(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】電子部品収納用パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20220707BHJP
H01L 23/10 20060101ALI20220707BHJP
H03H 9/02 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
H01L23/02 C
H01L23/10 B
H03H9/02 A
(21)【出願番号】P 2021513527
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010914
(87)【国際公開番号】W WO2020208999
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019076394
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】西川 勝裕
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152585(JP,A)
【文献】特開2000-312060(JP,A)
【文献】特開2011-9399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00-23/04
H01L 23/06-23/10
H01L 23/16-23/26
H03H 3/007-3/06
H03H 9/00-9/135
H03H 9/15-9/24
H03H 9/30-9/40
H03H 9/46-9/62
H03H 9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の搭載部を有し、かつ導体層が形成されている第1主面を有する基部と、
この基部上において前記搭載部を囲むように設けられ、第2主面を有する枠部と、
この枠部の前記第2主面に形成された枠状メタライズ層と、
前記枠部の内側面に埋め込まれて形成され、前記枠状メタライズ層と前記導体層とを接続する側面導体と、を有し、
前記第2主面に、前記側面導体の上端面が前記第2主面を両脇に伴って露出するように、前記枠部の外側面の方向に引き下げられた前記枠状メタライズ層によってメタライズ層未形成面が形成されており、
前記メタライズ層未形成面を囲む前記枠状メタライズ層の側壁と前記上端面とが形成する境界線を、絶縁材が覆っていることを特徴とする電子部品収納用パッケージ。
【請求項2】
前記絶縁材が、その両脇の少なくとも一方に前記メタライズ層未形成面を露出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁材の上面が、前記枠状メタライズ層の有する第3主面と同一面上又はこの第3主面よりも低い位置に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項4】
前記絶縁材が、前記内側面より内側に張り出さないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子部品収納用パッケージ。
【請求項5】
前記絶縁材上の少なくとも一部を覆うように、前記枠状メタライズ層の上に追加メタライズ層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子部品収納用パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の電子部品を密封収容するための電子部品収納用パッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動素子や半導体素子等の電子部品を搭載するための電子部品収納用パッケージは、一般的にセラミックの焼結体からなる絶縁基板上に電子部品を収納する搭載部が形成されたものであり、ここに電子部品を収納して蓋体により覆うことで電子装置として使用される。このような電子部品収納用パッケージは、一般的に上面が電子部品の搭載部となる平板状の基部と、この搭載部を取り囲むように基部に積層された枠状の枠部から成る絶縁基板と、搭載部から基部の下面等にかけて形成された配線導体とにより構成されている。
【0003】
この配線導体のうち、搭載部に設けられたものは電子部品が接続される導体層となり、基部の下面(絶縁基板の下面)に設けられたものは、外部接続用の電極(外部接続用電極)となる。電子部品の各電極がこれら導体層に導通するように接続された後、搭載部が蓋体で封止されることで電子装置が製作される。
ここで、この封止する際に用いる蓋体は金属製であり、これを銀ろう等の封止用ろう材によりセラミック製の枠部に接合するため、通常この枠部の上面には枠状メタライズ層が形成されている。そして、封止用ろう材を介して蓋体は枠状メタライズ層に接合されることで、電子部品が搭載部内に気密封止される。
【0004】
上述するような構成の電子部品収納用パッケージは、従来から用いられるものであるが、電子機器の小型化が進むにつれ、より小型で高集積化できる電子装置が求められるようになってきた。そこで、電子装置を小型化する一つの手法として、絶縁基板を薄肉化するという手法が採られ始めている。これと同時に、電子装置を高集積化する際に問題となってきたのが、隣接する電子装置からの外部ノイズの侵入(電子機器の誤作動を引き起こす原因となる)である。これに対しては、電子装置を外部ノイズの侵入し難い構造とすることで対応している。この外部ノイズが侵入し難い構造とは、枠状メタライズ層と、その上に設置する蓋体と、基部下面に形成されてグランド電位となる外部接続用電極とを、枠部の外側面に形成された切り欠き部の表面の導体層等により電気的に接合されることで達成される。
【0005】
以上のような方策により、メーカー各社は電子装置の小型化を達成してはいるが、さらなる市場からの小型化の要求は止まることがない。近年では、電子部品収納用パッケージ内に設けられる各配線導体間のクリアランスを小さくしたり、かつ枠部の肉厚を薄くしてスペースを確保したりするなどの策も採られるようになっている。しかしながら、このような対応により新たな問題も発生しており、例えば枠部の肉厚を薄くすることで封止面が小さくなり、気密信頼性が低下するというものがそうである。
そこで、蓋体と外部接続用電極とを結ぶ導体が、枠部の内側面に設けられた構造がとられるようになっている。例えば、特許文献1に記載の発明である、「電子部品搭載用基板」という名称の電子部品収納用パッケージにおいて、そのような構造を具体的に見ることができる。
【0006】
特許文献1に記載の電子部品収納用パッケージは、電子部品の搭載部を有し、その電極を外部に接続可能な複数の導体層が被着形成された下部絶縁層と、この下部絶縁層上に積層され、蓋体を接合するための封止用メタライズ層が上面に形成された枠状の上部絶縁層とから成る電子部品搭載用基板であり、上部絶縁層の内周面および/または外周面に切り欠き部が形成され、この切り欠き部に導体層と封止用メタライズ層とを電気的に接続する導体柱を、その上端面が上部絶縁層の上面に対し同一面となるように埋設したものとなる。
【0007】
このような構成であれば、導体柱により封止用メタライズ層と下部絶縁層にある導体層が導通しており、導体層がグランド電位に接続されれば、連関して同電位になるという作用を有する。そして、封止用ろう材により金属製の蓋体を封止用メタライズ層と接合した場合には、この蓋体もグランド電位に接続されるという作用を有する。この結果、この蓋体により封止された特許文献1に記載の電子部品収納用パッケージは、グランド電位への接続により、その内部に外部ノイズが侵入できない構造になるという効果を有している。
しかしながら、配線となる金属製の導体等の表面にはめっき層が被着されているため、金属に対しぬれ性の良好な封止用ろう材が、封止用メタライズ層に蓋体を接合する際に導体柱を介して他の導体側へと拡がり易くなる。この結果、封止に必要な封止用ろう材が封止面において不足することで封止の信頼性が低下したり、各所に拡がった封止用ろう材が他の配線導体と短絡して電子部品の動作不良原因となったりするなどの可能性もあった。
【0008】
このような背景から、上述する課題を解消するための新しい電子部品収納用パッケージの開発も盛んに行われている。最近では、特許文献2に「電子部品収納用パッケージ、電子装置および電子モジュール」という名称で、電子部品収納用パッケージに関する発明が開示されている。
この特許文献2に記載の電子部品収納用パッケージでは、電子部品の搭載部を有した第1主面を有する基部と、この基部上の搭載部を囲むように設けられ、第2主面を有する枠部と、この枠部の第2主面に設けられた枠状メタライズ層と、枠部の内側面に設けられ、枠状メタライズ層と第1主面に形成された中継導体とを接続した側面導体とを含んでおり、この側面導体の幅方向において、絶縁膜が一方の端から他方の端にかけて覆うように埋め込まれていることを特徴とする。
【0009】
このような構成であれば、側面導体の幅方向において、絶縁膜が一方の端から他方の端にかけて覆っていることから、封止用ろう材により蓋体を枠状メタライズ層に接合する際に、封止用ろう材が側面導体を介して下方に流下した場合でも、絶縁膜がその流れを止め、封止用ろう材を絶縁膜と枠部とが形成する領域内に止めることで、搭載部まで封止用ろう材を拡がり難くするという作用を有する。
このような作用により、封止用ろう材の下方への流下が抑制され、それに伴って枠状メタライズ層と蓋体の接合に使用する封止用ろう材が減量するのも抑えられる。そして、この結果、封止不良がなくなると考えられる。さらに、下方に封止用ろう材が流下した場合に起こる他の配線導体との短絡も抑制されるため、製造時等に不良が起こり難くなるという効果も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2000-312060号公報
【文献】国際公開第2017/090508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載の発明である電子部品収納用パッケージにおいて、封止用ろう材が側面導体を介して上方より絶縁膜まで流下してきた場合、一旦は絶縁膜の端部において堰き止められるものの、その流下量が多い場合にはその端部より容易に溢れ、そのまま自重により絶縁膜上を流れ落ちてしまうという課題があった。さらに、絶縁膜が側面導体の幅より広く形成されているため、絶縁膜により堰き止められた封止用ろう材が直ちに下方に流下せず、この絶縁膜の端部を伝いながら拡がってしまう可能性もある。そして、側面導体の幅より広く封止用ろう材が貯められた場合にあっては、溢れた封止用ろう材は大きな幅を持って下方に流下し、下方にある電子部品の搭載部をより広範囲に侵食してしまうという課題もあった。
【0012】
本発明はこれら課題を鑑みてなされたものであって、その目的は外部ノイズの侵入が抑制され、かつ封止する際に使用する封止用ろう材が周囲に拡がり難いため短絡等により不具合を起こし難い電子部品収納用パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、第1の発明である電子部品収納用パッケージは、電子部品の搭載部を有し、かつ導体層が形成されている第1主面を有する基部と、この基部上において搭載部を囲むように設けられて第2主面を有する枠部と、この枠部の第2主面に形成された枠状メタライズ層と、枠部の内側面に埋め込まれて形成され、枠状メタライズ層と導体層とを接続する側面導体とを有し、第2主面に側面導体の上端面が第2主面を両脇に伴って露出するように、枠部の外側面の方向に引き下げられた枠状メタライズ層によってメタライズ層未形成面が形成されており、このメタライズ層未形成面を囲む枠状メタライズ層の側壁と上端面とが形成する境界線を絶縁材が覆っていることを特徴とする。
【0014】
このような構成の電子部品収納用パッケージであれば、枠部の内側面に埋め込まれた側面導体を介して枠状メタライズ層と導体層が接続されるという作用を有する。また、側面導体の上端面とその周囲の第2主面から成るメタライズ層未形成面において、枠状メタライズ層の側壁と側面導体の上端面とが形成する境界線を絶縁材が覆っていることで、枠状メタライズ層と側面導体は外表面上において互いに連結しなくなるという作用を有する。さらに、側面導体の上方において、側面導体の内側面側の面と同一面となるような枠状メタライズ層が形成されないという作用を有する。
【0015】
そして、第2の発明は、第1の発明における電子部品収納用パッケージにおいて、絶縁材が、その両脇の少なくとも一方にメタライズ層未形成面を露出するように形成されていることを特徴とする。
このような構成の電子部品収納用パッケージであれば、封止用ろう材が絶縁材の周囲から溢れて流下しようとした際に、絶縁材料の脇にある平坦なメタライズ層未形成面内に一旦流れ込ませることで、その下方にある側面導体の周囲に封止用ろう材が流下しようとする勢いを弱めるという作用に加え、その一部をメタライズ層未形成面内に付着させて貯蔵するという作用を有する。尚、メタライズ層未形成面は絶縁材料の両脇の少なくとも一方に形成すれば上記作用を発揮するが、封止用ろう材の流下をより確実に抑制する観点で、両脇に形成する方がより好ましい。ここで、両脇に形成する場合の各メタライズ層未形成面の面積は同一で無くてもよい。
【0016】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明における電子部品収納用パッケージにおいて、絶縁材の上面が、枠状メタライズ層の有する第3主面と同一面上又はこの第3主面よりも低い位置に形成されていることを特徴とする。
このような構成の電子部品収納用パッケージであれば、第1の発明において示す作用に加え、絶縁材をメタライズ層未形成面に形成しても絶縁材の上面は第3主面より低いため、封止の際に第3主面上に蓋体を載せても絶縁材が支点となって蓋体が傾斜することを抑制するという作用を有する。
【0017】
そして、第4の発明は、第1乃至第3の発明の電子部品収納用パッケージにおいて、絶縁材が、内側面より内側に張り出さないように形成されていることを特徴とする。
このような構成の電子部品収納用パッケージであれば、第1,第2の発明における作用に加え、絶縁材が電子装置内の枠部内の空間に張り出さないという作用を有する。また、枠部の内側面側にある絶縁材の端面が内側面より外側に位置する場合には、内側面に凹部を形成するため、この凹部に余分な封止用ろう材を蓄え、ここから下方に流下するのを抑えるという作用も有する。
【0018】
さらに、第5の発明は、第1乃至第4の発明の電子部品収納用パッケージにおいて、絶縁材上の少なくとも一部を覆うように、枠状メタライズ層の上に追加メタライズ層が形成されていることを特徴とする。
このような構成の電子部品収納用パッケージであれば、第1乃至第4の発明における作用に加えて、絶縁材上の一部にもメタライズ層が形成されることで、封止の際に使用する封止用ろう材の塗布される面積が絶縁材上の一部分だけ増加するという作用も有する。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明である電子部品収納用パッケージによれば、封止用ろう材を介して蓋体と枠状メタライズ層とが接合された電子装置において、導体層をグランド電位に接続すれば、電子装置の内部は外部ノイズから遮蔽される構造とすることができる。
また、枠状メタライズ層と蓋体を接合して封止する工程において、絶縁材がない場合、封止用ろう材は良好なぬれ性故に、枠状メタライズ層の第3主面からメタライズ層未形成面の側壁表面へ流れ、さらには側壁と接する側面導体表面へと流れながら拡がろうとする。しかしながら、枠状メタライズ層の側壁と側面導体の上端面とが形成する境界線を絶縁材が覆っていることにより、この絶縁材が封止用ろう材の流れを阻害するという効果を有する。さらに、封止用ろう材は下方に設置されている電子部品、および配線等まで到達できないため、電子部品等との接点の形成がなくなり、短絡も抑制されるという効果を有する。
【0020】
加えて、絶縁材の設置に加えて、側面導体の内側面側の面と同一面上となるような枠状メタライズ層が側面導体の上方に形成されないことで、封止用ろう材が側面導体の上方に貯まったとしても、自重により流下し難くなるという効果も有する。これは上述する短絡抑制効果を一層高めることにも繋がり、製品の不良率低減にも寄与するものと考えられる。
【0021】
そして、第2の発明である電子部品収納用パッケージによれば、絶縁材の周囲から溢れた封止用ろう材は、メタライズ層未形成面上で流下の勢いが弱められ、かつその一部はメタライズ層未形成面内に貯蔵されることで、下方への拡散が抑制されるという効果があると考えられる。これにより、製造工程上での不具合発生頻度がさらに低下するものと考えられる。
【0022】
また、第3の発明である電子部品収納用パッケージによれば、封止の際に蓋体は第3主面と平行となる。この結果、蓋体が傾斜することで枠状メタライズ層との隙間が一定となるため、封止用ろう材が蓋体から圧迫されて枠体側面から飛び出したり、蓋体と封止用ろう材の接触面積が小さくなり封止が不十分、又は未完な部位が発生したりするなどの不具合も抑制される。さらに、封止用ろう材のはみ出しによる他の配線導体、部品との接触も抑制されることができ、かつ封止が不十分な部位、又は未完の部位を無くすことにより、製品の不良率の低減にも繋がると考えられる。
【0023】
そして、第4の発明である電子部品収納用パッケージによれば、搭載される電子部品の配置の自由度が向上し、かつ電子部品を設置する際に絶縁材を避けながら設置する必要がなくなる。そして、電子装置内にある空間が絶縁材により部分的に占められることなく、電子部品の設置のためだけに有効活用することが可能となる。これにより、電子部品のさらなる集積及び電子装置の小型化も可能になると考えられる。また、絶縁材が張り出していないことで、電子部品を設置する作業が従来とほぼ同じ手法で行えると考えられ、新たな製造条件を設定するための労力が低減される。さらに、封止時に余分な封止用ろう材を凹部に蓄えて、枠部の内側面側にはみ出させないようにするため、封止用ろう材と他の配線、部品との接触も抑制できると考えられる。
【0024】
さらに、第5の発明である電子部品収納用パッケージによれば、追加メタライズ層上に塗布される封止用ろう材の塗布される面積も増加するため、封止の際に蓋体と封止用ろう材との接触面積も増加し、封止効果を一層高めることができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(a)は本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージを示す上面透視図であり、(b)は同図(a)のX-X’線における断面図である。
【
図2】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部を示す外観斜視図であり、(b)は同図(a)において絶縁材が除去された場合の外観斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージに蓋体を接合した場合について、
図1(a)に示すX-X’線と同じ線による断面図である。
【
図4】(a)は本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージの変形例を示す上面透視図であり、(b)は同図(a)のX-X’線における断面図であり、(c)は同図(a)の要部を示す外観斜視図である。
【
図5】
図3に示す本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージに蓋体を接合した場合の図であり、封止不良時の断面図である。
【
図6】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部を示す外観斜視図であり、(b)は、
図1(a)において、第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの絶縁材を
図1(a)の絶縁材に代えて設け、さらに蓋体を接合した場合の、
図1(a)に示すX-X’線による断面図であり、(c)は第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの絶縁材を形成するプロセスの概略図である。
【
図7】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例の要部を示す外観斜視図であり、(b)は、
図1(a)において、第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例の絶縁材を
図1(a)の絶縁材に代えて設け、さらに蓋体を接合した場合の、
図1(a)に示すX-X’線による断面図であり、(c)は第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例の絶縁材を形成するプロセスの概略図である。
【
図8】(a)は本発明の第3の実施の形態における電子部品収納用パッケージを示す上面透視図であり、(b)は同図(a)のX-X’線における断面図である。
【
図9】(a)は本発明の第3の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部を示す外観斜視図であり、(b)は本発明の第3の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部の他の例を示す外観斜視図である。
【
図10】(a)は本発明の第4の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部を示す外観斜視図であり、(b)は本発明の第4の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの要部の他の例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の電子部品収納用パッケージについて、
図1乃至
図10を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージを示しており、
図1(a)は本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージを示す上面透視図であり、
図1(b)は
図1(a)のX-X’線における断面図である。なお、
図1(a)で示す構造は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージと同じであるため共用する。また、
図1(a)における破線は、基部の厚さ方向において隠れて存在する構成要素を示す。
【0027】
図1(a),(b)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ1の主要部は、絶縁性材料から成る略矩形平面状の基部2と、この基部2の第1主面2a上に積層された絶縁性材料から成る枠部3と、この枠部3の第2主面3b上に形成された金属製の枠状メタライズ層4とから構成される。以下、電子部品収納用パッケージ1について、より具体的に説明する。
基部2の素材は酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体、又はガラス―セラミック焼結体等によるセラミック体である。そして、基部2の天面となる第1主面2a上の枠部3も同様のセラミック体により形成されている。なお、このように積層されている基部2と枠部3の作製方法については、以下のような例を挙げることができる。
【0028】
基部2と枠部3が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、まず酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム等の粉体原料に所定量の有機バインダ、溶剤、可塑剤等を添加混合して泥漿を作製し、これをドクターブレード法等の成形法により複数枚のセラミックグリーンシートを作製する。そして、一部のセラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して枠状に成形し、これを未加工の平板状のセラミックグリーンシートの上面に積層する。この積層体を高温で焼成することにより、接合された積層体の母材が作製される。この母材を分割することで、基部2と枠部3の積層体を得ることができる。
【0029】
一方、枠部3の内側面3aに囲まれ、封止空間の底面となる第1主面2a上には、電子部品搭載部2bが形成され、ここに半導体素子等の電子部品が導通するように接合される。なお、電子部品搭載部2bは、第1のビア導体2dを介して第1主面2aの裏面側に設置されている、第1の外部接続用電極2cと導通するように接合されている。そして、枠部3のコーナー部分において、第1主面2aから枠部3の第2主面3bに亘って、その一部が内側面3aより露出するように側面導体5が埋設されている(
図1(b)参照)。また、この側面導体5の上端面5aは、第2主面3bと同一面上に形成されている。
なお、電子部品収納用パッケージ1では、側面導体5は枠部3のコーナー部分に埋設されているが、コーナー部分に限定しているわけではなく、辺部分に埋設されていても良い。そして、側面導体5の下端は、第1主面2a上に形成されている導体層2eと導通するように接合されており、さらにこの導体層2eは上述した電子部品搭載部2bと同様に、第2のビア導体2fを介して第2の外部接続用電極2gと導通するように接合されている。
【0030】
一方、第2主面3bの表面には、封止時に蓋体等を接合し易くするため、タングステン、モリブデン等の金属粉末を被着させた金属製の枠状メタライズ層4が形成されている。この枠状メタライズ層4は、その露出する表面に耐食性に優れ、かつ封止用ろう材とのぬれ性に優れるニッケル等の金属をめっき法により被着させておいても良い。これにより枠状メタライズ層4の酸化腐食を防止できるとともに、枠状メタライズ層4と蓋体等の他部材とを封止用ろう材を介して接続する場合に、より接続を強固なものとすることができる。
なお、この枠状メタライズ層4は第2主面3bの全体を覆うようには形成されていない。特に、側面導体5の上端面5a付近において枠状メタライズ層4の縁部が枠部3の内側面3aから外側面3c側に引き下げられ、そこには側面導体5の上端面5aの一部が両脇に第2主面3bを伴いながら露出するメタライズ層未形成面3dが形成され、さらにそこには絶縁材6が所定の位置に配置されるように形成されている。
【0031】
このメタライズ層未形成面3d、絶縁材6について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージについて示しており、
図2(a)はその要部を示す外観斜視図であり、
図2(b)はメタライズ層未形成面を見易くするため、
図2(a)より絶縁材が除去された場合の外観斜視図である。
図2(a)に示すように、メタライズ層未形成面3dの周囲は、枠部3の内側面3a側のみ開放され、他は枠状メタライズ層4の側壁4aにより囲まれている。そして、メタライズ層未形成面3dには、絶縁材6がメタライズ層未形成面3d,側壁4a,そして第3主面4bにかけて覆うように形成されており、絶縁材6の上面6aは第3主面4bより上方に位置するようになる。
【0032】
なお、このような絶縁材6を形成する方法としては、例えば焼成後に枠部3となる枠部用セラミックグリーンシートの第2主面3bのメタライズ層未形成面3dを除く領域にメタライズペーストを印刷した後、メタライズ層未形成面3dの所定位置に、焼成後に絶縁材6となる絶縁材用セラミックペーストを印刷し、次いでセラミックスペーストが印刷された枠部用セラミックグリーンシートと焼成後に基部2となる基部用セラミックグリーンシートを積層し焼成して形成するといった方法が挙げられる。
【0033】
ここで、絶縁材6はメタライズ層未形成面3d,側壁4a,そして第3主面4bにかけて、単に覆うように形成されていれば良いわけではない。
図2(b)に示すように、メタライズ層未形成面3dには側面導体5の上端面5aの一部が露出し、この上端面5aと側壁4aとが接する部位には、これら2つの面との境界線7が形成されている(
図2(b)中において波括弧により示す部位)。絶縁材6は、この境界線7の一方端から他方端を覆うように形成されていなければならない。なお、絶縁材6が境界線7を覆う点については、本発明の他の実施の形態でも同様である。加えて、絶縁材6はその両脇にメタライズ層未形成面3dが配置されるように形成されている。
【0034】
次に、このような構成の電子部品収納用パッケージ1について、作用と効果を説明する。
電子部品収納用パッケージ1では、枠部3の内側面3aに埋め込まれた側面導体5を介して枠状メタライズ層4と導体層2eが導通するように接続されるという作用を有する。また、側面導体5の上端面5aとその周囲の第2主面3bから成るメタライズ層未形成面3dにおいて、枠状メタライズ層4の側壁4aと側面導体5の上端面5aとが形成する境界線7を絶縁材6が覆うことにより、枠状メタライズ層4と側面導体5は外表面上において互いに連結しなくなるという作用を有する。
そして、絶縁材6の両脇に形成されているメタライズ層未形成面3dにより、封止用ろう材が絶縁材6の周囲から流下した場合には、平坦なメタライズ層未形成面3d内に一旦流れ込むことができるとともに、封止用ろう材の一部がメタライズ層未形成面3d上に付着して貯蔵されるという作用も有する。
さらに、側面導体5の上方において、側面導体5の内側面3a側の面と同一面となるような枠状メタライズ層4が形成されないという作用も有する。
【0035】
これらの作用により生じる効果について、
図3を用いて説明する。
図3は封止用ろう材を介して金属製の蓋体と枠状メタライズ層とが接合された本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージを示すものであり、
図1(a)と同じX-X’線での断面図である。
このように、電子部品収納用パッケージ1を封止する場合、まず電子部品搭載部2bに導電性接合材8を介して導通するように電子部品9を接合した後、封止用ろう材10を介して蓋体11が枠状メタライズ層4に導通するように接合される。ここで、導体層2eをグランド電位とすることで、封止された電子部品収納用パッケージ1の内部は外部ノイズから遮蔽された構造とすることができる。
【0036】
次に、枠状メタライズ層4と蓋体11とを封止用ろう材10を介して接合する工程において、加熱され流動性を有する封止用ろう材10は、自然に又は蓋体11より圧迫されると金属部分を伝って拡がろうとする。しかしながら、
図2(a)において示したように、枠状メタライズ層4の側壁4aと側面導体5の上端面5aとが形成する境界線7を絶縁材6が覆っていることにより、封止用ろう材10は絶縁材6により流れを阻害され、側面導体5へと拡がることができなくなる。 さらに、封止用ろう材10が絶縁材6の周囲から下方に流下しようとする場合、絶縁材6の両脇にあるメタライズ層未形成面3dにより、封止用ろう材10の流速は平坦面上を流れるが故に弱められ、かつ封止用ろう材10の一部はメタライズ層未形成面3d上に付着して貯蔵されてしまうと考えられる。
以上の結果、封止用ろう材10は下方に設置されている電子部品9、および他の配線まで到達できず、電子部品9等との不要な接点が形成されないため、短絡も抑制されるという効果を有する。
【0037】
また、枠部3の内側面3a側にて露出する側面導体5の上方であって、かつ同一面上に枠状メタライズ層4の面が形成されないため、封止用ろう材10が自重により自然に側面導体5に流下してくることもない。これは、上述する封止用ろう材10の流下による短絡を抑制する効果を一層高めることにも繋がる。
さらに、電子部品収納用パッケージ1において、絶縁材6は上面6a(
図2(a)参照)が第3主面4bよりも高いことにより、封止用ろう材10が側面導体5に流れてきても堰堤となり流れを阻害するという重要な役割も担っている。
【0038】
ここで、このような作用と効果を有する電子部品収納用パッケージ1は、必ずしも上述する構成に限定されなくとも良い。このような電子部品収納用パッケージ1の変形例である電子部品収納用パッケージ12について、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージの変形例であり、
図4(a)はその上面透視図であり、
図4(b)は
図4(a)のX-X’線における断面図であり、
図4(c)は同図(a)の要部を示す外観斜視図である。なお、電子部品収納用パッケージ12について、電子部品収納用パッケージ1と同一の構成要素については同一の符号を付しており、その構成の説明は省略する。
【0039】
図4(a)に示すように、電子部品収納用パッケージ12は、電子部品収納用パッケージ1と同じ基本構造を持つが、絶縁材13と枠状メタライズ層14の形状が電子部品収納用パッケージ1と異なるものとなる。具体的には、
図4(b)に示す
図4(a)のX-X’線断面図のように、絶縁材13の上面13aは枠状メタライズ層14の第3主面14bと同一面であり、さらに枠状メタライズ層14が突出した上面14cを形成しながら上面13aの外側面3c側を覆う点で、電子部品収納用パッケージ1と異なる。
【0040】
図4(c)には電子部品収納用パッケージ12の要部を示す。電子部品収納用パッケージ1での絶縁材6と同様に、絶縁材13が枠状メタライズ層14の側壁14aと側面導体5の上端面5aとが形成する境界線7(ここでは図示されていない)を覆い、かつその両脇にはメタライズ層未形成面3dが形成されるものとなる。さらに、側面導体5の上方において、側面導体5の内側面3a側の面と同一面となるような枠状メタライズ層14が形成されていない点でも電子部品収納用パッケージ1と共通する。
したがって、電子部品収納用パッケージ12は、電子部品収納用パッケージ1と同じ作用と効果を有するものとなる。
【0041】
このような絶縁材13を形成する方法としては、例えば枠部用セラミックグリーンシートのメタライズ層未形成面3dの所定位置に絶縁材用セラミックペーストを印刷した後、メタライズ層未形成面3dを除く領域と絶縁材用セラミックペースト上面の外側面3c側とにかけてメタライズペーストを印刷し、次いで枠部用セラミックグリーンシートと基部用セラミックグリーンシートを積層し焼成して形成するといった方法が挙げられる。
【0042】
しかしながら、電子部品収納用パッケージ1及び電子部品収納用パッケージ12を封止する際に、封止の条件によっては、上面13a、又は上面14cの高さが封止時に悪影響を及ぼすことも予想される。
図5は封止用ろう材を介して金属製の蓋体と枠状メタライズ層とが接合された本発明の第1の実施の形態における電子部品収納用パッケージの、
図1(a)と同じX-X’線での断面図であり、封止不良を起こした時の状態である。
このように電子部品収納用パッケージ1を封止する際に、蓋体11が絶縁材6の上面6aと接触して傾斜すると、封止用ろう材10が第3主面4bよりはみ出たり、一部封止面積が少ない部位が生じたりする。この点については、上面14cを有する電子部品収納用パッケージ12も同様である。
このような不良は、例えば、封止用ろう材10をその融点よりも高い温度にしたり、封止用ろう材10を硬化させる時間が長過ぎたりした場合に発生し易いと考えられる。したがって、電子部品収納用パッケージ1に限ったことではないが、封止条件は蓋体11の傾斜が起こらないように注意しながら設定する必要がある。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージについて、
図6、
図7を用いて説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージであり、
図6(a)はその要部を示す外観斜視図であり、
図6(b)は、
図1(a)において、第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの絶縁材を
図1(a)の絶縁材に代えて設け、さらに蓋体を接合した場合における
図1(a)に示すX-X’線による断面図であり、そして
図6(c)は第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの絶縁材をプレス加工により形成するプロセスの概略図である。
なお、電子部品収納用パッケージ1と同一の構成要素については同一の符号を付しており、その構成の説明は省略する。
【0044】
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ15は、電子部品収納用パッケージ1と同じ基本構造を持つ。一方で、絶縁材16の上面16aは第3主面4bと同一面上となるとともに、
図6(b)に示すように絶縁材16の1部が枠状メタライズ層4に埋まり込み、さらに絶縁材16と枠状メタライズ層4のそれぞれ1部が側面導体5に埋まり込んだものとなる。
このような絶縁材16は、
図6(c)に示すように、その上面16aが第3主面4bと同一面となるよう、材料が焼成前の変形容易な状態の際に、第3主面4bに対し垂直な方向(矢印により図示)から絶縁材16の元となる材料(符号は絶縁材16として記載)をプレス加工することにより形成できる。
【0045】
この形成方法について特に限定しないが、例えば焼成後に枠部3となる枠部用セラミックグリーンシートの第2主面3bのメタライズ層未形成面3dを除く領域にメタライズペーストを印刷した後、メタライズ層未形成面3dの所定位置に、焼成後に絶縁材16となる絶縁材用セラミックペーストを印刷し、次いでセラミックペースト上面をメタライズ層上面と略同一面となるようにプレスし、このプレスされた枠部用セラミックグリーンシートと焼成後に基部2となる基部用セラミックグリーンシートとを積層し焼成して形成するといった方法が挙げられる。この際、セラミックペーストの量が多いと、プレス時にセラミックペーストが変形してはみ出す等の問題が生じ、修正しなければならなくなる。
【0046】
このように絶縁材16が形成されていることで、蓋体11は封止の際に自重により下方に移動する途中に、絶縁材16に接触して傾斜した状態とはならなくなるという作用を有する。
そして、このような作用により、蓋体11が傾斜した時のように枠状メタライズ層4と蓋体11との隙間がバラつかないため、狭小化した隙間から封止用ろう材10がはみ出たり、隙間が広がり過ぎて封止が不完全になったりするなどの不具合が抑制される。
【0047】
また、電子部品収納用パッケージ15と同じ作用、効果を有する変形例について、
図7を用いながら説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例であり、
図7(a)はその要部を示す外観斜視図であり、
図7(b)は、
図1(a)において、第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例の絶縁材を
図1(a)の絶縁材に代えて設け、さらに蓋体を接合した場合における
図1(a)に示すX-X’線による断面図であり、そして
図7(c)は第2の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージの変形例の絶縁材をプレス加工により形成するプロセスの概略図である。なお、電子部品収納用パッケージ1と同一の構成要素については同一の符号を付しており、その構成の説明は省略する。
【0048】
図7(a)に示すように、本実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ17は、電子部品収納用パッケージ15と同じ基本構造を持つ。また、絶縁材18の上面18aは、電子部品収納用パッケージ15と同様に、第3主面4bと同一面上となるとともに、
図7(b)に示すように枠状メタライズ層4の一部が絶縁材18に埋まり込み、さらに絶縁材18と枠状メタライズ層4のそれぞれ1部が側面導体5に埋まり込んだものとなる。
このような絶縁材18は、
図7(c)に示すように、その上面18aが第3主面4bと同一面となるよう、材料が焼成前の変形容易な状態の際に、第3主面4bに対し垂直な方向(矢印により図示)から絶縁材18の元となる材料(符号は絶縁材18として記載)をプレス加工することにより形成できる。
【0049】
このように、電子部品収納用パッケージ17は、枠状メタライズ層4の一部が絶縁材18に埋まり込んでいる以外は、電子部品収納用パッケージ15と同じであり、その作用と効果も電子部品収納用パッケージ15と同様である。
このような絶縁材18を形成する方法としては、例えば枠部用セラミックグリーンシートのメタライズ層未形成面3dの所定位置に絶縁材用セラミックペーストを印刷した後、メタライズ層未形成面3dを除く領域と絶縁材用セラミックペースト上面の外側面側とにかけてメタライズペーストを印刷し、次いでメタライズ層上面をセラミックペースト上面と略同一面となるようにプレスし、このプレスされた枠部用セラミックグリーンシートと基部用セラミックグリーンシートとを積層し焼成して形成するといった方法が挙げられる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージについて、
図8、
図9に基づいて説明する。
図8(a)は本発明の第3の実施の形態における電子部品収納用パッケージを示す上面透視図であり、
図8(b)は同図(a)のX-X’線における断面図である。
図9は本発明の第3の実施の形態における電子部品収納用パッケージであり、
図9(a)はその要部を示すものであり、
図9(b)は
図9(a)の絶縁材の形状を変形した場合の要部を示すものである。
なお、電子部品収納用パッケージ1と同一の構成要素については同一の符号を付しており、その構成の説明は省略する。
【0051】
図8に示すように、本実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ19は、電子部品収納用パッケージ1と同じ基本構造を持つが、絶縁材20の内側面3a側の端面20bは、内側面3aと同一面上にはなく外側面3c側に引き下がった位置に形成され、絶縁材20の上面20aは第3主面4bと同一面上となる。
【0052】
図9(a)にその要部を示しているが、このように絶縁材20が形成されていることで、電子部品収納用パッケージ19は、電子部品収納用パッケージ1、15の作用に加え、絶縁材20が電子装置内の空間に張り出さないという作用を有する。さらに、絶縁材20の端面20bが内側面3aより外側に位置することで形成される凹部により、封止の際に蓋体11と枠状メタライズ層4との隙間から余分な封止用ろう材10が流出しても、凹部の容積分だけ封止用ろう材10を蓄えるという作用も有する。
【0053】
このような作用により、電子部品収納用パッケージ19では封止される内部空間内を絶縁材20が邪魔することはなくなり、搭載される電子部品9の配置の自由度が向上し、かつ電子部品9を設置する際に絶縁材20を避ける必要がなくなるという効果を有する。加えて、電子部品9の設置のためだけに有効活用することが可能となり、電子部品9のさらなる集積、電子装置の小型化が可能になると考えられる。
また、絶縁材20が張り出していないため、電子部品9を設置する作業が従来と同じ手法で行えるため、新たな製造条件を設定する必要もない。加えて、封止時に余分な封止用ろう材10を凹部内に蓄えて、枠部3の内側面3a側に封止用ろう材10がはみ出すことがなくなり、封止用ろう材10が他の配線、部品と接触することを抑制すると考えられる。
【0054】
一方、
図9(b)に示すように、電子部品収納用パッケージ19の絶縁材20の上面20aは第3主面4bより低くても良い。このような場合、凹部の容積はより大きくなり、封止用ろう材10を蓄える能力が向上するため、封止用ろう材10のはみ出しを抑制する効果が高まると考えられる。
【0055】
なお、このような絶縁材20を形成する方法としては、絶縁材6を形成する場合と同様に、例えば焼成後に枠部3となる枠部用セラミックグリーンシートのメタライズ層未形成面3dの所定位置に、焼成後に絶縁材20となる絶縁材用セラミックペーストを内側面3a側に張り出さないように印刷し、印刷後プレス等で高さを調整し、枠部用セラミックグリーンシートと焼成後に基部2となる基部用セラミックグリーンシートを積層し焼成して形成するといった方法が挙げられる。
【0056】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品収納用パッケージについて、
図10に基づいて説明する。
図10は本発明の第4の実施の形態における電子部品収納用パッケージであり、
図10(a)は
図2(a)に示す電子部品収納用パッケージに追加メタライズ層が形成された場合の要部であり、
図10(b)は
図9(a)に示す電子部品収納用パッケージに追加メタライズ層が形成された場合の要部である。
なお、ここで示される電子部品収納用パッケージは先に示した電子部品用パッケージ1,19であり、理解を容易にするため同一の構成要素については同一の符号を付しており、その構成の説明は省略する。
【0057】
図10(a)に示すように、本実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ1は、枠状メタライズ層4の第3主面4b上に追加メタライズ層22が絶縁材6の上面6aの一部を覆うように形成され、その端面22aは絶縁材6の端面6bと同一面上にはなく外側面3c側に引き下がった位置に形成されている。
このように追加メタライズ層22が形成されていることで、電子部品収納用パッケージ1における封止用ろう材10の塗布面の面積は、第3主面4bの面積に加え絶縁材6の上面6aに形成された面積分増加するという作用を有する。
このような作用により、電子部品収納用パッケージ1を封止する際には、蓋体と封止用ろう材の接触面積が増大するため、蓋体と電子部品収納用パッケージ1との接着強度を高めることができ、さらに気密信頼性が向上するという効果を有する。
【0058】
上述する追加メタライズ層22は電子部品収納用パッケージ1に限らず、他の実施例に対して適用しても良く、
図10(b)に示すように電子部品収納用パッケージ19に適用することも可能である。本実施の形態に係る電子部品収納用パッケージ19は、枠状メタライズ層4の第3主面4b上に追加メタライズ層22が絶縁材20の上面20aの全体を覆うように形成され、追加メタライズ層22の端面22aは絶縁材20の端面20bと同一面上に形成されている。
このように電子部品収納用パッケージ19に追加メタライズ層22が形成されることで、上述した電子部品収納用パッケージ1と同様に、封止用ろう材10の塗布面の面積は第3主面4bの面積に加え絶縁材20の上面20aに形成された面積分増加するという作用を有する。
このような作用により、電子部品収納用パッケージ19を封止する際には、蓋体と封止用ろう材の接触面積が増大するため、蓋体と電子部品収納用パッケージ19との接着強度を高めることができ、さらに気密信頼性が向上するという効果を有する。
【0059】
ここで、電子部品収納用パッケージ1において示すように、絶縁材6の内側面3a側の端面6bが内側面3aと同一面である場合には、追加メタライズ層22を形成する際に、その端面22aが端面6bと同一面上にならないように注意する必要がある。なぜなら、側面導体5の内側面3a側の面と同一面を有するような追加メタライズ層22が側面導体5の上方に形成されることで、封止用ろう材10が側面導体5の上方に貯まった場合に、封止用ろう材10が自重により自然に側面導体5に流下し、短絡を発生させる確率を高めてしまうからである。
【0060】
一方で、上述する実施例では枠状メタライズ層4に封止用ろう材10を介して直接蓋体11が接合されているが、枠状メタライズ層4に封止用ろう材10を介して42アロイやコバール(鉄-ニッケル-コバルト合金)等からなる金属製の枠体をまず接合した後、この枠体に封止用ろう材10を介して蓋体11を接合することで封止するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の請求項1乃至請求項3に記載された発明は、小型かつ外部ノイズの侵入が抑制され、封止時の不良を起こし難い電子部品収納用パッケージとして利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…電子部品収納用パッケージ
2…基部
2a…第1主面
2b…電子部品搭載部
2c…第1の外部接続用電極
2d…第1のビア導体
2e…導体層
2f…第2のビア導体
2g…第2の外部接続用電極
3…枠部
3a…内側面
3b…第2主面
3c…外側面
3d…メタライズ層未形成面
4…枠状メタライズ層
4a…側壁
4b…第3主面
5…側面導体
5a…上端面
6…絶縁材
6a…上面
6b…端面
7…境界線
8…導電性接合材
9…電子部品
10…封止用ろう材
11…蓋体
12…電子部品収納用パッケージ
13…絶縁材
13a…上面
14…枠状メタライズ層
14a…側壁
14b…第3主面
14c…上面
15…電子部品収納用パッケージ
16…絶縁材
16a…上面
17…電子部品収納用パッケージ
18…絶縁材
18a…上面
19…電子部品収納用パッケージ
20…絶縁材
20a…上面
20b…端面
21…電子部品収納用パッケージ
22…追加メタライズ層
22a…端面