IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特許-検体処理システム 図1
  • 特許-検体処理システム 図2
  • 特許-検体処理システム 図3
  • 特許-検体処理システム 図4
  • 特許-検体処理システム 図5
  • 特許-検体処理システム 図6
  • 特許-検体処理システム 図7
  • 特許-検体処理システム 図8
  • 特許-検体処理システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】検体処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
G01N35/02 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019562848
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2018042664
(87)【国際公開番号】W WO2019130906
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2017248433
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛士
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 邦昭
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/051642(WO,A1)
【文献】特開2001-242179(JP,A)
【文献】特開2001-099844(JP,A)
【文献】特開2000-055924(JP,A)
【文献】特開平09-033539(JP,A)
【文献】特開2010-121936(JP,A)
【文献】国際公開第2015/093354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器に収容された検体の分析前処理を行う前処理装置と、
前記前処理装置による前処理が実施された検体の分析処理を行う分析装置と、
前記前処理装置と前記分析装置との間で前記検体容器を搬送する検体搬送ユニットと、
前記分析装置と前記検体搬送ユニットとの間で検体を移送する移載ユニットと、を備えた検体処理システムにおいて、
前記検体搬送ユニットは、搬送ユニット本体、延長ラインユニット、方向転換ユニット、終端ユニットを有しており、
前記搬送ユニット本体または前記移載ユニットに搭載され、前記検体容器の搬送制御として前記移載ユニット、前記搬送ユニット本体、前記延長ラインユニット、前記方向転換ユニット、前記終端ユニットの動作を制御する一つの制御ユニットを備え
前記搬送ユニット本体に対して、前記延長ラインユニットおよび前記方向転換ユニットが順不同に接続され、
前記制御ユニットは、前記検体搬送ユニット内の前記延長ラインユニットおよび前記方向転換ユニットの接続内容に基づいて設定されたロータリスイッチおよびディップスイッチを有している
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項2】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記移載ユニットと前記搬送ユニット本体とが直接接続された
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項3】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体搬送ユニットは、その終端部には前記終端ユニットが配置され、
前記移載ユニット、前記搬送ユニット本体、前記延長ラインユニット、前記方向転換ユニット、前記終端ユニットは、前記検体容器を一方通行で搬送する
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項4】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記搬送ユニット本体、前記方向転換ユニットは、前記検体容器を一方方向へ移送する2本の搬送ラインと、前記搬送ラインから前記検体容器を方向転換させるための2本の分岐ラインと、前記分岐ラインと前記搬送ラインとの接続部に配置された分岐レバーと、を有する
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項5】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記移載ユニットは、前記搬送ユニット本体の前記分岐ラインに接続されたU字形状の搬送ラインを有する
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項6】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記延長ラインユニットは、前記検体容器を一方方向へ移送する搬送ラインを2本備えている
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の検体処理システムにおいて、
前記検体搬送ユニットは、1つの前記搬送ユニット本体、合わせて3つ以内の前記延長ラインユニットおよび前記方向転換ユニット、前記方向転換ユニットと同数の前記終端ユニット、から構成される
ことを特徴とする検体処理システム。
【請求項8】
請求項に記載の検体処理システムにおいて、
前記制御ユニットが前記移載ユニットに搭載された
ことを特徴とする検体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析対象である検体を収容した検体容器を搬送する搬送ラインを備えた自動分析装置や検体前処理装置を含んだ検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体搬送システムに接続された、複数のラック供給口を備える自動分析装置において、ラックの渋滞が発生しても、いつまでも分析が実施されない検体が発生しないようなラック搬送の一例として、特許文献1には、優先度の低いラック供給口に投入されたラックが、優先度の高いラック供給口に投入されたラックを供給し終えるまでの間、長時間供給されないことが予想される場合、各ラック供給口のラックを交互、あるいは適度な配分で供給することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-130025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血液や尿等の生体試料(以下、検体と称する)に含まれる特定成分の定量・定性分析を行う自動分析装置や、分析前に必要となる検体の前処理等を実施する検体前処理装置(以下、自動分析装置や検体前処理装置を総称して検体処理システムとする)では、検体は専用の試験管(検体容器)に収容され、検体容器ホルダ等に搭載されて各装置内や装置間を搬送される。
【0005】
検体の搬送経路に関しては、顧客の施設自体の構造やシステムに接続される自動分析装置の数および種類により多様な構成に対応できるものとしている。
【0006】
特許文献1には、複数の検体供給部に分析前の検体がセットされている場合、各検体供給部から交互に、あるいは適度な配分で、検体を検体処理部に供給することで、分析前の検体が、各検体供給部に停滞することを防止する検体処理システムが開示されている。
【0007】
しかし、近年、検体処理システム構成の多様化により、使用するCPUの数の増加によって使用可能なIPアドレス数が圧迫され、顧客が要求している多様な構成に対応できないという問題が生じている。
【0008】
また、現行の検体処理システムでは、検体搬送ユニットと移載ユニットとは別々CPUにおける制御となっている。更に、検体搬送ユニットでは、延長ラインユニットの接続は可能としている一方、方向転換は不可としており、方向転換が必要な場合はさらに別CPUで制御する検体搬送ユニットが必要となっている。このため、装置構成が複雑となり、またシステムの設置面積の増加、導入コストおよびランニングコストの増加が生じる、との問題が生じている。
【0009】
本発明は上記課題を鑑みなされたものであって、現行の検体処理システムより少数の搬送ライン制御用制御部で多様なシステム構成の構築が可能な検体処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、検体容器に収容された検体の分析前処理を行う前処理装置と、前記前処理装置による前処理が実施された検体の分析処理を行う分析装置と、前記前処理装置と前記分析装置との間で前記検体容器を搬送する検体搬送ユニットと、前記分析装置と前記検体搬送ユニットとの間で検体を移送する移載ユニットと、を備えた検体処理システムにおいて、前記検体搬送ユニットは、搬送ユニット本体、延長ラインユニット、方向転換ユニット、終端ユニットを有しており、前記搬送ユニット本体または前記移載ユニットに搭載され、前記検体容器の搬送制御として前記移載ユニット、前記搬送ユニット本体、前記延長ラインユニット、前記方向転換ユニット、前記終端ユニットの動作を制御する一つの制御ユニットを備え、前記搬送ユニット本体に対して、前記延長ラインユニットおよび前記方向転換ユニットが順不同に接続され、前記制御ユニットは、前記検体搬送ユニット内の前記延長ラインユニットおよび前記方向転換ユニットの接続内容に基づいて設定されたロータリスイッチおよびディップスイッチを有していることを特徴とする。


【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現行の検体処理システムより少数の搬送ライン制御用制御部で多様なシステム構成を構築することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係る検体処理システムの全体構成の例の模式図である。
図2】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける搬送ユニット本体と移載ユニットと延長ラインユニットと方向転換ユニットと終端ユニットの接続を示した概略図である。
図3】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、1CPUによって制御される範囲の構成例を示す模式図である。
図4】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、1CPUによって制御される範囲の構成例を示す模式図である。
図5】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、1CPUによって制御される範囲の構成例を示す模式図である。
図6】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、1CPUによって制御される範囲の構成例を示す模式図である。
図7】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、制御基板の概略構成を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、1CPUによって制御される範囲の接続内容を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施例に係る検体処理システムにおける、制御基板の設定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の検体処理システムの実施例について図1乃至図9を用いて説明する。
【0014】
最初に、検体処理システムの全体構成について図1を用いて説明する。図1は、血液や尿などの検体を処理する検体処理システムを示す図である。
【0015】
図1において、検体処理システム100は、前処理ユニット1、検体搬送ユニット2、移載ユニット3、分析装置4、制御装置5等を備えている。
【0016】
前処理ユニット1は、検体容器24に収容された検体の分析前処理を行うユニットであり、検体容器ホルダ投入部1b、検体分注部1c、検体容器ホルダ収納部1a等で構成される。
【0017】
検体容器ホルダ投入部1bは、血液や尿などの検体の入った検体容器24を搬送ラインに投入し、検体の遠心分離、検体容器24の開栓を行うユニットである。検体分注部1cは、検体を小分けにするための検体容器24へのラベル貼付、血液や尿などの検体の分注などを実行する。検体容器ホルダ収納部1aは、処理が完了した検体容器24の閉栓および分類や収納を行うユニットである。
【0018】
検体搬送ユニット2は、前処理ユニット1と分析装置4との間で検体容器24を保持する検体容器ホルダ21(図2参照)を所定のユニットまで搬送するユニットである。その詳細は後述する。
【0019】
移載ユニット3は、検体容器24を分析装置4で分析するために、検体容器ホルダ21に保持された検体容器24を分析装置4に投入するための検体ラック23へ移載させるユニットである。その詳細は後述する。
【0020】
分析装置4は、前処理ユニット1による前処理が実施された検体に含まれる生体成分の濃度を測定する部分であり、反応容器404と、反応ディスク機構405と、恒温槽407と、試薬庫部409と、検体分注機構410と、試薬分注機構411と、撹拌機構412と、洗浄機構413と、光源414と、光度計415と、A/D(Analog/Digital)コンバータ416とを有する。
【0021】
反応容器404は、試薬と検体を入れて反応させる容器である。
【0022】
反応ディスク機構405は、反応容器404を複数個保持する部材である。また、反応ディスク機構405は、自身に設置された反応容器404を指定の位置まで搬送する。
【0023】
恒温槽407は、反応ディスク機構405に設置された反応容器404を所定の温度に保つための機構であり、反応容器404を所定の温度に保つ。
【0024】
試薬庫部409は、分析に使用する試薬を収容する容器である試薬ボトル408を複数個保持する部材である。また、試薬庫部409は、自身に設置された試薬ボトル408を指定の位置まで搬送する。
【0025】
検体分注機構410は、検体分注プローブを備えており、検体を一定量の少量ずつに分ける機器である。検体分注機構410は、検体容器24の中に入った検体を反応容器404の中に所定量分注する。
【0026】
試薬分注機構411は、試薬分注プローブを備えており、試薬を一定量の少量ずつに分ける機器である。試薬分注機構411は、試薬ボトル408の中に入った試薬を反応容器404の中に所定量分注する。
【0027】
撹拌機構412は、反応容器404の中に入った試薬と検体の溶液を撹拌して成分の分布状態を均一化する機器である。
【0028】
洗浄機構413は、廃液の吸引と洗浄液の吐出を行う機器である。洗浄機構413は、反応容器404の中に入った試薬と検体の溶液を吸引する。また、洗浄機構413は、反応容器404の中に洗浄液を吐出して、反応容器404を洗浄する。
【0029】
光源414は、吸光度測定に用いる光を発する部分で、ハロゲンランプ,LEDなどで構成される。
【0030】
光度計415は、光源414が発し、反応容器404を通過した光を受光して、反応容器404内の溶液の吸光度を測定する部分で、分光光度計などで構成される。光度計415は、吸光度の情報をA/Dコンバータ416に送信する。
【0031】
A/Dコンバータ416は、アナログ信号をデジタル信号に変換する機器であり、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換後、データベースに記録する。
【0032】
なお、図1では分析装置4として血液等の生化学的分析を行う装置を例に挙げて説明したが、分析装置4は生化学分析装置に限られず、免疫学的分析を行う免疫分析装置などとすることができる。
【0033】
制御装置5は、前処理ユニット1、検体搬送ユニット2、移載ユニット3および分析装置4のすべてとLANなどのネットワークで接続されており、これら各ユニット内の各機器の全体的な制御や、分析結果の演算などの各種処理を実行可能としている。
【0034】
上述したような検体処理システム100では、顧客ごとに必要とされるシステム構成に応じて検体搬送ユニット2や移載ユニット3の数および配置を変更する必要がある。
【0035】
次に、図2乃至図9を用いて検体搬送ユニット2および移載ユニット3の構成の詳細や、ユニットの接続方法について説明する。
【0036】
図2に、本発明における検体搬送ユニット2と移載ユニット3の接続の一例を示す。図3乃至図6に、本発明における1つのCPU基板61で制御可能とする検体搬送ユニット2および移載ユニット3の構成の例を示す。図7に、1つのCPU基板61を有する制御基板6の概略構成を示す。図8に、本発明における1つのCPU基板61で制御可能とする検体搬送ユニット2および移載ユニット3の接続方法のフローチャートを示す。図9に、本発明における1つのCPU基板61で制御可能とする制御基板の設定方法のフローチャートを示す。なお、図1と同一符号は同一部分を示している。
【0037】
図2に示すように、検体搬送ユニット2は、搬送ユニット本体11に対して、システム構成に応じた必要数の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13、終端ユニット14が接続されることで構成されている。
【0038】
例えば、図2に示すように1つの搬送ユニット本体11、1つの延長ラインユニット12、1つの方向転換ユニット13、1つの終端ユニット14から構成される検体搬送ユニット2Aと、1つの搬送ユニット本体11、2つの延長ラインユニット12、1つの方向転換ユニット13、1つの終端ユニット14から構成される検体搬送ユニット2Bとを有するものとすることができる。
【0039】
これら検体搬送ユニット2Aや検体搬送ユニット2Bの各々が、制御基板6に設けられている1つのCPU基板61(図7参照)のカバー範囲となる。
【0040】
なお、1つのCPU基板61でカバーされる検体搬送ユニット2の構成は、図2に示すような検体搬送ユニット2A,2Bのような形態に限られず、図3乃至図6に示すように、上述の最大条件を満たす範囲内で様々な配置構成をとることができる。
【0041】
例えば、図3に示すように、搬送ユニット本体11の一方に3つの延長ラインユニット12を、もう一方に1つの終端ユニット14を配置する構成とすることができる。
【0042】
もしくは、図4に示すように、搬送ユニット本体11の一方に方向転換ユニット13を、もう一方に1つの終端ユニット14を配置し、方向転換ユニット13にそれぞれ1つの延長ラインユニット12を配置する構成とすることができる。
【0043】
また、図5に示すように、搬送ユニット本体11の一方に1つの方向転換ユニット13を、もう一方に1つの延長ラインユニット12を配置し、方向転換ユニット13に延長ラインユニット12と終端ユニット14をそれぞれ1つずつ配置する構成とすることができる。
【0044】
更には、図6に示すように、搬送ユニット本体11の一方に延長ラインユニット12、方向転換ユニット13、延長ラインユニット12および終端ユニット14を配置する構成とすることができる。
【0045】
図3乃至図6に示す形態では、1つのCPU基板61でカバーされる範囲の外側には、他の検体搬送ユニット2の搬送ユニット本体11、延長ラインユニット12、方向転換ユニット13の何れかが配置される。
【0046】
このように、1つのCPU基板61でカバーされる検体搬送ユニット2の範囲は、最大で1つの搬送ユニット本体11、合わせて3つ以内の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13、方向転換ユニット13と同数の終端ユニット14であり、システム構成に応じて必要数の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13や終端ユニット14を接続する。
【0047】
この構成により、搬送ユニット本体11において延長ラインユニット12および方向転換ユニット13を接続することを可能とし、順不同の接続を可能とする。そして、1つのCPU基板61制御において多種多様のシステム構成を構築することが可能になる。
【0048】
図2に戻り、搬送ユニット本体11は、検体容器24を一方方向へ移送する2本の搬送ライン11aと、搬送ライン11aから検体容器24を方向転換させるための2本の分岐ライン11bと、分岐ライン11bと搬送ライン11aとの接続部に配置された分岐レバー22と、を有している。
【0049】
搬送ユニット本体11では、その搬送方向に対して垂直方向のどちらか一方に移載ユニット3が直接接続される。本発明では、制御基板6のCPU基板61の搭載数の削減のために、両方向への接続は不可としている。搬送ユニット本体11では、分岐レバー22を倒すことで検体容器ホルダ21の流れ方向を変更させ、移載ユニット3に検体容器ホルダ21を搬入し、また移載ユニット3に検体容器ホルダ21を搬出する。
【0050】
搬送ユニット本体11では、検体容器24の搬送方向に対して水平方向において前後どちらにでも延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の接続が可能であり、接続順序は図2図3乃至図6に示すように、順不同である。
【0051】
また、搬送ユニット本体11の搬送方向に対して水平方向において前後どちらに対しても延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の接続が無い場合は、終端ユニット14が接続される。
【0052】
延長ラインユニット12は、直線方向に離れた2点間を接続するユニットであり、その前後に搬送ユニット本体11や延長ラインユニット12、方向転換ユニット13の接続が可能である。延長ラインユニット12は、検体容器24を一方方向へ移送する搬送ライン12aを2本備えている。
【0053】
方向転換ユニット13は、検体容器24の搬送方向を変えるユニットであり、検体容器24を一方方向へ移送する2本の搬送ライン13aと、搬送ライン13aから検体容器24を方向転換させるための2本の分岐ライン13bと、分岐ライン13bと搬送ライン13aとの接続部に配置された分岐レバー22と、を有しており、検体容器ホルダ21の搬送方向を方向転換させることを可能としている。
【0054】
方向転換ユニット13では、検体容器24の搬送方向に対して水平方向および垂直方向の4方向のどの方向においても搬送ユニット本体11や延長ラインユニット12、終端ユニット14との接続が可能である。方向転換ユニット13の搬送方向に対して垂直方向に搬送ユニット本体11や延長ラインユニット12を接続する場合、分岐レバー22を倒すことで検体容器ホルダ21の流れ方向を変更させ、接続された搬送ユニット本体11および延長ラインユニット12に検体容器ホルダ21を搬入する。方向転換ユニット13の搬送方向に対して水平方向に搬送ユニット本体11および延長ラインユニット12の接続が無い場合は、終端ユニット14が接続される。
【0055】
終端ユニット14は、検体搬送ユニット2の終端部に配置されるユニットである。この終端ユニット14の存在によって、検体搬送ユニット2は一筆書きの搬送経路(一方通行の搬送)によって、下流側へのユニットの接続を可能としている。すなわち、終端ユニット14は、搬送ユニット本体11および方向転換ユニット13に対して下流側へのユニットの接続が無い場合において搬送経路が途切れることが無いようにしている。
【0056】
移載ユニット3は、図2に示すように、搬送ユニット本体11の分岐ライン11bに接続されたU字形状の搬送ライン3aを有している。移載ユニット3には、図2図3乃至図6に示すように、制御基板6が搭載されている。移載ユニット3は、検体搬送ユニット2を制御するため、搬送ユニット本体11に直接接続させる必要がある。
【0057】
移載ユニット3内では、検体容器ホルダ21に保持された検体容器24を検体ラック23に移し替え、分析装置4へ搬送する。また、分析装置4にて分析処理が完了した検体容器24を検体ラック23から検体容器ホルダ21に移し替え、検体搬送ユニット2へ搬送する。
【0058】
制御基板6は、図7に示すように、CPU基板61、モータコントローラ基板62、VMEラック63、ロータリスイッチ64、ディップスイッチ65を有している。
【0059】
CPU基板61は、制御装置5からの制御信号に基づいて、移載ユニット3や搬送ユニット本体11、延長ラインユニット12、方向転換ユニット13、終端ユニット14の動作を直接的に制御する。
【0060】
モータコントローラ基板62は、CPU基板61からの制御信号に基づいて、検体搬送ユニット2内の各ユニットや移載ユニット3内に設けられたモータ等の駆動信号を生成、出力する。
【0061】
VMEラック63は、CPU基板61やモータコントローラ基板62、ロータリスイッチ64、ディップスイッチ65を保持するラックである。
【0062】
ロータリスイッチ64は、検体搬送ユニット2内の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の接続数を設定するスイッチである。
【0063】
ディップスイッチ65は、検体搬送ユニット2内の延長ラインユニット12、方向転換ユニット13および終端ユニット14の接続方向を設定するスイッチである。
【0064】
次に、図8を用いて、本実施例における検体処理システムの1つのCPU基板61における制御を可能とするための移載ユニット3や検体搬送ユニット2の接続方法について説明する。
【0065】
図8において、最初に、移載ユニット3および検体搬送ユニット2を1つのCPU基板61で制御可能とするため、搬送ユニット本体11と移載ユニット3とを接続する(ステップS101)。
【0066】
次いで、システム構成に基づき、搬送ユニット本体11に接続されている延長ラインユニット12および方向転換ユニット13を必要とされる台数接続する(ステップS102)。この際、延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の搬送ユニット本体11に対する接続方向は順不同とする。
【0067】
次いで、必要とするシステム構成において対象とする搬送ユニット本体11の下流側に延長ラインユニット12および方向転換ユニット13が接続されているか否かを確認する(ステップS103)。搬送ユニット本体11の下流側に延長ラインユニット12と方向転換ユニット13のどちらかが接続されているときは処理をステップS105に進め、いずれも接続されていないときは処理をステップS104に進める。
【0068】
必要とするシステム構成において対象とする搬送ユニット本体11の下流側に延長ラインユニット12および方向転換ユニット13が接続されていない場合は、搬送ユニット本体11の下流側に終端ユニット14を接続する(ステップS104)。
【0069】
次いで、必要とするシステム構成において、対象とする方向転換ユニット13の搬送方向の下流側に搬送ユニット本体11および延長ラインユニット12が接続されているか否かを確認する(ステップS105)。方向転換ユニット13の搬送方向の下流側に延長ラインユニット12と方向転換ユニット13のどちらかが接続されているときは処理を終了し、いずれも接続されていないときは処理をステップS106に進める。
【0070】
必要とするシステム構成において対象とする方向転換ユニット13の下流側に搬送ユニット本体11および延長ラインユニット12が接続されていない場合は、方向転換ユニット13の搬送方向下流側に終端ユニット14を接続し(ステップS106)、処理を終了する。
【0071】
次に、図9を用いて、本発明の実施例1による検体処理システムにおける検体搬送ユニット2の搬送ユニット本体11に接続された延長ラインユニット12および方向転換ユニット13や終端ユニット14の組み合わせにおいて個々のユニットを認識させるために行うロータリスイッチ64およびディップスイッチ65の設定方法について説明する。
【0072】
図9に示すように、最初に、1つのCPU基板61における制御を可能とする検体搬送ユニット2の構成に基づき、搬送ユニット本体11に直接的、あるいは間接的に接続されている延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の合計数をロータリスイッチ64により設定する(ステップS211)。このステップS211では、延長ラインユニット12と方向転換ユニット13とは区別せず、延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の総数を設定する。
【0073】
次いで、搬送ユニット本体11に接続されている延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の接続内容に従い、定められた基準に基づき、ディップスイッチ65を使用して設定する(ステップS212)。例えば、図2に示す検体搬送ユニット2Aのような構成の場合はパターンAで、検体搬送ユニット2Bのような構成の場合はパターンB、図3に示す配置の場合はパターンC、図4に示す配置の場合はパターンD、図5に示す配置の場合はパターンE、図6に示す配置の場合はパターンF、等とする。
【0074】
次いで、搬送ユニット本体11および方向転換ユニット13に終端ユニットが接続されている場合、終端ユニット14へ終端ユニット14用のユニット有無検出ケーブルを接続する(ステップS213)。これにより、終端ユニット14の有無を制御基板6のCPU基板61が判別できるようにする。
【0075】
このように設定された制御基板6により検体搬送ユニット2や移載ユニット3による検体搬送動作を制御する。
【0076】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0077】
上述した本実施例の検体処理システム100は、検体容器24に収容された検体の分析前処理を行う前処理ユニット1と、前処理ユニット1による前処理が実施された検体の分析処理を行う分析装置4と、前処理ユニット1と分析装置4との間で検体容器24を搬送する検体搬送ユニット2と、分析装置4と検体搬送ユニット2との間で検体を移送する移載ユニット3と、を備え、検体搬送ユニット2は、搬送ユニット本体11、延長ラインユニット12、方向転換ユニット13、終端ユニット14を有しており、搬送ユニット本体11または移載ユニット3に搭載され、検体容器24の搬送制御として移載ユニット3、搬送ユニット本体11、延長ラインユニット12、方向転換ユニット13、終端ユニット14の動作を制御する一つの制御基板6を更に備えている。
【0078】
このように、検体搬送ユニット2を検体処理システム100の構成に応じて適宜構成が変更可能なユニット構成とし、また一つの制御基板6により移載ユニット3と検体搬送ユニット2を制御することで、同一のCPU基板61における制御において多様なシステム構成の制御を可能とする。このため、検体処理システム100全体におけるCPU基板61の使用数を減少させることができ、必要とするIPアドレス数を減少させることができるとともに、検体処理システム100の全体構成の多様化を実現することができる。
【0079】
また、搬送ユニット本体11に対して、延長ラインユニット12および方向転換ユニット13が順不同に接続されるため、多様なシステム構成をより容易に構築することができる。
【0080】
更に、移載ユニット3と搬送ユニット本体11とが直接接続されたことで、同一のCPU基板61における制御回路構成を容易に実現することができる。
【0081】
また、制御基板6は、検体搬送ユニット2内の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13の接続内容に基づいて設定されたロータリスイッチ64およびディップスイッチ65を有していることにより、1つのCPU基板61による制御回路構成をより容易に実現することができる。
【0082】
更に、検体搬送ユニット2の終端部には終端ユニット14が配置され、移載ユニット3、搬送ユニット本体11、延長ラインユニット12、方向転換ユニット13、終端ユニット14は、検体容器24を一方通行で搬送することにより、一筆書きの搬送経路を形成することができ、1つのCPU基板61による制御範囲を広く確保することができる。このため、システム全体で使用するCPU基板61の総数をより効果的に低減することができる。
【0083】
また、搬送ユニット本体11は、検体容器24を一方方向へ移送する2本の搬送ライン11aと、搬送ライン11aから検体容器24を方向転換させるための2本の分岐ライン11bと、分岐ライン11bと搬送ライン11aとの接続部に配置された分岐レバー22と、を有し、方向転換ユニット13は、検体容器24を一方方向へ移送する2本の搬送ライン13aと、搬送ライン13aから検体容器24を方向転換させるための2本の分岐ライン13bと、分岐ライン13bと搬送ライン13aとの接続部に配置された分岐レバー22と、を有することで、一筆書きの搬送経路をより容易に形成することができる。
【0084】
更に、移載ユニット3は、搬送ユニット本体11の分岐ライン11bに接続されたU字形状の搬送ライン3aを有することによっても、一筆書きの搬送経路をより容易に形成することができる。
【0085】
また、延長ラインユニット12は、検体容器24を一方方向へ移送する搬送ライン12aを2本備えていることにより、一筆書きの搬送経路をより容易に形成することができる。
【0086】
更に、検体搬送ユニット2は、1つの搬送ユニット本体11、合わせて3つ以内の延長ラインユニット12および方向転換ユニット13、方向転換ユニット13と同数の終端ユニット14、から構成されることにより、1つの制御基板6による制御対象範囲を最大限に確保することができ、システム全体で使用するCPU基板61の総数をより効果的に低減することができる。
【0087】
また、制御基板6が移載ユニット3に搭載されたことで、空間に余裕があることから、制御基板6におけるCPU基板61を含めた各種基板を容易に組み込むことができ、1つの制御基板6による制御対象範囲を広く確保することができる。
【0088】
<その他>
なお、本発明は上記の実施例に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0089】
例えば、上述した実施例では制御基板6が移載ユニット3に搭載される場合について説明したが、制御基板6が搭載されるユニットは移載ユニット3に限られず、搬送ユニット本体11に搭載することができる。この場合においても、移載ユニット3と搬送ユニット本体11との接続方法や、搬送ユニット本体11と延長ラインユニット12や方向転換ユニット13、終端ユニット14との接続方法は上記の実施例と同じである。
【符号の説明】
【0090】
1…前処理ユニット(前処理装置)
1a…検体容器ホルダ収納部
1b…検体容器ホルダ投入部
1c…検体分注部
2,2A,2B…検体搬送ユニット
3…移載ユニット
3a…搬送ライン
4…分析装置
5…制御装置
6…制御基板(制御ユニット)
11…搬送ユニット本体
11…搬送ユニット本体
11a…搬送ライン
11b…分岐ライン
12…延長ラインユニット
12a…搬送ライン
13…方向転換ユニット
13a…搬送ライン
13b…分岐ライン
14…終端ユニット
21…検体容器ホルダ
22…分岐レバー
23…検体ラック
24…検体容器
61…CPU基板
62…モータコントローラ基板
63…VMEラック
64…ロータリスイッチ
65…ディップスイッチ
100…検体処理システム
404…反応容器
405…反応ディスク機構
407…恒温槽
408…試薬ボトル
409…試薬庫部
410…検体分注機構
411…試薬分注機構
412…撹拌機構
413…洗浄機構
414…光源
415…光度計
416…A/Dコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9