(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/496 20060101AFI20220707BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220707BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220707BHJP
A61F 13/539 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A61F13/496 100
A61F13/49 413
A61F13/53 200
A61F13/53 300
A61F13/539
(21)【出願番号】P 2019552418
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2018041782
(87)【国際公開番号】W WO2019093506
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2017217783
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 竜吾
(72)【発明者】
【氏名】米田 怜未
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-228594(JP,A)
【文献】特開2003-235892(JP,A)
【文献】特開2000-070300(JP,A)
【文献】特開2017-192485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長手方向及び幅方向と、
前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
少なくとも前記股下域に配置された吸収性本体と、
前記前胴回り域及び前記後胴回り域の一方である第1胴回り域に配置された吸水シートと、
前記吸水シートよりも非肌対向面側に配置された液不透過性のバックシートと、
前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合する
第1サイド接合部と、を有する使い捨ておむつであって、
前記吸水シートは、着色されており、前記
第1サイド接合部よりも前記幅方向の外側に延出した延出部を有し、
前記使い捨ておむつには、前記延出部の外側縁から前記幅方向の内側に向かう領域において、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の他方である第2胴回り域と前記延出部とが接合されていない非接合部が設けられ
、
前記吸水シートの前記長手方向の外端縁は、前記第1サイド接合部の前記長手方向の外端縁よりも前記長手方向の内側に位置し、
前記吸水シートよりも前記長手方向の外側の領域では、前記第1サイド接合部よりも前記幅方向の外側において、前記前胴回り域と前記後胴回り域を接合する第2サイド接合部が設けられている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記吸水シートの前記長手方向の外端縁と前記
第1サイド接合部の前記長手方向の外端縁との距離は、前記吸水シートの前記長手方向の内端縁と前記
第1サイド接合部の前記長手方向の内端縁との距離よりも短い、
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記吸水シートは、パルプ繊維を含むパルプシートを有しており、
前記第1胴回り域及び前記第2胴回り域は、熱可塑性繊維を有する不織布シートを有し、
前記不織布シートは、前記
第1サイド接合部が設けられた領域において前記パルプシートよりも厚さ方向における前記第2胴回り域側に配置された第2側不織布シートを有し、
前記パルプシートの坪量は、前記第2側不織布シートの坪量よりも低い、請求項1
又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記不織布シートは、前記
第1サイド接合部が設けられた領域において前記パルプシートよりも厚さ方向における前記第1胴回り域側に配置された第1側不織布シートを有し、
前記パルプシートの坪量は、前記第1側不織布シートの坪量よりも低い、請求項
3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記第2胴回り域の前記幅方向の収縮力は、前記第1胴回り域の前記幅方向の収縮力よりも高い、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記第1胴回り域に配置された第1胴回り部材と、前記第2胴回り域に配置された第2胴回り部材と、を有し、
前記第1胴回り部材と前記第2胴回り部材は、前記股下域において前記長手方向に離間しており、
前記吸収性本体は、吸収コアと、前記吸収コアよりも前記幅方向の外側に配置され、前記長手方向に伸縮するレッグフラップと、を有し、
厚さ方向の平面視にて、前記レッグフラップの有効長部分は、前記吸水シートに重ならない、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記第1サイド接合部と前記第2サイド接合部は、前記幅方向において離間している、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水シートを有する使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収コアを有する使い捨ておむつであって、吸収コアとは別の吸水シートを有する使い捨ておむつが知られている。吸水シートは、胴回り域において着用者の肌に触れる肌対向面側に配置されている。パンツ型の状態において使い捨ておむつの内側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の吸水シートは、パンツ型の状態において、使い捨ておむつの内側に配置されているため、使い捨ておむつの外側から視認し難いことがある。使用者は、吸水シートの存在を認識し難く、吸汗性等の体液の吸収性に対する安心感を十分に得ることができないことがあった。
【0005】
よって、使用者が吸水シートの存在を把握し、吸収性に対する安心感を得易い使い捨ておむつが望まれる。
【0006】
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する長手方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収性本体と、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の一方である第1胴回り域に配置された吸水シートと、前記吸水シートよりも非肌対向面側に配置された液不透過性のバックシートと、前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部と、を有する使い捨ておむつであって、前記吸水シートは、着色されており、前記サイド接合部よりも前記幅方向の外側に延出した延出部を有し、前記使い捨ておむつには、前記延出部の外側縁から前記幅方向の内側に向かう領域において、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の他方である第2胴回り域と前記延出部とが接合されていない非接合部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る使い捨ておむつの正面図である。
【
図2】
図1に示す使い捨ておむつを肌対向面側から見た平面図である。
【
図3】
図1に示す使い捨ておむつを非肌対向面側から見た平面図である。
【
図9】伸張状態に対して77%となるように使い捨ておむつを筒体に装着した状態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する長手方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも前記股下域に配置された吸収性本体と、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の一方である第1胴回り域に配置された吸水シートと、前記吸水シートよりも非肌対向面側に配置された液不透過性のバックシートと、前記前胴回り域の外側部と前記後胴回り域の外側部を接合するサイド接合部と、を有する使い捨ておむつであって、前記吸水シートは、着色されており、前記サイド接合部よりも前記幅方向の外側に延出した延出部を有し、前記使い捨ておむつには、前記延出部の外側縁から前記幅方向の内側に向かう領域において、前記前胴回り域及び前記後胴回り域の他方である第2胴回り域と前記延出部とが接合されていない非接合部が設けられている。
【0009】
吸水シートの延出部の外側縁から幅方向の内側に向かう領域では、延出部は、第2胴回り域と接合されていない。よって、延出部の外側縁から幅方向の内側に向かう領域では、延出部が第2胴回り域から離間し、おむつの外側から視認され易くなる。使用者は、着色された延出部によって吸水シートの存在を認識し易く、汗等の体液の吸収性に対する安心感を得ることができる。サイド接合部では、第1胴回り域と第2胴回り域が接合されており、第1胴回り域と第2胴回り域の接合が破れ難く、サイド接合部よりも幅方向の外側では、第1胴回り域と第2胴回り域が接合されてなく、視認性を確保できる。よって、使用中に使い捨ておむつの形状を維持しつつ、吸収性に対する安心感を得ることができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記吸水シートの前記長手方向の外端縁は、前記サイド接合部の前記長手方向の外端縁よりも前記長手方向の内側に位置し、前記吸水シートよりも前記長手方向の外側の領域では、前記サイド接合部よりも前記幅方向の外側において、前記前胴回り域と前記後胴回り域が接合されている。
【0011】
本態様によれば、吸水シートよりも長手方向の外側の領域では、サイド接合部と、サイド接合部と別の前胴回り域と後胴回り域の接合部と、が設けられている。よって、吸水シートよりも長手方向の外側の領域では、おむつの外側から第1胴回り域と第2胴回り域の間に指などが入り難く、第1胴回り域と第2胴回り域の接合状態を保護し易い。よって、使用中にサイド接合部の接合が意図せず破れることを抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記吸水シートの前記長手方向の外端縁と前記サイド接合部の前記長手方向の外端縁との距離は、前記吸水シートの前記長手方向の内端縁と前記サイド接合部の前記長手方向の内端縁との距離よりも短い。
【0013】
本態様によれば、サイド接合部の長手方向の外端縁から長手方向の内側に向かってサイド接合部を破る際に、直ぐに破り易い領域である吸水シートが配置された領域に到達できる。よって、使用者は、サイド接合部を容易に破り易くなる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記吸水シートは、パルプ繊維を含むパルプシートを有しており、前記第1胴回り域及び前記第2胴回り域は、熱可塑性繊維を有する不織布シートを有し、前記不織布シートは、前記サイド接合部が設けられた領域において前記パルプシートよりも厚さ方向における前記第2胴回り域側に配置された第2側不織布シートを有し、前記パルプシートの坪量は、前記第2側不織布シートの坪量よりも低い。
【0015】
本態様によれば、パルプシートの坪量は、パルプシートよりも第2胴回り域側に配置された不織布シートの坪量よりも低いため、当該不織布シートよってサイド接合部の接合状態を維持し、使用中に意図せずにサイド接合部が破れることを抑制できる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記不織布シートは、前記サイド接合部が設けられた領域において前記パルプシートよりも厚さ方向における前記第1胴回り域側に配置された第1側不織布シートを有し、前記パルプシートの坪量は、前記第1側不織布シートの坪量よりも低い。
【0017】
本態様によれば、第1側不織布シートの坪量がパルプシートの坪量よりも高いため、パルプシートのパルプ繊維による体液の吸収性を発揮しつつ、第1胴回り域の外側縁と第2胴回り域の外側縁の接合状態を維持しやすい。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記第2胴回り域の収縮力は、前記第1胴回り域の収縮力よりも高い。
【0019】
本態様によれば、装着された状態で第1胴回り域の幅方向の外側縁が第2胴回り域側に引っ張られる。よって、吸水シートの延出部は、前側(又は後側)に引き寄せられ、正面(又は背面)から視認した際により目立ちやすい。使用者は、吸水シートの延出部を認識し易く、体液の吸収性に対する安心感をより得易い。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記第1胴回り域に配置された第1胴回り部材と、前記第2胴回り域に配置された第2胴回り部材と、を有し、前記第1胴回り部材と前記第2胴回り部材は、前記股下域において前記長手方向に離間しており、前記吸収性本体は、吸収コアと、前記吸収コアよりも幅方向の外側に配置され、前記長手方向に伸縮するレッグフラップと、を有し、厚さ方向の平面視にて、前記レッグフラップの有効長部分は、前記吸水シートに重ならない。
【0021】
本態様によれば、吸水シートの長手方向の位置ずれを抑制し、着用者の胴回りに吸水シートを保持し続け易い。よって、着用者に対して適切な位置に吸水シートを配置し、着用者の汗を吸収する効果を持続し易い。
【0022】
(2)使い捨ておむつの実施形態
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0023】
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の正面図である。
図2は、使い捨ておむつ10を肌対向面側から見た平面図であり、
図3は、使い捨ておむつを非肌対向面側から見た平面図である。
図4は、
図2に示すA-A線に沿った断面図であり、
図5は、B-B線に沿った断面図である。
図2及び
図3に示す平面図は、伸張状態の使い捨ておむつを示している。なお、本発明における伸張状態とは、後述するサイド接合部60を展開した状態において使い捨ておむつ10を皺が形成されない状態まで伸張させた状態である。また、本発明における自然状態とは、パッケージに収容されている使い捨ておむつにあっては、パッケージから使い捨ておむつを取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。
【0024】
使い捨ておむつ10は、互いに直交する長手方向L及び幅方向Wを有する。長手方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、長手方向Lは、展開された使い捨ておむつ10において前後に延びる方向である。また、使い捨ておむつ10は、長手方向Lと幅方向Wの両方に直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌対向面側T1と、着用者から離れる側の非肌対向面側T2と、に延びる。
【0025】
使い捨ておむつ10は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域である。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。本実施の形態では、後述する吸水シート70は、後胴回り域S2に配置されている。よって、後胴回り域S2は、本発明における第1胴回り域を構成し、前胴回り域S1は、第2胴回り域を構成する。なお、変形例において、吸水シート70が前胴回り域S1に配置され、後胴回り域S2が第2胴回り域を構成し、前胴回り域S1が第1胴回り域を構成してもよい。
【0026】
使い捨ておむつ10は、前胴回り部材20と、後胴回り部材30と、吸収性本体40と、を有していてよい。前胴回り部材20は、前胴回り域S1に配置されており、前胴回り部材20が配置された領域が前胴回り域である。後胴回り部材30は、後胴回り域S2に配置されており、後胴回り部材30が配置された領域が後胴回り域である。前胴回り部材20は、本発明における第2胴回り部材を構成し、後胴回り部材30は、本発明における第1胴回り部材を構成する。前胴回り部材20及び後胴回り部材30は、例えば不織布シートによって構成されていてよい。具体的には、前胴回り部材20及び後胴回り部材30は、使い捨ておむつの最も非肌対向面側T2に配置された第1外装不織布シート35と、第1外装不織布シート35よりも肌対向面側T1に配置された第2外装不織布シート36と、を有してよい。第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36は、本発明における不織布シートを構成する。第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36は、熱可塑性繊維を有する。本実施の形態における第1外装不織布シート35の坪量及び第2外装不織布シート36の坪量は、それぞれ10g/m2~35g/m2であってよい。第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36は、スパンボンド不織布、SMS不織布、ポイントボンド不織布を用いることができる。第1外装不織布シート35は、前胴回り部材20の内端縁及び後胴回り部材30の内端縁から長手方向Lの外側に延び、胴回り開口部62を基点に肌対向面側T1に折り返されている。第1外装不織布シート35の折り返し部35Fは、後述する胴回り開口部62の近傍において、使い捨ておむつの肌対向面側T1に配置されてよい。第1外装不織布シート35の折り返し部35Fは、後述する吸水シートの外端縁を覆っている。また、第1外装不織布シート35と第2外装不織布シート36との間には、後述する第1バックシート51が配置されてよい。ここで、本発明における外端縁とは、長手方向Lの外側に位置する縁であり、内端縁とは、長手方向の内側に位置する縁である。
【0027】
使い捨ておむつ10には、前胴回り部材20の外側部と後胴回り部材30の外側部を接合するサイド接合部60が設けられていてよい。サイド接合部60は、前胴回り部材20の外側部と後胴回り部材30の外側部とを互いに係止した部分によって規定される。ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける縁を含む幅方向に一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向における縁である。サイド接合部60は、前胴回り部材20の外側縁20E(前胴回り域S1の外側縁)及び後胴回り部材30の外側縁30E(後胴回り域S2の外側縁)よりも幅方向の内側に位置してよい。サイド接合部60の外側縁は、具体的には、前胴回り部材20の外側縁20E及び後胴回り部材30の外側縁30Eよりも5mm以上内側に位置してよい。
図1に示すように、サイド接合部60が形成された状態で、使い捨ておむつ10には、着用者の胴が通される胴回り開口部62と、着用者の脚がそれぞれ挿入される一対の脚回り開口部66と、が形成される。胴回り開口部62は、前胴回り域S1の前端縁と、後胴回り域S2の後端縁とによって規定されていてよい。
【0028】
ここで、
図1は、サイド接合部60における接合を解除し、使い捨ておむつ10を展開した状態を示している。サイド接合部60は、前胴回り部材20及び後胴回り部材30のそれぞれにおいて、長手方向Lに沿って延びていてよい。この場合、前胴回り域S1と股下域S3との境界は、前胴回り部材20に設けられたサイド接合部60の後端縁によって規定されていてよい。同様に、後胴回り域S2と股下域S3との境界は、後胴回り部材30に設けられたサイド接合部60の前端縁によって規定されていてよい。
【0029】
前胴回り域S1及び後胴回り域S2には、幅方向Wに伸縮可能な伸縮性部材32が配置されていてよい。伸縮性部材32は、例えば、幅方向Wに伸縮可能な糸ゴム、又は幅方向Wに伸縮可能な弾性シートによって構成されていてよい。この代わりに、伸縮性部材32は、例えば伸縮可能なシートにより構成された前胴回り部材20自体及び後胴回り部材30自体によって構成されていてもよい。
【0030】
第2胴回り域を構成する前胴回り域S1の幅方向Wの収縮力は、第1胴回り域を構成する後胴回り域S2の幅方向Wの収縮力よりも高くてよい。前胴回り域S1の収縮力が後胴回り域S2の収縮力よりも高いため、装着された状態で後胴回り域S2の幅方向Wの外側縁が前胴回り域S1側に引っ張られる。よって、後胴回り域の幅方向の外側縁が、正面視にて着用者から視認され易くなる。また、前胴回り域S1及び後胴回り域S2が収縮すると、後胴回り域S2が前胴回り域S1側に引っ張られる。後胴回り域S2に形成される皺が前胴回り域S1よりも少なくなり、後胴回り域S2が肌に密着し易くなる。
【0031】
なお、本実施の形態における収縮力は、幅方向の縮み易さであり、以下のように測定できる。先ず、使い捨ておむつのサイド接合部を破り、使い捨ておむつを展開状態とする。前胴回り部材の後端縁及び後胴回り部材の前端縁に沿っておむつを切断し、股下域を切り離す。これにより、前胴回り域のサンプルと後胴回り域のサンプルを得ることができる。また、後述する第1領域及び第2領域の収縮力を測定する際は、前胴回り域及び後胴回り域から第1領域及び第2領域を切り出し、第1領域のサンプルと第2領域のサンプルを得ることができる。
【0032】
そして、各サンプルにつき幅方向の各端部10mmを掴み部とし、各掴み部以外の部分を残りの部分とした場合に、当該残りの部分を長手方向及び幅方向に皺なく広げた状態(100%の伸張状態の寸法)での幅方向の寸法LA(mm)を予め側定しておく。そうしたら、サンプルの各掴み部を、引張り試験機(例えば、島津製作所社製のオートグラフAGS-X等)が備える上下の各チャックに把持させて、上下の各チャック同士の間隔を広げることにより、収縮状態のサンプルを100(mm/min)の引っ張り速度で上記のLAの85%の長さまで幅方向に伸張し、しかる後に、LAの70%の長さまで各チャック同士の間隔を狭めた状態にする。そして、この狭めた状態の時の力を収縮力(N)とする。
【0033】
使い捨ておむつ10は、使い捨ておむつを廃棄するためのテープ部材80を有してよい。テープ部材80は、使い捨ておむつ10の最も非肌対向面側T2に配置されてよい。テープ部材80は、廃棄時には、廃棄前の状態と比較して、長手方向Lに延出可能に構成されてよい。具体的には、テープ部材80は、幅方向Wに沿った折り目を基点に折り畳まれてよい。テープ部材80の長手方向Lの曲げ剛性は、使い捨ておむつの構成する他の構成部材よりも長手方向の曲げ剛性よりも高くてよく、テープ部材80の幅方向の曲げ剛性は、使い捨ておむつの構成する他の構成部材よりも幅方向の曲げ剛性よりも高くてよい。
【0034】
吸収性本体40は、少なくとも股下域S3に配置されてよい。吸収性本体40は、前胴回り域S1及び後胴回り域S2に延びていてよい。吸収性本体40は、前胴回り部材20及び後胴回り部材30とは別体として構成されていてよい。この場合、吸収性本体40は、前胴回り域S1及び後胴回り域S2において、それぞれ前胴回り部材20及び後胴回り部材30と接合されていてよい。
図2に示すように、長手方向Lにおいて、後胴回り域の外端縁と吸収性本体の外端縁との長さL12は、前胴回り域S1の外端縁と吸収性本体の外端縁との長さL11よりも長くてよい。
【0035】
吸収性本体40は、少なくとも吸収コア45を含んでいる。吸収コア45は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア45は、少なくとも股下域S3に配置されている。好ましくは、吸収コア45は、長手方向Lにおいて、前胴回り域S1から後胴回り域S2にわたって延びていてよい。吸収コア45は、コアラップによって覆われていてよい。さらに、吸収性本体40は、吸収コア45の肌対向面側に位置するトップシート41を有していてよい。
【0036】
吸収性本体40は、レッグフラップ46を有してよい。レッグフラップ46は、吸収コア45よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。レッグフラップ46は、少なくとも2層のレッグシート47と、レッグシート47間に配置されたレッグ弾性部材48と、を有してよい。レッグシート47は、トップシート41の一部であってもよいし、図示しないバックシートの一部であってもよいし、トップシート41及びバックシートと別体のシートであってもよい。レッグ弾性部材48は、長手方向に伸長された状態でレッグシート47に固定されている。レッグ弾性部材48は、幅方向に間隔を空けて配置された複数の糸ゴム(320~620dtex)によって構成されてよい。レッグ弾性部材48は、レッグフラップ46における長手方向の所定の領域において伸長状態で配置されている。レッグ弾性部材48が伸長状態で配置されている領域ではレッグフラップ46に対して長手方向に収縮する力が働き、レッグ弾性部材48が伸長状態で配置されていない領域ではレッグフラップ46に対して長手方向に収縮する力が働かない。本明細書中では、この長手方向に収縮する力が働く領域の長手方向長さをレッグ弾性部材48の「有効長」とも呼ぶ。有効長部分は、おむつの自然状態においてレッグ弾性部材の収縮によって皺が形成されている部分である。
図2においてレッグ弾性部材48の有効長部分49を示す。吸収性本体40は、
図2に示す接合領域R40において、前胴回り部材20及び後胴回り部材30に接合されている。有効長部分49は、接合領域R40に重なっていてよい。
【0037】
前胴回り域S1及び後胴回り域S2の一方には、吸水シート70が配置されている。吸水シート70は、汗等の体液を吸収可能なシートである。吸水シート70は、後胴回り域S2に配置されてよい。着用者は、腹側に比べて背側において汗をかき易い。着用者の背側に装着される後胴回り域S2に吸水シート70を配置することにより、吸汗性をより向上できる。吸水シート70は、少なくともパルプ繊維を含むパルプシート71を有してよい。パルプ繊維は、例えば、木材パルプ及び非木材パルプが挙げられる。木材パルプとしては、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプ等を例示でき、非木材パルプとしては、綿パルプ、麻パルプ、ワラパルプ、竹パルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ等を例示できる。パルプシート71は、パルプ繊維以外の親水性繊維を含んでいてよい。親水性繊維は、再生セルロース繊維(レーヨン、ビスコースレーヨン等)のような天然繊維、半合成セルロース繊維(アセテート繊維等)、精製セルロース繊維等が挙げられる。
【0038】
吸水シート70は、吸水不織布シート72を更に有してもよい。吸水不織布シート72は、本発明における不織布シートを構成する。吸水不織布シート72は、厚さ方向Tにおいてパルプシート71を挟んで配置されてよい。本実施の形態の吸水シート70は、10~35g/m2のパルプシート71と、パルプシート71の厚さ方向の両側に配置された10~25g/m2の吸水不織布シート72と、を有してよい。パルプシート71は、パルプ繊維を有し、熱可塑性繊維を有しなくてもよい。吸水不織布シート72は、熱可塑性繊維を有する。熱可塑性樹脂繊維としては、ポリオレフィン系ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル系、ポリエチレンテレフタレート等)や、ポリアミド系ポリマー、アクリル系ポリマー、これらを用いた繊維や、これらを組み合わせて構成された繊維を例示できる。吸水シート70は、着色されていてよい。着色は、吸水シート70を構成するパルプシート自体の色であってもよいし、印刷等によって着色されていてもよい。吸水シート70の全体に亘って着色されていてもよいし、吸収シートの一部に着色部が設けられていてもよい。着色部は、図柄や絵柄を示してもよいし、ストライプなどの模様を示してもよい。本実施の形態の吸収シートは、吸水シート70の全体に亘って着色されている。
【0039】
吸水シート70は、使い捨ておむつ10の最も肌対向面側T1に配置されている。よって、吸水シート70は、装着状態において着用者の肌に触れる。吸水シート70は、肌に触れ、汗などの体液を吸収する。吸水シート70は、厚さ方向において少なくとも第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36に重なってよい。吸水シート70は、接着剤等の接着手段によって吸水シート70の非肌対向面側T2に位置するシート等の部材に接合されている。
【0040】
吸水シート70は、厚さ方向の平面視にて、レッグフラップ46の有効長部分と重ならなくてよい。本実施の形態のように、前胴回り部材と後胴回り部材が長手方向に離間した構造のパンツ型おむつは、吸収コア45よりも幅方向W外側に延出し、かつ前胴回り部材20及び後胴回り部材30に固定されているレッグフラップ46によって、使い捨ておむつの脚回り領域を着用者の脚回りにフィットさせる。しかし、吸収コアが体液を吸収すると、体液の重みによって吸収性本体が下方に下がる力が発生し、レッグフラップ46の長手方向に収縮によって前胴回り部材及び後胴回り部材に対して下方に下がる力がかかるおそれがある。レッグフラップ46の有効長部分49と吸水シート70が厚さ方向において重ならないため、レッグフラップ46を介して伝達される下方への力を吸水シート70に掛かり難くなり、吸水シートの下方へのずれを抑止し易い。よって、吸水シートの長手方向の位置ずれを抑制し、着用者の胴回りに吸水シートを保持し続け易い。よって、着用者に対して適切な位置に吸水シート70を配置し、着用者の汗を吸収する効果を持続し易い。
【0041】
また、レッグフラップのレッグ弾性部材のうち、幅方向の外側に位置するレッグ弾性部材482は、接合領域R40に重なってなく、幅方向の内側に位置するレッグ弾性部材481は、接合領域R40に重なってよい。幅方向の外側に位置するレッグ弾性部材482が接合領域R40に重なっていないため、着用者の脚回りに対してレッグフラップがフィットした際にレッグフラップが柔軟に変形でき、着用者が脚を動かし易くなる。また、幅方向の内側に位置するレッグ弾性部材481は、体液を吸収する吸収コアに隣接しており、体液による重みがかかり易い。幅方向の内側に位置するレッグ弾性部材481が接合領域R40に重なっていることにより、体液に吸収によって吸収コアが重くなった際にも、当該レッグ弾性部材によって吸収性本体を胴回り部材側に引き上げ続け易くなる。
【0042】
吸水シート70は、後胴回り域S2の長手方向Lの全域に対する一部に設けられていてよい。吸水シート70の外端縁702は、サイド接合部60の外端縁602よりも長手方向Lの内側に位置してよい。吸水シート70の内端縁701は、サイド接合部60の内端縁601よりも長手方向Lの内側に位置してよい。後胴回り域S2は、幅方向Wにおいて後胴回り域S2の一方の外側縁から他方の外側縁まで延び、長手方向Lにおいて吸水シート70の内端縁から吸水シート70の外端縁までに延びる第1領域R1を有してよい。第1領域R1は、換言すると、吸水シート70が配置された領域と、後胴回り域S2において吸水シート70が配置された領域から幅方向に延びる領域と、を合わせた領域である。また、前胴回り域S1は、第1領域R1と幅方向Wにおいて連なり、かつ幅方向Wにおいて前胴回り域S1の一方の外側縁から他方の外側縁まで延びる第2領域R2を有してよい。第1領域R1と第2領域は、
図1に示すパンツ型の状態で幅方向Wに連なっていればよい。また、吸水シート70は、後胴回り域S2の幅方向Wの全域に配置されてよい。吸水シート70は、サイド接合部60よりも幅方向Wの外側に配置された延出部75を有してよい。延出部75は、吸水シート70の外側縁70Eとサイド接合部60の間の部分である。
【0043】
使い捨ておむつ10は、吸水シート70よりも非肌対向面側T2に配置された液不透過性のバックシート50を有する。バックシート50は、厚さ方向Tの平面視にて、少なくとも一部が吸水シートと重なっていてよい。よって、吸水シートによって吸収された体液が非肌対向面側(おむつの外側)に漏れることを抑制できる。なお、バックシート50の少なくとも一部が吸水シートよりも非肌対向面側T2に配置されていればよい。バックシート50は、吸水シート70よりも非肌対向面側T2に配置されていない部分を有してもよい。
【0044】
図4に示すように、バックシート50は、第1バックシート51と、第1バックシート51よりも肌対向面側T1に位置する第2バックシート52と、を有してよい。第1バックシート51は、前胴回り域S1と後胴回り域S2のそれぞれに配置されてよい。第1バックシート51は、第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36の間に位置してよい。第1バックシート51の内端縁511は、後胴回り域S2又は前胴回り域S1の内端縁よりも長手方向Lの外側に位置してよい。後胴回り域S2における第1バックシート51の内端縁511は、吸水シート70の内端縁701よりも長手方向Lの内側に位置してよい。第1バックシート51の外端縁512は、後胴回り域S2又は前胴回り域S1の外端縁よりも長手方向Lの内側に位置してよい。後胴回り域S2における第1バックシート51の外端縁512は、吸水シート70の外端縁702よりも長手方向の内側に位置してよく、第2バックシート52の外端縁522よりも長手方向Lの外側に位置してもよい。本実施の形態において、第1バックシート51の外端縁512は、バックシートの外端縁を構成する。なお、変形例において、第2バックシート52の外端縁522がバックシートの外端縁を構成してもよい。
【0045】
第2バックシート52は、前胴回り域S1、後胴回り域S2及び股下域S3に跨って配置されてよい。第2バックシート52は、吸収コア45の非肌対向面側T2であって、前胴回り部材20及び後胴回り部材30よりも肌対向面側T1に配置されてよい。第2バックシート52の外端縁522は、後胴回り域S2又は前胴回り域S1の外端縁よりも長手方向Lの内側に位置する。後胴回り域S2における第2バックシート52の外端縁522は、吸水シート70の外端縁702よりも内側に位置してよく、第1バックシートの外端縁512よりも内側に位置してよい。第1バックシート51及び第2バックシート52は、使い捨ておむつ10の幅方向Wの中央部に配置され、使い捨ておむつ10の幅方向Wの側部に配置されていなくてよい。
【0046】
厚さ方向の平面視にて、バックシート50の少なくとも一部は、吸水シート70に重なってよい。吸水シート70は、第1バックシート51の少なくとも一部と重なっていてもよいし、第2バックシート52の少なくとも一部と重なっていてもよいし、第1バックシート51及び第2バックシート52の両方に重なっていてもよい。吸水シート70は、第1バックシート51の外端縁512よりも長手方向Lの内側の領域において、バックシート50に重なっている。吸水シート70は、第2バックシート52の外端縁522よりも長手方向Lの内側の領域では、第1バックシート51と第2バックシートの両方に重なっている。また、吸水シート70は、幅方向Wにおいて、第1バックシート51の外側縁よりも内側の領域又は第2バックシート52の外側縁よりも内側の領域において、バックシート50に重なっている。吸水シート70の少なくとも一部がバックシート50に重なっているため、吸水シート70によって吸収した体液の漏れを抑制できる。また、使用者は、おむつの外側から視認した際に、吸水シート70の色の濃さの違いによって、吸水シート70の少なくとも一部がバックシートと重なっていることを把握できる。よって、吸水シート70によって吸収した体液の漏れに対する安心感を得やすい。
【0047】
吸水シート70は、バックシート50の外端縁よりも長手方向Lの外側に延出した長手延出部77を有してよい。
図3において、長手延出部77と後述する幅延出部78に異なる斜線を付して示す。長手延出部77は、第1バックシート51の外端縁512と吸水シート70の外端縁702との間の部分である。長手延出部77は、バックシート50よりも長手方向Lの外側に延出しており、バックシート50を介さずにおむつの外側から視認され易くなる。また、吸水シート70は、着色されており、おむつの外側から視認され易い。使用者は、長手延出部77をおむつの外側から視認し、吸水シート70の存在を認識し易い。吸収シートが着色部を有する構成にあっては、使用者は、吸水シート70の着色部に基づいて吸収シートの存在を認識し易い。よって、使用者は、汗等の体液の吸収性に対する安心感を得ることができる。吸水シート70が着色され、かつ吸水シート70とバックシート50が重なった領域と吸水シート70とバックシート50が重ならない領域とを備えるため、吸水シートの視認性と体液の漏れを両立できる。使用者は、漏れに対する安心感と吸収性に対する安心感の両方を得易くなる。
【0048】
図3に示すように、吸水シート70とバックシート50が重なる領域の長手方向Lの長さL21は、長手延出部77の長手方向Lの長さL22よりも長くてよい。吸水シート70とバックシート50が重なる領域の長手方向Lの長さL21は、第1バックシート51の外端縁512と吸水シート70の内端縁701との長手方向Lの距離である。長手延出部77の長手方向Lの長さは、第1バックシート51の外端縁512と吸水シート70の外端縁702との長手方向Lの距離である。吸水シート70とバックシート50と重なる領域の方が長手延出部77よりも長く、体液の漏れを抑制する効果を高めることができる。吸水シート70は、着色されているため、他のシート等に対して目立ちやすい。よって、長手延出部77の長さが短い場合であっても、使用者は、吸水シート70の存在を把握し易く、吸収性に対する安心感を得ることができる。より好適には、長手延出部77の長手方向Lの長さは、吸水シート70の長手方向Lの全長に対する30%未満であってよい。吸水シート70は、長手方向Lにおいて吸水シート70の全長に対する70%以上の領域でバックシート50に重なっており、体液の漏れを確保できる。よって、吸水シート70の視認性と防漏性をより両立し易い。
【0049】
吸水シート70は、バックシート50の外側縁よりも幅方向の外側に延出した幅延出部78を有してよい。幅延出部78は、第2バックシート52の外端縁522よりも長手方向の外側においては、第1バックシート51の外側縁と吸水シートの外側縁の間の部分であり、第2バックシート52の外端縁522よりも長手方向の内側においては、第1バックシート51の外側縁と第2バックシートの外側縁のうち幅方向の外側に位置する外側縁と吸水シートの外側縁の間の部分である。なお、第1バックシート51の外側縁と第2バックシートの外側縁の幅方向の位置関係は限定されない。このように幅延出部78が設けられていることにより、使用者は、バックシート50よりも幅方向Wの外側に延出した吸水シート70をおむつの外側から視認し、吸水シートの存在を認識し易い。よって、使用者は、吸収性に対する安心感を得ることができる。
【0050】
図3に示すように、幅延出部78は、バックシートの外側縁と使い捨ておむつの外側縁との幅方向の中心CLよりも幅方向の外側に延出してよい。幅延出部78は、バックシート50よりも幅方向Wの外側の領域うち幅方向の半分以上の領域に配置されている。使用者は、バックシートよりも幅方向の外側に延出した吸水シートをより視認し易くなる。より好ましくは、吸水シート70は、使い捨ておむつの幅方向の全域に配置されていてよい。吸水シートが使い捨ておむつの幅方向の全域に配置されているため、使用者は、吸水シートをより視認し易くなる。使用者は、吸水シートの存在をより認識し易く、吸収性に対する安心感を得ることができる。
【0051】
吸水シート70の長手延出部77及び幅延出部78は、バックシートと重ならない非重畳領域を構成する。伸張状態において、非重畳領域の面積は、吸水シート全体の面積に対する60%以上であることが好ましい。伸張状態において、吸水シートは、全体面積に対する60%以上の領域でバックシートに重なってない。よって、吸水シート70の視認性をより確保し易い。
【0052】
厚さ方向の平面視にて、伸縮性部材32は、長手延出部77に重なり、かつ長手延出部77の非肌対向面側に配置されてよい。自然状態の使い捨ておむつを非肌対向面側から視認した状態における長手延出部77のL*a*b*色空間のL値は、82以上であってよく、好ましくは、85以上であってよい。長手延出部77のL*a*b*色空間のL値は、吸水シート70自体のL値ではなく、使い捨ておむつの非肌対向面側から測定した状態のL値である。自然状態の使い捨ておむつを非肌対向面側から視認した状態とは、使い捨ておむつの後胴回り域の非肌対向面が上になるように、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置して、おむつを視認した状態である。吸水シート70の長手延出部77は、第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36を介して視認される。使用者は、おむつの外側から吸水シート70を視認した際に長手延出部77と共に伸縮性部材32を視認することができる。このとき、伸縮性部材32が目立ち過ぎると、伸縮性部材32による違和感が生じるおそれがある。具体的には、伸縮性部材32が目立ち過ぎると、伸縮性部材が強調され、伸縮性部材が目立たずに配置されているおむつと比較して違和感が生じたり、伸縮性が強調され過ぎ、肌に伸縮による跡がつき、肌に優しくないように感じたり、化学っぽく、肌に優しくないように感じたりするおそれがある。おむつの非肌対向面側から視認された状態における長手延出部のL*a*b*色空間のL値が85以上であることにより、伸縮性部材32が目立ち過ぎることを抑制でき、伸縮性部材32よる違和感を抑制できる。より好ましくは、長手延出部77のL*a*b*色空間のL値は、伸縮性部材32のL値である91.6以下であってよい。長手延出部77に対して伸縮性部材32をより目立ち難くできる。なお、長手延出部のL値は、測定対象について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値によって求めることができる。
【0053】
好ましくは、吸水シート70は、青基調であってよい。吸水シート70が青基調であることにより、見た目が涼しげな印象となり、清涼感が向上する。また、伸縮性部材32は、白基調であってよい。伸縮性部材32が白基調であることにより、吸水シート70に対して目立ち難くなり、より違和感を抑制し易い。なお、白基調とは、(L*a*b*)色空間のL値が90.0以上であり、青基調とは、(L*a*b*)色空間のb値が0以下、かつa値が20以下である。
【0054】
次いで、このように構成された吸水シートの違和感の評価について説明する。実施例1~5及び比較例1~2の自然状態の使い捨ておむつを、普段から使い捨ておむつを使用している10人の被験者に視認してもらい、伸縮性部材の違和感について、以下の評価基準に従ってアンケートを実施した。評価における使い捨ておむつの(L*a*b*)は、自然状態の使い捨ておむつの非肌対向面側から測定した長手延出部の値である。本評価における伸縮性部材32の(L*a*b*)色空間のL値は、91.6であり、a値は、-0.62であり、b値は、-1.81である。
(判定基準)
良:伸縮性部材を認識できない。または、伸縮性部材を認識できるが、違和感が生じない。
不良:伸縮性部材を認識でき、違和感が生じる。
アンケート結果から30人の被験者のうち、80%以上の被験者の結果が「良」であるおむつを総合評価◎とし、60%以上の被験者の結果が「良」であるおむつを総合評価○とし、60%未満の被験者の結果が「良」であるおむつを総合評価×とした。
【0055】
【0056】
表1に示すように、実施例1から5の使い捨ておむつは、伸縮性部材による違和感が生じ難い。よって、長手延出部77のL値は、82以上であることが好ましい。また、実施例1から4の使い捨ておむつによれば、8割以上の使用者が違和感を生じ難いことがわかった。よって、より好ましくは、長手延出部77のL値は、85以上であってよい。
【0057】
次いで、このように構成された使い捨ておむつのサイド接合部近傍における前胴回り域S1と後胴回り域S2の接合について、
図6から
図8を参照して説明する。
図6は、
図1に示すC-C断面、
図7は、
図1に示すD-D断面、
図8は、
図1に示すE-E断面を示している。
図6及び
図7は、吸水シート70が配置された領域の断面であり、
図8は、吸水シート70が配置されてない領域の断面である。
【0058】
使い捨ておむつ10には、第2胴回り域である前胴回り域S1と吸水シート70の延出部75とが接合されていない非接合部NRが設けられている。非接合部NRは、パンツ型の状態において、延出部75における前胴回り域S1側の面と、前胴回り部材20における後胴回り域S2側の面と、が接合されていない領域である。非接合部NRは、延出部75の外側縁から幅方向Wの内側に向かう領域に設けられていてよく、延出部75の外側縁からサイド接合部60まで連続していてもよい。非接合部NRの外側縁は、延出部75の外側縁、すなわち吸水シート70の外側縁70Eである。非接合部NRの内側縁は、サイド接合部60に隣接していてもよいし、サイド接合部60と幅方向Wにおいて離間していてもよい。
【0059】
延出部75の外側縁から幅方向Wの内側に向かう領域では、延出部75は、前胴回り域S1と接合されていない。よって、延出部75の外側縁から幅方向Wの内側に向かう領域では、延出部75が前胴回り域S1から離間し、おむつの外側から視認され易くなる。特に、
図6のC-C断面に示すように、吸水シート70が第1外装不織布シート35の折り返し部35Fによって覆われていない領域では、延出部75が露出し、おむつの外側から視認され易くなる。また、吸水シート70が着色されているため、使用者は、吸水シート70を認識し易い。使用者は、吸水シート70の延出部75によって吸水シート70の存在を認識し易い。使用者は、吸収コアとは別に、体液を吸収可能な吸水シート70が配置されていることを認識でき、汗等の体液の吸収性に対する安心感を得ることができる。また、使用者は、吸水シート70の延出部75を目印として使い捨ておむつの幅方向の外側縁を認識でき、装着時に使い捨ておむつの幅方向のずれを把握し易くなる。よって、使用者は、体に対して適した位置に使い捨ておむつを装着できる。
【0060】
また、第2胴回り域を構成する前胴回り域S1の幅方向Wの収縮力は、第1胴回り域を構成する後胴回り域S2の幅方向Wの収縮力よりも高くてよい。前胴回り域S1が後胴回り域S2よりも幅方向に収縮し易いため、装着状態で後胴回り域S2の外側縁が前胴回り域S1側に引っ張られる。よって、吸水シート70の延出部75は、前側に引き寄せられ、正面から視認した際により目立ち易くなる。すなわち、延出部75は、装着者の身体の側部ではなく前側又は後側に偏倚しており、側部に配置されている構成と比較して目立ち易い。使用者は、吸水シート70の延出部75をより認識し易く、体液の吸収性に対する安心感をより得易い。使用者が延出部75を認識し易い効果を得るために、延出部75の幅方向Wの長さは、5mm以上であることが好ましい。
【0061】
このように構成された使い捨ておむつを製造する場合は、例えば、以下の製造方法によって製造できる。まず、前胴回り部材が幅方向に連続した前連続体と、後胴回り部材が幅方向に連続した後連続体と、をそれぞれ搬送し、この前連続体と後連続体に跨るように、吸収性本体40等の構成部材を配置する。次いで、前連続体と後連続体が重なるように、幅方向に延びる折り線を基点に当該連続体及び吸収性本体を折り畳む。そして、サイド接合部を形成し、前胴回り域の外側縁及び後胴回り域の外側縁に沿って連続体を切断する。これにより、パンツ型の使い捨ておむつを得ることができる。
【0062】
前連続体及び後連続体を切断する際は、前連続体と後連続体を重ねた状態でカッター等の切断装置によって切断する。よって、切断時に前連続体と後連続体が溶着し、サイド接合部よりも幅方向の外側に前連続体(前胴回り域)と後連続体(後胴回り域)とが接合された第2サイド接合部61が形成される(
図1及び
図8参照)。このとき、パルプ繊維を含むパルプシート71と外装不織布シートは接合し難く、外装不織布シート同士は接合し易い。よって、
図6及び
図7に示すように、パルプシート71を有する吸水シート70が配置された領域では、切断による第2サイド接合部61が形成されない。一方、
図8に示すように、吸水シート70が配置されてない領域では、切断による第2サイド接合部61が形成される。
【0063】
吸水シート70よりも長手方向Lの外側の領域及び内側の領域では、第2サイド接合部61が形成されてよい。第2サイド接合部61は、サイド接合部60よりも幅方向Wの外側において、前胴回り域S1と後胴回り域S2が接合された部分である。第2サイド接合部61は、サイド接合部60に対して幅方向Wに離間してよい。この構成によれば、吸水シート70よりも長手方向Lの外側の領域では、サイド接合部60と、第2サイド接合部61と、が設けられている。吸水シートよりも長手方向の外側の領域では、おむつの外側から第1胴回り域と第2胴回り域の間に指などが入り難く、第2サイド接合部61によってサイド接合部60の接合状態を保護できる。よって、使用中にサイド接合部60の接合が意図せず破れることを抑制できる。
【0064】
不織布シートは、サイド接合部60が設けられた領域においてパルプシート71よりも厚さ方向における第1胴回り域側に配置された第1側不織布シートと、サイド接合部60が設けられた領域においてパルプシート71よりも厚さ方向における第2胴回り域側に配置された第2側不織布シートと、を有する。
図6に示す領域では、第1側不織布シートは、吸水不織布シート72、後胴回り域S2における第1外装不織布シート35及び後胴回り域S2における第2外装不織布シート36によって構成され、第2側不織布シートは、吸水不織布シート72、前胴回り域S1における第1外装不織布シート35及び前胴回り域S1における第2外装不織布シート36によって構成される。
図7に示す領域では、第1側不織布シートは、吸水不織布シート72、前胴回り域S1における1枚の第1外装不織布シート35、後胴回り域S2における2枚の第1外装不織布シート35及び後胴回り域S2における第2外装不織布シート36によって構成される。
図7に示す領域では、第2側不織布シートは、吸水不織布シート72、前胴回り域S1における第1外装不織布シート35及び前胴回り域S1における第2外装不織布シート36によって構成される。なお、吸水シート70が吸水不織布シートを有しない構成にあっては、第1側不織布シート及び第2側不織布シートは、第1外装不織布シート及び第2外装不織布シートの少なくともいずれか一方によって構成されてよい。
【0065】
第1側不織布シートの坪量及び第1側不織布シートの坪量は、パルプシート71の坪量よりも高くてよい。第1側不織布シートの坪量は、第1側不織布シートを構成する不織布シートの合計坪量である。第2側不織布シートの坪量は、第2側不織布シートを構成する不織布シートの合計坪量である。第1側不織布シートの坪量及び第2側不織布シートの坪量が比較的高いため、切断時の不織布シート同士の接合による第2サイド接合部61が形成され易く、また第2サイド接合部61の接合状態を維持し易い。パルプシート71による体液の吸収性を発揮しつつ、前胴回り域S1の外側縁と後胴回り域の外側縁の接合状態を維持し易くなる。
【0066】
サイド接合部60は、熱溶着等によっておむつの非肌対向面側T2の面から形成される。サイド接合部60が形成されることによって、不織布等の熱可塑性繊維が溶着する。このとき、パルプシート71は、パルプ繊維を有し、不織布と比較して溶着し難い。よって、サイド接合部60においてパルプシート71と重ならない部分の接合強度は、サイド接合部においてパルプシート71と重なる部分の接合強度よりも高い。サイド接合部60においてパルプシート71と重ならない部分は、吸水シート70よりも長手方向の外側に位置する部分と吸水シート70よりも長手方向の内側に位置する部分である。
図6等に示すように、サイド接合部60が形成された領域では、厚さ方向Tにおいてパルプシート71と吸水不織布シート72、第1外装不織布シート35及び第2外装不織布シート36が重なっている。
【0067】
吸水シート70は、後胴回り域S2に配置され、後胴回り域S2に接着剤等によって接合されている。よって、サイド接合部60が形成された状態において、パルプシート71よりも厚さ方向Tにおける後胴回り域S2側では、吸水シート70と他のシートの接合状態が維持され易い。一方、パルプシート71よりも厚さ方向Tにおける前胴回り域S1側では、吸水シート70と他のシートの接合状態が維持され難いおそれがある。吸水シート70と前胴回り域S1の接合状態を維持するために、パルプシート71の坪量は、パルプシート71よりも第2胴回り域側に配置された第2側不織布シートの坪量よりも低いことが好ましい。パルプシート71の坪量が第2側不織布シートの坪量よりも低いため、当該第2側不織布シートよってサイド接合部60の接合状態を維持し、使用中に意図せずにサイド接合部60が破れることを抑制できる。
【0068】
図2に示すように、吸水シート70の外端縁702とサイド接合部60の外端縁602との距離L1は、吸水シート70の内端縁701とサイド接合部60の内端縁601との距離L2よりも短くてよい。使い捨ておむつを着用者から外す際は、一般的にサイド接合部60の外端縁602から長手方向Lの内側に向かってサイド接合部60を破る。このとき、使用者は、吸水シート70よりも長手方向Lの外側の領域では、サイド接合部の強度が比較的高く、吸水シート70が配置された領域では、サイド接合部60の強度が比較的低い。吸水シート70の外端縁702とサイド接合部60の外端縁602との距離L1が吸水シート70の内端縁701とサイド接合部60の内端縁601との距離よりも短いため、サイド接合部の長手方向の外端縁から長手方向の内側に向かってサイド接合部を破る際に、直ぐに破り易い領域に到達できる。よって、使用者は、サイド接合部60を容易に破り易くなる。
【0069】
また、使い捨ておむつ10は、吸水シート70が肌に密着し易いように構成されている。吸水シート70が肌に密着することにより、汗等の体液の吸収性を向上できる。次いで、吸水シート70を肌に密着させ易くするための構成について、詳細に説明する。
【0070】
第1領域R1の幅方向Wの収縮力は、第2領域R2の幅方向の収縮力よりも低くてよい。装着状態では、
図2等に示す伸張状態と比較して第1領域R1及び第2領域R2が幅方向Wに収縮し、第1領域R1が第2領域R2側に引っ張られる。第1領域R1に形成される皺が第2領域R2と比較して少なくなり、第1領域R1と肌の接着面積が増える。よって、吸水シート70が肌に密着し、汗等の体液の吸収性を向上できる。
【0071】
また、後胴回り域S2の幅方向Wの収縮力は前胴回り域S1の幅方向の収縮力よりも低くてよい。装着状態において、後胴回り域S2が前胴回り域S1側に引っ張られる。後胴回り域S2に形成される皺が少なくなり、後胴回り域S2が肌に密着し易くなる。よって、吸水シート70が肌に密着し、吸収性を向上できる。
【0072】
なお、本発明における装着状態は、サイド接合部60を介して前胴回り域S1と後胴回り域S2が幅方向Wに連続した使い捨ておむつを、伸張状態に対して77%となるように筒体100に装着した状態とする。
図9は、伸張状態に対して77%となるように筒体100に装着した状態を模式的に示した図である。
図9は、筒体100の中心軸の延長線上から視認した使い捨ておむつ及び筒体を視認した状態である。伸張状態に対して77%となるように筒体100に装着した状態は、次の状態である。前胴回り域S1と後胴回り域S2の皺がなくなるように前胴回り域S1と後胴回り域S2を幅方向Wに伸張させ、前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さ(左側のサイド接合部の内側縁と右側のサイド接合部の内側縁との長さ)L31(
図2参照)と、後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL32と、を測定する。前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL31と、後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL32と、の合計を筒体100に装着した使い捨ておむつ10の伸張状態における長さとする。次いで、この伸張状態の長さに対して77%の長さの外周長を有する筒体100に、使い捨ておむつ10を装着する。この状態を、伸張状態に対して77%となるように筒体100に装着した状態とする。なお、筒体100の長手方向Lの長さは、少なくともサイド接合部60の長手方向の長さ以上有する。また、筒体100の表面素材は、シリコンPETセパレーター(ニッパ株式会社、PET38*1-B、C70905-13)を用いることができ、その摩擦係数は、1μs未満であってよい。なお、摩擦係数は、静摩擦係数であり、ポータブル摩擦計ミューズ(HEIDON、日進機械株式会社)を用いて、測定素子を筒体の表面に当てることによって測定できる。5~10カ所にて測定し、その平均値を摩擦係数とする。
【0073】
伸張状態に対して77%となるように筒体に装着した状態において、前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL41(
図9参照)は、後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL42よりも短くてよい。使い捨ておむつを設計する際に、伸張状態の幅方向の長さに対して77%の胴回り寸法は、装着状態における着用者の胴回り寸法に含まれるものと仮定して設計する。装着状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL41に対する後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL42の比率は、伸張状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL31に対する後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL32の比率よりも高い。
【0074】
本実施の形態では、伸張状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL31と、伸張状態における後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL32と、は、
図2に示すように同じである。よって、伸張状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さに対す後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さの比率は、1.0である。また、
図9に示すように、装着状態においてサイド接合部60が前胴回り域S1側に偏倚している。装着状態における後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL42は、装着状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL41よりも長い。よって、装着状態における前胴回り域S1のサイド接合部60間の長さL41に対する後胴回り域S2のサイド接合部60間の長さL42の比率は、1.0よりも大きい。このように、装着状態においてサイド接合部60が前胴回り域S1側に偏倚しているため、後胴回り域S2は、前胴回り域S1よりも皺が少なく、肌に密着し易い。よって、吸水シート70が肌に密着し、汗等の体液の吸収性を向上できる。また、伸張状態に対して77%となるように筒体に装着した状態において、吸水シート70の延出部75が前胴回り域S1側に偏倚している。よって、装着状態において延出部75が身体の前側から視認され易くなる。
【0075】
吸水シート70が配置された領域の幅方向の収縮力は、その長手方向の外側に位置する領域の収縮力よりも高くてよい。
図4に示すように、吸水シート70の長手方向Lの外端縁702から長手方向Lの外側に延びる領域を外側領域R4とし、吸水シート70の長手方向Lの内端縁701から長手方向Lの内側に延びる内側領域R3とする。吸水シート70が配置された領域の幅方向の収縮力は、外側領域R4と内側領域R3の少なくとも一方の幅方向Wの収縮力よりも高くてよい。なお、吸水シート70が配置された領域とは、厚さ方向の平面視にて吸水シート70と重なる領域である。吸水シート70が配置された領域の収縮力が外側領域R4の収縮力又は内側領域R3の収縮力よりも高いため、吸水シート70が配置された領域が着用者の肌から浮かずに体にフィットし易い。好ましくは、吸水シート70が配置された領域の幅方向Wの収縮力は、外側領域R4の幅方向Wの収縮力よりも高くてよい。吸水シート70が配置された領域が外側領域R4よりも体にフィットし、吸水シート70が外側領域R4側において肌から浮き上がり難くなり、吸水シートによって吸収した体液が胴回り開口部62から漏れることを抑制できる。より好ましくは、吸水シートが配置された領域の幅方向の収縮力は、外側領域R4の幅方向の収縮力及び内側領域R3の幅方向の収縮力よりも高くてよい。吸水シートがより体にフィットし易い。吸水シートがすることにより、効率よく体液を吸収し、吸収性を向上できる。
【0076】
厚さ方向の平面視にて、テープ部材80は、吸水シート70の少なくとも一部に重なって配置されてよい。吸水シート70は、テープ部材と重なる領域においてテープ部材によって剛性が高くなる。よって、吸水シート70に皺が発生し難くなり、吸水シート70が肌により密着し易くなる。
【0077】
図3に示すように、長手方向Lにおいて、テープ部材80の内端縁801は、吸水シート70の長手方向Lの中心よりも内側に配置されてよい。吸水シート70は、汗を吸収し易い領域に配置されることが好ましく、着用者の臀裂から背中に跨って配置されることが好ましい。テープ部材80は、吸水シート70の長手方向Lの中心よりも内側に位置し、着用者の臀裂に対応する位置に配置され易い。より好適には、長手方向において、テープ部材80の内端縁801は、吸水シート70の内端縁701よりも内側に配置されてよい。テープ部材80は、着用者の臀裂に対応する位置により配置され易い。よって、テープ部材80と重なった吸水シート70が、臀裂の窪みにフィットし、吸収性を向上できる。
【0078】
厚さ方向の平面視にて、テープ部材80は、後胴回り域S2の幅方向の中心に重なってよい。テープ部材80は、後胴回り域S2の幅方向の中心に重なっており、装着時に着用者に臀裂の窪みに入り込み易い。より好適には、テープ部材80は、後胴回り域S2の幅方向Wの中心を跨って配置されてよい。テープ部材80は、臀裂の幅方向の中心から左右に延びる一定範囲において臀裂の窪みに入り込み易くなる。テープ部材80と重なる吸水シート70がより肌に密着し、吸収性をより向上できる。
【0079】
厚さ方向の平面視にて、吸水シート70の少なくとも一部は、吸収コア45の肌対向面側において、吸収コア45の長手方向の外端縁に重なってよい。より詳細には、吸水シート70と吸収コア45は、長手方向Lにおいて吸水シートの内端縁から吸収コアの外端縁までの領域で重なり、幅方向Wにおいて、吸収コア45の外側縁よりも内側の領域で重なってよい。吸収コア45は、体液を吸収する吸収材料が積層されており、一般的に吸収コアの厚さは、バックシート等の他のおむつの構成部材の厚さよりも厚い。吸水シート70は、吸収コアの長手方向の外端縁に重なっており、吸収コアの厚さによって着用者側に近づいて配置される。よって、吸水シートが着用者に密着し、吸収性を向上できる。また、吸収コアの外端縁は、一般的に、着用者の臀裂近傍に重なるように設けられている。吸水シートは、吸収コアの外端縁に重なっており、臀裂に入り込んで配置される。よって、吸収性をより向上できる。
【0080】
また、変形例において、吸水シート70は、長手方向Lにおいて吸収コア45と離間していてもよい。吸収コア45と吸水シート70が長手方向において離間している、すなわち吸収コア45と吸水シート70が厚さ方向の平面視にて重なっていないことにより、吸収コア45によって吸収した体液が吸水シート70側に伝わり難くなる。よって、吸水シート70からの体液の漏れをより抑制できる。
【0081】
後胴回り域S2の外端縁と吸収性本体40の外端縁との長さL12が、前胴回り域S1の外端縁と吸収性本体40の外端縁との長さL11よりも長くてよい。吸収性本体40は、股下域S3に配置されており、着用時に脚によって挟まれ、幅方向Wに圧縮され易い。吸収性本体40が、長手方向Lにおいて後胴回り域S2より前胴回り域S1側に偏倚して配置されている。よって、後胴回り域S2は、吸収性本体40が圧縮されることによる影響を受け難い。後胴回り域S2に配置された吸水シート70が肌に密着した状態を維持し易い。
【0082】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0083】
なお、2017年11月10日に出願された日本国特許出願第2017-217783号の全内容が、参照により、本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、使用者が吸水シートの存在を把握し、吸収性に対する安心感を得易い使い捨ておむつを提供できる。
【符号の説明】
【0085】
10 使い捨ておむつ
20 前胴回り部材
30 後胴回り部材
35 第1外装不織布シート(不織布シート)
36 第2外装不織布シート(不織布シート)
40 吸収性本体
45 吸収コア
46 レッグフラップ
49 有効長
50 バックシート
51 第1バックシート
52 第2バックシート
60 サイド接合部
70 吸水シート
71 パルプシート
72 吸水不織布シート(不織布シート)
75 延出部
80 テープ部材
S1 前胴回り域
S2 後胴回り域
S3 股下域
L 長手方向
W 幅方向
T1 肌対向面側
T2 非肌対向面側