(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、樹脂
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20220708BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20220708BHJP
C08F 16/36 20060101ALI20220708BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/039 601
C08F16/36
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020527497
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2019024899
(87)【国際公開番号】W WO2020004306
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2018123195
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】後藤 研由
(72)【発明者】
【氏名】川島 敬史
(72)【発明者】
【氏名】八木 一成
(72)【発明者】
【氏名】浅川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暁
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0292490(US,A1)
【文献】特開2007-010748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
C08F 16/36
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化1】
式(1)中、Xは、-C(=O)-を表す。L
1は、式(A)で表される基、又は、式(B)で表される基を表す。L
2は、2価の連結基を表す。
式(A) *2-L
4-L
3―*1
式(B) *2-L
6=L
5-*1
式(A)中、L
3は、-C(R
1)(R
2)-、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-C(=N-R
3)-を表す。L
4は、単結合、又は、-C(R
4)(R
5)-を表す。
R
1~R
5は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R
1とR
2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R
4とR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。L
3が-C(R
1)(R
2)-であり、かつ、L
4が-C(R
4)(R
5)-である場合、R
1又はR
2と、R
4又はR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(B)中、L
5は、=C(R
6)-を表す。L
6は、-C(R
7)=を表す。R
6~R
7は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R
6とR
7とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL
2との結合位置を表す。
ただし、L
1
及びL
2
の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれる。
【請求項2】
式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化2】
式(1)中、Xは、-C(=O)-を表す。L
1は、式(A)で表される基、又は、式(B)で表される基を表す。L
2は、2価の連結基を表す。
式(A) *2-L
4-L
3―*1
式(B) *2-L
6=L
5-*1
式(A)中、L
3は、-C(R
1)(R
2)-、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-C(=N-R
3)-を表す。L
4は、単結合、又は、-C(R
4)(R
5)-を表す。
R
1~R
5は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R
1とR
2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R
4とR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。L
3が-C(R
1)(R
2)-であり、かつ、L
4が-C(R
4)(R
5)-である場合、R
1又はR
2と、R
4又はR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(B)中、L
5は、=C(R
6)-を表す。L
6は、-C(R
7)=を表す。R
6~R
7は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R
6とR
7とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL
2との結合位置を表す。
ただし、L
1
及びL
2
の少なくとも一方にハロゲン原子が含まれる。
【請求項3】
式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
【化3】
式(1)中、Xは、-C(=O)-を表す。L
1は、式(A)で表される基、又は、式(B)で表される基を表す。L
2は、2価の連結基を表す。
式(A) *2-L
4-L
3―*1
式(B) *2-L
6=L
5-*1
式(A)中、L
3は、-C(R
1)(R
2)-、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-C(=N-R
3)-を表す。L
4は、単結合、又は、-C(R
4)(R
5)-を表す。
R
1~R
5は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R
1とR
2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R
4とR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。L
3が-C(R
1)(R
2)-であり、かつ、L
4が-C(R
4)(R
5)-である場合、R
1又はR
2と、R
4又はR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(B)中、L
5は、=C(R
6)-を表す。L
6は、-C(R
7)=を表す。R
6~R
7は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R
6とR
7とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL
2との結合位置を表す。
ただし、XとL
1
とL
2
とを含む環の環員数が4又は6である。
【請求項4】
式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤と、を含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物
(ただし、(a)アルカリ可溶性基及び(b)アルカリの作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基から選ばれる少なくとも1種類の基を有し、かつ、酸の作用により分解する基を有さない樹脂を含む感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を除く)。
【化4】
式(1)中、Xは、-C(=O)-を表す。L
1は、式(A)で表される基、又は、式(B)で表される基を表す。L
2は、2価の連結基を表す。
式(A) *2-L
4-L
3―*1
式(B) *2-L
6=L
5-*1
式(A)中、L
3は、-C(R
1)(R
2)-、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-C(=N-R
3)-を表す。L
4は、単結合、又は、-C(R
4)(R
5)-を表す。
R
1~R
5は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R
1とR
2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R
4とR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。L
3が-C(R
1)(R
2)-であり、かつ、L
4が-C(R
4)(R
5)-である場合、R
1又はR
2と、R
4又はR
5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(B)中、L
5は、=C(R
6)-を表す。L
6は、-C(R
7)=を表す。R
6~R
7は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R
6とR
7とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL
2との結合位置を表す。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
現像液を用いて、前記露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit、集積回路)及びLSI(Large Scale Integrated circuit、大規模集積回路)等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。
リソグラフィーの方法としては、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成した後、得られた膜を露光して、その後、現像する方法が挙げられる。
特許文献1においては、式(1)で表される構造単位を有する重合体成分を含有するフォトレジスト組成物が開示されている。
【0003】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成においては、現像処理後の欠陥(現像欠陥)が少ないことが望ましい。なお、本明細書において、欠陥とは、現像処理を実施した際に、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて形成されるレジスト膜が除去される領域において、レジスト膜の溶け残りに由来する欠陥を意味する。特に、アルカリ現像液及び有機溶剤現像液(有機溶剤を含む現像液)のいずれを使用した場合も欠陥が少ないことが望ましい。
本発明者は特許文献1に記載される重合体成分を用いて、上記欠陥の評価を行ったところ、さらなる改良が必要であること知見した。
【0006】
本発明は、アルカリ現像及び有機溶剤現像のいずれの現像処理の際にも、欠陥の発生が少ない感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、樹脂を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、以下の構成により上記課題を解決できることができることを見出した。
【0008】
(1) 後述する式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、
光酸発生剤とを含む、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(2) 式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数が5又は6である、(1)に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(3) L1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれる、(1)又は(2)に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(4) L1及びL2の少なくとも一方にハロゲン原子が含まれる、(1)~(3)のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程と、
レジスト膜を露光する工程と、
現像液を用いて、露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
(6) (5)に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
(7) 後述する式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アルカリ現像及び有機溶剤現像のいずれの現像処理の際にも、欠陥の発生が少ない感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を提供できる。
また、本発明によれば、パターン形成方法、電子デバイスの製造方法、及び、樹脂を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態の一例を説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有していない基と共に置換基を有する基をも含む。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも含む。
本明細書における、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを含む総称であり、「アクリル及びメタクリルの少なくとも1種」を意味する。同様に「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー製HLC-8120GPC)によるGPC測定(溶剤:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー社製TSK gel Multipore HXL-M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
1Åは1×10-10mである。
【0011】
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「レジスト組成物」ともいう。)の特徴点の一つとしては、後述する式(1)で表される繰り返し単位を用いる点が挙げられる。樹脂が式(1)で表される繰り返し単位を有する場合、アルカリ現像液及び有機溶剤現像液に対して溶解性が向上し、結果として、アルカリ現像及び有機溶剤現像のいずれの場合でも欠陥の発生が抑制される。
また、上記レジスト組成物は、ラインウィズスラフネス(LWR)の点でも優れる。
【0012】
レジスト組成物は、後述する式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂と、光酸発生剤とを含む。
以下、レジスト組成物に含まれる各成分について詳述する。
【0013】
<式(1)で表される繰り返し単位、及び、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう。)>
樹脂(A)は、式(1)で表される繰り返し単位を有する。
【0014】
【0015】
式(1)中、Xは、-C(=O)-を表す。
L1は、式(A)で表される基、又は、式(B)で表される基を表す。なお、式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL2との結合位置を表す。
式(A) *2-L4-L3―*1
式(B) *2-L6=L5-*1
L1が式(A)で表される基である場合、式(1)で表される繰り返し単位は、以下式(1-A)で表される繰り返し単位を表し、L1が式(B)で表される基である場合、式(1)で表される繰り返し単位は、以下式(1-B)で表される繰り返し単位を表す。
【0016】
【0017】
式(A)中、L3は、-C(R1)(R2)-、-C(=O)-、-C(=S)-、又は、-C(=N-R3)-を表す。L4は、単結合、又は、-C(R4)(R5)-を表す。
R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R1~R5で表される置換基の種類は特に制限されず、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシル基;ホルミル基;スルホ基;アルキルスルホニル基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
なお、上記例示した基は、更に置換基が置換されていていてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基にハロゲン原子が置換したハロゲン化アルキル基であってもよい。
【0018】
R1~R2及びR4~R5で表される置換基としては、極性基を有する基、酸分解性基を有する基、アルキル基、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、又は、アルコキシカルボニル基が好ましい。これらの置換基は、更に置換基(例えば、ハロゲン原子)で置換されていてもよい。
極性基としては、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、カーボネート基、ケトン基、スルホンアミド基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基、又は、シアノ基が好ましく、フェノール性水酸基又はヘキサフルオロ-2-プロパノール基がより好ましい。
酸分解性基としては、後述する酸分解性基を有する繰り返し単位が有する酸分解性基として例示する基が挙げられる。
【0019】
R1とR2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
上記形成される環の種類は特に制限されず、ヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素環が挙げられる。言い換えれば、R1とR2とが互いに結合して形成される環としては、脂肪族炭化水素環又は脂肪族複素環が挙げられる。形成される環の環員数は、3~8が好ましく、4~6がより好ましい。上記ヘテロ原子(脂肪族複素環に含まれるヘテロ原子)としては、酸素原子、硫黄原子、及び、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子は、例えば、-O-、-S-、-CO-、及び、-NH-等の基として含まれていてもよい。
R1とR2とが互いに結合にして形成される環は、更に置換基を有していてもよい。置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。
【0020】
R4とR5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R4とR5とが互いに結合して形成される環の好適態様は、上記R1とR2とが互いに結合して形成される環の好適態様と同じである。
【0021】
L3が-C(R1)(R2)-であり、かつ、L4が-C(R4)(R5)-である場合、R1又はR2と、R4又はR5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R1又はR2と、R4又はR5とが、互いに結合して形成される環の好適態様と同じである。
【0022】
式(B)中、L5は、=C(R6)-を表す。L6は、-C(R7)=を表す。
R6~R7は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。
R6~R7で表される置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。
R6とR7とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。上記形成される環の種類は特に制限されず、ヘテロ原子を有していてもよい芳香族環(例えば、ベンゼン環)が挙げられる。言い換えれば、R6とR7とが互いに結合して形成される環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。形成される環の環員数は、3~8が好ましく、4~6がより好ましい。上記ヘテロ原子(芳香族複素環に含まれるヘテロ原子)としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子は、例えば、-O-、-S-、及び、-N=等の基として含まれていてもよい。
【0023】
上述したように、式(A)及び式(B)中、*1はXとの結合位置を表し、*2はL2との結合位置を表す。
【0024】
L2は、2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、-O-、-CO-、-COO-、-S-、-SO2-、-NR-(Rは、水素原子又はアルキル基を表す)、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基、アルケニレン基(例:-CH=CH-)、アルキニレン基(例:-C≡C-)、及びアリーレン基)、及び、これらを組み合わせた基が挙げられる。
置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。
2価の炭化水素基は複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基は互いに結合してヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成していてもよい。複数の置換基が互いに結合して形成される環の好適態様は、上記R1とR2とが互いに結合して形成される環の好適態様と同じである。
2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、-O-、又は、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と-O-とを組み合わせた基(例えば、オキシアルキレン基)が好ましい。置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。上記アルキレン基の炭素数は特に制限されず、1~5が好ましく、1~4がより好ましい。
【0025】
式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数は特に制限されず、4~7の場合が多く、欠陥の発生がより抑制される点、及び、LWRがより優れる点の少なくとも一方の効果が得られる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」ともいう。)で、5又は6が好ましい。
なお、上記XとL1とL2とを含む環とは、XとL2とがそれぞれ結合する主鎖部分の炭素原子、X、L1及びL2によって形成される環を意味する。
【0026】
中でも、本発明の効果がより優れる点で、L1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれることが好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、及び、硫黄原子等が挙げられる。例えば、L1が-C(=O)-の場合、L1中には酸素原子が含まれることになる。
また、EUV(Extreme Ultraviolet)用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として好適である点から、L1及びL2の少なくとも一方にハロゲン原子が含まれることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0027】
式(1)で表される繰り返し単位としては、本発明の効果がより優れる点で、式(10)~式(14)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0028】
【0029】
式(10)中、R1及びR2の定義は、上述した通りである。なお、上述したように、R1とR2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(11)中、R1~R2及びR4~R5の定義は、上述した通りである。なお、上述したように、R1とR2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。また、R4とR5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。また、R1又はR2と、R4又はR5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい
式(12)中、R4及びR5の定義は、上述した通りである。L7は、-C(R1)(R2)-又は-C(=O)-を表す。R1及びR2の定義は、上述した通りである。L8は、-C(R11)(R12)-又は-O-を表す。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R11~R12で表される置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。R11とR12とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。R11とR12とが互いに結合して形成される環の好適態様は、上記R1とR2とが互いに結合して形成される環の好適態様と同じである。R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換基を表す。R8~R9で表される置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。なお、上述したように、R1とR2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。また、R4とR5とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(13)中、R1及びR2の定義は、上述した通りである。なお、上述したように、R1とR2とは、互いに結合にして、ヘテロ原子を含んでいてもよい環を形成してもよい。
式(14)中、R10は、置換基を表す。R10で表される置換基としては、R1~R5で表される置換基の説明で例示した基が挙げられる。nは0~5の整数を表す。nが2以上の場合、R10は同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、5~80モル%が好ましく、10~70モル%がより好ましい。
【0031】
(酸分解性基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有する。
酸分解性基とは、酸の作用により分解し、極性基を生じる基をいう。酸分解性基は、酸の作用により脱離する脱離基で極性基が保護された構造を有することが好ましい。つまり、樹脂(A)は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基を有する繰り返し単位を有する。この繰り返し単位を有する樹脂は、酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解度が増大し、有機溶剤に対する溶解度が減少する。
極性基としては、アルカリ可溶性基が好ましく、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基、並びに、アルコール性水酸基等が挙げられる。
中でも、極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、又は、スルホン酸基が好ましい。
【0032】
酸の作用により脱離する脱離基としては、例えば、式(Y1)~(Y4)で表される基が挙げられる。
式(Y1):-C(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y2):-C(=O)OC(Rx1)(Rx2)(Rx3)
式(Y3):-C(R36)(R37)(OR38)
式(Y4):-C(Rn)(H)(Ar)
【0033】
式(Y1)及び式(Y2)中、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx1~Rx3の全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx1~Rx3のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
中でも、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表すことが好ましく、Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、直鎖状のアルキル基を表すことがより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、単環又は多環を形成してもよい。
Rx1~Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましく、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基がより好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(Y1)又は式(Y2)で表される基は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
【0034】
式(Y3)中、R36~R38は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R37とR38とは、互いに結合して環を形成してもよい。1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基が挙げられる。R36は水素原子であることも好ましい。
【0035】
式(Y3)としては、下記式(Y3-1)で表される基が好ましい。
【0036】
【0037】
ここで、L1及びL2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とアリール基とを組み合わせた基)を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキル基、ヘテロ原子を含んでいてもよいアリール基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基、アルデヒド基、又は、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
アルキル基及びシクロアルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
なお、L1及びL2のうち一方は水素原子であり、他方はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は、アルキレン基とアリール基とを組み合わせた基であることが好ましい。
Q、M、及び、L1の少なくとも2つが結合して環(好ましくは、5員若しくは6員環)を形成してもよい。
パターンの微細化の点では、L2が2級又は3級アルキル基であることが好ましく、3級アルキル基であることがより好ましい。2級アルキル基としては、イソプロピル基、シクロヘキシル基又はノルボルニル基が挙げられ、3級アルキル基としては、tert-ブチル基又はアダマンタン基が挙げられる。これらの態様では、Tg(ガラス転移温度)及び活性化エネルギーが高くなるため、膜強度の担保に加え、かぶりの抑制ができる。
【0038】
式(Y4)中、Arは、芳香環基を表す。Rnは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。RnとArとは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。Arはより好ましくはアリール基である。
【0039】
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(A)で表される繰り返し単位も好ましい。
【0040】
【0041】
L1は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表し、R1は水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表し、R2は酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。ただし、L1、R1、及び、R2のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はヨウ素原子を有する。
L1は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基を表す。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい2価の連結基としては、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO2-、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、アリーレン基等)、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。中でも、本発明の効果がより優れる点で、L1としては、-CO-、-アリーレン基-フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキレン基-が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキレン基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、2以上が好ましく、2~10がより好ましく、3~6が更に好ましい。
【0042】
R1は、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子が有していてもよいアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。アルキル基の炭素数は特に制限されないが、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
フッ素原子又はヨウ素原子を有するアルキル基に含まれるフッ素原子及びヨウ素原子の合計数は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、1以上が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。
上記アルキル基は、ハロゲン原子以外の酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0043】
R2は、酸の作用によって脱離し、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい脱離基を表す。
中でも、脱離基としては、式(Z1)~(Z4)で表される基が挙げられる。
式(Z1):-C(Rx11)(Rx12)(Rx13)
式(Z2):-C(=O)OC(Rx11)(Rx12)(Rx13)
式(Z3):-C(R136)(R137)(OR138)
式(Z4):-C(Rn1)(H)(Ar1)
【0044】
式(Z1)、(Z2)中、Rx11~Rx13は、それぞれ独立に、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。なお、Rx11~Rx13の全てがアルキル基(直鎖状若しくは分岐鎖状)である場合、Rx11~Rx13のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx11~Rx13は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい点以外は、上述した(Y1)、(Y2)中のRx1~Rx3と同じであり、アルキル基及びシクロアルキル基の定義及び好適範囲と同じである。
【0045】
式(Z3)中、R136~R138は、それぞれ独立に、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。R137とR138とは、互いに結合して環を形成してもよい。フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアリール基、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよいアラルキル基、及び、これらを組み合わせた基(例えば、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)が挙げられる。
なお、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基には、フッ素原子及びヨウ素原子以外に、酸素原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。つまり、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、例えば、メチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
【0046】
式(Z3)としては、下記式(Z3-1)で表される基が好ましい。
【0047】
【0048】
ここで、L11及びL12は、それぞれ独立に、水素原子;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアリール基;又は、これらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
M1は、単結合又は2価の連結基を表す。
Q1は、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよいシクロアルキル基;フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるアリール基;アミノ基;アンモニウム基;メルカプト基;シアノ基;アルデヒド基;又は、これらを組み合わせた基(例えば、フッ素原子、ヨウ素原子及び酸素原子からなる群から選択されるヘテロ原子を有していてもよい、アルキル基とシクロアルキル基とを組み合わせた基)を表す。
【0049】
式(Y4)中、Ar1は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい芳香環基を表す。Rn1は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基を表す。Rn1とAr1とは互いに結合して非芳香族環を形成してもよい。
【0050】
酸分解性基を有する繰り返し単位としては、式(AI)で表される繰り返し単位も好ましい。
【0051】
【0052】
式(AI)において、
Xa1は、水素原子、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Tは、単結合、又は、2価の連結基を表す。
Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)、又は、シクロアルキル基(単環、又は、多環)を表す。ただし、Rx1~Rx3の全てがアルキル基(直鎖状、又は、分岐鎖状)である場合、Rx1~Rx3のうち少なくとも2つはメチル基であることが好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
【0053】
Xa1により表される、置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基又は-CH2-R11で表される基が挙げられる。R11は、ハロゲン原子(フッ素原子等)、水酸基又は1価の有機基を表し、例えば、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアシル基、及び、ハロゲン原子が置換していてもよい炭素数5以下のアルコキシ基が挙げられ、炭素数3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xa1としては、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又は、ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0054】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、芳香環基、-COO-Rt-基、及び、-O-Rt-基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、又は、シクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は-COO-Rt-基が好ましい。Tが-COO-Rt-基を表す場合、Rtは、炭素数1~5のアルキレン基が好ましく、-CH2-基、-(CH2)2-基、又は、-(CH2)3-基がより好ましい。
【0055】
Rx1~Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及び、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、炭素数5~6の単環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1~Rx3の2つが結合して形成されるシクロアルキル基は、例えば、環を構成するメチレン基の1つが、酸素原子等のヘテロ原子、又は、カルボニル基等のヘテロ原子を有する基で置き換わっていてもよい。
式(AI)で表される繰り返し単位は、例えば、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
【0056】
上記各基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1~4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1~4)、カルボキシル基、及び、アルコキシカルボニル基(炭素数2~6)等が挙げられる。置換基中の炭素数は、8以下が好ましい。
【0057】
式(AI)で表される繰り返し単位としては、好ましくは、酸分解性(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル系繰り返し単位(Xa1が水素原子又はメチル基を表し、かつ、Tが単結合を表す繰り返し単位)である。
【0058】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、15~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましい。
【0059】
酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに制限されるものではない。なお、式中、Xa1はH、CH3、CF3、及び、CH2OHのいずれか、Rxa及びRxbはそれぞれ炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
樹脂(A)は、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。
例えば、樹脂(A)は、以下のA群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位、及び/又は、以下のB群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいてもよい。
A群:以下の(20)~(29)の繰り返し単位からなる群。
(20)後述する、酸基を有する繰り返し単位
(21)後述する、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位
(22)後述する、ラクトン基を有する繰り返し単位
(23)後述する、光酸発生基を有する繰り返し単位
(24)後述する、式(V-1)又は式(V-2)で表される繰り返し単位
(25)後述する、式(A)で表される繰り返し単位
(26)後述する、式(B)で表される繰り返し単位
(27)後述する、式(C)で表される繰り返し単位
(28)後述する、式(D)で表される繰り返し単位
(29)後述する、式(E)で表される繰り返し単位
B群:以下の(30)~(32)の繰り返し単位からなる群。
(30)後述する、ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位
(31)後述する、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位
(32)後述する、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、式(III)で表される繰り返し単位
【0065】
本発明のレジスト組成物がEUV用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として用いられる場合、樹脂(A)は上記A群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
また、レジスト組成物がEUV用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子を含むことが好ましい。樹脂(A)がフッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む場合、樹脂(A)は、フッ素原子及びヨウ素原子の両方を含む1つの繰り返し単位を有していてもよいし、樹脂(A)は、フッ素原子を有する繰り返し単位とヨウ素原子を含む繰り返し単位との2種を含んでいてもよい。
本発明のレジスト組成物がArF用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として用いられる場合、樹脂(A)は上記B群からなる群から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、レジスト組成物がArF用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として用いられる場合、樹脂(A)は、フッ素原子及び珪素原子のいずれも含まないことが好ましい。
また、レジスト組成物がArF用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物として用いられる場合、樹脂(A)は、芳香族基を有さないことが好ましい。
【0066】
(酸基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、酸基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
酸基としては、酸解離定数(pKa)が13以下の酸基が好ましい。酸解離定数(pKa)が13以下の酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、又はスルホンアミド基等が挙げられる。
【0067】
酸基を有する繰り返し単位は、フッ素原子又はヨウ素原子を有していていてもよい。
【0068】
酸基を有する繰り返し単位としては、式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0069】
【0070】
R3は、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基を表す。
フッ素原子又はヨウ素原子を有していてもよい1価の有機基としては、-L4-R8で表される基が好ましい。L4は、単結合、又は、エステル基を表す。R8は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又は、これらを組み合わせた基が挙げられる。
【0071】
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
【0072】
L2は、単結合、又は、エステル基を表す。
L3は、(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基、又は、(n+m+1)価の脂環式炭化水素環基を表す。芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、及び、ナフタレン環基が挙げられる。脂環式炭化水素環基としては、単環であっても、多環であってもよく、例えば、シクロアルキル環基が挙げられる。
R6は、水酸基、又は、フッ素化アルコール基(好ましくは、ヘキサフルオロイソプロパノール基)を表す。なお、R6が水酸基の場合、L3は(n+m+1)価の芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
R7は、ハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
mは、1以上の整数を表す。mは、1~3の整数が好ましく、1~2の整数が好ましい。
nは、0又は1以上の整数を表す。nは、1~4の整数が好ましい。
なお、(n+m+1)は、1~5の整数が好ましい。
【0073】
酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(I)で表される繰り返し単位も好ましい。
【0074】
【0075】
式(I)中、
R41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はAr4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
X4は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L4は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar4は、(n+1)価の芳香環基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
【0076】
式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が好ましく、炭素数8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数3以下のアルキル基が更に好ましい。
【0077】
式(I)におけるR41、R42、及び、R43のシクロアルキル基としては、単環型でも、多環型でもよい。中でも、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基等の炭素数3~8個で単環型のシクロアルキル基が好ましい。
式(I)におけるR41、R42、及び、R43のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
式(I)におけるR41、R42、及び、R43のアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R41、R42、R43におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0078】
上記各基における好ましい置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、ニトロ基が挙げられる。置換基の炭素数は8以下が好ましい。
【0079】
Ar4は、(n+1)価の芳香環基を表す。nが1である場合における2価の芳香環基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、及び、アントラセニレン基等の炭素数6~18のアリーレン基、又は、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、及び、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環基が好ましい。
【0080】
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n-1)個の任意の水素原子を除してなる基が挙げられる。
(n+1)価の芳香環基は、更に置換基を有していてもよい。
【0081】
上述したアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルキレン基、及び、(n+1)価の芳香環基が有し得る置換基としては、例えば、式(I)におけるR41、R42、及び、R43で挙げたアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、及び、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基等のアリール基;等が挙げられる。
X4により表される-CONR64-(R64は、水素原子又はアルキル基を表す)におけるR64のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、及び、ドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基が挙げられ、炭素数8以下のアルキル基が好ましい。
X4としては、単結合、-COO-、又は、-CONH-が好ましく、単結合、又は、-COO-がより好ましい。
【0082】
L4におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、及び、オクチレン基等の炭素数1~8のアルキレン基が好ましい。
Ar4としては、炭素数6~18の芳香環基が好ましく、ベンゼン環基、ナフタレン環基、及び、ビフェニレン環基がより好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレン構造を備えていることが好ましい。即ち、Ar4は、ベンゼン環基であることが好ましい。
【0083】
式(I)で表される繰り返し単位としては、下記式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0084】
【0085】
式(1)中、
Aは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表す。
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、複数個ある場合には同じであっても異なっていてもよい。複数のRを有する場合には、互いに共同して環を形成していてもよい。Rとしては水素原子が好ましい。
aは1~3の整数を表す。
bは0~(5-a)の整数を表す。
【0086】
以下、式(I)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに制限されるものではない。式中、aは1又は2を表す。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
なお、上記繰り返し単位の中でも、以下に具体的に記載する繰り返し単位が好ましい。式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは2又は3を表す。
【0091】
【0092】
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、10~70モル%が好ましく、15~65モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
【0093】
(フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、上述した(式(1)で表される繰り返し単位)、(酸分解性基を有する繰り返し単位)及び(酸基を有する繰り返し単位)とは別に、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位(以下、単に「特定繰り返し単位」ともいう。)を有していてもよい。
【0094】
特定繰り返し単位としては、式(C)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0095】
【0096】
L5は、単結合、又は、エステル基を表す。
R9は、水素原子、又は、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。
R10は、水素原子、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいシクロアルキル基、フッ素原子若しくはヨウ素原子を有していてもよいアリール基、又は、これらを組み合わせた基を表す。
【0097】
特定繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0~50モル%が好ましく、5~45モル%がより好ましく、10~40モル%が更に好ましい。
なお、上述したように、特定繰り返し単位には、(式(1)で表される繰り返し単位)、(酸分解性基を有する繰り返し単位)及び(酸基を有する繰り返し単位)は含まれないことから、上記特定繰り返し単位の含有量も、(式(1)で表される繰り返し単位)、(酸分解性基を有する繰り返し単位)及び(酸基を有する繰り返し単位)を除いたフッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位の含有量を意図する。
【0098】
上述したように、式(1)で表される繰り返し単位はフッ素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよく、酸分解性基を有する繰り返し単位はフッ素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよく、酸基を有する繰り返し単位もフッ素原子又はヨウ素原子を含んでいてもよい。
樹脂(A)の繰り返し単位のうち、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位の合計含有量は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、20~100モル%が好ましく、30~100モル%がより好ましく、40~100モル%が更に好ましい。
なお、フッ素原子及びヨウ素原子の少なくとも一方を含む繰り返し単位としては、例えば、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、かつ、式(1)で表される繰り返し単位、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、かつ、酸分解性基を有する繰り返し単位、フッ素原子又はヨウ素原子を有し、かつ、酸基を有する繰り返し単位、及び、フッ素原子又はヨウ素原子を有する繰り返し単位が挙げられる。
【0099】
(ラクトン基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、更にラクトン基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
ラクトン基としては、ラクトン構造を有していればいずれの基でも用いることができるが、5~7員環ラクトン構造を有する基が好ましく、5~7員環ラクトン構造にビシクロ構造、又は、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものがより好ましい。樹脂(A)は、下記式(LC1-1)~(LC1-17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することが更に好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。ラクトン構造としては、式(LC1-1)、式(LC1-4)、式(LC1-5)、式(LC1-6)、式(LC1-13)、又は、式(LC1-14)で表されるラクトン構造が好ましい。
【0100】
【0101】
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1~8のアルキル基、炭素数4~7のシクロアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び、酸分解性基等が挙げられる。n2は、0~4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在するRb2は、異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
【0102】
式(LC1-1)~(LC1-17)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記式(AI)で表される繰り返し単位等が挙げられる。
【0103】
【0104】
式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1~4のアルキル基を表す。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、及び、ハロゲン原子が挙げられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。Rb0は、水素原子又はメチル基が好ましい。
Abは、単結合、アルキレン基、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又は、これらを組み合わせた2価の基を表す。中でも、単結合、又は、-Ab1-CO2-で表される連結基が好ましい。Ab1は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基、又は、ノルボルニレン基が好ましい。
Vは、式(LC1-1)~(LC1-17)のうちのいずれかで示されるラクトン構造を有する基を表す。
【0105】
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0106】
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されない。
【0107】
【0108】
ラクトン基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、1~30モル%が好ましく、5~25モル%がより好ましく、5~20モル%が更に好ましい。
【0109】
(光酸発生基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、上記以外の繰り返し単位として、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(以下「光酸発生基」とも言う)を有する繰り返し単位を有していてもよい。
この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が、後述する活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(「光酸発生剤」とも言う)にあたると考えることができる。
このような繰り返し単位としては、例えば、下記式(4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0110】
【0111】
R41は、水素原子又はメチル基を表す。L41は、単結合、又は、2価の連結基を表す。L42は、2価の連結基を表す。R40は、活性光線又は放射線の照射により分解して側鎖に酸を発生させる構造部位を表す。
【0112】
以下に、式(4)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0113】
【0114】
そのほか、式(4)で表される繰り返し単位としては、例えば、特開2014-041327号公報の段落[0094]~[0105]に記載された繰り返し単位が挙げられる。
【0115】
光酸発生基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、1~40モル%が好ましく、5~35モル%がより好ましく、5~30モル%が更に好ましい。
【0116】
(式(V-1)又は下記式(V-2)で表される繰り返し単位)
樹脂(A)は、下記式(V-1)、又は、下記式(V-2)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
【0117】
【0118】
式中、
R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR又は-COOR:Rは炭素数1~6のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が好ましい。
n3は、0~6の整数を表す。
n4は、0~4の整数を表す。
X4は、メチレン基、酸素原子、又は、硫黄原子である。
式(V-1)又は(V-2)で表される繰り返し単位の具体例を下記に示すが、これらに制限されない。
【0119】
【0120】
樹脂(A)は、発生酸の過剰な拡散又は現像時のパターン崩壊を抑制できる点から、ガラス転移温度(Tg)が高い方が好ましい。Tgは、90℃より大きいことが好ましく、100℃より大きいことがより好ましく、110℃より大きいことが更に好ましく、125℃より大きいことが特に好ましい。なお、過度な高Tg化は現像液への溶解速度低下を招くため、Tgは400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。
なお、本明細書において、樹脂(A)等のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、以下の方法で算出する。まず、ポリマー中に含まれる各繰り返し単位のみからなるホモポリマーのTgを、Bicerano法によりそれぞれ算出する。以後、算出されたTgを、「繰り返し単位のTg」という。次に、ポリマー中の全繰り返し単位に対する、各繰り返し単位の質量割合(%)を算出する。次に、Foxの式(Materials Letters 62(2008)3152等に記載)を用いて各質量割合におけるTgを算出して、それらを総和して、ポリマーのTg(℃)とする。
Bicerano法はPrediction of polymer properties, Marcel Dekker Inc, New York(1993)等に記載されている。またBicerano法によるTgの算出は、ポリマーの物性概算ソフトウェアMDL Polymer(MDL Information Systems, Inc.)を用いて行うことができる。
【0121】
樹脂(A)のTgを90℃より大きくするには、樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させることが好ましい。樹脂(A)の主鎖の運動性を低下させる方法としては、以下の(a)~(e)の方法が挙げられる。
(a)主鎖への嵩高い置換基の導入
(b)主鎖への複数の置換基の導入
(c)主鎖近傍への樹脂(A)間の相互作用を誘発する置換基の導入
(d)環状構造での主鎖形成
(e)主鎖への環状構造の連結
なお、樹脂(A)は、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位を有することが好ましい。
なお、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位の種類は特に制限されず、Bicerano法により算出されるホモポリマーのTgが130℃以上である繰り返し単位であればよい。なお、後述する式(A)~式(E)で表される繰り返し単位中の官能基の種類によっては、ホモポリマーのTgが130℃以上を示す繰り返し単位に該当する。
【0122】
(式(A)で表される繰り返し単位)
上記(a)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(A)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
【0123】
【0124】
式(A)、RAは、多環構造を有する基を表す。Rxは、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。多環構造を有する基とは、複数の環構造を有する基であり、複数の環構造は縮合していても、縮合していなくてもよい。
式(A)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0125】
【0126】
【0127】
上記式中、Rは、水素原子、メチル基、又は、エチル基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Raで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
また、R’及びR’’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’’又は-COOR’’’:R’’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’及びR’’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、―COO-、-CO-、-O-、-S―、-SO-、-SO2-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられる。
m及びnは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。m及びnの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
【0128】
(式(B)で表される繰り返し単位)
上記(b)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(B)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
【0129】
【0130】
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rb1~Rb4のうち少なくとも2つ以上が有機基を表す。
また、有機基の少なくとも1つが、繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基である場合、他の有機基の種類は特に制限されない。
また、有機基のいずれも繰り返し単位中の主鎖に直接環構造が連結している基ではない場合、有機基の少なくとも2つ以上は、水素原子を除く構成原子の数が3つ以上である置換基である。
【0131】
式(B)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0132】
【0133】
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基、等の有機基が挙げられる。
R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
【0134】
(式(C)で表される繰り返し単位)
上記(c)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(C)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
【0135】
【0136】
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表し、Rc1~Rc4のうち少なくとも1つが、主鎖炭素から原子数3以内に水素結合性の水素原子を有する基である。中でも、樹脂(A)の主鎖間の相互作用を誘発するうえで、原子数2以内(より主鎖近傍側)に水素結合性の水素原子を有することが好ましい。
【0137】
式(C)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0138】
【0139】
上記式中、Rは有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、及び、エステル基(-OCOR又は-COOR:Rは炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)等が挙げられる。
R’は、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基、等の有機基が挙げられる。なお、有機基中の水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
【0140】
(式(D)で表される繰り返し単位)
上記(d)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(D)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
【0141】
【0142】
式(D)中、「cylic」は、環状構造で主鎖を形成している基を表す。環の構成原子数は特に制限されない。
【0143】
式(D)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0144】
【0145】
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
上記式中、R’は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
【0146】
(式(E)で表される繰り返し単位)
上記(e)の具体的な達成手段の一例としては、樹脂(A)に式(E)で表される繰り返し単位を導入する方法が挙げられる。
【0147】
【0148】
式(E)中、Reは、それぞれ独立に、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、置換機を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基等が挙げられる。
「cylic」は、主鎖の炭素原子を含む環状基である。環状基に含まれる原子数は特に制限されない。
【0149】
式(E)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0150】
【0151】
上記式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、Rで表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、及び、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基(-OCOR’’又は-COOR’’:R’’は炭素数1~20のアルキル基又はフッ素化アルキル基)、又は、カルボキシル基を表す。なお、上記アルキル基、上記シクロアルキル基、上記アリール基、上記アラルキル基、及び、上記アルケニル基は、それぞれ、置換機を有してもよい。また、R’で表される基中の炭素原子に結合している水素原子は、フッ素原子又はヨウ素原子で置換されていてもよい。
mは0以上の整数を表す。mの上限は特に制限されないが、2以下の場合が多く、1以下の場合がより多い。
また、式(E-2)、式(E-4)、式(E-6)、及び、式(E-8)中、2つRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0152】
(ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位)
樹脂(A)は、ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)が有するラクトン基を有する繰り返し単位としては、上述した(ラクトン基を有する繰り返し単位)で説明した繰り返し単位が挙げられる。
【0153】
樹脂(A)は、水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位を有していてもよい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、水酸基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位としては、下記式(AIIa)~(AIId)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0154】
【0155】
式(AIIa)~(AIId)において、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
R2c~R4cは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。ただし、R2c~R4cのうちの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c~R4cの内の1つ又は2つが水酸基で、残りが水素原子である。より好ましくは、R2c~R4cの内の2つが水酸基で、残りが水素原子である。
【0156】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましく、10~25モル%が更に好ましい。
【0157】
水酸基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されない。
【0158】
【0159】
樹脂(A)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有していてもよい。
アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基)が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。樹脂(A)がアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含むことにより、コンタクトホール用途での解像性が増す。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、又は、連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位が挙げられる。なお、連結基は、単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸又はメタクリル酸による繰り返し単位が好ましい。
【0160】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、0~20モル%が好ましく、3~15モル%がより好ましく、5~10モル%が更に好ましい。
【0161】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに制限されるものではない。具体例中、RxはH、CH3、CH2OH又はCF3を表す。
【0162】
【0163】
ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも1種類の基を有する繰り返し単位として、ラクトン基、水酸基、シアノ基及びアルカリ可溶性基から選ばれる少なくとも2つを有する繰り返し単位が好ましく、シアノ基とラクトン基を有する繰り返し単位がより好ましく、式(LC1-4)で表されるラクトン構造にシアノ基が置換した構造を有する繰り返し単位が更に好ましい。
【0164】
(脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位)
樹脂(A)は、脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、又は、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位等が挙げられる。
【0165】
(水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、式(III)で表される繰り返し単位)
樹脂(A)は、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、式(III)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
【0166】
【0167】
式(III)中、R5は少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は-CH2-O-Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
【0168】
R5が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3~12(より好ましくは炭素数3~7)のシクロアルキル基、又は、炭素数3~12のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0169】
多環式炭化水素基としては、環集合炭化水素基及び架橋環式炭化水素基が挙げられる。架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、及び、4環式炭化水素環等が挙げられる。また、架橋環式炭化水素環としては、5~8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
架橋環式炭化水素基として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、又は、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基が好ましく、ノルボニル基又はアダマンチル基がより好ましい。
【0170】
脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、及び、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、又は、フッ素原子が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、又は、t-ブチル基が好ましい。上記アルキル基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、又は、保護基で保護されたアミノ基が挙げられる。
【0171】
保護基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、及び、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
置換メチル基としては、メトキシメチル基、メトキシチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t-ブトキシメチル基、又は、2-メトキシエトキシメチル基が好ましい。
置換エチル基としては、1-エトキシエチル基、又は、1-メチル-1-メトキシエチル基が好ましい。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、及び、ピバロイル基等の炭素数1~6の脂肪族アシル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0172】
水酸基及びシアノ基のいずれも有さない、式(III)で表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0~40モル%が好ましく、0~20モル%がより好ましい。
式(III)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されない。式中、Raは、H、CH3、CH2OH、又はCF3を表す。
【0173】
【0174】
樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、解像力、耐熱性、及び、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有していてもよい。
【0175】
樹脂(A)としては、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されることが好ましい。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができ、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以下であることが好ましい。
【0176】
樹脂(A)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成できる。
GPC法によりポリスチレン換算値として、樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000~200,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましく、5,000~15,000が更に好ましい。樹脂(A)の重量平均分子量を、1,000~200,000とすることにより、耐熱性及びドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、更に、現像性の劣化、及び、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
樹脂(A)の分散度(分子量分布)は、通常1~5であり、1~3が好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.2~2.0が更に好ましい。分散度が小さいものほど、解像度、及び、レジスト形状が優れ、更に、レジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0177】
レジスト組成物において、樹脂(A)の含有量は、組成物の全固形分に対して、50~99.9質量%が好ましく、60~99.0質量%がより好ましい。
また、樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0178】
<(B)光酸発生剤>
レジスト組成物は、光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量が3000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
本発明において、光酸発生剤が、低分子化合物の形態であることが好ましい。
光酸発生剤としては、公知のものであれば特に制限されないが、EUV光の照射により、有機酸を発生する化合物が好ましく、分子中にフッ素原子又はヨウ素原子を有する光酸発生剤がより好ましい。
上記有機酸として、例えば、スルホン酸(脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸、及び、カンファースルホン酸等)、カルボン酸(脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、及び、アラルキルカルボン酸等)、カルボニルスルホニルイミド酸、ビス(アルキルスルホニル)イミド酸、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチド酸が挙げられる。
【0179】
光酸発生剤より発生する酸の体積は特に制限されないが、露光で発生した酸の非露光部への拡散を抑制し、解像性を良好にする点から、240Å3以上が好ましく、305Å3以上がより好ましく、350Å3以上が更に好ましく、400Å3以上が特に好ましい。なお、感度又は塗布溶剤への溶解性の点から、光酸発生剤より発生する酸の体積は、1500Å3以下が好ましく、1000Å3以下がより好ましく、700Å3以下が更に好ましい。
上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求める。上記体積の値の計算にあたっては、まず、各例に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM(Molecular Mechanics)3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM(Parameterized Model number)3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算できる。
【0180】
光酸発生剤より発生する酸の構造は特に制限されないが、酸の拡散を抑制し、解像性を良好にする点で、光酸発生剤より発生する酸と樹脂(A)との間の相互作用が強いことが好ましい。この点から、光酸発生剤より発生する酸が有機酸である場合、発生する酸は、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、カルボニルスルホニルイミド酸基、ビススルホニルイミド酸基、及び、トリススルホニルメチド酸基等の有機酸基以外に、更に極性基を有することが好ましい。
極性基としては、例えば、エーテル基、エステル基、アミド基、アシル基、スルホ基、スルホニルオキシ基、スルホンアミド基、チオエーテル基、チオエステル基、ウレア基、カーボネート基、カーバメート基、ヒドロキシル基、及び、メルカプト基が挙げられる。
発生する酸が有する極性基の数は特に制限されず、1個以上であることが好ましく、2個以上であることがより好ましい。ただし、過剰な現像を抑制する点から、極性基の数は、6個未満であることが好ましく、4個未満であることがより好ましい。
【0181】
光酸発生剤としては、以下に例示する酸を発生する光酸発生剤が好ましい。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å3)。
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
中でも、本発明の効果がより優れる点で、光酸発生剤は、アニオン部及びカチオン部からなる光酸発生剤であることが好ましい。
より具体的には、光酸発生剤は、下記式(ZI)で表される化合物、又は、式(ZII)で表される化合物が好ましい。
【0186】
【0187】
上記式(ZI)において、
R201、R202及びR203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、又は、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、又は、ペンチレン基等)が挙げられる。
Z-は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
【0188】
非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、及び、カンファースルホン酸アニオン等)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、及び、アラルキルカルボン酸アニオン等)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが挙げられる。
【0189】
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、炭素数1~30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、炭素数3~30のシクロアルキル基が好ましい。
【0190】
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香環基としては、炭素数6~14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、及び、ナフチル基が挙げられる。
【0191】
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基、及び、アリール基が有することができる置換基の具体例としては、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数1~15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6~20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7~20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10~20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5~20)、及び、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8~20)が挙げられる。
【0192】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、炭素数7~12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及び、ナフチルブチル基が挙げられる。
【0193】
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンが挙げられる。
【0194】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及び、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、及び、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基が挙げられ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
また、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオンにおけるアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。これにより、酸強度が増加する。
【0195】
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、フッ素化燐(例えば、PF6
-)、フッ素化ホウ素(例えば、BF4
-)、及び、フッ素化アンチモン(例えば、SbF6
-)が挙げられる。
【0196】
非求核性アニオンとしては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子若しくはフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、又は、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。中でも、パーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(好ましくは炭素数4~8)、又は、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオンがより好ましく、ノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、又は、3,5-ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンが更に好ましい。
【0197】
なお、発生酸のpKaが-1以下であることが、感度向上のために好ましい。
【0198】
また、非求核性アニオンとしては、以下の式(AN1)で表されるアニオンも好ましい。
【0199】
【0200】
式中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、アルキル基を表し、複数存在する場合のR1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Aは、環状の有機基を表す。
xは1~20の整数を表し、yは0~10の整数を表し、zは0~10の整数を表す。
【0201】
式(AN1)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロアルキル基が好ましい。
Xfとしては、フッ素原子又は炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ましい。Xfの具体的としては、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9、及び、CH2CH2C4F9等が挙げられ、中でも、フッ素原子、又は、CF3が好ましい。特に、双方のXfがフッ素原子であることが好ましい。
【0202】
R1及びR2のアルキル基は、置換基(好ましくはフッ素原子)を有していてもよく、置換基中の炭素数は1~4が好ましい。置換基としては、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ましい。R1及びR2の置換基を有するアルキル基の具体例としては、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9、及び、CH2CH2C4F9等が挙げられ、中でも、CF3が好ましい。
R1及びR2としては、フッ素原子又はCF3が好ましい。
【0203】
xは1~10の整数が好ましく、1~5がより好ましい。
yは0~4の整数が好ましく、0がより好ましい。
zは0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましい。
Lの2価の連結基としては特に制限されず、―COO-、-CO-、-O-、-S―、-SO-、-SO2-、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、及び、これらの複数が連結した連結基等が挙げられ、総炭素数12以下の連結基が好ましい。中でも、―COO-、-OCO-、-CO-、又は、-O-が好ましく、―COO-、又は、-OCO-がより好ましい。
【0204】
Aの環状の有機基としては、環状構造を有するものであれば特に制限されず、脂環基、芳香環基、及び、複素環基(芳香族性を有するものだけでなく、芳香族性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましく、その他にも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、露光後加熱工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(Mask Error Enhancement Factor)向上の点から好ましい。
芳香環基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環、及び、アントラセン環等が挙げられる。
複素環基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、及び、ピリジン環等由来の基が挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、及び、ピリジン環由来の基が好ましい。
【0205】
また、環状の有機基としては、ラクトン構造を有する基も挙げられ、具体例としては、前述の式(LC1-1)~(LC1-17)で表されるラクトン構造を有する基が挙げられる。
【0206】
上記環状の有機基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、アルキル基(直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであってもよく、炭素数1~12が好ましい)、シクロアルキル基(単環、及び、多環のいずれであってもよく、多環である場合スピロ環であってもよい。炭素数は3~20が好ましい)、アリール基(炭素数6~14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、及び、スルホン酸エステル基等が挙げられる。なお、環状の有機基を構成する炭素(環形成に寄与する炭素)はカルボニル炭素であってもよい。
【0207】
R201、R202及びR203の有機基としては、アリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基等が挙げられる。
R201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、3つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、及び、ナフチル基等の他に、インドール残基、及び、ピロール残基等のヘテロアリール基も挙げられる。
R201~R203のアルキル基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、又は、n-ブチル基がより好ましい。
R201~R203のシクロアルキル基としては、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又は、シクロへプチル基がより好ましい。
これらの基が有してもよい置換基としては、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、
カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~15)、アリール基(好ましくは炭素数6~14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~7)、アシル基(好ましくは炭素数2~12)、及び、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~7)等が挙げられる。
【0208】
式(ZII)中、
R204~R205は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基、又は、シクロアルキル基を表す。
【0209】
R204~R205のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基としては、前述の式(ZI)におけるR201~R203のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基として説明した基と同様である。
R204~R205のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201~R203のアリール基、アルキル基、及び、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
【0210】
Z-は、非求核性アニオンを表し、式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものが挙げられる。
【0211】
光酸発生剤としては、特開2014-041328号公報の段落[0368]~[0377]、及び、特開2013-228681号公報の段落[0240]~[0262](対応する米国特許出願公開第2015/004533号明細書の段落[0339])が援用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、好ましい具体例として以下の化合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
レジスト組成物中の光酸発生剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、10~35質量%が更に好ましい。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。光酸発生剤を2種以上併用する場合は、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0216】
<(C)溶剤>
レジスト組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
レジスト組成物がEUV用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物である場合、溶剤は、(M1)プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、並びに、(M2)プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸エステル、酢酸エステル、アルコキシプロピオン酸エステル、鎖状ケトン、環状ケトン、ラクトン、及び、アルキレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。なお、この溶剤は、成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含んでいてもよい。
【0217】
本発明者らは、このような溶剤と上述した樹脂(A)とを組み合わせて用いると、組成物の塗布性が向上すると共に、現像欠陥数の少ないパターンが形成可能となることを見出している。その理由は必ずしも明らかではないが、これら溶剤は、上述した樹脂(A)の溶解性、沸点及び粘度のバランスが良いため、組成物膜の膜厚のムラ及びスピンコート中の析出物の発生等を抑制できることに起因していると本発明者らは考えている。
【0218】
成分(M1)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:propylene glycol monomethylether acetate)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、及び、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群より選択される少なくとも1つが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)がより好ましい。
【0219】
成分(M2)としては、以下のものが好ましい。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:propylene glycol monomethylether)、及び、プロピレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
乳酸エステルとしては、乳酸エチル、乳酸ブチル、又は、乳酸プロピルが好ましい。
酢酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸イソアミル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、又は、酢酸3-メトキシブチルが好ましい。
また、酪酸ブチルも好ましい。
アルコキシプロピオン酸エステルとしては、3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP:methyl 3-Methoxypropionate)、又は、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP:ethyl 3-ethoxypropionate)が好ましい。
鎖状ケトンとしては、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、又は、メチルアミルケトンが好ましい。
環状ケトンとしては、メチルシクロヘキサノン、イソホロン、又は、シクロヘキサノンが好ましい。
ラクトンとしては、γ-ブチロラクトンが好ましい。
アルキレンカーボネートとしては、プロピレンカーボネートが好ましい。
【0220】
成分(M2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、γ-ブチロラクトン、又は、プロピレンカーボネートがより好ましい。
【0221】
上記成分の他、炭素数が7以上(7~14が好ましく、7~12がより好ましく、7~10が更に好ましい)、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
【0222】
炭素数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤としては、酢酸アミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ヘプチル、又は、ブタン酸ブチルが好ましく、酢酸イソアミルがより好ましい。
【0223】
成分(M2)としては、引火点(以下、fpともいう)が37℃以上であるものが好ましい。このような成分(M2)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(fp:47℃)、乳酸エチル(fp:53℃)、3-エトキシプロピオン酸エチル(fp:49℃)、メチルアミルケトン(fp:42℃)、シクロヘキサノン(fp:44℃)、酢酸ペンチル(fp:45℃)、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(fp:45℃)、γ-ブチロラクトン(fp:101℃)、又は、プロピレンカーボネート(fp:132℃)が好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、酢酸ペンチル、又は、シクロヘキサノンがより好ましく、プロピレングリコールモノエチルエーテル、又は、乳酸エチルが更に好ましい。
なお、ここで「引火点」とは、東京化成工業株式会社又はシグマアルドリッチ社の試薬カタログに記載されている値を意味している。
【0224】
溶剤は、成分(M1)を含んでいることが好ましい。溶剤は、実質的に成分(M1)のみからなるか、又は、成分(M1)と他の成分との混合溶剤であることがより好ましい。後者の場合、溶剤は、成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでいることが更に好ましい。
【0225】
成分(M1)と成分(M2)との質量比(M1/M2)は、「100/0」~「15/85」の範囲内にあることが好ましく、「100/0」~「40/60」の範囲内にあることがより好ましく、「100/0」~「60/40」の範囲内にあることが更に好ましい。つまり、溶剤は、成分(M1)のみからなるか、又は、成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでおり、かつ、それらの質量比が以下の通りであることが好ましい。即ち、後者の場合、成分(M2)に対する成分(M1)の質量比は、15/85以上であることが好ましく、40/60以上であることよりが好ましく、60/40以上であることが更に好ましい。このような構成を採用すると、現像欠陥数を更に減少させることが可能となる。
【0226】
なお、溶剤が成分(M1)と成分(M2)との双方を含んでいる場合、成分(M2)に対する成分(M1)の質量比は、例えば、99/1以下とする。
【0227】
上述した通り、溶剤は、成分(M1)及び(M2)以外の成分を更に含んでいてもよい。この場合、成分(M1)及び(M2)以外の成分の含有量は、溶剤の全量に対して、5~30質量%の範囲内にあることが好ましい。
【0228】
また、レジスト組成物がArF用の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物である場合、溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を含有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
【0229】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又は、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、又は、エチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0230】
乳酸アルキルエステルとしては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが好ましい。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、又は、3-メトキシプロピオン酸エチルが好ましい。
【0231】
環状ラクトンとしては、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、β-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-オクタノイックラクトン、又は、α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトンが好ましい。
【0232】
環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、2-ブタノン、3-メチルブタノン、ピナコロン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、4,4-ジメチル-2-ペンタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、5-メチル-3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、3-ノナノン、5-ノナノン、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、5-ヘキセン-2-オン、3-ペンテン-2-オン、シクロペンタノン、2-メチルシクロペンタノン、3-メチルシクロペンタノン、2,2-ジメチルシクロペンタノン、2,4,4-トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、4-エチルシクロヘキサノン、2,2-ジメチルシクロヘキサノン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6-トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2-メチルシクロヘプタノン、又は、3-メチルシクロヘプタノンが好ましい。
【0233】
アルキレンカーボネートとしては、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、又は、ブチレンカーボネートが好ましい。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、酢酸-3-メトキシ-3-メチルブチル、又は、酢酸-1-メトキシ-2-プロピルが好ましい。
ピルビン酸アルキルとしては、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、又は、ピルビン酸プロピルが好ましい。
溶剤としては、常温常圧下で、沸点130℃以上の溶剤が好ましい。具体的には、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸-2-エトキシエチル、酢酸-2-(2-エトキシエトキシ)エチル、及び、プロピレンカーボネートが挙げられる。
本発明においては、上記溶剤を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0234】
溶剤としては、有機溶剤として構造中に水酸基を有する溶剤と、水酸基を有さない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を有する溶剤及び水酸基を有さない溶剤としては、前述の例示化合物が適宜選択可能であるが、水酸基を有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は、乳酸アルキルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又は、乳酸エチルがより好ましい。
また、水酸基を有さない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含んでいてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は、酢酸アルキルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、又は、酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、又は、2-ヘプタノンが更に好ましい。
水酸基を有する溶剤と水酸基を有さない溶剤との混合比(質量)は、1/99~99/1が好ましく、10/90~90/10がより好ましく、20/80~60/40が更に好ましい。
水酸基を有さない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が、塗布均一性の点で特に好ましい。
【0235】
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む2種類以上の混合溶剤が好ましい。
【0236】
レジスト組成物中の溶剤の含有量は、固形分濃度が0.5~30質量%となるように定めることが好ましく、1~20質量%となるように定めることがより好ましい。こうすると、レジスト組成物の塗布性がより優れる。
【0237】
<(D)酸拡散制御剤>
レジスト組成物は、酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。酸拡散制御剤としては、例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、及び、カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)が挙げられる。レジスト組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用できる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]~[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]~[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]~[0423]、及び、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]~[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤として好適に使用できる。
【0238】
塩基性化合物(DA)としては、下記式(A)~(E)で示される構造を有する化合物が好ましい。
【0239】
【0240】
式(A)及び(E)中、
R200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20)、又は、アリール基(炭素数6~20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
R203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基を表す。
【0241】
式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数1~20のヒドロキシアルキル基、又は、炭素数1~20のシアノアルキル基が好ましい。
式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
【0242】
塩基性化合物(DA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又は、ピペリジンが好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体がより好ましい。
【0243】
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又は、プロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
【0244】
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基、又は、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
【0245】
【0246】
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル構造、アザクラウンエーテル構造、1~3級アミン構造、ピリジン構造、イミダゾール構造、及び、ピラジン構造が挙げられる。
【0247】
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認できる。
【0248】
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<-1を満たすことが好ましく、-13<pKa<-1を満たすことがより好ましく、-13<pKa<-3を満たすことが更に好ましい。
【0249】
なお、酸解離定数pKaとは、上述した方法により求めることができる。
【0250】
本発明の組成物では、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)を酸拡散制御剤として使用できる。
光酸発生剤と、光酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により光酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散を制御できる。
【0251】
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記式(d1-1)~(d1-3)で表される化合物が好ましい。
【0252】
【0253】
式中、R51は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、Z2cは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基(ただし、Sに隣接する炭素にはフッ素原子は置換されていないものとする)であり、R52は有機基であり、Y3は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基又はアリーレン基であり、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基であり、M+はそれぞれ独立に、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである。
【0254】
M+として表されるスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンの好ましい例としては、上述した、式(ZI)で例示したスルホニウムカチオン及び式(ZII)で例示したヨードニウムカチオンが挙げられる。
【0255】
光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記式(C-1)~(C-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
【0256】
【0257】
式(C-1)~(C-3)中、
R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に炭素数1以上の置換基を表す。
L1は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
-X-は、-COO-、-SO3
-、-SO2
-、及び-N--R4から選択されるアニオン部位を表す。R4は、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(-C(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、及びスルフィニル基(-S(=O)-)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
R1、R2、R3、R4、及びL1は、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、式(C-3)において、R1~R3のうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
【0258】
R1~R3における炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及び、アリールアミノカルボニル基が挙げられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基が好ましい。
【0259】
2価の連結基としてのL1は、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及び、これらの2種以上を組み合わせてなる基が挙げられる。L1は、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
【0260】
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又は、ヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又は、ヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100~1000が好ましく、100~700がより好ましく、100~500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記式(d-1)で表される。
【0261】
【0262】
式(d-1)において、
Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~30)、アリール基(好ましくは炭素数3~30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1~10)、又は、アルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、それぞれ独立に、水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
【0263】
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、シクロアルキル基、又は、アリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、シクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素、及び、その誘導体等が挙げられる。
式(d-1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造が挙げられるが、これに制限されない。
【0264】
化合物(DD)は、下記式(6)で表される化合物であることが好ましい。
【0265】
【0266】
式(6)において、
lは0~2の整数を表し、mは1~3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記式(d-1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基は、それぞれ独立に、Rbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
【0267】
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及び、アラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体例としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
【0268】
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子等)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体例としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物が挙げられるが、これに制限されない。
【0269】
酸拡散制御剤の好ましい例を以下に示す。
【0270】
【0271】
【0272】
レジスト組成物に酸拡散制御剤が含まれる場合、酸拡散制御剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分に対して、0.1~10.0質量%が好ましく、0.1~5.0質量%がより好ましい。
レジスト組成物において、酸拡散制御剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0273】
<(E)疎水性樹脂>
レジスト組成物は、上記樹脂(A)とは別に樹脂(A)とは異なる疎水性樹脂を含んでいてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性物質及び非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂を添加することの効果として、水に対するレジスト膜表面の静的及び動的な接触角の制御、並びに、アウトガスの抑制等が挙げられる。
【0274】
疎水性樹脂は、膜表層への偏在化の点から、“フッ素原子”、“珪素原子”、及び、“樹脂の側鎖部分に含まれたCH3部分構造”のいずれか1種以上を有することが好ましく、2種以上を有することがより好ましい。また、上記疎水性樹脂は、炭素数5以上の炭化水素基を有することが好ましい。これらの基は樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
【0275】
疎水性樹脂が、フッ素原子及び/又は珪素原子を含む場合、疎水性樹脂における上記フッ素原子及び/又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
【0276】
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子を有する部分構造としては、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又は、フッ素原子を有するアリール基が好ましい。
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環又は多環のシクロアルキル基であり、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、及び、ナフチル基等のアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、更にフッ素原子以外の置換基を有していてもよい。
フッ素原子又は珪素原子を有する繰り返し単位の例としては、US2012/0251948A1の段落[0519]に例示されたものが挙げられる。
【0277】
また、上記したように、疎水性樹脂は、側鎖部分にCH3部分構造を含むことも好ましい。
ここで、疎水性樹脂中の側鎖部分が有するCH3部分構造は、エチル基、及び、プロピル基等が有するCH3部分構造を含むものである。
一方、疎水性樹脂の主鎖に直接結合しているメチル基(例えば、メタクリル酸構造を有する繰り返し単位のα-メチル基)は、主鎖の影響により疎水性樹脂の表面偏在化への寄与が小さいため、本発明におけるCH3部分構造に含まれないものとする。
【0278】
疎水性樹脂に関しては、特開2014-010245号公報の段落[0348]~[0415]の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0279】
なお、疎水性樹脂としてはこの他にも特開2011-248019号公報、特開2010-175859号公報、特開2012-032544号公報記載の樹脂も好ましく用いることができる。
【0280】
レジスト組成物が疎水性樹脂を含む場合、疎水性樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.1~15質量%がより好ましい。
【0281】
<(F)界面活性剤>
レジスト組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含むことにより、密着性により優れ、現像欠陥のより少ないパターンを形成できる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301又はEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431又は4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120又はR08(DIC(株)製);サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105又は106(旭硝子(株)製);トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製);GF-300又はGF-150(東亞合成化学(株)製)、サーフロンS-393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802又はEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320又はPF6520(OMNOVA社製);KH-20(旭化成(株)製);FTX-204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D又は222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0282】
また、界面活性剤は、上記に示すような公知の界面活性剤の他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002-090991号公報に記載された方法によって合成できる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、及び、ポリ(オキシブチレン)基が挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。更に、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー、及び、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)等を同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤としては、メガファックF178、F-470、F-473、F-475、F-476、F-472(DIC(株)製)、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C3F7基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
【0283】
これら界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0284】
界面活性剤の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
【0285】
<(G)カルボン酸オニウム塩>
レジスト組成物は、カルボン酸オニウム塩を含んでいてもよい。
カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩が好ましい。アニオン部としては、炭素数1~30の直鎖状、分岐鎖状、又は、環状(例えば、単環状又は多環環状)のアルキルカルボン酸アニオンが好ましく、アルキル基の一部又は全てがフッ素置換されたアルキルカルボン酸アニオンがより好ましい。
上記アルキル基中には、酸素原子を含まれていてもよい。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度及び解像力が向上し、疎密依存性及び露光マージンが改良される。
【0286】
フッ素置換されたカルボン酸のアニオンとしては、フロロ酢酸、ジフロロ酢酸、トリフロロ酢酸、ペンタフロロプロピオン酸、ヘプタフロロ酪酸、ノナフロロペンタン酸、パーフロロドデカン酸、パーフロロトリデカン酸、パーフロロシクロヘキサンカルボン酸、及び、2,2-ビストリフロロメチルプロピオン酸のアニオンが挙げられる。
【0287】
カルボン酸オニウム塩の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~7質量%が更に好ましい。
【0288】
<(H)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物>
レジスト組成物は、酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)を含んでいてもよい。
溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
【0289】
なお、本発明のレジスト組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか、或いは電子線で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解性基で置換した構造を含む溶解阻止化合物が好ましい。溶解阻止化合物がフェノール化合物である場合、フェノール化合物は、フェノール骨格を1~9個含むことが好ましく、2~6個含むことがより好ましい。
【0290】
溶解阻止化合物の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、3~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましい。
【0291】
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに制限されない。
【0292】
【0293】
【0294】
<その他の添加剤>
レジスト組成物は、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は、現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシル基を有する脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4-122938号公報、特開平2-028531号公報、米国特許第4,916,210号、欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成できる。
カルボキシル基を有する脂環族又は脂肪族化合物の具体例としては、コール酸、デオキシコール酸、及び、リトコール酸等のステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
【0295】
<パターン形成方法>
上記レジスト組成物を用いたパターン形成方法の手順は特に制限されないが、以下の工程を有することが好ましい。
工程1:レジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程
工程2:レジスト膜を露光する工程
工程3:現像液を用いて、露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程
以下、上記それぞれの工程の手順について詳述する。
【0296】
(工程1:レジスト膜形成工程)
工程1は、レジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程である。
レジスト組成物の定義は、上述の通りである。
【0297】
レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する方法としては、レジスト組成物を基板上に塗布する方法が挙げられる。
なお、塗布前にレジスト組成物を必要に応じてフィルター濾過することが好ましい。フィルターのポアサイズとしては、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。また、フィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製が好ましい。
【0298】
レジスト組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上に、スピナー又はコーター等の適当な塗布方法により塗布できる。塗布方法としては、スピナーを用いたスピン塗布が好ましい。スピナーを用いたスピン塗布をする際の回転数は、1000~3000rpmが好ましい。
レジスト組成物の塗布後、基板を乾燥し、レジスト膜を形成してもよい。なお、必要により、レジスト膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜、反射防止膜)を形成してもよい。
【0299】
乾燥方法としては、加熱して乾燥する方法が挙げられる。加熱は通常の露光機、及び/又は、現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。加熱時間は30~1000秒間が好ましく、60~800秒間がより好ましく、60~600秒間が更に好ましい。
【0300】
レジスト膜の膜厚は特に制限されないが、より高精度な微細パターンを形成できる点から、10~150nmが好ましく、15~100nmがより好ましい。
【0301】
なお、レジスト膜の上層にトップコート組成物を用いてトップコートを形成してもよい。
トップコート組成物は、レジスト膜と混合せず、更にレジスト膜上層に均一に塗布できることが好ましい。
また、トップコートの形成前にレジスト膜を乾燥することが好ましい。次いで、得られたレジスト膜上に、上記レジスト膜の形成方法と同様の手段によりトップコート組成物を塗布し、更に乾燥することで、トップコートを形成できる。
トップコートの膜厚は、10~200nmが好ましく、20~100nmがより好ましい。
トップコートについては、特に制限されず、従来公知のトップコートを、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014-059543号公報の段落[0072]~[0082]の記載に基づいてトップコートを形成できる。
例えば、特開2013-061648号公報に記載されたような塩基性化合物を含むトップコートを、レジスト膜上に形成することが好ましい。トップコートが含み得る塩基性化合物の具体的な例は、後述するレジスト組成物が含んでいてもよい塩基性化合物が挙げられる。
また、トップコートは、エーテル結合、チオエーテル結合、水酸基、チオール基、カルボニル結合及びエステル結合からなる群より選択される基又は結合を少なくとも一つ含む化合物を含むことが好ましい。
【0302】
(工程2:露光工程)
工程2は、レジスト膜を露光する工程である。
露光の方法としては、形成したレジスト膜に所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する方法が挙げられる。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、及び、電子線が挙げられ、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1~200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、EUV(13nm)、X線、及び、電子ビームが挙げられる。
【0303】
露光後、現像を行う前にベーク(加熱)を行うことが好ましい。ベークにより露光部の反応が促進され、感度及びパターン形状がより良好となる。
加熱温度は80~150℃が好ましく、80~140℃がより好ましく、80~130℃が更に好ましい。
加熱時間は10~1000秒間が好ましく、10~180秒間がより好ましく、30~120秒間が更に好ましい。
加熱は通常の露光機、及び/又は現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
この工程は露光後ベークともいう。
【0304】
(工程3:現像工程)
工程3は、現像液を用いて、露光されたレジスト膜を現像し、パターンを形成する工程である。
【0305】
現像方法としては、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)が挙げられる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
現像時間は未露光部の樹脂が十分に溶解する時間であれば特に制限はなく、10~300秒間が好ましく、20~120秒間がより好ましい。
現像液の温度は0~50℃が好ましく、15~35℃がより好ましい。
【0306】
現像液としては、アルカリ現像液、及び、有機溶剤現像液が挙げられる。
アルカリ現像液は、アルカリを含むアルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の種類は特に制限されないが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩、無機アルカリ、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルコールアミン、又は、環状アミン等を含むアルカリ水溶液が挙げられる。中でも、アルカリ現像液は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)に代表される4級アンモニウム塩の水溶液であることが好ましい。アルカリ現像液には、アルコール類、界面活性剤等を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常、0.1~20質量%である。また、アルカリ現像液のpHは、通常、10.0~15.0である。
【0307】
有機溶剤現像液とは、有機溶剤を含む現像液である。
有機溶剤現像液に含まれる有機溶剤の蒸気圧(混合溶剤である場合は全体としての蒸気圧)は、20℃において、5kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましく、2kPa以下が更に好ましい。有機溶剤の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上又は現像カップ内での蒸発が抑制され、ウエハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウエハ面内の寸法均一性が良化する。
【0308】
有機溶剤現像液に用いられる有機溶剤としては、公知の有機溶剤が挙げられ、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び、炭化水素系溶剤が挙げられる。
【0309】
有機溶剤現像液に含まれる有機溶剤は、上記露光工程においてEUV及び電子線を用いる場合において、レジスト膜の膨潤を抑制できるという点から、炭素原子数が7以上(7~14が好ましく、7~12がより好ましく、7~10が更に好ましい)、かつ、ヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
【0310】
上記エステル系溶剤のヘテロ原子は、炭素原子及び水素原子以外の原子であって、例えば、酸素原子、窒素原子、及び、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
【0311】
炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤としては、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2-メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、プロピオン酸ヘプチル、又は、ブタン酸ブチル等が好ましく、酢酸イソアミルがより好ましい。
【0312】
有機溶剤現像液に含まれる有機溶剤は、上記露光工程においてEUV及び電子線を用いる場合において、炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、上記エステル系溶剤及び上記炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、上記ケトン系溶剤及び上記炭化水素系溶剤の混合溶剤を用いてもよい。この場合においても、レジスト膜の膨潤の抑制に効果的である。
【0313】
エステル系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、エステル系溶剤として酢酸イソアミルを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整するという点から、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、及び、ヘキサデカン等)が好ましい。
【0314】
ケトン系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、ケトン系溶剤として2-ヘプタノンを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調整するという点から、飽和炭化水素系溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカン等)が好ましい。
【0315】
上記の混合溶剤を用いる場合において、炭化水素系溶剤の含有量は、レジスト膜の溶剤溶解性に依存するため、特に制限されず、適宜調製して必要量を決定すればよい。
【0316】
上記の有機溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。現像液における有機溶剤(複数混合の場合は合計)の濃度は、50質量%以上が好ましく、50~100質量%がより好ましく、85~100質量%が更に好ましく、90~100質量%が特に好ましく、95~100質量%が最も好ましい。
【0317】
(他の工程)
上記パターン形成方法は、工程3の後に、リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、例えば、純水が挙げられる。なお、純水には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
【0318】
リンス工程の方法は特に制限されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
また、本発明のパターン形成方法は、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含んでいてもよい。本工程により、ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。また、本工程により、レジストパターンがなまされ、パターンの表面荒れが改善される効果もある。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~250℃(好ましくは90~200℃)で、通常10秒間~3分間(好ましくは30~120秒間)行う。
【0319】
また、形成されたパターンをマスクとして、基板のエッチング処理を実施してもよい。つまり、工程3にて形成されたパターンをマスクとして、基板(又は、下層膜及び基板)を加工して、基板にパターンを形成してもよい。
基板(又は、下層膜及び基板)の加工方法は特に制限されないが、工程3で形成されたパターンをマスクとして、基板(又は、下層膜及び基板)に対してドライエッチングを行うことにより、基板にパターンを形成する方法が好ましい。
ドライエッチングは、1段のエッチングであっても、複数段からなるエッチングであってもよい。エッチングが複数段からなるエッチングである場合、各段のエッチングは同一の処理であっても異なる処理であってもよい。
エッチングは、公知の方法をいずれも用いることができ、各種条件等は、基板の種類又は用途等に応じて、適宜、決定される。例えば、国際光工学会紀要(Proc.of SPIE)Vol.6924,692420(2008)、特開2009-267112号公報等に準じて、エッチングを実施できる。また、「半導体プロセス教本 第四版 2007年刊行 発行人:SEMIジャパン」の「第4章 エッチング」に記載の方法に準ずることもできる。
中でも、ドライエッチングとしては、酸素プラズマエッチングが好ましい。
【0320】
レジスト組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、及び、トップコート形成用組成物等)は、金属等の不純物を含まないことが好ましい。これら材料に含まれる不純物の含有量としては、1質量ppm以下が好ましく、10質量ppb以下がより好ましく、100質量ppt以下が更に好ましく、10質量ppt以下が特に好ましく、1質量ppt以下が最も好ましい。ここで、金属不純物としては、Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Al、Li、Cr、Ni、Sn、Ag、As、Au、Ba、Cd、Co、Pb、Ti、V、W、及び、Zn等が挙げられる。
【0321】
各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過が挙げられる。フィルター孔径としては、ポアサイズ100nm未満が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。フィルターとしては、ポリテトラフルオロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、上記フィルター素材とイオン交換メディアとを組み合わせた複合材料で構成されていてもよい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。
レジスト組成物の製造においては、例えば、樹脂、及び、光酸発生剤等の各成分を溶剤に溶解させた後、素材が異なる複数のフィルターを用いて循環濾過を行うことが好ましい。例えば、孔径50nmのポリエチレン製フィルター、孔径10nmのナイロン製フィルター、及び、孔径3nmのポリエチレン製フィルターを順列に接続し、10回以上循環濾過を行うことが好ましい。フィルター間の圧力差は小さい程好ましく、一般的には0.1MPa以下であり、0.05MPa以下であることが好ましく、0.01MPa以下であることがより好ましい。フィルターと充填ノズルの間の圧力差も小さい程好ましく、一般的には0.5MPa以下であり、0.2MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以下であることがより好ましい。
レジスト組成物の製造装置の内部は、窒素等の不活性ガスによってガス置換を行うことが好ましい。これにより、酸素等の活性ガスが組成物中に溶解することを抑制できる。
レジスト組成物はフィルターによって濾過された後、清浄な容器に充填される。容器に充填されたレジスト組成物は、冷蔵保存されることが好ましい。これにより、経時による性能劣化が抑制される。組成物の容器への充填が完了してから、冷蔵保存を開始するまでの時間は短い程好ましく、一般的には24時間以内であり、16時間以内が好ましく、12時間以内がより好ましく、10時間以内が更に好ましい。保存温度は0~15℃が好ましく、0~10℃がより好ましく、0~5℃が更に好ましい。
【0322】
また、各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する方法、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う方法、及び、装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う方法等が挙げられる。
【0323】
フィルター濾過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材とを組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル及びゼオライト等の無機系吸着材、並びに、活性炭等の有機系吸着材を使用できる。上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止することが必要である。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定することで確認できる。使用後の洗浄液に含まれる金属成分の含有量は、100質量ppt(parts per trillion)以下が好ましく、10質量ppt以下がより好ましく、1質量ppt以下が更に好ましい。
【0324】
リンス液等の有機系処理液には、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う、薬液配管及び各種パーツ(フィルター、O-リング、チューブ等)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加してもよい。導電性の化合物は特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、好ましい現像特性又はリンス特性を維持する点で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
薬液配管としては、SUS(ステンレス鋼)、又は、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、若しくはフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂等)で被膜された各種配管を用いることができる。フィルター及びO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂等)を用いることができる。
【0325】
本発明の方法により形成されるパターンに対して、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、国際公開第2014/002808号に開示された水素を含有するガスのプラズマによってパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、特開2004-235468号公報、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、特開2008-083384号公報、及び、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N-1”EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されているような公知の方法が挙げられる。
【0326】
形成されるパターンがライン状である場合、パターン高さをライン幅で割った値で求められるアスペクト比が、2.5以下が好ましく、2.1以下がより好ましく、1.7以下が更に好ましい。
形成されるパターンがトレンチ(溝)パターン状又はコンタクトホールパターン状である場合、パターン高さをトレンチ幅又はホール径で割った値で求められるアスペクト比が、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。
【0327】
本発明のパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも用いることができる。
【0328】
また、上記の方法によって形成されたパターンは、例えば、特開平3-270227号公報、及び、特開2013-164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
【0329】
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法、及び、この製造方法により製造された電子デバイスにも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA(Offivce Automation)、メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
【実施例】
【0330】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例により制限的に解釈されない。
【0331】
<樹脂>
樹脂A-1~A-23は、後述する樹脂A-1の合成方法(合成例1)に準じて合成したものを用いた。表1に、後掲に示される各繰り返し単位の組成比(モル比;左から順に対応)、重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を示す。
なお、樹脂A-1~A-23の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算値である)。また、樹脂の組成比(モル%比)は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
【0332】
【0333】
表1に示される樹脂A-1~A-23の構造式を以下に示す。
【0334】
【0335】
【0336】
(合成例1:樹脂A-1の合成)
シクロヘキサノン(95質量部)を窒素気流下にて80℃に加熱した。この液を攪拌しながら、下記式M-1で表されるモノマー(10.1質量部)、下記式M-2で表されるモノマー(7.6質量部)、下記式M-3で表されるモノマー(30.3質量部)、シクロヘキサノン(177質量部)、及び、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V-601、和光純薬工業(株)製〕(5.2質量部)の混合溶液を6時間かけて滴下し、反応液を得た。滴下終了後、反応液を80℃にて更に2時間攪拌した。得られた反応液を放冷後、多量のメタノール/水(質量比9:1)で再沈殿した後、ろ過し、得られた固体を真空乾燥することで、樹脂A-1を42.3質量部得た。
【0337】
【0338】
得られた樹脂A-1のGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は7800であり、分散度(Mw/Mn)は1.5であった。13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した組成比はモル比で20/20/60であった。
【0339】
<光酸発生剤>
表3に示される光酸発生剤(化合物B-1~B-15)の構造を以下に示す。
【0340】
【0341】
<酸拡散制御剤>
表3に示される酸拡散制御剤(化合物C-1~C-11)の構造を以下に示す。
【0342】
【0343】
<疎水性樹脂及びトップコート用樹脂>
表3に示される疎水性樹脂(E-1~E-11)及び表4に示されるトップコート用樹脂(PT-1~PT-3)は合成したものを用いた。
表2に、表3に示される疎水性樹脂及び表4に示されるトップコート用樹脂における繰り返し単位のモル比率、重量平均分子量(Mw)、及び分散度(Mw/Mn)を示す。
なお、疎水性樹脂E-1~E-11及びトップコート用樹脂PT-1~PT-3の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)はGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))により測定した(ポリスチレン換算値である)。また、樹脂の組成比(モル%比)は、13C-NMR(nuclear magnetic resonance)により測定した。
【0344】
【0345】
表3に示される疎水性樹脂E-1~E-11及び表4に示されるトップコート用樹脂PT-1~PT-3の合成に用いたモノマー構造を以下に示す。
【0346】
【0347】
<界面活性剤>
表3に示される界面活性剤を以下に示す。
H-1:メガファックF176(DIC(株)製、フッ素系界面活性剤)
H-2:メガファックR08(DIC(株)製、フッ素及びシリコン系界面活性剤)
H-3:PF656(OMNOVA社製、フッ素系界面活性剤)
【0348】
<溶剤>
表3に示される溶剤を以下に示す。
F-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
F-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
F-3:プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)
F-4:シクロヘキサノン
F-5:シクロペンタノン
F-6:2-ヘプタノン
F-7:乳酸エチル
F-8:γ-ブチロラクトン
F-9:プロピレンカーボネート
【0349】
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の調製(1)ArF液浸露光>
表3に示した各成分を固形分濃度が4質量%となるように混合した。次いで、得られた混合液を、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)を調製した。なお、樹脂組成物において、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。得られた樹脂組成物を、実施例及び比較例で使用した。
なお、表3において、各成分の含有量(質量%)は、全固形分に対する含有量を意味する。
【0350】
【0351】
以下に、表4に示すトップコート組成物に含まれる各種成分を示す。
<樹脂(PT)>
表4に示される樹脂(PT)としては、第2表に示した樹脂PT-1~PT-3を用いた。
<添加剤(DT)>
表4に示される添加剤(DT)の構造を以下に示す。
【0352】
【0353】
<界面活性剤(H)>
表4に示される界面活性剤(H)としては、上記界面活性剤H-3を用いた。
【0354】
<溶剤(FT)>
表4に示される溶剤(FT)を以下に示す。
FT-1:4-メチル-2-ペンタノール(MIBC)
FT-2:n-デカン
FT-3:ジイソアミルエーテル
【0355】
<トップコート組成物の調製>
表4に示した各成分を固形分濃度が3質量%となるように混合して、次いで、得られた混合液を、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過することにより、トップコート組成物を調製した。なお、ここでいう固形分とは、溶剤(FT)以外の全ての成分を意味する。得られたトップコート組成物を、実施例で使用した。
【0356】
【0357】
<パターン形成(1):ArF液浸露光、有機溶剤現像>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、表3に示す樹脂組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークして、膜厚90nmのレジスト膜(感活性光線性又は感放射線性膜)を形成した。なお、実施例1-5、実施例1-6及び実施例1-7については、レジスト膜の上層にトップコート膜を形成した(使用したトップコート組成物の種類については、表5に示す)。トップコート膜の膜厚は、いずれにおいても100nmとした。
レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、Dipole、アウターシグマ0.950、インナーシグマ0.850、Y偏向)を用いて、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを介して露光した。液浸液は、超純水を使用した。
露光後のレジスト膜を90℃で60秒間ベークした後、酢酸n-ブチルで30秒間現像し、次いで4-メチル-2-ペンタノールで30秒間リンスした。その後、これをスピン乾燥してネガ型のパターンを得た。
【0358】
(欠陥評価)
上記線幅45nmのパターンを形成後、その後、UVision5(AMAT社製)で、シリコンウエハ上における欠陥分布を検出し、SEMVisionG4(AMAT社製)を用いて、欠陥の形状を観察した。シリコンウエハ1枚当たりの欠陥数を数えて、以下の評価基準に従って、評価した。欠陥数が少ないほど良好な結果を示す。
「A」:欠陥数が100個以下
「B」:欠陥数が100個超300個以下
「C」:欠陥数が300個超500個以下
「D」:欠陥数が500個超
【0359】
(ラインウィズスラフネス(LWR、nm))
ライン幅が平均45nmのラインパターンを解像する時の最適露光量にて解像した45nm(1:1)のラインアンドスペースのパターンに対して、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S-9380II))を使用してパターン上部から観察する際、線幅を任意のポイントで観測し、その測定ばらつきを3σで評価した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。なお、LWR(nm)は、3.0nm以下が好ましく、2.7nm以下がより好ましく、2.5nm以下が更に好ましい。
【0360】
(評価結果)
以上の評価試験の結果を下記表5に示す。
なお、表5中、「環員数」欄は、式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数を表す。
「ヘテロ原子」欄は、式(1)中のL1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれるか否かを表し、含まれる場合を「有り」、含まれない場合を「無し」とする。
【0361】
【0362】
上記表5に示すように、本発明のレジスト組成物であれば所望の効果を示した。
特に、式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数が5~6である場合、及び、式(1)中のL1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれる場合には、より効果が優れていた。
【0363】
<パターン形成(2):ArF液浸露光、アルカリ現像>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜形成用組成物ARC29SR(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚98nmの反射防止膜を形成した。その上に、表3に示す樹脂組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークして、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。なお、実施例2-5及び実施例2-6については、レジスト膜の上層にトップコート膜を形成した(使用したトップコート組成物の種類については、表5に示す)。トップコート膜の膜厚は、いずれにおいても100nmとした。
レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、Dipole、アウターシグマ0.950、インナーシグマ0.890、Y偏向)を用いて、線幅45nmの1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを介して露光した。液浸液は、超純水を使用した。
露光後のレジスト膜を90℃で60秒間ベークした後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、次いで純水で30秒間リンスした。その後、これをスピン乾燥してポジ型のパターンを得た。
得られたポジ型のパターンに対して、上述した<パターン形成(1):ArF液浸露光、有機溶剤現像>で得られたネガ型のパターンで実施した(欠陥評価)及び(ラインウィズスラフネス(LWR、nm))を実施した。
【0364】
(評価結果)
以上の評価試験の結果を下記表6に示す。
なお、表6中、「環員数」欄は、式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数を表す。
「ヘテロ原子」欄は、式(1)中のL1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれるか否かを表し、含まれる場合を「有り」、含まれない場合を「無し」とする。
【0365】
【0366】
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の調製(2)EUV露光>
表7に示した各成分を固形分濃度が2質量%となるように混合した。次いで、得られた混合液を、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過することにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」ともいう)を調製した。なお、樹脂組成物において、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。得られた樹脂組成物を、実施例及び比較例で使用した。
【0367】
【0368】
<パターン形成(3):EUV露光、有機溶剤現像>
シリコンウエハ上に下層膜形成用組成物AL412(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚20nmの下地膜を形成した。その上に、表7に示す樹脂組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークして、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。
EUV露光装置(Exitech社製、Micro Exposure Tool、NA0.3、Quadrupol、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用いて、得られたレジスト膜を有するシリコンウエハに対してパターン照射を行った。なお、レクチルとしては、ラインサイズ=20nmであり、且つ、ライン:スペース=1:1であるマスクを用いた。
露光後のレジスト膜を90℃で60秒間ベークした後、酢酸n-ブチルで30秒間現像し、これをスピン乾燥してネガ型のパターンを得た。
【0369】
(欠陥評価)
上記線幅20nmのパターンを形成後、その後、UVision5(AMAT社製)で、シリコンウエハ上における欠陥分布を検出し、SEMVisionG4(AMAT社製)を用いて、欠陥の形状を観察した。シリコンウエハ1枚当たりの欠陥数を数えて、以下の評価基準に従って、評価した。欠陥数が少ないほど良好な結果を示す。
「A」:欠陥数が100個以下
「B」:欠陥数が100個超300個以下
「C」:欠陥数が300個超500個以下
「D」:欠陥数が500個超
【0370】
(ラインウィズスラフネス(LWR、nm))
ライン幅が平均20nmのラインパターンを解像する時の最適露光量にて解像した20nm(1:1)のラインアンドスペースのパターンに対して、測長走査型電子顕微鏡(SEM((株)日立製作所S-9380II))を使用してパターン上部から観察する際、線幅を任意のポイントで観測し、その測定ばらつきを3σで評価した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。なお、LWR(nm)は、4.2nm以下が好ましく、3.8nm以下がより好ましく、3.5nm以下が更に好ましい。
【0371】
(評価結果)
以上の評価試験の結果を下記表8に示す。
なお、表8中、「環員数」欄は、式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数を表す。
「ヘテロ原子」欄は、式(1)中のL1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれるか否かを表し、含まれる場合を「有り」、含まれない場合を「無し」とする。
【0372】
【0373】
<パターン形成(4):EUV露光、アルカリ現像>
シリコンウエハ上に下層膜形成用組成物AL412(Brewer Science社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークして、膜厚20nmの下地膜を形成した。その上に、表7に示す樹脂組成物を塗布し、100℃で60秒間ベークして、膜厚30nmのレジスト膜を形成した。
EUV露光装置(Exitech社製、Micro Exposure Tool、NA0.3、Quadrupol、アウターシグマ0.68、インナーシグマ0.36)を用いて、得られたレジスト膜を有するシリコンウエハに対してパターン照射を行った。なお、レクチルとしては、ラインサイズ=20nmであり、且つ、ライン:スペース=1:1であるマスクを用いた。
露光後のレジスト膜を90℃で60秒間ベークした後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、次いで純水で30秒間リンスした。その後、これをスピン乾燥してポジ型のパターンを得た。
得られたポジ型のパターンに対して、上述した<パターン形成(3):EUV露光、有機溶剤現像>で得られたネガ型のパターンで実施した(欠陥評価)及び(ラインウィズスラフネス(LWR、nm))を実施した。
【0374】
<評価結果>
以上の評価試験の結果を下記表9に示す。
なお、表9中、「環員数」欄は、式(1)中のXとL1とL2とを含む環の環員数を表す。
「ヘテロ原子」欄は、式(1)中のL1及びL2の少なくとも一方にヘテロ原子が含まれるか否かを表し、含まれる場合を「有り」、含まれない場合を「無し」とする。
【0375】