(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】ラインセンサ及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220712BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20220712BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20220712BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20220712BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N1/028 Z
H04N1/191
H04N5/369 200
H01L27/146 D
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2018214117
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻野 勝之
(72)【発明者】
【氏名】畔野 正彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳史
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067615(JP,A)
【文献】特開2006-229105(JP,A)
【文献】特開2018-160766(JP,A)
【文献】特開2013-004565(JP,A)
【文献】特開2014-110279(JP,A)
【文献】特開平11-087680(JP,A)
【文献】特開2008-103647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 1/028
H04N 1/191
H04N 5/369
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に配列される複数のセンサチップを備えるラインセンサであって、
前記センサチップは、
光電変換部を有する画素を前記センサチップの配列方向に配列した画素群と、
前記画素群のうち、少なくとも前記配列方向の両端に位置する画素の前記光電変換部の周囲の少なくとも一部に配置される電荷排出部と、
電源電圧と前記電荷排出部を接続する金属接続部と、
を備え
、
前記金属接続部は、前記電荷排出部上に間隔をあけて積層される複数の層を有し、
前記センサチップは、
前記センサチップの端部側で積層される複数の層を有する端側金属接続部を更に備え、
前記金属接続部の各層と前記端側金属接続部の各層の少なくとも一部が、積層方向で重なるように互い違いに配置されるラインセンサ。
【請求項2】
前記電荷排出部は、
前記画素群のうち、前記配列方向の一側の端に位置する画素の前記一側の辺に配置されるとともに、前記配列方向の他側の端に位置する画素の前記他側の辺に配置される請求項1に記載のラインセンサ。
【請求項3】
前記電荷排出部は、
前記画素群の各画素の前記配列方向で向かい合う両辺に配置される請求項1に記載のラインセンサ。
【請求項4】
前記電荷排出部は、
前記画素群の各画素の前記配列方向に直交する方向で向かい合う両辺に配置される請求項1に記載のラインセンサ。
【請求項5】
前記電荷排出部は、
前記画素群の各画素の全周に配置される請求項1に記載のラインセンサ。
【請求項6】
前記金属接続部及び前記端側金属接続部の少なくとも何れか一方に反射防止膜が形成される請求項
1に記載のラインセンサ。
【請求項7】
前記金属接続部の前記複数の層の少なくとも一部は、
積層方向において前記電荷排出部側に近い層が相対的に大きく形成される請求項
1に記載のラインセンサ。
【請求項8】
前記金属接続部は、前記電源電圧と前記電荷排出部を直接的に接続する請求項1から
7の何れかに記載のラインセンサ。
【請求項9】
請求項1から
8の何れかに記載のラインセンサを有する画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインセンサ及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトダイオード等の光電変換部を有する画素を配列したラインセンサにより、原稿等の読取対象の画像を読み取る装置において、画素間の出力信号のノイズを低減する技術が知られている。この種の技術を開示するものとして特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、複数画素に対し1つのウェルコンタクトが存在するために暗電流が増大した画素とそうでない画素が周期的に発生することが記載されている。特許文献1では、暗電流の低減を課題としており、ポリシリコン等の導電層に形成されるLDD(Lightly-Doped-Drain)構造を有するトランジスタの作成に関し、暗電流を低減するための素子分離領域、サイドウォールの形状等が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラインセンサは、所定方向に配列された画素群を有するが、配列方向の両端に位置する画素は、受光領域外の光(周辺光)を受光し易い位置にあるため、本来受光すべきでない光に起因する電荷が出力信号のノイズとなってしまう。両端に位置する画素の出力信号とその間に位置する画素の出力信号の間の違いが大きくなれば、画素間に出力信号のばらつきが生じる。この出力信号のばらつきは、長尺の原稿読取に対応するために、画素群が形成されたセンサチップを複数並べる構成を採った場合、センサチップの間隔で周期的に生じることになる。画素の受光領域をなるべく大きくすることで出力信号を大きくし、各画素のバラツキを相対的に低減させることも考えられるが、画素の面積を大きくすれば周囲長も大きくなってしまい、周辺光の影響をより受け易くなってしまう。この点、特許文献1では、ウェルコンタクトを取ることで余分な入射光による出力信号の変動を抑制するものの、センサチップの両端に位置する画素に起因する出力信号のばらつきを解消するという観点で改善の余地がった。
【0005】
本発明は、配列方向に並ぶ各画素の出力信号のばらつきを抑制できるラインセンサ及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定方向に配列される複数のセンサチップを備えるラインセンサであって、前記センサチップは、光電変換部を有する画素を前記センサチップの配列方向に配列した画素群と、前記画素群のうち、少なくとも前記配列方向の両端に位置する画素の前記光電変換部の周囲の少なくとも一部に配置される電荷排出部と、電源電圧と前記電荷排出部を接続する金属接続部と、を備え、前記金属接続部は、前記電荷排出部上に間隔をあけて積層される複数の層を有し、前記センサチップは、前記センサチップの端部側で積層される複数の層を有する端側金属接続部を更に備え、前記金属接続部の各層と前記端側金属接続部の各層の少なくとも一部が、積層方向で重なるように互い違いに配置されるラインセンサに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のラインセンサ及び画像読取装置によれば、配列方向に並ぶ各画素の出力信号のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るラインセンサを示す模式図である。
【
図2】本実施の形態のセンサチップ内の画素の配列を示す模式図である。
【
図3A】本実施の形態のセンサチップ内の画素群の一側の端に位置する画素の構成を模式的に示す図である。
【
図3B】本実施の形態のセンサチップ内の画素群の他側の端に位置する画素の構成を模式的に示す図である。
【
図4】本実施の形態の画素の構成を示す模式断面図である。
【
図5】本実施の形態の電荷排出部としてのガードリングによって周辺の電荷が吸収される様子を示す模式図である。
【
図6A】本実施の形態の画素を含むセンサチップ端部の第1の構成例を示す模式断面図である。
【
図6B】本実施の形態の画素を含むセンサチップ端部の第2の構成例を示す模式断面図である。
【
図7A】第1変形例における電荷排出部としてのガードリングの配置を示す模式図である。
【
図7B】第2変形例における電荷排出部としてのガードリングの配置を示す模式図である。
【
図7C】第3変形例における電荷排出部としてのガードリングの配置を示す模式図である。
【
図8】第1変形例の画素の構成を示す模式断面図である。
【
図9】本実地の形態のラインセンサを備える画像読取装置の構成例を示す図である。
【
図10】本実施の形態の画像読取装置の制御系の構成例を示す図である。
【
図11】本実施の形態のラインセンサを備える第2読取装置の断面図である。
【
図12】本実施の形態のラインセンサを備える第2読取装置の分解斜視図である。
【
図13】本実施の形態のセンサチップの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るラインセンサ100を示す模式図である。
図2は、本実施の形態のセンサチップ101内の画素111の配列を示す模式図である。以下の説明において、
図1及び
図2においてセンサチップ101が配列される配列方向を主走査方向Aとし、この主走査方向Aに直交する方向を副走査方向Bとして説明する。
【0010】
本実施の形態のラインセンサ100は、所定方向に配列された複数のセンサチップ101を備えるCMOS(Complementary MOS)ラインセンサである。複数のセンサチップ101のそれぞれには、複数の画素111が配置される。なお、本実施の形態のセンサチップ101は、半導体により構成されるセンサと回路からなる集積回路である。
【0011】
センサチップ101内において、主走査方向Aに配列される画素111の集合を画素群110とする。画素群110は、隣り合うセンサチップ101の画素群110との間においても、主走査方向Aの同一直線上に位置する。センサチップ101を主走査方向Aに配列することで、画素群110が主走査方向Aに繰り返し配置されることになる。
【0012】
また、本実施の形態では、1つのセンサチップ101に対して複数の画素群110が、副走査方向Bに配置される。
図1及び
図2では、画素群110が副走査方向Bに3列並んでいる状態を例示しているが、画素群110が1列、2列、4列以上であってもよい。なお、
図2では、図示される画素群110の全てが後述するガードリング150を備える構成であるが、一部の画素群110がガードリング150を備える構成であってもよい。
【0013】
センサチップ101及び画素111の数は、ラインセンサ100の読取対象となる原稿のサイズによって設定される。読取対象の原稿が長尺であっても、同じサイズのセンサチップ101を複数配置することで、各センサチップ101のサイズを大きくする必要がなく、センサチップ101の歩留まりを向上させて、生産コストを削減できる。
【0014】
次に、画素群110の出力のばらつきを抑制する構成について説明する。
図3Aに示される画素111aは、
図2のセンサチップ101の画素群110の紙面左側の端に位置する画素111aに対応し、
図3Bに示される画素111bは、
図2のセンサチップ101の画素群110の紙面右側の端に位置する画素111bに対応する。
【0015】
画素111a及び画素111bは、複数のフォトダイオード140と、ソースフォロワ121と、リセットトランジスタ122と、を備える。なお、画素群110において、画素111aと画素111bの間に配置される画素111も、同様の構成を備える。
【0016】
複数のフォトダイオード140は、その出力端子が単一のノード125に接続される光電変換部である。複数のフォトダイオード140の主走査方向Aの一側にはリセットトランジスタ122が位置し、主走査方向Aの他側にはソースフォロワ121が位置する。画像読取時には、フォトダイオード140に入射した光に基づいた信号がソースフォロワ121によって出力部(Vout)123から外部に出力される。リセットトランジスタ122は、フォトダイオード140の出力を一旦リセットする。
【0017】
画素111a及び画素111bは、画素群110の画素111が共通して備える構成とは別に、電荷排出部としてのガードリング150をそれぞれ備える。ガードリング150は、画素111a内においては、フォトダイオード140の左側のみに配置される(
図3A参照)。これに対して画素111b内では、フォトダイオード140の右側のみに配置される(
図3B参照)。同一のセンサチップ101内において、画素群110の単位では、主走査方向Aの両側にガードリング150が位置する構成となる。
【0018】
ガードリング150の機能について説明する。
図4は、本実施の形態の画素111aの構成を示す模式断面図であり、
図3AのC-C’線断面矢視図に相当する。
図5は、本実施の形態の電荷排出部としてのガードリング150によって周辺の電荷が吸収される様子を示す模式図である。なお、
図4及び
図5では、左側に位置する画素111aの例を示しているが、画素111bの場合も同様である。
【0019】
図4に示すように、フォトダイオード140は、N型拡散層であるSENSOR層141と、P型拡散層であるP-Fieled層142と、のPN結合によって形成される光電変換素子である。フォトダイオード140とガードリング150は、P-epi(エピタキシャル)層143の上に形成され、STI(Shallow Trench Isolation)層145によって素子分離されている。
【0020】
ガードリング150は、SENSOR層151と、Nwell層152と、N+層153と、によって形成され、光電変換された電荷を吸収する機能を有する第2の光電変換素子である。ガードリング150のSENSOR層151は、P-Fieled層142にコンタクトしている。Nwell層152はSENSOR層151の下側に形成され、N+層153はSENSOR層151の内側に形成される。
【0021】
図5に示すように、フォトダイオード140に対応する位置で光電変換によって生じた電荷は、フォトダイオード140に流れ込む。フォトダイオード140に流れ込んだ電荷は読み出し期間に電圧として読み出される。
【0022】
これに対してガードリング150は、フォトダイオード140の受光領域外で光電変換によって生じた電荷を吸収する。ガードリング150は、電荷ポテンシャルがフォトダイオード140よりも低く設定されている。
図5に示す例において、ガードリング150が無い場合、フォトダイオード140の周辺で生じた電荷は、フォトダイオード140に吸収され、出力信号のノイズになってしまう。本実施の形態では、ガードリング150により、フォトダイオード140の周辺で生じた光が吸収されるので、本来出力すべきフォトダイオード140の出力信号に周辺光が及ぼす影響を効果的に抑制できる。
【0023】
次に、ガードリング150の電荷ポテンシャルの設定及びガードリング150の周辺構造について説明する。
図6Aは、本実施の形態の画素111aを含むセンサチップ101端部の第1の構成例を示す模式断面図である。
【0024】
図6Aに示すように、N+層153には金属接続部としての金属線160が接続される。金属線160は、下から上に第1層161、第2層162、第3層163、第4層164が積層される積層構造となっている。また、センサチップ101の端部近傍にも、端側金属接続部としての端側金属線180が配置される。端側金属線180は、センサチップ101のP-Fieled層142の上に形成されるP+層146に接続されており、第1層181、第2層182、第3層183、第4層184が積層される積層構造となっている。この例の金属線160と端側金属線180の表面及び裏面には、製造工程における露光条件改善のために、ARC(Anti Reflective Coating)やBARC(Bottom Anti Reflective Coating)等の反射防止膜が形成される。金属線160と端側金属線180は、短絡を防ぐため主走査方向Aで間隔をあけた配置となっている。
【0025】
N+層153に接続される金属線160により、ガードリング150が任意の電位に固定される。金属線160は、電源電圧(VDD)に接続されているので、画素111のフォトダイオード140周辺においてガードリング150は電荷ポテンシャルの最も低い部分となる。電荷ポテンシャルの低いガードリング150によって吸収された電荷は、電流として金属線160を流れる。
【0026】
本実施の形態では、N+層153と金属線160は、スイッチを介することなく直接接続されている。従って、スイッチの操作等を制御する必要がなく、ガードリング150で吸収された電荷は、自動的に金属線160を通じて排出され続けることになる。
【0027】
ここで、本実施の形態のセンサチップ101の端部の構造について説明する。
図6Aには、2点鎖線で囲まれる領域が
図4で示した画素111aの範囲として示される。この領域は、
図3AのC-C’線断面矢視図に対応する。センサチップ101は、製造工程においてウエハの状態から所定の形状に切り出されるため、センサチップ101の端部(切断箇所)からセンサ部分(画素)となる領域までのマージン(距離)が必要となる。このマージンは、ウエハを製造する工場等によって設定される。
【0028】
一般的な二次元アレイセンサでは、画素群の端に位置する部分にダミー画素を配置し、最外周に位置する画素の信号を使用しない構成をとることがある。しかし、センサチップを複数配列する構成では、ダミー画素が存在するとチップ間で画素が欠落することになる。本実施の形態では、画素群110の端に位置する画素をダミー画素ではなく、ガードリング150を配置した画素111a(111b)とすることにより、ダミー画素の存在によるセンサチップ101間での画素の欠落が生じない構成となっている。これによって、画素群110の端に位置する画素111aからセンサチップ101の端部までの距離をマージンに設定することが可能となっている。
【0029】
以上説明したように、ラインセンサ100は、主走査方向(配列方向)Aに配列される複数のセンサチップ101を備える。センサチップ101のそれぞれは、光電変換部としてのフォトダイオード140を有する画素111をセンサチップ101の配列方向に配列した画素群110と、画素群110のうち、少なくとも配列方向の両端に位置する画素111のフォトダイオード140の周囲の少なくとも一部(例えば、少なくとも1辺)に配置される電荷排出部としてのガードリング150と、電源電圧Vddとガードリング150を接続する金属線160と、を備える。
【0030】
この構成では、電源電圧Vddに金属線160を介して接続され、フォトダイオード140に比べて電荷ポテンシャルの低い領域となるガードリング150がセンサチップ101の両端に位置する画素111a,111bの周辺に形成されることになる。これにより、フォトダイオード140の想定する受光領域外の周辺光によって生じた電荷は、フォトダイオード140に吸収されることなく、ガードリング150に吸収される。画素111a,111bの出力信号のノイズが低減され、センサチップ101の間隔で生じる周期的な出力信号のばらつきも防止される。即ち、全画素111,111a,111bに同一の光入力があったときも、出力信号を揃えることができる。特に、周囲長が長く、周辺光の影響を受け易い受光領域が大きい画素を用いる場合に本実施の形態の構成は好適である。
【0031】
また、本実施の形態では、ガードリング150は、画素群110のうち、配列方向の一側の端に位置する画素111aの一側の辺に配置されるとともに、配列方向の他側の端に位置する画素111bの他側の辺に配置される。この構成により、画素群110の単位で配列方向の両側にガードリング150が配置されるので、センサチップ101の両端の画素111a,111bでの周辺光の吸収をシンプルな構成で効率的に抑制できる。
【0032】
また、本実施の形態では、金属線160は、ガードリング150上に間隔をあけて積層される複数の層161~164を有する。この構成により、フォトダイオード140の外側から入射する入射光に対して金属線160を反射部材として機能させ、フォトダイオード140への不要な光の入射を抑制できる。
【0033】
また、本実施の形態では、金属線160が電源電圧Vddとガードリング150を直接的に接続する。この構成では、スイッチを介することなく電源電圧に直接接続されるので、周辺光に起因する不要な電荷は、自動的に排出され続ける。電荷排出制御を行う必要もないので、電荷排出のための制御信号の発生を抑制でき、信号読み出しのサイクルの高速化にも寄与できる。
【0034】
続いて上記実施の形態とは、金属線の構造が異なる構成について
図6Bを参照して説明する。
図6Bは、本実施の形態の画素111aを含むセンサチップ101端部の第2の構成例を示す模式断面図である。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成について同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0035】
図6Bに示すように、ガードリング150に接続される金属線170は、下から上に第1層171、第2層172、第3層173、第4層174が積層される積層構造となっている。センサチップ101の端部に配置される端側金属線190も、下から上に第1層191、第2層192、第3層193、第4層194が積層される積層構造となっている。金属線170と端側金属線190の表面及び裏面にも、製造工程における露光条件改善のために、ARCやBARC等の反射防止膜が形成される。
【0036】
金属線170の第1層171、第2層172、第3層173、第4層174は、端側金属線190の第1層191、第2層192、第3層193、第4層194と略同じ高さに配置されている。主走査方向Aにおいて、第1層171と第1層191の間には隙間195が形成される。同様に、第2層172と第2層192の間には隙間196が形成され、第3層173と第3層193の間には隙間197が形成され、第4層174と第4層194の間には隙間198が形成される。第2の構成例では、積層方向で隣り合う各層の隙間195~198が、該積層方向では重ならないように、金属線170と端側金属線190が互い違いの構造となっている。
【0037】
また、金属線170の積層構造は、主走査方向Aでフォトダイオード140側(紙面右側)の端部が階段状となっている。即ち、金属線170は、第1層171、第2層172、第3層173、第4層174において、下層になるほど、主走査方向Aでフォトダイオード140に近づく構成となっている。このうち、第2層172は、第3層173の範囲よりも広く、相対的に大きな範囲で形成される。
【0038】
以上説明した第2の構成例のセンサチップ101は、金属線170の各層171~174と端側金属線190の各層191~194の少なくとも一部が、積層方向で重なるように互い違いに配置される。この構成により、金属線170と端側金属線190の各配線を積層方向で重ね合わせることができる。これによって、金属線170と端側金属線190の間で短絡を防止するための隙間195~198を形成しつつ、当該隙間195~198から入射光がフォトダイオード140に入射される事態の発生を効果的に抑制できる。
【0039】
また、この構成例において、金属線170の複数の層171~174の一部であり、積層方向においてガードリング150側に近い第2層172が第3層173や第4層174に対して相対的に大きく形成される。この構成により、上から入射してくる入射光が積層構造の内部に入射したとしても、ガードリング150側の第2層172によってフォトダイオード140から離れる方向に反射することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、金属線170と端側金属線190の表面及び裏面の両方に反射防止膜が形成されているので、反射を繰り返した入射光がフォトダイオード140に到達する可能性をより低減することができる。なお、場合によっては金属線170と端側金属線190の何れか一方にのみ反射防止膜を形成する構成としてもよい。
【0041】
以上説明した
図6A及び
図6Bの構成例では、4層の金属線を説明したがこの構成に限定されない。2層、3層又は5層以上等、金属線の層数は適宜変更できる。
【0042】
次に、画素群の画素に配置されるガードリング150の位置が上記実施の形態とは異なる変形例について説明する。なお、ガードリング150の構成は、上記実施の形態又は構成例で説明したものと同様である。
【0043】
図7Aは、第1変形例における電荷排出部としてのガードリング150の配置を示す模式図である。
図7Aに示す例では、画素群110aを構成する全ての画素111dがガードリング150を備えている。
図8は、第1変形例の画素111dの構成を示す模式断面図である。
【0044】
図8に示すように、第1変形例の画素111dは、主走査方向Aの両側のそれぞれにガードリング150を備える構成となっている。即ち、ガードリング150は、画素群110aの各画素111dの配列方向で向かい合う両辺に配置される。この構成により、上記実施の形態で説明した構成と同様の効果を奏するとともに、主走査方向Aに配列される各画素111dの全てに余分な電荷を吸収するガードリング150が配置されることになる。隣接する画素111d間による光クロストークを抑制し、出力のばらつきをより一層抑制できる。
【0045】
図7Bは、第2変形例における電荷排出部としてのガードリング150の配置を示す模式図である。
図7Bに示す例において、画素群110bのうち、両端に位置する画素111e及び画素111fには、3辺に沿ってガードリング150が配置される。そして、両端の間の画素111gには、副走査方向Bで向かい合う両辺にガードリング150が配置される。
【0046】
この第2変形例では、画素群110bの各画素111e~111gの配列方向に直交する方向で向かい合う両辺に配置される。この構成により、配列方向に直交する方向(副走査方向B)での周辺光の影響を抑制できる。従って、副走査方向Bに配列される画素群110b(ライン)間の光クロストークを効果的に抑制できる。
【0047】
図7Cは、第3変形例における電荷排出部としてのガードリング150の配置を示す模式図である。
図7Cに示す例においても、画素群110cを構成する全ての画素111hがガードリング150を備えている。この例では、全ての画素111hにおいて、ガードリング150がフォトダイオード140の周囲を囲むように配置される。
【0048】
この第3変形例では、ガードリング150は、画素群110cの各画素111hの全周に配置される。この構成により、主走査方向A、副走査方向B及び画素111h間のあらゆる方向での光クロストークを抑制できる。
【0049】
この構成以外にも、
図2や
図7A~
図7Cで示したガードリング150が異なる配置の画素を組み合わせてもよい。例えば、両端にガードリング150を備える画素111dや、副走査方向Bで向かい合う両辺にガードリング150を備える画素111e,111f,111gや、
図7Cで示した全周にガードリングを備える画素111hを組み合せてもよい。以上、ラインセンサ100の構成例について説明してきた。次に、上記実施の形態又は変形例のラインセンサ100を適用した画像読取装置1の例について説明する。
【0050】
図9は、本実地の形態のラインセンサ100を備える画像読取装置1の構成例を示す図である。
図10は、本実施の形態の画像読取装置1の制御系の構成例を示す図である。なお、
図9において、後述するモータ201~205についてはその図示を省略している。
図10において、本体側に位置する第1読取部6の第1読取装置20の図示は省略している。
【0051】
図9に示される画像読取装置1は、コピー、ファクシミリ、プリンタ機能を有する複合機に用いられる電子写真方式のスキャナである。まず、画像読取装置1の全体構成について説明する。
【0052】
図9に示すように、画像読取装置1は、原稿セット部2と、分離給送部3と、レジスト部4と、ターン部5と、第1読取部6と、第2読取部7と、排紙部8と、スタック部9と、を備える。また、
図10に示すように、画像読取装置1は、本体制御部211及び本体操作部112にインタフェースを介して接続されるコントローラ部210を備える。コントローラ部210は、上述の各構成の動作を制御する電子部品である。
【0053】
コントローラ部210には、各種の構成を駆動する駆動部としての各種のモータ201~205及び原稿Sの位置等を検知する検知部としての各種のセンサ90~99、セットフィラ33等が接続される。本体制御部211には、インタフェース等を介して第1読取部6及び第2読取部7で読み取られた画像情報が送信される。
【0054】
画像読取装置1の各構成について説明する。原稿セット部2には、画像を読み取る対象の原稿Sの束がセットされる原稿テーブル30が配置される。原稿テーブル30は、回動可能な可動テーブル31と、原稿Sの位置決めを行うサイドガイド32と、を備える。可動テーブル31は、底板上昇モータ205により、
図1の紙面右側に示す矢印方向に回動可能となっている。サイドガイド32は、原稿Sの搬送方向(副走査方向)に直交する方向(主走査方向)の位置決めを行う。また、原稿テーブル30には、長さ検知センサ91,92が配置される。また、原稿テーブル30の搬送方向の下流側端部の近傍には、セットフィラ33、底板HPセンサ98及び原稿セットセンサ99等が配置される。
【0055】
分離給送部3は、原稿テーブル30にセットされた原稿Sの束から最上位の原稿Sとその下の原稿Sとを分離し、最上位の原稿Sのみを搬送する。分離給送部3には、ピックアップローラ38、給紙ベルト39、リバースローラ40及び適正位置センサ97等が配置される。ピックアップローラ38は、ピックアップモータ201の駆動力が伝達されるカム機構に接続される。ピックアップローラ38は、ピックアップモータ201により、
図1の紙面左側に示す矢印方向に回動可能となっている。ピックアップローラ38の移動上限は、適正位置センサ97によって検知される。給紙ベルト39は、給紙モータ202の正転により給紙方向に駆動される。
【0056】
リバースローラ40は、給紙ベルト39に所定の圧力で押圧されており、給紙ベルト39と給紙モータ202の正転により給紙方向と逆方向に回転駆動される。リバースローラ40が給紙ベルト39に直接接触している状態、又は原稿S1枚を介して接触している状態では、給紙ベルト39の回動に伴って反時計方向に連れ回りする。リバースローラ40は、トルクリミッタを有する。給紙ベルト39とリバースローラ40との間に原稿Sが2枚以上入り込んだ状態では、給紙ベルト39に連れ回る力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されている。これによって、給紙ベルト39とリバースローラ40との間に原稿Sが2枚以上入り込んだ場合は、リバースローラ40は、時計方向に回転駆動して余分な原稿Sを押し戻し、原稿Sの重送を防止する。
【0057】
レジスト部4は、分離給送部3によって給送される原稿Sの一次突き当てを行って原稿Sの姿勢を整合するとともに、整合後の原稿Sを引き出して搬送する。レジスト部4には、プルアウトローラ12、原稿Sの先端を検知する突き当てセンサ94及び原稿幅センサ95等が配置される。
【0058】
プルアウトローラ12は、給紙モータ202の逆転により駆動されるローラ対である。プルアウトローラ12は、ローラ対のニップ部分に進入してきた原稿Sに対して整合(スキュー補正)を行う。原稿幅センサ95は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿Sの搬送方向に直交する幅方向のサイズを検知可能となっている。また、原稿Sの搬送方向の長さは、原稿Sの先端と後端を突き当てセンサ94で検知し、その先端検知時点から後端検知時点まで給紙モータ202の出力パルスをカウントすることによって検知可能となっている。
【0059】
ターン部5は、原稿Sをターンさせて第1読取部6に読み取らせる面を第1読取部6の読み取り側(下方)に向けて搬送する。ターン部5には、中間ローラ14及び読取入口センサ96等が配置される。読取入口センサ96は、中間ローラ14によって送られてくる原稿Sの先端を検出する。
【0060】
第1読取部6は、原稿Sを搬送するとともに当該原稿Sの第1面の画像を読み取る。第1読取部6には、読取入口ローラ16と、第1読取ローラ19と、第1読取装置20と、読取出口ローラ23と、が配置される。第1読取装置20は、コンタクトガラス21の下方に待機し、読取位置に搬送されてきた原稿Sの第1面の画像を読み取る。原稿Sの第1面は、片面原稿であれば読み取る対象の面であり、両面原稿であれば表面である。第1読取ローラ19は、第1読取装置20における原稿の浮きを抑えると同時に、第1読取装置20におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねる。
【0061】
第2読取部7は、第1読取部6で第1面が読み取られた後の原稿Sの第2面(裏面)の画像を読み取る。片面又は両面の読み取りが完了した原稿Sは、装置の外側に位置する排紙部8からスタック部9に送られ、積載保持される。第2読取部7には、第2読取装置25と、第2読取ローラ26と、CIS出口ローラ27と、が配置される。
【0062】
第2読取装置25は、いわゆる密着型イメージセンサである。第2読取ローラ26は、第2読取装置25における原稿Sの浮きを抑えると同時に、第2読取装置25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねる。CIS出口ローラ27は、第2読取部7を通過した原稿Sを排紙部8に排出する。なお、第2読取装置25の詳細な構成については後述する。
【0063】
排紙部8は、第2読取部7を通過した原稿Sをスタック部9に排出する。排紙部8には排紙ローラ28が配置される。
【0064】
スタック部9は、排紙部8によって排出された原稿Sを保持する。スタック部9には、排紙部8から排出された原稿Sを積載する排紙トレイ29に積載される。
【0065】
次に、画像読取装置1によって行われる一連の動作について説明する。ユーザは、第1面(表面)を上向きにした状態の原稿Sを原稿テーブル30にセットする。コントローラ部210は、原稿Sがセットされたことを検知すると、底板上昇モータ205を正転させて、原稿Sの最上面が後述するピックアップローラ38と接触する位置まで可動テーブル31を上昇させる。可動テーブル31が上昇すると、ピックアップローラ38は、可動テーブル31上の原稿S上面により押されて上方向に移動する。
【0066】
ユーザが、本体操作部212のプリントキーを選択すると、インタフェースを介して本体制御部211にプリント開始の信号が送信される。本体制御部211は、インタフェースを介してコントローラ部210に原稿給紙を示す信号を送信する。コントローラ部210に制御されるピックアップローラ38は、給紙モータ202の正転によりコロが最上位の原稿を給紙口に搬送(給紙)する方向に回転し、原稿テーブル30上の1枚又は数枚の原稿Sがピックアップされる。給紙ベルト39とリバースローラ40との作用によって1枚に分離された原稿は、給紙ベルト39によってレジスト部4に送られる。
【0067】
レジスト部4に搬送されてきた原稿Sは、その先端が突き当てセンサ94で検知された後、プルアウトローラ12に突き当たるまで進む。ピックアップモータ201を回転させてピックアップローラ38を原稿上面から退避させ、給紙ベルト39の搬送力のみで原稿Sが送られる。これにより、原稿Sの先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入する。プルアウトローラ12に突き当たった原稿Sは、突き当てセンサ94の検知時点から所定量定められた距離だけ送られる。結果的にプルアウトローラ12に所定量の撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ202が停止され、給紙ベルト39の駆動が停止し、待機状態となる。本実施の形態では、給紙モータ202の逆転により、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動される。このとき、ピックアップローラ38と給紙ベルト39は駆動されていない。プルアウトローラ12でスキュー補正された原稿Sは、ターン部5の中間ローラ14を介して第1読取部6に搬送される。
【0068】
原稿Sの先端が読取入口センサ96によって検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿Sの先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始する。これと同時に、読取モータ203を正転駆動して読取入口ローラ16、読取出口ローラ23及びCIS出口ローラ27を駆動する。原稿Sの先端をレジストセンサ90が検知すると、コントローラ部210が、所定の搬送距離をかけて減速させ、第1読取装置20による読取位置の手前で一時停止させるとともに、本体制御部211にインタフェースを介してレジスト停止信号を送信する。
【0069】
コントローラ部210が本体制御部211より読取開始信号を受信すると、停止していた原稿は、第1読取装置20の読取位置に先端が到達するまでに所定の搬送速度に増速されて搬送される。読取モータ203の出力パルスをカウントすることによって検出された原稿Sの先端が第1読取装置20による読取位置に到達するタイミングで、コントローラ部210により本体制御部211に対して原稿の第1面(表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始される。ゲート信号は、第1読取装置20による読取位置を原稿Sの後端が抜けるまで送信される。
【0070】
なお、レジスト部4を通過する原稿Sの搬送速度は、第1読取部6を原稿Sが通過する搬送速度よりも高速に設定されており、原稿Sが第1読取部6に送り込まれる時間の短縮が実現されている。
【0071】
第1読取部6を通過した原稿Sは、第2読取部7に送られる。次に、原稿Sに対して片面読取を行う場合と両面読取を行う場合とを分けて画像読取装置1の動作について説明する。
【0072】
片面読取の場合、排紙センサ93が第1読取部6を通過した原稿Sの先端を検知すると、コントローラ部210は排紙モータ204を正転駆動して排紙ローラ28を回転させる。そして、コントローラ部210は、排紙センサ93による原稿Sの先端を検知してからの排紙モータ204の出力パルスをカウントし、原稿Sの後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ204の駆動速度を減速させる速度制御を行う。この速度制御では、スタック部9を構成する排紙トレイ29に原稿Sが飛び出さないように排紙モータ204が駆動制御される。
【0073】
両面読取の場合、コントローラ部210が排紙センサ93にて原稿Sの先端を検知してから読取モータ203の出力パルスをカウントする。このカウントにより、第2読取装置25による読取位置に原稿Sの先端が到達するタイミングで、コントローラ部210により本体制御部211に対して原稿の第2面(裏面)の副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号の送信が開始される。ゲート信号は、第2読取装置25の読取位置を原稿Sの後端が抜けるまで送信される。第2読取部7を通過した原稿Sは、排紙部8を通じてスタック部9に排出される。
【0074】
次に、第2読取装置25の詳細な構成について説明する。
図11は、本実施の形態のラインセンサ100を備える第2読取装置25の断面図である。
図12は、本実施の形態のラインセンサ100を備える第2読取装置25の分解斜視図である。
【0075】
図11及び
図12に示すように、第2読取装置25は、LED白色光源50と、導光体51と、レンズアレイ52と、反射板53と、保護ガラス板54と、樹脂製支持体55と、保持部材56と、支持板57と、ラインセンサ100と、を主要な構成として備える。
【0076】
ラインセンサ100は、基板130と、基板130上に主走査方向に配列されるセンサチップ101と、を備えるユニットである。基板130には、A/D変換部、出力制御部、IF回路部等の電子部品が含まれる。センサチップ101はボンディングワイヤ58によって基板130に電気的に接続される。
【0077】
図13は、本実施の形態のセンサチップ101の構成例を示す模式図である。
図13に示すように、センサチップ101には、受光部としてのライン状の画素群110と、遮光部131と、回路部132と、が配置される。画素群110は、被写体としての原稿Sからの反射光を受光する。
図2で説明した画素群110と同様に、画素群110の両端に位置する画素111a,111bには、ガードリング150が配置される。遮光部131は、画素群110と同様の構成を遮光して構成したOPB(Optical Black)領域である。回路部132は、各種アンプ回路、メモリ、タイミング制御部、クロック生成部、出力制御部、IF回路等の電子部品が配置される。
【0078】
各センサチップ101で読み取られた画像のアナログ信号は、対応するアンプ回路で増幅された後、A/D変換部によって画像のデジタル信号に変換される。画像のデジタル信号(画像データ)は、出力制御部によって画像読取装置1の本体制御部211に受入可能なデータ形式に変換された後、インタフェースを介して本体制御部211に出力される。このように、センサチップ101は、画素群110及び遮光部131の信号を画素111ごとの出力レベルを出力する。なお、画素111ごとの出力レベルとは、A/D変換部から出力されるデジタル画像信号に対応する信号成分の階調レベルを示すものである。また、A/D変換部等の電子部品の一部又は全部が、同一のセンサチップ101に配置される必要はない。例えば、前述のA/D変換部をセンサチップ101の外側に配置し、各センサチップ101からのアナログデータをまとめる形式をとってもよい。
【0079】
この例で説明したラインセンサ100は、画像読取装置1の読取対象に設定される最大サイズの原稿Sの幅に対応するように構成される。例えば、297mm×420mmのA3用紙に対応する必要がある複合機の場合、42.3μm×21.2μmの画素111を長手方向に84個並べたセンサチップ101を長手方向に120個配置してラインセンサ100を構成する。
【0080】
上述のように、
図13に示されるセンサチップ101においても、主走査方向Aに配置される画素群110のうち、両端に位置する画素111a,111bのそれぞれにガードリング150が設けられている。原稿Sを移動させながらラインごとに出力信号を読み取る方式のラインセンサ100では、2次元アレイセンサに比べて出力信号の補正も行い難かった。そのため、従来の2次元アレイセンサ用の光クロストークを抑制するための構造では、余分な電荷の排出効率が不足し、周辺光の影響を受けてしまう。この点、本実施の形態によれば、ガードリング150によって周辺光の影響低減し、センサチップ101の周期的な出力信号のばらつきを抑制できる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、ラインセンサ100を第2読取装置25に適用した例を説明したが、この構成に限定されない。第1読取装置20にラインセンサ100を適用してもよい。また、画像読取装置としては、複合機に限らず、スキャナ単体にラインセンサ100を適用してもよい。このように、本発明は、種々のラインセンサ、ラインセンサユニット及び画像読取装置に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 画像読取装置
100 ラインセンサ
101 センサチップ
140 フォトダイオード(光電変換部)
150 ガードリング(電荷排出部)
110,110a~c 画素群
111,111a~h 画素
160,180 金属線(金属接続部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】