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特許7102038反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/111 20150101AFI20220711BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220711BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220711BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220711BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G02B1/111
G02B5/30
B32B7/023
G02F1/1335
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021509911
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2020006581
(87)【国際公開番号】W WO2020242117
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0062633
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0054680
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジンソク・ビュン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ムン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ユン・イ
【審査官】植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525667(JP,A)
【文献】特開2006-324059(JP,A)
【文献】特開2016-14770(JP,A)
【文献】特開昭62-197424(JP,A)
【文献】特表2004-533654(JP,A)
【文献】特表2019-502163(JP,A)
【文献】特開2015-129936(JP,A)
【文献】特開2001-122998(JP,A)
【文献】特開2005-14584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10- 1/18
G02B 5/30
B32B 1/00-43/00
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材;ハードコート層;および低屈折層を含み、
反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンにおいて、22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅(FWHM)が1.5°以下であり、
前記低屈折層は、バインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した無機微粒子を含み、
前記バインダー樹脂は、光重合性化合物および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋重合体を含み、
前記光透過性基材は、一方向の引張強度に対する、前記一方向と垂直な方向の引張強度の比率は2~5である、反射防止フィルム。
【請求項2】
前記光透過性基材は、30~40℃の温度および90~100%の相対湿度の条件下、透湿率が50g/m・day以下である、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
前記無機微粒子は、0.5~100nmの直径を有するソリッド状無機ナノ粒子および1~200nmの直径を有する中空状無機ナノ粒子からなる群より選択された1種以上を含む、請求項またはに記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層は、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層のバインダー樹脂は、数平均分子量10,000以上の高分子量(共)重合体をさらに含む、請求項に記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記光透過性基材は、
波長400nm~800nmで測定される厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記光透過性基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
【請求項8】
前記反射防止フィルムは、380nm~780nmの波長帯領域で平均反射率が2.0%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
【請求項9】
前記反射防止フィルムは、
平均反射率の偏差が0.2%p以下であり、
透光率の偏差が0.2%p以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルムと、偏光子とを含む偏光板。
【請求項11】
偏光子と、
前記偏光子を中心に対向するように位置する10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層および請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルムとを含む、偏光板。
【請求項12】
前記偏光子;前記第2ハードコート層;および前記反射防止フィルム;を合わせた総厚さが200μm以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記偏光子の一面には前記10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層が位置し、他の一面には前記反射防止フィルムの光透過性基材が位置し、
前記光透過性基材は、
波長400nm~800nmで測定される厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm以上である、請求項1または1に記載の偏光板。
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載の反射防止フィルムを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年5月28日付の韓国特許出願第10-2019-0062633号および2020年5月7日付の韓国特許出願第10-2020-0054680号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、反射防止フィルム、偏光板およびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、PDP、LCDなどの平板ディスプレイ装置には外部から入射する光の反射を最小化するための反射防止フィルムが装着される。光の反射を最小化するための方法には、樹脂に無機微粒子などのフィラーを分散させて基材フィルム上にコーティングし凹凸を付与する方法(anti-glare:AGコーティング);基材フィルム上に屈折率が異なる複数の層を形成させて光の干渉を利用する方法(anti-reflection:ARコーティング)、またはこれらを混用する方法などがある。
【0004】
そのうち、前記AGコーティングの場合、反射する光の絶対量は一般的なハードコーティングと同等の水準であるが、凹凸を通した光の散乱を利用して目に入る光の量を低減することによって低反射効果を得ることができる。しかし、前記AGコーティングは表面の凹凸によって画面の鮮明度が低下するため、最近はARコーティングに関する多くの研究が行われている。
【0005】
前記ARコーティングを利用したフィルムとしては、光透過性基材フィルム上にハードコート層(高屈折率層)、低反射コーティング層などが積層された多層構造のものが商用化されている。しかし、複数の層を形成させる方法は、各層を形成する工程を別途に行うことによって、層間密着力(界面接着力)が弱くて耐スクラッチ性が低下するという欠点があった。これによって、従来は、反射防止フィルムに含まれる低屈折層の耐スクラッチ性を向上させるためには、ナノメートルサイズの多様な粒子(例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの粒子)を添加する方法が主に試みられていた。しかし、このようなナノメートルサイズの粒子を用いる場合、低屈折層の反射率を低くしながら耐スクラッチ性を同時に高めることが難しいという限界があり、ナノメートルサイズの粒子によって低屈折層の表面が有する防汚性が大きく低下していた。
【0006】
一方、反射防止フィルムに通常用いられると知られた光透過性基材フィルムは、光学的物性のばらつきが大きいという限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低い反射率および透光率の偏差を有しかつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、ディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めることができる反射防止フィルムを提供する。
【0008】
また、本発明は、前記反射防止フィルムを含む偏光板を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、前記反射防止フィルムを含み、高い画面の鮮明度を提供するディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、光透過性基材;ハードコート層;および低屈折層を含み、反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンにおいて、22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅(FWHM)が1.5°以下である反射防止フィルムが提供される。
【0011】
また、本明細書では、前記反射防止フィルムを含む偏光板が提供される。
【0012】
さらに、本明細書では、前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置が提供される。
【0013】
以下、発明の具体的な実施形態による反射防止フィルム、これを含む偏光板およびディスプレイ装置に関してより詳しく説明する。
【0014】
本明細書において、第1および第2の用語は多様な構成要素を説明するのに使用され、前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0015】
また、低屈折層は、低い屈折率を有する層を意味することができ、例えば、550nmの波長で約1.2~1.8の屈折率を示す層を意味することができる。
【0016】
また、ピークは、特定の測定量xとyに対して、xの値を変化させ、それに対してy値を記録した時、yの値が最大値(または極値)が現れる場合、その部分を意味する。この時、最大値は周辺部で最も大きい値を意味し、極値は瞬間変化率(instantaneous rate of change)が0の値を意味する。
【0017】
さらに、半値全幅(FWHM;Full Width at Half Maximum)は、ピーク高さのy座標値の1/2の点を通過しながらx座標に平行な直線を引いた時、直線が曲線と2つの点で交差する場合、この2つの点間の距離を意味する。
【0018】
また、中空状無機粒子とは、無機粒子の表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
【0019】
また、(メタ)アクリレート[(Meth)acrylate]は、アクリレート(acrylate)およびメタクリレート(Methacrylate)の両方ともを含む意味である。
【0020】
さらに、(共)重合体は、共重合体(co-polymer)および単独重合体(homo-polymer)の両側ともを含む意味である。
【0021】
また、含フッ素化合物は、化合物中の少なくとも1つ以上のフッ素元素が含まれている化合物を意味する。
【0022】
尚、光重合性化合物は、光の照射によって、例えば、可視光線または紫外線の照射によって重合された高分子化合物を通称する。
【0023】
発明の一実施形態によれば、光透過性基材;ハードコート層;および低屈折層を含み、反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンにおいて、反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンにおいて、22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅(FWHM)が1.5°以下である反射防止フィルムが提供される。
【0024】
そこで、本発明者らは、反射防止フィルムに関する研究を進めて、反射モードのX線回折パターンにおいて、22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅(FWHM)が1.5°以下である反射防止フィルムは、反射防止フィルムの全体において類似の反射率および透光率が現れて反射率および透光率の偏差が少ないだけでなく、高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、ディスプレイ装置の画面の鮮明度を有するという点を、実験を通して確認して、発明を完成した。
【0025】
前記反射防止フィルムは、フィルム全般において反射率および透光率の偏差が少なくてディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めながらも優れた耐スクラッチ性および高い防汚性を有し、ディスプレイ装置または偏光板の製造工程などに大きな制限なく容易に適用可能である。
【0026】
具体的には、前記X線回折パターンは、X線照射モードのうち反射モードを用いて算出することができる。
【0027】
前記一実施形態による反射防止フィルムから得られた前記反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンにおいて、22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅(FWHM)は1.5°以下、1.49°以下、1.3~1.45°であってもよい。これによって、反射防止フィルム全般において類似の反射率および透光率が現れて低い反射率および透光率の偏差を有する反射防止フィルムを実現することができ、スクラッチまたは防汚性の向上も共に実現可能である。
【0028】
前記反射防止フィルムの反射モードのX線回折パターンにおいて、22~24°の2θ値におけるピークは、高分子鎖が非常によく整列(配列)された光透過性基材を含む場合に現れるので、このようなピークを有する反射防止フィルムは光学的物性に優れることができる。また、前記ピークの半値全幅が1.5°以下となる場合、反射防止フィルムに含まれている光透過性基材の結晶面の結晶子サイズが大きいもので、これを含む反射防止フィルムは光学的物性に優れていて、反射率の偏差が低い。
【0029】
前記反射防止フィルムの反射モードのX線回折パターンにおいて、22~24°の2θ値にピークが現れない場合、反射防止フィルムに含まれている光透過性基材内の高分子鎖が低い整列度で配列され、前記ピークの半値全幅が1.5°を超えると、反射防止フィルムに含まれている光透過性基材の結晶面の結晶子サイズが非常に小さく成長したもので、このような光透過性基材を含む反射防止フィルムの光学的物性が低下して、反射率の偏差が高い問題点が生じることがある。
【0030】
一方、前記入射角(θ)とは、X線が特定の結晶面に照射される時、結晶面とX線とがなす角度を意味し、前記回折ピークとは、x-y平面における横軸(x軸)が入射するX線の入射角の2倍(2θ)値であり、x-y平面における縦軸(y軸)が回折強度であるグラフ上で、横軸(x軸)である入射するX線の入射角の2倍(2θ)値が正の方向に増加するにつれ、縦軸(y軸)である回折強度に対する、横軸(x軸)であるX線の入射角の2倍(2θ)値の1次微分値(接線の傾き、dy/dx)が正の値から負の値に変わる、1次微分値(接線の傾き、dy/dx)が0である地点を意味する。
【0031】
前記ピークの2θ値は、前記光透過性基材内の高分子の結晶内の特定の面間距離(d-spacing)に起因するもので、前記ピークの半値全幅は、前記光透過性基材内の高分子結晶の大きさに起因するものである。
【0032】
具体的には、光透過性基材内の特定の面間距離(d-spacing)は、反射(Reflection)モードのX線回折(XRD)パターンに現れるピークの2θ値から確認することができる。より具体的には、Cuターゲット(target)および1.54Åの波長(λ)の時、前記光透過性基材内の(-110)結晶面は、22~24°の2θ値にピークとして現れる。
【0033】
また、前記光透過性基材内の高分子結晶の大きさは、前記22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅に影響を与えることができ、前記半値全幅が小さいほど光透過性基材内の高分子結晶の大きさは大きくなり、これによって、前記光透過性基材内の高分子の当該結晶面が高い整列度で配列される。
【0034】
前記一実施形態による反射防止フィルムに含まれている低屈折層は、バインダー樹脂、および前記バインダー樹脂に分散した無機ナノ粒子を含むことができる。
【0035】
一方、前記バインダー樹脂は、光重合性化合物の(共)重合体を含むことができる。前記バインダー樹脂を形成する光重合性化合物は、(メタ)アクリレート基またはビニル基を含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。具体的には、前記光重合性化合物は、(メタ)アクリレート基またはビニル基を1以上、または2以上、または3以上含む単量体またはオリゴマーを含むことができる。
【0036】
前記(メタ)アクリレート基を含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、ブチルメタクリレートまたはこれらの2種以上の混合物や、またはウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、デンドリティックアクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。この時、前記オリゴマーの分子量は1,000~10,000であってもよい。
【0037】
前記ビニル基を含む単量体またはオリゴマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、スチレンまたはパラメチルスチレンが挙げられる。
【0038】
前記バインダー樹脂中の、前記光重合性化合物に由来する部分の含有量が大きく限定されるものではないが、最終的に製造される低屈折層や反射防止フィルムの機械的物性などを考慮して、前記光重合性化合物の含有量は10重量%~80重量%、15~70重量%、20~60重量%、または30~50重量%であってもよい。前記光重合性化合物の含有量が10重量%未満であれば、低屈折層の耐スクラッチ性および防汚性が大きく低下し、80重量%を超えると、反射率が増加する問題点が発生することがある。
【0039】
一方、前記バインダー樹脂は、光重合性化合物および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋重合体をさらに含んでもよい。
【0040】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に含まれるフッ素元素の特性によって、前記反射防止フィルムは、液体や有機物質に対して相互作用エネルギーが低くなり、これによって、前記反射防止フィルムに転写される汚染物質の量を大きく低減できるだけでなく、転写された汚染物質が表面に残留する現象を防止し、前記汚染物質自体を簡単に除去できる特性を有する。
【0041】
また、前記低屈折層および反射防止フィルムの形成過程で前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に含まれている反応性官能基が架橋作用をし、これによって、前記低屈折層および反射防止フィルムが有する物理的耐久性、耐スクラッチ性および熱的安定性を高めることができる。
【0042】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物には1以上の光反応性官能基が含まれるかまたは置換されていてもよいし、前記光反応性官能基は、光の照射によって、例えば、可視光線または紫外線の照射によって重合反応に参加できる官能基を意味する。前記光反応性官能基は、光の照射によって重合反応に参加できると知られた多様な官能基を含むことができ、その具体例としては、(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル基(Vinyl)またはチオール基(Thiol)が挙げられる。
【0043】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は2,000~200,000、好ましくは5,000~100,000の重量平均分子量(GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)を有することができる。
【0044】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が小さすぎると、前記含フッ素化合物が前記低屈折層の表面に均一で効果的に配列できずに内部に位置するようになるが、これによって、前記低屈折層および反射防止フィルムの表面が有する防汚性が低下し、前記低屈折層および反射防止フィルムの内部の架橋密度が低くなって、全体的な強度や耐スクラッチ性などの機械的物性が低下しうる。また、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の重量平均分子量が高すぎると、前記低屈折層および反射防止フィルムのヘイズが高くなったり光透過度が低くなり、前記低屈折層および反射防止フィルムの強度も低下しうる。
【0045】
具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、i)1つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1つの炭素に1以上のフッ素が置換された脂肪族化合物または脂肪族環化合物;ii)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1つの水素がフッ素に置換され、1つ以上の炭素がケイ素に置換されたヘテロ(hetero)脂肪族化合物またはヘテロ(hetero)脂肪族環化合物;iii)1つ以上の光反応性官能基が置換され、少なくとも1つのシリコンに1以上のフッ素が置換されたポリジアルキルシロキサン系高分子(例えば、ポリジメチルシロキサン系高分子);iv)1以上の光反応性官能基で置換され、少なくとも1つの水素がフッ素に置換されたポリエーテル化合物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0046】
前記低屈折層に含まれるバインダー樹脂は、光重合性化合物および光反応性官能基を含む含フッ素化合物の間の架橋重合体を含むことができる。
【0047】
前記架橋重合体は、前記光重合性化合物に由来する部分100重量部に対して、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に由来する部分1~300重量部、2~250重量部、3~200重量部、5~190重量部または10~180重量部を含むことができる。前記光重合性化合物に対する前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の含有量は、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の全体含有量を基準とする。前記光重合性化合物に対する前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物が過剰添加される場合、前記低屈折層が十分な耐久性や耐スクラッチ性を有し得ないことがある。また、前記光重合性化合物に対する前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物の量が小さすぎると、前記低屈折層が十分な防汚性や耐スクラッチ性などの機械的物性を有し得ないことがある。
【0048】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、ケイ素またはケイ素化合物をさらに含んでもよい。つまり、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物は、選択的に内部にケイ素またはケイ素化合物を含有することができ、具体的には、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量は0.1重量%~20重量%であってもよい。
【0049】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物それぞれに含まれるケイ素またはケイ素化合物の含有量も、通常知られた分析方法、例えば、ICP[Inductively Coupled Plasma]分析方法により確認することができる。
【0050】
前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物に含まれるケイ素は、前記実施形態の低屈折層に含まれる他の成分との相溶性を高めることができ、これによって、最終的に製造される低屈折層にヘイズ(haze)が発生するのを防止して透明度を高める役割を果たすことができ、同時に最終的に製造される低屈折層や反射防止フィルムの表面のスリップ性を向上させて耐スクラッチ性を高めることができる。
【0051】
一方、前記光反応性官能基を含む含フッ素化合物中のケイ素の含有量が大きすぎると、前記低屈折層や反射防止フィルムが十分な透光度や反射防止性能を有さず、表面の防汚性も低下することがある。
【0052】
また、前記バインダー樹脂は、光重合性化合物、光反応性官能基を含む含フッ素化合物および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)の間の架橋重合体をさらに含んでもよい。
【0053】
一方、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、表面に反応性官能基が存在し、前記低屈折層の機械的物性、例えば、耐スクラッチ性を高めることができ、従来知られたシリカ、アルミナ、ゼオライトなどの微細粒子を使用する場合とは異なり、前記低屈折層の耐アルカリ性を向上させることができかつ、平均反射率や色などの外観特性を向上させることができる。
【0054】
前記ポリシルセスキオキサンは(RSiO1.5で表されてもよいし(この時、nは4~30または8~20)、ランダム、ラダー型、cageおよび部分的なcageなどの多様な構造を有することができる。好ましくは、前記低屈折層および反射防止フィルムの物性および品質を高めるために、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンで反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane)を使用することができる。
【0055】
また、より好ましくは、前記官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンは、分子中にシリコン8~20個を含むことができる。
【0056】
さらに、前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンの少なくとも1つ以上には反応性官能基が置換されていてもよいし、反応性官能基が置換されないシリコンには上述した非反応性官能基が置換されていてもよい。
【0057】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンの少なくとも1つに反応性官能基が置換されることによって、前記低屈折層および前記バインダー樹脂の機械的物性を向上させることができ、同時に残りのシリコンに非反応性官能基が置換されることによって、分子構造的に立体的な障害(Steric hindrance)が現れてシロキサン結合(-Si-O-)が外部に露出する頻度や確率を大きく低下させて、前記低屈折層および前記バインダー樹脂の耐アルカリ性を向上させることができる。
【0058】
前記ポリシルセスキオキサンに置換される反応性官能基は、アルコール、アミン、カルボン酸、エポキシド、イミド、(メタ)アクリレート、ニトリル、ノルボルネン、オレフィン[アリル(ally)、シクロアルケニル(cycloalkenyl)またはビニルジメチルシリルなど]、ポリエチレングリコール、チオールおよびビニル基からなる群より選択された1種以上の官能基を含むことができ、好ましくは、エポキシドまたは(メタ)アクリレートであってもよい。
【0059】
前記反応性官能基のより具体的な例としては、(メタ)アクリレート、炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数3~20のシクロアルキル(cycloalkyl)エポキシド、炭素数1~10のアルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシドが挙げられる。前記アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートと結合しない「アルキル」の他の一部分が結合位置であるという意味であり、前記シクロアルキルエポキシドは、エポキシドと結合しない「シクロアルキル」の他の部分が結合位置であるという意味であり、アルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシドは、シクロアルカン(cycloalkane)エポキシドと結合しない「アルキル」の他の部分が結合位置であるという意味である。
【0060】
一方、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンは、上述した反応性官能基のほか、炭素数1~20の直鎖または分枝鎖のアルキル基、炭素数6~20のシクロヘキシル基および炭素数6~20のアリール基からなる群より選択された1種以上の未反応性官能基が1以上さらに含んでもよい。このように、前記ポリシルセスキオキサンに反応性官能基と未反応性官能基が表面に置換されることによって、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンでシロキサン結合(-Si-O-)が分子内部に位置し外部に露出しなくなって、前記低屈折層および反射防止フィルムの耐アルカリ性および耐スクラッチ性をより高めることができる。
【0061】
このような反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane、POSS)の例としては、TMP ジオールイソブチル(DiolIsobutyl) POSS、シクロヘキサンジオールイソブチル(Cyclohexanediol Isobutyl) POSS、1,2-プロパンジオールイソブチル(1,2-PropanediolIsobutyl) POSS、オクタ(3-ヒドロキシ-3メチルブチルジメチルシロキシ)(Octa(3-hydroxy-3 methylbutyldimethylsiloxy))POSSなどアルコールが1以上置換されたPOSS;アミノプロピルイソブチル(AminopropylIsobutyl) POSS、アミノプロピルイソオクチル(AminopropylIsooctyl) POSS、アミノエチルアミノプロピルイソブチル(Aminoethylaminopropyl Isobutyl) POSS、N-フェニルアミノプロピル(N-Phenylaminopropyl) POSS、N-メチルアミノプロピルイソブチル(N-Methylaminopropyl Isobutyl) POSS、オクタアンモニウム(OctaAmmonium) POSS、アミノフェニルシクロヘキシル(AminophenylCyclohexyl) POSS、アミノフェニルイソブチル(AminophenylIsobutyl) POSSなどアミンが1以上置換されたPOSS;マレアミック酸-シクロヘキシル(Maleamic Acid-Cyclohexyl) POSS、マレアミック酸-イソブチル(Maleamic Acid-Isobutyl) POSS、オクタマレアミック酸(Octa Maleamic Acid) POSSなどカルボン酸が1以上置換されたPOSS;エポキシシクロヘキシルイソブチル(EpoxyCyclohexylIsobutyl) POSS、エポキシシクロヘキシル(Epoxycyclohexyl) POSS、グリシジル(Glycidyl) POSS、グリシジルエチル(GlycidylEthyl) POSS、グリシジルイソブチル(GlycidylIsobutyl) POSS、グリシジルイソオクチル(GlycidylIsooctyl) POSSなどエポキシドが1以上置換されたPOSS;POSS マレイミドシクロヘキシル(Maleimide Cyclohexyl)、POSS マレイミドイソブチル(Maleimide Isobutyl)などイミドが1以上置換されたPOSS;アクリロイソブチル(AcryloIsobutyl) POSS、(メタ)アクリルイソブチル((Meth)acrylIsobutyl) POSS、(メタ)アクリレートシクロヘキシル((Meth)acrylate Cyclohexyl) POSS、(メタ)アクリレートイソブチル((Meth)acrylate Isobutyl) POSS、メタ)アクリレートエチル((Meth)acrylate Ethyl) POSS、(メタ)アクリルエチル((Meth)acrylEthyl) POSS、(メタ)アクリレートイソオクチル((Meth)acrylate Isooctyl) POSS、(メタ)アクリルイソオクチル((Meth)acrylIsooctyl) POSS、(メタ)アクリルフェニル((Meth)acrylPhenyl) POSS、(メタ)アクリル((Meth)acryl) POSS、アクリロ(Acrylo) POSSなど(メタ)アクリレートが1以上置換されたPOSS;シアノプロピルイソブチル(CyanopropylIsobutyl) POSSなどのニトリル基が1以上置換されたPOSS;ノルボルネニルエチル(NorbornenylethylEthyl) POSS、ノルボルネニルエチルイソブチル(NorbornenylethylIsobutyl) POSS、ノルボルネニルエチルジシラノイソブチル(Norbornenylethyl DiSilanoIsobutyl) POSS、トリスノルボルネニルイソブチル(Trisnorbornenyl Isobutyl) POSSなどノルボルネン基が1以上置換されたPOSS;アリルイソブチル(AllylIsobutyl) POSS、モノビニルイソブチル(MonoVinylIsobutyl) POSS、オクタシクロへキセニルジメチルシリル(OctaCyclohexenyldimethylsilyl) POSS、オクタビニルジメチルシリル(OctaVinyldimethylsilyl) POSS、オクタビニル(OctaVinyl) POSSなどの、オレフィンまたはビニル基が1以上置換されたPOSS;炭素数5~30のPEGが置換されたPOSS;またはメルカプトプロピルイソブチル(MercaptopropylIsobutyl) POSSまたはメルカプトプロピルイソオクチル(MercaptopropylIsooctyl) POSSなどのチオール基が1以上置換されたPOSS;などが挙げられる。
【0062】
前記光重合性化合物、光反応性官能基を含む含フッ素化合物および反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)の間の架橋重合体は、前記光重合性化合物100重量部対比、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン0.5~60重量部、1.5~45重量部、3~40重量部、または5~30重量部を含むことができる。
【0063】
前記バインダー樹脂中の、光重合性化合物に由来する部分に対する、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)に由来する部分の含有量が小さすぎる場合、前記低屈折層の耐スクラッチ性を十分に確保しにくいことがある。また、前記バインダー樹脂中の、光重合性化合物に由来する部分に対する、前記反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)に由来する部分の含有量が大きすぎる場合にも、前記低屈折層や反射防止フィルムの透明度が低下し、スクラッチ性がむしろ低下することがある。
【0064】
一方、前記一実施形態による反射防止フィルムに含まれている低屈折層は、前記バインダー樹脂に分散した無機微粒子を含むことができる。前記無機微粒子は、ナノメートルまたはマイクロメートル単位の直径を有する無機粒子を意味する。
【0065】
具体的には、前記無機微粒子は、ソリッド状無機ナノ粒子および/または中空状無機ナノ粒子を含むことができ、前記ソリッド状無機ナノ粒子は、100nm以下の直径を有し、その内部に空き空間が存在しない形態の粒子を意味する。
【0066】
また、前記中空状無機ナノ粒子は200nm以下の直径を有し、その表面および/または内部に空き空間が存在する形態の粒子を意味する。
【0067】
前記ソリッド状無機ナノ粒子は0.5~100nm、1~80nm、2~70nmまたは5~60nmの直径を有することができる。
【0068】
前記中空状無機ナノ粒子は1~200nm、10~150nm、20~130nm、30~110nmまたは40~100nmの直径を有することができる。
【0069】
一方、前記ソリッド状無機ナノ粒子および前記中空状無機ナノ粒子それぞれは、表面に(メタ)アクリレート基、エポキシド基、ビニル基(Vinyl)およびチオール基(Thiol)からなる群より選択された1種以上の反応性官能基を含有することができる。前記ソリッド状無機ナノ粒子および前記中空状無機ナノ粒子それぞれが表面に上述した反応性官能基を含有することによって、前記低屈折層はより高い架橋度を有することができ、これによって、より向上した耐スクラッチ性および防汚性を確保することができる。
【0070】
前記中空状無機ナノ粒子としては、その表面がフッ素系化合物でコーティングされたものを単独で使用するか、フッ素系化合物で表面がコーティングされない中空状無機ナノ粒子と混合して使用することができる。前記中空状無機ナノ粒子の表面をフッ素系化合物でコーティングすれば、表面エネルギーをより低くし、これによって、前記低屈折層の耐久性や耐スクラッチ性をより高めることができる。
【0071】
前記中空状無機ナノ粒子の表面にフッ素系化合物をコーティングする方法として、通常知られた粒子コーティング方法や重合方法などを大きな制限なく使用することができ、例えば、前記中空状無機ナノ粒子およびフッ素系化合物を水と触媒の存在下でゾル-ゲル反応させて、加水分解および縮合反応により前記中空状無機ナノ粒子の表面にフッ素系化合物を結合させることができる。
【0072】
前記中空状無機ナノ粒子の具体例としては、中空シリカ粒子が挙げられる。前記中空シリカは、有機溶媒へのより容易な分散のために、表面に置換された所定の官能基を含むことができる。前記中空シリカ粒子の表面に置換可能な有機官能基の例は大きく限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ヒドロキシ基、アミン基、アリル基(allyl)、エポキシ基、イソシアネート基、アミン基、またはフッ素などが前記中空シリカの表面に置換されていてもよい。
【0073】
前記低屈折層のバインダー樹脂は、前記光重合性化合物100重量部に対して、前記無機微粒子10~600重量部、20~550重量部、50~500重量部、100~400重量部または150~350重量部を含むことができる。前記無機微粒子が過剰添加される場合、バインダーの含有量の低下によって、コーティング膜の耐スクラッチ性や耐摩耗性が低下しうる。
【0074】
一方、前記低屈折層は、光重合性化合物、反応性官能基を含む含フッ素化合物、反応性官能基が1以上置換されたポリシルセスキオキサンおよび前記無機微粒子を含む光硬化性コーティング組成物を前記光透過性基材上に塗布し、塗布された結果物を光硬化することによって得られる。
【0075】
また、前記光硬化性コーティング組成物は、光開始剤をさらに含んでもよい。これによって、上述した光硬化性コーティング組成物から製造される低屈折層には前記光重合開始剤が残留し得る。
【0076】
前記光重合開始剤としては、光硬化性樹脂組成物に使用できると知られた化合物であれば大きな制限なく使用可能であり、具体的には、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0077】
前記光重合性化合物100重量部に対して、前記光重合開始剤は1~100重量部、5~90重量部、10~80重量部、20~70重量部または30~60重量部の含有量で使用できる。前記光重合開始剤の量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化段階で未硬化で残留する物質が発生することがある。前記光重合開始剤の量が多すぎると、未反応開始剤が不純物として残留したり架橋密度が低くなって、製造されるフィルムの機械的物性が低下したり反射率が非常に高くなる。
【0078】
また、前記光硬化性コーティング組成物は、有機溶媒をさらに含んでもよい。前記有機溶媒の非制限的な例を挙げると、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0079】
このような有機溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、またはt-ブタノールなどのアルコール類;エチルアセテート、i-プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0080】
前記有機溶媒は、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されるか、各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されることで、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる。前記光硬化性コーティング組成物中の有機溶媒の含有量が小さすぎると、前記光硬化性コーティング組成物の流れ性が低下して、最終的に製造されるフィルムに縞模様が生じるなどの不良が発生しうる。また、前記有機溶媒の過剰添加時、固形分含有量が低くなって、コーティングおよび成膜が十分にならずにフィルムの物性や表面特性が低下し、乾燥および硬化過程で不良が発生しうる。これによって、前記光硬化性コーティング組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%~50重量%、または2~20重量%となるように有機溶媒を含むことができる。
【0081】
一方、前記光硬化性コーティング組成物を塗布するのに通常使用される方法および装置を格別な制限なく使用可能であり、例えば、Meyer barなどのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2ロールリバースコーティング法、バキュームスロットダイコーティング法、2ロールコーティング法などを使用することができる。
【0082】
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、200~400nmの波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は100~4,000mJ/cmが好ましい。露光時間も特に限定されるものではなく、使用される露光装置、照射光線の波長または露光量に応じて適切に変化させることができる。
【0083】
また、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、窒素大気条件を適用するために、窒素パージングなどが可能である。
【0084】
前記一実施形態によるハードコートフィルムに含まれているハードコート層としては、通常知られたハードコート層を大きな制限なく使用可能である。前記ハードコート層の一例として、光硬化性樹脂を含むバインダー樹脂;および前記バインダー樹脂に分散した有機または無機微粒子を含むハードコート層が挙げられる。
【0085】
前記ハードコート層に含まれる光硬化性樹脂は、紫外線などの光が照射されると重合反応を起こし得る光硬化性化合物の重合体であって、当業界における通常のものであってもよい。具体的には、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレート、およびポリエーテルアクリレートからなる反応性アクリレートオリゴマーの群;およびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチレンプロピルトリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチルプロパンエトキシトリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびエチレングリコールジアクリレートからなる多官能性アクリレート単量体の群より選択される1種以上を含むことができる。
【0086】
前記有機または無機微粒子は、粒径が具体的に限定されるものではないが、例えば、有機微粒子は1~10μmの粒径を有することができ、前記無機粒子は1nm~500nm、または1nm~300nmの粒径を有することができる。前記有機または無機微粒子は、粒径は体積平均粒径と定義される。
【0087】
また、前記ハードコート層に含まれる有機または無機微粒子の具体例が限定されるものではないが、例えば、前記有機または無機微粒子は、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシド樹脂およびナイロン樹脂からなる有機微粒子であるか、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウムおよび酸化亜鉛からなる無機微粒子であってもよい。
【0088】
前記ハードコート層のバインダー樹脂は、数平均分子量10,000以上、13,000以上、15,000~100,000または20,000~80,000の高分子量(共)重合体をさらに含んでもよい。前記高分子量(共)重合体は、セルロース系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、エポキシド系ポリマー、ナイロン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびポリオレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0089】
一方、前記ハードコート層の他の例として、光硬化性樹脂の有機高分子樹脂;および前記有機高分子樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコート層が挙げられる。
【0090】
前記帯電防止剤は、4級アンモニウム塩化合物;ピリジニウム塩;1~3個のアミノ基を有する陽イオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などの陰イオン性化合物;アミノ酸系またはアミノ硫酸エステル系化合物などの両性化合物;イミノアルコール系化合物、グリセリン系化合物、ポリエチレングリコール系化合物などの非イオン性化合物;スズまたはチタニウムなどを含む金属アルコキシド化合物などの有機金属化合物;前記有機金属化合物のアセチルアセトネート塩などの金属キレート化合物;これら化合物の2種以上の反応物または高分子化物;これら化合物の2種以上の混合物であってもよい。ここで、前記4級アンモニウム塩化合物は、分子内に1個以上の4級アンモニウム塩基を有する化合物であってもよいし、低分子型または高分子型を制限なく使用可能である。
【0091】
また、前記帯電防止剤としては、導電性高分子と金属酸化物微粒子も使用することができる。前記導電性高分子としては、芳香族共役系ポリ(パラフェニレン)、ヘテロ環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、ヘテロ原子を含有した共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を有する共役系である複鎖型共役系化合物、共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重合させた導電性複合体などがある。さらに、前記金属酸化物微粒子としては、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、インジウムスズ酸化物、酸化インジウム、酸化アルミニウム、アンチモンドーピングされた酸化スズ、アルミニウムドーピングされた酸化亜鉛などが挙げられる。
【0092】
前記光重合性樹脂の有機高分子樹脂;および前記有機高分子樹脂に分散した帯電防止剤を含むハードコート層は、アルコキシシラン系オリゴマーおよび金属アルコキシド系オリゴマーからなる群より選択される1種以上の化合物をさらに含んでもよい。
【0093】
前記アルコキシシラン系化合物は、当業界における通常のものであってもよいが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびグリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
【0094】
また、前記金属アルコキシド系オリゴマーは、金属アルコキシド系化合物および水を含む組成物のゾル-ゲル反応により製造することができる。前記ゾル-ゲル反応は、前述したアルコキシシラン系オリゴマーの製造方法に準ずる方法で行うことができる。ただし、前記金属アルコキシド系化合物は、水と急激に反応可能なため、前記金属アルコキシド系化合物を有機溶媒に希釈した後、水をゆっくりドロッピングする方法で前記ゾル-ゲル反応を行うことができる。この時、反応効率などを勘案して、水に対する金属アルコキシド化合物のモル比(金属イオン基準)は3~170の範囲内で調節するものであってもよい。
【0095】
ここで、前記金属アルコキシド系化合物は、チタニウムテトラ-イソプロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシドおよびアルミニウムイソプロポキシドからなる群より選択される1種以上の化合物であってもよい。
【0096】
前記一実施形態によるハードコートフィルムに含まれている光透過性基材は、光透過度が90%以上であり、ヘイズ1%以下である透明フィルムであってもよい。
【0097】
前記光透過性基材は、300nm以上の波長で透過率が50%以上であってもよい。また、前記光透過性基材は、フィルムを通して水蒸気圧が高いところから低いところに湿気の移動する透湿現象がほとんど行われない低透湿特性を有する高分子フィルムで、例えば、前記光透過性基材は、30~40℃の温度および90~100%の相対湿度の条件下、透湿率が50g/m・day以下、30g/m・day以下、20g/m・day以下、または15g/m・day以下であってもよい。前記光透過性基材の透湿率が50g/m・dayを超えると、反射防止フィルム内に湿気が透湿されて、高温環境で前記反射防止フィルムを適用したディスプレイの劣化現象が発生しうる。
【0098】
先に述べたように、前記ピークの2θ値は、高分子の結晶内の特定の面間距離(d-spacing)に起因するものであり、前記光透過性基材内の高分子の結晶状態に起因するものであってもよく、前記22~24°の2θ値に現れるピークの半値全幅は、前記光透過性基材内の高分子結晶の大きさに起因するものであってもよい。
【0099】
また、前記光透過性基材内の高分子結晶の特定の面間距離(d-spacing)および大きさは、光透過性基材の製造過程での延伸比、延伸温度および延伸後の冷却速度などと関連があり、さらに、前記光透過性基材の一方向および前記一方向と垂直な方向との間の引張強度の比率と関連があり得る。
【0100】
具体的には、前記光透過性基材は、一方向および前記一方向と垂直な方向に異なる引張強度の値が現れ、例えば、一方向の引張強度に対する、前記一方向と垂直な方向の引張強度の比率は2以上、2~30、2.1~20、2.2~10、または2.2~5であってもよい。
【0101】
この時、前記一方向の引張強度は、前記一方向と垂直な方向の引張強度より小さい値を有する。前記引張強度の比率が2未満であれば、反射防止フィルムの部位別反射率および透光率の偏差が大きく、可視光線の干渉によるレインボー現象が発生することがある。
【0102】
前記光透過性基材は、一方向の引張強度が50~500Mpa、60~450Mpa、または70~400Mpaであってもよい。
【0103】
また、前記光透過性基材の前記一方向と垂直な方向の引張強度は50~500Mpa、60~450Mpa、または70~400Mpaであってもよい。
【0104】
前記光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm以上、5、200~50,000nm、5,400~40,000nm、5,600~30,000nm、5,800~20,000nm、または5,800~10,000nmであってもよい。このような光透過性基材の具体例としては、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
【0105】
前記光透過性基材の厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm未満であれば、反射防止フィルムの部位別反射率および透光率の偏差が大きく、可視光線の干渉によるレインボー現象が発生することがある。
【0106】
厚さ方向のレターデーションは、通常知られた測定方法および測定装置により確認することができる。例えば、厚さ方向のレターデーションの測定装置としては、AXOMETRICS社製の商品名「アクソスキャン(AxoScan)」などが挙げられる。
【0107】
例えば、厚さ方向のレターデーションの測定条件としては、前記光透過性基材フィルムに対して、屈折率(589nm)の値を前記測定装置に入力した後、温度:25℃、湿度:40%の条件下、波長590nmの光を用いて、光透過性基材フィルムの厚さ方向のレターデーションを測定し、求められた厚さ方向のレターデーション測定値(測定装置の自動測定(自動計算)による測定値)に基づいて、フィルムの厚さ10μmあたりのレターデーション値に換算することによって求められる。さらに、測定試料の光透過性基材のサイズは、測定器のステージの測光部(直径:約1cm)よりも大きければ良いので、特に限定されないが、縦:76mm、横52mm、厚さ13μmの大きさとすることができる。
【0108】
また、厚さ方向のレターデーションの測定に用いる「前記光透過性基材の屈折率(589nm)」の値は、レターデーションの測定対象になるフィルムを形成する光透過性基材と同じ種類の樹脂フィルムを含む未延伸フィルムを形成した後、このような未延伸フィルムを測定試料として用い(また、測定対象になるフィルムが未延伸フィルムの場合には、そのフィルムをそのまま測定試料として使用できる)、測定装置として屈折率測定装置(株式会社アタゴ製の商品名「NAR-1T SOLID」)を用い、589nmの光源を用い、23℃の温度条件下、測定試料の面内方向(厚さ方向とは垂直な方向)の589nmの光に対する屈折率を測定して求められる。
【0109】
また、前記光透過性高分子基材の素材は、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン重合体、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどであってもよい。さらに、前記基材フィルムの厚さは、生産性などを考慮して、10~300μmであってもよいが、これに限定するものではない。
【0110】
前記一実施形態の反射防止フィルムは、低い反射率を示して高い透光度および優れた光学特性を実現することができる。具体的には、前記反射防止フィルムは、380nm~780nmの可視光線波長帯領域で平均反射率が2.0%以下、1.6%以下、1.2%以下、0.05%~0.9%、0.10%~0.70%、または0.2%~0.5%の平均反射率を有することができる。
【0111】
また、前記一実施形態の反射防止フィルムは、低い反射率の偏差および透光率の偏差を示して優れた光学特性を実現することができる。具体的には、前記反射防止フィルムの平均反射率の偏差は0.2%p以下、0.01~0.18%pまたは0.02~0.17%pであってもよい。さらに、前記反射防止フィルムの透光率の偏差は0.2%p以下、0.01~0.15%pまたは0.01~0.10%pであってもよい。
【0112】
前記平均反射率の偏差は、前記反射防止フィルムで選定された2つ以上の特定部分(ポイント)の380~780nmの可視光線波長帯領域での平均反射率と、前記平均反射率の平均値との間の差(絶対値)を意味する。前記平均反射率の偏差を算出する方法としては、具体的には、1)反射防止フィルム内に2つ以上のポイントを選定し、2)前記2つ以上のポイントで平均反射率をそれぞれ測定し、3)2)段階で測定された平均反射率の算術平均を計算し、および4)各ポイントの平均反射率と3)段階の算術平均との差(絶対値)を計算して、最終的に2つ以上の平均反射率の偏差を算出することができる。この時、2つ以上の前記平均反射率の偏差のうち最も大きい値を有する平均反射率の偏差は0.2%p以下であってもよい。
【0113】
一方、前記透光率の偏差は、前記反射防止フィルムで選定された2つ以上の特定部分(ポイント)の透光率と、前記透光率の平均値との間の差(絶対値)を意味するもので、平均反射率を測定する代わりに透光率を測定するという点を除き、前記平均反射率の偏差を算出する方法と同様の方法で透光率の偏差を算出することができる。この時、2つ以上の前記透光率の偏差のうち最も大きい値を有する透光率の偏差は0.2%p以下であってもよい。
【0114】
発明の他の実施形態によれば、前記反射防止フィルムを含む偏光板が提供される。前記偏光板は、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成された反射防止フィルムとを含むことができる。
【0115】
また、発明のさらに他の実施形態によれば、偏光子と、前記偏光子を中心に対向するように位置する10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層および前記一実施形態による反射防止フィルムとを含む偏光板が提供される。
【0116】
前記反射防止フィルムに関する詳しい説明およびこれに含まれる成分に関する詳しい説明および具体的な例示は上述した通りである。
【0117】
また、前記偏光板は、10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層、偏光子および前記反射防止フィルムが順次に積層されることを除けば、本発明の属する技術分野で知られた構成成分および製造方法を利用して製造することができ、例えば、前記偏光板は、10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層、偏光子、光透過性基材、ハードコート層および低屈折層が順次に積層されていてよい。
【0118】
従来知られた偏光板は、偏光子を中心として両側にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどを位置する構造を有するが、トリアセチルセルロースフィルムの場合、耐水性が弱くて高温/高湿環境でねじれることがあり、光漏れなどの不良を誘発する問題点があった。
【0119】
しかし、前記さらに他の実施形態による偏光板は、偏光子の一面に上述した特性を有する光透過性基材が位置し、偏光子の他の一面に10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層が位置して、前記偏光板が高温高湿条件で長時間露出しても偏光子側への水分伝達を遮断して物性や形態に大きな変化がない耐久性を確保することができる。
【0120】
また、前記偏光板は、10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層を用いることによって、上述した水分伝達の遮断および耐久性の確保に関する効果とともに、偏光板全体の厚さを低減することができる。
【0121】
具体的には、前記偏光子;前記第2ハードコート層;および前記光透過性基材を合わせた総厚さは200μm以下であってもよい。例えば、前記偏光子は40μm以下、または1~40μmの厚さを有し、前記ハードコート層は10μm以下、または1~10μmの厚さを有し、前記光透過性基材は150μm以下の厚さを有することができる。この場合、前記偏光板および前記偏光板を含むディスプレイの薄型軽量化が可能である。
【0122】
前記偏光子は、一面に前記10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層が位置し、他の一面には前記反射防止フィルムに含まれる光透過性基材が位置することができる。前記光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm以上、7,000~50,000nm、または8,000~40,000nmであってもよい。前記偏光板に含まれる光透過性基材の厚さ方向のレターデーション(Rth)が5,000nm未満であれば、反射防止フィルムの部位別反射率および透光率の偏差が大きく、可視光線の干渉によるレインボー現象が発生することがある。一方、前記レターデーションの測定方法および装置は、上述した反射防止フィルムにおいて記載した通りである。
【0123】
また、前記光透過性基材は、一方向および前記一方向と垂直な方向に異なる引張強度の値が現れ、例えば、一方向の引張強度に対する、前記一方向と垂直な方向の引張強度の比率は2以上、3以上、4~30または5~20であってもよい。この時、前記一方向の引張強度は、前記一方向と垂直な方向の引張強度より小さい値を有する。前記偏光板に含まれる光透過性基材の引張強度の比率が2未満であれば、反射防止フィルムの部位別反射率および透光率の偏差が大きく、可視光線の干渉によるレインボー現象が発生することがある。
【0124】
前記10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層は、本発明の属する技術分野で知られた構成成分および製造方法を利用して製造することができ、例えば、前記反射防止フィルムに含まれているハードコート層と同一の構成などを有するフィルムであってもよい。
【0125】
一方、前記偏光子は、様々な方向に振動しながら入射する光から一方の方向に振動する光だけを抽出できる特性を示す。このような特性は、ヨウ素を吸収したポリビニルアルコール(PVA、poly vinyl alcohol)を強い張力で延伸して達成可能である。例えば、PVAフィルムを水溶液に浸漬して膨潤(swelling)させる膨潤段階と、前記膨潤されたPVAフィルムに偏光性を付与する二色性染料物質で染色する段階と、前記染色されたPVAフィルムを延伸(stretch)して前記二色性染料物質を延伸方向に並んで配列させる延伸段階と、前記延伸段階を経たPVAフィルムの色を補正する補色段階とを経て偏光子を形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
前記ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール樹脂またはその誘導体を含むものであれば特別な制限なく使用可能である。この時、前記ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、これに限定されるものではないが、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。一方、前記二色性染料としては、アゾ(azo)系、アントラキノン(anthraquinone)系、テトラジン(tetrazin)系などを使用することができるが、これに限定されるものではない。また、前記ポリビニルアルコールフィルムは、当該技術分野において偏光子の製造に一般に使用される市販のポリビニルアルコールフィルム、例えば、クラレ社のP30、PE30、PE60、日本合成社のM3000、M6000などを使用することができる。
【0127】
一方、前記ポリビニルアルコールフィルムは、これに限定されるものではないが、重合度が1000~10000または1500~5000であってもよい。重合度が前記範囲を満足する時、分子の動きが自由で、ヨウ素または二色性染料などと柔軟に混合できる。
【0128】
前記偏光板は、ディスプレイ、例えば、液晶表示装置(LCD)の上部偏光板として使用できる。また、積層構造において、前記反射防止フィルムが上部に位置し、具体的には、前記反射防止フィルムは、ディスプレイ装置の視認側に近く位置することができる。前記反射防止フィルムをディスプレイの視認側に近く位置するように制御することによって、偏光子側に水分伝達を遮断して耐久性を向上させると同時に、外部から入射する光の反射を最小化させて画面の鮮明度を向上させることができる。
【0129】
一方、前記偏光子と接する第2ハードコート層および/または光透過性基材の一面に接着層をさらに含んでもよいし、さらに、各層の間または最外殻には耐汚染層などのその他の機能層をさらに含んでもよい。
【0130】
例えば、前記偏光子の各一面に位置する第2ハードコート層および光透過性基材は、接着剤などを用いてラミネーションすることによって接着させることができる。使用可能な接着剤としては、当技術分野で知られているものであれば特に限定されないが、例えば、水系接着剤、一液型または二液型のポリビニルアルコール(PVA)系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤、またはホットメルト型接着剤などがある。
【0131】
具体的には、前記偏光板は、第2ハードコート層、偏光子、光透過性基材、ハードコート層および低屈折層が順次に積層されていてよい。また、前記偏光子と接する第2ハードコート層および/または光透過性基材の一面に粘着層をさらに含んでもよいし、さらに、各層の間または最外殻には耐汚染層などのその他の機能層をさらに含んでもよい。
【0132】
偏光板の偏光子保護フィルムに多く用いられているトリアセチルセルロース(TAC)フィルムは、耐水性が弱くて高温/高湿環境でねじれることがあり、光漏れなどの不良を誘発するのに対し、前記さらに他の実施形態による偏光板では、偏光子の両面にそれぞれ前記第2ハードコート層および前記一実施形態による反射防止フィルムを用いることによって、高温高湿条件で長時間露出しても物性や形態に大きな変化がない耐久性を確保することができる。
【0133】
また、前記偏光板は、10μm以下の厚さを有する第2ハードコート層を用いることによって、従来知られた他の偏光板構造に比べてより薄い厚さによっても強固な構造を実現することができる。
【0134】
より具体的には、前記偏光子;前記第2ハードコート層;および前記光透過性基材を合わせた総厚さは200μm以下であってもよい。例えば、前記偏光子は40μm以下、または1~40μmの厚さを有し、前記ハードコート層は10μm以下、または1~10μmの厚さを有し、前記光透過性基材は150μm以下の厚さを有することができる。
【0135】
発明のさらに他の実施形態によれば、上述した反射防止フィルムを含むディスプレイ装置が提供される。前記ディスプレイ装置の具体例が限定されるものではなく、例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ装置、有機発光ダイオード装置(Organic Light Emitting Diodes)などの装置であってもよい。
【0136】
一つの例として、前記ディスプレイ装置は、互いに対向する一対の偏光板;前記一対の偏光板の間に順次に積層された薄膜トランジスタ、カラーフィルタおよび液晶セル;およびバックライトユニットを含む液晶ディスプレイ装置であってもよい。
【0137】
前記ディスプレイ装置において、前記反射防止フィルムは、ディスプレイパネルの観測者側またはバックライト側の最外角表面に備えられる。
【0138】
前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置は、一対の偏光板のうち相対的にバックライトユニットから距離の遠い偏光板の一面に反射防止フィルムが位置することができる。
【0139】
また、前記ディスプレイ装置は、ディスプレイパネルと、前記パネルの少なくとも一面に備えられた偏光子と、前記偏光子のパネルと接する反対側面に備えられた反射防止フィルムとを含むことができる。
【発明の効果】
【0140】
本発明によれば、低い反射率および透光率の偏差を有しかつ高い耐スクラッチ性および防汚性を同時に実現することができ、ディスプレイ装置の画面の鮮明度を高めることができる反射防止フィルム、前記反射防止フィルムを含む偏光板、および前記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1】実施例1の反射防止フィルムに対するX線回折(XRD)パターンである。
図2】比較例3の反射防止フィルムに対するX線回折(XRD)パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0142】
発明を下記の実施例でより詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0143】
製造例1:ハードコート層形成用コーティング液の製造
下記表1に記載の成分を混合してハードコート層形成用コーティング液(B1、B2およびB3)を製造した。
【0144】
【表1】
【0145】
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
UA-306T:ウレタンアクリレートとしてトルエンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応物(Kyoeisha製品)
8BR-500:光硬化型ウレタンアクリレートポリマー(Mw200,000、Taisei Fine Chemical製品)
IRG-184:開始剤(Irgacure184、Ciba社)
Tego-270:Tego社のレベリング剤
BYK350:BYK社のレベリング剤
IPAイソプロピルアルコール
XX-103BQ(2.0μm RI1.515):ポリスチレンとポリメチルメタクリレートとの共重合粒子(Sekisui Plastic製品)
XX-113BQ(2.0μm RI1.555):ポリスチレンとポリメチルメタクリレートとの共重合粒子(Sekisui Plastic製品)
MA-ST(30%メタノール溶液):大きさ10~15nmのナノシリカ粒子がメチルアルコールに分散した分散液(Nissan Chemical製品)
【0146】
製造例2-1:低屈折層形成用コーティング液(C1)の製造
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)100g、中空状シリカナノ粒子(直径範囲:約42nm~66nm、JSC catalyst and chemicals社製品)283g、ソリッド状シリカナノ粒子(直径範囲:約12nm~19nm)59g、第1含フッ素化合物(X-71-1203M、ShinEtsu社)115g、第2含フッ素化合物(RS-537、DIC社)15.5gおよび開始剤(Irgacure127、Ciba社)10gを、MIBK(メチルイソブチルケトン)溶媒に固形分濃度3重量%となるように希釈して、低屈折層形成用コーティング液(光硬化性コーティング組成物)を製造した。
【0147】
製造例2-2:低屈折層形成用コーティング液(C2)の製造
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100g、中空状シリカナノ粒子(直径範囲:約51nm~72nm、JSC catalyst and chemicals社製品)143g、ソリッド状シリカナノ粒子(直径範囲:約12nm~19nm)29g、含フッ素化合物(RS-537、DIC社)56gおよび開始剤(Irgacure127、Ciba社)3.1gを、MIBK(メチルイソブチルケトン)溶媒に固形分濃度3.5重量%となるように希釈して、低屈折層形成用コーティング液(光硬化性コーティング組成物)を製造した。
【0148】
<実施例1~3および比較例1~4:反射防止フィルムの製造>
下記表2に記載のそれぞれの光透過性基材(厚さ80μm)上に、前記製造されたハードコート層形成用コーティング液(B1、B2、B3)それぞれを#12 mayer barでコーティングした後、60℃の温度で2分乾燥し、UV硬化してハードコート層(コーティング厚さは5μm)を形成した。UVランプはH bulbを用い、窒素雰囲気下で硬化反応を進行させた。硬化時に照射されたUV光量は100mJ/cmである。
【0149】
前記ハードコート層上に、前記低屈折層形成用コーティング液(C1、C2)を#4 mayer barで厚さが約110~120nmとなるようにコーティングし、40℃の温度で1分間乾燥および硬化した。前記硬化時には、窒素パージング下、前記乾燥したコーティング液に252mJ/cmの紫外線を照射した。
【0150】
【表2】
【0151】
*引張強度の比率:光透過性基材において、より小さい値を有する一方向の引張強度に対する、より大きい値を有する前記一方向と垂直な方向の引張強度の比率。引張強度の測定方法は、JIS C-2318に準じて光透過性基材の引張強度を測定する。
【0152】
評価
1.反射モードのX線回折(XRD)評価
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムに対して、2cm*2cm(横*縦)の大きさにサンプルを用意した後、1.54Åの波長のCu-Kα線を照射して反射モードのX線回折(XRD)パターンを測定した。
【0153】
具体的には、ローバックグラウンドケイ素ホルダー(low background Si holder、Bruker社)上に浮かび上がらないようにサンプルを固定して用意し、測定装置はBruker AXS D4 Endeavor XRDを用いた。使用電圧および電流はそれぞれ40kVおよび40mAであり、使用したオプティクス(optics)および検出器(detector)などの装置および条件は次の通りである。
-一次(入射ビーム)光学系(Primary(incident beam)optics):電動発散スリット、ソーラースリット2.3°(motorized divergence slit、soller slit2.3°)
-二次(回折ビーム)光学系(Secondary(diffracted beam)optics):ソーラースリット2.3°(soller slit2.3°)
-受光スリット(Receiving slit):0.1deg
-LynxEye検出器(1D検出器)
【0154】
測定モードはcoupled 2θ/θモードであり、FDS(Fixed Divergence Slit)0.3°を用いて、2θ値が6°から70°までの領域を、毎0.04°ごとに175秒ずつ測定した。
【0155】
また、X線回折(XRD)パターンにおいて、22~24°の2θ値の間に現れるピークの半値全幅は、Bruker社のTOPASプログラムを用いて測定した。具体的には、TOPASプログラムで測定範囲(フィッティング領域)を10~40°に指定し、PV(pseudo-Voigt)関数を用いて、約17°、19°、23°、26°付近のピークを入力して半値全幅を求めた。以後、22~24°の2θ値の間に現れるピークの2θ値と、前記ピークの半値全幅を下記表3に記載した。
【0156】
一方、図1は、実施例1の反射防止フィルムに対するX線回折(XRD)パターンであり、図2は、比較例3の反射防止フィルムに対するX線回折(XRD)パターンである。
【0157】
2.平均反射率評価
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムの裏面(ハードコート層が形成されていない光透過性基材の一面)を暗色処理した後に、Solidspec3700(SHIMADZU)装置の反射率(Reflectance)モードを用いて、380~780nmの波長領域で平均反射率を測定し、その結果を下記表3に記載した。
【0158】
3.平均反射率の偏差評価
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムに対して任意のポイントを20個選定し、それぞれのポイントに対して前記「2.平均反射率評価方法」で平均反射率を測定した。以後、測定された20個のポイントの平均反射率の算術平均値を求めた。以後、各ポイントで平均反射率と前記算術平均値との間の差(絶対値)を平均反射率の偏差と定義し、各20個のポイントでそれぞれ平均反射率の偏差を計算した。20個の平均反射率の偏差のうち最も大きい値を有する平均反射率の偏差を下記表3に記載した。
【0159】
4.透光率の偏差評価
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムに対して任意のポイントを20個選定し、それぞれのポイントに対して透光率を測定した。
【0160】
具体的には、前記反射防止フィルムをSolidspec3700(SHIMADZU)装置の透過率(Transmittance)モードを用いて、380~780nmの波長領域で平均透光率を測定した。
【0161】
以後、測定された20個のポイントの透光率の算術平均値を求めた。以後、各ポイントで透光率と前記算術平均値との間の差(絶対値)を透光率の偏差と定義し、各20個のポイントで透光率の偏差を計算した。20個の透光率の偏差のうち最も大きい値を有する透光率の偏差を下記表3に記載した。
【0162】
5.透湿率評価
実施例および比較例で得られた反射防止フィルムの透湿率は、38℃の温度および100%の相対湿度下、MOCON test装置(PERMATRAN-W、MODEL3/61)を用いて測定した。
【0163】
【表3】
【0164】
前記表3によれば、実施例1~5の反射防止フィルムは、平均反射率の偏差が0.16%p以下で、透光率の偏差が0.08%p以下であり、反射防止フィルム全般において平均反射率と透光率の差がほとんどないことを確認した。しかし、比較例1~4の反射防止フィルムは、実施例1~5の反射防止フィルムとは異なり、平均反射率の偏差および透光率の偏差が顕著に高いことを確認した。
【0165】
製造例3:第2ハードコート層が一面に形成された偏光子の製造
(1)第2ハードコート層形成用コーティング液(A)の製造
トリメチロイルプロパントリアクリレート28g、KBE-403 2g、開始剤KIP-100f、0.1g、レベリング剤(Tego wet270)0.06gを均一に混合して、第2ハードコート層形成用コーティング液(A)を製造した。
【0166】
(2)第2ハードコート層が一面に形成された偏光子の製造
偏光子であるポリビニルアルコール偏光子(厚さ:25um、製造会社:LG化学)の一面に前記第2ハードコート層形成用コーティング液(A)を7umの厚さに塗布し、窒素パージング下、乾燥したコーティング物に500mJ/cmの紫外線を照射して、第2ハードコート層が一面に形成された偏光子を製造した。
【0167】
<実施例6~10および比較例5~8:偏光板の製造>
下記表4に記載の通り、前記実施例1~5および比較例1~4でそれぞれ得られた反射防止フィルムの光透過性基材上に、前記製造例3で得られた第2ハードコート層が一面に形成された偏光子をUV接着剤で接着して偏光板を製造した。具体的には、前記反射防止フィルムの光透過性基材と前記偏光子とが直接的に接するようにして偏光板を製造し、製造された偏光板は、低屈折層、ハードコート層、光透過性基材、偏光子および第2ハードコート層が順次に積層されている。
【0168】
【表4】
【0169】
評価
1.平均反射率の偏差および透光率の偏差評価
前記実施例6~10および比較例5~8に対して、先に述べたのと同様の方法で平均反射率の偏差および透光率の偏差を測定して下記表5に示した。
【0170】
2.クラック特性
前記実施例6~10および比較例5~8に対して、一辺の長さが10cmの正方形に裁断し、TV用ガラス(横12cm、縦12cm、厚さ0.7mm)の一面に接合して熱衝撃評価用サンプルを製造した。この時、偏光子のMD方向が正方形の一辺と平行となるように偏光板を裁断した。裁断したサンプルを熱衝撃チャンバーに垂直に立てておき、常温から80℃に昇温して30分放置し、以後、温度を-30℃に下げて30分放置後、常温に温度調節することを1サイクルとして、計100サイクルを繰り返した。以後、評価用サンプルの偏光子の間に発生したクラックと偏光子との間に隙間が生じたことを肉眼で確認して、長さ1cm以上のクラックの個数を確認し、その結果を下記表5に記載した。
【0171】
【表5】
【0172】
下記の表5によれば、実施例6~10の平光板は、平均反射率の偏差が0.13%p以下で、透光率の偏差が0.06%p以下であり、平光板全般において平均反射率と透光率の差がほとんどなく、視認性の部位別偏差がないことを確認した。しかし、比較例5~8の偏光板は、実施例6~8の偏光板とは異なり、平均反射率の偏差および透光率の偏差が顕著に高くて、部位別視認性の偏差が大きく現れることを予測することができる。
【0173】
また、平均反射率および透光率の偏差が低い実施例6~10は、100Cycle繰り返されたクラック試験でクラックが全く発生しないことを確認した。これに対し、比較例5~8の偏光板は、クラックが発生することを確認した。
図1
図2