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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-11
(45)【発行日】2022-07-20
(54)【発明の名称】自動化可能な閉鎖具
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/02 20060101AFI20220712BHJP
【FI】
B65D43/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510355
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019044045
(87)【国際公開番号】W WO2020055515
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】16/130,484
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ、グレゴリー
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0099536(KR,A)
【文献】特開2003-094374(JP,A)
【文献】特表2010-537903(JP,A)
【文献】特表2017-537668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器用のキャップであって、
解放状態と固定状態とを有する複数のラッチを含む本体であって、前記複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに前記解放状態となるように構成されている、本体と、
作動リングであって、
前記作動リングの外面に設けられた環状溝と、
前記リングの内面に設けられた作動面と、を有する、作動リングと、
を備え、
前記作動リングが、少なくとも、前記作動面が前記複数のラッチのそれぞれの前記部分を押し込まない第1の位置と、前記作動面が前記複数のラッチのそれぞれの前記部分を押し込んで複数のラッチが前記解放状態にある第2の位置との間を前記本体に沿ってスライド可能である、
キャップ。
【請求項2】
前記複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを前記固定状態に保持するように構成されたばねを有している、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを前記固定状態に保持するように構成された弾性材を有している、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記本体の一部分の外径が、前記作動リングの内径よりも小さい、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
流体容器用の閉鎖システムであって、
前記流体容器に取り付けられた口縁部と、
キャップと、を備え、
前記キャップが、
解放状態と固定状態とをそれぞれ有する複数のラッチを備えた本体であって、前記複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに前記解放状態となるようにそれぞれ構成されている、本体と、
作動リングであって、
前記作動リングの外面に設けられた環状溝と、
前記作動リングの内面に設けられた作動面と、を有する、作動リングと、
を有し、
前記作動リングが、少なくとも、前記作動面が前記ラッチのそれぞれの前記部分を押し込まない第1の位置と、前記作動面が前記ラッチのそれぞれの前記部分を押し込んでラッチが前記解放状態にある第2の位置との間を前記本体に沿ってスライド可能であり、
前記複数のラッチが、前記固定状態にあるときに前記口縁部と係合する、
閉鎖システム。
【請求項6】
前記本体が、前記流体容器に対向する側から前記流体容器に向かって延びる壁部を有し、該壁部が、前記キャップが前記容器に装着されたときに前記口縁部上に嵌合するように構成される、
請求項5に記載の閉鎖システム。
【請求項7】
前記口縁部がねじ付きコネクタを介して前記容器に取り付けられる、
請求項5に記載の閉鎖システム。
【請求項8】
前記口縁部が、前記容器と一体的に形成される、
請求項5に記載の閉鎖システム。
【請求項9】
前記固定状態にある前記複数のラッチの前記口縁部に対する係合が、回転位置に依存しない、
請求項5に記載の閉鎖システム。
【請求項10】
前記キャップがさらに圧力ロックを有し、該圧力ロックが、
前記流体容器の内側から圧力を受けるように構成された入口と、
前記流体容器の内側から受ける圧力が予め規定された圧力量を超えたときに、前記作動リングが前記本体に沿ってスライド可能である経路内に前記圧力ロックから突出するように構成されたロック部材と、を有している、
請求項5に記載の閉鎖システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体を収容するための筐体に概して関する。より詳細には、本開示は、流体を収容するためのキャップおよび閉鎖システム、方法ならびに構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
製造プロセスにおいて、液状の化学物質を使用する場合がある。液状の化学物質の例としては、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品等が挙げられる。このような化学物質を使用する際には、保管時、搬送時および最終的な製造プロセス自体において化学物質を適切に収容するために収容システムを用いることができる。一般的に、収容システムは、所定の位置に挿入されてねじ接続されるキャップによって閉鎖される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、自動化可能な閉鎖具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、流体を収容するための筐体に概して関する。より詳細には、本開示は、流体を収容するためのキャップおよび閉鎖システム、方法ならびに構成要素に関する。
実施形態に係るキャップは、環状溝を有する作動リングを使用して作動されるシステムを用いる。環状溝が設けられていることによって、キャップまたは容器の回転位置に関係なく作動リングを係合できる。回転位置に依存しない(rotation-agnostic)システムは、実施形態に係るキャップを用いることによって、流体容器の取り扱いの自動化を著しく容易化する。実施形態に係るキャップを用いることによって、例えば、半導体製造で使用されるオーバーヘッドシステム等の自動式材料取り扱いシステムを使用して、流体容器の移動および開放を自動化できる。
【0005】
流体容器用のキャップが開示される。本キャップは、解放状態と固定状態とを有する複数のラッチを備えた本体であって、複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに解放状態となるように構成されている本体と、作動リングとを備えている。作動リングは、作動リングの外面に設けられた環状溝と、作動リングの内面に設けられた作動面とを有している。作動面が、複数のラッチのそれぞれの部分を押し込むと、複数のラッチは解放状態となる。一実施形態では、複数のラッチには3つ以上のラッチが含まれる。一実施形態においては、複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを固定状態に保持するように構成されたばねを有している。一実施形態では、複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを固定状態に保持するように構成された弾性材を有している。一実施形態では、本体が、ポリエーテルエーテルケトンおよびアルミニウムの少なくとも一方を含んでいる。一実施形態では、キャップは、近距離通信タグをさらに備えている。一実施形態では、本体が、容器を出入りする流体が通過できる少なくとも1つの開口部をさらに有している。一実施形態では、本体の一部分の外径が、作動リングの内径よりも小さい。
【0006】
流体容器用の閉鎖システムが開示される。本閉鎖システムは、流体容器に取り付けられた口縁部と、キャップとを有している。キャップは、解放状態と固定状態とをそれぞれ有する複数のラッチを備えた本体であって、複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに解放状態となるようにそれぞれ構成されている本体と、作動リングであって、作動リングの外面に設けられた環状溝と、作動リングの内面に設けられた作動面とを有する作動リングと、を有している。作動リングは、少なくとも、作動面がラッチのそれぞれの部分を押し込まない第1の位置と、作動面がラッチのそれぞれの部分を押し込んでラッチが解放状態にある第2の位置との間を本体に沿ってスライド可能である。また、複数のラッチは、固定状態にあるときに口縁部と係合する。一実施形態において、本体は、流体容器に対向する側から流体容器に向かって延びる壁部を有し、壁部が、キャップが容器に装着されたときに口縁部上に嵌合するように構成される。一実施形態において、口縁部はねじ付きコネクタを介して容器に取り付けられる。一実施形態において、ねじ付きコネクタは、流体容器の中身を密封するように構成された破壊可能なシール材を有している。一実施形態において、複数のラッチが口縁部と係合すると、本体の一部分がシール材に隣接する。一実施形態において、口縁部が、容器と一体的に形成される。一実施形態では、本体が、容器を出入りする流体が通過できる少なくとも1つの開口部をさらに有している。
【0007】
容器の自動取り扱い方法が開示される。本方法は、容器キャップの作動リングの環状溝をロボットアームと係合させることと、容器キャップの本体に対して作動リングを駆動して、容器キャップの本体に配置された1つまたは複数のラッチを解放することと、容器から容器キャップを取り外すことと、からなる。一実施形態において、本方法は、ロボットアームを介して分配ヘッドを容器に取り付けることをさらに含む。一実施形態において、本方法は、オーバーヘッド材料取り扱いシステムを介して容器を搬送することをさらに含み、搬送することが、容器キャップをオーバーヘッド材料取り扱いシステムと係合させることを含んでいる。一実施形態において、容器キャップをオーバーヘッド材料システムと係合させると、容器キャップの作動リングの移動が規制される。一実施形態において、容器キャップをオーバーヘッド材料システムと係合させることは、容器キャップの本体から延びる環状の突出部を係合させることを含んでいる。
【0008】
本開示の一部である添付の図面が参照される。これらの図面は、本明細書に記載のシステムおよび方法を実現可能な実施形態について例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る流体容器用のキャップの斜視図。
図2】一実施形態に係る、図1の流体容器用のキャップの分解斜視図。
図3】一実施形態に係る、図1の流体容器用のキャップの上面図。
図4】一実施形態に係る、図1の流体容器用のキャップの図3のA-A線に沿った断面図。
図5】一実施形態に係る、流体の収容システムの分解斜視図。
図6】一実施形態に係る、図5の流体の収容システムの断面図。
図7】一実施形態に係る、流体容器用の分配ヘッドの分解図。
図8】一実施形態に係る、図7の流体容器用の分配ヘッドの断面図。
図9】一実施形態に係る、流体の収容および分配システムの分解斜視図。
図10】一実施形態に係る、流体の収容システムを搬送するために収容システムと係合している自動式材料取り扱いシステムの斜視図。
図11】一実施形態に係る、キャップを取り外すために流体の収容システムと係合している自動式材料取り扱いシステムの斜視図。
図12A】一実施形態に係る、格納状態の圧力ロックシステムを有する流体容器用の分配ヘッドの断面図。
図12B】一実施形態に係る、展開状態の圧力ロックシステムを有する流体容器用の分配ヘッドの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様の部品には同様の符号が付されている。
本開示は、流体を収容するための筐体に概して関する。より詳細には、本開示は、流体を収容するためのキャップおよび閉鎖システム、方法ならびに構成要素に関する。
【0011】
製造プロセスにおいて、液状の化学物質を使用する場合がある。液状の化学物質の例としては、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、ドーパント、無機溶液、有機溶液、医薬品等が挙げられる。このような化学物質を使用する際には、保管時、搬送時および最終的な製造プロセス自体において化学物質を適切に収容するために収容システムを用いることができる。
【0012】
本開示の実施形態は、流体容器用のキャップ、流体容器用の閉鎖システムおよび容器の自動取り扱い方法に関する。流体容器用のキャップは、密閉された流体が製造プロセスで使用される必要時まで、流体容器を密閉するために使用できる。キャップは、容器の別のシール材を保護することも可能である。キャップは、自動式材料取り扱いシステムによってキャップを自動で取り付けおよび取り外し可能であるように構成してもよい。キャップは、キャップに対する係合をあらゆる方向から行うことを可能とし、流体容器からキャップを解放させる操作を可能とする特徴を備えていてもよい。キャップは、回転位置に依存しないように構成してもよく、この場合、キャップの回転方向、流体容器の回転方向またはこれらの組み合わせを問わず、自動式材料取り扱いシステムがキャップと連係して、キャップの取り付けまたは取り外しを実行できる。キャップの回転方向は、流体容器のオリフィスに垂直な軸線を中心としたキャップの回転位置である。
【0013】
本開示の実施形態は、キャップの本体に沿ってスライド可能であるとともに、環状溝を有する作動リングを備えている。材料取り扱いシステムは、作動リングを操作するために環状溝に係合できる。作動リングは、キャップを容器に固定する1つまたは複数のラッチを操作する作動面を有していてもよい。また、一部の製造プロセスはクリーンルームにおいて実施される。そのような環境では、キャップ、自動式材料取り扱いシステムの機構部分またはこれら両方の各部の境界面から削り出される物質等の汚染物質の発生を抑制するように自動式閉鎖具を構成することが好ましい。さらに、材料取り扱いシステムによって、流体容器の開閉だけでなく移動を行ってもよい。本開示のいくつかの実施形態においては、キャップを開けることなく、材料取り扱いシステムによるキャップの係合を可能にする環状の突出部が設けられる。本開示のいくつかの実施形態は、キャップを容器から解放するために使用される作動リングの移動を規制するようにキャップと係合する材料取り扱いシステムを有している。
【0014】
流体は、例えば、せん断応力が加えられたときに流動または変形する物質であるが、これに限定されない。流体は、液体等を含んでいてもよい。
図1は、一実施形態に係る流体容器用のキャップ100の斜視図である。キャップ100は、本体102および作動リング104を有している。作動リング104は、環状溝106を有する。一実施形態では、作動リング104が指溝108を有している。本体102は、上部110および基部112を備えている。本体102にはラッチ114が取り付けられている。各ラッチ114の部分116は、本体から離れる方向に延びて、作動リング104と上部110との間に配置されている。
【0015】
キャップ100は、後述する図5の流体容器506等の容器と係合すると、容器を閉鎖する。キャップ100は、例えば、容器内に流体を保管するために装着される。キャップ100は、複数のラッチ114を有する本体102、および本体102に沿ってスライド可能な作動リング104を含む複数の構成要素を有する。
【0016】
本体102は略円柱状であってもよい。本体102の部分118は、上部110と基部112との間に位置している。部分118は図2に示す。部分118は略円柱状をなし、作動リング104の内径よりも小さい外径を有してもよい。作動リング104は、部分118を取り囲むリング状であってもよい。部分118の外径は、作動リング104の内径よりも小さいので、作動リング104が本体102の部分118上でスライドできてもよい。詳細は後述するが、図4に示すように、本体102は、本体102の内側に空隙402を有し、基部112において開口してもよい。空隙402は、流体容器の口縁部または開口部等の流体容器の一部を収容するように構成されてもよい。本体102は、例えば、アルミニウム等の金属、HDPE(高密度ポリエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、任意の他の好適な溶融加工ポリマー等のポリマー材料およびこれらの組み合わせから形成されてもよい。
【0017】
本体102は上部110を有している。上部110は例えば円盤状であってもよく、上部110の外径は、本体102の他の部分の外径よりも大きくてもよく、例えば、作動リング104が周囲をスライドする本体102の部分118の外径よりも大きくてもよい。上部110の外径は、作動リング104の内径よりも大きいため、作動リング104は上部110上をスライドしない。上部110は、上部110の外径が作動リング104の移動経路と干渉するため、作動リング104の移動を規制していてもよい。上部110の外周は、キャップ100が固定された流体容器110を持ち上げて移動させるために、自動式材料取り扱いシステムによって係合されてもよい。
【0018】
本体102は、基部112を有してもよい。基部112はリング状をなし、中央に開口が形成されている。基部112は、本体102において上部110とは反対側の端部に位置している。基部112の外径は作動リング104の内径よりも大きくてもよく、そのために、作動リング104は基部112上をスライドしなくてもよい。基部112は、基部112の外径が作動リング104の移動経路と干渉するため、作動リング104の移動を規制していてもよい。基部112は、本体102に固定される別個の部品であってもよく、例えば、詳細を以下に記載する216(図2)のような1つまたは複数のねじや、接着剤等によって固定される。一実施形態では、作動リング104が本体102の一部の周囲に配置された後に、基部112が本体102に取り付けられる。一実施形態においては、基部112が、本体102の他の部分から離れるように延在する環状突起を有している。この環状突起の内径は、キャップ100が適用される容器の口縁部または開口部の外径よりも大きい。この環状突起の例である1210は、図12Aおよび図12Bに示されているが、これについては後述する。
【0019】
本体102にはラッチ114が取り付けられている。ラッチ114については図2の分解図を参照して詳細を後述する。図1に示される実施形態ではラッチが固定状態にある。固定状態のラッチ114は、キャップ100を容器に固定するために、口縁部等の容器の一部と連係するように配置される。例えば、ラッチ114は、詳細を以下に記載する図2の208等のばねによって固定状態に保持されてもよい。一実施形態では、ラッチ114は、ラッチ114の一部分と本体102との間に配置された弾性材によって固定状態に保持されてもよい。この弾性材は、ラッチ114を収容するように構成された、本体102の開口部またはスペースに配置される。ラッチ114は、詳細を後述する図2のトグルセグメント200および固定セグメント202等の複数のセグメントを有している。セグメント200、202は、詳細を後述する図2のセグメントピン204によって互いに接続されていてもよい。各ラッチ114は、詳細を後述する図2および図4の主ピン206によって本体102に接続される。ラッチ114は、例えば、アルミニウム等の金属、HDPE(高密度ポリエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、任意の他の好適な溶融加工ポリマー等のポリマー材料およびこれらの組み合わせから形成されてもよい。
【0020】
各ラッチ114は、本体102から離れる方向に延在する部分116を有している。一実施形態では、ラッチ114が固定状態にあるとき、部分116は本体102から突出する。一実施形態では、作動リング104との接触によって部分116が押されると、ばねまたは弾性材が圧縮されてラッチ114が解放状態となる。この解放状態では、口縁部等の容器の一部に対してラッチ114が係合しない。
【0021】
作動リング104は、本体102の一部を取り囲んでいる。作動リング104は略リング状である。作動リング104は中央に開口を有し、内径および外径を有している。作動リング104の内径は、本体102の一部分の外径よりも大きい。作動リング104は、詳細を後述する図2および図4の作動面210を有している。作動面210は、ラッチ114の部分116等に接触するように構成されている。
【0022】
作動リング104は、例えば、アルミニウム等の金属、HDPE(高密度ポリエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、任意の他の好適な溶融加工ポリマー等のポリマー材料またはこれらの組み合わせから形成されてもよい。本体102、ラッチ114および作動リング104に使用される材料は、例えば、作動リング104が本体102に沿ってラッチ114上をスライドするときの粒子状汚染物質の生成を低減させるように、互いの適合性を考慮して選択されてもよい。
【0023】
作動リング104は、環状溝106を有している。環状溝106は、ロボットアーム等の自動式材料取り扱いシステムの一部分を受容して当該部分に係合されることによって、本体102に沿ってスライド可能となるように構成された溝である。一実施形態において、環状溝106は、キャップ100の回転位置や、キャップ100が装着される流体容器の回転位置に関係なく、材料取り扱いシステムによって係合可能である。環状溝106は作動リング104の外面に形成されてもよい。図1に示される実施形態では、作動リング104は、詳細を後述する図2および図4の作動面210がラッチ114の部分を押し込んでいないため、ラッチ114が固定状態をとることが可能な位置に配置されていてもよい。一実施形態において、作動面210がラッチ114に接触する位置に作動リング104がスライドされると、口縁部等の容器の一部とラッチ114が係合しない解放状態に対応する位置にラッチ114が配置される。一実施形態では、環状溝106が設けられているため、回転位置に依存しない方法によって、キャップが適用される流体容器のオリフィスに垂直な軸線を中心とするキャップ100の回転方向に関係なく、自動式材料取り扱いシステム等を介して作動リング104を操作し、本体102上をスライドさせることが可能である。
【0024】
作動リング104は指溝108を有していてもよい。指溝108は、作動リング104の外面に形成された1つまたは複数の凹部であってもよい。指溝108は作動リング104の周囲に分散されていてもよい。指溝108は、作動リング104を把持および操作するため箇所として構成されてもよい。さらに、指溝108は作動リング104を構造的に補強し、例えばキャップ100に加わる機械的力に起因する変形を抑制してもよい。
【0025】
図2は、一実施形態に係る図1の流体容器用キャップ100の分解斜視図である。この分解図では、作動リング104が本体102から離れているため、作動面210が見えている。分解図では、本体102の基部112が本体102から離れており、基部112を本体102の他の部分に取り付けるために使用されるねじ216が図示されている。分解図では、ラッチ114が本体102から離れているため、本体102の凹部214と、本体102にラッチ114を接続するために使用される主ピン206とが図示されている。また、分解図では、ラッチ114が、トグルセグメント200と、固定セグメント202と、トグルセグメント200を固定セグメント202に接続するセグメントピン204とに分離されている。さらに、本体102の部分118も図示されている。
【0026】
図2の分解図に示すように、各ラッチ114は、セグメントピン204によって接続されたトグルセグメント200および固定セグメント202を有していてもよい。ラッチ114のトグルセグメント200は、本体102の凹部214に部分的に配置されてもよい。各トグルセグメント200の一部分は、作動リング104が本体102上の特定の位置にあるときに、作動リング104の作動面210と接触するように本体102の凹部214から突出していてもよい。トグルセグメント200は長尺状であってもよく、第1の端部が第2の端部に対して角度をなしている。トグルセグメント200は、主ピン206を介して本体102にトグルセグメント200を接続するための、1つまたは複数の穴を有していてもよい。トグルセグメント200は、セグメントピンを介して固定セグメント202にトグルセグメント200を接続するための、1つまたは複数の穴を有していてもよい。トグルセグメント200は、凹部214から突出する部分とは反対側に、ばね208または弾性材を収容するための開口または空隙を有していてもよい。
【0027】
固定状態においては、ラッチ114の固定セグメント202が流体容器と係合して、キャップ100を流体容器に固定する。ラッチ114が解放状態にあるときは、固定セグメント202は流体容器と係合しなくてもよい。本体102は、例えば凹部214に開口を有してもよく、この開口を介して固定セグメント202が本体102の空隙402内に突出可能となっている。空隙402は図4に示されているが、詳細は後述する。一実施形態では、固定セグメント202が、ラッチ114が固定状態にあるときに空隙402内に突出する。固定セグメント202は長尺状をなしてもよく、流体容器506(図5)等の容器の口縁部504(図5)等と係合するように構成された第1の端部を有している。口縁部504および流体容器506については後述する。固定セグメントは、第1の端部の反対側の第2の端部またはその近傍に1つまたは複数の穴を有してもよい。この穴を介して、セグメントピン204が固定セグメント202をトグルセグメント200に接続してもよい。キャップ100が組み立てられて固定状態にあるとき、固定セグメント202は、凹部214から開口を通って空隙402内に延びて、本体102を貫通していてもよい。
【0028】
セグメントピン204は、トグルセグメント200を固定セグメント202に接続している。セグメントピン204は、固定セグメント202が直線状に移動できるように、固定セグメント202がトグルセグメント200に対して回転するように構成されている。例えば、作動リング104の作動面210が移動してトグルセグメント200に接触するときのように、トグルセグメント200の移動に回転成分が含まれる場合でも、固定セグメント202は直線状に移動できる。
【0029】
各トグルセグメント200は、主ピン206によって本体102に接続されてもよい。トグルセグメントおよび主ピン206は、主ピン206を中心にトグルセグメント200が回転できるように構成されてもよい。この回転は、本体102上での作動リング104の位置に応じて、ばね208と作動リング104の作動面210とによって加えられる力のバランスに基づいて発生する。作動リング104との接触によりトグルセグメント200の部分が押し込まれることによって、ラッチ114が作動する。
【0030】
ばね208は、各トグルセグメント200と本体102との間に配置される。ばね208は、トグルセグメント200に力を加えて、ラッチ114を固定状態に位置させる。一実施形態では、ばね208の代わりに、ゴム等の弾性材が使用されてもよい。ばね208の材料、構成またはこれらの組み合わせは、作動リング104の作動面210のトグルセグメント200上での移動に対して予め規定された抵抗をもたらすために、トグルセグメント200に対して予め規定された力を加えるように選択されてもよい。上記予め規定された抵抗は、例えば、材料取り扱いシステムの作動機構や、キャップ100が使用される流体容器の質量等に基づいて決定されてもよい。
【0031】
作動面210は作動リング104の内面であり、作動リング104の位置に応じて、ラッチ114の状態を固定状態と解放状態との間で切り替えるように構成されている。一実施形態では、作動面210が主要部212を有し、主要部212の内径は、本体102の一部の外径よりも大きいが、ラッチ114が固定状態にあるときに本体102から突出するトグルセグメント200の突出部を含めた径よりは小さい。作動面210は、作動リング104の内面から主要部212まで延びる傾斜部214をさらに有していてもよい。一実施形態では、作動リング104が移動されると、傾斜部は、主要部212がトグルセグメント200に接触するまで、ラッチ114のトグルセグメント200上を移動する。主要部212とトグルセグメント200とが接触することによって、トグルセグメント200が駆動されて主ピン206を中心に回転する。
【0032】
図2に示される実施形態では、基部112は、ねじ216によって本体102の他の部分に接続されている。一実施形態では、6本のねじ216を使用して、基部112が本体102の他の部分に固定される。別の実施形態では、使用されるねじの数量は異なる。基部112は、基部112を取り付ける前に作動リングを本体102の上に配置できるように、本体102の他の部分とは別に形成してもよい。一実施形態では、接着剤等の、上記とは異なる手段によって基部112が本体102の他の部分に取り付けられる。一実施形態においては、基部112が本体102の他の部分と一体的に形成され、作動リング104は、基部112と上部110との間において、本体102の周囲で結合等によって接続された複数の部品から構成される。
【0033】
図3は、一実施形態に係る図1の流体容器用キャップ100の上面図である。この図には、キャップ100の上部110が示されている。短距離通信装置302が、キャップ100の上部110、例えば、キャップ100の上部110の中心300に収められてもよい。キャップ100の上部110の外縁304は、例えばキャップ100が固定された流体容器を移動させるために材料取り扱いシステムによって係合されてもよい。流体容器を動かすために材料取り扱いシステムによって係合される部分はキャップ100の別の部分に位置していてもよい。
【0034】
例えば、短距離通信装置302によってキャップ100の電子認識が可能となり、これによって、キャップ100が取り付けられた流体容器の追跡や、キャップ100の位置および状態の追跡等を行うことができる。短距離通信装置302は、例えば、RFID(無線周波数識別)タグ、NFC(近距離無線通信)タグ、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等であってもよい。短距離通信装置は、RFIDタグ等の、電源を備えないパッシブ型通信装置であってもよい。一実施形態においては、短距離通信装置302は、電源を備えた通信装置であってもよく、例えば、Bluetooth(登録商標)装置またはZigBee(登録商標)装置であってもよい。電源を備えた通信装置は、装置に電源を供給するバッテリを有していてもよい。
【0035】
図4は、一実施形態に係る図1の流体容器用のキャップ100の、図3のA-A線に沿った断面図である。図4に示される実施形態では、ラッチ114は固定状態にあってもよく、例えば、流体容器の開口部またはその近傍に位置する口縁部において流体容器と係合している。
【0036】
図4の断面図には、本体102内の空隙402が示されている。空隙402内において、本体102は内側面400を有している。図4の断面図では、キャップ100は固定状態にあり、ラッチ114の固定セグメント202は空隙402内に突出している。
【0037】
内側面400は、本体102の空隙402内において、キャップ100の径方向中心に位置している。内側面400は平坦面である。内側面400は、空隙402内に延びる本体102の突出部の端部であってもよい。突出部は例えば円柱状であってもよく、内側面400は円形の平坦面である。内側面400は、本体102の基部112および上部110に対して平行であってもよい。キャップ100が流体容器に取り付けられた状態において、内側面400は流体容器の開口を封止するシール材(例えば、詳細を以下に記載する図5のシール材508)に隣接していてもよい。
【0038】
空隙402は本体102内の空間である。空隙402は、流体容器の一部または流体容器に取り付けられたねじ式アダプタを受容できる大きさに形成されていてもよい。ねじ式アダプタは例えば図5のねじ式アダプタ502であるが、これについては詳細を後述する。キャップ100が固定状態にあるとき、ラッチ114の固定セグメント202は、空隙402内に延在して、流体容器の一部またはねじ式アダプタ502と係合することによって、キャップ100を流体容器またはアダプタに固定している。空隙402の開口の断面形状は円形であってもよい。本体102の基部112は、空隙402に対応する開口を有していてもよい。例えば、一実施形態において、本体102の基部112は、本体102の他の部分から離れた状態において環状である。
【0039】
図5は、一実施形態に係る流体収容システム500の分解斜視図である。キャップ100は、開口部512の近傍において流体容器506に取り付けられたねじ式アダプタ502と係合する。キャップ100は、ねじ式アダプタ502の口縁部504と係合する。ねじ式アダプタ502は、例えば、流体容器506の開口部512またはその近傍のねじ部510とのねじ接続によって、流体容器506に取り付けられる。シール材508はねじ式アダプタ502と流体容器504との間に配置されてもよい。
【0040】
ねじ式アダプタ502は口縁部504を有している。ねじ式アダプタ502は、ねじ式アダプタの中心を通って延びる中心開口部を有し、口縁部504は、流体容器506と連係するねじ部とは反対側のアダプタ502の端部において中心開口部を包囲している。ねじ式アダプタ502は、口縁部504のある端部とは反対側の端部に設けられたねじが、流体容器506の開口部512またはその近傍に位置するねじ部510と連係することによって流体容器506に装着されてもよい。ねじ式アダプタ502は、流体容器506をキャップ100と共に使用可能とするための連結具として機能する。ねじ式アダプタ502は、例えば、アルミニウム等の金属、HDPE(高密度ポリエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)、任意の他の好適な溶融加工ポリマー等のポリマー材料またはこれらの組み合わせから形成されてもよい。ねじ式アダプタ502、より詳細にはねじ式アダプタ502の口縁部504に用いられる材料は、微細物質の生成を抑制するために、本体102またはラッチ114の固定セグメント202(図2)に使用される材料を考慮して選択されてもよい。
【0041】
口縁部504は、ねじ式アダプタ502から延びる環状の突出部であってもよい。キャップ100の複数のラッチ114は、キャップ100がねじ式アダプタ上に配置されてラッチ114が固定状態にあるときに、口縁部504と係合してもよい。この係合によって、キャップ100と口縁部504との間の相対移動が抑制される。口縁部504の形状と、キャップ100におけるラッチ114の配置位置は、回転位置に依存することなくキャップ100が流体容器506に係合できるように構成され、キャップ100および流体容器506の相対的な回転方向に依存しないように構成される。
【0042】
流体容器506は、流体を保管するための容器である。図5の実施形態に示す流体容器はボトルである。一実施形態では、流体容器506はキャニスターである。流体容器506の大きさは特に限定されない。例えば、1~400リットルの容量を有する容器であってもよく、4、16、100または200リットルの容器等であってもよい。これらの大きさは例示であり、流体容器506の大きさは、本開示の趣旨の範囲内で上記の例以外の大きさに変更可能である。流体容器506は、ボトルまたはキャニスター内に配置された、流体を収容する袋体を有していてもよく、バッグインボトル型またはバッグインキャニスター型の容器を構成していてもよい。一実施形態では、流体容器506は1つまたは複数のプラスチック材料、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィンから形成されてもよい。一実施形態では、流体容器506はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の1つまたは複数の金属材料で形成されてもよい。一実施形態では、流体容器506はガラス製である。上記の材料は例示であり、流体容器506の実際の材料は、本開示の趣旨の範囲内で上記の例以外の材料から形成してもよい。
【0043】
流体容器506は、流体容器506の開口部512を包囲するねじ部510を有してもよい。ねじ部510は、ねじ式アダプタ502のねじ山と係合して、ねじ式アダプタ502ひいては口縁部504を流体容器506に固定する。
【0044】
収容システム500は、シール材508を有していてもよい。一実施形態では、シール材508は流体容器506の開口部512に配置される。開口部512は、流体容器の端部にある開口であり、容器への流体の出し入れを可能にする。開口部512は例えば円形である。図5に示される実施形態では、シール材508も開口部512に合わせて円形に形成される。シール材508の大きさおよび形状は、開口部512の大きさおよび形状に応じて変更可能である。シール材508は例えば破壊可能なシール材であってもよく、製造プロセスにおいて流体が分配されるときに分配装置によって破壊されるシール材であってもよい。シール材508は、分離シール材や破壊シール材等と称される場合もある。一実施形態では、キャップ100が口縁部504と係合するとき、キャップ100の本体102の内側面400(図4)が、シール材508に隣接してもよい。本体102の内側面400がシール材508に隣接すると、シール材508が保護されて機械的に支持されるため、材料の取り扱い時に、特に流体容器506が落下した場合等でも、破損の可能性が低減される。
【0045】
図6は、一実施形態に係る図5の流体の収容システム500の断面図である。図6に示される実施形態では、固定状態のラッチ114が口縁部504と係合していることによって、キャップ100がねじ式アダプタ502に接続されている。図6に示す実施形態では、ねじ式アダプタ502は、流体容器506のねじ部510と係合することによって流体容器506に接続されている。このようにして、流体容器506の開口部512が閉鎖された状態がキャップ100によって維持される。さらに、キャップ100は、本体102の内側面400によってシール材508を支持していてもよい。
【0046】
図6に示される実施形態では、キャップ100は、ねじ式アダプタ502の例えば口縁部504の内面と接するように本体102上に配置されたキャップOリング602を有している。キャップOリングは例えばゴム製であってもよい。キャップOリングは溝604内等に配置されてもよい。溝604は、空隙402に面するキャップ100の内面に形成された環状溝であってもよい。溝604は、本体102の上部110および基部112に平行であってもよい。
【0047】
図6に示される実施形態では、ねじ式アダプタ502は、ねじ式アダプタ用Oリング606を有している。ねじ式アダプタ用Oリング606は、ねじ式アダプタ502に形成された溝608内に配置されてもよい。溝608は、ねじ式アダプタ502の内面において、ねじ式アダプタ502が流体容器506と係合するねじ部の上に形成されていてもよい。
【0048】
図6に示す実施形態では、キャップ100の本体102の内側面400は、ねじ式アダプタ502の開口内に突出しており、流体容器506の開口部512においてねじ式アダプタ502と流体容器506との間に位置するシール材508に隣接している。内側面400がシール材508に隣接することによって、シール材508が機械的に支持される。このため、例えば、材料取り扱いシステムによって流体容器506が移動される際等に、容器506が落下した場合や、キャップ100が装着された流体容器506が操作されるときに、シール材508の早期破損が抑制される。
【0049】
図7は、一実施形態に係る流体容器(図5の506等)用の分配ヘッド700の分解図である。分配ヘッド700は、前述の作動リング104、基部112、ラッチ114およびねじ216を備え、これらの要素はそれぞれ前述した構成部材を有している。分配ヘッド700は、分配ヘッド本体702を有している。
【0050】
分配ヘッド本体702は分配出口704を有している。分配出口704は、分配ヘッド700からの流体の流出を可能にする開口である。分配出口704は、分配ヘッド本体702内を延びる流路の一端であってもよく、上記流体容器506等の、分配ヘッド700が取り付けられた流体容器から出る流体の通過を可能にするように構成されている。分配出口704は、分配ヘッド700の上端に位置し、流体容器506等の流体容器に接続される端部の反対側に位置している。分配出口704は、分配ヘッド700の径方向中心を延びる流路からの延長部であってもよい。分配出口704は、ねじ式コネクタまたはクイックリリースコネクタ等のコネクタ706によって包囲されていてもよく、これによって、半導体製造装置等の、流体容器から供給される流体を消費する装置への分配出口704が可能となっている。
【0051】
図7に示される実施形態では、分配ヘッド本体702が流体入口708をさらに有している。流体入口708は、分配ヘッド700が接続された流体容器内への、空気等の流体の移動を可能にするよう構成された開口であってもよい。流体入口708は、分配ヘッド700の上端に位置し、流体容器506等の流体容器に接続される端部の反対側に位置している。流体入口708は、分配ヘッド700の径方向中心から偏位して配置されていてもよい。例えば、流体入口708を介して内部に流体を入れることによって、バッグインキャニスター型またはバッグインボトル型の流体容器内で袋体の外側に位置する部分を加圧することができ、これによって、例えば、袋体内に収められた流体の分配を容易に行うことができる。
【0052】
図8は、図7に示す実施形態に係る分配ヘッドの断面図である。図8では、前述した作動リング104、基部112、ラッチ114および分配ヘッド本体702が図示されている。
【0053】
分配ヘッド本体702は、突出部800を有している。流路802は、突出部800を有する分配ヘッド本体702を貫通するように形成されている。流路802は、分配ヘッド本体702内で突出部800から分配出口704まで延びる流体経路を構成している。
【0054】
図9は、一実施形態に係る流体用の収容および分配システム900の分解斜視図である。収容および分配システム900は、上記の分配ヘッド700と、口縁部504を含むねじ式アダプタ502と、シール材508と、ねじ部510および開口部512を含む流体容器506とを有している。
【0055】
収容および分配システム900が組み立てられると、突出部800(図8参照。図9の斜視図には図示されていない)がシール材508を貫通することによってシール材508が破壊されるため、流路802から分配出口704(図7)を介して流体を流体容器506から取り出すことが可能となる。一実施形態では、流体容器506は、バッグインボトル型またはバッグインキャニスター型の容器であり、突出部800は、ボトルまたはキャニスター内の袋体に入る。
【0056】
図10は、流体の収容システム(図5の500等)を搬送するために収容システムと係合している自動式材料取り扱いシステム1000の斜視図である。例えば、自動式材料取り扱いシステム1000は、2つ以上のロボットアーム1002を備えていてもよい。ロボットアーム1002は、各アームから延びる係合部1006を有していてもよい。係合部1006の高さは、環状溝106の高さよりも低くてもよい。一実施形態においては、自動式材料取り扱いシステム1000が3つのロボットアーム1002を有している。一実施形態では、自動式材料取り扱いシステムが少なくとも1つのプローブ1004を有している。プローブ1004は円柱状をなし、丸い端部を備え、縦方向に延びていてもよい。一実施形態では、自動式材料取り扱いシステム1000が、各ロボットアーム1002に対して1つずつプローブ1004を有している。
【0057】
図10に示されるように、ロボットアーム1002は、例えば、延在部が外縁304の下側に接する位置に配置されることによって、キャップ100の上部110と係合してもよい。図10に示されるように、ロボットアーム1002は、作動リング104と係合することなくキャップ100と係合できる。作動リング104が初期位置にある状態では、ラッチ114は、流体容器506またはねじ式アダプタ502の口縁部504(図5)と係合し、キャップ100は、流体容器またはねじ式アダプタ502に固定されている。この状態では、ロボットアーム1002がキャップ100と係合すると、自動式材料取り扱いシステム1000の少なくとも一部を動かすことによって上記の流体収容システム500等の流体収容システムを移動できる。これによって、例えば、流体容器506に収容された流体を使用する製造装置へ、流体収容システムを保管場所から搬送できる。一実施形態では、ロボットアーム1002の係合部1006は、係合部1006がキャップ100の上部110に係合した際に、作動リング104の移動を規制できる大きさを有している。例えば、係合部1006の高さは、係合部が上部110の外縁304の下にあるとき、係合部によって作動リング104の移動が物理的に規制される高さに設定されてもよい。一実施形態では、作動リング104の移動が規制されることによって、ロボットアーム1002がキャップ100と係合している間は作動リング104がラッチ114を作動できない。一実施形態においては、ロボットアーム1002が、キャップ100の基部112と係合することによって、流体収容システム500を移動させる。一実施形態では、前述したキャップ100との係合と同様の方法でキャップ700を係合することによって、上記収容および分配システム900等の収容および分配システムに対して移動操作が行われてもよい。
【0058】
キャップ100に対するロボットアーム1002の位置は、プローブ1004を用いて判定可能である。したがって、図10に示す移動操作中に、キャップ100の作動リング104と係合しない位置にロボットアーム1002を確実に配置できる。また、図11を参照して詳細を以下に記載するキャップ取り外し操作において作動リング104との係合を確実に実行できる。例えば、プローブ1004はばねで定位置に配置されており、キャップ100の上部110にプローブ1004の先端1008が接触することによって生じるばね力を用いて、ロボットアーム1002の位置が判定される。
【0059】
図11は、キャップを取り外すために流体収容システムと係合している自動式材料取り扱いシステム1000を示す斜視図である。図11では、自動式材料取り扱いシステム1000のロボットアーム1002が、環状溝106においてキャップ100の作動リング104と係合している。環状溝106で作動リング104を係合することにより、ロボットアーム1002は、キャップ100または流体容器506等の流体容器の回転方向に関係なく、作動リング104を操作できる。この係合により、ロボットアーム1002は作動リング104を操作可能となるため、例えば、作動リング104をキャップ100の本体102に沿ってスライドさせて、ラッチ114の作動を実行できる。一実施形態では、ロボットアーム1002の係合部1006が、環状溝1006と嵌合できる大きさおよび形状を有している。ロボットアームは、環状溝106において係合するため、キャップ100に対してどの回転位置でも作動リング104と係合できる。
【0060】
作動リング104の環状溝106とロボットアーム1002を係合させるために、キャップ100に対するロボットアーム1002の位置をプローブ1004を用いて検出できる。一実施形態では、プローブ1004が、キャップ100の上部110を押すためにも利用される。これによって、ラッチ114や、ラッチ114を所定位置に保持しているばね208(図2)または弾性材によってもたらされる抵抗に打ち勝って、作動リング104がスライドしやすくなる。例えば、プローブ1004はばねで定位置に配置されており、キャップ100の上部110にプローブ1004の先端1008が接触することによって生じるばね力を用いて、ロボットアーム1002の位置が判定される。プローブ1004は、このばね力を上部110を押すために利用してもよく、これによって、ロボットアーム1002が作動リング104を本体102上で移動させる際に、移動が容易になる。
【0061】
図11では、作動リング104は、ラッチ114を作動させるために、本体102に沿って上部110に向かって縦方向上方にスライドされている。その結果、ラッチ114がねじ式アダプタ502の口縁部504(図5参照。図11の斜視図には図示されていない)から外れ、キャップ100が流体容器506から取り外し可能となる。作動リング104の移動によってラッチ114が解放されると、例えば、ロボットアーム1002を係合させてキャップ100を持ち上げることによってキャップ100を取り外せる。この操作は、例えば、分配ヘッド700等の分配ヘッドを流体容器506に取り付ける前に、製造装置で行われてもよい。この操作はまた、例えば、ねじ式アダプタ502の口縁部504を介して分配ヘッド700が流体容器506に取り付けられている場合に、分配ヘッド700を流体容器506から取り外す際にも行われてもよい。分配ヘッド700は、例えば、流体容器506内の流体が無くなったとき、または、流体容器506から供給される流体を使用する製造プロセスの終了時に、流体容器506から取り外されてもよい。
【0062】
一実施形態において、自動化可能な閉鎖具は、圧力作動式ロックシステムを有してもよい。図12Aおよび図12Bは、圧力作動式ロック1202を含む圧力作動式ロックシステムを備えた分配ヘッド1200の実施形態を示す。圧力作動式ロック1202の数は変更可能である。例えば、図示する実施形態は2つの圧力作動式ロック1202を有している。一実施形態では、3つの圧力作動式ロック1202が設けられてもよい。一実施形態では、圧力作動式ロック1202の数はラッチ114の数と同じであってもよい。
【0063】
図12Aおよび図12Bに、圧力作動式ロック1202を有する分配ヘッド1200を示す。同様に、キャップ100等の実施形態も、圧力作動式ロック1202を有していてもよい。
【0064】
各圧力作動式ロック1202は、オリフィス1204およびロック部材1206を有していてもよい。一実施形態では、オリフィス1204は、図5および図9に示す流体容器506等の、分配ヘッド1200が取り付けられた流体容器の内部に対して連通している。一実施形態では、オリフィス1204に対して流体容器の中身と同じ圧力が加わる。オリフィス1204に加わる圧力は、ロック部材1206の位置を制御するために使用されてもよい。
【0065】
ロック部材1206は、ロック位置と解放位置とを有している。ロック位置においては、ロック部材1206が圧力作動式ロック1202から延びて、作動リング104がラッチ114を作動して流体容器から分配ヘッド1200を解放させる際にスライドする経路内に、ロック部材1206が位置している。解放位置においては、作動リング104の経路内にロック部材1206が延在しない。図12Aおよび図12Bは、ラッチ114と交差しない線に沿った断面図であるため、図12Aおよび図12Bにはラッチ114が示されていない。
【0066】
図12Aでは、ロック部材1206は解放位置にあり、圧力作動式ロック1202内にあるので図示されていない。
図12Bでは、ロック部材1206はロック位置にあり、圧力作動式ロック1202から外向きに延びて作動リング104の経路内に位置している。ロック部材1206は、圧力作動式ロック1202内の流路内に配置してもよい。ロック部材1206の位置は、例えば、圧力作動式ロック1202内に配置されたばねおよび/または弾性材や、流路等を介したオリフィス1204との連通によって制御できてもよい。一実施形態では、オリフィス1204との連通によって加えられる圧力がロック部材1206に力を加え、この力に、ばねおよび/または弾性材からの力が対抗する。圧力が選択値を超えると、ロック部材1206によって作動リング104の移動が規制される。圧力が選択値を超えている限りは、分配ヘッド1200が流体容器から取り外されない。ばねおよび/または弾性材は、選択された圧力値を考慮して設定された量の力を提供するように構成される。
【0067】
図12Aおよび図12Bに示すように、分配ヘッド1200は、基部112から延びる環状突起1210をさらに有している。環状突起1210は、基部112の外周に形成され、本体102から離れる方向に延びる。環状突起1210の内径1212は、ねじ式アダプタ(ねじ式アダプタ502等)の外径および/または流体容器の開口部(開口部512等)よりも大きい。環状突起1210は、例えば、固定状態にあるラッチ114によって分配ヘッド1200が流体容器(506等)に取り付けられたときに、流体容器に接触するように構成されてもよい。例えば、環状突起1210は分配ヘッド1200の側方へのぐらつきや動きを低減させる。
【0068】
態様
態様1~8のいずれか1つは、態様9~15または16~20のいずれか1つと組み合わせ可能である。態様9~15のいずれか1つは、態様16~20のいずれか1つと組み合わせ可能である。
【0069】
態様1:流体容器用のキャップであって、解放状態と固定状態とを有する複数のラッチを備えた本体であって、複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに解放状態となるように構成されている、本体と、作動リングであって、作動リングの外面に設けられた環状溝と、作動リングの内面に設けられた作動面と、を有する、作動リングと、を備え、作動リングが、少なくとも、作動面が複数のラッチのそれぞれの部分を押し込まない第1の位置と、作動面が複数のラッチのそれぞれの部分を押し込んで複数のラッチが解放状態にある第2の位置との間を本体に沿ってスライド可能であるキャップ。
【0070】
態様2:複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを固定状態に保持するように構成されたばねを有している、態様1に記載のキャップ。
態様3:複数のラッチのそれぞれが、各ラッチを固定状態に保持するように構成された弾性材を有している、態様1または2に記載のキャップ。
【0071】
態様4:本体が、ポリエーテルエーテルケトンおよびアルミニウムの少なくとも一方を含んでいる、態様1~3のいずれかに記載のキャップ。
態様5:近距離通信タグをさらに備えている、態様1~4のいずれかに記載のキャップ。
【0072】
態様6:本体が、容器を出入りする流体が通過できる少なくとも1つの開口部をさらに有している、態様1~5のいずれかに記載のキャップ。
態様7:本体の一部分の外径が、作動リングの内径よりも小さい、態様1~6のいずれかに記載のキャップ。
【0073】
態様8:流体容器用の閉鎖システムであって、流体容器に取り付けられた口縁部と、キャップと、を備え、キャップが、解放状態と固定状態とをそれぞれ有する複数のラッチを備えた本体であって、複数のラッチは各ラッチの部分が押し込まれたときに解放状態となるようにそれぞれ構成されている、本体と、作動リングであって、作動リングの外面に設けられた環状溝と、作動リングの内面に設けられた作動面と、を有する、作動リングと、を有し、作動リングが、少なくとも、作動面がラッチのそれぞれの部分を押し込まない第1の位置と、作動面がラッチのそれぞれの部分を押し込んでラッチが解放状態にある第2の位置との間を本体に沿ってスライド可能であり、複数のラッチが、固定状態にあるときに口縁部と係合する閉鎖システム。
【0074】
態様9:本体が、流体容器に対向する側から流体容器に向かって延びる壁部を有し、壁部が、キャップが容器に装着されたときに口縁部上に嵌合するように構成される、態様8に記載の閉鎖システム。
【0075】
態様10:口縁部がねじ付きコネクタを介して容器に取り付けられる、態様8または9に記載の閉鎖システム。
態様11:ねじ付きコネクタが、流体容器の中身を密封するように構成された破壊可能なシール材を有している、態様10に記載の閉鎖システム。
【0076】
態様12:複数のラッチが口縁部と係合すると、本体の一部分がシール材に隣接する、態様11に記載の閉鎖システム。
態様13:口縁部が、容器と一体的に形成される、態様8~10のいずれかに記載の閉鎖システム。
【0077】
態様14:固定状態にある複数のラッチの口縁部に対する係合が、回転位置に依存しない、態様8~13のいずれかに記載の閉鎖システム。
態様15:キャップがさらに圧力ロックを有し、圧力ロックが、流体容器の内側から圧力を受けるように構成された入口と、流体容器の内側から受ける圧力が予め規定された圧力量を超えたときに、作動リングが本体に沿ってスライド可能である経路内に圧力ロックから突出するように構成されたロック部材と、を有している、態様8~14のいずれかに記載の閉鎖システム。
【0078】
態様16:容器の自動取り扱い方法であって、ロボットアームを介して、容器キャップの作動リングの環状溝を係合させることと、容器キャップの本体に対して作動リングを駆動して、容器キャップの本体に配置された1つまたは複数のラッチを解放することと、容器から容器キャップを取り外すことと、からなる方法。
【0079】
態様17:ロボットアームを介して分配ヘッドを容器に取り付けることをさらに含む、態様16に記載の方法。
態様18:オーバーヘッド材料取り扱いシステムを介して容器を搬送することをさらに含み、搬送することが、容器キャップをオーバーヘッド材料取り扱いシステムと係合させることを含み、容器キャップの作動リングが閉位置に配置される、態様16または17に記載の方法。
【0080】
態様19:容器キャップを係合させることが、容器キャップの作動リングの移動を規制することを含む、態様18に記載の方法。
態様20:ロボットアームを介して作動リングの環状溝を係合させることが、回転位置に依存しない、態様16~19のいずれかに記載の方法。
【0081】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを意図しており、限定を意図するものではない。単数で記載した用語は、内容が明らかに異なることを示していない限り、複数も含む。本明細書において使用される「備える」および「備えている」という用語は、記載された機能、整数、ステップ、工程、要素または構成要素の存在を示すが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、工程、要素または構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0082】
前述の説明に関して、本開示の範囲から逸脱することなく、特に使用される構成材料ならびに部品の形状、サイズおよび配置に関して、細部において変更を加えることが可能である。本明細書および記載された実施形態は例示に過ぎず、本開示の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
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図12A
図12B