示に過ぎないことに留意されたい。たとえばトランスポータ160により基板ホルダ200を水平にすることができるのであれば、ホルダ傾動部410は不要である。たとえばトランスポータ160が基板ホルダ200を押付部430に直接搬送することができるのであれば、押付部430以外の要素は不要である。基板着脱装置140の具体的な構成は適宜決定されてよい。また、ステージ431に置かれた基板ホルダ200をトランスポータ160に搬送する場合、図5から図7により説明された手順と逆の手順が実行される。
【0039】
<押付部の構成について>
図8により押付部430の詳細が説明される。図8Aは押付部430を上方からみた斜視図である。図8Bは押付部430を上方からみた斜視図である。図8Bの押付部430は、光源890よりわずかに高い位置で切り取られている。図8Cは押付部430を下方からみた斜視図である。図8Cの押付部430は、押付ユニット432より低く、かつ、ステージ431より高い位置で切り取られている。
【0040】
押付部430はハウジング800を備える。図8の例では、ハウジング800はメタルバーから構成されている。ステージ431はハウジング800に取り付けられている。ステージ431は水平面と実質的に平行である。ステージ431には押付ユニット上下動機構810が設けられている。押付ユニット432は押付ユニット上下動機構810により上下動させられる。押付ユニット上下動機構810は例えばエアシリンダを有してよく、例えばボールねじとモータの組み合わせを有してもよい。ステージ431にはさらに直動ガイド811およびブレーキ812が設けられている。ブレーキ812は「リニアクランパ」「リニアガイドクランパ」などと称されてもよい。直動ガイド811はステージ431から上方向に延びており、押付ユニット432の上下動を案内する。ブレーキ812は押付ユニット432を任意の場所で静止させることができる。押付ユニット432等の重量に耐えることができる限り、押付ユニット上下動機構810、直動ガイド811およびブレーキ812の構成は任意の構成であってよい。
【0041】
ステージ431のほぼ中央には枠状(窓枠状)の載置部820が設けられている。載置部820の具体的な形状は、基板Wおよび基板ホルダ200の形状により定められてよい。基板ホルダ200は載置部820に置かれる。載置部820は基板ホルダ200(具体的には、たとえばフロントフレーム200a)に接触するが、基板Wには接触しないように構成される。
【0042】
ステージ431は位置決め機構830および固定クランプ831を備えてよい。位置決め機構830は、基板ホルダ200を水平方向に押すことで、載置部820に置かれるべきまたは置かれた基板ホルダ200を2次元的または1次元的に位置決めする。位置決め機構830の具体的な配置、形状その他の特性は、基板ホルダ200の形状、大きさ等によって決定される。固定クランプ831は下方に位置するフレーム(図9の例ではフロントフレーム200a)を挟み込むことで、下方に位置するフレームを固定する。
【0043】
ステージ431はさらにフレームプッシャ840を備える。フレームプッシャ840は、基板ホルダ200のフレームのうち上方に位置するフレーム(図9の例ではリアフレーム200b)を持ち上げる。フレームプッシャ840の具体的な配置、形状その他の特性は、基板ホルダ200の形状、大きさ等によって決定される。フレームプッシャ840の動作については後述される。
【0044】
押付部430はさらに、フロントフレーム200aとリアフレーム200bとの間で基板Wを挟持するための基板サポーティングユニット850を有する。基板サポーティングユニット850は、下部基板サポータ851、下部基板サポータ上下動機構852、上部基板サポータ853および上部基板サポータ上下動機構854を備えてよい。
【0045】
下部基板サポータ851はステージ431に設けられている。下部基板サポータ851は、基板Wを下部から支持する部材である。具体的には、下部基板サポータ851は載置部820により画定される枠の内部に配置されている。下部基板サポータ851は下方に位置するフレームの開口(たとえば開口260a)を通じて基板Wと接触する。基板Wの可触領域は予め設定された領域であり、たとえば基板Wのうち配線が形成されない領域である。そこで、下部基板サポータ851は基板Wの可触領域にのみ触れるように形成される。たとえば図8の例では下部基板サポータ851の形状は十字である。下部基板サポータ851は下部基板サポータ上下動機構852により上下動可能に構成されている。好ましくは、下部基板サポータ上下動機構852は空圧式の機構である。ただし、空圧式以外の下部基板サポータ上下動機構852が用いられてもよい。下部基板サポータ上下動機構852はたとえばモータであってもよい。
【0046】
上部基板サポータ853はステージ431の上部に配置されている。図8の例では上部基板サポータ853はハウジング800に取り付けられている。より具体的には、図8の押付ユニット432は押付ユニット開口432opを有し、かつ、上部基板サポータ853は押付ユニット開口432opを介して基板Wにアクセス可能に構成されている。上部基板サポータ853は基板Wを上部から支持する部材である。上部基板サポータ853は、下部基板サポータ851と協働して基板Wを挟持する。さらに、上部基板サポータ853は上方に位置するフレームの開口(たとえば開口260b)を通じて基板Wと直接接触する。そこで、上部基板サポータ853もまた基板Wの可触領域にのみ触れるように形成される。なお、基板Wの可触領域は基板の面によって異なり得ることに留意されたい。したがって、上部基板サポータ853の形状は下部基板サポータ851の形状と異なり得る。図8の上部基板サポータ853は例えば逆U字状であり、基板Wと2点で接触する。上部基板サポータ853は上部基板サポータ上下動機構854により上下動可能に構成されている。好ましくは、上部基板サポータ上下動機構854もまた空圧式の機構である。ただし、空圧式以外の上部基板サポータ上下動機構854が用いられてもよい。
【0047】
基板サポーティングユニット850は、上方に位置するフレームが持ち上げられている場合に、基板Wを移動させることができる。以下では、フロントフレーム200aが下方、リアフレーム200bが上方に位置している場合を想定して説明する。具体的には、基板サポーティングユニット850は、基板Wを、フロントフレーム200aとリアフレーム200bで基板を挟持することが可能な第1の位置(図9C参照)と、基板Wを基板着脱装置140からアンロードすることが可能な位置である第2の位置(図9J参照)と、の間で移動させる。第2の位置は第1の位置より高い位置である。第1の位置は、典型的には、基板Wの下面とフロントフレーム200aの上面(リアフレーム200bに対向する側の面)がほぼ同一平面となる位置である。
【0048】
押付ユニット432はおおよそ板状の部材となっている。押付ユニット432の下面には押付機構870が設けられている。押付機構870は基板ホルダ200のアウタシール300およびインナシール310を圧縮するために基板ホルダ200を押し付ける機構である。より正確には、押付機構870は、リアフレーム200bをステージ431の方向に向かって、すなわち下方向へ押し付ける。押付機構870は、たとえば上下動可能なエアシリンダおよびピストンから構成されていてよい。押付機構870はモータ等を含んでもよい。押付機構870によりアウタシール300およびインナシール310が圧縮される結果、クランパ290のフック本体252をクロー271に引っ掛けることが可能になる。アウタシール300およびインナシール310を均一に圧縮するため、押付ユニット432は複数(図8では16個)の押付機構870を有してよい。アウタシール300およびインナシール310を圧縮するためには、押付機構870はそれらのシールのほぼ真上に配置されることが好ましい。図示した例では、基板Wは矩形である。よって、シールもまた矩形状となっている。したがって、図8の例では、押付機構870が矩形状に配列されている。押付機構870の具体的な個数、位置および大きさならびに押付機構870が基板ホルダ200のフレームを押し付ける強度などは、基板ホルダ200の特性に応じて決定されてよい。
【0049】
ステージ431には、さらに、クランパオープナ860が設けられている。基板ホルダ200のクランパ290は「ノーマルクローズ」となるよう構成されている。クランパオープナ860はクランパ290を押すことでクランパ290を開く。より正確には、クランパオープナ860はレバー254を押してフック本体252をシャフト253の周りで枢動させる(図2も参照のこと)。クランパ290が開かれると、フック本体252をクロー271に引っ掛けること、および、フック本体252とクロー271との引っ掛かりを解除することが可能になる。クランパオープナ860の個数、配置その他の特性は、クランパ290の個数、大きさ等に応じて決定される。なお、図8のクランパオープナ86
0は2つのクランパ290を1つのアクチュエータで操作するようにしている。
【0050】
押付ユニット432にはフレームリフティングクロー880が設けられている。フレームリフティングクロー880は基板Wと平行な面内で伸縮可能に構成されている。フレームリフティングクロー880はリアフレーム200bを引っ掛け、当該フレームを持ち上げるために設けられている。基板ホルダ200を三点支持するため、好ましくは、押付ユニット432は3つまたはそれ以上のフレームリフティングクロー880を有する。図8Cでは6つのフレームリフティングクロー880が示されており、2つのフレームリフティングクロー880が1つの組となっている。押付ユニット432はクロー以外の手段によってフレームを持ち上げることが可能に構成されていてもよい。クロー以外の手段には、電磁石および吸着要素を例として含む。
【0051】
基板着脱装置140はさらに少なくとも1組の光源890およびカメラ891を備えてよい。光源890およびカメラ891は、基板Wを基板搬送ロボット120により基板着脱装置140に搬送する際に用いられる。具体的には、光源890およびカメラ891は、基板Wの位置および/または角度の調整に用いられる。光源890はステージ431に取り付けられている。具体的には、光源890は載置部820より外側に設けられている。光源890は光源用アクチュエータ893により枢動可能(回転移動可能)に構成されている。光源890の枢動の軸は鉛直方向に沿っている。枢動により、光源890は、基板Wの着脱を阻害しない位置である光源待機位置と、基板搬送ロボット120により掴まれた基板Wの角部に光を照射可能な照射位置と、の間で移動する。ただし、光源890は枢動以外の他の手段、たとえば直動、によって移動可能であってよい。
【0052】
カメラ891はハウジング800または上部基板サポータ上下動機構854などに取り付けられている。図8の例では、カメラ891はハウジング800に取り付けられている。カメラ891はカメラ用アクチュエータ894により水平移動可能に構成されている。具体的には、カメラ用アクチュエータ894は、カメラ891をカメラ待機位置と、撮像位置との間で移動させる。カメラ待機位置は、基板Wの着脱を阻害しない位置であって、リアフレーム200bの上昇下降に干渉しないように、開口260bの内側にある位置である。撮像位置は、前述の照射位置と対向する位置である。さらに、撮像位置は、光源により照射されている基板Wの角部を撮像可能な位置である。カメラ891は水平移動以外の他の手段、たとえば枢動、によって移動可能であってよい。光源890およびカメラ891の具体的な動作については後述される。
【0053】
押付部430はさらに通電センサ892を備えてよい。通電センサ892は、基板ホルダ200と基板Wとの間の通電を確認するためのセンサである。通電センサ892は肩部電極220に接触可能に構成されている。通電センサ892は、図示しないモータまたは空圧機構などによって格納可能であってよい。
【0054】
なお、図8においてステージ431に取り付けられている部品はステージ431から独立した部品であってよい(ただし載置部820を除く)。すなわち、「ステージ431が部品Aを備える」という説明は、「押付部430が部品Aを備える」と言い換えられてよい。基板着脱装置140の具体的な構成は適宜決定されてよい。これまでフック部250を有するフレームボディ240aが下方に位置している場合を例に説明したが、たとえば、フック部250がフレームボディ240bに取り付けられているならば、クランパオープナ860はステージ431ではなく押付ユニット432に設けられていてよい。
【0055】
<押付部の動作について>
次に、押付部430の動作について図9を用いて説明する。図9では、基板ホルダ200による基板Wの保持を解除するための押付部430の動作を例にして説明する。図9
押付部430の動作の基本原理を示すものにすぎず、図9に示される要素の寸法、形状、配置等は正確なものではないことに留意されたい。図9A~Mは時系列順に記載されている。図9Aでは、図示された全ての部品に符号が付されている。一方で、図9B~Mでは、その時点において動作する部品にのみ符号が付されている。図9の説明に関しては、フロントフレーム200aはフレームボディ240aと同視されてよく、リアフレーム200bはフレームボディ240bと同視されてよい。
【0056】
図9では、基板サポーティングユニット850により、基板Wが、第1の位置と第2の位置との間で移動する。第1の位置は、フロントフレーム200aとリアフレーム200bで基板を挟持することが可能な位置である(図9C図9I)。第2の位置は、基板Wを基板着脱装置140からアンロードすることが可能な位置である(図9J図9K)。第2の位置は第1の位置より高い。
【0057】
図9Aは、基板ホルダ200による基板Wの保持を解除する動作の第1の時点(以下では単に「第nの時点」という)における押付部430の模式図である。第1の時点では基板ホルダ200が載置部820に置かれており、押付ユニット432は上げられている。すなわち、図9A図7Bに相当する。第1の時点において位置決め機構830(図9には図示されていない)および固定クランプ831が動作させられてよい。
【0058】
図9Bは第2の時点における押付部430の模式図である。第2の時点では押付ユニット上下動機構810(図9には図示されていない)によって押付ユニット432が下げられる。押付ユニット432は、押付機構870がリアフレーム200bを押すことができる位置まで下降させられる。押付ユニット432が適切な位置まで下降させられた後、ブレーキ812(図9には図示されていない)が動作し、押付ユニット432の位置が固定される。
【0059】
図9Cは第3の時点における押付部430の模式図である。第3の時点では基板サポーティングユニット850が動作する。すなわち、第3の時点では、下部基板サポータ上下動機構852により下部基板サポータ851が上昇させられる。さらに、第3の時点では、上部基板サポータ上下動機構854により上部基板サポータ853が下降させられる。結果として、第3の時点では、下部基板サポータ851および上部基板サポータ853によって基板Wが挟持される。基板Wは、図9Cに示された位置において基板ホルダ200に取り付けられ、または、基板ホルダ200から取り外される。すなわち、フロントフレーム200aとリアフレーム200bで基板を挟持し、あるいはフロントフレーム200aとリアフレーム200bが互いに離反して基板の挟持が解除される。したがって、図9Cに示された基板Wの位置が「第1の位置」となる。下部基板サポータ851の上昇および上部基板サポータ上下動機構854の下降は同時に実行されてもよく、順々に実行されてもよい。
【0060】
図9Dは第4の時点における押付部430の模式図である。第4の時点では押付機構870が動作し、リアフレーム200bを下部に向かって押し付ける。押し付けにより、アウタシール300およびインナシール310が圧縮され、リアフレーム200bがフロントフレーム200aに近づくこととなる。その結果、クランパオープナ860がクランパ290を開けることができるようになる。押付ユニット432はブレーキ812によって固定されているので、押付機構870はリアフレーム200bを十分に強く押し付けることができる。
【0061】
図9Eは第5の時点における押付部430の模式図である。第5の時点ではクランパオープナ860が動作し、クランパオープナ860がフック本体252を枢動させる。クランパオープナ860によりフック本体252とクロー271の引っ掛かりが解除され、ク
ランパ290が開けられる。なお、固定クランプ831によりフロントフレーム200aが固定されていれば、フロントフレーム200aがクランパオープナ860により持ち上げられることを防止することができる。
【0062】
図9Fは第6の時点における押付部430の模式図である。第6の時点では押付機構870による押し付けが解除される。第5の時点においてクランパ290は開けられているので、第6の時点において押し付けを解除すると、アウタシール300およびインナシール310の反力によりリアフレーム200bがわずかに上昇する。
【0063】
図9Gは第7の時点における押付部430の模式図である。第7の時点ではフレームプッシャ840によりリアフレーム200bがさらに押し上げられる。フレームプッシャ840は、フレームリフティングクロー880を差し込むために十分な大きさのギャップをリアフレーム200bとフロントフレーム200aとの間に生じさせる。
【0064】
図9Hは第8の時点における押付部430の模式図である。第8の時点ではリアフレーム200bを持ち上げるための準備が行われる。すなわち、第8の時点ではフレームリフティングクロー880がリアフレーム200bとフロントフレーム200aとのギャップに向かって伸長する。
【0065】
図9Iは第9の時点における押付部430の模式図である。第9の時点では押付ユニット上下動機構810(図9には図示されていない)によって押付ユニット432が上げられる。フレームリフティングクロー880がリアフレーム200bに引っ掛けられているので、押付ユニット432とともにリアフレーム200bもまた持ち上げられる。なお、第9の時点においてブレーキ812は解除される。より正確には、押付ユニット432が上げられる前にブレーキ812が解除される。押付ユニット432が所定の高さまで持ち上げられた後、ブレーキ812が再度動作させられてもよい。
【0066】
図9Jは第10の時点における押付部430の模式図である。第10の時点では基板サポーティングユニット850により基板Wが浮上させられる。下部基板サポータ851および上部基板サポータ853が上昇することにより、基板Wがフロントフレーム200aから離れ、フロントフレーム200aから浮上する。基板Wが浮上することにより、基板搬送ロボット120が基板Wを掴むことが容易になる。すなわち、基板Wの下面がフロントフレーム200aから離れているので、基板搬送ロボット120が基板の下面を支持して搬送することができる。したがって、図9Jに示された基板Wの位置が「第2の位置」となる。
【0067】
図9Kは第11の時点における押付部430の模式図である。これまでの図と異なり、図9Kには基板搬送ロボット120が図示されている。第11の時点では基板搬送ロボット120が基板Wを掴む。図の簡略化のため、図9Kの基板搬送ロボット120は基板Wの一辺のみを掴んでいるが、基板搬送ロボット120は、基板Wの全面に渡って基板Wを支持することが望ましい。そのため、下部基板サポータ851および上部基板サポータ853の少なくとも一方は、基板搬送ロボット120と干渉しない形状となっていることが望ましい。
【0068】
図9Lは第12の時点における押付部430の模式図である。第12の時点では上部基板サポータ上下動機構854が上昇させられる。これにより、基板サポーティングユニット850による基板の挟持が解除される。なお、基板Wは基板搬送ロボット120により掴まれているので、基板Wは下部基板サポータ851から落下しない。
【0069】
図9Mは第13の時点における押付部430の模式図である。第13の時点では基板搬
送ロボット120が押付部430から基板Wを搬送する。基板Wの搬送にあたり基板Wと下部基板サポータ851とが擦れあわないよう、基板搬送ロボット120がわずかに上方に移動してもよく、下部基板サポータ上下動機構852が下方に移動してもよい。
【0070】
以上に示した押付部430の動作により、基板ホルダ200による基板Wの保持が解除され、基板Wは基板着脱装置140からアンロードされる。基板ホルダ200に基板Wを保持させるためには、以上に示した動作(以下では「順動作」という)の逆の手順を有する動作、すなわち図9Mから図9Aの順の動作(以下では「逆動作」という)を実行すればよい。逆動作において基板ホルダ200による基板Wの保持が完了したのち(すなわち、図9Bから図9Aの任意の時点)に、通電センサ892により基板ホルダ200と基板W間の通電が確認されてよい。通電が確認できなかった場合、順動作により基板Wを押付部430から搬出してもよい。通電が確認できなかった場合、例えば図9Jまで順動作を実行した後、逆動作を実行して再び基板ホルダ200と基板W間の通電を確認してもよい。
【0071】
逆動作において基板サポーティングユニット850が基板Wを挟持する前に、すなわち、図9Lから図9Kの間の任意の時点において、光源890およびカメラ891を用いた基板Wの位置合わせが実行されてよい。図10を用いて当該位置合わせについて説明する。図10で示される時点は図9Lで示される時点(第12の時点)に相当する。図10において用いられている基板の形状は矩形であるとして説明する。
【0072】
図10Aは、光源890およびカメラ891の双方が待機位置にある場合の押付部430の模式図である。光源890は載置部820の外側に位置し、カメラ891は押付ユニット開口432opの内側かつ開口260bの内側に位置している。ここでは、部品Aと開口の高さが異なっても、真上または真下から見て開口から部品Aの全部分を観察可能である(すなわち、部品Aを上下動させた場合に部品Aが開口を通過可能である)ならば、「部品Aは開口の内側に位置する」ものとする。待機位置にある光源890およびカメラ891は、押付部430による基板Wの着脱を阻害しない。基板Wの位置合わせが実行されている場合を除き、光源890およびカメラ891は待機位置にて待機する。
【0073】
図10Bは、光源890が照射位置にあり、カメラ891が撮像位置にある場合の押付部430の模式図である。前述のとおり、光源890はたとえば枢動可能であり、カメラ891はたとえば水平移動可能である。撮像位置は照射位置の実質的に真上にある。照射位置にある光源890は基板搬送ロボット120により掴まれている基板Wの角部に向かって光を照射する。撮像位置にあるカメラ891は基板搬送ロボット120により掴まれている基板Wの角部を撮像する。光源890により、カメラ891は十分な光量を得ることができる。
【0074】
撮像位置は固定されているので、カメラ891により得られた画像から、基板Wの位置および/または角度を算出することができる。算出された基板Wの位置および/または角度に基づき、基板搬送ロボット120が基板Wの位置および/または角度を調整する。基板Wと下部基板サポータ851との擦れあいを防止するため、位置調整の際に基板搬送ロボット120が上昇させられてよく、および/または、下部基板サポータ851が下降させられてもよい。基板Wの位置および/または角度の調整が終わり次第、光源890およびカメラ891は再び待機位置へと戻される。
【0075】
図10では1組の光源890およびカメラ891が示されている。したがって、図10において撮像される基板Wの角部の個数は1つである。基板Wの位置および/または角度を高精度に調整するためには、複数の角部が撮像されることが好ましい。具体的には、少なくとも1組の対角が撮像されることが好ましい。そこで、押付部430は、複数の組の
光源890およびカメラ891を備えてよい。たとえば図8の押付部430は、1組の対角を撮影するための2組の光源890およびカメラ891を備える。
【0076】
基板の角部の位置を検出するために十分なコントラストが得られるならば、押付部430は光源890を備えなくともよい。また、光源890およびカメラ891の組に代え、レーザセンサ、ラインセンサ、接触センサなどのセンサによって基板Wの位置および/または角度が算出されてもよい。また、カメラ801と基板Wと光源890の高さ方向の位置関係は特に限定されず、カメラ801と光源890がともに基板Wの上部にあってもよい。光源890の位置は、厳密にカメラ801の直上でなく、所定の角度の位置に設けられてもよい。基板Wの位置および/または角度を検出するために参照する基板の部位は角部に限定されず、例えば基板Wに予め設けられた基準マークであってもよい。本明細書においては、基板の角部および基準マークなどの部位を「基板の位置および/または角度の検出の基準となる部位」と総称する。本明細書においては、基板サポーティングユニット850が基板を挟持する前に基板Wの位置および/または角度を算出する機構を「基板位置検出部」と総称する。基板位置検出部の構成によっては、基板は矩形でなくともよい。
【0077】
<「セミロック」に対応可能な押付部について>
基板ホルダは「セミロック機能」を有するクランパを備え得る。セミロック機能とは、「フロントフレーム200aとリアフレーム200bとを離間させた状態でフロントフレーム200aとリアフレーム200bとを保持する機能」をいう。基本的に、セミロック機能は、基板を保持していない基板ホルダのフロントフレーム200aとリアフレーム200bを組み合わせておく機能である。セミロック状態では、フロントフレーム200aとリアフレーム200bのシール(アウタシール300、インナシール310)及び接点(基板用電極320)は他方に接触しない。基板ホルダをセミロックさせることは、部品の寿命、基板ホルダの搬送の容易さ、基板ホルダの洗浄の容易さなどの点で有利である。
【0078】
図11は、セミロック機能を有するクランパ290のプレートの斜視図である。以下では、図11に示されるプレートを「プレート270SL」という。なお、「SL」は「Semi-Lock」の頭文字である。図12は、プレート270SLの対になるフック部の斜視図である。以下では、図12に示されるフック部を「フック部250SL」という。図13は、図11のプレート270SLと図12のフック部250SLとを備えるクランパ290の断面図である。
【0079】
プレート270SLは、2つのクロー271を有する。具体的には、プレート270SLは、ロック用クロー271aとセミロック用クロー271bを有する。ロック用クロー271aは、フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合に基板ホルダ200が基板Wを保持することができるように構成されている。セミロック用クロー271bは、フック本体252がセミロック用クロー271bに引っ掛けられた場合のフロントフレーム200aとリアフレーム200bの間の距離が、フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合のフロントフレーム200aとリアフレーム200bの間の距離よりも大きくなるように構成されている。
【0080】
フック部250SLは、シャフト253の長手方向に伸長されたフック本体252を備える。フック本体252が伸長されていることに伴い、フック本体252は2本のシャフト253により支持されている。シャフト253のそれぞれは同軸に配置されている。2本のシャフト253に代え、伸長された1本のシャフト253を用いることもできる。
【0081】
伸長されたフック本体252は、ロック用クロー271aおよびセミロック用クロー271bに対して選択的に引っ掛けられる。フック本体252がロック用クロー271aに引っ掛けられた場合、クランパ290はロックされる。フック本体252がセミロック用
クロー271bに引っ掛けられた場合、クランパ290はセミロックされる(「基板ホルダ200がセミロックされる」ともいう)。基板ホルダ200がセミロックされている場合、アウタシール300およびインナシール310は全く圧縮されていないか、わずかに圧縮されている状態か、または、互いに離間している状態である。
【0082】
以下に例示として示す手順により、基板ホルダ200はセミロックされる。
(a)図9Mにおいて基板搬送ロボット120により基板Wがアンロードされた後、フック本体252をセミロック用クロー271bに引っかけることができる位置まで、押付ユニット上下動機構810により押付ユニット432を下降させる。
(b)クランパオープナ860によるフック本体252の枢動を解除して、フック本体252をセミロック用クロー271bに引っ掛ける。
【0083】
一実施形態にかかる押付部430の模式図を図14に示す。図14において符号が付されていない部品の符号については図9Aを参照されたい。好ましい実施形態では、上方に位置するフレームは、フレームプッシャ840によって、フレーム間にフレームリフティングクロー880を差し込むことが可能であり、かつ、フック本体252をセミロック用クロー271bに引っ掛けることが可能である位置まで押し上げられる。すなわち、フレーム間にフレームリフティングクロー880を差し込むことができるように、フレームプッシャ840がリアフレーム200bを持ち上げる高さと、フック本体252がセミロック用クロー271bに引っ掛かることが可能である(リアフレーム200bの)高さは、同じである。図9Mにおいて基板搬送ロボット120により基板Wがアンロードされた後、押付ユニット上下動機構810は、フレームプッシャ840が上方向に伸長した状態でリアフレーム200bを下降させ、リアフレーム200bをフレームプッシャ840の突出部の上に載置する。好ましい押付部430は、比較的簡単な制御によって基板ホルダ200をセミロックすることができる。
【0084】
<基板サポータが基板を挟持する位置について>
一実施形態にかかる下部基板サポータ上下動機構852および上部基板サポータ上下動機構854のそれぞれは空圧機構(エアシリンダ)である。基板サポーティングユニット850は、基板Wを挟持したまま、少なくとも2つの位置の間で移動可能である。
【0085】
一実施形態においては、基板サポーティングユニット850が基板Wを挟持する位置は、下部基板サポータ上下動機構852と上部基板サポータ上下動機構854のそれぞれに供給される圧力を調整することにより選択可能である。基板Wを第1の位置において挟持する場合、下部基板サポータ上下動機構852に供給される圧力は上部基板サポータ上下動機構854に供給される圧力より低くされる。基板Wを第2の位置において挟持する場合、下部基板サポータ上下動機構852に供給される圧力は上部基板サポータ上下動機構854に供給される圧力より高くされる。基板Wを第1の位置と第2の位置の間で上昇または下降させる際も、下部基板サポータ上下動機構852と上部基板サポータ上下動機構854に供給される圧力を調整することにより、下部基板サポータ851と上部基板サポータ853が常に基板Wを押し合う状態が維持されることが好ましい。
【0086】
下部基板サポータ上下動機構852および上部基板サポータ上下動機構854のそれぞれは空圧機構であるので、それぞれが互いに押し合うことによる故障の可能性は低い。以上の制御により、高価で複雑な高さ測定機構(高さ調整機構)を備えずとも、基板Wが基板サポーティングユニット850から脱落することを防止しながら、基板Wが挟持される位置を選択することが可能となる。
【0087】
これまで述べた実施例では、基板ホルダはシール圧力が発生した状態で2つのフレームで基板を挟持するためのクランパを有し、押付ユニットは、クランパを締結および解除可
能とするためにリアフレーム200bをフロントフレーム200aの方向に押し付ける機能を有していた。しかし、例えば基板ホルダ自身がシール圧力を発生することが可能な場合は、基板着脱装置140はリアフレーム200bを押し付ける機能を有さなくてもよい。そのような場合、基板着脱装置140は、リアフレーム200bを(1)基板を挟持する位置と(2)基板を基板ホルダから取り出す位置の少なくとも2つの位置に位置させる機能を有していればよい。その場合、ステージ431を第1ベース、押し付けユニットを第2ベースと読み替えてもよい。その場合、押付部430は「基板着脱部」または「フィキシング部」と読み替えられる。
【0088】
なおこれまで、四角形状の開口を有するフレームを有する基板ホルダを例にして説明したが、開口の例はこれに限られない。例えば、四角形状の基板に対して電解めっきを行うための基板ホルダの場合、対向する1組の辺のみに沿って給電電極を配置する場合がある。その場合、基板の外周に沿って給電電極を配置するための基板ホルダの部位は対向する1組の辺のみに沿って存在し得る。したがって、基板の給電されない一組の辺は露出されている場合がある。対向する1組の辺のみに沿って基板ホルダの部位が存在する基板ホルダの場合、その部位の間の領域が基板を露出するための開口となる。
【0089】
本発明において、基板を保持した基板ホルダが押圧部(基板着脱部)430に搬送された時点において、下部基板サポータ851はフロントフレーム200aよりも低い位置にあり、上部基板サポータ853はリアフレーム200bよりも高い位置にある。そのため、基板サポーティングユニット850は基板ホルダの搬送を邪魔することはない。さらに下部基板サポータ851が開口260aを通り、上部基板サポータ853が開口260bを通って基板を第1の位置で基板を挟持する。さらに、基板サポーティングユニット850は基板を第2の位置に移動させることができる。第2の位置は、基板を基板着脱装置に受け渡しあるいは基板着脱装置から受け取るために適した位置である。以上に述べたように、下部基板サポータ851は開口260aを通過する必要があり、上部基板サポータ853は開口260bを通過する必要がある。そこで、たとえば、下部基板サポータ851は開口260aよりも小さく、上部基板サポータ853は開口260bよりも小さくなるよう構成される。
【0090】
<縦型の押付部(基板着脱部)について>
これまで、基板着脱装置は、基板を水平姿勢で基板ホルダに着脱させる形態で説明した。しかし、当業者であれば本発明は水平姿勢以外の基板に対しても適用できることは理解できるであろう。図15は基板を垂直姿勢で基板ホルダへの着脱を行う実施例を示す。
【0091】
第1フレーム200a-1は、水平姿勢の実施例のフロントフレーム200aに相当し、基板の一方の面S1に対向する。第2フレーム200b-1はリアフレーム200bに相当し、基板の他方の面S2に対向する。第1フレーム200a-1および/または第2フレーム200b-1は、基板Wの落下を防止するための部材を有してよい。第1ベース431-1は、ステージ431に相当し、基板の一方の面S1に対向するように配置される。第2ベース432-1は、押付ユニット432に相当し、基板の他方の面S2に対向するように配置される。第1基板サポータ851-1は下部基板サポータ851に相当し、基板の一方の面S1に対向するように配置される。第1基板サポータ移動機構852-1は下部基板サポータ上下動機構852に相当し、第1基板サポータ851-1を基板Wに近づけるようにまたは基板Wから離れさせるように移動させる。第2基板サポータ853-1は上部基板サポータ853に相当し、基板の他方の面S2に対向するように配置される。第2基板サポータ移動機構854-1は上部基板サポータ上下動機構854に相当し、第2基板サポータ853-1を基板Wに近づけるようにまたは基板Wから離れさせるように移動させる。当接部820-1は載置部820に相当し、第1ベース431-1に設けられている。当接部820-1は第1フレーム200a-1に当接する。クロー88
0-1はフレームリフティングクロー880に相当し、第2ベース432-1に設けられている。クロー880-1は、クランパ290が解除された後に第2フレーム200b-1が落下することを防ぐため、第2フレーム200bの下端部を支持し、さらに第2フレーム200bを基板から離れる方向にスライドさせることができる。そこで好ましくは、クロー880-1は、図15の上下左右の方向に沿って移動可能であるように構成される。第1ベース431-1は、第1フレーム200a-1を固定するための固定クランプ(図示せず)などを有する。図15に示されたその他の部位は、水平姿勢の実施例と同等の機能を有する。
【0092】
図15において「***-1」というように、末尾番号を付した部品の名称は、図15以外の図において末尾番号が付されていない部品の一般的な名称となっている。したがって、たとえば、図15以外に示された「ステージ431」は「第1ベース431」と呼ばれてもよい。
【0093】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0094】
ここまででは、基板ホルダ200は両面ホルダであるとして説明した。しかし、基板ホルダ200は両面ホルダに限られず、片面ホルダであってもよい。また、前述のとおり、基板着脱装置140はホルダ受け部400、ホルダ傾動部410およびホルダ搬送部420を備えなくともよい。換言すると、基板着脱装置140は押付部430のみを備える場合がある。したがって、矛盾のない限り、押付部430は基板着脱装置140と同視されてよく、押付部430は基板着脱装置140と言い換えられてよい。たとえば、「押付部430が部品Aを備える」という記載は「基板着脱装置140が部品Aを備える」と言い換えられることができる。
【0095】
本願は、一実施形態として、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、基板ホルダは基板を挟持するための第1のフレームおよび第2のフレームを備え、第1のフレームおよび第2のフレームのそれぞれは、基板を露出するための開口を有し、装置は、第1のフレームおよび第2のフレームの間で基板を挟持するための基板サポーティングユニットを備え、基板サポーティングユニットは、基板を下部から支持する下部基板サポータと、基板を上部から支持する上部基板サポータと、を備え、下部基板サポータは第1のフレームおよび第2のフレームのうち下方に位置するフレームの開口を通じて基板と接触するよう構成されており、上部基板サポータは第1のフレームおよび第2のフレームのうち上方に位置するフレームの開口を通じて基板と接触するよう構成されている、装置を開示する。
【0096】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板サポーティングユニットは、前記下部基板サポータを上下動させるための下部基板サポータ上下動機構と、前記上部基板サポータを上下動させるための上部基板サポータ上下動機構と、を備え、前記基板サポーティングユニットは、基板を、前記第1のフレームと前記第2のフレームによって基板を挟持することが可能な第1の位置と、前記第1の位置より高い位置であって、基板を前記装置からアンロードすることが可能な位置である第2の位置と、の間で移動させることができるように構成されている、装置を開示する。
【0097】
さらに本願は、一実施形態として、前記装置は、前記基板ホルダが水平に置かれる第1
ベースと、前記第1ベースの上方に配置された第2ベースであって、上下動可能に構成されている、第2ベースと、を備え、前記第2ベースは、第1のフレームおよび第2のフレームで基板を挟持できるように、第1のフレームおよび第2のフレームのうち上方に位置するフレームを位置させるとともに、前記第2ベースは前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げることが可能に構成されている、装置を開示する。
【0098】
さらに本願は、一実施形態として、前記第2ベースは、前記第1ベースに置かれた前記基板ホルダを前記第1ベースに向かって押し付けるように構成されている、装置を開示する。
【0099】
さらに本願は、一実施形態として、前記第2ベースは、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げるためのフレームリフティングクローを備え、前記第1ベースは、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームを持ち上げるためのフレームプッシャを備え、前記フレームプッシャは、前記フレームリフティングクローを差し込むためのギャップを前記第1のフレームと前記第2のフレームの間に生じさせる、装置を開示する。
【0100】
さらに本願は、一実施形態として、前記フレームプッシャは、前記基板ホルダをセミロックすることが可能な位置まで、第1のフレームまたは第2のフレームを持ち上げる、装置を開示する。
【0101】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板ホルダは、前記第1のフレームと前記第2のフレームをクランプするためのクランパを備え、前記装置は、前記クランパを開くためのクランパオープナを備える、装置を開示する。
【0102】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板サポーティングユニットが基板を挟持する前に基板の位置および/または角度を算出するための基板位置検出部を備える、装置を開示する。
【0103】
さらに本願は、一実施形態として、前記基板位置検出部は、少なくとも1組の光源とカメラであり、前記光源は、基板の着脱を阻害しない位置である光源待機位置と、基板の角部に光を照射可能な照射位置と、の間で移動可能に構成されており、前記カメラは、基板の着脱を阻害しない位置であって、前記第1のフレームと前記第2のフレームのうち上方に位置するフレームの前記開口の内側にある、カメラ待機位置と、基板の、前記光源により照射されている、基板の位置および/または角度の検出の基準となる部位を撮像可能な撮像位置と、の間で移動可能に構成されている、装置を開示する。
【0104】
さらに本願は、一実施形態として、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、前記基板ホルダは、基板の第1面に対向し、基板を挟持するための第1のフレームおよび基板の第2面に対向し、基板を挟持するための第2のフレームを備え、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームのそれぞれは、基板を露出するための開口を有し、前記装置は、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの間で基板を挟持するための基板サポーティングユニットを備え、前記基板サポーティングユニットは、基板の第1面を支持する第1基板サポータと、基板の第2面を支持する第2基板サポータと、を備え、前記第1基板サポータは前記第1のフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されており、前記第2基板サポータは前記第2のフレームの前記開口を通じて基板と接触するよう構成されている、装置を開示する。
【0105】
これらの装置は、両面ホルダに適合し得るという効果を一例として奏する。
【0106】
さらに本願は、一実施形態として、基板ホルダに保持された基板をめっきするためのめっき処理部と、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置と、前記めっき処理部と前記装置の間で基板ホルダを搬送するトランスポータと、前記装置から基板を受け取り、かつ、前記装置へ基板を受け渡す基板搬送ロボットと、を備える、めっき装置を開示する。
【0107】
さらに本願は、一実施形態として、基板ホルダに保持された基板をめっきするためのめっき処理部と、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置であって、基板位置検出部を備える装置と、前記めっき処理部と前記装置の間で基板ホルダを搬送するトランスポータと、前記装置から基板を受け取り、かつ、前記装置へ基板を受け渡す基板搬送ロボットと、を備える、めっき装置であって、前記基板搬送ロボットは、前記基板位置検出部により算出された基板の位置および/または角度に基づいて、前記装置へ基板を受け渡す際の基板の位置および/または角度を調整可能である、めっき装置を開示する。
【0108】
これらの開示により、基板ホルダに基板を保持させるためおよび/又は基板ホルダによる基板の保持を解除するための装置を備えるめっき装置の詳細が明らかにされる。
【符号の説明】
【0109】
100…めっき装置
110…ロードポート
120…基板搬送ロボット
130…ドライヤ
140…基板着脱装置
150…処理部
151…前水洗槽
152…前処理槽
153…第1のリンス槽
154…第1のめっき槽
155…第2のリンス槽
156…第2のめっき槽
157…第3のリンス槽
158…ブロー槽
160…トランスポータ
161…トランスポータアーム
162…アーム上下動機構
163…水平移動機構
170…ストッカ
180…制御部
200…基板ホルダ
200a…フロントフレーム(第1フレーム)
200b…リアフレーム(第2フレーム)
210a…ホルダアーム
210b…ホルダアーム
220…肩部電極
230a…配線格納部
230b…配線格納部
240a…フレームボディ
240b…フレームボディ
241a…ポート
241b…ポート
250、250SL…フック部
251…フックベース
252…フック本体
253…シャフト
254…レバー
260a…開口
260b…開口
270、270SL…プレート
271…クロー
271a…ロック用クロー
271b…セミロック用クロー
290…クランパ
300…アウタシール
310…インナシール
320…基板用電極
400…ホルダ受け部
401…ホルダ受け本体
402…直動機構
410…ホルダ傾動部
411…ホルダ傾動部アーム
420…ホルダ搬送部
421…ホルダキャリア
422…キャリア上下動機構
423…搬送部直動機構
430…押付部(基板着脱部、フィキシング部)
431…ステージ(第1ベース)
432…押付ユニット(第2ベース)
432op…押付ユニット開口
500…ピン
800…ハウジング
810…押付ユニット上下動機構
811…直動ガイド
812…ブレーキ
820…載置部(当接部)
830…位置決め機構
831…固定クランプ
840…フレームプッシャ
850…基板サポーティングユニット
851…下部基板サポータ(第1基板サポータ)
852…下部基板サポータ上下動機構(第1基板サポータ移動機構)
853…上部基板サポータ(第2基板サポータ)
854…上部基板サポータ上下動機構(第2基板サポータ移動機構)
860…クランパオープナ
870…押付機構
880…フレームリフティングクロー(クロー)
890…光源
891…カメラ
892…通電センサ
893…光源用アクチュエータ
894…カメラ用アクチュエータ
W…基板
S1…基板の一方の面
S2…基板の他方の面
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図9M
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15