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特許7104807有機亜鉛触媒の製造方法、及びこれから製造された有機亜鉛触媒を用いたポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】有機亜鉛触媒の製造方法、及びこれから製造された有機亜鉛触媒を用いたポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/02 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
C08G64/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020560182
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2019018242
(87)【国際公開番号】W WO2020130728
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0166050
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン-キョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、サン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】ミン、キョン-ミン
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101402726(CN,A)
【文献】米国特許第04981948(US,A)
【文献】特表平05-507514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 64/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒の非存在下で、固相の亜鉛化合物と固相の炭素数3から20のジカルボン酸を混合するステップを含み、
前記混合は、亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて水分を発生させるように行うものであり、
前記混合は、撹拌機が装着された混合機を用いて、前記撹拌機の先端速度が1.0m/s未満であり、前記混合機のフルード数が0.25未満である条件で撹拌して行うものであり、
前記ジカルボン酸は、マロン酸 、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸 、ピメリン酸 、イソフタル酸、ホモフタル酸及びフェニルグルタル酸からなる群から選択される1種以上であり、
前記亜鉛化合物は、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上である、有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項2】
前記混合機は、撹拌混合機、V型混合機、W型混合機またはリボン混合機である、請求項に記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項3】
前記混合は、混合機に固相のジカルボン酸が投入され、その後に固相の亜鉛化合物が投入されて行われるものである、請求項1または2に記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項4】
前記ジカルボン酸は、ルタル酸である、請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項5】
前記亜鉛化合物は、酸化亜鉛である、請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項6】
前記亜鉛化合物と前記ジカルボン酸は、1:0.8から1:1.2のモル比で混合される、請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項7】
前記混合は、窒素パージをしながら行う、請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項8】
前記窒素パージは、0.98kPa(0.01kg/cm2g)から686kPa(7kg/cm2g)圧力で行う、請求項に記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項9】
前記混合は、熱処理なしに常温で行う、請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の有機亜鉛触媒の製造方法によって有機亜鉛触媒を製造するステップ、及び製造された有機亜鉛触媒の存在下で、エポキシド及び二酸化炭素を含む単量体を重合するステップを含むポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月20日付韓国特許出願第10-2018-0166050号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、溶媒及び洗浄工程が必要ではない固相混合を介した有機亜鉛触媒の製造方法、これから製造された有機亜鉛触媒を用いたポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは、製造の容易性と使用の便宜性によって各種物品の素材として使用されており、包装フィルム、使い捨てカップ及び使い捨て皿のような使い捨て用品はもちろん、建築材料及び自動車内装材など多様な分野で使用されている。プラスチックの使用量が多くなるに伴い、プラスチック廃棄物の量が増加し、これは自然環境で殆ど分解されないため、主に焼却処理を介して廃棄物を処理しているが、焼却時に有毒ガスなどが排出されて環境汚染をもたらすという問題がある。よって、最近、自然環境でも自然に分解される生分解性プラスチックが開発されている。
【0004】
生分解性プラスチックは、化学構造に起因して水分で徐々に分解が起こるプラスチックであって、土壌や海水のような湿式環境では数週内に分解され始めて1年から数年内に消滅する。また、生分解性プラスチックの分解物は、人体に無害な成分、例えば、水や二酸化炭素に分解されるため、環境の被害が少ない。
【0005】
特に、最近、二酸化炭素とエポキシドの重合によるポリアルキレンカーボネート樹脂は、生分解可能な樹脂の一種として大きく脚光を浴びている。ポリアルキレンカーボネートは、非結晶性の透明樹脂であって、類似系列のエンジニアリングプラスチックである芳香族ポリカーボネートとは異なり、脂肪族構造のみを有しており、二酸化炭素とエポキシドを直接的な単量体(主原料)として触媒下で共重合反応により合成される。ポリアルキレンカーボネートは、優れた透明性、伸び率、酸素遮断性能を有しており、生分解性を示し、燃焼時に二酸化炭素と水に完全に分解され、炭素残留物が残らないという長所を有している。
【0006】
前記ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造のための多様な方法が研究されており、特に、前記二酸化炭素及びエポキシド共重合反応の代表的な触媒として、二酸化炭素プラスチック重合用配位錯体(Coordination compound)系列の触媒である亜鉛及びジカルボン酸が結合された亜鉛グルタレート触媒などの有機亜鉛触媒が広く知られている。
【0007】
ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造は、前記有機亜鉛触媒の活性によって生産性が決定されるほど、有機亜鉛触媒は共重合反応で重要な役割をする。
【0008】
このような、前記有機亜鉛触媒は、通常、亜鉛化合物とジカルボン酸をトルエンのような有機溶媒中で加熱された温度で反応させ、溶媒の除去及び洗浄して製造されるが、反応により形成された触媒粒子が数μm以下の微細粉末形態であるため洗浄工程に困難がある。例えば、触媒の遺失を防止するために、洗浄時にメンブレインを用いるが、メンブレインの気孔が小さい場合にはメンブレイン気孔が詰まりやすく、気孔が大きい場合には触媒の遺失量が多くなるという問題がある。
【0009】
また、触媒の製造時に用いられる有機溶媒は、概して人体及び環境に有害な成分であり、最近、環境にやさしい技術に関心が高まっているため、従来の触媒の製造方法は限界点がある。
【0010】
一方、日本特許公報2571269(B2)には、ポリアルキレンカーボネートの製造時に用いられる亜鉛含有固体触媒を有機溶媒の非存在下で酸化亜鉛と有機ジカルボン酸をボールミル、振動ミルをなどの機械的粉砕処理手段により接触させて製造する技術を開示している。しかし、このような機械的粉砕処理手段によって製造された触媒は、粉砕によりさらに微細な粒子に割れ、よって容易に飛散されるので使用に困難があり、触媒活性も従来の有機溶媒の存在下で製造された触媒に比べて大きく低下するという問題がある。
【0011】
したがって、優れた触媒活性を示しながらも、環境にやさしく、工程上困難がない触媒製造方法技術の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第2571269号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために案出されたものであって、有機溶媒の非存在下で固相混合を介した有機亜鉛触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、前記有機亜鉛触媒を用いたポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明は、有機溶媒の非存在下で、固相の亜鉛化合物と固相の炭素数3から20のジカルボン酸を混合するステップを含み、前記混合は、亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて水分を発生させるように行うものである、有機亜鉛触媒の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記製造方法から製造された有機亜鉛触媒を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、前記有機亜鉛触媒の存在下で、エポキシド及び二酸化炭素を含む単量体を重合するステップを含むポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る有機亜鉛触媒の製造方法は、有機溶媒を用いることなく、固相混合で亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて行うことにより、環境にやさしく、洗浄工程が必要ではないので、工程が単純で且つ生産性に優れ、従来の有機溶媒の存在下で製造される有機亜鉛触媒に比べ、同等以上の触媒活性を示す有機亜鉛触媒を製造することができる。
【0019】
また、本発明に係る有機亜鉛触媒は、機械的粉砕ではなく、混合による前記の製造方法により製造されることにより、粒子特性が従来の有機溶媒の存在下で製造された有機亜鉛触媒と同等な特性を示すことができ、触媒活性に優れる。
【0020】
さらに、本発明に係るポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法は、前記有機亜鉛触媒を用いて行うことにより、ポリアルキレンカーボネート樹脂を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に対する理解を助けるために本発明をさらに詳しく説明する。
【0022】
本発明の説明および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために、用語の概念を適宜定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0023】
また、本発明で用いられる用語及び測定方法は、別に定義しない限り、下記のように定義され得る。
【0024】
[用語]
本発明における「先端速度(Tip speed)」は、撹拌機の端で発生する速度、すなわち撹拌機の端で測定された回転速度を示すものであって、下記数式1で定義される。
【0025】
【数1】
【0026】
前記数式1において、Dは撹拌機の直径(m)であり、nは混合機の回転速度(revolutions per second、s-1)である。
【0027】
本発明における「フルード数(Fr、Froude number)」は、流体の流れにおいて重力に対する慣性力の無次元比を示すものであって、下記数式2で定義される。
【0028】
【数2】
【0029】
前記数式2において、vは先端速度(m/s)であり、gは重力加速度であり、Rは混合機の半径(m)である。
【0030】
一方、固相粒子を混合するにおいて、フルード数が1.0を超過する場合、粒子間の衝突などにより粒子が割れて粉砕が発生する可能性があり、通常の機械的粉砕手段、例えば、ボールミルなどを使用した混合においては、フルード数が1.0以下の条件を形成することができない。
【0031】
本発明は、固相混合による有機亜鉛触媒の製造方法を提供する。
【0032】
本発明の一実施形態による前記有機亜鉛触媒の製造方法は、有機溶媒の非存在下で、固相の亜鉛化合物と固相の炭素数3から20のジカルボン酸を混合するステップ(ステップA)を含み、前記混合は、亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて水分を発生させるように行うことを特徴とする。
【0033】
前記ステップAは、亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて有機亜鉛触媒を製造するためのステップであって、前記亜鉛化合物とジカルボン酸を有機溶媒の非存在下で混合して行ってよく、このとき、前記亜鉛化合物とジカルボン酸は両方とも固相であり、前記混合は、固相混合(solid phase blend)であってよく、前記製造方法は、固相合成法(solid phase synthesis)であってよい。
【0034】
本発明で前記製造方法は、有機溶媒の非存在下で亜鉛化合物とジカルボン酸の混合による反応で触媒が製造されるものであって、ここで、前記「有機溶媒の非存在下」は、前記製造方法を行うにおいて有機溶媒が使用されていないことを示すものであり、さらに亜鉛化合物とジカルボン酸の他に、溶媒として作用できる如何なる物質も使用していないことを示すものであってよい。
【0035】
一方、触媒を製造するにおいて、通常、触媒の製造に用いられる反応物間の接触力を高めて反応がより容易に起こるようにするために溶媒が使用され、したがって、溶媒は、反応速度に影響を与えることができ、溶媒と反応物との間の性質の差(例えば、極性)を調節することにより、製造される触媒の構造的特性にも影響を及ぼすことができる。
【0036】
また、一般的に触媒は、ある反応においてその反応を促進させる役割をするものであり、触媒の構造的特性により触媒活性が変化し得る。したがって、反応の容易性及び製造される触媒の活性を考慮して溶媒を使用した製造方法が広く用いられており、亜鉛化合物とジカルボン酸から製造される有機亜鉛触媒の場合、有機溶媒を使用した溶液相合成方法(solution phase synthesis)が主に用いられている。しかし、溶液相合成方法を用いた触媒の製造は、反応以後に触媒粒子を有機溶媒から分離するための洗浄工程が必須的に必要であり、このような洗浄工程中に触媒粒子が遺失されるか、洗浄工程装置が触媒粒子によって詰まるなどの困難があり、前記有機溶媒が人体及び環境に有害であるという問題がある。
【0037】
一方、前記溶液相合成方法の問題を補完するための一方法として、有機溶媒の非存在下で固体相の酸化亜鉛と有機ジカルボン酸から亜鉛含有固体触媒を製造する技術が試みられており、前記技術では二つの固体相の酸化亜鉛と有機ジカルボン酸が化学的反応を引き起こすための十分な接触環境を形成するために、ボールミルなどの機械的粉砕処理手段が用いられ、これから製造される触媒粒子が微細な粒子に割れながら比表面積が増加することとなり、よって活性に優れることが期待された。
【0038】
しかし、機械的粉砕手段を用いることにより、触媒粒子が微細な粒子に割れ、よって比表面積が広くなって触媒活性に優れるであろうという予測とは異なり、触媒活性が溶液相合成方法で製造された触媒に比べ大きく低下し、微細な粒子により容易に飛散されるので使用に困難があるという問題があるので、実質的な産業への適用には困難がある。前記のように機械的粉砕処理手段を用いる場合、触媒粒子が微細な粒子に割れながら粒子の表面状態、例えば、結晶性、特定の結晶面の表面露出などに影響を及ぼすため、溶液相合成方法で製造された触媒と表面特性がかなり異なって変化され、このような表面特性の変化によって触媒活性が大きく低下するという問題が発生したものと予想される。
【0039】
本発明の発明者等は、触媒粒子の表面特性によって触媒活性が変化し得ることを認知し、有機溶媒を使用しなくとも、溶液相合成方法により製造された触媒と類似の表面特性を有する活性に優れた触媒を製造できる方法を研究中、亜鉛化合物と有機ジカルボン酸を機械的粉砕手段を用いない固相混合で、溶液相合成方法により製造された触媒と構造的特性、例えば、表面特性など物性が類似の触媒を製造することができ、よって前記溶液相合成方法から発生する問題を全て解消しながら、活性に優れた触媒を得ることができることを見出し、本発明を完成した。したがって、本発明に係る前記製造方法は、当該技術分野で非常に高い技術的価値がある。
【0040】
具体的に、本発明で前記混合は、亜鉛化合物とジカルボン酸を反応させて水分を発生させるように行うものであってよい。前記亜鉛化合物とジカルボン酸は、互いに接触して分子間化学反応によって水分(H2O)を発生させ、前記水分は、溶媒のような役割をして亜鉛化合物とジカルボン酸との間の接触性を向上させ、亜鉛化合物とジカルボン酸分子との間の反応性を高めることができ、よって本発明に係る前記製造方法は、別途の有機溶媒を使用しなくとも、亜鉛化合物とジカルボン酸の固相混合だけで活性に優れた有機亜鉛触媒を容易に製造することができる。すなわち、前記混合は、亜鉛化合物とジカルボン酸が水分を発生させ得る程度の接触を誘導する水準に亜鉛化合物とジカルボン酸を混ぜるものであってよい。一例として、前記混合は、10rpm以上、1000rpm未満、具体的には、100rpmから600rpmの速度で撹拌するものであってよい。
【0041】
また、前記混合は、窒素パージ(nitrogen purging)をしながら行うものであってよい。本発明で前記窒素パージは、不活性の窒素を反応が起こる反応器に連続的あるいは間欠的に投入して反応に不要な成分を除去することを示すものであって、前記混合は、前述したように水分を発生させることができ、水分が過度に発生する場合、亜鉛化合物とジカルボン酸が十分に反応して触媒を形成する前に、前記亜鉛化合物とジカルボン酸がそれぞれあるいは互いに凝集されて生地のような状態になって分子間の接触が不可であるため触媒が製造されないことがあり、さらに過度に発生してスラリーあるいは溶液状態になって反応以後に洗浄工程が必要となるため、溶液相合成方法で発生する洗浄工程の問題が解消され得ない。
【0042】
したがって、本発明における前記混合は、反応が完了するまで適切な水分含量の維持が必要となり、前記水分含量は一次的には前記混合で調節し、二次的には窒素パージを介して調節し得る。ここで、前記窒素パージは、前述したような水分含量による問題が発生しないように適宜調節して行ってよい。例えば、前記窒素パージは、0.98kPa(0.01kg/cm2から686kPa(7kg/cm2圧力で行ってよい。
【0043】
本発明の一実施形態において、前記混合は、撹拌機が装着された混合機を用いて、前記撹拌機の先端速度(Tip speed)が1.0m/s未満であり、前記混合機のフルード数(Froude number)が0.25未満の条件で行うものであってよく、具体的には、前記先端速度が0.10m/s以上0.35m/s以下であり、前記フルード数が0.05以上0.20以下の条件で行うものであってよい。
【0044】
ここで、前記混合機は、亜鉛化合物とジカルボン酸が均質(homogeneous)に混合できるようにした公知の混合方式及び機器を自由に用いてよく、例えば、撹拌混合機、V型混合機、W型混合機、リボン混合機またはドラムミキサーを用いて行ってよく、具体的には、U字状の水平型リボン混合機を用いてよい。
【0045】
また、前記撹拌機は、前記条件で混合が行われ得るようにした公知の撹拌機を用いてよく、例えば、パドル(paddle)型、シングルヘリカルリボン(helical ribbon)型またはダブルヘリカルリボン型を用いてよく、具体的には、ダブルヘリカルリボン型を用いてよい。
【0046】
また、他の一例としてより優れた均質混合の側面で、前記混合は、混合機に固相のジカルボン酸が投入され、その後に固相の亜鉛化合物が投入されて行われるものであってよい。すなわち、混合機に触媒の製造に使用するジカルボン酸全量を先に投入し、前記ジカルボン酸の投入が完了すると、引き続き亜鉛化合物全量を投入し、混合を行うものであってよい。
【0047】
一般に、ジカルボン酸の粒径は数十ミクロン、例えば、35μmであり、亜鉛化合物は1μmであって、粒子の大きさにかなり差がある。よって、混合機に粒径が小さい亜鉛化合物が先に投入される場合には、その後に投入される大きい粒子のジカルボン酸が前記亜鉛化合物粒子の間に浸透し難く、よって混合が均一に行われ難くなり得る。
【0048】
また、前記混合は、別途の熱処理なしに常温、例えば25±5℃で行ってよい。
【0049】
また、前記混合は、60分以上行うものであってよく、より良い触媒活性を有する触媒を製造するための側面で90分以上行うものであってよい。
【0050】
また、本発明で亜鉛化合物とジカルボン酸は両方とも固相であり、ここで、固相は、水分のない一定の形態を有する固体状態を示すものであって、例えば、粉末、結晶など全ての形態の固相を含んでよい。
【0051】
前記亜鉛化合物は、ジカルボン酸と反応して有機亜鉛触媒を形成できる亜鉛前駆体であれば特に限定しないが、例えば、酸化亜鉛(zinc oxide、ZnO)、硝酸亜鉛(zinc nitrate、Zn(NO32)、酢酸亜鉛(zinc acetate、Zn(CH3CO22)、水酸化亜鉛(zinc hydroxide、Zn(OH)2)、硫酸亜鉛(zinc sulfate、ZnSO4)及び塩素酸亜鉛(zinc chlorate、Zn(ClO32)からなる群から選択される1種以上であってよく、具体的には、酸化亜鉛であってよい。
【0052】
また、前記ジカルボン酸は、炭素数3から20のジカルボン酸であってよく、具体的には、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸 (adipic acid)、ピメリン酸 (pimelic acid)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、ホモフタル酸(homophthalic acid)及びフェニルグルタル酸(phenyl glutaric acid)からなる群から選択される1種以上のものであってよく、より具体的には、グルタル酸であってよい。
【0053】
また、前記亜鉛化合物とジカルボン酸は、1:0.8から1:2のモル比で混合するものであってよい。この場合、より活性に優れた有機亜鉛触媒を製造することができる。
【0054】
一方、本発明の一実施形態による前記有機亜鉛触媒の製造方法は、前記ステップA以後に製造された触媒を乾燥するステップを行ってよく、このとき、乾燥は、例えば60℃から130℃の温度の真空オーブンで30分から15時間行ってよい。
【0055】
また、本発明は、前記製造方法から製造された有機亜鉛触媒を提供する。
【0056】
具体的に、本発明に係る前記有機亜鉛触媒は、前記製造方法から製造されることにより通常の溶液相合成方法で製造された触媒と類似の粒子特性を示すことができ、よって溶液相合成方法で製造された触媒と類似の水準に優れた触媒活性を示すことができる。
【0057】
例示的に、本発明の一実施形態による前記有機亜鉛触媒は、0.3μmから1.2μmの粒子大きさの分布を示し、板状の結晶性粒子であってよい。
【0058】
このとき、前記粒子大きさの分布は、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)分析を介して測定しており、具体的には、FESEM SU-8020を用いて、加速電圧5kV及びemission current 10μAの条件で測定した。
【0059】
さらに、本発明は、前記有機亜鉛触媒を用いたポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0060】
本発明の一実施形態による前記製造方法は、有機亜鉛触媒の存在下で、エポキシド及び二酸化炭素を含む単量体を重合するステップを含むことを特徴とする。
【0061】
前記二酸化炭素及びエポキシド化合物を含む単量体を重合するステップにおいて、前記有機亜鉛触媒は、不均一触媒(heterogeneous catalyst)の形態として用いられ得る。 また、前記重合は、有機溶媒内で溶液重合により行うことができ、よって反応熱が適宜制御され、目的とする分子量または粘度に調節されたポリアルキレンカーボネート樹脂を容易に製造することができる。
【0062】
前記有機溶媒は、例えば、メチレンクロリド、エチレンジクロリド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、1,4-ジオキサン、ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルアミンケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルアセテート、ビニルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチロラクトン、カプロラクトン、ニトロプロパン、ベンゼン、スチレン、キシレン、及びメチルプロパゾール(methyl propasol)またはこれらの2種以上の混合物を用いてよく、具体的には、ジクロロメタンまたはジクロロエタンを用いてよく、この場合、重合反応の進行をより効果的にすることができる。
【0063】
前記エポキシド化合物は、ハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数2から20のアルキレンオキシド;ハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数4から20のシクロアルキレンオキシド;及びハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数8から20のスチレンオキシド;からなる群から選択される1種以上であってよい。
【0064】
前記ハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数2から20のアルキレンオキシドの具体的な例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2-エポキシ-7-オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどを含んでよい。
【0065】
前記ハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数4から20のシクロアルキレンオキシドの例としては、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3-エポキシノルボルネン、リモネンオキシド、ディルドリンなどを含んでよい。
【0066】
前記ハロゲンまたは炭素数1から5のアルキル基で置換または非置換された炭素数8から20のスチレンオキシドの例としては、2,3-エポキシプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル-メチルフェニルエーテル、クロロフェニル-2,3-エポキシプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテルなどを含んでよい。
【0067】
前記有機溶媒は、例えば、エポキシド化合物に比べ、約1:0.5から1:100の重量比で用いられてよく、好適には、約1:1から1:10の重量比で用いられてよい。このとき、その比率が約1:0.5未満で少なすぎると、溶媒が反応媒質として十分作用できないため、前述した溶液重合の利点を生かしにくいことがある。また、その比率が約1:100を超過すると、相対的にエポキシドなどの濃度が低くなって生産性が低下することがあり、最終的に形成された樹脂の分子量が低くなったり、副反応が増加したりすることがある。
【0068】
また、前記有機亜鉛触媒は、エポキシドに比べ、約1:50から1:1000のモル比で投入されてよい。より具体的には、前記有機亜鉛触媒は、エポキシド化合物に比べ、約1:70から1:600、あるいは約1:80から1:300のモル比で投入されてよい。その比率が小さすぎると、溶液重合時に十分な触媒活性を現わしにくく、逆に大すぎると、過多な量の触媒の使用により効率的でなく、副産物が生じるか、触媒存在下で加熱による樹脂のバックバイティング(back-biting)が発生し得る。
【0069】
一方、前記二酸化炭素の圧力は、特に制限されないが、反応効率を勘案し、好ましくは0.1から20MPaまたは0.1から10MPa、または0.1から5MPaに調節されてよい。特に、本発明の有機亜鉛触媒を用いてポリアルキレンカーボネート樹脂を製造する重合工程で、二酸化炭素を持続的に注入する既存の重合工程に比べ、一定量の二酸化炭素のみ注入する特徴を有する。
【0070】
その他にも、二酸化炭素及びエポキシド化合物を含む単量体を重合する方法及び工程条件は、ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造のための通常の重合条件を制限なく用いることができる。
【実施例
【0071】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらだけに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
マグネチックバーが入っている250ml大きさの丸底フラスコに15.4g(0.12mol)のグルタル酸を投入し、投入完了後、10.6g(0.13mol)のZnOを投入した。その後、常温(約25℃)で先端速度0.22m/s、フルード数0.20になるように維持しながら90分間撹拌した。その後、反応物を回収して130℃で真空オーブンで乾燥して触媒を製造した。
【0073】
(実施例2)
5L大きさのリボン混合機(ダブルヘリカルリボン型撹拌機装着)に2.43kgのグルタル酸を投入し、投入完了後、1.50kgのZnOを投入した。その後、常温(約25℃)で先端速度0.31m/s、フルード数0.20になるように維持しながら60分間撹拌した。その後、反応物を回収して130℃で真空オーブンで乾燥して触媒を製造した。
【0074】
(実施例3)
前記実施例2において、90分間撹拌したことを除き、前記実施例2と同様に行って触媒を製造した。
【0075】
(実施例4)
実施例1において、前記撹拌中に29.4kPa(0.3kg/cm2で窒素パージを行ったことを除き、前記実施例1と同様に行って触媒を製造した。
【0076】
(実施例5)
実施例1において、酸化亜鉛とグルタル酸を1:1.2モル比で用いたことを除き、実施例1と同様に行って触媒を製造した。
【0077】
(比較例)
50ml大きさのガラスバイアル(glass vial)に1/3の体積で1mm直径のジルコニアボール(ball)を満たし、10.6g(0.13mol)のZnO及び15.4g(0.12mol)のグルタル酸を常温(25℃)で200rpmで90分間振って粉砕混合させた。このとき、ボールミルの臨界速度(critical speed)は306rpmであった。その後、反応物を回収して130℃で真空オーブンで乾燥して触媒を製造した。
【0078】
一方、前記臨界速度は、下記数式3で定義されるものであって、臨界速度では、ボールがバイアル壁に付いて回転するため、実質的な混合は臨界速度の70%で行っており、粒子割れが容易に行われた。
【0079】
【数3】
【0080】
前記数式3において、Dは粉砕機(mill)の直径であり、dはボールの直径である。
【0081】
(参照例1)
250ml大きさの丸底フラスコで、100mlトルエンに6.6g(0.05mol)のグルタル酸及び0.1mlの酢酸を加えて還流下に分散させた。次いで、55℃の温度で30分間加熱し、4.1g(0.05mol)のZnOを50mlのトルエンに加えて分散させた。このような分散液のうち、25%を先に加えて反応を進行させ、残り70%のうち25%は1時間後に加えて反応を進行し、次の25%はさらに1時間待機後に加えて反応を進行した。その後、1時間さらに経過した後、最後の25%を加えて反応を進行した。前記混合溶液を110℃で2時間加熱した。白色固体が生成された後、これを濾過し、アセトン/エチルアルコールで洗浄し、130℃で真空オーブンで乾燥して触媒を製造した。
【0082】
(参照例2)
5L大きさのリボン混合機(ダブルヘリカルリボン型撹拌機装着)に1.50kgのZnOを投入し、投入完了後、2.43kgのグルタル酸を投入した。その後、常温(約25℃)で先端速度0.31m/s、フルード数0.20になるように維持しながら60分間撹拌した。その後、反応物を回収して130℃で真空オーブンで乾燥して触媒を製造した。
【0083】
(参照例3)
前記参照例2において、90分間撹拌したことを除き、前記参照例2と同様に行って触媒を製造した。
【0084】
(実験例1)
前記実施例、比較例及び参照例で製造された各触媒の収率、触媒粒子の特性及び触媒内の未反応ZnOを測定しており、結果を下記表1に示した。
【0085】
(1)XRD(X-ray diffraction)分析
XRD分析を介して触媒内の未反応ZnOの含量を測定した。
具体的に、XRDは、40kV及び30mAで作動する単色性CuK α放射器(monochromic CuK α radiation、wavelength(v)=1.54A)が装着されたXRD分析装備(X-ray diffractometer、Bruker D4 Endeavor、ドイツ)を用いて常温(約25℃)で測定した。回折パターンは、2θスキャンモードで0.02度の段階及び0.1s/stepの速度で10度から50度までの角度範囲で測定した。
【0086】
(2)触媒粒子の特性
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)分析を介して触媒粒子の特性を測定した。
走査電子顕微鏡は、FESEM SU-8020を用いて加速電圧5kV及びemission current 10μAの条件で各触媒粒子の形状を確認した。
また、各触媒の走査電子顕微鏡イメージで全体粒径を測定して大きさの分布を確認しており、このうち30個の粒子から平均を求めて標準偏差を計算した。
【0087】
【表1】
【0088】
一方、前記表1で触媒収率は、使用された原料物質の総量に対する最終的に得られた乾燥された触媒の総量の比率を示したものであり、参照例1の場合には、反応以後に有機溶媒の分離・除去のための濾過及び洗浄工程を経ながら、未反応原料物質及び製造された触媒の一部が遺失されて収率が比較的低く、濾過及び洗浄の追加過程を経ながら未反応ZnO含量も低かった。
【0089】
一方、実施例1から実施例5は、有機溶媒の分離・除去のための濾過及び洗浄工程が必要ではないため、工程が非常に単純でありながらも、濾過及び洗浄工程なしに混合機で反応物全体を回収してこれを乾燥したにもかかわらず、参照例1と同等水準の未反応ZnO含量を示しており、製造された触媒の遺失がないため、約12%で大幅に増加した触媒収率を示した。また、実施例1及び実施例3から5は、触媒粒子の大きさ分布が狭く、粒子均一度に優れ、参照例1と類似の粒子特性を示した。
【0090】
参照例2及び参照例3の場合には、実施例1から実施例5と同様に、混合機で反応物全体を回収してこれを乾燥したものであって、収率は実施例の水準に高かったが、反応が均一に十分行われていないため、未反応ZnOの含量が非常に高く現われ、後述する表2で確認されるように、触媒活性が実施例に比べて顕著に低下した。
【0091】
(実験例2)
前記実施例1、実施例3から5、比較例、参照例1及び参照例3で製造された各触媒を用いてポリエチレンカーボネート樹脂を製造し、樹脂含量と触媒活性を測定しており、結果を下記表2に示した。
【0092】
このとき、ポリエチレンカーボネート樹脂は、0.4gの触媒と8.5gのジクロロメタンをステンレス高圧反応器に入れ、その後、10gの酸化エチレンを反応器に入れた後、二酸化炭素を3MPaの加圧条件で反応器に投入しながら70℃で3時間重合反応を行った。その後、未反応酸化エチレンと二酸化炭素はジクロロメタンとともに除去し、得られた樹脂含量(g)を定量して触媒の単位重量(g)当たりの触媒活性を計算した。
【0093】
【表2】
【0094】
前記表2に示すように、本発明の実施例1及び実施例3から5の触媒は、比較例に比べ68倍から約92倍に顕著に上昇された触媒活性を示した。
【0095】
一方、実施例1及び実施例3から5の触媒は、参照例1の触媒に比べ低下した触媒活性を示したが、参照例1の触媒活性の約60%以上の水準を示し、ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造に有効的な効果を表し得る十分優れた触媒活性を示した。
【0096】
前記結果を介し、本発明の一実施形態による製造方法は、従来の溶液相合成方法に比べて触媒の生産性において顕著に優れた効果を達成しながらも、優れた活性を有する触媒を製造することができることを確認した。
【0097】
また、実施例1及び実施例3から5の触媒は、参照例3の触媒に比べて約3倍の触媒活性を示しており、これを介して触媒の製造時にジカルボン酸の投入後に亜鉛化合物を投入して混合させることが、優れた活性を有する触媒の製造に容易であることを確認した。