(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】放射線画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20220711BHJP
【FI】
G01T1/20 B
G01T1/20 E
G01T1/20 L
(21)【出願番号】P 2021505496
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2019042940
(87)【国際公開番号】W WO2020183778
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2019046327
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】成川 康則
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-078543(JP,A)
【文献】特開2011-227047(JP,A)
【文献】特開2016-140511(JP,A)
【文献】国際公開第2017/202738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレータと、
前記シンチレータに積層され、前記シンチレータから発せられる光を電荷に変換する複数の光電変換素子を有する基板と、
前記基板に設けられ、前記複数の光電変換素子の各々に対応して設けられた複数のスイッチング素子と、
前記基板に設けられ、前記複数のスイッチング素子の各々を駆動する駆動信号を伝送するための複数のゲート線と、
前記基板に設けられ、前記複数の光電変換素子によって生成された電荷に基づく電気信号を伝送するための複数の信号線と、
前記複数のゲート線のうちの互いに異なる一部のゲート線に接続され、前記駆動信号をそれぞれ出力する複数の駆動回路と、
前記複数の信号線のうちの互いに異なる一部の信号線に接続され、前記電気信号をそれぞれ処理する複数の信号処理回路と、
を含み、
前記シンチレータ及び前記基板を含む積層体が複数のブロックに区画されており、前記ブロック毎に切り離し可能に構成され
ており、
前記駆動回路は、前記複数のブロックのうち、第1の方向に沿って並ぶ複数のブロックからなる群毎に設けられ、
前記信号処理回路は、前記複数のブロックのうち、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って並ぶ複数のブロックからなる群毎に設けられている
放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記複数のブロックの各々は、他のブロックとの境界部に設けられたコネクタを有する
請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記積層体は可撓性を有する
請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記複数のブロックの各々において、当該ブロックに含まれるゲート線の各々が、前記複数の駆動回路のうちの1つに接続され、当該ブロックに含まれる信号線の各々が、前記複数の信号処理回路のうちの1つに接続されている
請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記積層体の1つの辺に沿って、前記複数の駆動回路及び前記複数の信号処理回路が設けられている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記積層体の互いに対向する2つの辺に沿って、前記複数の駆動回路及び前記複数の信号処理回路が設けられている
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記複数の駆動回路は、互いに電気的に接続されており、
前記複数の信号処理回路は、互いに電気的に接続されている
請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線を用いた非破壊検査が行われている。非破壊検査に関する技術として、例えば、特許文献1には、検査対象のパイプの溶接部の外周に放射線検出媒体としてのイメージングプレートを配置し、かつパイプの中心軸上に放射線源を配置した状態で放射線から放射線を照射し、イメージングプレートにより生成される透視画像を取得することが記載されている。
【0003】
一方、シンチレータと、光電変換素子とを備えた放射線画像撮影装置に関する技術として、例えば、特許文献2には、画素アレイ部が、複数の区画に分割されたシンチレータに対応して1mm角の領域ごとに論理的に区分けされ、シンチレータで発生したシンチレーション光が、画素アレイ部内の対応する区画に選択的に照射されるように構成された放射線計数装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-102202号公報
【文献】国際公開第2016/017305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線を用いたパイプ溶接部の非破壊検査においては、特許文献1に記載されるように、イメージングプレートが用いられている。イメージングプレートに記録された潜像を画像として表示するためには、放射線により露光されたイメージングプレートの表面にレーザ光を照射して、放射線の露光量に応じた発光を計測する必要がある。このため、イメージングプレートを用いた非破壊検査においては、画像を即時に表示することが困難である。すなわち、イメージングプレートを用いた非破壊検査においては、検査結果を現場で取得し、検査結果に応じた措置を現場で即時に行うことが困難なものとなっていた。
【0006】
一方、シンチレータと、光電変換素子とを備えたDDA(Digital Detector Array)は、画像表示の即時性が高い。しかしながら、イメージングプレートのようにパイプの表面に巻き付けることができる可撓性を備えたDDAは未だ実用化されていない。また、DDAの形状及びサイズは規格で定められており、パイプの表面に巻き付けて使用するのに適した形状及びサイズにはなっていない。また、パイプ溶接部の非破壊検査においては、例えば、パイプの径及び形状等に応じて、DDAの最適な形状及びサイズは変わる。
【0007】
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、形状及びサイズの撮影現場での変更が可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術に係る放射線画像撮影装置は、シンチレータと、シンチレータに積層され、シンチレータから発せられる光を電荷に変換する複数の光電変換素子を有する基板と、基板に設けられ、複数の光電変換素子の各々に対応して設けられた複数のスイッチング素子と、基板に設けられ、複数のスイッチング素子の各々を駆動する駆動信号を伝送するための複数のゲート線と、基板に設けられ、複数の光電変換素子によって生成された電荷に基づく電気信号を伝送するための複数の信号線と、複数のゲート線のうちの互いに異なる一部のゲート線に接続され、駆動信号をそれぞれ出力する複数の駆動回路と、複数の信号線のうちの互いに異なる一部の信号線に接続され、電気信号をそれぞれ処理する複数の信号処理回路と、を含み、シンチレータ及び基板を含む積層体が複数のブロックに区画されており、ブロック毎に切り離し可能に構成されており、駆動回路は、複数のブロックのうち、第1の方向に沿って並ぶ複数のブロックからなる群毎に設けられ、信号処理回路は、複数のブロックのうち、第1の方向と交差する第2の方向に沿って並ぶ複数のブロックからなる群毎に設けられている。
【0009】
シンチレータ及び基板を含む積層体の各ブロックが切り離し可能に構成されることで、積層体の形状及びサイズの撮影現場での変更が可能となる。
【0010】
複数のブロックの各々は、他のブロックとの境界部に設けられたコネクタを有していてもよい。これにより、切り離した各ブロックを、再度接続することが可能となる。
【0011】
シンチレータ及び基板を含む積層体は可撓性を有していてもよい。これにより、積層体を湾曲させることが可能となるので、放射線画像撮影装置を、パイプの溶接部の非破壊検査に用いることが可能となる。
【0012】
放射線画像撮影装置は、基板に設けられ、複数の光電変換素子の各々に対応して設けられた複数のスイッチング素子と、基板に設けられ、複数のスイッチング素子の各々を駆動する駆動信号を伝送するための複数のゲート線と、基板に設けられ、複数の光電変換素子によって生成された電荷に基づく電気信号を伝送するための複数の信号線と、複数のゲート線のうちの互いに異なる一部のゲート線に接続され、駆動信号をそれぞれ出力する複数の駆動回路と、複数の信号線のうちの互いに異なる一部の信号線に接続され、電気信号をそれぞれ処理する複数の信号処理回路と、を更に含み得る。この場合、複数のブロックの各々において、当該ブロックに含まれるゲート線の各々が、複数の駆動回路のうちの1つに接続され、当該ブロックに含まれる信号線の各々が、複数の信号処理回路のうちの1つに接続されていることが好ましい。このように、積層体の各ブロックと、駆動回路及び信号処理回路とを対応付けることで、構造面及び制御面における設計が容易となる。
【0013】
積層体の1つの辺に沿って、複数の駆動回路及び複数の信号処理回路が設けられていることが好ましい。これにより、駆動回路及び信号処理回路に接続される配線の引き回しが煩雑となることを抑制することが可能となる。
【0014】
積層体の互いに対向する2つの辺に沿って、複数の駆動回路及び複数の信号処理回路が設けられていてもよい。この場合において、複数の駆動回路は、互いに電気的に接続されており、複数の信号処理回路は、互いに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0015】
開示の技術によれば、形状及びサイズの撮影現場での変更が可能な放射線画像撮影装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1における2-2線に沿った断面図である。
【
図3】開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置の電気的な構成の一例を示す図である。
【
図4】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器を構成する複数の画素の構成の一例を示す図である。
【
図5A】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器のブロック間の接続を行うコネクタの構成の一例を示す図である。
【
図5B】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器のブロック間の接続を行うコネクタの構成の一例を示す図である。
【
図6A】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図6B】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図6C】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図6D】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図6E】開示の技術の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図7】開示の技術の他の実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図8A】開示の技術の他の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図8B】開示の技術の他の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図9】開示の技術の他の実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【
図10A】開示の技術の他の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図10B】開示の技術の他の実施形態に係る放射線検出器の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【
図11】開示の技術の他の実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は適宜省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置1の構成の一例を示す平面図である。
図2は、
図1における2-2線に沿った断面図である。
【0019】
放射線画像撮影装置1は、所謂DDAの構成を有する放射線検出器10を有する。また、放射線検出器10は、複数のブロック10A~10Iに区画されている。複数のブロック10A~10Iは、マトリクス状に配置されている。各ブロック10A~10Iは、隣接するブロックとコネクタ20を介して電気的及び機械的に接続されている。例えばブロック10Aは、図中横方向に隣接するブロック10Bにコネクタ20を介して接続される共に、図中縦方向に隣接するブロック10Dにコネクタ20を介して接続されている。放射線検出器10の各ブロック間を接続するコネクタ20の詳細な構成については後述する。なお、
図1には、放射線検出器10が9つのブロック10A~10Iに区画されている場合が例示されているが、放射線検出器10の区画数(ブロック数)は、適宜変更することが可能である。
【0020】
図2に示すように、放射線検出器10のブロック10A~10Iは、それぞれ、複数の画素15(
図3参照)が設けられた基板11と、基板11上に積層されたシンチレータ12と、基板11上に取り付けられたコネクタ20と、基板11及びシンチレータ12を収容する筐体13と、を有する。すなわち、ブロック10A~10Iは、互いに別々の基板11及びシンチレータ12を有する。
【0021】
基板11は、可撓性を有するフレキシブル基板である。基板11の材料として例えば、PI(PolyImide:ポリイミド)等のプラスチックを含む樹脂シートを用いることが可能である。基板11の厚みは、材質の硬度、及び基板11の大きさ等に応じて、所望の可撓性が得られる厚みであればよい。樹脂シートの厚みとしては、例えば、5μm~125μmであればよく、20μm~50μmであればより好ましい。樹脂シートの具体例としては、XENOMAX(登録商標)が挙げられる。
【0022】
シンチレータ12及び筐体13は、それぞれ、基板11と同様、可撓性を有する。シンチレータ12の材料としてGd2O2S:Tb(テルビウムが添加された酸硫化ガドリニウム)を用いることができる。筐体13の材料として、X線に対する透過率が比較的高い、可撓性を有する樹脂により構成されている。本実施形態において、シンチレータ12及び基板11のうち、シンチレータ12側が放射線の入射側とされている。
【0023】
図3は、放射線画像撮影装置1の電気的な構成の一例を示す図である。
図4は、放射線検出器10を構成する複数の画素15の構成の一例を示す図である。
【0024】
放射線検出器10の各ブロック10A~10Iは、基板11上にマトリクス状に配置された複数の画素15を有する。複数の画素15の各々は、シンチレータ12から発せられた光に基づいて電荷を発生させる光電変換素子17と、光電変換素子17において生成された電荷を読み出す際にオン状態とされるスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)16とを含んでいる。光電変換素子17は、例えば、アモルファスシリコンによって構成されるフォトダイオードであってもよい。
【0025】
放射線検出器10の各ブロック10A~10Iを構成する基板11の表面には、画素15の配列に沿って一方向(行方向)に伸びるゲート線31と、ゲート線31の伸びる方向と交差する方向(列方向)に伸びる信号線41が設けられている。画素15の各々は、ゲート線31と信号線41との各交差部に対応して設けられている。
【0026】
放射線検出器10の各ブロック間におけるゲート線31及び信号線41の接続は、コネクタ20により行われる。例えば、ブロック10Aのゲート線31とブロック10Bのゲート線31は、これらのブロック間を接続するコネクタ20により接続されている。また、ブロック10Aの信号線41とブロック10Dの信号線41とは、これらのブロック間を接続するコネクタ20により接続されている。
【0027】
放射線検出器10のブロック10A、10B及び10Cに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Aに接続されている。放射線検出器10のブロック10D、10E及び10Fに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Bに接続されている。放射線検出器10のブロック10G、10H及び10Iに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Cに接続されている。放射線検出器10の各ブロック10A~10Iと、駆動回路30A~30Cとの接続形態の詳細については後述する。
【0028】
放射線検出器10のブロック10A、10D及び10Gに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Aに接続されている。放射線検出器10のブロック10B、10E及び10Hに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Bに接続されている。放射線検出器10のブロック10C、10F及び10Iに亘る信号線41の各々は、信号処理回路10Cに接続されている。放射線検出器10の各ブロック10A~10Iと、信号処理回路40A~40Cとの接続形態の詳細については後述する。
【0029】
駆動回路30A、30B、及び30Cは、それぞれ、制御部50から供給される制御信号に基づいて、駆動信号を出力することで、画素15に蓄積された電荷の読み出しを行う。信号処理回路40A、40B、及び40Cは、それぞれ、制御部50から供給される制御信号に基づいて、画素15から読み出された電荷による電気信号に対して所定の処理を施すことで、画像データを生成する。
【0030】
信号処理回路40A、40B、及び40Cは、それぞれ、入力される電気信号を増幅する増幅回路及びサンプルホールド回路(いずれも図示せず)を信号線41毎に備えている。また、信号処理回路40A、40B、及び40Cは、それぞれ、サンプルホールド回路の後段に設けられたマルチプレクサ及びAD(Analog-to-Digital)変換器(いずれも図示せず)を有する。
【0031】
個々の信号線41に伝送された電気信号は、増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力される。マルチプレクサにより順次選択された電気信号がAD変換器によってデジタル形式の画像データに変換される。
【0032】
信号処理回路40A、40B、及び40Cによって生成された画像データは制御部50に順次出力され、画像メモリ51に順次記憶される。画像メモリ51は所定枚数分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ51に記憶される。
【0033】
制御部50は、駆動回路30A、30B、及び30C、信号処理回路40A、40B、及び40C及び画像メモリ51を制御することで、放射線画像撮影装置1の動作を制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)等を含むメモリ、及びフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を備えたマイクロコンピュータを含んで構成されていてもよい。
【0034】
通信部52は、制御部50に接続され、無線通信により外部の装置との間で各種情報の送受信を行う。例えば、通信部52は、画像メモリ51に記憶した放射線画像を、パーソナルコンピュータ等の外部装置に送信する。
【0035】
電源部53は、駆動回路30A、30B、及び30C、信号処理回路40A、40B、及び40C、画像メモリ51、制御部50、及び通信部52に電力を供給する。なお、
図3では、図面の煩雑さを回避するために、電源部53と各種回路とを接続する配線の図示を省略している。
【0036】
図1に示すように、駆動回路30A、30B、及び30Cは、それぞれ、別々の回路基板32に搭載されている。同様に、信号処理回路40A、40B、及び40Cは、それぞれ、別々の回路基板42に搭載されている。回路基板32及び42は、それぞれ、共通のケース60内に収容されている。駆動回路30A、30B、30C及び信号処理回路40A、40B、40Cを収容したケース60は、シンチレータ12及び基板11を含む積層体を有する放射線検出器10の1つの辺に沿って設けられている。なお、
図1において図示を省略した制御部50、画像メモリ51、通信部52及び電源部53は、ケース60内に収容され得る。
【0037】
ケース60の表面には、駆動回路30A、30B、及び30Cにそれぞれ対応するコネクタ33A、33B、及び33Cが設けられている。駆動回路30A、30B、及び30Cの出力端子は、それぞれ、フレキシブルケーブル34を介して、対応するコネクタ33A、33B、及び33Cに引き出されている。また、ケース60の表面には、信号処理回路40A、40B、及び40Cにそれぞれ対応するコネクタ43A、43B、及び43Cが設けられている。信号処理回路40A、40B、及び40Cの出力端子は、それぞれ、フレキシブルケーブル44を介して、対応するコネクタ43A、43B、及び43Cに引き出されている。
【0038】
放射線検出器10のブロック10A、10B、及び10Cに亘るゲート線31は、ブロック10Aの端部において当該ゲート線31に接続されたフレキシブルケーブル35を介してコネクタ36Aに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ36Aと、駆動回路30Aから引き出されたコネクタ33Aと、が接続されることで、駆動回路30Aから出力される駆動信号が、放射線検出器10のブロック10A、10B、及び10Cに亘るゲート線31に供給される。
【0039】
同様に、放射線検出器10のブロック10D、10E、及び10Fに亘るゲート線31は、ブロック10Dの端部において当該ゲート線31に接続されたフレキシブルケーブル35を介してコネクタ36Bに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ36Bと、駆動回路30Bから引き出されたコネクタ33Bと、が接続されることで、駆動回路30Bから出力される駆動信号が、放射線検出器10のブロック10D、10E、及び10Fに亘るゲート線31に供給される。
【0040】
同様に、放射線検出器10のブロック10G、10H、及び10Iに亘るゲート線31は、ブロック10Gの端部において当該ゲート線31に接続されたフレキシブルケーブル35を介してコネクタ36Cに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ36Cと、駆動回路30Cから引き出されたコネクタ33Cと、が接続されることで、駆動回路30Cから出力される駆動信号が、放射線検出器10のブロック10G、10H、及び10Iに亘るゲート線31に供給される。
【0041】
一方、放射線検出器10のブロック10A、10D、及び10Gに亘る信号線41は、ブロック10Aの端部において当該信号線41に接続されたフレキシブルケーブル45を介してコネクタ46Aに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ46Aと、信号処理回路40Aから引き出されたコネクタ43Aと、が接続されることで、放射線検出器10のブロック10A、10D、及び10Gに亘る信号線41に伝送される電気信号が信号処理回路40Aに供給される。
【0042】
同様に、放射線検出器10のブロック10B、10E、及び10Hに亘る信号線41は、ブロック10Bの端部において当該信号線41に接続されたフレキシブルケーブル45を介してコネクタ46Bに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ46Bと、信号処理回路40Bから引き出されたコネクタ43Bと、が接続されることで、放射線検出器10のブロック10B、10E、及び10Hに亘る信号線41に伝送される電気信号が信号処理回路40Bに供給される。
【0043】
同様に、放射線検出器10のブロック10C、10F、及び10Iに亘る信号線41は、ブロック10Cの端部において当該信号線41に接続されたフレキシブルケーブル45を介してコネクタ46Cに引き出されている。放射線検出器10から引き出されたコネクタ46Cと、信号処理回路40Cから引き出されたコネクタ43Cと、が接続されることで、放射線検出器10のブロック10C、10F、及び10Iに亘る信号線41に伝送される電気信号が信号処理回路40Cに供給される。
【0044】
以下に、放射線画像撮影装置1の動作の一例について説明する。放射線源(図示せず)から出射され被写体を透過した放射線が放射線画像撮影装置1のシンチレータ12側から入射すると、シンチレータ12は、放射線を吸収して可視光を発する。画素15を構成する光電変換素子17は、シンチレータ12から発せられた光を電荷に変換する。光電変換素子17によって生成された電荷は、対応する画素15に蓄積される。光電変換素子17によって生成された電荷の量は、対応する画素15の画素値に反映される。
【0045】
放射線画像を生成する場合、駆動回路30A、30B、及び30Cは、制御部50から供給される制御信号に基づいて、ゲート線31を介して駆動信号をTFT16に供給する。TFT16は、この駆動信号により行単位でオン状態とされる。TFT16がオン状態とされることにより画素15に蓄積された電荷が信号線41に読み出され、信号処理回路40A、40B、及び40Cに供給される。
【0046】
信号処理回路40A~40Cは、それぞれ、図示しない増幅回路、サンプルホールド回路、マルチプレクサ及びAD変換器を含んで構成されている。個々の信号線41に伝送された電気信号は、増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力される。マルチプレクサにより順次選択された電気信号がAD変換器によってデジタル信号に変換される。信号処理回路40A、40B、及び40Cは、このデジタル信号と画素15の位置情報とを対応付けたデータを画像データとして生成する。画像メモリ51は、信号処理回路40A、40B、及び40Cによって生成された画像データを記憶する。
【0047】
図5A及び
図5Bは、それぞれ、放射線検出器10のブロック間の接続を行うコネクタ20の構成の一例を示す図である。なお、
図5A及び
図5Bには、一例として放射線検出器10のブロック10Aとブロック10Bとを接続するコネクタが示されている。また、
図5A及び
図5Bにおいて、両コネクタを区別するために、ブロック10Aに設けられたコネクタについて参照符号20Aを付与し、ブロック10Bに設けられたコネクタについて参照符号20Bを付与している。
【0048】
放射線検出器10のブロック10Aに設けられたコネクタ20Aは、ブロック10Aを構成する基板11上のゲート線31に接続された導電部21Aを有する。導電部21Aは、ブロック10Aを構成する基板11上の複数のゲート線の各々に対応して複数設けられている。導電部21Aの周囲は、絶縁部22Aにより覆われる。複数の導電部21Aは、絶縁部22Aによって互いに絶縁されている。導電部21Aの材料として、例えば、銀系微粉末等の導電性微粒子を分散させたシリコーンゴムを用いることが可能である。絶縁部22Aの材料として、例えば、絶縁性シリコーンゴムを用いることが可能である。導電部21A及び絶縁部22Aが共にシリコーンゴム等の可撓性を有する材料で構成されることにより、コネクタ20Aは、全体として可撓性を有する。
【0049】
同様に、放射線検出器10のブロック10Bに設けられたコネクタ20Bは、ブロック10Bを構成する基板11上のゲート線31に接続された導電部21Bを有する。導電部21Bは、ブロック10Bを構成する基板11上の複数のゲート線の各々に対応して複数設けられている。導電部21Bの周囲は、絶縁部22Bにより覆われる。複数の導電部21Bは、絶縁部22Bによって互いに絶縁されている。導電部21Bの材料として、導電部21Aの材料と同じ材料を用いることが可能である。絶縁部22Bの材料として、絶縁部22Aの材料と同じ材料を用いることが可能である。導電部21B及び絶縁部22Bが共にシリコーンゴム等の可撓性を有する材料で構成されることにより、コネクタ20Bは、全体として可撓性を有する。
【0050】
コネクタ20Aの導電部21Aは凹部23を有しており、コネクタ20Bの導電部21Bは凸部24有している。
図5Bに示すように、導電部21Bの凸部24が、導電部21Aの凹部23に嵌入されることにより、導電部21Aと導電部21Bとが接続され、放射線検出器10のブロック10Aとブロック10Bとが電気的及び機械的に接続される。すなわち、ブロック10Aのゲート線31の各々が、ブロック10Bの対応するゲート線31の各々に接続される。
【0051】
コネクタ20Aとコネクタ20Bとの接合は、互いを離間させる方向に力を加えることにより解除することが可能である。これにより、放射線検出器10のブロック10Bをブロック10Aから切り離すことができる。すなわち、コネクタ20Aとコネクタ20Bとを接合させた後に、
図5Aに示す状態とすることが可能である。その後更に、コネクタ20Aとコネクタ20Bとを接合した状態(すなわち、
図5Bに示す状態)とすることも可能である。
【0052】
なお、上記の説明では、放射線検出器10のブロック10Aとブロック10Bとの接続に用いるコネクタ20A、及び20Bについて説明したが、他のブロック間を接続するコネクタ20の構成も同様である。
【0053】
以上のように、開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、シンチレータ12と、シンチレータ12に積層され、シンチレータ12から発せられる光を電荷に変換する複数の光電変換素子17を有する基板11と、を含む。シンチレータ12及び基板11を含む積層体を備えた放射線検出器10が複数のブロック10A~10Iに区画されている。複数のブロック10A~10Iの各々は、他のブロックとの境界部に設けられたコネクタ20を有し、ブロック毎に切り離し可能に構成されている。
【0054】
また、放射線画像撮影装置1は、各ブロック10A~10Iにおいて、基板11上に設けられ、複数の光電変換素子17の各々に対応して設けられたスイッチング素子としての複数のTFT16と、基板11上に設けられ、複数のTFT16の各々を駆動する駆動信号を伝送するための複数のゲート線31と、基板11上に設けられ、複数の光電変換素子17によって生成された電荷に基づく電気信号を伝送するための複数の信号線41と、を有する。
【0055】
また、放射線画像撮影装置1は、複数のゲート線31のうちの互いに異なる一部のゲート線31に接続され、TFT16を駆動する駆動信号をそれぞれ出力する複数の駆動回路30A、30B、及び30Cと、複数の信号線41のうちの互いに異なる一部の信号線41に接続され、信号線41に伝送される電気信号をそれぞれ処理する複数の信号処理回路40A、40B、及び40Cと、を有する。
【0056】
複数のブロック10A~10Iの各々において、当該ブロックに含まれるゲート線31が、複数の駆動回路30A、30B、及び30Cのうちの1つに接続されている。すなわち、1つのブロックに含まれるゲート線31が、異なる複数の駆動回路に跨って接続されることはない。例えば、ブロック10A、10B、及び10Cに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Aにのみ接続され、他の駆動回路30B、及び30Cには接続されていない。
【0057】
また、複数のブロック10A~10Iの各々において、当該ブロックに含まれる信号線41の各々は、複数の信号処理回路40A、40B、及び40Cのうちの1つに接続されている。すなわち、1つのブロックに含まれる信号線41が、異なる複数の信号処理回路に跨って接続されることはない。例えば、ブロック10A、10D、及び10Gに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Aにのみ接続され、他の信号処理回路40B、及び40Cには接続されていない。このように、放射線検出器10の区画は、駆動回路30A~30C及び信号処理回路40A~40Cによって規定されている。
【0058】
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、放射線検出器10の各ブロック10A~10Iを構成する基板11、シンチレータ12、及び筐体13が可撓性を有するので、放射線検出器10は、全体として可撓性を有する。従って、放射線検出器10をパイプの表面に巻き付けることが可能である。従って、放射線画像撮影装置1を、パイプの溶接部の非破壊検査に用いることができる。なお、放射線検出器10の各ブロック10A~10I間の境界部には隙間が存在するので、この隙間部分の画像が欠落する。画像の欠落が問題となる場合には、例えば、1回目の撮影後に、放射線検出器10の位置をずらした状態で2回目の撮影を行い、1回目の撮影によって得られた放射線画像における欠落部分を2回目の撮影で得られた放射線画像によって補完する処理を行うことで対応することが可能である。
【0059】
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、以下に例示するような形態で、放射線検出器10の各ブロックを切り離すことが可能である。
図6A~6Eは、放射線検出器10の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
【0060】
図6Aは、放射線検出器10のブロック10G、10H及び10Iを切り離した状態であり、
図6Bは、放射線検出器10のブロック10D、10E、10F、10G、10H及び10Iを切り離した状態である。
図6Cは、放射線検出器10のブロック10C、10F及び10Iを切り離した状態であり、
図6Dは、放射線検出器10のブロック10B、10E、10H、10C、10F及び10Iを切り離した状態である。
図6Eは、放射線検出器10のブロック10E、10F、10H及び10Iを切り離した状態である。上記に例示する態様で放射線検出器10のブロックを切り離した場合でも、切り離されたブロック以外の各ブロックに対するゲート線31を介した駆動信号の供給、及び信号線41を介した電気信号の伝送が遮断されることはなく、切り離されたブロック以外の各ブロックにおいて、放射線画像の撮影を適正に行うことが可能である。
【0061】
このように、放射線検出器10の各ブロック10A~10Iが切り離し可能に構成されているので、放射線検出器10の形状及びサイズの撮影現場での変更が可能である。例えば、放射線画像撮影装置1を、パイプの溶接部の非破壊検査に用いる場合に、パイプの形状及びサイズ等に応じて、放射線検出器10のブロックを適宜切り離すことで、放射線検出器10の形状及びサイズを、パイプの形状及びサイズに適合させることが可能である。また、切り離したブロックを再度接続することも可能である。
【0062】
また、放射線検出器10の一部のブロックに故障または破損が生じた場合でも、故障または破損が生じた一部のブロックのみを交換することで、放射線検出器10の使用が可能となる。これにより、放射線検出器10の修理コストを抑制することが可能である。
【0063】
また、開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、放射線検出器10の各ブロック10A~10Iと、駆動回路30A~30C及び信号処理回路40A~40Cと、が対応しているので、放射線画像撮影装置の構造面及び制御面における設計が容易となる。特に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、1つのブロックに含まれるゲート線31の各々が、複数の駆動回路30A~30Cのうちの1つに接続され、1つのブロックに含まれる信号線41の各々が、複数の信号処理回路40A~40Cのうちの1つに接続されている。これにより、1つのブロックに含まれるゲート線31の各々が、複数の駆動回路30A~30Cのうちのいずれか2つ以上に接続され、1つのブロックに含まれる信号線41の各々が、複数の信号処理回路40A~40Cのうちのいずれか2つ以上に接続される場合と比較して、1つのブロックのサイズを小さくすることができる。これにより、放射線検出器10の形状及びサイズの変更をより柔軟に行うことが可能となる。
【0064】
また、開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、駆動回路30A、30B、30C及び信号処理回路40A、40B、40Cが、放射線検出器10の1つの辺に沿って設けられている。
【0065】
例えば、駆動回路30A、30B、及び30Cが、放射線検出器10の第1の辺に沿って設けられ、信号処理回路40A、40B、及び40Cが、上記第1の辺と交差する第2の辺に沿って設けられた場合には、放射線検出器10を曲げて使用することが困難となるおそれがある。また、駆動回路30A、30B、及び30Cが、放射線検出器10の第1の辺に沿って設けられ、信号処理回路40A、40B、40Cが、上記第1の辺と対向する第2の辺に沿って設けられた場合には、駆動回路30A、30B、及び30Cと、信号処理回路40A、40B、及び40Cとが分断されるので、制御部50からの配線の引き回しが煩雑となる。
【0066】
開示の技術の実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、駆動回路30A、30B、30C及び信号処理回路40A、40B、40Cが、放射線検出器10の1つの辺に沿って設けられているので、放射線検出器10を曲げて使用することが可能となり、また、制御部50からの配線の引き回しが煩雑となることを抑制することが可能となる。
【0067】
[第2の実施形態]
図7は、開示の技術の第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1Aの構成の一例を示す平面図である。
【0068】
放射線画像撮影装置1Aは、放射線検出器10のブロック構成が、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1と異なる。すなわち、本実施形態に係る放射線検出器10は、3つのブロック10J、10K、及び10Lに区画されている。
【0069】
ブロック10Jは、第1の実施形態に係るブロック10A、10B、及び10Cを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Jは、駆動回路30Aから出力される駆動信号が伝送されるゲート線31の全体を包含する。ブロック10Kは、第1の実施形態に係るブロック10D、10E、及び10Fを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Kは、駆動回路30Bから出力される駆動信号が伝送されるゲート線31の全体を包含する。ブロック10Lは、第1の実施形態に係るブロック10G、10H、及び10Iを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Lは、駆動回路30Cから出力される駆動信号が伝送されるゲート線31の全体を包含する。
【0070】
図8A及び
図8Bは、それぞれ、放射線検出器10の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
図8Aは、放射線検出器10のブロック10Lを切り離した状態であり、
図8Bは、放射線検出器10のブロック10K及び10Lを切り離した状態である。
【0071】
第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1Aによれば、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1と同様、放射線検出器10の各ブロック10J~10Lが切り離し可能に構成されているので、放射線検出器10の形状及びサイズの撮影現場での変更が可能である。
【0072】
[第3の実施形態]
図9は、開示の技術の第3の実施形態に係る放射線画像撮影装置1Bの構成の一例を示す平面図である。
【0073】
放射線画像撮影装置1Bは、放射線検出器10のブロック構成が、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1と異なる。すなわち、本実施形態に係る放射線検出器10は、3つのブロック10M、10N、及び10Oに区画されている。
【0074】
ブロック10Mは、第1の実施形態に係るブロック10A、10D、及び10Gを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Mは、信号処理回路40Aに供給される電気信号が伝送される信号線41の全体を包含する。ブロック10Nは、第1の実施形態に係るブロック10B、10E、及び10Hを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Nは、信号処理回路40Bに供給される電気信号が伝送される信号線41の全体を包含する。ブロック10Oは、第1の実施形態に係るブロック10C、10F、及び10Iを統合したものに相当する。すなわち、ブロック10Oは、信号処理回路40Cに供給される電気信号が伝送される信号線41の全体を包含する。
【0075】
図10A及び
図10Bは、それぞれ、放射線検出器10の各ブロックの切り離しの形態を例示した平面図である。
図10Aは、放射線検出器10のブロック10Oを切り離した状態であり、
図10Bは、放射線検出器10のブロック10N及び10Oを切り離した状態である。
【0076】
第3の実施形態に係る放射線画像撮影装置1Bによれば、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1と同様、放射線検出器10の各ブロック10M~10Oが切り離し可能に構成されているので、放射線検出器10の形状及びサイズの撮影現場での変更が可能である。
【0077】
[第4の実施形態]
図11は、開示の技術の第4の実施形態に係る放射線画像撮影装置1Cの構成の一例を示す平面図である。放射線画像撮影装置1Cにおいて、放射線検出器10は、複数のブロック10A~10Pに区画されている。また、放射線画像撮影装置1Cは、駆動回路30A、30B、30C、30D及び信号処理回路40A、40B、40C、40Dを有する。駆動回路30A、30B及び信号処理回路40A、40Bを収容したケース60Lは、放射線検出器10の第1の辺に沿って設けられている。駆動回路30C、30D及び信号処理回路40C、40Dを収容したケース60Rは、放射線検出器10の、上記第1の辺と対向する第2の辺に沿って設けられている。このように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1Cにおいては、駆動回路30A、30B及び信号処理回路40A、40Bが放射線検出器10の一端側に設けられ、駆動回路30C、30D及び信号処理回路40C、40Dが放射線検出器10の他端側に設けられている。
【0078】
放射線検出器10のブロック10A、10B、10C及び10Dに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Aに接続されている。放射線検出器10のブロック10E、10F、10G及び10Hに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Bに接続されている。放射線検出器10のブロック10I、10J、10K及び10Lに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Cに接続されている。放射線検出器10のブロック10M、10N、10O及び10Pに亘るゲート線31の各々は、駆動回路30Dに接続されている。
【0079】
放射線検出器10のブロック10A、10E、10I及び10Mに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Aに接続されている。放射線検出器10のブロック10B、10F、10J及び10Nに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Bに接続されている。放射線検出器10のブロック10C、10G、10K及び10Oに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Cに接続されている。放射線検出器10のブロック10D、10H、10L及び10Pに亘る信号線41の各々は、信号処理回路40Dに接続されている。
【0080】
駆動回路30A、30B、30C、及び30Dは、それぞれ、制御部50から供給される制御信号に基づいて、駆動信号を出力することで、画素15に蓄積された電荷の読み出しを行う。駆動回路30A、30B、30C、及び30Dは、互いに電気的に接続されており、駆動回路相互間で連携して動作することが可能である。例えば、駆動回路30A、30B、30C、30Dは、駆動信号が駆動回路30A、30B、30C、及び30Dから順次出力されるように連携して動作することが可能である。なお、駆動回路30A、30B、30C、及び30Dは、互いに連携することなく独立に動作してもよい。駆動回路30A、30B、30C、及び30D相互間の電気的接続は、有線または無線により実現することが可能である。
【0081】
信号処理回路40A、40B、40C、及び40Dは、それぞれ、制御部50から供給される制御信号に基づいて、画素15から読み出された電荷による電気信号に対して所定の処理を施すことで、画像データを生成する。信号処理回路40A、40B、40C、及び40Dは、互いに電気的に接続されており、信号処理回路相互間で連携して動作することが可能である。例えば、信号処理回路40A、40B、40C、及び40Dは、画像データが信号処理回路40A、40B、40C、及び40Dから順次出力されるように連携して動作することが可能である。なお、信号処理回路40A、40B、40C、及び40Dは、互いに連携することなく独立に動作してもよい。信号処理回路40A、40B、40C、及び40D相互間の電気的接続は、有線または無線により実現することが可能である。
【0082】
なお、第1乃至第4の実施形態では、放射線検出器10のブロックの一部を切り離した後に、切り離したブロックを再度接続することを可能とする場合例示したが、この態様に限定されない。放射線検出器10の各ブロックは、再接続が不可能な形態で切り離されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1A、1B 放射線画像撮影装置
10 放射線検出器
10A~10O ブロック
11 基板
12 シンチレータ
13 筐体
15 画素
16 TFT
17 光電変換素子
20、20A、20B コネクタ
21A、21B 導電部
22A、22B 絶縁部
23 凹部
24 凸部
30 駆動回路
30A、30B、30C 駆動回路
31 ゲート線
32 回路基板
33A、33B、33C コネクタ
34、35 フレキシブルケーブル
36A、36B、36C コネクタ
36B コネクタ
40A、40B、40C 信号処理回路
41 信号線
42 回路基板
43A、43B、43C コネクタ
44、45 フレキシブルケーブル
46A、46B、46C コネクタ
50 制御部
51 画像メモリ
52 通信部
53 電源部
60 ケース