(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20220711BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 505
G02F1/13 101
(21)【出願番号】P 2020548772
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 KR2019003546
(87)【国際公開番号】W WO2019190187
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0035245
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ナム フン
(72)【発明者】
【氏名】リー、セオン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ビョン クン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン シン
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-018856(JP,A)
【文献】特開2014-219508(JP,A)
【文献】特開昭63-163816(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013013(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/125976(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/135182(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0020056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置されている第1および第2外郭基板;前記第1および第2外郭基板の間
に能動液晶素子を含み、
前記能動液晶素子は、前記外郭基板と前記能動液晶素子との間及び前記能動液晶素子の側面にある接着フィルムによってカプセル化されており、
重心での厚さが縁での厚さより薄く、
前記重心での厚さと縁での厚さの差が0.5%以上であり、
前記第1および第2外郭基板のうち少なくとも一つは曲面基板である、光学デバイス。
【請求項2】
第1および第2外郭基板はすべて曲面基板である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
第1および第2外郭基板の曲率半径の差が10%以内である、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
第1および第2外郭基板の曲率は互いに異なる、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
曲面基板の曲率半径が100R~10,000Rの範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
第1および第2外郭基板の中で曲面基板が形成する膨らんだ方向に沿ってより上部に存在する外郭基板が下部に存在する外郭基板に比べて大きい曲率半径を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
第1および第2外郭基板はガラス基板である、請求項1から6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
第1および第2外郭基板の曲率中心は、第1および第2外郭基板の上部または下部のうち同じ部分に存在する、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項9】
第1および第2外郭基板の間でカプセル化された偏光子をさらに含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
能動液晶素子および偏光子は、第1および第2外郭基板と能動液晶素子の間、能動液晶素子と偏光子の間、偏光子と第1および第2外郭基板の間および能動液晶素子と偏光子の側面に存在する接着フィルムでカプセル化されている、請求項
9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
能動液晶素子は、対向配置されている2枚の基材フィルムと前記2枚の基材フィルムの間に存在する能動液晶層を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
対向配置されている第1および第2外郭基板の間にある能動液晶素子を接着フィルムを使ったオートクレーブ工程を通じてカプセル化する段階を含み、
前記接着フィルムは、前記外郭基板と前記能動液晶素子との間および前記能動液晶素子の側面に存在し、
前記第1および第2外郭基板のうち少なくとも一つの基板は曲面基板であ
り、
前記第1および第2外郭基板は、互いに異なる曲率または曲率半径を有し、
前記第1および第2外郭基板の曲率または曲率半径の差が10%以内である、光学デバイスの製造方法。
【請求項13】
一つ以上の開口部が形成されている車体;および前記開口部に装着された請求項1から
11のいずれか一項に記載された光学デバイスを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年3月27日付提出された大韓民国特許出願第10-2018-0035245号に基づいて優先権を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示された内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶化合物を利用して透過率を可変できるように設計された光学デバイスは多様に知られている。例えば、ホスト物質(host material)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)の混合物を適用した、いわゆるGHセル(Guest host cell)を使った透過率可変装置が知られており、前記装置でホスト物質として主に液晶化合物が使われる。このような透過率可変装置は、サングラスやメガネなどのアイウェア(eyewear)、建物の外壁または車両のサンルーフなどを含む多様な用途に適用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、光学デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、透過率の調節が可能な光学デバイスであって、例えば、少なくとも透過モードと遮断モードの間をスイッチングできる光学デバイスに関する。
【0006】
前記透過モードは、光学デバイスが相対的に高い透過率を示す状態であり、遮断モードは、光学デバイスが相対的に低い透過率の状態である。
【0007】
一例示において前記光学デバイスは、前記透過モードでの透過率が約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上または約50%以上であり得る。また、前記光学デバイスは、前記遮断モードでの透過率が約20%以下、約15%以下または約10%以下であり得る。
【0008】
前記透過モードでの透過率は数値が高いほど有利であり、遮断モードでの透過率は低いほど有利であるため、それぞれの上限と下限は特に制限されない。一例示において前記透過モードでの透過率の上限は、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%または約60%であり得る。前記遮断モードでの透過率の下限は約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%または約10%であり得る。
【0009】
前記透過率は直進光透過率であり得る。用語直進光透過率は所定の方向に光学デバイスを入射した光対前記入射方向と同じ方向に前記光学デバイスを透過した光(直進光)の比率であり得る。一例示において前記透過率は、前記光学デバイスの表面法線と平行な方向に入射した光に対して測定した結果(法線光透過率)であり得る。
【0010】
本出願の光学デバイスで透過率が調節される光は、UV-A領域の紫外線、可視光または近赤外線であり得る。一般的に使われる定義によると、UV-A領域の紫外線は320nm~380nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使われ、可視光は380nm~780nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使われ、近赤外線は780nm~2000nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使われる。
【0011】
本出願の光学デバイスは、少なくとも前記透過モードと遮断モードの間をスイッチングできるように設計される。光学デバイスは、前記透過および遮断モード以外に、他のモード、例えば、前記透過および遮断モードの透過率の間の任意の透過率を示すことができる第3モードも具現できるように設計され得る。
【0012】
このようなモード間のスイッチングは光学デバイスが能動液晶素子を含むことによって達成され得る。前記で能動液晶素子は、少なくとも液晶化合物を含む素子であって、少なくとも2個以上の前記液晶化合物の光軸の配向状態(例えば、第1および第2配向状態)の間をスイッチングできる液晶素子である。前記で光軸は、液晶素子に含まれている液晶化合物が棒(rod)状の場合にはその長軸方向を意味し得、円盤(discotic)状の場合には前記円盤の平面の法線方向を意味し得る。例えば、液晶素子がある配向状態で互いに光軸の方向が異なる複数の液晶化合物を含む場合に、液晶素子の光軸は平均光軸と定義され得、この場合、平均光軸は前記液晶化合物の光軸のベクターの和を意味し得る。
【0013】
前記のような液晶素子において配向状態は、エネルギーの印加、例えば、電圧の印加によって変更することができる。例えば、前記液晶素子は電圧の印加がない状態で前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態を有していて、電圧が印加されると他の配向状態にスイッチングされ得る。
【0014】
前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態で前記遮断モードが具現され、他の配向状態で前記透過モードが具現され得る。便宜上本明細書では前記第1状態で遮断モードが具現されるものとして記述する。
【0015】
前記液晶素子は、少なくとも液晶化合物を含む液晶層を含むことができる。一例示において前記液晶層は、いわゆるゲストホスト液晶層であり得る。このような場合に前記液晶素子の液晶層は液晶化合物および異方性染料を含むことができる。このような液晶層は、いわゆるゲストホスト効果を利用した液晶層であって、前記液晶化合物(以下、液晶ホストと称し得る)の配向方向に沿って前記異方性染料が整列する液晶層である。前記液晶ホストの配向方向は前述した外部エネルギーの印加の有無により調節することができる。
【0016】
液晶層に含まれる液晶化合物または液晶ホストの種類は特に制限されず、この分野で公知とされている一般的な液晶化合物が使われ得る。
【0017】
例えば、前記液晶化合物または液晶ホストとしては、スメクチック液晶化合物、ネマチック液晶化合物またはコレステリック液晶化合物などが使われ得る。一般的にはネマチック液晶化合物が使われ得る。用語ネマチック液晶化合物は、液晶分子の位置に対する規則性はないが、すべて分子軸方向に秩序を有して配列できる液晶化合物を意味し、このような液晶化合物は棒(rod)状や円盤(discotic)状であり得る。
【0018】
このようなネマチック液晶化合物は例えば、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上または約110℃以上以上の透明点(clearing point)を有するか、前記範囲の相転移点、すなわちネマチック相から等方相への相転移点を有するものが選択され得る。一例示において前記透明点または相転移点は約160℃以下、約150℃以下または約140℃以下であり得る。
【0019】
前記液晶化合物は、誘電率異方性が負数または正数であり得る。前記誘電率異方性の絶対値は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記誘電率異方性は3超過、4超過、5超過、6超過または7超過であるか、-2未満または-3未満であり得る。液晶化合物はさらに約0.01以上、約0.02以上、約0.03以上または約0.04以上の光学異方性△nを有することができる。液晶化合物の光学異方性は他の例示において約0.3以下または約0.27以下であり得る。
【0020】
遮断および透過モードの具現のために使われ得る液晶化合物や、その他のゲストホスト液晶層の液晶ホストとして使われ得る液晶化合物は、本技術分野の専門家等に公知とされており、それらから自由に選択され得る。
【0021】
液晶層は前記液晶ホストとともに異方性染料を含むことができる。用語「染料」とは、可視光領域、例えば、380nm~780nmの波長範囲内で少なくとも一部または全体の範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させることができる物質を意味し得、用語「異方性染料」は前記可視光領域の少なくとも一部または全体の範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味し得る。
【0022】
異方性染料としては、例えば、液晶ホストの整列状態により整列され得る特性を有するものとして知られている公知の染料を選択して使うことができる。例えば、異方性染料としては、アゾ染料またはアントラキノン染料などを使うことができ、広い波長範囲での光吸収を達成するために液晶層は1種または2種以上の染料を含むこともできる。
【0023】
異方性染料の二色比(dichroic ratio)は適切に選択され得る。例えば、前記異方性染料は二色比が5以上~20以下であり得る。用語「二色比」とは、例えば、p型染料である場合、染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直な方向に平行な偏光の吸収で割った値を意味し得る。異方性染料は可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm~780nmまたは約400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部の波長またはいずれか一つの波長または全体の範囲で前記二色比を有することができる。
【0024】
液晶層内での異方性染料の含量は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、液晶ホストと異方性染料の合計の重量を基準に前記異方性染料の含量は0.1~10重量%範囲内で選択され得る。異方性染料の比率は目的とする透過率と液晶ホストに対する異方性染料の溶解度などを考慮して変更することができる。
【0025】
液晶層は前記液晶ホストと異方性染料を基本的に含み、必要な場合に他の任意の添加剤を公知の形態にしたがってさらに含むことができる。添加剤の例としては、キラルドーパントまたは安定化剤などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0026】
前記液晶層は、約0.5以上の異方性度Rを有することができる。前記異方性度Rは、液晶ホストの配向方向(alignment direction)に平行するように偏光された光線の吸光度E(p)および液晶ホストの配向方向に垂直に偏光された光線の吸光度E(s)から下記の数学式により測定する。
【0027】
<異方性度数式>
【0028】
異方性度R=[E(p)-E(s)]/[E(p)+2*E(s)]
【0029】
前記で使われる基準は液晶層内に染料を含有しない他の同一装置である。
【0030】
具体的には、異方性度Rは、染料分子が水平配向された液晶層の吸光度に対する値E(p)および染料分子が垂直配向された同一液晶層の吸光度に対する値E(s)から測定され得る。前記吸光度を、染料を全く含有しないが、その他には同じ構成を有する液晶層と比較して測定する。このような測定は、振動面が一つの場合には配向方向と平行な方向に振動E(p)し後続の測定では配向方向と垂直な方向に振動E(s)する偏光された光線を利用して遂行され得る。液晶層は、測定の途中でスイッチングされたり回転せず、したがって、前記E(p)およびE(s)の測定は偏光された入射光の振動面を回転させることによって遂行され得る。
【0031】
詳細な手続きの一例示は下記に記述された通りである。E(p)およびE(s)の測定のためのスペクトラムはパーキンエルマーラムダ1050UV分光計(Perkin Elmer Lambda 1050UV spectrometer)等のような分光計を利用して記録することができる。分光計には測定用ビームおよび基準ビームのすべてに250nm~2500nmの波長範囲用のグラントムソン偏光子(Glan-Thompson polariser)が装着されている。2個の偏光子はステッピングモーター(stepping motor)により制御され、同じ方向に配向される。偏光子の偏光子方向においての変化、例えば0度~90度の切り換えは測定用ビームおよび基準ビームに対して常に同期的におよび同じ方向に遂行される。個別偏光子の配向はヴュルツブルク大学(University of Wurzburg)のT.カルステンス(T.Karstens)の1973年の学位論文に記述されている方法を利用して測定することができる。
【0032】
この方法で、偏光子は配向された二色性のサンプルに対して5度ずつ段階的に回転し、吸光度は例えば最大吸収領域で固定された波長で記録される。それぞれの偏光子位置に対して新しい基準線零点(zero line)が遂行される。2個の二色性スペクトラムE(p)およびE(s)の測定のために、JSR社のポリイミドAL-1054でコーティングされた逆平行‐ラビングされたテストセルは、測定用ビームおよび基準ビームの両方内に位置する。2個のテストセルは同じ層厚で選択され得る。純粋なホスト(液晶化合物)を含有するテストセルは基準ビーム内に位置する。液晶中に染料の溶液を含有するテストセルは測定用ビーム内に位置する。測定用ビームおよび基準ビームに対する2個のテストセルは、同じ配向方向で音波経路(ray path)内に設置される。分光計の最大に可能な精度を保証するために、E(p)は必ずその最大吸収波長範囲、例えば、0.5~1.5の波長範囲内にあり得る。これは30%~5%の透過度に相応する。これは層厚および/または染料の濃度を相応するように調整することによって設定される。
【0033】
異方性度Rは、文献[参照:「Polarized Light in Optics and Spectroscopy」、D.S.Kliger et al.、Academic Press、1990]に開示されているような前記数学式によりE(p)およびE(s)に対する測定値から計算され得る。
【0034】
前記異方性度Rは他の例示において約0.55以上、0.6以上または0.65以上であり得る。前記異方性度Rは例えば、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下または約0.7以下であり得る。
【0035】
このような異方性度Rは液晶層の種類、例えば、液晶化合物(ホスト)の種類、異方性染料の種類および比率、液晶層の厚さなどを制御して達成することができる。
【0036】
前記範囲内の異方性度Rを通じて、より低エネルギーを使いながらも、透過状態と遮断状態での透過率の差が大きくなってコントラスト比率が高くなる光学デバイスの提供が可能となり得る。
【0037】
前記液晶層の厚さは、目的、例えば、目的とする異方性度などを考慮して適切に選択され得る。一例示において前記液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上または9.5μm以上であり得る。このように厚さを制御することによって、透過状態での透過率と遮断状態での透過率の差が大きい光学デバイス、すなわちコントラスト比率が大きいデバイスを具現することができる。前記厚さは厚いほど高いコントラスト比率の具現が可能であるため、特に制限されるものではないが、一般的に約30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下であり得る
【0038】
前記のような能動液晶層またはこれを含む液晶素子は、第1配向状態と前記第1配向状態とは異なる第2配向状態の間をスイッチングされ得る。前記スイッチングは、例えば、電圧のような外部エネルギーの印加を通じて調節することができる。例えば、電圧の無印加状態で前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの状態が維持されていて、電圧の印加によって他の配向状態にスイッチングされ得る。
【0039】
前記第1および第2配向状態は、一例示において、それぞれ水平配向、垂直配向、ツイストネマチック配向またはコレステリック配向状態で選択され得る。例えば、遮断モードで液晶素子または液晶層は、少なくとも水平配向、ツイストネマチック配向またはコレステリック配向であり、透過モードで液晶素子または液晶層は、垂直配向または前記遮断モードの水平配向とは異なる方向の光軸を有する水平配向状態であり得る。液晶素子は、電圧の無印加状態で前記遮断モードが具現される通常遮断モード(Normally Black Mode)の素子であるか、電圧の無印加状態で前記透過モードが具現される通常透過モード(Normally Transparent Mode)を具現することができる。
【0040】
液晶層の配向状態で該当液晶層の光軸がいずれの方向に形成されているかを確認する方式は公知である。例えば、液晶層の光軸の方向は、光軸方向を知っている他の偏光板を利用して測定することができ、これは公知の測定機器、例えば、Jascp社のP-2000等のpolarimeterを使って測定することができる。
【0041】
液晶ホストの誘電率異方性、液晶ホストを配向させる配向膜の配向方向などを調節して前記のような通常透過または遮断モードの液晶素子を具現する方式は公知である。
【0042】
前記液晶素子は、対向配置されている2枚の基材フィルムと前記2枚の基材フィルムの間に存在する前記能動液晶層を含むことができる。
【0043】
また、前記液晶素子は、前記2枚の基材フィルムの間で前記2枚の基材フィルムの間隔を維持するスペーサーおよび/または対向配置された2枚の基材フィルムの間隔が維持された状態で、前記基材フィルムを付着させているシーラントをさらに含むことができる。前記スペーサーおよび/またはシーラントとしては、特に制限なく公知の素材が使われ得る。
【0044】
基材フィルムとしては、例えば、ガラスなどからなる無機フィルムまたはプラスチックフィルムが使われ得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが使われ得るが、これに制限されるものではない。基材フィルムには、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0045】
基材フィルムとしては、所定範囲の位相差を有するフィルムが使われ得る。一例示において前記基材フィルムは正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下または約0.5nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0046】
基材フィルムの厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示において190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または0.5nm以下であり得、0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0047】
本明細書で正面位相差Rinは下記の数式1で計算される数値であり、厚さ方向位相差Rthは下記の数式2で計算される数値であり、特に別途に規定しない限り、前記正面および厚さ方向位相差の基準波長は約550nmである。
【0048】
[数式1]
【0049】
正面位相差Rin=d×(nx-ny)
【0050】
[数式2]
【0051】
厚さ方向位相差Rth=d×(nz-ny)
【0052】
数式1および2でdは基材フィルムの厚さであり、nxは基材フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは基材フィルムの進相軸方向の屈折率であり、nzは基材フィルムの厚さ方向の屈折率である。
【0053】
基材フィルムが光学異方性である場合、対向配置されている基材フィルムの遅相軸がなす角度は、例えば、約-10度~10度の範囲内、-7度~7度の範囲内、-5度~5度の範囲内または-3度~3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0054】
前記基材フィルムの遅相軸と後述する偏光子の光吸収軸がなす角度は、例えば、約-10度~10度の範囲内、-7度~7度の範囲内、-5度~5度の範囲内または-3度~3度の範囲内であるか略平行であり得るか、あるいは約80度~100度の範囲内、約83度~97度の範囲内、約85度~95度の範囲内または約87度~92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0055】
前記のような位相差の調節または遅相軸の配置を通じて、光学的に優秀で均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0056】
基材フィルムは、熱膨張係数が100ppm/K以下であり得る。前記熱膨張係数は、他の例示において95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下または65ppm/K以下であるか、10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上または55ppm/K以上であり得る。基材フィルムの熱膨張係数は、例えば、ASTM D696の規定に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、単位温度当たりの長さの変化を測定して熱膨張係数を計算することができ、TMA(ThermoMechanic Analysis)等の公知の方式で測定することができる。
【0057】
基材フィルムとしては、破断伸び率が90%以上である基材フィルムを使うことができる。前記破断伸び率は95%以上、100%以上、105%以上、110%以上、115%以上、120%以上、125%以上、130%以上、135%以上、140%以上、145%以上、150%以上、155%以上、160%以上、165%以上、170%以上または175%以上であり得、1,000%以下、900%以下、800%以下、700%以下、600%以下、500%以下、400%以下、300%以下または200%以下であり得る。基材フィルムの破断伸び率はASTM D882規格に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。
【0058】
基材フィルムが前記のような熱膨張係数および/または破断伸び率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0059】
前記のような基材フィルムの厚さは特に制限されず、例えば約50μm~200μm程度の範囲内であり得る。
【0060】
本明細書で言及する物性の中で測定温度や圧力が結果に影響を及ぼす場合、特に別途に規定しない限り、該当物性は常温と常圧で測定したものである。
【0061】
用語常温は加温または減温しない自然そのままの温度であって、一般的に約10℃~30℃の範囲内のいずれか一温度、約23℃または約25℃程度の温度であり得る。また、特に別途に規定しない限り、本明細書で温度の単位は℃である。
【0062】
用語常圧は特に減圧または加圧しない自然そのままの圧力であって、一般的に大気圧と同じである1気圧程度の圧力を意味する。
【0063】
液晶素子で前記基材フィルムの一面、例えば、前記能動液晶層に向かう面上には導電層および/または配向膜が存在し得る。
【0064】
基材フィルムの面上に存在する導電層は、能動液晶層に電圧を印加するための構成であって、特に制限なく公知の導電層が適用され得る。導電層としては、例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤーまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などが適用され得る。本出願で適用され得る導電層の例は前記に制限されず、この分野で液晶素子に適用され得るものとして知られているすべての種類の導電層が使われ得る。
【0065】
一例示において前記基材フィルムの面上には配向膜が存在する。例えば、基材フィルムの一面にまず導電層が形成され、その上部に配向膜が形成され得る。
【0066】
配向膜は能動液晶層に含まれる液晶ホストの配向を制御するための構成であり、特に制限なく公知の配向膜を適用することができる。業界で公知とされている配向膜としては、ラビング配向膜や光配向膜などがあり、本出願で使われ得る配向膜は前記公知の配向膜であり、これは特に制限されない。
【0067】
前述した光軸の配向を達成するために前記配向膜の配向方向が制御され得る。例えば、対向配置されている2枚の基材フィルムの各面に形成された2個の配向膜の配向方向は、互いに約-10度~10度の範囲内の角度、-7度~7度の範囲内の角度、-5度~5度の範囲内の角度または-3度~3度の範囲内の角度をなすか、互いに略平行であり得る。他の例示において前記2個の配向膜の配向方向は約80度~100度の範囲内の角度、約83度~97度の範囲内の角度、約85度~95度の範囲の角度内または約87度~92度の範囲内の角度をなすか、互いに略垂直であり得る。
【0068】
このような配向方向により能動液晶層の光軸の方向が決定されるので、前記配向方向は能動液晶層の光軸の方向を確認して確認することができる。
【0069】
前記のような構成を有する液晶素子の形態は特に制限されず、光学デバイスの適用用途に応じて定められ得、一般的にはフィルムまたはシートの形態である。
【0070】
一つの例示において前記液晶素子は、折り畳まれた形態を有し得る。例えば、断面観察時に前記能動液晶素子は曲率(=1/曲率半径)が0~0.01の範囲ないである第1ライン;前記第1ラインの末端の折り畳み領域および前記折り畳み領域に連結されている第2ラインを含む断面を有することができる。すなわち、前記能動液晶素子は、前記折り畳み領域で折り畳まれた形態で光学デバイスに含まれていてもよい。前記曲率は他の例示において約0.009以下、0.008以下、0.007以下、0.006以下、0.005以下、0.004以下、0.003以下、0.002以下、0.001以下、0.0009以下、0.0008以下、0.0007以下、0.0006以下、0.0005以下、0.0004以下、0.0003以下、0.0002以下、0.0001以下、0.00009以下、0.00008以下、0.00007以下、0.00006以下または0.00005以下であり得る。
【0071】
後述するように本出願の光学デバイスは、2枚の外郭基板の内部に前記能動液晶素子および/または後述する偏光子を位置させ、それぞれの界面に接着フィルムを位置させた状態で真空圧着して製造された構造を有することができる。
【0072】
このような光学デバイスが高温、高湿条件などに露出されるようになる場合、あるいは前記工程過程で液晶素子の基材フィルムとそれに圧着される接着フィルムの熱膨張係数の差などによって、液晶素子にシワなどの欠陥(defect)が形成されるようになり、このような欠陥が光学デバイスの性能に悪影響を与え得る。これと関連して前記折り畳まれた構造で能動液晶素子を具現する場合、前記問題点の解決に有利となり得る。
【0073】
図1は、前記折り畳まれた構造の能動液晶素子10の断面を模式的に示した図面である。
図1のように能動液晶素子10の断面は、第1ライン101、折り畳み領域Bおよび第2ライン102が連結された形態の断面を有することができる。前記で第1ライン101は、活性領域(active area)、すなわち実質的に光の透過状態を調節するために光を変調する役割をする領域であり得る。このような第1ライン101は、平面形成であって、曲率が0である形態であるかあるいは膨らんだ形態または凹んだ形態に湾曲した形態でもよい。
【0074】
図1のように折り畳み領域Aを基準に液晶素子10は折り畳まれた構造を有し、これにより、第2ライン102が形成される。この時、第2ライン102が折り畳まれる程度は、光学デバイスで液晶素子10のシワなどの欠陥が発生しない程度に制御されれば特に制限されない。一例示において前記折り畳まれる程度は、前記第1ライン101または前記第1ライン101の接線Tと前記第2ライン102がなす角度が、時計または反時計回り方向に0度超過、5度以上、10度以上、15度以上、20度以上、25度以上、30度以上、35度以上、40度以上、45度以上、50度以上、55度以上または60度以上の程度となるように設定され得る。前記角度は他の例示において180度以下、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下、130度以下または120度以下の程度であり得る。前記で第2ライン102との角度が測定される接線は前記第1ライン101を略2等分する地点Dでの接線である。また、前記接線Tに対する角度を測定する第2ラインは、
図1のように折り畳み領域Aと第2ライン102が終了する地点を連結するライン1022であり得る。
【0075】
前記形態で第1ライン101の長さL1と第2ライン102の長さL2の比率(L1/L2)は約500~4,000の範囲内であり得る。前記比率(L1/L2)は他の例示において約550以上、約600以上、約650以上、約700以上、約800以上、約900以上、約1000以上、約1100以上、約1200以上、約1500以上、2000以上、2500以上、3000以上または3500以上であり得、3500以下、3000以下、2900以下、2800以下、2700以下、2600以下、2500以下、2400以下、2300以下、2200以下、2100以下、2000以下、約1,900以下、約1,800以下、約1,700以下、約1,600以下、約1,500以下、約1,400以下、約1,300以下、約1,200以下、約1,100以下、約1,000以下、約900以下または約800以下であり得る。
【0076】
前記関係で第1ライン101と第2ライン102の絶対的な長さは特に制限されず、目的とする光学デバイスの用途などに応じて決定され得る。例えば、前記第1ライン101の長さが約100~1,000mm程度となるように調節され得る。前記第1ライン101の長さは他の例示において約150mm以上、約200mm以上または約250mm以上であり得る。前記第1ライン101の長さは他の例示において約900mm以下、約800mm以下、約700mm以下、約600mm以下または約500mm以下であり得る。
【0077】
前記折り畳まれた構造は、液晶素子の断面で両末端にすべて形成されていてもよい。したがって、
図1のように能動液晶素子の断面で前記第1ライン101の両末端に前記折り畳み領域Aと第2ライン102が形成されていてもよい。
【0078】
前記構造で第2ラインが追加的に折り畳まれていてもよいが、例えば、
図2のように第2ライン102上には第2折り畳み領域AAが存在し、前記折り畳み領域AAで前記第2ライン102が追加的に折り畳まれた形態の断面が具現され得る。
【0079】
追加的に形成される折り畳み領域AAの形成位置などは特に制限されず、例えば、前記第1ライン101と第2ライン102の連結部に形成される折り畳み領域Aから前記第2ライン102上に形成される折り畳み領域AAまでの距離が、前述した比率(L1/L2)を満足するL2となり得るように前記位置が調節され得る。
【0080】
前記断面が観察される液晶素子の断面は、前記液晶素子を任意の側面から観察した時に観察される断面である。すなわち、液晶素子の側面のうちいずれかの側面ででも前記断面が観察されればよい。
【0081】
一例示において前記折り畳まれた構造が観察される断面は、液晶素子の長軸または短軸を含んで形成される法平面上の断面であり得る。前記で長軸は、例えば、液晶素子10を上部で観察する場合に、
図3のように長方形形態である場合には横および縦のうち長い方LAであり、短軸は短い方SAであり得る。
【0082】
例えば、
図3のような構造の液晶素子10で点線で示された部分を折り畳んで前記断面構造を具現することができる。
【0083】
前記液晶素子が正四角形の形態である場合には、横軸および縦軸のうち任意にいずれか一つが長軸と見なされ、他の一つは短軸と見なされ得る。また、四角の形態ではない他の形態である場合には、例えば、楕円形、円形または無定形などである場合に、前記液晶素子を上部で観察する場合に折り畳まれた部分によって形成されるライン(例えば、
図3で点線ライン)に垂直なラインが短軸または長軸のうちいずれか一つとなり、そのラインにさらに垂直なラインが短軸および長軸のうち他の一つとなり得る。
【0084】
一例示において
図3に示した通り、液晶素子の4面をすべて折り畳んで前記断面を形成することができ、このような場合に前記断面は液晶素子の長軸を含む法平面と短軸を含む法平面のいずれでも観察され得る。
【0085】
前記折り畳まれた構造の液晶素子で前述したシーラントの位置は特に制限されないが、一般的には前記折り畳み領域(
図1および
図2のA)または前記折り畳み領域(
図1および
図2のA)から第1ライン101に向かう領域で前記2枚の基材フィルムを付着しているシーラントが存在し得る。
【0086】
光学デバイスは、前記能動液晶素子のみを含むか、あるいは前記能動液晶素子とともに偏光子をさらに含むか、あるいは前記偏光子のみを含み得る。また、前記能動液晶素子および/または偏光子のそれぞれは少なくとも1つ以上含まれ得る。前記偏光子としては、例えば、吸収型線形偏光子、すなわち一方向に形成された光吸収軸とそれと略垂直に形成された光透過軸を有する偏光子を使うことができる。
【0087】
前記偏光子は、前記能動液晶層の第1配向状態で前記遮断状態が具現されると仮定する場合に、前記第1配向状態の平均光軸(光軸のベクターの和)と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度~100度または85度~95度をなすか、略垂直となるように光学デバイスに配置されているか、あるいは35度~55度または約40度~50度となるか略45度となるように光学デバイスに配置されていてもよい。
【0088】
配向膜の配向方向を基準とする時に、前述したように、対向配置された液晶素子の2枚の基材フィルムの各面上に形成された配向膜の配向方向が互いに約-10度~10度の範囲内の角度、-7度~7度の範囲内の角度、-5度~5度の範囲内の角度または-3度~3度の範囲内の角度をなすか、互いに略平行な場合に、前記2個の配向膜のうちいずれか一つの配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度~100度または85度~95度をなすか、略垂直となり得る。
【0089】
他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向が約80度~100度の範囲内の角度、約83度~97度の範囲内の角度、約85度~95度の範囲の角度内または約87度~92度の範囲内の角度をなすか、互いに略垂直である場合には、2枚の配向膜のうち前記偏光子により近く配置された配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度~100度または85度~95度をなすか、略垂直となり得る。
【0090】
例えば、
図4に示された通り、前記液晶素子10と前記偏光子20は互いに積層された状態で、前記液晶素子10の第1配向方向の光軸(平均光軸)と前記偏光子20の光吸収軸が前記関係となるように配置され得る。
【0091】
一例示において、前記偏光子20が後述する偏光コーティング層である場合には、前記偏光コーティング層が前記液晶素子の内部に存在する構造が具現され得る。例えば
図5に示された通り、前記液晶素子の基材フィルム110のうちいずれか一つの基材フィルム110と能動液晶層120の間に前記偏光コーティング層201が存在する構造が具現され得る。例えば、基材フィルム110上に前述した導電層、前記偏光コーティング層201および前記配向膜が順次形成されていてもよい。
【0092】
本出願の光学デバイスで適用され得る前記偏光子の種類は特に制限されない。例えば、偏光子としては、既存LCDなどで使われる通常の素材、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子などや、リオトロピック液晶(LLC:Lyotropic Liquid Cystal)や、反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性色素(dichroic dye)を含む偏光コーティング層のようにコーティング方式で具現した偏光子を使うことができる。本明細書において、前記のようにコーティング方式で具現された偏光子は偏光コーティング層と呼称され得る。前記リオトロピック液晶としては、特に制限なく公知の液晶を使うことができ、例えば、二色性比(dichroic ratio)が30~40程度のリオトロピック液晶層を形成できるリオトロピック液晶を使うことができる。一方、偏光コーティング層が反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性色素(dichroic dye)を含む場合に、前記二色性色素としては線形の色素を使用するか、あるいはディスコチック色素(discotic dye)が使われてもよい。
【0093】
本出願の光学デバイスは前記のような能動液晶素子と偏光子をそれぞれ一つずつのみ含むことができる。したがって、前記光学デバイスはただ一つの前記能動液晶素子のみを含み、ただ一つの偏光子のみを含むことができる。
【0094】
光学デバイスは、対向配置されている2枚の外郭基板をさらに含むことができる。本明細書では便宜上、前記2枚の外郭基板のうちいずれか一つを第1外郭基板と呼称し、他の一つを第2外郭基板と呼称し得るが、前記第1および第2の表現が外郭基板の前後または上下の関係を規定するわけではない。一例示において前記能動液晶素子および/または偏光子は、前記2枚の外郭基板の間でカプセル化されていてもよい。このようなカプセル化は接着フィルムを使って行われ得る。例えば、
図6に示された通り、前記対向配置された2枚の外郭基板30の間に前記能動液晶素子10および/または偏光子20が存在し得る。
【0095】
前記外郭基板としては、例えば、ガラスなどからなる無機基板またはプラスチック基板が使われ得る。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが使われ得るが、これに制限されるものではない。外郭基板には、必要に応じて金、銀、二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などのコーティング層が存在してもよい。
【0096】
外郭基板としては、所定範囲の位相差を有する基板が使われ得る。一例示において前記外郭基板は、正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0097】
外郭基板の厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示において190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得、0nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0098】
前記外郭基板の正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で厚さ(d)、遅相軸方向屈折率(nx)、進相軸方向屈折率(ny)および厚さ方向の屈折率(nz)を外郭基板の厚さ(d)、遅相軸方向屈折率(nx)、進相軸方向屈折率(ny)および厚さ方向の屈折率(nz)に代替して計算すること以外には同様にして計算され得る。
【0099】
外郭基板が光学異方性である場合、対向配置されている外郭基板の遅相軸がなす角度は、例えば、約-10度~10度の範囲内、-7度~7度の範囲内、-5度~5度の範囲内または-3度~3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0100】
前記外郭基板の遅相軸と前述した基材フィルムが光学異方性である場合、その基材フィルムの遅相軸がなす角度は、例えば、約-10度~10度の範囲内、-7度~7度の範囲内、-5度~5度の範囲内または-3度~3度の範囲内であるか略平行であり得るか、あるいは約80度~100度の範囲内、約83度~97度の範囲内、約85度~95度の範囲内または約87度~92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0101】
前記のような位相差調節または遅相軸の配置を通じて、光学的に優秀で均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0102】
外郭基板としては、熱膨張係数が100ppm/K以下のものを使うことができる。前記熱膨張係数は、他の例示において95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下、65ppm/K以下、60ppm/K以下、50ppm/K以下、40ppm/K以下、30ppm/K以下、20ppm/K以下または15ppm/K以下であるか、1ppm/K以上、2ppm/K以上、3ppm/K以上、4ppm/K以上、5ppm/K以上、6ppm/K以上、7ppm/K以上、8ppm/K以上、9ppm/K以上または10ppm/K以上であり得る。
【0103】
前記外郭基板の熱膨張係数および破断伸び率の測定方式はそれぞれ前述した基材フィルムの熱膨張係数および破断伸び率の測定方式と同じである。
【0104】
外郭基板が前記のような熱膨張係数および/または破断伸び率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0105】
前記のような外郭基板の厚さは特に制限されず、例えば約0.3mm以上であり得る。前記厚さは他の例示において約0.5mm以上、約1mm以上、約1.5mm以上または約2mm以上程度であり得、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または3mm以下程度でもよい。
【0106】
前記外郭基板は、扁平な(flat)基板であるか、あるいは曲面状を有する基板であり得る。例えば、前記2枚の外郭基板は共に扁平な基板であるか、ともに曲面状を有するか、あるいはいずれか一つは扁平な基板であり、他の一つは曲面状の基板であり得る。
【0107】
前記において、共に曲面状を有する場合にはそれぞれの曲率または曲率半径は同じであるか異なり得る。
【0108】
本明細書で曲率または曲率半径は、業界で公知とされている方式で測定することができ、例えば、2D Profile Laser Sensor(レーザーセンサ)、Chromatic confocal line sensor(共焦点センサ)または3D Measuring Conforcal Microscopyなどの非接触式装備を利用して測定することができる。このような装備を使って曲率または曲率半径を測定する方式は公知である。
【0109】
前記基板と関連して例えば、表面と裏面での曲率または曲率半径が異なる場合には、それぞれ向かい合う面の曲率または曲率半径(すなわち第1外郭基板の場合、第2外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径と第2外郭基板の場合、第1外郭基板と対向する面の曲率または曲率半径)が基準となり得る。他の例示において各外郭基板の表面と裏面での曲率または曲率半径が異なる場合には、それぞれ向かい合わない面の曲率または曲率半径(すなわち第1外郭基板の場合、第2外郭基板と対向する面の反対側面の曲率または曲率半径と第2外郭基板の場合、第1外郭基板と対向する面の反対側面の曲率または曲率半径)が基準となり得る。また、該当面での曲率または曲率半径が一定ではなく、異なる部分が存在する場合には最も大きい曲率または曲率半径または最も小さい曲率または曲率半径または平均曲率または平均曲率半径が基準となり得る。
【0110】
前記基板は、両者の曲率または曲率半径の差が10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内または1%以内であり得る。前記曲率または曲率半径の差は、大きい曲率または曲率半径をCLとし、小さい曲率または曲率半径をCSとする時に100×(CL-CS)/CSで計算される数値である。また、前記曲率または曲率半径の差の下限は特に制限されない。2枚の外郭基板の曲率または曲率半径の差は同一であり得るため、前記曲率または曲率半径の差は0%以上、0%超過、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上または2.5%以上であり得る。
【0111】
前記のような曲率または曲率半径の制御は、本出願の光学デバイスのように能動液晶素子および/または偏光子が接着フィルムでカプセル化された構造において有用である。
【0112】
第1および第2外郭基板がすべて曲面である場合、両者の曲率は同一符号であり得る。換言すると、前記2個の外郭基板はすべて同じ方向に屈曲されていてもよい。すなわち、前記場合は、第1外郭基板の曲率中心と第2外郭基板の曲率中心がすべて第1および第2外郭基板の上部および下部のうち同じ部分に存在する場合である。
【0113】
図7は、第1および第2外郭基板301、302の間に能動液晶素子などを含むカプセル化部位400が存在する側面の例示であるが、この場合は第1および第2外郭基板301、302の曲率中心はいずれも図面で下部に存在する場合である。
【0114】
第1および第2外郭基板のそれぞれの曲率または曲率半径の具体的な範囲は特に制限されない。一例示において前記それぞれの基板の曲率半径は,100R以上、200R以上、300R以上、400R以上、500R以上、600R以上、700R以上、800R以上または900R以上であるか、10,000R以下、9,000R以下、8,000R以下、7,000R以下、6,000R以下、5,000R以下、4,000R以下、3,000R以下、2,000R以下、1,900R以下、1,800R以下、1,700R以下、1,600R以下、1,500R以下、1,400R以下、1,300R以下、1,200R以下、1,100R以下または1,050R以下であり得る。前記でRは半径が1mmである円の曲がった程度を意味する。したがって、前記で例えば、100Rは半径が100mmである円の曲がった程度またはそのような円に対する曲率半径である。もちろん基板が扁平な場合は曲率は0であり、曲率半径は無限大である。
【0115】
第1および第2外郭基板は前記範囲で同一または異なる曲率半径を有することができる。一例示において第1および第2外郭基板の曲率が互いに異なる場合、その中で曲率が大きい基板の曲率半径が前記範囲内であり得る。
【0116】
一例示において第1および第2外郭基板の曲率が互いに異なる場合には、その中で曲率が大きい基板(すなわち、曲率半径が小さい基板)が光学デバイスの使用時に、より重力方向に配置される基板であり得る。
【0117】
すなわち、一例示において第1および第2外郭基板の曲率が互いに異なる場合には、光学デバイスが形成する膨らんだ方向に沿ってより上部に存在する外郭基板が下部に存在する外郭基板に比べて大きい曲率半径(すなわち、小さい曲率)を有することができる。前記で光学デバイスが形成する膨らんだ方向は、光学デバイスに含まれる2個の外郭基板あるいはその中の一つの外郭基板である曲面基板が形成する膨らんだ形状が向かう方向であり、例えば
図7のような場合、基板302から基板301に向かう方向を意味し得る。すなわち、
図7の例示では膨らんだ方向に沿ってより上部に存在する基板は基板301であり、下部に存在する基板は基板302である。
【0118】
このように、光学デバイスが形成する膨らんだ方向に沿ってより上部に存在する外郭基板(
図7の場合、301)が下部に存在する外郭基板(
図7の場合、302)に比べて大きい曲率半径(すなわち、小さい曲率)を有するように設計する場合、2個の外郭基板が示す復原力と前記2個の外郭基板を接着させているカプセル化剤(接着剤)の接着力などによって、光学デバイスの内部の中心部分で2個の外郭基板が互いにさらに近接しようとする方向に内部圧が発生し得る。これにより、2個の外郭基板の間で能動液晶素子および/または偏光子がカプセル化剤によってカプセル化された構造がより安定的に具現され得、その結果、内部で気泡などのように光学物性に悪影響を与える要因の発生も防止することができる。
【0119】
前記のように特定の位置に特定の方向に発生する内部圧は光学デバイスの厚さにも反映される。すなわち、前記のような構造では、光学デバイスの重心での厚さT1が前記内負圧によって縁での厚さT2対比薄くてもよい(T1<T2)。このような場合、前記重心での厚さT1と前記縁での厚さT2の差(=100×(T2-T1)/T1)は約0%超過、約0.5%以上、約1%以上、約1.5%以上、約2%以上または約2.5%以上であるか、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、約5%以下、約4%以下または約3%以下程度であり得る。前記のような厚さ関係が確保され得るように内部圧を発生させることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスを提供することができる。
【0120】
前記で重心は公知とされている通り、前記光学デバイスをぶら下げたり支えた時に水平に均衡をなす点を意味し、縁は光学デバイスの最も端の部分あるいは前記端の部分と隣接する部分であり得る。
【0121】
前記カプセル化のためには、後述するように接着フィルムを使ったオートクレーブ(Autoclave)工程が遂行され得、この過程では通常高温および高圧が適用される。ところが、このようなオートクレーブ工程後にカプセル化に適用された接着フィルムが高温で長時間保管されるなどの一部の場合には、一部に再融解などが発生して、外郭基板が広がる問題が発生し得る。このような現象が発生すると、カプセル化された能動液晶素子および/または偏光子に力が作用し、内部に気泡が形成され得る。
【0122】
しかし、基板間の曲率または曲率半径、厚さおよび外郭基板の配置形態などを前記のように制御すると、接着フィルムによる合着力が落ちることになっても復原力と重力の和である真の力が特に重心領域で作用して広がりが発生することを防止することができ、オートクレーブのような工程圧力にもよく耐えることができる。
【0123】
光学デバイスは前記能動液晶素子および/または偏光子を前記外郭基板内でカプセル化している接着フィルムをさらに含むことができる。このような接着フィルム40は、例えば、
図8に示された通り、外郭基板30と能動液晶層10の間、能動液晶層10と偏光子20の間および/または偏光子20と外郭基板30の間に存在し得、前記能動液晶層10と偏光子20の側面、好ましくはすべての側面に存在し得る。
【0124】
接着フィルムは、前記外郭基板30と能動液晶層10、能動液晶層10と偏光子20および偏光子20と外郭基板30を互いに接着させつつ、前記能動液晶層10と偏光子20をカプセル化していてもよい。
【0125】
例えば、目的とする構造に応じて外郭基板、能動液晶素子、偏光子および接着フィルムを積層した後に真空状態で圧着する方式で前記構造を具現することができる。
【0126】
前記接着フィルムとしては特に制限なく公知の素材を使うことができ、例えば、公知とされている熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、TPS(Thermoplastic Starch)、ポリアミド接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン接着フィルムまたはポリオレフィンエラストマーフィルム(POEフィルム)等の中から後述する物性を満足するものが選択され得る。
【0127】
接着フィルムとしては、所定範囲の位相差を有するフィルムが使われ得る。一例示において前記接着フィルムは正面位相差が100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約95nm以下、約90nm以下、約85nm以下、約80nm以下、約75nm以下、約70nm以下、約65nm以下、約60nm以下、約55nm以下、約50nm以下、約45nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約9nm以下、約8nm以下、約7nm以下、約6nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において約0nm以上、約1nm以上、約2nm以上、約3nm以上、約4nm以上、約5nm以上、約6nm以上、約7nm以上、約8nm以上、約9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0128】
接着フィルムの厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、200nm以下であり得る。前記絶対値は他の例示において約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下または115nm以下であり得るかnm以上、0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上または90nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は前記範囲内の絶対値を有する限り負数であるかnm以上、正数であり得る。
【0129】
前記接着フィルムの正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で厚さ(d)、遅相軸方向屈折率(nx)、進相軸方向屈折率(ny)および厚さ方向の屈折率(nz)を接着フィルムの厚さ(d)、遅相軸方向屈折率(nx)、進相軸方向屈折率(ny)および厚さ方向の屈折率(nz)に代替して計算すること以外には同様にして計算され得る。
【0130】
前記で接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と能動液晶層10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、能動液晶層10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0131】
接着フィルムとしては、ヤング率(Young's modulus)が0.1~100MPaの範囲内にあるものを使うことができる。前記ヤング率は例えば、ASTM D882に規定された方式で測定することができ、該当規格で提供する形態にフィルムを裁断し、Stress-Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。
【0132】
接着フィルムが前記のようなヤング率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0133】
前記のような接着フィルムの厚さは特に制限されず、例えば約200μm~600μm程度の範囲内であり得る。前記で接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と能動液晶層10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、能動液晶層10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0134】
光学デバイスはバッファー層をさらに含むことができる。このようなバッファー層は、前記液晶素子の一面または両面に存在することができる。
図9は、能動液晶素子10の両側にバッファー層50が存在する構造を示しているが、前記バッファー層50は液晶素子10の一側にのみ存在してもよい。
【0135】
前記バッファー層は、能動液晶素子が接着フィルムによってカプセル化されている構造において、層間熱膨張係数の差などによって発生する負圧を緩和し、より耐久性のあるデバイスが具現されるようにすることができる。
【0136】
一つの例示において前記バッファー層としては、ヤング率(Young's modulus)が1MPa以下の層を使うことができる。前記バッファー層のヤング率は他の例示において0.9MPa以下、0.8MPa以下、0.7MPa以下、0.6MPa以下、0.6MPa以下、0.1MPa以下、0.09MPa以下、0.08MPa以下、0.07MPa以下または0.06MPa以下であり得る。前記ヤング率は他の例示において約0.001MPa以上、0.002MPa以上、0.003MPa以上、0.004MPa以上、0.005MPa以上、0.006MPa以上、0.007MPa以上、0.008MPa以上、0.009MPa以上、0.01MPa以上、0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上、または0.045MPa以上であり得る。前記でヤング率の測定方式は前述した接着フィルムの測定方式と同じである。
【0137】
バッファー層としては、特に制限なく前述したヤング率を示す透明素材が使われ得るが、例えば、アクリレート系、ウレタン系、ラバー系またはケイ素系のオリゴマーまたは高分子材料などを使うことができる。
【0138】
バッファー層の厚さは特に制限されず、前記範囲のヤング率を示してデバイスの内部で発生する負圧などを効果的に緩和できる範囲で選択され得る。
【0139】
光学デバイスは前記構成の他にも必要な任意の構成をさらに含むことができ、例えば、位相差層、光学補償層、反射防止層、ハードコーティング層などの公知の構成を適切な位置に含むことができる。
【0140】
本出願の前記光学デバイスを製造する方法は特に制限されない。一例示において前記光学デバイスは、前述したカプセル化のためにオートクレーブ工程を経て製造され得る。
【0141】
例えば、前記光学デバイスの製造方法は、対向配置されている第1および第2外郭基板の間にある能動液晶素子および/または偏光子を接着フィルムを使ったオートクレーブ工程を通じてカプセル化する段階を含むことができる。この過程で前記第1および第2外郭基板の曲率の差などを含む具体的な事項は前述と同じである。
【0142】
前記オートクレーブ工程は、外郭基板の間に目的とするカプセル化構造に応じて接着フィルムと能動液晶素子および/または偏光子を配置し、加熱/加圧によって遂行することができる。
【0143】
例えば、外郭基板30、接着フィルム40、能動液晶層10、接着フィルム40、偏光子20、接着フィルム40および外郭基板30を前記順序で配置し、能動液晶層10と偏光子20の側面にも接着フィルム40を配置した積層体をオートクレーブ工程で加熱/加圧処理すると、
図8に示したような光学デバイスが形成され得る。
【0144】
前記オートクレーブ工程の条件は特に制限なく、例えば、適用された接着フィルムの種類によって適切な温度および圧力下で遂行することができる。通常のオートクレーブ工程の温度は約80℃以上、90℃以上または100℃以上であり、圧力は2気圧以上であるが、これに制限されるものではない。前記工程温度の上限は約200℃以下、190℃以下、180℃以下または170℃以下程度であり得、工程圧力の上限は約10気圧以下、9気圧以下、8気圧以下、7気圧以下または6気圧以下程度であり得る。
【0145】
前記のような光学デバイスは多様な用途に使われ得、例えば、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに使われ得る。
【0146】
一つの例示において前記光学デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであり得る。
【0147】
例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において前記開口部に装着された前記光学デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使われ得る。
【0148】
この時、外郭基板の曲率または曲率半径が互いに異なる場合には、その中で曲率半径がより小さい基板、すなわち曲率がより大きい基板がより重力方向に配置され得る。
【発明の効果】
【0149】
本出願は透過率を可変できる光学デバイスを提供し、このような光学デバイスは、サングラスやAR(Argumented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどの多様な用途に使われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【
図1】本出願の液晶素子の折り畳まれた構造を説明するための図面。
【
図2】本出願の液晶素子の折り畳まれた構造を説明するための図面。
【
図3】本出願の液晶素子の折り畳まれた構造を説明するための図面。
【
図4】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【
図5】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【
図6】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【
図7】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【
図8】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【
図9】本出願の光学デバイスを説明するための例示的な図面。
【符号の説明】
【0151】
10:能動液晶素子
101:第1ライン
102:第2ライン
A、AA:折り畳み領域
D:第1ラインの二等分点
T:第1ラインの二等分点の接線
P:第1ラインの二等分点の接線に対する法線
1022:第2ラインの角度を測定するための線
20:偏光子
201:偏光コーティング層
30:外郭基板
40:接着フィルム
50:バッファー層
110:基材フィルム
120:能動液晶層
【発明を実施するための形態】
【0152】
以下、実施例および比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例に制限されるものではない。
【0153】
1.曲率半径の測定
【0154】
外郭基板の曲率半径は2D Profile Laser Sensor(レーザーセンサ)を使って測定した。また、下記で各外郭基板の曲率半径は互いに対向する面の曲率半径であり、曲率半径が一定ではなく異なる部分が存在する場合には最も大きい曲率半径を基準とした。
【0155】
2.厚さの測定
【0156】
光学デバイスの重心および縁の厚さは、
図11に示されたように、厚さ測定装備(Mitutoyo社、Thickness gage 12/0.001mm 547-401、Resolution:1μm、Accuracy:±3μm、Range:0~12mm)をスタンドに再組立てした装備を使って測定した。
図11のように、まず測定装備の0点を合わせ、
図12および13のように前記厚さを測定した後に再び0点が合うかどうかを確認して厚さを決定した。
【0157】
実施例1.
【0158】
能動液晶素子としてゲスト-ホスト液晶素子(セルギャップ:約12μm、基材フィルムの種類:PET(poly(ethylene terephthalate)フィルム)、液晶/染料混合物の種類:Merck社のMAT-16-969液晶と異方性染料(BASF社、X12)の混合物)とPVA(polyvinylalcohol)系偏光子を2枚の外郭基板の間で熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(厚さ:約0.38mm、製造社:Argotec社、製品名:ArgoFlex)でカプセル化して光学デバイスを製造した。前記で外郭基板としては、厚さが約3mm程度であるガラス基板を使ったし、曲率半径が約1030Rの基板(第1外郭基板)と曲率半径が1000Rである基板(第2外郭基板)を使った。前記第1および第2外郭基板の曲率半径の差は略3%である。前記第1外郭基板、前記接着フィルム、前記能動液晶素子、前記接着フィルム、前記偏光子、前記接着フィルムおよび前記第2外郭基板を前記順序で積層し、能動液晶素子のすべての側面にも前記接着フィルムを配置して積層体を製造した。前記積層体の構造は
図7を参照して記述すると、第1外郭基板(曲率半径1030R、301)、前記接着フィルム、前記能動液晶素子、前記接着フィルム、前記偏光子、前記接着フィルム第2外郭基板(曲率半径1000R、302)の形態であり、第1外郭基板301に比べて第2外郭基板302が重力方向に配置された。その後、約100℃の温度および2気圧程度の圧力でオートクレーブ工程を遂行して光学デバイスを製造した。
【0159】
前記製作された光学デバイスに対して測定した重心での厚さは約7.82mm程度であったし、縁での厚さは約8.03mmであった。したがって、前記で厚さの差は略2.69%程度である。その後、製造された光学デバイスを高温長期耐久性テスト(100℃の温度で約168時間維持)に適用した。
図10は、前記耐久性テスト後のデバイスの写真である。図面から、気泡の発生や基板の広がりがなく、安定的に光学デバイスが製造されたことを確認することができる。