(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】極端紫外線リソグラフィ用途におけるフォトマスクからの取付具取り外し
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20220713BHJP
【FI】
G03F1/62
(21)【出願番号】P 2021532390
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(86)【国際出願番号】 US2019057470
(87)【国際公開番号】W WO2020123038
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-23
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, バンチエ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン, エリ
(72)【発明者】
【氏名】マハムレー, カリード
(72)【発明者】
【氏名】フェンダー, ブルース ジェー.
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-202476(JP,A)
【文献】特開2011-186032(JP,A)
【文献】国際公開第2014/142125(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 1/62
G03F 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクを処理するための取付具取り外し装置であって、
取付具プーラーを備え、前記取付具プーラーが、
開口部を囲む1つ以上の側壁を有するペリクルスタッドグリッパをさらに備え、前記ペリクルスタッドグリッパが、
前記
開口部内に配置されたクランプであって、取付具を把持するように適合されたクランプ、および
前記
側壁の周りに配置されたコイルアセンブリ、
を備える、取付具取り外し装置。
【請求項2】
前記ペリクルスタッドグリッパ
の前記1つ以上の側壁が、底部によって接続された一対の側壁をさらに備え、前記開口部が、前記一対の側壁の間に画定されている、請求項
1に記載の取付具取り外し装置。
【請求項3】
ペリクルスタッドグリッパが、絶縁材料から製造されている、請求項1に記載の取付具取り外し装置。
【請求項4】
前記絶縁材料が、耐熱材料から製造されている、請求項
3に記載の取付具取り外し装置。
【請求項5】
前記クランプが、前記ペリクルスタッドグリッパの前記側壁に当接して配置されている、請求項
2に記載の取付具取り外し装置。
【請求項6】
前記クランプが、耐熱材料から製造されている、請求項1に記載の取付具取り外し装置。
【請求項7】
前記
コイルアセンブリが、加熱デバイス
である、請求項1に記載の取付具取り外し装置。
【請求項8】
前記コイルアセンブリが、前記ペリクルスタッドグリッパ内の誘導電流によって前記ペリクルスタッドグリッパの内部に熱を発生させる、請求項
7に記載の取付具取り外し装置。
【請求項9】
前記取付具取り外し装置が、1つ以上の取付具プーラーを備える、請求項
7に記載の取付具取り外し装置。
【請求項10】
フォトマスクから取付具を取り外す方法であって、
前記フォトマスク上に配置された取付具を囲むように取付具プーラーを位置決めすることと、
前記取付具の周りに配置されたヒーターコイルを用いた誘導加熱によって前記取付具を加熱することと、
前記取付具を把持するように前記取付具プーラーを移動させることと、
前記取付具プーラーへ機械的な力を加えることと、
前記フォトマスクから前記取付具を取り外すことと、
を含む方法。
【請求項11】
前記取付具が、前記フォトマスク上に配置された接着層上に配置されたペリクルスタッドをさらに備える、請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
前記取付具を加熱することが、
前記取付具プーラーの近くに配置されたコイルアセンブリに電力を印加することを、さらに含み、前記コイルアセンブリが、前記取付具
を囲んでいる、請求項1
0に記載の方法。
【請求項13】
前記取付具内の接着層を軟化させることを、さらに含む、請求項1
2に記載の方法。
【請求項14】
前記取付具プーラーを位置決めすることが、
前記取付具プーラー内に配置されたペリクルスタッドグリッパによって前記取付具を把持することを、さらに含む、請求項1
0に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、フォトマスクからの取付具取り外しプロセスのための方法および装置に関する。詳細には、本開示の実施形態は、リソグラフィ用途のための局所誘導加熱によるフォトマスク上の取付具からのペリクルスタッド取り外しのための方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路(IC)またはチップの製造では、チップの様々な層を表すパターンが、チップ設計者によって作製される。一組の再使用可能なマスク、すなわちフォトマスクが、製造プロセス中に各チップ層のデザインを半導体基板上に転写するために、これらのパターンから作製される。マスクパターン生成システムが、精密レーザーまたは電子ビームを使用して、チップの各層のデザインをそれぞれのマスク上に画像化する。次に、マスクが、写真のネガのように使用され、各層の回路パターンを半導体基板上に転写する。これらの層が、一連のプロセスを使用して積み重ねられ、完成した各チップを構成する小さなトランジスタと電気回路に変換される。したがって、マスクの欠陥が、チップに転写され、性能に悪影響を与える可能性がある。十分なほどに深刻な欠陥があると、マスクが完全に役に立たなくなる可能性がある。通常、チップを構築するために15~30個のマスクのセットが使用され、これらは繰り返し使用することができる。
【0003】
[0003]限界寸法(CD)の縮小に伴い、現在の光リソグラフィは、45ナノメートル(nm)の技術ノードで技術的限界に近づいている。次世代リソグラフィ(NGL)が、例えば32nm技術ノード以降で、従来の光リソグラフィ法に取って代わることが期待されている。極端紫外線(EUV)リソグラフィ(EUVL)、電子投影リソグラフィ(EPL)、イオン投影リソグラフィ(IPL)、ナノインプリント、X線リソグラフィなどの、いくつかのNGL候補がある。これらの中で、EUVLは、光リソグラフィの特性のほとんどを持っており、他のNGL法と比較してより成熟した技術であるという事実のために、最も可能性の高い後継技術である。
【0004】
[0004]通常、1つのフォトマスク、例えばレチクルは、何千もの基板を再現性をもってプリントするために繰り返し使用され得る。通常、フォトマスク、例えばレチクルは、その上に配置された光吸収層および不透明層を含む複数の層を有する膜スタックを与えるガラスまたは石英基板である。フォトリソグラフィプロセスを実行している間、粒子汚染からレチクルを保護するためにペリクルが使用される。ペリクルは、薄い透明な膜であり、光と放射線が通過してレチクルに達することができる。ペリクルは、比較的安価で、薄く、透明で、柔軟性のあるシートであり、マスクの表面より上に張られており、マスクの表面に接触していない。ペリクルは、マスク表面から粒子を機械的に隔てることにより、粒子汚染に対する機能的かつ経済的な解決策を提供する。フォトマスクを何サイクルも使用して、ペリクルが損傷したり汚れすぎて使用できなくなった後に、フォトマスクを取り外してペリクルを交換する。
【0005】
[0005]ペリクルは通常、取付具によってレチクル上に支持および保持される。取付具は、使用時にフォトマスクにペリクルを固定するために使用される。しかしながら、フォトマスクからペリクルと取付具を交換するときに、取付具を引っ張って取り外すために利用される機械的な力によってフォトマスクに損傷が生じることがよくある。さらに、場合によっては、ペリクルを交換し、取付具を取り外すときに、取付具を軟化させるために、熱エネルギーが使用される。しかしながら、そのような熱エネルギーは、必然的に、膜スタックおよび/またはフォトマスクの構造を損傷する可能性がある。
【0006】
[0006]したがって、定期的な使用後にレチクル上のペリクルおよび取付具を交換するための装置および方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本開示の実施形態は、概して、ペリクルを保持するために利用される取付具をフォトマスクから取り外すための装置および方法を提供する。一実施形態では、フォトマスクを処理するための取付具取り外し装置は、アクチュエータ、アクチュエータに連結されたクランプであって、取付具を把持するように適合されたクランプ、および取付具に隣接して配置されたコイルアセンブリを含む取付具プーラーを含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、フォトマスクから取付具を取り外す方法は、フォトマスク上に配置された取付具を囲むように取付具プーラーを位置決めすることと、誘導加熱によって取付具を加熱することと、取付具を把持するように取付具プーラーを移動させることと、取付具プーラーへ機械的な力を加えることと、フォトマスクから取付具を取り外すことと、を含む。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態では、フォトマスクを処理するための取付具取り外し装置は、取付具取り外し装置に配置されたアクチュエータに連結されたクランプであって、絶縁材料から製造されたクランプと、クランプに受け取られた取付具の周りに配置されたコイルアセンブリと、を含む。
【0010】
[0010]本開示の実施形態の上記の特徴が、詳細に理解されるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかが、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態によるリソグラフィシステムを概略的に示す。
【
図2】
図1のリソグラフィシステムで使用され得るフォトマスクの断面図を概略的に示す。
【
図3A】ペリクルがフォトマスクから取り外された後の
図2のフォトマスクの断面図を概略的に示す。
【
図3B】ペリクルがフォトマスクから取り外された後の
図2のフォトマスクの上面図を示す。
【
図4】レチクルから取付具を取り外すための取付具取り外しプロセスのフローチャートを示す。
【
図5A】
図4の取り外しプロセスの異なる段階中のフォトマスクの断面図を示す。
【
図5B】
図4の取り外しプロセスの異なる段階中のフォトマスクの断面図を示す。
【
図6】ペリクルスタッドがフォトマスクから取り外された後のフォトマスクの断面図を示す。
【
図7】接着層がフォトマスクから除去された後のフォトマスクの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019]理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。一実施形態で開示された要素は、特定の列挙なしに他の実施形態で有益に利用され得ることが企図される。
【0013】
[0020]本開示の実施形態は、概して、ペリクルを保持するために利用される取付具をフォトマスクから取り外すための装置および方法を提供する。取付具は、ペリクルをフォトマスクに保持および/または支持するために利用される。取付具は、ペリクルを保持するペリクルスタッドと、ペリクルスタッドとフォトマスクとの間に取り付けられた接着層とを含む。取付具取り外し装置が、フォトマスクから取付具を取り外すために利用される。一例では、取付具取り外し装置は、ペリクルスタッドグリッパの周りに配置された誘導コイルアセンブリを介して誘導加熱エネルギーを提供することができるペリクルスタッドグリッパを有する取付具プーラーを含む。ペリクルスタッドグリッパからの誘導加熱により、接合部の接着層を軟化させることができ、したがって、フォトマスクからペリクルスタッドを効率的に引っ張ることが容易になる。接着層は、ペリクルスタッドとともにフォトマスクから引っ張り取られてもよいし、または必要に応じて、追加の接着層除去プロセスを実行して、フォトマスクから接着層を除去してもよい。
【0014】
[0021]
図1は、本開示の一実施形態によるリソグラフィシステム100を概略的に示している。リソグラフィシステム100は、一般に、リソグラフィプロセス中に使用される放射線ビーム108を生成するように構成された放射線システム101を備える。リソグラフィシステム100は、波トレーン109を介して放射線システム101に関連するリソグラフィ装置102をさらに備える。
【0015】
[0022]放射線システム101は、一般に、放射線源106および投影システム107を備える。一実施形態では、放射線源106は、レーザー生成プラズマ106aおよび収集ミラー106bを備え得る。一実施形態では、放射線システム101は、5nmから20nmの範囲の波長を有する極端紫外線(EUV)放射を生成するように構成され得る。放射線システム101は、リソグラフィプロセスのために、放射線ビーム108をリソグラフィ装置102に向けて投射するように構成される。
【0016】
[0023]リソグラフィ装置102は、内部空間104を画定する本体103を備える。真空状態での処理は粒子汚染の可能性を低減するので、処理中、内部空間104は、ポンプシステム105を使用して真空に維持され得る。リソグラフィ装置102は、マスクステーション110、投影システム119、基板ステージ116、および粒子除去ステーション120をさらに備え、これらは、内部空間104に配置されている。
【0017】
[0024]マスクステーション110は、放射線ビーム108を受けて投影システム119に反射するようにフォトマスク113(例えば、レチクル)を位置決めするように構成される。フォトマスク113は、その上に形成されたパターンを有し、パターンは、フォトマスク113によって放射線ビーム108に反映される。投影システム119は、放射線ビーム108を投射し、基板118を正確に位置決めするように構成された基板ステージ116上に位置決めされた基板118にパターンを伝達するように構成される。本明細書で利用される基板118は、用途に応じて、結晶シリコン、ドープトシリコン、または複合シリコン基板であって、その上に配置された1つ以上の非導電性材料、誘電体材料もしくは導電層を含む複合シリコン基板から製造された半導体基板であり得る。基板118は、特定のサイズまたは形状に限定されない。基板118は、200mmの直径、300mm、または450mmの直径を有する丸いウェハであり得る。基板はまた、必要に応じてガラス基板などの、任意の多角形の、正方形の、長方形の、湾曲した、またはその他の非円形のワークピースであり得る。
【0018】
[0025]粒子除去ステーション120が、放射線ビーム108の経路に配置され、放射線ビーム108に沿って移動するデブリおよび粒子を除去するように構成される。一実施形態では、粒子除去ステーション120は、マスクステーション110の近くに配置され、フォトマスク113への放射線ビーム108の入力経路およびフォトマスク113からの放射線ビーム108の出力経路と交差する。
【0019】
[0026]マスクステーション110は、処理中に放射線ビーム108を通すように構成されたシャッター開口部114を有するチャンバ本体111を備える。フォトマスク113は、放射線ビーム108および投影システム119と位置合わせされるようにフォトマスク113を位置決めするように構成されたマスクステージ112上に位置決めされる。マスクステージ112は、リソグラフィプロセス中に必要に応じてフォトマスク113上のフィーチャ/構造が放射線ビーム108に確実に曝露されるように、X-Y方向に移動するか、または放射線ビーム108に対して移動することができる。EUVリソグラフィの場合、全ての材料がEUV波長に対して不透明であるので、フォトマスク113は、保護なしに、放射線ビーム108および内部空間104の雰囲気に直接曝露される。しかしながら、任意選択のシャッターが、シャッター開口部114に配置されて、処理中でない間は閉じられてもよい。
【0020】
[0027]導電性プレート192が、フォトマスク113と平行な配置で、フォトマスク113の前面193から離間してマスクステーション110内に配置されている。導電性プレート192は、放射線ビーム108が通過してフォトマスク113の前面193に到ることを可能にする開口部195を有する金属プレート、金属リング、または任意の適切な導電性構造の形態であり得る。導電性プレート192は、チャンバ本体111の側壁に連結させることができ、定期的な洗浄のためにマスクステーション110から取り外し可能である。一実施形態では、導電性プレート192は、マスクステージへ約10mmから約30mmの間の距離110に配置される。電源190が、回路装置194によって導電性プレート192に連結されている。フォトマスク113は、その上に配置された導電性材料を、動作中に有し得るので、導電性プレート192およびフォトマスク113上に配置された導電性材料はそれぞれ、電力を印加するとそれらの間に電場を生成し得る電極として機能し得る。電圧Vが、導電性プレート192に印加されて、電位を生成する電場を確立することができ、フォトマスク113の表面193から帯電粒子をはじく(例えば、押しのける)ことができる。そうすることにより、フォトマスク113の前面193の清浄度を維持することができる。一実施形態では、電圧Vは、約50ボルトから約500ボルトの間で導電性プレート192に印加され得る。フォトマスク113は、必要に応じて接地することができる。
【0021】
[0028]マスクステーション110は、密封された状態で種々のマスクが格納され得るマスク保管装置126との間でフォトマスク113を移送するように構成されたマスク移送機構125をさらに備え得る。
【0022】
[0029]投影システム119は、放射線ビーム108を基板118に向けて反射するように構成された複数のミラー115を備える。投影システム119は、最大10個のミラーを備え得る。投影システム119は、放射線ビーム108を複数のミラー115から基板118に所望の比率および所望の位置で投射するように構成された投射カラム(図示せず)を備え得る。
【0023】
[0030]基板ステージ116は、一般に、基板118を支持、平行移動、および回転させて、放射線ビーム108が複数のダイに投射されることを可能にするように構成された基板支持体117を備える。
【0024】
[0031]粒子除去ステーション120は、マスク113、ミラー115、および基板118を保護するために、放射線ビーム108内を移動するデブリ粒子を除去するように構成される。粒子除去ステーション120は、放射線ビーム108の経路のどこに配置されてもよい。
【0025】
[0032]システムコントローラ155は、コンピューティングデバイスのように、一般に、中央処理装置(CPU)、メモリ、およびサポート回路を含む。CPUは、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであり得る。システムコントローラ155は、リソグラフィシステム100の動作を制御する。サポート回路は、従来通り、CPU138に連結されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源などを含み得る。ソフトウェアルーチンが、CPUを特定の目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、リソグラフィシステム100から離れて配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納および/または実行されてもよい。
【0026】
[0033]
図2は、レチクルなどのフォトマスク202上に配置された膜スタック204の詳細を示している。フォトマスク202は、
図1に示されたリソグラフィシステム100で処理され得るフォトマスク113と同様であり得る。フォトマスク202は、膜スタック204であって、その中に形成された所望のフィーチャ207を有する、フォトマスク202上に配置された膜スタック204を含む。
図2に示される例示的な実施形態では、フォトマスク202は、石英基板(すなわち、低熱膨張二酸化ケイ素(SiO
2))であり得る。フォトマスク202は、長さが約5インチから約9インチの間の辺を有する長方形の形状を有する。フォトマスク202は、約0.15インチから約0.25インチの間の厚さであり得る。一実施形態では、フォトマスク202は、約0.25インチの厚さである。任意選択の導電層(図示せず)、例えば、窒化クロム(CrN)層などのクロム含有層が、必要に応じてフォトマスク202の裏面に配置されてもよい。
【0027】
[0034]膜スタック204は、その中に形成されたフィーチャ207を含む。
図2~
図7に示されるフィーチャ207および膜スタック204は、例示のみを目的としており、フィーチャ207および膜スタック204は、必要に応じて任意の形態であり得ることに留意されたい。膜スタック204は、EUV反射複数材料層208と、EUV反射複数材料層208上に配置された吸収体層206とを含む。EUV反射複数材料層208は、少なくとも1つのモリブデン層208aおよびシリコン層208bを含み得る。
図2に示す実施形態は、4対のモリブデン層208aとシリコン層208b(交互のモリブデン層208aとシリコン層208bが、フォトマスク202上に繰り返し形成されている)を示しているが、モリブデン層208aとシリコン層208bの数は、異なるプロセス要求に基づいて変えることができることに留意されたい。1つの特定の実施形態では、40対のモリブデン層208aとシリコン層208bを堆積させて、反射複数材料層208を形成することができる。一実施形態では、各単一のモリブデン層208aの厚さは、約1nmから約10nmの間、例えば、約2.7nmに制御され得、各単一のシリコン層208bの厚さは、約1nmから約10nmの間、例えば、約4.1nmに制御され得る。反射複数材料層208は、約10nmから約500nmの間の総厚さを有し得る。反射複数材料層208は、13.5nmの波長で最大70%のEUV光反射率を有し得る。反射複数材料層208は、約70nmから約500nmの間の総厚さを有し得る。
【0028】
[0035]次に、吸収体層206を反射複数材料層208上に配置することができる。吸収体層206は、リソグラフィプロセス中に生成された光の一部を吸収するように構成された不透明な遮光層である。吸収体層206は、単層または多層構造の形態であり得る。吸収体層206はまた、バルク吸収体層上に配置された自己マスク層をさらに含み得る。一実施形態では、吸収体層206は、約50nmから約200nmの間の総膜厚を有する。吸収体層206の総厚さは、サブ32nm技術ノード用途におけるEUVマスクの厳しい全体的なエッチングプロファイル公差を満たすことを有利に容易にする。
【0029】
[0036]バルク吸収体層上に配置された自己マスク層を吸収体層206が含む一実施形態では、バルク吸収体層は、本質的に酸素を含まないタンタル系材料、例えば、TaSiなどのケイ化タンタル系材料、TaBNなどの窒素化ホウ化タンタル系材料、およびTaNなどの窒化タンタル系材料を含み得る。自己マスク層は、タンタルおよび酸素系材料から製造することができる。自己マスク層の組成は、バルク吸収体層の組成に対応し、バルク吸収体層がTaSiまたはTaSiNを含む場合、TaSiONなどの酸化および窒素化タンタルおよびケイ素系材料を、バルク吸収体層がTaBNを含む場合、TaBOなどのタンタル酸化ホウ素系材料を、バルク吸収体層がTaNを含む場合、TaONなどの酸化および窒素化タンタル系材料を含み得る。フィーチャ207(すなわち、開口部)が、膜スタック204に形成されて、フォトマスクを露出させる。
【0030】
[0037]さらに、キャッピング層(図示せず)が、任意選択で、反射複数材料層208と吸収体層206との間に配置され得る。キャッピング層は、ルテニウム(Ru)材料、ジルコニウム(Zr)材料などの金属材料、または他の任意の適切な材料から製造することができる。
図2に示される実施形態では、キャッピング層は、ルテニウム(Ru)層である。キャッピング層は、約1nmから約10nmの間の厚さを有する。
【0031】
[0038]
図2に示すように、フォトマスク202の所定の位置217において、取付具216が、その上に形成されて、ペリクル214を支持する。取付具216は、ペリクル214を保持するために利用されるペリクルスタッド212と、ペリクルスタッド212をフォトマスク202に取り付けるのを支援するために利用される接着層210とを含む。ペリクルスタッド212は、金属含有材料、導電性材料、プラスチック材料、誘電体材料、またはペリクル214を保持するのに適した他の材料などの任意の適切な材料で作ることができる。一例では、ペリクルスタッド212は、チタン、アルミニウム、ステンレス鋼、それらの組み合わせ、およびそれらの合金からなる群から選択された導電性材料である。接着層210は、エポキシなどの任意の適切な接着剤層であり得る。ペリクルスタッド212とペリクル214との間の接合部は、必要に応じて、ペリクル214をペリクルスタッド212にしっかりと取り付けるのを支援するための機械的クランプ機構を含み得る。
【0032】
[0039]
図4に示される取付具取り外しプロセスの前に、ペリクル214は、任意の適切な方法または機構によって、
図3Aに示されるように、取付具216から取り外されてもよい。
図3Bは、フォトマスク202の上面図を示している。
図3Aは、
図3Bに示される切断線A-A’に沿った断面図を示している。取付具216は、フォトマスク202の所定の位置217(例えば、コーナー)に配置されている。
図3Bに示される実施形態は、取付具216が配置された4つの位置を示しているが、必要に応じて、任意の数の取付具216を利用できることに留意されたい。
【0033】
[0040]
図4は、フォトマスク202から取付具216を取り外すために利用され得る取付具取り外しプロセス400を示している。
図5A~
図5Bは、
図4の取付具取り外しプロセス400の異なる段階における、取付具取り外し装置550内のフォトマスク202の断面図を示す。
図5A~
図5Bに示されるフォトマスク202およびその上に配置された膜スタック204は、説明を容易にするために、逆さまの位置にひっくり返されていることに留意されたい。
【0034】
[0041]取付具取り外しプロセス400は、
図5Aに示される取付具取り外し装置550などの取付具取り外し装置内にフォトマスク202を用意することによって、工程402で開始する。取付具取り外し装置550は、1つより多い取付具プーラー500が中に配置された筐体を提供することができる。取付具プーラー500は、フォトマスク202からペリクルスタッド212を取り外すように構成される。取付具プーラー500の数は、フォトマスク202から取り外されるべき取付具216の数と一意に対になるように選択することができる。本明細書に示す実施形態では、4つの取付具プーラー500(1つだけが、
図5A~
図5Bに示されている)を使用して、フォトマスク202のコーナーに配置された4つの取付具216(
図3Bに示されている)を取り外すことができる。
【0035】
[0042]取付具プーラー500は、ペリクルスタッドグリッパ504に連結されたアクチュエータ502を含む。アクチュエータ502は、ペリクルスタッドグリッパ504を垂直方向(またはz方向)に移動させるように動作可能である。ペリクルスタッドグリッパ504の移動は、アクチュエータ502によってx、y、およびz方向に制御され得る。アクチュエータ502は、把持のための適切な座標にペリクルスタッド212を収容するように、ペリクルスタッドグリッパ504を位置決めするのを支援することができる。ペリクルスタッドグリッパ504は、底部504によって接続された一対の側壁510を含み、動作中にペリクルスタッド212を受容または収容するように適合された開口部531を形成する。一対の側壁510は、垂直方向に上方に延在して、ペリクルスタッド212の幅よりも広い幅518を有する開口部531を確立し、その結果、ペリクルスタッド212は、損傷することなくその中に適切に位置決めされ得る。一対のクランプ506が、開口部531内に配置され、その中に配置されたペリクルスタッド212を把持および/または固定するために、それぞれ、一対の側壁510(例えば、開口部531内の側壁510の内壁)に当接して作動可能であってもよい。ペリクルスタッド212は、種々のサイズおよび寸法において多様であり得るので、開口部531内に配置されたクランプ506は、異なるペリクルスタッドサイズおよび形状に対応しながら、ペリクルスタッド212を確実に把持することを容易にする。
【0036】
[0043]一例では、ペリクルスタッドグリッパ504は、絶縁材料、プラスチック材料、誘電体材料、または適切な材料から製造することができる。一例では、ペリクルスタッドグリッパ504は、耐熱材料などの絶縁体材料から製造される。クランプ506は、絶縁材料、プラスチック材料、誘電体材料、または適切な材料などの任意の適切な材料で作ることができる。一例では、クランプ506は、セラミック、耐熱材料、および耐熱繊維からなる群から選択された絶縁体材料から製造される。
【0037】
[0044]コイルアセンブリ508が、ペリクルスタッドグリッパ504の側壁510(例えば、側壁510の外壁)の周りに配置され得る。コイルアセンブリ508は、1つ以上のらせん巻線を有する円筒形誘導コイルを含む。コイルの巻線は電気的に直列に接続されていることに留意されたい。あるいは、コイルアセンブリ508は、動作中にペリクルスタッド212に熱エネルギーを与えるように、ペリクルスタッド212の近くの任意の場所に位置決めされ得る。
【0038】
[0045]コイルアセンブリ508に電力が供給されると(例えば、電源によってそれに電圧を印加する)、コイル内の電流は、ペリクルスタッド212内の誘導電流によってペリクルスタッド212の内部に熱を発生させることができる。誘導加熱は、一般に、ペリクルスタッドグリッパ504およびクランプ506などの絶縁体部品に熱を伝達しない。コイルは、主に、ペリクルスタッドグリッパ504の開口部531に配置されたペリクルスタッド212内に(例えば、ペリクルスタッド212と物理的に接触することなく)誘導熱を生成する。コイルアセンブリ508から生成された誘導加熱は、一般に、ペリクルスタッド212の導電性材料などの導電性物体を加熱する。コイルアセンブリ508内を流れる電流によって生成された電磁場を利用することにより、熱は、ペリクルスタッド212への直接の熱接触ではなく、誘導によってペリクルスタッド212の内部に生成される。そうすることにより、ペリクルスタッド212に連結された接着層210が、ペリクルスタッド212の近くの領域で急速に加熱され、比較的高温条件で急速に溶融し、接着層210とフォトマスク202との間、または接着層210とペリクルスタッド212との間に緩いまたは軟化した界面を作り出すことができる。接着層210との界面が軟化または緩められると、次に、比較的小さい機械的な力が、アクチュエータ502から加えられ、ペリクルスタッドグリッパ504を作動させて、
図5Bに描かれた矢印602で示されるように、ペリクルスタッド212をフォトマスク202から引っ張ることができる。アクチュエータ502は、ペリクルスタッドグリッパ504を
図5Aに示される位置まで上方へ移動させる。続いて、アクチュエータ502は、ペリクルスタッドグリッパ504を下方へ移動させ、
図5Bに示されるように、ペリクルスタッドグリッパ504をペリクルスタッド212とともに垂直下方にフォトマスク202から離れた位置まで引っ張る。ペリクルスタッド212がフォトマスク202から容易に取り外されることを可能にする状態(すなわち、軟化または溶融した状態)に接着層210をするために、熱が、誘導によってペリクルスタッド212に送られる。接着層210が、ペリクルスタッド212と接着層210との界面近くで溶融し、軟化したまたは緩い界面が作り出されると、ペリクルスタッド212は、フォトマスク202から分離されるようになる。次に、ペリクルスタッド212は、ペリクルスタッドグリッパ504によって下方に引っ張られると、損傷することなく容易に取り外される。したがって、コイルアセンブリ508は、動作中に誘導加熱を通じてペリクルスタッド212に熱エネルギーを与えるように、ペリクルスタッドグリッパ504の近く、またはペリクルスタッド212の近くの任意の適切な位置に位置決めされ得る。
【0039】
[0046]システムコントローラ556は、コンピューティングデバイスのように、一般に、中央処理装置(CPU)、メモリ、およびサポート回路を含む。システムコントローラ556は、取付具取り外し装置550の動作を制御するために利用される。CPUは、産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであり得る。サポート回路は、従来通り、CPUに連結されており、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、電源などを含み得る。ソフトウェアルーチンが、CPUを特定の目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。ソフトウェアルーチンはまた、取付具取り外し装置550から離れて配置された第2のコントローラ(図示せず)によって格納および/または実行されてもよい。
【0040】
[0047]任意選択の工程404において、フォトマスク202は、摂氏50度を超えるが摂氏150度未満、例えば摂氏80度から摂氏120度の間などの上昇した温度に維持されてもよい。フォトマスク202は、必要に応じて、硬化プレート、加熱プレート、または取付具取り外し装置550内に配置された任意の適切な加熱デバイスなどの加熱デバイス555上に位置決めされてもよい。あるいは、取付具取り外し装置550は、フォトマスク202に穏やかな熱エネルギーを与えることができるオーブンまたは熱エネルギーを供給することができる筐体などの加熱デバイスとして機能することができる。フォトマスク202を摂氏300度を超える温度範囲に加熱するなど、高温環境で加熱することを必要とする従来の慣行とは異なり、取付具取り外し装置550内のフォトマスク202への穏やかな温度上昇は、フォトマスク202上に配置されたフィーチャ218、270および膜スタック204を損傷することなく、接着層210を軟化または溶融するのを、穏やかに支援することができる。したがって、取付具取り外しプロセス400の間、フォトマスク202を250度未満などの比較的低い温度範囲に維持することにより、ペリクルスタッド引っ張りプロセスに起因する損傷の可能性が、大幅に減少するか、または排除さえされ得る。
【0041】
[0048]工程406において、上記のように、電力が、ペリクルスタッドグリッパ504の周りに配置されたコイルアセンブリ508に印加される。コイルアセンブリ508に印加された電力は、コイルアセンブリ508内に電流を生成することができ、したがって、ペリクルスタッド212の内部に誘導加熱を生成することができる。そのような熱は、ペリクルスタッド212と接着層210との間の界面が、加熱されたペリクルスタッド212から提供される熱によって軟化されるように、熱流束を接着層210に伝達して、接着層210を局所的に加熱することができる。
【0042】
[0049]工程408で、ペリクルスタッド212と接着層210との間の界面の接着層210が、加熱されたペリクルスタッド212からの高速熱エネルギーと、もしあれば、取付具取り外し装置550からの熱エネルギーとによって軟化されると、次に、ペリクルスタッドグリッパ504が、ペリクルスタッド212を把持する位置に位置合わせされ、機械的な力が、アクチュエータ502に加えられて、ペリクルスタッドグリッパ504を使用してフォトマスク202からペリクルスタッド212を引っ張り取ることができる。
【0043】
[0050]
図6に示される例では、ペリクルスタッド212のみが、フォトマスク202から取り外され、接着層210は、フォトマスク202上に残っている。したがって、
図7に示すように、フォトマスク202から接着層210を除去するために、追加の洗浄プロセスまたは接着剤除去プロセスが必要となる場合がある。いくつかの例では、
図7に示すように、アクチュエータからの機械的な力が、ペリクルスタッド212および接着層210の両方をフォトマスク202から引っ張り取るのに十分に強い場合、追加の接着剤除去プロセスを、必要に応じて省略することができる。
【0044】
[0051]リソグラフィプロセスのみが、本開示に従って説明されているが、本開示の実施形態は、物体からの取付具の取り外しを必要とする任意の適切なプロセスおよび任意の適切な処理ツールに適用することができる。
【0045】
[0052]したがって、本開示の実施形態は、概して、取付具をフォトマスクから取り外すための装置および方法を提供する。この方法および装置は、取付具とフォトマスクとの間の接合部を軟化させて、取付具をフォトマスクから引っ張り取るのを支援するように、ペリクルスタッドグリッパの周りに配置された誘導コイルを通して供給された誘導加熱エネルギーによって、フォトマスクから取付具を有利に取り外す。したがって、本明細書で提供される方法および装置は、EUV技術での利用に適したフォトマスクの製造を有利に容易にする。
【0046】
[0053]上記は、本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。