(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、これを用いた液晶配向膜および液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20220711BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20220711BHJP
C08K 5/5455 20060101ALI20220711BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
C08K5/5455
C08L79/08 A
G02F1/1337 530
(21)【出願番号】P 2020545684
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2019015358
(87)【国際公開番号】W WO2020105933
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0143868
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ク、キチュル
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スーンホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒョンソク
(72)【発明者】
【氏名】パク、フンソ
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-150251(JP,A)
【文献】特開2015-215591(JP,A)
【文献】特開2016-081057(JP,A)
【文献】特開2017-009655(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072554(WO,A1)
【文献】特開2015-222387(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0095801(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08L 79/08
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位および下記化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第1液晶配向剤用重合体;
下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位および下記化学式6で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第2液晶配向剤用重合体;および
下記化学式9で表される架橋剤化合物
を含む、
液晶配向剤組成物:
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
上記化学式1~6において、
R
1およびR
2のうちの少なくとも一つは炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、
R
3およびR
4のうちの少なくとも一つは炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、
X
1~X
6は、それぞれ独立して、4価の官能基であり、
Y
1~Y
3は、それぞれ独立して、下記化学式7で表される2価の官能基であり、
[化学式7]
【化7】
上記化学式7において、
Tは4価の官能基であり、
D
1およびD
2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~10のヘテロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基または炭素数2~20のヘテロアリーレン基のうちの一つであり、
Z
1~Z
3は、それぞれ独立して、下記化学式8で表される2価の官能基であり、
[化学式8]
【化8】
上記化学式8において、
A
1は
窒素であり、
R
5は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、
aは1~3の整数であり、
A
2、A
3、A
4およびA
5は窒素または炭素であり、ただし、A
2~A
5のうちの少なとも一つは窒素であり、残りは炭素であり、
[化学式9]
【化9】
上記化学式9において、
A
6は1価~4価の官能基であり、
jは1~4の整数であり、
L
2およびL
3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基のうちの一つであり、
R
6およびR
7は、それぞれ独立して、ケイ素含有1価の官能基であ
り、前記ケイ素含有1価の官能基は、下記化学式15で表され、
[化学式15]
【化18】
上記化学式15において、R
22
、R
23
およびR
24
は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキルのうちの一つである。
【請求項2】
前記X
1~X
6は、それぞれ独立して、下記化学式10で表される4価の官能基である、
請求項1に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式10]
【化10】
上記化学式10において、
R
8~R
13は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキル基であり、
L
4は単結合、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-CR
14R
15-、-CONH-、-COO-、-(CH
2)
b-、-O(CH
2)
bO-、-COO-(CH
2)
b-OCO-、-R
16N-(CH
2)
b-NR
17-、フェニレンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか一つであり、
R
14からR
17は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうちの一つであり、
bは、それぞれ独立して、1~10の整数である。
【請求項3】
上記化学式8において、A
2~A
5のうちの一つが窒素であり、残りは炭素である、
請求項1または2に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項4】
上記化学式8において、A
2またはA
5のうちの一つが窒素であり、残りは炭素であり、
A
3およびA
4は炭素である、
請求項1または2に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項5】
上記化学式8において、A
1は窒素であり、R
5は水素であり、aは1である、
請求項1または2に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項6】
上記化学式8は下記化学式8-1、化学式8-2および化学式8-3からなる群より選ばれた2価の官能基を含む、
請求項1または2に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式8-1]
【化11】
[化学式8-2]
【化12】
[化学式8-3]
【化13】
上記化学式8-1~8-3において、
A
1~A
5、R
5、aは請求項1で定義したとおりである。
【請求項7】
第1液晶配向剤用重合体と第2液晶配向剤用重合体は5:95~95:5の重量比で含まれる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項8】
前記第2液晶配向剤用重合体は、下記化学式11で表される繰り返し単位、下記化学式12で表される繰り返し単位および下記化学式13で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位をさらに含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物:
[化学式11]
【化14】
[化学式12]
【化15】
[化学式13]
【化16】
上記化学式11~13において、
R
18およびR
19のうちの少なくとも一つは炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、
X
7~X
9は、それぞれ独立して、4価の官能基であり、
Z
4~Z
6は、それぞれ独立して、下記化学式14で表される2価の官能基であり、
[化学式14]
【化17】
上記化学式14において、
R
20およびR
21は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のフルオロアルキル、または炭素数1~10のフルオロアルコキシであり、
p'およびq'は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
L
6は単結合、-O-、-CO-、-S-、-SO
2-、-C(CH
3)
2-、-C(CF
3)
2-、-CONH-、-COO-、-(CH
2)
z-、-O(CH
2)
zO-、-O(CH
2)
z-、-OCH
2-C(CH
3)
2-CH
2O-、-COO-(CH
2)
z-OCO-、または-OCO-(CH
2)
z-COO-であり、ここで、zは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、
k'およびm'は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
n'は0~3の整数である。
【請求項9】
上記化学式9において、
A
6は炭素数1~10のアルキレン基であり、
jは2であり、
L
2およびL
3は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキレン基であり、
R
6およびR
7は、それぞれ独立して、ケイ素含有1価の官能基である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階と;
前記塗膜を乾燥する段階と;
前記塗膜に光を照射するか、またはラビング処理して配向処理する段階と;
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階と;
を含む、
液晶配向膜の製造方法。
【請求項11】
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階において、前記配向処理された塗膜に下記化学式16で表される架橋剤化合物が含まれる、
請求項
10に記載の液晶配向膜の製造方法:
[化学式16]
【化19】
上記化学式16において、
A
6、j、L
2およびL
3は請求項1で定義したとおりである。
【請求項12】
請求項1から
9のいずれか1項に記載の液晶配向剤組成物の配向硬化物を含む、
液晶配向膜。
【請求項13】
請求項
12に記載の液晶配向膜を含む、
液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
【0002】
本出願は、2018年11月20日付の韓国特許出願第10-2018-0143868号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0003】
本発明は、液晶配向膜の合成時に高いイミド化転換率を示し、優れた膜強度を有しながらも、向上した配向性および電気的特性を実現できる液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、これを用いた液晶配向膜および液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0004】
液晶表示素子において、液晶配向膜は液晶を一定方向に配向させる役割を担当している。具体的には、液晶配向膜は液晶分子の配列に配向子(director)の役割を果たして電場(electric field)により液晶が動いて画像を形成する時、適当な方向を取るようにする。液晶表示素子において均一な輝度(brightness)と高いコントラスト比(contrast ratio)を得るためには液晶を均一に配向することが必須である。
【0005】
従来には液晶を配向させる方法の一つとして、ガラスなどの基板にポリイミドなどの高分子膜を塗布し、この表面をナイロンやポリエステルなどの繊維を用いて一定方向に擦るラビング(rubbing)方法が用いられた。しかし、ラビング方法は、繊維質と高分子膜が摩擦する時に微細なホコリや静電気(electrical discharge:ESD)が発生し得、液晶パネルの製造時に深刻な問題を引き起こすことができる。
【0006】
前記ラビング方法の問題を解決するために、最近では摩擦でなく光照射によって高分子膜に異方性(非等方性、anisotropy)を誘導し、これを用いて液晶を配列する光配向法が研究されている。
【0007】
前記光配向法に使用できる材料としては多様な材料が紹介されており、その中でも液晶配向膜の良好な諸般性能のためにポリイミドが主に使用されている。そのため、ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルなどの前駆体形態でコーティングした後、200℃から230℃の温度で熱処理工程を経てポリイミドを形成させ、ここに光照射を行って配向処理を行うことになる。
【0008】
しかし、このようなポリイミド状態の膜に光照射して十分な液晶配向性を得るためには多くのエネルギーを必要とし、実際の生産性確保に困難が生じるだけでなく、光照射した後、配向安定性を確保するために追加的な熱処理工程も必要であり、パネルの大型化により製造工程上のカラムスペーサ(Column space、CS)の偏り現像が発生しながら液晶配向膜の表面にヘイズが発生し、これによってピンホール不良が生じてパネルの性能が十分に具現できない限界があった。
【0009】
また、液晶表示素子の高品位駆動のためには高い電圧保持率(voltage holding ratio;VHR)を示さなければならないが、ポリイミドだけではこれを示すのに限界があった。特に、最近では低電力ディスプレイに対する要求が増加することに伴い、液晶配向剤は液晶の配向性という基本特性だけでなく、直流/交流電圧によって発生する残像、電圧保持率などの電気的な特性にも影響を及ぼしうることを発見した。そのため、優れた液晶配向性と電気的特性を同時に実現できる液晶配向材料に対する開発の必要性が大きくなっている。
【0010】
そこで、ディスプレイ分野で要求される高い膜強度の液晶配向膜を製造するために多様な架橋剤を液晶配向剤組成物に添加する方案が提案されたが、架橋剤化合物の安定性が減少し、液晶配向剤組成物が均一性を持ちにくくなるので信頼性が減少する限界があった。しかも、架橋剤化合物の単なる添加によって高温、低周波数での電気的特性が減少して高性能/低電力ディスプレイへの適用が可能な液晶配向膜を製造するには困難があった。
【0011】
そこで、高い膜強度を有する配向膜を製造しながらも、配向膜の配向特性と電気的特性を高めることができ、一般的な液晶配向膜の製造工程に適用する際にも高いイミド化転換率を有することができる液晶配向剤組成物の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、液晶配向膜の合成時に高いイミド化転換率を示し、優れた膜強度を有しながらも、向上した配向性および電気的特性を実現できる液晶配向剤組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記液晶配向剤組成物を用いた液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0014】
本明細書ではまた、前記液晶配向剤組成物の配向硬化物を含む、液晶配向膜とそれを含む液晶表示素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書においては、下記化学式1で表される繰り返し単位、下記化学式2で表される繰り返し単位および下記化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第1液晶配向剤用重合体;下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位および下記化学式6で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第2液晶配向剤用重合体;および下記化学式9で表される架橋剤化合物を含む、液晶配向剤組成物が提供される。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
上記化学式1~6において、R
1およびR
2のうちの少なくとも一つは炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、R
3およびR
4のうちの少なくとも一つは炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、X
1~X
6は、それぞれ独立して、4価の官能基であり、Y
1~Y
3は、それぞれ独立して、下記化学式7で表される2価の官能基であり、
[化学式7]
【化7】
上記化学式7において、Tは4価の官能基であり、D
1およびD
2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~10のヘテロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基または炭素数2~20のヘテロアリーレン基のうちの一つであり、Z
1~Z
3は、それぞれ独立して、下記化学式8で表される2価の官能基であり、
[化学式8]
【化8】
上記化学式8において、A
1は15族元素であり、R
5は水素、または炭素数1~10のアルキルであり、aは1~3の整数であり、A
2、A
3、A
4およびA
5は窒素または炭素であり、ただし、A
2~A
5のうちの少なくとも一つは窒素であり、残りは炭素であり、
[化学式9]
【化9】
【0023】
上記化学式9において、A6は1価~4価の官能基であり、jは1~4の整数であり、L2およびL3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基のうちの一つであり、R6およびR7は、それぞれ独立して、ケイ素含有1価の官能基である。
【0024】
本明細書ではまた、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階と;前記塗膜を乾燥する段階と;前記乾燥段階直後の塗膜に光を照射して配向処理する段階と;前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階と;を含む、液晶配向膜の製造方法が提供される。
【0025】
本明細書ではまた、前記液晶配向剤組成物の配向硬化物を含む、液晶配向膜とそれを含む液晶表示素子が提供される。
【0026】
以下、発明の具体的な実施形態による液晶配向剤組成物、これを用いた液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜についてより詳細に説明する。
【0027】
本明細書において特別な制限がない限り、次の用語は下記のように定義される。
【0028】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0029】
本明細書において、「置換」という用語は、化合物中の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0030】
本明細書において「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アリールホスフィン基;またはN、O、およびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選ばれた1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換または非置換のものを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0031】
本明細書において、
【化10】
は、他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0032】
本明細書において、アルキル基は直鎖または分枝鎖であり得、炭素数は特に限定されないが、1~10であることが好ましい。他の一実施形態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0033】
炭素数1~10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1~10のアルキル基の一つ以上の水素がフッ素で置換されたものであり得、炭素数1~10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1~10のアルコキシ基の一つ以上の水素がフッ素で置換されたものであり得る。
【0034】
ハロゲン(halogen)は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)であり得る。
【0035】
15族元素は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、スズ(Sn)またはビスマス(Bi)であり得る。
【0036】
窒素酸化物は、窒素原子と酸素原子が結合した化合物であって、窒素酸化物官能基は官能基内に窒素酸化物を含む官能基を意味する。前記窒素酸化物官能基の例としては、ニトロ基(-NO2)などを使用することができる。
【0037】
本明細書において、アリール基はアレーン(arene)に由来する1価の官能基であり、特に限定されないが炭素数6~20であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。前記多環式アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。前記アリール基は置換または非置換され得る。
【0038】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に由来する2価の官能基であり、これらは2価の官能基であることを除いては、上述したアリール基に関する説明が適用される。
【0039】
本明細書において、多価官能基は、任意の化合物に結合された複数の水素原子が除去された形態の残基で、例えば2価官能基、3価官能基、4価官能基が挙げられる。一例として、シクロブタンに由来する4価の官能基は、シクロブタンに結合された任意の水素原子4個が除去された形態の残基を意味する。
【0040】
本明細書において、直接結合または単結合は、当該位置にいかなる原子または原子団も存在せず、結合線で連結されることを意味する。具体的には、化学式中、RaまたはLb(aおよびbは、それぞれ1~20の整数)で表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
【0041】
本明細書において、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折率検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを用いることができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例としては、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いてWaters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は40℃であり、ジメチルホルムアミド(DMF)およびテトラヒドロフラン(THF)を50wt%:50wt%の重量比で混合して溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線によりMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は、1,000/5,000/10,000/30,000/100,000の5種を使用した。
【0042】
本発明による液晶配向剤組成物は、部分イミド化されたポリイミド前駆体である第1液晶配向剤用重合体、非対称ピリジン構造のジアミンに由来するポリイミド前駆体である第2液晶配向剤用重合体を一緒に含むことを主な特徴とする。
【0043】
従来のポリイミドを液晶配向膜として使用する場合、ポリイミド前駆体、ポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを塗布し乾燥して塗膜を形成した後、高温の熱処理工程を経てポリイミドに転換させ、そこに光を照射して配向処理を行った。しかし、このようなポリイミド状態の膜に光を照射して十分な液晶配向性を得るためには多くの光照射エネルギーが必要であるだけでなく、光照射後の配向安定性を確保するために追加的な熱処理工程も経る。このような多くの光照射エネルギーと追加的な高温熱処理工程は、工程コストおよび工程時間の側面から非常に不利であるので、実際の大量生産工程に適用するのに限界があった。
【0044】
そこで本発明者らは、上記のようにイミド基などを含有する特定構造のジアミン化合物を含む反応物から製造された上記化学式1~3の繰り返し単位を含む第1液晶配向剤用重合体を用いると、すでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定の含有量含むので、塗膜を形成した後に高温の熱処理工程なく直ちに光を照射して異方性を生成させ、以後に熱処理を行って配向膜を完成できるので、光照射エネルギーを大きく減らすことができるだけでなく、1回の熱処理工程を含む単純な工程によっても配向性と安定性が強化された液晶配向膜を製造することができることを確認した。
【0045】
また、本発明者らは、前記第1液晶配向剤用重合体以外に、窒素原子などを含有した特定構造のジアミン化合物を含む反応物から製造された上記化学式4~6の繰り返し単位を含む第2液晶配向剤用重合体を液晶配向剤組成物に含むことにより、これによって製造される液晶配向膜は高温で高い電圧保持率を有することができ、コントラスト比の低下や残像現象を改善できるだけでなく、熱ストレスによる配向安定性および配向膜の機械的強度も改善されることを確認した。
【0046】
本発明者らは、前記一実施形態の液晶配向剤組成物のようにポリイミドまたはその前駆体重合体と一緒に添加される架橋剤化合物が上記化学式9で表されるように、架橋性官能基であるヒドロキシ基(-OH)の末端をR6およびR7の特定官能基で置換させる場合、R6およびR7の官能基が保護基として作用して液晶配向剤組成物中の分散性が向上し、最終的に得られる配向膜の配向特性と配向安定性が改善されることを実験により確認して発明を完成した。
【0047】
また、本発明者らは、前記一架橋性官能基であるヒドロキシ基(-OH)の末端をR6およびR7のケイ素含有官能基で置換させる場合、ケイ素含有官能基を含むことにより従来のヒドロキシ基(-OH)末端の架橋剤より初期乾燥工程での架橋剤の反応性が減り、配向のための露光工程後の架橋反応が始まって架橋剤による初期配向の低下を減らすことを確認した。また、配向のための露光後のイミド化が進行される過程でイミド化転換率が高くなりながら再配列率が増加して配向性が増加する技術的効果が得られることを実験により確認して発明を完成した。
【0048】
前記架橋剤化合物の架橋性官能基末端に導入されたR6およびR7の官能基は、液晶配向剤組成物内では架橋性官能基による架橋反応を抑制させて不要な架橋構造の形成を最小化して、組成物の安定性および信頼性を向上させることができ、液晶配向膜の乾燥または焼成過程時、熱処理によってほぼ80℃以上の温度で脱着除去されながら架橋性官能基末端のヒドロキシ基が回復して円滑な架橋反応を行い、配向膜の機械的物性を向上させることができる。
【0049】
すなわち、液晶配向剤組成物内では上記化学式9で表される架橋剤化合物の構造が維持されて、ポリイミドまたはその前駆体重合体と上記化学式9で表される架橋剤化合物間の架橋反応が抑制されることができる。そして、液晶配向剤組成物から液晶配向膜を製造する乾燥工程、露光工程、硬化工程などを経て、熱処理によって温度が上昇した時、上記化学式9で表される架橋剤化合物でR6およびR7の官能基が水素原子に置換され、これによりポリイミドまたはその前駆体重合体と後述する化学式9で表される架橋剤化合物間の架橋反応が行われる。
【0050】
したがって、前記一実施形態の液晶配向剤組成物は、組成物中に添加される架橋剤化合物の架橋反応性を抑制して架橋剤化合物とポリイミドまたはその前駆体重合体の分散性を十分に向上させることができ、後述する他の実施形態の液晶配向膜の製造過程中に組成物内で架橋剤化合物とポリイミドまたはその前駆体重合体間の架橋反応により配向膜の強度が向上し、最終的に製造された液晶配向セルにおける優れた配向特性および電気的特性を実現することができる。
【0051】
1.液晶配向剤組成物
【0052】
発明の一実施形態によれば、上記化学式1で表される繰り返し単位、上記化学式2で表される繰り返し単位および上記化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第1液晶配向剤用重合体;上記化学式4で表される繰り返し単位、上記化学式5で表される繰り返し単位および上記化学式6で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第2液晶配向剤用重合体;および上記化学式9で表される架橋剤化合物を含む液晶配向剤組成物を提供することができる。
【0053】
具体的には、前記第1液晶配向剤用重合体は、上記化学式1で表される繰り返し単位、上記化学式2で表される繰り返し単位、上記化学式3で表される繰り返し単位それぞれの1種またはこれらのうちの2種の混合、またはこれら3種すべての混合を含み得る。
【0054】
また、前記第2液晶配向剤用重合体は、上記化学式4で表される繰り返し単位、上記化学式5で表される繰り返し単位、上記化学式6で表される繰り返し単位それぞれの1種またはこれらのうちの2種の混合、またはこれら3種すべての混合を含み得る。
【0055】
一実施形態による液晶配向剤組成物のうち、第1液晶配向剤用重合体および第2液晶配向剤用重合体において、上記化学式1~6の繰り返し単位でX1~X6は、それぞれ独立して、4価の官能基であり得る。前記X1~X6はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミド合成時に使用されるテトラカルボン酸二無水物化合物に由来する官能基であり得る。
【0056】
一例として、前記X1~X6は、それぞれ独立して、下記化学式10で表される4価の官能基であり得る。
【0057】
【0058】
上記化学式10において、R8~R13は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~10のアルキル基であり、L4は単結合、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CR14R15-、-CONH-、-COO-、-(CH2)b-、-O(CH2)bO-、-COO-(CH2)b-OCO-、-R16N-(CH2)b-NR17-、フェニレンまたはこれらの組み合わせからなる群より選ばれたいずれか一つであり、R14からR17は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数1~10のハロアルキル基のうちの一つであり、bは、それぞれ独立して、1~10の整数である。
【0059】
より好ましくは、前記X1~X6は、それぞれ独立して、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物に由来する下記化学式10-1の有機基、1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物に由来する下記化学式10-2の有機基、テトラヒドロ-[3,3'-ビフラン]-2,2',5,5'-テトラオンに由来する下記化学式10-3の有機基、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物に由来する下記化学式10-4の有機基、ピロメリット酸二無水物に由来する下記化学式10-5の有機基、または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に由来する下記化学式10-6の有機基であり得る。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
また、前記一実施形態による液晶配向剤組成物のうち、第1液晶配向剤用重合体は、上記化学式1~3の繰り返し単位でY1~Y3は、それぞれ独立して、上記化学式7で表される2価の官能基であり得る。前記第1液晶配向剤用重合体がすでにイミド化されたイミド繰り返し単位を含有したジアミンから合成されるので、塗膜を形成した後、高温の熱処理工程なしに直ちに光を照射して異方性を生成させ、その後に熱処理を行って配向膜を完成できるので、光照射エネルギーを大きく減らすことができるだけでなく、1回の熱処理工程を含む簡単な工程により配向性と安定性に優れるだけでなく、電圧保持率と電気的特性にも優れた液晶配向膜を製造することができる。
【0067】
上記化学式7において、Tは4価の官能基であり、D1およびD2は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~10のヘテロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基または炭素数2~20のヘテロアリーレン基のうちの一つであり得る。
【0068】
上記化学式7は、液晶配向剤用重合体の形成に使用される前駆体であるイミド基などを含有する特定構造のジアミンに由来する繰り返し単位のうちの一部分に当該する。
【0069】
具体的には、上記化学式7において、Tは、下記化学式10-1で表される官能基または下記化学式10-2で表される官能基であり得る。
【0070】
【0071】
【0072】
また、上記化学式7において、D1およびD2は、それぞれ独立して、下記化学式17または化学式18であり得る。
【0073】
【0074】
【0075】
上記化学式18において、L5は単結合、-O-、-SO2-、または-CR25R26-であり、ここで、R25およびR26は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルである。
【0076】
好ましくは、上記化学式17は下記化学式17-1であり得る。
【0077】
【0078】
また、上記化学式18は下記化学式18-1であり得る。
【0079】
【0080】
上記化学式18-1において、L5はO、またはCH2である。
【0081】
より具体的には、上記化学式7で表される有機基の例は特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式7-1または化学式7-2で表される官能基であり得る。
【0082】
【0083】
【0084】
前記第1液晶配向剤用重合体において、上記化学式1、化学式2および化学式3で表される繰り返し単位のうち、化学式1で表される繰り返し単位を全体繰り返し単位に対して5モル%~74モル%、または10モル%~60モル%含み得る。
【0085】
上述したように、上記化学式1で表されるイミド繰り返し単位を特定含有量含む重合体を用いると、前記第1液晶配向剤用重合体がすでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定含有量含むので、高温の熱処理工程を省略し、直ちに光を照射しても配向性と安定性に優れた液晶配向膜を製造することができる。
【0086】
万一、化学式1で表される繰り返し単位が上記の含有量の範囲より少なく含まれると、十分な配向特性を示すことができず、配向安定性が低下し得、上記化学式1で表される繰り返し単位の含有量が上記の範囲を超えると、コーティング可能な安定した配向液を製造しにくい問題があり得る。これにより、上記化学式1で表される繰り返し単位を上述した含有量の範囲で含むことが保管安定性、電気的特性、配向特性および配向安定性においていずれも優れた液晶配向剤用重合体を提供することができるので好ましい。
【0087】
また、上記化学式2で表される繰り返し単位または化学式3で表される繰り返し単位は、目的とする特性に応じて適宜の含有量で含まれ得る。
【0088】
具体的には、上記化学式2で表される繰り返し単位は、上記化学式1~3で表される全体繰り返し単位に対して1モル%~60モル%、好ましくは5モル%~50モル%含まれ得る。上記化学式2で表される繰り返し単位は、光を照射した後、高温の熱処理工程中にイミドに転換される比率が低いので上記の範囲を超える場合、液晶との相互作用する領域が低くなり、相対的に配向性が低下しうる。したがって、上記化学式2で表される繰り返し単位は、上述した範囲内で工程特性に優れながらも高いイミド化率を実現できる液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0089】
そして、上記化学式3で表される繰り返し単位は、上記化学式1~3で表される全体繰り返し単位に対して0モル%~95モル%、好ましくは10モル%~80モル%含まれ得る。このような範囲内で優れたコーティング性を示すので、工程特性に優れながらも高いイミド化率を実現できる液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0090】
一方、一実施形態による液晶配向剤組成物のうち、第2液晶配向剤用重合体は、上記化学式4~6の繰り返し単位でZ1、Z2およびZ3は、それぞれ独立して、上記化学式8で表される2価の官能基であり得る。前記Z1、Z2およびZ3は、上記化学式8で表される2価の官能基で定義され、上述した効果を発現できる多様な構造の液晶配向剤用共重合体を提供することができる。
【0091】
このように前記第2重合体が上記化学式8で表される特定の有機官能基を含有したジアミンから合成されることにより、高温環境でも高い電圧保持率を有することができ、コントラスト比の低下や残像現象を改善させて電気的特性を向上させる特徴がある。
【0092】
上記化学式8において、A1は15族元素であり、前記15族元素は窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、スズ(Sn)またはビスマス(Bi)であり得る。前記R5は、前記A1に結合する官能基であって、aで表される数字の個数だけA1元素に結合することができる。好ましくは、上記化学式8において、A1は窒素であり、R5は水素であり、aは1であり得る。
【0093】
一方、上記化学式8において、A2~A5のうちの少なくとも一つは窒素であり、残りは炭素を満たすことにより、前記窒素原子によって上記化学式8は中心点または中心線を基準にして対称をなさない非対称構造をなす。上記化学式8は、液晶配向剤用重合体の形成に使用される前駆体である窒素原子などを含有した特定構造のジアミンに由来する繰り返し単位であって、後述するように非対称ジアミンを使用したことによるものと考えられる。
【0094】
上記化学式8で表される官能基は、2級アミン基または3級アミン基を媒介として2個の芳香族環化合物、好ましくは、ヘテロ芳香族環化合物および芳香族環化合物が結合する構造的特徴がある。これにより、液晶配向剤としての配向性や残像特性は等しい水準以上を満たしながらも、電圧保持率が向上して優れた電気的特性を実現することができる。
【0095】
反面、2個の芳香族環化合物が2級アミン基または3級アミン基なしで単結合で結合する場合、液晶配向剤の配向特性が不良で、電圧保持率も相対的に減少する技術的問題が発生し得る。
【0096】
また、2級アミン基または3級アミン基を介して結合する2個の芳香族環化合物それぞれが窒素原子を含まない場合、アミンと酸無水物の反応により形成されるポリアミック酸またはポリアミック酸エステルに対してイミド化反応を行っても(例えば、230℃での熱処理により)十分なイミド化反応を進行できないことによって、最終液晶配向膜内でイミド化率が減少する限界がある。
【0097】
また、上記化学式8で表される官能基は、2個の芳香族環化合物、好ましくは、ヘテロ芳香族環化合物および芳香族環化合物それぞれにアミン基および水素だけが結合しているだけであり、そのほかの他の置換基が導入されないことを特徴とし、ヘテロ芳香族環化合物または芳香族環化合物に置換基、例えばフルオロアルキル基が導入される場合、置換基による配向性が低下する技術的問題が発生し得る。
【0098】
より具体的には、上記化学式8において、A2~A5のうちの一つが窒素であり、残りは炭素であり得、上記化学式8において、A2またはA5のうちの一つが窒素であり、残りは炭素であり、A3およびA4は炭素であり得る。すなわち、上記化学式8において、A2~A5が含まれている芳香族環はピリジン(pyridine)構造を有することができる。これにより、前記一実施形態の液晶配向剤用重合体が適用された液晶ディスプレイ素子が高い電圧保持率および液晶配向性を実現することができる。
【0099】
また、上記化学式8は、下記化学式8-1、化学式8-2および化学式8-3からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含み得る。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
上記化学式8-1~8-3において、A1、A2、A3、A4、A5、R5およびaに対する内容は上記化学式8で上述した内容を含む。
【0104】
このように、上記化学式8が化学式8-1、化学式8-2、および化学式8-3からなる群より選ばれた1種以上の官能基を含むことにより、より優れた液晶配向性を実現することができる。
【0105】
より具体的には、上記化学式8で表される有機基の例は特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式8-4、化学式8-5および化学式8-6からなる群より選ばれた1種以上の官能基であり得る。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
一方、一実施形態による液晶配向剤組成物中の第2液晶配向剤用重合体は、上記化学式4、化学式5および化学式6で表される繰り返し単位中で、イミド繰り返し単位の化学式4で表される繰り返し単位を全体繰り返し単位に対して0モル%~80モル%、好ましくは0.1モル%~65モル%含み得る。
【0110】
上述のように、上記化学式4で表されるイミド繰り返し単位を特定含有量含む重合体を用いると、前記重合体がすでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定含有量含むので、高温の熱処理工程を省略し、直ちに光を照射しても配向性と安定性に優れた液晶配向膜を製造することができる。
【0111】
万一、化学式4で表される繰り返し単位が上記の含有量の範囲より少なく含まれると十分な配向特性を示すことができず、配向安定性が低下することがあり、上記化学式4で表される繰り返し単位の含有量が上記の範囲を超えればコーティング可能な安定した配向液を製造しにくい問題があり得る。これにより、上記化学式4で表される繰り返し単位を上述した含有量の範囲で含んだ方が、保管安定性、電気的特性、配向特性および配向安定性にすべて優れた液晶配向剤用重合体を提供することができるので好ましい。
【0112】
また、上記化学式5で表される繰り返し単位または化学式6で表される繰り返し単位は目的とする特性により適切な含有量で含まれ得る。
【0113】
具体的には、上記化学式5で表される繰り返し単位は、上記化学式4~6で表される全体繰り返し単位に対して0モル%~50モル%、好ましくは0.1モル%~30モル%で含まれ得る。上記化学式5で表される繰り返し単位は、光を照射した後、高温の熱処理工程中にイミドに転換される比率が低いので、上記の範囲を越える場合全体的なイミド化率が不足して配向安定性が低下し得る。したがって、上記化学式5で表される繰り返し単位は、上述した範囲内で工程特性に優れながらも高いイミド化率を実現できる液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0114】
そして、上記化学式6で表される繰り返し単位は、上記化学式4~6で表される全体繰り返し単位に対して10モル%~100モル%、好ましくは30モル%~99.8モル%で含まれ得る。このような範囲内で優れたコーティング性を示して工程特性に優れながらも高いイミド化率を実現できる液晶配向剤用重合体を提供することができる。
【0115】
一方、一実施形態による液晶配向剤組成物は、前記第1液晶配向剤用重合体と第2液晶配向剤用重合体は約5:95~95:5、好ましくは約15:85~85:15の重量比で含み得る。
【0116】
上述のように、前記第1液晶配向剤用重合体は、すでにイミド化されたイミド繰り返し単位を一定含有量含むので、塗膜を形成した後、高温の熱処理工程なく直ちに光を照射して異方性を生成させ、以降に熱処理を進行して配向膜を完成できる特徴がある。しかも、第2液晶配向剤用重合体は、窒素原子を含む
【0117】
特定の非対称構造のジアミン化合物に由来する繰り返し単位を含むので、高温の環境でも高い電圧保持率を有することができ、コントラスト比の低下や残像現象を改善させて電気的特性を向上させる特徴がある。このような特徴を有する前記第1液晶配向剤用重合体と第2液晶配向剤用重合体を上記の重量比の範囲で混合して使用する場合、第1液晶配向剤用重合体が有する優れた光反応特性および液晶配向特性に第2液晶配向剤用重合体が有する優れた電気的特性を相互補完することができるので、優れたコーティング性を示して工程特性に優れながらも高いイミド化率を実現できるだけでなく、直流/交流電圧によって発生する残像、電圧保持率などの電気的な特性に優れた液晶配向膜を、より優れた配向性と電気的特性を同時に有する液晶配向膜を製造することができる。
【0118】
一方、一実施形態による液晶配向剤組成物中、前記第2液晶配向剤用重合体は、下記化学式11で表される繰り返し単位、下記化学式12で表される繰り返し単位および下記化学式13で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位をさらに含み得る。
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
上記化学式11~13において、R
18およびR
19のうちの少なくとも一つは、炭素数1~10のアルキル基であり、残りは水素であり、X
7~X
9は、それぞれ独立して、4価の官能基であり、Z
4~Z
6は、それぞれ独立して、下記化学式14で表される2価の官能基であり、
[化学式14]
【化35】
【0123】
上記化学式14において、R20およびR21は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~10のアルコキシ、炭素数1~10のフルオロアルキル、または炭素数1~10のフルオロアルコキシであり、p'およびq'は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、L6は単結合、-O-、-CO-、-S-、-SO2-、-C(CH3)2-、-C(CF3)2-、-COO-、-(CH2)z-、-O(CH2)zO-、-O(CH2)z-、-OCH2-C(CH3)2-CH2O-、-COO-(CH2)z-OCO-、または-OCO-(CH2)z-COO-であり、ここで、zは、それぞれ独立して、1~10の整数であり、k'およびm'は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、n'は0~3の整数である。
【0124】
上記化学式14において、R20およびR21に置換されない炭素には水素が結合することができ、p'およびq'は、それぞれ独立して、0~4、または1~4、または2~4の整数であり、p'またはq'が2~4の整数の場合、複数のR20またはR21は同一または互いに異なる置換基であり得る。
【0125】
そして、上記化学式14において、k'およびm'は、それぞれ独立して、0~3、または1~3の整数であり、n'は0~3、または1~3の整数である。
【0126】
より具体的には、上記化学式14は、下記化学式19または化学式20であり得る。
【0127】
【0128】
【0129】
上記化学式20において、
L7は単結合、-O-、-SO2-、または-CR27R28-であり、ここで、R27およびR28は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルである。
【0130】
好ましくは、上記化学式19は、下記化学式19-1であり得る。
【0131】
【0132】
また、上記化学式20は、下記化学式20-1であり得る。
【0133】
【0134】
上記化学式20-1において、L7はO、またはCH2である。
【0135】
前記X7~X9は、それぞれ独立して、4価の官能基であり得る。
【0136】
一例として、前記X7~X9は、それぞれ独立して、上記化学式10で表される4価の官能基を含み得る。
【0137】
この時、上記化学式4で表される繰り返し単位、上記化学式5で表される繰り返し単位および上記化学式6で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位と、上記化学式11で表される繰り返し単位、上記化学式12で表される繰り返し単位および上記化学式13で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位とのモル比は1:100~100:1であり得る。
【0138】
前記第1液晶配向剤用重合体、第2液晶配向剤用重合体それぞれの重量平均分子量(GPC測定)は特に限定されるものではないが、例えば10,000g/mol~200,000g/molであり得る。
【0139】
2.架橋剤化合物
【0140】
前記一実施形態の液晶配向剤組成物は、上述した重合体以外に、架橋剤化合物を含み得、前記架橋剤化合物は、上記化学式9で表される特定の化学構造を有することができる。前記架橋剤化合物の物理/化学的性質は上述した化学式9の特定構造によるものと考えられる。
【0141】
上記化学式9において、A6は1価~4価の官能基であり、jは1~4の整数である。前記A6は架橋剤化合物の中心に位置する官能基であり、A6に含まれた末端官能基に化学式9において中括弧「[]」で表した官能基がj個程度結合することができる。
【0142】
すなわち、上記化学式9において、jが1の場合、A6は1価官能基である。また、jが2の場合、A6は2価官能基である。また、jが3の場合、A6は3価官能基である。また、jが4の場合、A6は4価官能基である。好ましくは、上記化学式9において、jは2であり、A6は炭素数1~10のアルキレン基、具体的にブチレン基であり得る。
【0143】
上記化学式9において、L2およびL3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基または炭素数6~20のアリーレン基のうち一つであり、好ましくは、L2およびL3は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキレン基、例えばエチレン基であり得る。
【0144】
上記化学式9において、R6およびR7は、前記架橋剤化合物の架橋性官能基であるヒドロキシ基(-OH)の末端で水素原子の代わりに置換された官能基で、ポリイミドまたはその前駆体重合体と上記化学式9で表される架橋剤化合物間の架橋反応を抑制させることができる。
【0145】
後述するように、前記R6およびR7は、液晶配向剤組成物から液晶配向膜を製造する乾燥工程、露光工程、硬化工程などを経て、ほぼ80℃以上の温度に上昇する時に水素原子で置換することで脱着され得る。
【0146】
前記R6およびR7は、それぞれ独立して、ケイ素含有1価の官能基であり得る。
【0147】
具体的には、前記ケイ素含有1価の官能基は、下記化学式15で表される官能基であり得る。
【0148】
【0149】
上記化学式15において、R22、R23およびR24は、それぞれ独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルのうちの一つであり得る。
【0150】
より具体的には、上記化学式15において、R22、R23およびR24は、炭素数1~10のアルキル、好ましくはメチル基であり得る。
【0151】
上記化学式9において、A6は炭素数1~10のアルキレン基であり、jは2である。すなわち、上記化学式9で表される架橋剤化合物は、下記化学式9-1で表される化合物を含み得る。
【0152】
【0153】
上記化学式9-1において、A'は炭素数1~10のアルキレン基であり、L8~L11は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキレン基であり、R35~R38は、それぞれ独立して、ケイ素含有1価の官能基であり得る。
【0154】
より具体的には、上記化学式9-1で表される架橋剤化合物の例としては、A'は炭素数4のブチレン基であり、L8~L11はいずれも炭素数2のエチレン基であり、R35~R38はいずれも上記化学式20で表される官能基(R32、R33およびR34がメチル基)である下記化学式9-2で表される化合物が挙げられる。
【0155】
[化学式9-2]
【0156】
【0157】
また、上記化学式9-1で表される架橋剤化合物の他の例としては、A'は炭素数4のブチレン基であり、L8~L11はいずれも炭素数2のエチレン基であり、R35~R38はいずれも上記化学式20で表される官能基(R32、R33およびR34がエチル基)である下記化学式9-3で表される化合物が挙げられる。
【0158】
【0159】
上記化学式9で表される架橋剤化合物は、前記液晶配向剤組成物全体重量を基準にして1重量%~30重量%、または2重量%~25重量%、または3重量%~25重量%、または5重量%~10重量%で含まれ得る。前記架橋剤化合物の含有量が多すぎると、前記液晶配向剤用重合体の架橋度が過度に増加することにより、前記重合体の柔軟性が減少し得、組成物の粘度の増加による貯蔵安定性の減少および組成物内でのゲル化反応により基板への塗布性が減少し得る。
【0160】
反面、前記架橋剤化合物の含有量が少なすぎると、前記液晶配向剤用重合体の架橋度の増加による機械的強度および電気的特性の向上効果が十分に具現できない。
【0161】
3.液晶配向膜の製造方法
【0162】
発明のさらに他の実施形態によれば、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1)と;前記塗膜を乾燥する段階(段階2)と;前記塗膜に光を照射したりラビング処理したりして配向処理する段階(段階3)と;前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階4)とを含む、液晶配向膜の製造方法を提供する。
【0163】
前記段階1は、上述した液晶配向剤組成物を基板に塗布して塗膜を形成する段階である。前記液晶配向剤組成物に関する内容は、前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0164】
前記液晶配向剤組成物を基板に塗布する方法は、特に制限されず、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどの方法が用いられる。
【0165】
そして、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒に溶解または分散させたものであり得る。前記有機溶媒の具体的な例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらは単独で用いることもでき、混合して用いることもできる。
【0166】
また、前記液晶配向剤組成物は、有機溶媒のほかに他の成分をさらに含み得る。非制限的な例として、前記液晶配向剤組成物が塗布されたとき、膜厚さの均一性や表面平滑性を向上させるか、あるいは液晶配向膜と基板の密着性を向上させるか、あるいは液晶配向膜の誘電率や導電性を変化させるか、あるいは液晶配向膜の緻密性を増加させる添加剤をさらに含み得る。このような添加剤としては、各種溶媒、界面活性剤、シラン系化合物、誘電体または架橋性化合物などが挙げられる。
【0167】
前記段階2は、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布して形成された塗膜を乾燥する段階である。
【0168】
前記塗膜を乾燥する段階は、塗膜の加熱、真空蒸着などの方法を用いることができ、50℃~150℃、または60℃~140℃で行われることが好ましい。
【0169】
前記段階3は、前記塗膜に光を照射して配向処理する段階である。
【0170】
前記配向処理段階での塗膜は、乾燥段階直後の塗膜を意味し、前記乾燥段階以後の熱処理を経た後の塗膜でもある。前記「乾燥段階直後の塗膜」は、乾燥段階以後に乾燥段階以上の温度で熱処理する段階を行わず、直ちに光を照射することを意味し、熱処理以外の他の段階は付加することができる。
【0171】
より具体的には、従来のポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤を使用して液晶配向膜を製造する場合は、ポリアミック酸のイミド化のために必須的に高温の熱処理を行った後、光を照射する段階を含むが、上述した一実施形態の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を製造する場合は、前記熱処理段階を含まず、直ちに光を照射して配向処理した後、配向処理された塗膜を熱処理して硬化することによって配向膜を製造することができる。
【0172】
そして、前記配向処理する段階における光照射は、150nm~450nm波長の偏光した紫外線を照射することである。この時、露光の強度は、液晶配向剤用重合体の種類によって異なり、10mJ/cm2~10J/cm2のエネルギー、好ましくは30mJ/cm2~2J/cm2のエネルギーを照射することができる。
【0173】
前記紫外線としては、石英ガラス、ソーダライムガラス、ソーダライムフリーガラスなどの透明基板の表面に誘電異方性の物質がコーティングされた基板を用いた偏光装置、微細にアルミニウムまたは金属ワイヤが蒸着された偏光板、または石英ガラスの反射によるブルースター偏光装置などを通過または反射する方法で偏光処理された紫外線から選ばれた偏光紫外線を照射して配向処理する。この時、偏光された紫外線は、基板面に垂直に照射することもでき、特定の角で入射角を傾斜して照射することもできる。このような方法によって液晶分子の配向能力が塗膜に付与される。
【0174】
また、前記配向処理する段階におけるラビング処理は、ラビング布を用いる方法を使用することができる。より具体的には、前記ラビング処理は、金属ローラにラビング布の生地を貼り付けたラビングローラを回転させながら熱処理段階以後の塗膜の表面を一方向にラビングすることができる。
【0175】
前記段階4は、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階である。
【0176】
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階において、前記配向処理された塗膜において上記化学式9で表される架橋剤化合物でR6およびR7の官能基が水素原子で置換することで脱着され得、また、前記架橋剤化合物、そしてポリアミック酸繰り返し単位、ポリアミック酸エステル繰り返し単位、ポリイミド繰り返し単位またはこれらの2種以上の混合物を含む重合体間の架橋反応が行われ得る。
【0177】
具体的には、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階において、前記配向処理された塗膜に下記化学式16で表される架橋剤化合物を含み得る。
【0178】
【0179】
上記化学式16において、A6、j、L2およびL3は、前記一実施形態の化学式9で定義したとおりである。
【0180】
前記一実施形態の液晶配向剤組成物に上記化学式16で表される架橋剤化合物が含まれる場合、組成物内から一部の架橋反応を行うことにより架橋剤化合物が組成物内に均一に分散しにくい。
【0181】
反面、本発明は、液晶配向剤組成物内では上記化学式9で表される架橋剤化合物を添加して組成物内での架橋反応を抑制し、液晶配向膜を製造する前記1次熱処理段階で自発的に化学式9で表される架橋剤化合物が化学式16で表される架橋剤化合物に転換されるように誘導することができる。これにより、組成物においては架橋剤化合物の分散性および安定性を高めることができ、配向膜においては架橋構造の形成により膜強度の向上効果を実現することができる。
【0182】
前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階は、従来のポリアミック酸またはポリアミック酸エステルを含む液晶配向剤用重合体を用いて液晶配向膜を製造する方法においても光照射した後に行う段階で、液晶配向剤を基板に塗布し、光を照射する前または光を照射しながら液晶配向剤をイミド化させるために行う熱処理段階とは区分される。
【0183】
この時、前記熱処理はホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、150~300℃、または200~250℃で行うことが好ましい。
【0184】
一方、前記塗膜を乾燥する段階(段階2)以後に必要に応じて、前記乾燥段階直後の塗膜に乾燥段階以上の温度で熱処理する段階をさらに含み得る。前記熱処理は、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段によって行うことができ、150℃~250℃で行うことが好ましい。この過程で液晶配向剤をイミド化させることができる。
【0185】
すなわち、前記液晶配向膜の製造方法は、上述した液晶配向剤を基板に塗布して塗膜を形成する段階(段階1)と、前記塗膜を乾燥する段階(段階2)と、前記乾燥段階直後の塗膜に乾燥段階以上の温度で熱処理する段階(段階3)と、前記熱処理された塗膜に光を照射したりラビング処理したりして配向処理する段階(段階4)と、前記配向処理された塗膜を熱処理して硬化する段階(段階5)とを含み得る。
【0186】
4.液晶配向膜
【0187】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、上述した液晶配向膜の製造方法により製造された液晶配向膜が提供される。具体的には、前記液晶配向膜は、前記一実施形態の液晶配向剤組成物の配向硬化物を含み得る。前記配向硬化物とは、前記一実施形態の液晶配向剤組成物の配向工程および硬化工程を経て得られる物質を意味する。
【0188】
上述したように、上記化学式1で表される繰り返し単位、化学式2で表される繰り返し単位および化学式3で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第1液晶配向剤用重合体と、下記化学式4で表される繰り返し単位、下記化学式5で表される繰り返し単位および下記化学式6で表される繰り返し単位からなる群より選ばれた1種以上の繰り返し単位を含む第2液晶配向剤用重合体および上記化学式9で表される架橋剤化合物を混合して用いると、配向性と安定性が強化された液晶配向膜を製造することができる。
【0189】
具体的には、前記液晶配向膜は、下記数式1から計算される膜強度が3%以下、または0.01%~2.5%、または0.01%~2.0%、または1.0%~2.0%であり得る。
【0190】
[数式1]
膜強度=ラビング処理後の液晶配向膜のヘイズ-ラビング処理前の液晶配向膜のヘイズ
【0191】
前記液晶配向膜に対するラビング処理は、配向膜表面をsindo engineering社製のrubbing machineを用いて1000rpmで回転させながらラビング処理する方法を使用することができ、ヘイズ値は、ヘイズメータ(hazemeter)を用いて測定することができる。
【0192】
前記液晶配向膜の厚さは特に限定されるものではないが、0.01μm~1,000μmの範囲内で自由に調整可能であり、例えば0.01μm~0.3μmであり得る。前記液晶配向膜の厚さが特定数値ほど増加または減少する場合、液晶配向膜で測定される物性も一定数値ほど変化することができる。
【0193】
5.液晶表示素子
【0194】
また、発明のさらに他の実施形態によれば、上述した液晶配向膜を含む液晶表示素子が提供される。
【0195】
前記液晶配向膜は、公知の方法によって液晶セルに導入され得、前記液晶セルは同様に、公知の方法によって液晶表示素子に導入され得る。前記液晶配向膜は、上記化学式1~化学式3で表される繰り返し単位を特定含有量含む重合体から製造されて優れた諸般物性と共に優れた安定性を実現することができる。これにより、高い信頼度を示すことができる液晶表示素子が提供される。
【0196】
具体的には、前記液晶表示素子は、1V、1Hz、60℃の温度でTOYO corporation製の6254C装備を用いて測定した電圧保持率が70%以上、または70%~99%であり得る。前記液晶配向表示素子の1V、1Hz、60℃の温度でTOYO corporation製の6254C装備を用いて測定した電圧保持率が70%未満に減少する場合、低電力で高品位の駆動特性を有する液晶表示素子の実現が難しくなる。
【0197】
また、前記液晶表示素子は、上板および下板に偏光板を互いに垂直になるように付着した後、7,000cd/m2のバックライトの上に付着しPR-788装備を用いて測定したブラック状態の輝度である初期輝度(L0)と、常温で交流電圧7Vで120時間駆動した後、測定したブラック状態の輝度である最終輝度(L1)との差を初期輝度(L0)値で割っで、100をかけた値である輝度変動率が、前記液晶表示素子の輝度変動率の5%未満であり得る。
【発明の効果】
【0198】
本発明によれば、液晶配向膜の合成時に高いイミド化転換率を示し、優れた膜強度を有しながらも、向上した配向性および電気的特性を実現できる液晶配向剤組成物、前記液晶配向剤組成物を基板に塗布および乾燥した後、高温の熱処理工程を省略し、直ちに光を照射して配向処理した後、これを熱処理して硬化することによって、光照射エネルギーを減らすことができるだけでなく、単純な工程により配向性と安定性に優れ、高温でも高い電圧保持率を有し、コントラスト比の低下や残像現象を改善させて電気的特性および優れた液晶配向膜を提供することができる液晶配向膜の製造方法、およびこれを用いた液晶配向膜並びに液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0199】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例により限定されるものではない。
【0200】
<製造例および比較製造例>
【0201】
製造例1:ジアミンDA1-1の製造
【0202】
下記反応式のように製造した。
【0203】
【0204】
具体的には、CBDA(シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、化合物1)と4-ニトロアニリン(4-nitroaniline)をDMF(Dimethylformamide)に溶解させて混合物を製造した。次に、前記混合物を約80℃で約12時間反応させて化合物2のアミック酸を製造した。その後、前記アミック酸をDMFに溶解させ、酢酸無水物および酢酸ナトリウムを添加して混合物を製造した。次に、前記混合物に含まれているアミック酸を約90℃で約4時間イミド化させて化合物3を得た。このように得られた化合物3のイミドをDMAc(Dimethylacetamide)に溶解させた後、Pd/Cを添加して混合物を製造した。これを約45℃および約6barの水素圧力下で約20時間還元させて、ジアミンDA1-1を製造した。
【0205】
製造例2:ジアミンDA1-2の製造
【0206】
【0207】
CBDA(シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物)の代わりにDMCBDA(1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物)を使用したことを除いては、前記製造例1と同様の方法で、前記構造を有するDA1-2を製造した。
【0208】
製造例3:ジアミンDA1-3の合成
【0209】
下記反応式のように製造した。
【0210】
【0211】
具体的には、CBDA(シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、化合物1)25gを250mLのメタノールに入れ、1~2滴の塩酸を添加した後、約75℃で約5時間加熱還流した。溶媒を減圧して除去した後、酢酸エチルとノルマルヘキサンを300mL添加して固形化した。生成された固体を減圧ろ過し、約40℃で減圧乾燥した後、化合物4、32gを得た。
【0212】
得られた化合物4、34gに100mLのトルエンを添加し、常温で塩化オキサリル(oxalyl chloride)35gを滴下した。2~3滴のジメチルホルムアミド(DMF)を滴下し、約50℃で約16時間攪拌した。常温まで冷却した後、溶媒と残留する塩化オキサリルを減圧して除去した。黄色固体の生成物にノルマルヘキサン300mLを添加した後、約80℃で加熱還流した。加熱された反応溶液をろ過してノルマルヘキサンに溶けないimpurityを除去し、ゆっくり常温まで冷却して生成された白色の結晶をろ過した後、約40℃の減圧オーブンで乾燥して、化合物5、32.6gを得た。
【0213】
4-ニトロアニリン(4-nitroaniline)29.6gとトリエタノールアミン(TEA)21.7gを約400mLのテトラヒドロフラン(THF)に入れ、常温で化合物5、32.6gを添加した。常温で約16時間攪拌した後、生成された沈殿物をろ過した。濾液にジクロロメタン(Dichloro methane)約400mLを入れ、0.1N塩酸水溶液で洗浄した後、再び飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)水溶液で洗浄した。洗浄した有機溶液を減圧ろ過して固体生成物を得て、再びジクロロメタンで再結晶して、固体のジニトロ化合物6、43gを得た。
【0214】
得られたジニトロ化合物6、43gを高圧反応器に入れた後、THF約500mLに溶かし、10wt%のPd/C、2.2gを添加した後、3気圧の水素気体(H2)下で約16時間常温で攪拌した。反応後、セライト(celite)ろ過でPd/Cを除去しろ過した後、濾液を減圧濃縮して、エステル化されたジアミンDA1-3、37gを得た。
【0215】
製造例4:ジアミンDA2-1の合成
【0216】
【0217】
18.3g(100mmol)の2-クロロ-5-ニトロピリジン(2-chloro-5-nitropyridine、化合物7)、12.5g(98.6mmol)のパラフェニレンジアミン(p-PDA、化合物8)を約200mLのジメチルスルホキシド(Dimethylsulfoxide、DMSO)に完全に溶かした後、23.4g(200mmol)のトリエチルアミン(trimethylamine、TEA)を添加し、常温で約12時間攪拌した。反応が終了すると、反応物を約500mLの水が入った容器に投入し約1時間攪拌した。これをろ過して得られた固体を約200mLの水と約200mLのエタノールで洗浄して、16g(61.3mmol)の化合物9を合成した(収率:60%)。
【0218】
【0219】
前記化合物9を酢酸エチル(ethyl acetate、EA)とTHFを1:1で混合した約200mL溶液に溶かした後、0.8gのパラジウム(Pd)/炭素(C)を投入し、水素環境下で約12時間攪拌した。反応終了後、セルライトパッドを通してろ過した濾液を濃縮して、11gのジアミン化合物DA2-1(pIDA)を製造した(収率:89%)。
【0220】
製造例5:ジアミンDA2-2の合成
【0221】
【0222】
前記パラフェニレンジアミン(p-PDA、化合物8)の代わりにメタフェニレンジアミン(m-PDA)を使用したことを除いては、前記製造例4と同様の方法で、ジアミン化合物DA2-2を製造した。
【0223】
製造例6:ジアミンDA2-3の合成
【0224】
【0225】
前記2-クロロ-5-ニトロピリジン(2-chloro-5-nitropyridine、化合物7)の代わりに2-クロロ-4-ニトロピリジン(2-chloro-4-nitropyridine)を使用したことを除いては、前記製造例4と同様の方法で、ジアミン化合物DA2-3を製造した。
【0226】
製造例7:架橋剤の製造
【0227】
【0228】
N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド(N,N,N',N'-Tetrakis(2-hydroxyethyl)adipamide)5g(15.6mmol)とクロロトリメチルシラン(Chlorotrimethylsilane)10.2g(94mmol)をクロロホルム(Chloroform)150mlに投入した後、炭酸カリウム(K2CO3)17.3g(125mmol)を添加し、0℃の窒素環境下で10時間攪拌した。反応終了後、セルライトパッドを通してろ過した濾液を濃縮して、N1,N1,N6,N6-テトラキス(2-(トリメチルシリルオキシ)エチル)アジパミド(N1,N1,N6,N6-tetrakis(2-(trimethylsilyloxy)ethyl)adipamide)7.3g(収率77%)を製造した。
【0229】
比較製造例1:架橋剤の製造
【0230】
前記製造例7の反応物であるN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)アジパミド(N,N,N',N'-Tetrakis(2-hydroxyethyl)adipamide)を比較製造例1の架橋剤として使用した。
【0231】
<合成例>
【0232】
合成例1~4:第1重合体の合成
【0233】
合成例1:液晶配向剤用重合体P-1の製造
【0234】
前記製造例1で製造されたDA1-1、5.0g(13.3mmol)と無水N-メチルピロリドン(NMP)71.27gに完全に溶かした。そして、ice bath下で1,3-ジメチル-シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)2.92g(13.03mmol)を前記溶液に添加し、約16時間常温で攪拌して、液晶配向剤用重合体P-1を製造した。
【0235】
GPCにより前記重合体P-1の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が15,500g/molであり、重量平均分子量(Mw)が31,000g/molであった。そして、重合体P-1のモノマー構造は、使用したモノマーの当量比によって決まるものであり、分子内のイミド構造の比率が50.5%、アミック酸構造の比率が49.5%であった。
【0236】
合成例2:液晶配向剤用重合体P-2の製造
【0237】
前記製造例2で製造されたDA1-2、5.376gをNMP 74.66gにまず溶かした後、1,3-ジメチル-シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)2.92gを添加し、約16時間常温で攪拌した。その後、前記合成例1と同様の方法で、重合体P-2を製造した。
【0238】
GPCにより前記重合体P-2の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が17,300g/molであり、重量平均分子量(Mw)が34,000g/molであった。そして、重合体P-2は、分子内のイミド構造の比率が50.5%、アミック酸構造の比率が49.5%であった。
【0239】
合成例3:液晶配向剤用重合体P-3の製造
【0240】
前記製造例2で製造されたDA1-2、5.0g、フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)1.07gをNMP89.81gにまず溶かした後、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA)1.90gとオキシジフタル酸二無水物3.00gを添加し、約16時間常温で攪拌して重合体P-3を製造した。
【0241】
GPCにより前記重合体P-3の分子量を確認した結果、数平均分子量(Mn)が17,000g/molであり、重量平均分子量(Mw)が33,000g/molであった。そして、重合体P-3は、分子内のイミド構造の比率は33.8%、アミック酸構造の比率は66.2%であった。
【0242】
合成例4:液晶配向剤用重合体P-4の製造
【0243】
前記製造例2で製造されたDA1-1、5.0gおよび前記製造例3で製造されたDA1-3、3.93gをNMP 127.94gにまず溶かした後、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA)5.28gを添加し、約16時間常温で攪拌して、液晶配向剤用重合体P-4を製造した。
【0244】
合成例5~25:第2重合体の合成
【0245】
合成例5:液晶配向剤用重合体Q-1
【0246】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、19.743g(0.099mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.213gに完全に溶かした。
【0247】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加して常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-1を製造した。GPCにより前記重合体Q-1の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が27,000g/molであった。
【0248】
合成例6:液晶配向剤用重合体Q-2
【0249】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、14.637g(0.073mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.213gに完全に溶かした。
【0250】
そして、ice bath下で3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-Biphenyl Tetracarboxylic Acid Dianhydride、BPDA)20.0g(0.068mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-2を製造した。GPCにより前記重合体Q-2の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が24,000g/molであった。
【0251】
合成例7:液晶配向剤用重合体Q-3
【0252】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、19.211g(0.096mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)222.194gに完全に溶かした。
【0253】
そして、ice bath下で1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride、HPMDA)20.0g(0.089mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-3を製造した。GPCにより前記重合体Q-3の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が26,500g/molであった。
【0254】
合成例8:液晶配向剤用重合体Q-4
【0255】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.974g(0.01mol)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)9.596g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)178.897gに完全に溶かした。
【0256】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-4を製造した。GPCにより前記重合体Q-4の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が24,500g/molであった。
【0257】
合成例9:液晶配向剤用重合体Q-5
【0258】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、9.872g(0.049mol)p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)5.331g(0.049mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)199.482gに完全に溶かした。
【0259】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-5を製造した。GPCにより前記重合体Q-5の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が27,500g/molであった。
【0260】
合成例10:液晶配向剤用重合体Q-6
【0261】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.974g(0.01mol)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)17.768g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.208gに完全に溶かした。
【0262】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-6を製造した。GPCにより前記重合体Q-6の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が28,500g/molであった。
【0263】
合成例11:液晶配向剤用重合体Q-7
【0264】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、9.872g(0.049mol)4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)9.871g(0.049mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.21gに完全に溶かした。
【0265】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-7を製造した。GPCにより前記重合体Q-7の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が27,000g/molであった。
【0266】
合成例12:液晶配向剤用重合体Q-8
【0267】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.974g(0.01mol)、4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)17.593g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)224.218gに完全に溶かした。
【0268】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-8を製造した。GPCにより前記重合体Q-8の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が29,500g/molであった。
【0269】
合成例13:液晶配向剤用重合体Q-9
【0270】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、9.872g(0.049mol)4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)9.774g(0.049mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)224.66gに完全に溶かした。
【0271】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-9を製造した。GPCにより前記重合体Q-9の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が28,000g/molであった。
【0272】
合成例14:液晶配向剤用重合体Q-10
【0273】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.464g(0.007mol)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)7.114g(0.066mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)161.939gに完全に溶かした。
【0274】
そして、ice bath下で3,3',4,4,'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4,'-Biphenyl Tetracarboxylic Acid Dianhydride、BPDA)20.0g(0.068mol)を前記溶液に添加し、常温で16時間攪拌して、液晶配向用重合体Q-10を製造した。GPCにより前記重合体Q-10の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が27,500g/molであった。
【0275】
合成例15:液晶配向剤用重合体Q-11
【0276】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.464g(0.007mol)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)13.172g(0.066mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)196.272gに完全に溶かした。
【0277】
そして、ice bath下で3,3',4,4,'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4,'-Biphenyl Tetracarboxylic Acid Dianhydride、BPDA)20.0g(0.068mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-11を製造した。GPCにより前記重合体Q-11の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が25,500g/molであった。
【0278】
合成例16:液晶配向剤用重合体Q-12
【0279】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.464g(0.007mol)、4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)13.043g(0.066mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)195.537gに完全に溶かした。
【0280】
そして、ice bath下で3,3',4,4,'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4,'-Biphenyl Tetracarboxylic Acid Dianhydride、BPDA)20.0g(0.068mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向用重合体Q-12を製造した。GPCにより前記重合体Q-12の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が27,000g/molであった。
【0281】
合成例17:液晶配向剤用重合体Q-13
【0282】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.921g(0.01mol)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)9.337g(0.086mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)177.128gに完全に溶かした。
【0283】
そして、ice bath下で1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride、HPMDA)20.0g(0.089mmol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-13を製造した。GPCにより前記重合体Q-13の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が23,500g/molであった。
【0284】
合成例18:液晶配向剤用重合体Q-14
【0285】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.921g(0.01mol)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)17.289g(0.086mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)222.189gに完全に溶かした。
【0286】
そして、ice bath下で1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride、HPMDA)20.0g(0.089mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-14を製造した。GPCにより前記重合体Q-14の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が26,500g/molであった。
【0287】
合成例19:液晶配向剤用重合体Q-15
【0288】
前記製造例4で製造されたジアミンDA2-1、1.921g(0.01mol)、4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)17.119g(0.086mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)177.128gに完全に溶かした。
【0289】
そして、ice bath下で1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride、HPMDA)20.0g(0.089mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-15を製造した。GPCにより前記重合体Q-15の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が25,000g/molであった。
【0290】
合成例20:液晶配向剤用重合体Q-16
【0291】
前記製造例5で製造されたジアミンDA2-2、1.974g(0.01mol)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)9.596g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)178.897gに完全に溶かした。
【0292】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-16を製造した。GPCにより前記重合体Q-16の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が22,500g/molであった。
【0293】
合成例21:液晶配向剤用重合体Q-17
【0294】
前記製造例5で製造されたジアミンDA2-2、1.974g(0.01mol)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)17.768g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.208gに完全に溶かした。
【0295】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-17を製造した。GPCにより前記重合体Q-17の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が24,500g/molであった。
【0296】
合成例22:液晶配向剤用重合体Q-18
【0297】
前記製造例5で製造されたジアミンDA2-2、1.974g(0.01mol)、4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)17.593g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)224.218gに完全に溶かした。
【0298】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-18を製造した。GPCにより前記重合体Q-18の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が23,000g/molであった。
【0299】
合成例23:液晶配向剤用重合体Q-19
【0300】
前記製造例6で製造されたジアミンDA2-3、1.974g(0.01mol)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine、p-PDA)9.596g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)178.897gに完全に溶かした。
【0301】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-19を製造した。GPCにより前記重合体Q-19の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が21,500g/molであった。
【0302】
合成例24:液晶配向剤用重合体Q-20
【0303】
前記製造例6で製造されたジアミンDA2-3、1.974g(0.01mol)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline、ODA)17.768g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)225.208gに完全に溶かした。
【0304】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-20を製造した。GPCにより前記重合体Q-20の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が24,500g/molであった。
【0305】
合成例25:液晶配向剤用重合体Q-21
【0306】
前記製造例6で製造されたジアミンDA2-3、1.974g(0.01mol)、4,4'-メチレンジアニリン(4,4'-Methylenedianiline、MDA)17.593g(0.089mol)を無水N-メチルピロリドン(anhydrous N-methyl pyrrolidone:NMP)224.218gに完全に溶かした。
【0307】
そして、ice bath下でピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride、PMDA)20.0g(0.092mol)を前記溶液に添加し、常温で約16時間攪拌して、液晶配向剤用重合体Q-21を製造した。GPCにより前記重合体Q-21の分子量を確認した結果、重量平均分子量(Mw)が21,000g/molであった。
【0308】
<実施例>
【0309】
実施例1:液晶配向剤組成物の製造
【0310】
NMP、GBL、2-ブトキシエタノールの混合溶媒に下記表1に示すような組成で第1重合体、および第2重合体を溶かして得られた溶液を得た。そして、前記溶液に、架橋剤として前記製造例7で得られたN1,N1,N6,N6-tetrakis(2-(trimethylsilyloxy)ethyl)adipamideを、全体溶液を基準にして5重量%で添加した後、25℃で16時間攪拌した。ポリ(テトラフルオレンエチレン)材質の気孔サイズが0.1μmのフィルターで加圧ろ過して、液晶配向剤組成物を製造した。
【0311】
実施例2:液晶配向剤組成物の製造
【0312】
下記表1に示すような組成で、架橋剤を全体溶液を基準にして10重量%で添加したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、液晶配向剤組成物を製造した。
【0313】
比較例1:液晶配向剤組成物の製造
【0314】
前記製造例7の架橋剤を添加しないことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、液晶配向剤組成物を製造した。
【0315】
比較例2:液晶配向剤組成物の製造
【0316】
前記製造例7の架橋剤の代わりに、比較製造例1のN,N,N',N'-Tetrakis(2-hydroxyethyl)adipamideを添加したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で、液晶配向剤組成物を製造した。
【0317】
【0318】
<実験例>
【0319】
(液晶配向膜の製造)
【0320】
前記実施例および比較例で製造された液晶配向剤組成物を用いて液晶配向膜を製造した。
【0321】
2.5cmx2.7cmの大きさを有する四角形のガラス基板上に厚さ60nm、面積1cmx1cmのITO電極がパターン化された電圧保持率(VHR)用の上下基板それぞれに、スピンコーティング方式で液晶配向剤組成物を塗布した。次に、液晶配向剤が塗布された基板を約70℃のホットプレート上に置き、3分間乾燥して溶媒を蒸発させた。
【0322】
このように得られた塗膜を配向処理するために、上/下板それぞれの塗膜に、線偏光子付き露光器を用いて254nmの紫外線を約0.1~1J/cm2の露光量で照射した。その後、配向処理された上/下板を約230℃のオーブンで30分間焼成(硬化)して、膜厚さ0.1μmの液晶配向膜を得た。
【0323】
(液晶配向セルの製造)
【0324】
前記実施例および比較例で製造された液晶配向剤組成物を用いて液晶配向セルを製造した。
【0325】
4.5μm大きさのボールスペーサが含浸されたシーリング剤(sealing agent)を液晶注入口を除いた上板の周縁に塗布した。そして、上板および下板に形成された液晶配向膜が互いに対向して配向方向が互いに並ぶように整列させた後、上下板を貼り合わせ、シーリング剤をUVおよび熱硬化することによって、空セルを製造した。そして、前記空セルに液晶を注入し、注入口をシーリング剤で密封して、液晶配向セルを製造した。
【0326】
1)液晶配向特性評価
【0327】
前記のように製造された液晶セルの上板および下板に、偏光板を互いに垂直となるように取り付けた。この時、下板に取り付けられた偏光板の偏光軸は、液晶セルの配向軸と平行にした。そして、偏光板付き液晶セルを明るさ7,000cd/m2のバックライト上に置き、肉眼で光漏れを観察した。この時、液晶配向膜の配向特性に優れて液晶をよく配列させれば、互いに垂直に取り付けられた上下の偏光板によって光が通過せず、不良なしに暗く観察される。この場合の配向特性を「良好」、液晶の流れ跡や輝点のような光漏れが観察されると「不良」と表2に示す。
【0328】
2)電圧保持率(voltage holding ratio、VHR)測定
【0329】
前記のように製造された液晶配向セルの電気的特性である電圧保持率(voltage holding ratio、VHR)をTOYO corporation製の6254C装備を用いて測定した。電圧保持率(VHR)は1Hz、60℃温度で測定した(VHR 60度、1 Hz p-LC条件)。前記液晶配向セルの電圧保持率(VHR)に対する測定結果は100%が理想的な値であり、測定結果、70%以上であれば「良好」、70%未満であれば「不良」と評価し、下記表2に示す。
【0330】
3)配向安定性評価(AC残像)
【0331】
前記のように製造された液晶配向セルの上板および下板に、偏光板を互いに垂直となるように取り付けた。前記偏光板付き液晶セルを7,000cd/m2のバックライト上に取り付け、ブラック状態の輝度を輝度明るさ測定装備のPR-788装備を用いて測定した。そして、前記液晶セルを常温で交流電圧7Vで、120時間駆動した。その後、液晶セルの電圧を切った状態で、上述したものと同一にブラック状態の輝度を測定した。液晶セルの駆動前に測定された初期輝度(L0)と駆動後に測定された後の輝度(L1)との間の差を初期輝度(L0)値で割り、100をかけて輝度変動率を計算した。このように計算された輝度変動率は、0%に近いほど配向安定性に優れていることを意味する。このような輝度変化率の測定結果により、以下の基準で残像水準を評価した。AC残像は最少化することが好ましく、測定結果、輝度変動率が5%未満であれば「優秀」、輝度変動率が5%~10%であれば「普通」、輝度変動率が10%を超えれば「不良」と評価し、その結果を下記表2に示す。
【0332】
4)膜強度
【0333】
前記実施例および比較例で得られた液晶配向膜に対して、前記液晶配向膜表面をsindo engineering社製のrubbing machineを用いて1,000rpmで回転させながらラビング処理した後、ヘイズメータ(hazemeter)を用いてヘイズ値を測定し、下記数式1のようにラビング処理前のヘイズ値との差を計算して膜強度を評価した。前記ヘイズ変化値が少ないほど膜強度は優れたものである。
【0334】
[数式1]
膜強度=ラビング処理後の液晶配向膜のヘイズ-ラビング処理前の液晶配向膜のヘイズ
【0335】
5)イミド化転換率(%)
【0336】
前記実施例および比較例の液晶配向剤組成物から得られた液晶配向膜に対して、ATR法によりFT-IRスペクトルを測定し、前記配向膜に含まれている重合体分子内イミド構造比率を測定した。
【0337】
【0338】
前記表2に示すように、実施例の液晶配向剤組成物は部分イミド化されたポリイミド前駆体である第1液晶配向剤用重合体と非対称ピリジン構造のジアミンに由来するポリイミド前駆体である第2液晶配向剤用重合体を一緒に含むことによって、初期熱硬化過程がなくても優れた配向性を確保できるだけでなく、AC残像関連輝度変動率が5%未満に非常に優れ、高温環境での電圧保持率も70%以上に良好で、電気的特性側面から優れた効果を発揮することを確認した。
【0339】
また、前記表2に示すように、組成物内にポリイミド系重合体とともに製造例7の架橋剤が含まれている実施例の液晶配向剤組成物は、ラビング処理前後のヘイズ変化値が1%~2%に非常に低くて優れた膜強度を示すと同時に、イミド化転換率が98%以上に示されることを確認することができた。
【0340】
反面、製造例7の架橋剤が含まれていない比較例1の液晶配向剤組成物から得られた配向膜は、ラビング処理前後のヘイズ変化値が50%に急増して膜強度が非常に不良であるだけでなく、イミド化転換率が90%に示されて、本実施例に比べて劣ることを確認することができた。
【0341】
一方、比較例2の液晶配向剤組成物で使用された比較製造例1の架橋剤の場合、AC残像関連輝度変動率が10%を超えて不良であることを確認することができた。また、イミド化転換率が95%に示されて、前記実施例に比べて減少したことに示された。そして、比較例2の液晶配向剤組成物から得られた配向膜は、ラビング処理前後のヘイズ変化値が3%に示されて、前記実施例に比べて膜強度が不良であることを確認することができた。