(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】インクジェット用活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、硬化物の製造方法及び硬化物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/38 20140101AFI20220711BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220711BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220711BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220711BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20220711BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220711BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220711BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220711BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220711BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20220711BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20220711BHJP
【FI】
C09D11/38
C08F2/44 C
C08F2/50
C09D11/101
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B41J2/01 501
B33Y70/00
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/112
B29C64/268
(21)【出願番号】P 2018036510
(22)【出願日】2018-03-01
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】南場 通彦
(72)【発明者】
【氏名】有田 学
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-206577(JP,A)
【文献】特開2008-239958(JP,A)
【文献】特開2019-123806(JP,A)
【文献】特開2014-041298(JP,A)
【文献】特開2017-014330(JP,A)
【文献】特開2002-122704(JP,A)
【文献】特開2014-091780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60
C09D 11/00-13/00
B41M 5/00、5/50、5/52
B41J 2/01
B33Y 10/00-99/00
B29C 64/00-64/40、67/00-67/08、
67/24-69/02、73/00-73/37
B29D 1/00-29/10、33/00、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性モノマー、フェニル基を繰り返し単位に含むポリシラン化合物及び光重合開始剤を含有
する、インクジェット用活性エネルギー線硬化型インクであって、
前記ポリシラン化合物の含有量は1質量%以上5質量%未満であり、
前記光重合開始剤の含有量は1質量%以上6質量%以下である、
ことを特徴とする
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インク。
【請求項2】
前記ポリシラン化合物が
下記構造(1)で表される繰り返し単位、または、下記構造(2)で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インク。
【化3】
(式中、R
1
はフェニル基を示し、R
2
はメチル基を示し、R
3
はフェニル基を表す。)
【請求項3】
前記
光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インク。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれかに記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクを容器中に収容した
インク収容容器。
【請求項5】
請求項1~
3のいずれかに記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクを収容した収容部と、前記
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクに活性エネルギー線を照射するための照射手段とを少なくとも備える2次元又は3次元の像形成装置。
【請求項6】
前記
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクをインクジェット記録方式により吐出させる吐出手段を更に備える請求項
5に記載の2次元又は3次元の像形成装置。
【請求項7】
請求項1~
3のいずれかに記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクに活性エネルギー線を照射する照射工程を含む2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
【請求項8】
前記
インクジェット用活性エネルギー線硬化型
インクをインクジェット記録方式により吐出させる吐出工程を更に含む請求項
7に記載の2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
【請求項9】
前記活性エネルギー線が発光ダイオード光である請求項
7又は
8に記載の2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~
3の何れかに記載の
インクジェット用活性エネルギー線硬化型インクの硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、硬化物の製造方法、硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性エネルギー線硬化型組成物は、オフセット、シルクスクリーン、トップコート剤などに供給、使用されてきたが、乾燥工程の簡略化によるコストダウンや、環境対応として溶剤の揮発量低減などのメリットから近年使用量が増加している。
【0003】
インクジェット技術を用いた画像形成は家庭用から産業機器まで広く展開されている。
インクとしては水系と溶剤系が多く使用されており、各々の特徴に応じて用途が使い分けられている。一般に家庭用インクジェットプリンタでは安全性の高い水系インクが用いられ、また産業用インクジェットプリンタでは、生産性や記録媒体への対応性から溶剤系インクが用いられている。
【0004】
しかしながら、水系インクではインク吸収性のよい記録媒体でない場合、十分な画質が得られないこと、インク自体の耐水性が比較的悪いこと、インクの乾燥エネルギーが大きいこと、また、乾燥によってヘッドにインク成分が付着すること、などの問題点を有している。
【0005】
また、溶剤系インクでは、溶剤を揮発させるため、臭気、危険性、溶剤の毒性の面で問題がある。揮発性の少ない溶剤を用いたインクもあるが、インクが乾燥しにくいため、画質や定着性の点で問題がある。
【0006】
これに対し、活性エネルギー線硬化型組成物は、揮発性溶剤を用いず、比較的低臭気である上に、記録媒体にインク吸収性がなくても印字が可能であり、定着時間を短くできるため作像プロセス速度を上げることができる。このため、水系インク及び溶剤系インクから活性エネルギー線硬化型組成物への置き換えが検討されている。
しかし、活性エネルギー線硬化型組成物は、モノマーの臭気だけでなくインクに含まれる重合開始剤の臭気について満足できるものはこれまで見出されていなかった。
【0007】
また、活性エネルギー線硬化型インクは、水銀ランプやメタルハライドランプなどの光源の種類に応じて、吸収波長の異なる数種類の重合開始剤を用い、インク中のモノマーを反応させて硬化させる。
近年では、省電力化の観点から、消費電力の少ない365nm又は385nmにピーク発光波長を有する紫外線発光ダイオードの使用も多くなっている。また、365nmよりも波長の短い波長域(深紫外線)の255~350nm(ピーク285nm)の発光ダイオード(LED)の実用化も検討されており、これらのLEDにも対応できるインクが望まれている。
臭気を抑えるために高分子量の重合開始剤を用いる方法(特許文献1)や、重合開始剤として反応基を有する重合開始剤を用いる方法(特許文献2)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、吐出性が良好で、臭気が少なく、活性エネルギー線硬化性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は以下に記載する通りの本発明に係る下記の活性エネルギー線硬化型組成物によって解決することができる。
重合性モノマー、フェニル基を繰り返し単位に含むポリシラン化合物及び光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐出性、硬化性、臭気の改善の全てを満たす活性エネルギー線硬化型組成物を提供できる。また、本発明の組成物を用いて得られる印刷物は、表面性の良い硬化膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【
図3】本発明におけるさらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、硬化物の製造方法、硬化物について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明は、重合性モノマー、フェニル基を繰り返し単位に含むポリシラン化合物及び光重合開始剤を含有する硬化型組成物であって、前記ポリシラン化合物と、光重合開始剤とを併用することで、吐出性が良好で、硬化性が向上し、光重合開始剤量を少なくすることができるため、臭気が改善する。
【0014】
<ポリシラン>
様々なポリシランの合成方法は知られている。例えば、特許3883453号公報にはアリール置換ポリシラン化合物の合成方法について下記(a)~(d)の方法が記載されているが、これらの方法を適宜使用することができる。
(a)ハロゲン原子に対して当量のアルカリ金属の存在下にアリール基を有するハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J. Am. Chem. Soc., 第110巻, 124頁(1988年)、Macromolecules, 23巻, 3423頁(1990年))
(b)電極還元によりアリール基を有するハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1161頁(1990年)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 897頁(1992年))
(c)金属触媒の存在下にアリール基を有するヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4-334551号公報)
(d)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules, 23巻, 4494頁(1990年))
(e)フェニル基あるいはアルキル基を有する環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z. Anorg. Allg. Chem., 459巻, 123-130頁(1979年)など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導する。これらのハロゲン化環状ケイ素化合物(シクロシラン化合物)は公知の方法(例えば、Mh. Chem. 第106巻, 503頁(1975年)、Z. Anorg. Allg. Chem.第621巻, 1517頁(1995年)、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 777頁(1984年))
フェニル基置換のポリシラン化合物として好ましいものは、ポリフェニルシラン、ポリ(メチルフェニル)シランである。
【0015】
硬化型組成物中におけるポリシランの配合割合は1質量%以上8質量%以下が好ましい。ポリシランが1質量%以上であることで下記に記載するポリシランを配合する効果が得られ、8質量%以下であることにより、吐出性が悪化することがない。
ポリシランを含有することで、ポリシラン化合物は重合開始剤として働くとともに、酸素阻害を抑制する効果があると考えられる。
ポリシラン化合物の作用機構について推察すると以下の通りである。
ラジカル重合ではパーオキシラジカル(R-O-O・)が生成されると反応性が低いため、ラジカル反応が停止してしまうことが知られている。ポリシラン化合物は、パーオキシラジカルが生成しても、水素を引き抜くことで、ラジカルを再生させる効果があると考えられる。
R3Si・+ O2 → R3Si-O-O・ (1)
R3SiO2・+ R3Si-H → R3SiO2H + R3Si・ (2)
R’M-O2・+ R3Si-H → R’M-O2H + R3Si・ (3)
(M:モノマー)
活性エネルギー線硬化型組成物中のポリシラン化合物の配合割合は、光重合開始剤の種類によって適宜調節することが好ましい。
【0016】
<重合性モノマー>
重合性モノマーとしては具体的には以下のようなものを使用できる。
以下のような(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテルなどを併用することもできる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート〔CH2=CH-CO-(OC2H4)n-OCOCH=CH2(n≒4)〕、同(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート〔CH2=C(CH3)-CO-(OC3H6)n-OCOC(CH3)=CH2(n≒7)〕、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテルなど。
【0017】
<硬化手段>
本発明の硬化型組成物を硬化させる手段としては、加熱硬化または活性エネルギー線による硬化が挙げられ、これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい
【0018】
<光重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
特にポリシランと相性が良いのはアシルフォスフィンオキサイド化合物であり、好ましいものは、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドである。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
【0019】
<色材>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。 分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
<有機溶媒>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0021】
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、必要に応じてその他の公知の成分を含んでもよい。その他成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
【0022】
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
【0023】
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3~40mPa・sが好ましく、5~15mPa・sがより好ましく、6~12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34'×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
【0024】
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、
図2や
図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、
図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、
図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
【0025】
<組成物収容容器>
本発明の組成物収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0026】
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加温なども挙げられる。
本発明の硬化型組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。さらに、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用する ことができる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。
図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、
図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下実施例中にある「部」とは「質量部」を表し、「%」とは「質量%」を表す。
【0028】
〔白色無機粒子分散液の調製〕
第一工業製薬社製単官能フェニルグリシジルエーテルアクリレート(a3)「ニューフロンティア PGA」2.3部、単官能モノマーACMO(下記構造式M-4;アクリロイルモルホリン、興人株式会社製)26.7部、ルーブリゾール社製高分子顔料分散剤「ソルスパーズ 24000GR」0.6部、味の素ファインテック社製高分子顔料分散剤「アジスパーPB881」0.4部、テイカ社製シリカ存在量:3質量%、アルミナ存在量1%の酸化チタン(C)「チタニックスJR-806」20.0部を添加し、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、白色無機粒子分散液を作製した。
【0029】
〔カーボンブラック(Bk)分散液の調製〕
カルボン酸エステル含有アクリルブロック共重合体(分散剤、商品名:DISPERBYK-168、ビックケミージャパン株式会社、酸価:0mgKOH/g、アミン価:11mgKOH/g)1.0部、単官能モノマーACMO(下記構造式M-4;アクリロイルモルホリン、興人株式会社製)40.0部、三菱化学社製カーボンブラック「MA14」10.0部を添加し、攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、Bk顔料分散液を作製した。
【0030】
[実施例1~12、及び、比較例1~4]
<活性光エネルギー線硬化型組成物の作製>
表1に示す材料と含有量(質量部)に基づき、常法により実施例1~12及び比較例1~4の活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
【0031】
なお、表1において、用いた化合物の商品名及び製造会社名は下記の通りの内容を示す。
【0032】
<モノマー>
・ACMO:アクリロイルモルフォリン-KJケミカルズ株式会社
・IBXA:イソボロニルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・PEA:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・NVC:N-ビニルカプロラクタム(ISPジャパン社製)
・DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・SR444:ペンタエリスリトールトリアクリレート(サートマー社製)
【0033】
<重合開始剤>
・TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(LAMBERTI社製)
・Ir819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製)
・Ir907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製)
【0034】
<増感剤>
・DETX:2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(大同化成工業株式会社製)
【0035】
<ポリシラン>
・POLY(DIMETHYLSILANE):(Mw1000-3000)(Gelest社製)
・POLY(PHENYLMETHYLSILANE):(>Mw1000)(フェニル基を有するポリシラン)(Gelest社製)
・OGSOL SI-10-10 (フェニル基を有するポリシラン、Mw1100)(大阪ガスケミカル社製)
・OGSOL SI-10-20 (フェニル基を有するポリシラン、Mw1800)(大阪ガスケミカル社製)
・OGSOL SI-20-10 (フェニル基を有するポリシラン、Mw1200)(大阪ガスケミカル社製)
・OGSOL SI-20-14 (フェニル基を有するポリシラン、Mw1100)(大阪ガスケミカル社製)
【0036】
なお、OGSOL SI-10-10、OGSOL SI-10-20は以下の一般式(1)で表される構造を有するポリシランである。
【化1】
また、OGSOL SI-20-10、OGSOL SI-20-14は以下の一般式(2)で表される構造を有するポリシランである。
【化2】
【0037】
<<評価>>
<硬化物の作製>
各実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物を市販のPETフィルム上に、バーコータ#6により塗布し、各サンプルに光照射を行って活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させ、平均厚み10μmの塗膜(硬化物)を形成した。
【0038】
-硬化条件-
A:光照射はメタルハライドランプを用いて、UV-A領域(波長350nm以上400nm以下)に相当する波長域において積算光量500mJ/cm2で照射を行った。
B:インテグレーションテクノロジー社製:UVLED(中心波長365nm)により、積算光量500mJ/cm2となるように光照射を行った。
【0039】
<鉛筆硬度試験>
作製した実施例1~12及び比較例1~4の硬化物の光硬化性を鉛筆硬度試験により確認した。
前記鉛筆硬度試験はJIS K5600-5-4(引っかき硬度:鉛筆法)に基づいて行った。
-評価基準-
A:HB以上
B:HB未満
C:タックが有り、測定不能
【0040】
<臭気>
臭気の評価基準は下記のとおりである。
-評価基準-
A:サンプルから5cmの距離で、臭いを感じないか、感じても不快ではない場合
B:サンプルから50cmの距離で、臭いを感じないか、感じても不快ではない場合
C:サンプルから50cmの距離で、特有の臭気により強い不快感が生じる場合
【0041】
<吐出安定性>
得られた活性エネルギー線硬化型組成物からなる活性エネルギー線硬化型インクをGEN4ヘッド(株式会社リコー製)搭載のインクジェット吐出装置により、384個のノズルから60分間連続で各インクを吐出し、ノズル抜けが生じたノズル数を求め、下記の評価基準に基づいて、「吐出安定性」を評価した。
なお、前記インクジェット吐出装置は、駆動周波数18kHzとし、加温温度を35℃、かつ、1回当たりのインク吐出量を2pLに設定した。
-評価基準-
A:2本以下
B:3本以上
【0042】
【0043】
本発明の実施の態様は例えば、以下の通りである。
(1)重合性モノマー、フェニル基を繰り返し単位に含むポリシラン化合物及び光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物。
(2)前記ポリシラン化合物が下記一般式(1)又は(2)で表される構造を有する化合物である上記(1)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【化1】
【化2】
(3)前記ポリシラン化合物を活性エネルギー線硬化型組成物中に1質量%以上8質量%以下を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
(4)前記ポリシラン化合物を活性エネルギー線硬化型組成物中に1質量%以上5質量%未満含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
(5)前記ポリシラン化合物を活性エネルギー線硬化型組成物中に5質量%以上8質量%以下含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
(6)光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系であることを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物からなる活性エネルギー線硬化型インク。
(8)インクジェット用インクである上記(7)に記載の活性エネルギー線硬化型インク。
(9)上記(1)~(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を容器中に収容した組成物収容容器。
(10)上記(1)~(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を収容した収容部と、前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射するための照射手段とを少なくとも備える2次元又は3次元の像形成装置。
(11)前記活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により吐出させる吐出手段を更に備える上記(10)に記載の2次元又は3次元の像形成装置。
(12)上記(1)~(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程を含む2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
(13)前記活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット記録方式により吐出させる吐出工程を更に含む上記(12)に記載の2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
(14)前記活性エネルギー線が発光ダイオード光である上記(12)又は(13)に記載の2次元又は3次元の硬化物の製造方法。
(15)上記(1)~(8)の何れかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物又は活性エネルギー線硬化型インクの硬化物。
【符号の説明】
【0044】
1 貯留プール(収容部)
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 活性エネルギー線硬化型組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 各色印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
38 ステージ
39 像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】特開2002‐187906号公報
【文献】特開2005‐272801号公報