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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-08
(45)【発行日】2022-07-19
(54)【発明の名称】透過度可変デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13363 20060101AFI20220711BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220711BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220711BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220711BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20220711BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02B5/30
G02F1/13 505
G02F1/133 500
G02F1/137 500
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021507662
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 KR2019011382
(87)【国際公開番号】W WO2020050614
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0105599
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、ウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ベルヤエフ、セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-177168(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158635(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0336675(US,A1)
【文献】特開平10-123503(JP,A)
【文献】特開2007-322778(JP,A)
【文献】特開平06-003665(JP,A)
【文献】特開平03-072315(JP,A)
【文献】特開昭63-234225(JP,A)
【文献】特開平05-040277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0162930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335 - 1/13363
G02F 1/133
G02F 1/137 - 1/141
G02F 1/1337
G02F 1/13
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
550nm波長の光に対する面内位相差が5,000nm以上である位相差フィルム液晶配向膜およびツイスト配向モードを具現し得る液晶層をこの順に含む透過度可変デバイスであって
前記液晶層は二色性色素を含み、
前記透過度可変デバイスは受動偏光層を含まず、
前記ツイスト配向モードのツイスト角度は、180度以上であり、
前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度Aが下記数式1を満たす透過度可変デバイスであって、
[数式1]
A=(42±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
数式1で△nは、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であり、fは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【請求項2】
550nm波長の光に対する面内位相差が5,000nm以上である位相差フィルム液晶配向膜およびツイスト配向モードを具現し得る液晶層をこの順に含む透過度可変デバイスであって
前記液晶層は二色性色素を含み、
前記透過度可変デバイスは受動偏光層を含まず、
前記ツイスト配向モードのツイスト角度は、180度以上であり、
前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち大きい角度Aが下記数式2を満たす透過度可変デバイスであって、
[数式2]
A=(132±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
数式2で△nは、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であり、fは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【請求項3】
最大透過率Tmaxと最小透過率Tminの比率Tmax/Tminが1.5~10の範囲内である、請求項1または2に記載の透過度可変デバイス。
【請求項4】
数式1の角度Aは、液晶配向膜の配向方向でツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した角度である、請求項1に記載の透過度可変デバイス。
【請求項5】
数式2の角度Aは、液晶配向膜の配向方向でツイスト配向モードのツイスティング方向の逆方向に従って測定した角度である、請求項2に記載の透過度可変デバイス。
【請求項6】
ツイスティング方向が時計方向または反時計方向である、請求項4または5に記載の透過度可変デバイス。
【請求項7】
ツイスト角度は、180度~600度の範囲内である、請求項1から6の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項8】
前記位相差フィルムの表面に前記液晶配向膜が形成されている、請求項1から7の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項9】
前記液晶配向膜がその表面に形成された基板をさらに含み、前記位相差フィルムは、前記基板の前記液晶配向膜が形成されていない表面に付着している、請求項1から7の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項10】
ツイスト配向モードは、水平ツイスト配向モードまたは傾斜ツイスト配向モードである、請求項1から9の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項11】
前記液晶層は、キラル剤を含む、請求項1から10の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項12】
前記液晶層の厚さが20μm以下である、請求項1から11の何れか一項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項13】
左眼用レンズと右眼用レンズおよび前記左眼用レンズと右眼用レンズを支持するフレームを含むアイウェアであって、
前記左眼用レンズおよび右眼用レンズは、それぞれ請求項1から12の何れか一項に記載の透過度可変デバイスを含むアイウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月4日付けで提出された韓国特許出願第10-2018-0105599号に基づいて優先権を主張し、当該韓国特許出願文献に開示された内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、透過度可変デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶化合物などを用いて透過度を可変させることができるデバイスが知られている。例えば、特許文献1は、液晶ホスト物質(Liquid Crystal Host material)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)を適用したいわゆるGHセル(Guest host cell)を使用した透過度可変デバイスが知られている。
【0004】
このようなデバイスの用途は、次第に拡大しており、例えば、前記デバイスは、メガネまたはサングラスなどのアイウェア(eyewear)、モバイル機器、仮想現実(VR:Virtual Reality)用機器や増強現実(AR:Augmented Reality)用機器または車両の窓などのようなウェラブル(wearable)デバイスや野外でも適用される機器にも使用され得る。
【0005】
液晶化合物を適用して透過度を調節する機器の場合、基本的に一定水準以上の偏光が生成されるが、このようなデバイスは、使用環境によって路面または構造物、建物などによる反射光が一部偏光性を有することによって、クロストーク(crosstalk)現象、レインボー(rainbow)現象またはミラーリング(mirroring)現象などのような問題を誘発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、透過度可変デバイスに関する。本出願では、クロストーク(crosstalk)現象、レインボー(rainbow)現象またはミラーリング(mirroring)現象などのような問題を誘発しないので、多様な用途への適用が可能な透過度可変デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において定義する角度は、製造誤差(error)または偏差(variation)などの誤差を勘案して理解されなければならない。例えば、本明細書において用語「垂直、平行、直交または水平」などは、目的とする効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、平行、直交または水平を意味し、例えば、前記それぞれの場合は、約±10度以内の誤差、約±5度以内の誤差、約±3度以内の誤差、約±2度以内の誤差、約±1度以内の誤差または約±0.5度以内の誤差を含むことができる。
【0008】
本明細書において言及する物性のうち測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に、特に別途規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。
【0009】
本明細書において用語「常温」は、特に加温されたり減温されない状態での温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、かつ約27℃以下の温度を意味する。また、特に別途規定しない限り、本明細書において言及する温度の単位は、℃である。
【0010】
本明細書において言及する位相差、屈折率および屈折率異方性などは、特に別途規定しない限り、約550nm波長の光に対する物理量である。
【0011】
特に別途規定しない限り、本明細書において言及する任意の2個の方向が成す角度は、前記二つの方向が成す鋭角乃至鈍角のうち鋭角であるか、または時計方向および反時計方向に測定された角度のうち小さい角度でありうる。したがって、特に別途規定しない限り、本明細書において言及する角度は、正数である。ただし、場合によって時計方向または反時計方向に測定された角度間の測定方向を表示するために、前記時計方向に測定された角度を正数で表示し、反時計方向に測定された角度を負数で表記することもできる。
【0012】
本出願では、特定の位相差フィルムを特定の配置で適用することによって、前述したクロストーク(crosstalk)現象、レインボー(rainbow)現象またはミラーリング(mirroring)現象などのような問題を誘発しない透過度可変デバイスを提供することができる。
【0013】
本出願において用語「透過度可変デバイス」は、少なくとも2個以上の異なる光の状態の間をスイッチングし得るデバイスを意味する。前記で異なる光の状態は、少なくとも透過度が異なる状態を意味する。
【0014】
前記透過度可変デバイスが具現し得る状態の例としては、透過および遮断モード状態が例示され得る。一つの例において、本出願の透過度可変デバイスは、少なくとも前記透過および遮断モード状態の間をスイッチングし得るデバイスでありうる。
【0015】
前記透過モード状態での透過度可変デバイスの透過度が少なくとも20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上または80%以上程度でありうる。また、前記遮断モード状態で透過度可変デバイスの透過度は、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下でありうる。透過モードで透過度は、高いほど有利であり、遮断モードでは、透過度が低いほど有利であるので、前記透過モード状態の透過度の上限と遮断モード状態の透過度の下限は、特に制限されず、一つの例において、前記透過モード状態の透過度の上限は、約100%であり、遮断モード状態での透過度の下限は、約0%でありうる。
【0016】
一つの例において、前記透過モード状態と遮断モード状態の間をスイッチングし得る透過度可変デバイスにおいて前記透過モード状態での透過度と遮断モード状態での透過度の差異(透過モード-遮断モード)は、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上または40%以上でありうるか、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下または45%以下でありうる。
【0017】
また、一つの例において、前記透過モード状態での最大透過度Tmaxと前記遮断モード状態での最小透過度Tminの比率Tmax/Tminは、約1.5~10の範囲内でありうる。前記比率は、他の例において、約2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、4.5以上、5以上、6以上または6.5以上であるか、約9.5以下、約9以下、約8.5以下、約8以下、約7.5以下、約7以下、約6.5以下、約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、約2.5以下または約2以下でありうる。
【0018】
前記透過度は、例えば、直進光透過度でありうる。直進光透過度は、前記デバイスに入射した光に対する前記入射方向と同一方向に透過した光の比率の百分率である。例えば、前記デバイスがフィルムまたはシート形態であれば、前記フィルムまたはシート表面の法線方向と並んでいる方向に入射した光のうちやはり前記法線方向と並んでいる方向に前記デバイスを透過した光の百分率を前記透過度として定義することができる。
【0019】
前記透過度は、それぞれ可視光領域、例えば、約400~700nmまたは約380~780nmの範囲内のいずれか一つの波長に対する透過度または反射率であるか、前記可視光領域の全体に対する透過度または反射率であるか、前記可視光領域の全体に対する透過度または反射率のうち最大または最小透過度または反射率であるか、前記可視光領域内の透過度の平均値または反射率の平均値でありうる。また、他の例において、前記透過度は、約550nmの波長の光に対する透過度でありうる。
【0020】
本出願の透過度可変デバイスは、前記透過および遮断モード状態で選択されたいずれか一つの状態および他の一つの状態の少なくとも2個以上の状態の間をスイッチングし得るように設計され得る。必要に応じて、前記状態以外に他の状態、例えば、前記透過モードおよび遮断モード状態の中間透過度の状態などを含むその他第3の状態またはそれ以上の状態も具現され得る。
【0021】
前記のような透過度可変デバイスのスイッチングは、外部信号の印加、例えば、電圧信号の印加有無によって調節することができる。例えば、電圧のような外部信号の印加がない状態で透過度可変デバイスは、前記記述した状態のうちいずれか一つの状態を維持してから、電圧が印加されれば、他の状態にスイッチングされ得る。印加される電圧の強さ、周波数および/または形態を変更することによって、モードの状態を変更したり、あるいは、前記第3の他のモード状態を具現することもできる。
【0022】
本出願の透過度可変デバイスは、前記のようなスイッチングのために少なくとも透過度可変層を含むことができる。前記透過度可変層は、一つの例において、偏光成分を生成する層でありうる。このような透過度可変層の例としては、能動液晶層がある。
【0023】
本出願において用語「能動液晶層」は、液晶化合物を少なくとも含む層であって、前記液晶化合物の配向状態を外部信号の印加などを通して制御できる液晶層を意味する。ただし、能動液晶層の適用は、本出願の一つの例であり、必要に応じて、他の公知の透過度可変層、例えば、電気変色物質層、光変色物質層、電気泳動物質層または分散粒子配向層などが使用されることもできる。
【0024】
能動液晶層は、液晶化合物を含む層である。本明細書において用語「能動液晶層」の範囲には、外部信号の印加などを通してその配向を制御できる液晶化合物を含んでいる層が全て含まれ、例えば後述するように、液晶化合物(液晶ホスト)と二色性染料を含むいわゆるゲストホスト層も、本明細書において規定する液晶層の一種である。液晶化合物としては、外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るものであれば、すべての種類の液晶化合物を使用することができる。例えば、液晶化合物としては、スメクチック(smectic)液晶化合物、ネマチック(nematic)液晶化合物またはコレステリック(cholesteric)液晶化合物などを使用することができる。また、外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るように、液晶化合物は、例えば重合性基または架橋性基を有しない化合物でありうる。
【0025】
前記液晶層は、誘電率異方性が正数または負数である液晶化合物を含むか、あるいは、前記液晶層は、前記言及された誘電率異方性を示すことができる。誘電率異方性の絶対値は、本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。用語「誘電率異方性△ε」は、水平誘電率ε//と垂直誘電率ε⊥)の差ε//-ε⊥を意味する。本明細書において用語「水平誘電率ε//」は、液晶分子の配向子と印加電圧による電場の方向が実質的に水平になるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率の値を意味し、垂直誘電率ε⊥は、液晶分子の配向子と印加電圧による電場の方向が実質的に垂直になるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率の値を意味する。
【0026】
前記液晶層は、屈折率異方性n△が約0.03~0.2の範囲内である液晶化合物を含むか、前記液晶層が前記言及された屈折率異方性を示すことができる。本出願において言う屈折率異方性n△は、異常屈折率ne(extraordinary refractive index)および正常屈折率no(ordinary refractive index)の差ne-noであり、これは、Abbe屈折計を利用して確認できるが、その具体的な方式は、下記実施例に開示された方法に従う。
【0027】
液晶層の駆動モードは、例えば、DS(Dynamic Scattering)モード、ECB(Electrically Controllable Birefringence)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe-Field Wwitching)モード、OCB(Optially Compensated Bend)モード、VA(Vertical Alignment)モード、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードなどを例示することができる。
【0028】
透過度可変層である能動液晶層は、光透過度可変特性を調節するという側面から、前記液晶化合物と共に二色性染料をさらに含むことができる。このような場合に、能動液晶層は、後述するゲストホスト液晶層(Guest host liquid crystal cell)と呼ばれることができる。本明細書において用語「染料」は、可視光領域、例えば、400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部または全体範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させることができる物質を意味し、用語「二色性染料」は、前記可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味する。このような染料としては、例えば、アゾ染料またはアントラキノン染料などが公知となっているが、これに制限されるものではない。
【0029】
一つの例において、前記透過度可変層は、液晶および二色性染料を含む液晶層であって、いわゆるゲストホスト液晶層(Guest host liquid crystal cell)でありうる。用語「GHLC層」は、液晶の配列によって二色性染料が共に配列されて、二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味する。例えば、二色性染料は、光の吸収率が偏光方向によって変わる物質であって、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きければ、p型染料と呼び、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きければ、n型染料と呼ぶことができる。一つの例において、p型染料が使用される場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は、吸収が少ないため、透過させることができる。以下では、特別な言及がない限り、二色性染料は、p型染料であると仮定する。
【0030】
前記ゲストホスト液晶層内に含まれる二色性染料の比率は、特に制限されず、目的とする透過度を考慮して適正範囲に設定され得る。通常、二色性染料および液晶化合物の混和性などを考慮して前記二色性染料は、約0.1重量%~4重量%程度の割合で液晶層内に含まれ得る。
【0031】
ゲストホスト液晶層を透過度可変層として含む光変調フィルム層は、能動型偏光子(Active Polarizer)として機能することができる。本明細書において用語「能動型偏光子(Active Polarizer)」は、外部信号の印加によって非等方性光吸収を調節できる機能性素子を意味する。このような能動型偏光子は、後述する受動型偏光子が外部信号の印加と関係なく一定の光吸収乃至光反射特性を有するものと区別され得る。前記ゲストホスト液晶層は、液晶および二色性染料の配列を調節することによって、前記二色性染料の配列方向と平行な方向の偏光および垂直な方向の偏光に対する非等方性光吸収を調節することができる。液晶および二色性染料の配列は、磁場または電場のような外部信号の印加によって調節され得るので、ゲストホスト液晶層は、外部信号の印加によって非等方性光吸収を調節することができる。
【0032】
一つの例において、前記能動液晶層は、少なくとも垂直配向モード、水平配向モードおよび傾斜配向モードのうちいずれか一つの状態と他の状態の間をスイッチングし得るように構成され得る。前記垂直、水平および傾斜配向モードの意味は、公知の内容に従う。
【0033】
したがって、例えば、用語「水平配向状態」は、透過度可変層である能動液晶層の配向子または前記液晶層内の液晶化合物の配向子が前記可変層(液晶層)に略平行に配列された状態を意味する。このような場合に、前記可変層(液晶層)の側面で前記配向子と前記可変層が成す角度は、概略0度~10度または略0度~5度の範囲内であるか、または約0度でありうる。
【0034】
また、例えば、用語「垂直配向状態」は、透過度可変層である能動液晶層の配向子または前記液晶層内の液晶化合物の配向子が前記可変層(液晶層)の平面に対して略垂直に配列された状態であり、例えば、前記可変層(液晶層)の側面で前記配向子と前記可変層(液晶層)が成す角度は、例えば、約80度~100度または85度~95度の範囲内であるか、略約90度を成すことができる。
【0035】
また、例えば、用語「傾斜配向状態」は、前記垂直配向状態および水平配向状態の中間状態の配向状態であって、前記可変層(液晶層)の側面で前記可変層(液晶層)の配向子または前記液晶層内の液晶化合物の配向子が前記可変層(液晶層)と成す角度が0度超過かつ90度未満の場合、あるいは、略10度~80度の範囲内である場合を意味する。
【0036】
本明細書において液晶分子または液晶化合物の配向子は、能動液晶層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味する。前記液晶分子の配向子は、液晶分子がロッド(rod)形状である場合、長軸方向を意味し、液晶分子が円板(discotic)形状である場合、円板平面の法線方向の軸を意味する。能動液晶層内に互いに配向子が異なる液晶化合物が複数存在する場合に、前記配向子は、ベクター合計である。
【0037】
一つの例において、前記透過度可変層である能動液晶層は、少なくともツイスト配向モードを具現し得るように設計され得る。用語「ツイスト配向モード」は、液晶層内で液晶化合物の配向子が仮想の螺旋軸に沿ってねじれながら層を成して配向した螺旋形の構造を意味する。前記ツイスト配向モードは、前述した垂直、水平または傾斜配向モードで具現され得るが、すなわち垂直ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が垂直配向された状態で螺旋軸に沿ってねじれながら層を成す状態であり、水平ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が水平配向された状態で螺旋軸に沿ってねじれながら層を成す状態であり、傾斜ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が傾斜配向された状態で螺旋軸に沿ってねじれながら層を成す状態である。
【0038】
前記ツイスト配向モードで液晶層の厚さdとピッチpの比率d/pは、1以下でありうる。前記比率d/pが1を超過すれば、フィンガードメイン(finger domain)などが発生する問題があり得るので、できるだけ前記範囲に調節され得る。前記比率d/pの下限は、特に制限されないが、約0.6以上または約0.6超過でありうる。前記で液晶層の厚さdは、液晶セルのセルギャップ(cell gap)と同じ意味でありうる。
【0039】
ツイスト配向モードの液晶層のピッチpは、ウェッジセル(Wedge cell)を利用した計測方法で測定することができ、具体的には、D.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals,Vol.35,No.7,July 2008,789-791)に記載された方式で測定することができる。
【0040】
前記液晶層がツイストモードを具現し得るように、前記液晶層は、いわゆるキラル剤をさらに含むことができる。すなわち、前記能動液晶層は、液晶化合物とキラル剤を少なくとも含むか、液晶化合物と二色性染料とキラル剤を少なくとも含むことができる。液晶層に含まれ得るキラル剤(chiral agentあるいはchiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマチック規則性を損傷させずに、目的とする回転(twisting)を誘導し得るものであれば、特に制限されずに使用され得る。液晶分子に回転を誘導するためのキラル剤は、分子構造中にキラルリティ(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラル剤としては、例えば、1個または2個以上の非対称炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に非対称点(asymmetric point)がある化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)などの軸不斉を有する光学活性された部位(axially asymmetric,optically active site)を有する化合物が例示され得る。キラル剤は、例えば分子量が1,500以下の低分子化合物でありうる。キラル剤としては、市販されるキラルネマチック液晶、例えば、Merck社で市販されるキラルドーパント液晶S-811またはBASF社のLC756などを使用することもできる。
【0041】
キラル剤の適用比率は、目的とする前記比率d/pを達成することができるように選択されるものであって、特に制限されない。一般的にキラル剤の含量(重量%)は、100/(HTP(Helixcal Twisting power)×ピッチ(nm)の数式で計算され、このような方式を参照して目的とするピッチを考慮して適正比率が選択され得る。
【0042】
透過度可変層の厚さは、それぞれ本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。一つの例において、前記透過度可変層の厚さは、約0.01μm以上、0.1μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上または10μm以上でありうる。このように厚さを制御することによって、モード状態による透過度の差異が大きいデバイスを具現し得る。前記厚さは、厚いほど高い透過度および/または反射率の差異を具現することができるので、特に制限されるものではないが、一般的に約30μm以下、25μm以下、20μm以下または15μm以下でありうる。
【0043】
本出願のデバイスは、前記言及された透過度可変層の少なくとも一面に配置された位相差フィルムをさらに含む。図1は、本出願の一例示によるデバイスの模式図であって、順次配置された前記位相差フィルム100および可変層200を示す。
【0044】
本出願では、前記位相差フィルムとして、光学的に大きい非等方性を有するフィルムを特定位置で配置させることによって、いわゆるレインボー現象や、ミラーリング現象およびクロストーク現象がないデバイスを提供することができる。付随的に、前記位相差フィルムとして、機械的物性の側面においても非等方性であるフィルムを適用することによって、機械的物性にも優れたデバイスを構成することができる。
【0045】
本明細書において前記光学的および機械的物性の側面において非等方性である位相差フィルムは、非対称基板または非対称位相差フィルムと呼称され得る。前記で位相差フィルムが光学的に非等方性というのは、後述する面内位相差を有する場合であり、機械的物性の側面において非等方性というのは、後述する物性を有する場合である。
【0046】
以下、本明細書において言及する位相差フィルムの物性は、前記位相差フィルム自体の物性であるか、あるいは、前記位相差フィルムの一面に電極層が形成された状態における物性でありうる。この際、前記電極層は、前記位相差フィルムが光学デバイスに含まれている状態で形成されている電極層でありうる。
【0047】
本明細書において言及する各位相差フィルムの物性の測定は、本明細書の実施例の項目に記述した方式によって測定する。
【0048】
一つの例において、前記位相差フィルムの面内位相差は、約4,000nm以上でありうる。前記面内位相差は、550nm波長の光に対する値である。
【0049】
本明細書において面内位相差Rinは、下記数式Aで計算された値を意味する。
【0050】
[数式A]
Rin=d×(nx-ny)
【0051】
数式AでRinは、面内位相差であり、dは、位相差フィルムの厚さであり、nxは、位相差フィルムの遅相軸方向の屈折率であり、nyは、進相軸方向の屈折率であって、前記遅相軸方向と直交する面内方向の屈折率である。
【0052】
前記位相差フィルムの面内位相差は、それぞれ4,500nm以上、5,000n m以上、6,000nm以上、7,000nm以上、8,000nm以上、9,000m以上、10,000m以上、11,000m以上、12,000m以上、13,000m以上、14,000m以上または15,000m以上程度でありうる。また、前記位相差フィルムそれぞれの面内位相差は、約50,000nm以下、約40,000nm以下、約30,000nm以下、20,000nm以下、18,000nm以下、16,000nm以下、15,000nm以下または12,000nm以下程度でありうる。
【0053】
前記のような大きい位相差を有するフィルムとしては、いわゆる高延伸PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムまたはSRF(Super Retardation Film)などと知られたフィルムが代表的に知られている。したがって、本出願において前記位相差フィルムは、例えば、ポリエステルフィルムでありうる。
【0054】
上記のようにきわめて高い位相差を有するフィルムは、当業界において公知であり、このようなフィルムは、光学的に大きい非等方性はもちろん、製造過程での高延伸などにより機械的物性も大きい非対称性を示す。当業界に公知となった前記位相差フィルムの代表的な例としては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルムであり、例えば、Toyobo社で供給される商品名SRF(Super Retardation Film)系のフィルムがある。
【0055】
一つの例において、前記位相差フィルムは、面内の任意の第1方向での延伸率E1と前記第1方向と垂直を成す第2方向での延伸率E2の比率E1/E2が3以上でありうる。前記比率E1/E2は、他の例において、約3.5以上、4以上、4.5以上、5以上、5.5以上、6以上または6.5以上でありうる。前記比率E1/E2は、他の例において、約20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、8以下または7.5以下でありうる。
【0056】
本明細書において用語「位相差フィルムの第1方向、第2方向および第3方向」は、前記フィルムの面内の任意の方向である。例えば、位相差フィルムが延伸位相差フィルムである場合に、前記面内の方向は、前記位相差フィルムのMD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向により形成される面内の方向でありうる。一つの例において、本明細書において記述する第1方向は、位相差フィルムの遅相軸および進相軸方向のうちいずれか一つの方向であり、第2方向は、遅相軸および進相軸方向のうち他の一つの方向でありうる。他の例において、前記第1方向は、位相差フィルムが延伸位相差フィルムである場合に、MD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向のうちいずれか一つの方向であり、第2方向は、MD(Machine Direction)およびTD(transverse direction)方向のうち他の一つの方向でありうる。
【0057】
一つの例において、本明細書において言及する位相差フィルムの第1方向は、前記TD方向または遅相軸方向でありうる。
【0058】
前記位相差フィルムの前記第1方向(例えば、前述した遅相軸方向またはTD方向)での延伸率が15%以上または20%以上でありうる。前記延伸率は、他の例において、約25%以上、30%以上、35%以上または40%以上でありうるか、約60%以下、55%以下、50%以下または45%以下でありうる。
【0059】
一つの例において、前記位相差フィルムは、前記第1および第2方向とそれぞれ40度~50度の範囲内の角度または約45度を成す第3方向での延伸率E3が前記第1方向での延伸率E1に比べて大きく、前記第3方向での延伸率E3と前記第2方向での延伸率E2の比率E3/E2が5以上でありうる。
【0060】
前記比率E3/E2は、他の例において、5.5以上、6以上、6.5以上、7以上、7.5以上、8以上または8.5以上であり得、約20以下、18以下、16以下、14以下、12以下または10以下でありうる。
【0061】
位相差フィルムの前記第3方向での延伸率が30%以上でありうる。前記延伸率は、他の例において、約35%以上、40%以上、45%以上、50%以上または55%以上でありうるか、約80%以下、75%以下、70%以下または65%以下でありうる。
【0062】
前記位相差フィルムは、前記第2方向での熱膨張係数CTE2と前記第1方向での熱膨張係数CTE1の比率CTE2/CTE1が1.5以上でありうる。前記熱膨張係数CTE1、CTE2は、それぞれ40℃~80℃の温度範囲内で確認される値である。前記比率CTE2/CTE1は、他の例において、約2以上、約2.5以上、3以上または3.5以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下または4以下でありうる。
【0063】
前記第2方向での熱膨張係数CTE2は、5~150ppm/℃の範囲内でありうる。前記熱膨張係数は、約10ppm/℃以上、15ppm/℃以上、20ppm/℃以上、25ppm/℃以上、30ppm/℃以上、35ppm/℃以上、40ppm/℃以上、45ppm/℃以上、50ppm/℃以上、約55ppm/℃以上、60ppm/℃以上、65ppm/℃以上、70ppm/℃以上、75ppm/℃以上または80ppm/℃以上であるか、140ppm/℃以下、130ppm/℃以下、120ppm/℃以下、100ppm/℃以下、95ppm/℃以下、90ppm/℃以下、85ppm/℃以下、80ppm/℃以下、40ppm/℃以下、30ppm/℃以下または25ppm/℃以下でありうる。
【0064】
前記位相差フィルムは、前記第2方向での弾性率YM2と前記第1方向での弾性率YM1の比率YM1/YM2が1.5以上でありうる。前記比率YM1/YM2は、他の例において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2.5以下でありうる。
【0065】
前記第1方向での弾性率YM1は、約2~10GPaの範囲内でありうる。前記弾性率YM1は、他の例において、約2.5GPa以上、3GPa以上、3.5GPa以上、4GPa以上、4.5GPa以上、5GPa以上または5.5GPa以上であるか、約9.5GPa以下、9GPa以下、8.5GPa以下、8GPa以下、7.5GPa以下、7GPa以下、6.5GPa以下または6GPa以下であり得る。
【0066】
前記弾性率は、いわゆるヤング率(Young's modulus)を意味する。
【0067】
前記位相差フィルムは、前記第2方向での最大応力MS2と前記第1方向での最大応力MS1の比率MS1/MS2が1.5以上でありうる。前記比率MS1/MS2は、他の例において、約2以上であるか、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2.5以下でありうる。
【0068】
前記第1方向(例えば、前述した遅相軸方向またはTD方向)での最大応力MS1は、約80~300MPaの範囲内でありうる。前記最大応力MS1は、他の例において、約90MPa以上、約100MPa以上、約110MPa以上、約120MPa以上、約130MPa以上、約140MPa以上、約150MPa以上、約155MPa以上、160MPa以上、165MPa以上、170MPa以上、175MPa以上または180MPa以上であるか、約300MPa以下、約290MPa以下、約280MPa以下、約270MPa以下、約260MPa以下、約250MPa以下、約245MPa以下、240MPa以下、235MPa以下、230MPa以下、225MPa以下、220MPa以下、215MPa以下、210MPa以下、205MPa以下、200MPa以下、195MPa以下または190MPa以下であり得る。
【0069】
前述したように、前記のような大きい光学的および機械的非対称性を有する高分子フィルムの代表的な例は、いわゆる高延伸ポリエステルフィルムなどと知られた延伸PET(polyethyleneterephtalate)フィルムであり、このようなフィルムは、当業界で容易に入手することができる。
【0070】
通常、延伸PETフィルムは、PET系樹脂を溶融/押出で製膜し、延伸して製造した1層以上の一軸延伸フィルムまたは製膜後に縦および横延伸して製造した1層以上の二軸延伸フィルムである。
【0071】
PET系樹脂は、通常、反復単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートからなる樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含むこともできる。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものではないが、例えばイソフタル酸、p-ベータ-オキシエトキシ安息香酸、4,4'-ジカルボキシジフェニル、4,4'-ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸および/または1,4-ジカルボキシシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0072】
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0073】
前記ジカルボン酸成分やジオール成分は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用することができる。また、p-オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合およびカルボネート結合などを含有するジカルボン酸成分、またはジオール成分が利用されることもできる。
【0074】
PET系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸、エチレングリコールおよび/または必要に応じて他のジカルボン酸または他のジオールを直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルおよびエチレングリコールおよび/または必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステルまたは他のジオールをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、およびテレフタル酸および/または必要に応じて他のジカルボン酸のエチレングリコールエステルおよび/または必要に応じて他のジオールエステルを重縮合させる方法などが採用される。
【0075】
それぞれの重合反応には、アンチモン系、チタン系、ゲルマニウム系またはアルミニウム系化合物を含む重合触媒、または前記複合化合物を含む重合触媒を使用することができる。
【0076】
重合反応条件は、使用される単量体、触媒、反応装置および目的とする樹脂物性によって適切に選択することができ、特に制限されるものではないが、例えば反応温度は、通常、約150℃~約300℃、約200℃~約300℃または約260℃~約300℃である。また、反応圧力は、通常、大気圧~約2.7Paであり、反応後半には、減圧側でありうる。
【0077】
重合反応は、ジオール、アルキル化合物または水などの離脱反応物を揮発させることによって進行される。
【0078】
重合装置は、反応槽が一つに完結されるものであり得、または複数の反応槽を連結したものでありうる。この場合、通常、重合度によって反応物は、反応槽間を移送しつつ重合される。また、重合後半に横型反応装置を具備し、加熱/混練しつつ、揮発させる方法も採用することができる。
【0079】
重合終了後の樹脂は、溶融状態で反応槽や横型反応装置から放出された後、冷却ドラムや冷却ベルトなどで冷却・粉砕されたフレーク状の形態で、または押出器に導入されてひも形状に押出された後に裁断されたペレット状の形態で得られる。また、必要に応じて固相重合を行って、分子量を向上させたり、低分子量成分を減少させたりすることもできる。PET系樹脂に含まれ得る低分子量成分としては、環状の三量体成分が挙げられるが、このような環状の三量体成分の樹脂中での含有量は、通常、5000ppm以下または3000ppm以下に調節される。
【0080】
PET系樹脂の分子量は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒に樹脂を溶解させ、30℃で測定した極限粘度で示したとき、通常、0.45~1.0dL/g、0.50~10dL/gまたは0.52~0.80dL/gの範囲である。
【0081】
また、PET系樹脂は、必要に応じて添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば潤滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤および耐衝撃性改良剤などが挙げられる。その添加量は、光学物性に悪影響を及ぼさない範囲にすることが好ましい。
【0082】
PET系樹脂は、このような添加剤の配合のために、および後述するフィルム成形のために、通常、押出器により造粒されたペレット形状に利用される。ペレットのサイズや形状は、特に制限されるものではないが、通常、高さ、直径がいずれも5mm以下の円周状、球状または扁平球状である。このようにして得られるPET系樹脂は、フィルム状に成形し、延伸処理することによって、透明かつ均質の機械的強度が高いPETフィルムにすることができる。その製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば下記に記載する方法が採用される。
【0083】
乾燥させたPET樹脂からなるペレットを溶融押出装置に供給し、融点以上に加熱して溶融させる。次に、溶融した樹脂をダイから押出、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化させて、実質的に非結晶状態の未延伸フィルムを得る。この溶融温度は、使用されるPET系樹脂の融点や押出器によって定められるものであり、特に制限されるものではないが、通常、250℃~350℃である。また、フィルムの平面性を向上させるためには、フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法または液体塗布密着法が好ましく採用される。静電印加密着法とは、通常、フィルムの上面側にフィルムの流れと直交する方向に線状電極を設置し、その電極に約5~10kVの直流電圧を印加することによって、フィルムに正電荷を提供して、回転冷却ドラムとフィルムとの密着性を向上させる方法である。また、液体塗布密着法とは、回転冷却ドラム表面の全体または一部(例えばフィルム両端部と接触する部分のみ)に液体を均一に塗布することによって、回転冷却ドラムとフィルムとの密着性を向上させる方法である。必要に応じて両者を併用することもできる。使用されるPET系樹脂は、必要に応じて2種以上の樹脂、構造や組成が異なる樹脂を混合することもできる。例えば、ブロッキング防止剤としての粒状充填材、紫外線吸収剤または帯電防止剤などが配合されたペレットと、無配合のペレットを混合して利用するものなどが挙げられる。
【0084】
また、押出させるフィルムの積層数は、必要に応じて2層以上にすることもできる。例えば、ブロッキング防止剤としての粒状充填材を配合したペレットと無配合のペレットを準備し、他の押出器から同じダイに供給して「充填材配合/無配合/充填材配合」の2種3層からなるフィルムを押出させるものなどが挙げられる。
【0085】
前記未延伸フィルムは、ガラス転移温度以上の温度で通常、まず押出方向に縦延伸される。延伸温度は、通常、70℃~150℃、80~130℃または90~120℃である。また、延伸倍率は、通常1.1~6倍または2~5.5倍である。延伸は、1回に終えてもよく、必要に応じて複数回に分けて行うこともできる。
【0086】
このようにして得られる縦延伸フィルムは、以後に熱処理を行うことができる。次に、必要に応じて弛緩処理を行うこともできる。この熱処理温度は、通常、150℃~250℃、180~245℃または200~230℃である。また、熱処理時間は、通常、1~600秒間または1~300秒間または1~60秒間である。
【0087】
弛緩処理の温度は、通常、90~200℃または120~180℃である。また、弛緩量は、通常、0.1~20%または2~5%である。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のPETフィルムの150℃での熱収縮率が2%以下になるように、弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することができる。
【0088】
一軸延伸および二軸延伸フィルムを得る場合、通常、縦延伸処理後に、または必要に応じて熱処理または弛緩処理を経た後に、テンターにより横延伸が行われる。この延伸温度は、通常、70℃~150℃、80℃~130℃または90℃~120℃である。また、延伸倍率は、通常、1.1~6倍または2~5.5倍である。以後、熱処理および必要に応じて弛緩処理を行うことができる。熱処理温度は、通常、150℃~250℃または180℃~245℃または200~230℃である。熱処理時間は、通常1~600秒間、1~300秒間または1~60秒間である。
【0089】
弛緩処理の温度は、通常、100~230℃、110~210℃または120~180℃である。また、弛緩量は、通常、01~20%、1~10%または2~5%である。この弛緩処理の温度および弛緩量は、弛緩処理後のPETフィルムの150℃での熱収縮率が2%以下になるように、その弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することができる。
【0090】
一軸延伸および二軸延伸処理においては、横延伸後に、ボーイングと代表されるような配向主軸の変形を緩和させるために、再度熱処理を行ったり、延伸処理を行ったりすることができる。ボーイングによる配向主軸の延伸方向に対する変形の最大値は、通常45度以内、30度以内または15度以内である。また、ここで、延伸方向とは、縦延伸または横延伸における延伸が大きい方向をいう。
【0091】
PETフィルムの二軸延伸では、通常、横延伸倍率の場合が縦延伸倍率より若干大きく行われ、この場合、延伸方向とは、前記フィルムの長い方向に対して垂直方向をいう。また、一軸延伸では、通常、上記したように、横方向に延伸され、この場合、延伸方向とは、同一に長い方向に対して垂直方向をいう。
【0092】
また、配向主軸とは、延伸PETフィルム上の任意の点での分子配向方向をいう。また、配向主軸の延伸方向に対する変形とは、配向主軸と延伸方向との角度差をいう。また、その最大値とは、長い方向に対して垂直方向上での値の最大値をいう。
【0093】
前記配向主軸の確認方向は、公知となっており、例えば位相差フィルム・光学材料検査装置RETS(大塚電子株式会社製造)または分子配向計MOA(王子計測機器株式会社製造)を利用して測定することができる。
【0094】
前記延伸PETフィルムには、本出願の効果を妨害しない限り、前記防眩層など以外の機能層を片方面または両面に積層することができる。積層される機能層には、例えば導電層、ハードコーティング層、平滑化層、易滑化層、ブロッキング防止層および易接着層などが挙げられる。
【0095】
前記説明した製造方法は、本出願の位相差フィルムを得るための一つの例示的な方法であり、本出願において適用可能な位相差フィルムは、前記記述した物性を有すると、いずれの種類の市販品も使用され得る。
【0096】
本出願のデバイスでは、前記位相差フィルムは、前記フィルムの遅相軸が特定の位置関係を有するようにデバイス内に含まれる。
【0097】
一つの例において、前記デバイスは、後述する液晶配向膜を前記位相差フィルムと前記透過度可変層との間に含むことができるが、このような場合に、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度は、0度~70度の範囲内でありうる。図2は、前記例示において位相差フィルム100、液晶配向膜300および透過度可変層200が順次配置された場合の模式図である。前記角度は、前記配向方向と遅相軸が成す角度のうち小さい角度であり、一つの例において、0度~360度程度の範囲内でありうる。前記角度は、他の例において、0度超過、2度以上、4度以上、6度以上、8度以上、10度以上、12度以上、14度以上、16度以上、18度以上、20度以上、22度以上、24度以上、26度以上、28度以上、30度以上、32度以上、34度以上、36度以上、38度以上、40度以上、42度以上、44度以上、46度以上、48度以上または50度以上であるか、360度未満、350度以下、340度以下、330度以下、320度以下、310度以下、300度以下、290度以下、280度以下、270度以下、260度以下、250度以下、240度以下、230度以下、220度以下、210度以下、200度以下、190度以下、180度以下、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下、130度以下、120度以下、110度以下、100度以下、90度以下、80度以下、70度以下または60度以下程度でありうる。前記液晶配向膜は、前記透過度可変層が能動液晶層である場合に、前記液晶層内の液晶の初期配向を決定するために使用され得る。この際、適用される液晶配向膜の種類は、特に制限されず、例えば、公知のラビング配向膜または光配向膜でありうる。後述するように、能動液晶層の両側に配向膜が存在する場合もあるが、このような場合に、位相差フィルムの遅相軸と前記角度の配向方向を有する配向膜は、前記位相差フィルムと近く位置した配向膜の配向方向である。配向方向は、ラビング配向膜の場合は、ラビング方向、光配向膜である場合は、照射される偏光の方向でありうるが、このような配向方向は、線形偏光子を使用した検出方式で確認することができる。例えば、液晶層(透過度可変層)がSTN(Super Twisted Nematic)モードなどのようなツイスト配向モードである場合に、一面に線形偏光子を配置し、その偏光子の吸収軸を変更しつつ透過率を測定すると、前記吸収軸または透過軸と液晶配向膜の配向方向が一致する場合に、透過率が低くなる傾向を示すが、適用された液晶化合物の屈折率異方性などを反映した模写(simulation)を通じて配向方向を確認することができる。液晶層(透過率可変層)のモードによって配向方向を確認する方式は公知となっており、本出願では、このような公知の方式で液晶配向膜の配向方向と遅相軸が成す角度を確認することができる。
【0098】
他の例において、前記透過度可変層が前述したツイスト配向モードを具現し得る能動液晶層である場合に、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度を前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した場合に0度~360度の範囲内になるように、前記位相差フィルムが配置され得る。前記角度は、他の例において、0度超過、2度以上、4度以上、6度以上、8度以上、10度以上、12度以上、14度以上、16度以上、18度以上、20度以上、22度以上、24度以上、26度以上、28度以上、30度以上、32度以上、34度以上、36度以上、38度以上、40度以上、42度以上、44度以上、46度以上、48度以上または50度以上であるか、360度未満、350度以下、340度以下、330度以下、320度以下、310度以下、300度以下、290度以下、280度以下、270度以下、260度以下、250度以下、240度以下、230度以下、220度以下、210度以下、200度以下、190度以下、180度以下、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下、130度以下、120度以下、110度以下、100度以下、90度以下、80度以下、70度以下または60度以下程度でありうる。前記で液晶配向膜の配向方向の意味およびそれを決定する方式は、前述した通りであり、ツイストモードの液晶層でツイスティング方向は、Exoscanなどの計測機器を使用して透過度可変層から出光する偏光源の回転方向の解析を通じて測定することができる。前記のような場合においてツイスティング方向は、時計方向であってもよく、反時計方向であってもよい。
【0099】
前記位相差フィルムの配置は、他の例において、前記ツイスト配向モードのツイスティング角度、前記透過度可変層(能動液晶層)の屈折率異方性および/または前記可変層(能動液晶層)の厚さを考慮して制御されることもできる。
【0100】
例えば、前記可変層のツイスト配向モードのツイスト角度が50度~180度または80度~180度の範囲内である場合に、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度は、下記数式1を満たすことができる。
【0101】
[数式1]
0.05×△nd×T/μm+10≦A≦0.16×△nd×T/μm+60
【0102】
数式1でAは、前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度(単位:度)であり、△nは、前記可変層(能動液晶層)の550nm波長の光に対する屈折率異方性であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であり、Tは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【0103】
前記数式の満足有無を確認するためのツイスト配向モードのツイスティング方向の確認方式は、前記言及した通りであり、ツイスト角度は、Exoscanなどの公知の測定方法を通じて液晶化合物の屈折率異方性とセルギャップ(cell gap)を反映した偏光分析を通じて逆算および推定したり、ウェッジセル(Wedge Cell)を利用して液晶層のピッチを確認した後に、セルギャップ対比ピッチ値を通じて推定が可能である。
【0104】
前記数式1を満たす場合に、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndが0.7μm以下でありうる。前記屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndは、他の例において、約0.2μm以上、0.25μm以上、0.3μm以上、0.35μm以上、0.4μm以上または0.45μm以上でありうる。
【0105】
また、前記数式1での角度Aは、他の例において、(0.05×△nd×T/μm+11)以上、(0.05×△nd×T/μm+12)以上、(0.05×△nd×T/μm+13)以上、(0.05×△nd×T/μm+14)以上、(0.05×△nd×T/μm+15)以上、(0.05×△nd×T/μm+16)以上、(0.05×△nd×T/μm+17)以上、(0.05×△nd×T/μm+18)以上、(0.05×△nd×T/μm+19)以上、(0.05×△nd×T/μm+20)以上または(0.05×△nd×T/μm+21)以上でありうる。
【0106】
前記数式1での角度Aは、(0.16×△nd×T/μm+55)以下、(0.16×△nd×T/μm+50)以下、(0.16×△nd×T/μm+45)以下、(0.16×△nd×T/μm+40)以下、(0.16×△nd×T/μm+35)以下、(0.16×△nd×T/μm+30)以下、(0.16×△nd×T/μm+25)以下、(0.16×△nd×T/μm+20)以下、(0.16×△nd×T/μm+15)以下、(0.16×△nd×T/μm+10)以下、(0.16×△nd×T/μm+5)以下または(0.16×△nd×T/μm+1)以下程度でありうる。
【0107】
他の例において、前記可変層のツイスト配向モードのツイスト角度が50度~180度または80度~180度の範囲内である場合に、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度は、下記数式2を満たすこともできる。
【0108】
[数式2]
0.16×△nd×T/μm-10≦A≦0.16×△nd×T/μm+20
【0109】
数式2でAは、前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度(単位:度)であり、△nは、前記可変層(能動液晶層)の550nm波長の光に対する屈折率異方性であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であり、Tは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【0110】
前記数式の満足の有無を確認するためのツイスト配向モードのツイスティング方向およびツイスト角度の確認方式は、前記言及した通りである。
【0111】
数式2を満たす場合に、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndが0.7μm超過でありうる。前記屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndは、他の例において、約2μm以下、1.5μm以下または約1μm以下でありうる。
【0112】
また、前記数式2での角度Aは、他の例において、(0.16×△nd×T/μm-8)以上、(0.16×△nd×T/μm-6)以上、(0.16×△nd×T/μm-4)以上、(0.16×△nd×T/μm-2)以上、(0.16×△nd×T/μm)以上、(0.16×△nd×T/μm+2)以上、(0.16×△nd×T/μm+4)以上または(0.16×△nd×T/μm+6)以上でありうる。
【0113】
また、前記数式2での角度Aは、(0.16×△nd×T/μm+18)以下、(0.16×△nd×T/μm+16)以下、(0.16×△nd×T/μm+14)以下、(0.16×△nd×T/μm+12)以下、(0.16×△nd×T/μm+10)以下、(0.16×△nd×T/μm+8)以下、(0.16×△nd×T/μm+6)以下、(0.16×△nd×T/μm+4)以下、(0.16×△nd×T/μm+2)以下または(0.16×△nd×T/μm)以下程度でありうる。
【0114】
他の例において、前記可変層のツイスト配向モードのツイスト角度が180度以上または180度超過である場合に、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度が下記数式3を満たしたり、あるいは、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち大きい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向の逆方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度が下記数式4を満たすことができる。
【0115】
[数式3]
A=(42±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
【0116】
[数式4]
A=(132±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
【0117】
数式3および4で、△nは、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であり、fは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【0118】
また、数式3でAは、位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち小さい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度(単位:度)であり、数式4でAは、前記位相差フィルムの遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度のうち大きい角度または前記液晶配向膜の配向方向で前記ツイスト配向モードのツイスティング方向とは、逆方向に従って測定した前記遅相軸と前記配向方向が成す角度(単位:度)である。
【0119】
前記数式の満足有無を確認するためのツイスト配向モードのツイスティング方向およびツイスト角度の確認方式は、前記言及した通りである。
【0120】
数式3または4を満たす場合に、前記ツイスト角度は、約600度以下、550度以下、500度以下、450度以下、400度以下、350度以下、300度以下、250度以下または200度以下程度でありうる。
【0121】
数式3または4を満たす場合に、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndが0.2μm~2μmの範囲内でありうる。前記屈折率異方性△nと前記液晶層の厚さdの積△ndは、他の例において、約0.25μm以上、0.3μm以上、0.35μm以上、0.4μm以上または0.45μm以上であるか、約1.5μm以下または約1μm以下程度でありうる。
【0122】
また、数式3での角度Aは、他の例において、(42±4)+(17±4)×sin(2△n×d×f)、(42±3)+(17±3)×sin(2△n×d×f)、(42±2)+(17±2)×sin(2△n×d×f)、(42±1)+(17±1)×sin(2△n×d×f)または(42+17×sin(2△n×d×f))であり得、数式4で角度Aは、他の例において、(132±4)+(17±4)×sin(2△n×d×f)、(132±3)+(17±3)×sin(2△n×d×f)、(132±2)+(17±2)×sin(2△n×d×f)、(132±1)+(17±1)×sin(2△n×d×f)または(132+17×sin(2△n×d×f))でありうる。
【0123】
前述した大きい光学異方性を有する位相差フィルムを前記位置関係で配置することによって、透過度可変特性に優れており、かつ、レインボー現象、ミラーリング現象およびクロストーク現象がないデバイスの提供が可能になり得る。
【0124】
本出願の透過度可変デバイスは、前記透過度可変層と位相差フィルムを含み、それら間の配置が前記言及されたように制御される限り、多様な方式で構成され得る。
【0125】
例えば、基本的に透過度可変層、特に能動液晶層は、2個の対向配置された基板の間に位置するが、本出願のデバイスを具現するために、前記2個の基板のうちいずれか一つの基板を前述した位相差フィルムで形成することもできる(第1方式)。
【0126】
他の方式としては、2個の対向配置された基板の間に位置する透過度可変層を含む素子の外側に前記位相差フィルムを付着する方式で本出願のデバイスを具現することもできる(第2方式)。
【0127】
図3は、前記第1方式にしたがってデバイスを具現した例であり、このようなデバイスは、順次配置された前記位相差フィルム100、電極層400、前記配向膜(300)、能動液晶層200、配向膜500、電極層400および基板600を含むことができる。
【0128】
また、図4は、前記第2方式によってデバイスを具現した例であり、このようなデバイスは、順次配置された前記位相差フィルム100、基板600、電極層400、前記配向膜300、能動液晶層200、配向膜500、電極層400および基板600を含むことができる。
【0129】
すなわち、第1方式でデバイスを具現するときには、前記位相差フィルムが基板に適用され、当該位相差フィルムの表面に前述した液晶配向膜が形成されていてもよく、第2方式でデバイスを具現するときには、前記デバイスは、前記液晶配向膜がその表面に形成された基板をさらに含み、前記位相差フィルムは、前記基板の前記液晶配向膜が形成されていない表面に付着していてもよい。
【0130】
前記デバイスに含まれ得る前記電極層400は、能動液晶層200に電源を外部信号として印加するための構成であり、このような電極層としては、公知の透明電極層が適用され得る。例えば、いわゆる導電性高分子層、導電性金属層、導電性ナノワイヤー層またはITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物層が前記電極層に使用され得る。その他にも、透明電極層を形成できる多様な素材および形成方法が公知されており、これを制限なしに適用することができる。
【0131】
前記デバイスに含まれる液晶配向膜は、前述したように、公知のラビング配向膜または光配向膜などが適用され得、所望のモードによって適用され得る配向膜の種類は公知となっている。
【0132】
前記デバイスにおいて適用され得る基板(図3および図4において参照符号600)の種類は、特に制限されない。前記基板としては、前述した位相差フィルム自体を高分子フィルム基板に適用することもでき、その他、他の公知の基板を適用することもできる。
【0133】
例えば、前記基板としては、ガラスフィルム、結晶性または非結晶性シリコンフィルム、石英またはITO(Indium Tin Oxide)フィルムなどの無機フィルムやプラスチックフィルムなどを使用することができる。プラスチック基板としては、TAC(triacetyl cellulose);ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer);PMMA(poly(methyl methacrylate);PC(polycarbonate);PE(polyethylene);PP(polypropylene);PVA(polyvinyl alcohol);DAC(diacetyl cellulose);Pac(Polyacrylate);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PPS(polyphenylsulfone)、PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate);PI(polyimide);PSF(polysulfone);PAR(polyarylate)または非晶質フッ素樹脂などを含む基板を使用できるが、これに制限されるものではない。
【0134】
前記デバイスは、前述した位相差フィルム、液晶配向膜および透過度可変層を基本的に含み、それらの位置関係などが前記言及したように設定される限り、公知の多様な構成をさらに含むこともできる。
【0135】
例えば、図面には図示されていないが、公知の構成、例えば、前述した基板、透過度可変層などにさらに基板間の間隔を維持するスペーサーやシーラントなども含むことができる。
【0136】
また、その他の構成として前記位相差フィルムを基板に付着するための用途または他の用途に適用される粘着剤や接着剤、ハードコーティング層、反射防止層、NIR(Near-Infrared)遮断(cut)機能の染料を含む層などの公知の構成をさらに含むことができる。また、必要な場合に、前記デバイスは、いわゆる受動偏光層、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))系の偏光層のような受動偏光層を含むか、含まなくてもよい。
【0137】
前記のような透過度可変デバイスは、多様な用途に適用され得る。透過度可変デバイスが適用され得る用途には、ウィンドウまたはサンルーフなどのような建物、容器または車両などを含む密閉された空間の開口部やアイウェア(eyewear)などや窓戸用、OLED(organic light emitting deivce)の遮光板などが例示され得る。前記でアイウェアの範囲には、一般的なメガネ、サングラス、スポーツ用ゴーグル乃至ヘルメットまたは仮想現実または増強現実体験用機器などのようなウェラブル機器などの観察者がレンズを通じて外部を観察することができるように形成されたすべてのアイウェアが含まれ得る。
【0138】
本出願の透過度可変デバイスが適用され得る代表的な用途には、アイウェアがある。最近、サングラス、スポーツ用ゴーグルや増強現実体験用機器などは、観察者の正面視線とは傾斜するようにレンズが装着される形態のアイウェアが市販されている。本出願の透過度可変デバイスは、前述したアイウェアにも効果的に適用され得る。
【0139】
本出願の透過度可変デバイスがアイウェアに適用される場合に、そのアイウェアの構造は、特に制限されない。すなわち、公知のアイウェア構造の左眼用および/または右眼用レンズ内に前記透過度可変デバイスが装着されて適用され得る。
【0140】
例えば、前記アイウェアは、左眼用レンズと右眼用レンズ;および前記左眼用レンズと右眼用レンズを支持するフレームを含むことができる。
【0141】
図5は、前記アイウェアの例示的な模式図であって、前記フレーム82および左眼用と右眼用レンズ84を含むアイウェアの模式図であるが、本出願の透過度可変デバイスが適用され得るアイウェアの構造が図5に制限されるものではない。
【0142】
前記アイウェアにおいて左眼用レンズおよび右眼用レンズは、それぞれ前記透過度可変デバイスを含むことができる。このようなレンズは、前記透過度可変デバイスだけを含むか、その他、他の構成を含むこともできる。
【0143】
前記アイウェアは、その他の構成乃至デザインは、特に制限されず、公知の方式が適用され得る。
【発明の効果】
【0144】
本出願では、透過度可変特性に優れており、かつ、クロストーク(crosstalk)現象、レインボー(rainbow)現象またはミラーリング(mirroring)現象などのような問題を誘発しないので、多様な用途への適用が可能な透過度可変デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図1】本出願の例示的な透過度可変デバイスの模式図である。
図2】本出願の例示的な透過度可変デバイスの模式図である。
図3】本出願の例示的な透過度可変デバイスの模式図である。
図4】本出願の例示的な透過度可変デバイスの模式図である。
図5】アイウェアを例示的に示す。
図6】透過度可変層の厚さを確認する方式を模式的に示す図である。
図7】透過率可変層の厚さを確認する過程で得られる透過率グラフである。
図8】屈折率異方性の評価過程を模式的に示す図である。
図9】実施例および比較例の性能を対比した結果である。
図10】実施例のデバイスのツイスト角度による色座標特性の変化を示す図である。
図11】実施例のデバイスのツイスト角度による色座標特性の変化を示す図である。
図12】実施例のデバイスのツイスト角度による色座標特性の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0146】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例により制限されるものではない。
【0147】
1.高分子フィルムの位相差評価
高分子フィルムの面内位相差値Rinは、Agilent社のUV/VIS spectroscope 8453装備を利用して550nm波長の光に対して測定した。UV/VIS spectroscopeに2枚の偏光子を透過軸が互いに直交するように設置し、前記2枚の偏光子の間に高分子フィルムの遅相軸が2枚の偏光子の透過軸とそれぞれ45度を成すように設置した後、波長による透過度を測定した。波長による透過度グラフにおいて各ピーク(peak)の位相遅延次数(Phase retardation order)を取得する。具体的に、波長による透過度グラフにおいて、波形は、下記数式Aを満たし、サイン(Sine)波形で最大ピーク(Tmax)条件は、下記数式Bを満たす。数式Aでλmaxである場合、数式AのTと数式BのTは、同一であるので、数式を展開する。n+1、n+2およびn+3に対しても数式を展開し、nとn+1数式を整理してRを消去して、nをλnおよびλn+1数式で整理すると、下記数式Cが導き出される。数式AのTと数式BのTが同一であることに基づいてnとλを知ることができるので、各λn、λn+1、λn+2およびλn+3に対してRを取得する。4ポイントに対して波長によるR値の直線傾向線を求め、数式550nmに対するR値を算定する。直線傾向線の関数は、Y=ax+bであり、aおよびbは、定数である。前記関数のxに550nmを代入したときのY値が550nm波長の光に対するRin値である。
【0148】
[数式A]
T=sin[(2πR/λ)]
【0149】
[数式B]
T=sin[((2n+1)π/2)]
【0150】
[数式C]
n=(λn-3λn+1)/(2λn+1+1-2λn)
【0151】
前記でRは、面内位相差Rinを意味し、λは、波長を意味し、nは、サイン波形の頂点次数を意味する。
【0152】
2.透過度可変層(液晶層)の厚さの評価
透過度可変層の厚さ、すなわちセルギャップは、スペクトロメーターを使用して下記の方式で測定した。図6に示されたように、セルギャップdを有する透過度可変層の一面で光Iを照射し、他の面で透過した光Iを計測する。前記光の照射時には、照射角度を透過度可変層の仮想の表面法線方向と平行にする。このような方式で波長別の透過率を確認してみると、補強干渉などにより図7に示されたような透過率グラフが得られることができる。図7のように得られたグラフは、透過度可変層の厚さであるセルギャップdと下記数式Eの関係を有するが、下記数式Eでκは、図7で波長λと波長λの間に存在するピーク(peak)の数である。すなわち、図7のように求めたグラフから、前記κである波長λと波長λの間のピークの数を求め、また、前記波長λおよびλを数式Eに代入してセルギャップdを取得することができる。
【0153】
[数式E]
【数1】
【0154】
3.透過度可変層(液晶層)の屈折率異方性の評価
透過度可変層の屈折率異方性△nは、Abbe屈折計を使用して次の方式で評価する。Abbe屈折計のMeasuring Prismとillumination Prismの面に垂直配向膜をコーティングし、測定しようとする液晶化合物をMeasuring Prismに塗布した後に、illumination Prismで覆うと、二つの界面の垂直配向力により液晶化合物は、垂直に配向される。前記過程で適用される液晶化合物は、二色性染料など他の物質と混合されない透過度可変層に適用される液晶化合物だけである。その後、図8に示されたように、接眼レンズ側に線形偏光板を適用して、光(Light)を照射して観測すると、図8に示されたようなθeおよびθoを取得することができ、Measuring prismの屈折率nと前記角度θeおよびθoを通じて異常屈折率n=nsinθeと正常屈折率n=nsinθoを取得することができ、その差n-nが屈折率異方性と規定され得る。前記測定時の基準波長は、略550nmである。
【0155】
実施例1
高分子フィルム基板として、Toyobo社の高延伸PET(Polyethylene terephthalate)フィルム基板(SRF基板、厚さ:80μm、製造社:Toyobo、製品名:TA044)を使用してデバイスを製作した。前記SRF基板の一面にまずITO(Indium Tin Oxide)膜(電極層)を蒸着し、配向膜を形成した。前記で適用されたSRF基板は、前記ITO膜が蒸着された後に、面内位相差が550nm波長を基準として略11,000nm~14,000nmの水準である。配向膜としては、厚さが略300nmのポリイミド系水平配向膜(SE-7492,Nissan)をラビング布でラビング処理して形成し、この際、ラビング方向(配向方向)とSRF基板の遅相軸方向は、前記ラビング方向(配向方向)から始まって液晶層のツイスティング方向に測定した場合に、略57度になるようにした(上部基板、視認側基板の製作)。同一に下部基板を製作した。前記上部基板と下部基板をそれぞれの配向膜が対向するように配置して(セルギャップ:11μm)、その内部に液晶物質を注入した後に密封して、デバイスを製作した。前記配置時には、上部基板と下部基板の配向方向が互いに平行にするものの、ラビング方向は、互いに逆方向になるように配置した。また、前記液晶物質としては、屈折率異方性△nが0.076である正の誘電率異方性を有する液晶化合物および二色性染料を含むGHLC混合物(SHN-5011XX(JNC社)に二色性染料としてLG化学の二色性染料(JD 12,英国color Synthesis solution上のcyan,magenta,yellow colorの3種dyeを混合した染料)を略1.8重量%の濃度で配合した混合物)にキラルドーパント(S811(Merck社))を約0.63重量%の濃度で配合した組成物を使用した。得られた透過度可変層(液晶層)は、ねじれ角(twisted angle)が略270度であるツイストモード液晶層であり、前記ツイストモードのツイスティング方向に従って測定した前記上部基板(SRF基板)の遅相軸と前記液晶配向膜の配向方向が成す角度は、略57度となる。
【0156】
比較例1
高分子フィルム基板として、等方性のフィルム基板であるPC(Polycarbonate)フィルム基板(PC基板、厚さ:100μm、製造社:Teijin、製品名:PFC100-D150)を適用したことを除いては、実施例1と同一にデバイスを製作した。この場合、適用されたフィルム基板が等方性フィルム基板であるので、配向膜の配向方向と基板の遅相軸の関係は考慮されない。
【0157】
試験例
実施例および比較例でそれぞれ製作されたデバイスの上部SRF基板またはPC基板面に吸収型線形PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子を配置し、その偏光子の吸収軸を0度から360度の範囲に回転させながら出光される光の色座標(CIE La)の変化を測定した。図9は、前記のような測定結果として、実施例1および比較例1の比較図面である。図9でSRF ITO_57度は、実施例1、PC_ITOは、比較例1である。図面から比較例1の場合に比べて実施例1の場合が色座標(a-b color coordinate)の変化が明確に少ないことを確認することができる。
【0158】
実施例2
図10は、実施例1と同じ方式でデバイスを製作するものの、液晶物質として、屈折率異方性△nが0.13である正の誘電率異方性を有する液晶化合物および二色性染料を含むGHLC混合物(MDA-16-1235,Merck)にキラルドーパント(S811,Merck)を配合した液晶物質を使用し、液晶層の厚さ、すなわちセルギャップを6μmにした場合における結果を示す図である。図面でX軸は、デバイスのツイスト角度Tであり、Y軸は、当該ツイスト角度Tで試験例1と同じ方式で色座標の変化を測定したときに、最小色座標の変化を示すSRF基板の遅相軸の角度である。前記SRF基板の遅相軸の角度は、上部基板(SRF基板)の遅相軸と前記上部基板に形成された液晶配向膜の配向方向が成す角度(遅相軸と配向方向が成す角度のうち小さい角度)であり、これは、デバイスの製作時に実施例1に示された方式のように配向膜の配向方向を制御して調節することができる。また、ツイスト角度(X軸)は、添加されるキラルドーパントの量を通じて制御可能である。図面に示された縦散布バー(bar)が最適の遅相軸の角度を示す。図面からツイスト角度が180度以上である場合に、最適角度として、遅相軸と配向方向が成す角度のうち小さい角度は、下記数式1に従い、遅相軸と配向方向が成す角度のうち大きい角度は、下記数式2に従うことが分かる。
【0159】
[数式1]
A=(42±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
【0160】
[数式2]
A=(132±5)+(17±5)×sin(2△n×d×f)
【0161】
数式1および2で、△nは、前記液晶層の550nm波長の光に対する屈折率異方性であって、実施例2の場合、0.13であり、dは、前記液晶層の厚さ(単位:μm)であって、実施例2の場合、6μmであり、fは、前記ツイスト配向モードのツイスト角度(単位:度)である。
【0162】
実施例3
図11は、実施例1と同じ方式でデバイスを製作するものの、液晶物質として、屈折率異方性△nが0.076である正の誘電率異方性を有する液晶化合物および二色性染料を含むGHLC混合物(SHN-5011XX(JNC社)に二色性染料としてLG化学の二色性染料(JD 12,英国color Synthesis solution上のcyan,magenta,yellow colorの3種dyeを混合した染料)を略1.8重量%の濃度で配合した混合物)にキラルドーパント(S811,Merck)を配合した液晶物質を使用し、液晶層の厚さ、すなわちセルギャップを11μmにした場合における結果を示す図である。図面でX軸は、デバイスのツイスト角度Tであり、Y軸は、当該ツイスト角度Tで試験例1と同じ方式で色座標の変化を測定したときに、最小色座標の変化を示すSRF基板の遅相軸の角度である。前記SRF基板の遅相軸の角度は、上部基板(SRF基板)の遅相軸と前記上部基板に形成された液晶配向膜の配向方向が成す角度であり、これは、デバイスの製作時に実施例1に示された方式のように配向膜の配向方向を制御して調節することができる。また、ツイスト角度(X軸)は、添加されるキラルドーパントの量を通じて制御可能である。図面に示された縦散布バー(bar)が最適の遅相軸の角度を示す。図面からツイスト角度が180度以上である場合に、最適角度として、遅相軸と配向方向が成す角度のうち小さい角度は、実施例2の数式1に従い、遅相軸と配向方向が成す角度のうち大きい角度は、実施例2の数式2に従うことが分かる。
【0163】
実施例4
図12は、実施例1と同じ方式でデバイスを製作するものの、液晶物質として、屈折率異方性△nが0.076である正の誘電率異方性を有する液晶化合物および二色性染料を含むGHLC混合物(SHN-5011XX(JNC社)に二色性染料としてLG化学の二色性染料(JD 12,英国color Synthesis solution上のcyan,magenta,yellow colorの3種dyeを混合した染料)を略1.8重量%の濃度で配合した混合物)にキラルドーパント(S811,Merck)を配合した液晶物質を使用し、液晶層の厚さ、すなわちセルギャップを12μmにした場合における結果を示す図である。図面でX軸は、デバイスのツイスト角度Tであり、Y軸は、当該ツイスト角度Tで試験例1と同じ方式で色座標の変化を測定したときに、最小色座標の変化を示すSRF基板の遅相軸の角度である。前記SRF基板の遅相軸の角度は、上部基板(SRF基板)の遅相軸と前記上部基板に形成された液晶配向膜の配向方向が成す角度であり、これは、デバイスの製作時に実施例1に示された方式のように配向膜の配向方向を制御して調節することができる。また、ツイスト角度(X軸)は、添加されるキラルドーパントの量を通じて制御可能である。図面に示された縦散布バー(bar)が最適の遅相軸の角度を示す。図面からツイスト角度が180度以上である場合に、最適角度として、遅相軸と配向方向が成す角度のうち小さい角度は、実施例2の数式1に従い、遅相軸と配向方向が成す角度のうち大きい角度は、実施例2の数式2に従うことが分かる。
図1
図2
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図10
図11
図12