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特許7102514微生物を用いたポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体
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  • 特許-微生物を用いたポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】微生物を用いたポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/52 20060101AFI20220711BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220711BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20220711BHJP
   C12P 7/62 20220101ALI20220711BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220711BHJP
【FI】
C12N15/52 Z
C12N1/21
C08G63/78
C12P7/62 ZNA
C12N15/09 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020519969
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2019002909
(87)【国際公開番号】W WO2019177371
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0030522
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・オク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドンギョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イン・ヨン・フ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ユン・チェ
【審査官】新留 豊
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-510372(JP,A)
【文献】特開2009-138174(JP,A)
【文献】特表2012-516695(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0127516(KR,A)
【文献】特表2010-536338(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0329110(US,A1)
【文献】米国特許第08809027(US,B1)
【文献】特開2011-032547(JP,A)
【文献】Polymer Engineering and Science,1968年,Vol.8, No.3,p.216-226
【文献】Metabolic Engineering,2013年,Vol.20,p.20-28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12P 7/62
C08G 63/00-63/91
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
CAplus/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乳酸を生合成しないように改良された組換え微生物を3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成遺伝子およびポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子を含むベクター、およびラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターで形質転換させて組換え微生物を製造する段階;
(b)前記段階(a)で製造された組換え微生物をグリセロールを炭素源として使用して培養してポリ(3-ヒドロキシプロピオネート)[P(3HP)]を合成する段階;
(c)IPTGおよびグルコースを投入してP(3HP)生産を抑制し、ラクテート生合成酵素およびラクテートをラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素が発現されるようにして段階(a)で合成されたP(3HP)末端にPLAを生合成させる段階;
を含み、
ラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子がIPTG誘導システムの制御下に置かれる、
3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体[P(3HP-b-LA)]の製造方法。
【請求項2】
前記乳酸を生合成しない組換え微生物は、ラクテート脱水素酵素Aコーディング遺伝子(ldhA)が不活性化されたものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成遺伝子は、グリセロールデヒドラターゼ、グリセロールデヒドラターゼアクチバーゼ、CoA-依存プロピオンアルデヒドデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼをコーディングする遺伝子である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子は、キュープリアビダスネカター(Cupriavidus necator)に由来したPHA合成酵素変異体のコーディング遺伝子reC_GKである、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ラクテート生合成遺伝子は、ペディオコッカスアシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)に由来したラクテート脱水素酵素(Ldh)をコーディングする遺伝子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素は、クロストリジウムプロピオニクム(Clostridium propionicum)に由来したものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記微生物は、大腸菌である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記段階(c)で、0.1~1.0mMのIPTGを投入する、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
酸を生合成しないように改良された組換え微生物に3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成遺伝子およびポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子を含むベクター、およびラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターであって、
ラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子がIPTG誘導システムの制御下に置かれるベクターで形質転換された、組換え微生
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2018年3月15日付韓国特許出願第10-2018-0030522号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体の製造方法に関し、具体的に、組換え微生物を使用してポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ラクテートを単量体とする重合体であるポリラクテート(PLA)は、代表的な生分解性高分子であって汎用高分子あるいは医療用高分子としての応用性が高い高分子である。現在PLAは微生物発酵によって生産されたラクテートを重合して製造されているが、ラクテートの直接重合によっては低い分子量(1000-5000ダルトン)のPLAのみが生成される。100,000ダルトン以上のPLAを合成するためにはラクテートの直接重合で得られた低い分子量のPLAから鎖カップリング剤(chain coupling agent)を用いて、より分子量の大きいPLAに重合する方法があるが、鎖カップリング剤を用いるため高分子量のPLAを製造する方法は有機溶剤やカップリング剤の添加によって工程が複雑になり、またこれらの除去が容易でないという短所がある。現在商用化されている高分子量PLA生産工程では、ラクテートをラクチド(lactide)に転換した後、ラクチド環の開環縮合反応を通じてPLAを合成する化学合成方法が使用されている。
【0004】
しかし、このようなPLAは脆性(brittleness)が良くないため、これを改善するために伸びの良い3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)を添加してポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-r-ラクテート)(P(3HP-r-LA))ランダム共重合体を開発することが報告されたことがある。しかし、このようなポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-r-ラクテート)は結晶化されず良くない物性を有するという問題点を有していた。
【0005】
よって、本発明者らは従来のポリラクテートおよびP(3HP-r-LA)ランダム共重合体の問題点を改善するために、乳酸を生合成しないように改良されPHA合成酵素の遺伝子で形質転換された組換え大腸菌を培養することによって、PLAとP(3HP)がブロック共重合体[ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)(Poly(3-hydroxypropionate-b-lactate))]を生合成した。また、このようなブロック共重合体が従来のポリラクテートおよびP(3HP-r-LA)ランダム共重合体で問題になった脆性などの問題点が顕著に改善されたものであるのを確認して本発明を完成するようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-0957773号(2010年5月6日)
【非特許文献】
【0007】
【文献】Park、S.J.、et al.、Metabolic engineering of Ralstonia eutropha for the biosynthesis of 2-hydroxyacid-containing polyhydroxyalkanoate、Metab.Eng.20、20-28(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、乳酸を生合成しないように改良された組換え微生物を3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成遺伝子およびポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子を含むベクター、およびラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターで形質転換させて製造された組換え微生物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記組換え微生物を2段階の培養を行ってポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記組換え微生物を含む、ポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体製造用組成物を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記方法によって製造されたポリ(3-ヒドロキシプロピオネート-b-ラクテート)ブロック共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
前記のような目的を達成するための一つの様態として、本発明は、下記の段階を含む3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体[P(3HP-b-LA)]の製造方法および前記製造方法によって生産された3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体に関するものである:
(a)乳酸を生合成しないように改良された組換え微生物を3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成遺伝子およびポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子を含むベクター、およびラクテート生合成遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターで形質転換させて組換え微生物を製造する段階;
(b)前記段階(a)で製造された組換え微生物をグリセロールを炭素源として使用して培養してP(3HP)を合成する段階;
(c)IPTGおよびグルコースを投入してP(3HP)生産を抑制し、ラクテート生合成酵素および乳酸をラクチルCoA(lactyl-CoA)転換酵素が発現されるようにして段階(a)で合成されたP(3HP)末端にPLAを生合成させる段階。
【0014】
以下、各段階を詳細に説明する。
【0015】
段階(a)では、まずP(3HP-b-LA)ブロック共重合体の製造のために、乳酸を生合成しないように改良された組換え微生物に3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)およびポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:PHA)合成酵素遺伝子を含むベクターと、ラクテート生合成酵素遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターを用いて形質転換して組換え微生物を製造する。
【0016】
乳酸を生合成しないように改良された組換え微生物は、組換え微生物が内在するラクテート脱水素酵素(Ldh)、例えば、ラクテート脱水素酵素A(LdhA)が不活性化されるようにノックアウトされたものであってもよい。
【0017】
前記3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成関連酵素およびPHA合成酵素をコーディングする遺伝子を含むベクター、およびラクテート生合成関連酵素遺伝子およびラクテート(lactate)をラクチルCoA(lactyl-CoA)に転換する酵素の遺伝子を含むベクターを通常の遺伝子組換えベクター製造方法によって製造することができ、公知の形質転換微生物の製造方法(例えば、電気穿孔など)によって微生物細胞内に導入することができる。
【0018】
前記3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成関連酵素をコーディングする遺伝子は好ましくは、グリセロールデヒドラターゼ(DhaB1(配列番号1)、DhaB2(配列番号3)、DhaB3(配列番号5)のサブユニットからなる)グリセロールデヒドラターゼアクチバーゼ(GdrA(配列番号7)およびGdrBのサブユニット(配列番号9)からなる)、CoA-依存プロピオンアルデヒドデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼをコーディングする遺伝子であってもよい。好ましくは、グリセロールデヒドラターゼ(Accession No.:EC 4.2.1.30)をコーディングする遺伝子はdhaB123(dhaB1(配列番号2)、dhaB2(配列番号4)、dhaB3(配列番号6))、グリセロールデヒドラターゼアクチバーゼ(Accession No.:EC 4.2.1.30)をコーディングする遺伝子はgdrAB(gdrA(配列番号8)およびgdrB(配列番号10)のサブユニットからなる)、CoA-依存プロピオンアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Accession No.:EC 1.2.1.3;配列番号11)をコーディングする遺伝子はpduP(配列番号12)であってもよい。
【0019】
前記ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素(polyhydroxyalkanoate(PHA) synthase)はCoAとヒドロキシ脂肪酸(hydroxy fatty acid)のチオエステルを基質として使用してポリヒドロキシアルカノエートを生合成する酵素であって、炭素数3-5の脂肪酸を使用するタイプ(例えば、Cupriavidus necator、Alcaligenes latusなどの多様なバクテリア由来)と炭素数6-14の脂肪酸を使用するタイプ(例えば、Pseudomonas属由来)のものであってもよい。
【0020】
例えば、前記PHA合成酵素およびこれをコーディングする遺伝子は、キュープリアビダスネカター(Cupriavidus necator(Ralstonia eutropha H16)に由来したPHA合成酵素ReC(配列番号:13;Accession No.:EC2.3.1.B2、遺伝子reC;Genebank accession No.J05003.1、配列番号14)の変異体コーディング遺伝子のS506GおよびA510Kアミノ酸置換変異体およびこれをコーディングする遺伝子(reC_GK)であってもよい。
【0021】
前記ラクテート生合成酵素はグルコースから乳酸を生合成する酵素であって、例えばペディオコッカスアシディラクティシ(Pediococcus acidilacticiに由来したラクテート脱水素酵素(Ldh)、例えばラクテート脱水素酵素A(LdhA)またはラクテート脱水素酵素D(LdhD)(Accession No.:EC 1.1.1.28(配列番号15)をコーディングする遺伝子(ldhA、ldhD(996bp、Gene Accession No.:X70925.1、配列番号16)であってもよい。
【0022】
前記ラクテートをラクチルCoAに転換する時、酵素は、例えば、プロピオニルCoA転移酵素(pct)であってもよい。プロピオニルCoA転移酵素は、次の反応式1の化学反応を触媒する酵素である:
[反応式1]
アセチルCoA(acetyl-CoA)+プロピノエート(propinoate)⇔アセテート(acetate)+プロピオニルCoA(propionyl-CoA)。
【0023】
前記酵素およびこれをコーディングする遺伝子は、クロストリジウムプロピオニクム(Clostridium propionicum)に由来したものであってもよい。
【0024】
例えば、前記プロピオニルCoA転移酵素コーディング遺伝子は、
(a)配列番号17の塩基配列;
(b)配列番号17の塩基配列でA1200G(1200番目塩基であるAがGで置換された変異を意味する;以下記載される塩基配列変異表現に同様に適用される)の変異を含む塩基配列;
(c)配列番号17の塩基配列でT78C、T669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含む塩基配列;
(d)配列番号17の塩基配列でA1200Gの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でG335A(335番目アミノ酸GlyがAlaで置換された変異を意味する、以下記載されるアミノ酸配列変異表現に同様に適用される)の変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;
(e)配列番号17の塩基配列でA1200Gの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でA243Tの変異が含まれているアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;
(f)配列番号17の塩基配列でT669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でD65Gの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;
(g)配列番号17の塩基配列でA1200Gの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でD257Nの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;
(h)配列番号17の塩基配列でT669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でD65Nの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;
(i)配列番号17の塩基配列でT669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でT199Iの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列;および
(j)配列番号17の塩基配列でT78C、T669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でV193Aの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列
からなる群より選択された塩基配列を含むものであってもよく、前記プロピオニルCoA転移酵素は前記塩基配列によってコーディングされるアミノ酸配列を含むものであってもよい。
【0025】
好ましくは、前記遺伝子は、配列番号17の塩基配列でT78C、T669C、A1125GおよびT1158Cの変異を含み、配列番号17と対応するアミノ酸配列でV193Aの変異を含むアミノ酸配列をコーディングする塩基配列を含むcppct540であってもよい。
【0026】
前記酵素は、分子の活性を全体的に変更させない範囲内で追加的な変異を含むことができる。例えば、分子の活性を全体的に変更させない蛋白質およびペプチドでのアミノ酸交換は当該分野に公知されている。例えば、通常起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換が挙げられるが、これに制限されるわけではない。場合によって、前記蛋白質は、リン酸化(phosphorylation)、 硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)などで修飾(modification)されてもよい。また、アミノ酸配列上の変異または修飾によって蛋白質の熱、pHなどに対する構造的安定性が増加するか蛋白質活性が増加した酵素蛋白質を含むことができる。
【0027】
また、前記酵素をコーディングする遺伝子は、機能的に均等なコドンまたは(コドンの縮退性によって)同一なアミノ酸をコーディングするコドン、または生物学的に均等なアミノ酸をコーディングするコドンを含む核酸分子を含むことができる。前記核酸分子は、標準分子生物学技術、例えば化学的合成方法または組換え方法を用いて分離または製造するか、市販されるものを使用することができる。
【0028】
“ベクター”は、個体の細胞内で目的蛋白質をコーディングする遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された必須の調節要素を含む遺伝子作製物を言い、目的蛋白質をコーディングする核酸配列を宿主細胞に導入されるための手段になる。前記ベクターは、プラスミド、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクターなどのウイルスベクター、バクテリオファージベクター、コスミドベクター、YAC(Yeast Artificial Chromosome)ベクターなど多様なベクターからなる群より選択された1種以上であってもよい。一例で、前記プラスミドベクターはpBlue(例えば、pBluescript II KS(+))、pSC101、pGV1106、pACYC177、ColE1、pKT230、pME290、pBR322、pUC8/9、pUC6、pBD9、pHC79、pIJ61、pLAFR1、pHV14、pGEXシリーズ、pETシリーズ、pUC19などからなる群より選択された1種以上であってもよく、前記バクテリオファージベクターはlambda gt4 lambda B、lambda-Charon、lambda Δz1、およびM13などからなる群より選択された1種以上であってもよく、前記ウイルスベクターはSV40などであってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0029】
“組換えベクター”は、外来の目的遺伝子を含むクローニングベクターおよび発現ベクターを含む。クローニングベクターは複製起点、例えばプラスミド、ファージまたはコスミドの複製起点を含み、他のDNA断片が付着されて付着された断片が複製できるレプリコンである。発現ベクターは、蛋白質を合成するのに使用されるように開発された。
【0030】
本明細書でベクターは、原核細胞または真核細胞など各種宿主細胞で目的とする酵素遺伝子を発現しこれを生産する機能を果たすことができるようにすれば特に限定されないが、ベクター内に挿入されて送達された遺伝子が宿主細胞のゲノム内に非可逆的に融合されて細胞内で遺伝子発現が長期間安定的に持続されるようにするものが良い。
【0031】
このようなベクターは、目的遺伝子が選択された宿主内で発現できるようにする転写および翻訳発現調節配列を含む。発現調節配列としては、転写を実施するためのプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコーディングする配列および/または転写および解読の終結を調節する配列を含むことができる。例えば、原核生物に適した調節配列は、プロモーター、任意にオペレーター配列および/またはリボソーム結合部位を含むことができる。真核細胞に適した調節配列は、プロモーター、ターミネーターおよび/またはポリアデニル化シグナルを含むことができる。開始コドンおよび終結コドンは、一般に目的蛋白質をコーディングする核酸配列の一部と見なされ、遺伝子作製物が投与された時、個体で作用を示さなければならなく、コーディング配列とインフレーム(in frame)になければならない。ベクターのプロモーターは、構成的または誘導性であってもよい。また、複製可能な発現ベクターの場合、複製起源を含むことができる。その外、エンハンサー、目的とする遺伝子の5’末端および3’末端の非解読領域、選別マーカー(例えば、抗生剤耐性マーカー)、または複製可能単位などを適切に含むこともできる。ベクターは、自己複製するか宿主ゲノムDNAに統合されてもよい。
【0032】
有用な発現調節配列の例としては、アデノウイルスの初期および後期プロモーター、猿ウイルス40(SV40)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVの長い末端繰り返し部(LTR)プロモーター、モロニーウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、ラウスサルコーマウイルス(RSV)プロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、β-アクチンプロモーター、ヒトヘモグロビンプロモーターおよびヒト筋肉クレアチンプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステム、T3およびT7プロモーター、ファージラムダの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコード蛋白質の調節領域、ホスホグリセリン酸キナーゼ(phosphoglycerate kinase、PGK)または他のグリコール分解酵素に対するプロモーター、ホスファターゼのプロモーター、例えばPho5、酵母アルファ-交配システムのプロモーターおよび原核細胞または真核細胞またはこれらのウイルスの遺伝子の発現を調節すると知られた構成と誘導のその他の配列およびこれらの様々な組み合わせを含むことができる。
【0033】
細胞で形質転換遺伝子の発現水準を高めるためには、目的とする遺伝子と転写および翻訳発現調節配列が互いに作動可能に連結されなければならない。一般に、“作動可能に連結された”は、連結されたDNA配列が接触し、また分泌リーダーの場合、接触してリーディングフレーム内に存在することを意味する。例えば、プレ配列(pre-sequence)または分泌リーダー(leader)に対するDNAが蛋白質の分泌に参加するプレ蛋白質として発現される場合、ポリペプチドに対するDNAに作動可能に連結されてもよく、プロモーターまたはエンハンサーが配列の転写に影響を与える場合、コーディング配列に作動可能に連結されてもよく、またはリボソーム結合部位は配列の転写に影響を与える場合、コーディング配列に作動可能に連結されてもよく、またはリボソーム結合部位は翻訳を容易にするように配置される場合、コーディング配列に作動可能に連結されてもよい。これら配列の連結は便利な制限酵素部位でライゲーション(連結)によって行われてもよく、そのような部位が存在しない場合、通常の方法による合成オリゴヌクレオチドアダプター(oligonucleotide adaptor)またはリンカー(linker)を使用して行われてもよい。
【0034】
当業者は、宿主細胞の性質、ベクターの複製数、複製数を調節できる能力および当該ベクターによってコーディングされる他の蛋白質、例えば抗生剤マーカーの発現などを考慮して、本発明に適した各種ベクター、発現調節配列、宿主などを選定することができる。
【0035】
本明細書で提供される組換え微生物は、前記組換えベクターを使用して宿主微生物細胞を形質転換させて得ることができる。
【0036】
用語、“形質転換”は、目的遺伝子を宿主微生物に導入させて目的遺伝子が染色体外因子としてまたは染色体統合完成によって複製可能になることを意味する。
【0037】
宿主微生物として使用可能な微生物は原核細胞と真核細胞からなる群より選択でき、通常、DNAの導入効率が高く、導入されたDNAの発現効率の高い微生物が宿主微生物として使用できる。宿主微生物の具体例として、大腸菌(例えば、E.coli DH5a、E.coli JM101、E.coli K12、E.coli W3110、E.coli X1776、E.coli BおよびE.coli XL1-Blue)を含むエスケリキア属、シュードモナス属、バシラス属、ストレプトミセス属、エルウィニア属、セラチア属、プロビデンシア属、コリネバクテリウム属、レプトスピラ属、サルモネラ属、ブレビバクテリア属、ヒホモナス属、クロモバクテリウム属、ノカルジア属、真菌または酵母のような周知の真核および原核宿主などを例示することができるが、これに制限されるわけではない。適当な宿主に形質転換されれば、ベクターは宿主ゲノムと関係なく複製し機能できるか、または一部の場合にゲノムそれ自体に統合できる。
【0038】
また、本発明の目的上、前記宿主細胞は、炭素源からヒドロキシアシルCoAを生合成する経路を有している微生物であってもよい。
【0039】
形質転換方法としては、当分野で公知されたように適した標準技術、例えば、電気穿孔法(electroporation)、電気注入法(electroinjection)、微細注入法(microinjection)、リン酸カルシウム共沈法(calcium phosphate co-precipitation)、塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、レトロウイルス感染(retroviral infection)、DEAE-デキストラン(DEAE-dextran)、陽イオンリポソーム(cationic liposome)法、ポリエチレングリコール沈殿法(polyethylene glycol-mediated uptake)、遺伝子銃(genegun)などを用いることができるが、これに制限されるわけではない。この時、環形のベクターを適切な制限酵素で切断して線状のベクター形態で導入することができる。
【0040】
段階(b)では前記組換え微生物を培養してP(3HP)を生合成する段階であって、具体的に、炭素源としてグリセロールを含む培地で前記組換え微生物を培養してP(3HP)のみを生合成することを特徴とする。この時、使用される培地と培養条件は組換え微生物の種類によって通常使用されるものを適切に選択して使用することができる。培養時、細胞の生育と共重合体の生産に適するように温度、培地のpHおよび培養時間などの条件を適切に調節することができる。前記培養方法の例には、回分式、連続式および流加式培養が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0041】
この他に、培養に使用される培地は特定の菌株の要求条件を適切に満足させなければならない。前記培地は、多様な炭素源、窒素源、リン源および微量元素成分を含むことができる。但し、第1段階培養段階では培地内炭素源としてP(3HP)の生産のためにグリセロールを炭素源として含み、グルコースを含まないことを特徴とする。
【0042】
培地内窒素源としては、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、大豆ミールおよび尿素または無機化合物、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムを例示することができるが、これに制限されるわけではない。窒素源も個別的にまたは混合物として使用することができる。培地内リン源としては、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二カリウムまたは相応するナトリウム-含有塩を例示することができるが、これに制限されるわけではない。また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含むか、アミノ酸およびビタミンのような必須成長物質を含むことができるが、これに制限されるわけではない。前記原料は、培養過程で培養物に適切な方式によって回分式で、または連続式で添加できる。
【0043】
また、必要によって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアのような塩基化合物またはリン酸または硫酸のような酸化合物を適切な方式で使用して培養物のpHを調節することができる。また、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して気泡生成を抑制することができる。好気状態を維持するために培養物内に酸素または酸素-含有気体(例、空気)を注入することができ、培養物の温度は通常20℃~45℃、好ましくは25℃~40℃であってもよい。培養は、所望の高分子の生産量が最大に得られるまで続けて行うことができる。
【0044】
また、前記段階(c)は、第1段階培養以後、IPTG誘導(IPTG induction)を通じてラクテート生成酵素およびラクチルcoA転換酵素を発現させた後、炭素源としてグルコースをさらに含んでPLAが生合成されるようにすることを特徴とする。IPTG誘導(IPTG induction)は、イソプロピルベータ-D-1-チオガラクトピラノシド(Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside、IPTG、またはlacYとも言う)でlacオペロンの転写を開始するようにしてlacオペロンの統制下にある遺伝子の蛋白質発現を誘導することを意味する。好ましくは、IPTGは0.1~1.0mM、さらに好ましくは0.5mMで使用し、好ましくは培養開始から8~24時間(1日)後程度に誘導を遂行させることができる。
【0045】
このようにIPTG誘導(IPTG induction)を通じてラクテート生成酵素およびラクチルcoA転換酵素を発現させた後、炭素源としてグルコースを培養液にさらに投入する場合、大腸菌がグルコースのみ選択的に細胞内流入して利用する炭素異化代謝抑制(Carbon catabolic repression)システムによってグリセロール利用が中断され、生合成が中断されたP(3HP)末端にPLAが生合成されてP(3HP-b-LA)ブロック共重合体が生産される。前記段階(c)の培養条件は、段階(b)と同様に適切に調節することができる。好ましくは、段階(b)および(c)の第1段階および第2段階培養は、2~7日、さらに好ましくは約4日間行うことができる。
【0046】
前記段階(b)および(c)を通じて、前記段階(a)で製造された組換え微生物は本発明による初期培養時からラクテートを生合成する酵素をコーディングする遺伝子およびラクチルCoAに転換させる酵素をコーディングする遺伝子は発現されず、グリセロールを炭素源にして3-ヒドロキシプロピオニルCoA(3-hydroxypropionyl-CoA)生合成に関連した酵素をコーディングする遺伝子およびPHA合成酵素遺伝子が発現されてP(3HP)が第1段階培養で生合成される。その後、炭素源としてグルコースを供給すれば炭素異化代謝抑制システム(Carbon catabolic repression system)によってグリセロール利用が中断されてP(3HP)生産が抑制され、グルコースと共にIPTGを添加すれば、IPTG誘導システム(IPTG induction system)によってラクテート生合成酵素をコーディングする遺伝子およびラクチルCoAに転換させる酵素をコーディングする遺伝子が第2段階の培養で発現されることを特徴とする。したがって、P(3HP)末端に、PLAが生合成されて、P(3HP-b-LA)が生合成される。
【0047】
本発明で提供されるP(3HP-b-LA)ブロック共重合体製造方法は、組換え微生物を培養する段階以後に、生産されたP(3HP-b-LA)ブロック共重合体を培養物から回収(または分離または精製)する段階を追加的に含むことができる。
【0048】
組換え微生物から生産されたP(3HP-b-LA)ブロック共重合体は、当業界に広く知られている方法で細胞または培養培地から分離することができる。P(3HP-b-LA)ブロック共重合体の回収方法の例として、遠心分離、超音波破砕、ろ過、イオン交換クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography:HPLC)、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography:GC)などの方法があるが、これら例に限定されるのではない。
【0049】
前記のような製造方法によって生産されたP(3HP-b-LA)ブロック共重合体は、10mol%以上のラクテートを含むことができる(上限値は特別な限定がないが、約90モル%以下であってもよく、これに制限されない)。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】pCDFJ23ベクターの製作方法および切断地図を示した図である。
図2】pCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP-reC_GKベクターの製作方法および切断地図を示した図である。
図3】pTrcHisB-ldhD-CPPCT540の製作方法および切断地図を示した図である。
図4】本発明によるP(3HP-b-LA)ブロック共重合体のDSC分析結果を示すグラフである。
図5】P(3HP-r-LA)ランダム共重合体のDSC分析結果を示すグラフである。
図6】P(3HP-r-LA)ランダム共重合体の製造のためのpBlue-reC_GK-CPPCT540ベクターの製作方法および切断地図を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに簡単に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例によって本発明の内容が限定されるのではない。
【実施例
【0052】
実施例1.3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体製造用組換えベクターの製造
全てのDNAクローニング実験は、標準方法(参考文献:J.Sambrook、E.F.Fritsch、T.Maniatis、Molecular Cloning.A laboratory Manual、2nd Ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989)によって行った。
【0053】
1-1.pCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP-reC_GK組換えベクターの製造
pCDFduetTM-1(Novagen、USA、3.7kb)にはIPTGによって発現が誘導されるT7プロモーターを二つ含有している。本実験ではこれを除去して恒常的に発現されるプロモーター二つを挿入した。pCDFduetTM-1のDNA断片をXbaI/XhoIで切断し、恒常的に発現されるJ23101(配列番号19)とJ23108プロモーター(配列番号20)の配列を含むDNA断片をXbaI/XhoI認識部位に挿入して製作した。J23101とJ23108プロモーターの配列を含む挿入したDNA断片(プロモーター)の大きさは328bp(配列番号21)である。J23101とJ23108プロモーター挿入のために、XbaI/XhoI認識部位が添加されたプライマー[5’-TACTGAACCGCTCTAGATTTACAGCTAGC-3’(配列番号22)および5’-CTTTACCAGACTCGAGTTCGAAGACGTCA-3’(配列番号23)]を用いた。このようなpCDFJ23ベクターの製作方法を図1に示した。
【0054】
一方、Glycerol dehydratase(DhaB)、Glycerol dehydratase reactivase(GdrAB)、CoA-dependent propionaldehyde(PduP)遺伝子を分離するためにKlebsiella pneumoniae DSM2026の全体DNAを抽出し、プライマー[5’-cagcca gaattcatgaaaagatcaaaacgatttgca-3’(配列番号24)および5’-ccctct aagctt gatctcccactgaccaaagctggccccg-3’(配列番号25)]を製作し、前記抽出した全体DNAを鋳型にして一度にPCRを行った後、dhaB1、dhaB2、dhaB3、gdrA遺伝子に該当する4.7kb大きさの遺伝子断片を確認し、このPCR結果物である遺伝子断片を1%アガロースゲルを用いて分離し、Wizard DNA精製キットを用いて精製した。精製された遺伝子断片をEcoRIとHindIIIで制限酵素処理を行った後、前記pCDFJ23ベクター断片と混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、EcoRI/HindIII認識部位に挿入することによって7kbのpCDFJ23-dhaB123-gdrA組換えプラスミドを製造した。
【0055】
また、Glycerol dehydratase reactivase(GdrB)遺伝子を分離するためにKlebsiella pneumoniae DSM2026の全DNAを抽出し、プライマー[5’-gagatc aagctt agagggggccgtcatgtcgctttcaccgccaggcgta-3’(配列番号26)および5’-gttcga cttaag tcagtttctctcacttaacggcaggac-3’(配列番号27)]を製作し、前記抽出した全DNAを鋳型にしてPCRを行って増幅した後、gdrB遺伝子に該当する0.3kb大きさの遺伝子断片を確認し、このPCR結果物である遺伝子断片を1%アガロースゲルを用いて分離し、Wizard DNA精製キットを用いて精製した。精製された遺伝子断片をHindIIIとAflIIで制限酵素処理した後、前記pCDFJ23-dhaB123-gdrA組換えプラスミド断片と混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、HindIII/AflII認識部位に挿入することによって7.3kbのpCDFJ23-dhaB123-gdrAB組換えプラスミドを製造した。
【0056】
さらに、CoA-dependent propionaldehyde(PduP)遺伝子を分離するためにKlebsiella pneumoniae DSM2026の全DNAを抽出し、プライマー[5’-gctagc ggtacc tgttaaaggagcatctgacaatgaatacagcagaactggaaacc-3’(配列番号28)および5’-ttaaca catatg ttagcgaatggaaaaaccgttggt-3’(配列番号29)]を製作し、前記抽出した全DNAを鋳型にして一度にPCR増幅して、pduP遺伝子に該当する1.4kb大きさの遺伝子断片を確認し、このPCR結果物である遺伝子断片を1%アガロースゲルを用いて分離し、Wizard DNA精製キットを用いて精製した。精製された遺伝子断片をKpnIとNdeIで制限酵素処理した後、前記pCDFJ23-dhaB123-gdrAB組換えプラスミド断片と混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、8.7kbのpCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP組換えプラスミドを製造した。
【0057】
そして、Cupriavidus necator(Ralstonia eutropha)のPHA synthaseの変異体(S506G.A510K)遺伝子であるreC_GKに該当する遺伝子断片を増幅するために、プライマー[5’-cgctaa catatg tgttaaaggagcatctgacatggcgaccgataaaggc-3’(配列番号30)および5’-caattg agatct tcatgccttggctttgacgtatcgccc-3’(配列番号31)]を用いてPCRを行って増幅された1.8kbの遺伝子断片をNdeI/BglIIで制限酵素処理した後、前記pCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP組換えプラスミド断片と混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、NdeI/BglII認識部位に挿入することによって最終的に10.5kbのpCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP-reC_GK組換えベクターを製造した。このようなpCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP-reC_GK組換えベクターの製造方法および切断地図を図2に示した。
【0058】
1-2.pTrcHisB-ldhD-cppct540組換えベクターの製造
プロピオニルCoAトランスフェラーゼ遺伝子(pct)は、クロストリジウムプロピオニクム(Clostridium propionicum)由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ(CP-PCT)の変異体を使用し、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子はペディオコッカスアシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)由来の遺伝子を使用した。この時使用されたベクターは、IPTG誘導(induction)システムであるTrcプロモーターを含有するpTricHisB(Invitrogen Co.、USA)である。
【0059】
まず、ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子を分離するために、ペディオコッカスアシディラクティシの全DNAを抽出し、プライマー[5’-aataaa ccatgg atgaaaattattgcttat-3’(配列番号32)および5’-caagat ctcgag ttaatcaaatttgacctc-3’(配列番号33)]を製作し、前記抽出した全DNAを鋳型にして、PCRを行った。得られたPCR産物を電気泳動して、ldhD遺伝子に該当する1kb大きさの遺伝子断片を確認し、遺伝子を得た。このPCR結果物である遺伝子断片を1%アガロースゲルを用いて分離し、Wizard DNA精製キットを用いて精製した。精製された遺伝子断片をNcoIとXhoIロで制限酵素処理した後、前記pTricHisBと混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、5.4kbのpTrcHisB-ldhD組換えプラスミドを製造した。
【0060】
その後、ここにプロピオニルCoAトランスフェラーゼがTrcプロモーターの影響下で共に発現されるように、オペロン形態のシステムを構築するためにクロストリジウムプロピオニクム(Clostridium propionicum)由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ(CP-PCT)の変異体(CP-PCT Variant 540;Val193Alaおよび沈黙突然変異 T78C、T669C、A1125G、T1158C含む)使用した。CP-PCT540の選別方法は大韓民国特許出願第10-2018-002497号に詳細に記載されており、前記文献は本発明に対する参考文献として含まれる。このように選別されたCP-PCT Variant 540(Val193Alaおよび沈黙突然変異 T78C、T669C、A1125G、T1158C含む)をプライマー[5’-aactcg agatct tgttaaaggagcatctgac atgagaaaggttcccattatt-3’(配列番号34)および5’-ccatat ggtacc ttaggacttcatttcctt-3’(配列番号35)]を用いてPCRを行って1.5kbの増幅された遺伝子断片を得た。これをBglII/KpnIで制限酵素処理した後、前記pTrcHisB-ldhD組換えプラスミドと混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、6.9kbのpTrcHisB-ldhD-CPPCT540組換えプラスミドを製造した。このようなpTrcHisB-ldhD-CPPCT 540組換えベクターの製造方法および切断地図を図3に示した。
【0061】
実施例2.3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体製造用組換え菌株の製造
2.1.ldhA遺伝子がノックアウト(knock-out)された変異体製作
Escherichia coli XL1-Blue(Stratagene、USA)を基にしてラクテートが含まれていない重合体を生産するために大腸菌の代謝過程中にラクテート生産に関与するEscherichia coli XL1-blue由来D-ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子(ldhA;fermentative D-lactate dehydrogenase、NAD-dependent[Escherichia coli str.K-12 substr.]Gene accession number:NC_000913.3、酵素accession number:EC_1.1.1.28)をゲノムDNAからノックアウト(knock-out)させて、ldhAが欠失された大腸菌変異体E.coli XL1-Blue(ΔldhA)を製作した。遺伝子の欠失は業界によく知られているred-recombination方法を用いた。ldhAを欠失させるために使用されたオリゴマーは、配列番号36(5’-atcagcgtacccgtgatgctaacttctctctggaaggtctgaccggctttaattaaccctcactaaagggcg-3’)および配列番号37(5’-acaccgattttaccggtaccgataacgcctgccgttttgccatacatagttaatacgactcactatagggctc-3’)の塩基配列で合成した。
【0062】
2.2.3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体製造用組換え菌株製作
前記実施例2.1で製作されたldhA欠失大腸菌変異体E.coli XL1-Blue(ΔldhA)に実施例1.1および1.2で製作された組換えベクターpCDFJ23-dhaB123-gdrAB-pduP-reC_GKおよびpTrcHisB-ldhD-CPPCT540を用いて、電気穿孔法(electroporation)で形質転換させて、P(LA-b-3HP)ブロック共重合体製造用組換え菌株を製作した。
【0063】
実施例3.IPTG誘導(Induction)を用いた3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体製造
前記実施例2.2で準備された組換え菌株を下記のように2段階培養して3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートブロック共重合体を得た。
【0064】
まず、第1段階培養のために、実施例2.2で準備された形質転換組換え大腸菌を100mg/Lのアンピシリン、25mg/Lのストレプトマイシン、グリセロール20g/L、Vitamin B12 0.5mΜおよびthiamine 10mg/Lが追加的に含まれている100ml MR培地(培地1L当りKHPO 6.67g、(NH)2HPO 4g、MgSO・7HO 0.8g、citric acid 0.8g、およびtrace metal solution 5mL;ここで、Trace metal solutionは1L当り5M HCl 5mL、FeSO・7HO 10g、CaCl 2g、ZnSO・7HO 2.2g、MnSO・4HO 0.5g、CuSO・5HO 1g、(NH)6Mo・4HO 0.1g、およびNa・10HO 0.02g含有)に接種して30℃で250rpmで攪拌しながら培養を行った。
【0065】
培養開始から1日経過後、培養中の100mlにIPTG induction systemを用いるようにIsopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside(IPTG)を0.5mMになるように添加し10g/Lのグルコースを添加してIPTG inductionが行われるようにし、LA生合成酵素およびLA-CoAに転換する酵素が発現されるようにし、グリセロール利用が中断されP(3HP)生産が抑制されるようにして、中断されたP(3HP)末端にPLAが生合成されるようにした。
【0066】
その後、前記誘導(induction)された培養液を追加的に3日間さらに培養(第2段階培養)した。
【0067】
比較例1.IPTG誘導を用いない(No induction)3-ヒドロキシプロピオネート重合体製造
本発明による製造方法と比較するために、IPTG inductionを用いずに1段階の培養で3-ヒドロキシプロピオネート重合体を製造した。具体的に、別途のフラスコに実施例2.2で準備された形質転換組換え大腸菌を100mg/Lのアンピシリン、25mg/Lのストレプトマイシン、グリセロール20g/L、およびVitamin B12 0.5mΜが追加的に含まれている100ml MR培地(培地1L当りKHPO 6.67g、(NH)2HPO 4g、MgSO・7HO 0.8g、citric acid 0.8g、およびtrace metal solution 5mL;ここで、Trace metal solutionは1L当り5M HCl 5mL、FeSO・7HO 10g、CaCl 2g、ZnSO・7HO 2.2g、MnSO・4HO 0.5g、CuSO・5HO 1g、(NH)6Mo・4HO 0.1g、およびNa・10HO 0.02g含有)に接種して30℃で250rpmで攪拌しながら総計4日間培養した。
【0068】
実験例1.製造された重合体の分子量および組成分析
前記実施例3.によるIPTG誘導を経た培養液および比較例1のIPTG誘導を経なかった培養液をそれぞれ4℃、4000rpmで10分間遠心分離して菌体を回収し十分な量の蒸留水で2回洗浄した後、80℃で12時間乾燥した。乾燥された菌体内の高分子含量および組成を確認するためにGC分析を行った。このために、湿気が除去された菌体を定量した後、100℃でクロロホルムを溶媒として使用して硫酸触媒下でメタノールと反応させた。これを常温でクロロホルムの半分に該当する体積の蒸留水を添加して混合した後、二つの層に分離されるまで静置させた。二つの層のうちのメチル化された高分子の単量体が溶けているクロロホルム層を採取してガスクロマトグラフィー(GC)で高分子の成分を分析した。内部標準物質としてはベンゾエート(benzoate)を使用した。この時使用されたGC条件は下記の表1のとおりである。
【0069】
高分子の分子量を測定するためにGPC分析を行った。このために、次のように高分子抽出および精製を行った。湿気が除去された菌体を円筒ろ過紙に収集後、ソックスレー抽出機(Soxhlet)を用いて60℃のクロロホルム溶媒に4時間以上抽出した。抽出後、溶媒であるクロロホルムは蒸発器(evaporator)を用いて除去してフィルムタイプの高分子を得た。これを精製するために、フィルム型高分子を5mlクロロホルムに溶かした後、4℃メタノール100mlに少量ずつ落下(dropping)して不純物を除去した。このように精製された高分子でGPC分析を通じて分子量を確認した。具体的には、精製された高分子をクロロホルム(Chloroform)に1~2mg/mLの濃度で溶かした後、0.45μmシリンジフィルター(Syringe Filter)でろ過してクロロホルム用GPC(Waters E08BX)装置を用いて分析した。移動相としてクロロホルム(Chloroform)を1mL/minの速度で流し、カラム温度は35℃に合わせ、RI屈折率検出器(Reflective Index Detector)を用いて検出して、本発明のバイオポリマー組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、最大ピーク(peak)分子量(M)および 多分散指数(polydispersity index、PDI)をそれぞれ測定した。
【0070】
【表1】
【0071】
GC分析で得られた結果を下記の表2に示した。
【0072】
【表2】
【0073】
表2に示されているように、本発明による形質転換組換え菌株を用いてIPTG inductionを行った場合には3-ヒドロキシプロピオネート-ラクテートのブロック共重合体が生成されたのを確認することができるが、inductionを経なかった場合にはP(3HP)のみが生成されただけであり、LAはほとんど生成されないことが分かった。
【0074】
実験例2.本発明による共重合体のブロック共重合体なのか確認
前記のように製造された重合体がP(3HP-b-LA)ブロック共重合体なのかを確認するために、P(3HP-r-LA)ランダム共重合体と共に示差走査熱量計(DSC Q100、TA Instrument)を使用して試験して結果を比較した。
【0075】
比較例として、次のような方法によってP(3HP-r-LA)ランダム共重合体を製造した。まず、比較例のためのベクターは、IPTG inductionベクターでないpBluescriptベースのベクターにrec-GKとCPPT-540を入れて製作されたpBlue-reC_GK-CPPCT540を使用した。
【0076】
具体的に、pBlue-reC_GK-CPPCT540の製造のためのPHA合成酵素遺伝子はCupriavidus necator(Ralstonia eutropha)の由来のPHA合成酵素の変異体を(S506G.A510K)を使用した(reC_GK)。この時使用されたベクターは、pBluescript II(Stratagene Co.、USA)である。
【0077】
PHA合成酵素であるReC_GKを発現させるために、pSYL105ベクター(Lee et al.、Biotech.Bioeng.、1994、44:1337-1347)でRalstonia eutropha H16由来のPHB生産オペロンが含まれているDNA断片をBamHI/EcoRIで切断して、pBluescript II(Stratagene Co.、USA)のBamHI/EcoRI認識部位に挿入することによってpReCAB組換えベクターを製造した。pReCABベクターは、PHA合成酵素(phaCRE)と単量体供給酵素(phaAREおよびphaBRE)がPHBオペロンプロモーターによって常時的に発現される。pReCABベクターのReC合成酵素遺伝子をBstBI/SbfI制限酵素によって完全に除去し、この位置に変異体であるReC_GK合成酵素遺伝子を挿入した。このReC_GK合成酵素遺伝子断片増幅のために、プライマー[5’-cgctaa TTCGAA tagtgacggcagagagacaatcaaatc atggcgaccggcaaaggc-3’(配列番号38)および5’-caattg CCTGCAGG tcatgccttggctttgacgtatcgccc-3’(配列番号39)]を用いてPCRを行って増幅された1.8kbの遺伝子断片を得た。これをBstBI/SbfIで制限酵素処理した後、前記プラスミド断片と混合してT4 DNAリガーゼ(入手先:Takara)を入れ4℃で反応させて、BstBI/SbfI認識部位に挿入することによってpBlue-reC_GK組換えベクターを製造した。
【0078】
ここにプロピオニルCoAトランスフェラーゼが共に発現されるオペロン形態の恒常的発現されるシステムを構築するためにクロストリジウムプロピオニクム(Clostridium propionicum)由来のプロピオニルCoAトランスフェラーゼ変異体(CPPCT540)を使用した。CPPCT540遺伝子断片を増幅するため、プライマー[5’-caattgCCTGCAGGcggataacaatttcacacaggaaacagaattcatgagaaaggttcccattatt-3’(配列番号40)、5’-ccatat catatg ttaggacttcatttcctt-3’(配列番号41)]を用いてPCRして得られた1.5kb断片を使用した。このPCR断片をSbfI/NdeIで制限酵素処理した後、前記pBlue-reC_GK組換えプラスミド断片と混合してT4 DNAリガーゼを入れ4℃で反応させて、SbfI/NdeI認識部位に挿入することによってpBlue-reC_GK-CPPCT540組換えベクターを製造した。このようなpBlue-reC_GK-CPPCT540組換えベクターの製造方法および切断地図を図6に示した。
【0079】
高分子生成微生物は、ldhAが除去されていないE.coli XL1-Blue野生型菌株を使用して培養時、ラクテートモノマーが供給されるようにした。培養に使用された炭素源はグルコースを用い、3HP(3-ヒドロキシプロピオネート)モノマーを0.5g/Lで添加してP(3HP-r-LA)ランダム共重合体を生合成した。MR培地および培養時間温度は実施例3に記載されたブロック高分子合成と同様な条件で行った。
【0080】
実施例3で製造された本発明による共重合体と前記のように製造されたランダム共重合体を示差走査熱量計(DSC Q100、TA Instrument)を使用して試験して昇温速度を10℃/minにして-40℃から220℃まで昇温させて測定した。
【0081】
その結果を下記図4および5に示した。図4および5から確認できるように、本発明のP(3HP-b-LA)ブロック共重合体はP(3HP)とPLAのガラス転移温度(Tg)および溶融温度(Tm)が全て特定されるのに反して、比較例のP(3HP-r-LA)ランダム共重合体の場合、TgはP(3HP)とPLAの中間位置で確認され、Tmは測定されなかった。したがって、本発明によって製造された共重合体はP(3HP-b-LA)ブロック共重合体であるのを明確に確認することができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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