(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/04 20220101AFI20220712BHJP
【FI】
H04L43/04
(21)【出願番号】P 2018144297
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 麻由
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-313557(JP,A)
【文献】特開2015-228112(JP,A)
【文献】特開2006-134108(JP,A)
【文献】特開2003-150627(JP,A)
【文献】特開2004-021817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0064021(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0021801(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークサービスの利用時における、送信元と通信先とが通信する通信情報を取得する取得手段と、
前記通信情報に基づいて、前記通信先を識別する通信先識別情報
と前記送信元を識別する送信元識別情報を抽出する抽出手段と、
前記通信先識別情報に基づいて、利用のあった前記ネットワークサービスを特定
し、前記送信元識別情報に基づいて、前記ネットワークサービスを利用した前記送信元の属性を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記ネットワークサービスの利用回数を増加させることで、前記ネットワークサービスの利用状況を集計する集計手段と
を含
み、
前記集計手段は、前記属性ごとに前記利用回数を増加させ、前記属性ごとに利用状況を集計した集計結果を、当該属性と同じ属性の送信元に通知することを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記特定手段は、前記ネットワークサービスのドメイン名および名称の少なくとも1つを特定することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通信情報に基づいて取得したタイトル行をサービス名として設定したテーブルを作成する作成手段をさらに含む、請求項1
または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記集計手段は、所定の集計期間内に利用されたネットワークサービスの利用回数を集計することを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
ネットワークサービスの利用状況を集計する方法であって、
前記ネットワークサービスの利用時における、送信元と通信先とが通信する通信情報を取得するステップと、
前記通信情報に基づいて、前記通信先を識別する通信先識別情報
と前記送信元を識別する送信元識別情報を抽出するステップと、
前記通信先識別情報に基づいて、利用のあった前記ネットワークサービスを特定
し、前記送信元識別情報に基づいて、前記ネットワークサービスを利用した前記送信元の属性を特定するステップと、
前記特定するステップにおいて特定した前記ネットワークサービスの利用回数を増加させることで、前記ネットワークサービスの利用状況を集計するステップと
を含
み、
前記集計するステップは、前記属性ごとに前記利用回数を増加させ、前記属性ごとに利用状況を集計した集計結果を、当該属性と同じ属性の送信元に通知するステップ含むことを特徴とする、
方法。
【請求項6】
ネットワークサービスの利用状況を集計する装置が実行するプログラムであって、前記装置を、
ネットワークサービスの利用時における、送信元と通信先とが通信する通信情報を取得する取得手段、
前記通信情報に基づいて、前記通信先を識別する通信先識別情報
と前記送信元を識別する送信元識別情報を抽出する抽出手段、
前記通信先識別情報に基づいて、利用のあった前記ネットワークサービスを特定
し、前記送信元識別情報に基づいて、前記ネットワークサービスを利用した前記送信元の属性を特定する特定手段、
前記特定手段が特定した前記ネットワークサービスの利用回数を増加させることで、前記ネットワークサービスの利用状況を集計する集計手段
として機能させ
、
前記集計手段は、前記属性ごとに前記利用回数を増加させ、前記属性ごとに利用状況を集計した集計結果を、当該属性と同じ属性の送信元に通知することを特徴とする、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータなどの端末からネットワーク上のサーバにアクセスして、各サーバが提供する種々のサービス(いわゆるクラウドサービス)を利用する技術が知られている。
【0003】
上述のようなクラウドサービスの利用は、複数のユーザが所属する会社などの組織にあっても、ユーザが個別に各種サービスを利用することが多かった。このような場合には、複数のユーザが利用するサービスを組織で一括に契約したほうがコストを低減できる。また、あるユーザが利用するサービスが他のユーザにとっても有用である場合がある。このような実情に鑑み、同じ組織内での各種サービスの利用状況を集計したいというニーズがあった。
【0004】
従来技術として、例えば特開2013-255196号公報(特許文献1)では、フロー情報中のヘッダサンプルに含まれるIP(Internet Protocol)アドレスを抽出して通信先となるサーバを特定する技術が開示されている。特許文献1によれば、ネットワーク全体のトラフィックを集中監視して、異常トラフィックを検出することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1は、アクセスされたサーバを特定する技術ではあるものの、ユーザの情報とサーバの情報とを関連付けるものではなく、クラウドサービスの利用状況の集計結果を活用する観点からは不充分であった。したがって、各種サービスへのアクセス履歴に基づいて利用状況を集計する技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、ユーザによるクラウドサービスの利用状況を集計するシステム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、ネットワークサービスの利用時における、送信元と通信先とが通信する通信情報を取得する取得手段と、
前記通信情報に基づいて、前記通信先を識別する通信先識別情報を抽出する抽出手段と、
前記通信先識別情報に基づいて、利用のあった前記ネットワークサービスを特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記ネットワークサービスの利用回数を増加させることで、前記ネットワークサービスの利用状況を集計する集計手段と
を含む、システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明によれば、ユーザによるクラウドサービスの利用状況を集計するシステム、方法およびプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
【
図2】本実施形態のサーバ装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
【
図3】本実施形態のサーバ装置に含まれるソフトウェアブロック図。
【
図4】本実施形態における通信先管理テーブルおよび送信元管理テーブルの例を示す図。
【
図5】本実施形態における利用状況集計テーブルの例を示す図。
【
図6】本実施形態においてフローサンプルに基づいて利用状況の集計をする処理を示すフローチャート。
【
図7】本実施形態において通信先管理テーブルを作成する処理を示すフローチャート。
【
図8】各種サービスを提供するウェブサイトのHTMLソースコードの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0011】
また、以下では、説明の便宜のために、sFLOW(登録商標。以下同じ)を用いてネットワークをモニタリングする実施形態で以て説明する。しかしながらsFLOWはあくまでも一例であり、実施形態を限定するものではない。さらに、実施形態は、sFLOWに例示されるようなサンプリングベースのフロー技術を採用するものでなくてもよく、例えば、サンプリング以外の方法でネットワークをモニタリングする実施形態であってもよい。
【0012】
図1は、本発明の実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。
図1では、本実施形態のシステム100の例として、複数のサーバ装置111,112と、複数の情報処理装置140がインターネット120を介して接続される構成を示している。情報処理装置140は、ネットワークスイッチ131を経由してネットワークにアクセスし、各種サーバ装置と通信する。また、本実施形態では、sFLOWを用いて情報処理装置140のネットワークへのアクセスをモニタリングするために、ネットワークスイッチ131のサンプリング情報(以下、フローサンプルとして参照する)を取得するsFLOWコレクタ132、フローサンプルをサーバ装置111に送信する仲介装置133を含んで構成される。なお、
図1では、本実施形態のネットワークの例としてインターネット120を例示しているが、例えばLAN(Local Area Network)などであってもよい。
【0013】
サーバ装置111,112は、ネットワーク上でアプリケーションをはじめとする種々のサービス(いわゆるクラウドサービス)を提供する装置である。本実施形態におけるサーバ装置111,112の数は、特に
図1に示すものに限定されない。また、必ずしも1つのサーバ装置が1つのサービスを提供するものでなくてもよく、1つのサーバ装置が複数のサービスを提供するものであってもよい。以下では、本実施形態においてネットワーク利用状況を収集するアプリケーションを提供するサーバ装置111と、その他のアプリケーションを提供するサーバ装置112とを便宜的に区別する。
【0014】
情報処理装置140は、例えば、パーソナルコンピュータのような装置である。情報処理装置140は、例えばユーザが操作することによって、ネットワークにアクセスでき、各種サーバ装置が提供する種々のクラウドサービスを利用することができる。
【0015】
sFLOWプロトコルを利用した本実施形態において、sFLOWコレクタ132は、ネットワークスイッチ131に入出力されるパケットからサンプリングされたフローサンプルを取得する。また、sFLOWコレクタ132は、フローサンプルを仲介装置133に転送する。仲介装置133は、sFLOWコレクタ132から取得したフローワンプルを、ネットワーク利用状況を収集するサーバ装置111に送信する。サーバ装置111へのフローサンプルの送信は、所定の時間間隔で以て定期的に行われても良いし、任意のタイミングで行われてもよい。また、仲介装置133は、ネットワークの利用状況を集計する期間に限定して送信する構成であってもよい。
【0016】
次に、サーバ装置111のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態のサーバ装置111に含まれるハードウェア構成を示す図である。サーバ装置111は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、記憶装置204と、通信I/F205とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0017】
CPU201は、サーバ装置111の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM202は、CPU201が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM203は、CPU201が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0018】
記憶装置204は、サーバ装置111を機能させるOSや各種アプリケーション、設定情報、各種データベースなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。通信I/F205は、サーバ装置111とネットワークとを接続し、ネットワークを介して、他の装置との通信を可能にする。ネットワークを介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
【0019】
なお、
図2では、サーバ装置111を例示してハードウェア構成を説明したが、本実施形態のシステム100を構成する他の装置についても同様のハードウェア構成とすることができる。また、各装置は
図2に示したハードウェア以外にも、例えば、種々の情報を表示するためのモニタなどを含んで構成されてもよい。
【0020】
以上、本実施形態の各装置に含まれるハードウェア構成について、サーバ装置111を例示して説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、
図3を以て説明する。
図3は、本実施形態のサーバ装置111に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0021】
サーバ装置111は、通信情報取得部310、管理テーブル参照部320、利用状況集計部330、通信先管理テーブル作成部340、テーブル記憶部350の各モジュールを含む。また、テーブル記憶部350には、通信先管理テーブル351、送信元管理テーブル352、利用状況集計テーブル353が記憶される。以下では各機能手段の詳細について説明する。
【0022】
通信情報取得部310は、仲介装置133からフローサンプルを取得する手段である。フローサンプルは、ネットワークにアクセスした情報処理装置140のIPアドレス(以下、「送信元IPアドレス」として参照する)や、情報処理装置140がアクセスしたIPアドレス(以下、「通信先IPアドレス」として参照する)などの情報が含まれる。通信情報取得部310は、取得したフローサンプルを解析して、当該フローサンプルに含まれる送信元IPアドレスと通信先IPアドレスを抽出する。本実施形態では、送信元IPアドレスと、通信先IPアドレスとに基づいて、クラウドサービスの利用状況を集計する。なお、フローサンプルを取得するために通信情報取得部310は、仲介装置133に対して定期的に送信要求をしてもよいし、ユーザの操作によって送信要求をしてもよい。また、仲介装置133が定期的にフローサンプルを送信する構成であってもよい。
【0023】
管理テーブル参照部320は、各種IPアドレスに基づいて、種々の管理テーブルを検索し、参照する手段である。管理テーブル参照部320は、抽出したIPアドレスに基づいて通信先管理テーブル351や送信元管理テーブル352などを検索し、情報処理装置140のユーザ情報や、アクセス先のサービス情報などを特定する。
【0024】
利用状況集計部330は、ネットワークの利用状況を集計した利用状況集計テーブル353を作成し、更新することで、利用状況を集計する手段である。利用状況集計部330は、管理テーブル参照部320によって特定されたユーザ情報やサービス情報に基づいて、クラウドサービスの利用状況を集計する。また、利用状況集計部330は、集計した利用状況をユーザに通知することができ、これによって、クラウドサービスを効率的に活用することができる。
【0025】
通信先管理テーブル作成部340は、解析したフローサンプルに基づいて、通信先管理テーブル351を作成する手段である。なお、通信先管理テーブル351は、通信先管理テーブル作成部340によって作成されなくてもよく、例えば、管理者が各項目を入力することで作成されてもよい。
【0026】
テーブル記憶部350は、記憶装置204を制御することで、各種テーブルを記憶する手段である。本実施形態のテーブル記憶部350には、通信先管理テーブル351、送信元管理テーブル352、利用状況集計テーブル353が記憶される。各テーブルの詳細について、
図4および
図5を参照して説明する。
図4は、本実施形態における通信先管理テーブル351および送信元管理テーブル352の例を示す図である。また、
図5は、本実施形態における利用状況集計テーブル353の例を示す図である。
【0027】
通信先管理テーブル351は、
図4(a)に示すように、通信先IPアドレスフィールド402、ドメイン名フィールド404、サービス名フィールド406が格納されるデータベースである。通信先IPアドレスは、ネットワーク上にあるサービスを提供するサーバを識別するためのアドレスである。ドメイン名は、通信先IPアドレスに対応するサーバの固有の名称である。サービス名は、各種クラウドサービスの名称である。
図4(a)では、クラウドサービスの例として、「ストレージサービスA」や「会計サービスB」などがサービス名フィールド406に格納されており、各サービスに対応するIPアドレスやドメイン名が対応付けられて格納される。
【0028】
送信元管理テーブル352は、
図4(b)に示すように、送信元IPアドレスフィールド408、ユーザ名フィールド410、所属部署フィールド412、職種フィールド414が格納されるデータベースである。送信元IPアドレスは、ネットワークに接続される情報処理装置140に付与されるアドレスである。ユーザ名は、各情報処理装置140を使用するユーザの氏名である。所属や職種は、企業や団体などの各種組織において、ユーザが属する種々の区分を示すものである。
図4(b)では、所属部署の例として「A商品事業部」、「B商品事業部」、職種の例として「開発」、「営業」、「経理」が挙げられている。
【0029】
利用状況集計テーブル353は、
図5に示すように、サービス名フィールド502、合計利用回数フィールド504が格納されるデータベースである。サービス名フィールド502には、クラウドサービスのサービス名が格納され、合計利用回数フィールド504には、各クラウドサービスが利用された回数の合計数が格納される。また、利用状況集計テーブル353は、所属部署別利用回数内訳フィールド506や、職種別利用回数内訳フィールド508などが格納されてもよい。管理者やユーザは、利用状況集計テーブル353を参照することで、ネットワークの利用状況の把握が容易になり、各種サービスを効率的に活用することができる。
【0030】
また、所属部署や職種などといったユーザに関連する属性を対応付けて利用状況を集計することで、特定の所属部署や特定の職種のユーザが利用する頻度の高いサービスを一括して契約するなど、コスト低減につなげることができる。また、特定の所属部署や職種のユーザに対して、利用頻度の高いクラウドサービスの利用を勧めることで、業務の効率化を図ることも可能となる。
【0031】
なお、
図4、
図5に示した各種テーブルの構成は一例であって、実施形態を限定するものではない。したがって、
図4、
図5に示したフィールド以外のものが含まれる構成のデータベースであってもよい。
【0032】
図3にて説明したソフトウェアブロックは、CPU201が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0033】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが
図3に示すような構成で以て1つのサーバ装置111に含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、複数の装置の協働によって実現されてもよい。
【0034】
ここまで、本実施形態の各機能手段について説明した。次に、上述した各機能手段が実行する詳細な処理について説明する。
図6は、本実施形態においてフローサンプルに基づいて利用状況の集計をする処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する実施形態の例では、送信元IPアドレスが「11.22.33.44」である端末を使用して、通信先IPアドレスが「100.22.33.44」であるクラウドサービスを利用する場合(以下、本実施例として参照する)を想定したものとする。また、
図4および
図5を適宜参照して説明する。
【0035】
サーバ装置111は、ステップS1000から処理を開始し、ステップS1001では、利用状況の集計期間内であるか否かによって処理を分岐する。集計期間内でない場合には(NO)、ステップS1009に進み、処理を終了する。集計期間内である場合には(YES)、ステップS1008に進む。このようにして処理を分岐することで、所定の期間の利用状況を集計することができ、統計的な利用状況の集計をすることができる。
【0036】
ステップS1002では、通信情報取得部310がフローサンプルを取得したか否かによって処理を分岐する。フローサンプルを取得していない場合には(NO)、ステップS1001に戻って、処理を繰り返すことで、フローサンプルの入力を待機する。また、フローサンプルを取得した場合には(YES)、ステップS1003に進む。
【0037】
ステップS1003において、通信情報取得部310は、仲介装置133からフローサンプルを取得し、当該フローサンプルから通信先IPアドレスと送信元IPアドレスとを抽出する。本実施例のフローサンプルには、送信元IPアドレスとして「11.22.33.44」、通信先IPアドレスとして「100.22.33.44」が含まれている。
【0038】
続くステップS1004では、管理テーブル参照部320は、抽出された通信先IPアドレス(「100.22.33.44」)に基づいて通信先管理テーブル351を検索する。そして、管理テーブル参照部320は、ステップS1005において、通信先管理テーブル351に含まれる「100.22.33.44」に対応するドメイン名フィールド404、サービス名フィールド406を参照する。本実施例では、「storageaa.com」というドメイン名と、「ストレージサービスA」というサービス名とを取得することができる。
【0039】
なお、通信先管理テーブル351の通信先IPアドレスフィールド402内に、抽出された通信先IPアドレスが含まれていない場合には、新たに通信先IPアドレスや、これに対応するドメイン名、サービス名を定義してもよい。
【0040】
また、管理テーブル参照部320は、ステップS1006において、抽出された送信元IPアドレス(「11.22.33.44」)に基づいて送信元管理テーブル352を検索する。そして、ステップS1007では、管理テーブル参照部320は、「11.22.33.44」に対応するユーザ名フィールド410、所属部署フィールド412、職種フィールド414を参照する。本実施例では、「山田太郎」というユーザ名と、「A商品事業部」という所属部門情報と、「開発」という職種情報とを取得することができる。
【0041】
利用状況集計部330は、ステップS1008において、ステップS1005、S1007にて取得した各種情報に基づいて、利用状況集計テーブル353のサービス利用回数をカウントアップする。本実施例では、「ストレージサービスA」が利用されたことから、
図5の利用状況集計テーブル353のストレージサービスAに対応する合計利用回数フィールド504の数値を1カウントアップする。
【0042】
また、利用状況の集計結果を効率的に活用するために、ユーザに関連する情報に基づいて利用状況集計テーブル353のカウントをアップしてもよい。本実施例では、「A商品事業部」のユーザがサービスを利用したことから、所属部署別利用回数内訳フィールド506の「A商品事業部」について、ストレージサービスAの利用回数をカウントアップしてもよい。また、ユーザの職種が「開発」であることから、同様にして、職種別利用回数内訳フィールド508の「開発」について、ストレージサービスAの利用回数をカウントアップしてもよい。
【0043】
ステップS1008において、利用状況集計部330が利用状況集計テーブル353のカウントアップをした後、ステップS1001に処理を戻す。以降、上述した各処理を繰り返すことで、集計期間が終了するまで、クラウドサービスの利用状況を集計することができる。
【0044】
なお、本実施形態のネットワーク利用状況を収集するアプリケーションは、集計した利用状況データを、管理者やユーザに対して通知できる。例えば管理者に通知することで、管理者はクラウドサービスがどのように利用されているかを把握でき、サービスの一括契約によるコスト低減を図れる。また、利用状況データをユーザに通知することで、ユーザは、自分と同じ属性(所属部門や職種)の他のユーザが如何なるサービスを利用しているかを把握できるので、自身にとっても有用なサービスを知ることができる。
【0045】
図6に示す処理を実行することにより、効率的な活用に資する利用状況の集計を行うことができる。ところで、
図6のステップS1004において、通信先管理テーブル351に通信先IPアドレスが含まれていない場合には、利用状況を集計するために、当該IPアドレスに対応するドメイン名やサービス名などを定義する必要がある。通信先管理テーブル351の項目の定義は、通信先管理テーブル作成部340が実行することができる。
【0046】
以下では、通信先管理テーブル351を作成する処理について、
図7、
図8を以て説明する。
図7は、本実施形態において通信先管理テーブル351を作成する処理を示すフローチャートである。
図8は、各種サービスを提供するウェブサイトのhtmlソースコードの例を示す図である。
【0047】
通信先管理テーブル作成部340は、ステップS2000から処理を開始し、ステップS2001で通信先管理テーブル351に対象となる通信先IPアドレスが含まれているか否かによって処理を分岐する。通信先IPアドレスが含まれている場合には(YES)、通信先管理テーブル351を更新する必要はないので、ステップS2008に進み、処理を終了する。通信先IPアドレスが含まれていない場合には(NO)、ステップS2002に進む。
【0048】
ステップS2002では、処理対象の通信先IPアドレスに基づいて、ドメイン名を取得する。ドメイン名は、例えばnslookupコマンドを用いてDNS(Domain Name System)サーバに問い合わせることで取得することができる。
図8の例では、通信先IPアドレス「100.22.33.44」や「110.22.33.55」を引数にしてnslookupコマンドで問い合わせることで、各IPアドレスに対応した「storageaa.com」や「accountbb.com」といったドメイン名を取得することができる。
【0049】
その後、ステップS2003では、取得したドメイン名のサーバにアクセスする。ステップS2003では、通信プロトコルの一例としてHTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いることができる。ステップS2003でドメインにアクセスし、続くステップS2004では、アクセスしたサーバからHTMLソースファイルを取得する。HTMLソースファイルは、例えば
図8(a)、(b)に示すようなコードである。
【0050】
ステップS2005では、取得したHTMLソースファイルを参照し、タイトル行が含まれているか否かによって処理を分岐する。タイトル行が含まれているか否かは、例えばソースファイルに「title」タグが含まれているか否かによって判定することができる。
図8(a)のソースファイルのようにタイトル行が含まれている場合には(YES)、ステップS2006に進む。
【0051】
ステップS2006では、ソースファイルに含まれるタイトル行をサービス名として設定して、通信先管理テーブル351を作成する。
図8(a)の例では、タイトル行が「ストレージサービスA」であることから、「ストレージサービスA」と、通信先IPアドレス「100.22.33.44」と、ドメイン名「storageaa.com」とを対応付けたテーブルを作成する。ステップS2006のあと、ステップS2008に進み、通信先管理テーブル作成部340は、通信先管理テーブル351を作成する処理を終了する。
【0052】
また、ステップS2005の処理において、
図8(b)のソースファイルのようにタイトル行が含まれていない場合には(NO)、ステップS2007に進む。ソースファイルにタイトル行が含まれないことから、ステップS2007では、ドメイン名をサービス名として設定して通信先管理テーブル351を作成する。
図8(b)の例では、通信先IPアドレス「110.22.33.44」と、ドメイン名「accountbb.com」とを対応付けて、さらにサービス名についても「accountbb.com」としたテーブルを作成する。ステップS2007のあと、ステップS2008に進み、通信先管理テーブル作成部340は、通信先管理テーブル351を作成する処理を終了する。
【0053】
上述した処理によって、通信先管理テーブル351を作成することができる。なお、上述の方法による通信先管理テーブル351の作成は、一例であって、上述した以外の方法によって行われてもよい。例えば、管理者などが各項目を入力することで、通信先管理テーブル351を作成してもよい。
【0054】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、ユーザによるクラウドサービスの利用状況を集計するシステム、方法およびプログラムを提供することができる。
【0055】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0056】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
100…システム、111,112…サーバ装置、120…インターネット、131…ネットワークスイッチ、132…sFLOWコレクタ、133…仲介装置、140…情報処理装置、201…CPU、202…RAM、203…ROM、204…記憶装置、205…通信I/F、310…通信情報取得部、320…管理テーブル参照部、330…利用状況集計部、340…通信先管理テーブル作成部、350…テーブル記憶部、351…通信先管理テーブル、352…送信元管理テーブル、353…利用状況集計テーブル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】