(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】内視鏡用洗浄機
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
A61B1/12 510
(21)【出願番号】P 2021178635
(22)【出願日】2021-11-01
【審査請求日】2021-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年8月24日、https://www.fujifilm.com/fms/ja/news/207、ウェブサイトへの掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年8月24日、富士フイルム株式会社「ENDOSTREAM 内視鏡洗浄消毒システム ESR-110/ESR-200」、カタログ発行
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年10月12日、https://www.fujifilm.com/jp/ja/healthcare/endoscopy/endoscopy-endostream/endostream、ウェブサイトへの掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 行為時の権利者である富士フイルム株式会社が、内視鏡洗浄消毒機「ESR-110」について、富士フイルムメディカル株式会社に対して販売を依頼し、富士フイルムメディカル株式会社が以下の日程で販売先に販売し、販売先が設置を行った。2021年8月30日 アルフレッサ株式会社 等2社に販売し、3施設に設置。2021年8月31日 株式会社エントリッチ 等2社に販売し、3施設に設置。2021年9月7日 ニスコ株式会社に販売し、1施設に設置。2021年9月8日 ニスコ株式会社 等2社に販売し、2施設に設置。2021年9月9日 アジア株式会社 等3社に販売し、3施設に設置。2021年9月14日 ニスコ株式会社 等2社に販売し、2施設に設置。2021年9月15日 株式会社アダチ 等3社に販売し、3施設に設置。2021年9月16日 コセキ株式会社に販売し、1施設に設置。2021年9月17日 メディックス広島エキキタ健診センターに設置。2021年9月21日 ニスコ株式会社 等3社に販売し、4施設に設置。2021年9月22日 ニスコ株式会社 等2社に販売し、2施設に設置。2021年9月24日 ニスコ株式会社に販売し、1施設に設置。2021年9月27日 東郷外科医院に販売・設置。2021年9月28日 コセキ株式会社 等4社に販売し、4施設に設置。2021年9月29日 ニスコ株式会社 等4社に販売し、4施設に設置。2021年9月30日 株式会社ムトウ 等4社に販売し、4施設に設置。2021年10月6日 株式会社メディセオに販売し、1施設に設置。2021年10月11日 ニスコ株式会社に販売し、1施設に設置。2021年10月12日 ニスコ株式会社 等2社に販売し、2施設に設置。2021年10月15日 株式会社アダチ 等2社に販売し、2施設に設置。2021年10月18日 コセキ株式会社に販売し、1施設に設置。2021年10月25日 株式会社ワキタ商会 等2社に販売し、2施設に設置。2021年10月26日 株式会社アダチ 等2社に販売し、2施設に設置。2021年10月27日 ワキタ商会三重に販売し、1施設に設置。2021年10月28日 コセキ株式会社 等3社に販売し、4施設に設置。2021年10月29日 株式会社グロウス 等5社に販売し、5施設に設置。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】弓部 央奈
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174973(JP,A)
【文献】特開平03-111026(JP,A)
【文献】特開2011-206316(JP,A)
【文献】特開2005-007217(JP,A)
【文献】特開昭59-142697(JP,A)
【文献】特開平11-076141(JP,A)
【文献】特開2010-035850(JP,A)
【文献】特開2010-017411(JP,A)
【文献】意匠登録第1683999(JP,S)
【文献】意匠登録第1683998(JP,S)
【文献】意匠登録第1683997(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済の内視鏡をリプロセス処理する内視鏡用洗浄機であって、
前記内視鏡を格納する洗浄槽と、
前記洗浄槽に開閉自在に設けられた蓋と、
前記
洗浄槽の開口部周縁の上面部に設けられ、前記内視鏡のリプロセス処理を実行する際の操作及び設定に関する情報を表示する第1の表示パネルと、
前記
上面部に隣接する
側面部に設けられ、前記内視鏡のリプロセス処理の実施状況を表示する第2の表示パネルであって、該第2の表示パネルの幅は、前記内視鏡用洗浄機の全幅の50%以上であり、該リプロセス処理の実施状況の表示は、リプロセス工程ごとの実施状況を示すインジケータが該第2の表示パネルの全幅にわたり水平方向に一列に並んで表示されている第2の表示パネルと、
を有する、内視鏡用洗浄機。
【請求項2】
複数の前記リプロセス工程の中から実施予定の工程の入力を受け付ける入力部を備え、
前記第2の表示パネルは、複数の前記インジケータのうち、前記入力部が受け付けた前記実施予定の工程に対応するインジケータの表示態様を、前記入力部が受け付けた前記実施予定の工程以外の他の工程に対応する他のインジケータの表示態様と異ならせて表示する、
請求項1に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項3】
前記第2の表示パネルは、複数の前記インジケータのうち、前記入力部が受け付けた前記実施予定の工程に対応するインジケータの表示態様を、前記実施予定の工程の実施状況にかかわらず、前記入力部が受け付けた前記実施予定の工程以外の他の工程に対応する他のインジケータの表示態様と異ならせて表示する、
請求項2に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項4】
前記第2の表示パネルは、複数の前記インジケータのうち、完了した工程に対応する第1のインジケータを第1の表示態様で表示し、実施中の工程に対応する第2のインジケータを前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示し、未実施の工程に対応する第3のインジケータを前記第1の表示態様及び前記第2の表示態様とは異なる第3の表示態様で表示する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項5】
前記第1の表示態様、前記第2の表示態様、及び前記第3の表示態様は、それぞれ対応するインジケータの色及び点灯点滅状態の少なくとも一方が互いに異なる、
請求項4に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項6】
前記第2の表示パネルは、前記第1のインジケータを前記第1の表示態様として第1の色で点灯表示し、前記第2のインジケータを前記第2の表示態様として前記第1の色で点滅表示し、前記第3のインジケータを前記第3の表示態様として前記第1の色とは異なる第2の色で点灯表示又は点滅表示する、
請求項5に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項7】
前記第2の表示パネルは、複数の前記リプロセス工程のうち実施予定の工程のすべてが終了した場合、複数の前記リプロセス工程のすべてに対応するインジケータを終了表示態様で表示する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の内視鏡用洗浄機。
【請求項8】
前記第2の表示パネルは、複数の前記リプロセス工程のすべてに対応するインジケータを前記終了表示態様として点滅表示する、
請求項7に記載の内視鏡用洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用洗浄機及び内視鏡用洗浄機システムに係り、特に、内視鏡のリプロセス処理における各工程の表示機能を備える内視鏡用洗浄機及び内視鏡用洗浄機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの内視鏡は通常、洗浄、消毒及びすすぎ等の複数の工程からなるリプロセス処理が施され、再び利用される。このようなリプロセス処理を施す装置として、内視鏡用洗浄機が知られている。内視鏡用洗浄機には、リプロセス処理を行う工程の選択、及び各工程の時間等を入力する操作パネルが設けられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、装置本体の上面にメイン操作パネルを有し、前面にサブ操作パネルを有する内視鏡洗浄消毒装置が記載されている。この内視鏡洗浄消毒装置は、メイン操作パネルで内視鏡洗浄消毒装置の操作を行い、サブ操作パネルで、予め設定される洗浄/消毒プログラムの設定をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、内視鏡用洗浄機は、リプロセス処理が開始された後は、洗浄、消毒及びすすぎ等の複数の工程を自動的に行う。そのため、操作者は内視鏡用洗浄機に内視鏡を収容してリプロセス処理を開始するスイッチを入力した後、内視鏡用洗浄機から離れた他の場所で別の仕事をしていることが多い。
【0006】
しかしながら、仕事を円滑に行うためには、内視鏡用洗浄機が今、どの工程にあるかを適正に把握できるのが好ましい。例えば、内視鏡用洗浄機で内視鏡のリプロセス処理を行った後に、すぐに他の内視鏡のリプロセス処理を行いたい場合には、現在行われている内視鏡のリプロセス処理が、どの工程にあり、またリプロセス処理の終了までの残り時間はどれくらいなのかということを適宜確認する必要がある。
【0007】
特許文献1に記載の内視鏡洗浄消毒装置のサブ操作パネルには、洗浄時間表示部及び消毒時間表示部を有するが、これはプログラムを設定する際の表示部であり、リプロセス処理の進捗状況を表示するものではない。リプロセス処理の状況を確認するためには、内視鏡洗浄消毒装置に近づいてメイン操作パネルを確認する必要があるが、メイン操作パネルは、LEDの点灯により実施している工程の表示と駆動時間を表示しており、リプロセス処理全体の進捗状況を確認できるものではない。また、特許文献1は、内視鏡洗浄消毒装置の給水管路内の液体を短時間で回収または排液し、自動的に消毒するものであり、リプロセス処理の進捗状況の把握については、記載がない。
【0008】
また、リプロセス処理の終了をランプ又は音で知らせる機能を有する内視鏡用洗浄機もある。しかしながら、これらは、リプロセス処理が終了した直後であれば確認することができるが、リプロセス処理の終了後、所定時間経過してランプが消灯したり、音が鳴りやんだりした内視鏡用洗浄機については、内視鏡用洗浄機に近づいて確認する必要があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡用洗浄機から近距離にいる場合の操作性の確保と、遠距離にいる場合のリプロセス処理の進捗状況の把握と、を両立した内視鏡用洗浄機及び内視鏡用洗浄機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用洗浄機は、複数の工程によって内視鏡のリプロセス処理を行う内視鏡用洗浄機であって、内視鏡のリプロセス処理を実行する操作及び設定に関する情報を表示する第1の表示パネルと、第1の表示パネルに表示される情報の表示態様よりも遠距離からの視認性が高い表示態様で、リプロセス処理の実施状況を表示する第2の表示パネルと、を有する。
【0011】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルの法線方向は、水平方向の成分を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の一形態によれば、第1の表示パネルの法線方向は、鉛直方向の成分を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の一形態によれば、洗浄槽を有する洗浄機本体であって、内視鏡用洗浄機の設置時に上側となる上面と、上面とは反対側に配置される下面と、上面と下面とを繋ぐ側面と、を有する洗浄機本体を備え、第2の表示パネルは、側面に設けられることが好ましい。
【0014】
本発明の一形態によれば、側面は、上面側の端部に、上面に対して斜めに設けられた面取り部を有し、第2の表示パネルは、面取り部に設けられることが好ましい。
【0015】
本発明の一形態によれば、洗浄槽を有する洗浄機本体を備え、第2の表示パネルは、洗浄機本体に外付けされた表示パネル形成部材に設けられることが好ましい。
【0016】
本発明の一形態によれば、表示パネル形成部材は、洗浄機本体に着脱自在に外付けされることが好ましい。
【0017】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数の工程にそれぞれ対応する複数のインジケータを有し、複数のインジケータは、それぞれ対応する工程の実施状況を示すことが好ましい。
【0018】
本発明の一形態によれば、複数のインジケータは、それぞれ対応する工程の実施順に水平方向に並べて配置されることが好ましい。
【0019】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数のインジケータを含むインジケータ表示領域を有し、インジケータ表示領域の横幅は、内視鏡用洗浄機の横幅の半分以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、第2の表示パネルの中で複数のインジケータが最も目立つように表示することが好ましい。
【0021】
本発明の一形態によれば、複数の工程の中から実施予定の工程の入力を受け付ける入力部を備え、第2の表示パネルは、複数のインジケータのうち、入力部が受け付けた実施予定の工程に対応するインジケータの表示態様を、入力部が受け付けた実施予定の工程以外の他の工程に対応する他のインジケータの表示態様と異ならせて表示することが好ましい。
【0022】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数のインジケータのうち、入力部が受け付けた実施予定の工程に対応するインジケータの表示態様を、実施予定の工程の実施状況にかかわらず、入力部が受け付けた実施予定の工程以外の他の工程に対応する他のインジケータの表示態様と異ならせて表示することが好ましい。
【0023】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数のインジケータのうち、完了した工程に対応する第1のインジケータを第1の表示態様で表示し、実施中の工程に対応する第2のインジケータを第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示し、未実施の工程に対応する第3のインジケータを第1の表示態様及び第2の表示態様とは異なる第3の表示態様で表示することが好ましい。
【0024】
本発明の一形態によれば、第1の表示態様、第2の表示態様、及び第3の表示態様は、それぞれ対応するインジケータの色及び点灯点滅状態の少なくとも一方が互いに異なることが好ましい。
【0025】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、第1のインジケータを第1の表示態様として第1の色で点灯表示し、第2のインジケータを第2の表示態様として第1の色で点滅表示し、第3のインジケータを第3の表示態様として第1の色とは異なる第2の色で点灯表示又は点滅表示することが好ましい。
【0026】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数の工程のうち実施予定の工程のすべてが終了した場合、複数の工程のすべてに対応するインジケータを終了表示態様で表示することが好ましい。
【0027】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数の工程のすべてに対応するインジケータを終了表示態様として点滅表示することが好ましい。
【0028】
本発明の一形態によれば、外部端末と通信可能な通信部を備え、通信部は、複数の工程の実施状況に関する工程情報を外部端末に送信することが好ましい。
【0029】
本発明の目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用洗浄機システムは、上記記載の内視鏡用洗浄機と、外部端末と、を備え、外部端末は、工程情報に基づいて複数の工程の実施状況を表示する。
【0030】
本発明の一形態によれば、外部端末は、複数の工程のうち実施予定の工程のすべてが終了したことを報知することが好ましい。
【0031】
本発明の一形態によれば、外部端末は、2つ以上の内視鏡用洗浄機と通信可能であり、それぞれの内視鏡用洗浄機の状態を示す情報を表示または報知することが好ましい。
【0032】
本発明の一形態によれば、外部端末は、携帯端末であることが好ましい。
【0033】
本発明の一形態によれば、第2の表示パネルは、複数の工程にそれぞれ対応する複数のインジケータを有し、複数のインジケータは、それぞれ対応する工程の実施状況を示し、外部端末は、複数のインジケータが示す情報と同じ内容を表示する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、内視鏡用洗浄機から近距離にいる場合の操作性の確保と、遠距離にいる場合のリプロセス処理の進捗状況の把握と、を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、第1実施形態の内視鏡用洗浄機の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、内視鏡のリプロセス処理を行う複数の工程を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の表示パネルのインジケータの表示方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、内視鏡用洗浄機の制御部の概略構成を概念的に示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の洗浄機を示す図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の洗浄機を示す図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態の内視鏡用洗浄機システムの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、内視鏡用洗浄機システムの他の例を示す図である。
【
図11】
図11は、内視鏡用洗浄機システムの概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って、本発明に係る内視鏡用洗浄機及び内視鏡用洗浄機システムについて説明する。
【0037】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の内視鏡用洗浄機(以下、「洗浄機」ともいう。)の外観を示す斜視図である。
図1に示すように、洗浄機10は、箱状の洗浄機本体11を備えている。洗浄機本体11は、洗浄機10の設置時に上側となる上部に、使用後の内視鏡を収容し、洗浄液や消毒液が供給される洗浄槽13が設けられた洗浄槽部12を有する。洗浄槽部12は、洗浄槽13と、上面パネル14と、側面パネル15により形成される。洗浄槽13は、上部が開放された水槽であり、例えば樹脂やステンレス等の耐薬品性に優れた材料で形成されている。洗浄機本体11には、洗浄槽13の開口部13aを覆う蓋部16が設けられている。
【0038】
洗浄機本体11は、シャーシ(不図示)を有しており、シャーシには、洗浄槽部12及び蓋部16の他、洗浄及び消毒を行う洗浄消毒機構(不図示)が設けられている。洗浄消毒機構は、洗浄液及び消毒液を洗浄槽13に供給するための配管、ポンプ電磁弁、及び、消毒液を貯留するタンク等からなる。シャーシの外周は、洗浄槽部12、洗浄槽部12とは反対側に配置される本体下面パネル19、及び本体側面パネル17からなる外装部材によって覆われている。上面パネル14が洗浄機10の上面、本体下面パネル19が洗浄機10の下面、側面パネル15及び本体側面パネル17により上面パネル14と本体下面パネル19が繋がり洗浄機10の側面を構成する。
【0039】
洗浄槽13には、内視鏡が載置される略円形のネット21が配置されている。ネット21は、洗浄槽13の前方部分(蓋部16の反対側)の底面に設けられている。ネット21は、内視鏡と洗浄槽13の底面との間に液体が流れ込む隙間を作り、洗浄槽13に供給される液体が、内視鏡の外表面に接触する面積を増加させる。
【0040】
ネット21の中央には、内視鏡から取り外された、送気送水ボタン及び吸引ボタンなどの小物部品を収容する小物洗浄かご22が配置されている。小物洗浄かご22の近傍には、噴射ノズル23が配置されている。噴射ノズル23は、上方に位置する蓋部16に向けて水を噴射する。
【0041】
内視鏡は、被検体内に挿入される挿入部及びユニバーサルコードが巻き回された状態で、小物洗浄かご22の周囲を取り囲むようにして、ネット21上に載置される。ユニバーサルコードの一端には、プロセッサや光源装置に接続するためのコネクタが設けられている。内視鏡を洗浄槽13に収容する際には、コネクタには、防水キャップが取り付けられる。
【0042】
洗浄槽13の後方部分には、洗浄槽13の底面よりも一段高いテラス部13b、13cが設けられている。各テラス部13b、13cは、洗浄槽13の後方部分の2つの角にそれぞれ設けられており、上方から見ると、略三角形状をしている。一方のテラス部13bには、気密試験ポート28が設けられている。気密試験ポート28は、内視鏡の挿入部及びユニバーサルコードの外皮と内蔵物の隙間に圧縮エアを送り込み、外皮に液体が進入する小さな孔又は亀裂が生じていないかを試験するためのポートである。気密試験ポート28は、図示しないチューブを介して、ユニバーサルコードのコネクタに設けられた気密試験用の口金と接続される。
【0043】
また、テラス部13bには、内視鏡の洗浄及び消毒に用いる液体を洗浄槽13内に供給する供給ポートが設けられている。供給ポートには、洗浄槽13内に向けて屈曲された洗浄液供給ノズル29a及び消毒液供給ノズル29bが設けられている。これらのノズル29a、29bは、洗浄槽13内に貯えられる液体の液面よりも高い位置に配置されている。
【0044】
洗浄液供給ノズル29aは、洗剤タンク及び水道栓に、切り替えバルブを備える管路を介して接続されている。洗浄液供給ノズル29aは、切り替えバルブの切り替え動作によって、洗剤タンク及び水道栓の一方と選択的に連通し、洗浄槽13内に水又は洗剤を供給する。使用後の内視鏡に付着している体液及び汚物は、水と洗剤とが混合された洗浄液により洗い流される。消毒液供給ノズル29bは、消毒液タンク内に貯えられている消毒液を洗浄槽13内に供給する。病原菌及びウイルスは、消毒液により殺滅及び不活化される。
【0045】
テラス部13cには、内視鏡の送気送水チャンネル、吸引チャンネル及び鉗子チャンネル内の洗浄及び消毒に用いられるチャンネル洗浄ポート32が設けられている。チャンネル洗浄ポート32には、送気送水チャンネル用カプラ及び吸引チャンネル用カプラが設けられている。各カプラは、図示しない接続チューブを介して、内視鏡に設けられた送気送水ボタン及び吸引ボタンのそれぞれの装着口と接続される。チャンネル洗浄ポート32は、水、洗浄液、消毒液、アルコール、及び圧縮エア等の液体及び気体を、送気送水チャンネル、鉗子チャンネル及び吸引チャンネル内に供給する。
【0046】
洗浄機本体11内には、図示しない収納トレイが設けられている。収納トレイには、洗剤タンク及びアルコールタンクが収納されている。洗剤タンクには、内視鏡の洗浄に使用される洗剤が貯えられている。アルコールタンクには、内視鏡の洗浄及び消毒後に、鉗子チャンネル等の各チャンネル内に流されるアルコールが貯えられている。本体側面パネル17には、各タンク内の液体の残量視認用の透明窓33が取り付けられている。
【0047】
また、収納トレイには、消毒液(例えば、過酢酸、グルタールアルデヒド(GA:glutaraldehyde)、及びオルトフタルアルデヒド(OPA:ortho-phthalaldehyde)など)の濃縮液を貯えた供給ボトルが交換可能に収納される。供給ボトルは、シャーシに備え付けられた消毒液タンクに接続され、濃縮液を消毒液タンク内に供給する。濃縮液は、消毒液タンク内において水によって希釈されて使用される。
【0048】
上面パネル14の前端部には、操作部36が設けられている。
図2は、操作部を示す図である。操作部36には、各種の操作指示を入力するための操作ボタン37、内視鏡のリプロセス処理を実行する操作及び設定に関する情報を表示する第1の表示パネル38、及び、第1の表示パネル38に表示される操作画面を操作するための操作キー39が設けられている。操作ボタン37は、例えば、リプロセス処理の開始を指示するスタートボタン、緊急停止を指示するためのストップボタンを含む。なお、リプロセス処理は、使用済みの内視鏡を再使用可能な状態にするための処理のことをいい、例えば、漏水検知工程、洗浄工程、消毒工程、すすぎ工程、及びアルコールフラッシュ工程の各工程を含む(
図4を参照)。ただし、これらの全ての工程を含む必要はなく、一部の工程を省略してもよい。例えば、漏水検知工程、又はアルコールフラッシュ工程を省略することができる。リプロセス処理を構成する各工程は、それぞれ、本発明の「複数の工程」を構成する各工程に相当する。
【0049】
第1の表示パネル38は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)であり、リプロセス処理のメニューを選択する選択画面及び各種設定を行うための設定画面を含む操作画面を表示する。また、リプロセス処理の実施中は、内視鏡のリプロセス処理の進捗状況、残り時間、及び、トラブル発生時の警告メッセージ等を表示してもよい。第1の表示パネル38は、このように、オペレータが、第1の表示パネル38を確認しながら、操作キー39を操作して、内視鏡のリプロセス処理を構成する複数の工程のうち実施する工程、及び時間などを入力する。オペレータは、操作キー39を操作する際は、洗浄機10の前方側に立って、第1の表示パネル38で確認しながら、操作キー39を操作する。したがって、オペレータが操作キー39の操作が可能な位置にいる状態(すなわち、洗浄機10から近距離にいる状態)で、第1の表示パネル38は、オペレータが第1の表示パネル38に表示される情報(内視鏡のリプロセス処理に関する情報)を視認しやすい視認性を有している。オペレータは、洗浄機10の前方側に立って、第1の表示パネル38を下方向に見ながら操作キー39の操作をするため、第1の表示パネル38の法線方向が鉛直方向を向くように、第1の表示パネル38が上面パネル14の前端部に配置されている。なお、第1の表示パネル38の法線方向は鉛直方向に限らず、鉛直方向の成分を含むものであってもよい。
【0050】
洗浄槽部12の側面パネル15には、上面パネル14に設けられた操作部36に連続して第2の表示パネル40が設けられる。
図3は、第2の表示パネルを示す図である。
図4は、内視鏡のリプロセス処理を行う複数の工程を示すフローチャートである。
【0051】
図3に示すように、第2の表示パネル40は、内視鏡のリプロセス処理を行うための複数の工程にそれぞれ対応する複数のインジケータ42を有する。複数のインジケータ42は、漏水検知工程に対応するインジケータ42a、洗浄工程に対応するインジケータ42b、消毒工程に対応するインジケータ42c、すすぎ工程に対応するインジケータ42d、及びアルコールフラッシュ工程に対応するインジケータ42eで構成される。それぞれの工程に対応するインジケータ42a、42b、42c、42d、42eは、各工程の実施順に水平方向に並べて配置されている。第2の表示パネル40は、複数のインジケータ42により、内視鏡のリプロセス処理を行うための複数の工程の実施状況を表示する。第2の表示パネル40は、少なくともオペレータが操作キー39の操作が可能な位置から離れた位置、すなわち、遠距離からの優れた視認性を有している。具体的には、第2の表示パネル40に表示される情報である複数のインジケータ42は、洗浄機10から所定距離以上離れた位置からの視認性が高いものとなっている。ここで、所定距離とは、例えば2mから5m、あるいは、5m以上など、オペレータが洗浄機10から離れた他の場所で別の仕事をしている場合でも第2の表示パネル40を視認しやすいと考えられる任意の距離に設定される。オペレータが、洗浄機10から所定距離以上離れた位置である遠距離から洗浄機10を見た場合の視認性を高めるため、第2の表示パネル40の法線方向が水平方向を向くように、第2の表示パネル40が側面パネル15の前面部に設置される。なお、第2の表示パネル40の法線方向は水平方向に限らず、水平方向の成分を含むものであってもよい。
【0052】
第2の表示パネル40は、複数のインジケータ42を含むインジケータ表示領域43を有する。インジケータ表示領域43は、
図3の破線で示すように、複数のインジケータ42の外周を取り囲むように(すなわち、包含するように)形成された矩形状の領域である。インジケータ表示領域43の横幅L2は、洗浄機10の横幅L1(
図1参照)に対して、半分以上の幅を有することが好ましく、より好ましくは2/3以上である。インジケータ表示領域43の横幅L2を、洗浄機10の横幅L1の半分以上(より好ましくは2/3以上)とすることで、洗浄機10の横幅L1に対して、インジケータ表示領域43に表示される各インジケータ42を大きく目立たせることができるので、遠距離から第2の表示パネル40を見た場合に、内視鏡のリプロセス処理の実施状況の視認性を向上させることができる。
【0053】
また、第2の表示パネル40は、第2の表示パネル40の中でインジケータ42が、最も目立つように表示することが好ましい。第2の表示パネル40は、インジケータ42の他に、他の情報を表示する表示部を設けてもよいが、他の情報が表示されていたとしても、インジケータ42が目立つように表示する。他の情報としては、洗浄液及び消毒液のステータスを表示することができ、具体的には、洗浄液及び消毒液の残量、使用回数、使用期間、濃度、予め設定した交換時期、及び交換時期がきたことの通知などを表示することができる。
【0054】
インジケータ42を目立つように表示する方法としては、インジケータ表示領域43を、他の情報を表示する表示部の領域より相対的に大きくすることにより行うことができる。また、インジケータ42の点灯及び点滅表示の輝度を、他の情報を表示する表示部の輝度より相対的に高くすることにより行うことができる。さらに、インジケータ42を点灯及び点滅表示する色を、洗浄機本体11、又は第2の表示パネル40の背景色に対して、反対色、又は補色等、より目立つ色で表示することにより行うことができる。なお、補色とは色相環で正反対の位置にある色のことであり、反対色とは、色相環で正反対の位置にある色の隣近辺の色のことである。他の情報が表示されていたとしても、インジケータ42が目立つように表示することで、内視鏡のリプロセス処理の実施状況の視認性を向上させることができる。
【0055】
ここで、洗浄機10における内視鏡のリプロセス処理を構成する複数の工程について説明する。
図4に示すように、内視鏡のリプロセス処理は、漏水検知工程(ステップS12)、洗浄工程(ステップS14)、消毒工程(ステップS16)、すすぎ工程(ステップS18)、及び、アルコールフラッシュ工程(ステップS20)を含むものである。
【0056】
漏水検知工程(ステップS12)は、内視鏡を洗浄槽13の水中に漬けて、内視鏡内部にエアを送り込んで泡の発生により漏水の検査を行うものである。漏水検知工程は、毎回のリプロセス処理毎に行う必要はなく、通常所定間隔をおいて行われる。例えば、内視鏡の累積使用回数をカウントしておき、所定回数毎(例えば、10回毎等)に洗浄工程前に漏水検査を実施するように設定される。
【0057】
洗浄工程(ステップS14)は、洗浄槽13を所定の洗浄液で満たして、その中に内視鏡を浸漬して内視鏡を洗浄するものである。
【0058】
消毒工程(ステップS16)は、洗浄槽13を所定の消毒液で満たして、その中に内視鏡を浸漬して内視鏡を消毒するものである。
【0059】
すすぎ工程(ステップS18)は、洗浄槽13内の洗浄液あるいは消毒液を排出して、代わりにすすぎ用の洗浄水を洗浄槽13内に供給して、内視鏡のすすぎを行うものである。すすぎ工程は漏水検知工程、洗浄工程、及び消毒工程の各工程が終了する毎に行うようにしてもよい。
【0060】
アルコールフラッシュ工程(ステップS20)は、内視鏡の管路内部にアルコールを注入し、その後数分間内視鏡の内部にエアを送り込んで、乾燥させる処理である。
【0061】
なお、内視鏡のリプロセス処理は、常にこの全ての工程が行われるものではなく、オペレータによって、このうち一部の工程が選択されて実施される場合もある。
【0062】
次に、
図5により、第2の表示パネル40のインジケータ42の表示方法について説明する。
図5は、第2の表示パネルのインジケータの表示方法を説明する図である。ここでは、内視鏡のリプロセス処理を構成する複数の工程のうち、漏水検知工程、洗浄工程、消毒工程、及びすすぎ工程を選択し、且つ、アルコールフラッシュ工程を選択しない場合を一例に説明する。
【0063】
まず、オペレータが、内視鏡のリプロセス処理を構成する複数の工程の中から、漏水検知工程、洗浄工程、消毒工程、及びすすぎ工程を実施することを操作部36の操作キー39により入力する。なお、操作キー39が本発明の「入力部」に相当する。
【0064】
実施する工程を入力することで、実施予定の工程に対応するインジケータ42の表示態様を、実施しない他の工程に対応するインジケータの表示態様と異ならせて表示する。
【0065】
本実施形態においては、
図5の符号VAで示すように、インジケータ42a、42b、42c、42dが点灯し、選択されなかった工程(アルコールフラッシュ工程)に対応するインジケータ42eは点灯しない。このように、実施予定の工程に対応するインジケータの表示態様と、実施しない他の工程に対応するインジケータの表示態様とを異ならせて表示することで、どの工程が選択されているか、遠距離から容易に確認することができる。
【0066】
洗浄機10による内視鏡のリプロセス処理の実行中は、実施予定の工程に対応するインジケータ42のうち、完了した工程に対応する第1のインジケータを第1の表示態様で表示し、実施中の工程に対応する第2のインジケータを第1の表示態様と異なる第2の表示態様で表示し、未実施の工程に対応する第3のインジケータを第1の表示態様及び第2の表示態様とは異なる第3の表示態様で表示する。第1の表示態様、第2の表示態様、及び第3の表示態様については、インジケータの色及び点灯点滅状態の少なくとも一方を互いに異ならせることで、それぞれの表示態様を異ならせる。
【0067】
図5の符号VBは、漏水検知工程及び洗浄工程が完了した工程であり、消毒工程が実施中の工程であり、すすぎ工程が未実施の工程である状態を示す。符号VBで示すように、漏水検知工程及び洗浄工程に対応するインジケータ42a、42bは、第1の色として例えば青色で点灯表示する。また、消毒工程に対応するインジケータ42cは、第1の色として青色で点滅表示する。すすぎ工程は未実施の工程であり、すすぎ工程に対応するインジケータ42dは、第2の色として例えば白色で点灯表示する。
【0068】
インジケータの表示態様はこれに限定されない。他の表示態様としては、実施中の工程である消毒工程に対応するインジケータ42cを第1の色及び第2の色のグラデーションで変化させることにより、第2の表示態様を示しても良い。また、第2の表示態様を点滅で表示する場合、点滅の間隔で、実施している工程の残り時間がわかるように表示してもよい。例えば、工程の開始直後は、点滅を遅くし、工程が進むに連れて、点滅を速くし、その工程の終了時間が近いことを示すことができる。さらに、第2の表示態様として、インジケータ42cの点灯表示の明るさを、第1の表示態様と異なる明るさとすることで、実施中の工程を表示することができる。第2の表示態様を第1の表示態様とは異なる明るさで表示する場合、第2の表示態様においては明るさの強弱により実施している工程の残り時間がわかるように表示してもよい。例えば、工程の開始直後は、明るさを弱くしており、工程が進むに連れて、明るさを強くし、完了した工程に対応するインジケータ42の第1の表示態様に近づけることで、その工程の終了時間が近いことを表示することができる。
【0069】
また、操作キー39で入力された実施予定の工程は、リプロセス処理の実施中は、実施状況にかかわらず、実施予定の工程以外の他の工程に対応するインジケータの表示態様と異ならせて表示する。
図5においては、アルコールフラッシュ工程が操作キー39で入力されなかった実施されない工程であり、洗浄機10によるリプロセス処理中は、アルコールフラッシュ工程に対応するインジケータ42eは消灯したままである。
図5の符号VBでは、漏水検知工程及び洗浄工程は完了し、対応するインジケータ42a、42bは、消灯することなく、第1の色で点灯表示され、インジケータ42eとは異なる表示態様で表示される。このような表示態様とすることで、実施している全工程の中で、現時点での全工程に対する実施状況を把握しやすくすることができる。
【0070】
図5の符号VCは、操作キー39で入力した実施予定の工程のすべてが完了した状態を示す図である。実施予定の複数の工程のすべてが完了した場合、インジケータ42を終了表示態様で表示する。終了表示態様としては、符号VCに示すように、実施しなかった工程であるアルコールフラッシュ工程に対応するインジケータ42eを含めたすべてのインジケータ42を点滅表示する。点滅表示する色は、特に、限定されないが、完了した工程に対応する第1のインジケータで表示した第1の色で点滅表示することが好ましい。また、ブザー音を鳴らすことで、複数の工程が終了したことを知らせる。インジケータ42の点滅表示は、オペレータが気づくまで点滅表示し続ける。これにより、内視鏡のリプロセス処理が終わっていることをオペレータが気付かないことを防止することができる。
【0071】
また、
図5の符号VDは、エラーが発生した状態を示す図である。符号VDに示すように、エラーが発生した場合は、すべてのインジケータ42を、第1の色及び第2の色と異なる第3の色で点滅表示することで、洗浄機10に発生したエラーを通知することができる。第3の色として、例えば橙色で点滅させる。
【0072】
なお、エラーが発生した場合の表示態様は、すべてのインジケータ42を第3の色で点滅表示することに限定されず、例えば、エラーが生じた工程のみを第3の色で点滅表示してもよい。この場合、エラーなく正常に完了した工程は、通常通り第1の色で点灯表示され、実施予定の工程は、第2の色で点灯表示される。このような表示態様とすることで、エラーが生じた工程を、把握しやすくすることができる。さらに、エラーが生じた工程以外の工程を消灯し、エラーが生じた工程のみを第3の色で点滅表示してもよい。この表示態様でも、エラーが生じた工程を、把握しやすくすることができる。
【0073】
図6は、内視鏡用洗浄機の制御部の概略構成を概念的に示すブロック図である。
図6に示すように、制御部60は、CPU(Central Processing Unit)62、RAM(Random Access Memory)64、ROM(Read Only Memory)66、I/O(Input/Output)制御回路68、通信I/F(interface)回路70、パネルI/F回路72、負荷部品駆動回路80、センサI/F回路82、および、A/D(Analog-to-digital)変換回路84を有する。
【0074】
CPU62は、前述の第2の表示パネル40のインジケータ―42の表示態様の変更等、洗浄機10における内視鏡のリプロセス処理を制御する。
【0075】
ROM66は、リプロセス処理制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムを記憶する。記憶されたリプロセス処理制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムは、CPU62によってROM66から読み出され、RAM64にセットされる。RAM64は、洗浄機10におけるリプロセス処理の履歴データを記憶する。
【0076】
負荷部品駆動回路80は、ポンプ類、電磁バルブ、ヒータの駆動回路である。センサI/F回路82は、タンクや洗浄槽13の水位を検出するレベルセンサ、洗浄槽13の蓋部16の開閉を検出するセンサ、その他の洗浄機10に設けられるセンサのインターフェースである。A/D変換回路84は、温度センサや、圧力センサのアナログの出力値をA/D変換する。
【0077】
通信I/F回路70は、洗浄機10に備えられたLAN(Local Area Network)接続部86、RFID R/W(Radio Frequency Identification System read/write)部88、プリンタ90、及び外部端末92との通信インターフェース回路である。通信I/F回路70が、本実施形態の通信部に相当する。洗浄機10は、LAN接続部86により、制御部60を病院内のネットワーク等に接続して、洗浄機10における洗浄消毒の履歴データを通信することができる。RFID R/W部88では、RFID(Radio Frequency Identification System)を利用したリプロセス処理に関する情報の読み出し及び書込みが行われる。プリンタ90からは、履歴管理データをプリントすることができる。このプリンタ90は、洗浄機10に搭載されたものでもよいし、外部のプリンタでもよい。外部端末92は、洗浄機10の内視鏡のリプロセス処理に関する情報を通信し、洗浄機10から離れた位置にいるオペレータにリプロセス処理の実施状況を通知する。
【0078】
パネルI/F回路72は、洗浄機10の操作部36、及び第2の表示パネル40とのインターフェースである。パネルI/F回路72は、上述した第2の表示パネル40の表示態様の切り替えをCPU62からの指示により、実施する。
【0079】
本実施形態の洗浄機10によれば、視認性の異なる2つの表示パネル(すなわち、第1の表示パネル38と第2の表示パネル40)を備えたので、近距離での視認性に優れた第1の表示パネル38が配置される操作部36の操作性を確保しつつ、遠距離での視認性に優れた第2の表示パネル40により、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を遠距離からでも簡単に把握することが可能となる。
【0080】
特に本実施形態における第2の表示パネル40は、第2の表示パネル40の法線方向が水平方向を向くように洗浄機10の側面(側面パネル15)に設けられているので、洗浄機10から離れた位置(例えば2mから5m以上離れた位置)で作業をしている場合でも第2の表示パネル40の表示状態を瞬時に確認することができるため、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を容易かつ直感的に把握することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、第2の表示パネル40は、内視鏡のリプロセス処理を行うための複数の工程(漏水検知工程、洗浄工程、消毒工程、すすぎ工程、及びアルコールフラッシュ工程)の実施状況を、それぞれの工程に対応する複数のインジケータ42(42aから42e)の表示態様を変化させることによって示すようにしたので、オペレータは、第2の表示パネル40に表示される複数のインジケータ42の表示態様を確認するだけで、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を遠距離からでも容易かつ直感的に把握することが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態では、好ましい態様として、洗浄機10の前面側(操作部36が設けられる側)の側面に第2の表示パネル40を設けた構成を示したが、これに限らず、例えば、洗浄機10の前面側から見た場合に、左側又は右側の側面に第2の表示パネル40が設けられていてもよい。また、洗浄機10の背面側(蓋部16のヒンジ部側)の側面に第2の表示パネル40が設けられていてもよい。洗浄機10の設置環境(洗浄機10の設置向き、洗浄機10が設置される部屋の形状、及びオペレータの作業場所など)に応じて、上記のように第2の表示パネル40の設置位置が異なる洗浄機10を提供することで、洗浄機10の設置環境によって内視鏡のリプロセス処理の実施状況を見づらくなることがなく、遠距離からでも容易かつ確実に内視鏡のリプロセス処理の実施状況を確認することが可能となる。
【0083】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の洗浄機を示す図である。
図7に示すように、第2実施形態の洗浄機110は、洗浄槽部112の側面パネル115に、上面パネル14に対して斜めであり、前方に向かって下方向に傾斜した面取り部120を有する。面取り部120は、側面の上面側の端部に設けられる。そして、この面取り部120に第2の表示パネル140が設けられており、第2の表示パネル140の法線方向は水平方向と鉛直方向の各成分を含む方向(すなわち、洗浄機110の前方側に向かって斜め上方)となっている。
【0084】
第2の表示パネル140のインジケータ142の配置、及びインジケータ142の表示態様については、上述した第1実施形態と同様の配置、及び、同様の表示態様とすることができる。
【0085】
第2実施形態の洗浄機110によれば、第2の表示パネル140の法線方向が水平方向と鉛直方向の各成分を含む方向であるので、遠距離だけでなく中距離での視認性も確保できるので、例えば洗浄機110の設置スペースが比較的狭い場合であっても、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を容易かつ直感的に把握することが可能となる。
【0086】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の洗浄機を示す図である。
図8に示すように、洗浄機210は、洗浄機本体11に外付けされた表示パネル形成部材250を有し、この表示パネル形成部材250に第2の表示パネル240が設けられる。表示パネル形成部材250は、洗浄機本体11に着脱自在に構成されていてもよい。また。表示パネル形成部材250は、着脱自在に構成されていなくてもよく、表示パネル形成部材250に設けられた第2の表示パネル240を遠距離から視認しやすい位置(例えば、洗浄機本体11の上方位置)に、洗浄機本体11と着脱不能に固定されていてもよい。また、表示パネル形成部材250は、洗浄機本体11の収納部(不図示)に出し入れ自在に収納可能に構成されていてもよい。
【0087】
第2の表示パネル240のインジケータ242の配置、及びインジケータ242の表示態様については、上述した第1実施形態と同様の配置、及び、同様の表示態様とすることができる。
【0088】
第3実施形態の洗浄機210によれば、洗浄機本体11に第2の表示パネル240を設置するスペースがない場合(例えば、洗浄機本体11が小型化された場合など)でも、洗浄機本体11に外付けされた表示パネル形成部材250に設けられた第2の表示パネル240により、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を遠距離からでも簡単に把握することが可能となる。また、表示パネル形成部材250を大型化することで、洗浄機本体11のサイズ(横幅)に左右されることなく、第2の表示パネル240のサイズ(横幅)を決めることができるので、第2の表示パネル240に対する遠距離からの視認性をより一層高めることが可能となる。
【0089】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の内視鏡用洗浄機システムの一例を示す図である。
図9の内視鏡用洗浄機システム302は、洗浄機10と、洗浄機10と通信可能なディスプレイ端末92A(外部端末92に相当する)を備える。また、以下では、洗浄機として、第1実施形態の洗浄機10を適用した場合について説明するが、第2実施形態の洗浄機110、及び第3実施形態の洗浄機210を適用することが可能である。
【0090】
ディスプレイ端末92Aは、5つの洗浄機10と通信可能に設けられており、この5つの洗浄機10の通信I/F回路(通信部)から、内視鏡のリプロセス処理の実施状況に関する工程情報を受信する。ディスプレイ端末92Aは、例えば、洗浄機10を備える部屋の壁に配置することができる。ディスプレイ端末92Aは、表示部95を有し、表示部95は、受信した工程情報に基づいて、複数の工程の実施状況を表示する。
【0091】
表示部95の表示態様としては、洗浄機10の第2の表示パネル40の複数のインジケータ42が示す情報と同じ内容を表示することができる。具体的には、第2の表示パネル40と同様に、表示部95に、漏水検知工程、洗浄工程、消毒工程、すすぎ工程、及びアルコールフラッシュ工程に対応する5つのインジケータ342を表示する。そして、通信可能に設けられた5つの洗浄機10に付与された番号(01から05)と、それぞれのインジケータ343a、343b、343c、343d、343eを対応させて表示する。そして、第1実施形態の洗浄機10のインジケータ42と同様に、インジケータの色、及び点灯点滅表示により、内視鏡のリプロセス処理を行うための複数の工程の実施状況を表示することで、各洗浄機10のリプロセス処理の実施状況を確認することができる。例えば、「01」の洗浄機10は、リプロセス処理が完了していることが確認できる。また、「02」の洗浄機10は、漏水検知工程及び洗浄工程が終了し、現在、消毒工程を実施中であり、すすぎ工程が未実施であることが確認できる。
【0092】
さらに、ディスプレイ端末92Aは、いずれかの洗浄機10が実施予定のすべての工程が終了した場合、スピーカから、終了の合図を報知することができる。これにより、ディスプレイ端末92Aの表示部95を見ていない場合であっても、オペレータにリプロセス処理の終了を知らせることができる。
【0093】
なお、ディスプレイ端末92Aと通信可能な洗浄機10の数は特に限定されない。
図9に示す内視鏡用洗浄機システム302のように、複数の洗浄機10と通信可能に設けてもよいし、1つの洗浄機10と通信可能に設けてもよい。
【0094】
このように、
図9に示す内視鏡用洗浄機システム302によれば、洗浄機10に設けられた第2の表示パネル40の他に、ディスプレイ端末92Aを備えることで、第2の表示パネル40で視認できる距離よりも、さらに遠距離からの視認性を高めることができ、内視鏡のリプロセス処理の実施状況をより簡単に把握することが可能となる。また、ディスプレイ端末92Aが複数の洗浄機10と通信可能に設けられている場合、複数の洗浄機10の実施状況を容易に確認することができる。
【0095】
また、ディスプレイ端末92Aは、洗浄機10が配置される部屋と異なる部屋に設けてもよい。この場合、洗浄機10を直接見ることができない部屋で作業していても洗浄機10の実施状況を確認することができる。
【0096】
図10は、内視鏡用洗浄機システムの他の例を示す図である。
図10の内視鏡用洗浄機システム302は、外部端末92としてタブレット92Bを備える。タブレット92Bは、複数の洗浄機10が置かれた部屋304の外に設置されている。
【0097】
タブレット92Bの表示部95には、洗浄機10が行う内視鏡のリプロセス処理の実施状況を表示する。本実施形態においては、実施状況としては、文字により、表示することができる。例えば、
図10に示すように、内視鏡のリプロセス処理の実施中を示す「洗浄中」、及び内視鏡のリプロセス処理が終了したことを示す「完了」を表示することができる。また、次の内視鏡のリプロセス処理が可能で、洗浄機10が可動していな状況を示す「待機中」を表示することができる。
【0098】
また、内視鏡のリプロセス処理の実施中は、「洗浄中」と表示するのではなく、複数の工程のうち、実際に行っている工程を表示してもよい。例えば、洗浄機10の第2の表示パネル40に表示されている「漏水検知」、「洗浄」、「消毒」、「すすぎ」及び「アルコール」と表示してもよい。
【0099】
なお、実施状況は文字により行う方法に限定されず、
図9に示すようにインジケータにより実施状況を表示させてもよい。
【0100】
また、タブレット92Bは、部屋304の外に配置する実施例に限定されず、携帯端末として、オペレータが保持していてもよい。タブレット92Bをオペレータが保持することで、洗浄機10が配置された場所から離れていても、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を確認することができる。携帯端末としては、タブレット92Bの他に携帯電話等を用いることができる。
【0101】
図10に示す内視鏡用洗浄機システム302によれば、部屋の外にタブレット92Bを置くことで、部屋304の中に入ることなく、洗浄機10のリプロセス処理の実施状況を確認することができる。
【0102】
図11は、内視鏡用洗浄機システムの概略を示すブロック図である。なお、洗浄機10については、記載を省略し、外部端末92との通信に関連するCPU62及び通信I/F回路70のみを記載する。
図11に示すように、外部端末92は、主として、処理部94、表示部95、及び通信部96等で構成される。
【0103】
処理部94は、外部端末92全体の動作を統括制御する。処理部94は、所定のプログラムに従って動作を制御する制御手段として機能する。処理部94はメモリ領域を有し、メモリ領域には、処理部94が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納
される。
【0104】
表示部95は、カラー表示が可能な液晶ディスプレイ、有機EL等のディスプレイである。表示部95は、洗浄機10から送信された内視鏡のリプロセス処理に関する複数の工程の実施状況に関する工程情報を表示する。また、各種操作を行う場合のユーザインターフェース表示パネルとして利用される。
【0105】
通信部96は、洗浄機10との間で、移動体通信網を介して、工程情報等のデータを受信する。
【0106】
また、外部端末92は、音声を出力するスピーカを備える。さらに、各種設定操作を行う入力部を備えてもよい。入力部は、操作キー、又は、表示部95に表示されたタッチパネル等からなる。
【0107】
第4実施形態の内視鏡用洗浄機システム302によれば、洗浄機10と通信可能な外部端末92を備えることで、洗浄機10からの距離に左右されることなく、洗浄機10による内視鏡のリプロセス処理の実施状況を任意の位置に設置された外部端末92により確認することができる。また、外部端末92を携帯端末とすることで、部屋304の外など、洗浄機10が見えない場所にいた場合も、内視鏡のリプロセス処理の実施状況を確認することができる。
【符号の説明】
【0108】
10 洗浄機
11 洗浄機本体
12 洗浄槽部
13 洗浄槽
13a 開口部
13b テラス部
13c テラス部
14 上面パネル
15 側面パネル
16 蓋部
17 本体側面パネル
19 本体下面パネル
21 ネット
22 小物洗浄かご
23 噴射ノズル
28 気密試験ポート
29a 洗浄液供給ノズル
29b 消毒液供給ノズル
32 チャンネル洗浄ポート
33 透明窓
36 操作部
37 操作ボタン
38 第1の表示パネル
39 操作キー
40 第2の表示パネル
42 インジケータ
42a 漏水検知工程に対応するインジケータ
42b 洗浄工程に対応するインジケータ
42c 消毒工程に対応するインジケータ
42d すすぎ工程に対応するインジケータ
42e アルコールフラッシュ工程に対応するインジケータ
43 インジケータ表示領域
60 制御部
62 CPU
64 RAM
66 ROM
68 I/O制御回路
70 通信I/F回路
72 パネルI/F回路
80 負荷部品駆動回路
82 センサI/F回路
84 A/D変換回路
86 LAN接続部
88 RFID R/W部
90 プリンタ
92 外部端末
92A ディスプレイ端末
92B タブレット
94 処理部
95 表示部
96 通信部
110 洗浄機
112 洗浄槽部
115 側面パネル
120 面取り部
140 第2の表示パネル
142 インジケータ
210 洗浄機
240 第2の表示パネル
242 インジケータ
250 表示パネル形成部材
302 内視鏡用洗浄機システム
304 部屋
342 インジケータ
343a インジケータ
343b インジケータ
343c インジケータ
343d インジケータ
343e インジケータ
【要約】
【課題】内視鏡用洗浄機から近距離にいる場合の操作性の確保と、遠距離にいる場合のリプロセス処理の進捗状況の把握と、を両立した内視鏡用洗浄機及び内視鏡用洗浄機システムを提供する。
【解決手段】内視鏡用洗浄機10は、複数の工程によって内視鏡のリプロセス処理を行い、内視鏡のリプロセス処理を実行する操作及び設定に関する情報を表示する第1の表示パネル38と、第1の表示パネル38に表示される情報の表示態様よりも遠距離からの視認性が高い表示態様で、リプロセス処理の実施状況を表示する第2の表示パネル40と、を有する。また、内視鏡用洗浄機システム302は、内視鏡用洗浄機10と外部端末92とを備える。
【選択図】
図3