(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】分離膜リーフ、これを含む渦巻型モジュールおよび装置
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20220712BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220712BHJP
D04B 21/20 20060101ALI20220712BHJP
D06M 17/00 20060101ALI20220712BHJP
【FI】
B01D63/10
C02F1/44 A
D04B21/20 Z
D06M17/00 M
(21)【出願番号】P 2020558495
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2019009171
(87)【国際公開番号】W WO2020022773
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087819
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、フィル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ユン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、グァン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スー ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドン ヒョク
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/052124(WO,A1)
【文献】特開2015-006661(JP,A)
【文献】特表2014-532546(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0076718(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0092307(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0236156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
D04B 21/20
D06M 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを含む分離膜リーフにおいて、
前記透過側流路材は、トリコットを含み、
前記トリコットは、接着部を含み、
前記接着部の少なくとも一部は、残りに比べて前記トリコットの低密度部である分離膜リーフであって、
前記トリコットは、1つ以上のウェール(Wale)および1つ以上のコース(Course)を含み、
前記トリコットは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差した交差点を含み、
前記低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.25倍以上であ
り、
前記トリコットの低密度部は、前記トリコットの全面積を基準として0.5%~5%に含まれるものである、分離膜リーフ。
【請求項2】
前記トリコットは、互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部を含むものである、請求項1に記載の分離膜リーフ。
【請求項3】
前記トリコットは、前記互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部に平行でない縁部に備えられた接着部をさらに含むものである、請求項2に記載の分離膜リーフ。
【請求項4】
前記トリコットの厚さは、7mili inch(0.178mm)~13mili inch(0.330mm)である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の分離膜リーフ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の分離膜リーフを含む渦巻型モジュール。
【請求項6】
前記渦巻型モジュールは、中心管を含み、
前記トリコットは、前記中心管と連結される縁部を含み、
前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部に前記接着部を含み、
前記中心管の外側に前記分離膜リーフが巻かれたものである、請求項
5に記載の渦巻型モジュール。
【請求項7】
前記トリコットは、前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部と平行でない縁部に接着部をさらに含むものである、請求項
6に記載の渦巻型モジュール。
【請求項8】
前記渦巻型モジュールは、
前記トリコットの前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部に含まれる接着部を、前記中心管の全長対比1~10の比率(%)で含むものである、請求項
6に記載の渦巻型モジュール。
【請求項9】
請求項6~
8のいずれか一項に記載の渦巻型モジュールを1つ以上含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年7月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0087819号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、分離膜リーフ、これを含む渦巻型モジュールおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
分離膜の製造および工程技術は、高純度、高機能性物質の製造と地球環境保護などの社会的要求によって、簡単な実験実績規模から産業分野の大規模工程に至るまで広範に応用されている。
【0004】
そのうち、全世界的に地球温暖化による水不足現象が深刻化している中、代替水資源確保技術である水浄化技術が注目されている。したがって、海水淡水化、水の再利用など代替水資源を活用した次世代水道事業の核心技術である逆浸透膜(Reverse osmosis membrane)を用いた水処理工程が水産業市場を主導すると予想されている。このような逆浸透膜による逆浸透膜透過水は純粋な水或いは限りのない純粋な水に近い水になって、医療用の無菌水や人工透析用精製水、或いは電子産業の半導体の製造用水など多様な分野で用いられている。
【0005】
また、分離膜は、水素、酸素をはじめとするガス分離分野などに広範に拡大適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、分離膜リーフ、これを含む渦巻型モジュールおよび装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを含む分離膜リーフにおいて、前記透過側流路材は、トリコットを含み、前記トリコットは、接着部を含み、前記接着部の少なくとも一部は、残りに比べて前記トリコットの低密度部である分離膜リーフであって、前記トリコットは、1つ以上のウェール(Wale)および1つ以上のコース(Course)を含み、前記トリコットは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差した交差点を含み、前記低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.25倍以上である分離膜リーフを提供する。
【0008】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを提供する。
【0009】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記渦巻型モジュールを1つ以上含む装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフを渦巻型モジュールに適用する場合、前記渦巻型モジュールの安定した製造が可能である。また、前記渦巻型モジュールの塩除去率性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフを示す図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフの斜視図を示す。
【
図3】本明細書の一実施態様に係るトリコットを示す図である。
【
図4】本明細書の一実施態様に係る接着部を含まないトリコットを示す図である。
【
図6】本明細書の一実施態様に係る分離膜を示す図である。
【
図7】本明細書の一実施態様に係る渦巻型モジュールを示す図である。
【
図8】本明細書の一実施態様に係るトリコットのサンプル写真を示す図である。
【
図9】実施例および比較例による渦巻型モジュールのI-MR管理図をグラフで示す。
【
図10】トリコットの全面積にわたって密度が一定のトリコットのサンプル写真を示す。
【
図11】低密度部を含むトリコットのサンプル写真を示す。
【
図12】本明細書の一実施態様に係るトリコットの低密度部以外の部分のウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の距離を測定して記したトリコットのサンプル写真を示す。
【
図13】本明細書の一実施態様に係るトリコットの低密度部のウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の距離を測定して記したトリコットのサンプル写真を示す。
【
図14】本明細書の一実施態様に係るトリコットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0013】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0014】
本明細書において、「リーフ」とは、分離膜モジュールに用いられる構成要素であって、分離膜、流路材、トリコット、供給通路、および透過通路を含む構成要素を意味する。
【0015】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0016】
本明細書の一実施態様は、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを含む分離膜リーフにおいて、前記透過側流路材は、トリコットを含み、前記トリコットは、接着部を含み、前記接着部の少なくとも一部は、残りに比べて前記トリコットの低密度部である分離膜リーフであって、前記トリコットは、1つ以上のウェール(Wale)および1つ以上のコース(Course)を含み、前記トリコットは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差した交差点を含み、前記低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.25倍以上である分離膜リーフを提供する。
【0017】
具体的には、本明細書の一実施態様は、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを含む分離膜リーフにおいて、前記分離膜の一面に供給通路を形成し、前記分離膜の一面に対向する反対面に透過通路を形成し、前記供給側流路材は、前記供給通路に位置し、前記透過側流路材は、前記透過通路に位置し、前記透過側流路材は、トリコットを含み、前記トリコットは、接着部を含み、前記接着部の少なくとも一部は、残りに比べて前記トリコットの低密度部である分離膜リーフを提供する。
【0018】
本明細書の他の実施態様は、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを提供する。
【0019】
前記渦巻型モジュールを製造する時、前記供給通路を通して流入する原水と、前記透過通路を通して流出する生産水との混入を防止するために、前記渦巻型モジュールに含まれる前記分離膜リーフの縁部に接着部が備えられる。
【0020】
前記「接着部」は、前記分離膜リーフに含まれる前記分離膜と前記トリコットとが接着する部分を称し、前記トリコットに含まれる接着部と前記分離膜の密封性が高いほど、原水と生産水との混入を効率的に遮断することができる。
【0021】
前記接着部を形成する時、接着剤が前記トリコットの空白によく満たされないことがあるが、これは、前記分離膜リーフを製造する過程で流入した気泡が前記トリコットの空白に残ったり、前記接着剤が他の物質との反応によって気体が発生して、前記トリコットの空白に残りうるからである。前記トリコットの空白は、トリコットを構成する織物のループ(loop)またはステッチ(stitch)を意味することができる。
【0022】
このため、本発明は、前記トリコットの織り密度を低下させた局部的領域を含ませて、前記分離膜リーフの製造過程において発生しうる気泡を前記織り密度の低い局部的領域に配置させて、前記織り密度を低下させた局部的領域を除いた部分に接着剤を満たすことにより、前記接着部の密封性を向上させることができる。
【0023】
これによって、前記トリコットを含む本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率の性能を向上させることができる。
【0024】
すなわち、本発明は、前記トリコットの密封性を向上させて、前記トリコットを含む分離膜リーフおよび渦巻型モジュールの塩除去率を向上させることが、解決しようとする主な課題である。これは、トリコットの少なくとも一部の厚さを薄くすることで、分離膜リーフの活性面積を高めて透過流量を向上させる目的とは異なる。
【0025】
前記織り密度を低下させた局部的領域とは、本明細書において、前記「少なくとも一部」を意味し、前記トリコットの「低密度部」を意味することができる。
【0026】
本明細書の一実施態様は、前記分離膜は、半分に折り畳まれ、前記折り畳まれた分離膜の内側面に供給通路を形成し、前記折り畳まれた分離膜の外面に透過通路を形成し、前記供給側流路材は、前記供給通路に位置し、前記透過側流路材は、前記透過通路に位置するものである、分離膜リーフを提供する。
【0027】
本明細書の一実施態様において、前記流路材は、前記供給通路を通して流入する原水、または前記透過通路を通して流入する生産水が流出可能な空間を設ける流路の役割を果たす。
【0028】
本明細書の一実施態様において、前記供給通路は、供給スペーサまたはフィードスペーサ(feed spacer)で表現されてもよいし、外部から異物が含まれた水(原水)が収容できるように、1つの分離膜と他の1つの分離膜との間の間隔を一定に維持させる役割を果たすことができる。
【0029】
前記供給通路は、前記分離膜が効果的に原水に含まれた異物を濾過させることができるように、前記分離膜の表面を遮ることを最小化して構成されることが好ましい。
【0030】
本明細書の一実施態様において、前記透過通路は、内部スペーサまたは透過スペーサ(permeate spacer)で表現されてもよいし、前記分離膜によって濾過した生産水が収容できるように、半分に折り畳まれた1つの分離膜の内部の空間または通路を意味する。
【0031】
本明細書の一実施態様において、前記トリコット(tricot)は、前記透過側流路材に含まれる。前記トリコットは、織物または編物からなる構造を有し、生産水が流出可能な空間を設けることができるように、多孔性表面の構造を有する。
【0032】
本明細書の一実施態様において、前記接着部の少なくとも一部は、前記トリコットの低密度部を意味する。
【0033】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットの低密度部は、前記トリコットの全面積を基準として0.5%~5%に含まれる。前記トリコットが前記範囲の低密度部を含む場合、前記接着部の密封性を十分に向上させて、分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率性能を向上させることができる。
【0034】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットの低密度部は、前記トリコットの全面積の中心を通る1つのウェールから、前記中心を通らない他の1つ以上のウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ、他のウェールとの交差点間の距離が400nm~600mm、好ましくは430nm~530mmである箇所に位置してもよいが、これに限定されるものではない。前記範囲を満たす場合、前記トリコットの接着部の密封性を十分に向上させて、分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率性能を向上させることができる。
【0035】
本明細書の一実施態様において、「残り」、「低密度部以外の部分」は、前記トリコットの高密度部であり得る。
【0036】
本明細書の一実施態様において、前記「残り」は、前記接着部の少なくとも一部を除いた、前記接着部に含まれる面積または領域を意味する。
【0037】
本明細書の一実施態様において、「密度」とは、物質の質量を体積で割った値とは、辞書的な意味ではない、前記トリコットにおいて、前記トリコットが1つ以上のウェールおよび1つ以上のコースを含み、前記トリコットは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差した交差点を含み、前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点の平均距離が相対的に近くて遠い程度の差を意味する。
【0038】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部を含む。
【0039】
前記「縁部」とは、前記トリコットの末端を意味することができる。
【0040】
前記「対向」とは、並んで並ぶことを意味し、互いに接することなく平行に並ぶことを意味することができる。
【0041】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、1つ以上のウェール(Wale)および1つ以上のコース(Course)を含み、前記トリコットは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差した交差点を含み、前記低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.25倍以上である。
【0042】
好ましくは、前記平均距離は、1.25倍以上20倍以下であってもよいが、これに限定されるものではない。より好ましくは、前記平均距離は、1.25倍以上2倍以下であってもよく、1.4倍以上1.6倍以下であってもよい。
【0043】
前記平均距離が前記範囲を満たす場合、前記接着部の密封性を十分に向上させて、分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率性能を向上させることができる。
【0044】
前記「ウェール(Wale)」とは、前記トリコットにおいて、経糸方向に相当する長手方向に並ぶループ(loop)列を意味する。
【0045】
前記「コース(Course)」とは、前記トリコットにおいて、緯糸方向に相当する幅方向に並ぶループ(loop)列を意味する。
【0046】
前記「交差点」とは、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差する地点を意味し、前記トリコットは、多数の交差点を含むことができる。
【0047】
前記「ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離」は、ウェールが並ぶ方向に隣接して平行に並ぶ2つの交差点の平均距離を意味することができる。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、前記ウェールが並ぶ方向に前記ウェールを2個以上3,000個以下で含むことができる。具体的には1,100個以上2,800個以下で含むことができる。
【0049】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットに含まれるウェールの数は、前記ウェールが並ぶ方向へのトリコットの長さ1インチ(0.0254m)あたり30個~80個であってもよい。好ましくは55個~65個であってもよい。前記トリコットが前記個数範囲のウェールを含む場合、高圧運転時に分離膜の陥没を防止して、生産水(分離膜を通過した流体)が安定して中心管に移動できる。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、前記コースが並ぶ方向に前記コースを2個以上3,000個以下で含むことができる。具体的には600個以上3,000個以下で含むことができる。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットに含まれるコースの数は、前記コースが並ぶ方向へのトリコットの長さ1インチ(0.0254m)あたり30個~65個であってもよい。前記トリコットが前記個数範囲のコースを含む場合、高圧運転時に分離膜の陥没を防止して、生産水(分離膜を通過した流体)が安定して中心管に移動できる。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、前記渦巻型モジュールの規格が直径8inch(0.203m)、長さ40inch(1.02m)の場合を基準として0.5m~1.25mの長さ、1mの幅の大きさを有することができるが、これに限定されるものではない。具体的には1mの長さおよび1mの幅を有することができる。
【0053】
前記「長さ」とは、本明細書において、ウェールと平行な方向の前記トリコットの端から他の端までの距離を意味し、前記「幅」とは、本明細書において、コースと平行な方向の前記トリコットの端から他の端までの距離を意味することができる。
【0054】
本明細書において、前記「長手方向」とは、前記コースが並ぶ方向を意味することができ、前記「幅方向」とは、前記ウェールが並ぶ方向を意味することができる。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記ループ(loop)とは、本明細書のトリコットを構成する織物において、ステッチ(stitch)が有し得る形態をすべて含むものを称する。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記2つの交差点間の平均距離を測定する方法は、前記いずれか1つのウェールと前記いずれか1つのコースとが交差したいずれか1つの交差点を基準として、前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ交差点との距離を10~20回測定して平均値を出したことを意味する。また、前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ交差点との距離を2回またはそれ以上測定して平均値を出したことであってもよい。
【0057】
本明細書の一実施態様において、前記低密度部の前記2つの交差点間の平均距離は、537μm~690μmであってもよい。具体的には610μm~630μmであってもよい。低密度部が前記範囲を満たすことにより、前記トリコット全織物の強度を適切に維持しながら、本明細書で目的とする前記接着部の密封性を十分に向上させて、分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率性能を向上させることができる。
【0058】
本明細書の一実施態様において、前記低密度部以外の部分の前記2つの交差点間の平均距離は、413μm~444μmであってもよい。具体的には410μm~430μmであってもよい。前記低密度部以外の部分が前記範囲を満たすことにより、トリコット全織物の強度を適切に維持しながら、本明細書で目的とする前記接着部の密封性を十分に向上させて、分離膜リーフの安定した製造が可能であり、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを駆動する場合、塩除去率性能を向上させることができる。
【0059】
本明細書において、前記トリコットの前記接着部の低密度部を含ませる方法は、特に限定されるものではなく、この分野で公知の一般的な手段を制限なく採用可能である。
【0060】
一般的に、トリコットを製造する方法は、織物を製造する過程と、熱処理による固着化の過程とに区分される。本明細書において、前記トリコットの低密度部を含ませる方法は、前記トリコットの幅方向基準に織り密度を低下させようとする一部の幅の織り状態を、前記一部の幅を除いた残りの部分と異なって織り密度が低い状態で製造する。前記幅とは、前述した説明による。
【0061】
すなわち、前記トリコットを製織する時、前記トリコットに含まれる接着部の少なくとも一部での密度が、残りの密度より低いように製造することができる。
【0062】
織物を製造した後に熱処理する過程において、トリコット幅の伸長/収縮が可能であり、熱処理後に製造されたトリコットにおいて、当該織り密度が低い一部の幅の部分が前記接着部に含まれるようにする。
【0063】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、前記互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部に平行でない縁部に備えられた接着部をさらに含んでもよい。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットの前記互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部は、第1接着部を意味することができる。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記平行でない縁部に備えられた接着部は、第2接着部を意味することができる。
【0066】
前記「平行でない縁部」とは、常時互いに対向する一対の縁部と垂直なものを意味することができる。前記垂直とは、必ずしも90度の角度を意味するものではなく、80度~100度、好ましくは85度~95度の範囲であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0067】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜リーフに含まれる分離膜は、水処理分離膜または気体分離膜を意味することができる。前記水処理分離膜は、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、または逆浸透膜などに使用可能であり、好ましくは、逆浸透膜に使用可能である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜は、水処理分離膜であってもよい。
【0069】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜は、逆浸透膜であってもよい。
【0070】
本明細書の他の実施態様において、前記分離膜は、気体分離膜であってもよい。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜は、多孔性支持体と、多孔性支持体上に備えられたポリアミド活性層とを含む。
【0072】
前記分離膜に前記接着部が形成される時、前記ポリアミド活性層ではない、前記多孔性支持体上に形成されることが好ましい。
【0073】
前記ポリアミド活性層は、多孔性支持体上にアミン化合物を含む水溶液層を形成するステップと、前記アミン化合物を含む水溶液層上にポリアミド活性層を形成するステップとにより形成される。
【0074】
前記多孔性支持体としては、不織布上に高分子材料のコーティング層が形成されたものを用いることができる。前記高分子材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルクロライド、およびポリビニリデンフルオライドなどが使用できるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。具体的には、前記高分子材料として、ポリスルホンを使用することができる。前記コーティング層は、ポリスルホン層であってもよい。
【0075】
前記不織布の材料としては、ポリエチレンテレフタレートが使用できるが、これに限定されるものではない。
【0076】
前記不織布の厚さは、50μm~150μmであってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記厚さは、80μm~120μmであってもよい。前記不織布の厚さが前記範囲を満たす場合、前記不織布を含む多孔性支持体を含む分離膜の耐久性が維持できる。
【0077】
前記コーティング層の厚さは、20μm~100μmであってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記厚さは、40μm~80μmであってもよい。前記コーティング層の厚さが前記範囲を満たす場合、前記コーティング層を含む多孔性支持体を含む分離膜の耐久性が維持できる。
【0078】
一例によれば、前記コーティング層は、前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液で製造できる。前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液は、前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液の総重量を基準として、80重量%~90重量%の溶媒ジメチルホルムアミドに10重量%~20重量%のポリスルホン固形を入れて、80℃~85℃で12時間溶かした後に得た均質(homogeneous)な液状であってもよいが、前記重量範囲が前記範囲に限定されるものではない。
【0079】
前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液の総重量を基準として前記範囲のポリスルホン固形が含まれる場合、前記コーティング層を含む多孔性支持体を含む分離膜の耐久性が維持できる。
【0080】
前記コーティング層は、キャスティングの方法で形成される。前記キャスティングは、溶液鋳造(casting)方法を意味するもので、具体的には、前記高分子材料を溶媒に溶解させた後、接着性のない平滑な表面に展開させた後、溶媒を置換させる方法を意味することができる。具体的には、前記溶媒を置換させる方法は、非溶媒誘導相分離法(nonsolvent induced phase separation)を利用することができる。前記非溶媒誘導相分離法とは、高分子を溶媒に溶解させて均一溶液を作り、これを一定の形態に成形させた後、非溶媒に浸漬させる。この後、非溶媒と溶媒の拡散による相互交換が行われて高分子溶液の組成が変化し、高分子の沈殿が起こりながら溶媒と非溶媒の占めていた部分を気孔に形成させる方法である。
【0081】
前記ポリアミド活性層は、アミン化合物とアシルハライド化合物との接触時、アミン化合物とアシルハライド化合物とが反応しながら界面重合によってポリアミドを生成し、微細多孔性支持体に吸着して形成される。前記接触は、浸漬、スプレー、またはコーティングなどの方法により行われる。界面重合条件は、当技術分野で知られているものが制限なく使用可能である。
【0082】
前記ポリアミド活性層を形成させるために、前記多孔性支持体上にアミン化合物を含む水溶液層を形成することができる。前記多孔性支持体上にアミン化合物を含む水溶液層を形成する方法は特に限定せず、前記多孔性支持体上に水溶液層を形成できる方法であれば制限なく使用可能である。具体的には、前記多孔性支持体上にアミン化合物を含む水溶液層を形成する方法は、噴霧、塗布、浸漬、滴下、コーティングなどが挙げられる。
【0083】
この時、前記水溶液層は、必要に応じて過剰のアミン化合物を含む水溶液を除去するステップを追加的に経ることができる。前記多孔性支持体上に形成された水溶液層は、前記多孔性支持体上に存在する水溶液が多すぎる場合には、不均一に分布しうるが、水溶液が不均一に分布する場合には、後の界面重合によって不均一なポリアミド活性層が形成されることがある。したがって、前記多孔性支持体上に水溶液層を形成した後に過剰の水溶液を除去することが好ましい。前記過剰の水溶液の除去は特に制限されないが、例えば、スポンジ、エアナイフ、窒素ガスブローイング、自然乾燥、または圧縮ロールなどを用いて行うことができる。
【0084】
前記アミン化合物を含む水溶液において、前記アミン化合物は、分離膜の製造に使用されるアミン化合物であればその種類を制限しないが、具体例を挙げると、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,3,6-ベンゼントリアミン、4-クロロ-1,3-フェニレンジアミン、6-クロロ-1,3-フェニレンジアミン、3-クロロ-1,4-フェニレンジアミン、またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0085】
前記アミン化合物を含む水溶液の溶媒は、水であってもよく、追加的に、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、またはヘキサメチルホスホアミド(hexamethylphosphoramide、HMPA)を含むことができる。
【0086】
前記アミン化合物の含有量は、前記組成物の全重量対比1重量%以上10重量%以下であってもよい。前記含有量を満たす場合、本発明で目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0087】
ポリアミド活性層は、アミン化合物を含む水溶液を前記多孔性支持体上にコーティングした後、アシルハライド化合物を含む有機溶液を接触させて界面重合することにより製造できる。
【0088】
前記アシルハライド化合物としては、ポリアミドの重合に使用可能なものであれば制限しないが、具体例として、2~3個のカルボン酸ハライドを有する芳香族化合物であって、トリメソイルクロライド、イソフタロイルクロライド、およびテレフタロイルクロライドからなる化合物の群より選択される1種または2種以上の混合物が好ましく使用できる。
【0089】
前記アシルハライド化合物の含有量は、前記組成物の全重量対比0.01重量%以上0.5重量%以下であってもよい。前記含有量を満たす場合、本発明で目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0090】
前記アシルハライド化合物を含む有機溶液に含まれる有機溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、例えば、フレオン類と炭素数が5~12のヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アルカンのような水と混ざらない疎水性液体、例えば、炭素数が5~12のアルカンとその混合物であるIsoPar(Exxon)、ISOL-C(SK Chem)、ISOL-G(Exxon)などが使用できるが、これらに制限されるものではない。
【0091】
前記有機溶媒の含有量は、前記アシルハライド化合物を含む有機溶液の全重量対比95重量%~99.99重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含有量を満たす場合、本発明で目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0092】
前記ポリアミド活性層の厚さは、10nm~1000nmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記厚さは、好ましくは300nm~500nmであってもよい。前記ポリアミド活性層の厚さが前記範囲を満たす場合、前記含有量を満たす場合、本発明で目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールは、中心管を含む。
【0094】
本明細書の一実施態様は、前記分離膜リーフは、半分に折り畳まれた部分を含む分離膜を含み、前記半分に折り畳まれた部分は、接着部が備えられる。
【0095】
本明細書の一実施態様において、前記接着部は、前記半分に折り畳まれた分離膜の外面と、前記トリコットを含む前記透過側流路材とが接着される部分であってもよい。
【0096】
前記半分に折り畳まれた分離膜の外面と、前記トリコットを含む前記透過側流路材とが接着される部分において、前記分離膜の外面とは、ポリアミド活性層の面ではない、多孔性支持体の面を意味する。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記接着部に適用される接着材料は特に限定されるものではなく、この分野で公知の一般的な手段を制限なく適用可能である。例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アセテート系接着剤が使用可能であり、これに限定されるものではない。
【0098】
本明細書の一実施態様は、前記トリコットの厚さが7~13mili inch(0.178~0.330mm)である分離膜リーフを提供する。厚さが7mili inch(0.178mm)以下であれば、生産水の流れを妨げ、13mili inch(0.330mm)以上であれば、渦巻型モジュール内に入れることが可能な分離膜の量が減少することがある。
【0099】
本明細書の一実施態様は、前記分離膜リーフを含む渦巻型モジュールを提供する。
【0100】
前記モジュールの例として、板型(plate&frame)モジュール、管型(tubular)モジュール、中空糸型(Hollow&Fiber)モジュール、または渦巻型(spiral wound)モジュールなどが含まれるが、本明細書において、渦巻型モジュールが好ましい。
【0101】
本明細書の前記渦巻型モジュールは、前述した分離膜リーフを含む限り、その他の構成および製造方法などは特に限定されず、この分野で公知の一般的な手段を制限なく採用可能である。
【0102】
一例として、前記分離膜リーフは、前記中心管にロール(roll)状に巻いて、膜の面積を370ft2(34.4m2)~400ft2(37.2m2)にして渦巻型モジュールに製造できるが、これに限定されるものではない。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記渦巻型モジュールは、前記分離膜リーフを1つ以上含むことができる。具体的には1個~100個含むことができ、好ましくは1個~50個含むことができる。より具体的には、前記渦巻型モジュールの規格が直径8inch(0.203m)、長さ40inch(1.02m)の場合、前記分離膜リーフを20個~30個含むことができる。前記渦巻型モジュールが前記範囲の分離膜リーフを含む場合、適切な有効面積を確保することができる。
【0104】
本明細書の一実施態様において、前記渦巻型モジュールは、中心管を含み、前記トリコットは、前記中心管と連結される縁部を含み、前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部に前記接着部を含み、前記中心管の外側に前記分離膜リーフが巻かれたものである。
【0105】
前記中心管の外側に前記分離膜リーフが巻かれたものとは、巻取(winding)られたものを意味することができる。
【0106】
本明細書の一実施態様において、前記トリコットは、前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部と平行でない縁部に接着部をさらに含んでもよい。
【0107】
前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部と平行でない縁部は、前記トリコットが前記折り畳まれた分離膜の折れた部分と接する領域を意味することができる。
【0108】
前記中心管は、チューブで表現されてもよいし、前記中心管は、濾過した生産水(精製水)が流入して排出される通路の役割を果たす。
【0109】
前記中心管の形状は特に限定されるものではないが、前記渦巻型モジュールの中心に位置することが好ましい。また、前記中心管は、生産水が排出できるように、一側面が開放される。
【0110】
本明細書の一実施態様において、前記中心管は、多数の空隙を含むことができ、本明細書の一実施態様に係る前記渦巻型モジュールによって水処理が進行すれば、生産水が前記中心管の多数の空隙を通して前記中心管の内部に流入した後、流入した生産水は前記中心管の開放されている一側面を通して排出されるようになる。
【0111】
前記中心管の素材は特に限定されるものではなく、この分野で公知の一般的な素材を用いることができる。
【0112】
本明細書の一実施態様において、前記渦巻型モジュールは、前記トリコットの前記中心管と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部に含まれる接着部を、前記中心管の全長対比1~10の比率(%)で含む。具体的には1~8の比率(%)であってもよい。
【0113】
前記接着部が前記中心管の全長対比1~10の比率(%)に備えられることにより、原水と精製水とが混入されず、渦巻型モジュールの塩除去率を向上させることができる。前記接着部が前記中心管の全長対比1の比率(%)未満の場合、接着部の破損によって精製されていない原水が流入することがあり、10の比率(%)を超える場合、原水を精製可能な部分(有効面積)が小さくて原水を効果的に精製することができない。
【0114】
本明細書の一実施態様は、32,000ppmの塩化ナトリウム水溶液、25℃、800psi(5.52×106Pa)の条件で平均塩除去率が99.88%~99.95%である、前記渦巻型モジュールを提供する。前記平均塩除去率は、具体的には99.89%~99.9%であってもよい。
【0115】
本明細書の一実施態様は、32,000ppmの塩化ナトリウム水溶液を用いて、25℃、800psi(5.52×106Pa)の条件で、直径8inch(0.203m)、長さ40inch(1.02m)の渦巻型モジュールを基準として、平均透過流量が5,000GPD~20,000GPDである前記渦巻型モジュールを提供する。前記平均透過流量は、具体的には8,000GPD~8,500GPDであってもよい。
【0116】
前記GPDは、gallon/dayを意味する。
【0117】
本明細書の一実施態様は、前記渦巻型モジュールを1つ以上含む装置を提供する。
【0118】
前記装置は、前述した渦巻型モジュールを含む限り、その他の構成および製造方法などは特に限定されず、この分野で公知の一般的な手段を制限なく採用可能である。具体的には、前記装置は、水処理装置を意味することができる。
【0119】
図1は、本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフを示す図である。前記分離膜リーフは、折り畳まれた分離膜10と、供給側流路材21と、透過側流路材31とを含む。折り畳まれた分離膜10の内側面に供給通路20が形成され、外面に透過通路30が形成される。供給通路20に供給側流路材21が含まれ、透過通路30に透過側流路材31が含まれる。原水は供給通路20に含まれた供給側流路材21を経て分離膜10を通過して精製され、精製された生産水が透過通路30を経て透過側流路材31を通して効果的に中心管に流れ込んで集まるようになる。
【0120】
図2は、本明細書の一実施態様に係る分離膜リーフの斜視図を示す。分離膜リーフに含まれた透過側流路材31に含まれたトリコットは、互いに対向する一対の縁部の一方に備えられた接着部1が示されている。本明細書において、前記トリコットに備えられた接着部1の密封性が向上して渦巻型モジュールの安定した駆動が可能であり、塩除去率および流量性能向上の効果がある。
【0121】
図3は、本明細書の一実施態様に係るトリコットを示す図である。具体的には、トリコット50は、互いに対向する一対の縁部1-3に備えられた接着部1を含む。トリコット50に備えられた接着部1は、少なくとも一部2での密度が残り3の密度より低い低密度部である。前記トリコットは、前記中心管40と連結される縁部を除き、互いに対向する一対の縁部1-3と平行でない縁部1-2に接着部をさらに含む。
【0122】
図4は、本明細書の一実施態様に係る接着部を含んでいないトリコットを示す図である。トリコットの厚さTは、7mili inch(0.178mm)~13mili inch(0.330mm)であってもよい。トリコットの長手方向51にコースが並び、トリコットの幅方向52にウェールが並ぶ。
【0123】
図5は、比較例によるトリコットを示す図である。比較例として用いたトリコットは、全面積において、密度が同一である。
【0124】
図6は、本明細書の一実施態様に係る分離膜を示す図である。具体的には、
図6は、不織布100およびコーティング層200を含む多孔性支持体101と、ポリアミド活性層300とが順次に備えられた分離膜を示す図であって、ポリアミド活性層300に原水400が流入して、生産水500が不織布100を通して排出され、濃縮水600はポリアミド活性層300を通過せずに外部に排出される。
【0125】
図7は、本明細書の一実施態様に係る渦巻型モジュールを示す図である。具体的には、渦巻型モジュールは、中心管40、供給通路20、分離膜10、透過通路30などを含んで構成される。分離膜10は、半分に折り畳まれた形態である。渦巻型モジュールに原水を流すと、渦巻型モジュール内の供給通路20を通して、原水が流入する。1つ以上の分離膜10は、中心管40から外側方向に延び、中心管40の周りに巻取(winding)られる。供給通路20は、外部から原水が流入する通路を形成し、1つの分離膜10と他の1つの分離膜との間の間隔を維持させる役割を果たす。このために、供給通路20は、1つ以上の分離膜10と上側および下側で接触し、中心管40の周りに巻取られる。前記供給通路20は、供給側流路材21を含む。透過通路30は、前記折り畳まれた分離膜10の間に位置して、分離膜10から精製された生産水の流路を形成する役割を果たす。前記透過通路30は、透過側流路材31を含む。そして、前記透過側流路材31は、トリコット50を含む。前記トリコットは、一般的に織物形態の構造を有し、分離膜10を通して精製された水が流出可能な空間を設ける流路の役割を果たす。中心管40は、渦巻型モジュールの中心に位置し、精製水が流入して排出される通路の役割を果たす。この時、中心管40の外側には濾過した水が流入するように所定の大きさの空隙が形成されることが好ましく、1つ以上形成されることが好ましい。
【0126】
図8には、本明細書に用いられるトリコットのサンプル写真が示されており、トリコット内にループ(loop)が相対的に大きく形成された部分の密度が、ループ(loop)が小さく形成された部分の密度より低い。
【0127】
図9は、実施例および比較例による渦巻型モジュールのI-MR管理図をグラフで示す。前記I-MR管理図とは、ミニタブで分類する管理図の一種であって、部分群に含まれない個別観測値である計量型データがある時、工程の平均と変動をモニタリングするためにI-MR管理図が用いられる。すなわち、時間経過に伴って工程の安定性をモニタリングして工程の不安定性を識別し修正する場合に用いられる。
図9において、Y軸の数値は、塩除去率を意味する。また、新規技術とは、本発明の一実施態様に係るものであり、従来技術とは、比較例による値を意味する。
【0128】
図10は、1つ以上のウェールおよび1つ以上のコースを含んでおり、前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ交差点間の平均距離が一定のトリコットのサンプル写真を示す。
【0129】
図11は、低密度部を含むトリコットのサンプル写真を示す。前記トリコットのサンプル写真において、低密度部Lとは、高密度部H対比、密度が低い領域を意味する。前記低密度部Lとは、前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.25倍以上であることを意味する。
【0130】
図12は、低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の距離を測定して記したトリコットのサンプル写真を示す。低密度部を除いた部分は、高密度部を意味することができ、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が413μm~444μmである。
【0131】
図13は、低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の距離を測定して記したトリコットのサンプル写真を示す。前記低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離は、537μm~690μmである。
【0132】
図14は、トリコットに含まれる1つ以上のウェールおよび1つ以上のコースが示されており、いずれか1つのウェールAといずれか1つのコースBとが交差した交差点Cが示されている。低密度部の前記ウェールAが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離D1が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールAが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離D2の1.25倍以上である。
【実施例】
【0133】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0134】
製造例.
【0135】
実施例.
【0136】
(トリコットの製造)
【0137】
トリコットを製織した後に熱処理して、幅1m、長さ1mであるトリコットを製造した。
【0138】
具体的には、トリコットの全面積の中心を通る1つのウェールから、前記中心を通らない他の1つ以上のウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ他のウェールとの交差点間の距離が480mm離れており、トリコットの全面積を基準として1%の面積に、トリコットに含まれたウェールとコースとの交差点間の平均距離を610μm~630μmとなるようにして、低密度部を局部的に含ませるように製織した。
【0139】
前記トリコットの低密度部以外の部分のウェールとコースとの2つの交差点間の平均距離は410μm~430μmであった。
【0140】
すなわち、製造したトリコットは、低密度部の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離が、前記低密度部以外の部分の前記ウェールが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離の1.4倍以上1.6倍以下であった。
【0141】
(分離膜リーフの製造)
【0142】
多孔性支持体として、100μmの厚さの不織布(ポリエチレンテレフタレート)上にコーティング層(ポリスルホン層)を60μmの厚さにコーティングした。ポリスルホン層のコーティング溶液は、85重量%の溶媒ジメチルホルムアミドに15重量%のポリスルホン固形を入れて、80℃~85℃で12時間撹拌した均質な液状であった。前記コーティングの方法は、ダイコーティング方法を利用した。
【0143】
この後、多孔性支持体上にm-フェニレンジアミン(m-PD)とトリメソイルクロライド(TMC)との界面重合反応でポリアミド活性層を形成させた。
【0144】
具体的には、m-フェニレンジアミンを5重量%含む水溶液を用いて、前記多孔性支持層上に水溶液層を形成させた。その後、トリメソイルクロライド(TMC)0.2重量%、有機溶媒であるIsopar-Gを98重量%含む有機溶液を前記水溶液層上に塗布して、界面重合反応を行って、500nmの厚さのポリアミド活性層を製造した。
【0145】
これによって、多孔性支持体と、多孔性支持体上に備えられたポリアミド活性層とを含む分離膜を製造した。
【0146】
製造された分離膜を半分に折り畳んだ後、折れた分離膜の内側面に前記供給側流路材を位置させ、折れた分離膜の外面に前記トリコットを含む透過側流路材を位置させた。
【0147】
その後、渦巻型モジュールに含まれる中心管の長手方向を基準として、前記トリコットの平行な両末端から中心管の全長対比2.5の比率(%)に2液型ポリウレタン接着剤を塗布した後、分離膜、供給側流路材、透過側流路材を接合して分離膜リーフを製造した。
【0148】
(渦巻型モジュールの製造)
【0149】
前記分離膜リーフを用いて渦巻型モジュールを製造した。前記分離膜リーフを中心管にロール(roll)状に巻いて、膜の面積400ft2(37.2m2)の渦巻型モジュールを50個製造した。
【0150】
比較例.
【0151】
前記実施例のトリコット製造方法において、トリコットに低密度部を局部的に含ませるように製織した過程を経由しない、トリコットの全面積において密度が一定のトリコットを用いたことを除けば、前記実施例と同様の方法によって分離膜リーフおよび渦巻型モジュールを50個製造した。
【0152】
前記低密度部分を含むように製織した過程を経由しないトリコットは、トリコットの全面積においてウェールとコースとの交差点間の平均距離が410μm~430μmであった。
【0153】
実験例.
【0154】
(塩除去率評価)
【0155】
実施例および比較例によって製造した各50個の渦巻型モジュールを、32,000ppmの塩化ナトリウム水溶液を用いて、25℃、800psi(5.52×10
6Pa)の条件で50個の渦巻型モジュールの性能を評価した。原水と生産水との伝導度の差を測定して塩除去率を測定し、その最小値、平均値および標準偏差を下記表1に示した。また、各渦巻型モジュールの塩除去率の値を
図9にグラフで示した。
【表1】
【0156】
前記表1によれば、実施例の最小塩除去率が、比較例の最小塩除去率より高いことを確認することができた。また、平均塩除去率も、実施例の方が比較例より高いことを確認することができた。そして、標準偏差においても、実施例の方が比較例より小さいことを確認することができた。
【0157】
加えて、
図9に示されたI-MR管理図を参照すれば、実施例による塩除去率の値が比較例より均一に分布していて、本明細書の一実施態様に係る渦巻型モジュールが安定して駆動可能であることを確認することができた。
【0158】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0159】
1:接着部
1-2:互いに対向する一対の縁部に備えられる接着部に平行でない縁部
1-3:トリコットの互いに対向する一対の縁部の一方の部分の接着部
2:接着部1の少なくとも一部(=低密度部)
3:接着部の低密度部以外の部分(=高密度部)
10:分離膜
20:供給通路
21:供給側流路材
30:透過通路
31:透過側流路材
40:中心管
41:中心管の長手方向
50:トリコット
50-1:接着部を含まないトリコット
51:トリコットの長手方向
52:トリコットの幅方向
T:トリコットの厚さ
100:不織布
101:多孔性支持体
200:コーティング層
300:ポリアミド活性層
400:原水
500:生産水
600:濃縮水
L:トリコットの低密度部
H:トリコットの高密度部
A:ウェール
B:コース
C:ウェールとコースとが交差した交差点
D1:低密度部の前記ウェールAが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離
D2:前記低密度部以外の部分の前記ウェールAが並ぶ方向に平行に並ぶ2つの交差点間の平均距離D2