(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】医療文書作成支援装置、医療文書作成支援方法、及び医療文書作成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 15/00 20180101AFI20220711BHJP
【FI】
G16H15/00
(21)【出願番号】P 2020511691
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2019011878
(87)【国際公開番号】W WO2019193982
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2018072523
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平川 真之介
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳児
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-238038(JP,A)
【文献】特開2016-040688(JP,A)
【文献】特開2011-002997(JP,A)
【文献】特開2009-082441(JP,A)
【文献】特開2013-252160(JP,A)
【文献】特開2013-171526(JP,A)
【文献】特開2009-060945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を撮影して得た医用画像に対する所見を表す医療文書の文字情報を受け付ける可視情報受付部と、
予め定められた規則
に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にする処理を行う処理部と、
を含む医療文書作成支援装置。
【請求項2】
前記処理部は、文字列の診断のための重要度を学習した判別器を使用して、前記文字情報に含まれる前記文字列の重要度を取得する請求項1記載の医療文書作成支援装置。
【請求項3】
前記医療文書は、前記医用画像の画像解析結果を用いて作成された文字情報を含む請求項1又は2に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項4】
前記画像解析結果は、病変の種類、病変の位置、及び病変の大きさのうち少なくとも1つを含み、
前記文字情報は、前記画像解析結果を表す文字列を含む請求項3に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記重要度が基準より低い文字列のうち何れの文字列を非表示にするかを定めた複数のモードを設定し、診断医毎又は病院毎に対応づけられた前記モードにしたがって前記重要度が基準より低い文字列を非表示にする請求項1から4の何れか1項に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記医療文書において、前記文字情報に
前記医用画像に対する所見を表す文が複数存在する場合に、
複数の前記所見を表す文のうちの2つ以上の前記所見を表す文の文字列に共通する共通文字列が含まれるときは、前記2つ以上の前記所見を表す文を前記共通文字列を1つだけ含む1つの文に併合する処理を行う請求項1から
5の何れか1項に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項7】
前記処理部は、
非表示にされた前記
文字列を、
表示する処理を行う請求項1から
6の何れか1項に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記
重要度が基準より低いと判断された文字列を、段階的に
非表示にする処理を行う請求項1から
7の何れか1項に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項9】
前記処理部は、
非表示にされた前記
文字列を、段階的に
表示する処理を行う請求項
8に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項10】
前記文字情報には、前記被検者を撮影して得た医用画像であって前記医療文書の対象である現在画像上の領域に対する所見を表す文が含まれ、
前記処理部は、前記現在画像の領域の画像と、前記現在画像の領域に対応する前記現在画像より前に撮影された前記被検者の過去画像の領域の画像とを比較して、前記文字情報の文うち、前記現在画像と前記過去画像の対応する前記領域の画像間で変化がないと判断された領域の所見を表す文を非表示にする処理を行う請求項1から9の何れか1項に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項11】
前記現在画像の領域は、前記現在画像上で指定された位置の領域であり、
前記可視情報受付部は、前記現在画像上で指定された位置
の領域の画像解析結果に基づいて作成された現在医療文書
の文字情報を受け付ける請求項
10に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項12】
前記可視情報受付部は、前記現在画像全体の画像解析結果に基づいて作成された現在医療文書
の文字情報を受け付ける請求項
10に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項13】
前記可視情報受付部は、
前記被検者の過去画像
に対する所見を表す過去医療文書に基づいて作成された現在医療文書
の文字情報を受け付ける請求項
10に記載の医療文書作成支援装置。
【請求項14】
被検者を撮影した医用画像を現在画像とし、前記現在画像の画像解析結果を用いて、前記現在画像に類似する前記現在画像より前に撮影された前記被検者とは別の被検者の過去画像を検索して、前記別の被検者の過去画像の所見を表す過去医療文書の文字情報を受け付ける可視情報受付部と、
予め定められた規則に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にして前記被検者の現在医療文書を作成する処理を行う処理部と、
を含む医療文書作成支援装置。
【請求項15】
コンピュータが、
被検者を撮影して得た医用画像に対する所見を表す医療文書の文字情報を受け付け、
予め定められた規則
に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にする処理を
実行する医療文書作成支援方法。
【請求項16】
被検者を撮影して得た医用画像に対する所見を表す医療文書の文字情報を受け付ける手順と、
予め定められた規則
に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にする処理を行う手順とをコンピュータに実行させるための医療文書作成支援プログラム。
【請求項17】
コンピュータが、
被検者を撮影した医用画像を現在画像とし、前記現在画像の画像解析結果を用いて、前記現在画像に類似する前記現在画像より前に撮影された前記被検者とは別の被検者の過去画像を検索して、前記別の被検者の過去画像の所見を表す過去医療文書の文字情報を受け付け、
予め定められた規則に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にして前記被検者の現在医療文書を作成する処理を実行する医療文書作成支援方法。
【請求項18】
被検者を撮影した医用画像を現在画像とし、前記現在画像の画像解析結果を用いて、前記現在画像に類似する前記現在画像より前に撮影された前記被検者とは別の被検者の過去画像を検索して、前記別の被検者の過去画像の所見を表す過去医療文書の文字情報を受け付ける手順と、
予め定められた規則に基づいて、前記文字情報に含まれる文字列のうち診断のための重要度が基準より低いと判断された文字列を非表示にして前記被検者の現在医療文書を作成する処理を実行する手順とをコンピュータに実行させるための医療文書作成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療文書作成支援装置、医療文書作成支援方法、及び医療文書作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)装置及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医療機器の進歩により、より質の高い高解像度の3次元の医用画像を用いての画像診断が可能となってきている。とくに、CT画像及びMRI画像等を用いた画像診断により、病変の領域を精度よく特定することができるため、特定した結果に基づいて適切な治療が行われるようになってきている。
【0003】
また、ディープラーニング等により学習がなされた判別器を用いたCAD(Computer-Aided Diagnosis)により医用画像を解析して、医用画像に含まれる病変等の領域、位置及び体積等を抽出し、これらを解析結果として取得することも行われている。このように、解析処理により生成される解析結果は、患者名、性別、年齢及び医用画像を取得したモダリティ等の検査情報と対応づけられて、データベースに保存されて、診断に供される。この際、医用画像を取得した放射線科等の技師が、医用画像に応じた読影医を決定し、医用画像及びCADによる解析結果が存在することを、決定した読影医に伝えるようにしている。読影医は、自身の読影端末装置において、配信された医用画像及び解析結果を参照して医用画像の読影を行い、読影レポートを作成する。
【0004】
現在の読影レポート(以下、現在レポートと称する)を作成する際に、過去の読影レポート(以下、過去レポートと称する)に記載された所見文等を参照する手法については各種提案されている。例えば、特開2009-70201号公報には、過去レポートに記載されたコメントをコピーするとともに、過去画像に関連する情報から現在画像に関連する情報を作成し、現在レポート作成用のテンプレートを作成することにより、簡便に読影レポートを作成する手法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、読影レポート等の医療文書においては、医療文書を読む診断医や読影医等が、医療文書に記載された内容を容易に、かつ迅速に把握可能にするために、必要事項が簡潔に記載されていることが望まれている。しかしながら、上記特開2009-70201号公報に記載の読影レポート作成装置においては、現在レポートの作成に、過去レポートに記載されたコメントをそのままコピーして作成したテンプレートを使用している。このため、過去レポートにおいては必要なコメントであっても、現在レポートにおいては不要なコメントがテンプレートに使用されている場合がある。この場合、診断医や読影医等が現在レポートを読む際に、必要なコメントの内容を容易に、かつ迅速に把握できない場合がある。
【0006】
また、現在レポートにおけるコメントの記載方法が、現在レポートを読む診断医の好みとは異なっている場合や、現在レポートによってコメントの記載方法が異なっている場合等にも、現在レポートに記載された内容を把握し難い場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、医療文書において、診断の上で必要な内容を容易に、かつ迅速に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療文書作成支援装置は、現在医療文書に含まれる可視情報を受け付ける可視情報受付部と、
可視情報受付部により受け付けられた可視情報が示す内容の一部を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を行う処理部と、を含む。
【0009】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、処理部が、現在医療文書において、可視情報が示す項目毎に表示又は非表示を設定する処理を行ってもよい。
【0010】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、可視情報は文字情報であり、
処理部は、現在医療文書において、文字情報が示す文字列毎に表示又は非表示を設定する処理を行ってもよい。
【0011】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、処理部が、現在医療文書において、可視情報が示す項目が複数存在する場合に、2つ以上の項目が示す内容を併合する処理を行ってもよい。
【0012】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、処理部が、抑制された可視情報が示す内容を、元に戻す処理を行ってもよい。
【0013】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、処理部が、可視情報が示す内容を、段階的に抑制する処理を行ってもよい。
【0014】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、処理部が、抑制された可視情報が示す内容を、段階的に元に戻す処理を行ってもよい。
【0015】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、過去画像及び過去医療文書は、現在医療文書の対象である被検者とは別の被検者を対象とした情報であってもよい。
【0016】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、現在医療文書は、被検者が撮影されることで得られた現在画像に基づく文書であってもよい。
【0017】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、可視情報受付部は、現在画像上で指定された位置の画像解析結果に基づいて作成された現在医療文書に基づく可視情報を受け付けてもよい。
【0018】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、可視情報受付部は、現在画像全体の画像解析結果に基づいて作成された現在医療文書に基づく可視情報を受け付けてもよい。
【0019】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、可視情報受付部は、現在画像内の被検者に対して過去に取得された過去画像又は過去医療文書に基づいて作成された現在医療文書に基づく可視情報を受け付けてもよい。
【0020】
また、本発明の医療文書作成支援装置においては、可視情報受付部は、現在画像に基づいて読影医及び診断医のうちの少なくとも一方が作成した現在医療文書に基づく可視情報を受け付けてもよい。
【0021】
本発明の医療文書作成支援方法は、被検者を撮影して取得した現在画像に基づく現在医療文書に含まれる可視情報を受け付け、
受け付けられた可視情報が示す内容を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を行うことを含む。
【0022】
本発明の医療文書作成支援プログラムは、被検者を撮影して取得した現在画像に基づく現在医療文書に含まれる可視情報を受け付ける手順と、
受け付けられた可視情報が示す内容を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を行う手順とをコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明による他の医療文書作成支援装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、
記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサとを備え、プロセッサは、
被検者を撮影して取得した現在画像に基づく現在医療文書に含まれる可視情報を受け付け、
受け付けられた可視情報が示す内容を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を実行する。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、現在医療文書に含まれる可視情報が示す内容を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を行う。これにより、現在医療文書において、診断の上で不要な内容が抑制されるので、診断医及び読影医は、医療文書に記載された診断の上で必要な内容を容易に、かつ迅速に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態による医療文書作成支援装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図
【
図2】本発明の第1の実施形態による医療文書作成支援装置の概略構成を示す図
【
図4】本発明の第1の実施形態において行われる医療文書作成支援処理を示すフローチャート
【
図5】本発明の第1の実施形態において行われる可視情報受付処理を示すフローチャート
【
図6】現在画像における位置の指定及び所見の内容の表示を説明するための図
【
図7】所見の内容が抑制された表示を説明するための図
【
図8】所見の内容が段階的に抑制された表示を説明するための図
【
図9】所見の内容が段階的に抑制された表示を説明するための他の図
【
図10】複数の項目が存在する場合の表示を説明するための図
【
図11】2以上の項目が併合された表示を説明するための図
【
図12】2以上の項目を併合され、かつ所見の内容が抑制された表示を説明するための図
【
図13】第6の実施形態において行われる医療文書作成支援処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による医療文書作成支援装置を適用した医療情報システムの概略構成を示す図である。
図1に示す医療情報システム1は、公知のオーダリングシステムを用いた診療科の診断医(医師)からの検査オーダに基づいて、被検者の検査対象部位の撮影、撮影により取得された医用画像の保管、読影医による医用画像の読影と読影レポートの作成、及び依頼元の診療科の診断医による読影レポートの閲覧と読影対象の医用画像の詳細観察とを行うためのシステムである。
図1に示すように、医療情報システム1は、複数のモダリティ(撮影装置)2、読影端末である複数の読影ワークステーション(WS)3、診療科ワークステーション(WS)4、画像サーバ5、画像データベース6、読影レポートサーバ7、及び読影レポートデータベース8が、有線又は無線のネットワーク9を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。
【0027】
各機器は、医療情報システム1の構成要素として機能させるためのアプリケーションプログラムがインストールされたコンピュータである。アプリケーションプログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。又は、ネットワーク9に接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。
【0028】
モダリティ2は、被検者の診断対象となる部位を撮影することにより、診断対象部位を表す医用画像を生成する装置である。具体的には、単純X線撮影装置、CT装置、MRI装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等である。モダリティ2により生成された医用画像は画像サーバ5に送信され、保存される。
【0029】
読影WS3は、第1の実施形態による医療文書作成支援装置を内包する。読影WS3の構成については後述する。
【0030】
診療科WS4は、診療科の診断医が画像の詳細観察、読影レポートの閲覧、及び電子カルテの作成等に利用するコンピュータであり、処理装置、ディスプレイ等の表示装置、並びにキーボード及びマウス等の入力装置により構成される。診療科WS4では、患者のカルテ(電子カルテ)の作成、画像サーバ5に対する画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した画像の表示、画像中の病変らしき部分の自動検出又は強調表示、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの閲覧要求、及び読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。
【0031】
画像サーバ5は、汎用のコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ5は画像データベース6が構成されるストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ5とデータバスとによって接続されたハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク9に接続されているNAS(Network Attached Storage)及びSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。また、画像サーバ5は、モダリティ2からの医用画像の登録要求を受け付けると、その医用画像をデータベース用のフォーマットに整えて画像データベース6に登録する。
【0032】
画像データベース6には、モダリティ2において取得された医用画像又は複数の医用画像からなる医用画像群の画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の医用画像又は医用画像群(以下、単に医用画像と称する場合があるものとする)を識別するための画像ID、被検者を識別するための患者ID(identification)、検査を識別するための検査ID、医用画像毎に割り振られるユニークなID(UID:unique identification)、医用画像又は医用画像群が生成された検査日、検査時刻、医用画像を取得するための検査で使用されたモダリティの種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影情報(撮影プロトコル、撮影シーケンス、撮像手法、撮影条件、造影剤の使用等)、1回の検査で複数の医用画像を取得したときのシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれる。
【0033】
また、画像サーバ5は、読影WS3からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、画像データベース6に登録されている医用画像を検索し、検索された医用画像を要求元の読影WS3に送信する。
【0034】
読影レポートサーバ7には、汎用のコンピュータにデータベース管理システムの機能を提供するソフトウェアプログラムが組み込まれる。読影レポートサーバ7は、読影WS3からの読影レポートの登録要求を受け付けると、その読影レポートをデータベース用のフォーマットに整えて読影レポートデータベース8に登録する。また、読影レポートの検索要求を受け付けると、その読影レポートを読影レポートデータベース8から検索する。
【0035】
読影レポートデータベース8には、例えば、読影対象の医用画像を識別する画像ID、読影を行った画像診断医を識別するための読影医ID、病変名、病変の位置情報、及び所見等の情報が記録された読影レポートが登録される。
【0036】
ネットワーク9は、病院内の各種機器を接続する有線又は無線のローカルエリアネットワークである。読影WS3が他の病院あるいは診療所に設置されている場合には、ネットワーク9は、各病院のローカルエリアネットワーク同士をインターネット又は専用回線で接続した構成としてもよい。いずれの場合にも、ネットワーク9は光ネットワーク等の医用画像の高速転送が実現可能な構成にすることが好ましい。
【0037】
以下、第1の実施形態による読影WS3について詳細に説明する。読影WS3は、医用画像の読影医が、医用画像の読影及び読影レポートの作成に利用するコンピュータであり、処理装置、ディスプレイ等の表示装置、並びにキーボード及びマウス等の入力装置により構成される。読影WS3では、画像サーバ5に対する医用画像の閲覧要求、画像サーバ5から受信した医用画像に対する各種画像処理、医用画像の表示、医用画像に対する解析処理、解析結果に基づく医用画像の強調表示、解析結果に基づく読影レポートの作成、読影レポートの作成の支援、読影レポートサーバ7に対する読影レポートの登録要求と閲覧要求、並びに読影レポートサーバ7から受信した読影レポートの表示等の各処理が、各処理のためのソフトウェアプログラムを実行することにより行われる。なお、これらの処理のうち、第1の実施形態の医療文書作成支援装置が行う処理以外の処理は、周知のソフトウェアプログラムにより行われるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、第1の実施形態の医療文書作成支援装置が行う処理以外の処理を読影WS3において行わず、別途その処理を行うコンピュータをネットワーク9に接続しておき、読影WS3からの処理の要求に応じて、そのコンピュータにおいて要求された処理を行うようにしてもよい。
【0038】
読影WS3は、第1の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる。このため、読影WS3には、第1の実施形態による医療文書作成支援プログラムがインストールされてなる。医療文書作成支援プログラムは、DVDあるいはCD-ROM等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から読影WS3にインストールされる。又は、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて読影WS3にダウンロードされ、インストールされる。
【0039】
図2は、医療文書作成支援プログラムをインストールすることにより実現される、本発明の第1の実施形態による医療文書作成支援装置10の概略構成を示す図である。
図2に示すように、医療文書作成支援装置10は、標準的なコンピュータの構成として、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12及びストレージ13を備えている。また、医療文書作成支援装置10には、液晶ディスプレイ等の表示装置(以下表示部とする)14、並びにキーボード及びマウス等の入力装置(以下、入力部とする)15が接続されている。
【0040】
ストレージ13は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスからなる。ストレージ13には、ネットワーク9を経由して画像サーバ5から取得した、医用画像及び医療文書作成支援装置10の処理に必要な情報を含む各種情報が記憶されている。
【0041】
また、メモリ12には、医療文書作成支援プログラムが記憶されている。医療文書作成支援プログラムは、CPU11に実行させる処理として、現在医療文書に含まれる可視情報を受け付ける可視情報受付処理、並びに受け付けられた可視情報が示す内容の一部を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を規定する。
【0042】
そして、CPU11が医療文書作成支援プログラムに従いこれらの処理を実行することで、コンピュータは、可視情報受付部21及び処理部22として機能する。なお、第1の実施形態においては、CPU11が医療文書作成支援プログラムによって、各部の機能を実行するようにしたが、ソフトウェアを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサとしては、CPU11の他、FPGA (Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)を用いることができる。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等により、各部の処理を実行するようにしてもよい。
【0043】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、又はCPUとFPGAの組み合わせ等)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0044】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0045】
なお、メモリ12には、読影WS3が医療文書作成支援装置10以外の処理を行うための装置として機能する場合には、その機能を実行するプログラムが記憶される。例えば、第1の実施形態においては、読影WS3において解析処理を行うため、メモリ12には解析プログラムが記憶される。このため、第1の実施形態においては、読影WS3を構成するコンピュータは、解析処理を実行する解析部50としても機能する。また、第1の実施形態においては、読影WS3において医療文書の作成処理を行うため、メモリ12には文書作成プログラムが記憶される。このため、第1の実施形態においては、読影WS3を構成するコンピュータは、文書作成処理を実行する文書作成部51としても機能する。
【0046】
解析部50は、医用画像における各画素(ボクセル)が病変を表すものであるか否か、及び病変の種類を判別するように機械学習がなされた判別器を備える。第1の実施形態においては、判別器は、医用画像に含まれる複数種類の病変を分類できるようにディープラーニング(深層学習)がなされたニューラルネットワークからなる。解析部50における判別器は、医用画像が入力されると、医用画像内の各画素(ボクセル)に対して、複数の病変のそれぞれであることの確率を出力するように学習がなされる。そして判別器は、ある画素について、あらかじめ定められたしきい値を超え、かつ最大の確率となった病変を求め、その画素を求めた病変の画素であると判別する。
【0047】
なお、判別器は、ディープラーニングがなされたニューラルネットワークの他、例えばサポートベクタマシン(SVM(Support Vector Machine))、畳み込みニューラルネットワーク(CNN(Convolutional Neural Network))、及びリカレントニューラルネットワーク(RNN(Recurrent Neural Network))等からなるものであってもよい。
【0048】
また、解析部50は、上記判別器により判別結果を用いて、病変の種類、病変の位置、及び病変の大きさを特定して解析結果を生成する。例えば、医用画像が人体の胸腹部を含む場合において、胸腹部内に病変が発見された場合、解析部50は、胸腹部内における病変の種類、位置及び大きさを含む解析結果を生成する。より具体的には、解析部50は、「右肺」「下葉」「位置S6b」「23×19mm」及び「結節」等の文字情報を解析結果として生成する。
【0049】
文書作成部51は、医用画像に対する医療文書を作成するに際し、医用画像に対する所見コンテンツを表す文字情報の入力により、医療文書を作成する。第1の実施形態では、文書作成部51は、被検者を撮影して取得した現在画像が解析部50により解析された解析結果と後述する入力部15から入力された文字情報とに基づいて、医療文書を作成する。なお、第1の実施形態においては、医療文書として、読影レポートを作成するものとする。ただし、本発明において医療文書は、読影レポートに限定されず、診断レポート、及び電子カルテ等の文書も含まれるものとし、文字情報以外(例えば画像)が含まれる医療文書も含む。
【0050】
ここで、本発明において、「現在画像」は、読影レポートを作成する際に参照される画像であり、3次元画像を構成する複数の断層画像が現在画像に対応する。第1の実施形態においては、3次元画像は胸腹部のCT画像とする。具体的には、読影WS3が、読影医が今回作成する読影レポートの対象となるCT画像の要求の指示を画像サーバ5に対して行う。なお、今回作成する読影レポート(以下、現在レポートと称する場合がある)が、本発明の現在医療文書に対応する。また、「過去画像」は、現在画像が取得されるよりも前に取得された画像である。「過去医療文書」は、現在医療文書が作成されるよりも前に作成された、すなわちすでに作成されている医療文書である。過去に作成された読影レポート(以下、過去レポートと称する場合がある)は、本発明の過去医療文書に対応する。
【0051】
画像サーバ5は、読影WS3からの閲覧要求をネットワーク9経由で受信すると、画像データベース6に登録されている医用画像を検索し、検索された医用画像すなわちCT画像を要求元の読影WS3に送信する。読影WS3は画像サーバ5から送信されたCT画像を受信する。なお、読影WS3が受信したCT画像はストレージ13に保存される。解析部50は、後述する文書作成部51からの指示により、今回作成する読影レポートの対象となる現在画像を、ストレージ13を検索することにより取得して、取得した現在画像を解析する。
【0052】
文書作成部51は、文字情報を文章化するように学習がなされており、入力された文字情報から文章を作成する。具体的には、文書作成部51に、解析部50による解析結果に含まれる「右肺」「下葉」「位置S6b」「23×19mm」及び「結節」の文字情報が入力される。文書作成部51は、入力された文字情報に基づいて、「右肺下葉位置S6bに23×19mmの結節が認められます。」の読影レポートを作成する。
【0053】
また、文書作成部51は、後述する入力部15から入力された文字情報にも基づいて読影レポートを作成する。ここで、文書作成部51は、入力された文字を漢字に変換する等の文書作成機能を有し、操作者による入力部15からの入力に基づいて文書を作成する。なお、文書作成部51は、音声により入力がなされた場合には、音声を文字に変換して文書を作成する。
【0054】
図3は表示部14に表示される読影レポートの作成画面30を示す図である。
図3に示すように、読影レポート作成画面30には、CT画像を取得するための撮影対象である患者の氏名及び性別等を表す患者情報を表示する患者情報領域31、CT画像を取得する検査を依頼するための検査オーダの情報を表示するためのオーダ情報領域32、CT画像を取得した患者についての過去の検査リストを表示するための検査リスト領域33、読影を行う現在画像34,35、読影レポートを作成するための文書を入力する作成領域36、文字情報を含む過去の読影レポートを表示する過去読影レポート領域37、及び過去読影レポート領域37に表示される読影レポートを作成した過去の医用画像を表示する過去画像領域38が含まれる。現在画像34,35の読影を行う読影医(操作者)は、作成領域36に対して入力部15を用いて所見の文章の入力を行う。
【0055】
第1の実施形態においては、文書作成部51が、上述したように、解析部50による解析結果に基づいて作成した文字情報、すなわち「右肺下葉位置S6bに23×19mmの結節が認められます。」が、後述する表示制御部23によって作成領域36に表示される(
図6参照)。この作成領域36を見た操作者が、現在画像34,35の読影を行った結果、文書作成部51が作成した読影レポートに足りない所見の入力を行ったとする。例えば、操作者により入力部15から、現在画像34,35の所見を表す「類円形」及び「境界やや不透明」の文字情報が入力されたとする。文書作成部51は、新たに入力された文字情報に基づいて、新たな読影レポートを作成する。例えば、「右肺下葉位置S6bに23×19mmの結節が認められます。」の読影レポートに、新たに入力された文字情報を加えて、「右肺下葉位置S6bに23×19mm大の類円形で境界やや不明瞭な結節が認められます。」の読影レポートを作成する。表示制御部23は、新たに作成された読影レポートを表示部14に表示する。なお、第1の実施形態においては、表示部14に表示された読影レポートを現在レポートとする。
【0056】
可視情報受付部21は、現在レポートに含まれる可視情報を受け付ける。なお、第1の実施形態において、「可視情報」は文字情報とするが、本発明は文字情報に限られず、現在医療文書に含まれる文字情報だけではなく、画像情報や文字を表す画像情報を含む。また、「文字情報」は、現在医療文書に含まれる文字で構成された情報を意味する。また、文字列は文字の集合体であるため、本発明において「文字列」は1つの文字で構成される文字列も含む。また、「文字」は、数字及び記号等も含む。
【0057】
第1の実施形態において、可視情報受付部21は、
図3の作成領域36に表示された「右肺下葉位置S6bに23×19mm大の類円形で境界やや不明瞭な結節が認められます。」の文章を文字情報として取得して受け付ける。
【0058】
処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容の一部を、過去画像、過去医療文書、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する処理を行う。なお、本発明において「抑制する処理」は可視情報(文字情報を含む)が示す内容の一部を減らす、つまり削除することを意図する。処理部22による抑制処理については、後で詳細に説明する。
【0059】
表示制御部23は、現在画像34,35及び現在レポートを含む読影レポート作成画面30を表示部14に表示する。
【0060】
次いで、第1の実施形態において行われる医療文書作成支援処理について説明する。第1の実施形態においては、一例として、一人の被検者を対象として取得されたCT画像を構成する現在画像35に対して読影レポートを作成する際の医療文書作成支援処理について説明する。なお、ここで作成される読影レポートを現在レポートとする。
図4は第1の実施形態において行われる医療文書作成支援処理を示すフローチャート、
図5は第1の実施形態において行われる可視情報受付処理を示すフローチャート、
図6は現在画像における位置の指定及び所見の内容の表示を説明するための図、
図7は所見の内容が抑制された表示を説明するための図である。
【0061】
まず、ステップS1で、可視情報受付部21が、可視情報の受付処理を行う。ここで、可視情報受付部21による可視情報受付処理について説明する。第1の実施形態においては、一例として
図5に示すように、先ず、ステップS11で、解析部50が、文書作成部51からの指示により、今回作成する読影レポートの対象となるCT画像を、ストレージ13を検索することにより取得し、取得したCT画像を受け付ける。なお、第1の実施形態において、CT画像が現在画像に相当する。
【0062】
ステップS12で、解析部50は、読影医による位置の指定があるか否かを判別する。具体的には、
図6に示すように、一例として解析部50が受け付けたCT画像を構成する現在画像35上に、読影医が位置を指定するための丸印のカーソル39が重畳表示され、読影医は入力部15を操作することにより丸印のカーソル39を所望する位置に移動させる。読影医は、カーソル39を移動させた後に、例えば入力部15としてのマウスを左クリックすることにより、位置の指定を完了させ、解析部50はこの位置の指定を受け付ける。ステップS12にて、読影医による位置の指定がある場合には(ステップS12;YES)、解析部50は、指定された位置の画像すなわちカーソル39内に領域の画像を解析する。
【0063】
なお、第1の実施形態においては、カーソル39として丸印を使用したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば矢印を使用してもよいし、その他のマークを使用してもよい。またカーソル39の大きさは特に限定されるものではなく、操作者によって適宜設定変更可能に構成される。
【0064】
一方、ステップS12にて、読影医による位置の指定がない場合には(ステップS12;NO)、すなわち解析部50が位置の指定を受け付けなかった場合には、解析部50は、現在画像35全ての画像解析をする。
【0065】
次に、ステップS14で、文書作成部51が、上述したように、解析部50による解析結果に基づいて入力された文字情報、すなわち「右肺下葉位置S6bに23×19mmの結節が認められます。」と、操作者により入力部15から入力された「類円形」及び「境界やや不透明」の文字情報とに基づいて、読影レポートの所見を作成する。第1の実施形態においては、
図6に示すように、「右肺下葉位置S6bに23×19mm大の類円形で境界やや不明瞭な結節が認められます。」の所見を作成する。表示制御部23は、作成された所見を含む現在レポートを表示部14に表示する。
【0066】
次に、ステップS16で、可視情報受付部21が、現在レポートに含まれる可視情報、第1の実施形態においては文字情報を取得する。具体的には、文書作成部51が作成した所見、すなわち「右肺下葉位置S6bに23×19mm大の類円形で境界やや不明瞭な結節が認められます。」の文章を可視情報(文字情報)として取得する。そして、ステップS17で、可視情報受付部21が取得した可視情報(文字情報)を受け付ける。このようにして、第1の実施形態における可視情報受付処理が行われる。
【0067】
図4に戻り、ステップS2で、処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容の一部を、予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する否かを判別する。
【0068】
第1の実施形態において、予め定められた規則は、現在レポートにおいて、現在レポートを提出する提出先の診断医が簡潔な記載を好むか否か、すなわち現在レポートを提出する提出先の診断医の好みによって定められた規則である。具体的には、診断医が簡潔な記載を好む場合には文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行い、診断医が簡潔な記載を好まない場合には文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行わない。なお、診断医毎に簡潔な記載を好むか否かを対応付けた対応テーブルをストレージ13に保存しておき、処理部22はストレージ13に保存された対応テーブルを参照することにより、上記抑制する処理を行うか否かの判別をする。ここで、第1の実施形態においては、ストレージ13に対応テーブルを保存したが、本発明は対応テーブルに限定されず、診断医が簡潔な記載が好きか否かを導出できればその他の公知の手法を使用してもよい。
【0069】
なお、第1の実施形態においては、予め定められた規則は、現在レポートを提出する提出先の診断医の好みによって定められた規則としたが、本発明はこれに限られず、例えば現在レポートを提出する提出先の診断医が所属する病院の運用ルールによって定められた規則であってもよい。具体的には、病院として簡潔な記載を好む場合には文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行い、病院として簡潔な記載を好まない場合には文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行わないようにする。
【0070】
ステップS2において、処理部22が抑制しないと判別した場合には(ステップS2;NO)、CPU11はステップS4に処理を移行する。そして、ステップS4で、表示制御部23は文書作成部51が作成した現在レポートの内容をそのまま表示部14に表示させる。そして、CPU11は文書作成部51が作成した現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0071】
一方、ステップS2において、処理部22が抑制すると判別した場合には(ステップS2;YES)、CPU11はステップS3に処理を移行する。そして、ステップS3で、処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行う。具体的には、処理部22は、
図6に示す「楕円形で」を表す文字列40及び「境界やや不明瞭な」を表す文字列41を、診断医が診断する上での重要度が低いすなわち不要な文字列だと判別して非表示に設定する。また、処理部22は、
図6に示す「楕円形で」を表す文字列40及び「境界やや不明瞭な」を表す文字列41以外の文字列を、診断医が診断する上での重要度が高い、すなわち必要な文字列だと判別して表示に設定する。
【0072】
ここで、診断医が診断する上で文字列の重要度が低いか否か、つまり不要な文字列か否かは、文字列が入力される不要な文字列か否かの確率を出力するように学習がなされた判別器を使用することにより判別することができる。第1の実施形態において、処理部22は上記判別器を含む。判別器は、ある文字列について出力した確率が予め定められた閾値以上となる場合に、その文字列が不要であると判別する。
【0073】
次に、ステップS4で、表示制御部23は、
図7に示すように、文書作成部51が作成した現在レポートを、現在レポート内において処理部22により非表示に設定された文字列を非表示にして、すなわち現在レポートに含まれる文字情報が示す内容の一部を抑制して表示部14に表示させる。そして、CPU11は、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容の一部が抑制された所見、すなわち作成領域36に表示されている所見を含む現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0074】
次に、ステップS5で、CPU11は読影WS3において終了指示が有るか否かを判定する。終了指示がない場合には(ステップS5;NO)、CPU11はステップS2に処理を移行して、引き続きステップS2以降の処理を継続する。終了指示が有る場合には(ステップS5;YES)、CPU11は医療文書作成支援装置10による一連の処理を終了させる。
【0075】
以上のように、処理部22は現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を、予め定められた規則に基づいて抑制する処理を行う。これにより、現在レポートにおいて、診断の上で不要な内容が抑制されるので、診断医及び読影医は、医療文書に記載された診断の上で必要な内容を容易に、かつ迅速に把握することができる。
【0076】
次に、第2の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる読影WS3について説明する。なお、第2の実施形態の医療文書作成支援装置において、上記第1の実施形態の医療文書作成支援装置と同一の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図8は所見の内容が段階的に抑制された表示を説明するための図、
図9は所見の内容が段階的に抑制された表示を説明するための他の図である。
【0077】
第2の実施形態の処理部22は、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を、予め定められた規則に基づいて段階的に抑制する処理を行う。具体的には、処理部22は、操作者が入力部15を操作することによりオンオフされる段階的抑制モードを備える。なお、段階的抑制モードは、一例として1段階モード、2段階モード、3段階モードの3段階のモードを設定することができる。診断医毎もしくは病院毎にどの段階のモードを好むか否かを対応付けた対応テーブルをストレージ13に保存しておき、処理部22はストレージ13に保存された対応テーブルを参照することにより、どの段階の抑制処理を行うのかの判別をする。ここで、第2の実施形態においては、ストレージ13に対応テーブルを保存したが、本発明は対応テーブルに限定されず、診断医もしくは病院がどの程度の簡潔な記載が好きか否か、すなわちどの段階の記載が好きか否かを導出できればその他の公知の手法を使用してもよい。
【0078】
そして、処理部22は、1段階モードに設定された場合には、
図6に示す「楕円形で」を表す文字列40及び「境界やや不明瞭な」を表す文字列41のうち、診断医が診断する上での重要度がより低い、すなわちより不要な文字列として「境界やや不明瞭な」を表す文字列41を非表示に設定する。表示制御部23は、
図8に示すように、文書作成部51が作成した現在レポートを、現在レポート内において処理部22により非表示に設定された文字列を非表示にして表示部14に表示させる。そして、CPU11は
図8の作成領域36に表示されている所見を含む現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0079】
また、処理部22は、2段階モードに設定された場合には、
図6に示す「楕円形で」を表す文字列40及び「境界やや不明瞭な」を表す文字列41の両方を不要な文字列として非表示に設定する。表示制御部23は、
図7に示すように、文書作成部51が作成した現在レポートを、現在レポート内において処理部22により非表示に設定された文字列を非表示にして表示部14に表示させる。そして、CPU11は
図7の作成領域36に表示されている所見を含む現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0080】
また、処理部22は、3段階モードに設定された場合には、
図6に示す「楕円形で」を表す文字列40及び「境界やや不明瞭な」を表す文字列41の両方を不要な文字列として非表示に設定する。さらに、
図6に示す「23×19mm大の」も不要な文字列として非表示に設定する。また、処理部22は、
図6に示す「が認められます。」を「有り。」に変換する処理も行う。この処理は、例えば自然言語処理を使用した公知の技術により行うことができる。
【0081】
表示制御部23は、
図9に示すように、文書作成部51が作成した現在レポートを、現在レポート内において処理部22により非表示に設定された文字列を非表示し、かつ処理部22により「が認められます。」から変換処理がなされた「有り。」を表示部14に表示させる。そして、CPU11は
図7の作成領域36に表示されている所見を含む現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0082】
なお、診断医が診断する上での重要度がより低い、すなわちより不要な文字列の判別は、処理部22が有する判別器において、設定する閾値の値を異ならせることにより行うことができる。例えばある文字列について出力した確率が、予め定められた第1の閾値以上となる場合に、その文字列が不要であると判別し、上記第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上となる場合に、その文字列がより不要であると判別する。また上記第2の閾値よりも大きい第3の閾値以上となる場合に、その文字列がさらにより不要であると判別する。
【0083】
上記のように、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を段階的に抑制することにより、現在レポートにおいて診断医もしくは病院の好みをより正確反映することができるので、診断医及び読影医は、現在レポートに記載された診断の上で必要な内容を把握し易くなる。
【0084】
第2の実施形態においては、診断医毎もしくは病院毎に3段階のモードのいずれかを設定したが、本発明はこれに限られない。例えば診断医もしくは病院毎に、文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行うか否かを設定しておき、現在レポートの提出先が、抑制する処理を行うと設定された診断医もしくは病院の場合に、操作者による入力部15からの入力信号が入るごとに、処理部22が1段階モード、2段階モード、及び3段階モードの順に文字情報が示す内容を抑制する処理を行うようにしてもよい。
【0085】
次に、第3の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる読影WS3について説明する。なお、第3実施形態の医療文書作成支援装置において、上記第1の実施形態の医療文書作成支援装置と同一の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0086】
第3の実施形態の処理部22は、現在レポートにおいて、文字情報が示す項目毎に表示又は非表示を設定する処理を行う。
図10は複数の項目が存在する場合の表示を説明するための図である。ここで、本発明において「項目」は、現在画像上で指定された位置や領域毎に作成された所見の内容を意味する。第3の実施形態においては、解析部50は現在画像35の全ての領域を画像解析し、文書作成部51は解析部50による解析結果に基づいて、複数の部位についての所見を作成する。
【0087】
図3に示す読影レポート作成画面30には、
図10に示すように、現在画像35上で示される3つのカーソル39A,39B,39Cにそれぞれ対応する所見36A,36B,36Cが表示される。所見36A,36B,36Cは文書作成部51が、カーソル39A,39B,39C毎に作成した所見36A,36B,36Cである。処理部22は、現在画像35上の3つのカーソル39A,39B,39Cが示す各領域と、現在画像内の被検者に対して過去に取得された過去画像において、現在画像35上の3つのカーソル39A,39B,39Cにそれぞれ対応する各領域とを比較して、画像に変化が見られない場合には変化が見られなかったカーソルに対応する所見を非表示に設定する。
【0088】
なお、第3の実施形態においては、現在画像35と過去画像とを比較したが、本発明はこれに限られない。現在画像35上の3つのカーソル39A,39B,39Cにそれぞれ対応する領域毎に作成された所見36A,36B,36Cと、現在画像内の被検者に対して過去に取得された過去画像において、現在画像35上の3つのカーソル39A,39B,39Cにそれぞれ対応する各領域に対して作成された所見とを比較して、病変に変化が見られなかったカーソルに対応する所見を非表示に設定してもよい。
【0089】
次に、第4の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる読影WS3について説明する。なお、第4実施形態の医療文書作成支援装置において、上記第1の実施形態の医療文書作成支援装置と同一の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0090】
第4の実施形態の処理部22は、現在レポートにおいて、文字情報が示す項目が複数存在する場合に、2つ以上の項目が示す内容を併合する処理を行う。
図10に示すように、現在画像35上の3つのカーソル39A,39B,39Cにそれぞれ対応する所見36A,36B,36Cが表示される場合に、所見36Aが
図6に示す所見内容であり、所見36Bが「左肺下葉S5に変化なし。」の所見内容、所見36Cが「左肺下葉S1に変化なし。」の所見内容であったとする。
【0091】
この場合、処理部22は、所見36A、所見36B、及び所見36Cを併合する処理を行う。
図11は2以上の項目が併合された表示を説明するための図である。具体的には、
図11に示すように、所見36Aの所見内容42はそのままの内容とし、所見36Bと所見36Cの所見内容を併合して「左肺下葉S5と左肺下葉S1に変化なし。」の所見内容43とする。
【0092】
上記のように、3つの所見が存在する場合に、処理部22が3つの所見を1つの所見に併合する処理を行うことにより所見内容すなわち文字情報が示す内容を抑制することができるので、表示制御部23は
図11に示すように、内容が抑制された所見を作成領域36に表示させることができる。これにより、診断医及び読影医は、簡潔にまとめられた現在レポートを見ることができ、診断の上で必要な内容を容易に、かつ迅速に把握することができる。
【0093】
次に、第5の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる読影WS3について説明する。なお、第5実施形態の医療文書作成支援装置において、上記第1の実施形態の医療文書作成支援装置と同一の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0094】
第5の実施形態の処理部22は、上記第4の実施形態と同様に、現在レポートにおいて、文字情報が示す項目が複数存在する場合に、2つ以上の項目が示す内容を併合する処理を行う。そして、さらに上記第2の実施形態と同様に、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を、予め定められた規則に基づいて段階的に抑制する処理を行う。
【0095】
図12は2以上の項目を併合され、かつ所見の内容が抑制された表示を説明するための図である。具体的には、処理部22が
図11に示す所見内容42に対して、さらに上記第2の実施形態で行った3段階モードの抑制処理を行うことにより、
図12に示すように「右肺下葉位置S6bに23×19mm大の類円形で境界やや不明瞭な結節が認められます。」の所見内容を「右肺下葉位置S6bに結節有り。」の所見内容に抑制する処理を行う。
【0096】
なお、第5の実施形態においては、処理部22は3段階モードの抑制処理を行ったが、本発明はこれに限られず、処理部22が1段階モード及び2段階モードの抑制処理を行っても良い。また、処理部22は第1の実施形態と同様の抑制処理を行っても良い。
【0097】
上記のように、3つの所見が存在する場合に、処理部22が3つの所見を1つの所見に併合する処理を行い、かつ、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を、予め定められた規則に基づいて段階的に抑制する処理を行うことにより、所見内容すなわち文字情報が示す内容をより簡潔にすることができる。
【0098】
次に、第6の実施形態による医療文書作成支援装置が内包されてなる読影WS3について説明する。なお、第6実施形態の医療文書作成支援装置において、上記第1の実施形態の医療文書作成支援装置と同一の構成についての説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。第6の実施形態の処理部22は、抑制した内容を元に戻すモードであるフル表示モードを有している点において、第1の実施形態と異なっている。
図13は第6の実施形態において行われる医療文書作成支援処理を示すフローチャートである。
【0099】
まず、ステップS20で、可視情報受付部21が、可視情報の受付処理を行う。なお、ステップS20は
図4のステップS1と同じ処理であり、ここでの説明は省略する。
【0100】
ステップS21で、処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容の一部を、過去画像、過去レポート、及び予め定められた規則のうちの少なくとも1つに基づいて抑制する否かを判別する。
【0101】
ステップS21において、処理部22が抑制しないと判別した場合には(ステップS21;NO)、CPU11はステップS25に処理を移行する。そして、ステップS25で、表示制御部23は文書作成部51が作成した現在レポートの内容をそのまま表示部14に表示させる。そして、CPU11は文書作成部51が作成した現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0102】
一方、ステップS21において、処理部22が抑制すると判別した場合には(ステップS21;YES)、CPU11はステップS22に処理を移行する。そして、ステップS22で、処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容の一部を抑制する処理を行う。なお、処理部22による抑制処理については上述した実施形態において説明した処理と同様の処理を行うため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0103】
次に、ステップS23で、処理部22は、ステップS22で抑制した内容を元に戻すか否かを判別する。第6の実施形態においては、処理部22は、ステップS22で抑制した内容を元に戻すモードとしてフル表示モードを有する。このフル表示モードは、操作者が入力部15を操作することによりオンオフが設定できる。
【0104】
ステップS23にて、処理部22が元に戻すと判別した場合、すなわち処理部22がフル表示モードがオンにされていると判別した場合(ステップS23;YES)、処理部22は、ステップS24において、ステップS22で抑制した内容を、例えば
図6に示すように抑制前の内容に戻す処理を行う。そして、次に、ステップS25で、表示制御部23は
図6に示す所見の内容を含む現在レポート、すなわち文書作成部51が作成した現在レポートの内容を表示部14に表示させる。そして、CPU11は文書作成部51が作成した現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0105】
一方、ステップS23にて、処理部22が元に戻さないと判別した場合、すなわち処理部22がフル表示モードがオフにされていると判別した場合(ステップS23;NO)、表示制御部23は、文字情報が示す内容の一部が抑制された現在レポートを表示部14に表示させる。そして、CPU11は、現在レポートに含まれる文字情報が示す内容の一部が抑制された所見、すなわち作成領域36に表示されている所見を含む現在レポートを、現在画像35を識別するIDに関連付けて、読影レポートサーバ7を介して読影レポートデータベース8に登録する。
【0106】
次に、ステップS26で、CPU11は読影WS3において終了指示が有るか否かを判定する。終了指示がない場合には(ステップS26;NO)、CPU11はステップS21に処理を移行して、引き続きステップS21以降の処理を継続する。終了指示が有る場合には(ステップS26;YES)、CPU11は医療文書作成支援装置10による一連の処理を終了させる。
【0107】
上記によれば、例えば処理部22により可視情報受付部21により受け付けられた文字情報が示す内容が抑制され過ぎて、つまり削除され過ぎて、現在レポートの内容が分かり難い場合に、元の内容を確認することができるので、読影医及び診断医は、現在レポートの内容を確実に把握することができる。
【0108】
なお、第6の実施形態においては、処理部22はフル表示モードがオンにされている場合、抑制された内容を全て元に戻す処理を行ったが、本発明はこれに限られない。現在レポートに含まれる文字情報が示す内容を段階的に元に戻しても良い。具体的には、処理部22が第2の実施形態で説明した3段階モード、2段階モード、1段階モードの順に文字情報が示す内容を元に戻す処理を行う。
【0109】
また、上記実施形態においては、現在画像は、CT画像である3次元画像を構成する断層画像としているが、本発明はこれに限定されるものではない。3次元画像をMRI画像としてもよく、現在画像をMRI画像である3次元画像を構成する断層画像としてもよい。
【0110】
また、上記実施形態においては、現在医療文書として読影レポートを作成する際に、本発明を適用しているが、電子カルテ及び診断レポート等の読影レポート以外の医療文書を作成する場合にも、本発明を適用できることはもちろんである。
【0111】
また、上記実施形態においては、医用画像を解析する解析部50が読影WS3に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。読影WS3において、外部の解析装置により解析された解析結果を取得し、取得した解析結果を現在医療文書の作成に用いても良い。
【0112】
また、上記実施形態においては、現在医療文書を作成する文書作成部51が読影WS3に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。読影WS3において、外部の文書作成装置により作成された現在医療文書、又は読影医及び診断医のうち少なくとも一方により作成された現在医療文書を取得し、取得した現在医療文書を用いても良い。例えば読影医が作成した現在医療文書に対して、診断医が文字列を追記した現在医療文書を用いても良い。
【0113】
また、上記実施形態においては、現在医療文書は、被検者が撮影されることで得られた現在画像に基づく文書としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現在画像を見ながら作成されていない、すなわち現在画像に基づかない現在医療文書を用いても良い。例えば、診断医が目の前にいる患者を診察して作成した診断書を現在医療文書とすることができる。また、現在医療文書は、被検者の過去画像の解析結果及び/又は過去レポートに基づいて自動的に作成された文章を流用して作成された文書であってもよい。
【0114】
また、上記実施形態においては、過去画像及び過去医療文書は、現在画像内の被検者に対して過去に取得された情報としたが、本発明はこれに限定されるものではない。過去画像及び過去医療文書は、現在医療文書の対象である被検者とは別の被検者を対象とした情報であってもよい。具体的には、処理部22は、現在画像35の解析結果を参照し、現在画像35に含まれる症例に類似する類似症例についての読影レポート(過去医療文書に相当する)を読影レポートサーバ7に要求する。読影レポートサーバ7は、読影レポートデータベース8を参照して、要求された読影レポートを読影WS3に送信する。なお、患者の現在画像35の解析結果が取得された時点において、処理部22は、読影レポートサーバ7に対して過去の読影レポートの取得の要求を行い、取得した読影レポートをストレージ13に保存しておくようにしてもよい。なお、上記過去医療文書の抽出する際には、人工知能すなわちAI(Artificial Intelligence)の分野において一般的に使用される、例えば機械学習等の手法を使用することができる。
【0115】
また、処理部22は、現在画像35の解析結果を参照し、現在画像35に含まれる症例に類似する類似症例についての過去画像を画像サーバ5に要求する。画像サーバ5は、画像データベース6を参照して、要求された画像データを読影WS3に送信する。読影WS3に送信された過去画像の画像データは、ストレージ13に保存される。なお、患者の現在画像35の解析結果が取得された時点において、処理部22は、画像サーバ5に対して過去の画像データの取得の要求を行い、取得した画像データをストレージ13に保存しておくようにしてもよい。なお、上記過去画像の抽出する際には、人工知能すなわちAIの分野において一般的に使用される、例えば機械学習等の手法を使用することができる。また、画像を検索する際に、一般的に使用される類似検索の手法を使用してもよい。
【0116】
上記のように、過去画像及び過去医療文書が、現在医療文書の対象である被検者とは別の被検者を対象とした情報である場合には、処理部22は、取得した過去画像に対して作成された過去医療文書及び/又は取得した過去医療文書に記載された、別の被検者に関する診断、経過情報、病変名、病変の位置情報、及び所見等の情報に基づいて、診断医が診断する上での重要度が低い文字列を非表示にする処理を行う。なお、文字列の重要度が低いか否かは、文字列が入力されると、診断医が診断する上で入力された文字列の重要度が低いことの確率を出力するように学習がなされた判別器を使用することにより判別することができる。処理部22は、この判別器を有する。判別器は、ある文字列について出力した確率が予め定められた閾値以上となる場合に、その文字列を重要度が低いと判別する。なお、閾値を複数設定することにより、重要度の度合いを段階的に判別することができる。これにより、処理部22は重要度がより低い文字列のみを非表示に設定することが可能となる。
【0117】
また、上記実施形態においては、処理部22は、可視情報受付部21により受け付けられた可視情報が示す内容の一部を抑制する制御を行ったが、本発明はこれに限られず、処理部22は、上記可視情報が示す内容の少なくとも一部を抑制する処理を行っても良い。
【0118】
2018年4月4日に出願された日本出願特願2018-072523の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。