IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7103142ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置
<>
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図1
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図2
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図3
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図4
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図5
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図6
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図7
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図8
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図9
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図10
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図11
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図12
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図13
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図14
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図15
  • 特許-ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220712BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
B41J2/14
B41J2/14 613
B41J2/14 603
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018192858
(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2019147368
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018031398
(32)【優先日】2018-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 剛史
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-015967(JP,A)
【文献】特開2018-015966(JP,A)
【文献】特開2011-068037(JP,A)
【文献】米国特許第6007176(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ複数のヘッドと、
前記複数のヘッドそれぞれに接続され、駆動回路が実装された複数の配線部材と、
前記駆動回路と熱的に結合された放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、前記ヘッド及び前記ベース部材に対向して配置され、
前記放熱部材と前記ベース部材とは、隣り合う前記ヘッドの間で接触している
ことを特徴とするヘッドモジュール。
【請求項2】
前記放熱部材と前記ベース部材とは面接触している
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドモジュール。
【請求項3】
前記ベース部材の線膨張係数は、前記放熱部材の線膨張係数よりも小さい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドモジュール。
【請求項4】
前記ベース部材には、少なくとも前記放熱部材を収容するケースが取り付けられ、
前記放熱部材と前記ケースとは熱的に結合されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項5】
前記放熱部材には、前記配線部材が通る貫通穴が設けられ、
前記貫通穴の内部で、前記配線部材の前記駆動回路と前記放熱部材とが熱的に結合されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項6】
前記ベース部材には、前記ヘッドの短手方向に2つの前記ヘッドが並べられており、
前記放熱部材の貫通穴には前記2つのヘッドそれぞれに接続された前記配線部材が通されており、
前記貫通穴の内部で、前記2つのヘッドの配線部材それぞれに搭載された前記駆動回路が、前記放熱部材と結合されている
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドモジュール。
【請求項7】
前記放熱部材には、凸状の保持部と、前記保持部の先端面に凸部が形成されており、
前記ベース部材には前記隣り合うヘッドの間に、前記放熱部材の凸部が嵌め込まれる凹部が形成されており、
前記放熱部材の凸部が前記ベース部材の凹部に嵌め込まれて、前記放熱部材の保持部が前記ベース部材に保持されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項8】
前記ヘッドの長手方向に沿って複数の前記ヘッドが前記ベース部材に並べられており、 前記放熱部材は、前記複数のヘッドと対向し、且つ、前記複数のヘッドとは非接触で前記ベース部材に配置されている。
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項9】
前記ベース部材のヘッド長手方向の中央付近に前記放熱部材が接触している
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項10】
前記ベース部材は、少なくとも鉄とニッケルを含む合金からなる
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項11】
前記放熱部材は、少なくともアルミ、銅、銀、金いずれかを含む
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項12】
前記ヘッドが液体を吐出する液体吐出ヘッドである
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のヘッドモジュール。
【請求項13】
前記放熱部材の上方には、前記ヘッドの流路に通じる流路が形成されたマニホールドが配置され、
前記マニホールドは、前記放熱部材の上面から隙間を空けて配置されている
ことを特徴とする請求項12に記載のヘッドモジュール。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれかに記載のヘッドモジュールが共通ベース部材に複数並べられてなる
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項15】
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられた複数のヘッドと、
前記複数のヘッドそれぞれに接続され、駆動回路が実装された複数の配線部材と、
前記駆動回路と熱的に結合された金属部材と、を備え、
前記金属部材は前記ヘッド及び前記ベース部材に対向して配置され、
前記金属部材と前記ベース部材とは、隣り合う前記ヘッドの間で接触している
ことを特徴とするヘッドモジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のヘッドモジュールが共通ベース部材に複数並べられてなる
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項17】
請求項12又は13に記載のヘッドモジュールを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項18】
請求項15に記載のヘッドモジュール又は請求項16に記載のヘッドユニットを備え、
前記ヘッドが液体を吐出する液体吐出ヘッドである、
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドモジュール、ヘッドユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドをベース部材に取り付けてヘッドモジュールを構成することが行われている。
【0003】
従来、樹脂製のホルダにヘッドを支持し、ホルダを挟んでヘッドの上方には補強部材が配置され、補強部材は金属板を断面視U字状となるよう形成したものであり、ドライバICのヒートシンクとして機能し、ホルダと補強部材とは、ホルダに形成された複数の突起において点接触している構成としたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-139157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドをベース部材に配置したヘッドモジュールにあっては、ヘッドの駆動に伴ってドライバICで生じる発熱が多くなり、放熱が必要になる。
【0006】
ここで、特許文献1に開示の構成にあっては、ベース部材に相当する樹脂製のホルダを介してヘッドと反対側に放熱部材となる補強部材を配置し、補強部材とホルダとを点接触で保持しているため、放熱部材の保持構造が複雑になるという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、放熱部材の保持構造を簡単にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッドモジュールは、
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられ複数のヘッドと、
前記複数のヘッドそれぞれに接続され、駆動回路が実装された複数の配線部材と、
前記駆動回路と熱的に結合された放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、前記ヘッド及び前記ベース部材に対向して配置され、
前記放熱部材と前記ベース部材とは、隣り合う前記ヘッドの間で接触している
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放熱部材の保持構造を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドモジュールのヘッド短手方向に沿う断面説明図である。
図2】同じくモジュールケースを取り外した状態の側面説明図である。
図3】同じく放熱部材よりヘッド側の平面説明図である。
図4】同じく放熱部材とフレキシブル配線部材との結合部分の拡大説明図である。
図5】同ヘッドモジュールの分解斜視説明図である。
図6】同じくノズル面側から見た分解斜視説明図である。
図7】同じく放熱部材よりヘッド側の斜視説明図である。
図8】同じく放熱部材よりヘッド側の放熱部材側から見た分解斜視説明図である。
図9】同じく放熱部材よりヘッド側のノズル面側から見た分解斜視説明図である。
図10】同じくモジュールケースと放熱部材の結合部分の説明図である。
図11】本発明の第2実施形態におけるベース部材と放熱部材の接触箇所の説明に供する説明図である。
図12】本発明の第3実施形態におけるベース部材と放熱部材の接触箇所の説明に供する説明図である。
図13】本発明の第4実施形態における放熱部材と駆動回路(ドライバIC)との結合部分の拡大説明図である。
図14】本発明の第5実施形態における放熱部材と駆動回路(ドライバIC)との結合部分の拡大説明図である。
図15】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の概略説明図である。
図16】同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。図1は同実施形態に係るヘッドモジュールのヘッド短手方向に沿う断面説明図、図2は同じくモジュールケースを取り外した状態の側面説明図、図3は同じく放熱部材よりヘッド側の平面説明図である。図4は同じく放熱部材とフレキシブル配線部材との結合部分の拡大説明図である。図5は同ヘッドモジュールの分解斜視説明図、図6は同じくノズル面側から見た分解斜視説明図、図7は同じく放熱部材よりヘッド側の斜視説明図、図8は同じく放熱部材よりヘッド側の放熱部材側から見た分解斜視説明図、図9は同じく放熱部材よりヘッド側のノズル面側から見た分解斜視説明図、図10は同じくモジュールケースと放熱部材の結合部分の説明図である。なお、図1では1つのヘッド部分のみを示している。
【0012】
ヘッドモジュール100は、液体を吐出する液体吐出ヘッドである複数のヘッド1と、ベース部材102と、カバー部材103と、放熱部材104と、マニホールド105と、プリント基板(PCB)106と、モジュールケース107とを備えている。
【0013】
複数のヘッド1は、ノズル11を形成したノズル板10と、ノズル11に通じる個別液室21などを形成する個別流路板20と、圧電素子40を含む振動板30と、振動板30に積層した中間流路板50と、中間流路板50に積層した共通流路部材70などを備えている。
【0014】
個別流路板20は、個別液室21とともに、個別液室21に通じる供給側個別流路22、個別液室21に通じる回収側個別流路24を形成している。
【0015】
中間流路板50は、供給側個別流路22に振動板30の開口31を介して通じる供給側中間個別流路51と、回収側個別流路24に振動板30の開口32を介して通じる回収側中間個別流路52とを形成している。
【0016】
共通流路部材70は、供給側中間個別流路51に通じる供給側共通流路71と、回収側中間個別流路52に通じる回収側共通流路72を形成している。
【0017】
供給側共通流路71は、供給ポート81を介してマニホールド105の流路151に通じている。マニホールド105は内部の流路151に通じる供給ポート181を備えている。回収側共通流路72は、回収ポート82を介してマニホールド105の流路152に通じている。マニホールド105は内部の流路152に通じる回収ポート182を備えている。
【0018】
プリント基板106とヘッド1の圧電素子40とはフレキシブル配線部材90を介して接続され、フレキシブル配線部材90にはドライバIC(駆動回路)91が実装されている。
【0019】
本実施形態では、複数のヘッド1が間隔を空けてベース部材102に取付けられている。具体的には、例えば図6に示すように、短手方向に並べて配置した2つのヘッド1、1を1組とし、4つの組を長手方向に千鳥配置して、8個のヘッド1でヘッドモジュール100を構成している。
【0020】
ヘッド1のベース部材102への取付けは、ベース部材102に設けた開口部121にヘッド1を挿入し、ベース部材102に接合固定したカバー部材103に、ヘッド1のノズル板10の周縁部を接合して固定している。また、ヘッド1の共通流路部材70の外部に設けたフランジ部70aをベース部材102に接合して固定している。
【0021】
なお、ヘッド1とベース部材102の固定構造は限定されるものではなく、接着、カシメ、ねじ固定などで行うことができる。
【0022】
ここで、ベース部材102は線膨張係数が低い材料で形成されていることが好ましい。例えば、鉄にニッケルを添加した42alloy(アロイ)や、インバー材などを挙げることができる。本実施形態では、インバー材を使用している。これにより、ヘッド1が発熱して、ベース部材102の温度が上昇しても、ベース部材102の膨張量が少ないため、所定のノズル位置からのノズルのずれが生じにくくなり、着弾位置ずれを抑制できる。
【0023】
放熱部材104は、複数(ここでは4個)のヘッド1及びベース部材102に対向して配置されている。したがって、放熱部材104は、図3に示すように、平面視において、少なくとも1つのヘッド1と重なって配置されている。放熱部材104は金属の部材であって、熱伝導率が高い材料が好ましく、アルミ、銀、銅、金を含む金属を挙げることができる。
【0024】
そして、放熱部材104は、図2及び図7に示すように、ヘッド1の長手方向で隣り合う2つのヘッド1、1の間に凸状の保持部141が設けられ、この保持部141がベース部材102に面接触して保持されている。
【0025】
具体的には、図8及び図9に示すように、放熱部材104の保持部141の先端面に設けた凸部142が、ベース部材102に設けた凹部122に嵌め込まれて固定されている。
【0026】
このように、ヘッド1及びベース部材102に対向して配置された放熱部材104とベース部材102とは、隣り合うヘッド1、1の間で接触している構成とすることで、放熱部材の保持構造が簡単になり小型化を図れる。
【0027】
また、放熱部材104とベース部材102に対して面接触して保持されていることで、放熱部材104の姿勢が安定する。
【0028】
この場合、図8及び図9に示すように、放熱部材104とベース部材102との固定箇所(凸部142と凹部122)は、ヘッド長手方向の配列方向において中央付近に一個所としている。
【0029】
これにより、放熱部材104が熱膨張したときに、放熱部材104は長手方向に延びることができるので、ベース部材102が放熱部材104の熱膨張に伴って変形することを抑制できる。
【0030】
これに対し、放熱部材104を複数箇所でベース部材102に固定すると、放熱部材104が熱によって膨張しようとする力がベース部材102に作用してベース部材102が変形するおそれがある。
【0031】
次に、ドライバIC(駆動回路)91と放熱部材104との結合について図4も参照して説明する。
【0032】
まず、図4(a)に示すように、ドライバIC(駆動回路)91を搭載(実装)したフレキシブル配線部材90と放熱部材104とは熱伝導テープ108にて固定し、ドライバIC91と放熱部材104とをフレキシブル配線部材90及び熱伝導テープ108を介して熱的に結合している。熱的に結合とは、本実施形態では、ドライバIC91が発生する熱が放熱部材104に熱伝導される状態にあることを意味する。
【0033】
また、本実施形態では、前述したように、ヘッド1の短手方向で2つのヘッド1、1を並べて配置しているので、放熱部材104には、隣り合うヘッド1,1の2つのフレキシブル配線部材90、90が通る貫通穴104aを設けている(図7図8など参照)。
【0034】
そして、図4(b)に示すように、貫通穴104a内で、隣り合うフレキシブル配線部材90、90を貫通穴104aの壁面にそれぞれ熱伝導テープ108で固定し、フレキシブル配線部材90,90の各ドライバ91、91と放熱部材104とを結合している。
【0035】
本実施形態において、モジュールケース107は、ベース部材102に取り付けられている。モジュールケース107は、内部に、プリント配線基板106、マニホールド105、放熱部材104、ドライバIC91を含むフレキシブル配線部材90の一部を収容している。
【0036】
そして、放熱部材104とモジュールケース107とは、図10に示すように、熱伝導部材、例えば熱伝導テープ108などで固定して熱的に結合し、放熱部材104の熱を、モジュールケース107を通じて外部に放熱させている。
【0037】
また、ヘッド1の供給ポート81及び回収ポート82を形成しているポート部80は、放熱部材104の長手方向外側に配置されるとともに、放熱部材104に設けた貫通穴104bを通して配置されている。
【0038】
ここで、放熱部材104の貫通穴104bはポート部80より大きく、ポート部80と放熱部材104とは非接触としている。
【0039】
これにより、放熱部材104の熱が供給ポート81、回収ポート82に直接伝導して液体の温度が上昇することを抑制でき、温度による特性ばらつきを抑えることができる。
【0040】
また、ポート部80は、放熱部材104の上面から突出しており、このポート部80上にマニホールド105が配置されることで、マニホールド105は、放熱部材104の上面から隙間を空けて配置される。
【0041】
なお、マニホールド105は放熱部材104上に接着又はパッキンなどの部分的接触部位113(図2参照)で保持されている。
【0042】
これにより、放熱部材104の熱がマニホール105に伝導して液体の温度が上昇することを抑制でき、温度による特性ばらつきを抑えることができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態におけるベース部材と放熱部材の接触箇所の説明に供する説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のX1-X1線に沿う断面説明図である。
【0044】
本実施形態では、ベース部材102に4つのヘッド1を長手方向に並べて配置しているので、ヘッド1、1間の隙間が3つ生じる。
【0045】
このとき、放熱部材104の保持部141は、前記第1実施形態と同様に、ヘッド長手方向の配列方向において中央付近に一個所だけに設けられ、1つの保持部141がベース部材102に接触して保持される。
【0046】
このように、偶数個のヘッド1がヘッド長手方向に配置されるとき、奇数個のヘッド間の隙間の中央の隙間に対応して、放熱部材104には1つの保持部141を設けられ、ベース部材102に接触して保持される。
【0047】
これにより、放熱部材104が熱膨張したときに、放熱部材104は長手方向に延びることができるので、ベース部材102が放熱部材104の熱膨張に伴って変形することを抑制できる。
【0048】
次に、本発明の第3実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態におけるベース部材と放熱部材の接触箇所の説明に供する説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は(a)のX2-X2線に沿う断面説明図である。
【0049】
本実施形態でも、ベース部材102に4つのヘッド1を長手方向に並べて配置しているので、ヘッド1、1間の隙間が3つ生じる。
【0050】
そして、本実施形態では、ヘッド長手方向の配列方向において、放熱部材104にはヘッド1間の3つの隙間に対応してそれぞれ保持部141が設けられている。そしれ、これらの3つの保持部141がベース部材102に接触して保持されている。
【0051】
本実施形態のような構成とする場合には、ベース部材102を、放熱部材104が熱膨張したときに変形しない剛性を有する部材で形成することが好ましい。
【0052】
次に、本発明の第4実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態における放熱部材と駆動回路(ドライバIC)との結合部分の拡大説明図である。
【0053】
本実施形態では、ドライバIC91と放熱部材104とを熱伝導テープ108で固定して、ドライバIC91と放熱部材104とを熱的に結合している。
【0054】
次に、本発明の第5実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態における放熱部材と駆動回路(ドライバIC)との結合部分の拡大説明図である。
【0055】
本実施形態では、フレキシブル配線部材90側からバネのような弾性部材109によってドライバIC91を放熱部材104に押し付けて、ドライバIC91と放熱部材104とを熱的に結合している。この場合、ドライバIC91と放熱部材104との間には熱伝導性の高いシリコングリスなどを塗布することが好ましい。
【0056】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図15及び図16を参照して説明する。図15は同装置の概略説明図、図16は同装置のヘッドユニットの一例の平面説明図である。
【0057】
この液体を吐出する装置である印刷装置500は、連続体510を搬入する搬入手段501と、搬入手段501から搬入された連続体510を印刷手段505に案内搬送する案内搬送手段503と、連続体510に対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う印刷手段505と、連続体510を乾燥する乾燥手段507と、連続体510を搬出する搬出手段509などを備えている。
【0058】
連続体510は搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、搬出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、搬出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0059】
この連続体510は、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が印刷される。
【0060】
ここで、ヘッドユニット550には、図16に示すように、本発明に係る2つのヘッドモジュール100A、100Bを共通ベース部材552に備えている。
【0061】
そして、ヘッドモジュール100の搬送方向と直交する方向におけるヘッド1の並び方向をヘッド配列方向とするとき、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1A1,1A2で同じ色の液体を吐出する。同様に、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1B1、1B2を組とし、ヘッドモジュール100Bのヘッド列1C1、1C2を組とし、ヘッド列1D1、1D2を組として、それぞれ所要の色の液体を吐出する。
【0062】
なお、本発明に係るヘッドモジュールは、機能部品、機構と一体化して液体吐出ユニットを構成することができる。例えば、ヘッドモジュールと、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを組み合わせることができる。
【0063】
ここで、一体化とは、例えば、ヘッドモジュールと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、ヘッドモジュールと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0064】
また、本発明における「液体を吐出する装置」には、ヘッドモジュール又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0065】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0066】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0067】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0068】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0069】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0071】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0072】
吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0073】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0074】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0075】
1 ヘッド
10 ノズル板
11 ノズル
70 共通流路部材
90 フレキシブル配線部材
91 ドライバIC
100 ヘッドモジュール
102 ベース部材
103 カバー部材
104 放熱部材
141 凸部
105 マニホールド
106 プリント基板
108 モジュールケース
500 液体を吐出する装置(印刷装置)
550 ヘッドユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16