(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220708BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20220708BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61F13/15 140
A61F13/53 300
A61F13/511 300
(21)【出願番号】P 2020527709
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2019026136
(87)【国際公開番号】W WO2020004669
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2018125563
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018125568
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】松井 紗恵子
(72)【発明者】
【氏名】山本 なるみ
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】内田 祥平
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3213494(JP,U)
【文献】特開2010-125199(JP,A)
【文献】特表2004-528090(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215313(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、液透過性シート、液不透過性シート、及びそれらの間に配置された吸収体を備えている吸収本体と、着用者の下腹部に当接するように構成され
ているとともに、前記吸収体の前記長手方向の前方に配置された温感本体とを備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品が、以下の構成(a)
及び構成(b):
(a)前記温感本体が温感付与シートを備えており、前記温感本体の前記温感付与シートと、前記厚さ方向に重複する温感付与シート重複部分の剛軟度が、前記吸収本体の前記吸収体と、前記厚さ方向に重複する吸収体重複部分の剛軟度よりも低い、
(b)前記温感本体が、第1温感剤を保持し、前記吸収本体が、第2温感剤を保持している、
を備えて
おり、
第1温感剤の坪量が、第2温感剤の坪量の0.5倍以下であるか、又は第1温感剤の坪量が、第2温感剤の坪量の1.3倍以上である、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。
【請求項2】
前記温感付与シートの厚さが、前記吸収体の厚さよりも薄い、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記温感本体が、前記温感付与シートと、前記厚さ方向に重複する温感本体中央部と、前記温感付与シートと、前記厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画され、前記温感本体周縁部の剛性が、前記温感本体中央部の剛性よりも低い、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記温感本体が、前記温感付与シートと、前記厚さ方向に重複する温感本体中央部と、前記温感付与シートと、前記厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画され、前記温感本体周縁部が、前記液透過性シート及び前記液不透過性シートに、前記温感本体周縁部に沿って間欠的に配置されたエンボス部を備えている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収本体が、排泄口当接域を備え、前記吸収本体が、第2温感剤を、前記排泄口当接域の、前記幅方向の外側に保持している、請求項1
~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収本体が、第2温感剤を、前記吸収体に保持している、請求項
1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収本体が、第2温感剤を、前記液透過性シート及び不透過性シートの間に保持している、請求項
1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記温感本体が、前記液透過性シートと、前記液不透過性シートと、前記液透過性シート及び液不透過性シートの間に配置された補助シート
とを備えており、前記温感本体が、前記補助シートに、第1温感剤を保持している、請求項
1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記液透過性シートが、発熱性素材、断熱性素材及び吸湿性素材、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される素材を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
温感剤等の機能剤を含む吸収性物品が知られている。
例えば、特許文献1には、機能層と粘着層とを備える機能性物品において、機能層の効果を維持しつつ、機能性物品を取り外すとき、着用者の肌面又は下着に粘着層が残存することを抑制することを目的とした機能性物品、例えば、吸収性物品が記載されている。
特許文献1に記載の機能性物品は、以下の構成を有する。
【0003】
肌当接面及び前記肌当接面と反対側の非肌当接面を有する基材と、前記基材の前記肌当接面又は前記非肌当接面に形成された粘着層と、を備える機能性物品であって、前記機能性物品は、前記基材における前記非肌当接面よりも前記肌当接面側に、前記肌当接面に沿って所定の機能を有する機能層を備え、前記機能層は、親油性成分を含む機能剤を有し、前記機能層における少なくとも一部が、前記粘着層と、前記機能性物品の厚さ方向に重複せず、前記粘着層における少なくとも一部が、前記機能層と、前記機能性物品の厚さ方向に重複しない位置に、前記機能層及び前記粘着層が形成されている機能性物品。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の機能性物品、具体的には吸収性物品では、上記機能層が、着用者の下腹部に温感を付与することができるが、上記機能層が、着用者の下腹部に固さを覚えさせ、着用者が違和感を覚えやすく、その結果、着用者が下腹部に痒みを覚えやすくなる場合がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の機能性物品、具体的には吸収性物品では、上記機能層が、着用者の下腹部に温感を付与することができるものであり、人の下腹部に温感を付与することにより、種々の効果、例えば、生理痛の緩和、月経前症候群(Premenstrual Syndrome)、冷え性、更年期障害等の軽減等が期待される。
その一方で、本願発明者は、温感剤を用いて、着用者の下腹部に温感を付与すると、下腹部の皮膚のバリア層、脂肪層等が厚いことに起因して、温感剤が皮膚内に浸透しにくくなり、その結果、温感剤による温感作用の立ち上がりが遅くなり、着用者が、下腹部に痒みを覚えやすくなることを見いだした。
【0007】
従って、本開示は、使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示者らは、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、液透過性シート、液不透過性シート、及びそれらの間に配置された吸収体を備えている吸収本体と、着用者の下腹部に当接するように構成された温感本体とを備える吸収性物品であって、上記吸収性物品が、以下の構成(a)又は構成(b):(a)上記温感本体が温感付与シートを備えており、上記温感本体の上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複する温感付与シート重複部分の剛軟度が、上記吸収本体の上記吸収体と、上記厚さ方向に重複する吸収体重複部分の剛軟度よりも低い、(b)上記温感本体が、第1温感剤を保持し、上記吸収本体が、第2温感剤を保持している、を備えていることを特徴とする、吸収性物品を見出した。
【発明の効果】
【0009】
本開示の吸収性物品は、使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態及び第5実施形態に従う生理用ナプキン1の平面図である。
【
図2】
図2は、生理用ナプキン1の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、温感本体5に配置された第1温感組成物17と、吸収本体3に配置された第2温感組成物19とを説明するための図である。
【
図4】
図4は、生理用ナプキン1の着用状態を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に従う使い捨ておむつ301を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第6実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[定義]
<構成(a)>
・「吸収本体」及び「温感本体」
本明細書において、「吸収本体」及び「温感本体」は、吸収性物品の区画で有り、吸収性物品が、長手方向において、吸収体と重複する領域を「吸収本体」と称し、そして吸収性物品の、吸収本体よりも前方の領域を「温感本体」と称する。
なお、上記吸収性物品は、展開状態におけるものを意味する。例えば、個包装の生理用ナプキンの場合には、展開状態における生理用ナプキンは、折り畳まれていない状態における生理用ナプキンを意味し、そして例えば、パンツ型の使い捨ておむつの場合には、展開状態におけるパンツ型の使い捨ておむつは、両側部の接合部を破断し、平面状にしたパンツ型の使い捨ておむつを意味する。
【0012】
・「温感剤」
本明細書において、「温感剤」における『温感』の用語は、着用者の皮膚に温かさを感じさせることを意味し、「温感剤」は、着用者の皮膚に温かさを感じさせる薬剤、好ましくは着用者のTRPチャネルを活性化する薬剤を意味する。
・「温感本体」及び「温感付与シート」
本明細書において、「温感本体」及び「温感付与シート」における『温感』の用語は、「温感剤」におけるものと同様に、着用者の皮膚に温かさを感じさせることを意味し、(i)着用者の皮膚に温かさを感じさせる温感剤、(ii)着用者の体温を保持することにより、着用者の皮膚に温かさを感じさせるもの、例えば、保温性シート、(iii)熱を供給し、着用者の皮膚に温かさを感じさせるもの、例えば、発熱体等を含みうる。
【0013】
<構成(b)>
・「吸収本体」及び「温感本体」
本明細書において、「吸収本体」及び「温感本体」は、吸収性物品の区画で有り、吸収性物品が、長手方向において、吸収体と重複する領域を「吸収本体」と称し、そして吸収性物品の、吸収本体よりも前方の領域を「温感本体」と称する。
なお、上記吸収性物品は、展開状態におけるものを意味する。例えば、個包装の生理用ナプキンの場合には、展開状態における生理用ナプキンは、折り畳まれていない状態における生理用ナプキンを意味し、そして例えば、パンツ型の使い捨ておむつの場合には、展開状態におけるパンツ型の使い捨ておむつは、両側部の接合部を破断し、平面状にしたパンツ型の使い捨ておむつを意味する。
【0014】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
長手方向、幅方向及び厚さ方向を有し、液透過性シート、液不透過性シート、及びそれらの間に配置された吸収体を備えている吸収本体と、着用者の下腹部に当接するように構成された温感本体とを備える吸収性物品であって、
上記吸収性物品が、以下の構成(a)又は構成(b):
(a)上記温感本体が温感付与シートを備えており、上記温感本体の上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複する温感付与シート重複部分の剛軟度が、上記吸収本体の上記吸収体と、上記厚さ方向に重複する吸収体重複部分の剛軟度よりも低い、
(b)上記温感本体が、第1温感剤を保持し、上記吸収本体が、第2温感剤を保持している、
を備えていることを特徴とする、上記吸収性物品。
【0015】
人の下腹部に温感を付与することにより、種々の効果、例えば、生理痛の緩和、月経前症候群(Premenstrual Syndrome)、冷え性、更年期障害等の軽減等が期待される。吸収性物品を用いて、人の下腹部に温感を付与するためには、例えば、吸収性物品の、人の下腹部に相当する部分に、温感付与シートを配置することが考えられる。
【0016】
一方、人の下腹部には陰毛が存在するため、そして人が呼吸する際に、呼吸に合わせて下腹部が動くため、人の下腹部に相当する部分に、剛性の高い温感付与シートを配置すると、着用者が、吸収性物品を含む着衣の下腹部に相当する部分に硬さを感じやすい傾向がある。それにより、着用者が、吸収性物品を含む着衣の下腹部部分に違和感を覚えるとともに、着用者が、下腹部に痒みを覚えやすくなる。また、着用者が、吸収性物品を含む着衣の下腹部部分に違和感を覚えることにより、着用者が、下腹部を意識する頻度が増え、陰毛と、温感付与シートとの接触等により生じた下腹部の弱い痒みであっても、着用者が気づきやすく、着用者が下腹部に不快感を覚えやすくなる。
【0017】
上記吸収性物品が構成(a)を満たす場合には、温感付与シート重複部分及び吸収体重複部分が所定の剛軟度を有するので、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくい。その結果、着用者が、下腹部を意識する頻度が少なくなり、陰毛と、温感付与シートとの接触等により下腹部に痒みが生じにくくなるとともに、仮に下腹部に弱い痒みが生じた場合であっても、下腹部の弱い痒みに対して、着用者が不快感を覚えにくくなる。
【0018】
また、人の下腹部に温感を付与することにより、種々の効果、例えば、生理痛の緩和、月経前症候群(Premenstrual Syndrome)、冷え性、更年期障害等の軽減等が期待される。温感剤は、鉄粉等の発熱体と比較して、着用者に低温やけど等の疾患を生じさせにくく好ましい。
【0019】
本願発明者は、温感剤を含む温感物品(例えば、吸収性物品)は、発熱体(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して、低温やけど等の疾患を生じさせにくい点で好ましいが、温感剤を含む温感物品は、所望の温度を感じるまでの時間(温熱感知時間)が、発熱剤(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して長くなる傾向にあり、当該温熱感知時間の間に、着用者が痒みを覚えやすいことを見出した。
【0020】
また、本願発明者は、人の下腹部は、脂肪層が厚く、温感剤が皮膚のTRPチャネルに到達しにくい傾向があり、その結果、上記温熱感知時間が、脂肪層の薄い皮膚と比較して長くなる傾向にあるとともに、人の排泄口は、脂肪層が薄く、温感剤が皮膚のTRPチャネルに到達しやすい傾向があり、そして排泄口近傍に温感を付与することにより、下腹部における温熱感知時間を短くし、着用者が下腹部に痒みを覚えにくいことを見いだした。
【0021】
上記吸収性物品が構成(b)を満たす場合には、温感本体が、第1温感剤を保持し、吸収本体が、第2温感剤を保持しているため、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい。
【0022】
[態様2]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記温感付与シートの厚さが、上記吸収体の厚さよりも薄い、態様1に記載の吸収性物品。
【0023】
上記吸収性物品では、温感付与シートが所定の厚さを有するため、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくい。
【0024】
[態様3]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記温感付与シートが、温感剤をさらに保持している、態様1又は2に記載の吸収性物品。
【0025】
上記吸収性物品では、温感付与シートが温感剤を保持しているため、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を確実に覚えさせやすくなる。
【0026】
[態様4]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記温感本体が、上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複する温感本体中央部と、上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画され、上記温感本体周縁部の剛性が、上記温感本体中央部の剛性よりも低い、態様1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0027】
上記吸収性物品では、温感本体周縁部及び温感本体中央部が所定の剛性を有するため、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくい。
【0028】
[態様5]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記温感本体が、上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複する温感本体中央部と、上記温感付与シートと、上記厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画され、上記温感本体周縁部が、上記液透過性シート及び上記液不透過性シートに、上記温感本体周縁部に沿って間欠的に配置されたエンボス部を備えている、態様1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0029】
上記吸収性物品では、温感本体周縁部が所定のエンボス部を備えているため、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくい。
【0030】
[態様6]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記吸収本体が、温感剤を保持している、態様3に記載の吸収性物品。
【0031】
本願発明者は、温感剤を含む温感物品(例えば、吸収性物品)は、発熱体(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して、低温やけど等の疾患を生じさせにくい点で好ましいが、温感剤を含む温感物品は、所望の温度を感じるまでの時間(温熱感知時間)が、発熱剤(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して長くなる傾向にあり、当該温熱感知時間の間に、着用者が痒みを覚えやすいことを見出した。
【0032】
また、本願発明者は、人の下腹部は、脂肪層が厚く、温感剤が皮膚のTRPチャネルに到達しにくい傾向があり、その結果、上記温熱感知時間が、脂肪層の薄い皮膚と比較して長くなる傾向にあるとともに、人の排泄口は、脂肪層が薄く、温感剤が皮膚のTRPチャネルに到達しやすい傾向があり、そして排泄口近傍に温感を付与することにより、下腹部における温熱感知時間を短くし、着用者が下腹部に痒みを覚えにくいことを見いだした。
【0033】
上記吸収性物品では、温感本体と、吸収本体との両方が、温感剤を保持しているため、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい。
【0034】
[態様7]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記吸収本体が、排泄口当接域を備え、上記吸収本体が、上記温感剤を、上記排泄口当接域の、上記幅方向の外側に保持している、態様6に記載の吸収性物品。
【0035】
上記吸収性物品では、吸収本体が温感剤を所定の位置に保持しているため、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えやすくすることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい。
【0036】
[態様8]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記吸収本体が、上記温感剤を、上記吸収体に保持している、態様7に記載の吸収性物品。
【0037】
上記吸収性物品では、吸収本体が、温感剤を吸収体に保持しているため、着用時に圧力の加わりやすい吸収体から、着用者に温感剤を浸透させやすくなり、ひいては吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくなる。
【0038】
[態様9]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記吸収本体が、上記温感剤を、上記液透過性シート及び不透過性シートの間に保持している、態様7又は8に記載の吸収性物品。
【0039】
上記吸収性物品では、吸収本体が、第2温感剤を、液透過性シート及び不透過性シートの間に保持しているので、第2温感剤が、吸収体の吸収を阻害しにくくするとともに、吸収体が保持する第2温感剤が着用者に移動した後、液透過性シート及び不透過性シートの間に保持している第2温感剤を吸収体に移動させ、ひいては吸収体から着用者に第2温感剤を移動させやすくなる。その結果、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくなる。
【0040】
[態様10]
上記吸収性物品が構成(a)を備えており、上記温感本体が保持している温感剤の坪量が、上記吸収本体が保持している温感剤の坪量よりも少ないか、又は多い、態様6~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0041】
上記吸収性物品では、温感本体が保持している温感剤の坪量が、吸収本体が保持している温感剤の坪量よりも少ない場合には、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に温感を覚えやすくすることができるとともに、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えさせにくい。
【0042】
また、上記吸収性物品では、温感本体が保持している温感剤の坪量が、吸収本体が保持している温感剤の坪量よりも多い場合には、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えさせにくくしながら、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に強い温感を覚えやすくすることができるとともに、吸収性物品の吸収性を阻害しにくくなる。
【0043】
[態様11]
上記吸収性物品が構成(b)を備えており、上記吸収本体が、排泄口当接域を備え、上記吸収本体が、第2温感剤を、上記排泄口当接域の、上記幅方向の外側に保持している、態様1に記載の吸収性物品。
【0044】
上記吸収性物品では、吸収本体が第2温感剤を所定の位置に保持しているため、上記吸収性物品は、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えやすくすることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくい。
【0045】
[態様12]
上記吸収性物品が構成(b)を備えており、上記吸収本体が、第2温感剤を、上記吸収体に保持している、態様11に記載の吸収性物品。
【0046】
上記吸収性物品では、吸収本体が、第2温感剤を吸収体に保持しているため、着用時に圧力の加わりやすい吸収体から、着用者に第2温感剤を浸透させやすくなり、ひいては吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくなる。
【0047】
[態様13]
上記吸収性物品が構成(b)を備えており、上記吸収本体が、第2温感剤を、上記液透過性シート及び不透過性シートの間に保持している、態様11又は12に記載の吸収性物品。
【0048】
上記吸収性物品では、吸収本体が、第2温感剤を、液透過性シート及び不透過性シートの間に保持しているので、第2温感剤が、吸収体の吸収を阻害しにくくするとともに、吸収体が保持する第2温感剤が着用者に移動した後、液透過性シート及び不透過性シートの間に保持している第2温感剤を吸収体に移動させ、ひいては吸収体から着用者に第2温感剤を移動させやすくなる。その結果、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくなる。
【0049】
[態様14]
上記吸収性物品が構成(b)を備えており、上記温感本体が、上記液透過性シートと、上記液不透過性シートと、上記液透過性シート及び液不透過性シートの間に配置された補助シートを備えており、上記温感本体が、上記補助シートに、第1温感剤を保持している、態様1及び11~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0050】
上記吸収性物品では、温感本体が、液透過性シート及び液不透過性シートの間に配置された補助シートに第1温感剤を保持しているため、保管時には、補助シートが保持する第1温感剤が、吸収性物品の他の場所に移動しにくく、そして使用時には、補助シートが保持する第1温感剤を、着用者の皮膚に移動させやすくなる。
【0051】
[態様15]
上記吸収性物品が構成(b)を備えており、上記温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、上記吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも少ないか、又は多い、態様1及び11~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0052】
上記吸収性物品では、温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも少ない場合には、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に温感を覚えやすくすることができるとともに、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えさせにくい。
【0053】
また、上記吸収性物品では、温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも多い場合には、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えさせにくくしながら、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に強い温感を覚えやすくすることができるとともに、吸収性物品の吸収性を阻害しにくくなる。
【0054】
[態様16]
上記液透過性シートが、発熱性素材、断熱性素材及び吸湿性素材、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される素材を含む、態様1~15のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0055】
上記吸収性物品では、液透過性シートが、所定の素材を含むため、着用者の蒸散、汗等による水分により、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤し、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0056】
<構成(a)>
本開示の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
図1~
図4は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての生理用ナプキン1を説明するための図である。なお、以下、「第1実施形態に従う吸収性物品としての生理用ナプキン」を、単に『第1実施形態に従う生理用ナプキン』と称する場合がある。具体的には、
図1は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1の平面図である。
図2は、生理用ナプキン1の分解斜視図である。
図3は、温感本体5に配置された第1温感組成物17と、吸収本体3に配置された第2温感組成物19とを説明するための図である。
図4は、生理用ナプキン1の着用状態を示す図である。
【0057】
第1実施形態に従う生理用ナプキン1は、お互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、吸収本体3と、吸収本体3より長手方向Lの前方に配置された温感本体5とを備えている。生理用ナプキン1は、吸収本体3において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート7と、着用時に着衣151に当接する液不透過性シート9と、液透過性シート7及び液不透過性シート9の間に配置された吸収体11とを備えている。また、生理用ナプキン1は、温感本体5において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート7と、着用時に着衣151に当接する液不透過性シート9と、液透過性シート7及び液不透過性シート9の間に配置された、温感付与シート13を備えている。
【0058】
なお、吸収本体3における液透過性シート7と、温感本体5における液透過性シート7は、一体の不織布から構成されている。具体的には、吸収本体3における液透過性シート7と、温感本体5における液透過性シート7は、長手方向Lに延び且つ幅方向Wの中央に配置された液透過性シート7aと、長手方向Lに延び且つ幅方向Wの左側に配置された液透過性シート7bと、長手方向Lに延び且つ幅方向Wの右側に配置された液透過性シート7cとから構成されている。
【0059】
また、吸収本体3における液不透過性シート9と、温感本体5における液不透過性シート9も、一体の合成樹脂フィルムから構成されている。また、吸収本体3における吸収体11と、温感本体5における温感付与シート13とは、それらの一部が、重複部15において、厚さ方向Tに一部重複しており、重複部15において、吸収体11が、温感付与シート13よりも液透過性シート7に近い位置に配置されている。
【0060】
生理用ナプキン1は、吸収本体3及び温感本体5の両方において、生理用ナプキン1を着用者の着衣151に固定するための粘着部101を備えている。粘着部101の一方の面は、液不透過性シート9に固定され、そして他方の面は、剥離性が付与された、包装シート103の内面に仮固定されている。
【0061】
生理用ナプキン1は、吸収本体3において、生理用ナプキン1を着衣151に固定するための一対のフラップ部105と、液透過性シート7及び吸収体11を貫通する、複数の貫通孔107と、液透過性シート7及び吸収体11を圧搾することにより形成されたエンボス部109とを備えているが、これらは、当技術分野で公知のものであるため、説明を省略する。
【0062】
また、生理用ナプキン1は、温感本体5において、液透過性シート7及び温感付与シート13を圧搾することにより形成されたエンボス部111を備えているが、エンボス部そのものは当技術分野で公知であるため、説明を省略する。
さらに、生理用ナプキン1は、吸収本体3及び温感本体5の両方において、生理用ナプキン1の周縁(具体的には、液透過性シート7及び液不透過性シート9)を圧搾することにより形成されたシール部113を備えているが、シール部そのものは当技術分野で公知であるため、説明を省略する。
【0063】
生理用ナプキン1は、未使用状態では、包装シート103とともに、長手方向Lに延びる、長手方向第1折軸F1及び長手方向第2折軸F2と、幅方向Wに延びる、幅方向第1折軸F3及び幅方向第2折軸F4とを基軸として折畳まれ、生理用ナプキン1の個包装体(図示せず)を形成している。なお、幅方向第1折軸F3及び幅方向第2折軸F4は、それぞれ、生理用ナプキン1の前方及び後方に配置されている。
【0064】
長手方向第1折軸F1及び長手方向第2折軸F2は、生理用ナプキン1及び包装シート103の展開状態において、吸収体11の測縁(図示せず)に沿って配置されている。また、幅方向第1折軸F3は、生理用ナプキン1及び包装シート103の展開状態において、吸収本体3及び温感本体5の境界線に沿って配置されており、幅方向第2折軸F4は、一対のフラップ部105の後方に配置されている。
【0065】
生理用ナプキン1の個包装体(図示せず)は、生理用ナプキン1及び包装シート103を、長手方向第1折軸F1及び長手方向第2折軸F2を基軸として、生理用ナプキン1を内側にして、長手方向第1折軸F1及び長手方向第2折軸F2の順に幅方向Wに折畳み、次いで、幅方向第1折軸F3及び幅方向第2折軸F4を基軸として、生理用ナプキン1を内側にして、幅方向第2折軸F4及び幅方向第1折軸F3の順に長手方向Lに折り畳み、タブ115で個包装体を固定することにより形成されている。
【0066】
生理用ナプキン1は、吸収本体3及び温感本体5を、吸収本体3の吸収体11の排泄口当接域21を着用者の排泄口に当接するように着衣151に配置した際に、温感本体5、特に温感付与シート13が、着用者の下腹部に対応する位置に配置されるように有している。換言すると、吸収本体3の吸収体11の排泄口当接域21と、温感本体5の温感付与シート13との距離は、着用者の排泄口と、下腹部との距離(肌面上の距離)とに概ね等しくなるように構成されている。
【0067】
温感本体5において、温感付与シート13は、3枚の不織布から構成されている。
図3に示されるように、温感付与シート13は、その全体に、第1温感剤を含む第1温感組成物17を保持している。なお、第1温感組成物17の一部は、液透過性シート7の、温感付与シート13側の領域にも保持されている。
また、温感付与シート13の、幅方向Wの長さは、吸収体11の、幅方向Wの長さよりも長く、第1温感組成物17が、吸収体11よりも、幅方向Wに広い領域に配置されるように構成されている。
【0068】
吸収本体3は、通常の生理用ナプキンに相当する。吸収本体3は、第2温感剤を含む第2温感組成物19を、排泄口当接域21の、幅方向Wの両外側に存在する排泄口当接域隣接領域23に保持している。具体的には、排泄口当接域隣接領域23の、吸収体11と、厚さ方向Tに重複する領域では、第2温感組成物19は、吸収体11と、液透過性シート7とに保持されており、そして排泄口当接域隣接領域23の、吸収体11と、厚さ方向Tに重複しない領域では、第2温感組成物19は、液透過性シート7と、液透過性シート7及び液不透過性シート9の間とに保持されている。
【0069】
第1温感組成物17は、TRPチャネルを活性化する第1温感剤5質量%と、溶媒95質量%とから構成されており、第2温感組成物19は、TRPチャネルを活性化する第2温感剤5質量%と、溶媒95質量%とから構成されている。温感本体5は、温感付与シート13に、第1温感組成物17を2.0g/m2の坪量(第1温感剤を0.1g/m2の坪量)で保持し、そして吸収本体3は、排泄口当接域隣接領域23に、第2温感組成物19を10g/m2の坪量(第2温感剤を0.5g/m2の坪量)で保持している。
なお、第1温感組成物17に含まれる第1温感剤と、第2温感組成物19に含まれる第2温感剤とは、いずれもバニリルブチルエーテルである。
【0070】
図4に示されるように、生理用ナプキン1を着衣151に固定し、使用すると、温感本体5において温感付与シート13に含まれる第1温感組成物17が、液透過性シート7を透過して、着用者の肌に接触し、着用者の肌の、第1温感剤が接触している温感剤接触部分のTRPチャネルを効率よく活性化し、ひいては着用者の下腹部に温感を付与することができる。
【0071】
着用者の下腹部に温感を付与することにより、着用者の下腹部の肌の、第1温感剤に接していた温感剤接触部分のTRPチャネルが活性化される結果、交感神経系を介して、温感剤接触部分から熱が生じ、着用者の肌の、温感剤接触部分の温度を上昇させることが期待され、ひいては着用者の子宮に近い部位を温め、着用者の生理痛を緩和することが期待される。
また、着用者の子宮に近い部位を温めることにより、着用者の月経前症候群(Premenstrual Syndrome)、冷え性、更年期障害等を軽減することが期待される。
【0072】
第1実施形態に従う生理用ナプキン1では、吸収本体3の、排泄口当接域隣接領域23に配置された第2温感組成物19が、液透過性シート7を透過して、着用者の排泄口に接触し、着用者の排泄口の、第2温感剤が接触している温感剤接触部分のTRPチャネルを活性化するとともに、着用者の下腹部、特に、温感本体5(第1温感組成物17)と接していた部分における温熱感知時間を短くし、当該部分に痒みが生じるのを抑制することができる。
【0073】
温感本体5における第1温感組成物17、具体的には第1温感組成物17中の第1温感剤はまた、着用者の骨盤内リンパ節(内腸骨節、閉鎖節、外腸骨節、前仙骨節、総腸骨節、基靱帯節、仙骨節、鼠径上節、傍大動脈節等)、鼠径リンパ節(浅鼠径節、深鼠径節等)等に温感を付与することができる。
【0074】
温感本体5の温感付与シート13と、厚さ方向Tに重複する温感付与シート重複部分25の剛軟度が、吸収本体3の吸収体11と、厚さ方向Tに重複する吸収体重複部分27の剛軟度よりも低い。具体的には、温感付与シート重複部分25(液透過性シート7、温感付与シート13、及び液不透過性シート9から構成される)のガーレ法による剛軟度が、吸収体重複部分27(液透過性シート7、吸収体11、及び液不透過性シート9から構成される)のガーレ法による剛軟度よりも低い。そうすることにより、着用者が、陰毛の存在する下腹部に温感を覚えることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えにくい。
なお、ガーレ法による剛軟度の測定方法については後述する。
【0075】
温感付与シート13の厚さは、吸収体11の厚さよりも薄い。そうすることにより、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくくなる。
【0076】
温感本体5は、温感付与シート13と、厚さ方向Tに重複する温感本体中央部29と、温感付与シート13と、厚さ方向Tに重複しない温感本体周縁部31とに区画され、温感本体周縁部31の剛性が、温感本体中央部29の剛性よりも低い。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくい。
【0077】
また、温感本体周縁部31では、エンボス部111は、液透過性シート7及び液不透過性シート9を間欠的に圧搾することにより形成されている。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくい。
【0078】
図5は、本開示の別の実施形態(以下、「第2実施形態」と称する)に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン201を説明するための図であり、着用状態を示す図である。なお、以下、「第2実施形態に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン」を、単に『第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン』と称する場合がある。
【0079】
第2実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201は、ショーツ部203と、吸収性物品部205とから構成されている。吸収性物品部205は、吸収本体207と、温感本体209とを備えている。吸収性物品部205は、吸収本体207において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート(図示せず)と、液不透過性シート(図示せず)と、それらの間に配置された吸収体211とを備えている。また、吸収性物品部205は、温感本体209において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート(図示せず)と、液不透過性シート(図示せず)と、それらの間に配置された、温感付与シート213とを備えている。
【0080】
なお、吸収本体207における液透過性シート(図示せず)と、温感本体209における液透過性シート(図示せず)と、ショーツ部203における液透過性シート(図示せず)は、一体の不織布から構成されている。また、吸収本体207における液不透過性シート(図示せず)と、温感本体209における液不透過性シート(図示せず)と、ショーツ部203における液不透過性シート(図示せず)もまた、一体の合成樹脂フィルムから構成されている。
なお、ショーツ部203と、吸収性物品部205とは、液透過性シート(図示せず)及び液不透過性シート(図示せず)とを圧搾することにより形成されたシール部(図示せず)により区画されている。
【0081】
温感本体209の温感付与シート213は、坪量の高い不織布から構成されている。温感付与シート213は、温感剤(第1温感剤)を保持していないが、坪量が高く、一定の保温性を有するように構成されている。
吸収本体207は、第2温感剤を含む第2温感組成物217を、吸収本体207の排泄口当接域(図示せず)の、幅方向の両外側に存在する排泄口当接域隣接領域(図示せず)に保持している。吸収本体207が保持する第2温感組成物217は、第1実施形態における第2温感組成物19と同様で有り、その作用も同様であることから、説明を省略する。
【0082】
ショーツ型生理用ナプキン201では、温感本体209における温感付与シート213が、保温性を有し、着用者の下腹部に温感を付与することができる。また、吸収本体207の、排泄口当接域隣接領域(図示せず)に配置された第2温感組成物217が、液透過性シート(図示せず)を透過して、着用者の排泄口に接触し、着用者の排泄口の、第2温感剤が接触している温感剤接触部分のTRPチャネルを活性化するとともに、着用者の下腹部に温感を付与することに寄与する。
【0083】
温感本体209の温感付与シート213と、厚さ方向Tに重複する温感付与シート重複部分219の剛軟度が、吸収本体207の吸収体211と、厚さ方向Tに重複する吸収体重複部分221の剛軟度よりも低い。具体的には、温感付与シート重複部分219(液透過性シート(図示せず)、温感付与シート213、及び液不透過性シート(図示せず)から構成される)のガーレ法による剛軟度が、吸収体重複部分221(液透過性シート(図示せず)、吸収体211、及び液不透過性シート(図示せず)から構成される)のガーレ法による剛軟度よりも低い。そうすることにより、着用者が、陰毛の存在する下腹部に温感を覚えることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えにくい。
【0084】
温感付与シート213の厚さは、吸収体211の厚さよりも薄い。そうすることにより、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくくなる。
【0085】
温感本体209は、温感付与シート213と、厚さ方向Tに重複する温感本体中央部223と、温感付与シート213と、厚さ方向Tに重複しない温感本体周縁部225とに区画され、温感本体周縁部225の剛性が、温感本体中央部223の剛性よりも低い。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくい。
【0086】
図6は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第3実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての、大人用の使い捨ておむつ301を説明するための図であり、着用状態を示す図である。なお、以下、「第3実施形態に従う吸収性物品としての使い捨ておむつ」を、単に『第3実施形態に従う使い捨ておむつ』と称する場合がある。
【0087】
第3実施形態に従う使い捨ておむつ301は、吸収本体303と、温感本体305とを備えている。使い捨ておむつ301は、吸収本体303において、着用者の肌に当接する液透過性シート307と、液不透過性シート309と、液透過性シート307及び液不透過性シート309の間に配置された吸収体311とを備えている。また、使い捨ておむつ301は、温感本体305において、液透過性シート307と、液不透過性シート309と、液透過性シート307及び液不透過性シート309の間に配置された温感付与シート313とを備えている。
【0088】
温感付与シート313は、使い捨ておむつ301の着用時に、着用者の下腹部に対応する位置に配置されるように配置されている。
温感付与シート313は、不織布から構成されており、その全体に、第1温感剤及び溶媒を含む第1温感組成物315を保持している。なお、第1温感組成物315の一部は、液透過性シート307の温感付与シート313側の領域にも保持されている。
【0089】
吸収本体303は、第2温感剤及び溶媒を含む第2温感組成物317を、吸収本体303の排泄口当接域(図示せず)の、幅方向の両外側に存在する排泄口当接域隣接領域(図示せず)に保持している。
温感本体305が保持する第1温感組成物315と、吸収本体303が保持する第2温感組成物317とは、それぞれ、第1実施形態における第1温感組成物17及び第2温感組成物19と同様で有り、それらの作用も同様であることから、説明を省略する。
【0090】
使い捨ておむつ301の着用者が女性の場合には、(i)生理痛の要因とされるプロスタグランジンを排出させ、子宮筋等の筋肉を弛緩させ、生理痛を緩和すること、(ii)血行を促進し、リンパ液の流れを促進し、老廃物を排出させ、冷え性を改善し、脂肪を燃焼させること、(iii)免疫力を向上させること等が期待される。
使い捨ておむつ301の着用者が男性の場合には、(i)プロスタグランジンを排出させ、筋肉を弛緩させ、痛みを緩和すること、(ii)血行を促進し、リンパ液の流れを促進し、老廃物を排出させ、冷え性を改善し、脂肪を燃焼させること、(iii)免疫力を向上させること等が期待される。
【0091】
図7は、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第4実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての、生理用ナプキン1を説明するための図である。なお、以下、「第4実施形態に従う吸収性物品としての生理用ナプキン」を、単に『第4実施形態に従う生理用ナプキン』と称する場合がある。
【0092】
第4実施形態に従う生理用ナプキン1では、温感本体5において、温感付与シート13が、その全体に、第1温感剤及び溶媒を含む第1温感組成物17を保持しているが、温感付与シート13の周縁部における第1温感組成物17b中の第1温感剤の坪量が、温感付与シート13の中央における第1温感組成物17a中の第1温感剤の坪量よりも少ない。そうすることにより、温感付与シート13の周縁部において、第1温感剤による温感作用が小さくなり、温熱感知時間に、特に温感付与シート13の周縁部において、着用者が痒みを覚えにくくなる。
【0093】
また、吸収本体3は、第2温感剤を含む第2温感組成物19を、排泄口当接域21と、排泄口当接域21の幅方向Wの両外側に存在する排泄口当接域隣接領域23とに保持している。具体的には、排泄口当接域隣接領域23の、吸収体11と、厚さ方向Tに重複する領域では、第2温感組成物19は、吸収体11と、液透過性シート7とに保持されており、そして排泄口当接域隣接領域23の、吸収体11と、厚さ方向Tに重複しない領域では、第2温感組成物19は、液透過性シート7と、液透過性シート7及び液不透過性シート9の間とに保持されている。
第4実施形態に従う生理用ナプキン1は、上述の部分以外は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
本開示の吸収性物品では、温感本体は、温感付与シートを備えており、温感シートは、温感付与シート単体から構成されていてもよく、そして温感付与シートと、他のシート、例えば、液透過性シートと、液不透過性シートと、液透過性シート及び液不透過性シートの間に配置された温感付与シートとを含むことができる。
【0095】
本開示の吸収性物品では、温感本体の温感付与シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する温感付与シート重複部分の剛軟度が、吸収本体の吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する吸収体重複部分の剛軟度よりも低く、そして温感付与シート重複部分の剛軟度が吸収体重複部分の剛軟度の、好ましくは5~70%、より好ましくは10~60%、そしてより好ましくは20~50%の範囲にある。そうすることにより、着用者が吸収性物品を着用する際に、温感付与シート重複部分が折れ曲がりにくく、ひいては着用者の下腹部に的確に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0096】
本開示の吸収性物品では、温感本体の温感付与シート重複部分の剛軟度は、好ましくは1~15mN、より好ましくは3~10mN、そしてさらに好ましくは4~8mNである。着用者の下腹部に的確に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくする観点からである。
【0097】
上記剛軟度の関係は、温感付与シート重複部分の、吸収性物品の長手方向及び幅方向の中心を中心としたサンプル(以下、剛軟度の測定方法を参照)と、吸収体重複部分の、排泄口当接域の中心を中心としたサンプルとの間で満たすことが好ましく、そして温感付与シート重複部分の任意の部分におけるサンプルと、吸収体重複部分の任意の部分におけるサンプルとの間で満たすことがより好ましい。
【0098】
また、吸収体が、吸収コア(パルプ繊維、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの混合物、高吸水性ポリマーシート等)と、コアラップ(ティッシュ、エアレイドパルプ等)とを含む場合には、上記剛軟度の関係は、吸収体重複部分のうち、吸収コアと、吸収性物品の厚さ方向に重複する吸収コア重複部分において満たすことが好ましい。着用者が硬さを覚えやすいのは、吸収体の吸収コアの部分だからである。
【0099】
さらに、上記剛軟度の関係は、吸収性物品の幅方向において満たすことが好ましく、そして吸収性物品の長手方向及び幅方向の両方で満たすことが好ましい。着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくする観点からである。
【0100】
本明細書では、上記剛軟度は、以下の通り測定され、記載されていない事項は、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7.4 ガーレ法」に従う。
(1)恒温恒湿室(温度:25±5℃,相対湿度:65±5%)に、安田精機製作所社製のNo.311ガーレー式柔軟度試験機を準備する。
(2)上記恒温恒湿室に、測定すべき試料を、展開状態で24時間静置する。
【0101】
(3)試料から長さL=38mm及び幅d=25mmのサンプルを、長さLが所定の方向(例えば、吸収性物品の長手方向、幅方向)に延びるように切り出す。なお、吸収性物品が、個包装されている場合には、測定前に、包装シートを除去する。
(4)サンプルを、サンプルの長手方向の一方の端部6.3mmがチャック部に保持されるように且つサンプルの長手方向の他方の端部6.3mmが振り子Bに接触するようにセットする。
【0102】
(5)可動アームを定速回転させ、サンプルが振り子Bから離れる際の目盛り(RG
1)を読む(1回目)。次いで、サンプルの表裏を反対にして、サンプルをガーレー式柔軟度試験機にセットし、サンプルが振り子Bから離れる際の目盛り(RG
2)を読む(2回目)。
(6)以下の式から、剛軟度(mN)を計算する。
剛軟度(mN)
【数1】
(7)異なるサンプルで、上述の測定を計5回繰り返し、上記剛軟度の平均値を採用する。
【0103】
本開示の吸収性物品では、温感付与シートの厚さが、吸収体の厚さよりも薄いことが好ましく、そして温感付与シートの厚さが、吸収体の厚さの、より好ましくは1~60%、さらに好ましくは2~50%、そしてさらにいっそう好ましくは3~40%の範囲にある。そうすることにより、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
なお、温感シート及び吸収体の厚さは、後述の繊維密度の測定における、サンプル片の厚さと同様に測定する。
【0104】
本開示の吸収性物品では、温感本体における温感付与シートは、温感剤を保持していてもよく、そして保持していなくともよい。温感付与シートが温感剤を保持していない場合であっても、温感付与シートが一定の保温性を有する場合には、着用者が、下腹部に温感を覚えることができるからである。
【0105】
着用者の下腹部に確実に温感を付与する観点からは、温感本体における温感付与シートが、温感剤を保持していることが好ましい。
なお、着用者の下腹部に確実に温感を付与する観点からは、温感本体が、温感付与シート重複部分の剛軟度が、吸収体重複部分の剛軟度よりも低いとの条件を満たす範囲で、鉄粉等の発熱体を保持していてもよい。
【0106】
本開示の吸収性物品では、吸収本体が、温感剤を保持していてもよく、そして保持していなくともよい。
本開示の吸収性物品において、温感本体における温感付与シートが温感剤を保持している場合には、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくするとともに、着用者の下腹部に確実に温感を付与する観点からは、吸収本体が、温感剤を保持していることが好ましい。
【0107】
本開示の吸収性物品において、吸収本体が温感剤を保持している場合には、吸収本体は、温感剤を、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複しない領域等に保持することができる。
吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域では、温感剤は、吸収体、液透過性シート等に保持されうる。また、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複しない領域では、温感剤は、液透過性シートと、液不透過性シートとの間等に保持される。
【0108】
また、本開示の吸収性物品において、吸収本体が温感剤を保持している場合には、吸収本体は、温感剤を、着用者の排泄口に当接する排泄口当接域の、吸収性物品の幅方向の両外側に配置される排泄口当接域隣接領域等に保持することができる。
また、上記排泄口当接域隣接領域に配置される温感剤は、排泄口当接域隣接領域のみに配置されていてもよく、そして排泄口当接域隣接領域を超え、吸収本体の長手方向に延びていてもよく、そして温感本体に配置される温感剤と連結されていてもよい。また、吸収本体の長手方向において、臀部から後方にかけては汗をかきやすいので、温感剤を配置しなくてもよい。
【0109】
本開示の吸収性物品では、温感本体及び吸収体は、温感剤を単体として保持してもよく、そして温感剤を、温感剤を含む温感組成物(例えば、温感剤及び溶媒を含む温感組成物)として保持してもよい。
上記温感組成物は、室温、例えば、25℃において、液状又は固形状であることができる。また、着用者への移動のしやすさを考慮すると、上記温感組成物は、体温に相当する36℃において、液状であることが好ましい。
【0110】
本明細書では、温感本体が保持しうる「温感剤」及び「温感組成物」を、それぞれ、『第1温感剤』及び『第1温感組成物』と称する場合があり、そして吸収本体が保持しうる「温感剤」及び「温感組成物」を、それぞれ、『第2温感剤』及び『第2温感組成物』と称する場合があり、「第1温感剤」及び「第2温感剤」を『温感剤』と総称することが有り、そして「第1温感組成物」及び「第2温感組成物」を『温感組成物』と総称することが有る。
【0111】
なお、本明細書では、温感剤及び温感組成物に関する「第1」及び「第2」は、それらが配置される位置が異なることを意味するものであって、それらの組成が異なることを意味するものではなく、それらが同一の組成を有していてもよい。
【0112】
上記温感剤は、TRPチャネルを活性化するものであることが好ましく、例えば、TRPV1レセプターに対するアゴニスト、TRPV3レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPV1に対するアゴニストであることが好ましい。TRPV1レセプターは、活性化温度閾値が43℃超と高く、着用者に高い温感を付与することができるからである。
【0113】
上記温感剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。上記温感剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン(LD50:47mg/kg,分子量:305)、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル(LD50:2,188mg/kg,分子量:213)、ニコチン酸β-ブトキシエチル、N-アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル(LD50:4,900mg/kg,分子量:210)、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール(LD50:250mg/kg,分子量:294)、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0114】
上記温感剤は、着用者が痛さ、痒さ等を感じにくい観点から、カプサイシンではないことが好ましく、そしてバニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテルショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、及びジンゲロン、並びにそれらの任意の組み合わせがより好ましい。
【0115】
上記溶媒は、上記温感剤を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。上記溶媒は、上記温感剤を、例えば、溶解、分散等することができる。
上記親油性溶媒としては、油脂、例えば、天然油(例えば、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル等)、炭化水素(例えば、パラフィン、例えば、流動パラフィン)等が挙げられる。
上記親水性溶媒は、水及びアルコールが挙げられる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0116】
上記溶媒は、揮発性を制御しやすい、特に揮発性を下げやすい観点からは、油脂(親油性溶媒)又はアルコール(親水性溶媒)であることが好ましい。また、吸収性物品の吸収性を阻害しにくい観点から、上記溶媒は親油性溶媒であることが好ましい。
【0117】
本開示の吸収性物品において、温感本体及び/又は吸収本体が、温感剤を温感組成物として保持する場合には、温感組成物は、上記温感剤を、好ましくは0.0001~5.0質量%、より好ましくは0.0005~3.0質量%、さらに好ましくは0.1~1.0質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~0.7質量%含む。温感効果の観点からである。
【0118】
本開示の吸収性物品において、温感本体が第1温感剤を単体で保持する場合には、温感本体は、第1温感剤を、好ましくは0.001~1g/m2、より好ましくは0.003~0.5g/m2、さらに好ましくは0.01~0.25g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは0.05~0.15g/m2の坪量で含む。着用者の下腹部に温感を付与しつつ、着用者の下腹部に痒みを覚えにくくする観点からである。
【0119】
本開示の吸収性物品において、温感本体が、第1温感剤を第1温感組成物として保持する場合には、温感本体は、第1温感組成物を、第1温感剤の坪量が、好ましくは0.001~1g/m2、より好ましくは0.003~0.5g/m2、さらに好ましくは0.01~0.25g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは0.05~0.15g/m2となるような坪量で含む。着用者の下腹部に温感を付与しつつ、着用者の下腹部に痒みを覚えにくくする観点からである。
【0120】
本開示の吸収性物品において、吸収本体が、第2温感剤を単体で保持する場合には、吸収本体は、第2温感剤を、好ましくは0.01~10g/m2、より好ましくは0.03~5g/m2、さらに好ましくは0.1~2.5g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~1.5g/m2の坪量で含む。着用者の下腹部に温感を付与しつつ、着用者の下腹部に痒みを覚えにくくする観点からである。
【0121】
本開示の吸収性物品において、吸収本体が、第2温感剤を第2温感組成物として保持する場合には、吸収本体は、第2温感組成物を、第2温感剤の坪量が、好ましくは0.01~10g/m2、より好ましくは0.03~5g/m2、さらに好ましくは0.1~2.5g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~1.5g/m2となるような坪量で含む。着用者の下腹部に温感を付与しつつ、着用者の下腹部に痒みを覚えにくくする観点からである。
【0122】
本開示の吸収性物品において、温感本体及び吸収本体が、温感剤を、単体で又は温感組成物として保持する場合には、温感本体が保持している第1温感剤の坪量は、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量に対して、好ましくは0.01倍以上、より好ましくは0.05倍以上、そしてさらに好ましくは0.1倍以上である。着用者の下腹部に温感を付与しつつ、着用者の下腹部に痒みを覚えにくくする観点からである。
【0123】
本開示の吸収性物品において、温感本体及び吸収本体が、温感剤を、単体で又は温感組成物として保持する場合には、温感本体が保持している第1温感剤の坪量は、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量に対して、任意であり、温感本体が保持している第1温感剤の坪量は、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも、少なくともよく、多くともよく、そして温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量と同一であってもよい。
【0124】
温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも少ない場合には、温感本体が保持している第1温感剤の坪量は、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量に対して、好ましくは1.0倍未満、より好ましくは0.5倍以下、そしてさらに好ましくは0.3倍以下である。それにより、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に温感を付与しつつ、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えにくくすることができる。
【0125】
また、温感本体が保持している第1温感剤の坪量が、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量よりも多い場合には、例えば、温感本体が保持している第1温感剤の坪量は、吸収本体が保持している第2温感剤の坪量に対して、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.6倍以上、そしてさらに好ましくは1.9倍以上である。それにより、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に痒みを覚えにくくしながら、着用者の下腹部(特に着用者の吸収本体に接している部分)に高い温感を付与することができるとともに、吸収性物品の吸収性を阻害しにくくなる。
【0126】
本開示の吸収性物品において、温感本体及び吸収本体が、それぞれ、温感剤を単体として保持する場合には、第1温感剤と、第2温感剤とは、同一種であってもよく、そして異なる種であってもよい。着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくする観点から、第1温感剤の種類及び量と、第2温感剤の種類及び量とを選択可能である。
【0127】
また、本開示の吸収性物品において、温感本体及び吸収本体が、それぞれ、温感剤を温感組成物として保持する場合には、第1温感組成物に含まれる第1温感剤と、第2温感組成物に含まれる第2温感剤とは、同一種であってもよく、そして異なる種であってもよい。着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に痒みを覚えさせにくくする観点から、第1温感剤の種類及び量と、第2温感剤の種類及び量とを選択可能である。
【0128】
本明細書では、温感剤及び温感組成物の坪量は、以下の通り測定される。
(1)複数枚の吸収性物品を準備し、液体窒素にて、各吸収性物品中の温感剤及び温感組成物を固化させる。
(2)温感剤及び温感組成物を固化させた吸収性物品から、カッター等を用いて、所望の領域のサンプルを、平面方向の所定面積:S1(m2)を有するようにカッター等を用いて切り出す。
なお、各サンプルは、吸収体、温感付与シート、液不透過性シート等を含むように切り出してもよい。
(3)各サンプルの質量:m1(g)を測定する。
(4)各サンプルを、温感剤又は温感組成物の極性に合わせた洗浄溶媒(例えば、温感組成物の溶媒が親油性溶媒である場合にはトルエン、温感組成物の溶媒が親水性溶媒である場合にはエタノール等)で洗浄する。
【0129】
(5)洗浄後の各サンプルを、70℃で1時間乾燥し、乾燥後の質量:m2(g)を測定する。
(6)各サンプルの温感溶液の坪量:bs(g/m2)を、次の式:
bs(g/m2)=(m1-m2)/S1
から算出する。
(7)異なる吸収性物品を用いて、各サンプルの温感剤又は温感組成物の坪量を、計10回測定し、それらの平均値を、所望の領域の温感剤又は温感組成物の坪量として採用する。温感組成物中の温感剤の比率は、温感組成物を、当技術分野で公知の分析手段を用いて分析することにより測定することができる。
なお、温感剤又は温感組成物の坪量の高低であれば、光学顕微鏡等を用いて、目視で評価することができる。
【0130】
本開示の吸収性物品において、温感本体及び/又は吸収本体が、温感剤を温感組成物として保持する場合には、温感組成物は、着用者に温感を付与する効果を阻害しない範囲で、下記に示されるような、少なくとも1種の他の成分とを含むことができる。
【0131】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、冷感剤が挙げられる。上記冷感剤としては、例えば、TRPチャネルを活性化するものが挙げられ、上記冷感剤としては、例えば、TRPM8レセプターに対するアゴニスト、TRPA1レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPM8レセプターに対するアゴニストであることが好ましい。
【0132】
上記冷感剤としては、例えば、メントール(例えば、l-メントール)及びその誘導体(例えば、乳酸メンチル、メンチルグリセリルエーテル、例えば、l-メンチルグリセリルエーテル)、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。
本願発明者は、温感組成物が、TRPチャネルを活性化する温感剤に加え、TRPチャネルを活性化する冷感剤をさらに含む場合には、着用者が、上述の温熱感知時間に、温感組成物と接している部分及びその周辺部に痒みを覚えにくいことを見出した。
【0133】
本開示の吸収性物品において、温感組成物が冷感剤をさらに含む場合には、温感組成物は、冷感剤を、好ましくは0.0001~5.0質量%、より好ましくは0.0005~3.0質量%、さらに好ましくは0.1~1.0質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.3~0.7質量%含む。着用者が温熱感知時間に痒みを覚えにくく且つ過度の冷感を覚えにくい観点からである。
【0134】
本開示の吸収性物品において、温感組成物が冷感剤をさらに含む場合には、上記温感組成物は、上記温感剤及び冷感剤を、好ましくは20:1~1:10、より好ましくは10:1~1:5、そしてさらに好ましくは2:1~1:1の質量比で含む。着用者が、温熱感知時間に痒みを感じにくいとともに、冷感を覚えにくく且つ温感を覚えやすい観点からである。
【0135】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、気化熱により周囲の温度を下げる冷却剤が挙げられ、当該冷却剤として、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。
【0136】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、酸化防止剤、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0137】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ビタミン、例えば、天然ビタミン又は合成ビタミンが挙げられる。上記ビタミンとしては、例えば、水溶性ビタミン、例えば、ビタミンB群、例えば、ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンB3,ビタミンB5,ビタミンB6,ビタミンB7,ビタミンB9,ビタミンB12等、ビタミンCが挙げられる。
上記ビタミンとしては、例えば、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA群、ビタミンD群、ビタミンE群、およびビタミンK群等が挙げられる。
上記ビタミンにはまた、それらの誘導体も含まれる。
【0138】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等、並びにペプチドが挙げられる。
【0139】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ゼオライト、例えば、天然ゼオライト、例えば、方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、及びトムソナイト、並びに、合成ゼオライトが挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド、プラセンタ、コラーゲン、エラスチン、スクワラン、ワセリン、トレハロース等が挙げられる。
【0140】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、薬剤、例えば、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤等が挙げられる。
上記皮膚収斂剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸等、油溶性皮膚収斂剤、例えば、油溶性ポリフェノールが挙げられる。上記油溶性ポリフェノールとしては、天然の油溶性ポリフェノール、例えば、オオバクエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、ゴボウエキス、サルビアエキス、シナノキエキス、セイヨウボダイジュエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、サルビアエキス、テウチグルミエキス、ハイビスカスエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
【0141】
上記抗ニキビ剤としては、例えば、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛等が挙げられる。
上記抗シワ剤としては、例えば、乳酸、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フィチン酸、リポ酸、リソフォスファチド酸が挙げられる。
【0142】
上記抗セルライト剤としては、例えば、キサンチン化合物、例えば、アミノフィリン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等が挙げられる。
上記美白剤としては、例えば、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、グルコサミン及び誘導体、フィトステロール誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、並びにクワ抽出物及び胎盤抽出物が挙げられる。
【0143】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤、香料、色素、染料、顔料、植物抽出エキス等が挙げられる。上記抗炎症成分としては、例えば、天然由来の抗炎症剤、例えば、ボタン、オオゴン、オトギリソウ、カモミール、甘草、モモノハ、ヨモギ、シソエキス等、合成抗炎症剤、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、肌を弱酸性に保つためのもの、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
【0144】
本開示の吸収性物品では、温感本体及び/又は吸収本体は、発熱剤を含まないことが好ましい。そうすることにより、着用者が、低温やけどを起こしにくくなる。また、吸収性物品自体が発熱しないため、吸収性物品を着衣、肌当に固定するための粘着部が軟化しにくく、吸収性物品の使用を終え、吸収性物品を着衣、着用者の肌等から取り外す際に、吸収性物品の粘着部が、着衣、肌等に残りにくい。
【0145】
上記発熱剤としては、発熱剤自体が発熱するものであれば、特に制限されず、例えば、金属粉(例えば、鉄粉)の酸化熱、酸及びアルカリの中和熱、無機塩の水和熱等の化学エネルギーを利用するものが挙げられる。
【0146】
本開示の吸収性物品では、温感本体が、温感付与シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する温感本体中央部(すなわち、温感付与シート重複部分)と、温感付与シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画されるとともに、温感本体周縁部の剛性が、温感本体中央部の剛性よりも低いことが好ましい。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
なお、上記剛性の高低は、温感本体中央部と、温感本体周縁部とに触れることにより判断することができる。
【0147】
本開示の吸収性物品では、温感本体が、上述の温感本体中央部と、温感本体周縁部とに区画される場合において、温感本体周縁部が、液透過性シート及び液不透過性シートを連続的又は間欠的に圧搾することにより形成された、温感本体周縁部に沿って連続的又は間欠的に配置されたエンボス部を備えることができ、そして当該エンボス部が、温感本体周縁部に沿って間欠的に配置されたものであることが好ましい。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0148】
本開示の吸収性物品において、液透過性シートは、液透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、布帛(例えば、不織布、織布、編物)、開孔フィルム等から構成される。上記布帛は、吸収性物品の製法のしやすさの観点から不織布であることが好ましい。
上記不織布としては、例えば、エアレイドパルプ、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
【0149】
上記布帛を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、及び半合成繊維が挙げられる。上記天然繊維としては、パルプ繊維及び再生セルロース繊維が挙げられる。
上記再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン、ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン繊維(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
上記半合成繊維としては、半合成セルロース繊維、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
【0150】
上記合成繊維としては、例えば、熱融着性繊維、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタレート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート,ポリペンチレンテレフタレート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6若しくはナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。
【0151】
上記開孔フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのシートに、複数の開孔部を設けたものが挙げられる。
【0152】
本開示の吸収性物品において、温感付与シートの素材としては、液透過性シートの素材として列挙されるもの、後述の液不透過性シートとして列挙されるもの等が挙げられる。
上記温感付与シートは、吸収本体における液透過性シート、液不透過性シートと一体のシートであってもよく、それらと別体のシートであってもよい。
上記温感付与シートは、好ましくは10~200g/m2、より好ましくは20~160g/m2、さらに好ましくは30~140g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは40~120g/m2の坪量を有する。
【0153】
本開示の吸収性物品では、温感本体及び/又は吸収本体が、吸収性物品の厚さ方向に、温感剤を保持しうる層を、上層及び下層の2層以上備える場合には、それらの層を制御することにより、温感本体及び/又は吸収本体に、オンデマンド性を付与することができる。例えば、上層としての液透過性シートと、下層としての温感付与シート、吸収体等との極性(親油性度及び親水性度)を調整することにより、吸収性物品がオンデマンド性を有することができる。
【0154】
例えば、温感本体及び/又は吸収本体が、親油性溶媒を含む温感組成物を保持している合は、下層の親油性度が、上層の親油性度よりも高いことが好ましい。温感本体及び/又は吸収本体に力が加わらない状況下では、温感組成物が、下層に留まりやすく、温感本体及び/又は吸収本体に力が加わると、温感組成物が上層、ひいては着用者に移動しやすくなるからである。
【0155】
例えば、温感本体及び/又は吸収本体が、親水性溶媒を含む温感組成物を保持している合は、下層の親水性度が、上層の親水性度よりも高いことが好ましい。温感本体及び/又は吸収本体に力が加わらない状況下では、温感組成物が、下層に留まりやすく、温感本体及び/又は吸収本体に力が加わると、温感組成物が上層、ひいては着用者に移動しやすくなるからである。
【0156】
例えば、上層が液透過性シートである場合には、液透過性シートは、親水性又は親油性を有することができる。親水性を有する液透過性シートは、液透過性シートを構成する素材を、当技術分野で公知の親水化剤で処理する(例えば、親水化剤を塗工する、親水化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親水化剤としては、例えば、アルキルホスフェートエステル塩、アルキルホスフェート金属塩等が挙げられる。また、上記親水化剤としては、例えば、炭素数が10~30のアルキルホスフェートエステル塩と、炭素数が10~30のベタイン化合物、硫酸エステル塩又はスルホネート塩との混合物、アルキルホスフェートエステル塩とポリエーテル変性シリコーンとの混合物等が挙げられる。
【0157】
親油性を有する液透過性シートとしては、液透過性シートを構成する素材を、当技術分野で公知の親油化剤で処理する(例えば、親油化剤を塗工する、親油化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親油化剤としては、脂肪酸エステル(例えば、トリグリセリド)、炭化水素(例えば、直鎖状炭化水素)が挙げられる。
【0158】
本願発明者は、温感剤を含む吸収性物品では、温熱感知時間が、発熱剤(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して長くなる傾向にあり、当該温熱感知時間の間に、着用者が痒みを覚えやすいことに加え、温感剤を含む吸収性物品では、発熱剤(例えば、鉄粉)を含む発熱物品と比較して、着用者の肌の状態(例えば、着用者の肌の乾燥度等)によって、温感の覚え方に差があることを見出した。例えば、着用者の肌が水分で湿潤している場合には、着用者の肌が乾燥している場合と比較して、着用者の肌の主に角質層が膨潤した状態を保持しやすく、温感剤が、主に角化細胞(ケラチノサイト)に存在するTRPチャネルに到達しやすくなるため、温感を覚えやすい(温熱感知時間が短い)。
【0159】
従って、本開示の吸収性物品にオンデマンド性を付与することにより、着用者が温感本体及び/又は吸収本体を、吸収性物品の厚さ方向に押し込むことにより、温感本体及び/又は吸収本体から温感剤が放出され、温感剤が、着用者の肌に到達し、押し込む前よりも、着用者により温感を付与することができ、着用者が温感を調整することができるようになる。上記オンデマンド性は、温感本体に付与することが好ましい。着用者の押込みやすさの観点からである。
【0160】
本開示の吸収性物品にオンデマンド性を付与するときには、上記液透過性シートは、好ましくは0.005~0.060g/cm3、より好ましくは0.010~0.050g/cm3、そしてさらに好ましくは0.020~0.040g/cm3の繊維密度を有する布帛であることが好ましい。上層としての液透過性シートと、下層との繊維密度を調整することにより、吸収性物品がオンデマンド性を有することができる。
上記繊維密度の測定方法は、後述する。
【0161】
本開示の吸収性物品にオンデマンド性を付与するときには、液透過性シートは、30g/cm2の荷重時の厚さが、3g/cm2荷重時の厚さの、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、そしてさらに好ましくは50%以下である布帛であることが好ましい。そうすることにより、着用者が温感本体及び/又は吸収本体を、その厚さ方向に押し込んだ際に、液透過性シートが潰れやすくなり、温感本体及び/又は吸収本体が保持する温感剤を、着用者の肌に接触させやすくなり、ひいては吸収性物品のオンデマンド性が向上する。
【0162】
本開示の吸収性物品にオンデマンド性を付与するときには、液透過性シートは、10g/cm2の荷重時の厚さが、3g/cm2荷重時の厚さの、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、そしてさらに好ましくは90%以上である布帛であることが好ましい。そうすることにより、着衣等の着圧では液透過性シートが潰れにくくなり、着圧により、液透過性シートが保持する温感剤を着用者の肌に接触させにくくなり、ひいては吸収性物品のオンデマンド性が向上しやすくなる。
【0163】
本明細書では、30g/cm2、10g/cm2及び3g/cm2荷重時の厚さは、以下の通り測定される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、株式会社大栄科学精器製作所製 FS-60DSを準備し、同恒温恒湿室に、液透過性シート (以下、「サンプル」と称する)を24時間静置する。
(2)サンプルの厚さを、場所を変えて10点測定し、それらの平均値を、サンプルの厚さとして採用する。
荷重は、測定子を変更することにより調整する。荷重:3g/cm2の条件では、直径:44mmの測定子を用い、荷重:10g/cm2の条件では、直径:25mmの測定子を用い、そして荷重:30g/cm2の条件では、直径:14mmの測定子を用いる。
【0164】
上記液透過性シートは、好ましくは10~100g/m2、そしてより好ましくは20~50g/m2の坪量を有する。上記液透過性シートの坪量は、後述の繊維密度の測定における、サンプル片の坪量と同様に測定する。吸収性物品を構成する他の資材についても同様である。
【0165】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合には、温感付与シートが、親水性又は親油性を有することができる。親水性を有する温感付与シートは、温感付与シートを構成する素材を、当技術分野で公知の親水化剤で処理する(例えば、親水化剤を塗工する、親水化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親水化剤としては、液透過性シートの説明の箇所で列挙した親水化剤が挙げられる。液透過性シート及び温感付与シート間の極性(親油性度及び親水性度)を調整することにより、温感本体がオンデマンド性を有することができる。
【0166】
親油性を有する温感付与シートとしては、温感付与シートを構成する素材を、当技術分野で公知の親油化剤で処理する(例えば、親水化剤を塗工する、親水化剤を練り込む)ことにより形成されうる。上記親油化剤としては、液透過性シートの説明の箇所で列挙した親油化剤が挙げられる。
【0167】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合には、温感付与シートが布帛で有ることが好ましく、そして温感付与シートが、好ましくは0.010~0.500g/cm3、より好ましくは0.020~0.300g/cm3、そしてさらに好ましくは0.030~0.100g/cm3の繊維密度を有する。
【0168】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合には、液透過性シート布帛で有ることが好ましく、そして液透過性シートが、温感付与シートよりも、好ましくは0.005g/cm3以上、より好ましくは0.010g/cm3以上、さらに好ましくは0.015g/cm3以上、さらに好ましくは0.020g/cm3以上、さらに好ましくは0.025g/cm3以上、そしてさらに好ましくは0.030g/cm3以上の差で小さい繊維密度を有する。そうすることにより、力等の加わっていない状態では、第1温感剤、特に第1温感組成物は、繊維密度が高い温感付与シートに保持されやすくなり、着用者が、吸収性物品を押し込むと、第1温感剤、特に第1温感組成物が液透過性シートに移動し、次いで、着用者の肌に移動しやすくなる。
【0169】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合には、液透過性シート布帛で有るとともに、液透過性シートが、温感付与シートよりも、好ましくは0.440g/cm3以下、より好ましくは0.300g/cm3以下、さらに好ましくは0.250g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.200g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.150g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.100g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.060g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.045g/cm3以下、さらにいっそう好ましくは0.040g/cm3以下、そしてさらにいっそう好ましくは0.035g/cm3以下の差で小さい繊維密度を有する。そうすることにより、着用者が、吸収性物品を押し込むと、第1温感剤、特に第1温感組成物が液透過性シートに移動し、次いで、着用者の肌に移動しやすくなる。
【0170】
液透過性シート及び温感付与シートの繊維密度は、以下の通り測定される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、株式会社大栄科学精器製作所製 FS-60DS[測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2]を準備し、同恒温恒湿室に、液透過性シート及び/又は温感付与シート(以下、「サンプル」と称する)を24時間静置する。
(2)上記サンプルから、0.1m×0.1mのサイズのサンプル片を10枚採取する。
(3)各サンプル片の質量を測定し、次いで、各サンプル片の質量(g)を、各サンプル片の面積(m2)で除することにより、各サンプル片の坪量:bw(g/m2)を算出する。
【0171】
(4)FS-60DSを用いて、各サンプル片の異なる5つの部位を加圧し、各部位における加圧10秒後の厚さを測定し、5つの測定値の平均値を、各サンプル片の厚さ:t(m)とする。
(5)各サンプル片において、サンプル片の坪量:bw(g/m2)を、サンプル片の厚さ:t(m)で除し、単位を調整することにより、各サンプル片の繊維密度:fd(g/cm3)を算出する。
(6)計10枚のサンプル片の繊維密度:fd(g/cm3)の平均値を算出し、当該平均値を繊維密度:FD(g/cm3)として採用する。
【0172】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合であって、温感本体が、親油性溶媒を含む第1温感組成物を保持しているときには、温感付与シートの親油性度が、液透過性シートの親油性度よりも高いことが好ましい。そうすることにより、親油性溶媒を含む第1温感組成物が、液透過性シートよりも温感付与シートに存在しやすくなり、そして着用者が吸収性物品を押し込むと、温感付与シートから第1温感組成物が放出され、液透過性シートに移動し、液透過性シートを通過した第1温感組成物が、着用者の肌に到達し、着用者に温感を付与することができる。また、着用者が吸収性物品を押し込むことをやめると、温感付与シートの親油性度と、液透過性シートの親油性度との差により、着用者の肌に到達した第1温感組成物が、徐々に温感付与シートに戻る。従って、着用者が温感をより制御しやすくなり、温感本体が、オンデマンド性に優れやすくなる。
【0173】
本開示の吸収性物品において、温感本体がオンデマンド性を有する場合であって、温感本体が、親水性溶媒を含む第1温感組成物を保持しているときには、温感付与シートの親水性度が、液透過性シートの親水性度よりも高いことが好ましい。吸収性物品のオンデマンド性を向上させる観点からである。そうすることにより、親水性溶媒を含む第1温感組成物が、液透過性シートよりも温感付与シートに存在しやすくなり、そして着用者が吸収性物品を押し込むと、温感付与シートから第1温感組成物が放出され、液透過性シートに移動し、液透過性シートを通過した第1温感組成物が、着用者の肌に到達し、着用者に温感を付与することができる。また、着用者が吸収性物品を押し込むことをやめると、温感付与シートの親水性度と、液透過性シートの親水性度との差により、着用者の肌に到達した第1温感組成物が、徐々に温感付与シートに戻る。従って、着用者が温感をより制御しやすくなり、上記吸収性物品が、オンデマンド性に優れやすくなる。
【0174】
上記親油性度の高低及び親水性度の高低は、以下の通り評価される。
(1)温度:20±5℃及び湿度:65±5%RHの恒温恒湿室に、協和界面化学株式会社の自動極小接触角計MCA-Jを準備し、同恒温恒湿室に、液透過性シート及び温感付与シート(以下、「サンプル」と称する)を24時間静置する。
(2)MCA-Jのインクジェットから、脱イオン水の微小液滴(20pL)を、測定すべきサンプルの表面(サンプルが布帛の場合には繊維の表面、サンプルがシートの場合にはシートの表面)に滴下し、微小液滴の様子を経時で録画する。
(3)サンプルの表面に微小液滴が付着した直後の画像を画像解析し、微小液滴の、サンプルの表面に対する接触角を算出する。
(4)接触角は、異なる繊維20本の計20カ所の測定値の平均値を採用する。
(5)接触角が大きいサンプルを、親油性が高いサンプル(親水性が低いサンプル)とし、接触角の小さいサンプルを、親油性の低いサンプル(親水性の高いサンプル)とする。
【0175】
本開示の吸収性物品において、吸収性物品を構成する資材、好ましくは、着用者の肌に当接する肌当接シート(例えば、液透過性シート)は、発熱性素材、断熱性素材及び吸湿性素材、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される素材(以下、単に「機能性素材」と称する場合がある)を含むことができる。
吸収性物品を構成する資材が、上述の所定の機能性素材を含むと、着用者の蒸散、汗等による水分により、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤しやすくなり、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0176】
上記発熱性素材としては、(i)吸湿発熱性素材(吸湿発熱性繊維、吸湿発熱性シート等)、(ii)蓄熱素材(蓄熱繊維、蓄熱シート等)、(iii)遠赤外線放射素材(遠赤外線放射繊維、遠赤外線放射シート等)が挙げられる。
【0177】
上記吸湿発熱性素材としては、例えばアクリレート系素材、羊毛等が挙げられる。上記蓄熱素材としては、例えば、太陽光を吸収し、熱エネルギーに変換する物質(炭化ジルコニウム等)を含む素材、カーボン素材等が挙げられる。上記遠赤外線放射素材としては、例えば、加熱されると、遠赤外線を放射するセラミックスを含む素材が挙げられる。
上記断熱性素材としては、中空繊維、羽毛等が挙げられる。
上記吸湿性素材としては、上述の天然繊維、半合成繊維等が挙げられる。
【0178】
具体的には、本開示の吸収性物品において、吸収性物品を構成する資材、例えば、液透過性シートが吸湿発熱性素材、例えば、吸湿発熱性繊維を含む場合には、着用者の肌からの蒸散、汗等の水分が提供されると、吸湿発熱性繊維が発熱し、着用者が汗をかきやすくなる。次いで、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤し、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0179】
また、吸収性物品を構成する資材、例えば、液透過性シートが、蓄熱素材又は遠赤外線放射素材を含む場合にも、着用者が汗をかきやすくなり、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤し、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0180】
また、吸収性物品を構成する資材、例えば、液透過性シートが断熱性素材を含む場合には、着用者が汗をかきやすくなり、着用者の汗の水分により、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤し、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0181】
また、吸収性物品を構成する資材、例えば、液透過性シートが吸湿性素材を含む場合には、吸湿性素材が、着用者の蒸散、汗等の水分を保持し、着用者の肌の主に角質層を水分で膨潤させやすくなり、温感剤が、主に角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0182】
本開示の吸収性物品において、液不透過性シートの素材としては、液不透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、フィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等から構成される透湿性フィルム、非透湿性フィルム、スパンボンド又はスパンレース等の不織布に透湿性フィルムを接合したもの、SMS等の複層不織布等が挙げられる。
上記液不透過性シートは、好ましくは10~50g/m2、そしてより好ましくは15~30g/m2の坪量を有する。
【0183】
本開示の吸収性物品では、液不透過性シートが非透湿性フィルムから構成されることが好ましい。そうすることにより、温感本体及び吸収本体に接する着用者の肌に存在する水分、水蒸気等が、液不透過性シートを透過して吸収性物品の外に排出されにくくなり、着用者の肌の主に角質層が水分で膨潤した状態を保持しやすく、温感剤が、角化細胞(ケラチノサイト)に主に存在するTRPチャネルに到達しやすくなる。その結果、温熱感知時間が短くなり、着用者が、温熱感知時間に痒みを覚えにくくなる。
【0184】
上記温感付与シートは、第1温感剤を含むことができる。上記温感本体が、親油性溶媒を含む第1温感組成物を保持している場合には、上記温感付与シートは、合成繊維から形成された布帛、例えば、不織布、織布、編物等であることができ、例えば、合成繊維から形成された不織布であることができる。また、吸収性物品が親水性溶媒を含む第1温感組成物を保持しているときには、上記温感付与シートは、セルロース系繊維から構成される布帛、例えば、不織布、織布、編物等であることができ、例えば、パルプ繊維から構成されるティッシュ、エアレイドパルプ等であることができる。
【0185】
本開示の吸収性物品では、温感本体は、液透過性シート及び液不透過性シートの間、具体的には、液透過性シート及び温感付与シートの間、並びに/又は温感付与シート及び液不透過性シートの間に追加のシートを含むことができる。
また、本開示の吸収性物品では、吸収本体は、液透過性シート及び液不透過性シートの間に、当技術分野で公知の追加のシート、例えば、液透過性及び吸収体の間の拡散シートを含むことができる。
上記追加のシートとしては、例えば、液透過性シートの素材として列挙されるもの、ティッシュ等が挙げられる。
【0186】
上記吸収体としては、コアラップが、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む吸収コアを覆っているもの、コアラップが、高吸水性ポリマーを含む吸収コア又は高吸水性ポリマーから成る吸収コアを覆っているもの等が挙げられる。上記コアラップとしては、ティッシュ、エアレイドパルプ等が挙げられる。
【0187】
本開示の吸収性物品は、当該吸収性物品を着衣、着用者の肌等に固定する粘着部を備えていることができ、当該粘着部としては、ホットメルト接着剤、例えば、例えば、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。
【0188】
本開示の吸収性物品は、使用される前に包装シートで包装されていることが好ましい。吸収性物品が保持する温感剤を保護する観点、吸収性物品が保持する温感剤を外部に漏らさない観点等からである。例えば、本開示の吸収性物品は、一又は複数の吸収性物品が包装シートで包装された包装体であることが好ましく、そして1つの吸収性物品が包装シートで包装された個包装体であることがより好ましい。
【0189】
上記包装シートの素材としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。上記包装シートは、上記個包装体の気密性を高める観点から、気密層を含んでもよく、そして当該気密層の素材としては、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン6、アルミ箔、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。
【0190】
本開示の吸収性物品としては、特に制限されず、例えば、生理用ナプキン、ショーツ型生理用ナプキン、パンティーライナー、使い捨ておむつ、失禁パッド、陰唇間パッド、タンポン、産褥パッド、母乳パッド、痔用パッド、汗取りパッド、褥瘡シート(ドレッシングシート)、ペット用オムツ、ペット用シート等が挙げられる。
【0191】
<構成(b)>
本開示の吸収性物品について、以下、詳細に説明する。
図1~
図4は、第1実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図であることは上述の通りであるが、
図1~4はまた、本開示の別の実施形態(以下、「第5実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての生理用ナプキン1を説明するための図である。なお、以下、「第5実施形態に従う吸収性物品としての生理用ナプキン」を、単に『第5実施形態に従う生理用ナプキン』と称する場合がある。具体的には、
図1は、第5実施形態に従う生理用ナプキン1の平面図である。
図2は、生理用ナプキン1の分解斜視図である。
図3は、温感本体5に配置された第1温感組成物17と、吸収本体3に配置された第2温感組成物19とを説明するための図である。
図4は、生理用ナプキン1の着用状態を示す図である。
【0192】
第5実施形態に従う生理用ナプキン1は、温感付与シート13及び温感付与シート重複部分25を、それぞれ、補助シート13及び補助シート重複部分25と読み替える以外は、第1実施形態の箇所で説明したとおりであるため、説明を省略する。
【0193】
図5は、本開示の別の実施形態(以下、「第6実施形態」と称する)に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン201を説明するための図であり、着用状態を示す図である。なお、以下、「第6実施形態に従う吸収性物品としてのショーツ型生理用ナプキン」を、単に『第6実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン』と称する場合がある。
【0194】
第6実施形態に従うショーツ型生理用ナプキン201は、ショーツ部203と、吸収性物品部205とから構成されている。吸収性物品部205は、吸収本体207と、温感本体209とを備えている。吸収性物品部205は、吸収本体207において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート(図示せず)と、液不透過性シート(図示せず)と、それらの間に配置された吸収体211とを備えている。また、吸収性物品部205は、温感本体209において、着用時に着用者の肌に当接する液透過性シート(図示せず)と、液不透過性シート(図示せず)と、それらの間に配置された、補助シート214とを備えている。
【0195】
なお、吸収本体207における液透過性シート(図示せず)と、温感本体209における液透過性シート(図示せず)と、ショーツ部203における液透過性シート(図示せず)は、一体の不織布から構成されている。また、吸収本体207における液不透過性シート(図示せず)と、温感本体209における液不透過性シート(図示せず)と、ショーツ部203における液不透過性シート(図示せず)もまた、一体の合成樹脂フィルムから構成されている。
なお、ショーツ部203と、吸収性物品部205とは、液透過性シート(図示せず)及び液不透過性シート(図示せず)とを圧搾することにより形成されたシール部(図示せず)により区画されている。
【0196】
温感本体209の補助シート214は、第5実施形態における補助シート13と同様に、不織布から構成されている。補助シート214は、その全体に、TRPチャネルを活性化する第1温感剤と、溶媒とを含む第1温感組成物215を保持している。なお、第1温感組成物215の一部は、液透過性シート(図示せず)の補助シート214側の領域にも保持されている。
【0197】
吸収本体207は、第2温感剤を含む第2温感組成物217を、吸収本体207の排泄口当接域(図示せず)の、幅方向の両外側に存在する排泄口当接域隣接領域(図示せず)に保持している。
温感本体209が保持する第1温感組成物215と、吸収本体207が保持する第2温感組成物217とは、それぞれ、第5実施形態における第1温感組成物17及び第2温感組成物19と同様で有り、それらの作用も同様であることから、説明を省略する。
【0198】
温感本体209の補助シート214と、厚さ方向Tに重複する補助シート重複部分220の剛軟度が、吸収本体207の吸収体211と、厚さ方向Tに重複する吸収体重複部分221の剛軟度よりも低い。具体的には、補助シート重複部分220(液透過性シート(図示せず)、補助シート214、及び液不透過性シート(図示せず)から構成される)のガーレ法による剛軟度が、吸収体重複部分221(液透過性シート(図示せず)、吸収体211、及び液不透過性シート(図示せず)から構成される)のガーレ法による剛軟度よりも低い。そうすることにより、着用者が、陰毛の存在する下腹部に温感を覚えることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えにくい。
【0199】
補助シート214の厚さは、吸収体211の厚さよりも薄い。そうすることにより、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくくなる。
【0200】
温感本体209は、補助シート214と、厚さ方向Tに重複する温感本体中央部223と、補助シート214と、厚さ方向Tに重複しない温感本体周縁部225とに区画され、温感本体周縁部225の剛性が、温感本体中央部223の剛性よりも低い。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者が、下腹部に違和感を覚えにくい。
【0201】
図6は、第3実施形態に従う大人用の使い捨ておむつ301を説明するための図であることは上述の通りであるが、
図6はまた、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第7実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての、大人用の使い捨ておむつ301を説明するための図であり、着用状態を示す図である。なお、以下、「第7実施形態に従う吸収性物品としての使い捨ておむつ」を、単に『第7実施形態に従う使い捨ておむつ』と称する場合がある。
【0202】
第7実施形態に従う大人用の使い捨ておむつ301は、温感付与シート313を、補助シート313と読み替える以外は、第3実施形態に従う大人用の使い捨ておむつ301の箇所で説明したとおりであるため、説明を省略する。
【0203】
図7は、第4実施形態に従う生理用ナプキン1を説明するための図であることは上述の通りであるが、
図7はまた、本開示のさらに別の実施形態(以下、「第8実施形態」と称する)に従う吸収性物品としての、生理用ナプキン1を説明するための図である。なお、以下、「第8実施形態に従う吸収性物品としての生理用ナプキン」を、単に『第8実施形態に従う生理用ナプキン』と称する場合がある。
【0204】
第8実施形態に従う生理用ナプキン1は、温感付与シート13を、補助シート13と読み替える以外は、第3実施形態に従う大人用の使い捨ておむつ301の箇所で説明したとおりであるため、説明を省略する。
【0205】
本開示の吸収性物品では、温感本体及び吸収本体は、それぞれ、第1温感剤及び第2温感剤を含む。
温感本体は、第1温感剤を単体として保持することができ、そして第1温感剤を、第1温感剤を含む第1温感組成物(例えば、第1温感剤及び溶媒を含む第1温感組成物)として保持することができる。また、吸収本体は、第2温感剤を単体として保持することができ、そして第2温感剤を、第2温感剤を含む第2温感組成物(例えば、第2温感剤及び溶媒を含む第2温感組成物)として保持することができる。
【0206】
本明細書では、温感本体が保持する「第1温感剤」と、吸収本体が保持する「第2温感剤」とをまとめて「温感剤」と称する場合があり、そして温感本体が保持しうる「第1温感組成物」と、吸収本体が保持しうる「第2温感組成物」とをまとめて「温感組成物」と称する場合がある。
【0207】
本開示の吸収性物品、すなわち、構成(b)を備える吸収性物品に関する一般記載、例えば、温感体(第1温感剤及び第2温感剤)、並びに温感組成物(第1温感組成物及び第2温感組成物)に関する一般記載は、構成(a)を備える吸収性物品の箇所で説明されるものと同様であるため説明を省略し、ここでは、構成(a)を備える吸収性物品と異なる点を中心に説明する。
なお、構成(a)を備える吸収性物品を引用する場合において、「温感付与シート」及び「温感付与シート重複部分」は、適宜、「補助シート」及び「補助シート重複部分」と読み替える。
【0208】
本開示の吸収性物品では、温感本体は、吸収性物品の平面方向(吸収性物品の長手方向及び幅方向)において、第1温感剤を、任意の位置、例えば、全面、中央部等に保持することができる。本開示の吸収性物品において、温感本体が補助シートを備える場合には、温感本体は、補助シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域、補助シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域及び重複しない領域に保持することができる。
【0209】
本開示の吸収性物品では、温感本体は、吸収性物品の厚さ方向において、第1温感剤を、任意の位置に保持することができる。本開示の吸収性物品において、温感本体が、液透過性シート及び液不透過性シートを備えている場合には、温感本体は、第1温感剤を、液透過性シート及び液不透過性シートの間、液透過性シートの内部等に保持することができる。また、本開示の吸収性物品において、温感本体が、液透過性シート、補助シート及び液不透過性シートを備えている場合には、温感本体は、第1温感剤を、液透過性シートの内部、補助シートの内部、液透過性シート及び補助シートの間、補助シート及び液不透過性シートの間、並びにそれらの任意の組み合わせの位置に保持することができる。
【0210】
本開示の吸収性物品では、吸収本体は、第2温感剤を、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複しない領域等に保持することができる。吸収本体が、第2温感剤を、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する領域に保持していると、着用者の皮膚(排泄口等)と直接接している機会の多い吸収体から、第2温感剤を着用者の皮膚に浸透させやすくなる。また、吸収本体が、第2温感剤を、吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複しない領域等に保持することにより、着用者の肌の水分率が高く、第2温感剤が浸透しやすい部分(着用者の皮膚のうち、吸収体と接していない部分は、吸収体による水分の吸収が少なく、着用者の肌の水分率が高くなりやすい)に、第2温感剤を浸透させやすくなる。
【0211】
本開示の吸収性物品では、吸収本体は、第2温感剤を、吸収本体の排泄口当接域、排泄口当接域の、吸収性物品の幅方向の両外側に存在する排泄口当接域隣接領域、排泄口当接域の、吸収性物品の長手方向の両外側に存在する排泄口当接域隣接領域等に保持することができる。吸収本体が、第2温感剤を、排泄口当接域及び/又は排泄口当接域隣接領域に保持することにより、着用者の下腹部に温感を付与しやすくなり、ひいては、着用者が下腹部に温感を覚えにくくなる。
【0212】
本開示の吸収性物品では、吸収本体は、吸収性物品の厚さ方向において、第2温感剤を、液透過性シートの内部、吸収体の内部、液透過性シート及び吸収体の間、吸収体及び液不透過性シートの間、液透過性シート及び液不透過性シートの間、並びにそれらの任意の組み合わせの位置に保持することができる。
【0213】
本開示の吸収性物品では、温感本体の補助シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する補助シート重複部分の剛軟度が、吸収本体の吸収体と、吸収性物品の厚さ方向に重複する吸収体重複部分の剛軟度よりも低いことが好ましく、そして補助シート重複部分の剛軟度が吸収体重複部分の剛軟度の、より好ましくは5~70%、さらに好ましくは10~60%、そしてさらにいっそう好ましくは20~50%の範囲にある。そうすることにより、着用者が吸収性物品を着用する際に、補助シート重複部分が折れ曲がりにくく、ひいては着用者の下腹部に的確に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
【0214】
本開示の吸収性物品では、温感本体の補助シート重複部分の剛軟度は、好ましくは1~15mN、より好ましくは3~10mN、そしてさらに好ましくは4~8mNである。着用者の下腹部に的確に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくする観点からである。
【0215】
上記剛軟度の関係は、補助シート重複部分の、吸収性物品の長手方向及び幅方向の中心を中心としたサンプル(以下、剛軟度の測定方法を参照)と、吸収体重複部分の、排泄口当接域の中心を中心としたサンプルとの間で満たすことが好ましく、そして補助シート重複部分の任意の部分におけるサンプルと、吸収体重複部分の任意の部分におけるサンプルとの間で満たすことがより好ましい。
【0216】
また、吸収体が、吸収コア(パルプ繊維、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの混合物、高吸水性ポリマーシート等)と、コアラップ(ティッシュ、エアレイドパルプ等)とを含む場合には、上記剛軟度の関係は、吸収体重複部分のうち、吸収コアと、吸収性物品の厚さ方向に重複する吸収コア重複部分において満たすことが好ましい。着用者が硬さを覚えやすいのは、吸収体の吸収コアの部分だからである。
【0217】
さらに、上記剛軟度の関係は、吸収性物品の幅方向において満たすことが好ましく、そして吸収性物品の長手方向及び幅方向の両方で満たすことが好ましい。着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくする観点からである。剛軟度の測定方法については、構成(a)に関して説明済であるため、ここでの説明は省略する。
【0218】
本開示の吸収性物品では、補助シートの厚さが、吸収体の厚さよりも薄いことが好ましく、そして補助シートの厚さが、吸収体の厚さの、より好ましくは1~60%、さらに好ましくは2~50%、そしてさらにいっそう好ましくは3~40%の範囲にある。そうすることにより、着用者の下腹部に温感を覚えさせることができるとともに、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
なお、温感シート及び吸収体の厚さは、上述の繊維密度の測定における、サンプル片の厚さと同様に測定する。
【0219】
本開示の吸収性物品では、温感本体が、補助シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複する温感本体中央部(すなわち、補助シート重複部分)と、補助シートと、吸収性物品の厚さ方向に重複しない温感本体周縁部とに区画されるとともに、温感本体周縁部の剛性が、温感本体中央部の剛性よりも低いことが好ましい。そうすることにより、吸収性物品の使用時に、着用者の下腹部に違和感を覚えさせにくくなる。
なお、上記剛性の高低は、温感本体中央部と、温感本体周縁部とに触れることにより判断することができる。
【0220】
本開示の吸収性物品では、温感本体が、補助シートを備えることができ、上記補助シートの素材としては、液透過性シートの素材として列挙されるものが挙げられる。
上記補助シートは、好ましくは10~200g/m2、そしてより好ましくは15~150g/m2の坪量を有する。
【実施例】
【0221】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
<構成(a)>
[製造例A1]
第1実施形態に従う生理用ナプキンNo.A1を製造した。吸収本体及び温感本体における液透過性シートは、エアスルー不織布(坪量:30g/m2)であり、温感付与シートは、エアレイドパルプ(坪量:45g/m2,厚さ:1.0mm)から構成され、吸収体は、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの混合物(坪量:200g/m2,パルプ繊維及び高吸水性ポリマーの質量比:10:1,厚さ:2.0mm)を、上下2枚のティッシュで包装したものから構成され、液不透過性シートは、ポリエチレンフィルム(坪量:24g/m2)から構成されていた。第1温感組成物は、第1温感剤としてのバニリルブチルエーテル(5.0質量%)と、溶媒としてのトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルとから構成されていた。第2温感組成物は、第1温感組成物と同一の組成を有していた。
温感本体の温感付与シートに、第1温感組成物を、第1温感剤の坪量が0.1g/m2となるような量で塗工し、そして吸収本体に、第2温感組成物を、第2温感剤の坪量が0.5g/m2となるような量で塗工した。
【0222】
[製造例A2]
温感付与シートに第1温感組成物を塗工せず、そして吸収本体に第2温感組成物を塗工しなかった以外は、製造例A1と同様にして、生理用ナプキンNo.A2を製造した。
【0223】
[製造例A3]
温感付与シートを、エアレイドパルプ(坪量:45g/m2,厚さ:1.0mm)を4枚重ねたものに変更した以外は、製造例A1と同様にして、生理用ナプキンNo.A3を製造した。
【0224】
[製造例A4]
温感付与シートに第1温感組成物を塗工せず且つ吸収本体に第2温感組成物を塗工しなかった以外は、製造例A3と同様にして、生理用ナプキンNo.A4を製造した。
【0225】
[実施例A1及びA2,並びに比較例A1及びA2]
生理用ナプキンNo.A1及びNo.A2のそれぞれにおいて、温感付与シート重複部分の剛軟度と、吸収体重複部分(排泄口当接域の中心を中心とするサンプル)の剛軟度とを測定した。結果を、表1に示す。
なお、温感付与シート重複部分の剛軟度と、吸収体重複部分の剛軟度とのそれぞれにおいて、剛軟度を測定するサンプルは、吸収性物品の長手方向に沿って形成した。
【0226】
10名の女性の被験者のそれぞれに、生理用ナプキンNo.A1及びNo.A2を着用してもらい、下腹部の温感、違和感及び痒みを、以下の3段階の点数にて評価してもらった。結果を表1に示す。
[下腹部の温感]
2:下腹部に温感を覚えた。
1:下腹部に若干の温感を覚えた。
0:下腹部に温感を覚えなかった。
10名の合計点数が、15~20を○、9~14を○△、0~8を×とし、結果を表1に示す。
【0227】
[下腹部の違和感]
2:下腹部に違和感を覚えた。
1:下腹部に若干の違和感を覚えた。
0:下腹部に違和感を覚えなかった。
10名の合計点数が、15~20を○、0~14を×とし、結果を表1に示す。
【0228】
[下腹部の痒み]
2:下腹部に痒みを覚えなかった。
1:下腹部に若干の痒みを覚えた。
0:下腹部に痒みを覚えた。
10名の合計点数が、15~20を○、0~14を×とし、結果を表1に示す。
【0229】
【0230】
<構成(b)>
[製造例B1]
製造例A1と同様にして、第5実施形態に従う生理用ナプキンNo.B1を製造した。
【0231】
[製造例B2]
吸収本体に第2温感組成物を塗工しなかった以外は、製造例B1と同様にして、生理用ナプキンNo.B2を製造した。
[製造例B3]
温感本体の補助シートに、第1温感組成物を、第1温感剤の坪量が0.5g/m2となるような量で塗工し、吸収本体に第2温感組成物を塗工しなかった以外は、製造例B1と同様にして、生理用ナプキンNo.B3を製造した。
生理用ナプキンNo.B1~No.B3の構成を、表2にまとめる。
【0232】
【0233】
[実施例B1,並びに比較例B1及びB2]
10名の女性の被験者のそれぞれに、生理用ナプキンNo.B1~No.B3を着用してもらい、下腹部の痒み及び下腹部の温感を、以下の3段階の点数にて評価してもらった。結果を表1に示す。
[下腹部の痒み]
2:着用初期に、下腹部に痒みを覚えなかった。
1:着用初期に、下腹部に違和感を覚えた。
0:着用初期に、下腹部に痒みを覚えた。
【0234】
[下腹部の温感]
2:下腹部に温感を覚えた。
1:下腹部に若干の温感を覚えた。
0:下腹部に温感を覚えなかった。
10名の合計点数が、15~20を○、9~14を△、0~8を×とし、結果を表1に示す。
【符号の説明】
【0235】
1 生理用ナプキン
3 吸収本体
5 温感本体
7 液透過性シート
9 液不透過性シート
11 吸収体
13 温感付与シート
15 重複部
17 第1温感組成物
19 第2温感組成物
21 排泄口当接域
23 排泄口当接域隣接領域
25 温感付与シート重複部分
27 吸収体重複部分
29 温感本体中央部
31 温感本体周縁部
L 長手方向
W 幅方向
T 厚さ方向
F1 長手方向第1折軸
F2 長手方向第2折軸
F3 幅方向第1折軸
F4 幅方向第2折軸